JP2004523740A - 癌における腫瘍特異的遺伝子産物の認識 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、癌診断の分野,および病理学および血液学における診断技術の適用に関する。詳細には、本発明は、染色体異常の存在が、そのような染色体を含む腫瘍細胞だけによって発現される腫瘍特異的遺伝子産物を検出することによって示される技術に関する。
【0002】
(発明の背景)
染色体異常は、先天性の障害および後天的な疾患を含む様々な遺伝子的障害または疾患(悪性腫瘍など)の主要な原因である。悪性の細胞は、周囲からの増殖調節シグナルを受けつけなくなった1個の自律的に増殖している細胞に起源を有すると考えられるので、共通したクローン起源を有する。
【0003】
用語「癌」は、その潜在的悪性度およびその治療応答を考慮したとき、それぞれのタイプがそれ自身の特徴を有する新生物の不均一な集団を含む。現在、癌治療の有効性は経験的に決定されている。癌の発生時期、癌の起源および広がり、そして患者の生理学的状態に依存して、最も適切かつ最も効果的な治療が選択されている。現時点では、外科的治療および放射線療法および化学療法(または前記療法の組合せ)からの選択を行うことができる。しかしながら、それぞれの治療法は、治療の効果を非常に大きく損なう副作用をもたらすことが理解されている。様々な癌タイプを正確に診断することが、最も効果的な治療を選択することを助ける際には重要であることは言うまでもないことである。
【0004】
癌の基点は、染色体内または染色体間における転座、反転、挿入、欠失および他の変異などの染色体異常に由来する。多くの場合、1つの染色体または2つの異なる染色体が悪性腫瘍の発生に関与している。このようにして、様々な遺伝子または遺伝子のフラグメントが、異常のない染色体の正常な生理学的状況から除かれ、そして関連性のない遺伝子または遺伝子のフラグメント(しばしば、癌遺伝子又はプロト癌遺伝子)に隣接して、(受容染色体が同じ染色体または別の染色体であっても)受容染色体内の位置と融合するか、または受容染色体内の位置に見出される。この場合、この新しい遺伝子組合せが悪性腫瘍の基礎となり得る。
【0005】
転座などの再配列が、少し明らかにされたパターンでしばしば起こる。この場合、遺伝子またはそのフラグメントが、異常のない染色体から中断点または中断点クラスター領域において除かれ、融合領域において受容染色体に挿入され、それにより、再配列または欠失または転座または融合を有する、その特定の癌に対して特異的である遺伝子が生じる。さらに、再配列または転座は、2つの染色体が一部分を交換し、それにより、新しい融合した遺伝子を両方が含有する2つの相互に再配列された染色体を含有する細胞をもたらすという点で相互的であり得る。
【0006】
融合した遺伝子が翻訳されるとき、融合遺伝子は、腫瘍に特徴的な遺伝子産物(mRNA)をもたらす。そのようなキメラmRNAは、元々は分離していた遺伝子に対応し、かつ元々は分離していた遺伝子によって元々は転写されていた2つのmRNAの一部分またはフラグメントを含む。この腫瘍特異的mRNAは、他とは異なり、そのようなRNAフラグメントが接する融合点を特徴とする。場合により、これらの融合点は、核酸プローブをハイブリッド形成させることによって検出することができる。しかし、これらの転座において見られる個々の再配置における大きい変化を考慮したとき、そして(転座が同じ2つの遺伝子内で生じるときにさえ)種々の腫瘍特異的遺伝子が生じ得る、異常のない遺伝子内における中断点の局在性に依存して、これらの癌タイプのそれぞれの異なる場合において、新しい融合点が生じる可能性があると考えられる。したがって、腫瘍特異的遺伝子産物(mRNA)の融合点を特異的に検出することによる癌の検出は、これまで広く適用することができないでいる。
【0007】
融合した遺伝子が、読み枠が一致して融合したとき、融合したmRNAは、腫瘍に特徴的な融合タンパク質に翻訳される。このタンパク質は、元々は分離していた遺伝子に対応し、かつ元々は分離していた遺伝子によって元々は転写され、そして元々は分離していた遺伝子から翻訳されていた2つのタンパク質の一部分を含む。この腫瘍特異的タンパク質は、他とは異なり、2つのタンパク質が接する融合点を特徴とする。様々な融合点が、ときには免疫学的に検出され得る異なるエピトープを含んで抗原的に露出している。
【0008】
しかし、これらの転座において見られる個々の再配列における大きい変化を考慮すると、そして(転座が同じ2つの遺伝子内で生じるときにさえ)種々の腫瘍特異的遺伝子が生じ得る、異常のない遺伝子内における中断点の局在性に依存して、これらの癌タイプのそれぞれの異なる場合において、新しい融合点が生じる可能性があると考えられる。したがって、腫瘍特異的タンパク質の融合点エピトープを特異的に検出することによる癌の検出は、これまで広く適用することができないでいる。融合した遺伝子または再配列された遺伝子の腫瘍特異的遺伝子産物(融合産物)は癌のさらなる発生の一因になり得る。
【0009】
染色体異常が、(他の癌タイプと比較したとき)比較的十分に研究されている領域は、白血病の分野である。非常に悪性の腫瘍と比較できるほど、白血病は腫瘍細胞の分化度が異なる。臨床的提示にしたがって、白血病は、発達する早さに従い急性形態と慢性形態とに分けられ、そして治療されない場合には、死をもたらす。
【0010】
白血病プロセスに関与する細胞系統に依存して、急性白血病は急性リンパ芽球性白血病(ALL)および急性非リンパ芽球性白血病(ANLL)として分類され、ALLは、小児において生じる最も一般的なタイプ(80%以上)である。慢性白血病は、制御されない増殖性の白血病細胞が成熟化し得る悪性腫瘍である。慢性リンパ性白血病(CL L)および慢性骨髄性白血病(CML)の2つのサブタイプの慢性白血病が区別される。これらの4つの群において、生物学および予後における相当の不均一性が認められており、そのような不均一性は、現在、形態学的特徴にしたがって階層化されている。この階層化は、今までのところ、白血病患者の予後の理解および予測に関して、そして合理的な治療設計に関して価値をほとんど有していない。
【0011】
しかし、白血病患者の最近の分子遺伝学的研究により、広範囲の染色体異常が様々な形態の白血病に関して見出され得ることが示されている。1つの群は、リンパ系細胞集団の型を決定する抗原受容体分子の多様性を生じさせるために必要とされる正常な生理学的プロセスを越える抗原−受容体遺伝子の再配列を含む、免疫グロブリン(IG)遺伝子またはT細胞受容体(TCR)遺伝子の再配列からなる。白血病と関連することが知られているIG再配列およびTCR再配列の1つの大きい群において、腫瘍特異的抗原受容体分子が発現している。異常の別の群には、ゲノムからの遺伝子全体または遺伝子の一部分の欠失が含まれる。
【0012】
欠失の結果として、新しい欠失型遺伝子に通常の場合には属するプロモーター領域は、別の遺伝子に対する制御をもたらすことができ、その結果、その遺伝子の異常な転写を生じさせる。一例が、T細胞におけるSIL遺伝子のコード領域の欠失であり、これは、T細胞において通常の場合には発現されないTAL-1遺伝子の転写をもたらし、その結果、TAL-1融合タンパク質の異所性の発現をもたらす。さらに別の一群には、悪性腫瘍の発生に寄与する特徴的な融合タンパク質をおそらくは転写するかもしれない融合遺伝子をもたらす染色体間の遺伝子フラグメントの転座が含まれる。十分に知られている例には、CMLの95%を越える症例において、そして成人ALLの症例の30%、および小児ALLの25%〜30%の症例で見出されるTEL-AML1において見出される様々なBCR-ABL融合遺伝子をもたらす転座がある。しかし、E2A-PBX1、ETO-AML1およびPML-RARaなどのさらに多くの融合遺伝子が知られている。
【0013】
様々な染色体異常を、現代の生物分子技術をその多くが伴う広範囲の様々な技術によって検出することができる。通常的な染色体バンド形成技術による細胞遺伝学的分析などの従来の技術は、非常に正確ではあるが、非常に手間がかかり、熟練者を必要として、したがって費用がかかる。自動化された核型決定は、出生前診断などのいくつかの診断適用には有用であるが、悪性腫瘍の複雑な特徴を診断する際には効果的ではない。さらに、タンパク質の増大した活性を検出すること、たとえば、腫瘍特異的細胞におけるチロシンキナーゼ活性を検出することが可能である(PCT国際特許出願公開WO95/31545を参照のこと)。前記の技術は、常に得られるとは限らない新鮮な細胞を必要とする。
【0014】
より現代的な他の様々な技術が、それに対する好適な核酸プローブまたは核酸プライマーを利用することができる十分に明らかにされた染色体異常を検出するためにサザンブロッティングまたは他の核酸ハイブリッド形成技術または核酸増幅技術(PCRなど)を使用して行われる。これらの技術の場合、新鮮な細胞または凍結された細胞を使用することができ、そしてときには、(ホルマリン固定後などの)適切に保存されているより古いサンプルでさえ、ハイブリッド形成または増幅される核酸が依然として利用可能であり、かつ完全である限り使用することができる。しかし、この現代的な技術の場合でさえも、そのような悪性腫瘍に関連する染色体異常に対する迅速なスクリーニングにおけるこれらの診断技術の適用を妨げるいくつかの欠点が見出され得る。
【0015】
たとえば、サザンブロッティングは3週間〜4週間を要するが、これは非常に遅く、悪性腫瘍における治療的介入を可能にすることができず、そして10〜15kbの核酸が1回のプローブ分析あたり分析され得るにすぎない。
【0016】
PCRは、本質的には迅速かつ大量の診断試験に対して、またはそのようなスクリーニングに対してさえも十分に好適ではあるが、1回のPCR分析あたり0.1〜2kbにすぎない核酸(DNAまたはRNA)の分析を可能にするだけであり、これは、染色体の膨大な領域、および染色体内の中断点クラスター領域もしくは融合領域、またはそれらの遺伝子産物の迅速なスクリーニングを非常に妨げる。PCRのさらなる欠点は、ミスマッチしたプライマーに対するその固有的な感受性である。プライマーに対して相補的な遺伝子フラグメントの核酸配列に常に存在し得る小さい正常かつ生理学的な変化は、望む作用でPCRを操作することを不可能にし、そして誤った診断および偽陰性の結果をもたらすことがある。
【0017】
特に偽陰性の結果は、PCRに基づく診断試験を、非常に特異的ではあるが、信頼できる診断にとって不十分な感度にする。したがって、悪性腫瘍の信頼できる診断だけが予後の理解および適切な治療の設計に寄与し得ることは言うまでもないことである。
【0018】
蛍光ハイブリッド形成法技術(FISH)は、疑問の余地のない診断結果を得るために核酸配列を正確に一致させることに強く依存していないが、染色体DNAを検出するために用いられ得るだけであり、一般には染色体の遺伝子産物を検出するためには用いられない。一般に、FISHでは、悪性の細胞における再配列された染色体に位置する遺伝子または遺伝子フラグメントとハイブリッド形成する(しかしながら、ハイブリッド形成は、多くの場合にはストリンジェンシーを変化させながら行われる)、大部分が具体的に示されない大きい核酸プローブによるプローブ分析が用いられる。大きいプローブを使用することにより、FISH技術は非常に高感度になる。プローブが結合していることは、試験されたサンプルから得られた細胞集団の顕微鏡観察によって、(多くの場合には複数の)蛍光色素を有するプローブを続いて検出することによって検出される。
【0019】
しかし、現在使用されているFISHプロトコルでさえ、現在のFISHプロトコルで用いられる核酸プローブの選択に主に関連する固有の欠点をいくつか有しており、その結果、染色体異常の診断において偽陽性の結果をもたらすことが多く、このため、高感度ではあるが、非常に特異的とはいえない、少なくとも、大量または迅速な診断試験において標準的なFISH技術を用いるほどには特異的でないために、すなわち、自動化された試験またはスクリーニングに単独で組み入れるほどには特異的ではない診断試験といえる。偽陽性の結果は患者の面倒な再試験を余儀なくするか、または日常的なスクリーニングプロトコルを受けた疑わしくない受診者の面倒な再試験さえも余儀なくし、そしてこれらの人々に大きな不安を与え得る。
【0020】
染色体異常から生じる融合タンパク質の免疫学的検出が広く試みられているが、そのような検出はこれまで成功していない。この不成功は、より低いレベルではあるが、身体によって正常な場合にも産生される非融合タンパク質の免疫学的検出とは反対に、腫瘍特異的タンパク質とだけ反応し得る免疫学的試薬を見出すことが困難であるという事実によって主に生じている(たとえば、Nagasaki他、J. Imm. Methods、162、235〜245、1993を参照)。通常、そのような抗体は正常な細胞タンパク質と交差反応する。特異的融合タンパク質が知られているときにだけ、融合点エピトープに選択的に結合させることによって、腫瘍特異的タンパク質とだけ反応する特異的な免疫学的試薬を選択することが可能であると考えられる。しかし、融合タンパク質の変化は非常に大きいので、特異的な免疫学的検出は少数の場合に機能するだけであり、多くの場合には単に患者毎に基づくだけである。
【0021】
さらに、確認された診断試験は、特殊化され、かつ十分に設備が整った実験室、および訓練され、かつ非常に熟練した人が必要であるという大きい固有的な欠点を有している。さらに、これらの試験は、悪性腫瘍が疑われる場合に使用されるだけであり、染色体異常の存在に関するリスク集団の大規模なスクリーニングには適していない。大規模かつ予防的なスクリーニングは悪性腫瘍を早期に検出することができ、その後、多くの場合には命に関わる悪性腫瘍の経過をその発生の初期段階で妨げることができる。近年、注目の的が、国際特許出願PCT/NL98/00289から知られるように、染色体異常に由来する腫瘍特異的遺伝子産物に対する少なくとも2つの異なるプローブを使用して腫瘍特異的遺伝子産物だけを検出することにより生物学的サンプルにおける染色体異常を検出する方法に移っている。
【0022】
(発明の開示)
今回、本発明は、染色体異常に対する、血液サンプル、血清サンプル、細胞サンプル、組織サンプル、骨髄、生検物などの生物学的サンプルの診断試験において使用される方法を提供する。本発明は、高い感度ならびに大きい特異性の両方が要求される診断試験において使用される方法を提供する。本発明は、通常の技術者によって日常的な研究室において場合により行うことができる方法を提供する。
本発明は、広範囲の癌タイプに関連する染色体異常を検出する方法を提供するということを特徴とする。たとえば、本発明は、白血病に関連する染色体異常を検出するための方法を提供する。
【0023】
本発明は、様々なタイプの染色体異常の腫瘍特異的遺伝子産物を検出するための方法を提供する。たとえば、本発明は、染色体の欠失または反転または転座において見出される融合した遺伝子に対応する遺伝子産物を検出するための方法を提供する。本発明の一例として、白血病において見出されるフィラデルフィア染色体異常を検出する方法が提供される。
【0024】
本発明は、腫瘍特異的mRNAならびに腫瘍特異的タンパク質などの腫瘍特異的遺伝子産物を検出する方法を提供する。本発明によって使用されるプローブは、場合により、遺伝子産物の性質に応じて調節されるので、mRNAの検出が、遺伝子産物上の異なる部位とそれぞれが反応し得る少なくとも2つの異なる核酸プローブを使用することによって提供される。腫瘍特異的タンパク質の検出が、遺伝子産物上の異なる部位とそれぞれが反応し得る少なくとも2つの異なる結合タンパク質をプローブとして使用することによって提供される。結合タンパク質として、広範囲のタンパク質がこの分野では知られており、たとえば、受容体分子、ポリクローナルまたはモノクローナルの(合成された)抗体、ファージディスプレー技術により得られる結合ペプチドまたは「ファージ」抗体などがある。
【0025】
具体的には、本発明は、融合した遺伝子に由来する遺伝子産物(mRNAまたはその由来するタンパク質であっても)が、少なくとも2つの結合タンパク質またはプローブによるフローサイトメトリー検出によって検出される方法を提供する。この場合、少なくとも1つのプローブが、腫瘍特異的タンパク質のアミノ末端フラグメントに対応するタンパク質フラグメントまたはmRNAフラグメントに指向し、少なくとも1つの他のプローブが、腫瘍特異的タンパク質のカルボキシ末端フラグメントに対応するタンパク質フラグメントまたはmRNAフラグメントに指向し、そして、前記のフラグメントはそれぞれが、腫瘍非特異的タンパク質またはmRNAに対応する。抗体または核酸プローブを使用することによって、本発明は、免疫学的に、または核酸検出に基づいて、染色体異常を検出するための方法を提供する。たとえば、本発明は、融合した遺伝子に由来するmRNAが少なくとも2つの核酸プローブによって検出される方法を提供する。この場合、少なくとも1つのプローブが、腫瘍特異的mRNAの5’部位を含むmRNAフラグメントに指向し、少なくとも1つの他のプローブが、腫瘍特異的mRNAの3’部位を含むmRNAフラグメントに指向し、そして、前記フラグメントはそれぞれが、腫瘍非特異的mRNAに対応する。
【0026】
さらに、本発明は、融合した遺伝子に由来するタンパク質が少なくとも2つの結合タンパク質によって検出される方法を提供する。この場合、少なくとも1つの結合タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質のアミノ末端フラグメントを含むタンパク質フラグメントに指向し、少なくとも1つの他の結合タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質のカルボキシ末端フラグメントを含むタンパク質フラグメントに指向し、そして、前記フラグメントはそれぞれが、腫瘍非特異的タンパク質に対応する。一例として、本発明は、腫瘍特異的遺伝子産物を検出する方法を提供するが、この場合、遺伝子産物のアミノ末端タンパク質フラグメントがABLタンパク質またはBCRタンパク質に対応し、これに対して、カルボキシ末端タンパク質フラグメントが、それぞれ、BCRタンパク質またはABLタンパク質に対応する。この例の場合、より詳しく記載される本明細書中の実験の部において示されるように、7C6、ER-FP1、Yae、8E9、G98-271.1.3の各抗体について認められるような類似する抗原特異性を有するプローブが使用される。具体的には、本発明は、融合した遺伝子に由来するタンパク質が、少なくとも2つの結合タンパク質によるフローサイトメトリー検出によって検出される方法を提供する。この場合、少なくとも1つの結合タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質のアミノ末端フラグメントを含むタンパク質フラグメントに指向し、少なくとも1つの他の結合タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質のカルボキシ末端フラグメントを含むタンパク質フラグメントに指向し、そして前記フラグメントはそれぞれが、腫瘍特異的タンパク質に対応する。一例として、本明細書中に記載されるビーズ型サンドイッチ抗体技術により、好ましくは1回のチューブアッセイにおける種々のタイプの融合タンパク質またはそれに関連するmRNAの容易かつ迅速なフローサイトメトリー検出が、種々の融合タンパク質またはmRNAの一部分に対する種々のビーズ結合の捕捉抗体または捕捉プローブを使用し、そして融合タンパク質のそれ以外の部分に対する関連の対応する検出抗体または検出プローブを使用することによって可能になる。
【0027】
有効性のためには、種々の融合遺伝子タンパク質の存在を1つのチューブにおいて同時に調べることが好ましい。このような選択は、特定の悪性腫瘍が2つ以上の融合遺伝子タンパク質を有するからではなく、1つの疾患カテゴリーに含まれるいくつかの十分に明らかにされている融合遺伝子タンパク質を検出するために1個の試験チューブを使用することが好都合であるからである。ビーズの種々のフローサイトメトリー特徴(たとえば、サイズ、蛍光色素の色、蛍光色素染色の強度または側方散乱特性)に基づいて、複数の融合タンパク質を同じアッセイで特異的に検出することができる。これにはまた、同じ標的遺伝子の様々な変化した転座に由来する融合タンパク質の検出、ならびに変化した中断点を有する点差に由来する融合タンパク質の検出が含まれる。当然のことではあるが、本明細書中に記載されるフローサイトメトリー検出方法はまた、核酸性の融合遺伝子産物にも適用することができる。この場合、種々の核酸プローブが、本明細書中に記載されるように、種々のビーズまたは蛍光色素で標識される。
【0028】
本発明は、ビオチン、ジゴキシゲニン、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)などのレポーター分子、またはこの分野で知られている他のリポーター分子もしくはリポーター粒子(ビーズなど)で標識またはコンジュゲート化され得るプローブを使用する方法を提供する。本発明はさらに、本発明による方法を実施するために必要な手段のすべて、たとえば、(標識された)プローブまたは試薬または基質または説明書など、を含む診断用具一式を提供する。本発明によって提供される方法または診断用具一式は、患者における(残存する)癌の検出またはより大きい集団における全体としての癌スクリーニングにおいてであっても、好ましくは、特定の癌タイプとともに見出される染色体異常、たとえば、白血病とともに見出される染色体異常を検出するために使用される。
【0029】
(発明の詳細な説明)
実験の部
実験の部には、白血病の分野に関連する本発明がより詳細に記載されるが、実験の部は、本発明を限定するものとして決して理解され得ない。
【0030】
慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)において認められる相互転座t(9;22)(q34;q11)は、BCRおよびABLの2つの遺伝子の間における融合から生じる。BCR遺伝子内の中断点の局在性に依存して、種々の腫瘍特異的BCR-ABL遺伝子が生じる。これらのBCR-ABL遺伝子は腫瘍特異的BCR-ABLのmRNAおよび腫瘍特異的BCR-ABLのタンパク質にそれぞれ転写および翻訳される。したがって、種々の診断標的を利用することができ、そのそれぞれにより、t(9;22)(q34;q11)陽性の白血病の特異的診断が可能になる。
【0031】
従来の細胞遺伝学は特徴的な染色体異常(すなわち、フィラデルフィア染色:小さい第22染色体)の検出に頼る一方で、他の技術が、BCR-ABL融合遺伝子(たとえば、蛍光ハイブリッド形成法)またはBCR-ABL融合mRNA(たとえば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)を特異的に検出するために使用されている。上記の技術はすべて診断技術として十分に確立されているが、これらの技術はどれも日常的かつ短時間で容易に行うことができない。しかしながら、特にALLでは、フィラデルフィア(Ph)染色体の存在が予後不良と関連している。
【0032】
予後不良の結果を改善するために、Ph陽性のALLは、集中的な誘導療法または代替治療プロトコルを可能にする早期確認が必要である。
【0033】
腫瘍特異的融合タンパク質だけを検出することに基づく新しい診断技術が提示される。この技術は、迅速かつ簡便な様式での最初の診断においてPh陽性の白血病などの癌を同定するために設計されている。
Ph染色体は、腫瘍に関連していることが見出された最初の核型異常であった。
【0034】
今日まで、Ph染色体は、成人および小児の両方における様々な造血系障害(たとえば、CML、ALLおよびAML)において確認されている。
【0035】
Ph染色体は、第9染色体および第22染色体の長腕間の相互転座、すなわち、t(9;22)(q34;q11)によって生じ、第9染色体上のABL遺伝子および第22染色体上のBCR遺伝子を伴う。両方の遺伝子は中断および再配列され、その結果、腫瘍特異的BCR-ABL融合遺伝子が染色体22q-上にもたらされ、ABL-BCR融合遺伝子が染色体9+上にもたらされる。
【0036】
ABL-BCR融合遺伝子に関する報告は依然として限られているが、BCR-ABL融合遺伝子はこの20年間にわたって詳細に研究されている。中断点の染色体局在性に依存して、種々のタイプのBCR-ABL融合遺伝子が同定されている。BCR遺伝子内の中断点が2つの領域内、すなわち、b1〜b5と名付けられた5個のエキソンを含む大中断点クラスター領域(M-BCR)、およびBCR遺伝子内のM-BCRの5’側に位置する小中断点クラスター領域(m-BCR)、においてクラスター化していることが明らかにされている。対照的に、ABL遺伝子内の中断点は長い距離にわたって散らばっており、ほとんどがエキソンa2の5’側に存在する。Ph+のCML患者ならびにPh+のALL患者の両方において、M-BCR内の中断点は同じように分布している。すなわち、エキソンb2とエキソンb3との間に存在するか、またはエキソンb3とエキソンb4との間に存在する。しかし、Ph+のALLにおける中断点は、大部分(約70%)がm-BCR内に見出され、エキソンe1とエキソンe2との間のイントロン内に局在化している。
【0037】
中断点が長い距離にわたって(特にABL遺伝子内に)散らばっているので、種々の融合点イントロンが様々なBCR-ABL遺伝子内に生じている。これらの融合点イントロンは、BCR-ABL遺伝子の融合点イントロンの長さおよびヌクレオチド配列を検討したとき、Ph+の患者間では非常に変化しているが、様々なBCR-ABL転写物の融合点は非常に一致している。したがって、最初のBCR-ABL遺伝子再配列に依存して、単一種類のBCR-ABLのmRNAが通常検出される。すなわち、e1a2接合部を含む7kbのmRNAから、b2a2接合部またはb3a2接合部のいずれかを含む8.5のBCR-ABLのmRNAにまで及ぶ単一種類のBCR-ABLのmRNAが検出される。
【0038】
BCR-ABLのmRNAの翻訳読み枠は維持されているので、Ph+の白血病細胞は特徴的なBCR-ABLタンパク質を発現する。
【0039】
1 Ph染色体は、CML症例ではほとんど変化することなく存在する一方で、Ph染色体は、AMLまたはALLに罹患している患者に由来する白血病細胞において検出されることはあまり多くない。それでも、AML症例の5%、ALL成人の25%〜30%、およびALL小児の3%〜5%がPh+であると診断される。Ph+の白血病における治療不成功および死亡率の割合が成人および小児の両方では大きいことによって反映されるので、Ph染色体は、治療不成功を考慮する重要なリスク因子として証明されている。
【0040】
2 Ph染色体などのリスク因子を同定することの重要性は明らかである。現在の治療プロトコルは、疾患の早期におけるt(9;22)(q11;q34)の同定によって改善され得る。現在、Ph+の白血病は多数の技術によって確認されているが、それらはどれも、異常な染色体、遺伝子、mRNAまたは異常なタンパク質を検出している。しかしながら、これらの技術はそれぞれ、t(9;22)(q34;q11)陽性の白血病を特異的に診断しようとする前に考慮しなければならない典型的な特殊化および制限を特徴とする。
【0041】
3 本明細書には、比較的迅速かつ簡便な様式での最初の診断においてPh +の白血病とPh-の白血病とを区別するために開発されたアッセイが記載される。このアッセイの基礎となる原理は、BCR-ABL融合タンパク質に対応し、かつ元の非融合BCRタンパク質および非融合ABLタンパク質の一部分に対応するフラグメントと特異的に反応し得る抗体によって腫瘍特異的タンパク質を検出することに基づく。
【0042】
4 材料および方法
5 細胞サンプル
6 細胞株:下記6個のPh+細胞株を、セファロース−ウエスタンブロッティング法ならびにBCR-ABLディップスティックアッセイの両方の特異性を調べるために使用した。すなわち、LAMA-84およびK562、KCL-22およびBV-173、ならびにTOM-1およびALL/MIKの6個。すべての細胞株は、10%ウシ胎児血清が補充されたRPMI-1640において培養された。
【0043】
7 白血病細胞サンプル:診断を受けている白血病患者に由来する2つの白血病凍結保存末梢血サンプルを、BCR-ABLディップスティックアッセイの特異性を調べるために使用した。これらの患者の臨床的データおよび研究室データは以前に記載されている。一方の患者は、再配列されたb2a2のBCR-ABL遺伝子を有するPh陰性のCMLに罹患し、もう一方の患者は、再配列されたe1a2のBCR-ABL遺伝子を有するPh陽性の前駆体B-ALLに罹患していた。
【0044】
8 抗体
9 使用された抗体はすべて、下記のように分類された精製プロテインGであった。捕捉抗体:b2a2P210BCR-ABL、b3a2P210BCR-ABL、P160BCRおよびP130BCRに存在するb2エピトープに対するモノクローナル抗体(moAb)7C6(S. Dhut博士からの分与);e1a2P190BCR-ABLにおけるe1a2融合点に対するmoAb ER-FP1;様々なE2Aタンパク質のアミノ末端に対するmoAb Yae(Santa CruzBiotechn.、Santa Cruz、CA、米国)。検出抗体:e1a2P190BCR-ABL、b2a2P190BCR-ABL、b3a2P190BCR-ABLおよびP145ABLに存在するSH2ドメインに対するmoAb 8E9(J. Wang博士からの分与);そして様々なE2Aタンパク質のカルボキシル末端に対するmoAb G98-271.1.3(G. Bain博士からの分与)。moAb 8E9およびmoAb G98-271.1.3はともにビオチン化された。
【0045】
10 セファロース−ウエスタンブロッティング法
11 細胞を氷冷リン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)で2回洗浄し、そして40μlのフェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF:100mMの2−イソプロパノールでの溶液)が補充された氷冷溶解緩衝液(1%トリトンX−100、0.05%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、150mM NaCl、5mM EDTAを含む10mMリン酸ナトリウム、pH7.0)において1×107細胞/mlの濃度で15分間溶解した。溶解液をエッペンドルフ遠心分離器で遠心分離して、不溶物を除いた後(4℃で5分間)、上清を、107個の細胞を表す等容量に分けた。
【0046】
12 セファロース−ウエスタンブロッティングを、10μgのmoAb 7C6または2μgのmoAb ER-FP1のいずれかを溶解細胞の上清に加えることによって行った。抗原−抗体反応を4℃で回転装置において2時間行わせた。次に、GammaBind Gセファロースビーズ(Pharmacia Biotech AB、Uppsala、スェーデン)の80%(v/v)懸濁物の40μlを加えた。30分後、ビーズを集め、SDSを含まない溶解緩衝液で3回洗浄した。ビーズを60μlのサンプル緩衝液(60mM TRIS-HCl(pH6.8)、10%グリセロール、10mM EDTA、2%SDS、2%b−メルカプトエタノールおよび0.03%ブロモフェノールブルー)において5分間煮沸した。タンパク質サンプルを6%SDS-PAGEに供し、ニトロセルロース(0.45μmの細孔サイズ;Schleicher&Schuell、Dassel、ドイツ)に転写した(Mini Protean;BioRad、Richmond、CA、米国)。ニトロセルロースシートを、0.05%ツイーン−20が補充されたPBSにおける5%脱脂乾燥粉乳(Protifar、Nutricis、オランダ)(5%MPBS)でブロッキングした。
【0047】
13 次に、シートを、1%MPBSにおけるビオチン化moAb 8E9(2μg/ml)の存在下、室温で2時間インキュベーションした。0.05%ツイーン−20が補充されたPBSで3回洗浄した後、ストレプアビジンにコンジュゲート化されたアルカリホスファターゼ(South. Biotech. Ass.、Birmingham、AL、米国)を1:1500の希釈度に加え、インキュベーションを1時間行った。ブロットを、0.05%ツイーン−20が補充されたPBSで2回洗浄し、最後に、0.15Mベロナール酢酸塩緩衝液(pH9.6)で洗浄した。抗体−抗原複合体を可視化するために、本発明者らは、アルカリホスファターゼ基質のニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロモ−4−クロロインドキシルホスファート(NBT/BCIP;Sigma、St. Louis、MO、米国)を、以前に記載されるように使用した。
【0048】
14 BCR-ABLディップスティック法
15 それぞれの捕捉抗体を単一の小さいスポットとして(±2cm×0.5cmの)ニトロセルロース(0.45μmの細孔サイズ)ストリップに付け、空気乾燥した。それぞれのスポットには、2μgのmoAb 7C6または1μgのmoAb ER-FP1または1μgのmoAb Yaeのいずれかが含有された。次に、「ディップスティック」と呼ばれるこれらのニトロセルロースストリップを、0.05%ツイーン−20が補充されたPBSで洗浄し、続いて5%MPBSでブロッキングした(1時間、室温)。この時点で、ディップスティックは空気乾燥することができ、そしてさらなる使用まで4℃で気密容器において保存することができる。
【0049】
16 107個の細胞を表す細胞溶解液の上清(上記節の最初の段落において処理および記載される)をディップスティックに付けた。抗原−抗体複合体の形成を回転装置において4℃で一晩行わせた。次に、ディップスティックを、0.05%ツイーン−20が補充されたPBSで3回洗浄し、そして結合した抗原を、ディップスティックを1%MPBSに希釈されたビオチン化moAb 8E9(2μg/ml)およびビオチン化moAb G98.271.1.3(2μg/ml)の混合物とインキュベーションすることによって検出した。この時点から、ディップスティックは、セファロース−ウエスタンブロッティング法の材料および方法において記載されるようにさらに処理された。
【0050】
17 結果
18 腫瘍特異的BCR-ABL融合タンパク質だけが免疫学的方法によって認識され得るかどうかを明らかにするために、本発明者らはセファロース−ウエスタンブロッティング法を開発した。セファロース−ウエスタンブロッティング法は、捕捉抗体との免疫沈殿反応と、その後の検出抗体によるウエスタンブロッティング法との組合せである。
【0051】
19 7C6またはER-FP1のmoAbが捕捉抗体として使用され、これらは、それぞれ、LAMA-84細胞およびKCL-22細胞の細胞溶解物またはTOM-1細胞の細胞溶解物からタンパク質を沈殿させた。免疫ブロッティングの後、沈殿タンパク質を、ビオチン化moAb 8E9を検出抗体として使用し、そしてストレプトアビジンコンジュゲート化アルカリホスファターゼを使用することによって検出した。7C6/8E9の抗体組合せを用いたこれらのセファロース−ウエスタンブロッティング実験は、ER-FP1/8E9の抗体組合せを使用するセファロース−ウエスタンブロッティング実験と同様に、BCR-ABLタンパク質だけを検出することができた。抗体ER-FP1の組合せにより、7C6/8E9の抗体組合せによって検出されないe1a2p190BCR-ABLタンパク質が検出される。しかしながら、7C6/8E9の組合せにより、b2a2P210BCR-ABLタンパク質およびb3a2P210BCR-ABLタンパク質が特異的に検出されるが、これらはともに、ER-FP1抗体によって認識されない。
【0052】
20 まとめると、本発明者らのセファロース−ウエスタンブロッティングデータにより、腫瘍特異的BCR-ABL融合タンパク質だけが抗体の適切な選択および混合によって同定されることが確認される。
【0053】
21 ディップスティックアッセイにおけるBCR-ABLタンパク質だけの認識
22 本発明者らは、次に、セファロース−ウエスタンブロッティング法が簡略化され得るかどうかを調べた。セファロース−ウエスタンブロッティング実験において使用されたのと同じ抗体組合せを使用することによって、代わりのBCR-ABL検出システム(これはBCR-ABLディップスティックと名付けられた)を、BCR-ABLタンパク質だけを同定するその能力について調べた。
【0054】
23 BCR-ABLディップスティックを、3つの異なる抗体が固定化されているニトロセルロースストリップから作製する。1)moAb 7C6、2)moAb ER-FP1、および3)moAb Yae。このBCR-ABLディップスティックがBCR-ABLタンパク質の特異性同定のために使用され得るかどうかを調べるために、BCR-ABLディップスティックを、1)LAMA-84細胞、2)KCL-22細胞、または3)TOM-1細胞から得られた細胞溶解物のいずれともとインキュベーションした。固定化された抗体によって捕捉された融合タンパク質を、ビオチン化moAb 8E9(8E9-bio、ABLタンパク質およびBCR-ABLタンパク質の両方のカルボキシル末端を認識する)およびビオチン化moAb G98-272.1.3(様々なE2Aタンパク質のカルボキシル末端を認識する)の混合物、およびその後、ストレプトアビジにンコンジュゲート化されたアルカリホスファターゼと、続いてインキュベーションすることによって検出した。
【0055】
24 BCR-ABLディップスティックをLAMA-84由来の細胞溶解物またはKCL-22由来の細胞溶解物のいずれかとインキュベーションすることにより、ビオチン化抗体(すなわち、8E9-bioおよびG98.271.1.3-bio)、そしてストレプトアビジン-APおよびその基質と連続してインキュベーションしたとき、moAb 7C6抗体のスポットのところに斑点が認められた。BCR-ABLディップスティックをTOM-1由来の細胞溶解物とインキュベーションすることにより、上記の分子との連続したインキュベーションを行ったとき、ER-FP1抗体のスポットのところに斑点が認められた。上記に記載されるセファロース−ウエスタンブロッティングデータを考慮すると、これらの斑点は、結合したBCR-ABLタンパク質を表す。
【0056】
25 まとめると、これらのデータにより、BCR-ABLディップスティックアッセイは、腫瘍特異的BCR-ABLタンパク質だけを検出するために適用できることが明らかにされる。
【0057】
26 現時点では、BCR-ABLディップスティックアッセイにより、細胞株から作製された細胞溶解物におけるBCR-ABLタンパク質が特異的に検出される。次に、本発明者らは、BCR-ABLディップスティックアッセイがBCR-ABL陽性の白血病の特異的診断のために適用され得るかどうかを調べた。
【0058】
27 BCR-ABL陽性の白血病と以前にそれぞれ診断された患者Aおよび患者Bに由来する2つの凍結保存されたフィコール濃縮血液サンプルを溶解し、そしてBCR-ABLディップスティックアッセイならびにセファロース−ウエスタンブロッティング法の両方によって調べた。患者Aおよび患者Bに由来する血液サンプルは、それぞれ、潜在性の再配列されたb3a2 BCR-ABL遺伝子を有するPh-のCML、および再配列されたe1a2 B CR-ABL遺伝子を有するPh+のALLを表す。両方のサンプルは、BCR-ABL融合タンパク質の存在について陽性と評価された。
【0059】
28 白血病細胞におけるPh染色体の存在は予後不良と関連する。特にALLでは、Ph染色体の存在により、危険な将来に直面する大きい患者群が特定されるので、Ph+の白血病をPh-の白血病と区別することが重要である。
【0060】
29 しかしながら、この不良な治療結果は、より積極的な誘導療法とともに早くから開始することによって改善することができる。したがって、高感度かつ信頼できる診断方法は、これによりPh染色体またはその産物が疾患の早期に同定される場合、ALLの診断においてきわめて重要である。現在、従来の細胞遺伝学的分析は、ALLにおける様々な染色体異常を同定するための優れた方法である。しかし、細胞遺伝学的分析によって得られる結果は、調べられる中期細胞の数に結果が大きく依存しているので、常に信頼できるものではない。ALL細胞遺伝学における特別な経験を有する機関だけがほとんどすべての患者において問題のない核型分析を達成している。その場合でさえ、潜在性のBCR-ABL再配列の一部が、従来の細胞遺伝学的分析による検出から見逃されている。
【0061】
30 従来の細胞遺伝学とは反対に、蛍光ハイブリッド形成法(FISH)技術は、中期細胞の手間のかかる分析による制限を受けない。異なる蛍光色素でそれぞれが標識された、BCR遺伝子およびABL遺伝子に対するプローブを適用することによって、Ph+の間期細胞を同定することができる。しかしながら、2つのハイブリッド形成シグナルが1つのスポットに局在化することに依存して、悪性でない正常な細胞における人工的な同時局在化が観測され得るので、その感度は限られている。
【0062】
31 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、現在、遺伝子異常を検出するための最も高感度な方法である。実際、分子分析により、核型決定によって認められない異常が検出されることが多い。しかし、中断点は腫瘍特異的融合点イントロンにおいて長い距離にわたって散らばっているので、PCR法は、BCR-ABLのメッセンジャーRNAを逆転写した後に適用可能であるにすぎない。非常に高感度ではあるが、厳密な事前処置が、偽陽性の結果(交差汚染のため)および偽陰性の結果(早すぎるmRNA分解のため)を防止するために必要である。
【0063】
32 本明細書において、本発明者らは、BCR-ABL融合タンパク質における2つの異なる抗原性部位を検出することに基づく新しい簡便かつ迅速な技術の開発を記載する。少なくとも2つの異なる抗体の組合せられた特異性により、24時間以内にBCR-ABLタンパク質だけを検出することが可能になる。
【0064】
33 抗体の適正な組合せによるBCR-ABLタンパク質だけの免疫学的検出に関する本発明者らの仮定は、それらが最初にセファロース−ウエスタンブロッティング実験において試験されたので正しいことが証明された。これらの実験により、b3a2 BCR-ABLタンパク質およびb2a2 BCR-ABLタンパク質が7C6/8E9-bioのmoAb組合せによって特異的に同定され、一方、e1a2 BCR-ABLタンパク質がER-FP1/8E9-bioのmoAb組合せによって特異的に同定されることが明らかにされる。
【0065】
34 本発明者らは、次に、セファロース−ウエスタンブロッティング法がさらにより簡便化され得るかどうかを調べた。得られたBCR-ABLディップスティック、すなわち、3つの異なる抗体が固定化されている小さいニトロセルロースストリップを、Ph+の種々の細胞株を使用することによって、特異性および感度の両方について調べた。特異性が、異なるタイプのBCR-ABLタンパク質をそれぞれが発現するPh+の細胞株を分析することによって確認された。これらの結果は矛盾しておらず、そしてまた、K562、BV173およびMIK-ALLなどの、Ph+の他の細胞株を試験したときにも観測された。これらの結果は、このアッセイが、最初の診断においてBCR-ABL陽性の白血病を検出するための代わりのスクリーニング方法として作用し得ることを示している。以前に報告された再配列BCR-ABL遺伝子を有する2つの白血病細胞サンプルのディップスティック分析は、BCR-ABL陽性の白血病の最初の診断が実際に実施可能であることを示した。さらに、その有り余る価値が、従来の細胞遺伝学を考慮したとき、患者Aの分析によって明らかにされる。この患者は、潜在性の再配置されたBCR-ABL遺伝子を有するPh陰性のCMLに罹患していたとしても、BCR-ABLタンパク質が、BCR-ABLディップスティックアッセイを使用したときに容易に同定された。
【0066】
35 さらなる実験
36 融合遺伝子タンパク質のフローサイトメトリー検出
37 背景
38 染色体異常は、悪性の細胞には頻繁に存在するが、遺伝子の変化した発現(たとえば、t(14;18)を伴うリンパ腫におけるBCL2タンパク質の過剰発現、この場合、BCL2遺伝子はIGHプロモーターに連結される)、または異常な融合遺伝子(たとえば、E2A遺伝子の一部がPBX1遺伝子の一部に連結されるt(1;19))を生じさせ得る。融合遺伝子は融合遺伝子の転写物の存在をもたらすことがあり、これは、続いて融合タンパク質に翻訳され得る(図1)。
【0067】
39 融合遺伝子を伴う染色体異常が数タイプの悪性腫瘍において存在する。たとえば、t(9;22)が、95%を越える慢性骨髄性白血病(CML)において、そして25%〜40%の成人前駆体B急性リンパ芽球白血病(ALL)において見出されており、これに対して、TEL-AML1融合遺伝子を伴うt(12;21)が約25%の小児前駆体B-ALLにおいて見出されている。これらの染色体異常の検出は、融合遺伝子を伴う特定の染色体異常が数タイプの癌ではPCR予後因子として使用され得るので、診断的に有意義である。たとえば、幼児白血病におけるt(4;11)の存在は不良な結果と関連する。さらに、染色体異常を、治療中および治療後の残存疾患のレベルをモニターするための標的として使用することができ、それにより治療の有効性に対する洞察を得ることができる。したがって、融合遺伝子を伴う染色体異常の検出は、適切な診断をおこなうために、そして分類のために、そして治療の有効性を評価するために有意義である。
【0068】
40 融合遺伝子を伴う染色体異常は、いくつかのレベルで、そしていくつかの技術によって、すなわち、DNAのレベルで(たとえば、FISHによって)、mRNAのレベルで(たとえば、RT-PCR分析によって)、そしてタンパク質のレベルで(たとえば、ELISAによって)検出することができる。融合遺伝子を伴う染色体異常がタンパク質のレベルで分析される場合、抗体サンドイッチ技術が使用される。この技術は、遺伝子Aによってコードされる融合タンパク質の一部分を認識する捕捉抗体と、遺伝子Bによってコードされる融合タンパク質の一部分を認識する検出抗体とに基づく(図1)。ほとんどの場合において、捕捉抗体は、メンブラン(たとえば、ディップスティックアッセイ)またはウエルプレート(たとえば、ELISA)などのキャリアに連結される。これらの方法は一般に迅速かつ効率的であるが、日常的な血液学研究室に組み入れることは困難である。これは、これらの技術および対応する装置がそのような研究室では可読的に利用することができないからである。しかし、フローサイトメトリーは血液学研究室において広く使用されており、したがって、染色体異常を検出するためのフローサイトメトリーアッセイが好まれる。本明細書において、本発明者らは、フローサイトメトリーのために適切な特徴を有するビーズに基づく検出方法を使用する、染色体異常を分析するためのアッセイを提案する。
【0069】
41 方法
42 提案された方法の原理は下記のとおりである。
【0070】
43 1.遺伝子Aによってコードされる融合遺伝子タンパク質の一部分を認識する捕捉抗体が、ビーズなどの粒子にカップリングされる。;
44 2.細胞溶解物(たとえば、白血病細胞または他の悪性の細胞から得られる)が抗体コーティングのビーズに加えられる;
45 3.ビーズを徹底的に洗浄した後、ビーズ混合物を、遺伝子Bによってコードされる融合遺伝子タンパク質の異なる一部分を認識する検出抗体とインキュベーションする;この抗体は、フローサイトメトリー検出のために好適である蛍光色素または任意の他の可視化方法とコンジュゲート化される;
46 4.徹底的な洗浄を行った後、ビーズをフローサイトメトリーによって分析する。
【0071】
47 有効性のためには、種々の融合遺伝子タンパク質の存在を1つのチューブにおいて同時に調べることは好都合である。これは、特定の悪性腫瘍が2つ以上の融合遺伝子タンパク質を有するからではなく、1つの疾患カテゴリー(たとえば、急性骨髄性白血病(ALL)または前駆体B-ALL)に含まれるいくつかの十分に明らかにされている融合遺伝子タンパク質(表1および図2)を検出するために1個の試験チューブを使用することが好都合であるからである。
【0072】
【表1】
【0073】
1 異なるタイプの融合タンパク質を識別するために、種々のビーズが使用される。これらのビーズは、サイズ、コンジュゲート化された蛍光色素、コンジュゲート化された蛍光色素の強度、または他のビーズ特性が異なってもよい(図2)。
【0074】
【表2】
【0075】
2 数タイプの悪性腫瘍において、同じ標的遺伝子が、異なる融合パートナーに対する融合を生じさせる種々の変化した転座に関与し得る(表2)。その結果、同じ標的遺伝子(たとえば、MLLまたはEWS)は、変化した転座のタイプに依存して種々の融合タンパク質をもたらす。これらの変化した融合タンパク質は、異なるように標識された検出抗体の使用によって1回のチューブアッセイで検出することができる。たとえば、乳児前駆体B-ALLにおけるMLL遺伝子を伴う変化した転座に由来する種々のタイプの融合タンパク質(表2)を、異なるようにコンジュゲート化されたAF4抗体およびAF9抗体およびENL抗体の使用によって検出することができる(図3)。
【0076】
【表3】
【0077】
2 最後に、いくつかの融合タンパク質が、t(9;22)、t(15;17)およびinv(16)の場合のように、中断点領域に依存して、変化した形態で存在し得る。たとえば、t(9;22)に関与するBCR遺伝子は、大中断点クラスター領域(M-bcr)、小中断点クラスター領域(m-bcr)およびミクロ中断点クラスター領域(m-bcr)の3つの中断点領域を有することが知られている(表3および図4)。中断点領域に依存して、数個のBCRエキソンが、種々のタイプのBCR-ABL融合タンパク質のコード領域に存在したり、または非存在であったりする場合がある。これらの3つの変化体BCR-ABL融合タンパク質を識別することが、1つの変化体形態に存在するが、それ以外の形態には存在しない種々のBCRドメインを認識する抗体によって可能である(表3および図4を参照のこと)。
【0078】
3 本明細書中に記載されるビーズ型サンドイッチ抗体技術により、種々の融合タンパク質の一部分に対する種々のビーズ結合の捕捉抗体と、融合タンパク質のそれ以外の部分に対する関連の対応する検出抗体とを使用することによって、1回のチューブアッセイにおける種々のタイプの融合タンパク質の容易かつ迅速なフローサイトメトリー検出が可能になる。ビーズの種々のフローサイトメトリー特性(たとえば、サイズ、蛍光色素の色、蛍光色素染色の強度、または側方散乱特性)に基づいて、複数の融合タンパク質を同じアッセイにおいて特異的に検出することができる(図2〜図4)。これにはまた、同じ標的遺伝子の様々な変化した転座に由来する融合タンパク質の検出(表2および図3)、ならびに変化した中断点を伴う転座に由来する融合タンパク質の検出(表3および図4)が含まれる。
【0079】
4 融合タンパク質を検出するための、本明細書中に示されるビーズ型フローサイトメトリー技術は、対応する融合タンパク質の発現を伴う融合遺伝子をもたらす染色体異常を有する任意の悪性腫瘍の細胞溶解物に対して適用することができる。
【0080】
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、悪性細胞の融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質を検出するためのビーズ型フローサイトメトリーアッセイの原理を示す。
【図2】図2は、悪性腫瘍における融合タンパク質の検出を示す。図2のA部は、AMLにおけるt(8;21)に由来するAML1-ETO融合タンパク質の検出を示す。種々の強度の蛍光色素フィコエリトリンで標識されたビーズを、たとえば、CBFB-MYH11融合タンパク質(inv(16))のCBFB部分、またはAML1-ETO融合タンパク質(t(8;21))のAML1部分、またはPML-RARA融合タンパク質(t(15;17))のPML部分に指向する異なる捕捉抗体でコーティングすることができる。ビーズは、その後、AML患者から得られた骨髄サンプルまたは血液サンプルの細胞溶解物とのインキュベーションを行い、洗浄し、そして示された融合遺伝子タンパク質のそれ以外の部分に指向するFITCコンジュゲート化検出抗体の混合物とのインキュベーションを行うことができる(表1を参照のこと)。洗浄後、ビーズはフローサイトメトリーによって分析することができる。A部に示されるように、1つのビーズ集団により、関連する検出抗体、たとえば、FITCコンジュゲート化ETO抗体、について陽性であることを示すことができ、これにより、AML1-ETO融合タンパク質の存在が示される。これは、試験された患者がt(8;21)陽性AMLを有したことを意味する。図2のB部は、A部の検出と同様な方法を使用する、t(1;19)を有する前駆体B-ALLに由来するE2A-PBX1融合タンパク質の検出を示す(融合タンパク質については表1を参照のこと)。
【図3】図3は、前駆体B-ALLの乳児におけるフローサイトメトリービーズアッセイによるMLL遺伝子再配列の検出を示す。白血病細胞はMLL-AF4またはMLL-AF9の融合タンパク質を含有しなかった(パネルAおよびB)が、パネルCには、t(11;19)に由来するMLL−ENL融合タンパク質に対して陽性であることが示される。
【図4】図4は、BCR-ABL融合タンパク質の種々の変化体が種々のBCR遺伝子中断点の使用によって生じることを示す(A部)。種々のBCRドメインに対する抗体の使用により、3つの変化体を検出することができる(図4のパネルB〜D)。この例における患者の白血病細胞はBCR-ABL融合タンパク質についてt(9;22)を有した(パネルB)。抗BCR(エキソン5〜19)とではなく、抗BCR(エキソン1〜13)との反応性に基づいて(パネルCおよびD)、BCR-ABL融合タンパク質は、M-BCR中断点を伴うt(9;22)に由来すると結論することができる(表3を参照のこと)。
Claims (13)
- 遺伝子産物に対する少なくとも2つの異なるプローブを使用する腫瘍特異的遺伝子産物のフローサイトメトリー検出によって生物学的サンプルにおける染色体異常を検出する方法。
- 染色体異常が白血病を生じさせ得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 染色体異常が転座であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 転座がフィラデルフィア染色体異常をもたらすことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 腫瘍特異的遺伝子産物がタンパク質であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも1つのプローブがビーズで標識されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 少なくとも1つのプローブが蛍光色素で標識されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 腫瘍特異的タンパク質が、異なる腫瘍非特異的タンパク質にそれぞれが対応しているアミノ末端タンパク質フラグメントおよびカルボキシ末端フラグメントを含むことを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも1つのプローブがアミノ末端タンパク質フラグメントと特異的に反応することができ、そして少なくとも1つのプローブがカルボキシ末端タンパク質フラグメントと特異的に反応することができることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- アミノ末端タンパク質フラグメントがABLタンパク質またはBCRタンパク質に対応し、これに対して、カルボキシ末端タンパク質フラグメントが、それぞれ、BCRタンパク質またはABLタンパク質に対応することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- 少なくとも1つのプローブが、7C6、ER-FP1、Yae、8E9、G98-271.1.3の各抗体、および類似する抗原特異性を有する抗体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載される方法を実施するための手段を含むことを特徴とする診断用キット。
- 癌の検出またはスクリーニングにおける、請求項1〜11のいずれかに記載される方法または請求項12に記載される診断用キットの使用。
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