JP2004523433A - 拭き布分配用容器 - Google Patents

Abstract

本出願は、例えば縦に積み重ねることができる拭き布などの基材を分配するための容器に関する。その容器は、相対向する上部側面と底部側面、相対向する後側面と前側面、及び相対向する左側面と右側面を有する。前壁と底部壁の間の角度は、９０°より大きいが１８０°より小さい。その容器はまた、上部壁内若しくは前壁内、又は上部壁と前壁の間の交線上に配置された分配開口部を有する。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、ユーザーが個別にそれぞれの拭き布又は類似基材の位置を見つけ、掴んで、取り出すことができる拭き布又はシート状基材の分配用容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
湿り、半湿り、又は乾燥状態の清掃用拭き布が当技術分野で知られている。同様に、タオル、スポンジ、パッド、ナプキン、おむつなどの他の類似のシート状基材も、当技術分野で既知である。そのような品目は、多くの異なる方法で包装されている。例えば、清掃用拭き布、ティッシュ、ナプキンなどは、ある時には取外し式又はヒンジ式の蓋がついた標準型の箱に包装されていることが多い。しかしながら、そのような包装では、最も上の基材の位置を見つける、掴む、又は取り出すことに問題が生じる。従来技術では、基材を水平に積み重ねて各基材を前後の基材と交互に折り込むことにより、この問題に対応してきた。基材をこの方法で積み重ねることによりユーザーが基材を取り出すと、次の基材が「ポップアップ」して次回に容易に掴むことができる。しかしながらこの「ポップアップ」分配システムは、基材が十分に可撓性であって交互折り込みが可能な時のみ、うまく使用することができる。
【０００３】
代替分配システムとしては、基材を縦に連続的に積み重ねる、すなわち基材を面にではなく端部に積むものがある。しかしながら、このシステムは可撓性がより少ない基材には対応できるが、両側の基材をも取り除かずに次の基材の端部を見つけて掴んで取り出すのが難しいことに出願人らは気付いた。したがって、ユーザーは両方の手を使い、片手で所望の基材を取り出して、他方の手で残りの基材を押さえなければならない。これは、例えば他方の手が別の仕事に必要な場合、又は濡れている場合などには、不便なことが多い。基材が皿洗い拭き布、例えば同時係属中のＥＰ−Ａ００８７０２８１．３（事件記録簿番号ＣＭ２４７９Ｆ）に記載されるもののような状況では、保管された拭き布が使用前に水で汚染されると、その機能に悪影響を及ぼすことになる。このような皿洗い拭き布は、通常流しの近傍、すなわち水の近くに保管される。したがって保管された拭き布は、保管中、水の汚染から保護されるのが好ましい。
【０００４】
したがって、ユーザーが両方の手を使用する必要なく拭き布を１枚ずつ分配する容器を提供することが、本発明の目的である。容易な分配を提供することに加えて、残りの基材の保護、特に水の汚染からの保護も行う基材分配容器を提供することも又本発明の目的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明によって、相対向する上部側壁１と底部側壁２、相対向する前側壁３と後側壁４、相対向する左側壁５と右側壁６、及び分配開口部１０を有する容器であって、前側壁３と底部側壁２の間の角度が９０°より大きいが１８０°より小さく、分配開口部１０が上部側壁１内若しくは前側壁３内、又は上部側壁１と前側壁３の間の交線上に配置されることを特徴とする容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
ここで添付図を参考として本発明の説明に入るが、図面は限定することを意図するものではない。
【０００７】
図１及び２に示すように、本容器は、相対向する上部側壁１と底部側壁２、相対向する前側壁３と後側壁４、及び相対向する左側壁５と右側壁６を有する。以下で更に詳細に説明するように、容器の前壁３は、底部側壁２に対して９０°より大きいが１８０°より小さい角度で設定される。容器が直立位置にある時の容器の側面を参照して、本発明の容器を説明する。上部側面１は容器の上部にあり、前側面３はこちら側に見え、後側面４は隠れている。箱の底部側面２は、上部側壁１に正反対に向き合う側面であり、また容器が置かれた表面に接触する側面である。左側壁５は前側壁３の左側に配置された側壁であり、右側壁６は前側壁３の右側に配置された側壁である。それぞれの側面は、様々な形状を有することができるが、左右の側壁を除いて長方形又は正方形であるのが好ましい。本容器の全体的な比率は、異なる内容物体積に対応するために変化することができる。
【０００８】
本容器はいかなる適切な材料からでも作製することができる。本容器は、好ましくは厚紙、より好ましくは平らな厚紙又はダンボール紙で作ることができる。特に好ましい実施形態では、本容器はプラスチックで作製される。本容器は、全体を厚紙又はプラスチックで作製することができるが、幾つかの材料を組み合わせて用いることもできる。本発明の好ましい態様では、容器は防湿材料で作製される。そのような防湿材料は、耐水滴性である又は耐水滴性にできる材料、及び大気中の水分の移動を防ぐ又は減少させる材料を包含する。より好ましくは、防湿材料は、水滴及び大気中の水分移動に対する耐性がある。容器及びその内容物と接触する水のレベルを減少させる又は防ぐことによって、容器強度に対する湿気の悪影響を低減し、内容物を湿りから保護するという２つの利点が得られる。したがって、容器が防湿厚紙で作製される場合、湿気保護バリアが厚紙に適用される。湿気保護バリアは、箱に適用される湿気保護コーティング、又は容器の周りを包むバリアフィルムとすることができ、それは容器を形成し、充填して閉じた後でも可能である。あるいは、湿気保護バリアは、製造中に厚紙をラミネートすることによって設けることができる。当技術分野で知られているようないかなる適切な湿気バリアも、適用することができる。湿気保護バリア材料の好ましい例は、紫外線ワニス、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリプロピレン（polyproylene）（ＰＰ）、又はシリコーン処理剤類及びこれらの組合せからなる群から選択される。更に好ましくは、以下で検討するように、防湿材料はプラスチックである。
【０００９】
好ましいプラスチックとして、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）及びポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）が挙げられる。使用するプラスチックは、本容器を形成するのに適するいかなる厚さをも有することができる。プラスチックの厚さは、容器が側面を折り曲げて形成される場合に、特に重要である。その場合には、プラスチックは、５０μｍ〜２ｍｍの間の厚さを有するのが好ましい。プラスチックは、より好ましくは１００μｍ〜１０００μｍ、最も好ましくは２００μｍ〜６００μｍの厚さを有する。
【００１０】
あるいは、本容器は、金属で、より好ましくは錆びない金属で作製されてもよい。しかしながら、このような実施形態はおそらく高価であるので、そのような容器は再使用可能であるのが又好ましい。
【００１１】
本出願において説明される容器は、対応するダイカットを使用して単一又は複数の片を切断し、形成される。ダイカットの形状によって、形成方法は変更することができる。第一の実施形態では、本容器は、相互に接着される別個の片から作製される。それらの片は、直接接着して最終容器形状に形成してもよいし、接着して単一片を形成し、次にそれを折り曲げて容器を形成してもよい。第二の、及び好ましい実施形態では、容器は単一の片として切断され、引き続いて折り曲げて最終容器形状に形成される。容器を単一片に切断することは、幾つかの片から製造するよりも簡単な方法である。それに加えて、費用及び廃棄物が減少する。
【００１２】
一旦折り曲げられた容器の側面は、その容器の形状を維持するために、いかなる既知の及び適した方法でも相互に取り付けることができる。その側面は、接着剤を使用して相互に取り付けることができる。接着剤は種々の方法で、例えば、冷接着剤はローラーを使用して、又はホットメルト接着剤はグルーガン、ノズル、又はパターンプレートを使用して、塗布することができる。あるいは、側面は、容器の側面を交互に配置することにより互いを固定するインターロック機構を使用して、相互に取り付けることができる。そのようなインターロック機構の例としてバタフライロックがあり、そこで容器の側面を形成し、材料の第一の層は通常プラスチックであって穴を有し、材料の第二の層は２つの半月型の切取り部分を有する。容器を形成する時には、第二の層を第一の層の上に折り曲げ、半月型の切取り部分を第一の層の穴に通して、第一及び第二の層を相互に固定する。
【００１３】
容器が折り曲げられて形成されると、容器は充填されなければならない。本発明の容器は、機械の使用又は手作業を包含する、当技術分野で既知の方法を使用して充填することができる。
【００１４】
容器上の側面は相互にいかなる角度であってもよいが、容器の前側壁３は、底部側壁２に対して９０°より大きいが１８０°より小さい角度である。残りの側面は、相互にほぼ９０°であるのが好ましい。したがって、上部壁１は底部壁２よりも長く、その結果、台形容器になると予想される。好ましい実施形態では、前側壁３と底部側壁２の間の角度は、９５°〜１６０°の間、より好ましくは９５°〜１３０°の間、最も好ましくは９５°〜１１５°の間である。
【００１５】
本容器は、上部側壁１内又は前側壁３内に配置することができる分配開口部１０を有する。分配開口部は、１つの側壁の全表面積を占めることはない。例えば、分配開口部は、容器の上部側面から取り去られる蓋では形成されない。そのような実施形態では、本容器の分配要求、すなわち一度に単一の基材を分配して、残りの基材を外部の条件、例えば水から保護するという要求を満たさない。あるいは、及びより好ましくは、分配開口部は上部側壁１と前側壁３の交線に配置することができる。分配開口部１０は、ユーザーが一度に１つの基材を取り出すのに適するいかなる形状であってもよい。好ましい実施形態では、分配開口部１０は図１に見られるような形状を有する。この好ましい分配開口部によって、ユーザーの指が基材に達して基材が容易に取り出されるのに十分な空間が可能になる。好ましい代替実施形態では、分配開口部１０は、図１に示すものに似た形状を有するが、前側壁上の開口部の縁部が前側壁と底部側壁の間の交線に向かって更に下向きに伸びる、追加の特徴を有する（図６の１０）。この好ましい分配開口部は、上述の利点に加えて、最後に残る幾つかの基材が容器内で前側に倒れるとより容易に基材に達することができるという、追加の利点を有する（図６参照）。
【００１６】
好ましい実施形態では、容器は、基材を容器から取り出すのを容易にする基材分配補助部を備える。前記基材分配補助部は、傾斜した底部壁を包含することができる。底部壁そのものが容器の前から後ろへ傾斜していてもよい。あるいは、底部壁は実質的に水平であるが、容器内側に容器の前から後ろへ傾斜する第二の仮底部壁を、容器が備えてもよい。いずれの場合でも、基材が傾斜表面上に積み重ねられると、傾斜表面を箱の前部へ向かって自然に滑り落ちる傾向があり、基材の最も上の縁は容器の分配開口部に向かって前方へ旋回する傾向がある。この実施形態では、傾斜表面がある場合、プラスチックで作製されるのが好ましい。
【００１７】
あるいは、又は上記に加えて、基材分配補助部はばね装置を包含することができる。ばねは、容器の内側表面に取り付けられ、基材を前方向に押すように設計される。好ましい態様では、底部傾斜表面及び／又はばねは、容器を作製するのに使用する材料と同一材料で作製される。より好ましくは、底部傾斜表面及び／又はばねは、容器を作製するのに使用する材料と同一材料の単一片で作製される。傾斜表面及び／又はばねを含む容器全体を切り出すことができる利点として、コスト低減、廃棄物減少、並びに切断及び形成方法の簡略化が挙げられる。図３ａ、ｂ、ｃ、及びｄ、並びに図４ａ、ｂ、ｃ、及びｄは、２つの好ましいばね装置の図による説明を示す。両方の例において、ばね（１５）は、容器の内側表面に一点だけで取り付けられた弾力性材料の長さで提供される。図３ａ〜ｄは、ばね（１５）が容器内側の底部後隅に取り付けられたばね装置を示す。ばねは、Ｚ形に折り曲げられた材料の長さを含む。図３ａは、容器が拭き布で充填された時に圧縮位置にあるばね（１５）を示す。図３ｂは、容器が拭き布で半分充填されている時のばね（１５）の位置を示し、この位置では、ばね（１５）は、容器の前部の拭き布を分配開口部に向けて前向きに押す。図３ｃは、幾つかの拭き布だけが容器内に残っている時のばね（１５）の位置を示す。この位置では、ばねの近位折れ部が完全に伸びている。ばねの遠位折れ部は部分的に圧縮されたままであり、したがって、ばねの遠位端が拭き布を押し、前向きに押し出す。図３ｄは容器内のばねの斜視図を示す。図４は、弾力性材料のばね（１５）が容器内側の上部後隅に取り付けられた代替ばね装置を示す。前述と同様に、図４ａは圧縮形態のばねを示し、図４ｂ及び４ｃは拭き布を前向きに押している部分圧縮形態のばねを示す。ばねはいかなる数の他の形状でもよいことが理解される。図４ｄは容器内のばねの斜視図を示す。
【００１８】
容器から分配される基材が複数回の使用をするように設計されている場合、使用の合間の基材を保管しておく場所を設けると便利である。一実施形態では、基材ホルダー（２０）が、容器の片側に設けられる。ホルダー（２０）は、基材を保持するのに適するいかなる形状又はデザインにもすることができる。ホルダーは、いかなる容器側壁の上にでも配置することができる。より好ましくは、ホルダー（２０）は、前、左、又は右側壁上に配置される。好ましい実施形態では、ホルダーは、好ましくは容器を作製するのに使用する材料と同一の材料の細長片からなる。材料の細長片は、容器の隣接する側壁の縁部に、どちらかの端部で固定される（図１又は２）。好ましい実施形態では、ホルダーは、必要な時に箱から引き出すことができ、その後もう必要でない時には押し戻して容器の側壁と面一にできるように設計される。
【００１９】
本発明の特に好ましい実施形態では、容器は基材を分配するために使用される。本明細書で使用する用語「基材」は、表面を拭くために使用される紙又は紙を基にした材料、織布又は不織布材料で作製される製品の一般的な種類を定義するために用いられる。基材の例として、例えば硬質表面清掃用又は皿洗い拭き布、ナプキン、及びおむつなどの、湿り、乾燥、又は半乾燥拭き布が挙げられる。基材はいかなる適切な形状にもすることができ、例えば長方形、正方形、楕円、又は円であってもよい。基材は、一般的に、２つの対向する面及び面の周辺を囲む縁部を有するものとして記述することができる。基材は、容器内に縦に、すなわち基材の両面が容器の前及び後側壁に面して、端部を下にして詰められる。容器に基材が十分に詰められると、基材への圧力が容器前部にある基材の最も上の縁部を扇形に広げる又は前向きに旋回させ、基材の縁部が突き出されてユーザーが容易に手にすることができる。基材が容器から取り出されると、基材が容器の前部に向かって旋回するか又は倒れてくる。あるいは、前述した傾斜底部側面の存在又はばね機構によって、基材を前に押すことができる。容器からの基材の分配を更に改善するためには、容器の底部側面（２）の長さ（図５、Ａ−Ａ）が基材３０の高さ（図５、Ｂ−Ｂ）より短いことが好ましい。容器の底部側面の「長さ」は、前側壁と後側壁の間の距離として測定する。基材の「高さ」は、縦に積み重ねた時に容器の底部側壁及び上部側壁に接触する基材の縁部間の距離として測定する。容器をこの方法で設計することによって、基材３０が容器の底表面上で平らになり、ユーザーが手にするのが難しくなる可能性を防ぐことができる（図６）。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本容器の前斜視図である。
【図２】本容器の後斜視図である。
【図３ａ】第一のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図３ｂ】第一のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図３ｃ】第一のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図３ｄ】図３ａ〜ｃの容器及びばねの斜視図である。
【図４ａ】第二のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図４ｂ】第二のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図４ｃ】第二のばねの実施形態を示す本容器の断面図である。
【図４ｄ】図４ａ〜ｃの容器及びばねの斜視図である。
【図５】縦に積み重ねた基材を含む本容器の断面図である。
【図６】単一の基材を含む本容器の斜視図である。

Claims (15)

1. 相対向する上部側壁（１）と底部側壁（２）、相対向する前側壁（３）と後側壁（４）及び相対向する左側壁（５）と右側壁（６）、並びに分配開口部（１０）を有する容器であって、前記前壁（３）と前記底部壁（２）の間の角度が９０°より大きいが１８０°より小さい角度であり、前記分配開口部（１０）が前記上部壁（１）内若しくは前記前壁（３）内、又は前記上部壁（１）と前記前壁（３）の間の交線上に配置されることを特徴とする容器。
2. 前記前側壁（３）と前記底部側壁（２）の間の角度が９５°〜１３０°の間である請求項１に記載の容器。
3. 前記前側壁（３）と前記底部側壁（２）の間の角度が９５°〜１１５°の間である請求項１又は２に記載の容器。
4. 単一片の材料を折り曲げることにより製造される請求項１〜３のいずれか一項に記載の容器。
5. 前記容器が作製される材料が、厚紙、防湿厚紙、プラスチック又はこれらの混合物から選択される請求項１〜４のいずれか一項に記載の容器。
6. 湿気保護バリアで処理された防湿厚紙で作製される請求項５に記載の容器。
7. プラスチックで作製される請求項１〜５のいずれか一項に記載の容器。
8. 傾斜した底部側面、傾斜した仮底部側面、ばね（１５）及びこれらの混合物から選択される基材分配補助部を備える請求項１〜７のいずれか一項に記載の容器。
9. 前記分配開口部（１０）が前記上部壁（１）と前記前壁（３）の間の前記交線上に配置される請求項１〜８のいずれか一項に記載の容器。
10. 前記分配開口部（１０）が、前記上部壁（１）と前記前壁（３）の間の前記交線上に配置され、前記前壁と前記底部壁の交線に向かって下向きに縦に延びる請求項９に記載の容器。
11. 縦に積まれた基材を含む請求項１〜１０のいずれか一項に記載の容器。
12. 前記容器の前記底部側面（２）の長さが前記基材の高さより短い請求項１１に記載の容器。
13. 基材ホルダー（２０）を備える請求項１〜１２のいずれか一項に記載の容器。
14. 前記ホルダー（２０）が前記容器の前記左側面（５）又は前記右側面（６）上に配置される請求項に記載の容器。
15. 皿洗い拭き布を分配するための請求項１〜１４のいずれか一項に記載の容器の使用。