JP2004522812A - 加熱による誘発に適した脱酸素性組成物 - Google Patents
加熱による誘発に適した脱酸素性組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004522812A JP2004522812A JP2002536395A JP2002536395A JP2004522812A JP 2004522812 A JP2004522812 A JP 2004522812A JP 2002536395 A JP2002536395 A JP 2002536395A JP 2002536395 A JP2002536395 A JP 2002536395A JP 2004522812 A JP2004522812 A JP 2004522812A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- composition
- group
- oxygen
- organic compound
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K15/00—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change
- C09K15/04—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change containing organic compounds
- C09K15/06—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change containing organic compounds containing oxygen
- C09K15/08—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change containing organic compounds containing oxygen containing a phenol or quinone moiety
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A23—FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
- A23L—FOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
- A23L3/00—Preservation of foods or foodstuffs, in general, e.g. pasteurising, sterilising, specially adapted for foods or foodstuffs
- A23L3/34—Preservation of foods or foodstuffs, in general, e.g. pasteurising, sterilising, specially adapted for foods or foodstuffs by treatment with chemicals
- A23L3/3409—Preservation of foods or foodstuffs, in general, e.g. pasteurising, sterilising, specially adapted for foods or foodstuffs by treatment with chemicals in the form of gases, e.g. fumigation; Compositions or apparatus therefor
- A23L3/3418—Preservation of foods or foodstuffs, in general, e.g. pasteurising, sterilising, specially adapted for foods or foodstuffs by treatment with chemicals in the form of gases, e.g. fumigation; Compositions or apparatus therefor in a controlled atmosphere, e.g. partial vacuum, comprising only CO2, N2, O2 or H2O
- A23L3/3427—Preservation of foods or foodstuffs, in general, e.g. pasteurising, sterilising, specially adapted for foods or foodstuffs by treatment with chemicals in the form of gases, e.g. fumigation; Compositions or apparatus therefor in a controlled atmosphere, e.g. partial vacuum, comprising only CO2, N2, O2 or H2O in which an absorbent is placed or used
- A23L3/3436—Oxygen absorbent
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K5/00—Use of organic ingredients
- C08K5/04—Oxygen-containing compounds
- C08K5/09—Carboxylic acids; Metal salts thereof; Anhydrides thereof
- C08K5/098—Metal salts of carboxylic acids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K15/00—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change
- C09K15/04—Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change containing organic compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08K—Use of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
- C08K2201/00—Specific properties of additives
- C08K2201/012—Additives improving oxygen scavenging properties
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/13—Hollow or container type article [e.g., tube, vase, etc.]
- Y10T428/1352—Polymer or resin containing [i.e., natural or synthetic]
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Nutrition Science (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Packages (AREA)
- Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
- Gas Separation By Absorption (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Thermotherapy And Cooling Therapy Devices (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Abstract
加熱による誘発に頼る、脱酸素を開始する方法を本明細書に開示する。被酸化性有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物は、脱酸素を開始するのに十分な程度まで加熱する。加熱による誘発は、脱酸素性組成物からフィルム又はパッケージ用物品を造る間に行われることがあるか、又は、その誘発は、そのフィルム又はパッケージ用物品を造ってしまった後に行われることがある。
Description
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は概して脱酸素性材料(oxygen scavenging material)の分野に関する。本発明は一層詳しく言えば、脱酸素性組成物を加熱することによって該脱酸素性組成物中で脱酸素を開始する方法に関する。
【0002】
(関連技術の記述)
酸素感受性製品を酸素に暴露するのを制限することによって、該製品の品質及び貯蔵寿命(shelf life; 保存性)が維持、向上することは周知である。例えば、パッケージ系において酸素感受性食品の酸素暴露を制限することによって、該食品の品質が維持されて、食品の損傷が回避される。加えて、そのようなパッケージによって、在庫中の製品が一層長い期間保持され、それによって、廃棄及び補充にかかるコストが低減する。食品パッケージ産業において、改良済み雰囲気パッケージ(modified atmosphere packaging)(MAP)、真空パッケージ及び酸素遮断フィルムパッケージを包含する、酸素暴露を制限するための幾つかの手段が既に開発されてきた。
【0003】
酸素暴露を制限するためのもう1つの手段には、パッケージ用構造体の中に脱酸素剤を組み入れることが包含される。パッケージの中に捕集剤(scavenger)を組み入れることによって、パッケージ全体に渡る均一な捕集効果(scavenging effect)が与えられ得る。加えて、そのように組み入れることによって、酸素がパッケージの壁を通過する時、酸素を遮断して捕集する手段[本明細書では、「活性酸素バリヤー(active oxygen barrier)」という]が与えられ、それによって、パッケージ全体に渡って可能な最小酸素レベルを保持することができる。
しかし、多くの場合、この系での脱酸素の発現は、何日間も又は何週間も生じないことがある。有用な脱酸素が発現する前の遅延期間は、以下、誘導期間(induction period)と呼ぶ。
【0004】
遅延期間をできる限り短くするための多くの研究が行われてきた。シュペール(Speer)等の米国特許第5,211,875号明細書、及びチン(Ching)等の米国特許第5,859,145号明細書は、放射線に暴露することにより脱酸素を開始することによって、誘導期間を最小化するための方法を開示する。両者とも、紫外線又は可視光線を包含する放射線に頼る方法であって、紫外線を包含する波長が好ましい該方法を教示する。そのような紫外線により開始する系は、非芳香族ポリマーを含有する脱酸素性組成物にとってとりわけ有用である。
【0005】
紫外線による誘発(triggering)によって、脱酸素が開始される時の制御が可能となるが、紫外線に頼って脱酸素を誘導するそのような方法の用途には、限界がある。第1に、脱酸素性組成物は、紫外線を透過しない物質を含有することがあり、従って、脱酸素を活性化する紫外線の能力が制限される。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリマーを含有する脱酸素性組成物は、紫外線開始方法を用いて誘発するのは困難である。なぜなら、これらポリマーは紫外線を吸収するからである。更に、紫外線に関連する幾何学的制約及び物理的制約のために、角張った予備形成済み脱酸素性パッケージ物品の均一な紫外線処理を達成することは困難である場合がある。そのような角張ったパッケージ物品の諸例はとりわけ、ゲーブルトップ(gable−top)カートン、平行六面体カートン、プラスチックボトル、及びガラスビンである。また更に、紫外線照射に頼る、脱酸素を開始する方法は大抵、光重合開始剤を含有する脱酸素性組成物と関連している。そのような光重合開始剤は通常、価格が比較的高い。更に、幾つかの光重合開始剤は実際、それら光重合開始剤を含有する組成物及び物品を設計する時に考慮されなければならない望ましくない諸特性を有する(例えば、黄変する)ことがある。
【0006】
脱酸素性組成物中に紫外線不透過性物質が存在しているかどうかに関係なく効率のよい該脱酸素性組成物で脱酸素を容易に開始する必要がある。芳香族ポリマーを含有する脱酸素性組成物を用いて効果的な脱酸素を開始する方法を得ることもまた望ましい。角張ったパッケージ用物品で脱酸素を均一に開始するための改善された方法は有用であろう。更に、脱酸素を効率的に開始するための光重合開始剤を必要としない脱酸素性組成物及びパッケージ用物品を得ることは有益であろう。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、脱酸素性組成物(oxygen scavenging composition)を加熱することに頼る、脱酸素を開始する諸方法に向けられている。
本発明の1つの面は、被酸化性有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物によって脱酸素を開始する方法に向けられている。該被酸化性有機化合物は、環状オレフィンの部分と一緒に重合体の主鎖を含有しており、また、脱酸素の開始は、脱酸素性組成物を加熱することによって達成される。重合体の主鎖はエチレン基を有する(ethylenic)のが好ましい。前記環状オレフィン部分が前記重合体主鎖の側鎖となっている(pendant)のも好ましい。とは言え、本発明の他の幾つかの態様において、被酸化性有機化合物の重合体主鎖は、環状有機部分の少なくとも1種の環状炭素(ring carbon)を含有することがある。
【0008】
脱酸素を開始するのに十分な程度まで前記脱酸素性組成物を加熱する工程は、脱酸素性組成物をパッケージ用物品又はフィルムに形成するプロセスの間に行うことができるか;又は、それは脱酸素性組成物をパッケージ用物品又はフィルムに形成してしまった後に行うことができる。
脱酸素性組成物は、被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒に加えて、酸化防止剤、助触媒、追加のポリマー、及び顔料から選ばれる材料を更に含有することがある。
【0009】
本発明の脱酸素を開始する方法を使用することによって、脱酸素の開始は、紫外線照射を使用しないで達成することができる。脱酸素性材料を熱源に当てる工程は、紫外線と同じタイプの物理的制約を受けず、しかも、紫外線によって容易には活性することのできない幾つかの脱酸素性組成物(即ち、芳香族ポリマー又は紫外線不透過性材料を含有する諸組成物)で脱酸素を開始するために、熱を使用することができる。例えば、紫外線不透過性物質を含有しているために紫外線暴露によってはうまく誘発することのできない幾つかの脱酸素性組成物は、加熱によって誘発することができる。更に、脱酸素性組成物が角張ったパッケージ用物品の一部分である場合、たとえ紫外線への暴露がそのような角張ったパッケージ用物品には困難であるとしても、加熱による開始方法は、脱酸素を開始するのにうまく使用することができる。加えて、本発明の方法は、光重合開始剤も紫外線への暴露も必要とせず、また、幾つかの態様において、加熱工程は、脱酸素性組成物からパッケージ用物品又はフィルムを形成するプロセスと組合せることができる;従って、本発明の方法は、紫外線で開始する方法に比べて安価でありうる。
【0010】
(説明に役立つ諸態様の記述)
本発明の1つの態様は、脱酸素を開始する方法において、被酸化性の有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物を与える工程であって、該被酸化性有機化合物が、重合体の主鎖と、少なくとも1種の環状オレフィン基とを含有する該工程;及び、脱酸素を開始するのに十分な程度まで、前記脱酸素性組成物を加熱する工程;を包含する上記脱酸素開始方法である。脱酸素を開始する結果となる加熱工程は、約60分以下の間行うのが好ましく、約0.5分〜60分の間行うのが一層好ましい。重合体の主鎖(backbone)は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド又はポリエチレン、又はそれら2種以上の組合せである場合がある。重合体の主鎖は、エチレン基を有するのが好ましい。環状オレフィン基は、重合体の主鎖の側鎖となっているのもまた好ましい。しかし、他の諸態様において、重合体の主鎖は、環状オレフィン基の少なくとも1つの環状炭素を含有することがあり、従って、環状オレフィン基は側鎖となっていない。側鎖となっていない環状オレフィン基を含有する幾つかの被酸化性有機化合物は、ジオールを無水物と重合させることによって生成することができ、環状オレフィン基は、ジオールか無水物のいずれか又は両方によって、ポリマーの中に導くことができる。
【0011】
被酸化性有機化合物であってその中の環状オレフィン部分が側鎖となっていない該被酸化性有機化合物を得るための合成概要は、図1に示す。この概要は、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール(10)を無水シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(11)と反応させることを包含する。結果として得られるポリマー(12)は、2個の異なる環状オレフィン基[一方は、重合体の主鎖(14)に属する、無水物と2つの環状炭素とによって導かれるもの、及び他方は、重合体の主鎖(13)に属する、ジオールと1つの環状炭素とによって導かれるもの]を有する。
この方法で使用される脱酸素性組成物は、幾つかの異なる形態で与えることができる。それら脱酸素性組成物は、ポリマーブレンド(polymer blends)若しくはプレフォーム(preform; 予備成形物)のような製造中間体として与えることができるか;又はもう1つの方法として、それら脱酸素性組成物は、完成品として与えることができる。完成品は、単層若しくは複層の形態;パッケージ用物品の一部であるフィルムの形態;又は、単層若しくは複層を有する、硬質(rigid)、半硬質(semi−rigid)若しくは柔軟性(flexible)のパッケージ用物品の形態;で与えることができる。もう1つの方法として、それら組成物は、脱酸素性のフィルム又はパッケージ用物品の、構成要素又は層として与えることができる。
【0012】
本発明の幾つかの態様において、脱酸素性組成物は、被酸化性有機化合物と遷移金属の触媒とから本質的に成る。脱酸素性組成物は、光重合開始剤を含有しないのが好ましい。とは言え、このことは、本発明の方法において、光重合開始剤を含有する脱酸素性組成物を使用することができないことを意味することを意図しない。従って、本発明の好ましい脱酸素性組成物は、脱酸素を開始するために、紫外線暴露を必要としない。他の好ましい諸態様において、脱酸素性組成物は、酸化防止剤、助触媒(co−catalyst)、追加のポリマー、及び顔料から選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有することがある。
【0013】
脱酸素性組成物からパッケージ用物品を形成するプロセスの間に加えられる熱は、加熱による誘発(heat triggering)を引き起こすのに十分である場合があり、又は、完成品に追加の熱を加えることができる。完成品を製造した後に加熱によって誘発することのできる完成品の諸例は、パッケージ用物品及びフィルムである。加熱による誘発のための熱源は、当該技術で知られているものから選ぶことができる。例えば、脱酸素性組成物の上に熱風を吹き飛ばすことができ、又は、赤外線を使用して脱酸素性組成物を加熱することができる。加熱による誘発は、窒素の下;又は、酸素濃度が空気中より低い低酸素雰囲気の中;で行うことができる。パッケージ用物品若しくはフィルムを形成する間、又は形成した後、脱酸素性組成物が加熱されるかどうかに関わらず、脱酸素性組成物は約75℃〜約300℃の温度に加熱するのが好ましい。フィルム若しくは物品の押出し又は同時押出しを行っている間に、加熱による誘発を行う場合、その温度は約170℃〜約280℃であるのが好ましい。被酸化性有機化合物と遷移金属触媒の混合物であって、混合工程の後に行われる処理までは誘発されない該混合物を得るためには、混合する温度と時間とを入念に制御しなければならないことに注目すべきである。加熱装置の温度と、加熱による誘発のために十分である暴露時間とは変化し、脱酸素性組成物;被酸化性有機化合物;遷移金属塩の存在及び量;脱酸素性組成物中の酸化防止剤及び他の添加剤;加熱装置の設計;パッケージ用物品の、熱源までの近接性;熱移動の特性(典型的には対流);並びに、当業者に容易に認められる他の諸パラメータ;によって決まる。
【0014】
本発明の脱酸素性組成物は、重合体の主鎖と少なくとも1つの環状オレフィン側基(pendant group)とを含有する被酸化性有機化合物を含有する。重合体の主鎖はエチレン基を有し、且つ、環状オレフィン側基は構造(I):
[式中、q1、q2、q3、q4、及びrは、水素、メチル、又はエチルから独立的に選び;mは−(CH2)n−(式中、nは0〜4の整数である)であり;且つ、rが水素である場合、q1、q2、q3、及びq4の少なくとも1つもまた水素である]を有するのが好ましい。1つの好ましい被酸化性有機化合物はエチレン−ビニルシクロヘキセンコポリマー(EVCH)である。被酸化性有機化合物は、重合体の主鎖に結合している結合基と環状オレフィン側基とを更に有し、しかも、前記結合基は、−O−(CHR)n−;−(C=O)−O−(CHR)n−;−NH−(CHR)n−;−O−(C=O)−(CHR)n−;−(C=O)−NH−(CHR)n−;又は−(C=O)−O−CHOH−CH2−O−(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルであり;且つ、nは1〜12の整数である)から選ぶ。好ましい諸被酸化性有機化合物であってそれら化合物の環状オレフィン側基とそれら化合物の主鎖との間に結合基を有する該被酸化性有機化合物は、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルのターポリマー(EMCM)、及びアクリル酸シクロヘキセニルメチル(CHAA)のホモポリマーである。
【0015】
脱酸素性組成物は、遷移金属の触媒を含有する。遷移金属触媒は、脱酸素の速度を速める。理論に縛られるべきではないが、有用な触媒には、少なくとも2つの酸化状態の間で相互に容易に転換し得るものが包含される。シェルドン(Sheldon),R.A.;コチ(Kochi),J.K.;「有機化合物の金属触媒による酸化(Metal−Catalyzed Oxidations of Organic Compounds)」,アカデミックプレス社(Academic Press),ニューヨーク(1981)を参照。
【0016】
その触媒は、周期表の第1、第2又は第3の遷移系列から選ばれる遷移金属の塩の形態であるのが好ましい。適切な諸金属及びそれらの酸化状態には、マンガンII又はIII、鉄II又はIII、コバルトII又はIII、ニッケルII又はIII、銅I又はII、ロジウムII、III又はIV、及びルテニウムが包含されるが、それらに限定されない。導入されるときの、金属の酸化状態は、必ずしも活性状態の酸化状態である必要はない。その金属は、好ましくは鉄、ニッケル、マンガン、コバルト又は銅であり;一層好ましくはマンガン又はコバルトであり;最も好ましくはコバルトである。その金属に対する適した対イオンには、塩化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ネオデカン酸塩、又はナフテン酸塩が包含されるが、それらに限定されない。脱酸素性組成物がパッケージ用物品の一部分であるとき、塩、遷移金属、及び対イオンは、米国食品医薬品局(the U.S. Food and Drug Administration) GRAS(一般に安全なものとして扱われる)のリストに存在するか、又は、脱酸素性組成物から生成物への移動を実質的に示さないこと[即ち、食事摂取(EDI)が50ppb未満]が好ましい。とりわけ好ましい塩には、オレイン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、及びネオデカン酸コバルトが包含される。金属塩はまた、ポリマー対イオンが使用されているイオノマー(ionomer)である場合もある。そのようなイオノマーは当該技術では周知である。
【0017】
典型的には、遷移金属触媒の量は、金属含有量のみ(配位子、対イオン等を除く)に基づき、被酸化性有機化合物の0.001〜1%(10〜10000ppm)の範囲でありうる。遷移金属触媒は、被酸化性有機化合物と直接に混合するのが好ましい。遷移金属触媒は、被酸化性有機化合物を含有する層(例えば、脱酸素性層)の1つの成分であるか、又は好ましくはないが、そのような脱酸素性層に隣接する層の1つの成分である場合がある。遷移金属触媒の量が1%未満である場合、被酸化性有機化合物、及びいずれかの追加のポリマー又は添加物は、脱酸素性組成物又は物品の実質的に全て(即ち、99%を超える)を含有することとなる。
【0018】
脱酸素の開始を制御するために、脱酸素性組成物と一緒に酸化防止剤を使用することができる。本明細書に規定する酸化防止剤は、ポリマーの橋かけ結合又は酸化的劣化を抑制する材料である。酸化防止剤は典型的には、諸高分子物質の処理を容易にするために、又はそれら高分子材料の有効寿命を引き延ばすために添加する。本発明に関連し、そのような添加剤は、脱酸素を誘発する熱の不存在下で脱酸素を行うための誘導期間(induction period)を引き延ばす。脱酸素性組成物によって脱酸素の開始を早めることが望ましい場合、その特定の組成物で脱酸素を誘発するのに適した熱を、その組成物に当てる。
【0019】
本発明に使用するためには、例えば、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、トリフェニルホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルチオジプロピオネート、ビタミンE、及びテトラ[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンのような酸化防止剤が適している。
酸化防止剤が存在する場合、酸化防止剤の量もまた脱酸素に影響を与えることがある。先に述べたように、そのような材料は通常、ポリマーの酸化又はゲル化を防止するために、被酸化性有機化合物又は追加のポリマーと一緒に存在する。それらは典型的には、被酸化性有機化合物の約0.005〜0.05重量%で存在する。しかし、誘導期間を特定の目的に合わせることが望ましい場合、酸化防止剤の追加の量を添加することもできる。
【0020】
本発明の脱酸素性組成物は、1種以上の追加のポリマーを含有することがある。そのような追加のポリマーは、熱可塑性の構造用ポリマーであって、脱酸素性組成物を、パッケージ用物品に使用するのに一層適切にさせる該構造用ポリマーである場合がある。適切な構造用ポリマーには、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、極超低密度(ultra−low density)ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、及びエチレンコポリマー[例えば、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アルキルアクリレート(メタクリレート)、エチレン−アクリル(メタクリル)酸、及びエチレン−アクリル(メタクリル)酸イオノマー]が包含されるが、それらに限定されない。飲料用容器等の硬質物品において、PETはしばしば使用される。異なる構造用ポリマーの混合物もまた使用することができる。しかし、構造用ポリマーの選定は概ね、製造すべき物品とそれの最終用途とによって決まる。そのような選定要因は当該技術では周知である。例えば、透明度、清浄度、脱酸素剤としての有効性、バリヤー性、機械的性質、又は物品のテキスチャー(texture)は、被酸化性有機化合物と不適合である(incompatible)構造用ポリマーを含有する混合物によって悪影響を受けることがある。
【0021】
脱酸素性組成物は、熱による誘発(heat triggering)を促進するために、少なくとも1種の助触媒を更に含有することがある。助触媒はアミン又はアミドでありうる。好ましい助触媒はとりわけ、少なくとも1種のアミン末端基を含有する低分子量ポリエーテル、ポリアミド、及びナイロンである。
【0022】
脱酸素性組成物は、フィルム又は[パッケージ用物品の成分(完全体又は不完全体)を包含する]パッケージ用物品の形態で与えられることがある。フィルムの形態で与えられる場合、フィルムは独立して存在することもあり、又は、パッケージ用物品の完全体又は不完全体であることもある。脱酸素性組成物を含有するのに適したパッケージ用物品は、柔軟性、硬質、半硬質、又はそれらのある組合せである場合がある。本発明において使用することのできる脱酸素性パッケージ用物品の諸例には、数ある容器の中でも、ゲーブルトップカートン、平行六面体カートン、トレイ(trays)、カップ(cups)、バッグ(bags)及びビン(bottles)が包含される。そのような容器を造るのに使用することのできる材料には、紙、カードボード、ファイバーボード、ガラス又はプラスチックが包含される。そのような容器は、数ある用途の中でも、ジュース用カートン、清涼飲料用容器、豆腐用容器、及びビールビンとして使用することができる。硬質のパッケージ用物品は典型的には、100〜1000μmの範囲の肉厚を有する。本発明で使用することのできる典型的な諸柔軟性パッケージには、とりわけ、肉、チーズ、生鮮パスタ、スナック食品、又はコーヒーのような食品群をパッケージするのに使用されるものが包含され、また、それら柔軟性パッケージは典型的には、5〜250μmの厚さを有する。更に、脱酸素性組成物は、不完全体の脱酸素性成分又はパッケージの層の状態で与えることができる。例えば、脱酸素性組成物はとりわけ、コーティング、ボトルのキャップライナー、接着性若しくは非接着性シートのインサート(insert)、ガスケット、シール材、又は繊維マットのインサートの形態である場合がある。脱酸素性成分はまた、単層又は複層から成る場合がある。脱酸素性組成物を含有するパッケージ用成分及び(柔軟性、硬質、半硬質、又はこれらの組合せの)パッケージ用物品は通常、貯蔵の間、酸素による損傷を抑制することが望ましいいずれの製品(例えば、食品、飲料、化粧品、医薬品、医療品、腐食性金属、又は電子デバイス)をもパッケージするのに使用することができる。
【0023】
上述のように、脱酸素性組成物は、単層又は複層を有する物品として与えることができる。脱酸素性層は、被酸化性有機化合物を含有する。パッケージ用物品又はフィルムが脱酸素性層を含有する場合、該パッケージ用物品又はフィルムは、1つ以上の追加の層を更に有することがあり、それら追加の層の1つ以上は、酸素バリヤー層[即ち、室温(約25℃)での1大気圧当り100cm3/m2(cc/m2)/日に等しいか又はそれ未満の酸素透過速度を有する層]を有することがある。典型的な酸素バリヤーは、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ(二塩化ビニリデン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向PET、シリカ、ホイル(foil)、ポリアミド、又はそれらの混合物を含有する。
【0024】
脱酸素性パッケージ用物品の他の追加の層は、酸素を透過することのできる1つ以上の層を有することがある。例えば、本発明の1つの態様のパッケージ用物品は、該パッケージ用物品の外側から出発して該パッケージ用物品の(中空の内部を形成する)最も内側の層の方へ、次の諸層:(i)構造用層、(ii)酸素バリヤー層、(iii)被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒を含有する脱酸素性層、並びに任意的に(iV)酸素透過性シール又は食品接触層、で構成されることがある。(ii)の酸素バリヤー特性を制御すれば、雰囲気から脱酸素性層(iii)までの酸素の進入を制限することによって、パッケージの脱酸素寿命を調整することができ、従って、大気中の酸素による脱酸素容量(oxygen scavenging capacity)の消費が遅くなる。層(iV)は、複層のパッケージ用物品の加熱密封性、透明性又はブロッキング抵抗を改善することができる。また、層(iV)の酸素透過性を制御すれば、脱酸素性成分(iii)の組成に関係なく、全構造体の脱酸素の速度を変えることができる。層(iV)によって、酸素をパッケージ内側の頭隙(headspace)から脱酸素性層(iii)まで通過させることができ、同時に、該脱酸素性層の諸成分、又は脱酸素の副生物がパッケージの内部に移動することに対するバリヤーとしての役割を果たす。
【0025】
更なる追加の層(例えば接着剤層)もまた、複層のパッケージ用物品又はフィルムの中に使用することができる。接着剤層のために典型的に使用される諸組成物には、無水物機能性ポリオレフィン、及び他の周知の接着剤層が包含される。
【0026】
本発明の脱酸素性層及び脱酸素性パッケージ用物品は、当該技術で知られている種々の多くの方法によって造ることができる。例えば、脱酸素性の層、フィルム及び物品を調製するために、それらの所望の諸成分は約150℃〜約300℃の温度で溶融混合することができる。脱酸素性組成物は、溶融混合した後、加熱による誘発を行うのが好ましく、また、このことは、当業者に知られている他の要因と一緒に、溶融混合の温度及び時間を選定するに注意を払うのが望ましい。ポリマーの混合物を調製するのに、溶融混合に代わる方法(例えば、溶剤を使用し、次いで蒸発させること)もまた使用することができる。混合工程は、完成品、フィルム若しくはプレフォームを形成する前に行うか、又は、パッケージ用完成品又はフィルムを製造するのに後で使用するための供給原料若しくはマスターバッチを形成する前に行うことができる。脱酸素性の層、フィルム、又はパッケージ用物品を製造するのに混合済み組成物を使用する場合、押出し(同時押出し)、溶液流延(solvent casting)、射出成形、延伸吹込み成形(stretch blow molding)、延伸、熱成形、押出しコーティング、コーティング及び硬化、積層、又はそれらの組合せは典型的には、混合工程の後に行う。加熱による誘発は、これらのプロセスの間、又はこれらのプロセスを行ってしまった後に使用することができ、更に、これらのプロセスの間に使用することのできる脱酸素性組成物及び諸装置の温度は、適切に調整することが望ましい。
【0027】
次の諸例は、本発明の好ましい諸態様を例示するために包含される。後続の諸例に開示される諸技術は、本発明を実施する際うまく機能するように本発明者によって発見された諸技術を表し、従って、本発明を実施するための好ましい諸態様を構成するものと見なすことができる、ということが当業者によって認識されるであろう。しかし、当業者が本開示を考慮すれば、開示されている特定の諸態様に多くの変形を行うことができ、更に、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似の結果が得られることを認識するであろう。
【0028】
例1 ポリ(エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセンメチル)[EMCM、シェブロン(Chevron)製]988.4重量部と、オレイン酸コバルト50重量%を含有するオレイン酸コバルトのトルエン溶液23.2重量部とを、250〜270℃で二軸スクリュー押出し機[ベルナー・アンド・プフライデラー(Werner & Pfleiderer) ZSK−30]で混合した。その混合物に、「Irgonox 1010」酸化防止剤150ppmをも添加した。その押出し機は、混合中にトルエンを除去するための2つの吸引孔を備えていた。生成物は、40〜50℃で4時間の間タンブル乾燥機で乾燥し、次いで、アルミニウムバッグで真空包装を行った。
【0029】
例2 市販のPET樹脂を170℃で4時間の間乾燥した。外側層として、PETを有する3層フィルム(厚さ4〜8ミル)と、コア層として、例1で造った熱による誘発が可能な脱酸素性ポリマー(OSP)(厚さ2〜4ミル)とを、ランドキャッスル(Randcastle)フィルム押出し機で造った。フィードブロック(feedblock)、ダイ(die)及び種々の帯域の温度は、270〜280℃に設定した。厚い3層フィルムは、冷却した後、100℃まで再加熱し、次いで、2.5〜3倍に二軸延伸を行った。そのフィルムは、室温で2〜3週間の間貯蔵し、次いで、「Mocon OX−TRAN2/20」によって、室温及び相対湿度20〜30%での酸素移動速度を求める試験を行った。その酸素移動試験によって、酸素はそのフィルムを全く透過しないことが分かった。対照として、上述の3層フィルムと同様のやり方で、OSPのコア層を用いないで調製した単層PETフィルムについて類似の試験を行った。この試験により、対照フィルムは15〜60ccO2/m2/日の酸素移動速度を有することが分かった。
【0030】
例3 純オレイン酸コバルト105.5重量部と、ポリ(エチレン/アクリル酸メチル)(EMAC、シェブロン製)894.5重量部とを、220〜260℃で二軸スクリュー押出し機(ベルナー・アンド・プフライデラー ZSK−30)で混合した。コバルトを含有するマスターバッチ生成物は、40〜50℃で4時間の間タンブル乾燥機で乾燥し、次いで、アルミニウムバッグで真空包装を行った。
【0031】
例4 市販のPET樹脂を170℃で4時間の間乾燥した。外側層として、PETを有する3層フィルム(厚さ4〜8ミル)と、熱による誘発が可能な脱酸素性ポリマーのコア層(厚さ2〜4ミル)とを、ランドキャッスルフィルム押出し機で造った。熱による誘発が可能なその層は、ポリ(エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセンメチル)[EMCM、シェブロン製]90重量部と、例3で造ったコバルトマスターバッチ10重量部とからの混合物を含有した。フィードブロック、ダイ及び種々の帯域の温度は、270〜280℃に設定した。厚い3層フィルムは、冷却した後、100℃まで再加熱し、次いで、2.5〜3倍に二軸延伸を行った。そのフィルムは、室温で2〜3週間の間貯蔵し、次いで、「Mocon OX−TRAN2/20」によって、室温及び相対湿度20〜30%での酸素移動速度を求める試験を行った。その酸素移動試験によって、酸素はそのフィルムを全く透過しないことが分かった。対照として、上述の3層フィルムと同様のやり方で、OSPのコア層を用いないで調製した単層PETフィルムについて類似の試験を行った。この試験により、対照フィルムは15〜60ccO2/m2/日の酸素移動速度を有することが分かった。
【0032】
本明細書に開示し請求する、諸組成物及び諸方法の全ては、本開示を考慮すれば過度の実験を行わないでも、製造し実施することができる。本発明の諸組成物及び諸方法は好ましい諸態様によって記述してきたが、それら組成物及び方法に対して;また、本明細書に記述する方法の諸工程において、又はそれら諸工程の手順において;本発明の概念、本質及び範囲から逸脱しないで、諸変形を加えることができることは当業者に容易に分かるであろう。一層具体的に言えば、両者とも化学的に関係のある幾つかの薬剤は、本明細書に記述する諸薬剤と置き換えることができ、同時に、同一又は類似の結果が達成されることが容易に分かるであろう。当業者に容易に理解されるそのような類似の諸代替物及び一部修正物は全て、特許請求の範囲に規定する発明の本質、範囲及び概念の中にあるものと見なす。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の幾つかの態様において使用することのできる被酸化性有機化合物を合成する概略図である。
(1.発明の分野)
本発明は概して脱酸素性材料(oxygen scavenging material)の分野に関する。本発明は一層詳しく言えば、脱酸素性組成物を加熱することによって該脱酸素性組成物中で脱酸素を開始する方法に関する。
【0002】
(関連技術の記述)
酸素感受性製品を酸素に暴露するのを制限することによって、該製品の品質及び貯蔵寿命(shelf life; 保存性)が維持、向上することは周知である。例えば、パッケージ系において酸素感受性食品の酸素暴露を制限することによって、該食品の品質が維持されて、食品の損傷が回避される。加えて、そのようなパッケージによって、在庫中の製品が一層長い期間保持され、それによって、廃棄及び補充にかかるコストが低減する。食品パッケージ産業において、改良済み雰囲気パッケージ(modified atmosphere packaging)(MAP)、真空パッケージ及び酸素遮断フィルムパッケージを包含する、酸素暴露を制限するための幾つかの手段が既に開発されてきた。
【0003】
酸素暴露を制限するためのもう1つの手段には、パッケージ用構造体の中に脱酸素剤を組み入れることが包含される。パッケージの中に捕集剤(scavenger)を組み入れることによって、パッケージ全体に渡る均一な捕集効果(scavenging effect)が与えられ得る。加えて、そのように組み入れることによって、酸素がパッケージの壁を通過する時、酸素を遮断して捕集する手段[本明細書では、「活性酸素バリヤー(active oxygen barrier)」という]が与えられ、それによって、パッケージ全体に渡って可能な最小酸素レベルを保持することができる。
しかし、多くの場合、この系での脱酸素の発現は、何日間も又は何週間も生じないことがある。有用な脱酸素が発現する前の遅延期間は、以下、誘導期間(induction period)と呼ぶ。
【0004】
遅延期間をできる限り短くするための多くの研究が行われてきた。シュペール(Speer)等の米国特許第5,211,875号明細書、及びチン(Ching)等の米国特許第5,859,145号明細書は、放射線に暴露することにより脱酸素を開始することによって、誘導期間を最小化するための方法を開示する。両者とも、紫外線又は可視光線を包含する放射線に頼る方法であって、紫外線を包含する波長が好ましい該方法を教示する。そのような紫外線により開始する系は、非芳香族ポリマーを含有する脱酸素性組成物にとってとりわけ有用である。
【0005】
紫外線による誘発(triggering)によって、脱酸素が開始される時の制御が可能となるが、紫外線に頼って脱酸素を誘導するそのような方法の用途には、限界がある。第1に、脱酸素性組成物は、紫外線を透過しない物質を含有することがあり、従って、脱酸素を活性化する紫外線の能力が制限される。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリマーを含有する脱酸素性組成物は、紫外線開始方法を用いて誘発するのは困難である。なぜなら、これらポリマーは紫外線を吸収するからである。更に、紫外線に関連する幾何学的制約及び物理的制約のために、角張った予備形成済み脱酸素性パッケージ物品の均一な紫外線処理を達成することは困難である場合がある。そのような角張ったパッケージ物品の諸例はとりわけ、ゲーブルトップ(gable−top)カートン、平行六面体カートン、プラスチックボトル、及びガラスビンである。また更に、紫外線照射に頼る、脱酸素を開始する方法は大抵、光重合開始剤を含有する脱酸素性組成物と関連している。そのような光重合開始剤は通常、価格が比較的高い。更に、幾つかの光重合開始剤は実際、それら光重合開始剤を含有する組成物及び物品を設計する時に考慮されなければならない望ましくない諸特性を有する(例えば、黄変する)ことがある。
【0006】
脱酸素性組成物中に紫外線不透過性物質が存在しているかどうかに関係なく効率のよい該脱酸素性組成物で脱酸素を容易に開始する必要がある。芳香族ポリマーを含有する脱酸素性組成物を用いて効果的な脱酸素を開始する方法を得ることもまた望ましい。角張ったパッケージ用物品で脱酸素を均一に開始するための改善された方法は有用であろう。更に、脱酸素を効率的に開始するための光重合開始剤を必要としない脱酸素性組成物及びパッケージ用物品を得ることは有益であろう。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、脱酸素性組成物(oxygen scavenging composition)を加熱することに頼る、脱酸素を開始する諸方法に向けられている。
本発明の1つの面は、被酸化性有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物によって脱酸素を開始する方法に向けられている。該被酸化性有機化合物は、環状オレフィンの部分と一緒に重合体の主鎖を含有しており、また、脱酸素の開始は、脱酸素性組成物を加熱することによって達成される。重合体の主鎖はエチレン基を有する(ethylenic)のが好ましい。前記環状オレフィン部分が前記重合体主鎖の側鎖となっている(pendant)のも好ましい。とは言え、本発明の他の幾つかの態様において、被酸化性有機化合物の重合体主鎖は、環状有機部分の少なくとも1種の環状炭素(ring carbon)を含有することがある。
【0008】
脱酸素を開始するのに十分な程度まで前記脱酸素性組成物を加熱する工程は、脱酸素性組成物をパッケージ用物品又はフィルムに形成するプロセスの間に行うことができるか;又は、それは脱酸素性組成物をパッケージ用物品又はフィルムに形成してしまった後に行うことができる。
脱酸素性組成物は、被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒に加えて、酸化防止剤、助触媒、追加のポリマー、及び顔料から選ばれる材料を更に含有することがある。
【0009】
本発明の脱酸素を開始する方法を使用することによって、脱酸素の開始は、紫外線照射を使用しないで達成することができる。脱酸素性材料を熱源に当てる工程は、紫外線と同じタイプの物理的制約を受けず、しかも、紫外線によって容易には活性することのできない幾つかの脱酸素性組成物(即ち、芳香族ポリマー又は紫外線不透過性材料を含有する諸組成物)で脱酸素を開始するために、熱を使用することができる。例えば、紫外線不透過性物質を含有しているために紫外線暴露によってはうまく誘発することのできない幾つかの脱酸素性組成物は、加熱によって誘発することができる。更に、脱酸素性組成物が角張ったパッケージ用物品の一部分である場合、たとえ紫外線への暴露がそのような角張ったパッケージ用物品には困難であるとしても、加熱による開始方法は、脱酸素を開始するのにうまく使用することができる。加えて、本発明の方法は、光重合開始剤も紫外線への暴露も必要とせず、また、幾つかの態様において、加熱工程は、脱酸素性組成物からパッケージ用物品又はフィルムを形成するプロセスと組合せることができる;従って、本発明の方法は、紫外線で開始する方法に比べて安価でありうる。
【0010】
(説明に役立つ諸態様の記述)
本発明の1つの態様は、脱酸素を開始する方法において、被酸化性の有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物を与える工程であって、該被酸化性有機化合物が、重合体の主鎖と、少なくとも1種の環状オレフィン基とを含有する該工程;及び、脱酸素を開始するのに十分な程度まで、前記脱酸素性組成物を加熱する工程;を包含する上記脱酸素開始方法である。脱酸素を開始する結果となる加熱工程は、約60分以下の間行うのが好ましく、約0.5分〜60分の間行うのが一層好ましい。重合体の主鎖(backbone)は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド又はポリエチレン、又はそれら2種以上の組合せである場合がある。重合体の主鎖は、エチレン基を有するのが好ましい。環状オレフィン基は、重合体の主鎖の側鎖となっているのもまた好ましい。しかし、他の諸態様において、重合体の主鎖は、環状オレフィン基の少なくとも1つの環状炭素を含有することがあり、従って、環状オレフィン基は側鎖となっていない。側鎖となっていない環状オレフィン基を含有する幾つかの被酸化性有機化合物は、ジオールを無水物と重合させることによって生成することができ、環状オレフィン基は、ジオールか無水物のいずれか又は両方によって、ポリマーの中に導くことができる。
【0011】
被酸化性有機化合物であってその中の環状オレフィン部分が側鎖となっていない該被酸化性有機化合物を得るための合成概要は、図1に示す。この概要は、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール(10)を無水シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(11)と反応させることを包含する。結果として得られるポリマー(12)は、2個の異なる環状オレフィン基[一方は、重合体の主鎖(14)に属する、無水物と2つの環状炭素とによって導かれるもの、及び他方は、重合体の主鎖(13)に属する、ジオールと1つの環状炭素とによって導かれるもの]を有する。
この方法で使用される脱酸素性組成物は、幾つかの異なる形態で与えることができる。それら脱酸素性組成物は、ポリマーブレンド(polymer blends)若しくはプレフォーム(preform; 予備成形物)のような製造中間体として与えることができるか;又はもう1つの方法として、それら脱酸素性組成物は、完成品として与えることができる。完成品は、単層若しくは複層の形態;パッケージ用物品の一部であるフィルムの形態;又は、単層若しくは複層を有する、硬質(rigid)、半硬質(semi−rigid)若しくは柔軟性(flexible)のパッケージ用物品の形態;で与えることができる。もう1つの方法として、それら組成物は、脱酸素性のフィルム又はパッケージ用物品の、構成要素又は層として与えることができる。
【0012】
本発明の幾つかの態様において、脱酸素性組成物は、被酸化性有機化合物と遷移金属の触媒とから本質的に成る。脱酸素性組成物は、光重合開始剤を含有しないのが好ましい。とは言え、このことは、本発明の方法において、光重合開始剤を含有する脱酸素性組成物を使用することができないことを意味することを意図しない。従って、本発明の好ましい脱酸素性組成物は、脱酸素を開始するために、紫外線暴露を必要としない。他の好ましい諸態様において、脱酸素性組成物は、酸化防止剤、助触媒(co−catalyst)、追加のポリマー、及び顔料から選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有することがある。
【0013】
脱酸素性組成物からパッケージ用物品を形成するプロセスの間に加えられる熱は、加熱による誘発(heat triggering)を引き起こすのに十分である場合があり、又は、完成品に追加の熱を加えることができる。完成品を製造した後に加熱によって誘発することのできる完成品の諸例は、パッケージ用物品及びフィルムである。加熱による誘発のための熱源は、当該技術で知られているものから選ぶことができる。例えば、脱酸素性組成物の上に熱風を吹き飛ばすことができ、又は、赤外線を使用して脱酸素性組成物を加熱することができる。加熱による誘発は、窒素の下;又は、酸素濃度が空気中より低い低酸素雰囲気の中;で行うことができる。パッケージ用物品若しくはフィルムを形成する間、又は形成した後、脱酸素性組成物が加熱されるかどうかに関わらず、脱酸素性組成物は約75℃〜約300℃の温度に加熱するのが好ましい。フィルム若しくは物品の押出し又は同時押出しを行っている間に、加熱による誘発を行う場合、その温度は約170℃〜約280℃であるのが好ましい。被酸化性有機化合物と遷移金属触媒の混合物であって、混合工程の後に行われる処理までは誘発されない該混合物を得るためには、混合する温度と時間とを入念に制御しなければならないことに注目すべきである。加熱装置の温度と、加熱による誘発のために十分である暴露時間とは変化し、脱酸素性組成物;被酸化性有機化合物;遷移金属塩の存在及び量;脱酸素性組成物中の酸化防止剤及び他の添加剤;加熱装置の設計;パッケージ用物品の、熱源までの近接性;熱移動の特性(典型的には対流);並びに、当業者に容易に認められる他の諸パラメータ;によって決まる。
【0014】
本発明の脱酸素性組成物は、重合体の主鎖と少なくとも1つの環状オレフィン側基(pendant group)とを含有する被酸化性有機化合物を含有する。重合体の主鎖はエチレン基を有し、且つ、環状オレフィン側基は構造(I):
[式中、q1、q2、q3、q4、及びrは、水素、メチル、又はエチルから独立的に選び;mは−(CH2)n−(式中、nは0〜4の整数である)であり;且つ、rが水素である場合、q1、q2、q3、及びq4の少なくとも1つもまた水素である]を有するのが好ましい。1つの好ましい被酸化性有機化合物はエチレン−ビニルシクロヘキセンコポリマー(EVCH)である。被酸化性有機化合物は、重合体の主鎖に結合している結合基と環状オレフィン側基とを更に有し、しかも、前記結合基は、−O−(CHR)n−;−(C=O)−O−(CHR)n−;−NH−(CHR)n−;−O−(C=O)−(CHR)n−;−(C=O)−NH−(CHR)n−;又は−(C=O)−O−CHOH−CH2−O−(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルであり;且つ、nは1〜12の整数である)から選ぶ。好ましい諸被酸化性有機化合物であってそれら化合物の環状オレフィン側基とそれら化合物の主鎖との間に結合基を有する該被酸化性有機化合物は、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルのターポリマー(EMCM)、及びアクリル酸シクロヘキセニルメチル(CHAA)のホモポリマーである。
【0015】
脱酸素性組成物は、遷移金属の触媒を含有する。遷移金属触媒は、脱酸素の速度を速める。理論に縛られるべきではないが、有用な触媒には、少なくとも2つの酸化状態の間で相互に容易に転換し得るものが包含される。シェルドン(Sheldon),R.A.;コチ(Kochi),J.K.;「有機化合物の金属触媒による酸化(Metal−Catalyzed Oxidations of Organic Compounds)」,アカデミックプレス社(Academic Press),ニューヨーク(1981)を参照。
【0016】
その触媒は、周期表の第1、第2又は第3の遷移系列から選ばれる遷移金属の塩の形態であるのが好ましい。適切な諸金属及びそれらの酸化状態には、マンガンII又はIII、鉄II又はIII、コバルトII又はIII、ニッケルII又はIII、銅I又はII、ロジウムII、III又はIV、及びルテニウムが包含されるが、それらに限定されない。導入されるときの、金属の酸化状態は、必ずしも活性状態の酸化状態である必要はない。その金属は、好ましくは鉄、ニッケル、マンガン、コバルト又は銅であり;一層好ましくはマンガン又はコバルトであり;最も好ましくはコバルトである。その金属に対する適した対イオンには、塩化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ネオデカン酸塩、又はナフテン酸塩が包含されるが、それらに限定されない。脱酸素性組成物がパッケージ用物品の一部分であるとき、塩、遷移金属、及び対イオンは、米国食品医薬品局(the U.S. Food and Drug Administration) GRAS(一般に安全なものとして扱われる)のリストに存在するか、又は、脱酸素性組成物から生成物への移動を実質的に示さないこと[即ち、食事摂取(EDI)が50ppb未満]が好ましい。とりわけ好ましい塩には、オレイン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、及びネオデカン酸コバルトが包含される。金属塩はまた、ポリマー対イオンが使用されているイオノマー(ionomer)である場合もある。そのようなイオノマーは当該技術では周知である。
【0017】
典型的には、遷移金属触媒の量は、金属含有量のみ(配位子、対イオン等を除く)に基づき、被酸化性有機化合物の0.001〜1%(10〜10000ppm)の範囲でありうる。遷移金属触媒は、被酸化性有機化合物と直接に混合するのが好ましい。遷移金属触媒は、被酸化性有機化合物を含有する層(例えば、脱酸素性層)の1つの成分であるか、又は好ましくはないが、そのような脱酸素性層に隣接する層の1つの成分である場合がある。遷移金属触媒の量が1%未満である場合、被酸化性有機化合物、及びいずれかの追加のポリマー又は添加物は、脱酸素性組成物又は物品の実質的に全て(即ち、99%を超える)を含有することとなる。
【0018】
脱酸素の開始を制御するために、脱酸素性組成物と一緒に酸化防止剤を使用することができる。本明細書に規定する酸化防止剤は、ポリマーの橋かけ結合又は酸化的劣化を抑制する材料である。酸化防止剤は典型的には、諸高分子物質の処理を容易にするために、又はそれら高分子材料の有効寿命を引き延ばすために添加する。本発明に関連し、そのような添加剤は、脱酸素を誘発する熱の不存在下で脱酸素を行うための誘導期間(induction period)を引き延ばす。脱酸素性組成物によって脱酸素の開始を早めることが望ましい場合、その特定の組成物で脱酸素を誘発するのに適した熱を、その組成物に当てる。
【0019】
本発明に使用するためには、例えば、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、トリフェニルホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルチオジプロピオネート、ビタミンE、及びテトラ[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンのような酸化防止剤が適している。
酸化防止剤が存在する場合、酸化防止剤の量もまた脱酸素に影響を与えることがある。先に述べたように、そのような材料は通常、ポリマーの酸化又はゲル化を防止するために、被酸化性有機化合物又は追加のポリマーと一緒に存在する。それらは典型的には、被酸化性有機化合物の約0.005〜0.05重量%で存在する。しかし、誘導期間を特定の目的に合わせることが望ましい場合、酸化防止剤の追加の量を添加することもできる。
【0020】
本発明の脱酸素性組成物は、1種以上の追加のポリマーを含有することがある。そのような追加のポリマーは、熱可塑性の構造用ポリマーであって、脱酸素性組成物を、パッケージ用物品に使用するのに一層適切にさせる該構造用ポリマーである場合がある。適切な構造用ポリマーには、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、極超低密度(ultra−low density)ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、及びエチレンコポリマー[例えば、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アルキルアクリレート(メタクリレート)、エチレン−アクリル(メタクリル)酸、及びエチレン−アクリル(メタクリル)酸イオノマー]が包含されるが、それらに限定されない。飲料用容器等の硬質物品において、PETはしばしば使用される。異なる構造用ポリマーの混合物もまた使用することができる。しかし、構造用ポリマーの選定は概ね、製造すべき物品とそれの最終用途とによって決まる。そのような選定要因は当該技術では周知である。例えば、透明度、清浄度、脱酸素剤としての有効性、バリヤー性、機械的性質、又は物品のテキスチャー(texture)は、被酸化性有機化合物と不適合である(incompatible)構造用ポリマーを含有する混合物によって悪影響を受けることがある。
【0021】
脱酸素性組成物は、熱による誘発(heat triggering)を促進するために、少なくとも1種の助触媒を更に含有することがある。助触媒はアミン又はアミドでありうる。好ましい助触媒はとりわけ、少なくとも1種のアミン末端基を含有する低分子量ポリエーテル、ポリアミド、及びナイロンである。
【0022】
脱酸素性組成物は、フィルム又は[パッケージ用物品の成分(完全体又は不完全体)を包含する]パッケージ用物品の形態で与えられることがある。フィルムの形態で与えられる場合、フィルムは独立して存在することもあり、又は、パッケージ用物品の完全体又は不完全体であることもある。脱酸素性組成物を含有するのに適したパッケージ用物品は、柔軟性、硬質、半硬質、又はそれらのある組合せである場合がある。本発明において使用することのできる脱酸素性パッケージ用物品の諸例には、数ある容器の中でも、ゲーブルトップカートン、平行六面体カートン、トレイ(trays)、カップ(cups)、バッグ(bags)及びビン(bottles)が包含される。そのような容器を造るのに使用することのできる材料には、紙、カードボード、ファイバーボード、ガラス又はプラスチックが包含される。そのような容器は、数ある用途の中でも、ジュース用カートン、清涼飲料用容器、豆腐用容器、及びビールビンとして使用することができる。硬質のパッケージ用物品は典型的には、100〜1000μmの範囲の肉厚を有する。本発明で使用することのできる典型的な諸柔軟性パッケージには、とりわけ、肉、チーズ、生鮮パスタ、スナック食品、又はコーヒーのような食品群をパッケージするのに使用されるものが包含され、また、それら柔軟性パッケージは典型的には、5〜250μmの厚さを有する。更に、脱酸素性組成物は、不完全体の脱酸素性成分又はパッケージの層の状態で与えることができる。例えば、脱酸素性組成物はとりわけ、コーティング、ボトルのキャップライナー、接着性若しくは非接着性シートのインサート(insert)、ガスケット、シール材、又は繊維マットのインサートの形態である場合がある。脱酸素性成分はまた、単層又は複層から成る場合がある。脱酸素性組成物を含有するパッケージ用成分及び(柔軟性、硬質、半硬質、又はこれらの組合せの)パッケージ用物品は通常、貯蔵の間、酸素による損傷を抑制することが望ましいいずれの製品(例えば、食品、飲料、化粧品、医薬品、医療品、腐食性金属、又は電子デバイス)をもパッケージするのに使用することができる。
【0023】
上述のように、脱酸素性組成物は、単層又は複層を有する物品として与えることができる。脱酸素性層は、被酸化性有機化合物を含有する。パッケージ用物品又はフィルムが脱酸素性層を含有する場合、該パッケージ用物品又はフィルムは、1つ以上の追加の層を更に有することがあり、それら追加の層の1つ以上は、酸素バリヤー層[即ち、室温(約25℃)での1大気圧当り100cm3/m2(cc/m2)/日に等しいか又はそれ未満の酸素透過速度を有する層]を有することがある。典型的な酸素バリヤーは、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ(二塩化ビニリデン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向PET、シリカ、ホイル(foil)、ポリアミド、又はそれらの混合物を含有する。
【0024】
脱酸素性パッケージ用物品の他の追加の層は、酸素を透過することのできる1つ以上の層を有することがある。例えば、本発明の1つの態様のパッケージ用物品は、該パッケージ用物品の外側から出発して該パッケージ用物品の(中空の内部を形成する)最も内側の層の方へ、次の諸層:(i)構造用層、(ii)酸素バリヤー層、(iii)被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒を含有する脱酸素性層、並びに任意的に(iV)酸素透過性シール又は食品接触層、で構成されることがある。(ii)の酸素バリヤー特性を制御すれば、雰囲気から脱酸素性層(iii)までの酸素の進入を制限することによって、パッケージの脱酸素寿命を調整することができ、従って、大気中の酸素による脱酸素容量(oxygen scavenging capacity)の消費が遅くなる。層(iV)は、複層のパッケージ用物品の加熱密封性、透明性又はブロッキング抵抗を改善することができる。また、層(iV)の酸素透過性を制御すれば、脱酸素性成分(iii)の組成に関係なく、全構造体の脱酸素の速度を変えることができる。層(iV)によって、酸素をパッケージ内側の頭隙(headspace)から脱酸素性層(iii)まで通過させることができ、同時に、該脱酸素性層の諸成分、又は脱酸素の副生物がパッケージの内部に移動することに対するバリヤーとしての役割を果たす。
【0025】
更なる追加の層(例えば接着剤層)もまた、複層のパッケージ用物品又はフィルムの中に使用することができる。接着剤層のために典型的に使用される諸組成物には、無水物機能性ポリオレフィン、及び他の周知の接着剤層が包含される。
【0026】
本発明の脱酸素性層及び脱酸素性パッケージ用物品は、当該技術で知られている種々の多くの方法によって造ることができる。例えば、脱酸素性の層、フィルム及び物品を調製するために、それらの所望の諸成分は約150℃〜約300℃の温度で溶融混合することができる。脱酸素性組成物は、溶融混合した後、加熱による誘発を行うのが好ましく、また、このことは、当業者に知られている他の要因と一緒に、溶融混合の温度及び時間を選定するに注意を払うのが望ましい。ポリマーの混合物を調製するのに、溶融混合に代わる方法(例えば、溶剤を使用し、次いで蒸発させること)もまた使用することができる。混合工程は、完成品、フィルム若しくはプレフォームを形成する前に行うか、又は、パッケージ用完成品又はフィルムを製造するのに後で使用するための供給原料若しくはマスターバッチを形成する前に行うことができる。脱酸素性の層、フィルム、又はパッケージ用物品を製造するのに混合済み組成物を使用する場合、押出し(同時押出し)、溶液流延(solvent casting)、射出成形、延伸吹込み成形(stretch blow molding)、延伸、熱成形、押出しコーティング、コーティング及び硬化、積層、又はそれらの組合せは典型的には、混合工程の後に行う。加熱による誘発は、これらのプロセスの間、又はこれらのプロセスを行ってしまった後に使用することができ、更に、これらのプロセスの間に使用することのできる脱酸素性組成物及び諸装置の温度は、適切に調整することが望ましい。
【0027】
次の諸例は、本発明の好ましい諸態様を例示するために包含される。後続の諸例に開示される諸技術は、本発明を実施する際うまく機能するように本発明者によって発見された諸技術を表し、従って、本発明を実施するための好ましい諸態様を構成するものと見なすことができる、ということが当業者によって認識されるであろう。しかし、当業者が本開示を考慮すれば、開示されている特定の諸態様に多くの変形を行うことができ、更に、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似の結果が得られることを認識するであろう。
【0028】
例1 ポリ(エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセンメチル)[EMCM、シェブロン(Chevron)製]988.4重量部と、オレイン酸コバルト50重量%を含有するオレイン酸コバルトのトルエン溶液23.2重量部とを、250〜270℃で二軸スクリュー押出し機[ベルナー・アンド・プフライデラー(Werner & Pfleiderer) ZSK−30]で混合した。その混合物に、「Irgonox 1010」酸化防止剤150ppmをも添加した。その押出し機は、混合中にトルエンを除去するための2つの吸引孔を備えていた。生成物は、40〜50℃で4時間の間タンブル乾燥機で乾燥し、次いで、アルミニウムバッグで真空包装を行った。
【0029】
例2 市販のPET樹脂を170℃で4時間の間乾燥した。外側層として、PETを有する3層フィルム(厚さ4〜8ミル)と、コア層として、例1で造った熱による誘発が可能な脱酸素性ポリマー(OSP)(厚さ2〜4ミル)とを、ランドキャッスル(Randcastle)フィルム押出し機で造った。フィードブロック(feedblock)、ダイ(die)及び種々の帯域の温度は、270〜280℃に設定した。厚い3層フィルムは、冷却した後、100℃まで再加熱し、次いで、2.5〜3倍に二軸延伸を行った。そのフィルムは、室温で2〜3週間の間貯蔵し、次いで、「Mocon OX−TRAN2/20」によって、室温及び相対湿度20〜30%での酸素移動速度を求める試験を行った。その酸素移動試験によって、酸素はそのフィルムを全く透過しないことが分かった。対照として、上述の3層フィルムと同様のやり方で、OSPのコア層を用いないで調製した単層PETフィルムについて類似の試験を行った。この試験により、対照フィルムは15〜60ccO2/m2/日の酸素移動速度を有することが分かった。
【0030】
例3 純オレイン酸コバルト105.5重量部と、ポリ(エチレン/アクリル酸メチル)(EMAC、シェブロン製)894.5重量部とを、220〜260℃で二軸スクリュー押出し機(ベルナー・アンド・プフライデラー ZSK−30)で混合した。コバルトを含有するマスターバッチ生成物は、40〜50℃で4時間の間タンブル乾燥機で乾燥し、次いで、アルミニウムバッグで真空包装を行った。
【0031】
例4 市販のPET樹脂を170℃で4時間の間乾燥した。外側層として、PETを有する3層フィルム(厚さ4〜8ミル)と、熱による誘発が可能な脱酸素性ポリマーのコア層(厚さ2〜4ミル)とを、ランドキャッスルフィルム押出し機で造った。熱による誘発が可能なその層は、ポリ(エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセンメチル)[EMCM、シェブロン製]90重量部と、例3で造ったコバルトマスターバッチ10重量部とからの混合物を含有した。フィードブロック、ダイ及び種々の帯域の温度は、270〜280℃に設定した。厚い3層フィルムは、冷却した後、100℃まで再加熱し、次いで、2.5〜3倍に二軸延伸を行った。そのフィルムは、室温で2〜3週間の間貯蔵し、次いで、「Mocon OX−TRAN2/20」によって、室温及び相対湿度20〜30%での酸素移動速度を求める試験を行った。その酸素移動試験によって、酸素はそのフィルムを全く透過しないことが分かった。対照として、上述の3層フィルムと同様のやり方で、OSPのコア層を用いないで調製した単層PETフィルムについて類似の試験を行った。この試験により、対照フィルムは15〜60ccO2/m2/日の酸素移動速度を有することが分かった。
【0032】
本明細書に開示し請求する、諸組成物及び諸方法の全ては、本開示を考慮すれば過度の実験を行わないでも、製造し実施することができる。本発明の諸組成物及び諸方法は好ましい諸態様によって記述してきたが、それら組成物及び方法に対して;また、本明細書に記述する方法の諸工程において、又はそれら諸工程の手順において;本発明の概念、本質及び範囲から逸脱しないで、諸変形を加えることができることは当業者に容易に分かるであろう。一層具体的に言えば、両者とも化学的に関係のある幾つかの薬剤は、本明細書に記述する諸薬剤と置き換えることができ、同時に、同一又は類似の結果が達成されることが容易に分かるであろう。当業者に容易に理解されるそのような類似の諸代替物及び一部修正物は全て、特許請求の範囲に規定する発明の本質、範囲及び概念の中にあるものと見なす。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の幾つかの態様において使用することのできる被酸化性有機化合物を合成する概略図である。
Claims (22)
- 脱酸素を開始する方法において、
被酸化性の有機化合物と遷移金属の触媒とを含有する脱酸素性組成物を与える工程であって、該被酸化性有機化合物が、重合体の主鎖と、少なくとも1つの環状オレフィン基とを含有する該工程;及び
脱酸素を開始するのに十分な程度まで、前記脱酸素性組成物を加熱する工程;を包含する、上記脱酸素開始方法。 - 環状オレフィン基は側基である、請求項1に記載の方法。
- 重合体の主鎖はエチレン基を有する、請求項1記載の方法。
- 脱酸素性組成物は、被酸化性有機化合物と、遷移金属触媒と、少なくとも1種の追加のポリマーとから本質的に成る、請求項1記載の方法。
- 脱酸素性組成物は、光重合開始剤を含有しない、請求項1に記載の方法。
- 脱酸素を開始している間、脱酸素性組成物は紫外線照射に暴露しない、請求項1に記載の方法。
- 加熱工程は、脱酸素性組成物を含有するパッケージ用物品、又は脱酸素性組成物を含有するフィルムを形成する間に行う、請求項1に記載の方法。
- パッケージ用物品又はフィルムは単層を含有する、請求項7に記載の方法。
- パッケージ用物品又はフィルムは複層を含有する、請求項7に記載の方法。
- 脱酸素性組成物は、パッケージ用物品又はフィルムの形態で与え;且つ、該脱酸素性組成物をパッケージ用物品又はフィルムに形成してしまった後、該脱酸素性組成物を加熱する、請求項1に記載の方法。
- パッケージ用物品又はフィルムは単層を含有する、請求項10に記載の方法。
- パッケージ用物品又はフィルムは複層を含有する、請求項10に記載の方法。
- 脱酸素性組成物は、約75℃〜約300℃の温度に、約60分以下の間加熱する、請求項1に記載の方法。
- 被酸化性有機化合物はエチレン−ビニルシクロヘキセンコポリマー(EVCH)である、請求項14に記載の方法。
- 被酸化性有機化合物は、重合体の主鎖に結合している結合基と環状オレフィン側基とを更に有し、しかも、前記結合基は、−O−(CHR)n−;−(C=O)−O−(CHR)n−;−NH−(CHR)n−;−O−(C=O)−(CHR)n−;−(C=O)−NH−(CHR)n−;又は−(C=O)−O−CHOH−CH2−O−(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルであり;且つ、nは1〜12の整数である)から選ぶ、請求項14に記載の方法。
- 被酸化性有機化合物は、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルのターポリマー(EMCM)、又はアクリル酸シクロヘキセニルメチル(CHAA)のホモポリマーである、請求項16に記載の方法。
- 遷移金属の触媒は、コバルト、銅、マンガン、鉄、ニッケル、ロジウム及びルテニウムから成る群から選ばれる1種の遷移金属を含有する、請求項1に記載の方法。
- 遷移金属の触媒は、オレイン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、又はネオデカン酸コバルトである、請求項18に記載の方法。
- 脱酸素性組成物は、酸化防止剤、助触媒、追加のポリマー、及び顔料から成る群から選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有する、請求項1に記載の方法。
- 助触媒はアミン又はアミドである請求項20記載の方法。
- 助触媒は、少なくとも1種のアミン末端基を含有する低分子量ポリエーテル、ポリアミド、及びナイロンから成る群から選ぶ、請求項21に記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/690,878 US6610215B1 (en) | 2000-10-16 | 2000-10-16 | Oxygen scavenging compositions suitable for heat triggering |
PCT/US2001/031434 WO2002033024A2 (en) | 2000-10-16 | 2001-10-09 | Oxygen scavenging compositions suitable for heat triggering |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004522812A true JP2004522812A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=24774346
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002536395A Pending JP2004522812A (ja) | 2000-10-16 | 2001-10-09 | 加熱による誘発に適した脱酸素性組成物 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6610215B1 (ja) |
EP (1) | EP1334163A2 (ja) |
JP (1) | JP2004522812A (ja) |
AR (1) | AR031136A1 (ja) |
AU (1) | AU2001296715A1 (ja) |
CA (1) | CA2425579A1 (ja) |
WO (1) | WO2002033024A2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003534413A (ja) * | 2000-05-19 | 2003-11-18 | シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー | エチレンビニルアルコール共重合体(evoh)の変性からの高められた酸素遮断性能 |
JP2012525965A (ja) * | 2009-05-07 | 2012-10-25 | リライアンス、インダストリーズ、リミテッド | 脱酸素ポリエステル組成物 |
Families Citing this family (21)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7097890B1 (en) * | 1998-07-31 | 2006-08-29 | Chevron Phillips Chemical Co. Lp | Polymer with pendent cyclic olefinic functions for oxygen scavenging packaging |
US6515067B2 (en) | 2001-01-16 | 2003-02-04 | Chevron Phillips Chemical Company Lp | Oxygen scavenging polymer emulsion suitable as a coating, an adhesive, or a sealant |
US20030183801A1 (en) * | 2002-03-28 | 2003-10-02 | Hu Yang | Porous oxygen scavenging material |
WO2004035417A1 (en) * | 2002-10-15 | 2004-04-29 | Cryovac, Inc. | A process for triggering, storing, and distributing an oxygen scavenger, and a stored oxygen scavenger |
WO2004035416A1 (en) * | 2002-10-15 | 2004-04-29 | Chevron Phillips Chemical Company Lp | A process for subjecting to actinic radiation and storing an oxygen scavenger, and a stored oxygen scavenger |
US7399425B2 (en) * | 2004-11-17 | 2008-07-15 | Phoenix Closures, Inc. | Closure with oxygen scavenger |
US20080171169A1 (en) * | 2005-04-13 | 2008-07-17 | Invista North America S.A.R.L. | Oxygen Scavenging Compositions and Method of Preparation |
US20070141366A1 (en) * | 2005-12-21 | 2007-06-21 | Janet Rivett | Multilayer film with hot tack property |
US20080161529A1 (en) * | 2006-12-28 | 2008-07-03 | Jason Christopher Jenkins | Oxygen-scavenging polyesters useful for packaging |
US20080161465A1 (en) * | 2006-12-28 | 2008-07-03 | Jason Christopher Jenkins | Oxygen-scavenging polyester compositions useful for packaging |
US7521523B2 (en) * | 2006-12-28 | 2009-04-21 | Eastman Chemical Company | Oxygen-scavenging polyester compositions useful in packaging |
US8262952B2 (en) * | 2007-10-31 | 2012-09-11 | Bausch & Lomb Incorporated | Molds for production of ophthalmic devices |
CN102725258A (zh) | 2009-06-16 | 2012-10-10 | 阿迈瑞斯公司 | 环己烯1,4-羧化物 |
WO2010148070A2 (en) | 2009-06-16 | 2010-12-23 | Draths Corporation | Biobased polyesters |
US8426639B2 (en) * | 2009-06-16 | 2013-04-23 | Amyris, Inc. | Preparation of trans, trans muconic acid and trans, trans muconates |
US8367859B2 (en) | 2009-06-16 | 2013-02-05 | Amyris, Inc. | Cyclohexane 1,4 carboxylates |
US8921487B2 (en) | 2009-06-19 | 2014-12-30 | Polyone Corporation | Oxygen scavenging terpolymers |
JP2013516196A (ja) | 2010-01-08 | 2013-05-13 | アミリス, インコーポレイテッド | ムコン酸およびムコン酸塩の異性体を生成するための方法 |
ES2533494T3 (es) | 2010-06-30 | 2015-04-10 | Clariant Masterbatches (Italia) S.P.A. | Material plástico depurador del oxígeno |
WO2013177266A1 (en) | 2012-05-25 | 2013-11-28 | Polyone Corporation | Oxygen scavenging copolymers made from cyclic aliphatic monomers |
CN109588611A (zh) * | 2018-11-20 | 2019-04-09 | 东莞市欣荣天丽科技实业有限公司 | 一种可食用脱氧剂组合物以及脱氧剂包装体 |
Family Cites Families (27)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR1511011A (fr) | 1966-12-13 | 1968-01-26 | Electro Chimie Soc D | Nouveaux élastomères acryliques |
US3536687A (en) | 1968-07-16 | 1970-10-27 | Ashland Oil Inc | Polymers and copolymers from cyclohexenyl-alkyl alcohol ester of alpha,beta-unsaturated acids |
US5116916A (en) | 1982-11-17 | 1992-05-26 | Union Oil Company Of California | Acid catalyzed reactions |
US4524201A (en) | 1981-12-28 | 1985-06-18 | Union Carbide Corporation | Reactive organo titanate catalysts |
US4415710A (en) | 1981-12-28 | 1983-11-15 | Union Carbide Corporation | Curable compositions, based on alkylene-alkyl acrylate copolymers, containing preformed, reactive organo titanate catalysts |
US5466756A (en) | 1988-11-28 | 1995-11-14 | Rohm And Haas Company | Methyl methacrylate compositions |
ZA921914B (en) | 1991-04-02 | 1993-09-16 | Grace W R & Co | Compositions, articles and methods for scavenging oxygen |
CA2062083C (en) | 1991-04-02 | 2002-03-26 | Drew Ve Speer | Compositions, articles and methods for scavenging oxygen |
FI922379A (fi) | 1991-06-19 | 1992-12-20 | Chevron Res & Tech | Syreavlaegsnande homogena blandningar av en modifierad polyolefin, en oxiderbar polymer och ett metallsalt |
US5211875A (en) | 1991-06-27 | 1993-05-18 | W. R. Grace & Co.-Conn. | Methods and compositions for oxygen scavenging |
US5310497A (en) | 1992-10-01 | 1994-05-10 | W. R. Grace & Co.-Conn. | Oxygen scavenging compositions for low temperature use |
US5736616A (en) | 1993-07-13 | 1998-04-07 | Chevron Chemical Company | Compositions having ethylenic backbone and benzylic allylic or ether-containing side-chains oxygen scavenging compositions containing same and process for making these compositions by esterification or transesterification of a polymer melt |
US5759653A (en) * | 1994-12-14 | 1998-06-02 | Continental Pet Technologies, Inc. | Oxygen scavenging composition for multilayer preform and container |
US5660761A (en) | 1995-02-15 | 1997-08-26 | Chevron Chemical Company | Multi-component oxygen scavenger system useful in film packaging |
US5776361A (en) | 1995-02-15 | 1998-07-07 | Chevron Chemical Company | Multi-component oxygen scavenging composition |
US5656692A (en) | 1995-10-16 | 1997-08-12 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Process for transesterification of olefin/acrylic-ester copolymers |
US5942297A (en) * | 1996-03-07 | 1999-08-24 | Cryovac, Inc. | By-product absorbers for oxygen scavenging systems |
US6057013A (en) | 1996-03-07 | 2000-05-02 | Chevron Chemical Company | Oxygen scavenging system including a by-product neutralizing material |
US6063307A (en) | 1996-09-23 | 2000-05-16 | Shepodd; Timothy Jon | Polymer system for gettering hydrogen |
US5837158A (en) | 1996-09-23 | 1998-11-17 | Sandia Corporation | Polymer formulations for gettering hydrogen |
US5911910A (en) | 1997-10-29 | 1999-06-15 | Cryovac, Inc. | Method and apparatus for triggering an article containing an oxidizable organic compound |
AU2578499A (en) | 1998-02-03 | 1999-08-16 | Continental Pet Technologies, Inc. | Enhanced oxygen-scavenging polymers, and packaging made therefrom |
EP1066337B1 (en) | 1998-03-25 | 2004-11-03 | Chevron Phillips Chemical Company Lp | Oxygen scavengers with reduced oxidation products for use in plastic films and beverage and food containers |
US6254803B1 (en) * | 1998-03-25 | 2001-07-03 | Cryovac, Inc. | Oxygen scavengers with reduced oxidation products for use in plastic films |
US6333087B1 (en) * | 1998-08-27 | 2001-12-25 | Chevron Chemical Company Llc | Oxygen scavenging packaging |
JP4460170B2 (ja) | 1998-12-22 | 2010-05-12 | ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド | 改良された能動酸素捕集剤パッケージング |
US6255248B1 (en) * | 1999-07-09 | 2001-07-03 | Cryovac, Inc. | Oxygen scavenging composition with improved properties and method of using same |
-
2000
- 2000-10-16 US US09/690,878 patent/US6610215B1/en not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-10-09 CA CA002425579A patent/CA2425579A1/en not_active Abandoned
- 2001-10-09 WO PCT/US2001/031434 patent/WO2002033024A2/en not_active Application Discontinuation
- 2001-10-09 EP EP01977609A patent/EP1334163A2/en not_active Withdrawn
- 2001-10-09 AU AU2001296715A patent/AU2001296715A1/en not_active Abandoned
- 2001-10-09 JP JP2002536395A patent/JP2004522812A/ja active Pending
- 2001-10-10 AR ARP010104755A patent/AR031136A1/es unknown
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003534413A (ja) * | 2000-05-19 | 2003-11-18 | シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー | エチレンビニルアルコール共重合体(evoh)の変性からの高められた酸素遮断性能 |
JP2012525965A (ja) * | 2009-05-07 | 2012-10-25 | リライアンス、インダストリーズ、リミテッド | 脱酸素ポリエステル組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2425579A1 (en) | 2002-04-25 |
AR031136A1 (es) | 2003-09-10 |
WO2002033024A3 (en) | 2002-07-11 |
AU2001296715A1 (en) | 2002-04-29 |
WO2002033024A2 (en) | 2002-04-25 |
EP1334163A2 (en) | 2003-08-13 |
US6610215B1 (en) | 2003-08-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004522812A (ja) | 加熱による誘発に適した脱酸素性組成物 | |
EP2336239B1 (en) | Compatible blend systems of oxygen barrier polymers and oxygen scavenging polymers | |
KR100443637B1 (ko) | 탈산소성다층체및이것을사용한포장용기 | |
CN1300250A (zh) | 热收缩性多层薄膜 | |
EP2064056B1 (en) | Films and packages for respiring food products | |
WO2008073220A1 (en) | Vacuum packaging of a meat product using a film having a carbon dioxide scavenger | |
US6607795B1 (en) | Oxygen scavenging compositions comprising polymers derived from aromatic difunctional monomers | |
JP3727925B2 (ja) | 酸化性重合体樹脂および過酸化物を使用するuvまたは熱誘因性低酸素包装システム | |
WO2005056721A1 (en) | Transition metal carboxylates as catalysts for oxygen scavenging | |
WO2003068888A2 (en) | Oxygen scavenging compositions comprising polymers derived from benzenedimethanol monomers | |
JP3969524B2 (ja) | プラスチック多層構造体 | |
JPH0460826B2 (ja) | ||
JP2001504399A (ja) | 二軸延伸ポリエステルを含む透明な脱酸素性物品 | |
JPH1086291A (ja) | 脱酸素性多層体及びこれよりなる包装容器 | |
JP4120712B2 (ja) | 脱酸素性多層容器 | |
CN112074406B (zh) | 用于氧敏感性材料的层合膜、包装和方法 | |
EP1698459B1 (en) | Multilayer films | |
JP4584466B2 (ja) | 多層容器 | |
JP2006063237A (ja) | 熱収縮酸素吸収性フィルムの製造方法 | |
JP3335363B2 (ja) | 酸素捕捉フィルムにおける機能性バリア | |
US20020072572A1 (en) | Reactive extrusion process with partial condensor and reflux | |
JP4062379B2 (ja) | 脱酸素性多層体及び包装容器 | |
JPH10329276A (ja) | 脱酸素性多層体、これよりなる包装容器及び食品または医薬品の保存方法 | |
JP2744281B2 (ja) | 樹脂組成物および多層構造体 | |
JP2002210889A (ja) | 多層容器 |