JP2004522358A - 電子透かしを検出する方法及び装置 - Google Patents

電子透かしを検出する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

MPEG−2エンコードされたビデオデータ中の電子透かしを、前記ビデオデータの高速なコピーの間に検出する方法及びシステム。バススパイ(120)は前記ビデオデータからIフレームのような独立にコード化されたフレームを選択し、選択された前記フレームを該フレーム中の電子透かしを検出する電子透かし検出器(130)に送る。電子透かし検出器(130)に前記フレームの幾つかのみを供給することによって、電子透かし検出器(130)についての平均入力データレートは、前記高速なコピーの間のデータレートよりも非常に低い。種々の実施例が、前記選択されたフレームの内容を前記電子透かし検出器(130)に効率良く供給するための種々の方法を提供する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレームを有するデータストリーム中の電子透かしを検出する方法に関する。本発明は更に、フレームを有するデータストリーム中の電子透かしを検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子透かしを入れる処理、即ち音声又はビデオストリームのようなデータストリーム中に特別な情報を挿入する処理は、該データストリームに目印をつける、又は該データストリームを保護する、重要で良く知られた技術である。映画は、その出所が識別されることができるように、又は認証されていないコピーがオリジナルから区別されることができるように、電子透かしを入れられることができる。電子透かしは、前記データストリームのコピーにおける制限を実施するためにも、ますます利用されている。DVDのコピー保護においては、電子透かしはマテリアルを「1度だけコピー可(copy once)」、「コピー不可(never copy)」、「これ以上のコピー不可(copy no more)」又は「制限なし(no restriction)」というように分類するために利用される。データストリームがDVDディスクからコピーされる場合、該コピーを実行する装置は電子透かしの存在をチェックしなければならない。該電子透かしが見つかり、前記データストリームが(これ以上)コピーされてはいけないことを前記電子透かしが示している場合、前記装置は前記データストリームのコピーを作成することを拒絶しなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記データストリームがビデオストリームである場合、処理されるべきデータの量は莫大である。典型的に、ビデオストリームはISO/IEC 11172 MPEG−1又はISO/IEC 13818 MPEG−2圧縮のような方式を用いて圧縮される。今後、ISO/IEC 14496 MPEG−4方式も利用されるであろう。該方式は前記ビデオストリームのサイズの相当な削減を達成する。しかしながらこのことは、ビデオストリーム中の電子透かしの検出のために必要とされる処理パワーの相当な増加をも意味している。電子透かしの検出は、全ての電子透かしを検出するために、前記ビデオストリームのフレームの解凍(decompression)と前記解凍されたフレームの処理とを必要とする。
【0004】
MPEG−2圧縮されたビデオストリームを処理することは、前記ビデオストリームがリアルタイムにコピーされている場合は実行可能だが、高速コピーの間には必要とされる処理速度は極端に大きくなる。例えば、典型的なビデオストリームは毎秒25又は30フレームを有する。通常の速度の20倍の高速で該ビデオストリームをコピーする場合、これは電子透かしを検出するために毎秒500又は600フレームが処理されるべきであることを意味する。これは毎秒800Mbitものピークを持つ、毎秒約300〜400Mbitのビットストリームである。対照的に、現在のMPEGビットストリーム上で動作するハードウェアベースの電子透かし検出器は、毎秒100Mbit以上のビットストリーム中の電子透かしを信頼性高く検出することができない。同時に、電子透かしがコピー制限を強化するために利用される場合には、電子透かしの検出の遅延は許容され得るものではない。コピー処理の開始と、該コピーが許可されていないことを示す電子透かしの検出との間の時間が長いほど、複製権侵害者はより多くのマテリアルを不正にコピーすることができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、高速なコピー処理の間に迅速に動作することができる、本明細書の前段による方法を提供することにある。
【0006】
本目的は、前記データストリームから独立にコード化されたフレームを選択するステップと、前記選択されたフレームについての識別データを、該データ中の電子透かしを検出する電子透かし検出器に供給するステップとを有する方法により、本発明によって達成される。DVD又は他の情報源からコピーされるべきデータは、音声ストリーム、ビデオストリーム及び他の情報の混合物を含む場合もある。これらのストリームの1つだけの中の電子透かしを検出すれば十分である。更に、前記選択されたデータストリームの全てのフレームが、前記選択されたデータストリーム中の電子透かしを検出するために必要というわけではない。幾つかのフレームは、他のフレームより多くの電子透かし情報を含む。とりわけ、独立にコード化されたフレームは典型的に、従属的にコード化されたフレームより多くの電子透かし情報を含む。前記独立にコード化されたフレームのみを選択することにより、前記電子透かし検出器は、前記コピー処理よりも非常に低いレートでデータを供給される。それでも、これらのフレームは前記電子透かし検出器に確実な電子透かし検出を容易にするための十分な情報を供給する。
【0007】
実施例において本方法は更に、バッファメモリに前記フレームをバッファリングするステップと、前記フレームのバッファメモリ中のアドレス位置を決定するステップと、前記電子透かし検出器に前記アドレス位置を供給するステップとを有する。しばしば、前記コピー処理はバッファメモリへの前記データストリーム(の一部)の一時的な保存を含む。該バッファメモリのサイズは通常比較的大きいため、該バッファメモリに保存された前記フレームは、新しいデータに上書きされるまでに、比較的長い時間保存されたままで留まる。前記保存されたフレームは、該フレームが読み出された後も前記バッファメモリに残る。前記電子透かし検出器は前記選択されたフレームの内容を必要とするため、これらのフレームの前記バッファメモリ中のアドレス位置を決定することは有利である。
【0008】
他の実施例において本方法は更に、少なくとも前記フレームの内容部をローカルメモリにコピーするステップと、前記ローカルメモリの内容を前記電子透かし検出器に供給するステップとを有する。前記ローカルメモリ中に選択されたフレーム(の内容部)を保存することにより、前記電子透かし検出器は簡単に前記ローカルメモリにアクセスし、保存された前記フレームのデータを取得し、該データ中の電子透かしを検出することができる。
【0009】
他の実施例においては、前記データストリームはISO/IEC 13818 MPEG−2形式に従ってフォーマットされたビデオ基本ストリーム(Video Elementary Stream)を有し、前記選択されたフレームは前記ビデオ基本ストリームのI−フレームを有する。典型的なMPEG−2ビデオストリームにおいては、通常凡そ10から12フレーム毎に1つのフレームがI−フレームである。従って、前記データストリームのビデオ部分の前記I−フレームのみを選択することにより、前記電子透かし検出器に送られる前記データストリームのサイズの相当な削減が達成される。
【0010】
他の実施例において本方法は更に、少なくとも1つのDCT係数を取得するために前記選択されたフレームを処理するステップと、前記少なくとも1つのDCT係数を前記電子透かし検出器に供給するステップとを有する。電子透かし検出器は、電子透かしを検出するために前記選択されたフレームから全てのデータを常に必要とするわけではない。とりわけ、本出願人と同一の出願人による国際特許公開WO99/45707(整理番号PHN17315)において開示された電子透かし検出システムは、個々のフレームからDCT係数のみを利用してビデオストリーム中の電子透かしを検出することができる。
【0011】
本発明の他の目的は、高速なコピーの間に電子透かしを迅速に検出することができる、本明細書の前段による装置を提供することにある。
【0012】
本目的は、前記データストリームから独立にコード化されたフレームを選択する選択手段と、前記選択されたフレームに関する識別データを該データ中の電子透かしを検出する電子透かし検出器に供給する処理手段とを有する装置により本発明によって達成される。
【0013】
本装置の有利な実施例は請求項7乃至9に開示される。
【0014】
本発明は更に、本発明による方法をプロセッサに実行させるように構成されたコンピュータプログラムに関する。
【0015】
本発明の以上の及びその他の態様は、図に示された実施例により明らかになり、該実施例を参照しながら説明されるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
図を通して、同一の参照番号は同類の又は対応する特徴を表す。図に示された幾つかの特徴は典型的にソフトウェアによって実施化され、それ自体がソフトウェアモジュール又はオブジェクトのようなソフトウェアの実体を表す。
【0017】
図1はデータストリーム中の電子透かしを検出するように構成された装置100の第1の実施例を模式的に示す。装置100は例えばDVDドライブ中に利用されるプロセッシングICであるが、汎用コンピュータシステム上で動作するコンピュータプログラムであっても良い。例えばDVDプレイヤのような入力プロセッサ101は、DVD190からデータストリームを読み込む。勿論本発明はDVDから読み込まれるデータストリームに限定されない。他のデータ源も利用されることができる。前記データストリームは好ましくはISO/IEC13818 MPEG−2形式に従ってフォーマットされている。
【0018】
入力プロセッサ101は、前記データストリームを送るバス102に接続される。出力プロセッサ110はバス102から前記データストリームを読み込み、出力端子170に前記データストリームを出力する。出力端子170は外部のMPEGデコード及び表示装置(図示していない)に接続されることができる。出力端子170はハードディスク又はDVD−R/Wユニットに接続されることもでき、そこで前記データストリームのコピーが為されることができる。装置100によって実行されることができる動作は、出力端子170が結合されるものに幾分依存する。
【0019】
DVD190から読み込まれる前記データストリームは、前記データストリームのコピー及び/又は再生の制限を示す電子透かしを有することが想定される。装置100は同様にバス102に接続された電子透かし検出器130を備える。電子透かし検出器130は、前記データストリームがバス102を通過する際に該データストリームを読み込み、該データストリームに電子透かしが存在するか否かを決定する。
【0020】
電子透かし検出器130が前記データストリーム中に電子透かしを検出し、かつ該電子透かしが現在進行している操作を禁じている場合、電子透かし検出器130は出力端子170への出力を禁じるようにスイッチ160を操作する。例えば、前記データストリームがコピーされており、かつ前記電子透かしが「コピー禁止」の制限を示している場合、電子透かし検出器130は前記データが出力端子170に出力されることを防ぐためにスイッチ160を開く。電子透かしが見つからなかった場合、又は見つかった電子透かしが処理中の操作を禁じていない場合は、スイッチ160は閉じられ、前記出力は出力端子170へ送られる。
【0021】
代替の実施例においては、電子透かし検出器130は、電子透かしが見つかったことを示すために、単に信号を制御モジュール(図示していない)に送る。次いで前記制御モジュールが適切な処置をとる。例えば、前記制御モジュールは操作が許可されていないことをユーザに警告し、又は続行する前にユーザに支払いを要求するために該操作を一時的に停止しても良い。
【0022】
電子透かし検出器130は、前記データストリームからのフレームを電子透かし検出器に供給される前にデコードし処理することができる、処理モジュール125に結合される。処理モジュール125は例えば、MPEGエンコードされたデータストリームから、電子透かし検出器130によって処理するのに適した生の画像データへとフレームを変換する、MPEGデコーダを有しても良い。
【0023】
好適な実施例においては、電子透かし検出器130は、本出願人と同一の出願人による国際特許公開WO99/45707(整理番号PHN17315)において開示されるように動作する。この実施例においては、処理モジュール125は、少なくとも1つのDCT係数を取得するため選択されたフレームを処理し、前記少なくとも1つのDCT係数を電子透かし検出器130に供給する。電子透かし検出器は、電子透かしを検出するために、前記選択されたフレームからの全てのデータを常に必要とするわけではない。とりわけ、国際特許公開WO99/45707に開示されるような電子透かし検出システムは、個々のフレームからDCT係数のみを利用してビデオストリーム中の電子透かしを検出する。
【0024】
前記データストリームがコピーされているとき、しばしば前記データストリームは、出力端子170への出力の前に、バッファメモリ150に一時的に保存される。メモリコントローラ151は、バッファリング処理を制御するためにバス102に接続される。装置100の外部にあるバッファメモリ150は、例えば16メガビットのSDRAMであっても良い。入力プロセッサ101はバス102に前記データストリームを書き込み、ここでメモリコントローラ151は該データストリームを読み込み、バッファメモリ150に保存することができる。出力プロセッサ110はバッファメモリ150に保存された前記データストリームの一部を要求し、出力端子170に向けて出力する。バッファリングを用いることによって入力データレートの変化は除去され、そのため出力プロセッサ110は略一定の速度で前記データストリームを出力することができる。
【0025】
メモリコントローラ151は、バッファメモリ150中の情報を管理するために、読み込みポインタと書き込みポインタとを利用する。フレームは、前記書き込みポインタによって指されるアドレス位置においてバッファメモリ150に書き込まれ、その後前記書き込みポインタは、次に利用可能なアドレス位置へと進められる。同様にフレームは、前記読み込みポインタによって指されるアドレス位置においてバッファメモリ150から読み込まれ、その後前記読み込みポインタは、次のバッファリングされたフレームのアドレス位置へと進められる。
【0026】
エラー訂正のような他の処理も、前記データストリームが例えばエラー訂正モジュール140によってDVD190から読み込まれる際に、該データストリームに対して実行されても良い。
【0027】
DVD190のコピーを作成する場合、前記コピーは通常の再生速度の20又は25倍といった、高速で作成されることが望ましい。このことは、装置100が毎秒大量のデータを処理する必要があることを意味する。例えば、PAL規格に従ってフォーマットされたビデオストリームは、毎秒25個のフレームを有する。通常の速度の20倍でということは、毎秒500個のフレームを意味する。しかしながら、該フレーム中の電子透かしを検出するために、毎秒500個のMPEGエンコードされたフレームを処理することができる電子透かし検出器はない。
【0028】
電子透かし検出器130のためのより低い平均データレートを得るため、バススパイ(bus spy)120がバス102に接続される。バススパイ120は前記データストリームを、該データストリームが例えば入力プロセッサ101からメモリコントローラ151へとバス102を通過する際に観測する。バススパイ120は、前記データストリーム中の独立にコード化されたフレームが識別されるような単純な処理を実行する。好適な実施例においては、バススパイ120はMPEG−2によりフォーマットされたデータストリームからIフレームを識別する。かようなフレームを識別すると、バススパイ120は、前記選択されたフレームの内容を、更なる処理のためにプロセッシングモジュール125へ、次いで電子透かし検出処理における利用のために電子透かし検出器130へと供給する。
【0029】
前記選択されたフレームが、前記バッファリング処理の一部としてバッファメモリ150に既に保存されているため、バッファメモリ150を電子透かし検出器130の入力として利用することは有意義である。フレームはバッファメモリ150にサイクリックな方式で書き込まれる。初めに、前記書き込みポインタはバッファメモリ150の第1のメモリ位置を指し、従って第1のフレームはバッファメモリ150の前記第1のメモリ位置に書き込まれる。次いで前記書き込みポインタは第2の位置へ移動され、従って第2のフレームは前記第2の位置に書き込まれるなどする。
【0030】
フレームがバッファメモリ150の最後のメモリ位置に書き込まれると、前記書き込みポインタは前記第1のメモリ位置へと戻され、従って次のフレームは前記第1のメモリ位置に書き込まれる。しかしながら、通常バッファメモリ150のサイズは、フレームのサイズに対して比較的大きいため、フレームは新たなフレームによって上書きされるまで、長い時間バッファメモリ150に留まる。また、前記フレームは読み出された後も消去されない。
【0031】
従って、フレームが独立にコード化されたフレームであるとして識別された場合、バススパイ120は該フレームのバッファメモリ150中のアドレス位置を決定する。従って処理モジュール125は、バッファメモリ150から前記選択されたフレームを直接アクセスすることができる。
【0032】
任意に、バススパイ120は、前記フレームの内容部の開始点を決定するために、前記フレームのヘッダ部を検査する。典型的に、前記フレームのヘッダ部は可変のサイズを持ち、そのため前記ヘッダは、前記内容部がどこで開始するのかを決定するために検査される必要がある。電子透かし検出器130は前記内容部からのデータのみを必要とするため、該内容部だけを記憶することは有意義である。次いでバススパイ120は前記内容部のバッファメモリ150中のアドレス位置を決定することができる。次いで該アドレス位置は電子透かし検出器130に供給されることができる。従って電子透かし検出器130は、バッファメモリ150から選択されたフレームの前記内容部を直接読み込み、電子透かしデータが前記選択されたフレーム中に存在するか否かを決定するために該内容部を処理することができる。しかしながらこのことは、処理モジュール125が、前記フレームのヘッダ部へのアクセスなしに必要な情報を抽出できる場合のみに機能する。このことは同様に電子透かし検出器130が個々のフレームから何の情報を必要とするかに依存する。
【0033】
電子透かし検出器130が供給された前記アドレス位置にアクセスするまでに、対象となる前記フレームが新たなデータによって上書きされてしまうことが起こる可能性がある。独立にコード化されたフレームは言うまでも無く、一般に該アドレス位置における前記新たなデータは、新たなフレームの最初ではない。処理モジュール125と電子透かし検出器130との両方がこの状況を防ぐことができるものではない場合、前記新たなデータのデコードは失敗する。処理モジュール125は同調せず、最初からデコード処理を再開する必要があり、時間を要する。
【0034】
そのため好適な実施例においては、バススパイ120は、独立にコード化されたフレームの前記アドレス位置だけでなく、該アドレス位置が記録された時間も記録する。このため処理モジュール125は現在時刻、バッファメモリ150中の前記書き込みポインタの現在位置を決定することができ、それらから現在の前記アドレス位置が依然有効であるか否かを導き出すことができる。処理モジュール125が、前記アドレス位置が新たなデータによって上書きされたことを決定した場合、該アドレス位置をスキップし次のアドレスへと進む。
【0035】
フレームは高いレートで来るため、また独立にコード化されたフレームも高いレートで来るため、平均すると処理モジュール125が再び同調するまでにはほとんど時間は掛からない。
【0036】
バッファメモリ150の内容を再利用することにより、装置100のメモリの要求は削減される。また、装置100は付加的な処理を行うための、最小限の付加的なメモリ要求を持つ。この方法によって動作することにより、装置100はデータストリーム中のビデオ基本ストリームデータを探すための最小のオーバーヘッド時間を使用することになる。
【0037】
図2は、MPEG−2規格に従ってフォーマットされたデータストリーム200の構造を模式的に示す。この構造は、本発明に関連する該構造の要素を説明するため、ここで簡単に議論される。正確な構造及びその要素の意味の詳細は、MPEG−2規格であるISO/IEC13818において見出すことができる。
【0038】
データストリーム200はシーケンス201、202、203及び204を有する。シーケンス201乃至204の各々は、ビデオシーケンス、音声シーケンス又は他の情報を含むシーケンスであっても良い。かようなシーケンスはストリームとも呼ばれる。
【0039】
シーケンス202がビデオシーケンス又はビデオ基本ストリーム(VES)である場合を想定する。ビデオシーケンスは、開始コード211、ビデオパラメータ212、ビットストリームパラメータ213及びその他のヘッダ情報214を有するシーケンスヘッダから始まる。前記ヘッダは1以上の画像のグループ(GOP)215乃至218によって続かれる。
【0040】
画像のグループ(GOP)215は同様に、ヘッダ及び多数の画像を有する。該ヘッダはGOP開始コード221、時間コード222及びGOPパラメータ223を有する。該ヘッダは実際の画像224乃至227によって続かれる。MPEG−2の状況においては、これらの画像は「フレーム」とも呼ばれる。MPEG−2ビデオストリーム中のフレームは3つの型のうちの1つとなり得る。フレームの前記型は、どの予測モードが前記フレーム中のブロックをコード化するために利用されるかを決定する。
【0041】
Iフレーム(Intra−frames)は他のフレームと関連することなくコード化される。時間的な冗長性ではなく空間的な冗長性を削減することにより、適度な圧縮が達成される。Iフレームは、デコードが開始することができる前記データストリーム中のアクセス点を提供するために、周期的に利用される。
【0042】
Pフレーム(Predictive frames)は前のIフレーム又はPフレームと関連してコード化される。Pフレーム中のブロックは予測されることができるか又は内部コード化が可能であるかのいずれかである。空間的及び時間的な冗長性を削減することにより、PフレームはIフレームに比較して向上した圧縮を提供する。
【0043】
Bフレーム(bidirectionally predictive frames)は前の及び次のIフレーム又はPフレームと関連してコード化される。Bフレーム中のブロックは、進められ、戻され、又は双方向的に予測若しくは内部コード化される。Bフレームは最も高度な圧縮を提供する。将来のフレームからの逆方向の予測を可能とするために、MPEGコーダは通常の「表示」順から、「ビットストリーム」順に並べ替え、前記Bフレームが、前の及び次のPフレーム及びIフレームの後に送信されるようにする。このことは連続するBフレームの数に依存する並べ替え遅延を引き起こす。
【0044】
典型的な表示順のGOPは、
101112131415
であり、対応するビットストリームの順序は、
1210111513
である。規則的なGOP構造は2つのパラメータを用いて記述されることができる。前記GOP中の画像の数であるNと、Pフレームの間隔であるMとである。ここで与えられるGOPはN=12とM=3として記述される。電子透かしの存在についてチェックするために、GOPから全てのフレームを処理する代わりに、前記Iフレームのみを処理することが、処理されるべきフレームの量における12分の1の削減を提供することは理解されよう。
【0045】
フレーム224は同様に、画像開始コード231、型インジケータ232、バッファパラメータ233及びエンコードパラメータ234を備え、多くのスライス235乃至238に続かれるヘッダを有する。スライスはフレームの一部についての情報を含む。スライス235はスライス開始コード241、垂直位置インジケータ242及び品質尺度(quality scale)243を有し、これらはマクロブロック224乃至247のセットに続かれる。
【0046】
マクロブロック244はMPEG−2アルゴリズムにおいては基本的なコード化単位である。これはスライス中の16×16ピクセルのセグメントである。スライス内の前記マクロブロックの順序は、左から右及び上から下である。マクロブロック244は、アドレスインジケータ251、型252、動きベクトル253、品質尺度254、コード化されたブロックパターン255及び6つのブロック256を含む。
【0047】
MPEG−2における画像又はフレームは、輝度(Y)及び2つのクロミナンス(Cb及びCr)値を表現する3つの長方形行列から成る。Y行列は偶数個の行と列とを持ち、Cb及びCr行列は各方向においてY行列の2分の1のサイズである。各クロミナンス成分は、前記輝度成分の2分の1の垂直及び水平解像度を持つため、マクロブロックは4つのY、1つのCr及び1つのCbブロックから成り、全部で6つのブロックを与える。
【0048】
図3は本発明による装置300の第2の実施例を示す。装置300は図1の装置100に類似するが、装置300はバッファメモリ150に接続されない。それでもやはり、装置300は、データストリームが高速にコピーされている際に、DVD190からの該データストリーム中の電子透かしを検出できることが望ましい。
【0050】
バススパイ120はここでも、フレームがバス102を通過する際に該フレームを調べ、該フレームが独立してコード化されたフレームであるか否かを決定するため該フレームのヘッダ部を検査する。MPEG−2の場合は、バススパイ120は、前記フレームがIフレームであるか否かを決定するために該フレームのヘッダ部を検査する。
【0051】
事実がそうであることが判った場合、バススパイ120は選択されたフレームをローカルメモリ302にコピーする。このローカルメモリ302は好ましくは32kBのSDRAMである。次いで処理モジュール125はローカルメモリ302の内容を読み込み、該内容を電子透かし検出器130に例えばバス102を介して供給する。以上に説明したように、処理モジュール125は最初に、少なくとも1つのDCT係数を取得するために、ローカルメモリ302中に保存されたフレームを処理し、前記少なくとも1つのDCT係数を電子透かし検出器130に供給しても良い。
【0052】
好ましくは、フレーム全部を保存する代わりに、バススパイ120は該フレームの内容部だけをローカルメモリ302にコピーする。このようにして、ローカルメモリ302に保存されるフレーム毎のデータの量は小さくなる。
【0053】
前記Iフレームの内容全部をローカルメモリ302に保存する必要もない。前記Iフレームからの多数のスライスで十分である。データマークに電子透かしを入れる際に、電子透かし検出器130が部分的なフレームのみに対して動作できるように、電子透かしデータはしばしばフレームの種々の部分において繰り返される。従って、バススパイ120は前記Iフレームから1つ以上のスライスを保存するだけで良い。理論的には、1つのスライスがローカルメモリ302のサイズより大きくなることも起こり得る。そのような場合には、スライスの最初の32kBのみがローカルメモリ302に保存されるべきである。電子透かしを検出するためにはこれで十分であろう。
【0054】
多数のIフレームが保存された場合、異なるIフレームから異なるスライスを保存することが有利となり得る。例えば、第1のIフレームの第1のスライス、第2のIフレームの第2のスライス等である。代わりに、第1のIフレームの全てのスライスが保存され、第2のIフレームの第2の及びそれ以降のスライスが保存され、第3のIフレームの第3の及びそれ以降のスライスが保存される等でも良い。異なるスライスは、前記ビデオストリーム中に描写される場面の異なる部分を表現するであろうから、このようにして電子透かし検出器130は前記データストリームの代表的なサンプルを供給される。全てのIフレームから第1のスライスのみが保存される場合は、これらのスライスは全て、確実に電子透かしを検出するために不十分な情報を担持する比較的連続的な領域を表現するということが起こり得る。
【0055】
装置300の本実施例においては、バススパイ120、ローカルメモリ302、処理モジュール125及び電子透かし検出器130は、バス102からデータを読み込み、バス102にデータを書き込むことにより、装置100のその他の部分と相互作用するのみである。このことは、バススパイユニット120、ローカルメモリ302、処理モジュール125及び電子透かし検出器130を、集積回路のような分離した構成要素310として実施化することを可能にする。従って該構成要素310は、個別に製造されることができ、高速コピーの間に確実に電子透かしを検出できることが望ましいいずれの装置にも追加されることができる。
【0056】
構成要素310は代わりに、電子透かし検出器130なしに構成されることができ、そのため構成要素310及び電子透かし検出器130が2つの分離したユニットとして販売されることができる。構成要素300は既に電子透かし検出器を有しても良い。バススパイ120、ローカルメモリ302及び処理モジュール125を有する構成要素を追加することによって、装置300は高速に電子透かしを確実に検出することができる。このとき構成要素310は、バス102を介して又は分離した接続を介して電子透かし検出器130と通信する。
【0057】
前記選択されたフレームを電子透かし検出器130に供給する代わりに、該選択されたフレームは前記データストリームの一部のみを必要とする他のモジュールに供給されることも想像される。かくして本発明による方法は一般に、データの一部分のみがより低い速度で処理されるべきいずれの高速システムにおいても利用されることができる。例えば、本発明はビデオストリームに関する所謂トリックプレイ(trick play)ストリームを生成するために適用されることができる。かようなストリームは元のビデオストリームの代表的なものであり、より非常に少ない数のフレームを持つ。これは例えばMPEG−2ビデオストリームからIフレームを選択し、新たなビデオストリームを取得するために該フレームを処理することにより生成される。該新たなビデオストリームが再生される時、典型的に早送り又は早戻し再生に関連して、視聴者は元のビデオストリームをより高速な再生速度で観ている印象を受ける。以上に概説したように、バススパイ120はIフレームを識別するために利用されることができ、処理モジュール125は該フレームをトリックプレイ生成器160へ送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置の第1の実施例を模式的に示す。
【図2】MPEG−2規格に従ってフォーマットされたデータストリームの構造を模式的に示す。
【図3】本発明による装置の第2の実施例を模式的に示す。

Claims (10)

  1. フレームを有するデータストリーム中の電子透かしを検出する方法であって、独立にコード化されたフレームを前記データストリームから選択するステップと、選択された前記フレームについての識別データを、該データ中の電子透かしを検出する電子透かし検出器に供給するステップとを有する方法。
  2. バッファメモリに前記フレームをバッファリングするステップと、前記フレームの前記バッファメモリ中のアドレス位置を決定するステップと、前記アドレス位置を前記電子透かし検出器に供給するステップとを更に有する、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも前記フレームの内容部をローカルメモリにコピーするステップと、前記ローカルメモリの内容を前記電子透かし検出器に供給するステップとを更に有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記データストリームは、ISO/IEC 13818 MPEG−2形式に従ってフォーマットされたビデオ基本ストリームを有し、前記選択されたフレームは前記ビデオ基本ストリームのIフレームを有する、請求項1に記載の方法。
  5. 少なくとも1つのDCT係数を取得するために前記選択されたフレームを処理するステップと、前記少なくとも1つのDCT係数を前記電子透かし検出器に供給するステップとを更に有する、請求項4に記載の方法。
  6. フレームを有するデータストリーム中の電子透かしを検出する装置であって、前記装置は、独立にコード化されたフレームを前記データストリームから選択する選択手段と、選択された前記フレームに関する識別データを、該データ中の電子透かしを検出する電子透かし検出器に供給する処理手段とを有する装置。
  7. バッファメモリに前記フレームをバッファリングするバッファリング手段を更に有し、前記選択手段は、前記フレームの前記バッファメモリ中のアドレス位置を決定するように構成され、前記処理手段は、前記アドレス位置を前記電子透かし検出器に供給するように構成される、請求項6に記載の装置。
  8. 前記選択手段は、少なくとも前記フレームの内容部をローカルメモリにコピーするように構成され、前記処理手段は、前記ローカルメモリの内容を前記電子透かし検出器に供給するように構成される、請求項6に記載の装置。
  9. 前記処理手段は、少なくとも1つのDCT係数を取得するために前記選択されたフレームを処理し、前記少なくとも1つのDCT係数を前記電子透かし検出器に供給するように構成される、請求項6に記載の装置。
  10. 請求項1に記載の方法をプロセッサに実行させるように構成されるコンピュータプログラム。
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