JP2004520917A - 摩擦制動を用いたリップスティック機構等 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図5
Description
【0001】
本発明は、外側管状スリーブの内側で自由に回転する内側管状スリーブを備えており、前記両スリーブには、前記内側管状スリーブ内に平行移動可能に配されたスティック保持カップに付設されている複数のスタッドを案内するための2つの長手スロット及び2つの螺旋形スロットが設けられており、前記内側スリーブには、前記両スリーブ間の滑らか且つ規則的な回転動作を提供するために外側スリーブに連結された筒形支持面に弾性押圧される弾性摩擦リリーフが設けられているタイプのリップスティック機構等に関する。このタイプの機構はプラスチック材料からなり、射出成形される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、出願人は、リリーフがスリーブの基部に付設された付加環上に形成される弾性タブによって形成されるか、又はスリーブの基部に直接的に形成されている摩擦装置が設けられた機構を提案した。これらのタブ又はラグは、スリーブの中心線に平行に配置されており、外側スリーブの内壁の基部上か、又はこのスリーブに連結された壁(おそらくは外側スリーブを取り囲む装飾的なケーシング)上に位置して半径方向外側へと伸長する。この機構は完全に良好な摩擦を提供する。しかしながらこの優れた品質は、さほど品質要件の厳しくない大量生産を行うには製造コストが高くなりすぎる可能性がある。
【0003】
特異な射出成形操作を用いて製造コストを下げるために、摩擦タブを筒形基部の壁内に直接的に設ける試みがなされた。摩擦リリーフは次いで、場合によっては薄くされ、筒形基部の壁内に取り込まれて(成形により)タブを形成すべく切り出された壁に配されているパッド又はボタンにより形成される。これは例えば、種々のタブ形状を用いた特許文献2、特許文献3又は特許文献4に見受けられる。
【特許文献1】欧州特許第0439381号明細書
【特許文献2】米国特許第5186560号明細書
【特許文献3】米国特許第5186561号明細書
【特許文献4】米国特許第5324126号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれらの機構の品質は、大量生産にとってさえも平凡に過ぎる。従って、製造は単一操作の成形により行いたいという要件を考慮しながら、このタイプの装置の摩擦品質をさらに向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、外側管状スリーブの内側で自由に回転する内側管状スリーブを備えており、前記両スリーブには、前記内側管状スリーブ内に平行移動可能に配されたスティック保持カップの複数のスタッドを案内するための2つの長手スロット及び2つの螺旋形スロットが設けられており、前記内側スリーブは、その壁内に外側スリーブに連結された筒形支持面に弾性押圧されるべくなされた弾性摩擦リリーフが形成されている筒形基部を備え、前記リリーフは、前記筒形基部を形成する壁の薄くされた部分に配置された複数のパッドにより形成されているタイプのリップスティック機構等において、薄くされた壁は各パッドの外周を完全に取り囲むことを特徴とする機構により達成される。この薄くされた壁は、好ましくは、筒形基部の壁より僅かに厚く成形されたパッド部分がその上で自由に「浮動する」薄膜(最も薄い部分で0.1乃至0.2mmオーダー)からなる。
【0006】
出願人は、こうした装置により、形状寸法がより良く制御され、より高い品質の摩擦をもたらす機構を製造できることを発見した。出願人は、先行技術のようにタブを切り出して製造すると、(テーパにおいて)確保された部分によって射出されるプラスチック材料が通りにくいことに起因するか、又は収縮の間にこれらの確保された部分の周辺に生じる応力に起因して成形の間にプラスチック材料が変形し、その結果、これらのタブ上に形成されるパッドの寸法が保証されずに大き過ぎたり小さ過ぎたりする可能性があり、従ってタブによる摩擦は予想より大きくなるか、又は小さくなることを認識した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、形状寸法がより良く確保されるだけでなく、薄くされた壁の薄膜上に形成されるボタン又はパッドは、好適な自由度で動作することが制約される切り出しタブより一様に全方向に変形可能なある種の浮動式プラットフォームを形成し、これにより、それが押圧する外側スリーブの筒形の壁に不可避的な欠陥があったとしても、極めて滑らか且つ規則的な摩擦が加わる。
【0008】
一般に、スリーブの射出成形操作は底部からの射出で構成されるため、基部に薄膜を形成するにあたって技術上の大きな問題はない。
【0009】
本発明に係るパッドの配置は、協動する領域上に完全に位置する比較的広いパッド表面積を供給し、この広い面積は、面積とパッド数とを考慮して必要な摩擦力を与えるに足る100分の数ミリメートルに等しい小さなパッドの過剰厚さのみ必要とする。この小さな過剰厚さは、薄膜の過剰な永久変形を防止し、これによりクリープを防止するため、本発明による摩擦は長期に渡り極めて安定している。
【0010】
さらに、十分な間隙をスティック保持カップの底部に設けて、外側スリーブが内側スリーブ上を摺動し且つその基部を介してパッドを押圧する際に、パッドが、自身が位置している薄膜の半径方向内側へ僅かに貫入しているにも関わらず、遮断されずに通過できるようにすることが容易である。
【0011】
パッドが対に纏められ、且つ直径方向に対向した2つの対のみ存在することが好ましい。
【0012】
本発明に係るスリーブは、所望の品質及びコスト価格に依存して、このタイプの射出に従来から使用されている任意のプラスチック材料を用いて製造することが可能であり、本発明に係るクリープの制限に関して上述したことを考慮すれば、そのクリープする傾向にも関わらずポリプロピレンのような安価な材料を使用することができる。当然ながら、ポリアセタール樹脂(POM)等のより高価な材料を使用することも可能である。
【0013】
本発明は、本発明に係る装置の実施例を表す添付の線図を参照して行う後述の説明を読めば、より良く理解されるであろう。説明を読み終われば、その他の特徴及び利点も明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
従来より、リップスティック機構は、内部にスティック保持カップ2が付設されたプラスチック製の内側スリーブ1を備える(図5)。外側スリーブ3は同じくプラスチック製であり、通常は金属製又は金属被覆したプラスチック製である装飾的なケーシング4で覆われ、且つ組み立て部品上を摺動する。
【0015】
内側スリーブ1は2つの長手スロット10及び11を備え、外側スリーブ3は2つの螺旋形スロット5(これは、その筒形内面上の単なる溝である場合もある)を備えていて、長手スロット10及び11によりカップ2上の両スタッド6が係合する交差領域を画定する。この領域の高さ(従ってカップ2の位置)は、スリーブ1及び3の相対回転に依存する。
【0016】
スリーブ3はその基部に、内径が当該スリーブの他の部分の内径と異なる可能性のある筒形の部分7を備えており、これは、内側スリーブ1の底部12と対面して、以下に図1乃至4を参照して説明する摩擦パッドと協動する。
【0017】
スリーブ1は、3つの領域、即ち(上から下へ)スロット10及び11が形成される主要領域13と、摩擦パッドが形成される環状の基部12と、底部14とを備える。
【0018】
主要領域13は、頂部にケーシング4を所定位置に固定する上端15が配置され、底部にスリーブ4の内側ショルダと協動する停止環16が配置されている。スロット10及び11のうちの一方である11は、カップ2に付設されたスタッド6を挿入し易いように頂部が開放されている。スロット10及び11は、カップをその動作距離の終わりで塞ぐように偏向された頂端輪郭17と、底端輪郭18とを備えている。領域13は、外側スリーブ3の中心を決める高さ100分の数ミリメートルの極めて微小である環状突起13又は凸状の形成物を備えていても良い。
【0019】
底部14は、その筒形外面上に長手溝又は長手溝飾り19と、本底部14を装飾的な底部へ回転なしに固定する中央通路20とを備えている。
【0020】
環状の基部領域12は筒形の壁21(その内面は領域13の内面と連続している)を備えており、筒形の壁21には摩擦パッド22が幾つかの場所に、これらを完全に取り囲み且つこれらを領域12の壁21に固定する周辺の薄膜23上を自由に浮動する状態で形成されている。
【0021】
パッド22は、壁21の通常の厚さより「e」だけ厚い一定の厚さの(従って筒形領域からなる)ボタンであり、この付加的な厚さは、外側スリーブ3の領域7の内壁を押圧するに足る100分の数ミリメートル(例えば3/100mm)オーダーである。この極めて小さな過剰厚さは、成形又は射出後のモールド除去に関して何ら問題を生じない。薄膜23の最も薄い部分の厚さは0.1乃至0.2ミリメートルであり、壁21の厚さは0.8乃至1ミリメートルオーダーである。
【0022】
パッド22は2つの対向する対として配置され、各対は長手スロット10又は11を中心とし、この中心位置から両側に25゜離隔されている。好ましくは、パッド22(正面図)は小なる垂直軸の寸法が約0.5mmであって十分なパッドの総面積をもたらす円形又は楕円形である。
【0023】
各パッド22がその固有の薄膜23で包囲される図示の装置は特に良好なものであるが、一対を成す2つのパッドをこれらの2つのパッドの間及び周辺に配置された単一の共通の薄膜上に浮動配置することも可能であろう。
【0024】
外側スリーブ3が内側スリーブ1上に設置されると、領域7の内面は4つのパッド22上に位置し、パッド22は薄膜23の柔軟性により内側へ僅かに貫入して前記領域7を弾性押圧する。これにより、所望の滑らか且つ規則的な回転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るリップスティック機構の内側スリーブの側面図である。
【図2】同スリーブの縦断面図である。
【図3】図2におけるスリーブのIII−IIIに沿った半断面図である。
【図4】図3におけるパッドのIV−IVに沿った拡大断面詳細図である。
【図5】図1のスリーブが付設された機構を構成する種々の構成要素の分解図である。
Claims (6)
- 外側管状スリーブ(3)の内側で自由に回転する内側管状スリーブ(1)を備えており、前記両スリーブには、前記内側管状スリーブ(1)内に平行移動可能に配されたスティック保持カップ(2)に付設されている複数のスタッド(6)を案内するための2つの長手スロット(10,11)及び2つの螺旋形スロット(5)が設けられており、前記内側スリーブには、その壁(21)内に外側スリーブ(3)に連結された筒形支持面(7)に弾性押圧されるべくなされた弾性摩擦リリーフが形成されている筒形基部(12)が設けられており、前記リリーフは、前記筒形基部の壁(21)の薄くされた部分(23)に配置された複数のパッド(22)により形成されているタイプのリップスティック機構等において、薄くされた壁(23)は各パッドの外周を完全に取り囲むことを特徴とする機構。
- 各パッド(22)は筒形基部の壁(21)に対して小なる過剰厚さ(e)を有することを特徴とする請求項1に記載の機構。
- パッド(22)の過剰厚さ(e)は100分の数ミリメートルオーダーであることを特徴とする請求項2に記載の機構。
- パッド(22)は対で纏められることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の機構。
- 2つの対向するパッド(22)対があることを特徴とする請求項4に記載の機構。
- 射出されたプラスチック材料からなることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の機構。
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