JP2004520566A - 試料中の全硫黄含有量の測定システム - Google Patents
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Abstract
全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の分析のために、固体、液体或いは気体の試料を高温炉中で酸素燃焼して燃焼ガスを形成し、乾燥する。乾燥燃焼ガスは、測定されるべき各元素のための電気化学検出器を経る。その検出器は、試料中の元素の含有量を個々に決定するために、並列或いは直列に配置される。制御システムは,炉への試料の導入、炉、乾燥機、及び電気化学検出器の動作、及びデータの蓄積、記録、及び表示を操作し制御するためにユーザインタフェイスを備える。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、液体や炭化水素マトリクス中の全窒素、 硫黄、及び/ 或いは塩素量を決定する、より詳細には、燃焼によって試料を酸化し、電気化学検出器を使用して特定の化合物を検出するための装置や方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
仕事場や周囲の空気モニタリングの分野において、電気化学理論を用いた有害ガスモニターは、PPMレベルの気体窒素酸化物(NO)、二酸化硫黄(SO2)及び塩化水素(HCl)の測定に使用可能である。有害ガスに暴露される危険性のある作業者は、人々が吸っている空気を採取し、かつ試験する装置を携帯する。その装置は深刻な暴露を受けた作業者に警告し、かつ累積暴露を記録する。このような装置は概して、大量の試料を使用して非常に低濃度を測定するが、装置は作業者が携帯し得るような小型サイズでなければならない。
【0003】
例えば、英国のハンツ(hants)、ポーツマス(portsmouth)に所在するシチーテクノロジ(City Technology)社は空気中のNO、SO2及びHCl等の汚染物質をモニタリングするためのセンサを供給している。シチーテクノロジ社は空気汚染物質を測定するためのセンサとして電気化学検出器を使用している。電気化学理論を基に操作する簡単なセンサは、薄い電解質層によって分離され、かつ低抵抗の外部回路によって接続されている、感知電極と対抗電極との2つの電極を備える。センサ中へ拡散したガスは、感知電極の表面で反応し、酸化或いは還元によって発生した電流が外部回路を経て両電極間を流れる。その電流はガスの濃度に比例し、外部回路中の負荷抵抗によって測定され得る。反応が発生するためには、感知電極電位は特定の範囲内でなければならない。タントラム等に付与された名称が「ガスセンサ」の米国特許第4,474,648号及び第4,587,003号は、電気化学ガスセンサを説明している。その全文を本明細書に援用する。
【0004】
ガス濃度が増大するにつれて電流が増大し、対抗電極の電位を変化させる(分極)。簡単な負荷抵抗により相互接続された両電極によって、感知電極電位は対抗電極電位に従う。もしガス濃度が上昇し続けると、感知電極電位は最終的には許容範囲外に移動する。この時点でセンサは非線形になり、2‐電極センサが測定に使用可能なガス濃度の事実上の上限になる。分極による非線形は、基準電極である第3電極を付加し、外部定電圧動作回路を使用することにより回避される。
【0005】
反応ガスが無い場合は、感知電極は基準線として知られる微小信号を示す。校正によって基準線はゼロに定められ得る。しかし、基準線の大きさは温度に伴って指数関数的に増大する。補助電極である第4電極は、温度変化の影響を相殺するために使用され得る。従って、仕事場や周囲の空気の汚染物質をモニタリングするためには、3或いは4電極の電気化学検出器は小型、軽量、かつ十分に正確で信頼性があり、さらに費用対効果が良好である。
【0006】
工業工程測定の分野では、特に精製装置、化学物質流及び廃棄物分析では、硫黄や窒素の含有量を測定するためにしばしば採用される分析器の1つの型は、蛍光検出器や化学発光検出器をそれぞれ組み込んでいる。例えば1992年10月6日付けの米国特許第5,152,963号を参照のために援用するが、その中に、遊離硫黄および、硫黄や窒素の化合物を含有する気体、液体或いは固体試料について動作する、全硫黄分析器システムが示されている。試料は先ず燃焼して、二酸化硫黄(SO2)および窒素酸化物(NO)を含有する燃焼生成物が得られる。SO2量は、蛍光を得るために特定周波数の紫外線光に暴露されることによって測定され、蛍光フォトンは光電子倍増管によって測定される。NOはオゾンと反応してNO2を形成し、この反応において化学発光光が放射されて測定される。
【0007】
蛍光検出器や化学発光検出器を使用した分析器は紫外線源や、関連の光学部品、光電子倍増管およびオゾン発生器等の多くの部品を必要とする。これらの多種の部品はそれぞれ、測定における誤差源の可能性があり、かつ幾つかの部品は高価であるばかりでなく傷つき易く、繊細で、壊れ易い。結局、全窒素、硫黄,及び/或いは塩素を測定可能な,簡単で安価な実験室や野外用の分析器の必要性は残されている。
【0008】
発明の要約
本発明は、固体、液体あるいは気体試料中の全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の測定のための分析器システムおよび方法を提供する。試料は燃焼室に移送されて、酸素の存在下で燃焼して燃焼ガスを発生する。基本的には試料中の全窒素は、2原子窒素(N2)以外は窒素酸化物(NO)に変化する。基本的には、試料中の全硫黄は二酸化硫黄(SO2)に変化する。基本的には、試料中の全塩素は塩化水素(HCl)に変化する。水分は燃焼ガス中に代表的に存在し、乾燥機中で除去されることが望ましい。乾燥燃焼ガスは電気化学検出器、測定される特定化合物毎に1つの検出器、に供給される。制御システムは、燃焼室や検出器等の幾つかの部品を監視し制御するためのユーザインタフェイスを備える。
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
図1を参照して、本発明による、試料中の全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の測定のための分析システム10を概略的に説明する。高純度アルゴン等の不活性キャリヤガス12が試料導入器具14に供給され、質量流量制御器16がキャリヤガス12の流れを制御する。試料導入器具14は分析用試料を受け入れ、その試料は液体、或いは炭化水素マトリクスであり、固体、液体、気体等である。固体試料は石英カプセルあるいは石英の試料ボートによって導入される。液体試料はマイクロリッター注射器、石英カプセルあるいは石英の試料ボートによって導入され、気体試料は気体試料弁あるいは気密注射器によって導入される。その試料導入器具は、試料の状態に適合していなければならず、試料を正確に再現性良く移送可能でなければならない。
【0010】
酸素18、好ましくは高純度酸素、が試料導入器具14からの試料と混合され、その混合物が高温炉モジュール20に供給される。酸素18は又、炉モジュール20に直接供給され、質量流量制御器22が混合された酸素18の全流量を制御する。炉モジュール22は高温管状炉を備え、それは、約900〜1200℃の範囲で連続動作可能な石英燃焼管でもよいし、少なくとも約1600℃、好ましくは1800℃まで連続動作可能なセラミック燃焼管でもよい。石英燃焼管は石英の小片で固められており、K型熱電対あるいはそれと同等品が温度測定に使用される。炉モジュール22のハウジングから過剰の熱を除去するために冷却ファンが備えられる。炉モジュール20としての使用に適した炉は、スプリング(Spring)、テキサス(Texas)のエーピーエステクノロジー(APS Technologies)社から入手可能である。
【0011】
炉モジュール22において、試料は高温で酸素冨加された雰囲気中で気化し、かつ酸化される。試料とそれのすべての成分は、酸化物として不安定な塩素を除いて、安定な酸化物からなる燃焼ガスを生成する。塩素は燃焼ガス中で水と反応して塩化水素(今後は「HCl」と記載する)を生成する。その水分は燃焼の副産物として生成するか或いは試料の一部として導入される。従って、試料中の塩素はHClに変化する。試料中の窒素は、2原子窒素のN2、を除いて、窒素酸化物(今後は「NO」と記載する)に変化する。試料中の硫黄は二酸化硫黄(今後は「SO2」と記載する)に変化する。試料中の窒素、硫黄、及び塩素は本質的にはあらゆる化合物として存在可能であり、試料中の窒素、硫黄、及び塩素の元素は殆ど完全にそれぞれNO,SO2,HClに変化する。従って、これらの化合物の測定により、試料中のこれらの元素の全量測定が可能である。例えば、炭化水素マトリクス中では、窒素と硫黄とは炭化水素分子と結合していてもよいし、塩素は塩素化有機化合物として存在していてもよい。
【0012】
炉モジュール22中で生成した燃焼ガスは、脱水のためにガス脱水装置24中で乾燥され、無水あるいは乾燥燃焼ガス試料が生成される。燃焼ガス中の水分は、炉モジュール22で、酸化の副産物として生成される、或いは例えば、液体試料の一部であってもよい。どちらの場合でも、水分を除去することは好ましい。ガス脱水装置24は、パーマピュア(Perma Pure)社がナフィオン(Nafion)の登録商標で、部品番号PD‐624‐12PP‐APSで販売している浸透乾燥機、或いはそれと同等の乾燥機からなる。代替として、燃焼ガスから水分を除去するために、加熱ガス搬送管を備えた98%硫酸吸収装置も使用可能であり、このようにして無水あるいは乾燥燃焼ガス試料が生成される。
【0013】
ガス脱水装置24からの乾燥燃焼ガス試料はマイクロ電気化学検出器システム26に供給される。マイクロ電気化学検出器システム26は少なくとも一つ、最大で三つの電気化学検出器を備える。この実施例においては、電気化学NO検出器26a、電気化学SO2検出器26b、電気化学HCl検出器26c、の三つの電気化学検出器を示した。電気化学NO検出器26aはNOを選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のNOの測定を妨害しない。電気化学的SO2検出器26bはSO2を選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のSO2の測定を妨害しない。同様に、電気化学的HCl検出器26cはHClを選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のHClの測定を妨害しない。
【0014】
適当な電気化学検出器は、英国のハンツ(Hants)、ポーツマス(Portsmouth)に所在するシチーテクノロジー(City Tehnology)社から入手可能である。シチーテクノロジー社は、電気化学NO検出器26aとしての使用に適した、部品番号3MNT或いはそれと等価の三つか四つの電極モデルを有している。同社は又、電気化学SO2検出器26bとしての使用に適した、部品番号3MST/ F或いはそれと等価の三つか四つの電極モデルを有しており、同様に電気化学HCl検出器26cのためのものも有している。電気化学検出器システム26は、電気化学検出器26a、26b、26cを経て試料の流れを導くための電磁弁28を備える。それは並列でも直列でも動作可能であり、測定の際の妨害はないので、直列の場合はいかなる順序でもよい。電気化学検出器26a、26b、26cから試料を抜くためにベント(ガス抜き孔)30が設けられている。電気化学的検出器システム26の中で、すべての電気化学的検出器26a、26b、26cが使用可能であり、或いはいずれか1つか2つの使用も可能である。特殊な使用の際は、電気化学検出器26a、26b、26cのどれを使用するかを決定する。電気化学検出器26a、26b、26cに関する更なる情報のために、上記に援用した電気化学的検出器に関する特許を参照し得る。
【0015】
制御システム32は、電子インタフェイス34、試料導入器具14、質量流量制御器16,22、炉モジュール20、ガス脱水装置24、および電気化学検出器システム26によって、ユーザインタフェイス、工程能力および動作のためのエレクトロニクスを提供している。黒い太い線は部品間の電気接続を、細い線は試料,キャリヤガス12、及び/或いは酸素18の流れを示す。制御システム32は現在はパーソナルコンピュータを使用しており、グラフによるインタフェイスは、マイクロソフト(Microsoft)社がウィンドーズ95或いはウィンドーズNTの商標で供給しているソフトウェアを使用して備えている。モニター36、キーボードおよびマウス等のポインティング機器は、使用者のために制御システム32のインタフェイスを備えている。制御システム32は、モニター36あるいはプリンタ38によってデータを記憶および表示する。また制御システム32は、ネットワークシステム40によって他のコンピュータとネットワ−クされ得る。このような分析器システムで代表的に使用されるソフトウェアは、多種の部品の制御や、データの操作,表示、及び解析を備える。
【0016】
図2を参照して、制御システム32および電子インタフェイス34について詳述する。制御システム32は、パーソナルコンピュータの主要バスであるPCバス42を備える。4つのPCボード44a、44b、44c、44dはPCバス42と直接接続し、分析システム10中の多種の部品の、殆ど実時間での制御を行い、一方パーソナルコンピュータは管理制御、モニタリング、およびデータ記憶と解析を行う。PCボード44aは炉のPCボード46と接続され、常に備えられている。PCボード44aは多種の定期的事象だけでなく、炉モジュール22、試料導入器具14、および質量流量制御器16,22を殆ど実時間で制御する。使用、従って検出され測定されるべき化合物によって、PCボード44b、44c、44dのうちの少なくとも1つは備えられる。検出器インタフェイスボード48は、PCボード44b、44c、44d、と電気化学検出器セル26a’、26b’、26c’との間の電力、グランドおよび信号の接続を同軸ケーブルにより提供する。相互接続ケーブルはPCボード44aを炉のPCボード46に、そしてPCボード44b、44c、44dを検出器インタフェイスボード48に接続する。
【0017】
分析システム10を動作するために、制御システム32を起動し、炉モジュール20を動作温度まで加熱する。最低99.9%純度の乾燥アルゴン或いはヘリウム等の不活性キャリヤガス12、及び、望ましくは最低99.7%純度の酸素18とは、加圧源から得られ、質量流量制御器16と22とはそれぞれ、このシステムを経てこれらのガスの流れを制御する。分析システム10は、試料を分析するための電気化学検出器セル26a、26b、26cを前以て適当に配列させて組み立てられる。濃度とマトリクスとによって、1〜100マイクロリットル(μL)の試料が、上述の石英ボート、石英カプセル、注射器、或いは弁を用いて、試料導入器具14によって分析システム10に供給される。多数の試料のためには、試料をシステムに順次送り込むために、自動試料採取装置が使用され得る。
【0018】
高温(900〜1600℃、代表的には約1000℃)管状炉中における酸素は、炉モジュール20を経て移送されてきた試料を酸化するための高酸化雰囲気を提供する。もし試料が窒素、硫黄、及び塩素化合物を含むならば、炉モジュール20或いはガス脱水装置24からの燃焼ガスはそれぞれ、NO、SO2、及び/或いはHClを含む。試料は、窒素、硫黄、及び/ 或いは塩素の全部、何れか1つ、あるいは何れか2つを含み得る。電気化学検出器セル26a、26b、26cは、試料中のN0、SO2、及び/或いはHClの各々の濃度に比例する信号を発生し、その信号は計算によって、試料中の全窒素、硫黄、塩素を決定するために使用される。その決定値はモニター36で表示、プリンタ38で印刷、或いはネットワーク40によって他のコンピュータに転送可能である。
【0019】
蛍光検出器と発光検出器とは、全窒素と全硫黄とをそれぞれ測定するために選択される、標準或いは代表的な検出器になった。これは構成要素の数や、構成要素の感度や脆弱性により、装置が複雑になっても、そうであった。過去何年間か、電気化学分析を基にした検出器を含めて、代替検出器が検討された。しかしながら、電気化学的分析は満足な結果が得られないとして退けられていた。この見解は、その後実験により本発明が得られるまで存在し続けた。燃焼/ 化学発光検出と燃焼/ 電気化学検出とによる、炭化水素マトリクス中の窒素の分析において得られた代表的なデータである、表1のデータを考える。
【表1】
【0020】
試料中の窒素測定において、電気化学検出器は化学発光検出器よりも高い感度を示した(153,463対109,658カウント)。試料中の全窒素を決定するためには、電気化学的分析は不満足な方法であるとして何年も退けられてきたので、これは驚くべき結果であった。更に、電気化学検出器は化学発光検出器よりも良い再現性を示した(4,517対7,519カウントの標準偏差によって示される)。これもまた予想外の結果であった。分析システム10の信号対雑音比(SN比)は、化学発光検出器や蛍光検出器(共に感度が優れ、かつ雑音が低い)を使用した従来技術システムよりも大幅に良好であることも分かった。化学発光検出器や蛍光検出器を使用した従来技術システムのSN比は、一般に2対1であったが、分析システム10のSN比は大幅に優れ、10対1以上であった。分析システム10を用いた、試料中の窒素、硫黄、或いは塩素の検出可能量は重量で約1PPM、即ち1mg/ kg以下である。
【0021】
燃焼/ 電気化学検出による、炭化水素マトリクス中の窒素、硫黄及び塩素の分析の代表的なデータである、更なるデータを表2に示す。すべての試料は、誤差源として試料採取を除去する傾向にある液体自動試料採取器システムと接続した、マイクロリッターの注射器によって注入された。
【表2】
【0022】
表2中の積算器カウントデータは、電気化学検出器による窒素、硫黄,或いは塩素の良好な感度を示しており、又標準偏差は良好な再現性を示している。
従って、人間の安全性モニタリングのために使用される電気化学検出器は、工業工程測定の分野における分析器に使用される検出器として、化学発光検出器や蛍光検出器よりも優れていることが分かった。分析システム10及びそれの電気化学検出器26は、使用者が操作するためには、化学発光検出器や蛍光検出器を使用した分析システムより簡単であることが分かった。化学発光検出器や蛍光検出器を使用した従来技術の分析システムは、オゾン発生器、紫外線源、光学部品、及び光電子増倍管を必要とする。これらはそれぞれ基準線のドリフト等の誤差源になり、分析システム組み立てのコスト要因となる。
【0023】
一方、分析システム10は少数の部品しか必要としない。又、電気化学検出器システム26は耐久性があり、実験室や野外の環境で一般的に出会う環境因子に耐え得る。分析システム10は、野外での安全性の要求に対応するための適切な組み立てと封入、及び遠隔操作用のケーブル敷設等の必要な改装を付加することにより、工程分析器として野外環境中での使用に対して充分に耐久性がある。電気化学検出器26a、26b、26cは従来技術の分析システムにおける部品の幾つかに比べて安価なので、分析システム10は従来技術システムよりも安価に組み立て得る。分析システム10は、全窒素及び/或いは硫黄の分析に使用される従来技術の分析システムでは使用不可能な、塩素分析において更なる優位性を備える。
【0024】
本発明の前述の開示と記載は説明や解説のためであり、当業者にとって、この開示から見て、ここで開示した実施例に対する多種の変更や代替は明らかである。このような変更や修正は請求した本特許の精神と範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分析システムの概略図。
【図2】図1の分析システムのための制御及びインタフェイスシステムの概略図。
発明の分野
本発明は、液体や炭化水素マトリクス中の全窒素、 硫黄、及び/ 或いは塩素量を決定する、より詳細には、燃焼によって試料を酸化し、電気化学検出器を使用して特定の化合物を検出するための装置や方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
仕事場や周囲の空気モニタリングの分野において、電気化学理論を用いた有害ガスモニターは、PPMレベルの気体窒素酸化物(NO)、二酸化硫黄(SO2)及び塩化水素(HCl)の測定に使用可能である。有害ガスに暴露される危険性のある作業者は、人々が吸っている空気を採取し、かつ試験する装置を携帯する。その装置は深刻な暴露を受けた作業者に警告し、かつ累積暴露を記録する。このような装置は概して、大量の試料を使用して非常に低濃度を測定するが、装置は作業者が携帯し得るような小型サイズでなければならない。
【0003】
例えば、英国のハンツ(hants)、ポーツマス(portsmouth)に所在するシチーテクノロジ(City Technology)社は空気中のNO、SO2及びHCl等の汚染物質をモニタリングするためのセンサを供給している。シチーテクノロジ社は空気汚染物質を測定するためのセンサとして電気化学検出器を使用している。電気化学理論を基に操作する簡単なセンサは、薄い電解質層によって分離され、かつ低抵抗の外部回路によって接続されている、感知電極と対抗電極との2つの電極を備える。センサ中へ拡散したガスは、感知電極の表面で反応し、酸化或いは還元によって発生した電流が外部回路を経て両電極間を流れる。その電流はガスの濃度に比例し、外部回路中の負荷抵抗によって測定され得る。反応が発生するためには、感知電極電位は特定の範囲内でなければならない。タントラム等に付与された名称が「ガスセンサ」の米国特許第4,474,648号及び第4,587,003号は、電気化学ガスセンサを説明している。その全文を本明細書に援用する。
【0004】
ガス濃度が増大するにつれて電流が増大し、対抗電極の電位を変化させる(分極)。簡単な負荷抵抗により相互接続された両電極によって、感知電極電位は対抗電極電位に従う。もしガス濃度が上昇し続けると、感知電極電位は最終的には許容範囲外に移動する。この時点でセンサは非線形になり、2‐電極センサが測定に使用可能なガス濃度の事実上の上限になる。分極による非線形は、基準電極である第3電極を付加し、外部定電圧動作回路を使用することにより回避される。
【0005】
反応ガスが無い場合は、感知電極は基準線として知られる微小信号を示す。校正によって基準線はゼロに定められ得る。しかし、基準線の大きさは温度に伴って指数関数的に増大する。補助電極である第4電極は、温度変化の影響を相殺するために使用され得る。従って、仕事場や周囲の空気の汚染物質をモニタリングするためには、3或いは4電極の電気化学検出器は小型、軽量、かつ十分に正確で信頼性があり、さらに費用対効果が良好である。
【0006】
工業工程測定の分野では、特に精製装置、化学物質流及び廃棄物分析では、硫黄や窒素の含有量を測定するためにしばしば採用される分析器の1つの型は、蛍光検出器や化学発光検出器をそれぞれ組み込んでいる。例えば1992年10月6日付けの米国特許第5,152,963号を参照のために援用するが、その中に、遊離硫黄および、硫黄や窒素の化合物を含有する気体、液体或いは固体試料について動作する、全硫黄分析器システムが示されている。試料は先ず燃焼して、二酸化硫黄(SO2)および窒素酸化物(NO)を含有する燃焼生成物が得られる。SO2量は、蛍光を得るために特定周波数の紫外線光に暴露されることによって測定され、蛍光フォトンは光電子倍増管によって測定される。NOはオゾンと反応してNO2を形成し、この反応において化学発光光が放射されて測定される。
【0007】
蛍光検出器や化学発光検出器を使用した分析器は紫外線源や、関連の光学部品、光電子倍増管およびオゾン発生器等の多くの部品を必要とする。これらの多種の部品はそれぞれ、測定における誤差源の可能性があり、かつ幾つかの部品は高価であるばかりでなく傷つき易く、繊細で、壊れ易い。結局、全窒素、硫黄,及び/或いは塩素を測定可能な,簡単で安価な実験室や野外用の分析器の必要性は残されている。
【0008】
発明の要約
本発明は、固体、液体あるいは気体試料中の全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の測定のための分析器システムおよび方法を提供する。試料は燃焼室に移送されて、酸素の存在下で燃焼して燃焼ガスを発生する。基本的には試料中の全窒素は、2原子窒素(N2)以外は窒素酸化物(NO)に変化する。基本的には、試料中の全硫黄は二酸化硫黄(SO2)に変化する。基本的には、試料中の全塩素は塩化水素(HCl)に変化する。水分は燃焼ガス中に代表的に存在し、乾燥機中で除去されることが望ましい。乾燥燃焼ガスは電気化学検出器、測定される特定化合物毎に1つの検出器、に供給される。制御システムは、燃焼室や検出器等の幾つかの部品を監視し制御するためのユーザインタフェイスを備える。
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
図1を参照して、本発明による、試料中の全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の測定のための分析システム10を概略的に説明する。高純度アルゴン等の不活性キャリヤガス12が試料導入器具14に供給され、質量流量制御器16がキャリヤガス12の流れを制御する。試料導入器具14は分析用試料を受け入れ、その試料は液体、或いは炭化水素マトリクスであり、固体、液体、気体等である。固体試料は石英カプセルあるいは石英の試料ボートによって導入される。液体試料はマイクロリッター注射器、石英カプセルあるいは石英の試料ボートによって導入され、気体試料は気体試料弁あるいは気密注射器によって導入される。その試料導入器具は、試料の状態に適合していなければならず、試料を正確に再現性良く移送可能でなければならない。
【0010】
酸素18、好ましくは高純度酸素、が試料導入器具14からの試料と混合され、その混合物が高温炉モジュール20に供給される。酸素18は又、炉モジュール20に直接供給され、質量流量制御器22が混合された酸素18の全流量を制御する。炉モジュール22は高温管状炉を備え、それは、約900〜1200℃の範囲で連続動作可能な石英燃焼管でもよいし、少なくとも約1600℃、好ましくは1800℃まで連続動作可能なセラミック燃焼管でもよい。石英燃焼管は石英の小片で固められており、K型熱電対あるいはそれと同等品が温度測定に使用される。炉モジュール22のハウジングから過剰の熱を除去するために冷却ファンが備えられる。炉モジュール20としての使用に適した炉は、スプリング(Spring)、テキサス(Texas)のエーピーエステクノロジー(APS Technologies)社から入手可能である。
【0011】
炉モジュール22において、試料は高温で酸素冨加された雰囲気中で気化し、かつ酸化される。試料とそれのすべての成分は、酸化物として不安定な塩素を除いて、安定な酸化物からなる燃焼ガスを生成する。塩素は燃焼ガス中で水と反応して塩化水素(今後は「HCl」と記載する)を生成する。その水分は燃焼の副産物として生成するか或いは試料の一部として導入される。従って、試料中の塩素はHClに変化する。試料中の窒素は、2原子窒素のN2、を除いて、窒素酸化物(今後は「NO」と記載する)に変化する。試料中の硫黄は二酸化硫黄(今後は「SO2」と記載する)に変化する。試料中の窒素、硫黄、及び塩素は本質的にはあらゆる化合物として存在可能であり、試料中の窒素、硫黄、及び塩素の元素は殆ど完全にそれぞれNO,SO2,HClに変化する。従って、これらの化合物の測定により、試料中のこれらの元素の全量測定が可能である。例えば、炭化水素マトリクス中では、窒素と硫黄とは炭化水素分子と結合していてもよいし、塩素は塩素化有機化合物として存在していてもよい。
【0012】
炉モジュール22中で生成した燃焼ガスは、脱水のためにガス脱水装置24中で乾燥され、無水あるいは乾燥燃焼ガス試料が生成される。燃焼ガス中の水分は、炉モジュール22で、酸化の副産物として生成される、或いは例えば、液体試料の一部であってもよい。どちらの場合でも、水分を除去することは好ましい。ガス脱水装置24は、パーマピュア(Perma Pure)社がナフィオン(Nafion)の登録商標で、部品番号PD‐624‐12PP‐APSで販売している浸透乾燥機、或いはそれと同等の乾燥機からなる。代替として、燃焼ガスから水分を除去するために、加熱ガス搬送管を備えた98%硫酸吸収装置も使用可能であり、このようにして無水あるいは乾燥燃焼ガス試料が生成される。
【0013】
ガス脱水装置24からの乾燥燃焼ガス試料はマイクロ電気化学検出器システム26に供給される。マイクロ電気化学検出器システム26は少なくとも一つ、最大で三つの電気化学検出器を備える。この実施例においては、電気化学NO検出器26a、電気化学SO2検出器26b、電気化学HCl検出器26c、の三つの電気化学検出器を示した。電気化学NO検出器26aはNOを選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のNOの測定を妨害しない。電気化学的SO2検出器26bはSO2を選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のSO2の測定を妨害しない。同様に、電気化学的HCl検出器26cはHClを選択的に検出し、乾燥燃焼ガス試料中の他の化合物や化学種は、試料中のHClの測定を妨害しない。
【0014】
適当な電気化学検出器は、英国のハンツ(Hants)、ポーツマス(Portsmouth)に所在するシチーテクノロジー(City Tehnology)社から入手可能である。シチーテクノロジー社は、電気化学NO検出器26aとしての使用に適した、部品番号3MNT或いはそれと等価の三つか四つの電極モデルを有している。同社は又、電気化学SO2検出器26bとしての使用に適した、部品番号3MST/ F或いはそれと等価の三つか四つの電極モデルを有しており、同様に電気化学HCl検出器26cのためのものも有している。電気化学検出器システム26は、電気化学検出器26a、26b、26cを経て試料の流れを導くための電磁弁28を備える。それは並列でも直列でも動作可能であり、測定の際の妨害はないので、直列の場合はいかなる順序でもよい。電気化学検出器26a、26b、26cから試料を抜くためにベント(ガス抜き孔)30が設けられている。電気化学的検出器システム26の中で、すべての電気化学的検出器26a、26b、26cが使用可能であり、或いはいずれか1つか2つの使用も可能である。特殊な使用の際は、電気化学検出器26a、26b、26cのどれを使用するかを決定する。電気化学検出器26a、26b、26cに関する更なる情報のために、上記に援用した電気化学的検出器に関する特許を参照し得る。
【0015】
制御システム32は、電子インタフェイス34、試料導入器具14、質量流量制御器16,22、炉モジュール20、ガス脱水装置24、および電気化学検出器システム26によって、ユーザインタフェイス、工程能力および動作のためのエレクトロニクスを提供している。黒い太い線は部品間の電気接続を、細い線は試料,キャリヤガス12、及び/或いは酸素18の流れを示す。制御システム32は現在はパーソナルコンピュータを使用しており、グラフによるインタフェイスは、マイクロソフト(Microsoft)社がウィンドーズ95或いはウィンドーズNTの商標で供給しているソフトウェアを使用して備えている。モニター36、キーボードおよびマウス等のポインティング機器は、使用者のために制御システム32のインタフェイスを備えている。制御システム32は、モニター36あるいはプリンタ38によってデータを記憶および表示する。また制御システム32は、ネットワークシステム40によって他のコンピュータとネットワ−クされ得る。このような分析器システムで代表的に使用されるソフトウェアは、多種の部品の制御や、データの操作,表示、及び解析を備える。
【0016】
図2を参照して、制御システム32および電子インタフェイス34について詳述する。制御システム32は、パーソナルコンピュータの主要バスであるPCバス42を備える。4つのPCボード44a、44b、44c、44dはPCバス42と直接接続し、分析システム10中の多種の部品の、殆ど実時間での制御を行い、一方パーソナルコンピュータは管理制御、モニタリング、およびデータ記憶と解析を行う。PCボード44aは炉のPCボード46と接続され、常に備えられている。PCボード44aは多種の定期的事象だけでなく、炉モジュール22、試料導入器具14、および質量流量制御器16,22を殆ど実時間で制御する。使用、従って検出され測定されるべき化合物によって、PCボード44b、44c、44dのうちの少なくとも1つは備えられる。検出器インタフェイスボード48は、PCボード44b、44c、44d、と電気化学検出器セル26a’、26b’、26c’との間の電力、グランドおよび信号の接続を同軸ケーブルにより提供する。相互接続ケーブルはPCボード44aを炉のPCボード46に、そしてPCボード44b、44c、44dを検出器インタフェイスボード48に接続する。
【0017】
分析システム10を動作するために、制御システム32を起動し、炉モジュール20を動作温度まで加熱する。最低99.9%純度の乾燥アルゴン或いはヘリウム等の不活性キャリヤガス12、及び、望ましくは最低99.7%純度の酸素18とは、加圧源から得られ、質量流量制御器16と22とはそれぞれ、このシステムを経てこれらのガスの流れを制御する。分析システム10は、試料を分析するための電気化学検出器セル26a、26b、26cを前以て適当に配列させて組み立てられる。濃度とマトリクスとによって、1〜100マイクロリットル(μL)の試料が、上述の石英ボート、石英カプセル、注射器、或いは弁を用いて、試料導入器具14によって分析システム10に供給される。多数の試料のためには、試料をシステムに順次送り込むために、自動試料採取装置が使用され得る。
【0018】
高温(900〜1600℃、代表的には約1000℃)管状炉中における酸素は、炉モジュール20を経て移送されてきた試料を酸化するための高酸化雰囲気を提供する。もし試料が窒素、硫黄、及び塩素化合物を含むならば、炉モジュール20或いはガス脱水装置24からの燃焼ガスはそれぞれ、NO、SO2、及び/或いはHClを含む。試料は、窒素、硫黄、及び/ 或いは塩素の全部、何れか1つ、あるいは何れか2つを含み得る。電気化学検出器セル26a、26b、26cは、試料中のN0、SO2、及び/或いはHClの各々の濃度に比例する信号を発生し、その信号は計算によって、試料中の全窒素、硫黄、塩素を決定するために使用される。その決定値はモニター36で表示、プリンタ38で印刷、或いはネットワーク40によって他のコンピュータに転送可能である。
【0019】
蛍光検出器と発光検出器とは、全窒素と全硫黄とをそれぞれ測定するために選択される、標準或いは代表的な検出器になった。これは構成要素の数や、構成要素の感度や脆弱性により、装置が複雑になっても、そうであった。過去何年間か、電気化学分析を基にした検出器を含めて、代替検出器が検討された。しかしながら、電気化学的分析は満足な結果が得られないとして退けられていた。この見解は、その後実験により本発明が得られるまで存在し続けた。燃焼/ 化学発光検出と燃焼/ 電気化学検出とによる、炭化水素マトリクス中の窒素の分析において得られた代表的なデータである、表1のデータを考える。
【表1】
【0020】
試料中の窒素測定において、電気化学検出器は化学発光検出器よりも高い感度を示した(153,463対109,658カウント)。試料中の全窒素を決定するためには、電気化学的分析は不満足な方法であるとして何年も退けられてきたので、これは驚くべき結果であった。更に、電気化学検出器は化学発光検出器よりも良い再現性を示した(4,517対7,519カウントの標準偏差によって示される)。これもまた予想外の結果であった。分析システム10の信号対雑音比(SN比)は、化学発光検出器や蛍光検出器(共に感度が優れ、かつ雑音が低い)を使用した従来技術システムよりも大幅に良好であることも分かった。化学発光検出器や蛍光検出器を使用した従来技術システムのSN比は、一般に2対1であったが、分析システム10のSN比は大幅に優れ、10対1以上であった。分析システム10を用いた、試料中の窒素、硫黄、或いは塩素の検出可能量は重量で約1PPM、即ち1mg/ kg以下である。
【0021】
燃焼/ 電気化学検出による、炭化水素マトリクス中の窒素、硫黄及び塩素の分析の代表的なデータである、更なるデータを表2に示す。すべての試料は、誤差源として試料採取を除去する傾向にある液体自動試料採取器システムと接続した、マイクロリッターの注射器によって注入された。
【表2】
【0022】
表2中の積算器カウントデータは、電気化学検出器による窒素、硫黄,或いは塩素の良好な感度を示しており、又標準偏差は良好な再現性を示している。
従って、人間の安全性モニタリングのために使用される電気化学検出器は、工業工程測定の分野における分析器に使用される検出器として、化学発光検出器や蛍光検出器よりも優れていることが分かった。分析システム10及びそれの電気化学検出器26は、使用者が操作するためには、化学発光検出器や蛍光検出器を使用した分析システムより簡単であることが分かった。化学発光検出器や蛍光検出器を使用した従来技術の分析システムは、オゾン発生器、紫外線源、光学部品、及び光電子増倍管を必要とする。これらはそれぞれ基準線のドリフト等の誤差源になり、分析システム組み立てのコスト要因となる。
【0023】
一方、分析システム10は少数の部品しか必要としない。又、電気化学検出器システム26は耐久性があり、実験室や野外の環境で一般的に出会う環境因子に耐え得る。分析システム10は、野外での安全性の要求に対応するための適切な組み立てと封入、及び遠隔操作用のケーブル敷設等の必要な改装を付加することにより、工程分析器として野外環境中での使用に対して充分に耐久性がある。電気化学検出器26a、26b、26cは従来技術の分析システムにおける部品の幾つかに比べて安価なので、分析システム10は従来技術システムよりも安価に組み立て得る。分析システム10は、全窒素及び/或いは硫黄の分析に使用される従来技術の分析システムでは使用不可能な、塩素分析において更なる優位性を備える。
【0024】
本発明の前述の開示と記載は説明や解説のためであり、当業者にとって、この開示から見て、ここで開示した実施例に対する多種の変更や代替は明らかである。このような変更や修正は請求した本特許の精神と範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分析システムの概略図。
【図2】図1の分析システムのための制御及びインタフェイスシステムの概略図。
Claims (25)
- 試料を受け入れ、かつ酸化するための炉システムであり、該炉システムは入口と出口とを有し、かつ、燃焼ガス流を生成することと、該炉システムの入口に試料を移送するための試料導入器具と、選択的に化合物を検出するために燃焼ガス流を受け入れる電気化学検出器と、からなる全窒素、及び/或いは全硫黄、及び/或いは全塩素の測定のための分析システム。
- 前記炉システムに接続された電子制御システムと、分析パラメータを操作し、かつ調整するための検出器とを更に備える請求項1に記載の分析システム。
- 炉システムが、少なくとも1200℃まで動作可能な石英燃焼管を備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記石英燃焼管が石英の小片で固められている請求項3に記載の分析システム。
- 前記炉システムが、1200℃以上で動作可能なセラミック燃焼管を備える請求項1に記載の分析システム。
- 試料を酸化するために、酸素が前記炉システム中で使用される請求項1に記載の分析システム。
- 前記炉システムが、制御システムに接続された電子質量流量制御器を備える請求項2に記載の分析システム。
- 前記試料導入器具が、前記炉システムの入口に固体試料を移送するための石英カプセルを備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記試料導入器具が、前記炉システムの入口に試料を移送するための石英試料ボートを備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記試料導入器具が、前記炉システムの入口に試料を移送するための注射器を備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記試料導入器具が、前記炉システムの入口に試料を移送するためのガス試料弁を備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記検出器が少なくとも3つの電極を有する請求項1に記載の分析システム。
- 前記検出器が窒素酸化物(NO)を検出する請求項1に記載の分析システム。
- 前記検出器が二酸化硫黄(SO2)を検出する請求項1に記載の分析システム。
- 前記検出器が塩酸(HCl)を検出する請求項1に記載の分析システム。
- 前記制御システムが使用者のためにグラフインタフェイスを備え、かつ該制御システムがデータを蓄積し、保存する請求項2に記載の分析システム。
- 前記制御システムがパーソナルコンピュータシステムを備える請求項16に記載の分析システム。
- 前記炉システムは炉制御モジュールを備え、前期検出器は検出器制御モジュールを備えており、前記制御システムは、該炉制御モジュールと該検出器制御モジュールとに前記パーソナルコンピュータシステムを接続するためのインタフェイスボードを備える請求項17に記載の分析システム。
- 前記炉システムのための封入を更に備え、該封入を該炉システムを野外分析器中で使用するのに適合させた請求項1に記載の分析システム。
- 燃焼ガス流から水分を除去するために、前記炉システムの出口に接続されたガス脱水装置を更に備える請求項1に記載の分析システム。
- 前記ガス脱水装置が浸透乾燥器からなる請求項20に記載の分析システム。
- 前記ガス脱水装置が硫酸乾燥器からなる請求項20に記載の分析システム。
- 試料を炉システムに移送する工程と、燃焼ガスを生成するために該炉システム中で試料を酸化する工程と、電気化学検出器を用いて燃焼ガス中の化合物を検出する工程と、からなる全窒素、硫黄、及び/或いは塩素の測定方法。
- 電子制御システムにより前記炉システムを制御する工程を更に備える請求項23に記載の方法。
- 検出工程の前に燃焼ガスを乾燥させる工程を更に備える請求項23に記載の方法。
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