JP2004517992A - ポリウレタンの製造方法 - Google Patents
ポリウレタンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004517992A JP2004517992A JP2002558407A JP2002558407A JP2004517992A JP 2004517992 A JP2004517992 A JP 2004517992A JP 2002558407 A JP2002558407 A JP 2002558407A JP 2002558407 A JP2002558407 A JP 2002558407A JP 2004517992 A JP2004517992 A JP 2004517992A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon
- optionally
- alkyl group
- aliphatic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G71/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a ureide or urethane link, otherwise, than from isocyanate radicals in the main chain of the macromolecule
- C08G71/04—Polyurethanes
Abstract
ポリエステル化酵素の存在下、およびオプションとしてヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された2つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合可能なモノマーの存在下で、ヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの官能基を含むカルバメートをポリエステル化することを含むポリウレタンの製造方法である。この方法により、これまでに説明されている方法よりも広範にポリウレタンを商業的にアクセスすることが可能となる。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明はポリウレタンを製造するための新規な方法および新規なポリウレタンに関する。
【0002】
(発明の背景)
ポリエステルをベースとするポリウレタンは周知であり、熱可塑性ポリウレタン、表面コーティング、織物コーティング、接着剤、エラストマ、ポリウレタン発泡体およびポリウレタン分散液を含む多くの用途で広く使用されている。
【0003】
これら材料は、一般に二官能アルコールと二官能酸を反応させ、次にジイソシアネートと反応させてポリウレタンを生成することによって製造されたポリエステル樹脂から製造される。多くのジオールおよび二酸は現在入手可能である。例えばジエチレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールは一般にアジピン酸、コハク酸、テレフタール酸およびその他の多くの二酸と共に使用される。
【0004】
水含有率が小さく、一般に0.05%よりも小さく、ヒドロキシル価の仕様に対する最終酸価が小さく、一般に2mgKOH/g未満であるポリウレタングレードのポリエステルが製造される。ヒドロキシル価は製造されるポリエステルの分子量に応じて約10〜225mgKOH/gまで変わり得る。
【0005】
この結果生じるヒドロキシル官能ポリエステルは二官能または三官能イソシアネートと反応し、ポリウレタンを製造できる。現在市販されているイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそれらの誘導体、イソフォロンジイソシアネートおよびそれらの誘導体、4,4’−ジクロロヘキシルメタンジイソシアネートおよびテトラメチルキシレンジイソシアネートが挙げられる。製造されるポリウレタンはイソシアネート官能基を有するプレポリマーでもよいし、またこれとは異なり、反応中に過剰のポリエステルを使用することによりヒドロキシル官能ポリエステルに基づくポリウレタンを製造することもできる。熱可塑性ポリウレタンも製造できる。しかしながら、市販されているイソシアネートの数はこれら材料の組成を制限している。
【0006】
従って、市販されている開始材料から、より広範なポリウレタンを製造できるようにする新しい方法が望まれている
【0007】
(発明の概要)
本発明者たちはイソシアネート試薬を使用することなく、ポリエステルをベースとするポリウレタンを製造できるようにする新技術、すなわち「非イソシアネートポリウレタン(NIPU)」の製造技術を開発した。本発明の方法はポリウレタン生成物のウレタン結合における窒素源としてカルバメートを使用している。次にこれにより、容易に入手できるジアミン(これらは初期反応においてサイクリックカルボネートと反応する)を所望するポリウレタンを製造するための重合反応のための開始材料として使用できるようにしている。
【0008】
このような技術方針は主要なポリエステル化プロセスが実行された後にウレタン結合が常に導入されるように従来のステップ状の方法を逆にしている。従来の反応順序は150℃を越える温度でウレタン結合が熱解離を受けやすいということによって定められている。従って、ウレタン基を含むプリカーサの(反応の完了を強制するには200〜220℃の温度を必要とする)従来のポリエステル化は不可避的に生成物の変色およびウレタン結合の破壊を引き起こし、従って構造の忠実性が失われ、最終生成物内に遊離イソシアネートが残ることがあり得る。本発明者たちは酵素を触媒とする重合が100℃未満で重合を有効に生じさせることができ、ウレタン基の熱劣化を防止することを立証した。
【0009】
従って、本発明の方法を使用することにより、既に公知の材料への低温のルートを提供できる。更にこの方法を使用することにより、イソシアネートルートを使用する場合に可能であるよりもより広い範囲のポリウレタンを製造することができる。その理由は、スチレンジイソシアネートのような所定のジイソシアネートは市販されていないか、容易に合成できないが、他方の対応するジアミンプリカーサは経済的に入手可能であるからである。例えばエチレンジイソシアネートを使用するイソシアネートルートを介して製造されるのと同じポリウレタンを提供するエチレンジアミンのような化合物は一般にバルクで容易に入手できる。極めて危険であるイソシアネートの使用を回避することは、環境上の理由から、かつ取り扱い方法を簡略化する上でも有利である。
【0010】
次に、より広範な範囲のポリウレタンが提供されることによって、ポリエステルにアクセスする当業者に対し、性質の新規で異なる組み合わせを提供できる。これによってコーティングおよび接着剤のような現在公知の用途を改善でき、更にポリウレタンの新しい用途を提供できる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
従って、本発明はポリエステル化酵素の存在下、およびオプションとしてヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された2つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合可能なモノマーの存在下で、ヒドロキシル基およびカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの反応基を含む少なくとも1つのカルバメート、例えば脂肪族モノカルバメートおよび/または脂肪族もしくは芳香族ビスカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ポリカルバメートをポリエステル化することを含む、ポリウレタンを製造するための方法を提供するものである。
【0012】
重合
本発明の方法は、ヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの官能基を含むカルバメート、例えば脂肪族モノカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ビスカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ポリカルバメートを、酵素を触媒としてポリエステル化することを含む。以下、特に表示しない限り、カルバメートとは脂肪族モノカルバメート、脂肪族または芳香族ビスカルバメートまたは脂肪族または芳香族ポリカルバメート、例えばトリカルバメートのことである。
【0013】
適当な脂肪族モノカルバメートは次の構造式(I)のものを含む。
【0014】
【化13】
【0015】
ここで、R1はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキル基であり、R1は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基と置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)である。
R2はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキル基であり、R1は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基と置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)であり、ヒドロキシル基で置換された時にはR1と同じでもよいし、または別のものでもよい。
【0016】
代表的なヒドロキシアルキル基R1の例としては、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシヘキシルおよびヒドロキシオクチルが挙げられ、これらの各々は末端炭素原子にヒドロキシル基を有することが好ましい。
【0017】
R2はカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物のような置換基を有するアルキル基であるか、またはこれとは異なりヒドロキシル基であることが好ましい。
【0018】
適当な脂肪族または芳香族ビスカルバメートは次の構造式(II)のものを含む。
【0019】
【化14】
【0020】
ここで、同一または別のものでよいR5およびR6はR1でこれまで説明したヒドロキシアルキル基であり、Rは単結合、芳香族基、脂環式基またはオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキレン基であり、R1は置換されないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基によって置換され、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0021】
基Rとして使用するのに適した芳香族および脂環式基としては、フェニレン、トルエン、例えば2,4−トルエンまたは2,6−トルエン、ナフチレン、ジアニシジン、4,4’−メチレン−ビス(フェニール)、2,4’−メチレン−ビス(フェニール)、4,4’−エチレン−ビス(フェニール)、ω,ω’−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−1,4’−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジエチルベンゼン、ω,ω’−ジメチルトルエン、ω,ω’−ジエチルトルエン、シクロヘキシレン、ω,ω’−1,4’−ジメチルシクロヘキサン、ω,ω’−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−メチル−2,4−シクロヘキシレン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシル)、ダイマー酸、1,4−ビス−(プロプ−2イル)ベンゼンおよび1,3−ビス−(プロプ−2イル)ベンゼンが挙げられ、最後の2つの化合物は各プロピル成分上の2位置にてビスカルバメート基の他の部分に結合している。
【0022】
基Rとして使用するのに適したC1〜C2アルキレン基としてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンが挙げられ、これらの各々は置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
【0023】
適当な脂肪族または芳香族ポリカルバメートは次の構造式(IIA)のカルバメートを含む。
【0024】
【化15】
【0025】
ここで、同一または別のものでよい各R5aはR1についてこれまで説明したヒドロキシアルキル基であり、RaはRについて説明した芳香族基、脂環式基またはアルキレン基であり、mは3以上の整数、好ましくは3または4である。
【0026】
カルバメートまたは存在するその他のモノマーのいずれかに存在するヒドロキシル基は立体障害のないものであることが好ましい。第三および立体障害を受た第一および第二ヒドロキシル基は酵素を触媒とするプロセスの条件下では反応しにくい。しかしながら、反応条件のばらつき、例えば使用される特定の酵素または存在する溶剤はカルバメートの官能基内で許容できる立体障害の程度に影響し得る。
【0027】
重合反応の進行を可能にしながら指定された反応条件下で許容できる立体障害の程度は簡単な手探り技術によって決定できる。例えば潜在的な立体障害を受けたヒドロキシル基を含むカルバメートジオールは所定の反応条件下で重合することが判っている二酸、例えばアジピン酸により重合できる。簡単な重合が進行しない場合、立体障害の程度は本発明で使用するには大きすぎる。
【0028】
同様に、カルバメートまたは存在する他のモノマーのいずれかに存在するカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物は立体障害を受けていない基であることが好ましい。許容できる立体障害の程度は上記と同様な態様で手探り法により決定できる。
【0029】
本発明のカルバメートは立体障害を受けていない2つのヒドロキシル基、立体障害を受けていない1つのヒドロキシル基、および立体障害を受けていない1つのカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物、または立体障害を受けていない2つのカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を含むことが好ましい。
【0030】
カルバメートはオプションで別の置換基、例えば別のヒドロキシル基またはカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物もオプションで含むことができる。かかる別の置換基が存在する場合、重合反応中に架橋が生じ得る。このように、樹脂内に枝分かれを導入する性質により、より広範な種々のポリウレタンへのアクセスが可能となる。
【0031】
特に好ましいモノカルバメートとしてはアミノールまたはアミノ酸、もしくはそれらのエステルおよびエチレンカーボネートから誘導されたものが挙げられる。特に好ましいビスカーボネートとしては第一ジアミン、特にヘキサメチレンジアミンおよびエチレンカーボネートの2つの分子から誘導されたものを含む。特に好ましいポリカルバメートはメラミンおよびエチレンカーボネートの3つの分子から誘導されたようなトリカルバメートが挙げられる。
【0032】
カーボネートモノマーが少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を有する場合、または共ポリエステル化できる2つ以上のカルバメートモノマーが存在する場合、任意の別の非カルバメートモノマーが存在しなくても、本発明のポリエステル化を実行できる。非カルバメートモノマーが存在しなくても実行できるポリエステル化の例としては、ヒドロキシ−カルボキシカルバメートのホモ重合、ジヒドロキシカルバメートとジカルボキシカルバメートとの共重合、またはジカルバメートとジカルボキシカルバメートおよびヒドロキシ−カルボキシカルバメートとの三元共重合が挙げられる。
【0033】
カルバメートモノマーが(共)ポリエステル化可能な場合、所望すればカルバメート(単数または複数)の他に1つ以上のモノマーが存在してもよく、これらモノマーはカルバメート(単数または複数)と共重合可能である。各追加モノマーはヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルまたは無水物から選択された少なくとも2つの官能基を有する。共重合可能なモノマーとしては、使用される重合条件下でカルバメート(単数または複数)と重合する任意のモノマーが挙げられる。モノマーが特定の条件下で特定のカルバメート(単数または複数)と共重合可能であるかどうかを判断するために手探り法を使用できる。
【0034】
一般に脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された1つ以上のモノマーの存在下でジオールまたはポリオールとのポリエステル化が実行される。
【0035】
適当な脂肪族ジカルボン酸としては、次の構造式(III)のものが挙げられる。
【0036】
【化16】
【0037】
ここで、R7は1つの結合またはオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキレン基であり、R7は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基によって置換され、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0038】
この方法で使用するのに適した脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、次の構造式(IV)のものが挙げられる。
【0039】
【化17】
【0040】
ここで、R8は上記R7について記載されたものである。
【0041】
適当な脂肪族ジオールとしては次の構造式(V)のものが挙げられる。
【0042】
【化18】
【0043】
ここで、R9は上記R7について記載されたものである。
【0044】
適当な脂肪族ポリオールとしては次の構造式(VI)のものが挙げられる。
【0045】
【化19】
【0046】
ここで、R10はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキレン基であり、R10は同一または別のものでよい1つ以上の置換基によってオプションとして更に置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0047】
本明細書に記載するC1〜C12のアルキル基、アルキレン、ヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルキレン基は置換されていてもよいし、されていなくてもよく、またヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルキレン基の場合、更に置換されていてもよく、オプションとしてシスまたはトランスのいずれかの少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する環式、枝分かれまたは直鎖でもよい。C1〜C12のアルキル、アルキレン、ヒドロキシアルキルまたはヒドロキシアルキレン基が2つ以上の二重または三重炭素−炭素結合を有する時、これら結合は共役でもよいし、共役でなくてもよい。C1〜C12のアルキル、アルキレン、ヒドロキシアルキルまたはヒドロキシアルキレン基は1つ以上の置換基とオプションで(更に)置換されており、これら置換基は2つ以上の置換基がある場合、同一でもよいし、異なっていてもよい。ハロゲン置換基としてはフッ素、塩素または臭素が好ましい。
【0048】
本明細書で使用する構造式(VI)のポリオールは少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは3、4または5個のヒドロキシル基を有する。適当なポリオールとしてはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびトリオール、特にグリセロールが挙げられる。第三ヒドロキシル基の存在によってポリウレタンに枝分かれを導入できる。カンジダアンタルクチカ(下記参照)からのリパーゼを使用すると、この酵素は優先的に第1ヒドロキシル類をエステル化するので、グリセロールを使用する結果、一般に線状ポリマーが得られるが、所定の酵素を使用すると、枝分かれした生成物が得られる。
【0049】
構造式(V)のジオールは2〜14個の炭素原子を有することが好ましく、このジオールはα、ω−ジオール、例えば1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサン−1,6−ジオールまたはドデカン−1,12−ジオール、最も好ましくは1,4−ブタンジオールである。
【0050】
構造式(IV)のヒドロキシカルボン酸は2〜14個の炭素原子を有し、ヒドロキシ−直鎖脂肪族カルボン酸であることが好ましい。適当なヒドロキシ酸の例としてはグリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシブチル酸、2−ヒドロキシイソブチル酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、クエン酸またはリンゴ酸が挙げられる。
【0051】
高希釈度では構造式(IV)の所定のヒドロキシカルボン酸はラクトン類を形成する性質があるので、酵素を触媒とするプロセスでかかるヒドロキシ酸を使用する時には不要なラクトン化反応を防止するためにこれらヒドロキシ酸を高濃度でのみ使用することが好ましい。
【0052】
構造式(III)の二酸は2〜14個の炭素原子を有することが好ましく、α,ω−二酸、例えば蓚酸、コハク酸、フマール酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸またはアジピン酸であることが適当である。
【0053】
構造式(III)の二酸のエステルはモノエステルまたはジエステル、例えばモノまたはジアルキルエステルでよい。二酸のアルキルエステルまたはヒドロキシ酸のアルキルエステルのアルキル基は1〜4個の炭素原子の各々であることが好ましく、より好ましくは誘導体はメチルまたはエチルエステルもしくはジエステル、最も好ましくはメチルアジペートまたはジメチルアジペートである。
【0054】
従来の化学的な触媒を使用するポリエステル化の温度と比較して、酵素を触媒とする方法で使用される温度が低温であることにより、高温で脱カルボキシ化する二酸およびヒドロキシ酸、例えば蓚酸、酪酸およびグリコール酸を使用することが可能であり、よってより広範な範囲のポリウレタンを製造できる。
【0055】
ヒドロキシ酸およびジオールに存在するヒドロキシル基およびポリオールに存在するヒドロキシル基のうちの少なくとも2つは、第一または第二ヒドロキシル基であることが好ましく、立体障害を受けていないヒドロキシル基であることがより好ましい。二酸またはヒドロキシ酸に存在するカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物も立体障害を受けていないことが好ましい。カルバメートを参照して説明するように、第三ヒドロキシル基または立体障害を受けた官能基は酵素を触媒とする重合条件では反応しない傾向があるが、これらの反応性は選択される特定条件に応じて変わる。特定条件下で許容できる立体障害度を判断するのに手探り法を使用できる。
【0056】
追加モノマーを用いない場合カルバメートモノマーを(共)ポリエステル化できない時には上記構造式(III)、(IV)、(V)または(VI)の別のモノマーを使用する。従って、使用するカルバメート(単数または複数)がヒドロキシル基しか含まず、カルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を含まない時は、重合反応の際に少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物が存在していなければならない。同様に、使用するカルバメート(単数または複数)がカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物しか含まず、ヒドロキシル基を含まない時には、重合反応の際に少なくとも1つの脂肪族ジオールまたはポリオールが存在していなければならない。
【0057】
本発明の種々の実施例では、カルバメートの他に重合プロセス中で使用されるモノマーの組み合わせとして(上記条件を受けて)、二酸単独;ヒドロキシル酸単独;二酸およびジオール;二酸およびポリオール、二酸、ジオールおよびポリオール;二酸、ヒドロキシ酸およびジオール;二酸、ヒドロキシ酸およびポリオール;ヒドロキシ酸およびジオール;ヒドロキシ酸およびポリオール;ポリオール単独またはジオール単独、もしくは例えば二酸をそのメチルエステル誘導体またはエチルエステル誘導体へ置換したモノマーの他の適当な任意の組み合わせが挙げられる。
【0058】
モノマーの好ましい組み合わせとしては、ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステル、例えばアジピン酸またはジメチルアジペートとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン酸/ジエチレングリコール、ジメチルアジペート/ジエチレングリコール、アジピン酸/1,6−ヘキサンジオールまたはジメチルアジペート/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびポリオール、例えばアジピン酸/グリセロールまたはアジピン酸/トリメチロールプロパンとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステル、ジオールおよびポリオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール/グリセロールまたはアジピン酸/1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパンとの組み合わせ;ヒドロキシ−カルボキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン酸/ジエチレングリコールまたはアジピン酸/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ;ジカルボキシカルバメートとジオール、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはジエチレングリコールとの組み合わせ;ジカルボキシカルバメートとポリオール、例えばグリセロールまたはトリメチロールプロパンとの組み合わせ;またはジカルボキシカルバメートと二酸または二酸のメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン/ジエチレングリコールまたはアジピン酸/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせが挙げられる。
【0059】
反応体のうちの、酵素でポリエステル化可能なカルボン酸基と、酵素でポリオール化可能なヒドロキシル基とは、一般にほぼ同じ数だけ存在する。反応は化学量論的アンバランスで生じ得るが、一般にこの反応の結果、反応体が等モル量で使用された場合よりも低い重量平均分子量の生成物が生じる。
【0060】
一般にカルバメートがモノまたはビスカルバメートである場合、官能基として2つのヒドロキシル基を有し、カルバメートがトリカルバメートである場合、官能基として3つのヒドロキシル基を有し、カルバメートがポリカルバメートである場合、更なる数のヒドロキシル基を有し、存在する他のモノマーとして二酸またはジオールがある。
【0061】
架橋したポリウレタンを製造するのに、本発明の方法を使用できる。架橋が望まれる場合、モノマーの少なくとも1つにはヒドロキシル基およびカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物が選択された別の官能基、例えば少なくとも3つの官能基(例えば3、4または5個の官能基)が存在していなければならない。例えばカルバメートは各カルバメート鎖に少なくとも1つの官能基を含むポリカルバメートまたはかかる3つの官能基、例えば3つのヒドロキシル基を含むモノまたはビスカルバメートでよい。これとは異なり、またはこれに加えて、コーモノマーとしてポリオール、ヒドロキシル二酸、ジヒドロキシ酸および/または三酸が存在してもよい。所望する場合には3つ以上の官能基を含む2つ以上のモノマーも使用できる。好ましくは各モノマーに存在する3つ以上の官能基の少なくとも3つは立体障害を受けていない基であり、これらの基がヒドロキシル基である場合には第一または第二基であることが好ましい。酵素ポリエステル化の後の後続工程として3またはそれより多い官能基のモノマーを使用することによって導入された枝分かれポイントで架橋するのに、従来の化学的方法を使って更に架橋を導入してもよい。
【0062】
溶剤を使用することなく反応を実施してもよいし、また有機溶剤が存在してもよい。適当な溶剤は反応に不活性であり、酵素を不活性化せず、酵素の脱水を防止するように、水に十分に不混和性である。所定の芳香族溶媒、例えばトルエンが適当である。
【0063】
本発明で使用できる酵素としては、市販されているリパーゼが挙げられる。溶剤がない状態でポリエステル化を実行する場合、好ましい酵素はカンジダアンタルクティカから誘導されたリパーゼである。
【0064】
他の適当なリパーゼは簡単な手探り実験によって識別できる。使用できる酵素および基体および酵素を触媒とする方法のより詳細については、英国公開特許出願第GB−A−2272904号、国際特許出願第PCT/GB93/02461号およびPCT/GB97/01084号を参照されたい。これら文献の各々を本書で参考例として援用する。
【0065】
ポリウレタンを形成するよう上記モノマーをポリエステル化できる別の酵素は簡単な手探り実験で容易に識別できる。
【0066】
本方法で使用される酵素は不活性キャリア、例えばポリマー、例えば陰イオン交換樹脂、アクリル樹脂またはポリプロピレン、ポリエステルまたはポリウレタン樹脂に結合してもよいし、または遊離状態で使用してもよい。酵素が不活性キャリアに結合している時は、複雑な精製工程を使用することなく、反応混合物から酵素を容易に除くことができる。これによって酵素を回収し、再使用することが可能となる。好ましい例としては、Novo Industri AS社のNovozime 435(商標)から入手できるリパーゼが挙げられ、この場合、酵素はマクロな多孔性アクリル樹脂に固定されている。これとは異なり、ポリマー状生成物に残留した遊離酵素を使用してもよい。この場合、プロセス中の後のステージで酵素を不活性にすることが望ましい場合がある。遊離リパーゼの溶液、例えばNovozime 425(商標)が好ましい。
【0067】
全反応時間は一般に3〜5日、好ましくは3〜4日である。
【0068】
酵素の活動度は反応混合物内に存在する材料によって影響される。例えばカンジダアンタルクティカからのリパーゼはグリセロールによって阻害される。初期反応混合物内には枝分かれした多官能モノマー、例えば第2アルコールを含まないことが望ましいが、酵素の活動が低下するのを防止するために、反応が開始するまでこれらを添加することを遅らせることが望ましい。反応がスタートしてから少なくとも12時間後、例えば少なくとも14時間、16時間または24時間後に反応混合物内に枝分かれした多官能モノマーを添加する場合、反応混合物内にまだ酵素が存在していると、酵素の活動度は完全ではないが低下し、枝分かれした多官能モノマーを低下しなかった場合よりも低レートで反応が続く。
【0069】
使用される酵素の量は重要ではなく、一般に経済的要因によって制限される。酵素が過度に少なければ反応は低速となるが、他方、過度に多い酵素は単にコストを不必要に増加させるだけである。カンジダアンタルクティカから誘導されたリパーゼを用いた場合、存在するモノマー(カルバメートを含む)の総重量に対して0.1〜1.5重量%、好ましくは0.1〜0.6%、最も好ましくは0.15〜0.3%の支持された酵素(酵素の重量として計算)を使用することが好ましいことが判っている。
【0070】
この方法は、10〜100℃、好ましくは40〜70℃の温度で一般に実行される。100℃よりも高い温度ではほとんどの酵素は変性するが、変性温度が100℃よりも高い酵素を使用してもよく、(他の試薬が安定であることを条件に)反応をより高い温度で実行してもよい。10℃よりも低い温度では反応は極めて低速であり、完了するまで経済的でない長い時間がかかる。
【0071】
本方法は大気圧または低圧で実行される。反応によって生じる水は一般に反応中に、好ましくは反応コース中に圧力を低下させることによって除かれる。例えば圧力を1×103Pa〜3×104Pa(10〜300ミリバール)、好ましくは5×103Pa〜1×104Pa(50〜100ミリバール)に低下させてもよい。一般に圧力は反応全体にわたってステップ状に低下される。例えば2.5×104〜3×104Pa(250〜300ミリバール)の初期圧力を加え、次に更に1×104〜1.5×104(100〜150ミリバール)に減圧し、更に1×103〜5×103Pa(10〜50ミリバール)に減圧する。これとは異なり、減圧下、例えば500または100Paもしくはそれ未満(5または1ミリバール、またはそれ未満)で拭いた膜式蒸発器により水を除去してもよい。
【0072】
カルバメートの調製
一般に、本発明の方法で使用されるカルバメートは(モノカルバメートを製造するために)脂肪族カーボネートまたはヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物と第一または第二アミノール、アミノ酸またはそのエステル、(ビスカルバメートを形成するため)ヒドラジンまたはジアミン、または(ポリカルバメートを形成するため)ポリアミンとを反応させることによって調製される。しかしながら、所望すれば別のルートも使用できる。
【0073】
適当な脂肪族カーボネートは次の構造式(VII)のものを含む。
【0074】
【化20】
【0075】
ここで、R11はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R11は1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。R11上の置換基は同一でもよいし、または異なっていてもよく、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキルである)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択される。これとは異なり、置換基自身が1つ以上の環式カーボネート基、例えばステブリアンコ外著のジャーナルオブポリマーサイエンス、A部門、ポリマー化学、第38巻、2375〜2380ページに開示されている構造体を支持していてもよい。この文献を本書で参考例として援用する。好ましい基R11としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレンおよびオクチレンが挙げられる。
【0076】
カーボネートはC2〜C6のカーボネート、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートまたはヘキサメチレンカーボネートであることが好ましい。
【0077】
適当な脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物は次の構造式(VIII)のものである。
【0078】
【化21】
【0079】
ここで、R12はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R12は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択され、R3は、ハロゲン基または(C0)mR14(ここでmは、0または1であり、R14はC1〜C12のアルキル基である)である。構造式(VIII)の化合物は、2−ヒドロキシプロパン酸であることが好ましい。
【0080】
適当な脂肪族第一または第二アミノール、アミノ酸およびそれらのエステルとしては次の構造式(IX)で示されるものが挙げられる。
【0081】
【化22】
【0082】
ここで、R15はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキル基であり、R15は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0083】
ここで、R16はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R16は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
Xは、ヒドロキシル基、カルボン酸またはエステル基である。
【0084】
好ましくはアミノール、アミノ酸またはエステルは2〜12個の炭素原子を含み、アミン基は一般に第一アミンである。好ましいアミノールは、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、6−アミノヘキサノールおよび8−アミノオクタノールを含む。好ましいアミノ酸またはエステルは、グリシン、4−アミノブタン酸および6−アミノヘキサン酸およびそれらのメチルまたはエチルエステルである。
【0085】
適当な第一または第二脂肪族または芳香族ジアミンは次の構造式のものを含む。
【0086】
【化23】
【0087】
ここで、R17は1つの結合または上記基Rであり、R18とR19とは同一または異なるものであり、各々はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキル基であり、R18および/またはR19は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0088】
好ましくはジアミンは置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい、C2〜C12の第一ジアミンであり、好ましくはこれらジアミンはヒドロキシル基またはカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物と置換されているか、または置換されていない。ジアミンのアルキレン鎖にかかる置換基が存在している場合、これによって後の重合反応の際に架橋を発生することができる。適当なジアミンの例として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンおよびイソフォロンジアミンが挙げられる。
【0089】
適当な第一または第二芳香族または脂肪族ポリアミンは次の構造式(XI)のものである。
【0090】
【化24】
【0091】
ここでR20は上記基Rであり、同一または異なる各R21は上記基R18であり、rは少なくとも3の整数であり、好ましくはrは上記整数mであるで示されるものである。好ましくはポリアミンはトリアミン、例えばメラミンである。
【0092】
カーボネートとジアミンまたはアミノール、アミノ酸またはエステルの適当な組み合わせとしては、エチレンジアミン/エチレンカーボネート;1,6−ヘキサメチレンジアミン/エチレンカーボネート;イソフォロンジアミン/エチレンカーボネート;プロピレンジアミン/エチレンカーボネート;1,6−ヘキサメチレンジアミン/プロピレンカーボネート;イソフォロンジアミン/プロピレンカーボネート;エタノールアミン/エチレンカーボネート;プロパノールアミン/エチレンカーボネート;エタノールアミン/プロピレンカーボネート;プロパノールアミン/プロピレンカーボネート;メラミン/エチレンカーボネートおよびメラミン/プロピレンカーボネートが挙げられる。
【0093】
カーボネートがジアミンと反応する際に、ジアミンに対するカーボネートのモル比は一般に約2:1である。カーボネートがトリアミンと反応する際に、トリアミンに対するカーボネートのモル比は一般に約3:1である。
【0094】
モノカルバメートを形成するためのアミノール、アミノ酸またはそれらのエステルとカーボネートとの間の反応、およびビスカルバメートを形成するためのジアミンとカーボネートとの間の反応、およびポリカーボネートを形成するためのポリアミンとカーボネートとの間の反応は当業者に周知である。従って、反応を実行するのに当業者に公知の任意の適当な技術を使用できる。一般に反応は高温で、例えば30〜100℃、好ましくは40〜70℃で実行される。
【0095】
この反応には溶剤は不要であるが、不活性溶剤を使用できる。
これとは異なり、重合反応におけるモノマーとして使用すべきジオール内で反応を行ってもよい。カルバメートはジオール内の溶液として製造され、カルバメートを生成することなく、すなわちワンポット方法でこの溶液にて重合反応を直接実行できる。
【0096】
カルバメートが所望するジオールを除く溶剤内で製造されるか、または溶剤を使用しない場合、重合工程に移る前に生成物を再結晶化してもよい。
【0097】
1つの特徴によれば、本発明は
(i)ジアミンとカルバメートとを反応させ、ビスカルバメートを形成する工程と、
(ii)こうして生成されたビスカルバメートをポリエステル化酵素の存在下でジオールおよび二酸と共にポリエステル化し、ポリウレタンを生成する工程とを備えた上記方法に関する。
【0098】
別の特徴によれば、本発明は
(i)ポリアミンとカーボネートとを反応させ、ポリカルバメートを形成する工程と、
(ii)こうして生成されたポリカルバメートをポリエステル化酵素の存在下でジオールおよび二酸と共にポリエステル化し、ポリウレタンを生成する工程とを備えた上記方法にも関する。
【0099】
ポリウレタン
本書で使用する「ポリウレタン」なる用語は、上記本発明の方法によって得ることができる物質を含む。
【0100】
本発明の方法によって製造されるポリウレタンは接着剤、例えばホットメルト接着剤、織物コーティング、表面コーティング、熱可塑性ポリウレタン、エラストマーおよびポリウレタン分散液として使用できる。本方法によって親水性ポリウレタンも製造でき、かかる化合物はポリウレタンの呼吸可能な織物コーティングで使用するのに適す。上記のように、ポリウレタンは架橋でき、本発明によって製造される化合物のより広範な用途を提供する。
【0101】
ポリウレタン組成物は本発明のポリウレタンと、接着剤またはコーティングに従来存在するような別の添加剤、例えば酸化防止剤および触媒と混合することによってポリウレタン組成物を形成できる。これら組成物またはポリウレタン自身を、ポリウレタンまたは組成物の対応する用途に適したコーティングのような種々の形状の物品となるように成形または他の方法で形成することができる。
【0102】
本発明のポリウレタンは好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000の分子量を有する。
【0103】
実施例を参照し、以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0104】
実施例
実施例1A
材料
エチレンカーボネート 107 g
エチレンジアミン 35.26g
トルエン 40 g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、50℃に加熱した。温度が約60℃に保持されるよう、滴下漏斗を介してエチレンジアミンを添加した。初期発熱が観察され、トルエンを添加し、粘性を下げ、熱交換を助けた。エチレンジアミンの添加が完了すると、4時間の間、反応混合物を65℃に保持した。
エタノール中でビスカルバメート生成物を再結晶化し、洗浄し、乾燥した。記録された収率は理論値の60%であった。溶融点は93℃と測定された。
【0105】
実施例1B
材料
実施例1Aに従って生成されたビスカルバメート 15.0 g
1,4−ブタンジオール 22.5 g
アジピン酸 36.5 g
Novozyme435(商標) 1.49g
手順
実施例1Aに従って生成されたビスカルバメートを70℃で1,4−ブタンジオールに溶解し、その後、アジピン酸(5g)を添加し、アジピン酸が溶解するまで撹拌した。混合物を60℃まで冷却し、更にアジピン酸(5g)を添加し、次にNovozyme435(商標)(0.78g)を添加した。2.63×104Pa(263ミリバール)で2時間、反応を保持した。更にアジピン酸(10g)を添加し、同じ圧力で更に2時間の後に残りのアジピン酸(16.5g)を添加した。撹拌しながら1週間材料を放置し、その後更にNovozyme435(商標)(0.71g)を添加した。次に圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)に低下させ、反応を更に24時間保持した。その後、8時間70℃で1.3×103Pa(13ミリバール)で反応を保持した。
【0106】
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は4500の平均分子量(Mw)と2.4(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0107】
実施例2A
材料
エチレンカーボネート 28.23g
1,6−ヘキサメチレンジアミン 17.42g
トルエン 40 g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、オイル浴内で50℃まで加熱し、その後、ヘキサメチレンジアミン(8g)を添加した。70℃までの発熱が続き、40分後、混合物が凝固した。添加剤としてトルエン(25g)を添加し、オイル浴温度を60℃まで上昇させた。更にヘキサメチレンジアミン(9.42g)を添加し、85℃までの発熱を生じさせた。再び混合物は凝固し、トリチュレートに高温のトルエン(15g)を添加した。冷却して結晶物をフィルタで除いた。
エタノールから材料を2回結晶化し、乾燥させ、70%の収集率で94℃の溶融点を有するビスカルバメートを収集した。
【0108】
実施例2B
材料
実施例2Aに従って生成されたビスカルバメート 7.25 g
1,4−ブタンジオール 22.7 g
アジピン酸 40.17 g
Novozyme435(商標) 1.2 g
手順
実施例2Aに従って生成されたビスカルバメート(7.25g)および1,4−ブタンジオール(22.7g)をフランジフラスコに移し、全体を90℃のオイル浴内に入れた。撹拌しながら窒素下でアジピン酸(8g)を添加し、一旦溶解した後で、Novozyme435(商標)(0.7g)を添加した。5.26×104Pa(526ミリバール)で反応を保持した。2時間後、更にアジピン酸(25g)を添加した。オイル浴温度を60℃まで調節し、処理物を一晩放置した。残りのアジピン酸(7.17g)を添加し、圧力を1.31×104(Pa)(131ミリバール)まで低下させた。材料をこの圧力で一晩放置し、更にNovozyme435(商標)(0.5g)を添加した。圧力を1.05×104Pa(105ミリバール)まで低下させ、浴の温度を70℃まで上昇させた。8時間後、圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで低下させ、再び処理物を一晩放置した。
【0109】
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は9350の平均分子量(Mw)と1.75(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0110】
実施例3
材料
エチレンカーボネート 35.3 g
1,4−ブタンジオール 36.0 g
1,6−ヘキサメチレンジアミン 23.2 g
アジピン酸 73.0 g
Novozyme435(商標) 2.42g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、次に1,4−ブタンジオールを添加した。オイル浴内で混合物を60℃まで加熱し、ヘキサメチレンジアミン(6.0g)を添加した。70℃までの発熱が生じ、88℃までの更なる発熱が観察された時に更にヘキサメチレンジアミン(17.2g)を添加した。混合物を60℃で一晩撹拌した。透明な液体が生じたが、冷却すると白色のワックス状の固体に結晶化した。
赤外線スペクトル分析は反応が完了したことを示し、すべての開始材料が消費されたことを証明した。
【0111】
浴温度を100℃まで上昇させ、ビスカルバメート/ブタンジオール溶液にアジピン酸のアリコート(30g)を添加し、アジピン酸が溶解されるまで反応物を撹拌した(約0.5時間)。混合物を75℃まで冷却し、反応装置を還流モードから蒸留モードへ切り替えた。Novozyme435を添加し、圧力を2.63×104Pa(264ミリバール)まで下げた。1時間後、更にアジピン酸(15g)を添加し、2時間後、更にアジピン酸(15g)を添加し、更に2時間後、更にアジピン酸(13g)を添加した。混合物を75℃で一晩放置した。次に圧力を1.05×104Pa(105ミリバール)へ下げ、1.5時間後、1.3×103Pa(13ミリバール)まで下げ、オイル浴の温度を100℃まで上げ、更に減圧下で更に24時間処理を続け、(目標とする1500MWの数)に近い1488ドルトンの分子量に対応する酸価0.7ミリグラムKOH/Gおよびヒドロキシル価77.5ミリグラムKOH/Gのポリウレタンを生成した。GPC評価はMn2200、Mw4641および分散度2.11を示した。
【0112】
実施例4A
材料
プロピレンカーボネート 51 g
イソフォロンジアミン 42.5g
手順
フラスコにプロピレンカーボネートを添加し、フラスコを60℃のオイル浴に移した。窒素下でイソフォロンジアミン(10g)を添加した。更にイソフォロンジアミン(32.5g)を部分毎に添加し、83℃までの発熱が生じた時に処理物を一晩放置した。NMRおよびGPC特性はビスカルバメートへの反応が完了したことを示した。
【0113】
実施例4B
材料
実施例4Aに従って生成されたビスカルバメート 22.85g
1,4−ブタンジオール 40 g
アジピン酸 73.81g
Novozime435(商標) 2.5 g
手順
実施例4Aに従って生成されたビスカルバメートを含むフランジフラスコに1,4−ブタンジオールを添加し、70℃のオイル浴にフラスコを移した。撹拌しながらアジピン酸(30.15g)を添加した。溶解後、オイル浴の温度を60℃まで下げ、Novozime435(商標)を添加した。5.26×104Pa(526ミリバール)で4時間、60℃に混合物を加熱し、撹拌しながらアジピン酸(43.66g)を添加した。次に圧力を24時間で2.63×104Pa(263ミリバール)まで低下させ、次に更に1.3×103Pa(13ミリバール)へ低下させ、更に24時間プロセスを続けた。
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は6000の平均分子量(Mw)と2.14(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0114】
実施例5A
材料
エチレンカーボネート 63.37g
ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン(MW350) 120.1g
手順
フランジフラスコ内でエチレンカーボネートを60℃まで加熱することによって溶融した。90℃までの発熱が生じた時にビス(3−アミノプロピル)(PTHF)を添加した。反応混合物を60℃まで冷却し、この温度で一晩放置したところ、生成物として赤みがかった粘性液が得られた。NMR分析によりすべてのエチレンカーボネートが消費され、微量の開始アミンしか残っていなかったことが判った。
【0115】
実施例5B
材料
実施例5Aからのビスカルバメート 70.32g
Novozime435(商標) 0.83g
アジピン酸 22.36g
実施例5Aからのビスカルバメート(70.32g)をフランジフラスコへ移し、60℃で溶融した。Novozime435(商標)(0.5gのアリコート)を添加し、次に、次の3時間にわたり、順次3つの等量のアリコート(1時間ごとに1つ)としてアジピン酸(15.1g)を添加した。圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで下げ、12時間これを維持し、次に更に12時間の間、200Pa(2ミリバール)まで下げた。
この時点におけるGPC分析により、MW3000ドルトンの生成物を示したが、まだ多量の開始材料があることも判った。更にアジピン酸(7.2g)を添加し、次にNovozime435(商標)(0.33g)を添加し、60℃の温度を維持し、かつ12時間にわたって圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで低下させ、その後、更に12時間で200Pa(2ミリバール)まで低下させた。この時点での分析により形成されたライトブラウンの樹脂は三価5.0ミリグラムKOH/GおよびGPC6500ドルトンのMWを有することが判った。
【0116】
実施例6A
材料
エチレンカーボネート 41 g
JeffamineD230 53.6g
フランジフラスコ内のエチレンカーボネートを60℃まで加熱し、撹拌しながらJeffamineD230(20.0g)を添加した。若干の発熱が見られた。1時間後、更に第2の投与分のJeffamine(20.0g)を添加したところ、再び若干の発熱があった。フラスコを60℃まで冷却した後に、第3投与分のJeffamine(13.6g)を添加した。フラスコを一晩80℃まで加熱したところ、灰色の粘性液が得られた。TLCは単一生成物を示し、NMRは微量の残留アミンしか示さなかった。
【0117】
実施例6B
材料
実施例6Aからのビスカルバメート 30 g
1,4−ブタンジオール 6.7 g
Novozime435(商標) 0.83g
実施例6Aからのビスカルバメート(30g)および1,4−ブタンジオールをフランジフラスコ内で60℃まで加熱し、3時間にわたって3つの等量の部分としてアジピン酸(21.7g)を添加した。フラスコ内の圧力を1.3×104Pa(131ミリバール)まで下げ、更に48時間、処理を続けたところ、粘性の灰色のポリエステルが得られた。GPC分析はMW6500ドルトンを示した。
(発明の分野)
本発明はポリウレタンを製造するための新規な方法および新規なポリウレタンに関する。
【0002】
(発明の背景)
ポリエステルをベースとするポリウレタンは周知であり、熱可塑性ポリウレタン、表面コーティング、織物コーティング、接着剤、エラストマ、ポリウレタン発泡体およびポリウレタン分散液を含む多くの用途で広く使用されている。
【0003】
これら材料は、一般に二官能アルコールと二官能酸を反応させ、次にジイソシアネートと反応させてポリウレタンを生成することによって製造されたポリエステル樹脂から製造される。多くのジオールおよび二酸は現在入手可能である。例えばジエチレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールは一般にアジピン酸、コハク酸、テレフタール酸およびその他の多くの二酸と共に使用される。
【0004】
水含有率が小さく、一般に0.05%よりも小さく、ヒドロキシル価の仕様に対する最終酸価が小さく、一般に2mgKOH/g未満であるポリウレタングレードのポリエステルが製造される。ヒドロキシル価は製造されるポリエステルの分子量に応じて約10〜225mgKOH/gまで変わり得る。
【0005】
この結果生じるヒドロキシル官能ポリエステルは二官能または三官能イソシアネートと反応し、ポリウレタンを製造できる。現在市販されているイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそれらの誘導体、イソフォロンジイソシアネートおよびそれらの誘導体、4,4’−ジクロロヘキシルメタンジイソシアネートおよびテトラメチルキシレンジイソシアネートが挙げられる。製造されるポリウレタンはイソシアネート官能基を有するプレポリマーでもよいし、またこれとは異なり、反応中に過剰のポリエステルを使用することによりヒドロキシル官能ポリエステルに基づくポリウレタンを製造することもできる。熱可塑性ポリウレタンも製造できる。しかしながら、市販されているイソシアネートの数はこれら材料の組成を制限している。
【0006】
従って、市販されている開始材料から、より広範なポリウレタンを製造できるようにする新しい方法が望まれている
【0007】
(発明の概要)
本発明者たちはイソシアネート試薬を使用することなく、ポリエステルをベースとするポリウレタンを製造できるようにする新技術、すなわち「非イソシアネートポリウレタン(NIPU)」の製造技術を開発した。本発明の方法はポリウレタン生成物のウレタン結合における窒素源としてカルバメートを使用している。次にこれにより、容易に入手できるジアミン(これらは初期反応においてサイクリックカルボネートと反応する)を所望するポリウレタンを製造するための重合反応のための開始材料として使用できるようにしている。
【0008】
このような技術方針は主要なポリエステル化プロセスが実行された後にウレタン結合が常に導入されるように従来のステップ状の方法を逆にしている。従来の反応順序は150℃を越える温度でウレタン結合が熱解離を受けやすいということによって定められている。従って、ウレタン基を含むプリカーサの(反応の完了を強制するには200〜220℃の温度を必要とする)従来のポリエステル化は不可避的に生成物の変色およびウレタン結合の破壊を引き起こし、従って構造の忠実性が失われ、最終生成物内に遊離イソシアネートが残ることがあり得る。本発明者たちは酵素を触媒とする重合が100℃未満で重合を有効に生じさせることができ、ウレタン基の熱劣化を防止することを立証した。
【0009】
従って、本発明の方法を使用することにより、既に公知の材料への低温のルートを提供できる。更にこの方法を使用することにより、イソシアネートルートを使用する場合に可能であるよりもより広い範囲のポリウレタンを製造することができる。その理由は、スチレンジイソシアネートのような所定のジイソシアネートは市販されていないか、容易に合成できないが、他方の対応するジアミンプリカーサは経済的に入手可能であるからである。例えばエチレンジイソシアネートを使用するイソシアネートルートを介して製造されるのと同じポリウレタンを提供するエチレンジアミンのような化合物は一般にバルクで容易に入手できる。極めて危険であるイソシアネートの使用を回避することは、環境上の理由から、かつ取り扱い方法を簡略化する上でも有利である。
【0010】
次に、より広範な範囲のポリウレタンが提供されることによって、ポリエステルにアクセスする当業者に対し、性質の新規で異なる組み合わせを提供できる。これによってコーティングおよび接着剤のような現在公知の用途を改善でき、更にポリウレタンの新しい用途を提供できる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
従って、本発明はポリエステル化酵素の存在下、およびオプションとしてヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された2つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合可能なモノマーの存在下で、ヒドロキシル基およびカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの反応基を含む少なくとも1つのカルバメート、例えば脂肪族モノカルバメートおよび/または脂肪族もしくは芳香族ビスカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ポリカルバメートをポリエステル化することを含む、ポリウレタンを製造するための方法を提供するものである。
【0012】
重合
本発明の方法は、ヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの官能基を含むカルバメート、例えば脂肪族モノカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ビスカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ポリカルバメートを、酵素を触媒としてポリエステル化することを含む。以下、特に表示しない限り、カルバメートとは脂肪族モノカルバメート、脂肪族または芳香族ビスカルバメートまたは脂肪族または芳香族ポリカルバメート、例えばトリカルバメートのことである。
【0013】
適当な脂肪族モノカルバメートは次の構造式(I)のものを含む。
【0014】
【化13】
【0015】
ここで、R1はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキル基であり、R1は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基と置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)である。
R2はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキル基であり、R1は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基と置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)であり、ヒドロキシル基で置換された時にはR1と同じでもよいし、または別のものでもよい。
【0016】
代表的なヒドロキシアルキル基R1の例としては、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシヘキシルおよびヒドロキシオクチルが挙げられ、これらの各々は末端炭素原子にヒドロキシル基を有することが好ましい。
【0017】
R2はカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物のような置換基を有するアルキル基であるか、またはこれとは異なりヒドロキシル基であることが好ましい。
【0018】
適当な脂肪族または芳香族ビスカルバメートは次の構造式(II)のものを含む。
【0019】
【化14】
【0020】
ここで、同一または別のものでよいR5およびR6はR1でこれまで説明したヒドロキシアルキル基であり、Rは単結合、芳香族基、脂環式基またはオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキレン基であり、R1は置換されないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基によって置換され、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0021】
基Rとして使用するのに適した芳香族および脂環式基としては、フェニレン、トルエン、例えば2,4−トルエンまたは2,6−トルエン、ナフチレン、ジアニシジン、4,4’−メチレン−ビス(フェニール)、2,4’−メチレン−ビス(フェニール)、4,4’−エチレン−ビス(フェニール)、ω,ω’−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−1,4’−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジエチルベンゼン、ω,ω’−ジメチルトルエン、ω,ω’−ジエチルトルエン、シクロヘキシレン、ω,ω’−1,4’−ジメチルシクロヘキサン、ω,ω’−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−メチル−2,4−シクロヘキシレン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシル)、ダイマー酸、1,4−ビス−(プロプ−2イル)ベンゼンおよび1,3−ビス−(プロプ−2イル)ベンゼンが挙げられ、最後の2つの化合物は各プロピル成分上の2位置にてビスカルバメート基の他の部分に結合している。
【0022】
基Rとして使用するのに適したC1〜C2アルキレン基としてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンが挙げられ、これらの各々は置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
【0023】
適当な脂肪族または芳香族ポリカルバメートは次の構造式(IIA)のカルバメートを含む。
【0024】
【化15】
【0025】
ここで、同一または別のものでよい各R5aはR1についてこれまで説明したヒドロキシアルキル基であり、RaはRについて説明した芳香族基、脂環式基またはアルキレン基であり、mは3以上の整数、好ましくは3または4である。
【0026】
カルバメートまたは存在するその他のモノマーのいずれかに存在するヒドロキシル基は立体障害のないものであることが好ましい。第三および立体障害を受た第一および第二ヒドロキシル基は酵素を触媒とするプロセスの条件下では反応しにくい。しかしながら、反応条件のばらつき、例えば使用される特定の酵素または存在する溶剤はカルバメートの官能基内で許容できる立体障害の程度に影響し得る。
【0027】
重合反応の進行を可能にしながら指定された反応条件下で許容できる立体障害の程度は簡単な手探り技術によって決定できる。例えば潜在的な立体障害を受けたヒドロキシル基を含むカルバメートジオールは所定の反応条件下で重合することが判っている二酸、例えばアジピン酸により重合できる。簡単な重合が進行しない場合、立体障害の程度は本発明で使用するには大きすぎる。
【0028】
同様に、カルバメートまたは存在する他のモノマーのいずれかに存在するカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物は立体障害を受けていない基であることが好ましい。許容できる立体障害の程度は上記と同様な態様で手探り法により決定できる。
【0029】
本発明のカルバメートは立体障害を受けていない2つのヒドロキシル基、立体障害を受けていない1つのヒドロキシル基、および立体障害を受けていない1つのカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物、または立体障害を受けていない2つのカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を含むことが好ましい。
【0030】
カルバメートはオプションで別の置換基、例えば別のヒドロキシル基またはカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物もオプションで含むことができる。かかる別の置換基が存在する場合、重合反応中に架橋が生じ得る。このように、樹脂内に枝分かれを導入する性質により、より広範な種々のポリウレタンへのアクセスが可能となる。
【0031】
特に好ましいモノカルバメートとしてはアミノールまたはアミノ酸、もしくはそれらのエステルおよびエチレンカーボネートから誘導されたものが挙げられる。特に好ましいビスカーボネートとしては第一ジアミン、特にヘキサメチレンジアミンおよびエチレンカーボネートの2つの分子から誘導されたものを含む。特に好ましいポリカルバメートはメラミンおよびエチレンカーボネートの3つの分子から誘導されたようなトリカルバメートが挙げられる。
【0032】
カーボネートモノマーが少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を有する場合、または共ポリエステル化できる2つ以上のカルバメートモノマーが存在する場合、任意の別の非カルバメートモノマーが存在しなくても、本発明のポリエステル化を実行できる。非カルバメートモノマーが存在しなくても実行できるポリエステル化の例としては、ヒドロキシ−カルボキシカルバメートのホモ重合、ジヒドロキシカルバメートとジカルボキシカルバメートとの共重合、またはジカルバメートとジカルボキシカルバメートおよびヒドロキシ−カルボキシカルバメートとの三元共重合が挙げられる。
【0033】
カルバメートモノマーが(共)ポリエステル化可能な場合、所望すればカルバメート(単数または複数)の他に1つ以上のモノマーが存在してもよく、これらモノマーはカルバメート(単数または複数)と共重合可能である。各追加モノマーはヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルまたは無水物から選択された少なくとも2つの官能基を有する。共重合可能なモノマーとしては、使用される重合条件下でカルバメート(単数または複数)と重合する任意のモノマーが挙げられる。モノマーが特定の条件下で特定のカルバメート(単数または複数)と共重合可能であるかどうかを判断するために手探り法を使用できる。
【0034】
一般に脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された1つ以上のモノマーの存在下でジオールまたはポリオールとのポリエステル化が実行される。
【0035】
適当な脂肪族ジカルボン酸としては、次の構造式(III)のものが挙げられる。
【0036】
【化16】
【0037】
ここで、R7は1つの結合またはオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキレン基であり、R7は置換されていないか、または同一または別のものでもよい1つ以上の置換基によって置換され、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0038】
この方法で使用するのに適した脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、次の構造式(IV)のものが挙げられる。
【0039】
【化17】
【0040】
ここで、R8は上記R7について記載されたものである。
【0041】
適当な脂肪族ジオールとしては次の構造式(V)のものが挙げられる。
【0042】
【化18】
【0043】
ここで、R9は上記R7について記載されたものである。
【0044】
適当な脂肪族ポリオールとしては次の構造式(VI)のものが挙げられる。
【0045】
【化19】
【0046】
ここで、R10はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキレン基であり、R10は同一または別のものでよい1つ以上の置換基によってオプションとして更に置換されており、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0047】
本明細書に記載するC1〜C12のアルキル基、アルキレン、ヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルキレン基は置換されていてもよいし、されていなくてもよく、またヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルキレン基の場合、更に置換されていてもよく、オプションとしてシスまたはトランスのいずれかの少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する環式、枝分かれまたは直鎖でもよい。C1〜C12のアルキル、アルキレン、ヒドロキシアルキルまたはヒドロキシアルキレン基が2つ以上の二重または三重炭素−炭素結合を有する時、これら結合は共役でもよいし、共役でなくてもよい。C1〜C12のアルキル、アルキレン、ヒドロキシアルキルまたはヒドロキシアルキレン基は1つ以上の置換基とオプションで(更に)置換されており、これら置換基は2つ以上の置換基がある場合、同一でもよいし、異なっていてもよい。ハロゲン置換基としてはフッ素、塩素または臭素が好ましい。
【0048】
本明細書で使用する構造式(VI)のポリオールは少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは3、4または5個のヒドロキシル基を有する。適当なポリオールとしてはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびトリオール、特にグリセロールが挙げられる。第三ヒドロキシル基の存在によってポリウレタンに枝分かれを導入できる。カンジダアンタルクチカ(下記参照)からのリパーゼを使用すると、この酵素は優先的に第1ヒドロキシル類をエステル化するので、グリセロールを使用する結果、一般に線状ポリマーが得られるが、所定の酵素を使用すると、枝分かれした生成物が得られる。
【0049】
構造式(V)のジオールは2〜14個の炭素原子を有することが好ましく、このジオールはα、ω−ジオール、例えば1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサン−1,6−ジオールまたはドデカン−1,12−ジオール、最も好ましくは1,4−ブタンジオールである。
【0050】
構造式(IV)のヒドロキシカルボン酸は2〜14個の炭素原子を有し、ヒドロキシ−直鎖脂肪族カルボン酸であることが好ましい。適当なヒドロキシ酸の例としてはグリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシブチル酸、2−ヒドロキシイソブチル酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、クエン酸またはリンゴ酸が挙げられる。
【0051】
高希釈度では構造式(IV)の所定のヒドロキシカルボン酸はラクトン類を形成する性質があるので、酵素を触媒とするプロセスでかかるヒドロキシ酸を使用する時には不要なラクトン化反応を防止するためにこれらヒドロキシ酸を高濃度でのみ使用することが好ましい。
【0052】
構造式(III)の二酸は2〜14個の炭素原子を有することが好ましく、α,ω−二酸、例えば蓚酸、コハク酸、フマール酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸またはアジピン酸であることが適当である。
【0053】
構造式(III)の二酸のエステルはモノエステルまたはジエステル、例えばモノまたはジアルキルエステルでよい。二酸のアルキルエステルまたはヒドロキシ酸のアルキルエステルのアルキル基は1〜4個の炭素原子の各々であることが好ましく、より好ましくは誘導体はメチルまたはエチルエステルもしくはジエステル、最も好ましくはメチルアジペートまたはジメチルアジペートである。
【0054】
従来の化学的な触媒を使用するポリエステル化の温度と比較して、酵素を触媒とする方法で使用される温度が低温であることにより、高温で脱カルボキシ化する二酸およびヒドロキシ酸、例えば蓚酸、酪酸およびグリコール酸を使用することが可能であり、よってより広範な範囲のポリウレタンを製造できる。
【0055】
ヒドロキシ酸およびジオールに存在するヒドロキシル基およびポリオールに存在するヒドロキシル基のうちの少なくとも2つは、第一または第二ヒドロキシル基であることが好ましく、立体障害を受けていないヒドロキシル基であることがより好ましい。二酸またはヒドロキシ酸に存在するカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物も立体障害を受けていないことが好ましい。カルバメートを参照して説明するように、第三ヒドロキシル基または立体障害を受けた官能基は酵素を触媒とする重合条件では反応しない傾向があるが、これらの反応性は選択される特定条件に応じて変わる。特定条件下で許容できる立体障害度を判断するのに手探り法を使用できる。
【0056】
追加モノマーを用いない場合カルバメートモノマーを(共)ポリエステル化できない時には上記構造式(III)、(IV)、(V)または(VI)の別のモノマーを使用する。従って、使用するカルバメート(単数または複数)がヒドロキシル基しか含まず、カルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物を含まない時は、重合反応の際に少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物が存在していなければならない。同様に、使用するカルバメート(単数または複数)がカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物しか含まず、ヒドロキシル基を含まない時には、重合反応の際に少なくとも1つの脂肪族ジオールまたはポリオールが存在していなければならない。
【0057】
本発明の種々の実施例では、カルバメートの他に重合プロセス中で使用されるモノマーの組み合わせとして(上記条件を受けて)、二酸単独;ヒドロキシル酸単独;二酸およびジオール;二酸およびポリオール、二酸、ジオールおよびポリオール;二酸、ヒドロキシ酸およびジオール;二酸、ヒドロキシ酸およびポリオール;ヒドロキシ酸およびジオール;ヒドロキシ酸およびポリオール;ポリオール単独またはジオール単独、もしくは例えば二酸をそのメチルエステル誘導体またはエチルエステル誘導体へ置換したモノマーの他の適当な任意の組み合わせが挙げられる。
【0058】
モノマーの好ましい組み合わせとしては、ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステル、例えばアジピン酸またはジメチルアジペートとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン酸/ジエチレングリコール、ジメチルアジペート/ジエチレングリコール、アジピン酸/1,6−ヘキサンジオールまたはジメチルアジペート/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびポリオール、例えばアジピン酸/グリセロールまたはアジピン酸/トリメチロールプロパンとの組み合わせ;ジヒドロキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステル、ジオールおよびポリオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール/グリセロールまたはアジピン酸/1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパンとの組み合わせ;ヒドロキシ−カルボキシカルバメートと二酸または二酸のジメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン酸/ジエチレングリコールまたはアジピン酸/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ;ジカルボキシカルバメートとジオール、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはジエチレングリコールとの組み合わせ;ジカルボキシカルバメートとポリオール、例えばグリセロールまたはトリメチロールプロパンとの組み合わせ;またはジカルボキシカルバメートと二酸または二酸のメチルエステルおよびジオール、例えばアジピン酸/1,4−ブタンジオール、ジメチルアジペート/1,4−ブタンジオール、アジピン/ジエチレングリコールまたはアジピン酸/1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせが挙げられる。
【0059】
反応体のうちの、酵素でポリエステル化可能なカルボン酸基と、酵素でポリオール化可能なヒドロキシル基とは、一般にほぼ同じ数だけ存在する。反応は化学量論的アンバランスで生じ得るが、一般にこの反応の結果、反応体が等モル量で使用された場合よりも低い重量平均分子量の生成物が生じる。
【0060】
一般にカルバメートがモノまたはビスカルバメートである場合、官能基として2つのヒドロキシル基を有し、カルバメートがトリカルバメートである場合、官能基として3つのヒドロキシル基を有し、カルバメートがポリカルバメートである場合、更なる数のヒドロキシル基を有し、存在する他のモノマーとして二酸またはジオールがある。
【0061】
架橋したポリウレタンを製造するのに、本発明の方法を使用できる。架橋が望まれる場合、モノマーの少なくとも1つにはヒドロキシル基およびカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物が選択された別の官能基、例えば少なくとも3つの官能基(例えば3、4または5個の官能基)が存在していなければならない。例えばカルバメートは各カルバメート鎖に少なくとも1つの官能基を含むポリカルバメートまたはかかる3つの官能基、例えば3つのヒドロキシル基を含むモノまたはビスカルバメートでよい。これとは異なり、またはこれに加えて、コーモノマーとしてポリオール、ヒドロキシル二酸、ジヒドロキシ酸および/または三酸が存在してもよい。所望する場合には3つ以上の官能基を含む2つ以上のモノマーも使用できる。好ましくは各モノマーに存在する3つ以上の官能基の少なくとも3つは立体障害を受けていない基であり、これらの基がヒドロキシル基である場合には第一または第二基であることが好ましい。酵素ポリエステル化の後の後続工程として3またはそれより多い官能基のモノマーを使用することによって導入された枝分かれポイントで架橋するのに、従来の化学的方法を使って更に架橋を導入してもよい。
【0062】
溶剤を使用することなく反応を実施してもよいし、また有機溶剤が存在してもよい。適当な溶剤は反応に不活性であり、酵素を不活性化せず、酵素の脱水を防止するように、水に十分に不混和性である。所定の芳香族溶媒、例えばトルエンが適当である。
【0063】
本発明で使用できる酵素としては、市販されているリパーゼが挙げられる。溶剤がない状態でポリエステル化を実行する場合、好ましい酵素はカンジダアンタルクティカから誘導されたリパーゼである。
【0064】
他の適当なリパーゼは簡単な手探り実験によって識別できる。使用できる酵素および基体および酵素を触媒とする方法のより詳細については、英国公開特許出願第GB−A−2272904号、国際特許出願第PCT/GB93/02461号およびPCT/GB97/01084号を参照されたい。これら文献の各々を本書で参考例として援用する。
【0065】
ポリウレタンを形成するよう上記モノマーをポリエステル化できる別の酵素は簡単な手探り実験で容易に識別できる。
【0066】
本方法で使用される酵素は不活性キャリア、例えばポリマー、例えば陰イオン交換樹脂、アクリル樹脂またはポリプロピレン、ポリエステルまたはポリウレタン樹脂に結合してもよいし、または遊離状態で使用してもよい。酵素が不活性キャリアに結合している時は、複雑な精製工程を使用することなく、反応混合物から酵素を容易に除くことができる。これによって酵素を回収し、再使用することが可能となる。好ましい例としては、Novo Industri AS社のNovozime 435(商標)から入手できるリパーゼが挙げられ、この場合、酵素はマクロな多孔性アクリル樹脂に固定されている。これとは異なり、ポリマー状生成物に残留した遊離酵素を使用してもよい。この場合、プロセス中の後のステージで酵素を不活性にすることが望ましい場合がある。遊離リパーゼの溶液、例えばNovozime 425(商標)が好ましい。
【0067】
全反応時間は一般に3〜5日、好ましくは3〜4日である。
【0068】
酵素の活動度は反応混合物内に存在する材料によって影響される。例えばカンジダアンタルクティカからのリパーゼはグリセロールによって阻害される。初期反応混合物内には枝分かれした多官能モノマー、例えば第2アルコールを含まないことが望ましいが、酵素の活動が低下するのを防止するために、反応が開始するまでこれらを添加することを遅らせることが望ましい。反応がスタートしてから少なくとも12時間後、例えば少なくとも14時間、16時間または24時間後に反応混合物内に枝分かれした多官能モノマーを添加する場合、反応混合物内にまだ酵素が存在していると、酵素の活動度は完全ではないが低下し、枝分かれした多官能モノマーを低下しなかった場合よりも低レートで反応が続く。
【0069】
使用される酵素の量は重要ではなく、一般に経済的要因によって制限される。酵素が過度に少なければ反応は低速となるが、他方、過度に多い酵素は単にコストを不必要に増加させるだけである。カンジダアンタルクティカから誘導されたリパーゼを用いた場合、存在するモノマー(カルバメートを含む)の総重量に対して0.1〜1.5重量%、好ましくは0.1〜0.6%、最も好ましくは0.15〜0.3%の支持された酵素(酵素の重量として計算)を使用することが好ましいことが判っている。
【0070】
この方法は、10〜100℃、好ましくは40〜70℃の温度で一般に実行される。100℃よりも高い温度ではほとんどの酵素は変性するが、変性温度が100℃よりも高い酵素を使用してもよく、(他の試薬が安定であることを条件に)反応をより高い温度で実行してもよい。10℃よりも低い温度では反応は極めて低速であり、完了するまで経済的でない長い時間がかかる。
【0071】
本方法は大気圧または低圧で実行される。反応によって生じる水は一般に反応中に、好ましくは反応コース中に圧力を低下させることによって除かれる。例えば圧力を1×103Pa〜3×104Pa(10〜300ミリバール)、好ましくは5×103Pa〜1×104Pa(50〜100ミリバール)に低下させてもよい。一般に圧力は反応全体にわたってステップ状に低下される。例えば2.5×104〜3×104Pa(250〜300ミリバール)の初期圧力を加え、次に更に1×104〜1.5×104(100〜150ミリバール)に減圧し、更に1×103〜5×103Pa(10〜50ミリバール)に減圧する。これとは異なり、減圧下、例えば500または100Paもしくはそれ未満(5または1ミリバール、またはそれ未満)で拭いた膜式蒸発器により水を除去してもよい。
【0072】
カルバメートの調製
一般に、本発明の方法で使用されるカルバメートは(モノカルバメートを製造するために)脂肪族カーボネートまたはヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物と第一または第二アミノール、アミノ酸またはそのエステル、(ビスカルバメートを形成するため)ヒドラジンまたはジアミン、または(ポリカルバメートを形成するため)ポリアミンとを反応させることによって調製される。しかしながら、所望すれば別のルートも使用できる。
【0073】
適当な脂肪族カーボネートは次の構造式(VII)のものを含む。
【0074】
【化20】
【0075】
ここで、R11はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R11は1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。R11上の置換基は同一でもよいし、または異なっていてもよく、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキルである)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択される。これとは異なり、置換基自身が1つ以上の環式カーボネート基、例えばステブリアンコ外著のジャーナルオブポリマーサイエンス、A部門、ポリマー化学、第38巻、2375〜2380ページに開示されている構造体を支持していてもよい。この文献を本書で参考例として援用する。好ましい基R11としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレンおよびオクチレンが挙げられる。
【0076】
カーボネートはC2〜C6のカーボネート、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートまたはヘキサメチレンカーボネートであることが好ましい。
【0077】
適当な脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物は次の構造式(VIII)のものである。
【0078】
【化21】
【0079】
ここで、R12はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R12は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択され、R3は、ハロゲン基または(C0)mR14(ここでmは、0または1であり、R14はC1〜C12のアルキル基である)である。構造式(VIII)の化合物は、2−ヒドロキシプロパン酸であることが好ましい。
【0080】
適当な脂肪族第一または第二アミノール、アミノ酸およびそれらのエステルとしては次の構造式(IX)で示されるものが挙げられる。
【0081】
【化22】
【0082】
ここで、R15はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキル基であり、R15は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0083】
ここで、R16はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R16は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
Xは、ヒドロキシル基、カルボン酸またはエステル基である。
【0084】
好ましくはアミノール、アミノ酸またはエステルは2〜12個の炭素原子を含み、アミン基は一般に第一アミンである。好ましいアミノールは、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、6−アミノヘキサノールおよび8−アミノオクタノールを含む。好ましいアミノ酸またはエステルは、グリシン、4−アミノブタン酸および6−アミノヘキサン酸およびそれらのメチルまたはエチルエステルである。
【0085】
適当な第一または第二脂肪族または芳香族ジアミンは次の構造式のものを含む。
【0086】
【化23】
【0087】
ここで、R17は1つの結合または上記基Rであり、R18とR19とは同一または異なるものであり、各々はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキル基であり、R18および/またはR19は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものである。各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである。
【0088】
好ましくはジアミンは置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい、C2〜C12の第一ジアミンであり、好ましくはこれらジアミンはヒドロキシル基またはカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物と置換されているか、または置換されていない。ジアミンのアルキレン鎖にかかる置換基が存在している場合、これによって後の重合反応の際に架橋を発生することができる。適当なジアミンの例として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンおよびイソフォロンジアミンが挙げられる。
【0089】
適当な第一または第二芳香族または脂肪族ポリアミンは次の構造式(XI)のものである。
【0090】
【化24】
【0091】
ここでR20は上記基Rであり、同一または異なる各R21は上記基R18であり、rは少なくとも3の整数であり、好ましくはrは上記整数mであるで示されるものである。好ましくはポリアミンはトリアミン、例えばメラミンである。
【0092】
カーボネートとジアミンまたはアミノール、アミノ酸またはエステルの適当な組み合わせとしては、エチレンジアミン/エチレンカーボネート;1,6−ヘキサメチレンジアミン/エチレンカーボネート;イソフォロンジアミン/エチレンカーボネート;プロピレンジアミン/エチレンカーボネート;1,6−ヘキサメチレンジアミン/プロピレンカーボネート;イソフォロンジアミン/プロピレンカーボネート;エタノールアミン/エチレンカーボネート;プロパノールアミン/エチレンカーボネート;エタノールアミン/プロピレンカーボネート;プロパノールアミン/プロピレンカーボネート;メラミン/エチレンカーボネートおよびメラミン/プロピレンカーボネートが挙げられる。
【0093】
カーボネートがジアミンと反応する際に、ジアミンに対するカーボネートのモル比は一般に約2:1である。カーボネートがトリアミンと反応する際に、トリアミンに対するカーボネートのモル比は一般に約3:1である。
【0094】
モノカルバメートを形成するためのアミノール、アミノ酸またはそれらのエステルとカーボネートとの間の反応、およびビスカルバメートを形成するためのジアミンとカーボネートとの間の反応、およびポリカーボネートを形成するためのポリアミンとカーボネートとの間の反応は当業者に周知である。従って、反応を実行するのに当業者に公知の任意の適当な技術を使用できる。一般に反応は高温で、例えば30〜100℃、好ましくは40〜70℃で実行される。
【0095】
この反応には溶剤は不要であるが、不活性溶剤を使用できる。
これとは異なり、重合反応におけるモノマーとして使用すべきジオール内で反応を行ってもよい。カルバメートはジオール内の溶液として製造され、カルバメートを生成することなく、すなわちワンポット方法でこの溶液にて重合反応を直接実行できる。
【0096】
カルバメートが所望するジオールを除く溶剤内で製造されるか、または溶剤を使用しない場合、重合工程に移る前に生成物を再結晶化してもよい。
【0097】
1つの特徴によれば、本発明は
(i)ジアミンとカルバメートとを反応させ、ビスカルバメートを形成する工程と、
(ii)こうして生成されたビスカルバメートをポリエステル化酵素の存在下でジオールおよび二酸と共にポリエステル化し、ポリウレタンを生成する工程とを備えた上記方法に関する。
【0098】
別の特徴によれば、本発明は
(i)ポリアミンとカーボネートとを反応させ、ポリカルバメートを形成する工程と、
(ii)こうして生成されたポリカルバメートをポリエステル化酵素の存在下でジオールおよび二酸と共にポリエステル化し、ポリウレタンを生成する工程とを備えた上記方法にも関する。
【0099】
ポリウレタン
本書で使用する「ポリウレタン」なる用語は、上記本発明の方法によって得ることができる物質を含む。
【0100】
本発明の方法によって製造されるポリウレタンは接着剤、例えばホットメルト接着剤、織物コーティング、表面コーティング、熱可塑性ポリウレタン、エラストマーおよびポリウレタン分散液として使用できる。本方法によって親水性ポリウレタンも製造でき、かかる化合物はポリウレタンの呼吸可能な織物コーティングで使用するのに適す。上記のように、ポリウレタンは架橋でき、本発明によって製造される化合物のより広範な用途を提供する。
【0101】
ポリウレタン組成物は本発明のポリウレタンと、接着剤またはコーティングに従来存在するような別の添加剤、例えば酸化防止剤および触媒と混合することによってポリウレタン組成物を形成できる。これら組成物またはポリウレタン自身を、ポリウレタンまたは組成物の対応する用途に適したコーティングのような種々の形状の物品となるように成形または他の方法で形成することができる。
【0102】
本発明のポリウレタンは好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000の分子量を有する。
【0103】
実施例を参照し、以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0104】
実施例
実施例1A
材料
エチレンカーボネート 107 g
エチレンジアミン 35.26g
トルエン 40 g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、50℃に加熱した。温度が約60℃に保持されるよう、滴下漏斗を介してエチレンジアミンを添加した。初期発熱が観察され、トルエンを添加し、粘性を下げ、熱交換を助けた。エチレンジアミンの添加が完了すると、4時間の間、反応混合物を65℃に保持した。
エタノール中でビスカルバメート生成物を再結晶化し、洗浄し、乾燥した。記録された収率は理論値の60%であった。溶融点は93℃と測定された。
【0105】
実施例1B
材料
実施例1Aに従って生成されたビスカルバメート 15.0 g
1,4−ブタンジオール 22.5 g
アジピン酸 36.5 g
Novozyme435(商標) 1.49g
手順
実施例1Aに従って生成されたビスカルバメートを70℃で1,4−ブタンジオールに溶解し、その後、アジピン酸(5g)を添加し、アジピン酸が溶解するまで撹拌した。混合物を60℃まで冷却し、更にアジピン酸(5g)を添加し、次にNovozyme435(商標)(0.78g)を添加した。2.63×104Pa(263ミリバール)で2時間、反応を保持した。更にアジピン酸(10g)を添加し、同じ圧力で更に2時間の後に残りのアジピン酸(16.5g)を添加した。撹拌しながら1週間材料を放置し、その後更にNovozyme435(商標)(0.71g)を添加した。次に圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)に低下させ、反応を更に24時間保持した。その後、8時間70℃で1.3×103Pa(13ミリバール)で反応を保持した。
【0106】
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は4500の平均分子量(Mw)と2.4(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0107】
実施例2A
材料
エチレンカーボネート 28.23g
1,6−ヘキサメチレンジアミン 17.42g
トルエン 40 g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、オイル浴内で50℃まで加熱し、その後、ヘキサメチレンジアミン(8g)を添加した。70℃までの発熱が続き、40分後、混合物が凝固した。添加剤としてトルエン(25g)を添加し、オイル浴温度を60℃まで上昇させた。更にヘキサメチレンジアミン(9.42g)を添加し、85℃までの発熱を生じさせた。再び混合物は凝固し、トリチュレートに高温のトルエン(15g)を添加した。冷却して結晶物をフィルタで除いた。
エタノールから材料を2回結晶化し、乾燥させ、70%の収集率で94℃の溶融点を有するビスカルバメートを収集した。
【0108】
実施例2B
材料
実施例2Aに従って生成されたビスカルバメート 7.25 g
1,4−ブタンジオール 22.7 g
アジピン酸 40.17 g
Novozyme435(商標) 1.2 g
手順
実施例2Aに従って生成されたビスカルバメート(7.25g)および1,4−ブタンジオール(22.7g)をフランジフラスコに移し、全体を90℃のオイル浴内に入れた。撹拌しながら窒素下でアジピン酸(8g)を添加し、一旦溶解した後で、Novozyme435(商標)(0.7g)を添加した。5.26×104Pa(526ミリバール)で反応を保持した。2時間後、更にアジピン酸(25g)を添加した。オイル浴温度を60℃まで調節し、処理物を一晩放置した。残りのアジピン酸(7.17g)を添加し、圧力を1.31×104(Pa)(131ミリバール)まで低下させた。材料をこの圧力で一晩放置し、更にNovozyme435(商標)(0.5g)を添加した。圧力を1.05×104Pa(105ミリバール)まで低下させ、浴の温度を70℃まで上昇させた。8時間後、圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで低下させ、再び処理物を一晩放置した。
【0109】
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は9350の平均分子量(Mw)と1.75(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0110】
実施例3
材料
エチレンカーボネート 35.3 g
1,4−ブタンジオール 36.0 g
1,6−ヘキサメチレンジアミン 23.2 g
アジピン酸 73.0 g
Novozyme435(商標) 2.42g
手順
フラスコにエチレンカーボネートを添加し、次に1,4−ブタンジオールを添加した。オイル浴内で混合物を60℃まで加熱し、ヘキサメチレンジアミン(6.0g)を添加した。70℃までの発熱が生じ、88℃までの更なる発熱が観察された時に更にヘキサメチレンジアミン(17.2g)を添加した。混合物を60℃で一晩撹拌した。透明な液体が生じたが、冷却すると白色のワックス状の固体に結晶化した。
赤外線スペクトル分析は反応が完了したことを示し、すべての開始材料が消費されたことを証明した。
【0111】
浴温度を100℃まで上昇させ、ビスカルバメート/ブタンジオール溶液にアジピン酸のアリコート(30g)を添加し、アジピン酸が溶解されるまで反応物を撹拌した(約0.5時間)。混合物を75℃まで冷却し、反応装置を還流モードから蒸留モードへ切り替えた。Novozyme435を添加し、圧力を2.63×104Pa(264ミリバール)まで下げた。1時間後、更にアジピン酸(15g)を添加し、2時間後、更にアジピン酸(15g)を添加し、更に2時間後、更にアジピン酸(13g)を添加した。混合物を75℃で一晩放置した。次に圧力を1.05×104Pa(105ミリバール)へ下げ、1.5時間後、1.3×103Pa(13ミリバール)まで下げ、オイル浴の温度を100℃まで上げ、更に減圧下で更に24時間処理を続け、(目標とする1500MWの数)に近い1488ドルトンの分子量に対応する酸価0.7ミリグラムKOH/Gおよびヒドロキシル価77.5ミリグラムKOH/Gのポリウレタンを生成した。GPC評価はMn2200、Mw4641および分散度2.11を示した。
【0112】
実施例4A
材料
プロピレンカーボネート 51 g
イソフォロンジアミン 42.5g
手順
フラスコにプロピレンカーボネートを添加し、フラスコを60℃のオイル浴に移した。窒素下でイソフォロンジアミン(10g)を添加した。更にイソフォロンジアミン(32.5g)を部分毎に添加し、83℃までの発熱が生じた時に処理物を一晩放置した。NMRおよびGPC特性はビスカルバメートへの反応が完了したことを示した。
【0113】
実施例4B
材料
実施例4Aに従って生成されたビスカルバメート 22.85g
1,4−ブタンジオール 40 g
アジピン酸 73.81g
Novozime435(商標) 2.5 g
手順
実施例4Aに従って生成されたビスカルバメートを含むフランジフラスコに1,4−ブタンジオールを添加し、70℃のオイル浴にフラスコを移した。撹拌しながらアジピン酸(30.15g)を添加した。溶解後、オイル浴の温度を60℃まで下げ、Novozime435(商標)を添加した。5.26×104Pa(526ミリバール)で4時間、60℃に混合物を加熱し、撹拌しながらアジピン酸(43.66g)を添加した。次に圧力を24時間で2.63×104Pa(263ミリバール)まで低下させ、次に更に1.3×103Pa(13ミリバール)へ低下させ、更に24時間プロセスを続けた。
この結果得られたポリウレタンに対するGPCによる分子量の測定は6000の平均分子量(Mw)と2.14(1000Å対ポリスチレン標準品)の分散性を示した。
【0114】
実施例5A
材料
エチレンカーボネート 63.37g
ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン(MW350) 120.1g
手順
フランジフラスコ内でエチレンカーボネートを60℃まで加熱することによって溶融した。90℃までの発熱が生じた時にビス(3−アミノプロピル)(PTHF)を添加した。反応混合物を60℃まで冷却し、この温度で一晩放置したところ、生成物として赤みがかった粘性液が得られた。NMR分析によりすべてのエチレンカーボネートが消費され、微量の開始アミンしか残っていなかったことが判った。
【0115】
実施例5B
材料
実施例5Aからのビスカルバメート 70.32g
Novozime435(商標) 0.83g
アジピン酸 22.36g
実施例5Aからのビスカルバメート(70.32g)をフランジフラスコへ移し、60℃で溶融した。Novozime435(商標)(0.5gのアリコート)を添加し、次に、次の3時間にわたり、順次3つの等量のアリコート(1時間ごとに1つ)としてアジピン酸(15.1g)を添加した。圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで下げ、12時間これを維持し、次に更に12時間の間、200Pa(2ミリバール)まで下げた。
この時点におけるGPC分析により、MW3000ドルトンの生成物を示したが、まだ多量の開始材料があることも判った。更にアジピン酸(7.2g)を添加し、次にNovozime435(商標)(0.33g)を添加し、60℃の温度を維持し、かつ12時間にわたって圧力を6.6×103Pa(66ミリバール)まで低下させ、その後、更に12時間で200Pa(2ミリバール)まで低下させた。この時点での分析により形成されたライトブラウンの樹脂は三価5.0ミリグラムKOH/GおよびGPC6500ドルトンのMWを有することが判った。
【0116】
実施例6A
材料
エチレンカーボネート 41 g
JeffamineD230 53.6g
フランジフラスコ内のエチレンカーボネートを60℃まで加熱し、撹拌しながらJeffamineD230(20.0g)を添加した。若干の発熱が見られた。1時間後、更に第2の投与分のJeffamine(20.0g)を添加したところ、再び若干の発熱があった。フラスコを60℃まで冷却した後に、第3投与分のJeffamine(13.6g)を添加した。フラスコを一晩80℃まで加熱したところ、灰色の粘性液が得られた。TLCは単一生成物を示し、NMRは微量の残留アミンしか示さなかった。
【0117】
実施例6B
材料
実施例6Aからのビスカルバメート 30 g
1,4−ブタンジオール 6.7 g
Novozime435(商標) 0.83g
実施例6Aからのビスカルバメート(30g)および1,4−ブタンジオールをフランジフラスコ内で60℃まで加熱し、3時間にわたって3つの等量の部分としてアジピン酸(21.7g)を添加した。フラスコ内の圧力を1.3×104Pa(131ミリバール)まで下げ、更に48時間、処理を続けたところ、粘性の灰色のポリエステルが得られた。GPC分析はMW6500ドルトンを示した。
Claims (12)
- ポリエステル化酵素の存在下、およびオプションとしてヒドロキシル基およびカルボン酸基またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された2つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合可能なモノマーの存在下で、ヒドロキシル基およびカルボン酸基、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された少なくとも2つの反応基を含む少なくとも1つのカルバメート、例えば脂肪族モノカルバメートおよび/または脂肪族もしくは芳香族ビスカルバメートおよび/または脂肪族または芳香族ポリカルバメートをポリエステル化することを含む、ポリウレタンを製造するための方法。
- ジオールまたはポリオールと共に、脂肪族ジカルボン酸、またはそれらのエステルもしくは無水物、
脂肪族ヒドロキシカルボン酸、またはそれらのエステルもしくは無水物から選択された1つ以上のモノマーの存在下でポリエステル化を実行する請求項1記載の方法。 - 脂肪族モノカルバメートが次の一般構造式(I)
R2はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のヒドロキシアルキル基であり、R1は同一または別のものでもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていなく、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)であり、ヒドロキシル基で置換された時にはR1と同じでもよいし、または別のものでもよい)のものであり、
脂肪族または芳香族ビスカルバメートが、次の構造式(II)
Rは単結合、芳香族基、脂環式基またはオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、更にオプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキレン基であり、Rは置換されないか、または同一または別のものでよい1つ以上の置換基によって置換され、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものであり、
脂肪族または芳香族ポリカルバメートが、次の構造式(IIA)
- 脂肪族ジカルボン酸が、次の構造式(III)
脂肪族ヒドロキシカルボン酸が、次の構造式(IV)
脂肪族ジオールが、次の構造式(V)
脂肪族ポリオールが、次の構造式(VI)
- カルバメートが、モノカルバメートを製造するために脂肪族カーボネートまたはヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物を、第1または第2アミノール、アミノ酸またはそのエステルとを反応させ、ビスカルバメートを形成するためにヒドラジンまたはジアミンと反応させ、またはポリカルバメートを形成するためにポリアミンとを反応させることによって調製する前の請求項のいずれかに記載の方法。
- 脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはそれらのエステルもしくは無水物が、次の構造式(VIII)
- 脂肪族第1または第2アミノール、アミノ酸およびそれらのエステルが、次の構造式(IX)
R16はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC2〜C12のアルキレン基であり、R16は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものであり、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものであり、Xはヒドロキシル基、カルボン酸またはエステル基である請求項5〜7記載の方法。 - 脂肪族または芳香族ジアミンが、次の構造式(X)
R18とR19とは同一または別のものであり、各々はオプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキル基であり、R18および/またはR19は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものであり、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものである請求項5〜8のいずれかに記載の方法。 - 芳香族または脂肪族ポリアミンが、次の構造式(XI)
各R21は同一または別のものであり、オプションとして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、オプションとして1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するC1〜C12のアルキル基であり、各R21は同一であるか、または異なっていてもよい1つ以上の置換基と置換されているか、または置換されていないものでああり、各置換基はハロゲン、ヒドロキシル基、OR3(ここでR3はC1〜C12のアルキル基である)、カルボキシル基および−CO2(CO)nR4(ここでnは0または1であり、R4はC1〜C12のアルキル基である)から選択されたものであり、rは少なくとも3の整数である請求項5〜9のいずれかに記載の方法。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって得られたポリウレタン。
- 接着剤、織物コーティング、表面コーティング、エラストマー、熱可塑性ポリウレタンおよびポリウレタン分散液としての請求項11記載のポリウレタンの使用法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
GBGB0101464.6A GB0101464D0 (en) | 2001-01-19 | 2001-01-19 | Production of polyurethanes |
PCT/GB2002/000189 WO2002057338A1 (en) | 2001-01-19 | 2002-01-16 | Isocyanate free polyurethane production process via carbamate polyesterification |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004517992A true JP2004517992A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=9907147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002558407A Pending JP2004517992A (ja) | 2001-01-19 | 2002-01-16 | ポリウレタンの製造方法 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040091982A1 (ja) |
EP (1) | EP1368409A1 (ja) |
JP (1) | JP2004517992A (ja) |
CA (1) | CA2435110A1 (ja) |
GB (1) | GB0101464D0 (ja) |
WO (1) | WO2002057338A1 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10118109A1 (de) * | 2001-04-11 | 2002-10-17 | Cognis Deutschland Gmbh | Alkyl- und/oder Alkenylglycerincarbamate |
GB2415197A (en) * | 2004-06-18 | 2005-12-21 | Baxenden Chem | Urethane-group containing diol or polyol polymer products and their use as coatings |
JP2009518494A (ja) * | 2005-12-09 | 2009-05-07 | カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ | ポリウレタンを製造するための溶融トランスウレタンプロセス |
US8501290B2 (en) | 2008-01-15 | 2013-08-06 | Abbott Cardiovascular Systems Inc. | Implantable medical devices fabricated from polyurethanes with biodegradable hard and soft blocks and blends thereof |
US9259515B2 (en) * | 2008-04-10 | 2016-02-16 | Abbott Cardiovascular Systems Inc. | Implantable medical devices fabricated from polyurethanes with grafted radiopaque groups |
US20090326642A1 (en) * | 2008-06-25 | 2009-12-31 | Yunbing Wang | Implantable Medical Devices Fabricated From Radiopaque Polymers With High Fracture Toughness |
US9080016B2 (en) * | 2010-07-15 | 2015-07-14 | Total Research & Technology Feluy | Isocyanate-free method for preparing poly(carbonate-urethane) or poly(ester-urethane) |
US8604091B2 (en) | 2010-09-03 | 2013-12-10 | Owens Corning Intellectual Capital, Llc | Non-isocyanate spray foam |
US11472936B2 (en) | 2018-02-21 | 2022-10-18 | Cryovac, Llc | Method and formulation for an isocyanate-free foam using isocyanate-free polyurethane chemistry |
EP3774993B1 (en) * | 2019-04-12 | 2022-03-09 | Institutul De Chimie Macromoleculara Petru Poni | Non-isocyanate polyurethane thermoreversible hydrogel and method for its preparation |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB8402995D0 (en) * | 1984-02-04 | 1984-03-07 | Bp Chem Int Ltd | Transesterification process |
US4631320A (en) * | 1984-02-17 | 1986-12-23 | American Cyanamid Company | Coating compositions containing polyurethane or polyurea polymers and amino resins |
US4820830A (en) * | 1987-03-02 | 1989-04-11 | King Industries, Inc. | Certain hydroxyalkyl carbamates, polymers and uses thereof |
US5093456A (en) * | 1989-06-14 | 1992-03-03 | Minnesota Mining And Manufacturing Company | Monocarbamate diols, polymers derived from them and nlo-active materials therefrom |
US5451656A (en) * | 1994-12-21 | 1995-09-19 | Basf Corporation | Carbamate-functional polyester polymer or oligomer and coating composition |
US5962624A (en) * | 1998-03-10 | 1999-10-05 | Hendel Kommanditgesellschaft Auf Aktien | Enzymatic synthesis of polyesters |
-
2001
- 2001-01-19 GB GBGB0101464.6A patent/GB0101464D0/en not_active Ceased
-
2002
- 2002-01-16 EP EP02715507A patent/EP1368409A1/en not_active Withdrawn
- 2002-01-16 CA CA002435110A patent/CA2435110A1/en not_active Abandoned
- 2002-01-16 WO PCT/GB2002/000189 patent/WO2002057338A1/en active Application Filing
- 2002-01-16 JP JP2002558407A patent/JP2004517992A/ja active Pending
- 2002-01-16 US US10/466,611 patent/US20040091982A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20040091982A1 (en) | 2004-05-13 |
WO2002057338A1 (en) | 2002-07-25 |
EP1368409A1 (en) | 2003-12-10 |
GB0101464D0 (en) | 2001-03-07 |
CA2435110A1 (en) | 2002-07-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5495360B2 (ja) | ポリエステルポリオール | |
JP4009317B2 (ja) | 酵素的合成 | |
EP0280815B1 (en) | Certain hydroxyalkyl carbamates, polymers and uses thereof | |
US6972315B2 (en) | Enzyme-catalyzed polycondensations | |
US3663515A (en) | Process of preparation of polycaprolactone polyesters and polyurethane elastomers therefrom | |
EP2275468A1 (en) | Polyurethanes obtained from hydroxyalkanoates and isocyanates | |
WO2013142969A1 (en) | Urethanes and ureas and processes | |
GB2324797A (en) | Hyperbranched polymers | |
JP2004517992A (ja) | ポリウレタンの製造方法 | |
US7951899B2 (en) | Enzyme-catalyzed polycarbonate and polycarbonate ester synthesis | |
CA2734311C (en) | Enzyme-catalyzed polycarbonate and polycarbonate ester synthesis | |
US20050143557A1 (en) | Poly((polythioalkyl)esters), their applications and derivatives | |
McCabe et al. | Synthesis of novel polyurethane polyesters using the enzyme Candida antarctica lipase B | |
JP3392475B2 (ja) | 高分子量ポリエステルの製造方法 | |
JPH10251369A (ja) | ポリウレタン樹脂の製造方法 | |
EP2192137A1 (en) | Polyurethane and polyurea, and method for producing the same | |
EP0894104B1 (en) | Moisture curing hot melt adhesives | |
JP3054188B2 (ja) | 新規共重合体及びその製造方法 | |
EP0979300A2 (en) | Enzymatic synthesis | |
McCabe et al. | Synthesis of novel polyurethane polyesters using the enzyme Candida antarctica lipase B | |
TWI457364B (zh) | 聚二酸酯-聚草酸酯共聚物及其所形成之聚胺基甲酸酯 | |
Taylor | 5.3 The Use of Lipase Enzymes for the Synthesis of Polymers and Polymer Intermediates | |
JPH0464611B2 (ja) | ||
JPH0995529A (ja) | 高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040830 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070425 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070501 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071009 |