JP2004514082A - 内燃機関内への噴射燃料量を制御するための方法 - Google Patents

内燃機関内への噴射燃料量を制御するための方法 Download PDF

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Abstract

噴射器に供給される燃料の圧力が噴射すべき燃料量(Q)の増加関数であり、噴射器の開口が、噴射器の一部を成す電気コイルを所定の持続時間(T)のピーク電流によって励磁することによって電磁的にトリガされる形式の噴射器を使用する。本発明によれば、ピーク電流の持続時間(T)は燃料圧力(Pcarb)の増加関数である。

Description

【0001】
本発明は直噴式内燃機関内への噴射燃料量を制御するための方法に関する。より特定的には、本発明は、加圧燃料が供給される噴射器を使用して、この噴射器の一部を成すコイルに所定の持続時間のピーク電流を供給することによって、噴射器の開口をトリガする形式の方法に関する。
【0002】
電磁制御による燃料噴射器は公知であり、同様に、上記のような噴射器を制御するための方法も公知である(例えばUSA 5 381 297の特許参照)。周知のように、このような噴射器はニードルを有しており、このニードルは、電気コイルに適度な電流を供給することによって発生した電磁場の作用の下で、開口部の閉止位置と開口部の開口位置との間を動くことができる。ただし、この開口部は、内燃機関のシリンダ内の噴射燃料の通路を画定する弁座に開けられたものであり、ニードルの一方の端部によって閉止され、このような噴射を行うことができるようにこのニードルによって開口される。中立位置では、ニードルは予荷重バネと噴射器内に噴射される燃料の圧力とによって弁座に対して押しつけられている。この荷重を克服し、噴射器が開くようにするためには、一時的にコイルに強い電流を供給する必要がある。この強い電流とは例えばおよそ10Aのオーダーであり、ピーク電流がこのようにして印加された後に、より弱い電流が印加され、噴射器への燃料量に依存して変化する期間の間、噴射器の開口の維持が保証される。
【0003】
現在では、直噴式内燃機関のシリンダにガソリンを供給するためにこのような噴射器を使用する場合、燃料量を広範囲に制御できることが望まれている。実際、このようなエンジンが燃料の希薄な、空気/燃料混合気による層状燃焼モードによって低負荷で動作するときには、噴射されるガソリンの量は非常に少量でなければならない。逆に、回転数が高く、全負荷の場合には、非常に短い時間内に、6000rpmでは5ms未満のうちに、多量のガソリンをエンジン内に噴射しなければならない。したがって、燃料流量の限度値の比、すなわち噴射器の「ダイナミックレンジ」は、非常に高く、有利には20のオーダーでなければならない。
【0004】
この値に近づくために、噴射器が多量のガソリンを噴射しなければならないときには、噴射器に供給されるガソリンの圧力を高めることが提案されている。このようにして、例えば、噴射器へのガソリン量が少ないときには50barの圧力のガソリンを、量が多いときには110barの圧力のガソリンを噴射器に供給する。このようにして、およそ15のダイナミックレンジを得ることができるが、これはまだ不十分であると見なされる。
【0005】
したがって、本発明の課題は、噴射器のダイナミックレンジを典型的には20のオーダーに高めることによって、直噴式内燃機関への噴射燃料量を制御するための方法を改善することである。
【0006】
本発明のこの課題、ならびに、以下の明細書を読む中で明らかになる他の課題は、加圧燃料が供給される噴射器によって直噴式内燃機関内に噴射される燃料量を制御するための方法であって、前記噴射器の一部を成す電気コイルに所定の持続時間のピーク電流を供給することにより前記噴射器の開口をトリガする形式の方法により解決される。本方法は、ピーク電流の持続時間が燃料圧力の増加関数である点で特徴的である。
【0007】
後でより詳細に示されるように、本方法は、噴射燃料量の値の範囲を非常に少量の側にも非常に多量の側にも拡大することができる。
【0008】
本発明による方法の他の特徴によれば、ピーク電流の持続時間も噴射器の所定の開口持続時間の増加関数である。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載を読み、添付した図面を参照することにより明らかになる。添付した図面のうち、
図1は、1)噴射器の開口持続時間を調整するために本発明に従って制御される噴射器のコイル内の電流、及び、2)噴射器を制御する論理信号の経時的変化を示すグラフであり、
図2は、異なる動作条件において噴射器によってその開口持続時間に応じて噴射される燃料量の経時的変化を示すグラフであり、このグラフは、本発明による制御方法の性能の図解及び説明を可能にする。
【0010】
添付した図面の図1を参照すると、電磁制御式燃料噴射器のコイル内に本発明による方法に従って発生する電流値Iの変化のグラフが示されている。ただし、このコイルは、噴射器を開口させ、さらに噴射器が所定のガソリン量Qを直噴式内燃機関のシリンダ内に噴射した後に、この噴射器を閉止するためのものである。従来、この所定のガソリン量は、エンジン管理コンピュータによって、エンジン吸気圧、エンジン回転数などのようなエンジンの動作パラメータと、エンジンにより推進される自動車において運転者により指定されるエンジントルク要求を表すパラメータとから決定される。なお、エンジントルク要求は、例えばアクセルペダルの踏み込み具合によって決定されてもよい。
【0011】
図1に示されている電流Iの経時的変化は噴射器の制御回路によって制御及び計算される。なお、噴射器自体には、コントロールユニットの一部を成すマイクロプロセッサから適切な信号が供給される。このために、マイクロプロセッサは、コイルの励磁の全持続時間(t−t)を定める論理信号S(図1参照)を出力する。なお、コイルは、エンジンのシリンダ内に噴射される燃料量に応じてコントロールユニットによって計算される所定の時間Tの間、噴射器の開口を制御する電流Iによって励磁される。
【0012】
電流Iの経過曲線の全体的な形は典型的なものである。このように、有利には、コントロールユニットにより決定された噴射器の開口命令を噴射器制御回路に知らせる信号Sが(時点tにおいて)切り替わると、制御回路は、噴射器のコイル内にエネルギーが蓄積されるようにこのコイル内に「プレチャージ」電流を送り、噴射器の後続の開口が時点tにおいて効率的に行われるようにする。これについては後で説明される。このために、期間(t−t)の間のコイル内の電流はほぼ一定の値に安定化されている。ただし、この値は噴射器の開口がトリガされない程度の十分な値である。
【0013】
プレチャージ電流は、図1に示されている鋸歯状曲線を描くチョップされた電圧をコイルの端子間に印加することにより、コイル内に発生する。上記USA 5 381 297に記載されているこのような給電は、後続のピーク電流のときに消費される電力を制限するために、噴射器のコイル内に発生する自己誘導電流を利用する点で有利である。
【0014】
時点tにおいて、コイルに適切な持続時間の電圧パルスを印加することによって、噴射器制御回路は、図1に示されている持続時間Tのピーク電流に従って、コイルに許容される電流を調整する。コイル内の電流の増大は、有利には、コイルのプレチャージのゆえに急速であり、例えばおよそ電流が11Aの値、電圧がおよそ70Vで頂点に達する。この急速さが、バネと燃料圧とによって弁座に押しつけられていたニードルを時点tにおいて弁座から引き離すことよって、噴射器を即座かつ効果的に開口させる。引き離しの力は、時点tにおけるコイル内の電流の急速な増大によって(ニードルが配置されている軸に沿って)このコイル内に現れる磁束を用いて、電磁的にこのニードルに印加される。コントロールユニットによって前もって計算された開口時間Tは、制御回路によって、時点tからt=t+Tとなるような時点tまでカウントダウンされる。そして、噴射器は、期間(t−t)に噴射される燃料量がコントロールユニットによって決定された燃料量と合致するように、時点tにおいて再び閉止しなくてはならない。
【0015】
時点tにおける噴射器の迅速かつ正確な閉止を保証するためには、コイル内を流れる電流をできるかぎり弱くするべきである。こうすることによって、持続時間Tのピーク電流の後、電流は、持続時間Tの急速な減少期によって、数Aの低い値に減少する。しかし、この低い値は、それでも所定の時間の間噴射器を開かせておくには十分である。ほぼ一定の「保持」電流Iも、噴射器のコイルにチョップされた電圧を印加することによって発生する。時間Tは、Tと噴射器に給電する電気エネルギー源の電圧との関数である。なお、この電気エネルギー源の電圧とは、自動車内に搭載されたエンジンの場合、バッテリの電圧である。
【0016】
ピーク電流の持続時間Tは、周知のように、コントロールユニットにより計算される噴射器の開口時間T、すなわち「噴射時間」の関数である。本発明の1つの特徴によれば、この持続時間Tも噴射器に供給される燃料の圧力の増加関数である。
【0017】
つぎに、本発明による方法のこの特徴を説明し、裏付けるために、添付した図面の図2のグラフを参照する。
【0018】
Aは、通常のケースにおいて、噴射器の開口持続時間Tに従って噴射器により噴射される燃料量Q(例えばmgで計測)の変化のグラフ(実線)である。ここで、通常のケースとは、燃料の圧力Pcarbが50barのオーダーに固定されており、かつ、保持電流Iが3.5Aのときに、噴射器の開口ピーク電流の持続時間Tが400μsのオーダーに固定されているときのことである。
【0019】
このグラフが表している直線部分では、すでに上で見たように、最高で10のオーダーのダイナミックレンジQ1max/Q1minにより燃料量Q1を調整することができる。
【0020】
すでに上で見たように、燃料の圧力を例えば110bar(グラフB)に上げることにより、エンジン回転数が高く高負荷のときに噴射される最大燃料量を上げることができる(このとき、Tは5msのオーダーである)。達成されるダイナミックレンジは15のオーダーである。
【0021】
本発明によれば、燃料の圧力及びピーク電流の持続時間Tをエンジンの負荷に応じて変化させることが提案される。
【0022】
低負荷の際は、例えば50barのオーダーの中程度の燃料圧力と短縮されたピーク電流持続時間、例えば200μsとが使用され、そのとき保持電流は例えば3.5Aである。これらの条件は図3のグラフC(破線)に相応する。噴射器のニードルに負荷を与えるバネの予荷重は、燃料量調整のダイナミックレンジを上げるために、噴射可能な最小燃料量の値Q2minが最も低く調整されるように実現される。この値Q2minは、バネの予荷重がT=400μsで実現されているときに得られる相応する値Q1minよりも格段に低い。
【0023】
噴射される最小燃料量はさらに値Q3min<Q2minまで低くすることができる。この値は、グラフCと同じ燃料圧力(50bar)及びピーク電流持続時間(200μs)の条件の下で成立する図2のグラフEの上方に位置している。この結果は、図1に図解されているように保持電流を例えば3.5A(実線のグラフ)から2.5A(破線のグラフ)まで下げることによって達成される。時点tから始まる電流の減少は両方のケースにおいて同じ傾きを為しているので、破線のグラフは、噴射器閉止の閾値Sを実線のグラフよりも早く通過する。その結果として、噴射器の有効な開口持続時間が(Δtだけ)短縮し、したがって噴射される燃料量、とりわけ最小噴射燃料量Q3minが減少する。
【0024】
このようにして、燃料圧力が比較的低い(50bar)ときの保持電流の値を、燃料圧力が比較的高い(200bar)ときの値よりも低く固定することによって、つまり、電流値を燃料圧力とともに上げることによって、本発明の目的に沿って、噴射される燃料量の調整のダイナミックレンジはさらに上げられる。
【0025】
高負荷(又はT〜5ms)のときには、燃料噴射器には例えば120barの高圧力が印加され、ピーク電流の持続時間はT=400μsまで延ばされ、保持電流は3.5Aに調整される。このとき得られる特性値Q=f(T)は図2のグラフDに相応する。このグラフ上では、噴射機により噴射可能な最大燃料量Q2maxは、図のグラフA,B及びCにより与えられる最大燃料量と比べると非常に高くなっている。この最大燃料量Q2maxは、ピーク電流の持続時間を例えばT=600μsまで延ばすことによって、さらに強く引き上げることができる。
【0026】
上で言及したバネの予荷重を下げれば、噴射器に供給し得る燃料の圧力を(例えば110barから120barへ)さらに上げ、しかも、それでも噴射器の開口が可能であるようにすることができることに注意すべきである。これは、噴射燃料量の調整のダイナミックレンジの引き上げに有利である。
【0027】
このように、エンジンが低負荷のときにグラフC又はEによって決定される噴射特性値を、エンジンが高負荷のときにグラフDによって決定される噴射特性値と組合せることによって、本明細書の冒頭で述べた目的に沿って、噴射燃料量を20のオーダーの所望のダイナミックレンジで調整することができる。
【0028】
エンジン管理コンピュータは、エンジンの負荷に応じて、実現すべき燃料圧力の値ならびにそのつどの燃料噴射に割当て可能な時間T及びTを計算する。これらの値T及びTは、例えばSPI又はCANのタイプのリンクによって、噴射器制御回路に転送され、噴射器制御回路はそれに従って噴射器に印加すべき電流の経時的変化を適合させる。
【0029】
もちろん、本発明は単に例として説明され図示された実施形態に限定されるものではない。このように、ピーク電流の印加に先立つコイルの有利なプレチャージは不可欠ではなく、本発明はこのプレチャージの行われない経過曲線を有する電流によって給電される噴射器にも同様に適用可能である。同様に、本発明は、可変圧力で燃料が供給される噴射器及び一定の圧力で燃料が供給される噴射器に適用可能である。燃料圧力の制御が故障の場合、燃料圧力の高い値は通常は安全弁の予荷重により制限される。本発明によれば、ピーク電流の持続時間の延長は燃料圧力のこの値までの上昇とともに、噴射器への燃料供給の「低モード」動作を成す。
【図面の簡単な説明】
【図1】
噴射器の開口持続時間を調整するために本発明に従って制御される噴射器のコイル内の電流、及び、噴射器制御の論理信号の経時的変化を示す。
【図2】
異なる動作条件において噴射器によってその開口持続時間に応じて噴射される燃料量の経時的変化を示す。

Claims (6)

  1. 圧力(Pcarb)のかけられた燃料が供給される噴射器によって直噴式内燃機関内に噴射される燃料量(Q)を制御するための方法であって、前記噴射器の一部を成す電気コイルに所定の持続時間(T)のピーク電流を供給することにより前記噴射器の開口をトリガする形式の方法において、
    前記ピーク電流の持続時間(T)が前記燃料圧力(Pcarb)の増加関数であることを特徴とする方法。
  2. 前記ピーク電流の前記持続時間(T)も前記噴射器の所定の開口持続時間(T)の関数である、請求項1記載の方法。
  3. 前記ピーク電流の持続時間(T)は、燃料圧力(Pcarb)がおよそ50barのときのおよそ200μsから燃料圧力(Pcarb)がおよそ120barのときのおよそ600μsまでの範囲である、請求項1記載の方法。
  4. 前記ピーク電流の前に前記コイル内の電流値を急速に低下させ、
    前記低下の持続時間は、前記持続時間(T)と前記噴射器に給電する電気エネルギー源の電圧との関数である、請求項2記載の方法。
  5. 前記電流値の急速な低下に先行して、所定の保持時間の間、前記電流値を燃料圧力(Pcarb)の増加関数のほぼ一定値に安定化させる、請求項4記載の方法。
  6. 前記ピーク電流の印加に先行して、前記コイルをプレチャージする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
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