JP2004513641A - 製品中における病原性および腐敗活性の抑止方法およびシステムならびにこれによって処理された製品 - Google Patents
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Abstract
病原性または腐敗生物を抑止するため、高周波エネルギーを宿主物質に適用する方法およびシステム、およびそれにより処理された宿主物質。大まかに言えば、高周波場は宿主物質中に導入され、ここで高周波場は、特定の周波数で宿主物質に熱エネルギーを共鳴的に導入するように構成されており、熱エネルギーは、感染性生物に不可逆的変化を引き起こすのに十分であり、かつ、この高周波場は、熱エネルギーが宿主物質中には可逆的な変化しか引き起こさないような電力レベルで構成されるものである。
Description
【0001】
(関連出願へのクロスレファレンス)
本願は、2000年11月8日に出願された米国出願第09/709,757号(これは参照により本願に組み入れられる。)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府から援助を受けて研究ないし開発が行われた旨の陳述)
本願は、米国国立公衆衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた許可番号DC00236および米国科学財団(National Science Foundation)によって与えられ許可番号9726363の下で、政府援助を受けてなされた発明である。米国政府は本願発明に何らかの権利を有する。
【0003】
(添付コンピュータプログラムへの言及)
適用なし
【0004】
(発明の背景)
1.技術的分野
本発明は、高周波のエネルギーを農産物や価値ある美術品などの製品に適用して害虫、細菌、および他の病原性または腐敗生物の存在を抑止する方法およびシステムに関する。本発明はまた、こうした高周波エネルギーで処理された製品も対象とする。
【0005】
2.背景技術の説明
今日、人々が安全に関して大きく懸念しているのは、食品が、大腸菌O157:H7(Escherichia coli O157:H7)、サルモネラ菌(Salmonella sp.)、リステリア菌(Listeria)、および特にカンフィロバクター(Camphylobacter)などの病原性細菌に汚染されているのではないかという点についてである(たとえば、J.L.Welboum“Inside Microbiology”,Food Testing & Analysis,p.20〜22,Vol.4(3),1998年6月/7月号参照)。これらの病原性細菌はいずれも、最近、多くの通常の食品の消費によって病気を引き起こすものであると認められている。食物に起因する病気および死者の発生は、それぞれ1200万人および4千人と見積もられている。穀物、種子およびスパイスなどの農産物も、真菌および/または細菌の影響によって汚染され得る。さらに、農産物の品質保持も酵素活性によって影響を受け得る。さらにまた、生物活性は様々な毒素(たとえば、穀物中のAspergillus flavusによるアフラトキシン)を生成することがある。
【0006】
したがって、病気を運ぶ生物の食物および農産物中での存在を抑止することが望ましい。これを達成する2つの方法は、腐敗生物の発達を遅くすること(静生物作用)およびそうした生物に致命的な影響を引き起こす(殺生物作用)熱エネルギーを用いることを含む。
【0007】
A.熱感受性傾向
こうした感染性生物の存在(病原菌ならびに昆虫/クモ類の汚染など)を抑止する1つの方法は、熱エネルギーを用いることである。宿主物質中の微生物を攻撃する熱エネルギーの使用は、微生物が宿主物質(すなわち、農産物その他の材料)よりも熱エネルギーに対して感受性が高く影響を受けやすいという点に基づいている。このより大きな感受性は、生物の生体構造がより複雑であること、および、呼吸やエネルギー生産および細胞分割などの生物としての機能を維持するために必要な複雑な機能的プロセスが存在するためである。
【0008】
図1は、説明の目的のためのものであるが、宿主物質と感染性生物の相対的な感受性を描いている。境界130は宿主物質中で不可逆的変化が起こる温度を示す。図1で、様々な種類の宿主物質が相対的に異なる境界線を割り当てられている。したがって、生の果実は領域131にあり、植物は領域132にあり、種子は領域133にあり、穀物は領域134にあり、土壌は領域135にある。図1は、宿主物質の高い境界線130が、土壌について(相対的な意味で)最も高く、生の果実で(相対的な意味において)最も低いことを示している。本明細書において宿主物質中での「不可逆的」変化とは、(i)宿主物質の感覚的特性および保存特性に影響を及ぼす宿主物質固有の代謝および/または生理学的特性に影響を与える変化、または(ii)宿主物質の感覚的特性および保存特性に影響を及ぼす宿主物質固有の科学的および分子の構造に及ぼす変化を含む。たとえば、ある固有の代謝活性を有する宿主物質は収穫後のグリーントマトである。収穫され慣用の方法に従って保存されているグリーントマトは、色の変化(緑から赤)に関連した代謝的な変化や成熟トマトの味をもたらす化学的変化を続けている。したがって、不可逆的変化は宿主物質固有の代謝的および/または生理学的特徴に変更をもたらす変化である。たとえば、野菜を酢漬けにしたり、果物を缶詰めにしたりすると、野菜や果物固有の活性は変更を被り、このため、これらは不可逆な変化と言える。
【0009】
あるいは、感覚的特性または保存特性の変化をもたらす特定の化学的または分子の構造を有する宿主物質の例としては、古書や美術品などの人工産物が挙げられる。古書の場合、ページ上のインクの、あるいは、ページそれ自体の分子構造は、書籍に関連した感覚的特性(すなわち、色)やその潜在的価値の源泉になるものである。こうした分子の構造または化学構造は、腐敗生物によって長期間で変化することがある。さらに、宿主物質それ自身が昆虫やダニに食べられてしまうこともある。したがって、こうした宿主物質における不可逆的変化は、宿主物質の化学的または分子の構造を変えてしまい、この結果、色などの感覚的特性や保存特性に及ぼすような変化である。
【0010】
さらにまた、生の果実では固有の生理学的特性は、外見、構造および味を含む。境界130を下回る(かつ境界120を上回る)と、宿主物質中で「可逆的」変化のみが起こる。可逆的変化の例としては、温度の若干の変化、すなわち、宿主物質固有の代謝および/または生理学的特徴になんら実質的変化や上述した宿主物質の化学的または分子の構造の変化を及ぼすことのない温度の上下サイクルのようなプロセスが含まれる。境界110は、昆虫やクモ類において、それ上回ると不可逆的変化が起こるポイントを示す。本明細書において、感染生物中における「不可逆的」変化とは、その生物の複製能力または生存能力に影響する変化である。説明として言えば、境界110を下回る(かつ境界100上回る)と、昆虫およびクモ類中で可逆的変化が起こる。さらに、境界120は、微生物において、それ以上では不可逆的変化が起こる領域を示す。ここでもまた、説明として言えば、境界120を下回る(かつ境界110上回る)と、微生物中で可逆的変化が起こる。
【0011】
上述のように、生体中における熱感受性は生物学的複雑さと直接に比例している。したがって、生物学的複雑さが高いと熱エネルギーに対する感受性も高い。図1では、昆虫およびクモ類は最も感受性が高く、土壌は最も感受性が低いということになる。図1に記載した微生物は、真菌、酵母、細菌、ウイルスおよび原生動物を含む。さらに、昆虫およびクモ類ではすべての生命サイクルにおいて、誘導された熱の水準が40℃〜60℃で、即時または遅効的に死に至り、あるいは複製活性が破壊される。微生物がその最高成育温度よりわずかに高い温度にさらされると、生細胞や胞子の減少などの不可逆的変化が起こる。この挙動は、タンパク質、酵素あるいは複製に必要な遺伝子の変性によるものと信じられている。このことはOwen R. Fennema編“Physical Principles of Food Preservation”第II部(Marcel Dekker,Inc.,1975)に一般的に記載されている。さらにまた、古書や美術品のような貴重な人工産物は、上記のような「生物学的複雑さ」を有しないが、それでも、温度などの環境的要因に対しては、それが宿主物質固有の化学的または分子の構造に変化を及ぼし得るため、宿主物質は高い感受性を有する場合がある。
【0012】
したがって、感染した食品または生物が存在する人工産物などの生体/宿主物質システムへの熱エネルギーの適用は、主として酵素活性をターゲットとして、したがって、生体の機能的能力をターゲットとして用いることができる。酵素の不活性化は、様々な製品から昆虫、クモ類(すなわち、ダニ類)、および微生物などの生物汚染物を排除することにおいて不可欠な目標である。また、熱エネルギーの生体への適用は、致命的でなくともストレスを及ぼすものであり、これにより遅効的な死につながったり、液体の膨張に基づく組織の損傷をもたらす。
【0013】
B.従来の熱エネルギー生産における不均一性
病原性生物の存在を抑止することにおいて有用であるにも関わらず、熱エネルギーは、通常、生の食品や他の人工産物などの宿主物質中に限られた場合にしか導入されていない。これは宿主物質の代謝的、生理学的、化学的、分子的、感覚的または保存上の特徴に不可逆的変化がもたらされるためである。この理由は、通常、熱エネルギーは、伝導、対流および従来の対流型高周波放射により導入されるという点にある。後述する高周波放射の限定的な例外を除いて、これらの従来の熱エネルギー導入方法では、宿主物質のある領域、たとえば、表面は、最初、その隣接領域よりも多くの熱エネルギーにさらされる。次いで、この熱エネルギーは、伝導または対流プロセスを通して隣接領域に拡散していく。このタイプの熱処理が用いられる場合は、製品の体積全体にわたって、汚染生物に到達してこれを抑制するのに十分な量の熱エネルギーを効率的に配分するためには、いずれの場合も、熱エネルギーをある1つの領域に適用することが必要である。この結果、宿主物質に選択された領域を通して適用される熱は多くの場合過剰であり、その領域に不可逆的変化を引き起こし、これにより受容できない損傷が生じてしまう。
【0014】
滅菌および/または駆除のために熱エネルギーを均一に配布する利用法は、商業的には、通常、限られた場合である。たとえば、マンゴーなどの食品では熱水に漬ける方法が取られるが、これは上述のように様々な結果をもたらす。
【0015】
C.高周波放射の基礎的概念および操作
高周波(RF)放射とは、約3キロヘルツから300ギガヘルツの周波数域における電磁波放射である。宿主物質がRF放射を吸収する能力は、一般的には、周波数の関数として変化する。図2には、たとえば、RF放射と関連する周波数サブセット上で、宿主物質の吸収曲線200の周波数に対する例示的にスポットして描いたものである。吸収曲線における極大210(周波数f0)は、従来、与えられた宿主物質についての「共鳴」周波数として理解されてきた周波数である。当業者は、共鳴周波数f0は、そのジオメトリーや誘電特性を含め、宿主物質に依存する点を理解するべきであろう。共鳴モードでは、宿主物質に伝達されるRFエネルギーは最大となり、エネルギーの幾分かは効率的伝達を実現される。これにより、熱エネルギーを宿主物質に均一に導入し、商品全体にわたって宿主物質材料に均一にかつ制御されたレベルでエネルギーを導入することができる。
【0016】
RF放射による宿主物質への熱エネルギーの伝達は、伝導、対流および慣用の高周波放射に基づく方法とは異なる。最も大きな違いは、RF処理は熱エネルギーを均一に導入できるという点である。上に分類したような従来の方法は(下に論じる高周波放射を例外として)、熱エネルギーはひとつの領域、たとえば、表面に導入され、次いで他の領域には伝導または対流によって伝達される。宿主物質表面からの熱エネルギーの損失は大きなものであり、目的とする殺生物効果を実現するためにはさらに熱エネルギーを投入する必要がある。
【0017】
しかし、伝導および対流とは異なり、RF放射と宿主物質との相互作用は、従来の高周波放射と宿主物質に類似したところがある。しかし、RF放射は、従来の高周波オーブン(電子レンジ)の周波数(約2,450MHz)よりも低い周波数域である。このため、RF放射は、熱エネルギーを宿主物質中により均一に、より深く、宿主物質に対して不可逆的変化をより小さくとどめて発生させることが可能である。
【0018】
宿主物質中の2極性分子は、RF放射と従来の高周波放射をいずれも吸収する。それぞれの場合での宿主物質に対する効果の違いは周波数および波長の違いによる。従来の高周波オーブンにおける高周波は、約2,450MHzの周波数であり、波長は約12.2cm(約4.8インチ)である。したがって、腹と腹の間の隔たりは、およそ半波長、すなわち約6.1cm(2.4インチ)である。したがって、巨視的物体になんらのエネルギーも加えない高周波場の部分が約6.1cm(2.4インチ)隔たっている。高周波オーブンでは、通常、加熱が不均一で、均一加熱に近くするために高周波空洞内で物品を回転させることが通常行われているのは、このことが理由である。
【0019】
あるいは、100MHz(これは通常の高周波の周波数の大きさより1桁小さい。)の範囲のRF放射を考えると、こうしたRFの放射の波長は300cm(9.8フィート)である。上述の分析と同様に考えると、こうしたRF放射では腹間の隔たりは150cm(4.9フィート)である。このため、こうしたRF放射場中では、不均一な加熱領域はせいぜい4.9フィート離れていることになるが、これは通常の食品の大きさを優に超えるものである。したがって、RF放射は、従来の高周波放射よりも宿主物質中により均一にかつ深く作用する。こうした一般的な効果は、米国特許第5,977,532号(これは参照により本願に組み入れられる。)において認識されている。
【0020】
周波数の違いはまた、RF放射と高周波放射との他の大きな違い、すなわち、RF放射は宿主物質中で従来の高周波放射と比べ不可逆変化を起こすことが少ないことの理由となっている。高周波放射の周波数は、RFの放射の100MHzに比べ1桁大きなものである。したがって、吸収され、再放出されない各フォトン(宿主物質によるエネルギー吸収の主たる手段)は、100MHz域のRF放射のフォトンよりも1桁大きなエネルギーを宿主物質に付与する。もちろん、これは食品を調理する場合には、調理の最終目的は宿主物質に不可逆的変化をもたらすことであるから、望ましいことである。しかし、従来の高周波は、生の果実に適用する場合、および、新鮮さ(見かけや味)に関連する性質に変化を望まない場合には、望ましいものではない。
【0021】
このエネルギーの違いは、宿主物質による本発明のRF放射の吸収を記述する式にも反映される。RF放射によって宿主物質中で発生する電力は、次のように現すことができる。すなわち、
P=55.61×10−14E2fε”
式中、Pは宿主物質中で発生する電力の密度(W/cm3);Eは電場の強さ(V/cm);fはRF周波数(Hz);ε”は宿主物質の誘電損失因子(無次元)である。誘電損失因子ε”は宿主物質に固有の特性である。上述のように、また、上記等式から明らかなように、周波数値の低下は、電場の強さが同じであるならば、伝達される電力の低下に対応する。
【0022】
したがって、多くの生の農産物では、均一な加熱をもたらさないため、高周波加熱は適さない。また、2,450MHzのフォトンが浸透する深さが限られているため、多量の植物繊維を処理する際、高周波加熱では不均一になる。さらに、水(生の植物組織の主要成分)による高周波吸収が高いため、制御可能な方法で、低レベル熱処理を行なうことはできない。
【0023】
D.従来のRFシステム
伝統的な、すなわち標準的なRF加熱用RFシステムを図3に示す。製品試料310は、横方向電磁場セル300(TEMセル300)内に置かれる。RF波は空洞内を横断し試料310と相互作用する。残りの電力は反対側から出て行き出力電力として計測される。システム全体は単一パスのトランスバーサルモードとして動作する。
【0024】
この標準的なRFプロセスでは、RF入力電力Pi、反射電力Prおよび出力電力Poが計測される。TEMセル300を出たRF出力(Po)の流れはヒートシンクで終端し、これは空気または循環冷却材により冷却される。電磁場がターゲットとどのように相互作用するかにより、少なくとも2つの可能な結果がある。
【0025】
第1の結果は、TEMセル300内に試料310がない場合、RF波がうまく結合しない場合、またはRF波が試料310とほとんど作用しない場合であり、出力電力Poは入力電力Piとほぼ等しく、反射電力Prはほぼゼロである。この結果においては、吸収RF電力Pabは以下のように書くことができる:
Pab=[Pi−Pr−Po]=0
このため、RFから試料に伝達されるエネルギーは、試料310は実際上加熱されない。
【0026】
第2の結果は、RF波と試料310が相当程度結合する場合であり、RF波が試料310へのエネルギーの効率的な伝達が起こる。この結果では、RFシステムのインピーダンスが変化し、反射電力Prが増加し、出力電力Poは減少する。したがって、吸収RF電力Pabは以下のように書くことができる:
Pab=[Pi−Pr−Po]>0
この場合、試料温度は吸収RF電力Pabに比例して増加し、その変化は以下のように表すことができる。
【0027】
ΔT=Tfin−Tini
ここで、Tfinは試料の最終温度であり、Tiniは試料310の初期温度である。入力電力に対する吸収電力の比(Pab/Pi)は、試料310によって吸収される入力RF電力分を示す重量なパラメータである。この吸収/入力電力比Rabは次式で与えられる。
【0028】
Rab=Pab/Pi=1−(Pr+Po)/Pi
吸収電力比Rabが高いことが最善の効率および低コストのために望ましい。これはまた、高い温度差(ΔT)が試料310について得られることを示す。この後者の特徴は、宿主物質中の熱ウインドー内における異なる熱エネルギーレベルでの処理を可能にする。
【0029】
実験データは、図3に示す従来のRFシステムアプローチを用いた標準的なRF処理の使用では、吸収電力比Rabの最大値が約50〜60%であることを示している。したがって、全体的な使用効率および得られる温度勾配はいずれも限定され低い値である。上記の条件下では、商業的かつ大規模にRF処理を使用することは、経済的な考慮からも実際的な考慮からも限定的なものになるだろう。
【0030】
したがって、高い電力吸収比Rabを発生させるRF処理用システムの現実化が望まれる。
E.電磁波放射の用いた従来技術との比較
感染性生物の無能力化を目的とする従来技術は、傾向としては、微生物を(熱による効果ではなく)直接に抑止するに十分な電力、強度および周波数を有する電磁波放射を用いて生物をターゲットとするものに集中している。
【0031】
Hoffman他に付与された米国特許第4,524,079号(’079特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、微生物を減少させるために5キロヘルツと500キロヘルツの間の周波数で振動磁場を用いることを開示している。当業者は、動的な磁場が、組織中で磁場変化および組織の伝導率に応じた電流を誘導することを理解するであろう。’079特許は、500キロヘルツを超える周波数では磁場振動による微生物による不活性化は効率が低下し、材料加熱の傾向となるため好ましくないと考えられると記載している。適用される磁場の強度は、’079特許では2〜100テスラの間である。2テスラを超える磁場では一般に生物組織に悪影響を及ぼすと理解されている。さらに地球磁場は’079特許に開示される磁場よりも少なくとも4桁小さい(約10−4テスラ)。
【0032】
Wilson他に付与された米国特許第5,339,564号(’564特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、RF電力の周波数ホッピング(147MHzと240MHzが周波数の例として開示されている。)における使用を開示する。周波数は動物ミトコンドリアの自然な分極振動のみに結合するよう選択されている。’564特許はこうした周波数が、その構造の違いから植物細胞には害を及ぼさないと記載している。さらに、’564特許はダイポール振動は1kHzと100MHzとの間で起こるが、コヒーレントな励起振動は100MHz近くで起こると述べている。147MHzでの強度は8ワット/m2と開示されている。
【0033】
Fehr他に付与された米国特許第3,272,636号(’636特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、20〜40MHzの周波数および500と3000V/センチメートルr.m.s.の間の強度の使用を開示している。ここでもまた、周波数は、はっきりした程度の加熱を引き起こすことなく、病原性微生物にとって致死的であり、かつ食品に害をもたらす生物の増殖能力に破壊的であるように選択されている。この周波数域は、食品の調理や食品の香りの変化に十分な食品の内部的加熱を引き起こさないと’636特許は開示している。また、’636特許は、食品が高い周波数の振動に対して抵抗性を有したり、微生物がより低い周波数に対してより影響を受けやすい場合は、より低い周波数も使用できると開示している。さらに、’636特許は、さらなる加熱および食品の調理が重要でない場合について「誘電加熱域」(1000MHz)以下のより高い周波数の使用を開示している。上述の他の文献の場合と同様に、’636特許は微生物が高い電力でRF放射により直接に抑止されることを開示したものである。
【0034】
Robertson他に付与された米国特許第2,485,660号(’660特許)は、1MHz〜1000MHz(好ましい周波数は約30MHz以上である。)のプラズマ周波数放射の利用を開示している。周波数及び電力出力は、不可視的コロナ放電を形成し、これによって周囲の媒体を認識できる程度に加熱することなく生物体を殺すために選択される。
【0035】
したがって、感染性生物に対して不可逆的な変化を引き起こす一方、生の果実や野菜;肉、鶏肉およびシーフード;穀物、種子およびスパイス;および様々な貴重な人工産物などの宿主物質には、可逆的変化のみを引き起こす商業的方法が必要とされている。これは、生の果実や野菜、人工産物は通常、熱感受性の分類に属する天然の腐敗生物によって影響を受け、また、生の果実や野菜については、取り扱い時や包装時に、病原性生物(細菌)によりさらなる汚染を被る場合があるという事実があるためである。従来の熱エネルギーに基づく方法は現在用いられない。RF放射を穀物、種子、およびスパイスに適用することは、これらの宿主物質が真菌および/または細菌汚染に影響されやすいということから、多くの目的を有する。すべての場合において、RF法は、これらの宿主物質の全般的安全性を改善する脱汚染効果をもたらす。さらにRF法は、古書のような貴重な人工産物を保存することができる。さらにまた、必須栄養素の生物学的分解を促進する酵素を熱によって不活性化することが、RF法の主たる利用例であって、これは、より良い、化学品を用いない穀物保存技術をもたらすものである。
【0036】
(発明の簡単な概要)
したがって、本発明の第1の実施形態では、製品の処理方法は、平行板電極ジオメトリーによって決定された高周波場を、宿主物質を含む製品に導入することを含み、ここで、高周波場は、特定の周波数で宿主物質に熱エネルギーを共鳴的に導入するように構成されており、熱エネルギーは、感染性生物に不可逆的変化を引き起こすのに十分であり、かつ、この高周波場は、熱エネルギーが宿主物質中には可逆的な変化しか引き起こさないような電力レベルで構成されるものである。
【0037】
本発明の第2の実施形態では、システムはTEMセルを含み、このセルは、製品のジオメトリーを電磁場にマッチングさせること、商品によって調和共鳴子(harmonic resonator)を形成すること、および電磁場を製品の誘電損失因子と結合することによって、終端抵抗が除かれたものである。
【0038】
本発明の第3の実施形態は、上記第1の実施形態に適合する方法によって処理された宿主物質を含む。本発明の他の実施形態は、高周波場を宿主物質を含む製品に導入することを含む方法であって、前記高周波場が前記宿主物質に約2時間〜20時間の間、約500ワット未満の割合で前記製品に吸収されるように構成されたものであり、前記高周波場が約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成されたものである方法である。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、上記方法によって処理された宿主物質を含む。
【0040】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、終端抵抗が除かれ高周波放射が製品と適合するように構成されたTEMセルを含み、これは出力電力および反射電力が最小となり、高周波放射が製品によって約2時間から20時間の間に約500ワット未満の割合で吸収され、高周波放射が約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成されたものである。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点を、明細書の以下の記載によって示すが、詳細な記載は、本発明の好適実施形態を完全に開示することを目的とするものであって、本発明に制限を設けるものではない。
【0042】
本発明は、以下の図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。しかし、これらの図面は説明のみを目的とするものである。
【0043】
(発明の詳細な説明)
本発明によるRF法は、1つの実施形態では、宿主物質に対して受容可能、すなわち耐えられる温度範囲(「温度ウィンドウ」)内で、受容可能、すなわち耐えられるレベルの熱エネルギーを誘導するためにRF放射を使用することに基づいている。したがって、RF法は、多くの生物に対しては致死性を示すに十分な高レベルであるが、宿主物質中では受容できない代謝的、化学的、分子的な変化を引き起こすレベルよりは下の低い熱エネルギーレベル(温度)の使用を可能とする。
【0044】
本発明の方法は、製品を2枚の平行電極板(「アプリケータ」)内に装入することによって行われる。本発明のアプリケータは、製品の個別のタイプについて設計してもよいし、また、最終包装(出荷前)を施した製品を処理するのにも用いることができる。設計上の考慮点は、製品のジオメトリーおよびアプリケータの電圧許容量を含む。ジオメトリーの例は、以下に分類して述べる。
【0045】
本願においては、「製品」という用語は、宿主物質、可能性のある任意の感染性生物および様々な包装の組み合わせを指す。包装は、ラッピング、ランチボックス(すなわち、お弁当)、あるいは任意のタイプの保管用または保存用構造を含む。
【0046】
RF法によって宿主物質塊全体にわたり熱を効率的に発生させるためには、使用するRF周波数は、高度に浸透的であり宿主物質の組成が十分に均一である必要である。様々な密度および化学組成が微妙に異なる宿主物質についてこの条件を実現するためには、操作周波数の範囲は、0.1と1000MHzの間、好ましくは30〜300MHzの範囲である。さらに、特定の製品ジオメトリーについてのRFアプリケータを一度決めた場合、最良のRF動作周波数は、下記のRF共鳴回路内のインダクタンスを調節することによって生成できる。このようにして、RF法により処理すべき個別の製品について、高い(RF電力の熱エネルギーへの)電力変換率および高浸透性が得られる。
【0047】
しかし、ここに開示するRF法は、特定の製品についての単一または狭帯域共鳴周波数を主として規定しているため、RFエネルギー周波数を製品の誘電損失因子(これは、主として化学組成によって決まる。)結合するときには方法を最適化する。このように宿主物質内で発生する熱に影響する変数は、表面からの熱流特性に影響を及ぼすものとは異なっている。実際に市販されている生製品(包装を含む。)において見られる多くの共通性および品質ファクターによって、RF法の全体的効率性に及ぼすことなく、最良の操作条件(すなわち、RF周波数、製品組成およびジオメトリーのマッチング)を確立することができる。
【0048】
既に述べたとおり、入手可能な文献を検討すると、40から60℃(またはΔT=20〜40℃)の熱エネルギーレベルが、脱汚染を必要とする大部分の宿主物質について、滅菌および/または駆除の適当なレベルでの誘導をなすに十分な高さであることが示されている。このような温度レベルかつ短時間の条件では、これらの宿主物質の感覚的、機能的および市場価値を定める特性が維持であり、または、潜在的影響を最小限にとどめることができる。
【0049】
A.高使用/変換効率RF処理
本発明に従った高使用/変換効率(HUCE)RFシステムを、図4にTEMセル400として示す。このシステムでは、図3の従来システムと比較すると終端抵抗が除かれている。これは、試料410を低インピーダンスの負荷とすることにより実現される。したがって、従来のアプローチと異なり、出力RF電力は存在せず(すなわち、Po=0)、RF反射電力も最小になる(すなわち、Pr=0)。この結果、電力使用および電力返還効率が著しく改善される。
【0050】
これは、特定の製品ジオメトリー(すなわち、宿主物質およびその包装)を平行板電極によって設定される境界により決まる適当な電磁場とマッチングさせること;誘電媒体である製品と調和共鳴子を形成することにより電磁場強度を増加させること;および電磁場を製品の誘電損失因子と結合して、RF法を効率化するとともに商品または類似商品群に特定のものとすることによって達成される。
【0051】
上記の効果は、従来技術(図3のTEMセル300)の横方向RF波単一パス(単一方向性)を製品に特異的な共鳴空洞とすることによって実現された。ここで共鳴空洞は、RF電力を製品内でより効率的に変換する際により効率的に作動するものである。この変更によって、吸収電力比Rabは次式で与えられる。
【0052】
Rab=1−Pr/Pi
この条件下では、HUCERFシステム(TEMセル400)についての吸収電力比Rabは、常に90%を超える。
【0053】
既に述べたように、本発明のアプリケータは製品の特定のタイプについて設計できるし、最終包装(出荷前)を施した製品を処理するのにも用いることができる。したがって、設計上の考慮点の1つは、製品のジオメトリーである。以下の表1は本発明に適合するジオメトリーの例を分類して示したものである。説明のため、2つの特定のジオメトリーをさらに図5と図6に図示する。図5は本願明細書において「ジオメトリー12」として用いているものであり、「イチゴクラムシェル」と称される商業的な包装と関連する。図6は本願明細書において「ジオメトリー13」として用いているものであり、「ランチボックス」包装と関連する。合計で表1は、本発明に適合する27のジオメトリーを分類するとともに、関連する宿主物質および包装を記載したものである。「備考」欄の「4π発泡スチロール絶縁」は、発泡スチロール絶縁が立体角4πステラジアンに対する(subtend)ものであることを示している。
【0054】
また、これも既に述べたように、HUCERFシステム(TEMセル400)についての吸収電力比Rabは、常に90%を超える。この点は、HUCERFシステム(TEMセル400)と従来RF処理TEMセル300とで、同じ範囲の食品および食品以外の商品について、熱吸収電力を比較することによって示される。
【0055】
TEMセル400を従来のTEMセル300と比較したRF実験の結果を下記の表2と3にまとめた。また、調理米(図7)についてと生米(図8)についての典型的なRF走査曲線も含めてあるが、これらは、使用/変換効率において同様の違いがあることを示している。
【0056】
B.様々な農産物のRF処理
RF誘電加熱システムを用いたさらなる研究は、RF電力の熱エネルギーへの迅速かつ効率的な変換を誘導する最良の周波数条件を決定した。これらの測定は、下記の材料を含む宿主物質群を用いて行われた。(i)ベリー(漿果類:ブラックベリー、ラズベリー、ブルーベリー、イチゴ);(ii)生食用ブドウ(トンプソン(Thompson)種ナシブドウ、レッドフレーム(Red Flame)種ナシブドウ、ブラックビューティー(Black Beauty));(iii)農業土壌(ヨーローローム(Yolo Loam)、ヨーロー微細砂質ローム(Yolo Fine Sandy Loam)、UC混合土壌、カーネーショングリーンハウス、砂);(iv)種子(マイロ、トマト、コショウ、豆類、ニンジン、綿、アルファルファ、米、トウモロコシ):(v)スパイス類(コショウ、オレガノ、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、パプリカ);(vi)牛肉(9%、12%、20%および100%ファットプライム牛粉);(vii)牛乳(全乳、2%脂肪、無脂肪);および(viii)木材(レッドウッド;ダグラスファー;松);(ix)生果実:リンゴ・ナシ類(パッカムペア(Packham’s pear)、グラニースミスアップル(Granny Smith apple)、ロイヤルガラアップル(Royal Gala apple));柑橘類(ネーブル、ミカン、ユーリカレモン、グレープフルーツ);核果類(モデストアプリコット(Modesto apricot)、ビングチェリー(Bing cherry)、フライアプラム(Friar plum)、イエローピーチ、ファンタジアネクタリン(Fantasia nectarine);亜熱帯果実(ハースアボカド(Haas avocado)、キウィ);熱帯果実(マンゴ、グアバ、パイナップル、バナナ、パパイア);(x)乾燥果実(アーモンド、ピーナッツ、ピスタチオ、クルミ、ヘーゼルナッツ);(xi)脱水果実(レーズン、プルーン、リンゴ、アンズ、バナナ);(xii)穀類(米、小麦粉、マッシュポテトパウダー);(xiii)生野菜(トマト、ジャガイモ、タマネギ、コショウ、ガーリック、アスパラガス);および(xiv)保存食品(桃、アンズ、パイナップル、トマト)。
【0057】
これらの測定は、水、空気、飽和食塩水、飽和砂糖水、および植物油を、様々な化学的特性、したがって、様々な誘電体特性(すなわち、誘電損失因子)を有する材料のモデルとして含んだ。
【0058】
上記の測定の結果をRF電力吸収およびRF動作周波数の関数としてすべての材料について示し、RF動作パラメータのいくつかおよび必要とされるRFアプリケータを規定できるようにした。これらの測定結果を温度変化(ΔT;℃)および誘導熱電力(ΔQ;ジュール)として表して、それぞれ図9および図10に示す。
【0059】
したがって、当業者は、本発明の方法が、様々な種類の他の農産物や貴重な人工産物にも適用可能であることを理解するべきである。
【0060】
C.農産物のRF周波数挙動
RF周波数をRF法で処理される可能性のあるいくつかの農産物の誘電特性にマッチングおよびチューニングすることについてより詳細に規定するために、いくつかの農産物を、RF電力を吸収し熱エネルギーに変換することにより熱エネルギーを誘導し得る範囲のRF周波数に暴露しその応答を測定して検討した。これらの結果を図11にブラックベリー、ラズベリーおよびブルーベリーについて、図12に生食用ブドウ(トンプソン種ナシブドウ、ブラックビューティー、レッドフレーム種ナシブドウ)について、図13に土壌および水について示す。
【0061】
これらの結果は、これらの宿主物質が従う一般的傾向に関わらず、RF電力吸収および熱エネルギー(熱)への変換に関してはある商品については、特定の周波数がより良い効率を示すことが見出され得るということを明らかに示している。したがって、ある製品およびジオメトリーについて、動作周波数を選択することが、RF法の特長を最大限に引き出す上で、および殺生物効果を誘導する最良のプロセス効率を実現する最適条件のために極めて重要である。この最良の条件は製品に依存する。
【0062】
農産物に対し図11〜13に示すように、30〜300MHzまたは40〜140MHzのRF周波数が、RF法の効率的な動作に対して最適なRF周波数帯として示唆される。このRF領域では、調和的配分特性が、潜在的共鳴ピークの強度が120MHzを上回るとRF周波数の減少に従い増加することを示唆している。
【0063】
最後に、40MHzを下回ると、熱的効果は期待されず、これらの実験では測定がなされていない。しかし、1MHzでは、静生物効果が示されている。この効果は制御された圧力法(これは既に何種類かの生の生産物の長期保存に既に用いられている。)によって得られる静真菌効果に類似している。
【0064】
D.動作熱ウィンドウ
本発明の1つの実施形態におけるRF法は、材料の誘電特性とマッチした狭帯域のRF周波数を用い平行極板システムによって確立された高周波場を用いて適用される。この条件下では、RF電力の吸収および熱電力への変換は効率的に所定条件下で達成される。したがって、RF技術は、RF波を材料の誘電体特性に結合させ得るという利点を活かすことができる。純粋な効果は、RF電力を処理材料内で均一で迅速にかつ高いエネルギー変換効率で熱電力に変換することである。
【0065】
いくつかの材料は、RF放射を用いた処理によって滅菌および/または駆除をほとんど熱効果なしで、また、あるパラメータの下で操作する場合には、使用できる。こうした材料には以下のものが含まれる。食品(生の果実や野菜、乾燥食品、加工食品たとえば缶詰、シリアル類;生肉、鶏肉およびシーフード;果汁その他);食品添加物(スパイス類を含む。);動物用飼料;食品種子(装飾用植物の種子を含む。);木材および木製材料:廃棄物(固体、液体);植物材料(土壌および土壌改良剤を含む苗床材);および農業用土壌。木製材料では乾燥操作も実現され得る。
【0066】
これらの材料の多くは熱エネルギーの適用に対し幾分かは抵抗性を示すが、ほとんどの材料でその限界は知られていない。しかし、多くの材料は熱感受性であり不可逆的な影響を受ける。これらは代謝活性(すなわち、ある種のクリマクテリック(climacteric)期の果実、植物種子その他)を備えた材料であるか、あるいは生の果実のように、それらの市場価値を決定付ける特定の物理的または化学的特性(色、風合い、香り、その他)を有しているからである。材料に対する衝撃を最小限にとどめてRF放射の利点を最大限に得るためには、図1に示す低温および高温境界の内部で行わなければならない。このように、本発明の方法は、材料中に存在する最も熱感受性の汚染体に対して不可逆的変化を及ぼし、かつ、宿主物質それ自身には可逆的な変化しか引き起こさない。
【0067】
この操作を利用するためには、各材料について熱境界を知っている必要がある。熱ウィンドウの境界は、宿主物質の熱感受性および汚染体の熱感受性を測定することによって決定される。
【0068】
既に図1について述べたことであるが、感染性生物および昆虫/クモ類タイプの汚染体は、ほとんどの通常のその宿主物質(宿主)に対してよりも熱感受性が大きい。これは、それらの生物学的構造がより複雑であり、基本的には呼吸、エネルギー生産、増殖や修復のための細胞分割などの生物体を維持するための複雑な機能的プロセスが存在するためである。昆虫および/クモ類ではすべての生活サイクルにわたって、RFで誘導された温度レベルが40〜60℃になると、即時または遅効的な死をもたらし、または増殖活性を破壊する。微生物では、RFにより誘導された熱レベルが55〜70℃になると、>4log10以上の減少レベル(>99.99%)をもたらす。熱レベルがより低くてもより低い滅菌レベルには適当である。
【0069】
表4に示す実験結果は、宿主物質のRF放射に関する熱ウィンドウが0.5〜250MHz帯域にあることを示している。
【0070】
本明細書で「駆除」とは、昆虫およびクモ類の存在を抑止することであり、「滅菌」とは細菌などの微生物の存在を抑止することを指す。
【0071】
表4によれば、一度熱ウィンドウが確立された場合、これらの境界内にRF放射を導入することにより、抵抗性の高い宿主物質中に存在する複雑な生物体の熱感受性を活用して様々な食品および食品外材料のための駆除および滅菌を実行できる。
【0072】
さらに、熱ウィンドウの使用およびRF放射の動作モードについて知識があれば、従来の加熱法(高周波放射を含む。)で必要とされた熱エネルギーよりも低いエネルギーの使用が可能になる。従来の方法は、熱を材料の表面に適用し、多くの場合、全体積が滅菌および/または駆除に必要な熱的レベルに達するまで長い時間置くか、あるいは、宿主物質にエネルギーを添加するために本来的に高エネルギーのフォトンを用いる必要があった。いずれの場合も、宿主物質を過熱して本質的な特性を失われせる危険があった。
【0073】
これに対し、RF法は、制御された均一な加熱法である。熱ウィンドウ125(図1)は一般に以下のパラメータで規定される。(i)宿主物質の誘電特性;(ii)汚染物(すなわち、微生物、昆虫、クモ類、原生動物など)の誘電特性;(iii)有害(致死未満)効果を汚染物にもたらす熱レベル(これは汚染体の熱ウィンドウの低温側境界を規定する。);(iv)致死効果を汚染物にもたらす熱レベル(これは汚染体の熱ウィンドウの高温側境界を規定する。);(v)宿主物質の熱感受性(これは宿主物質の熱ウィンドウの高温側境界130を規定する。)。なお、本明細書において「有害」レベルとは致死未満レベルであって、増殖を妨害ないし抑制する(すなわち、酵素の不活性化;核酸の代謝の不活性化効果など)生物学的損傷を減少するレベルである。さらに、「致死」効果とは、即時または遅効的な死を除く。
【0074】
さらに、以下の一群の因子はRF放射場の構成に適用される。(i)周波数(単一または狭帯域)(誘電および/または誘導モード);(ii)電場強度;(iii)RF場ジオメトリー;(iv)宿主物質ジオメトリー;(v)RF電力;(vi)RF処理の熱時間様式(下記セクションOで述べる。);(vii)連続RFまたはパルスRF処理(セクションOで述べる。)。
【0075】
RF処理すべき材料に対しての熱ウィンドウに関する知識を得、使用すれば、脱汚染効果を最大にし、宿主物質中での不可逆的変化を最小限にとどめる誘導熱電力のレベルを規定することができる。本明細書において、これは、図1の「操作上のRF熱125」(OTW125)であり、汚染体(昆虫、クモ類および微生物)の両方の熱境界130および宿主物質熱ウィンドウの高温側境界によって規定される。
【0076】
処理すべき材料の多くは、「周囲」温度にあり、したがって、OTW125の低温側境界の最大値は固定されている。したがって、OTW125は、汚染体において致死的または制御的効果を引き起こすためには、汚染体の高温側境界を越え、宿主物質中の不可逆的変化を防ぐためには宿主物質の高温側境界130より下で終止しなければならない。この操作上の概念は図1に示されている。
【0077】
材料によってはOTW125の高温側境界130は、材料の使用目的に依存する。たとえば、商品を乾燥したり缶詰にする場合には、感覚的特性または代謝的または生理学的特性を、その商品の本来の性質を基準としてそのまま維持することはない。一方、OTW125の低温側境界120は、微生物、昆虫、クモ類、原生動物その他の熱感受性に明らかに依存する。実際上、宿主物質OTW125の例として食品を用いると、昆虫、クモ類および微生物(真菌、細菌およびウイルス)の熱感受性は、宿主物質食品の熱感受性よりも高い。したがって、(潜在的効果を回避または最小限にするために)宿主物質食品の高温側境界130を越えずに熱ウィンドウ内でRF放射プロセスを操作すると、材料のRF処理が可能となり、その感覚的または市場価値特性を保ちつつ駆除および/または滅菌効果のいずれかまたは両方を達成できる。
【0078】
E.RF誘導静真菌(静生物)効果
本発明の別の実施形態は、RF放射を用いて宿主物質中で静生物効果を誘導することである。本発明のこの実施形態に基づく実験が、ホーティフルーツ(Hortifrut S.A.)から得た市販品質のナバホブラックベリーを主として用いて行われた。ブラックベリーは、自然状態でも数種の真菌が存在し損傷率が高いため、これらの実験のために選択された。受領直後、ベリー類を冷蔵庫に保存した。ベリー類は受領後1日以内にRF法で処理した。
【0079】
選択されたブラックベリー群(対照群および処理群)は、それぞれ12個のクラムシェル(商業上用いられている容器;ジオメトリー20)であり、各クラムシェル(すなわち12個の対照クラムシェルと12個の処理クラムシェル)はそれぞれ80個のベリー果実を含む。これを1MHzRF信号で500V/メートルの横方向電場で2〜20時間処理した。電場は、Amplifier Research Model TC3020横電磁波モード(TEM)セルを500ワット電源駆動で発生させ、1000ワットの水冷50オーム負荷で終端した。商品には温度上昇はなんら見られかったことから、ベリー類によるRFエネルギー吸収はわずかな部分である。また、終端負荷がほとんどのRF電力を吸収した。
【0080】
RF処理に先立ち、すべてのブラックベリー試料に室温(21〜22℃)に至らしめた。次いで、RF処理を室温で2〜20時間行った。処理時間はRF電力能力が大きければ低減してもよい。
【0081】
RF処理完了後直ちに、試料を冷蔵保存(4〜5℃)に移し、全観察期間(最大26日)にわたってそこに保存した。RF処理直後に温度変化は観察されなかった。
【0082】
処理後のベリー類の状態(感染部位の存在)の観察を毎日行った。対照試料または処理試料のいずれでも感染部位が観察されると、各容器の各ベリー果実を層流状態で個別に観察し、結果を記録し、統計的方法(t−テスト)で分析した。
【0083】
これらのブラックベリーに関する実験結果を以下の表5にまとめ、図14〜図17にグラフで示す。
【0084】
上記と同様の操作手順により、12個の対照クラムシェルと12個のRF処理したクラムシェルを用いて同様の実験を行った。この例では、未損傷(surviving)ベリー果実は、未損傷対照ベリー果実に比較して5:1の割合であった。当業者は、この本発明によるTEMセル400を用いて得られた結果は図14〜図17および表5に示した結果に匹敵するものであるが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0085】
RF誘導静生物効果をRF周波数の関数として試験するためにさらなる実験が行われた。これらの実験はRF場と製品の誘電損失因子との結合を最適化し、TEMセル300を用いて行った。各実験では12個のクラムシェルを対照用に、12個のクラムシェルをRF処理されたナバホブラックベリー(ジオメトリー−20)用に用いた。結果を図18〜図20に示す。
【0086】
2MHzで同じ電力レベル、暴露時間(500Wシステム;6時間)としたところ、周波数2MHzとした以外は同一タイプの処理であったが、1MHz(図18)と同様の効果は示さなかった。
【0087】
同様に40MHzで同じ電力レベル、暴露時間(500Wシステム;6時間)としたところ、同一タイプのRF処理であったが、1MHzの実験(図19および図20)と同様の静生物効果は示さなかった。
【0088】
したがって、1MHzに集中した狭帯域がブラックベリーについては、RF電力により誘導される陽性の静生物効果をもたらすことになる。ここでもまた、当業者は、本発明のTEM400を用いて得られた実験結果は、図18〜図20に示された結果に匹敵するが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0089】
F.RF誘導静真菌(静生物)効果
本発明の別の実施形態は、RF放射を用いて宿主物質中に静真菌効果をもたらすものである。このセクションで我々は、数種の真菌が大きな(105cfu/mLを上回る)の接種レベルであっても、内部的に誘導された温度の増加が表面温度を約45〜55℃(ΔT=23〜33℃)をもたらす場合、殺真菌効果が得られるというRF法の効率性を示す。健全な市販品質のブラックベリー(ナバホ)をホーティフルーツ(Hortifrut S.A.)から得た。RF処理に先立つベリー類の取り扱いは上記の方法と同様とした。ただし、RF処理後、真菌の成育を容易にし促進するため、すべてのベリー試料(対照および処理)は室温(約22℃)に保持した。
【0090】
選択されたブラックベリー(15〜20個の健全な感染部位の見られないしっかりとして色も均一なベリー果実)を外径10cmのペトリ皿に取り、Penicillium frequentans(約15×107cfu/mLおよび5×106)、Botrytis cinerea(約107cfu/mL)またはRhizopus stolonifer(約5×105cfu/mL)を接種した。ペトリ皿試料を蓋で覆い、電場強度を最大化するため、放射電極間の隔たりを次第に増大させてTEMセル300内で処理した(ジオメトリー1、2および3。もっとも、結果に格別の差はなかった。)。RF法は67MHzと70MHzで適用された。これは、容器ジオメトリー内のブラックベリー誘電特性に対するRF場のマッチングまたはチューニングを最大限にし、RFエネルギーを熱エネルギーによりよく変換するために必要とした周波数範囲であった。RF処理は60Wと低い入力電力で1時間かけて行った。
【0091】
これらのすべての実験において、4ログを上回る低減(見積もり)が得られた。ブラックベリーの物理的損傷(潰れ)が真菌の成育上の障害を解消した場合であっても、室温で保存寿命が延長することが示された。
【0092】
G.自然の菌類を含むブルーベリー、ラズベリーおよびブラックベリー
我々はさらに、RF法が、自然の菌類(多くの場合は、Botrytis cinerea、Rhizopus sp.およびPenicillium sp.)を含む様々な種類のベリー類について殺真菌効果を効率的に呈することを示す。
【0093】
健全な市販品質のブルーベリー(ブライトウェル(Brightwell);オニール(O’Neil));ラズベリー(ヘリティッジ(Heritage));およびブラックベリー(ナバホ(Navaho))を用いた。ベリー類はRF処理に先立ち冷蔵保存し、RF処理に先立ち室温に平衡させ、RF処理後、観察のため室温に保持した。
【0094】
選択したベリー類(約15〜20個の健全な感染部位の見られないしっかりとして色も均一なベリー果実)を試料に物理的ストレスが加わらないように外径10cmのペトリ皿に注意して置いた。試料が損傷しないように十分な空間を確保してペトリ皿試料を蓋で覆い、電場強度およびRFから熱電力への変換を最大化するため、放射電極間の隔たりを次第に増大させてTEMセル300内で処理した(ジオメトリー1、2および3。もっとも、結果に格別の差はなかった。)。今回は、RF法は86MHz(製品ジオメトリーに対してRF場をチューニング)で70Wの入力電力で1時間かけて適用された。結果を表6にまとめて示す。
【0095】
これらのすべての実験で室温(約22℃)4日以上保存し、RF法がこれらの試料に存在する自然の菌類に致死的な効果を誘導することを示した。物理的損傷はこれらの実験では認められなかったので、ベリー類に視覚的または物理的な影響を及ぼすことなく室温における保存寿命が延長できること、RF法が腐敗真菌類を不活性化する有効性を有することが示された。ここでもまた、当業者は、本発明のTEM400を用いて得られた実験結果は、表6に示された結果に匹敵するが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0096】
自然の菌類を含むベリー類について、いくつかの実験をさらに行い、上記の結果が再現性を有することが示された。
【0097】
H.RF処理の熱−時間様式
既に述べたように、多くの宿主物質は熱エネルギーの適用に関して高い感受性を示す。食品(すなわち、生の果実;生野菜;なんらかの加工された果汁;生肉、鶏肉、豚肉およびシーフード;卵など)、ある種の非食品材料、たとえば、生物液体(血液製品、血漿など)、細胞および培養調製物などはすべて熱処理に対する許容性が低い。
【0098】
これらのタイプの宿主物質では熱エネルギーは感覚的な変化とともに化学的(すなわち、栄養的な)性質に変化をもたらす。後者の特徴は、製品の市場価値という点で非常に重要であり、大規模な商業的利用には限界があると考えられている。
【0099】
これらの制限にも拘わらず多くの宿主物質が現在、制御された熱レベルで処理されているが、これは、単に現在のところ他に選択肢がないためである。こうしたケースとしては、マンゴーなどの熱帯果実(検疫目的)、滅菌した果汁、血液製品中の病原体の不活性化などである。
【0100】
熱処理として現在使われているものの多くは、熱の適用に依拠するものではあるが、熱処理のダイナミクス(すなわち、熱の配分および熱の損失)を利用してはいない。多くの場合、熱感受性材料が、周辺温度の変化および/またはそれ自体の体温変化を感知し応答し、反応する(すなわち、揮発冷却)という自然現象の存在および/または使用を無視している。
【0101】
我々はまた、熱処理速度および適用される全熱エネルギーがある適当な境界内に保持されている場合には、本質的特性の変化および損害が非常に小さくできることを示した。これらの境界は宿主物質の熱ウィンドウに一致する必要がある。
【0102】
したがって、熱−時間様式は、加熱速度を決定する。本発明において、熱−時間様式とは、熱エネルギー強度または電力などの適当な熱処理パラメータを適用時間に組み合わせるプロセスを指す。加熱速度を制御することにより、同じエネルギーを伝達して所定の効果を異なる時間長さで実現できる。長い時間をかけることで、材料が入力された熱エネルギーを調整すること(たとえば、熱の配分、放射および揮発冷却その他による熱損失)が可能になる。このようにして、起こり得る損害的な変化を最小限にとどめ、あるいは完全に回避することができる。
【0103】
液体牛乳の商業的処理法には、今日、高温を短時間用いるものが存在する(UHTあるいは超高温法)。これは、病原体の不活性化(閾値が低い。)を促進しつつフレーバーおよび/またはアロマの劣化を引き起こす酸化反応につながるある種の律速段階を制御している。UHT法は栄養成分を若干損なうが、細菌類がこのタイプの高温処理にはより高い感受性を有するという事実が、より感受性の低い酸化反応が発生する時間を最小限に抑えている。
【0104】
UHT法の原理は駆除および化学的酸化プロセスの完了に要する時間が異なることを利用してこれらのプロセスの両方にわたって制御を行っている。
【0105】
この考え方を、様々な生の食品、加工食品および貴重な人工産物のような他の感受性宿主物質における微生物、昆虫およびクモ類の脱汚染の必要性に適用するのは十分妥当なことである。しかし、その原理は逆の方法に応用され、本発明では、我々は、宿主物質自身の熱散逸プロセスを汚染体と宿主物質(宿主)との感受性の違いを利用する手段として組み込んでいる。特に、これは、熱許容性の低い宿主物質(すなわち生野菜)中に存在する、感受性のより高い汚染体(すなわち、昆虫、クモ類、および微生物)を扱うような場合である。
【0106】
このアプローチを、本明細書においては、低電力−長時間(LPLT)法と呼ぶ。このLPLT法は、熱感受性材料への熱エネルギーの適用割合を長期にわたって低く保つことである。これは特に、生理学的変化および感覚的(すなわち、化粧的)効果でストレスを表現するような熱感受性材料には適当である。これらの材料が熱エネルギーにさらされたときには、風合いやアロマなどの劣化といった重要な特性が決定的である。熱処理の目的がこれらの材料の脱汚染(すなわち、駆除および/または滅菌)である場合、熱感受的な生の果実(あるいは肉、鶏肉、シーフードといった生の食品)を、宿主物質の感覚的および市場価値的な特性を維持しつつ脱汚染するのにLPLTRF法は有効であることが判明した(下記表7および8参照)。
【0107】
LPLTRF法が生の果実に用いられる場合、熱エネルギーは低いRF電力(<材料1g当たり1W)で、しかし、長時間(分ないし時間)にわたって適用され、これにより異なる組織が緩慢に暖められる。このようにして、我々は組織や液体の突然の膨張を回避し組織の損壊を防ぐ。適用される全エネルギーは、昆虫およびクモ類に即時または遅効的な死をもたらし、昆虫およびクモ類の増殖を阻害し、かつ/または微生物を不活性化するが、宿主物質中での物理的および化学的効果は最小限である。
【0108】
熱感受性食品の例として生の果実および野菜について見ると、適用速度は、いくつかの物理的、化学的かつ/または生物学的因子、たとえば、熱容量;熱ウィンドウ(セクションO参照);含水量(揮発冷却の目的);昆虫およびクモ類の熱ウィンドウ(駆除または検疫目的);微生物汚染体の熱ウィンドウ(滅菌または殺菌目的);包装材料の熱的性質;代謝呼吸率(果実および野菜の場合);および材料の堅さ(機械的強度)によって規定される。
【0109】
この考え方を裏づけ、ラズベリー、ブラックベリー、およびブルーベリー(これらは特に熱感受性の高い宿主物質である。)を用いた実験結果を以下の表7および8に示す。表7および8では、損害の観察が、RF暴露直後、室温(RT)または冷蔵保存(RS)数日後になされた。いずれの観察例でも、非処理対照と比較した。さらに用いたジオメトリーはジオメトリー1,2および3であったが、結果において格別な差はなかった。
【0110】
表8は試料がクラムシェルジオメトリー中の160gのラズベリーであり、RF放射が116MHzの結果をまとめたものである。
【0111】
特に注意すべきは、ラズベリーに対し116MHzで21.7分、37.5分、および57.8分間、様々なレベルの入力電力を適用しているが、なんらの損害も認められなかったという表8の結果である。当業者は、160gラズベリー試料に対し40ワットの入力電力では、電場強度は10〜20V/cmのオーダーであること、これは‘636特許で開示されている500V/cmより遥かに低いことを評価すべきである。
【0112】
LPLTRF法は、肉、鶏肉、豚肉およびシーフードなどの生の食品を滅菌するのに特に適用できる。LPLT法は感覚的変化(すなわち、変色)および/または栄養成分の変化(すなわち、チアミン、ビタミンなど)を防止することができる。
【0113】
I.パルス手法
パルス電力手法を用いて生体の生存性に影響を及ぼす効果はよく知られている。たとえば、米国特許第5,364,645号および第5,607,711号はここに参照によって組み入れられるが、紫外線パルス手法の適用を開示している。
【0114】
RF放射という意味において、パルスRFは、短い継続時間のRFエネルギーをおよそマイクロ秒以下(<10−6秒)時間間隔で伝達することからなる。この方法では、この技術の展開において用いられるRF電力レベルは、著しく増加するであろう。それでも、高ピーク電力手法と関連して同様な力学的な強化効果が、滅菌および駆除利用での効率性を増すであろう。より感受性の高い宿主物質(食品その他の材料)中の昆虫やクモ類、および微生物などの熱感受性の高い汚染体が目的とする適用対象である場合、これは特に重要である。したがって、当業者は、パルスRF効果が、感受性の宿主物質中での脱汚染(滅菌および/または駆除)の効率性を増すことを評価するべきである。
【0115】
本発明によれば、滅菌および/または駆除のためのパルスRF法は、生体がパルスエネルギーに対しても高い感受性を有することを利用する。特に短時間のパルスが用いられると、生体は熱エネルギー伝達プロセスにさらされ、これは熱エネルギーの輸送および散逸のための機構、修復機構、および揮発冷却を含む熱冷却効果を凌駕するため、このため、生体は永久的で不可逆的(修復不可能な)効果を引き起こす熱エネルギーにさらされる。
【0116】
当業者は、従来の低電力RF手法の使用によって示された陽性な制御効果が、パルスRFによってもたらされる反復的で短い間隔の高エネルギー密度プロセスによって大きく強化され得るということを評価するであろう。
【0117】
J.結論
0.1〜1,000MHz帯の電磁エネルギースペクトル中の特定の周波数で平行板電極によって適用される高周波(RF)電力が、(1)相当に均一な電磁的効果(0.1〜10MHz)および(2)様々な商品に対して30MHz以上の周波数で熱エネルギーを制御可能なレベルで発生させるために用いられた。これらの効果は、様々な種類の傷みやすい材料の表面および塊内部で誘導された。低い周波数(0.1〜10MHz)の電磁波の効果は測定可能な熱効果を生じないが、腐敗生物の成育を遅くする(すなわち、静生物効果)。非熱的効果が誘導されるため、この静生物効果は商品中に起こり得る感覚的かつ/または生理学的変化を有しない。より高い周波数(>40MHz)では誘導された熱エネルギーレベル、宿主物質全体を通して均一な、致死的で抑制的な(すなわち、殺生物的)効果を引き起こすのに十分な程度に高い。適当なRF電力レベルおよび処理時間を選択することにより、誘導された熱エネルギーは、宿主物質に有害な効果を引き起こすよりも低いレベルに保たれた。このようにして、殺生物効果を熱的に実現しつつ痛みやすい宿主物質の保存および市場価値特性を保つことができる。
【0118】
熱エネルギーは殺生物効果を生物体に引き起こすとともに、生の食品の感覚的特性に不可逆的変化を引き起こすことがよく知られている。しかし、RF法は「熱ウィンドウ」の境界内で動作し、すなわち、これは、生きている生物体(熱感受性が高い)と宿主物質(熱感受性は低い)のより高い熱許容性との間の熱感受性の違いを利用するものである。RF法の最適な操作は、熱ウィンドウの低温端の直上である。ここでは、誘導される熱エネルギーレベルが生物(主として真菌および細菌)に致死的な効果をもたらす。さらに、RF法の操作では、宿主物質の品質および保存特性に受容不可能な変化を及ぼすレベル以下の誘導熱エネルギーレベルを維持することができる。
【0119】
開示したRF法は、化学的な手法(すなわち、殺虫剤)に置き換わり、またはその使用を最小限にとどめることが可能であり、従来の熱処理手法(伝導および対流)を生の痛みやすい農産物に使用する際に問題となっていた制限を著しく改善し克服する。RF法では、熱ウィンドウの低温側レベルを有効に用いることができ、ここでは、生きている生物体が熱的に誘導された死を受けやすい。これはそれらが、生の食物の構造的および機能的特性に比較して生化学的および生理学的により大きな複雑さを有していることによる。微生物の破壊は、タンパク質、酵素、または増殖に不可欠な遺伝子の変性(不活性化)によって開始される。RF法は、一般的な生の生産物に存在する制限された熱許容性にも依存している。それは痛みやすく熱感受性のある農産物の処理に効果があり適していることが示された。熱感受性を有するにも拘わらず、これらの商品は代謝または生理学的な複雑さは、汚染性生物よりも低く、したがって、より高い熱エネルギーに耐える。したがって、RF法は、農産物の誘電体特性との調整を行うことを可能にする現代のRF電子技術と、宿主物質の熱ウィンドウ内で動作することを組み合わせる。
【0120】
上記のアプローチの適用例が、痛みやすく高度に熱感受性な生の果実(すなわち、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー)を含む様々な製品に対して示された。RF法の効果および再現性を示すために、自然の菌類を有する様々なベリー試料および高レベル(最高107cfu/mL)で微生物が接種された試料が用いられた。これは感覚的および/または生理学的変化をベリー試料にもたらすことなく達成された。これらの試料は、室温で2週間保存された。
【0121】
当業者は、この技術的アプローチが、既存の多くの方法に対して、効率性、スループット、実用性および保存輸送上でより優れたものであること、および、農業者および都市部の利益となる新しい戦略の策定を可能とするものであることを評価するであろう。これらの処理システムは、非−化学的でありエネルギー効率がよく、さらにスループットが高く、微生物と、おそらくは昆虫およびクモ類の制御を同時に行うことが可能で、操作が単純で、しかも、設計がモジュール化されている。
【0122】
本発明を生の果実について説明してきたが、当業者は上記の判断基準が、植物の生理学に影響を及ぼすことなく植物および装飾的製品の滅菌および駆除に;生物学活性(すなわち、発芽)に影響することなく植物種子の滅菌および駆除に;および感覚的変化および/または栄養学的損失なしに液体および固形加工食品の滅菌に適用可能であることを理解するであろう。さらに、ここに開示する発明は、食品や生物学的製品(すなわち、血液加工製品)を含む種々の多くの媒体中のウイルスの不活性化にも、ウイルスの不活性化をもたらす非−化学的手法として適用可能である。
【0123】
当業者は、農業用土壌や、乳製品、および加工果実および野菜などの他の多くの商品が、同様のアプローチを用いたRF法の対象候補であることを評価するであろう。多くの場合について、RF法は、限定はされているが効率的な熱エネルギーレベルに基づいて、化合物の使用に取って代わるかその使用を最小限にし、処理された食品の感覚的特性をよりよく保つ可能性を有する。宿主物質を過熱することは、感覚に働きかける品質や栄養品質の損失を招くが、そうしたことは最小限にとどめられあるいは回避できる。さらにまた、RF法は、芸術作品や古書のような貴重な人工産物に適用して、その感覚的および保存上の特性を保持することができる。
【0124】
上記の記載は多くの特定的記述を含むが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明のいくつかの好適実施形態を説明するためのみのものである。したがって、本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその法的等価物によって定まる。したがって、本発明の範囲は当業者には明らかであろう他の実施形態にも及ぶし、本発明の範囲は請求の範囲以外の何者によっても限定されず単数要素への言及は明示的に断らない限り、「1つかつ1つのみ」の意味ではなく「1または複数」の意味を意図していることが、理解されるであろう。上述した好適実施形態の要素については、当業者に知られているそのすべての構造的、化学的、および機能的等価物は言及によって本願に組み入れられ、現在の請求項の範囲内のものとして意図されている。さらに、現在の請求項の範囲が及ぶものであれば、本発明によって解決課題とされたいずれかのまたはすべての問題を目的とする装置または方法である必要は必ずしもない。さらに本願で開示した要素、構成部分、または方法ステップのいずれも、そうした要素、構成部分、または方法ステップが請求の範囲中に明示的に記載されているか否かに関わらず、公衆に開放する意図のものではない。本願請求の範囲の要素は、要素が「ための手段」という表現を明示的に用いて記載されているのでない限り、米国特許法第112条第6項に規定に基づいて解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に適合する操作的な熱ウィンドウを例示したグラフである。
【図2】
共鳴領域における宿主物質についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図3】
従来技術のTEMセルを示した説明図である。
【図4】
本発明によるTEMセルを示した説明図である。
【図5】
本発明において「ジオメトリー12」と呼ぶもの、すなわち、「クラムシェル」ジオメトリーの寸法および構造を示す説明図である。
【図6】
本発明において「ジオメトリー13」と呼ぶもの、すなわち、「ランチボックス」ジオメトリーの寸法および構造を示す説明図である。
【図7】
本発明のジオメトリー6のTEMセルシステム中での調理米試料についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図8】
従来技術に準じたジオメトリー6のTEMセルシステム中での生米試料についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図9】
様々な試料について、86MHz、70Wで1時間の条件での共鳴RF誘導温度の上昇を示すグラフである。
【図10】
図9の試料について、86MHz、70Wで1時間の条件での共鳴RF誘導熱エネルギーの増加を示すグラフである。
【図11】
ブラックベリー、ラズベリーおよびブルーベリーによる全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図12】
様々な種類の生食用ブドウによる全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図13】
土壌および水による全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図14】
1MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図15】
1MHz500Wの電力システムを20時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図16】
1MHz500Wの電力システムを20時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図17】
1MHz500Wの電力システムを2時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図18】
2MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図19】
40MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図20】
40MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【表1】 【表2】 【表3】 【表4】 【表5】 【表6】 【表7】 【表8】
(関連出願へのクロスレファレンス)
本願は、2000年11月8日に出願された米国出願第09/709,757号(これは参照により本願に組み入れられる。)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府から援助を受けて研究ないし開発が行われた旨の陳述)
本願は、米国国立公衆衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた許可番号DC00236および米国科学財団(National Science Foundation)によって与えられ許可番号9726363の下で、政府援助を受けてなされた発明である。米国政府は本願発明に何らかの権利を有する。
【0003】
(添付コンピュータプログラムへの言及)
適用なし
【0004】
(発明の背景)
1.技術的分野
本発明は、高周波のエネルギーを農産物や価値ある美術品などの製品に適用して害虫、細菌、および他の病原性または腐敗生物の存在を抑止する方法およびシステムに関する。本発明はまた、こうした高周波エネルギーで処理された製品も対象とする。
【0005】
2.背景技術の説明
今日、人々が安全に関して大きく懸念しているのは、食品が、大腸菌O157:H7(Escherichia coli O157:H7)、サルモネラ菌(Salmonella sp.)、リステリア菌(Listeria)、および特にカンフィロバクター(Camphylobacter)などの病原性細菌に汚染されているのではないかという点についてである(たとえば、J.L.Welboum“Inside Microbiology”,Food Testing & Analysis,p.20〜22,Vol.4(3),1998年6月/7月号参照)。これらの病原性細菌はいずれも、最近、多くの通常の食品の消費によって病気を引き起こすものであると認められている。食物に起因する病気および死者の発生は、それぞれ1200万人および4千人と見積もられている。穀物、種子およびスパイスなどの農産物も、真菌および/または細菌の影響によって汚染され得る。さらに、農産物の品質保持も酵素活性によって影響を受け得る。さらにまた、生物活性は様々な毒素(たとえば、穀物中のAspergillus flavusによるアフラトキシン)を生成することがある。
【0006】
したがって、病気を運ぶ生物の食物および農産物中での存在を抑止することが望ましい。これを達成する2つの方法は、腐敗生物の発達を遅くすること(静生物作用)およびそうした生物に致命的な影響を引き起こす(殺生物作用)熱エネルギーを用いることを含む。
【0007】
A.熱感受性傾向
こうした感染性生物の存在(病原菌ならびに昆虫/クモ類の汚染など)を抑止する1つの方法は、熱エネルギーを用いることである。宿主物質中の微生物を攻撃する熱エネルギーの使用は、微生物が宿主物質(すなわち、農産物その他の材料)よりも熱エネルギーに対して感受性が高く影響を受けやすいという点に基づいている。このより大きな感受性は、生物の生体構造がより複雑であること、および、呼吸やエネルギー生産および細胞分割などの生物としての機能を維持するために必要な複雑な機能的プロセスが存在するためである。
【0008】
図1は、説明の目的のためのものであるが、宿主物質と感染性生物の相対的な感受性を描いている。境界130は宿主物質中で不可逆的変化が起こる温度を示す。図1で、様々な種類の宿主物質が相対的に異なる境界線を割り当てられている。したがって、生の果実は領域131にあり、植物は領域132にあり、種子は領域133にあり、穀物は領域134にあり、土壌は領域135にある。図1は、宿主物質の高い境界線130が、土壌について(相対的な意味で)最も高く、生の果実で(相対的な意味において)最も低いことを示している。本明細書において宿主物質中での「不可逆的」変化とは、(i)宿主物質の感覚的特性および保存特性に影響を及ぼす宿主物質固有の代謝および/または生理学的特性に影響を与える変化、または(ii)宿主物質の感覚的特性および保存特性に影響を及ぼす宿主物質固有の科学的および分子の構造に及ぼす変化を含む。たとえば、ある固有の代謝活性を有する宿主物質は収穫後のグリーントマトである。収穫され慣用の方法に従って保存されているグリーントマトは、色の変化(緑から赤)に関連した代謝的な変化や成熟トマトの味をもたらす化学的変化を続けている。したがって、不可逆的変化は宿主物質固有の代謝的および/または生理学的特徴に変更をもたらす変化である。たとえば、野菜を酢漬けにしたり、果物を缶詰めにしたりすると、野菜や果物固有の活性は変更を被り、このため、これらは不可逆な変化と言える。
【0009】
あるいは、感覚的特性または保存特性の変化をもたらす特定の化学的または分子の構造を有する宿主物質の例としては、古書や美術品などの人工産物が挙げられる。古書の場合、ページ上のインクの、あるいは、ページそれ自体の分子構造は、書籍に関連した感覚的特性(すなわち、色)やその潜在的価値の源泉になるものである。こうした分子の構造または化学構造は、腐敗生物によって長期間で変化することがある。さらに、宿主物質それ自身が昆虫やダニに食べられてしまうこともある。したがって、こうした宿主物質における不可逆的変化は、宿主物質の化学的または分子の構造を変えてしまい、この結果、色などの感覚的特性や保存特性に及ぼすような変化である。
【0010】
さらにまた、生の果実では固有の生理学的特性は、外見、構造および味を含む。境界130を下回る(かつ境界120を上回る)と、宿主物質中で「可逆的」変化のみが起こる。可逆的変化の例としては、温度の若干の変化、すなわち、宿主物質固有の代謝および/または生理学的特徴になんら実質的変化や上述した宿主物質の化学的または分子の構造の変化を及ぼすことのない温度の上下サイクルのようなプロセスが含まれる。境界110は、昆虫やクモ類において、それ上回ると不可逆的変化が起こるポイントを示す。本明細書において、感染生物中における「不可逆的」変化とは、その生物の複製能力または生存能力に影響する変化である。説明として言えば、境界110を下回る(かつ境界100上回る)と、昆虫およびクモ類中で可逆的変化が起こる。さらに、境界120は、微生物において、それ以上では不可逆的変化が起こる領域を示す。ここでもまた、説明として言えば、境界120を下回る(かつ境界110上回る)と、微生物中で可逆的変化が起こる。
【0011】
上述のように、生体中における熱感受性は生物学的複雑さと直接に比例している。したがって、生物学的複雑さが高いと熱エネルギーに対する感受性も高い。図1では、昆虫およびクモ類は最も感受性が高く、土壌は最も感受性が低いということになる。図1に記載した微生物は、真菌、酵母、細菌、ウイルスおよび原生動物を含む。さらに、昆虫およびクモ類ではすべての生命サイクルにおいて、誘導された熱の水準が40℃〜60℃で、即時または遅効的に死に至り、あるいは複製活性が破壊される。微生物がその最高成育温度よりわずかに高い温度にさらされると、生細胞や胞子の減少などの不可逆的変化が起こる。この挙動は、タンパク質、酵素あるいは複製に必要な遺伝子の変性によるものと信じられている。このことはOwen R. Fennema編“Physical Principles of Food Preservation”第II部(Marcel Dekker,Inc.,1975)に一般的に記載されている。さらにまた、古書や美術品のような貴重な人工産物は、上記のような「生物学的複雑さ」を有しないが、それでも、温度などの環境的要因に対しては、それが宿主物質固有の化学的または分子の構造に変化を及ぼし得るため、宿主物質は高い感受性を有する場合がある。
【0012】
したがって、感染した食品または生物が存在する人工産物などの生体/宿主物質システムへの熱エネルギーの適用は、主として酵素活性をターゲットとして、したがって、生体の機能的能力をターゲットとして用いることができる。酵素の不活性化は、様々な製品から昆虫、クモ類(すなわち、ダニ類)、および微生物などの生物汚染物を排除することにおいて不可欠な目標である。また、熱エネルギーの生体への適用は、致命的でなくともストレスを及ぼすものであり、これにより遅効的な死につながったり、液体の膨張に基づく組織の損傷をもたらす。
【0013】
B.従来の熱エネルギー生産における不均一性
病原性生物の存在を抑止することにおいて有用であるにも関わらず、熱エネルギーは、通常、生の食品や他の人工産物などの宿主物質中に限られた場合にしか導入されていない。これは宿主物質の代謝的、生理学的、化学的、分子的、感覚的または保存上の特徴に不可逆的変化がもたらされるためである。この理由は、通常、熱エネルギーは、伝導、対流および従来の対流型高周波放射により導入されるという点にある。後述する高周波放射の限定的な例外を除いて、これらの従来の熱エネルギー導入方法では、宿主物質のある領域、たとえば、表面は、最初、その隣接領域よりも多くの熱エネルギーにさらされる。次いで、この熱エネルギーは、伝導または対流プロセスを通して隣接領域に拡散していく。このタイプの熱処理が用いられる場合は、製品の体積全体にわたって、汚染生物に到達してこれを抑制するのに十分な量の熱エネルギーを効率的に配分するためには、いずれの場合も、熱エネルギーをある1つの領域に適用することが必要である。この結果、宿主物質に選択された領域を通して適用される熱は多くの場合過剰であり、その領域に不可逆的変化を引き起こし、これにより受容できない損傷が生じてしまう。
【0014】
滅菌および/または駆除のために熱エネルギーを均一に配布する利用法は、商業的には、通常、限られた場合である。たとえば、マンゴーなどの食品では熱水に漬ける方法が取られるが、これは上述のように様々な結果をもたらす。
【0015】
C.高周波放射の基礎的概念および操作
高周波(RF)放射とは、約3キロヘルツから300ギガヘルツの周波数域における電磁波放射である。宿主物質がRF放射を吸収する能力は、一般的には、周波数の関数として変化する。図2には、たとえば、RF放射と関連する周波数サブセット上で、宿主物質の吸収曲線200の周波数に対する例示的にスポットして描いたものである。吸収曲線における極大210(周波数f0)は、従来、与えられた宿主物質についての「共鳴」周波数として理解されてきた周波数である。当業者は、共鳴周波数f0は、そのジオメトリーや誘電特性を含め、宿主物質に依存する点を理解するべきであろう。共鳴モードでは、宿主物質に伝達されるRFエネルギーは最大となり、エネルギーの幾分かは効率的伝達を実現される。これにより、熱エネルギーを宿主物質に均一に導入し、商品全体にわたって宿主物質材料に均一にかつ制御されたレベルでエネルギーを導入することができる。
【0016】
RF放射による宿主物質への熱エネルギーの伝達は、伝導、対流および慣用の高周波放射に基づく方法とは異なる。最も大きな違いは、RF処理は熱エネルギーを均一に導入できるという点である。上に分類したような従来の方法は(下に論じる高周波放射を例外として)、熱エネルギーはひとつの領域、たとえば、表面に導入され、次いで他の領域には伝導または対流によって伝達される。宿主物質表面からの熱エネルギーの損失は大きなものであり、目的とする殺生物効果を実現するためにはさらに熱エネルギーを投入する必要がある。
【0017】
しかし、伝導および対流とは異なり、RF放射と宿主物質との相互作用は、従来の高周波放射と宿主物質に類似したところがある。しかし、RF放射は、従来の高周波オーブン(電子レンジ)の周波数(約2,450MHz)よりも低い周波数域である。このため、RF放射は、熱エネルギーを宿主物質中により均一に、より深く、宿主物質に対して不可逆的変化をより小さくとどめて発生させることが可能である。
【0018】
宿主物質中の2極性分子は、RF放射と従来の高周波放射をいずれも吸収する。それぞれの場合での宿主物質に対する効果の違いは周波数および波長の違いによる。従来の高周波オーブンにおける高周波は、約2,450MHzの周波数であり、波長は約12.2cm(約4.8インチ)である。したがって、腹と腹の間の隔たりは、およそ半波長、すなわち約6.1cm(2.4インチ)である。したがって、巨視的物体になんらのエネルギーも加えない高周波場の部分が約6.1cm(2.4インチ)隔たっている。高周波オーブンでは、通常、加熱が不均一で、均一加熱に近くするために高周波空洞内で物品を回転させることが通常行われているのは、このことが理由である。
【0019】
あるいは、100MHz(これは通常の高周波の周波数の大きさより1桁小さい。)の範囲のRF放射を考えると、こうしたRFの放射の波長は300cm(9.8フィート)である。上述の分析と同様に考えると、こうしたRF放射では腹間の隔たりは150cm(4.9フィート)である。このため、こうしたRF放射場中では、不均一な加熱領域はせいぜい4.9フィート離れていることになるが、これは通常の食品の大きさを優に超えるものである。したがって、RF放射は、従来の高周波放射よりも宿主物質中により均一にかつ深く作用する。こうした一般的な効果は、米国特許第5,977,532号(これは参照により本願に組み入れられる。)において認識されている。
【0020】
周波数の違いはまた、RF放射と高周波放射との他の大きな違い、すなわち、RF放射は宿主物質中で従来の高周波放射と比べ不可逆変化を起こすことが少ないことの理由となっている。高周波放射の周波数は、RFの放射の100MHzに比べ1桁大きなものである。したがって、吸収され、再放出されない各フォトン(宿主物質によるエネルギー吸収の主たる手段)は、100MHz域のRF放射のフォトンよりも1桁大きなエネルギーを宿主物質に付与する。もちろん、これは食品を調理する場合には、調理の最終目的は宿主物質に不可逆的変化をもたらすことであるから、望ましいことである。しかし、従来の高周波は、生の果実に適用する場合、および、新鮮さ(見かけや味)に関連する性質に変化を望まない場合には、望ましいものではない。
【0021】
このエネルギーの違いは、宿主物質による本発明のRF放射の吸収を記述する式にも反映される。RF放射によって宿主物質中で発生する電力は、次のように現すことができる。すなわち、
P=55.61×10−14E2fε”
式中、Pは宿主物質中で発生する電力の密度(W/cm3);Eは電場の強さ(V/cm);fはRF周波数(Hz);ε”は宿主物質の誘電損失因子(無次元)である。誘電損失因子ε”は宿主物質に固有の特性である。上述のように、また、上記等式から明らかなように、周波数値の低下は、電場の強さが同じであるならば、伝達される電力の低下に対応する。
【0022】
したがって、多くの生の農産物では、均一な加熱をもたらさないため、高周波加熱は適さない。また、2,450MHzのフォトンが浸透する深さが限られているため、多量の植物繊維を処理する際、高周波加熱では不均一になる。さらに、水(生の植物組織の主要成分)による高周波吸収が高いため、制御可能な方法で、低レベル熱処理を行なうことはできない。
【0023】
D.従来のRFシステム
伝統的な、すなわち標準的なRF加熱用RFシステムを図3に示す。製品試料310は、横方向電磁場セル300(TEMセル300)内に置かれる。RF波は空洞内を横断し試料310と相互作用する。残りの電力は反対側から出て行き出力電力として計測される。システム全体は単一パスのトランスバーサルモードとして動作する。
【0024】
この標準的なRFプロセスでは、RF入力電力Pi、反射電力Prおよび出力電力Poが計測される。TEMセル300を出たRF出力(Po)の流れはヒートシンクで終端し、これは空気または循環冷却材により冷却される。電磁場がターゲットとどのように相互作用するかにより、少なくとも2つの可能な結果がある。
【0025】
第1の結果は、TEMセル300内に試料310がない場合、RF波がうまく結合しない場合、またはRF波が試料310とほとんど作用しない場合であり、出力電力Poは入力電力Piとほぼ等しく、反射電力Prはほぼゼロである。この結果においては、吸収RF電力Pabは以下のように書くことができる:
Pab=[Pi−Pr−Po]=0
このため、RFから試料に伝達されるエネルギーは、試料310は実際上加熱されない。
【0026】
第2の結果は、RF波と試料310が相当程度結合する場合であり、RF波が試料310へのエネルギーの効率的な伝達が起こる。この結果では、RFシステムのインピーダンスが変化し、反射電力Prが増加し、出力電力Poは減少する。したがって、吸収RF電力Pabは以下のように書くことができる:
Pab=[Pi−Pr−Po]>0
この場合、試料温度は吸収RF電力Pabに比例して増加し、その変化は以下のように表すことができる。
【0027】
ΔT=Tfin−Tini
ここで、Tfinは試料の最終温度であり、Tiniは試料310の初期温度である。入力電力に対する吸収電力の比(Pab/Pi)は、試料310によって吸収される入力RF電力分を示す重量なパラメータである。この吸収/入力電力比Rabは次式で与えられる。
【0028】
Rab=Pab/Pi=1−(Pr+Po)/Pi
吸収電力比Rabが高いことが最善の効率および低コストのために望ましい。これはまた、高い温度差(ΔT)が試料310について得られることを示す。この後者の特徴は、宿主物質中の熱ウインドー内における異なる熱エネルギーレベルでの処理を可能にする。
【0029】
実験データは、図3に示す従来のRFシステムアプローチを用いた標準的なRF処理の使用では、吸収電力比Rabの最大値が約50〜60%であることを示している。したがって、全体的な使用効率および得られる温度勾配はいずれも限定され低い値である。上記の条件下では、商業的かつ大規模にRF処理を使用することは、経済的な考慮からも実際的な考慮からも限定的なものになるだろう。
【0030】
したがって、高い電力吸収比Rabを発生させるRF処理用システムの現実化が望まれる。
E.電磁波放射の用いた従来技術との比較
感染性生物の無能力化を目的とする従来技術は、傾向としては、微生物を(熱による効果ではなく)直接に抑止するに十分な電力、強度および周波数を有する電磁波放射を用いて生物をターゲットとするものに集中している。
【0031】
Hoffman他に付与された米国特許第4,524,079号(’079特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、微生物を減少させるために5キロヘルツと500キロヘルツの間の周波数で振動磁場を用いることを開示している。当業者は、動的な磁場が、組織中で磁場変化および組織の伝導率に応じた電流を誘導することを理解するであろう。’079特許は、500キロヘルツを超える周波数では磁場振動による微生物による不活性化は効率が低下し、材料加熱の傾向となるため好ましくないと考えられると記載している。適用される磁場の強度は、’079特許では2〜100テスラの間である。2テスラを超える磁場では一般に生物組織に悪影響を及ぼすと理解されている。さらに地球磁場は’079特許に開示される磁場よりも少なくとも4桁小さい(約10−4テスラ)。
【0032】
Wilson他に付与された米国特許第5,339,564号(’564特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、RF電力の周波数ホッピング(147MHzと240MHzが周波数の例として開示されている。)における使用を開示する。周波数は動物ミトコンドリアの自然な分極振動のみに結合するよう選択されている。’564特許はこうした周波数が、その構造の違いから植物細胞には害を及ぼさないと記載している。さらに、’564特許はダイポール振動は1kHzと100MHzとの間で起こるが、コヒーレントな励起振動は100MHz近くで起こると述べている。147MHzでの強度は8ワット/m2と開示されている。
【0033】
Fehr他に付与された米国特許第3,272,636号(’636特許)は、参照により本願に組み込まれるが、これは、20〜40MHzの周波数および500と3000V/センチメートルr.m.s.の間の強度の使用を開示している。ここでもまた、周波数は、はっきりした程度の加熱を引き起こすことなく、病原性微生物にとって致死的であり、かつ食品に害をもたらす生物の増殖能力に破壊的であるように選択されている。この周波数域は、食品の調理や食品の香りの変化に十分な食品の内部的加熱を引き起こさないと’636特許は開示している。また、’636特許は、食品が高い周波数の振動に対して抵抗性を有したり、微生物がより低い周波数に対してより影響を受けやすい場合は、より低い周波数も使用できると開示している。さらに、’636特許は、さらなる加熱および食品の調理が重要でない場合について「誘電加熱域」(1000MHz)以下のより高い周波数の使用を開示している。上述の他の文献の場合と同様に、’636特許は微生物が高い電力でRF放射により直接に抑止されることを開示したものである。
【0034】
Robertson他に付与された米国特許第2,485,660号(’660特許)は、1MHz〜1000MHz(好ましい周波数は約30MHz以上である。)のプラズマ周波数放射の利用を開示している。周波数及び電力出力は、不可視的コロナ放電を形成し、これによって周囲の媒体を認識できる程度に加熱することなく生物体を殺すために選択される。
【0035】
したがって、感染性生物に対して不可逆的な変化を引き起こす一方、生の果実や野菜;肉、鶏肉およびシーフード;穀物、種子およびスパイス;および様々な貴重な人工産物などの宿主物質には、可逆的変化のみを引き起こす商業的方法が必要とされている。これは、生の果実や野菜、人工産物は通常、熱感受性の分類に属する天然の腐敗生物によって影響を受け、また、生の果実や野菜については、取り扱い時や包装時に、病原性生物(細菌)によりさらなる汚染を被る場合があるという事実があるためである。従来の熱エネルギーに基づく方法は現在用いられない。RF放射を穀物、種子、およびスパイスに適用することは、これらの宿主物質が真菌および/または細菌汚染に影響されやすいということから、多くの目的を有する。すべての場合において、RF法は、これらの宿主物質の全般的安全性を改善する脱汚染効果をもたらす。さらにRF法は、古書のような貴重な人工産物を保存することができる。さらにまた、必須栄養素の生物学的分解を促進する酵素を熱によって不活性化することが、RF法の主たる利用例であって、これは、より良い、化学品を用いない穀物保存技術をもたらすものである。
【0036】
(発明の簡単な概要)
したがって、本発明の第1の実施形態では、製品の処理方法は、平行板電極ジオメトリーによって決定された高周波場を、宿主物質を含む製品に導入することを含み、ここで、高周波場は、特定の周波数で宿主物質に熱エネルギーを共鳴的に導入するように構成されており、熱エネルギーは、感染性生物に不可逆的変化を引き起こすのに十分であり、かつ、この高周波場は、熱エネルギーが宿主物質中には可逆的な変化しか引き起こさないような電力レベルで構成されるものである。
【0037】
本発明の第2の実施形態では、システムはTEMセルを含み、このセルは、製品のジオメトリーを電磁場にマッチングさせること、商品によって調和共鳴子(harmonic resonator)を形成すること、および電磁場を製品の誘電損失因子と結合することによって、終端抵抗が除かれたものである。
【0038】
本発明の第3の実施形態は、上記第1の実施形態に適合する方法によって処理された宿主物質を含む。本発明の他の実施形態は、高周波場を宿主物質を含む製品に導入することを含む方法であって、前記高周波場が前記宿主物質に約2時間〜20時間の間、約500ワット未満の割合で前記製品に吸収されるように構成されたものであり、前記高周波場が約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成されたものである方法である。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、上記方法によって処理された宿主物質を含む。
【0040】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、終端抵抗が除かれ高周波放射が製品と適合するように構成されたTEMセルを含み、これは出力電力および反射電力が最小となり、高周波放射が製品によって約2時間から20時間の間に約500ワット未満の割合で吸収され、高周波放射が約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成されたものである。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点を、明細書の以下の記載によって示すが、詳細な記載は、本発明の好適実施形態を完全に開示することを目的とするものであって、本発明に制限を設けるものではない。
【0042】
本発明は、以下の図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。しかし、これらの図面は説明のみを目的とするものである。
【0043】
(発明の詳細な説明)
本発明によるRF法は、1つの実施形態では、宿主物質に対して受容可能、すなわち耐えられる温度範囲(「温度ウィンドウ」)内で、受容可能、すなわち耐えられるレベルの熱エネルギーを誘導するためにRF放射を使用することに基づいている。したがって、RF法は、多くの生物に対しては致死性を示すに十分な高レベルであるが、宿主物質中では受容できない代謝的、化学的、分子的な変化を引き起こすレベルよりは下の低い熱エネルギーレベル(温度)の使用を可能とする。
【0044】
本発明の方法は、製品を2枚の平行電極板(「アプリケータ」)内に装入することによって行われる。本発明のアプリケータは、製品の個別のタイプについて設計してもよいし、また、最終包装(出荷前)を施した製品を処理するのにも用いることができる。設計上の考慮点は、製品のジオメトリーおよびアプリケータの電圧許容量を含む。ジオメトリーの例は、以下に分類して述べる。
【0045】
本願においては、「製品」という用語は、宿主物質、可能性のある任意の感染性生物および様々な包装の組み合わせを指す。包装は、ラッピング、ランチボックス(すなわち、お弁当)、あるいは任意のタイプの保管用または保存用構造を含む。
【0046】
RF法によって宿主物質塊全体にわたり熱を効率的に発生させるためには、使用するRF周波数は、高度に浸透的であり宿主物質の組成が十分に均一である必要である。様々な密度および化学組成が微妙に異なる宿主物質についてこの条件を実現するためには、操作周波数の範囲は、0.1と1000MHzの間、好ましくは30〜300MHzの範囲である。さらに、特定の製品ジオメトリーについてのRFアプリケータを一度決めた場合、最良のRF動作周波数は、下記のRF共鳴回路内のインダクタンスを調節することによって生成できる。このようにして、RF法により処理すべき個別の製品について、高い(RF電力の熱エネルギーへの)電力変換率および高浸透性が得られる。
【0047】
しかし、ここに開示するRF法は、特定の製品についての単一または狭帯域共鳴周波数を主として規定しているため、RFエネルギー周波数を製品の誘電損失因子(これは、主として化学組成によって決まる。)結合するときには方法を最適化する。このように宿主物質内で発生する熱に影響する変数は、表面からの熱流特性に影響を及ぼすものとは異なっている。実際に市販されている生製品(包装を含む。)において見られる多くの共通性および品質ファクターによって、RF法の全体的効率性に及ぼすことなく、最良の操作条件(すなわち、RF周波数、製品組成およびジオメトリーのマッチング)を確立することができる。
【0048】
既に述べたとおり、入手可能な文献を検討すると、40から60℃(またはΔT=20〜40℃)の熱エネルギーレベルが、脱汚染を必要とする大部分の宿主物質について、滅菌および/または駆除の適当なレベルでの誘導をなすに十分な高さであることが示されている。このような温度レベルかつ短時間の条件では、これらの宿主物質の感覚的、機能的および市場価値を定める特性が維持であり、または、潜在的影響を最小限にとどめることができる。
【0049】
A.高使用/変換効率RF処理
本発明に従った高使用/変換効率(HUCE)RFシステムを、図4にTEMセル400として示す。このシステムでは、図3の従来システムと比較すると終端抵抗が除かれている。これは、試料410を低インピーダンスの負荷とすることにより実現される。したがって、従来のアプローチと異なり、出力RF電力は存在せず(すなわち、Po=0)、RF反射電力も最小になる(すなわち、Pr=0)。この結果、電力使用および電力返還効率が著しく改善される。
【0050】
これは、特定の製品ジオメトリー(すなわち、宿主物質およびその包装)を平行板電極によって設定される境界により決まる適当な電磁場とマッチングさせること;誘電媒体である製品と調和共鳴子を形成することにより電磁場強度を増加させること;および電磁場を製品の誘電損失因子と結合して、RF法を効率化するとともに商品または類似商品群に特定のものとすることによって達成される。
【0051】
上記の効果は、従来技術(図3のTEMセル300)の横方向RF波単一パス(単一方向性)を製品に特異的な共鳴空洞とすることによって実現された。ここで共鳴空洞は、RF電力を製品内でより効率的に変換する際により効率的に作動するものである。この変更によって、吸収電力比Rabは次式で与えられる。
【0052】
Rab=1−Pr/Pi
この条件下では、HUCERFシステム(TEMセル400)についての吸収電力比Rabは、常に90%を超える。
【0053】
既に述べたように、本発明のアプリケータは製品の特定のタイプについて設計できるし、最終包装(出荷前)を施した製品を処理するのにも用いることができる。したがって、設計上の考慮点の1つは、製品のジオメトリーである。以下の表1は本発明に適合するジオメトリーの例を分類して示したものである。説明のため、2つの特定のジオメトリーをさらに図5と図6に図示する。図5は本願明細書において「ジオメトリー12」として用いているものであり、「イチゴクラムシェル」と称される商業的な包装と関連する。図6は本願明細書において「ジオメトリー13」として用いているものであり、「ランチボックス」包装と関連する。合計で表1は、本発明に適合する27のジオメトリーを分類するとともに、関連する宿主物質および包装を記載したものである。「備考」欄の「4π発泡スチロール絶縁」は、発泡スチロール絶縁が立体角4πステラジアンに対する(subtend)ものであることを示している。
【0054】
また、これも既に述べたように、HUCERFシステム(TEMセル400)についての吸収電力比Rabは、常に90%を超える。この点は、HUCERFシステム(TEMセル400)と従来RF処理TEMセル300とで、同じ範囲の食品および食品以外の商品について、熱吸収電力を比較することによって示される。
【0055】
TEMセル400を従来のTEMセル300と比較したRF実験の結果を下記の表2と3にまとめた。また、調理米(図7)についてと生米(図8)についての典型的なRF走査曲線も含めてあるが、これらは、使用/変換効率において同様の違いがあることを示している。
【0056】
B.様々な農産物のRF処理
RF誘電加熱システムを用いたさらなる研究は、RF電力の熱エネルギーへの迅速かつ効率的な変換を誘導する最良の周波数条件を決定した。これらの測定は、下記の材料を含む宿主物質群を用いて行われた。(i)ベリー(漿果類:ブラックベリー、ラズベリー、ブルーベリー、イチゴ);(ii)生食用ブドウ(トンプソン(Thompson)種ナシブドウ、レッドフレーム(Red Flame)種ナシブドウ、ブラックビューティー(Black Beauty));(iii)農業土壌(ヨーローローム(Yolo Loam)、ヨーロー微細砂質ローム(Yolo Fine Sandy Loam)、UC混合土壌、カーネーショングリーンハウス、砂);(iv)種子(マイロ、トマト、コショウ、豆類、ニンジン、綿、アルファルファ、米、トウモロコシ):(v)スパイス類(コショウ、オレガノ、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、パプリカ);(vi)牛肉(9%、12%、20%および100%ファットプライム牛粉);(vii)牛乳(全乳、2%脂肪、無脂肪);および(viii)木材(レッドウッド;ダグラスファー;松);(ix)生果実:リンゴ・ナシ類(パッカムペア(Packham’s pear)、グラニースミスアップル(Granny Smith apple)、ロイヤルガラアップル(Royal Gala apple));柑橘類(ネーブル、ミカン、ユーリカレモン、グレープフルーツ);核果類(モデストアプリコット(Modesto apricot)、ビングチェリー(Bing cherry)、フライアプラム(Friar plum)、イエローピーチ、ファンタジアネクタリン(Fantasia nectarine);亜熱帯果実(ハースアボカド(Haas avocado)、キウィ);熱帯果実(マンゴ、グアバ、パイナップル、バナナ、パパイア);(x)乾燥果実(アーモンド、ピーナッツ、ピスタチオ、クルミ、ヘーゼルナッツ);(xi)脱水果実(レーズン、プルーン、リンゴ、アンズ、バナナ);(xii)穀類(米、小麦粉、マッシュポテトパウダー);(xiii)生野菜(トマト、ジャガイモ、タマネギ、コショウ、ガーリック、アスパラガス);および(xiv)保存食品(桃、アンズ、パイナップル、トマト)。
【0057】
これらの測定は、水、空気、飽和食塩水、飽和砂糖水、および植物油を、様々な化学的特性、したがって、様々な誘電体特性(すなわち、誘電損失因子)を有する材料のモデルとして含んだ。
【0058】
上記の測定の結果をRF電力吸収およびRF動作周波数の関数としてすべての材料について示し、RF動作パラメータのいくつかおよび必要とされるRFアプリケータを規定できるようにした。これらの測定結果を温度変化(ΔT;℃)および誘導熱電力(ΔQ;ジュール)として表して、それぞれ図9および図10に示す。
【0059】
したがって、当業者は、本発明の方法が、様々な種類の他の農産物や貴重な人工産物にも適用可能であることを理解するべきである。
【0060】
C.農産物のRF周波数挙動
RF周波数をRF法で処理される可能性のあるいくつかの農産物の誘電特性にマッチングおよびチューニングすることについてより詳細に規定するために、いくつかの農産物を、RF電力を吸収し熱エネルギーに変換することにより熱エネルギーを誘導し得る範囲のRF周波数に暴露しその応答を測定して検討した。これらの結果を図11にブラックベリー、ラズベリーおよびブルーベリーについて、図12に生食用ブドウ(トンプソン種ナシブドウ、ブラックビューティー、レッドフレーム種ナシブドウ)について、図13に土壌および水について示す。
【0061】
これらの結果は、これらの宿主物質が従う一般的傾向に関わらず、RF電力吸収および熱エネルギー(熱)への変換に関してはある商品については、特定の周波数がより良い効率を示すことが見出され得るということを明らかに示している。したがって、ある製品およびジオメトリーについて、動作周波数を選択することが、RF法の特長を最大限に引き出す上で、および殺生物効果を誘導する最良のプロセス効率を実現する最適条件のために極めて重要である。この最良の条件は製品に依存する。
【0062】
農産物に対し図11〜13に示すように、30〜300MHzまたは40〜140MHzのRF周波数が、RF法の効率的な動作に対して最適なRF周波数帯として示唆される。このRF領域では、調和的配分特性が、潜在的共鳴ピークの強度が120MHzを上回るとRF周波数の減少に従い増加することを示唆している。
【0063】
最後に、40MHzを下回ると、熱的効果は期待されず、これらの実験では測定がなされていない。しかし、1MHzでは、静生物効果が示されている。この効果は制御された圧力法(これは既に何種類かの生の生産物の長期保存に既に用いられている。)によって得られる静真菌効果に類似している。
【0064】
D.動作熱ウィンドウ
本発明の1つの実施形態におけるRF法は、材料の誘電特性とマッチした狭帯域のRF周波数を用い平行極板システムによって確立された高周波場を用いて適用される。この条件下では、RF電力の吸収および熱電力への変換は効率的に所定条件下で達成される。したがって、RF技術は、RF波を材料の誘電体特性に結合させ得るという利点を活かすことができる。純粋な効果は、RF電力を処理材料内で均一で迅速にかつ高いエネルギー変換効率で熱電力に変換することである。
【0065】
いくつかの材料は、RF放射を用いた処理によって滅菌および/または駆除をほとんど熱効果なしで、また、あるパラメータの下で操作する場合には、使用できる。こうした材料には以下のものが含まれる。食品(生の果実や野菜、乾燥食品、加工食品たとえば缶詰、シリアル類;生肉、鶏肉およびシーフード;果汁その他);食品添加物(スパイス類を含む。);動物用飼料;食品種子(装飾用植物の種子を含む。);木材および木製材料:廃棄物(固体、液体);植物材料(土壌および土壌改良剤を含む苗床材);および農業用土壌。木製材料では乾燥操作も実現され得る。
【0066】
これらの材料の多くは熱エネルギーの適用に対し幾分かは抵抗性を示すが、ほとんどの材料でその限界は知られていない。しかし、多くの材料は熱感受性であり不可逆的な影響を受ける。これらは代謝活性(すなわち、ある種のクリマクテリック(climacteric)期の果実、植物種子その他)を備えた材料であるか、あるいは生の果実のように、それらの市場価値を決定付ける特定の物理的または化学的特性(色、風合い、香り、その他)を有しているからである。材料に対する衝撃を最小限にとどめてRF放射の利点を最大限に得るためには、図1に示す低温および高温境界の内部で行わなければならない。このように、本発明の方法は、材料中に存在する最も熱感受性の汚染体に対して不可逆的変化を及ぼし、かつ、宿主物質それ自身には可逆的な変化しか引き起こさない。
【0067】
この操作を利用するためには、各材料について熱境界を知っている必要がある。熱ウィンドウの境界は、宿主物質の熱感受性および汚染体の熱感受性を測定することによって決定される。
【0068】
既に図1について述べたことであるが、感染性生物および昆虫/クモ類タイプの汚染体は、ほとんどの通常のその宿主物質(宿主)に対してよりも熱感受性が大きい。これは、それらの生物学的構造がより複雑であり、基本的には呼吸、エネルギー生産、増殖や修復のための細胞分割などの生物体を維持するための複雑な機能的プロセスが存在するためである。昆虫および/クモ類ではすべての生活サイクルにわたって、RFで誘導された温度レベルが40〜60℃になると、即時または遅効的な死をもたらし、または増殖活性を破壊する。微生物では、RFにより誘導された熱レベルが55〜70℃になると、>4log10以上の減少レベル(>99.99%)をもたらす。熱レベルがより低くてもより低い滅菌レベルには適当である。
【0069】
表4に示す実験結果は、宿主物質のRF放射に関する熱ウィンドウが0.5〜250MHz帯域にあることを示している。
【0070】
本明細書で「駆除」とは、昆虫およびクモ類の存在を抑止することであり、「滅菌」とは細菌などの微生物の存在を抑止することを指す。
【0071】
表4によれば、一度熱ウィンドウが確立された場合、これらの境界内にRF放射を導入することにより、抵抗性の高い宿主物質中に存在する複雑な生物体の熱感受性を活用して様々な食品および食品外材料のための駆除および滅菌を実行できる。
【0072】
さらに、熱ウィンドウの使用およびRF放射の動作モードについて知識があれば、従来の加熱法(高周波放射を含む。)で必要とされた熱エネルギーよりも低いエネルギーの使用が可能になる。従来の方法は、熱を材料の表面に適用し、多くの場合、全体積が滅菌および/または駆除に必要な熱的レベルに達するまで長い時間置くか、あるいは、宿主物質にエネルギーを添加するために本来的に高エネルギーのフォトンを用いる必要があった。いずれの場合も、宿主物質を過熱して本質的な特性を失われせる危険があった。
【0073】
これに対し、RF法は、制御された均一な加熱法である。熱ウィンドウ125(図1)は一般に以下のパラメータで規定される。(i)宿主物質の誘電特性;(ii)汚染物(すなわち、微生物、昆虫、クモ類、原生動物など)の誘電特性;(iii)有害(致死未満)効果を汚染物にもたらす熱レベル(これは汚染体の熱ウィンドウの低温側境界を規定する。);(iv)致死効果を汚染物にもたらす熱レベル(これは汚染体の熱ウィンドウの高温側境界を規定する。);(v)宿主物質の熱感受性(これは宿主物質の熱ウィンドウの高温側境界130を規定する。)。なお、本明細書において「有害」レベルとは致死未満レベルであって、増殖を妨害ないし抑制する(すなわち、酵素の不活性化;核酸の代謝の不活性化効果など)生物学的損傷を減少するレベルである。さらに、「致死」効果とは、即時または遅効的な死を除く。
【0074】
さらに、以下の一群の因子はRF放射場の構成に適用される。(i)周波数(単一または狭帯域)(誘電および/または誘導モード);(ii)電場強度;(iii)RF場ジオメトリー;(iv)宿主物質ジオメトリー;(v)RF電力;(vi)RF処理の熱時間様式(下記セクションOで述べる。);(vii)連続RFまたはパルスRF処理(セクションOで述べる。)。
【0075】
RF処理すべき材料に対しての熱ウィンドウに関する知識を得、使用すれば、脱汚染効果を最大にし、宿主物質中での不可逆的変化を最小限にとどめる誘導熱電力のレベルを規定することができる。本明細書において、これは、図1の「操作上のRF熱125」(OTW125)であり、汚染体(昆虫、クモ類および微生物)の両方の熱境界130および宿主物質熱ウィンドウの高温側境界によって規定される。
【0076】
処理すべき材料の多くは、「周囲」温度にあり、したがって、OTW125の低温側境界の最大値は固定されている。したがって、OTW125は、汚染体において致死的または制御的効果を引き起こすためには、汚染体の高温側境界を越え、宿主物質中の不可逆的変化を防ぐためには宿主物質の高温側境界130より下で終止しなければならない。この操作上の概念は図1に示されている。
【0077】
材料によってはOTW125の高温側境界130は、材料の使用目的に依存する。たとえば、商品を乾燥したり缶詰にする場合には、感覚的特性または代謝的または生理学的特性を、その商品の本来の性質を基準としてそのまま維持することはない。一方、OTW125の低温側境界120は、微生物、昆虫、クモ類、原生動物その他の熱感受性に明らかに依存する。実際上、宿主物質OTW125の例として食品を用いると、昆虫、クモ類および微生物(真菌、細菌およびウイルス)の熱感受性は、宿主物質食品の熱感受性よりも高い。したがって、(潜在的効果を回避または最小限にするために)宿主物質食品の高温側境界130を越えずに熱ウィンドウ内でRF放射プロセスを操作すると、材料のRF処理が可能となり、その感覚的または市場価値特性を保ちつつ駆除および/または滅菌効果のいずれかまたは両方を達成できる。
【0078】
E.RF誘導静真菌(静生物)効果
本発明の別の実施形態は、RF放射を用いて宿主物質中で静生物効果を誘導することである。本発明のこの実施形態に基づく実験が、ホーティフルーツ(Hortifrut S.A.)から得た市販品質のナバホブラックベリーを主として用いて行われた。ブラックベリーは、自然状態でも数種の真菌が存在し損傷率が高いため、これらの実験のために選択された。受領直後、ベリー類を冷蔵庫に保存した。ベリー類は受領後1日以内にRF法で処理した。
【0079】
選択されたブラックベリー群(対照群および処理群)は、それぞれ12個のクラムシェル(商業上用いられている容器;ジオメトリー20)であり、各クラムシェル(すなわち12個の対照クラムシェルと12個の処理クラムシェル)はそれぞれ80個のベリー果実を含む。これを1MHzRF信号で500V/メートルの横方向電場で2〜20時間処理した。電場は、Amplifier Research Model TC3020横電磁波モード(TEM)セルを500ワット電源駆動で発生させ、1000ワットの水冷50オーム負荷で終端した。商品には温度上昇はなんら見られかったことから、ベリー類によるRFエネルギー吸収はわずかな部分である。また、終端負荷がほとんどのRF電力を吸収した。
【0080】
RF処理に先立ち、すべてのブラックベリー試料に室温(21〜22℃)に至らしめた。次いで、RF処理を室温で2〜20時間行った。処理時間はRF電力能力が大きければ低減してもよい。
【0081】
RF処理完了後直ちに、試料を冷蔵保存(4〜5℃)に移し、全観察期間(最大26日)にわたってそこに保存した。RF処理直後に温度変化は観察されなかった。
【0082】
処理後のベリー類の状態(感染部位の存在)の観察を毎日行った。対照試料または処理試料のいずれでも感染部位が観察されると、各容器の各ベリー果実を層流状態で個別に観察し、結果を記録し、統計的方法(t−テスト)で分析した。
【0083】
これらのブラックベリーに関する実験結果を以下の表5にまとめ、図14〜図17にグラフで示す。
【0084】
上記と同様の操作手順により、12個の対照クラムシェルと12個のRF処理したクラムシェルを用いて同様の実験を行った。この例では、未損傷(surviving)ベリー果実は、未損傷対照ベリー果実に比較して5:1の割合であった。当業者は、この本発明によるTEMセル400を用いて得られた結果は図14〜図17および表5に示した結果に匹敵するものであるが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0085】
RF誘導静生物効果をRF周波数の関数として試験するためにさらなる実験が行われた。これらの実験はRF場と製品の誘電損失因子との結合を最適化し、TEMセル300を用いて行った。各実験では12個のクラムシェルを対照用に、12個のクラムシェルをRF処理されたナバホブラックベリー(ジオメトリー−20)用に用いた。結果を図18〜図20に示す。
【0086】
2MHzで同じ電力レベル、暴露時間(500Wシステム;6時間)としたところ、周波数2MHzとした以外は同一タイプの処理であったが、1MHz(図18)と同様の効果は示さなかった。
【0087】
同様に40MHzで同じ電力レベル、暴露時間(500Wシステム;6時間)としたところ、同一タイプのRF処理であったが、1MHzの実験(図19および図20)と同様の静生物効果は示さなかった。
【0088】
したがって、1MHzに集中した狭帯域がブラックベリーについては、RF電力により誘導される陽性の静生物効果をもたらすことになる。ここでもまた、当業者は、本発明のTEM400を用いて得られた実験結果は、図18〜図20に示された結果に匹敵するが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0089】
F.RF誘導静真菌(静生物)効果
本発明の別の実施形態は、RF放射を用いて宿主物質中に静真菌効果をもたらすものである。このセクションで我々は、数種の真菌が大きな(105cfu/mLを上回る)の接種レベルであっても、内部的に誘導された温度の増加が表面温度を約45〜55℃(ΔT=23〜33℃)をもたらす場合、殺真菌効果が得られるというRF法の効率性を示す。健全な市販品質のブラックベリー(ナバホ)をホーティフルーツ(Hortifrut S.A.)から得た。RF処理に先立つベリー類の取り扱いは上記の方法と同様とした。ただし、RF処理後、真菌の成育を容易にし促進するため、すべてのベリー試料(対照および処理)は室温(約22℃)に保持した。
【0090】
選択されたブラックベリー(15〜20個の健全な感染部位の見られないしっかりとして色も均一なベリー果実)を外径10cmのペトリ皿に取り、Penicillium frequentans(約15×107cfu/mLおよび5×106)、Botrytis cinerea(約107cfu/mL)またはRhizopus stolonifer(約5×105cfu/mL)を接種した。ペトリ皿試料を蓋で覆い、電場強度を最大化するため、放射電極間の隔たりを次第に増大させてTEMセル300内で処理した(ジオメトリー1、2および3。もっとも、結果に格別の差はなかった。)。RF法は67MHzと70MHzで適用された。これは、容器ジオメトリー内のブラックベリー誘電特性に対するRF場のマッチングまたはチューニングを最大限にし、RFエネルギーを熱エネルギーによりよく変換するために必要とした周波数範囲であった。RF処理は60Wと低い入力電力で1時間かけて行った。
【0091】
これらのすべての実験において、4ログを上回る低減(見積もり)が得られた。ブラックベリーの物理的損傷(潰れ)が真菌の成育上の障害を解消した場合であっても、室温で保存寿命が延長することが示された。
【0092】
G.自然の菌類を含むブルーベリー、ラズベリーおよびブラックベリー
我々はさらに、RF法が、自然の菌類(多くの場合は、Botrytis cinerea、Rhizopus sp.およびPenicillium sp.)を含む様々な種類のベリー類について殺真菌効果を効率的に呈することを示す。
【0093】
健全な市販品質のブルーベリー(ブライトウェル(Brightwell);オニール(O’Neil));ラズベリー(ヘリティッジ(Heritage));およびブラックベリー(ナバホ(Navaho))を用いた。ベリー類はRF処理に先立ち冷蔵保存し、RF処理に先立ち室温に平衡させ、RF処理後、観察のため室温に保持した。
【0094】
選択したベリー類(約15〜20個の健全な感染部位の見られないしっかりとして色も均一なベリー果実)を試料に物理的ストレスが加わらないように外径10cmのペトリ皿に注意して置いた。試料が損傷しないように十分な空間を確保してペトリ皿試料を蓋で覆い、電場強度およびRFから熱電力への変換を最大化するため、放射電極間の隔たりを次第に増大させてTEMセル300内で処理した(ジオメトリー1、2および3。もっとも、結果に格別の差はなかった。)。今回は、RF法は86MHz(製品ジオメトリーに対してRF場をチューニング)で70Wの入力電力で1時間かけて適用された。結果を表6にまとめて示す。
【0095】
これらのすべての実験で室温(約22℃)4日以上保存し、RF法がこれらの試料に存在する自然の菌類に致死的な効果を誘導することを示した。物理的損傷はこれらの実験では認められなかったので、ベリー類に視覚的または物理的な影響を及ぼすことなく室温における保存寿命が延長できること、RF法が腐敗真菌類を不活性化する有効性を有することが示された。ここでもまた、当業者は、本発明のTEM400を用いて得られた実験結果は、表6に示された結果に匹敵するが、入力電力がより小さかったことを評価するべきである。
【0096】
自然の菌類を含むベリー類について、いくつかの実験をさらに行い、上記の結果が再現性を有することが示された。
【0097】
H.RF処理の熱−時間様式
既に述べたように、多くの宿主物質は熱エネルギーの適用に関して高い感受性を示す。食品(すなわち、生の果実;生野菜;なんらかの加工された果汁;生肉、鶏肉、豚肉およびシーフード;卵など)、ある種の非食品材料、たとえば、生物液体(血液製品、血漿など)、細胞および培養調製物などはすべて熱処理に対する許容性が低い。
【0098】
これらのタイプの宿主物質では熱エネルギーは感覚的な変化とともに化学的(すなわち、栄養的な)性質に変化をもたらす。後者の特徴は、製品の市場価値という点で非常に重要であり、大規模な商業的利用には限界があると考えられている。
【0099】
これらの制限にも拘わらず多くの宿主物質が現在、制御された熱レベルで処理されているが、これは、単に現在のところ他に選択肢がないためである。こうしたケースとしては、マンゴーなどの熱帯果実(検疫目的)、滅菌した果汁、血液製品中の病原体の不活性化などである。
【0100】
熱処理として現在使われているものの多くは、熱の適用に依拠するものではあるが、熱処理のダイナミクス(すなわち、熱の配分および熱の損失)を利用してはいない。多くの場合、熱感受性材料が、周辺温度の変化および/またはそれ自体の体温変化を感知し応答し、反応する(すなわち、揮発冷却)という自然現象の存在および/または使用を無視している。
【0101】
我々はまた、熱処理速度および適用される全熱エネルギーがある適当な境界内に保持されている場合には、本質的特性の変化および損害が非常に小さくできることを示した。これらの境界は宿主物質の熱ウィンドウに一致する必要がある。
【0102】
したがって、熱−時間様式は、加熱速度を決定する。本発明において、熱−時間様式とは、熱エネルギー強度または電力などの適当な熱処理パラメータを適用時間に組み合わせるプロセスを指す。加熱速度を制御することにより、同じエネルギーを伝達して所定の効果を異なる時間長さで実現できる。長い時間をかけることで、材料が入力された熱エネルギーを調整すること(たとえば、熱の配分、放射および揮発冷却その他による熱損失)が可能になる。このようにして、起こり得る損害的な変化を最小限にとどめ、あるいは完全に回避することができる。
【0103】
液体牛乳の商業的処理法には、今日、高温を短時間用いるものが存在する(UHTあるいは超高温法)。これは、病原体の不活性化(閾値が低い。)を促進しつつフレーバーおよび/またはアロマの劣化を引き起こす酸化反応につながるある種の律速段階を制御している。UHT法は栄養成分を若干損なうが、細菌類がこのタイプの高温処理にはより高い感受性を有するという事実が、より感受性の低い酸化反応が発生する時間を最小限に抑えている。
【0104】
UHT法の原理は駆除および化学的酸化プロセスの完了に要する時間が異なることを利用してこれらのプロセスの両方にわたって制御を行っている。
【0105】
この考え方を、様々な生の食品、加工食品および貴重な人工産物のような他の感受性宿主物質における微生物、昆虫およびクモ類の脱汚染の必要性に適用するのは十分妥当なことである。しかし、その原理は逆の方法に応用され、本発明では、我々は、宿主物質自身の熱散逸プロセスを汚染体と宿主物質(宿主)との感受性の違いを利用する手段として組み込んでいる。特に、これは、熱許容性の低い宿主物質(すなわち生野菜)中に存在する、感受性のより高い汚染体(すなわち、昆虫、クモ類、および微生物)を扱うような場合である。
【0106】
このアプローチを、本明細書においては、低電力−長時間(LPLT)法と呼ぶ。このLPLT法は、熱感受性材料への熱エネルギーの適用割合を長期にわたって低く保つことである。これは特に、生理学的変化および感覚的(すなわち、化粧的)効果でストレスを表現するような熱感受性材料には適当である。これらの材料が熱エネルギーにさらされたときには、風合いやアロマなどの劣化といった重要な特性が決定的である。熱処理の目的がこれらの材料の脱汚染(すなわち、駆除および/または滅菌)である場合、熱感受的な生の果実(あるいは肉、鶏肉、シーフードといった生の食品)を、宿主物質の感覚的および市場価値的な特性を維持しつつ脱汚染するのにLPLTRF法は有効であることが判明した(下記表7および8参照)。
【0107】
LPLTRF法が生の果実に用いられる場合、熱エネルギーは低いRF電力(<材料1g当たり1W)で、しかし、長時間(分ないし時間)にわたって適用され、これにより異なる組織が緩慢に暖められる。このようにして、我々は組織や液体の突然の膨張を回避し組織の損壊を防ぐ。適用される全エネルギーは、昆虫およびクモ類に即時または遅効的な死をもたらし、昆虫およびクモ類の増殖を阻害し、かつ/または微生物を不活性化するが、宿主物質中での物理的および化学的効果は最小限である。
【0108】
熱感受性食品の例として生の果実および野菜について見ると、適用速度は、いくつかの物理的、化学的かつ/または生物学的因子、たとえば、熱容量;熱ウィンドウ(セクションO参照);含水量(揮発冷却の目的);昆虫およびクモ類の熱ウィンドウ(駆除または検疫目的);微生物汚染体の熱ウィンドウ(滅菌または殺菌目的);包装材料の熱的性質;代謝呼吸率(果実および野菜の場合);および材料の堅さ(機械的強度)によって規定される。
【0109】
この考え方を裏づけ、ラズベリー、ブラックベリー、およびブルーベリー(これらは特に熱感受性の高い宿主物質である。)を用いた実験結果を以下の表7および8に示す。表7および8では、損害の観察が、RF暴露直後、室温(RT)または冷蔵保存(RS)数日後になされた。いずれの観察例でも、非処理対照と比較した。さらに用いたジオメトリーはジオメトリー1,2および3であったが、結果において格別な差はなかった。
【0110】
表8は試料がクラムシェルジオメトリー中の160gのラズベリーであり、RF放射が116MHzの結果をまとめたものである。
【0111】
特に注意すべきは、ラズベリーに対し116MHzで21.7分、37.5分、および57.8分間、様々なレベルの入力電力を適用しているが、なんらの損害も認められなかったという表8の結果である。当業者は、160gラズベリー試料に対し40ワットの入力電力では、電場強度は10〜20V/cmのオーダーであること、これは‘636特許で開示されている500V/cmより遥かに低いことを評価すべきである。
【0112】
LPLTRF法は、肉、鶏肉、豚肉およびシーフードなどの生の食品を滅菌するのに特に適用できる。LPLT法は感覚的変化(すなわち、変色)および/または栄養成分の変化(すなわち、チアミン、ビタミンなど)を防止することができる。
【0113】
I.パルス手法
パルス電力手法を用いて生体の生存性に影響を及ぼす効果はよく知られている。たとえば、米国特許第5,364,645号および第5,607,711号はここに参照によって組み入れられるが、紫外線パルス手法の適用を開示している。
【0114】
RF放射という意味において、パルスRFは、短い継続時間のRFエネルギーをおよそマイクロ秒以下(<10−6秒)時間間隔で伝達することからなる。この方法では、この技術の展開において用いられるRF電力レベルは、著しく増加するであろう。それでも、高ピーク電力手法と関連して同様な力学的な強化効果が、滅菌および駆除利用での効率性を増すであろう。より感受性の高い宿主物質(食品その他の材料)中の昆虫やクモ類、および微生物などの熱感受性の高い汚染体が目的とする適用対象である場合、これは特に重要である。したがって、当業者は、パルスRF効果が、感受性の宿主物質中での脱汚染(滅菌および/または駆除)の効率性を増すことを評価するべきである。
【0115】
本発明によれば、滅菌および/または駆除のためのパルスRF法は、生体がパルスエネルギーに対しても高い感受性を有することを利用する。特に短時間のパルスが用いられると、生体は熱エネルギー伝達プロセスにさらされ、これは熱エネルギーの輸送および散逸のための機構、修復機構、および揮発冷却を含む熱冷却効果を凌駕するため、このため、生体は永久的で不可逆的(修復不可能な)効果を引き起こす熱エネルギーにさらされる。
【0116】
当業者は、従来の低電力RF手法の使用によって示された陽性な制御効果が、パルスRFによってもたらされる反復的で短い間隔の高エネルギー密度プロセスによって大きく強化され得るということを評価するであろう。
【0117】
J.結論
0.1〜1,000MHz帯の電磁エネルギースペクトル中の特定の周波数で平行板電極によって適用される高周波(RF)電力が、(1)相当に均一な電磁的効果(0.1〜10MHz)および(2)様々な商品に対して30MHz以上の周波数で熱エネルギーを制御可能なレベルで発生させるために用いられた。これらの効果は、様々な種類の傷みやすい材料の表面および塊内部で誘導された。低い周波数(0.1〜10MHz)の電磁波の効果は測定可能な熱効果を生じないが、腐敗生物の成育を遅くする(すなわち、静生物効果)。非熱的効果が誘導されるため、この静生物効果は商品中に起こり得る感覚的かつ/または生理学的変化を有しない。より高い周波数(>40MHz)では誘導された熱エネルギーレベル、宿主物質全体を通して均一な、致死的で抑制的な(すなわち、殺生物的)効果を引き起こすのに十分な程度に高い。適当なRF電力レベルおよび処理時間を選択することにより、誘導された熱エネルギーは、宿主物質に有害な効果を引き起こすよりも低いレベルに保たれた。このようにして、殺生物効果を熱的に実現しつつ痛みやすい宿主物質の保存および市場価値特性を保つことができる。
【0118】
熱エネルギーは殺生物効果を生物体に引き起こすとともに、生の食品の感覚的特性に不可逆的変化を引き起こすことがよく知られている。しかし、RF法は「熱ウィンドウ」の境界内で動作し、すなわち、これは、生きている生物体(熱感受性が高い)と宿主物質(熱感受性は低い)のより高い熱許容性との間の熱感受性の違いを利用するものである。RF法の最適な操作は、熱ウィンドウの低温端の直上である。ここでは、誘導される熱エネルギーレベルが生物(主として真菌および細菌)に致死的な効果をもたらす。さらに、RF法の操作では、宿主物質の品質および保存特性に受容不可能な変化を及ぼすレベル以下の誘導熱エネルギーレベルを維持することができる。
【0119】
開示したRF法は、化学的な手法(すなわち、殺虫剤)に置き換わり、またはその使用を最小限にとどめることが可能であり、従来の熱処理手法(伝導および対流)を生の痛みやすい農産物に使用する際に問題となっていた制限を著しく改善し克服する。RF法では、熱ウィンドウの低温側レベルを有効に用いることができ、ここでは、生きている生物体が熱的に誘導された死を受けやすい。これはそれらが、生の食物の構造的および機能的特性に比較して生化学的および生理学的により大きな複雑さを有していることによる。微生物の破壊は、タンパク質、酵素、または増殖に不可欠な遺伝子の変性(不活性化)によって開始される。RF法は、一般的な生の生産物に存在する制限された熱許容性にも依存している。それは痛みやすく熱感受性のある農産物の処理に効果があり適していることが示された。熱感受性を有するにも拘わらず、これらの商品は代謝または生理学的な複雑さは、汚染性生物よりも低く、したがって、より高い熱エネルギーに耐える。したがって、RF法は、農産物の誘電体特性との調整を行うことを可能にする現代のRF電子技術と、宿主物質の熱ウィンドウ内で動作することを組み合わせる。
【0120】
上記のアプローチの適用例が、痛みやすく高度に熱感受性な生の果実(すなわち、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー)を含む様々な製品に対して示された。RF法の効果および再現性を示すために、自然の菌類を有する様々なベリー試料および高レベル(最高107cfu/mL)で微生物が接種された試料が用いられた。これは感覚的および/または生理学的変化をベリー試料にもたらすことなく達成された。これらの試料は、室温で2週間保存された。
【0121】
当業者は、この技術的アプローチが、既存の多くの方法に対して、効率性、スループット、実用性および保存輸送上でより優れたものであること、および、農業者および都市部の利益となる新しい戦略の策定を可能とするものであることを評価するであろう。これらの処理システムは、非−化学的でありエネルギー効率がよく、さらにスループットが高く、微生物と、おそらくは昆虫およびクモ類の制御を同時に行うことが可能で、操作が単純で、しかも、設計がモジュール化されている。
【0122】
本発明を生の果実について説明してきたが、当業者は上記の判断基準が、植物の生理学に影響を及ぼすことなく植物および装飾的製品の滅菌および駆除に;生物学活性(すなわち、発芽)に影響することなく植物種子の滅菌および駆除に;および感覚的変化および/または栄養学的損失なしに液体および固形加工食品の滅菌に適用可能であることを理解するであろう。さらに、ここに開示する発明は、食品や生物学的製品(すなわち、血液加工製品)を含む種々の多くの媒体中のウイルスの不活性化にも、ウイルスの不活性化をもたらす非−化学的手法として適用可能である。
【0123】
当業者は、農業用土壌や、乳製品、および加工果実および野菜などの他の多くの商品が、同様のアプローチを用いたRF法の対象候補であることを評価するであろう。多くの場合について、RF法は、限定はされているが効率的な熱エネルギーレベルに基づいて、化合物の使用に取って代わるかその使用を最小限にし、処理された食品の感覚的特性をよりよく保つ可能性を有する。宿主物質を過熱することは、感覚に働きかける品質や栄養品質の損失を招くが、そうしたことは最小限にとどめられあるいは回避できる。さらにまた、RF法は、芸術作品や古書のような貴重な人工産物に適用して、その感覚的および保存上の特性を保持することができる。
【0124】
上記の記載は多くの特定的記述を含むが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明のいくつかの好適実施形態を説明するためのみのものである。したがって、本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその法的等価物によって定まる。したがって、本発明の範囲は当業者には明らかであろう他の実施形態にも及ぶし、本発明の範囲は請求の範囲以外の何者によっても限定されず単数要素への言及は明示的に断らない限り、「1つかつ1つのみ」の意味ではなく「1または複数」の意味を意図していることが、理解されるであろう。上述した好適実施形態の要素については、当業者に知られているそのすべての構造的、化学的、および機能的等価物は言及によって本願に組み入れられ、現在の請求項の範囲内のものとして意図されている。さらに、現在の請求項の範囲が及ぶものであれば、本発明によって解決課題とされたいずれかのまたはすべての問題を目的とする装置または方法である必要は必ずしもない。さらに本願で開示した要素、構成部分、または方法ステップのいずれも、そうした要素、構成部分、または方法ステップが請求の範囲中に明示的に記載されているか否かに関わらず、公衆に開放する意図のものではない。本願請求の範囲の要素は、要素が「ための手段」という表現を明示的に用いて記載されているのでない限り、米国特許法第112条第6項に規定に基づいて解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に適合する操作的な熱ウィンドウを例示したグラフである。
【図2】
共鳴領域における宿主物質についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図3】
従来技術のTEMセルを示した説明図である。
【図4】
本発明によるTEMセルを示した説明図である。
【図5】
本発明において「ジオメトリー12」と呼ぶもの、すなわち、「クラムシェル」ジオメトリーの寸法および構造を示す説明図である。
【図6】
本発明において「ジオメトリー13」と呼ぶもの、すなわち、「ランチボックス」ジオメトリーの寸法および構造を示す説明図である。
【図7】
本発明のジオメトリー6のTEMセルシステム中での調理米試料についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図8】
従来技術に準じたジオメトリー6のTEMセルシステム中での生米試料についての吸収を周波数に対してプロットしたグラフである。
【図9】
様々な試料について、86MHz、70Wで1時間の条件での共鳴RF誘導温度の上昇を示すグラフである。
【図10】
図9の試料について、86MHz、70Wで1時間の条件での共鳴RF誘導熱エネルギーの増加を示すグラフである。
【図11】
ブラックベリー、ラズベリーおよびブルーベリーによる全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図12】
様々な種類の生食用ブドウによる全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図13】
土壌および水による全RF吸収のRF周波数に対する変化をプロットしたグラフである。
【図14】
1MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図15】
1MHz500Wの電力システムを20時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図16】
1MHz500Wの電力システムを20時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図17】
1MHz500Wの電力システムを2時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図18】
2MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図19】
40MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【図20】
40MHz500Wの電力システムを6時間用いた場合における、ナバホブラックベリーに対するRFの静生物効果を示したヒストグラムである。
【表1】 【表2】 【表3】 【表4】 【表5】 【表6】 【表7】 【表8】
Claims (47)
- 高周波場を宿主物質を含む製品に導く工程を含む、製品の処理方法であって、
前記高周波場が、前記宿主物質に特定の周波数で共鳴によって熱エネルギーを導入するように構成されており、
前記高周波場は、前記熱エネルギーが前記宿主物質中で可逆的変化のみを引き起こす電力で構成されており、
前記熱エネルギーは、感染性生物中で不可逆的変化を引き起こすのに十分なものである方法。 - 前記宿主物質が、固有の代謝活性または生理学的活性を有し、
前記可逆的変化が、前記宿主物質固有の代謝または生理学的活性を保持する請求項1に記載の方法。 - 前記宿主物質が、化学構造または分子構造と関連した感覚的特性または保存特性を有し、
前記可逆的変化が、前記宿主物質固有の化学構造または分子構造を保持する請求項1に記載の方法。 - 前記宿主物質が生果実を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と60℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が生野菜を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と60℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が乾燥食品を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が加工食品を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が生の高タンパク質食品を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と75℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が乳製品を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と70℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が食品添加物を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が木材を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が廃棄物を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が土壌を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において20℃と80℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が土壌改良剤を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において20℃と80℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が植物を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と60℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が植物種子を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と75℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が人工産物を含み、
前記熱エネルギーが、宿主物質中において30℃と90℃の間の温度をもたらすに十分なものである請求項2に記載の方法。 - 前記宿主物質が木材加工材料を含む請求項17に記載の方法。
- 前記宿主物質が有機繊維を含む請求項17に記載の方法。
- 前記宿主物質が合成織布を含む請求項17に記載の方法。
- 前記宿主物質が人造のセラミックを含む請求項17に記載の方法。
- 前記宿主物質が有機系塗料を含む請求項17に記載の方法。
- 前記宿主物質が水性塗料を含む請求項17に記載の方法。
- 高周波場を宿主物質を含む製品に導く工程を含む、製品の処理方法であって、
前記高周波場が前記宿主物質に約2時間〜20時間の間、約500ワット未満の割合で前記製品に吸収されるように構成されたものであり、
前記高周波場が約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成されたものである方法。 - 前記宿主物質が生果実を含む請求項24に記載の方法。
- 宿主物質を含む製品、
前記製品を保持するように構成された空洞を含む横方向電磁セル、および
前記空洞に高周波放射を導入するように構成された導入部
を含むシステムであって、
前記製品が前記空洞内に収められ、
前記高周波放射が、前記製品と結合されるように構成され、もって、
出力電力および反射電力が最小になり、
吸収電力が前記宿主物質に熱エネルギーを導入し、
前記熱エネルギーが、前記宿主物質中で可逆的変化のみを引き起こすのに十分であり、
前記熱エネルギーが感染性生物中では不可逆変化を引き起こすのに十分であるところのシステム。 - 宿主物質を含む製品、
前記製品を保持するように構成された空洞を含む横方向電磁セル、および
前記空洞に高周波放射を導入するように構成された導入部
を含むシステムであって、
前記製品が前記空洞内に収められ、
前記高周波放射が、前記製品と結合されるように構成され、もって、
出力電力および反射電力が最小になり、
前記高周波放射が、前記宿主物質に約2時間〜20時間の間、約500ワット未満の割合で前記製品に吸収され、
前記高周波放射が、約800キロヘルツと2メガヘルツの間の周波数を示すように構成される
ところのシステム。 - 請求項4に記載の方法によって処理された生果実を含む宿主物質。
- 請求項5に記載の方法によって処理された生野菜を含む宿主物質。
- 請求項6に記載の方法によって処理された乾燥食品を含む宿主物質。
- 請求項7に記載の方法によって処理された加工食品を含む宿主物質。
- 請求項8に記載の方法によって処理された生の高タンパク質食品を含む宿主物質。
- 請求項9に記載の方法によって処理された乳製品を含む宿主物質。
- 請求項10に記載の方法によって処理された食品添加物を含む宿主物質。
- 請求項11に記載の方法によって処理された木材を含む宿主物質。
- 請求項12に記載の方法によって処理された廃棄物を含む宿主物質。
- 請求項13に記載の方法によって処理された土壌を含む宿主物質。
- 請求項14に記載の方法によって処理された土壌改良剤を含む宿主物質。
- 請求項15に記載の方法によって処理された植物を含む宿主物質。
- 請求項16に記載の方法によって処理された植物種子を含む宿主物質。
- 請求項18に記載の方法によって処理された木材加工材料を含む宿主物質。
- 請求項19に記載の方法によって処理された有機繊維を含む宿主物質。
- 請求項20に記載の方法によって処理された合成織布を含む宿主物質。
- 請求項21に記載の方法によって処理された人造のセラミックを含む宿主物質。
- 請求項22に記載の方法によって処理された有機系塗料を含む宿主物質。
- 請求項23に記載の方法によって処理された水性塗料を含む宿主物質。
- 請求項25に記載の方法によって処理された生果実を含む宿主物質。
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