JP2004512828A - 遺伝子転写物または産生物の量を制御する調節座を同定するためのマップ系ゲノム採集方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1種以上の興味ある遺伝子の発現を介在する興味ある生物のゲノム内の1つ以上の領域を同定する方法に関する。本発明方法は、興味ある第1と第2の生物を同定することを含み、興味ある第1の生物は、環境的刺激に対して測定可能な応答を示すか、或いは、興味ある過程に関連する特異性遺伝子発現に関連するフェノタイプを示すことに特徴を有する。第2の興味ある生物は、上記刺激に対する応答を欠落しているかまたは第1の興味ある生物において観察される程強い応答を示さないことに特徴を有し、或いは第1の興味ある生物は、第1の興味ある生物のフェノタイプと比較して異なるフェノタイプを示して、その異なるフェノタイプは興味ある過程と関連しており、または第1の興味ある生物と比較したとき分裂する興味あるフェノタイプを示し、またはその組合せを示す。第1と第2の興味ある生物を交配させて分裂した後代集団を産生させ、RNAを分裂後代の各々から抽出する。環境的刺激または興味ある過程に対する応答に関連する1種以上の興味ある遺伝子の発現量を定量する。1種以上のマーカーを使用して分裂後代の連鎖マップを調製し、この連鎖マップ上の上記1種以上のマーカーと上記1種以上の興味ある遺伝子の遺伝子発現との間の関連を決定し、1個以上の定量的特性座(QTL)を同定する。この方法は、所望の環境的刺激に供した分裂後代中の1種以上の興味ある遺伝子に関連する1個以上のQTLを同定することにも関する。さらにまた、本発明方法は、転写因子または1種以上の興味ある遺伝子の発現を制御する何らかの因子に相応する1個以上のQTLの同定において使用することができ、その1個以上のQTLに位置する1種以上の遺伝子は、、分離して、特性決定することができる。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、あらゆる生物内の遺伝子発現を制御する調節座の同定方法に関する。さらに詳細には、本発明は、生物内の所望の特性に関連する定量的特性座の同定におけるmRNA転写物の使用および転写物量の変化に関する。
【0002】
(背景技術)
植物育種プログラムにおける所望の植物特性の選定は、1種以上のフェノタイプ特性の選定に典型的に基づいている。しかしながら、多くの重要な耕種学的特性は、複雑であり、環境によって劇的に影響され、さらに、フェノタイプ特性が単一座制御によるよりはむしろ複数の遺伝子によって調節される多遺伝子制御下にある。多遺伝子即ち複数遺伝子制御下での諸特性において、多数の座での対立遺伝子の発現が、興味あるフェノタイプに寄与し得る。
再三に亘って、多くの遺伝子が発育的または環境的刺激に応じては発現され得ないことが示されている。これら遺伝子の発現を制御する要因を理解することは、例えば外来遺伝子を導入してその転写物量を発育、組織またはストレス依存的な方法で制御するときのトランスジェニック生物においてとりわけ重要である。そのような研究によって、遺伝子発現において存在する制御の複雑性と多量の重複性が明らかにされている。遺伝子発現の制御メカニズムは、遺伝子間で著しく変化し得る(例えば、Hirt, H. 1999 Trends Plant Sci. 4: 7−8を参照されたい)。
一定組合せの環境または発育条件下において、与えられた過程に関連する遺伝子は、必ずしも同様な形で応答しないし、同じ細胞タイプまたは組織中に集積もせず、それら遺伝子が異なる制御またはシグナルメカニズムに応答することを示している。
【0003】
現在の技術を使用しても、事象の全体的カスケードにおける興味ある遺伝子の発現を制御する最重要調節遺伝子を探り出すことは困難である。特異的に発現した遺伝子は、cDNAライブラリーの示差スクリーニング、ジーンバンクの相同性調査と組合せたゲノムシークエンシング、遺伝子打破と相補、ホメオティック遺伝子の変異、高密度遺伝子アレーを使用するESTの高処理量スクリーニングのような方法を使用して同定されている。これらの方法は、労力を有するとしても、遺伝子発現の調節に関連する遺伝子の同定において場合によっては有用であるが、その目的に特別に設計されてはいない。遺伝子発現を制御する因子の同定のための遺伝子打破(knock−out)法(変異体変形)は、アラビドプシス(Arabidopsis)のような小ゲノム種に対して適切である。そのような方法も、労力を有し、非特異的であり、多くの場合、検出できないか或いは致死的なフェノタイプを生ずる。mRNA種の示差ディスプレー、減数または標準化ライブラリーおよび遺伝子アレーのような各方法の組合せは調節遺伝子を選び出すのに使用できるが、これらの方法は、単一遺伝子発現の分析に特異的ではなく、時間消費性である。さらにまた、これらの方法においては、興味ある調節遺伝子の転写物が、それら転写物を同定するためのライブラリーを産生させるのに使用するサンプル中に存在していなければならない。この問題は、非同調発現による複数調節遺伝子が関与する場合に、不可抗力的であり得る。
【0004】
定量的特性座(QTL)は、1種以上のたんぱく質をコードし且つ複数遺伝子によって制御され得る与えられたフェノタイプの有意割合の変動性を解明するゲノム領域である。典型的には、1種以上の遺伝子マーカーを使用して所望のQTLを同定している。今日まで、植物種の殆どのQTL研究において、大まかな形態学または耕種学的なフェノタイプ(例えば、収率、疾病およびストレス抵抗性、開花までの時期等)が検討されて来ている。例えば、WO 2000/18963号においては、収穫向上に関連するQTLを含む大豆植物、およびそれら植物の選定および育種方法が開示されている。この方法は、グリシンソージャ(Glycine soja)の特異性領域にマッピングし且つ収穫向上に関連する第2の核酸分子にハイブリッド化し得る特異性マーカー核酸の使用に関する。米国特許第5,948,953号においては、大豆植物の褐色茎腐れ(BSR)抵抗性に関連するQTLを同定している。
このBSR抵抗性に関連するQTLは、マーカー助力型選定を使用する植物選定において使用できる。WO 99/31964号は、植物選定のための63個の特異性座に遺伝子的に連鎖するマーカー核酸の使用を開示している。同定した多形性は、DNAフィンガープリンティングにおいて、さらに、害虫または疾病抵抗性に関連する遺伝子またはQTLをマッピングするのに使用できる。幾つかの最近のQTL研究においては、代謝物集積のような特異的代謝変化または酵素活性の変化における定量的変化間の関連が探索されてきている。例えば、Byrne等(Byrne, P.F., McCulen, M.D., Snook, M.E., Musket, T.A., Theuri, J.M., Widstrom, N. W., Wiseman, B.R. and E.H. Coe, 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. 93:8820−8825)は、フラボノイド経路部分に対する転写アクチベーターをコード化する座に対して、メイシン(maysin)、即ち、コーンイヤーワーム(corn earworm;ヤダ科オオタバコガの幼虫)に対する宿主植物抵抗性因子として作用するフラボン濃度の58%の変化を占めるQTLのマッピングを開示している。Prioul等(Prioul, J.−L, Quarrie, S., Causse, M. and D. de Vienne, 1997, J. Exp. Bot. 48: 1151−1163;Prioul, J.−L., Pelleschi, S., Sene M., Thevenot, C., Causse, M., de Vienne, D. and A. Leonardi, 1999, J. Exp. Bot. 50: 1281−1288)は、QTL分析における定量的特性として、公知の生合成経路の酵素活性、基質および産生物量を使用している。同様に、Pelleschi等(Pelleschi, S., Guy, S., Kim, J.−Y., Pointe, C., Mahe, A., Barthes, L., Leonardi, A. and J.−L., Prioul, 1999, Plant Mol. Biol. 39: 373−380)は、トウモロコシにおけるインバーターゼ活性の変化に関連するQTLに対する候補遺伝子の同定におけるマーカーとして、インバーターゼ活性の使用を開示している。Damerval等(Damerval C., Maurice, A., Josse, J.M., and D. de Vienne, 1994, Genetics 137: 289−201)は、QTLマッピングにおける定量的特性として、2Dゲル上でのペプチド類の使用を開示している。
【0005】
上記の各方法は、QTLマッピング方法を単一遺伝子または遺伝子カスケードの発現の調節に関連する遺伝子を同定するのに使用し得ることを示唆または提議していないし、QTLマッピングにおけるフェノタイプ特性としてのmRNA転写物の使用も示唆していない。
Dumas等(Dumas P., Sun Y., Corbeil G., Tremblay S., Pausova Z., Kren V., Krenova D., Pravenec M., Hamet P., and J. Tremblay 2000, J. Hypertens 18: 545−551)は、ラットにおけるストレス遺伝子発現に関連するQTLをマッピングためのフェノタイプマーカーとして、mRNAの使用を開示している。特異性遺伝子発現を使用してラットにおける血圧に関連するQTLをマッピングする関連方法は、CicilaおよびLeeによって提案されている(Cicila G T. and S J Lee 1998 Hypertens Res 21: 289−296)。これらの論文は、いずれも、転写物量の制御に応答性である単一遺伝子またはコンプレックス調節カスケードの調節に関連する遺伝子の同定におけるQTL試行を示唆していない。さらにまた、ジプロイドよりも大きい倍数性量を有するものとして特性決定された生物における特異性遺伝子発現のQTLマッピングについての説明もなく、非動物宿主における特異性遺伝子発現に関連するQTLの同定についても何ら説明されていない。
本発明は、所望特性を伴う興味ある1種以上の遺伝子の発現の遺伝子的調節に関連するゲノム領域の同定に関する。そのゲノムのQTLマップ系分析を使用することにより、転写物または遺伝子産生物の特異的集積に関連する調節遺伝子に対する座を同定する。
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。
上記目的は、主要特許請求の各特徴を組合せることによって満たされ、各従属特許請求の範囲により、本発明の有益な実施態様がさらに開示される。
【0006】
(発明の開示)
本発明は、生物内の所望特性に関与する定量的特性座の同定におけるmRNA転写物の使用および転写物量の変化に関する。さらに詳細には、本発明は、任意の生物内の一定の特性についての遺伝子発現を制御する調節遺伝子に対する座の同定方法に関する。最終的には、本発明は、生物内の発現特性を制御する遺伝子および調節カスケードの発現を調節する遺伝子および遺伝子配列の同定方法に関する。
【0007】
本発明によれば、興味ある1種以上の遺伝子の発現を介在する興味ある生物のゲノム内の1つ以上の領域の同定方法が提供され、この方法は、下記を特徴とする:
i) 環境的刺激に対して測定可能な応答を示すか、或いは、興味ある過程に関連する特異性遺伝子発現に関連するフェノタイプを示すことを特徴とする第1の興味ある生物を同定すること;
ii) a)上記第1の興味ある生物の上記刺激に対する応答を欠落しているか或いは上記第1の興味ある生物の上記刺激に対して上記第1の興味ある生物程強い応答を示さないか、
b) 上記第1の興味ある生物のフェノタイプに比較して異なるフェノタイプを示し、この異なるフェノタイプが上記興味ある過程に関連しているか、
c) 上記興味ある第1の生物との交配によって生ずる集団において分裂する興味あるフェノタイプを示すか、または
d) 上記a)、b)、c)およびd)の2つ以上の組合せを示すことを特徴とする第2の興味ある生物を同定すること;
iii) 上記第1および第2の興味ある生物を交配させて、分裂した後代(子孫)集団を産生させること;
iv) 上記分裂子孫の各々からRNAを抽出し、1種以上の興味ある遺伝子の遺伝子発現量を定量すること、これらの1種以上の興味ある遺伝子が環境的刺激に対する上記応答または上記興味ある過程に関連していること;
v) 1種以上のマーカーを使用して、上記分裂後代の連鎖マップを作成すること;
vi) 上記連鎖マップ上の上記1種以上のマーカーと上記1種以上の興味ある遺伝子の遺伝子発現との関連を決定させ、1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること。
【0008】
また、本発明は、上記交配工程(工程iii))の後、上記RNA抽出工程の前に、上記分裂後代を所望の環境的刺激に供するか、或いは特異的発育段階にあるものとして特性決定する上記で定義したような方法も含む。
上述したような本発明の方法は、転写因子および1種以上の興味ある遺伝子の発現を制御するあらゆる因子に相応する1個以上のQTLの同定において使用することができる。
さらにまた、本発明は、決定工程(工程vi))後に、1個以上のQTLに位置する1種以上の遺伝子を分離し特性決定する上述したような方法にも関する。
また、本発明は、決定工程(工程vi))において、マーカーをQTLにおいて同定する上述したような方法にも関する。さらにまた、そのマーカーは、下記において使用できる:
‐生物の後代の追跡;
‐生物のハイブリッド化度の決定;
‐結合フェノタイプ特性、発現特性、またはフェノタイプ特性と発現特性双方の変化の同定;
‐遺伝子マップの構築;
‐交配からの個々の後代の同定;
‐遺伝子コードまたは非コードDNA配列を取巻くゲノムDNA配列の分離;
‐マーカー介在型選定、マップ系クローニング、ハイブリッド確認、フィンガープリンティング、遺伝子型決定、対立遺伝子特異性マーカーとして、またはこれらの組合せ。
【0009】
また、本発明は、下記を特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節遺伝子の同定方法(B)も包含する:
i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
ii) 1種以上の調節遺伝子をマッピングすること;
iii) 上記1種以上の調節遺伝子が上記1個以上のQTL内にマッピングしているかどうかを決定すること;
vi) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
v) 工程iv)において分離した1種以上の調節遺伝子をシークエンシングすること。
本発明は、また、興味ある生物を、上述したような方法(B)を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法も含む。
さらに、本発明は、興味ある生物を、上述したような方法(B)を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法も含む。
【0010】
また、本発明は、下記を特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節配列の同定方法(C)も包含する:
i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
ii) 1種以上の調節遺伝子をマッピングすること;
iii) 上記1種以上の調節遺伝子が上記1個以上のQTL内にマッピングしているかどうかを決定すること;
vi) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
v) 工程iv)において分離した1種以上の調節遺伝子の調節配列をシークエンシングすること。
本発明は、興味ある生物を、上述したような方法(C)を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節配列によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法を含む。
さらに、本発明は、興味ある生物を、上述したような方法(C)を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法も含む。
【0011】
本発明方法は、共通調節座を共有する遺伝子または同じ調節下にある遺伝子の同定を可能にする。このことは、多くの要求される用途、例えば、限定するものではないが、マーカー介在型選定、フェノタイプ決定、経路マッピングカスケード分析、遺伝子調節相互作用、遺伝子フラックス分析等において重要な係りを有し得る。
遺伝子の発現量に関連するゲノム領域は、QTLマッピング分析を使用して同定することができる。定量的特性として遺伝子発現量を使用するこの方法は、そのような調節遺伝子および調節配列についての研究を特異性ゲノム領域に狭めることによって、遺伝子発現制御メカニズムの同定を可能にする。本発明において同定した有意のQTL並びにこれらQTLが解明する予想外に高量の変化は、遺伝子発現のQTL分析を使用してストレス誘発性遺伝子発現に応答性の重要な調節因子を探索することのポテンシャルを指標している。同じ外的刺激によって誘発された複数遺伝子の比較QTL分析は、遺伝子発現を調節する複合経路の解明、および調節因子を共有する遺伝子の再グループ化をさらに可能にしている。
【0012】
本発明の方法は、興味ある遺伝子の発現量において分裂する集団を使用して、発現がいずれかの因子によって調節されるそのような遺伝子に対して応用可能である。本発明方法は、ゲノム領域の同定を可能にする。同定すると同時に、これらのゲノム領域を使用して、遺伝子発現に基づく技術固有の環境的または発生的干渉なしで、得られた遺伝子型を特性決定することができる。
1個以上のQTLを、環境的刺激(例えば、限定するものではないが、温度ストレス)によって誘発されるか、或いは与えられた過程(例えば、限定するものではないが、収率決定)に関連する多遺伝子特性について同定することによって、本発明の方法は、分析されるフェノタイプ特性に一般的に関連する1個以上のQTL並びにその得られた特性において重要な適応性のある価値を有する遺伝子発現も同定し得る。これらの座内で見出される調節遺伝子および調節配列は、多遺伝子特性の改良において重要な価値を有するようである。
【0013】
本発明の方法はあらゆる宿主生物にも応用可能であると理解すべきであるが、本発明の方法の応用に関して、他の真核生物系以上の特異な利点を提供する数種の生物、例えば、限定するものではないが、単細胞生物または植物が存在する。例えば、ある種の植物種においては、各座がホモ接合性である花粉からの倍化単相体の継代、分裂性F2または戻し交配集団を産生させるF1の1つまたは他の親系への自家受粉または戻し交配、個々のF2植物を数世代(F6〜F10)に亘って繰返し自家受粉させて1群の組換え近交系を産生させる可能性、クローン性繁殖による遺伝子型毎に繁殖させる可能性により、同じ遺伝子物質の複数の分解的分析が可能であり、遺伝子的に同一の物質を種々の環境的刺激または他の過程に供することが可能になる。さらにまた、これらのタイプのクローン性物質は、種々の環境条件下において複製でき、遺伝子型、環境、遺伝子型と環境の両方、またはフェノタイプでの相互作用効果を研究することができる。
本発明の上記要約は、本発明の必要な特徴のすべてを必ずしも説明していないが、本発明が説明した特徴の下位の組合せにもあり得ることは説明している。
【0014】
本発明の上記および他の特徴は、添付図面に関連して行う以下の説明からより一層明らかとなろう。
本発明は、あらゆる生物内の遺伝子発現を制御する調節座の同定方法に関する。さらに詳細には、本発明は、生物内の所望の特性に関連する定量的特性座の同定におけるmRNA転写物の使用および転写物量の変化に関する。
以下の説明は、単に例としての、本発明を有効に実施するために必要な特徴の組合せに制限を加えることのない好ましい実施態様についてである。
定量的特性座(QTL)は、複数遺伝子によって制御されて得られたフェノタイプの有意割合の変動性、例えば、限定するものではないが、収穫増大、凍結寛容性、乾燥寛容性等を解明するゲノム領域である。これらの領域内には、生物のフェノタイプにおいて有意の作用を有する因子をコードする1種以上の遺伝子が存在する。
【0015】
本明細書において説明するように、形態学的マーカー、アイソザイムまたはDNA系マーカーのような任意のタイプのマーカーを使用して構築した連鎖マップは、興味ある遺伝子の各々をそのマップ上の一定の位置に存在させるのに使用できる。興味ある単一遺伝子の発現は、定量的特性とみなされる。理論によって拘束することは望まないが、興味ある遺伝子の発現の変動性が、例えば、その遺伝子の種々の対立遺伝子形に基づく遺伝子自体における差異の結果である場合、主要量の特性座は、構築遺伝子の位置近くに存在すべきである。しかしながら、以下で概略するように、興味ある遺伝子の発現の変化は、上記ゲノム内の他の場所に位置するQTLによって高度且つ有意に解明されることが観察されている(図1参照)。従って、興味ある遺伝子から距離を置いて位置するゲノム領域が興味ある遺伝子の発現を制御し或いは調節している。これらのゲノム領域は上記連鎖マップを使用して同定でき、その後、興味ある遺伝子の発現を制御する因子をコード化する調節遺伝子を当業者にとって公知の方法を使用して同定する。
【0016】
“興味ある遺伝子”とは、本発明の方法を使用して特性決定される定量的特性として使用でき、上流および下流調節領域、イントロンおよびエクソンを含み得る1種以上の公知の遺伝子を意味する。興味ある遺伝子は、典型的には、常にではないが、その興味ある遺伝子の発現または抑制についての調節遺伝子の作用を測定する条件下において発現させる。興味ある遺伝子の発現量は、当該技術において公知の任意の方法、例えば、ノーザン分析、RNアーゼ保護、アレー分析、PCR等によって測定できる。興味ある遺伝子、またはその転写物量は、定量的特性であり、その興味ある遺伝子の発現に関連する1個以上のQTLのさらなる同定において使用する。1種以上の興味ある遺伝子は、本発明の方法において、本明細書において説明するような環境的刺激または他の興味ある過程に対する応答の分析において使用できる。その分析において使用する興味ある遺伝子数を増大させることにより、植物内の環境的刺激または他の興味ある過程に対する応答に関連する数種の興味ある遺伝子の調節に応答性である1個以上のQTLを同定し、これらQTLの重要性を十分に照らし出すことが可能である。そのような試みは、以下および各実施例において説明する。
【0017】
“調節遺伝子”とは、その産生物が興味ある遺伝子の発現に直接または間接的に作用し、そのコード領域、上流(5’)および下流(3’)の非コードおよび調節領域、およびイントロンを含む遺伝子を意味する。典型的には、調節遺伝子は、刺激、例えば、限定するものではないが、ヒートショックまたは温度ストレスのような環境的刺激に応答して特異的に発現する。調節遺伝子の例としては、限定するものではないが、転写因子をコード化する遺伝子、またはある方法でもう1つの遺伝子の発現を調節するもう1つのたんぱく質因子をコード化する遺伝子がある。調節遺伝子によってコード化された産生物は、興味ある遺伝子の発現に、例えば、いかなる形でも限定する積りはないが、興味ある遺伝子のコード領域の上流(5’)および下流(3’)またはイントロン内の調節領域を当該技術において公知のようにして結合させ、興味ある遺伝子の発現を増強または鎮静させることによって直接作用し得る。また、調節遺伝子は、興味ある遺伝子の転写物の安定性、翻訳の速度または安定性、興味ある遺伝子から合成された転写物、興味ある遺伝子の発現に関与する転写後および翻訳後双方の事象のいずれかに作用する産生物もコード化する。また、調節遺伝子は、興味ある遺伝子の特異的発現に、1種以上の2次遺伝子の発現を介在し、それら遺伝子の産生物が興味ある遺伝子の発現と相互作用し得ることによって、間接的に作用し得ることも意図される。また、1種以上の調節遺伝子は、相乗的に作用して興味ある遺伝子の特異的発現を介在し得ることも意図される。
【0018】
本発明の方法は、共通調節座を共有するか或いは同じ調節下にある遺伝子の同定を可能にする。このことは、多くの用途、例えば、限定するものではないが、マーカー介在型選定、フェノタイプ決定、経路マッピングカスケード分析、遺伝子調節相互作用、遺伝子フラックス分析、または多遺伝子特性に対して有意の作用を有する調節遺伝子の同定において重要な係りを有し得る。
“環境的刺激”とは、興味ある生物内の測定可能な応答に作用するか或いはその応答を発生させるあらゆる刺激を意味する。例えば、いかなる形でも限定するものではないが、興味ある生物は、植物、植物の器官、組織または細胞であり得;環境的刺激は、例えば、限定するものではないが、ウィルス、細菌、真菌、昆虫、線虫または他の草食動物による侵入のような生物刺激、或いは非生物刺激、例えば、限定するものではないが、冷害、凍結、水、乾燥、浸透、加熱、塩、酸化剤または汚染物に関連するストレスであり得る。環境的刺激としては、興味ある生物またはその器官、組織もしくは細胞に対するミネラル栄養摂取、光および内因性または外因性薬物の作用もあり得る。
【0019】
“興味ある過程”とは、興味ある生物またはその器官、組織もしくは細胞、例えば、いかなる形でも限定するものではないが、植物内で測定可能な作用を発生させるあらゆる過程を意味する。興味ある過程としては、限定するものではないが、非限定的な植物の場合における胚形成;花、種子、根または葉の発育;器官形成;または概日性、超概日性および他の内部リズム中の遺伝子発現の発育的、化学的または環境的制御があり得る。他の興味ある過程としては、限定するものではないが、収穫可能な収率、光合成物転座;吸込み(sink)および起源(source)、葉面積係数、根成長比、収穫物の栄養価、植物形態、細胞サイクル速度、細胞分化速度、細胞サイズ、植物ライフサイクル、老化、成熟、休眠、発芽、または例えばトランスポゾン活性化によるゲノム再配列があり得る。しかしながら、類似したまたは他の特異な過程も本発明の方法を使用して興味ある任意の生物内で特性決定し得ることを理解すべきである。
“興味ある生物”とは、その内部で1個以上のQTLを同定し且つ特性決定すべき任意の生物、例えば、限定するものではないが、植物(藻類、蘚苔植物、シダ類、被子植物、または裸子植物)、動物、単細胞生物、細菌、植物プランクトン、酵母、真菌、を意味し、これら生物の細胞または組織培養物も含む。
【0020】
本発明の方法は、ゲノム内の特異的位置にマッピングする遺伝子の転写物量を同定し且つコード化された転写物またはたんぱく質の集積がゲノムの他の場所の座に存在する遺伝子によって調節されるかどうかを決定するのに使用できる。ゲノムのQTL(定量的特性座)マップ系分析を使用して、転写物または遺伝子産生物の特異的集積に関連する座を同定することが可能である。従って、これらのQTL内で見出された遺伝子は、種々の転写制御下の多遺伝子群の諸メンバー(例えば、引き続き転写の調節に影響し或いは翻訳増強またはmRNA安定性に必要な上流または下流配列に作用する潜伏性の重要なcis−調節配列)、転写因子(エンハンサーおよびレプレッサーのような)、単一形質導入経路たんぱく質(例えば、プロティンキナーゼ、プロティンホスファターゼ、14−3−3たんぱく質類等)、外部シグナルレセプター、2次メッセンジャー量(Ca2+、IP、cAMP等)の調節に関連するたんぱく質、転写物の分解に関連するヌクレアーゼ類、プロテアーゼおよびプロテアーゼインヒビター、新規な転写調節因子をコード化できていた。
【0021】
1種以上の興味ある遺伝子の発現、例えば、限定するものではないが、環境的刺激に応答しての特異的発現、または特異的遺伝子発現を生ずる興味ある生物内のあらゆる事象を制御し、介在しまたは影響する調節遺伝子を同定するのに使用する試みの例としては、下記がある:
i) 環境的刺激に対して応答を示すか或いは興味ある過程に関連する特異的遺伝子発現に関連するフェノタイプを示す第1の興味ある親生物;および上記環境的刺激に対する応答を欠落しているかまたはそのような応答を強くは示さず、或いは興味ある過程に関連する特異的遺伝子発現に関連する異なるフェノタイプ(この変化が本来的に見出されているかまたは遺伝子変異、遺伝子破壊もしくは遺伝子挿入によって誘発されているか、或いはそうでないにかかわらず)を示す第2の興味ある親生物を同定すること。必要ではないが、第1および第2の親は、上記刺激に対する応答において、上記刺激に対する応答程長い興味ある過程に関連する特異性遺伝子発現において、或いは後代において分裂する特異性遺伝子発現において異なることが望まれる。
ii) 第1および第2の親を交配させて分裂性後代集団を産生させること。集団のタイプとしては、限定するものではないが、F1(異型接合親由来)、F2、F3群、組換え近交系、倍化単相体、戻り交配系、試験交配系、および裸子植物分裂性大配偶体があり得る。
iii) 必要に応じて、上記交配の後代を所望の環境的刺激に供すること。
【0022】
iv) 1種以上の器官、組織または細胞タイプからRNAを抽出すること、例えば、興味ある生物としての植物の場合、RNAは、花、原始細胞、葉、幹もしくは根組織、または細胞から得ることができる。
v) 1種以上の興味ある遺伝子の転写物量を、任意の適切な方法、例えば、限定するものではないが、ドットブロット、ノーザンハイブリッド形成、アレー分析、または定量的PCR、アレー分析を使用して測定し、各後代における遺伝子発現量を定量すること。
vi) 分裂性集団の遺伝子連鎖マップを、任意の適切な方法、例えば、限定するものではないが、RFLP(制限フラグメント長多形性)、AFLP(増幅フラグメント長多形性)、RAPD(ランダム増幅多形性DNA)、ミクロサテライト類、IMP(MITE間多形性)またはSPN(単一ヌクレオチド多形性)のようなDNA系マーカー;たんぱく質マーカーまたは形態学的マーカーを使用して作成して、マッピング集団の個々を特性決定すること、およびこれら方法の1つ以上から得られたデータを上記連鎖マップの構築における2点および多点連鎖分析に供すること。
vii) 上記連鎖マップ上の各マーカーと環境的刺激に応答しての或いは興味ある過程に関連する1種以上の興味ある遺伝子の発現と間の関係を決定して統計的に有意なQTLを同定すること。そのような関係は、当業者にとって公知の任意の方法、例えば、限定するものではないが、単点ANOVA、単純退行、インターバルマッピング、複合インターバルマッピングを使用して決定することができる。そのような分析は、MAPMAKER/QTL、MQTL、QTLカルトグラファー(Cartographer)、または他の同様なソフトウェアを使用して実施できる。各QTLにおける統計的有意性と変動パーセントも算定する。
【0023】
本発明の方法は、全部ではないが多くの興味ある遺伝子の発現の制御に関連する調節因子(遺伝子)の網羅的な同定のための有効な方法を提供し、さらに、興味ある遺伝子の観察された発現変動性に対しての各因子の相対的貢献の評価、並びに伝統的植物育種において使用できる調節遺伝子のゲノム位置と会合マーカーの同定法も提供する。さらに、例えばカスケード内の多くの遺伝子の発現に影響を与える“親スイッチ”調節遺伝子を、一定の環境的刺激によって誘発された或いは与えられた過程に関連する複数遺伝子を同時に分析するときに、同定することができる。
【0024】
興味ある遺伝子の発現に有意に関連する1個以上のQTLを同定すると同時に、これらの座と結合マーカーの各々は、例えば、限定するものではないが、植物育種のような育種およびスクリーニング目的において、マーカーとして直接使用でき、或いは当業者にとって公知であろうマップ系クローニング方法を使用して、さらに特性決定して興味ある遺伝子の発現に関連した1種以上の遺伝子を決定することができる。例えば、1種以上の公知の調節遺伝子をマッピングして、これら遺伝子の遺伝子位置が興味ある遺伝子のmRNA発現を制御するQTLと合致してかどうかを決定することができる。そのような合致性調節遺伝子が1種以上の興味ある遺伝子の発現に作用していることの確認は、当該技術における標準方法、例えば、限定するものではないが、遺伝子形質転換、遺伝子相補もしくは遺伝子打破法、または過発現を使用して得ることができる。また、上記遺伝子連鎖マップを使用して、なんらかの新規な調節遺伝子のような調節遺伝子を当該技術における公知のマップ系クローニング方法によって分離し、それによって、そのQTLに位置したマーカーを、大きい挿入ゲノムクローンの接触要素(contigs)を使用して興味ある遺伝子に指向させるのに使用する。位置クローニングは、Martin等(Martin, G.B., Brommonschenkel, S.H., Chungwongse, J., Frary, A., Ganal, M. W., Spivey, R., Wu, T. Earle, E.D. and S.D. Tanksley, 1993, Science 262: 1432 −1436)に記載されているようにして、1種以上の調節遺伝子を分離するのに使用できる。しかしながら、当業者に認識されているような他の適切な方法も使用できる。ここでも、そのような合致性調節遺伝子が1種以上の興味ある遺伝子の発現に作用していることの確認は、後述する遺伝子形質転換および相補または打破法によって得ることができる。
従って、本発明は、環境的刺激または興味ある過程内の特異性遺伝子発現に関連する過程に応答しての1種以上の興味ある遺伝子の発現を介在するのに関与する植物のゲノム内の領域を同定することに関する。また、本発明は、同定したQTLを特性決定して、これらの座での1種以上の調節遺伝子および調節配列を同定することにも関する。
【0025】
また、本発明の方法は、興味ある生物内の興味ある遺伝子の発現の制御または介在に関連する因子(調節遺伝子によってコード化された)に相応する座を同定するのにも使用できる。この方法は、1種以上の興味ある遺伝子のmRNA転写物量を制御し調節する調節遺伝子((この変化が本来的に見出されているかまたは遺伝子変異、遺伝子破壊もしくは遺伝子挿入によって誘発されているか、或いはそうでないにかかわらず)、例えば、限定するものではないが、下記の興味ある遺伝子の同定において使用できる:
下記に関連する因子によって調節されている興味ある遺伝子:
‐生物ストレス、例えば、限定するものではないが、ウィルス、細菌、真菌、昆虫または線虫;
‐限定するものではないが、冷害、凍結、水、乾燥、浸透、加熱、塩、酸化剤、汚染物のような非生物ストレス;
‐発育的、化学的または環境的に制御された遺伝子発現;
‐胚形成、例えば、限定するものではないが、組織または器官発生(植物の場合、種子発生、器官形成、花発生が含まれ得る);
‐マクロおよびミクロ栄養素の双方を含むミネラル栄養摂取;
‐光(照射量および光量);
‐概日性、超概日性および他の内部リズム;
‐天然成長調節因子のような化学誘発因子、例えば、植物が興味ある生物である場合、オーキシン類、ジベレリン類、ABA、サイトキニン類、エチレン、およびこれらのアナログ類;合成ホルモン、除草剤、サリチル酸、ジャスモン酸。
【0026】
或いは、下記のような生物学的過程に対して有意なインパクトを有する興味ある遺伝子:
‐収穫の決定、例えば、限定するものではないが、植物の場合、バイオマスに対する調節遺伝子の作用による収穫可能な収率の決定、種子セッティング(数および大きさ)、光合成物転座、吸込みおよび起源、葉面積係数、根成長比;
‐バイオマスの栄養価、例えば、限定するものではないが、獲得ミネラル並びに補助因子、ビタミン、たんぱく質、酸化防止剤、高消化性繊維のような品質因子の量への関連作用;
‐形態学、例えば、限定するものではないが、植物の場合、花の色(例えば、アントシアニン合成に関与する遺伝子)、植物の高さ(例えば、ジベレリン合成に関与する遺伝子)、節間の長さ、葉挿入への調節遺伝子の作用;
‐細胞サイクル速度、例えば、限定するものではないが、サイクリン類;
‐細胞分化速度、例えば、限定するものではないが、ホメオドメインたんぱく質類;
‐細胞サイズ、例えば、限定するものではないが、植物の場合、オーキシン合成に関与する遺伝子、オーキシンレセプター、オーキシン誘発型遺伝子;
‐例えば、老化、成熟、休眠、発芽への調節遺伝子の作用による生物ライフサイクル;
‐遺伝子再配列、例えば、転座活性。
【0027】
転写に相応する座または興味ある生物内の遺伝子発現を制御する任意の因子を種々の所望特性について同定するための本発明方法の使用に加えて、これらのQTLに位置するマーカーは、応用育種においても使用できる。例えば、1つの座(QTL)に位置する1種以上の同定遺伝子マーカーに関連する同定多形性は、下記のようなゲノム系診断および選定方法において使用できる:
‐生物の後代追跡;
‐生物のハイブリッド化度の決定:
‐結合フェノタイプ特性、mRNA発現特性、またはフェノタイプ特性とmRNA発現特性双方の変化の同定;
‐遺伝子連鎖マップ構築用の遺伝子マーカーとして;
‐親ドナー、レシピエント親、または親ドナーとレシピエント親双方からの所望の遺伝子的貢献を有する交配由来の個々の後代の同定;
‐遺伝子コードまたは非コードDNA配列を取巻くゲノムDNA配列、例えば、限定するものではないが、プロモーターまたは調節配列の分離;
‐マーカー介在型選定、マップ系クローニング、ハイブリッド確認、フィンガープリンティング、遺伝子型決定、および対立遺伝子マーカー;
‐興味ある生物におけるマーカーとして。
【0028】
上述のQTLマップ系分析を使用して、環境的刺激に応答しての生物の全体、器官、組織または特異性量の細胞での興味ある遺伝子、または興味ある過程に関連する特異性遺伝子発現に関連するフェノタイプの発現に関連する調節座も同定することができる。例えば、いかなる形においても限定するものではないが、下記のようなmRNAの発現を調節する候補調節遺伝子(表2、実施例2も参照されたい)を評価して、これらの候補が植物、例えば、限定するものではないが、アルファルファ(メジカゴ ファルカタ(Medicago falcata L.)における寒冷調節遺伝子の大割合の発現を解明するゲノムの領域(QTL)にマッピングしているかどうかを決定することができる:
‐転写因子(亜鉛フィンガーおよびAP2たんぱく質);
‐マイトジェン活性化たんぱく質キナーゼ類(MMK4、MMK3、MMK2、MMK1);
‐カルシウム依存性たんぱく質キナーゼ類;
‐セリン−スレオニンたんぱく質キナーゼ;
‐Ca2+輸送性ATPアーゼ;
‐GTP結合性たんぱく質;
‐RNA結合性たんぱく質;
‐たんぱく質ホスファターゼ類(タイプ2Aおよび2C);
‐Ca2+結合性たんぱく質、例えば、カルモジュリン;
‐14−3−3たんぱく質;
‐GTPアーゼ活性性たんぱく質;
‐アデニリルサイクラーゼたんぱく質;
‐ホソホリパーゼC;
‐リポキシゲナーゼ;
‐ヒストンデアセチラーゼ;
‐レセプターキナーゼ;または、
‐ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ。
【0029】
本発明の方法は、DNAチップおよびグリッドアレー、または遺伝子発現を測定することのできる任意の他のシステムに基づく高処理ゲノム分析研究を相補するのに使用できる。分裂性集団を使用して、その発現が興味あるフェノタイプに関連する(例えば、ストレスおよび疾病抵抗性、生化学生産、形態学的変化等)遺伝子の転写物量を調節するQTLを探索することができる。ESTコレクションからの候補遺伝子のマッピングによって、重要なQTLへの潜在的共在を確立し、対立遺伝子多形性の同定と対立遺伝子特異性マーカーの開発が可能となる。これらQTLおよびその会合調節遺伝子の同定は、一定の発育または環境条件下での遺伝子発現ポテンシャルの評価および発育的、組織的または環境的方法での遺伝子発現の調整のためのゲノム系診断および選定方法において使用できる。
遺伝子の発現量に関連するゲノム領域、例えば、限定するものではないが、低温によって誘発されたゲノム領域は、QTLマッピング分析を使用して同定することができる。定量的特性として遺伝子発現量を使用するこの方法は、そのような調節遺伝子についての研究を特異性ゲノム領域に狭めることによって遺伝子発現制御メカニズムを同定することを可能にする。遺伝子発現の変化に応答性のDNA配列は、これらの領域においても見出されているようである。本発明の遺伝子同定方法は、全体的ゲノム配列の入手可能性および増大中の多数のETSの高密度マップへの日常的取込みによって、或いは比較遺伝子マッピングにおける関連種の染色体に沿った遺伝子ブロックの広範な共線性の利点を採用することによって、より一層容易かつ迅速となるであろう。
【0030】
下記の各実施例において同定した極めて有意なQTL、並びにこれらのQTLが解明している予想外の高レベルの変化は、遺伝子発現のQTL分析を使用してストレス誘発性遺伝子発現に応答性の重要な調節因子を探索するポテンシャルを示唆している。同じ環境的刺激によって誘発された或いは与えられた過程に関連する複数遺伝子の比較QTL分析は、複合経路調節遺伝子発現の解明および同様な調節因子を共有する遺伝子の再グループ化を可能にする。
本発明の方法は、そのような遺伝子の発現レベルにおいて分裂する集団を使用する何らかの因子によってその発現が調節される遺伝子に対して応用可能である。本発明の方法は、遺伝子発現系の方法固有の環境的または発生的干渉なしで、与えられた遺伝子型を特性決定することのできるゲノム領域の同定を可能にする。
【0031】
1種以上の興味ある遺伝子発現の有意割合の変化を解明する1個以上のQTLに局在させ得る調節遺伝子を同定するためには、プローブを、公知の調節遺伝子、例えば、限定するものではないが、上述した或いは実施例2の表2に挙げた調節遺伝子から得て、これらの調節遺伝子またはそれらの発現産生物を連鎖マップ上でマッピングする。これらのプローブは、DNAまたはRNA検出のためのヌクレオチドフラグメントまたは全長遺伝子、或いは調節遺伝子の発現産生物検出のための抗体を含み得る。1個以上のQTLに位置する未知調節遺伝子も、当業者にとって公知の方法、例えば、限定するものではないが、シークエンシングしたDNAの1部の位置クローニングおよびマッピングを使用して同定し、クローン化DNAが1個以上の同定QTLと共在(マッピング)しているかどうかを決定できることを理解すべきである。好ましくは、1個以上のQTLでの候補調節遺伝子の位置を、例えば、各推定調節遺伝子からの上流および下流領域を連鎖マップ上でマッピングすることによって確認する。この方法において、同じQTLによって共在する5’および3’領域を有することによって特性決定された調節遺伝子のみを、さらなる特性決定において使用する。
【0032】
その後、1種以上の興味ある遺伝子の発現に関連する1個以上のQTL内に位置する調節遺伝子、並びにトランスジェニック植物、例えば、限定するものではないが、アルファルファ内で調節されたそれらの発現を、分離し特性決定して、興味ある遺伝子の発現へのそれら遺伝子の作用および所望に応じて、環境的刺激に対する興味ある生物の応答へのそれら遺伝子の作用を評価することができる。そのような分析としては、限定するものではないが、相補または遺伝子打破法、遺伝子活性化、および調節遺伝子またはエンハンサー配列それぞれのセンスまたはアンチセンス構築物による興味ある生物の形質転換に関する試験がある。環境的刺激または興味ある過程に対して応答を欠落しているかまたは弱い応答しか示さない興味ある生物は、調節遺伝子のセンス構築物によって形質転換し、一方、強い応答を示すかまたは興味ある過程に対して正に得点する興味ある生物は、調節遺伝子のアンチセンス構築物によって形質転換するか、或いは興味ある遺伝子のエンハンサー配列5’または3’の挿入により活性化された遺伝子のコード領域にT−DNAのような外来DNAを挿入することによって破壊する。その後、1種以上の興味ある遺伝子の発現およびその調節遺伝子をモニターして、環境的刺激または興味ある過程に対する生物応答へのセンス、アンチセンス、打破またはエンハンサー挿入調節遺伝子の作用を測定する。また、環境的ストレスに対する生理学的応答へのセンス、アンチセンス、打破またはエンハンサー挿入構築物の作用も測定できる。
【0033】
また、1つの特異性QTLに位置した調節遺伝子、またはQTL群も育種プログラムにおける1個以上のQTL用のマーカーとして使用し得ることも意図される。
従って、本発明は、下記を特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節遺伝子の同定方法にも関する:
興味ある生物の連鎖マップを作成すること;
1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上のQTLを同定すること;および、
1種以上の調節遺伝子を分離しマッピングして、その遺伝子が上記で同定した1個以上のQTL内にマッピングしているかどうかを決定すること。
本発明は、また、同定し分離した調節遺伝子を興味ある生物中に導入することによって、興味ある生物の環境的ストレスに対する応答を介在すること、または同定し分離した調節遺伝子の生体内作用を特性決定すること、必要に応じて、1種以上の興味ある遺伝子の発現への調節遺伝子の作用または環境的刺激に対する興味ある生物の応答への調節遺伝子の作用を測定することにも関する。
上記の説明は、本発明をいかなる形においても限定するものではなく、さらにまた、上記で説明した特徴の組合せは、本発明の解決において絶対的に必要なものではあり得ない。
【0034】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明を以下の実施例においてさらに具体的に説明する。しかしながら、これらの実施例は例示のみを目的とし、本発明の範囲をいかなる形においても限定するのに使用してはならないことを理解すべきである。
実施例 :寒冷調節遺伝子発現に関連する QTL の同定
実験方法の一般的説明
寒冷調節(msaCI)遺伝子およびLT50フェノタイプの発現を、ジプロイドアルファルファのF遺伝子型のクローン性胎芽内で特性決定すべき定量的特性の例として使用する。フェノタイプ(msaCI遺伝子発現およびLT50)の分裂パターンを使用してジプロイドアルファルファゲノムの連鎖マップ上での定量的特性座(QTL)を調査する。
植物材料
集団を、対比的な寒冷寛容度を示すジプロイド親を交配させることによって構築する(M.ファルカタ(falcata) x M.サチバ(sativa))。F系は、雌親としてのジプロイドレベル群での耕作アルファルファ由来の寒冷感受性M.サチバ遺伝子型(Bingham, E.T. and T.J. McCoy. 1979, Crop Sci. 19:97−100)と、雄親としてのM.ファルカタcv. Anik由来の1つの耐寒性ジプロイド遺伝子型(Pankiw, P. and Siemens, B. 1976, Can. J. Plant Sci. 56: 203−205)との間の異花受粉により産生させる。花を除雄し手受粉する。1つのランダムに選定したFの遺伝子型を手受粉により自家受粉させ、この交配からのF後代を使用して連鎖マップを作成しQTL分析を行う。
【0035】
繁殖条件
117Fからの切り穂をクローン繁殖させ、根発生後に、深鉢挿入物中に移植する。その後、クローン性胎芽を、およそ225μモルm−2−1の光合成フォトンフラックス密度の照射量での16時間照光による21℃と17℃(昼と夜、それぞれ)の温度で環境的に制御された条件下で成長させる。
寒冷順応条件
植物を、およそ125μモルm−2−1の光合成フォトンフラックス密度の照射量での8時間照光による2℃の繁殖室において2週間寒冷順応させる。
LT 50 決定
分裂性集団および各親遺伝子型からの各々の遺伝子型のクローン性胎芽を、Castonguay等によって開示されたようにして、凍結試験に供する(Castonguay, Y., Nadeau, P., and S. Laberge 1993. Plant Cell Physiol. 34: 31−38)。各植物を周囲温度の段階的低下に供し、その間に、個々の植物を間隔を置いて回収し、植物生存の評価を行う前に、初期の成長条件(21℃/17℃、それぞれ、昼と夜の温度)下で3週間再成長させる。50%死滅温度(LT50)は、SASTM Probit手順(北カロライナ州カリーのStatistical Analysis System社)により算出する。循環置換(12ブロック)による不完全ブロック設定の3回反復を行い試験において使用した多数の生態型を統計的に比較する。
【0036】
msaCI 遺伝子の説明
4倍体アルファルファの寒冷順応樹冠由来のcDNAライブラリー(M.サチバcv. Apica;Laberge, S, Castonguay, Y. and Vezina, L.−P. 1993, Plant Physiol 101, 1411−1412;Castonguay, Y., S. Laberge, P. Nadeau, and L.−P. Vezina, 1997, p. 175−202, In B.D. McKersie and D.W. Brown (ed.), Biotechnology and the improvement of forage legumes. CAB International, Wallingford, UK)から分離した7種のmsaCI遺伝子を、本試験においては使用する:
Figure 2004512828
*Laberge, S, Castonguay, Y. and Vezina, L.−P. 1993, Plant Physiol. 101, 1411−1412.
**Monroy, A.F., Castonguay, Y., Laberge, S., Sarhan, F., Vezina, L.−P. and Dhindsa,
R.S. 1993, Plant Physiol. 102, 873−879.
***Castonguay, Y., Laberge, S., Nadeau, P. and Vezina, L.−P., 1994, Plant Mol. Biol.
24, 799−804.
【0037】
RNA 抽出
各々寒冷順応性遺伝子型由来の約0.5 g(新鮮重量)の葉組織を、液体N中で、乳鉢と乳棒を用いて微細粉末に粉砕し、全RNAを以前に開示されているような標準方法(Castonguay et al., 1994, Plant Mol. Biol. 24, 799−804)を使用して抽出する。全RNAを260 nmでのUV吸収により定量する(Fourney, R.M., J. Miyakoshi, R.S. Day III, and M.C. Paterson. 1988, Focus 10:1)。
ドットブロット定量
各親遺伝子型および分裂性集団の各遺伝子型について、5μgの全RNAを、ナイロン膜(Hybond N+、Amersham Pharmacia Biotech社、Oakville、ON)に、Bio−DotTM装置(Bio−Rad社、Mississaauga、ON)を使用して真空移送し、UV光による3分間の架橋により固定する。膜を、標準プロトコールに従って寒冷調節遺伝子の精製挿入物から調製した[32P]dCTPラベル化プローブによって、2X SSC、0.25%(W/V)低脂肪粉末ミルク、1%SDS中で、68℃で1夜ハイブリッド化させる(Sambrook, J., Maniatis, T. and Fritsch. 1989, Molecular cloning: A laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)。膜をKodak X−Omat AR5 X線フィルムにより−80℃で暴露し、転写物量を、OneD ScanTMソフトウェア(Scanalytics社、Billerica、MA)を使用するオートラジオグラフの密度測定分析によって測定する。msaCIA遺伝子をプローブとして使用して得た1つのそのようなドットブロットの例については、図3を参照されたい。各膜上のすべてのサンプルの平均転写物量を使用して、膜を横切るハイブリッド化シグナルを標準化する。
【0038】
連鎖マップ
遺伝子連鎖マップをAFLPおよびRFLPに基づき構築する。DNAを、4〜6週齢のクローン性胎芽からの1〜2 gの新鮮葉組織から抽出する。抽出方法は、液体窒素を使用せずに室温で葉組織を粉砕する以外は、本質的に、DoyleおよびDoyleによって開示されているとおりである(Doyle, J.J., and Doyle, J.L. 1990, Isolation of plant DNA from fresh tissue, FOCUS 12, 13−15)。
RFLPマーカーを暴露させるために、169F遺伝子型から精製したDNAを制限酵素DraIおよびEcoRVにより別々に消化する。各消化DNAサンプル(遺伝子型毎6μg)を水平ゲル(0.9%アガロース、1XTAE)上で分離し、分離した各フラグメントをナイロン膜(Hybond N+、Amersham Pharmacia Biotech社、Oakville、ON)に毛細ブロット法により移す。10枚の反復コピー膜を、複数プローブによる同時分離分析のために作成する。膜は[32P]−dCTPでラベル化したプローブにより65℃で1夜ハイブリッド化する。DNAプローブは、ランダム選定したcDNAと、メジカゴ サチバcDNAライブラリーおよび上述の7種のmsaCI cDNAの双方から得た調節遺伝子に対する相同性に従って選定したcDNAからなっている。各cDNA挿入物は、PCRによって先ず特異的に増幅させ、T7 QuickPrimeTM Kit(Amersham Pharmacia Biotech社、Oakville、ON)を使用するランダムヘキサマーラベル化によってラベル化する。予備ハイブリッド化、ハイブリッド化およびプローブラベル化は、標準プロトコールに従って実施する(Sambrook, J., Maniatis, T. and Fritsch, 1989. Molecular cloning: A laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)。
【0039】
AFLPマーカーを同定するために、各FDNAをEcoRIおよびMseI制限酵素で消化し、Eco−およびMse−特異性プライマーアダプターに結合させ、次いで、事前選択性のEcoおよびMse PCRプライマーによって増幅させる(Vos, P., Hogers, R., Bleeker, M., Reijans, M., van der Lee, T., Hornes, M., Frijters, A., Pot, J., Pelerman, J., Kuiper, M. and Zabeau, M. 1995, Nucleic Acids Res. 23, 4407−4414)。各事前選択性アンプリコンは、20倍希釈して選択性増幅用の物質として使用する。選択性増幅において使用したEcoおよびMseプライマーの双方は、3’末端において3種の選択性ヌクレオチドを含有していた。EcoプライマーをIRD染料でラベル化し、それによって、LI−COR自動化シークエンサー(LI−COR社、Lincoln, Neb, USA)を使用する赤外線レーザーによるアンプリコンの検出を可能にする。選択性増幅は、Vos等により加持された“タッチダウン”プロトコールに従って実施する(1995, Nucleic Acids Res. 23, 4407−4414)。選択性増幅の後、各アンプリコンを、7%Long Rangerアクリルアミド、7M尿素および0.6 X TBEからなる25 cmのゲル上で、LI−COR自動化DNAシークエンサーモデル4000Lを使用して分離する。
【0040】
ジプロイド交配の遺伝子マップを、112 RFLPおよび117 AFLP分裂性マーカーからの分裂データを使用して構築する。同時分裂分析をMAPMAKER/EXP v 3.0ソフトウェア(Lander, E.S., Green, P., Albertson, J., Barlow, A., Daly, M.J., Lincoln, S.E., and Newburg, L. 1987, Genomics 1, 174−181)を使用して行い、各マーカーの結合基転移と各結合基内の各分子マーカーの位置を決定する。個々の結合基は、最低LODスコア15および最高組換え量30%による2点分析を使用して得られる。LOD閾値2.0による多点分析をその後使用して結合基内の座を順位付けする。得られたマップ(図1)は、およそ1400cMをカバーしており、およそ8 cMの平均マーカー間隔を有している。15種のマーカーは、結合していないままであった。
【0041】
msaCI 遺伝子発現と凍結寛容度に関連する QTL の同定
msaCI遺伝子発現に関与するQTLを、MAPMAKER/QTL v 1.1. (Lander, E.S., and Boststein, D. 1989 Genetics 121, 185−199)によって同定する。連鎖マップは、定量的特性として各遺伝子の発現を使用して、ゲノム内の特異的領域におけるQTLの存在についてスキャンする。各QTLの相互に対しての作用および各QTLによって解明されたmsaCI遺伝子発現の変化パーセントを決定する。LOD閾値2.0をQTLの同定において使用する。
7種のmsaCI遺伝子の各々についての転写物の寒冷調節集積の分析においては、幾つかの場合に、遺伝子型間で10〜40倍の差異を示して、それら遺伝子の発現における大きい遺伝子型による変動が明らかとなっている(例えば、図3参照)。
遺伝子型間で観察されたmsaCI遺伝子転写物量の変動性に関連するQTLは、7種のmsaCI遺伝子すべておよびLT50フェノタイプにおいて見出されている(表1)。msaCI遺伝子の発現における重要な調節役割を示す各遺伝子は、これらのQTL内において見出されている。msaCI遺伝子の発現に関連するQTLの数は、1(msaCIF)から5(msaCIC)まで変動していた。殆どの場合、これら遺伝子のLOD値は、高度に有意であった。これらQTLにより解明されたフェノタイプ変化は、10〜60%変動していた。殆どの場合、発現の増大および凍結寛容度は、それぞれ、寒冷寛容性M.アルファルファ親由来の対立遺伝子に基づいていた。
【0042】
凍結寛容度(LT50)に関連する3種のQTLを同定している。これらQTLの2つは、msaCIBおよびmsaCIDの発現にも関連するゲノム領域内の結合基Eにおいて位置している。
各msaCI遺伝子の発現におけるQTLは、msaCIA(図2、結合基D参照)、msaCID(図2、結合基E参照)およびmsaCIG(図2、結合基F参照)における相応する構造遺伝子の位置に関連して見出されている。
msaCIDの場合、RFLP座は、3種の遺伝子;msaCID遺伝子自体、msaCIAおよびmsaCIB(図2、結合基E参照)における各発現QTLと合致している。このことは、msaCIDが調節遺伝子であるか、或いは調節遺伝子がその近くに位置していることを示唆している。
【0043】
同じゲノム領域に位置する樹冠および葉組織における発現におけるQTLは、msaCIA(120〜130cmの間、図2、結合基E)およびmsaCID(結合基E、図2参照)において観察された。また、各組織タイプ内の発現に影響を与える座は、異なっていた。数種のmsaCI遺伝子の発現を制御するQTLは、結合基BおよびE内に位置しており、共通調節メカニズムを示唆している。とりわけ明白な例は、試験したmsaCI遺伝子のうちの5種の葉組織内の発現に対して作用を有する結合基B上のQTLである(図2、表1)。
表1:ジプロイドアルファルファにおける寒冷調節遺伝子のmRNA発現と凍結寛容度に関連するQTL。葉または樹冠中での遺伝子発現またはLODスコアによる凍結寛容度(LT50)に関連する結合基を提示している。これらのゲノム領域に対してマッピングする各調節遺伝子を同定している。太字で示している遺伝子C4494およびC2186は、それぞれ、アラビドプシス由来のCBF1遺伝子および大豆由来のSCOF−1遺伝子に対して相同性を示しており、寒冷寛容度との関連を示唆している(*図2に示していないデータ)。
【0044】
表1−1
Figure 2004512828
【0045】
表1−2
Figure 2004512828
【0046】
表1−3
Figure 2004512828
【0047】
実施例 :興味ある QTL に関連する調節遺伝子および調節配列の分離
実験方法の一般的説明
各msaCI遺伝子の発現の有意割合の変化を解明するQTLの検出は、これらの座での調節遺伝子の局在化可能性を指標する。遺伝子発現の調節において既知の機能を有する遺伝子をコード化する寒冷順応性アルファルファ由来の多数の発現配列タグ(EST)をマッピングする。msaCI遺伝子の発現に関連する1つのQTL内に位置する候補調節遺伝子を分離し特性決定し、これら候補遺伝子の発現をトランスジェニックアルファルファ内で試験して寒冷調節遺伝子発現へのその作用を評価する。
【0048】
候補調節遺伝子の説明
既知の調節機能を有する遺伝子に相同性を示す1連のESTは、4倍体アルファルファの樹冠から分離したmRNAから調製したλgt10 cDNAライブラリー(M.サチバL. cv. Apica;R. Michaud, C. Richard, C. Willemot and H. Gasser 1983, Can. J. Plant Sci. 63: 547−549)から分離する。
転写因子(亜鉛フィンガーおよびAP2たんぱく質)
マイトジェン活性化たんぱく質キナーゼ類(MMK4、MMK3、MMK2、MMK1)
カルシウム依存性たんぱく質キナーゼ類
セリン−スレオニンたんぱく質キナーゼ
Ca2+輸送性APTアーゼ
GTP結合性たんぱく質
RNA結合性たんぱく質
たんぱく質ホスファターゼ類(タイプ2Aおよび2C)
カルモジュリン
14−3−3たんぱく質
GTPアーゼ活性性たんぱく質
アデニリルサイクラーゼたんぱく質
ホスホリパーゼC
リポキシゲナーゼ
Ca2+結合性たんぱく質
ヒストンデアセチラーゼ
レセプターキナーゼ
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ。
【0049】
候補調節遺伝子の遺伝子マッピング
表2に挙げる特異性調節遺伝子に対する各プローブをPCR増幅により調製し、Sephacryl S−200 MicroSpin Column (Amersham Pharmasia Biotech社、Oakville, ON)上で精製し、−20℃で保存する。これらのプローブを、実施例1に記載した交配の後代のFジプロイド遺伝子型からの制限DNAへのサザンハイブリッド化において使用する。精製した各プローブをランダムヘキサマーラベル化により高特異活性に放射ラベル化し、実施例1に記載したようなRFLP用の標準プロトコール(Sambrook, J., Maniatis, T. and Fritsch, 1989, Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)に従ってDNAブロットにハイブリッド化させる。多形性であり且つGENBANK/EMBLデータベースにおける配列との相同性に基づく推定機能に沿ってマッピングしている各調節遺伝子を表2に提示する。
表2:多形性調節遺伝子およびその推定機能。太字のクローンは、msaCI遺伝子の調節または凍結寛容度(LT50)に関与した潜在的候補遺伝子を示す。
【0050】
表2−1
Figure 2004512828
【0051】
表2−2
Figure 2004512828
【0052】
表2−3
Figure 2004512828
【0053】
また、EST配列を使用して、STS(配列タグ付け部位)としての各同定した座の増幅用のプライマーを分裂性集団の個々のDNAから設計する。得られるPCR産生物が集団の個々において単形性である場合、それらのPCR産生物を各種酵素によって制限して多形性を検出する。多形性が検出されない場合、2つの親から得られたそれらのPCR産生物を個々にシークエンシングして、SNP(単ヌクレオチド多形性)を調査する。
上述の候補調節遺伝子を実施例1に記載したようなF後代内のRFLPとしてマッピングして、これら候補遺伝子が実施例1で同定したようなmsaCI遺伝子の寒冷誘発発現における変化に関連しているQTL内に局在しているかどうかを評価する。
【0054】
表1に挙げた遺伝子および表2に太字で示した遺伝子は、すべてQTLを含有するゲノム領域内に位置しており、従って、msaCI遺伝子の発現、LT50特性またはそれらの組合せにおける推定候補調節遺伝子である。これら遺伝子の2つ、C4494およびC2186は、それぞれ、アラビドプシス由来のCBF1遺伝子および大豆由来のSCOF−1遺伝子に対して相同性を示しており、寒冷寛容度との関連を示唆している(Jaglo−Ottosen, K.R., Gilmour, S. J., Zarka, D. G., Schabenberger, O., and Thomashow, M.F., 1998, Arabidopsis CBF1 overexpression induces COR genes and enhances freezing tolerance in transgenic plant, Science280: 104−106;Kim, J.C., Lee, S.H. Chsong, Y.H., Yoo, C.−M., Lee, S. I., Chun, H.J., Yun, D.J., Hong, J.C., Lee, S.Y., Lim, C.O., and Cho, M.J., 2001, A novel cold−inducible zinc finger protein from soybean, SCOF−1, enhances cold tolerance in transgenic plants, The Plant Journal 25: 247−259)。C4494(CBF1ホモログ)は、葉におけるmsaCIBの発現に関連するQTLに位置しており(図2、結合基F)、一方、C2186(SCOF−1ホモログ)は、LT50に対するQTLを含有する領域にマッピングしている(図2、結合基C)。これらの遺伝子は、トランスジェニック植物内のCOR(msaCI)遺伝子の構造的発現を誘導し且つ非順応化条件下において凍結寛容性を増大させることを明白に示していた寒冷誘発転写因子をコード化している。
【0055】
結果は、また、寒冷寛容度の発現とmsaCI遺伝子発現に関与する多数の興味ある新規な候補調節遺伝子を示している(表1、図2)。例えば、クローンC2784は、セリン/スレオニンたんぱく質キナーゼに対する相同性を示しており、葉内のmsaCIA、msaCID、msaCIEおよびmsaCIGの発現に対する各QTLが見出される結合基B上の位置にマッピングしている。アルファルファ細胞においては、浸透ストレスにより、2つのたんぱく質キナーゼの急速な活性化が生じていた。これらキナーゼ類の1つは、アラビドプシス由来のASK1セリン/スレオニンキナーゼのホモログのようである(Munnik, T. and H.J.G. Meijer, 2001, FEBS Letters 498:172−178)。そのような候補調節遺伝子の役割の確認は、下記で概略する方法論を使用して得ることができる。
【0056】
候補調節遺伝子および候補調節配列のゲノムクローンのシークエンシング
msaCI遺伝子の発現の変化に関連する1個以上のQTLにマッピングする候補調節遺伝子の各ESTを、EMBL3ファージ内に構築されたゲノムライブラリー(Sambrook, J., Maniatis, T. and Fritsch, 1989, Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)から、上記で同定した2つの親からのDNAを使用して分離する。各候補調節遺伝子を、ジデオキシヌクレオチド連鎖終結法(Sambrook, J., Maniatis, T. and Fritsch, 1989, Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を使用して、コード領域の上流および下流領域を含むその全体においてシークエンシングする。各親由来の対立遺伝子間の比較も行ってQTLに応答性の変化を同定する。候補調節遺伝子の局在化の確認を、各調節遺伝子の上流および下流領域を上記で調製した連鎖マップ上にマッピングすることによって実施する。同じ1個以上のQTLと共マッピングしている5’または3’領域を有することに特徴とする調節遺伝子のみを、相補または遺伝子打破試験におけるさらなる特性決定において使用する。
【0057】
トランスジェニック植物における候補遺伝子の改変された発現 相補および打破試験
アルファルファ形質転換をDesgagnes等によって以前に開示されたようなアグロバクテリウム チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を使用して行う。(Desgagnes R., S. Laberge, G. Allard, H. Khoudi, Y. Castonguay, J. Lapointe, R. Michaud and L.−P. Vezina, 1994, Plant Cell Tissue Organ Cult 42: 129−140)。2つの方法を採用する:1)構造的プロモーター、例えば、限定するものではないが、35Sへの遺伝子融合を使用する候補遺伝子の構造的発現;および誘発性発現。候補遺伝子のコード領域を全長35Sプロモーターにフレーム融合させ、得られる構築物をバイナリー発現ベクターpGA482中にクローニングする。約1 kbの5’および1 kbの3’の非コード領域を有する全長候補調節遺伝子(即ち、5’および3’領域を取り巻くことにより、上記で同定した1個以上のQTLにマッピングする候補調節遺伝子)を、バイナリー発現ベクターpGA482中にクローニングする。センス配向の構造的発現および誘発性発現双方の各構築物を使用して興味ある特性の発現(例えば、限定するものではないが、msaCI遺伝子発現))に相応するQTLでの対立遺伝子を欠落する植物を形質転換し、アンチセンス配向の構築物を使用してQTLにおいてその対立遺伝子を有する植物を形質転換する。その後、各形質転換体を増殖させ、導入センスまたはアンチセンス遺伝子の1種以上のmsaCI遺伝子発現またはLT50の双方に対する作用を測定するのに要求されるようにして、寒冷順応条件に供し、それによって候補遺伝子をQTLにおけるmsaCI遺伝子のmRNA発現を制御する調節因子として検証する。
【0058】
本発明を好ましい実施態様に関連して説明してきた。しかしながら、当業者であれば、多くの変形または修正を本発明の範囲を逸脱することなくなし得ることは自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ジプロイドアルファルファの連鎖マップを示す。座を右側に示し、組換え距離(cM)を各結合基の左側に示している。結合基の右の棒線は、座のおおよその位置を示している。寒冷調節(msaCI)遺伝子を二重枠組みし、調節機能を有する遺伝子と相同性の遺伝子を枠組みしている。多遺伝子群のメンバーである各遺伝子は、例えば、C3358.1およびC3358.3として、数字的に表示している。
【図2】
LT50に対しての各QTLの位置および統計的有意性(LODスコア)、並びに寒冷調節msaCI遺伝子発現を示す。masCI遺伝子を二重枠組みし、調節機能を有する遺伝子と相同性の遺伝子を枠組みしている。遺伝子発現QTLを樹冠および葉の両組織において検出したときに、樹冠における発現のLODスコアについてのグラフを上方に示し、葉における発現のLODスコアについてのグラフを下方に示している。各LT50 QTLは植物全体に及び、組織タイプに非依存性である。多遺伝子群のメンバーである各遺伝子は、例えば、C3358.1およびC3358.3として、数字的に表示している。
【図3】
興味ある遺伝子、この場合は、ジプロイドアルファルファの分裂性F後代におけるmasCIA遺伝子の発現のドットブロット分析の1例を示す。各々のドットは、対照を三重体でドットしている最後のカラムを除いて、特異な遺伝子型に相応している。転写物量は、密度測定によって定量しており、QTL分析における定量的特性として使用している。光密度値を、各遺伝子型および対照において示している。

Claims (31)

  1. i) 環境的刺激に対して測定可能な応答を示すか、或いは、興味ある過程に関連する特異性遺伝子発現に関連するフェノタイプを示すことを特徴とする第1の興味ある生物を同定すること;
    ii) a)上記第1の興味ある生物の上記刺激に対する応答を欠落しているか或いは上記第1の興味ある生物の上記刺激に対して上記第1の興味ある生物程強い応答を示さないか、
    b) 上記第1の興味ある生物のフェノタイプに比較して異なるフェノタイプを示し、この異なるフェノタイプが上記興味ある過程に関連しているか、
    c) 上記興味ある第1の生物との交配によって生ずる集団において分裂する興味あるフェノタイプを示すか、または
    d) 上記a)、b)、c)およびd)の2つ以上の組合せを示すことを特徴とする第2の興味ある生物を同定すること;
    iii) 上記第1および第2の興味ある生物を交配させて、分裂した後代集団を産生させること;
    iv) 上記分裂子孫の各々からRNAを抽出し、1種以上の興味ある遺伝子の遺伝子発現量を定量すること、これらの1種以上の興味ある遺伝子が環境的刺激に対する上記応答または上記興味ある過程に関連していること;
    v) 1種以上のマーカーを使用して、上記分裂後代の連鎖マップを作成すること;
    vi) 上記連鎖マップ上の上記1種以上のマーカーと上記1種以上の興味ある遺伝子の遺伝子発現との関連を決定させ、1個以上の定量的特性座(QTL)を同定することを特徴とする1種以上の興味ある遺伝子の発現を介在する興味ある生物のゲノム内の1つ以上の領域の同定方法。
  2. 上記交配工程(工程iii))の後、上記RNA抽出工程の前に、上記分裂後代を所望の環境的刺激に供するか、或いは特異的発育段階にあるものとして特性決定する請求項1記載の方法。
  3. 上記方法を、転写因子または上記1種以上の興味ある遺伝子の発現を制御する任意の因子に相応する1個以上のQTLの同定のために使用する請求項1記載の方法。
  4. 上記決定工程(工程vi))の後、上記1個以上のQTLに位置する1種以上の遺伝子を分離し、特性決定する請求項1記載の方法。
  5. 上記各同定工程(工程i)およびii))において、上記環境的刺激または上記興味ある過程が、生体ストレス;非生体ストレス;ミネラル栄養摂取の変化;光量またはフラックスの変化;1種以上の外因性薬物の添加により生ずる応答;植物内の内因性薬物量の変化をもたらすあらゆるストレス;胚形成中の遺伝子発現の発育的、化学的または環境的制御;器官形成;老化;成熟;休眠;発芽;概日性、超概日性および他の内部リズム;収穫可能な収率;種子植付け;光合成物転座;植物内の吸込みおよび起源能力の変化;葉面積係数の変化;根成長比の変化;収穫物の栄養価の変化;植物形態の変化;細胞サイクル速度の変化;細胞分化速度の変化;細胞サイズの変化;植物ライフサイクルの変化;およびゲノム再配列からなる群から選ばれる請求項1記載の方法。
  6. 上記決定工程(工程vi))において、マーカーを上記QTLにおいて同定する請求項1記載の方法。
  7. 生物の後代を追跡するための請求項6記載のマーカーの使用。
  8. 生物のハイブリッド化度を決定するための請求項6記載のマーカーの使用。
  9. 結合フェノタイプおよび/または発現特性の変化を同定するための請求項6記載のマーカーの使用。
  10. 遺伝子マップ構築のための請求項6記載のマーカーの使用。
  11. 交配からの個々の後代を同定するための請求項6記載のマーカーの使用。
  12. 上記マーカーがDNAマーカーであり、このDNAマーカーを遺伝子コードまたは非コードDNA配列を取巻くゲノムDNA配列を分離するのに使用する請求項6記載のマーカーの使用。
  13. 上記ゲノム配列がプロモーターまたは調節配列である請求項12記載のマーカーの使用。
  14. マーカー介在型選定、マップ系クローニング、ハイブリッド確認、フィンガープリンティング、遺伝子型決定のため;対立遺伝子特異性マーカーとして;またはこれらを併用するための請求項6記載のマーカーの使用。
  15. 植物における請求項6記載のマーカーの使用。
  16. i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
    ii) 1種以上の調節遺伝子をマッピングすること;
    iii) 上記1種以上の調節遺伝子が上記1個以上のQTLによってマッピングしているかどうかを決定すること;
    vi) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
    v) 工程iv)において分離した1種以上の調節遺伝子をシークエンシングすることを特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節遺伝子の同定方法。
  17. i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
    ii) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
    iii) 上記調節遺伝子をシークエンシングすることを特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節遺伝子の同定方法。
  18. i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
    ii) 1種以上の調節遺伝子をマッピングすること;
    iii) 上記1種以上の調節遺伝子が上記1個以上のQTLによってマッピングしているかどうかを決定すること;
    vi) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
    v) 工程iv)において分離した1種以上の調節遺伝子の調節配列を含む1種以上の調節遺伝子をシークエンシングすることを特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節配列の同定方法。
  19. i) 1種以上の興味ある遺伝子の発現の有意割合の変化を解明する1個以上の定量的特性座(QTL)を同定すること;
    ii) 上記1個以上のQTL内の1種以上の調節遺伝子を分離すること;および、
    iii) 調節配列を含む上記調節遺伝子をシークエンシングすることを特徴とする興味ある遺伝子の発現を介在する調節配列の同定方法。
  20. 興味ある生物を、請求項16記載の方法を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法。
  21. 興味ある生物を、請求項17記載の方法を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法。
  22. 興味ある生物を、請求項16記載の方法を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法。
  23. 興味ある生物を、請求項17記載の方法を使用して同定した調節遺伝子によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法。
  24. 興味ある生物を、請求項18記載の方法を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節配列によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法。
  25. 興味ある生物を、請求項19記載の方法を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節配列によって形質転換させることを特徴とする環境的刺激に対する興味ある生物の応答の介在方法。
  26. 興味ある生物を、請求項18記載の方法を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節配列によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法。
  27. 興味ある生物を、請求項19記載の方法を使用して同定し興味ある遺伝子に融合させた調節配列によって形質転換させることを特徴とする興味ある生物の発育の介在方法。
  28. 上記分離工程が、位置クローニングを使用して上記調節遺伝子を得ることを含む請求項16記載の方法。
  29. 上記分離工程が、位置クローニングを使用して上記調節遺伝子を得ることを含む請求項17記載の方法。
  30. 上記分離工程が、位置クローニングを使用して上記調節配列を得ることを含む請求項18記載の方法。
  31. 上記分離工程が、位置クローニングを使用して上記調節配列を得ることを含む請求項19記載の方法。
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