JP2004512645A - 火薬式ヒューズ要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】
【解決手段】本発明は、導電性材料でつくられ爆発性物質が入った閉鎖ケーシングを備えた火薬式ヒューズ要素に関するものであり、ケーシングは電気的接続のためにケーシングの導電性材料により電気的に接続している二つの接続範囲を有しており、接続範囲の電気的接続は爆発物質の作動により分離するようになっており、爆発材料を爆燃性火薬物質で構成しており、ケーシングの接続範囲の電気的接続が爆燃性火薬物質作動後の一定時間で分離するように爆発材料を配分し構成している。
【選択図】図8

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は請求項1の上位概念の特徴を備えた火薬式ヒューズ要素に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
この種のヒューズ要素は、例えば自動車において強い電流回路を非常時に確実にそして迅速に分離するために使用されている。そのときにヒューズ要素には、メンテナンスなしで20年経っても機能して遮断機能が信頼性を損なうことなく保証されねばならないことが求められる。さらに、そのようなヒューズ要素により、熱いガス、粒子、飛散物、あるいは遮断した電流回路で引き起こされる高電圧などによる余分な危険性があってはならない。
【0003】
自動車分野で使用する可能性は、事故により侵入したシャーシ鉄板で配線が擦りむけたり、外れたケーブル端がお互いにあるいは鉄板部分に押しつけられたりこすられたりした時に、火花やプラズマによる発火を除くために、事故の後に直ぐにバッテリーからの配線を確実に遮断して元に戻らないようにすることである。事故で同時にガソリンが流れ出すと、そのような発火源が、例えばボンネットの下に集まっているガソリンと空気の発火性混合体を発火させることもある。別の使用範囲は、例えば電気暖房シートのような構造グループでショートがあった場合に、車台上の配線から構造体を電気的に分離する場合である。
【0004】
従来技術では、作動させるためにアクティブにコントロールする火薬式ヒューズが知られている。例えばDE−AS 2 103 565には、遮断すべき導線終端とお互いに離れた二つの接続範囲を接続する金属ケーシングが囲んでいる電流ブレーカーが記述されている。ケーシングには爆発体により構成する火薬要素を備えている。爆発体は、電流供給で蒸気となる点火要素のある電気的点火装置により作動する。ケーシングには絶縁流体を充填している。軸方向に延伸するケーシングには円周方向に走る溝があり、爆発体が発火した時にはケーシングがその溝に沿って破砕する。その時にケーシングは電気的に分離した二つの部分に壊れ、遮断すべき電流回路が分離される。非常に強い電流回路が分離することで発火するプラズマを、この電流ブレーカーでは噴霧状の絶縁流体で消火する。この作動は自動車においては例えば衝撃センサー信号で行うことができる。
【0005】
カプセル全体を発火温度まで加熱せねばならず、充分に爆発するまでには行かないので、遮断すべき導線に過負荷がかかったときに電流回路の分離のために自己発火させるということは、この公開された装置では考えていない。というのは、爆発物体はカプセルを単に加熱するだけでは殆ど発火しない、即ち爆発状態にはできないからである。しかしながら、このことは例えばDE−AS 2 103 565に記述のケーシング形状で必要であろう。
【0006】
その際、炎の速度が2000m/S以上に達する時には、世界的に火薬技術では爆発するという話になることを考えるべきである。
【0007】
この公知の装置の別の欠点は、爆発物質や起爆剤を充填した構造物の装置に対する認可という問題である。この理由から、この種の装置は現在まで一般的に使用されていない。個々に研究機関で特別な実験用に使用されているのみである。加えて、この原因は、安全性に乏しい取扱い、複雑な構造、危険性が高いにも拘わらず対応が非常に難しいことである。
【0008】
更に、例えばオーバーロードセンサーを追加することなく配線を過負荷から保護するために、多くの場合で、この種の遮断装置あるいはヒューズ装置では自動発火機能が求められている。だから、求められているヒューズ要素は、コントロールできる作動性だけでなく、従来の溶融ヒューズのように、誰にも危険性がなく溶融ヒューズ方式で従来形式の高電流ヒューズ機能を持つ必要がある。
【0009】
この種の高電流ヒューズは、ヒューズが称呼電流に達した後の遮断時間に、非常に広い幅でばらつくという欠点がある。それにより、過負荷の場合には例えば配線が燃える可能性があるので、相当する配線では通電能力に対して非常に少ない割合、例えば30%しか負荷をかけないこともある。
【0010】
DE 197 49 133では、自己作動だけでなくコントロール作動を可能にする電気回路用非常遮断装置が公開されている。ここでは、火薬性の核心を有する電線を使用している。これは例えば爆発性粉末でできている。一つには火薬性核心が、許容電流量(称呼電流)を超えたときに電線の発熱により発火する。他方、コントロールできる点火装置、例えば電熱線の形式で火薬性核心に点火することを考えている。しかし、DE 197 49 133 A1では専ら、この種の装置の原理を述べているだけで、構造的に可能性があり長所を有して実施できる構成を全く示していない。といのは、この種の火薬性核心をもつ導線をつくるためには非常な工数を必要とするからである。加えて、この種の非常用遮断装置では起爆性の爆発物質を使用してのみ導線の迅速な破砕が保証される。テルミットのような爆燃性物質では導線が破損し残りのガスが流出するのみで、導線は完全に分離しない。完全な分離はヒューズに電流が流れ導線が溶けて達成される。
【0011】
US 3,958,206では、熱に反応する材料を充填したヒューズ要素を通じて遮断すべき電流が流れ、熱に反応する材料が爆発によりヒューズ要素の壁面を破壊して電流を遮断するヒューズが公開されている。熱反応材料としてペトン即ち起爆性爆発材料を使用しており、この種のヒューズは厳しい認可基準で規定される。熱反応材料の爆発は、遮断すべき電流の損失熱自体で、あるいはアクティブな点火装置で行う。しかし、ヒューズ要素のケーシングの破砕は、徐々に燃える材料、例えばいわゆる火薬粉末の場合には的確ではなく綺麗ではない。それで、最初はヒューズ要素にクラックや穴があき、残った壁面材料が遮断すべき電流により溶かされねばならない、という危険性がある。これはヒューズの反応速度を損ない、信頼性の理由から認可されていない。
【0012】
さらにUS 3,958,206では、例えばフラットな導線の形式でヒューズ要素をもつヒューズが公開されており、その導線をアルミとその上に配置したパラジウム層で被覆している。アルミとパラジウムが熱反応材料として作用し、熱反応プロセスの作動は遮断すべき材料の熱損失によりあるいは作動装置を使って行う。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、この従来技術を脱却して、自己発火機能だけでなくコントロール可能な発火機能をもった構成にし、簡単で有利なコストで生産できる火薬性ヒューズ要素を提供することである。
【0014】
本発明では請求項1の特徴によりこの課題を解決している。
【0015】
爆燃性の火薬性物質を備え、遮断するべき電流回路の導線終端と接触するための二つの接続範囲を持つ導電性ケーシングを使用することにより、構造的に小さくコスト的に有利に製造できるヒューズ要素ができる。
【0016】
起爆剤とは異なり、ガスやガスと粒子の混合物を発生するだけの爆燃性火薬の使用は、官庁の許可を得るのに比較的問題がない。周囲への危険性は、必要な場合には、簡単で比較的小さい遮蔽ケーシングにより排除することができる。このためには、既に自動車にある集中電装の閉鎖したケーシングまたはヒューズボックスで充分であり、余分に必要としない。更にこの目的に対して、単に破断すべき部分を覆うホースを設けるだけのこともある。
【0017】
本発明の実施例では、ヒューズ要素のケーシングは外壁の周囲を走る弱点部を有している。これは異なった二つの機能を有しており、ヒューズ要素の構造によるものと火薬の構成と配分によるものであり、場合によっては同時に二つを満足することもある。
【0018】
一つは、弱点部が公知の方法で弱点部に沿って確実な方法で、ケーシングを流れる電流を遮断するためにケーシングを破砕することに効果を示す。もう一つは、大きな電気抵抗を有する弱点部範囲でヒューズを通して流れる電流が、ヒューズ要素全体を加熱することなく電流が一定の値を超えた時、意図した位置で爆燃性材料の発火が起きるように、弱点部を構成している。それにより、加熱も任意に迅速に行うことができる。
【0019】
相当する実施例は、基本的に円筒形状または深底ナベ形状部分をしたケーシングを有しており、その両端の開口部または片方の開口部は、基本的に詰め栓様式またはキャップ様式の閉鎖部材で閉鎖している。火薬が(自己発火または発火装置により)発火して、外壁の弱点部範囲に高圧が発生し、ケーシング外壁の弱点部が−爆発と比べて比較的ゆっくり上昇する内圧により破砕して、流れるガスにより空気力学的に更に完全に破砕し、電流系統を遮断する。
【0020】
本発明による別の実施例では、少なくとも閉鎖要素は力の伝達および/または形状的そして電気的に、円筒形状または深底ナベ形状部分と繋がっており、爆燃性火薬の爆発により、閉鎖要素と円筒形状または深底ナベ形状部分間の機械的な接続が外れるようになっており、そして二つの部材が分離して、円筒形状または深底ナベ形状部分に設けた接続範囲と閉鎖要素に設けた接続範囲の間の電気的接続を分離できるようになっている。
【0021】
この場合においてもケーシングは、殊に円筒形状または深底ナベ形状部分は、円周方向に走る弱点部を有している。ケーシングを流れる電流により、特定の範囲において一定の電流で爆燃性火薬の作動温度が発生するように、これを構成している。
【0022】
同時に、この構造での円周溝は、ケーシング部分の機械的接続の分離が例えば生産上のミスにより保証されないとき、この場合にも追加的な安全機構としての役割をする。この場合また弱点部は、ケーシング材料の破断強度を超えると、発生した過圧により相応する部分が簡単に破砕する役割をする。
【0023】
ケーシングの破砕のみを考えている前述の実施例でも、特定の範囲で、好ましくは弱点部の隅や角に高い温度ないしは規定の温度ができるように弱点部を構成することがあり、その温度を火薬の自己発火のために利用し、および/または爆発した時の粒子の発生を確実に防ぐ。
【0024】
自己発火させるために、好ましくは他のケーシング殊に断面立ち上がり部に隣接する範囲より、明らかに小さな壁厚を有する断面の二つの立ち上がり部(または急勾配の側面)間に範囲を設けるように、円周方向に走る弱点部を構成している。この範囲での壁厚は一定であることが好ましい。円周方向に走る弱点部の軸方向の幅は1〜5mmとするのが好ましい。この範囲の厚さは(一定であろうがなかろうが)、断面立ち上がり部に隣接する範囲の壁厚の半分以下が好ましい。この方法により、爆燃材料の使用が比較的少ない量であっても、円周方向弱点部の全範囲に亘ってケーシングの確実な破砕が得られ、必要とする場合には、円周方向弱点部を爆燃材料の自己発火が得られるような寸法にすることもできる。
【0025】
断面立ち上がり部の内側範囲に、ノッチ効果を発生しその範囲を多数の小さな部分に破砕分解することを助ける内側および/または外側構造体を設けることがある。例えば内側にねじを設けることがある。これは、そのような構造体をつくコスト的に有利な可能性である。
円周方向に走る弱点部として簡単な切り込みまたはV字形状を設けた場合、極端に短い繋ぎ部分(軸方向の幅が殆どゼロ)では、ケーシングを通じる熱の伝導により充分に高い温度を発生させることができないので、大抵の場合、自己発火には至らない。そのような(より薄い壁厚の)僅かなあるいは全く軸方向幅のない円周方向弱点部でも、少なくともケーシングの一部を円周方向弱点部の一方で動けるように構成していると、全周に亘って確実な破砕を達成することができる。爆燃性材料が爆発したときに、軸方向の引っ張り力が発生し、ケーシングの完全な破砕に導く。軸方向に可動な部分は全体を覆う保護ケーシングで受け止められ、場合によっては確実に保持されて、継続して確実な電流の遮断が保証される。
【0026】
本発明による構成では、ケーシング内に備えている爆燃性火薬に電線を通す場合があり、その電線は両端でそれぞれ接続範囲の一つと接続しており、特定の称呼電流による発熱により火薬が爆発するように、導線を構成している。導線の電気抵抗は好ましくは、ケーシングと導線に分割される称呼電流が流れると、少なくとも導線が火薬の発火温度に達するような状態になっている。
【0027】
コントロールして火薬を発火させるための作動装置には、同様に、コントロールして電流により衝撃を与えられる電線がある。この一つまたは両方の終端が絶縁してケーシングから引き出されている。一端だけが引き出されているときは、導線の他端はケーシングの接続範囲と接続している。そして、導線用の点火電流は、ヒューズ要素を流れる全電流から枝分かれさせる。
【0028】
本発明の別の実施例では、爆燃性の火薬は高い作動温度の第一成分と低い作動温度の第二成分を含んでいる。その時、少なくとも第一成分は機能する必要期間に亘って充分な経年耐性を有しており、第一成分の作動だけで接続範囲間の電流接続を遮断することができるように配合し構成している。
【0029】
これにより、高い周囲温度で機能する必要があり、そして称呼電流が流れた時または作動装置の作動により発生する温度と周囲温度の僅かな温度差で、長期間に亘って確実に機能するヒューズ要素をつくる可能性が得られる。そのような場合、一般的には作動温度で発火する敏感な火薬を使うことができない。というのは、そのような物質は周囲温度が高いと比較的早く老化する。短期間でも物質の大半が変化したりダメになって、ガス発生に寄与することができなくなることがある。ヒューズ要素の自己発火ないしコントロールした発火が起きないこともある。だから、本発明によれば、高い(一般的に非常に高い)発火温度と与えられた高い周囲温度でも充分な経年耐性を有する第一成分と、必要な(大抵は基本的に低い)発火温度で作動する別の成分を使用している。第二成分の大半が経年変化により不活性であっても、第二成分による第一成分の発火が続くので、この第二成分では経年変化の影響は少ない。
【0030】
さらに本発明の実施例を下位請求項で明らかにしている。以下に図面で示した実施例を使って本発明を詳細に説明する。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は火薬式ヒューズ要素の第1実施例での原理的構成を概略的に示している。これはケーシング1で、好ましくは小さいパイプ形状でできており、その終端部2で単純に絞っている。終端部2には横方向穴を設け、ヒューズ要素を電流母線とねじ接続し、あるいはケーブル座に取り付けられるようになっている。終端部2はそれにより、遮断すべき電気回路の接続部分ないしは遮断すべき導線の終端を構成している。ケーシング1には、全体または部分的に、緩くあるいは押し込んで爆燃性の火薬3、好ましくは火薬粉末が詰められている。少なくともケーシング1の内壁部分は火薬3と熱接触する状態にある。
【0032】
ヒューズ要素の称呼電流がケーシング1を流れると、ケーシング1の電気抵抗での損失により発熱して火薬3の発火点に達して爆発する。火薬は爆発によりガス圧力を発生し、それによりケーシング1は破砕し、結果として電流が遮断される。この自己発火または自動点火には、起爆装置(点火装置)そして結果的に外部からの点火信号を必要としない。
【0033】
必要な場合には、外部からの侵入、殊に浸入する湿気や水蒸気に対して、終端部分2の絞った隙間を材料27で密封する。
【0034】
火薬は一つまたは複数の成分で構成する。例えば、低い発火点ないしは低い爆発エネルギーの成分を使うことがあり、それにより別の(メインの)成分に点火し、その燃焼ガスが最終的にケーシングを破壊する。それにより、非常に低い温度で混合物を発火させ、ヒューズ要素で保護するケーブルに最適負荷をかけることが可能になる。だから、メインの成分には非常に高い温度で発火する物質を選ぶことができる。このような材料は大抵、経年変化に強いので、このことが特に長所となる。それにより混合物の発火能力は、長期間および/またはケーシング1の比較的高い熱に対しても保証される。
【0035】
図2は図1と同じような実施例を示しており、火薬3の中を通る電気導体4、例えば針金または帯状の芯を設けている。導体4はケーシング1の終端部2と接続している。ケーシング1と導体4を通じて平行な電流回路を称呼電流が流れる時に、物質3が発火するに充分な温度に導体4が達するように、電気抵抗から導体4の寸法が決められている。ケーシングと比べて導体4の質量が小さいので、称呼電流が流れた時と物質3が発火する時との時間的遅れは、この種のヒューズ要素ではイナーシャが少ない。ケーシングの破壊後、少なくとも瞬時的には導体4は電流経路として残る。ケーシングの破壊後、導体4を通じて非常に大きな電流が流れるほど遮断すべき電流回路の電圧が高いと、導体は溶けるか燃え尽きる。導体に耐熱性材料、例えばタングステンを選ぶと、あるいは遮断すべき回路の電圧が相応して低いと、導体はそのまま電流回路として留まり、電流制限抵抗の役割を果たす。この場合、ケーシング1は過負荷でも破砕し、それにより大きな短絡電流が流れる可能性のある電気抵抗の少ない電流回路は破壊されるが、例えば非常灯や無線電話などのエネルギー消費の少ない非常用の装置に継続して供給するために、比較的電気抵抗の大きな電流回路は残る。
【0036】
図3には火薬式ヒューズ要素の別の実施例を示しており、コントロール可能な点火機能を追加している。加えて、ケーシング1の外壁に弱点部5を円周方向に設けている。これにより、ケーシング1の破砕形式と同時に電流通過による自己発熱をコントロールすることができる。弱点部5の壁厚さが少なければ少ないほど、この範囲の通電抵抗は大きくなる。そのためにケーシング1は、この範囲で壁厚さの厚い範囲と比べてより強く熱くなる。同時に、弱点部5があることにより、ケーシングがこの弱点部5で破砕する。
【0037】
さらに図3では、発火をコントロール可能にする発火装置23を示している。それは、例えば電熱線で構成することもあり、電流端子16と19を有する導線23aから成り立っている。両方の電流端子は絶縁ブッシュ17と18を通じて外側に引き出されている。加えて、絶縁ブッシュ17と18には自己シールの概念を持たせており、火薬3の発火後にケーシングで圧力が発生するときに、自己保護的に圧力損失を防止する。
【0038】
図4は図3に似た実施例を示している。ここで示しているのは別の形状の導体23aである。勿論、導体23aを、例えば一回または何回も巻いた渦巻または類似のもののように、任意の形状にすることも可能である。
【0039】
図3に比べて図4の実施例では接続部分2が導体23aの終端と繋がっており、通過口と内部にある電熱線用の外部端子が残る。このようにして、ヒューズ要素に供給する電流の一部を枝分かれさせて導体23aにより点火するために用いる、あるいは引き出された導体23aの終端を通じて追加の点火電流を送ることができる。
【0040】
加えて図4では、目的をもたせたケーシング1の内壁構造を示しており、火薬4とケーシング壁面との接触面積を増やし、それにより発火の確実性を増大させるという課題を持たせている。
【0041】
図5には、加えて保護ケーシング7を備えた図1に従うヒューズ要素の実施例を示している。保護ケーシング7は、外側に飛散する破片または外側に放散するガスやガスと粒子の混合物から、ヒューズ要素の周囲を保護する。勿論、例えばヒューズボックスや配電盤のケーシングのような別のケーシング内に設ける時には、保護ケーシングを省略することができる。
【0042】
使用目的に合わせて、保護ケーシング7を固いが粘りのある絶縁材料を用いて、あるいは軟らかいが飛散する小片には塑性的に働くプラスチック材料でつくる。後者の場合には、小片がプラスチックに埋め込まれて“廃棄物処理”される。
【0043】
図6では二つの実施例を図6aと図6bに示しており、少なくとも接続ケーブルが軸方向に動くような使用形態に適している。この実施例では、ケーシング1を二つで構成し部分9と40から成り立っている。ケーシング部分9と40にはそれぞれ、接続部分2がある。基本的に深底ナベ形状で構成したケーシング部分40には火薬3を配置している。また、ケーシング部分40の外壁に弱点部(図示していない)を設けることもある。
【0044】
外壁の弱点部の範囲あるいはケーシング部分40の別の位置で、発火温度に達すると火薬3が発火する。圧力が一定値をオーバーすると、両方のケーシング部分を結合するだけでなく火薬3を押さえる機能を有している噛み合い部12が外れ、両方のケーシング部分が押し離される。そして電流回路を遮断する。
【0045】
更に必要に応じて、爆発していない状態で密封のためのシールシステム11を設けることがある。爆発状態でのシールはケーシング部分9に一体構成したシールリップ14が行い、ケーシング部分が自己シール作用を有している。
【0046】
ケーシング部分9,40の両方の終端部分ないし接続部分2に横穴8を設けることがある。これを使ってヒューズ要素を電流母線にねじ留めしたり、あるいはケーブル座を付属したケーブルと接続する。この実施例によるヒューズ要素が機能するために、両方の接続部分2の少なくとも一つが電線と繋がっていなければならず、ケーシング部分9、40がお互いに押し離されることができ、そして好ましくは作動した後に再びケーシング部分が触れることを防止する。
【0047】
図6aでの実施例は、ケーシング部分に予圧をかけるばね要素24を示している。これにより必要な火薬は少なくなる。ヒューズ要素を作動させるために必要なガス圧力は少ない。その結果、ヒューズ要素を作動させる時に、両方のケーシング部分9、40をお互いに動かす力は小さくできる。
【0048】
図6bは、ケーシング部分40の接続部分2とケーシング部分9と繋がっている電線4を示している。これは前に図2の関係で説明した機能を満足している。図2による実施例の場合と異なって、図6に示すように、ヒューズ要素が働くときに破砕し、短かくなるかまたは接触ブッシュ25から引き抜かれる。
【0049】
ヒューズが働いた後も低エネルギー消費装置のために電気的な接続を確保したいなら、両方のケーシング部分が離れる方向に向かっても伸びて切れないように、針金を渦巻状に巻いていなければならない。
【0050】
図7は、任意の実施例におけるケーシング1外壁の弱点部5の範囲での長手方向断面を示している。図7aの断面が三角形状の弱点部や図7cと図7dの複数三角形状弱点部は、電流が流れた時に程良い温度上昇となる。ケーシング1は最大断面立ち上がりのところで非常に綺麗にそして完全に破砕する。
【0051】
図7bの四角形状弱点部の場合には、電流が流れたときに最大の自己発熱を示し、溝の長さにより肉厚の厚い断面への熱移動を防ぎ温度を直線的以上に上昇させる。火薬発火後の圧力作用により、繋ぎ部分は両端で剪断され外側に押し出される。
【0052】
図7cと7dでの複数の弱点部は、ヒューズ要素の切断特性に影響を与える。ここで基準となる要素は、弱い部分の少ない中間部分の熱容量、数、間隔、個々の弱点部の深さと長さである。これらの状態によりケーシングの部分は同じ電流の流れで発熱速度が異なり、火薬の発火温度に達する速度が異なる。
【0053】
図8は、ケーシング1が基本的に中空円筒部分1bを含むヒューズ要素実施例を切断した遠視図である。ケーシング1の終端部または接続部分には詰め栓状の閉鎖要素1aを配置しており、中空円筒部分1bの正面開口部を密封閉鎖している。部分1aは絶縁材料、例えばプラスチックでつくることもある。中空円筒部分1bの正面端は、部分1aが中空円筒部分1b内に形状的に嵌るように保持されるように曲げられている。同時に、中空円筒部分1bの内壁内には、部分1aを形状に合わせて固定するために突出部1cを設けることもある。部品1aの内側に向いた正面は自己密封するように構成し、例えばそれぞれの正面から内側に延伸するシールリップを設けており、ケーシング1内の部分1aの間にある火薬3の圧力により部分1bの内壁に当たる。
【0054】
図8のヒューズ要素は、円筒形の接続部分がヒューズ収容要素の相当する収容部(図示していない)に収容され、接続できるように構成している。
【0055】
同様に図8の実施例は、前述の方法でヒューズ要素をコントロールして点火することを可能にする導線23を示している。
【0056】
図9は、保護ケーシングのあるヒューズ要素の別の実施例を長手方向断面で示したものであり、ヒューズ要素が機能した後で分離されたケーシング部分が軸方向に動けるようになっている。ヒューズ要素の本来のケーシング1は、例えば黒鉛、炭素、通電性プラスチックまたは金属、または金属で被覆した炭素、黒鉛、プラスチックのような通電材料でつくり、基本的には円筒状に構成して一端は閉じている。中央部に設けた穴60には爆燃性の火薬3を入れている。
【0057】
ケーシング1の開口端部には、ケーシング1の圧力を密封する閉鎖部材(図示していない)のための収容開口部62を設けている。収容開口部には、火薬をコントロールして点火するために、詳細に記述していない発火装置を収容することもある。
【0058】
穴60には、殊にケーシング1の壁面にある円周方向に走る弱点部5の範囲に延伸するねじ(図示していない)を切ることもある。ねじはノッチ効果をもつ構造を呈しており、爆燃性物質が爆発した時に円周方向弱点部の範囲の壁面が完全に破砕し、非常に小さな破片につぶれる。勿論、ノッチ効果を生み出す構造は、例えば表面を腐蝕することにより、円周方向に走る弱点部の外壁に施すこともある。この種の内部構造は同時に、図4の関連で述べているように、自己発熱による発火での確実性を著しく増加する。
【0059】
ケーシングに少なくとも円周方向に走る弱点部に、導電性があり壊れやすい材料を使用することにより、少ない内圧でも破砕するケーシング1をつくることができ、破壊した円周方向に走る弱点部の材料がたくさんの小片に破砕する。このことから、黒鉛や炭素のような材料の比較的大きな比抵抗により、ケーシングを流れる比較的少ない電流でも爆燃性物質を発火することができる。ブリッジとして使用していないケーシング外径面を特に厚い銅の層で覆うこともあり、それにより更にヒューズ要素全体としての電気抵抗が少ないことを保証する。
【0060】
図9の実施例ではケーシング1が保護ケーシング7で囲まれており、破砕した円周方向弱点部5の破片および発生するガスを受け止める役割をし、近くの物体や人を損傷や負傷から守る。ケーシング1には円周方向に走る溝64、65があり、保護ケーシングの正面側の切り取りにより突出している。溝64、66の正面壁の外側に隣接する肩部は、保護ケーシング7内のケーシング1を軸方向に固定する役割をしており、出口の所で正面壁面に接している。
【0061】
保護ケーシングは、プラスチック殊にポリカーボネートでつくり、一個で又は多数で構成する。多数で構成するときは、図9に図示しているように、保護ケーシング7を保護ケーシングの正面側のまわりに曲げた、例えば金属製のパイプ68で取り囲むこともある。電気的に絶縁するために、金属パイプの上を更に収縮ホース70または同じような絶縁手段を用いることもある。
【0062】
爆燃性物質が発火すると、発生したガス圧力により円周方向弱点部全周に亘って破砕する。その時に生じるケーシング1部分の軸方向動きにより、円周方向弱点部5の両側に円周方向弱点部5の破砕に有利となる引っ張り力が発生する。弱点部5が完全に破砕したのち、保護ケーシング7内で二つに分離したケーシング2部分は、保護ケーシング7の正面側の内側が溝64、66の内側ストッパー肩に接するまで、軸方向外側に最大の移動をする。保護ケーシング7の内側方向に溝64、66が円錐状に厚くなっていることにより、分離したケーシング部分にブレーキがかかり、同時にケーシング部分が保護ケーシング7に食い込む。これにより、ケーシング1の破砕後にケーシング部分が再び接触することがないようにしている。
【0063】
勿論、図9に示しているのとは異なり、ケーシング1の一つの終端のみを保護ケーシング7内で可動保持することもある。基本的にケーシング1を対称的に構成することにより、保護ケーシング7を対称的に構成することができ、それにより、全体ユニットを組み立てる際でのミスの原因を排除できる。
【0064】
保護ケーシング7の内壁には、円周方向に走る弱点部の範囲に、破砕した円周方向弱点部5の部分を受け止めるための構造体72を設けている。構造体72は保護ケーシング7と一体で構成することもあるし、あるいは追加材料により、および/または追加部品により実施することもある。殊に円周方向に走る楔形状溝が適しており、破砕した円周方向弱点部ラジアル方向外側に飛ばされる部分がラジアル方向に先細となっている溝に噛み込み、それによりヒューズの作動後に再び接触するようなことはない。
【0065】
図9による実施例で、円周方向に走る弱点部を楔状の溝形状で実施することもある。その時は、円周方向弱点部の全壁面が破砕するのではなく発生する引っ張り力により専ら引き裂かれた形となる。この場合には、小片が発生しないので構造体72を省略することができる。しかし、この種の実施形態では実際には、弱点部で発生した損失熱が、直接隣接するケーシング範囲と円周方向弱点部の殆どゼロの軸方向幅(基本的に電気抵抗が決まる最も深い所で)により直ぐに逃されるので、爆燃性物質は自己発火することはない。
最後に、上記の個々の実施例を使って記述した特徴の総てを、任意にそして意味があるように組み合わせることが勿論可能であることを述べておきたい。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】自動点火機能のある火薬式ヒューズ要素の第1実施例についての概略図。
【図2】自動点火機能のある火薬式ヒューズ要素の第2実施例についての概略図。
【図3】発火機能をコントロールできる火薬式ヒューズ要素の第3実施例についての概略図。
【図4】発火機能をコントロールできる火薬式ヒューズ要素の第4実施例についての概略図。
【図5】破裂後のヒューズ要素部品の飛散に対する保護機能を備えた図1の実施例。
【図6】発火機能をコントロールでき別々に動くケーシング部品を備えたヒューズ要素の、二つの実施例(図6aと6b)についての長手方向断面。
【図7】本発明によるヒューズ要素のケーシング壁面での円周方向弱点部についての4種類の構成。
【図8】発火コントロール機能のあるヒューズ要素で簡単に実現できる実施例の長手方向断面の遠視図。
【図9】ヒューズ要素が作動した後で分離したケーシング部品が軸方向に可動である保護ケーシングの付いた別の実施例の長手方向断面図。
【符号の説明】
1ケーシング
2接続範囲
3火 薬
4導 線
5弱点部
7 保護ケーシング

Claims (17)

  1. 火薬式ヒューズ要素であって、
    a)中に爆発物質を入れて導電性材料から成り閉鎖されたケーシング(1)を備え、
    b)ケーシングには、ケーシングの導電性材料により電気的に接続している二つの電気的な接続のための接続範囲があり、
    c)爆発性物質の爆発により接続範囲の電気的接続を分離するようになっており、
    d)爆燃性火薬物質の作動後、特定の時間でケーシングの接続範囲の電気的接続が分離されるように配合し構成している、爆燃性火薬で爆発性材料を構成している
    ことを特徴とする火薬式ヒューズ要素。
  2. ケーシングが外壁の全周に亘って円周方向に走る弱点部を有し、ケーシングが爆燃性火薬の爆発により円周方向弱点部に沿って全周に亘って破砕することを特徴とする請求項1に記載のヒューズ要素。
  3. 二つの断面立ち上がり部間の円周方向に走る弱点部をケーシング壁面の厚みのなかに構成し、壁厚の小さいケーシング範囲の軸方向幅がゼロより大きく、好ましくは1mmより大きく5mmより小さいことを特徴とする請求項2に記載のヒューズ要素。
  4. 弱点部範囲の壁厚が、弱点部に隣接する範囲の壁厚の半分以下で、好ましくは一定であることを特徴とする請求項3に記載のヒューズ要素。
  5. ケーシングを通じて流れる電流により、特定の称呼電流で特定の範囲において、爆燃性火薬の特定の作動温度を発生させることができるように、円周方向に走る外壁弱点部を構成していることを特徴とする請求項2から4のいずれかにに記載のヒューズ要素。
  6. 特定の称呼電流量の時に、ケーシングが好ましくは特定の範囲の発熱により火薬が確実に爆発することを保証するように、爆燃性火薬とケーシングを構成していることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  7. ケーシング破砕時に発生する飛散物を受け止め、および/または爆燃性火薬の爆発により発生するガスまたはガス/粒子混合物を収容するように構成していることを特徴とする前述の請求項のいれかに記載のヒューズ要素。
  8. ケーシングには基本的に中空円筒形状また深底ナベ形状部分を含んでおり、その両側の正面開口部または片方の正面開口部が、基本的に詰め栓様式またはキャップ様式の閉鎖要素により閉鎖されていることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  9. 少なくとも閉鎖要素は力の伝達および/または形状的そして電気的に、円筒形状または深底ナベ形状部分と繋がっており、爆燃性火薬の爆発により、閉鎖要素と円筒形状または深底ナベ形状部分間の機械的な接続が外れるようになっており、そして二つの部材が分離して、円筒形状または深底ナベ形状部分に設けた接続範囲と閉鎖要素に設けた接続範囲の間の電気的接続を分離できるようになっていることを特徴とする請求項8に記載のヒューズ要素。
  10. ケーシング内に予圧した圧縮ばねを設け、中空円筒形状または深底ナベ形状部分の終端と閉鎖要素にある他端により閉鎖要素を支持していることを特徴とする請求項9に記載のヒューズ要素。
  11. ケーシングが保護ケーシングで囲まれており、円周方向に走る弱点部の側でケーシングの少なくとも一つの部分が保護ケーシング内で軸方向に移動できるように支持され、好ましくはケーシングの少なくとも一つの部分が外周部にストッパー手段を有しており、円周方向に走る弱点部の破砕後にケーシングの軸方向移動を制限し、好ましくは少なくとも一つの部分の軸方向移動後にこれを固定するように固定手段を構成していることを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載のヒューズ要素。
  12. ケーシング内に備えている爆燃性火薬に電線が通っており、その電線は両端でそれぞれ接続範囲の一つと接続しており、特定の称呼電流での発熱により火薬が爆発するように、導線を構成していることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  13. 爆燃性火薬と接触する少なくともケーシング内壁の一部の範囲に、好ましくは円周方向に走る弱点部の範囲に、火薬と効果的に接触する表面を大きくし、および/または特定の範囲、好ましくは隅や角で部分的に高温が発生し、および/または円周方向に走る弱点部の破壊を容易にし、小さな破片にするノッチ効果を生みだすように構成している構造体を設けていることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  14. 爆燃性火薬の爆発をコントロールする装置を設けていることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  15. 爆燃性火薬が高い作動温度をもつ第一成分と、低い作動温度の第二成分を含んでいることを特徴とする前述の請求項のいずれかに記載のヒューズ要素。
  16. 少なくとも第一成分は機能する必要期間に亘って充分な経時耐性を有しており、第一成分の爆発だけで接続範囲間の電流接続を遮断することができるように配合し構成していることを特徴とする請求項15に記載のヒューズ要素。
  17. 称呼電流により少なくともケーシングの部分範囲で、または作動装置により発生する温度より、第一成分の爆発温度が高く第二成分の爆発温度が低いことを特徴とする請求項15または16に記載のヒューズ要素。
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