JP2004510845A - 製薬上許容される澱粉 - Google Patents

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Abstract

表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンを除去するために、85%を超えるアミロペクチンを含有する澱粉を洗浄し、澱粉を水性媒質に溶解し、剪断作用により分子量を低下させ、そして場合により、残留水溶性タンパク質を、好ましくはアニオン交換クロマトグラフィーにより除去することによって精製された非経口的投与可能な澱粉の製造。精製澱粉およびこのような澱粉に基づく微粒子。

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、哺乳類、特にヒトに経口的に投与するための製薬上許容されるような品質を有する澱粉に関する。特に、この澱粉は、生物学的活性物質の制御放出のために該物質を含有する微小球の製造に使用することができる。
【0002】
【発明の背景】
多くの薬剤は非経口的に、特に注射により投与しなければならない。なぜならば、それらを例えば経口的もしくは経鼻的にまたは直腸経路で投与すると、分解を受けるかまたは不充分に吸収されるからである。非経口的使用を意図した薬剤処方物は、ヒトに対する使用の取締り当局によって認可されるために、多数の必要条件を満たさなければならない。従って、それは生体親和性および生物分解性でなければならず、そして全ての使用物質およびそれらの分解産物は無毒性でなければならない。加えて、注射を意図した粒状薬剤調製物は、注射針を通過するのに充分小さいことが必要であり、これは好ましくは粒状薬剤が200μmよりも小さい必要があることを意味する。薬剤は調製物においてその製造もしくは貯蔵中または投与後に大きな程度で分解してはならず、そして生物学的活性形態で再現性ある動力学をもって放出されるべきである。
【0003】
生体親和性、および無害な最終産物への生物分解性の必要条件を満たすポリマーの一つのクラスは、乳酸、グリコール酸およびこれらの混合物に基づく線状ポリエステルである。これらのポリマーは以下にPLGAとも呼ばれる。PLGAはエステル加水分解により乳酸およびグリコール酸に分解され、そして優れた生体親和性を有することが示されている。さらに、PLGAの無害な性質は、これらのポリマーに基づく幾つかの非経口的遅延放出調製物が米国食品医薬品局を含む取締り当局によって認可されることで例証することができる。
【0004】
現在市販されているPLGAに基づく非経口的投与可能な遅延放出製品としては、Decapeptyl TM (Ibsen Biotech)、Prostap SR TM (Lederle)、Decapeptyl(登録商標) Depot (Ferring) および Zoladex(登録商標) (Zeneca) が挙げられる。これらの調製物中の薬剤は全てペプチドである。換言すれば、それらは比較的低い重合度を有するポリマーに縮合したアミノ酸から構成されており、そしてそれらは充分に明らかにされた三次元構造を有していない。次にこのことは、通常これらの製品の製造中に比較的苛酷な条件の使用を可能にする。例えば、押し出しおよび後続の粉砕を利用することができるが、これらの技術はタンパク質に関してはたぶん許容されないだろう。なぜならば、タンパク質は一般的にいって、このような厳しい条件に耐えないからである。
【0005】
従って、タンパク質に対しても制御放出調製物の要望がある。タンパク質は、それらもアミノ酸からなる点でペプチドに類似するが、その分子はより大きく、そして大部分のタンパク質は、生物学的活性および免疫原性を含むそれらの特性の多くに関して、充分に明らかにされた三次元構造に依存している。それらの三次元構造は比較的容易に、例えば高温、表面誘導変性および多くの場合に有機溶剤にさらされることによって破壊されうる。従って、本来はタンパク質の遅延放出のための優れた材料であるPLGAの使用に関する極めて重大な欠点は、有機溶剤を用いてこのPLGAを溶解する必要があることであり、タンパク質の安定性が損なわれるという危険、そしてタンパク質の立体配座の変化が患者の免疫学的反応をもたらす危険があり、この反応が阻害性抗体の形成による治療的効果の損失および毒性副作用の双方を生じうるという危険が付随する。複合タンパク質がその三次元構造を全ての点で保持しているかどうかを確実に決定することは著しく困難なので、タンパク質を立体配座の変化を誘導するかもしれない条件にさらすのを避けることは極めて重要である。
【0006】
製造工程中のタンパク質の不安定性に関するこの固有の問題を避けるために、PLGA技術の改変をめざした熱心な努力にもかかわらず、この分野における進歩は極めて遅かった。その主な理由はたぶん、大部分のタンパク質の三次元構造が、用いられる製造条件に耐えるためには、またPLGAマトリックスの分解により形成される化学的酸性環境に耐えるためには、あまりにも敏感であることである。科学文献は有機溶剤にさらすためにPLGA微小球の製造における安定性の問題に関する多数の記載を含んでいる。PLGAマトリックスが分解する際に形成される酸性環境の一例として、約40μmの直径を有するPLGA微小球のpH値が1.5まで下がり、これは多くの治療上有用なタンパク質を変性させるか、そうでなければ損傷を与えるのに全く充分であることが最近示された(Fu ら, Visual Evidence of Acidic Environment Within Degrading Poly(lactic−co−glycolic acid)(PLGA) Microspheres, Pharmaceutical Research, Vol. 17, No. 1, 2000, 100−106)。微小球がより大きな直径を有するならば、酸性分解産物の拡散消失がより困難になり、そして自触媒反応が強められるという事実のためにpH値はさらに低下すると予想することができる。
【0007】
生物学的活性物質が微小球マトリックスの生物分解中に化学的酸性環境にさらされ、そして製造工程中に有機溶剤にさらされることによって生じる問題を解決しようとする多数の試みが記載されている。分解中の酸性環境を避けるために、微小球のマトリックスとしてのPLGAを、化学的に中性の分解産物を生成するポリマーに換えようとする試みがなされており、そして生物学的活性物質が有機溶剤にさらされるのを避けるために、あらかじめ微小球を製造しておき、それらを加工および乾燥してしまったのちにだけ、生物学的活性物質を負荷しようとする試みが行われており、または微小球の製造中に有機溶剤を除外または制限しようとする試みがなされている。
【0008】
一例として、比較的低分子量の高度分枝状澱粉(マルトデキストリン、平均分子量約5,000Da)は、この澱粉を微小球に固化することのできる形態に変換するためにアクリル基との共有結合により改変され、得られたポリアクリル澱粉は、外相としてトルエン/クロロホルム(4:1)を含むエマルジョン中でのラジカル重合により粒状形態に変換された(Characterization of Polyacryl Starch Microparticles as Carriers for Proteins and Drugs, Artursson ら, J Pharm Sci, 73, 1507−1513, 1984)。タンパク質をこれらの微小球中に閉じ込めることはできたが、製造条件はエマルジョンの製造に際して生物学的活性物質を有機溶剤および高い剪断力の両者にさらす。得られた微小球が酵素的に溶解されると、そのpHは中性に保持されると予想することができる。得られた微小球は多くの理由で投与には適しない。数ある中で最も重要なことは、澱粉マトリックス(Biodegradable Microspheres IV, Factors Affecting the Distribution and Degradation of Polyacryl Starch Microparticles, Laakso ら, J Pharm Sci 75, 962−967, 1986)、および澱粉分子を架橋する合成ポリマー鎖(Stjaernkvist P., Laakso T. および Sjoeholm I. (1989) Biodegradable microspheres. XII: Properties of the crosslinking chains in polyacryl starch microparticles, J. Pharm. Sci. 78, 52−56)の両者の生物分解性が不完全で、かつ極めて遅いことである。さらに、これらの微小球は持続放出のために組織への注射に適するためにはあまりにも小さすぎ、直径<2μmである。なぜならば、組織マクロファージがそれらを容易に貪食できるからである。高度分枝状澱粉にアクリル基を結合させるために、潜在的に生物分解性のエステル基を導入することによって分解速度および分解度を高めようとする試みは、意図した結果を引き起こすのに失敗し、そしてこれらのポリアクリル澱粉微小球でさえも、かなりの時間にわたってあまりにもゆっくりと、かつ不完全に分解された(BIODEGRADABLE MICROSPHERES: Some Properties of Polyacryl Starch Microparticles Prepared from Acrylic aced Esterified Starch, Laakso および Sjoeholm, 1987 (76), pp. 935−939, J Pharm Sci.)。
【0009】
非化学的に改変された澱粉を用い、外相として油を用いる澱粉微小球の製造が記載されている(US 4,713,249; Schroeder, U., Crystallized carbohydrate spheres for slow release and targeting, Methods Enzymol, 1985 (112), 116−128; Schroeder, U., Crystallized carbohydrate spheres as a slow release matrix for biologically active substances, Bio−materials 5:100−104, 1984)。これらの場合に微小球はアセトン中での沈殿により固化され、これは生物学的活性物質を有機溶剤にさらすこと、および澱粉が物理的架橋により固化する自然の傾向を製造工程中に利用しないことの双方に導く。これは次には澱粉が水に再懸濁されたのち、そして体液にさらされたときに、このような架橋を形成しようとするであろうから、固有の不安定性を有する微小球に導く。このような油中水滴型エマルジョンを得るためには高い剪断力を必要とし、そして形成された微小球は、非経口的持続放出に適するためにはあまりにも小さすぎる。
【0010】
EP 213303 A2 には、澱粉が物理的架橋の形成により固化する自然の能力を利用し、そして生物学的活性物質を有機溶剤にさらすのを避ける目的で、これらの微小球中に物質を固定化することを利用して、特に化学的に改変されていない澱粉の微小球を二相水性系中で製造することが記載されている。明らかにされた澱粉品質と組み合わせたこの記載された方法は、完全に生物分解性の粒子を生じない。得られた粒子もまた、記載された澱粉品質があまりにも多量の外来植物性タンパク質を含有するので、注射に、特に長期間にわたる反復注射には適しない。
【0011】
澱粉が微粒子のための理論的に極めて適切な、おそらく理想的でさえあるマトリックス材料であることは、長い間知られている。なぜならば、澱粉は有機溶剤に溶解する必要がなく、自然に固化する傾向を有するからであり、そして体内には澱粉を内在性の天然物質に、最後にはグルコースに分解できる酵素があるからであり、そして内在性グリコーゲンとの類似性により、澱粉は非免疫原性であることが示されているからである。熱心な努力にもかかわらず、非経口的使用に適する微粒子の製造を可能にする特性を有する澱粉、およびタンパク質のような敏感な生物学的活性物質が閉じ込められるようになるのを可能にする温和な条件下で、完全に生物分解性の微粒子の製造を可能にする条件は、以前に記載されたことがない。
【0012】
自然源からの澱粉顆粒は、それらを非経口的注射にとって不適当にする不純物、例えば澱粉タンパク質を含有している。精製が不充分な澱粉が故意でなく付着する場合、例えば多くの型の作業グローブに安定化された澱粉顆粒が振りかけられる操作において起こりうるように、極めて重大な二次的効果が生じることがある。澱粉顆粒もまた、許容される時間幅以内に完全に生物分解されないという理由で、反復非経口的投与には本質的に適しない。
【0013】
酸加水分解され精製された澱粉で製造された澱粉微小球は、ヒトへの非経口的投与に用いられている。これらの微小球は強アルカリ性条件下にエピクロルヒドリンで化学的に架橋させることにより製造された。のちに澱粉によって獲得されたこの化学的改変は低下した生物分解性に導き、従って微小球はα−アミラーゼのような内在性酵素によって完全に溶解することができるが、最終産物としてのグルコースに完全には変換されない。製造方法または得られた微小球のどちらも、敏感なタンパク質の固定化に適しもしなければ、本質的に加水分解アミロースに基づくこのような酸加水分解澱粉も、完全に生物分解性の澱粉の製造、またはタンパク質のような生物学的活性物質を高い負荷量で含有する澱粉微小球の製造には適しない。
【0014】
ヒドロキシエチル澱粉(HES)はヒトに高い用量で代用血漿として非経口的に投与される。HESは、概してもっぱら高度分枝状アミロペクチン、いわゆる「ワックス様メイズ」からなる澱粉からの澱粉顆粒によって製造され、分子量を低下させるために酸加水分解され、続いてアルカリ性条件下でヒドロキシエチル化され、そして約200,000Daの平均分子量を得るために再度酸加水分解される。こののち、濾過、アセトンでの抽出および噴霧乾燥が行われる。ヒドロキシエチル化の目的は、未改変アミロペクチンがα−アミロースにより極めて急速に分解され、その循環滞留時間が約10分なので、効果の持続時間を延長することである。HESは生物学的活性物質を含有する完全に生分解性の微小球の製造には適しない。なぜならば、化学的改変が生物分解の速度および完全性をかなり低下させ、そして澱粉が非共有結合架橋の形成により固化する自然の傾向の消失をもたらすからである。さらに、HESの高濃度溶液は微小球の製造に使用できるためにはあまりにも粘調すぎるようになる。これらの高い用量でのHESの使用は非経口的使用可能な澱粉を製造できることを示しているが、HESは化学的架橋または有機溶剤での沈殿を行わずには微粒子の製造に使用できない。
【0015】
WO 99/00425 には、表面関連タンパク質の澱粉顆粒を一掃するために広い最適pHを有する耐熱性タンパク質分解酵素の使用が記載されている。得られた顆粒は非経口的投与には適しない。なぜならば、それらは顆粒中に存在する澱粉タンパク質をなお含有しており、そして添加したタンパク質分解酵素の残留物が顆粒中に残されるという危険があるからである。これらの顆粒もまた、非経口的投与可能な澱粉微小球を二相水性系中で製造するためには適しない。なぜならば、それらは溶解されたのちでさえ、充分高い濃度で使用できるにためには悪い分子量分布を有し、そして微小球が得られたとしても、それらはたぶん完全に生物分解性ではないからである。
【0016】
錠剤を製造するためのより良好な澱粉を製造する目的で、剪断作用を用いて澱粉の分子量分布を改変することが US 5,455,342 および WO 93/21008 に記載されている。得られた澱粉は澱粉タンパク質(これらは剪断作用ののちに変性された形態で存在するかもしれない)の高い含有量のために非経口的投与には適さず、そしてこの得られた澱粉もまた、非経口的投与のための生物分解性澱粉微小球の製造、またはこのような澱粉微小球を製造するための二相水性系中での使用には適しない。剪断作用は WO 96/10042 に開示されているように、ヒドロキシエチル澱粉の製造にも用いられている。しかしながら同様の理由で、このようなヒドロキシエチル澱粉は上記で言及したように非経口的投与または微小球の製造の何れにも適しない。
【0017】
従って、下記の特色を有する非経口的投与可能な澱粉調製物の製造方法が著しく望ましいであろう:
・ その方法により、実質的に完全に生物分解性で生体親和性の澱粉を製造することができ、この澱粉が非経口的投与に適し、そしてそれが分解すると化学的に中性の内在性物質が形成される方法;
・ 実質的に完全に生物分解性の澱粉微粒子の製造に適する非経口的に許容される澱粉。
これらのような目的および他の目的は、以下に定義する本発明により達成される。
【0018】
【発明の詳述】
本発明の第一の態様によれば、本発明は、非経口的に、特に注射によりヒトを含む哺乳類に投与するための製薬上許容される澱粉の製造方法を提供する。
このような澱粉の特に適切な応用は、例えば二相水性系中で、生物学的活性物質を高い収率で、およびその生物学的活性が保持されるような温和な条件下で微小球の中に取り込むことができる、非経口的投与可能な実質的に完全に生物分解性の澱粉微粒子を製造するためである。非経口的投与という表現は、主として、このような微粒子が適切な粒度分布、純度および生物分解性を有さねばならず、そして生物分解性でなければならないことを要すると理解される。高い収率は、形成された澱粉微粒子中に取り込まれるべき生物学的活性物質が周囲の相中または相間の界面中に拡散することができないような高濃度の溶液を澱粉が形成できなければならず、そして用いられる澱粉溶液が充分急速ではあるが制御された様式で固化して微粒子になることを意味することを意図している。驚くべきことに、本発明に係る方法がこのような澱粉の製造を可能にするということが明らかになった。
【0019】
自然源からの澱粉は、ヒトへの非経口的投与に許容されない若干の不純物、特に種々の粒状の物質、タンパク質およびエンドトキシンを含有する。本発明に係る方法は、非経口的使用に許容されないこれらの成分から澱粉を精製することを可能にする。このような方法に伴う困難さは、上記の成分は数が多く、それらの含有量が自然の季節変化に応じて変化することがあり、そしてそれらが広く異なる特性、例えば溶解性、物理的形態、位置などを有することである。二相水性系中での微粒子の製造にも適し、そして取締り当局に容認される澱粉のこのような製造方法を開発することは、なおいっそう複雑である。しかしながら、本発明によれば驚くべきことに、基礎澱粉および一定の特定精製段階を選択して組み合わせることによって、このような澱粉の製造が可能であることが証明された。
【0020】
本発明に係る方法は、簡単には、高いアミロペクチン含有量を有する澱粉を採用し、これを表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンの除去のために洗浄し、澱粉の分子量を剪断作用により低下させ、そして好ましくは最初から表面に局在しない残留タンパク質も除去することからなる。
【0021】
より正確には、本発明に係る方法は、
a)固体形態、特に粒子、例えば顆粒であり、そして85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有する澱粉から出発し、
b)この固体澱粉を、澱粉の表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンは溶解されるが澱粉は溶解されないままであるような条件下での洗浄に供し、そして溶解した物質から澱粉を分離し、
c)段階b)で得られた洗浄澱粉を、水性媒質に溶解させ、そして
d)澱粉溶液を、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内にある分子量分布が得られるような剪断作用による分子量低下に供することを含む。
【0022】
従って、本発明に係る方法に出発材料として用いられる澱粉は、大部分がアミロペクチンに基づかねばならず、すなわちアミロースの割合が小さくなければならない。この文脈で特に好ましいアミロペクチン含有量は、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%であり、%含有量は全て澱粉の乾燥重量として表される。このような澱粉は多くの供給者から商業的に得ることができるか、またはこの技術分野で周知の方法により製造することができる。特に好ましい澱粉は、いわゆるワックス様メイズ澱粉、特に天然または酸加水分解したものである。このような澱粉は、多くの応用のために周知の方法を用いて工業的に大規模に加工される。使用できる天然ワックス様メイズ澱粉の一例は Cerestar 04201 であり、そして酸加水分解澱粉の一例は Cerestar C* Gel 06090 である。これらのタイプの澱粉はそのままでは非経口的投与に適しないか、または数ある中でも不充分な純度および不充分な生物分解性のために非経口的投与のための澱粉微粒子の製造に適さず、従って製薬上許容される澱粉に加工するために本発明により処理される。
【0023】
重量分布に基づいて5〜25μmの範囲の平均直径を有する澱粉粒子または澱粉顆粒を、本発明に係る方法における出発澱粉として用いることが好ましい。
【0024】
出発澱粉を段階b)における1回または数回の洗浄に供する前に、それから非澱粉物質を除去することが好ましい。これは篩分けおよび/または沈降作用により好適に行うことができる。この文脈において、澱粉粒子よりも大きな物質は例えば湿式篩分けにより除去することができ、一方、澱粉粒子よりも小さな物質は例えば沈降作用により除去される。これは適切には、40μmよりも大きな非澱粉物質の除去、および好ましくは5μmよりも小さな物質の除去も伴うことができる。
【0025】
原料澱粉を実際に顕微鏡下で調べると、通常は少量の繊維状物質を観察することができ、そして原料澱粉材料は植物残留物、挽き割り物および望ましくない性質の他の粒子を含有すると予想することができる。澱粉顆粒よりも遅く沈降物を形成する微生物およびその残留物のような粒子は、例えば反復沈降作用により除去することができる。このようにして、他の精製段階のための基礎材料として澱粉粒子の均質な母集団を得ると同時に、問題の澱粉の粒径よりも大きな粒径を有する種々の粒状物質を偶然に取り込む危険を排除することが有利である。最初の処理も後続段階における改善された濾過能をもたらす。
【0026】
出発澱粉は比較的に安価な材料なので、この最初の段階により高い純度および信頼性ある精製方法を得るために、この段階では損失を許容することができる。非澱粉物質の除去における初期段階は時間もかかり、そして精製される材料は細菌の成長にとって良好な基質であるので、微生物の成長を可能にしないと同時に、注射可能な材料の製造に許容されねばならない条件下で問題の工程を行うことも重要である。この技術分野内には、まさにこの問題に対する多くの周知の解決策があり、例えば静菌性物質、微生物の成長を可能にしない温度、または微生物の成長を阻害する他の条件の使用がある。一つの極めて簡単な手段は、pH値を例えば約11のレベルに調節することである。
【0027】
段階b)における洗浄は、一般的にアルカリ性条件下で、好ましくは約11〜14の範囲のpH値で、そして1回またはそれ以上の段階で行われ、条件は澱粉顆粒を溶解しないように選択される。アルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムをアルカリとして選択することが好ましい。好ましくは、少なくとも一つの段階は水溶性のタンパク質、脂質およびエンドトキシンを溶解するために用いられ、そして少なくとも一つの段階はより僅かに可溶性の物質、特にタンパク質、すなわち水単独には可溶性でないものを溶解するために溶剤が用いられる。この種の一つ物質はタンパク質ゼインである。それらの天然の状態において、ゼインの種々の変異物は全て水および希薄塩溶液に不溶性であり、これは一般的にプロラミンを規定する特性であり、そして出発澱粉はゼインを極めてしばしば著しい量(メイズ中のタンパク質含有量の約半分)で含むので、このような場合にそれらを除去することは不可欠である。
【0028】
従って、ゼイン溶解能を有する水性溶剤を用い、より僅かに可溶性のタンパク質をこの溶剤によって除去できることが第一に重要である。この溶剤が非経口的投与可能な澱粉の製造にも許容されねばならないことは当然である。洗浄段階b)またはその改変により、多くの異なるクラスの非澱粉物質を除去することができる。
【0029】
ゼイン溶解能を有する上記の溶剤は、1価または2価アルコールおよびケトン、好ましくは合計4個までの炭素原子を有するアルカノールもしくはアルキレングリコールまたは合計5個までの炭素原子を有するジアルキルケトンの水溶液から選択することが好ましい。
【0030】
適切なアルカノールはエタノールおよびイソプロパノール、特にエタノールであり、適切なアルキレングリコールはエチレングリコールおよびプロピレングリコールである。適切なジアルキルケトンはアセトンである。
【0031】
下記は本発明に係る方法の初期段階に適する手順である。澱粉を水溶液、好ましくは注射用水に懸濁させ、そして典型的に有用な濃度は80kgの水当たり約10kgである。水溶液を適切なpH値に、すなわち除去すべき物質を溶解すると同時に澱粉の溶解を避けようとするために調節する。適切な値は例えば約11である。水酸化ナトリウム溶液は好ましくは比較的低い濃度で、このpH値を得るためにも用いられる。同時に、添加を徐々に良く撹拌しながら行うことも有利である。特に好ましい実施形態によれば、上記の濾過のために例えば蠕動ポンプを用いて、例えば40μmの名目孔径を有する振動スクリーンメッシュに懸濁液をポンプ輸送する。
【0032】
例えば大きなパドルを用いて澱粉粒子を再懸濁して均質な懸濁液を形成し、そして1〜24時間、好ましくは3〜14時間、最も好ましくは室温で放置して沈降させ、そして上澄み液を注意深くデカントするかまたは抜き取る。これを多数回、例えば少なくとも3回繰り返すべきである。加えて、アルカリ可溶性タンパク質の除去をさらに確実にするために、粒子を最終アルカリ溶液中で撹拌しながら長時間、例えば少なくとも24時間放置することもできる。
【0033】
そののちに澱粉粒子の実際の洗浄をアルカリ性条件下で行う。これはエンドトキシンも無毒化する。この手順において、種々の塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびチオグリコレートを単独でまたは組み合わせて使用できる。条件は一般的に、除去すべきタンパク質が可溶性のままであるが澱粉粒子は不溶性のままであるように選択され、そののち洗浄液を適切な手段で、例えば沈降作用または濾過により、好ましくは促進条件下で分離することができる。次いでこの洗浄手順を、意図した結果が得られるまで繰り返すことができる。アルカリ溶液中での澱粉粒子の適切な接触時間は、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間である。洗浄した顆粒を洗浄液から毎回、例えば濾過またはバスケット遠心分離器での遠心分離により分離する。アルカリ濃度は、澱粉粒子を溶解することなく効果的な濃度が得られるように選択される。pH値は好ましくは11.5〜13の範囲の値である。典型的な濃度は、水酸化ナトリウムを用いる場合は0.0125Mであり、これは約12のpH値を与える。最も好ましい実施形態によれば、バスケット遠心分離器および約0.0125Mの水酸化ナトリウム濃度が用いられる。最初の洗浄は、例えばこれによって以前の段階で用いた物質の濃度を低下するために、バスケット遠心分離器それ自体で行うことが好ましい。次に後続の段階において、粒子を洗浄液に再懸濁させ、次いでこれを分離のためにバスケット遠心分離器に導入する。洗浄液と澱粉との典型的な比は約5:1、例えば10kgの澱粉当たり50リットルの洗浄液である。通常は3回の洗浄で充分である。
【0034】
それが望ましいならば、洗浄効率は、例えば変性条件下でのゲル電気泳動により定性的に確認することができ、または例えば澱粉のアミノ酸分析により定量することができる。
【0035】
基礎澱粉がアルカリ水溶液単独には溶解しない物質、例えばタンパク質、脂質およびエンドトキシンなどを含有するならば、ゼイン溶解能を有する上記の溶剤による洗浄に澱粉を供することによって、この物質を除去する。ここで溶液の組成は、澱粉が溶液に入ることなく問題の物質が溶解されるように選択される。このための正しい条件は通常、水相中の供給pH値が12.5〜13.5の範囲にある条件である。特に好ましい組成はエタノールと水に基づくアルカリ溶液との等モル混合物、例えば0.1M水酸化ナトリウムを添加した注射用水である。澱粉および用いられる洗浄液の懸濁液を形成し、これを例えば室温で4時間〜12時間撹拌することが適切である。そののち、例えば注射用水での最終洗浄のためにスプレーノズルを装備したバスケット遠心分離器で洗浄を行うことができる。
【0036】
上記の洗浄段階ののち、精製澱粉粒子を直接に本発明に係る方法の後続段階に供することができ、または最終段階を行う前に中間生成物の形態で貯蔵することができる。これらは例えば冷蔵または乾燥形態で貯蔵することができる。乾燥は適切な手段で、好ましくはエタノールでの洗浄後に行うことができる。別法として、精製澱粉を無定形の非顆粒形態(精製澱粉を冷蔵または乾燥形態で加熱しながら溶解することによりこの形態に変えることができる)で貯蔵することができる。
【0037】
現在の分析仕様および分析方法によれば、アルカリ金属水酸化物での上記の洗浄は澱粉粒子に対して全く満足すべきである。しかしながら将来、例えばよりいっそう高感度の分析方法が開発されることによって必要条件が増加するならば、より僅かに可溶性のタンパク質を除去するために、段階b)による洗浄をチオグリコレート溶液での洗浄によって補充することができる。チオグリコレートは、上記のタイプの基礎澱粉材料から僅かに可溶性のタンパク質、例えばケラチンを除去するのに有効であることが証明された。チオグリコレートは非経口的使用にも許容され、そして粒子から洗浄除去することができる。しかしながら、チオグリコレートを用いる場合には、それが目および皮膚の刺激物であり、そして不快な臭いを有するので注意を払う必要があるが、これらのファクターは完全に管理可能である。
【0038】
溶解した澱粉を剪断作用に供する前に、残留する粒状の非澱粉物質を溶液の濾過により除去することが好ましい。これは例えば約20μmまたはそれ以下の孔径を有するプレフィルター、次いで0.5μmまたは0.45μmの孔径を有するフィルターをシリーズで組み合わせることにより行うことができる。澱粉を溶解するために、非経口的使用のための澱粉の製造に許容される水、最も好ましくは注射用水を用いることが好ましい。溶解は一般的に高められた温度、例えば少なくとも80℃の温度で行われ、そして典型的な濃度は1〜25%、例えば約10%である。問題のフィルターを通すポンプ輸送は任意の適切な方法で行うことができる。ポンプ輸送は最も好ましくは過剰圧力で行われ、この圧力は各段階で生成し、3バールを超えないが、フィルターの機械的強度により限定される。可能なフィルターの例は Ultipor GF 2+20 μm(Pall)および Fluorodyne II(Pall)である。好適な寸法は20インチであり、カートリッジフィルターが好ましい。濾過は、澱粉が沈殿するのを避けるために高められた温度で行われるが、温度は同時にフィルター材料が耐える温度を超えないのは当然である。フィルターが目詰まりするようになった場合には、新しいフィルターに変えたのちに操作を続けることができる。
【0039】
次いで剪断作用により澱粉の分子量分布を低下させる。これは好ましくは高圧ホモジナイザーで行われる。達成される分子量および分子量分布の低下は、主として使用圧力およびホモジナイザーの通過回数の関数である。個々の各場合にどのレベルのこれらのファクターを使用すべきかは、当業者が一定の澱粉濃度で実験することにより容易に決定することができる。剪断作用を行う場合には、所望の分子量分布が得られるのを保証するために、ホモジナイザーの各通過後に下記で説明する方法により澱粉の分子量分布を決定することができる。本発明に係る方法により、大きな割合の望ましくない低分子量物質が形成されることなく、所望の分子量分布を得ることができる。さらに、他の方法を用いて達成できるよりも著しく狭い分子量分布を得ることができる。剪断操作は望ましくない粒状物質の破砕およびもしかすると部分的溶解を引き起こすことがあるので、このような望ましくない粒状物質、例えば細菌残留物を上記で論じたように剪断作用の前に除去することが好ましい。
【0040】
本発明に係る方法に用いるのに適するホモジナイザーは Rannie model 12.56H(APV Denmark)である。どのホモジナイザーを用いるかの決定は、澱粉の分子量分布を低下するその能力、および例えば掃除の観点からのその適性に基づく。なぜならば、それは非経口的投与可能な材料の製造方法で操作するからである。
【0041】
剪断作用により得られる分子量分布は、好ましくは材料の少なくとも80%が100〜4000kDa、より好ましくは200〜1000kDa、最も好ましくは300〜600kDaの範囲内になるような分布である。
【0042】
分子量分布は本来公知の多くの異なる方法により決定することができる。最も好ましい方法は、屈折率に基づく検出およびいわゆる多角度レーザー光散乱法 (MALLS) による検出を伴うゲル濾過に基づく。適切な装置は DAWN−F 多角度レーザー光散乱検出器であり、データ収集、ならびに平均分子量および多分散性の決定に適するプログラムは ASTRA 2.11a であり、分子量範囲の評価に適するコンピュータプログラムは EASI 6.00 である(全て Wyatt Technology Corporation から)。
【0043】
剪断作用は1200バールの過剰圧力、例えば1200〜1500バールの範囲で行うことが好ましいが、装置の特別なデザインも重要なので、ホモジナイザーの各タイプについて明確に決定すべきである。上記の装置の最高圧力(これは1500バールに等しい)が好適に用いられ、そして実際には、上限を定める使用装置の最高圧力が一般的である。均質化を不連続の通過の形で行っても、または再循環で行っても、同じ分子量分布を得ることができる。均質化による典型的な澱粉濃度は上記で論じたように約10%であり、適切な媒質は注射用水である。
【0044】
非経口的投与に対していっそう大きな安全性限界を有する澱粉を製造するために、水溶性タンパク質も澱粉から除去される。このような除去は最も好ましくは剪断段階d)ののちに行われるが、その前に行ってもよい。
【0045】
本発明の一つの実施形態によれば、水溶性タンパク質の除去は澱粉溶液をイオン交換クロマトグラフィーに供することによっても行われる。
【0046】
最も好ましい実施形態によれば、陰荷電の水溶性タンパク質を除去するためにアニオン交換クロマトグラフィーが用いられる。段階b)で除去され、そして主に澱粉粒子の表面に存在する物質からなっていたタンパク質および他の汚染物とは異なり、イオン交換クロマトグラフィーによる主な問題は、最初から澱粉粒子の内部に位置しており、従って最初の精製では大部分アクセスできなかったタンパク質を除去することである。この精製に必要なイオン交換材料の量は、必要に応じて実験により容易に滴定することができる。しかしながら一般的に、従来用いられてきたよりも多量のイオン交換材料の使用が好ましいことが示された。これまで普通であったよりも多量のイオン交換材料を用いることにより、イオン交換材料からの種々の成分の溶離は、澱粉中の該成分を通常の場合よりも高い濃度にすることがある。従ってこの場合、非経口的使用に許容される成分の溶離だけを生じさせるイオン交換材料を選択すべきである。適切なイオン交換材料の一例は Q−Sepharose(Pharmacia Amersham)である。この工程はカラムの使用およびバッチ法の双方で行うことができる。後者の場合、イオン交換材料を澱粉溶液に懸濁させ、これを次いで適切な手段で、例えば濾過によって分離する。
【0047】
イオン交換クロマトグラフィーに適する条件は、通常は製造業者が発行する指示書および科学文献に記載されている。この技術の工程パラメーターの合理的な相違を用いて同じ結果を達成することが一般的に可能であり、従ってこれらの条件は典型的な非限定的実施例によって説明されるだけである。Q−Sepharoseの使用に適する条件は、例えば約45℃で10mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.8である。必要に応じて、より強い緩衝液を使用できるが、その場合にはクロマトグラフィーののちに脱塩段階を挿入すべきである。イオン交換材料の量は、澱粉1g当たり少なくとも0.4ml、好ましくは少なくとも0.8mlの沈降したイオン交換材料床体積であるべきであり、大きさの順位としては、室温で問題の緩衝液中で膨潤した体積として計算して、澱粉の乾燥重量1g当たり例えば0.4〜1.1であるべきである。イオン交換材料は従来法により洗浄または再生すべきである。しかしながら適切な方法は、例えば1M水酸化ナトリウムを用いて室温で約1時間処理し、次いで2床体積の注射用水ですすぎ、そして合計2床体積の2M塩ナトリウムですすぎ、4回の追加を展開することである。そののち、この手順を1回繰り返すことができる。次いで導電率が2mS/cm未満になるまで、注射用水を用いてすすぎを行い、そしてpHおよび導電率の両者が安定化するまで、1床体積の100mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.8を用い、次いで10mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.8を用いて平衡化を2回行う。イオン交換はバッチ法によって行うことができ、これは例えば45℃で少なくとも4時間〜48時間まで続く。実際上の理由で、イオン交換を一夜行うことがしばしば選択される。イオン交換は、イオン交換材料の完全性が保存されるように、おだやかに撹拌しながら好適に行われる。次いでイオン交換マスは適切な手段で、例えば適切な流出口フィルターを備えたクロマトグラフィーカラムに懸濁液を導入することにより澱粉溶液から分離される。次いで澱粉溶液のpH値を中和する。揮発性または不安定な緩衝物質を用いる場合には、例えば、後続の噴霧乾燥(このとき緩衝物質が分解するかまたは気体相に変換することがある)の間に生じる過度なアルカリ条件が防止されるように、pH値を中性よりも数pH単位低下させるべきである。
【0048】
特許請求した別の実施形態によれば、水溶性タンパク質の除去は電気泳動操作によって行われる。このような操作は電気泳動に公知の原理に従って行うことができ、これは例えば、澱粉を上記の電気泳動にゲルの形態で供することを一般的に意味する。
【0049】
水溶性タンパク質を除去したのち、好ましくは濾過を行ってその間に生じた粒状汚染物を除去する。この目的に適する多数のフィルターが市販されている。適切な構成は5μmプレフィルターおよび0.5μm最終フィルターである。適切な寸法はプレフィルターでは20インチ、最終フィルターでは10インチである。適切なフィルターの例は Profile Star(Pall)および Star Clear(Pall)であり、これは陽に荷電している。
【0050】
精製した澱粉は貯蔵する前に最終乾燥段階に供することが適切である。これに関して特に好ましい乾燥方法は噴霧乾燥であるが、本来公知の他の方法、例えば凍結乾燥または真空乾燥も適している。噴霧乾燥においては、過度に高い温度および/またはあまりにもアルカリ性のpH値のために生じる望ましくない二次反応なしに、材料が充分に乾燥されるように条件を選択すべきである。この文脈で用いられる典型的な温度は、入口温度として約200℃、および出口温度として約120℃である。出口温度は澱粉溶液のポンプ輸送速度によって容易に制御することができる。
【0051】
澱粉は、通常の室温を超えない温度で暗い乾燥条件で貯蔵すれば、長期間保存することができる。非経口的使用を意図した微小球の製造に澱粉を用いる前に、澱粉を例えば注射用水に溶解し、そして滅菌する。好ましい滅菌方法はオートクレーブ処理である。他の滅菌方法、例えば無菌濾過も可能である。
【0052】
澱粉の純度は本来周知の方法で決定することができる。定性的評価を得るためには、ゲル電気泳動が変性条件下で好ましく用いられ、次いで染色される。より定量的なデータを得るためには、例えばアミノ酸分析、元素分析または窒素選択的検出器によって窒素含有量を決定することができる。アミノ酸分析は、これが澱粉のタンパク質含有量に関する定量的データを与え、そしてこれが澱粉の有用性に対する最も重要なファクターなので好ましい。この方法はアミノ酸窒素含有量を50ppmまで、適切には20ppm未満、好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満、さらには2ppm未満までも減少させることができ、この含有量は、特に反復非経口的投与における良好な安全性ファクターを与え、そしてヒドロキシエチル澱粉(これは血漿増量剤として非経口的に使用され、そして日量で体重1kgに基づいて少なくとも100倍だけ、澱粉粒子に意図した最大量を超えることがある)のアミノ酸窒素含有量と同等であるかまたはそれより低い。インプットタンパク質成分に対する抗体の産生(これ自体は科学文献に記載されている)ののち、これらの成分を定量するための高感度の免疫学的方法を使用することが可能である。
【0053】
本発明の第二の態様によれば、本発明はまた、新規な製薬上許容される澱粉を提供する。この澱粉は
a)85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、該アミロペクチンの分子量が、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように、好ましくは剪断作用により低下されており、
b)澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも50μgのアミノ酸窒素、好ましくは澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μg、より好ましくは多くとも10μm、最も好ましくは多くとも5μmのアミノ酸窒素の純度を有し、
c)水に25重量%を超える濃度で溶解することができること
を特徴としている。
【0054】
「水に溶解することができる」という表現は、澱粉に対する従来法(これは例えば少なくとも80℃に加熱すること、そしてまた緩衝した水溶液に溶解することを一般的に伴う)による溶解を意味することを意図している。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本発明は、
a)85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、該アミロペクチンの分子量が、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように、好ましくは剪断作用により低下されており、
b)澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも50μgのアミノ酸窒素、好ましくは澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μgのアミノ酸窒素、より好ましくは多くとも10μm、最も好ましくは多くとも5μmのアミノ酸窒素の純度を有し、
c)ヒドロキシエチル澱粉に存在するタイプの共有結合した追加の化学基を含まない、
製薬上許容される澱粉を提供する。
【0056】
「ヒドロキシエチル澱粉に存在するタイプの共有結合した追加の化学基を含まない」という表現は、澱粉が天然澱粉に存在する基だけを含み、そして例えばヒドロキシエチル澱粉のようには改変されていないことを意味することを一般的に意図している。
加えて、上記の全ての態様による澱粉は、インビトロで自然にゲル化する能力を示すことが好ましい。
【0057】
別の実施形態によれば、上記の澱粉は、エマルジョン系、特に二相水性系中で微粒子を形成する能力を示すことが好ましい。
別の実施形態は、25EU/g未満のエンドトキシン含有量を有する澱粉に関し、そしてもう一つの実施形態は、1g当たり100個未満の微生物、より好ましくは1g当たり10個未満の微生物を含有する澱粉に関する。
【0058】
澱粉のさらに他の好ましい実施形態は、下記のとおりである。
水に30重量%を超える、好ましくは40重量%を超える、より好ましくは45重量%を超える濃度で溶解することができる澱粉。
熱感受性および/または有機溶剤に不安定な物質、特にタンパク質との組み合わせを可能にするのに充分長い期間、高くとも60℃、好ましくは20〜45℃、特に30〜37℃の温度で溶液のままである澱粉。この組み合わせは、該物質の生物分解性を保持できる条件下で行うことが好ましい。
水に溶解したときに、1〜55℃、特に4〜37℃の温度で固化する澱粉。
1〜10℃、特に約4℃の初期温度、次いで20〜55℃、好ましくは25〜40℃、特に約37℃の温度にさらしたときに固化する澱粉。
【0059】
この澱粉の他の特に好ましい実施形態については、本発明に係る方法に関して上記で説明した実施形態が参照され、この理由で、これらの説明をここで繰り返す必要はない。
【0060】
新規な澱粉の主な応用分野は、本質的に完全に生物分解性の微粒子を製造するためである。しかしながら別の文脈において、製薬上許容される澱粉が例えばHES(ヒドロキシエチル澱粉)の製造のために適切である場合にも、この澱粉を使用できることは当然である。
しかしながら、本発明の第三の態様によれば、本発明はまた、特に非経口的に、好ましくは注射により哺乳類、特にヒトに投与するための生物学的活性物質の担体としての澱粉に基づく微粒子を提供し、この澱粉は上記で定義した澱粉である。
【0061】
このような微粒子は、10〜200μm、好ましくは20〜100μm、特に20〜80μmの範囲の平均粒径を有することが好ましい。従って、微粒子という用語は、この技術で公知の一定の大きさの粒子のための一般的名称として用いられる。微粒子の一つのタイプは実質的に球形を有する微小球のタイプであるが、微粒子という用語は、このような理想的な球形からのずれを包含することができる。公知のマイクロカプセルという表現も、先行技術による微粒子という表現によって包含される。
このような微粒子の好ましい実施形態は、インビトロで酵素作用により溶解され、そしてインビボで生物学的組織から除去される能力を示す粒子によって示される。
【0062】
これまで述べてきたことから、特に興味深い生物学的活性物質はタンパク質であることが明らかであろうが、本発明は原則として、非経口的投与に使用できる全ての活性物質、例えば(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチド、プラスミドおよびDNAに適用できることは当然である。しかしながら、本発明は敏感性および不安定性の問題が存在する場合に特に興味深い。
【0063】
上記のタイプの生物学的活性物質の例は、成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロン(α、β、γ型)、ワクチン、上皮細胞成長ホルモン、因子 VIII、LHRH類似体、インスリン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子およびインターロイキンである。
【0064】
非タンパク質薬剤タイプの有用な生物学的活性物質は、次の群から選択することができる:
抗腫瘍剤、抗生物質、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤、筋肉弛緩剤、抗てんかん剤、抗抑うつ剤、抗アレルギー調製物、気管支拡張剤、強心剤、抗不整脈剤、血管拡張剤、抗糖尿剤、抗凝固剤、止血剤、麻酔剤およびステロイド。
【0065】
一般的に微小球、マイクロカプセルまたは微粒子の構造、およびこれらの製造のために存在する種々の方法に関しては、公知の文献が参照される。しかしながら本発明に係る澱粉は、本願と同時に出願された「微粒子」と題するスウェーデン特許出願に記載されたタイプの微粒子の製造に特に適することが証明された。これの詳細については該スウェーデン特許出願が参照される。
以下の非限定的な実施例により本発明をさらに説明する。これらの実施例において、本文のその他と同様に別に述べない限り、示される%は重量%に関する。
【0066】
【実施例】
実施例1
低分子量の純粋な高度分枝状澱粉の製造
顆粒形態の澱粉(ワックス様メイズ、National Starch)を逆浸透により製造した水中に、50リットルの水当たり5kgの濃度で懸濁させた。水酸化ナトリウムをpH=11になるまで加えた。この懸濁液を30分間撹拌し、バスケット遠心分離器で遠心分離することにより、顆粒から液体を分離した。これを2回繰り返した。顆粒を水洗し、5リットルのエタノール中で週末にかけて保存した。次いで顆粒を10リットルの70%エタノール、次いで水で洗浄した。次いでこの材料を60℃の水に懸濁させたのち、40リットルの水に注ぎ、部分的にジェットミキサーを用いて撹拌しながら溶解し、この溶液は表面にある泡を生成した。次いで1500バールで合計15回の通過で剪断することにより分子量分布を低下させた(Microfluidizer 110 T, Microfluids Corp.)。この澱粉溶液を70℃に加熱し、プレフィルター(Pall profile II 20μm、10インチの直径および Pall Starclear 0.5μm、陰荷電、10インチの直径)を通して濾過し、噴霧乾燥した(200℃の入口温度、約122〜127℃の出口温度)。1,930kDaの平均分子量を有する澱粉が合計で約3kg得られた。
【0067】
原料澱粉は元素分析により決定して約0.052%の窒素を含有しており、得られた澱粉は約0.022%の窒素を含有していた。原料澱粉および洗浄澱粉の両者は1g当たり<10個の微生物を含んでいた。しかしながら、中間体の段階では1g当たり30個の微生物が認められた。これは工程の経過中に微生物の増加を防止する条件が必要であることを示している。アミノ酸窒素値は56.53μg/g澱粉(乾燥重量)であり、この澱粉はウサギに非経口的に投与したのち、Ph. Eur. 第2版による発熱物質試験に合格した。免疫応答を減少させるために澱粉をモルモットの複腔内に反復して非経口的に投与し、次いでアナフィラキシー反応を検出するために澱粉を静脈内投与したのち、この澱粉はアナフィラキシー反応を誘導する能力を有しないことが認められた。従って、得られた澱粉は非経口的調製物の製造のための必要条件を満たす。
【0068】
実施例2
非経口的使用のための澱粉の製造
75リットルの注射用水中10kgの濃度を有する澱粉懸濁液(ワックス様メイズ、Cerestar C* gel 06090)を撹拌しながら調製した。均質な懸濁液が形成されたらすぐに、0.25M水酸化ナトリウム溶液を11.0±0.2のpH値が得られるまで加え、次いでこれに注射用水をさらにつぎ足して全量80リットルにした。この懸濁液を約520ml/分の流速で湿潤篩を通してポンプ輸送した。この澱粉懸濁液を Mueller 容器中に一夜放置して沈降させ、翌日に18リットルの懸濁液が残るまで上部の液をサイホンでデカントした。72リットルの注射用水をつぎ足したのち、pH値は依然として少なくとも10.5であることが認められたので、水酸化ナトリウム溶液をさらに加える必要がなかった。この懸濁液を12時間放置し、そののち上部の液をデカントした。これを一夜沈降させてもう1回繰り返した。次いで注射用水中の0.0125M水酸化ナトリウム溶液を用いて、最初は45リットルの溶液を用いてバスケット遠心分離器でフィルターケーキをすすぎ、次いで溶液に懸濁させ、バスケット遠心分離器での遠心分離により溶液を除去することによって澱粉顆粒を洗浄した。後者の段階をもう1回繰り返した。次いで澱粉顆粒を0.1M水酸化ナトリウムおよびエタノールの等モル溶液を用いて4時間浸出し、そののちバスケット遠心分離器により溶液を分離した。この浸出を1回繰り返し、そののち澱粉顆粒を40リットルの注射用水で2回洗浄した。澱粉懸濁液のpH値を1M塩酸で6.4±1に調節し、50リットルの注射用水を用いてバスケット遠心分離器で洗浄した。この澱粉を貯蔵用フリーザーに移した。得られた量は乾燥澱粉で7.32gであった。
【0069】
得られた澱粉顆粒のうち3.7kgを採り、1.76kgの注射用水に懸濁させ、次いで27.62kgの注射用水に移し、これを100℃に加熱した。撹拌したのち、この澱粉が溶解することを肉眼で判定した。この澱粉を、孔径20および2μmの20インチプレフィルター、および0.45μmフィルターを通して、流量があまりにも低すぎると考えられるまで濾過した。この時点で<5%の澱粉溶液が残った。澱粉の分子量分布を製造業者の指示により1500バールの設定圧力で剪断することによって調節した。この圧力における流速は2.25リットル/分であった。この目的は、平均分子量が350kDa〜500kDaになるのに充分な回数で溶液をホモジナイザーに通過させることことであった。合計9回の通過を行った。次いで炭酸水素ナトリウムを10mMの最終濃度まで添加し、そしてpH値を0.5だけ調節して9.8にすることによって澱粉溶液のpHを調節した。次いで残留タンパク質を Q−Sepharose FF(Pharmacia)上のイオン交換クロマトグラフィーにより3.7リットルの全床体積を用いて除去した。イオン交換材料は予め膨潤させておき、1床体積の1M水酸化ナトリウムで、次いで2床体積の注射用水で、そののち床体積の半量の2M塩化ナトリウム溶液の3倍を流して洗浄した。この全体の順序をもう1回繰り返し、そののちイオン交換材料を導電率が2mS/cm未満になるまで注射用水ですすいだ。pH値および導電率が安定化するまで、2床体積の100mM炭酸ナトリウム、pH9.8、次いで10mM炭酸水素ナトリウムを用いて平衡化を行った。イオン交換材料および澱粉を混合し、45℃で上部に取り付けたアンカー撹拌器でゆっくり撹拌しながら約15時間保持し、次いでイオン交換材料をクロマトグラフィーカラムに集めることにより分離した。床体積は圧力を3バール未満に保つために必要な沈降可能な床体積の約1.5倍に保持した。pH値を6.4に調節したのち、プレフィルター(PALL filter cartridge Profile star 5μm、直径20インチ)および最終フィルター(PALL filter cartridge Profile star 0.5μm、直径10インチ)を予め注射用熱水のポンプ輸送により予熱したのち、これらのフィルターを通してイオン交換澱粉を濾過した。最後に、澱粉溶液を200℃の入口温度および120〜125℃の出口温度で噴霧乾燥した。
【0070】
澱粉のタンパク質含有量をアミノ酸分析により決定した。原料澱粉は約137ppmのアミノ酸窒素を含有し、湿式篩分け後に約124ppm、沈降の後に61ppmのアミノ酸窒素、pH10.5で処理した後に64ppmのアミノ酸窒素、0.0125M水酸化ナトリウム溶液で3度目に洗浄した後に54ppmのアミノ酸窒素、アルカリ/エタノール洗浄液で洗浄した後に52ppmのアミノ酸窒素、そして注射用水で洗浄した後に50ppmのアミノ酸窒素を含有していた。イオン交換クロマトグラフィー後に3重サンプリングすると、アミノ酸窒素について次の値が得られた:1.8、3.0および0.4μg/g乾燥澱粉重量。
【0071】
平均分子量を屈折率およびMALLS検出と組み合わせたゲル濾過により決定し、3回通過の後に584kDa、6回通過の後に508kDa、そして9回通過の後に434kDaであると認められた。エンドトキシン含有は、澱粉に対して確認された分析の Limbulus アメーバ様細胞比濁法(Associates of Cape Cod Int Inc)を用いて、<25EU/gと決定された。

Claims (45)

  1. a)固体形態、特に粒子、例えば顆粒であり、そして澱粉の乾燥重量で表して85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有する澱粉から出発し、
    b)この固体澱粉を、澱粉の表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンは溶解されるが澱粉は溶解されないままであるような条件下での洗浄に付し、そして溶解した物質から澱粉を分離し、
    c)段階b)で得られた洗浄澱粉を、水性媒質に溶解させ、そして
    d)澱粉溶液を、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内にある分子量分布が得られるような剪断作用による分子量低下に付することを含む、
    特に非経口的に、例えば注射により哺乳類、特にヒトに投与するための製薬上許容される澱粉の製造方法。
  2. 残留水溶性タンパク質を澱粉から除去することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 水溶性タンパク質を、澱粉の分子量を低下する段階d)を行ったのちに除去することを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 水溶性タンパク質を、澱粉の分子量を低下する段階d)を行う前に除去することを含む、請求項2に記載の方法。
  5. 段階a)を、澱粉の乾燥重量で表して95重量%を超える、好ましくは98重量%を超えるアミロペクチン含有量を有する澱粉を用いて行う、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 澱粉が、ワックス様メイズ澱粉、好ましくは天然または酸加水分解澱粉である、請求項5に記載の方法。
  7. 段階a)を、重量分布に基づいて5〜25μmの範囲の平均直径を有する澱粉粒子を用いて行う、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 段階b)における洗浄を、アルカリ性条件下で、好ましくはアルカリとして水酸化ナトリウムを用い、そして1回またはそれ以上の段階で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 段階b)における1回または数回の洗浄を、11〜14の範囲のpH値で、好ましくは2段階で行い、第一段階ではpH11〜13のアルカリ水溶液を用い、そして第二段階を水相の導入pH値が12.5〜13.5の範囲にある条件下で行う、請求項8に記載の方法。
  10. 洗浄が、水溶性のタンパク質、脂質およびエンドトキシンを溶解するためにアルカリ水溶液を用いる段階、およびより僅かに水溶性のタンパク質を溶解するためにゼイン溶解能を有する水性溶剤を用いる段階を含む、請求項8または9に記載の方法。
  11. ゼイン溶解能を有する溶剤が、1価または2価アルコールおよびケトン、好ましくは合計4個までの炭素原子を有するアルカノールもしくはアルキレングリコールまたは合計5個までの炭素原子を有するジアルキルケトンの水溶液から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 溶剤が、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびアセトンの水溶液から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 溶剤がエタノール水溶液である、請求項12に記載の方法。
  14. 段階c)における溶解を、澱粉溶液が1〜25%の範囲の濃度で得られるように行う、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 段階c)における溶解を、非経口的使用のための澱粉の製造に許容される水、好ましくは注射用水中で行う、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 段階d)における剪断作用を、材料の少なくとも80%が100〜4000kDa、好ましくは200〜1000kDa、特に300〜600kDaの範囲にある分子量分布が得られるように行う、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
  17. 段階d)における剪断作用を、高圧ホモジナイザーで行う、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
  18. 剪断作用を、1200バールを超える圧力、好ましくは1200〜1500バールの範囲の圧力で行う、請求項17に記載の方法。
  19. 澱粉からの残留水溶性タンパク質の除去を、澱粉溶液をイオン交換クロマトグラフィー、好ましくはアニオン交換クロマトグラフィーに付することにより行う、請求項2〜18の何れか1項に記載の方法。
  20. 澱粉からの残留水溶性タンパク質の除去を、電気泳動により行う、請求項2〜18の何れか1項に記載の方法。
  21. 段階b)における洗浄の前に、出発澱粉から非澱粉物質を、好ましくは篩分けおよび/または沈降作用により除去する、請求項1〜20の何れか1項に記載の方法。
  22. 澱粉粒子よりも大きな物質を湿式篩分けにより除去し、そして澱粉粒子よりも小さな物質を沈降作用により除去する、請求項21に記載の方法。
  23. 40μmよりも大きな非澱粉物質を除去し、そして好ましくは5μmよりも小さな非澱粉物質も除去する、請求項21または22に記載の方法。
  24. 段階d)における剪断作用の前に、残留する粒状の非澱粉物質を澱粉溶液の濾過により、好ましくは20μmフィルターを通して、場合によりその後に0.5μmフィルターを通して除去する、請求項1〜23の何れか1項に記載の方法。
  25. 段階d)における剪断作用から得られた溶液を濾過に付して、該剪断作用の間に生成した粒状汚染物を除去し、濾過を5μmフィルターを用いて行う、請求項1〜24の何れか1項に記載の方法。
  26. 澱粉から残留水溶性タンパク質を除去したのち、濾過を好ましくは5μmプレフィルターおよび0.5μmフィルターを通して行って粒状汚染物を全て除去する、請求項2〜25の何れか1項に記載の方法。
  27. 澱粉1g当たり少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.8mlのイオン交換材料の沈降床体積をイオン交換クロマトグラフィーに用いる、請求項19〜26の何れか1項に記載の方法。
  28. 精製澱粉を最終乾燥段階に、好ましくは噴霧乾燥に付する、請求項1〜27の何れか1項に記載の方法。
  29. 段階b)における洗浄が、チオグリコレート溶液で洗浄して僅かに水溶性のタンパク質を除去することを含む、請求項1〜28の何れか1項に記載の方法。
  30. a)85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、該アミロペクチンの分子量が、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように、好ましくは剪断作用により低下されており、
    b)澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも50μgのアミノ酸窒素、好ましくは澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μg、より好ましくは多くとも10μm、最も好ましくは多くとも5μmのアミノ酸窒素の純度を有し、
    c)水に25重量%を超える濃度で溶解することができる、
    特に非経口的に、好ましくは注射により哺乳類、特にヒトに投与するための製薬上許容される澱粉。
  31. a)85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、該アミロペクチンの分子量が、好ましくは材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように、剪断作用により低下されており、
    b)澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも50μgのアミノ酸窒素、好ましくは澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μg、より好ましくは多くとも10μm、最も好ましくは多くとも5μmのアミノ酸窒素の純度を有し、
    c)ヒドロキシエチル澱粉に存在するタイプの共有結合した追加の化学基を含まない、
    特に非経口的に、好ましくは注射により哺乳類、特にヒトに投与するための製薬上許容される澱粉。
  32. インビトロでゲル化する能力を示す、請求項30または31に記載の澱粉。
  33. エマルジョン系、特に二相水性系中で微粒子を形成する能力を示す、請求項30または31に記載の澱粉。
  34. 25EU/g未満のエンドトキシン含有量を有し、そして1g当たり100個未満の微生物を含有する、請求項30〜33の何れか1項に記載の澱粉。
  35. 請求項1〜29の何れか1項に記載の方法により得られる、請求項30〜34の何れか1項に記載の澱粉。
  36. アミロペクチンの分子量が、100〜4000kDa、好ましくは200〜1000kDa、より好ましくは300〜600kDaの範囲内にある、請求項30〜35の何れか1項に記載の澱粉。
  37. 水に30重量%を超える、好ましくは40重量%を超える、より好ましくは45重量%を超える濃度で溶解することができる、請求項30〜36の何れか1項に記載の澱粉。
  38. 熱感受性および/または有機溶剤に不安定な物質、特にタンパク質との組み合わせを可能にするのに充分長い期間、高くとも60℃、好ましくは20〜45℃、特に30〜37℃の温度で溶液のままである、請求項30〜37の何れか1項に記載の澱粉。
  39. 組み合わせを、物質の生物活性を保持することができる条件で行う、請求項38に記載の澱粉。
  40. 水に溶解したときに、1〜55℃、特に4〜37℃の温度で固化する、請求項30〜39の何れか1項に記載の澱粉。
  41. 1〜10℃、特に約4℃の初期温度、次いで20〜55℃、好ましくは25〜40℃、特に約37℃の温度にさらしたときに固化する、請求項40に記載の澱粉。
  42. 澱粉が、請求項30〜41の何れか1項で定義した澱粉である、特に非経口的に、好ましくは注射により哺乳類、特にヒトに投与するための生物学的活性物質の担体としての澱粉に基づく微粒子。
  43. 10〜200μm、好ましくは20〜100μm、特に20〜80μmの範囲の平均粒径を有する、請求項42に記載の微粒子。
  44. インビトロで酵素作用により溶解されるかまたはインビボで生物学的組織から除去される能力を示す、請求項42または43に記載の微粒子。
  45. 生物学的活性物質がタンパク質である、請求項42〜44の何れか1項に記載の微粒子。
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