JP2004513914A - 非経口的投与可能な微粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
【技術分野】
本発明は、生物学的活性物質の投与のためのガレヌス処方物(galenic formulation)、より具体的には、生物学的活性物質、特に薬剤の非経口的投与を主に意図した制御放出のための微粒子の分野にある。より具体的には、本発明は、生物学的活性物質を含有するこのような粒子の新規な製造方法、およびこの方法により得ることのできる制御放出のための新規な粒子に関する。
【0002】
【発明の背景】
多くの薬剤は注射により投与しなければならない。なぜならば、それらを例えば経口的もしくは経鼻的にまたは直腸経路で投与すると、分解を受けるかまたは不充分に吸収されるからである。非経口的使用を意図した薬剤処方物は、ヒトに対する使用の取締り当局によって認可されるために、多数の必要条件を満たさなければならない。従って、それは生体親和性および生物分解性でなければならず、そして全ての使用物質およびそれらの分解産物は無毒性でなければならない。加えて、注射を意図した粒状薬剤は、注射針を通過するのに充分小さいことが必要であり、これは好ましくは粒状薬剤が200μmよりも小さい必要があることを意味する。薬剤は調製物においてその製造もしくは貯蔵中または投与後に大きな程度で分解してはならず、そして生物学的活性形態で再現性ある動態で放出されるべきである。
【0003】
生体親和性、および無害な最終産物への生物分解性の必要条件を満たすポリマーの一つのクラスは、乳酸、グリコール酸およびこれらの混合物に基づく線状ポリエステルである。これらのポリマーは以下にPLGAとも呼ばれる。PLGAはエステル加水分解により乳酸およびグリコール酸に分解され、そして優れた生体親和性を有することが示されている。さらに、PLGAの無害な性質は、これらのポリマーに基づく幾つかの非経口的遅延放出調製物が米国食品医薬品局を含む取締り当局によって認可されることで例証することができる。
【0004】
現在市販されているPLGAに基づく非経口的投与可能な遅延放出製品としては、Decapeptyl TM (Ibsen Biotech)、Prostap SR TM (Lederle)、Decapeptyl(登録商標) Depot (Ferring) および Zoladex(登録商標)(Zeneca) が挙げられる。これらの調製物中の薬剤は全てペプチドである。換言すれば、それらは比較的低い重合度を有するポリマーに縮合したアミノ酸から構成されており、そしてそれらは充分に明らかにされた三次元構造を有していない。次にこのことは、通常これらの製品の製造中に比較的厳しい条件の使用を可能にする。例えば、押し出しおよび後続の粉砕を利用することができるが、これらの技術はタンパク質に関してはたぶん許容されないだろう。なぜならば、タンパク質は一般的に言って、このような厳しい条件に耐えないからである。
【0005】
従って、タンパク質に対しても制御放出調製物の要望がある。タンパク質は、それらもアミノ酸からなる点でペプチドに類似するが、その分子はより大きく、そして大部分のタンパク質は、生物学的活性および免疫原性を含むそれらの特性の多くに関して、充分に明らかにされた三次元構造に依存している。それらの三次元構造は比較的容易に、例えば高温、表面誘導変性および多くの場合に有機溶剤にさらされることによって破壊されうる。従って、本来はタンパク質の遅延放出のための優れた材料であるPLGAの使用に関する極めて重大な欠点は、有機溶剤を用いてこのPLGAを溶解する必要があることであり、タンパク質の安定性が損なわれるという危険、そしてタンパク質の立体配座の変化が患者の免疫学的反応をもたらし、この反応が阻害性抗体の形成による治療的効果の損失および毒性副作用の双方を生じうるという危険が付随する。複合タンパク質がその三次元構造を全ての点で保持しているかどうかを確実に決定することは著しく困難なので、タンパク質を立体配座の変化を誘導するかもしれない条件にさらすのを避けることは極めて重要である。
【0006】
製造工程中のタンパク質の不安定性に関するこの固有の問題を避けるために、PLGA技術の改変をめざした熱心な努力にもかかわらず、この分野における進歩は極めて遅かった。その主な理由はたぶん、大部分のタンパク質の三次元構造が、用いられる製造条件に耐えるためには、またPLGAマトリックスの分解により形成される化学的酸性環境に耐えるためには、あまりにも敏感であることである。科学文献は有機溶剤にさらすためにPLGA微小球の製造における安定性の問題に関する多数の記載を含んでいる。PLGAマトリックスが分解する際に形成される酸性環境の一例として、約40μmの直径を有するPLGA微小球のpH値が1.5まで下がり、これは多くの治療上有用なタンパク質を変性させるか、そうでなければ損傷を与えるのに全く充分であることが最近示された(Fu ら, Visual Evidence of Acidic Environment Within Degrading Poly(lactic−co−glycolic acid) (PLGA) Microspheres, Pharmaceutical Research, Vol. 17, No. 1, 2000, 100−106)。微小球がより大きな直径を有するならば、酸性分解産物の拡散消失がより困難になり、そして自触媒反応が強められるという事実のためにpH値はさらに低下すると予想することができる。
【0007】
タンパク質およびペプチドのような水溶性物質のカプセル封入に現在最も普通に用いられる技術は、多相エマルジョン系の使用である。薬剤物質は水溶液または緩衝液に溶解され、続いて溶解したポリマーを含有する水非混和性有機溶剤と混合される。内相として水相を有するエマルジョンが形成される。異なる種類の乳化剤および激しい混合が、この第一エマルジョンの生成にしばしば用いられる。次いでこのエマルジョンは、激しく撹拌しながら、水/油/水型の三相エマルジョンを生成する別のポリマー、例えばポリビニルアルコールを含む別の液体、通常は水に移される。微小球は次に何らかの手段で硬化される。最も普通の手段は、低沸点を有する有機溶剤、典型的にはジクロロメタンを利用し、そして溶剤を留去することである。有機溶剤が水と完全に非混和性でないならば、より多くの水を三相エマルジョンに加えることにより、連続抽出手法を使用することができる。この一般的手法に関する多数の変法も文献に記載されている。一定の場合、一次エマルジョンは非水相、例えばシリコーン油と混合される。固体薬剤材料を、溶解した材料の代わりに用いることもできる。
【0008】
タンパク質を含有するPLGA微小球は WO−A1−9013780 に記載されており、その主要な態様は、タンパク質における高い生物学的活性を保存する目的で、微小球の製造中に極めて低い温度を用いることである。マイクロ封入されたスーパーオキシドの不同変化のための活性は測定されるが、粒子から放出された部分についてだけである。この方法は、ヒト成長ホルモンをPLGA含有塩化メチレンに分散させ、微細液滴を凍結させるために、得られた分散液を液体窒素層の下にある凍結エタノールの容器に噴入し、そしてこれらの液滴をエタノール上の窒素中に沈降させることによる、WO−A1−9412158 におけるヒト成長ホルモン含有PLGA微小球の製造に用いられている。続いてエタノールを解凍すると微小球はエタノール中に沈み始め、そこで塩化メチレンがエタノール中に抽出され、そして微小球が硬化される。この方法を用いると、タンパク質をPLGA微小球に封入するための他の大部分の方法よりも良好にタンパク質の安定性を保持することができ、そしてまた最近、ある製品が米国の取締り当局によって認可された。しかしながら、これは他のタンパク質についてまだ明確に実証されておらず、そして封入された生物学的活性物質がPLGAマトリックスの分解中に極めて低いpHにさらされるという問題が残っている。
【0009】
PLGAによるカプセル封入に基づく上記の方法において、活性物質は依然として有機溶剤にさらされ、そしてこれは一般的にいって、タンパク質の安定性にとって有害である。さらに、これらの論じたエマルジョン方法は複雑であり、そして工業的規模に拡大しようとする何れの試みにおいても、たぶん問題となる。そのうえ、これらの方法の多くに利用される有機溶剤の多くは環境問題に関連しており、そしてPLGAポリマーに対するその高い親和性はその除去を困難にする。
【0010】
生物学的活性物質が微小球マトリックスの生物分解中に化学的酸性環境にさらされ、そして製造工程中に有機溶剤にさらされることによって生じる上記の問題を解決しようとする多数の試みが記載されている。分解中の酸性環境を避けるために、微小球のマトリックスとしてのPLGAを、化学的に中性の分解産物を生成するポリマーに換えようとする試みがなされており、そして生物学的活性物質が有機溶剤にさらされるのを避けるために、あらかじめ微小球を製造しておき、それらを一旦加工および乾燥してしまったときにだけ、生物学的活性物質を負荷しようとする試みが行われており、または微小球の製造中に有機溶剤を除外または制限しようとする試みがなされている。有機溶剤にだけ溶解できるポリマーを用いる場合に溶剤の使用量を制限する方法がWO 99/20253 に記載されており、この方法では、エマルジョンの形成にPEG水溶液を用いることによってこの制限が得られる。この刊行物には、微粒子に取り込まれる生物学的活性物質を濃縮または固化するための技術に関する議論がない。
【0011】
一例として、比較的低分子量の高度分枝状澱粉(マルトデキストリン、平均分子量約5,000Da)は、この澱粉を微小球に固化することのできる形態に変換するためにアクリル基との共有結合により改変され、得られたポリアクリル澱粉は、外相としてトルエン/クロロホルム(4:1)を含むエマルジョン中でのラジカル重合により粒状形態に変換された(Characterization of Polyacryl Starch Microparticles as Carriers for Proteins and Drugs, Artursson ら, J Pharm Sci, 73, 1507−1513, 1984)。タンパク質をこれらの微小球中に閉じ込めることはできたが、製造条件はエマルジョンの製造に際して生物学的活性物質を有機溶剤および高い剪断力の両者にさらす。得られた微小球が酵素的に溶解されると、そのpHは中性に保持されると予想することができる。得られた微小球は多くの理由で非経口的投与、特に反復非経口的投与には適しない。数ある中で最も重要なことは、澱粉マトリックス(Biodegradable Microspheres IV, Factors Affecting the Distribution and Degradation of Polyacryl Starch Microparticles, Laakso ら, J Pharm Sci 75, 962−967, 1986)、および澱粉分子を架橋する合成ポリマー鎖の両者の生物分解性が不完全で、かつ極めて遅いことである。さらに、これらの微小球は持続放出のために組織への注射に適するためにはあまりにも小さすぎ、直径<2μmである。なぜならば、組織マクロファージがそれらを容易に貪食できるからである。高度分枝状澱粉にアクリル基を結合させるために、潜在的に生物分解性のエステル基を導入することによって分解速度および分解度を高めようとする試みは、意図した結果を引き起こすのに失敗し、そしてこれらのポリアクリル澱粉微小球でさえも、かなりの時間にわたってあまりにもゆっくりと、かつ不完全に分解された(BIODEGRADABLE MICROSPHERES: Some Properties of Polyacryl Starch Microparticles Prepared from Acrylic acid Esterified Starch, Laakso および Sjoeholm, 1987 (76), pp. 935−939, J Pharm Sci.)。
【0012】
ポリアクリルデキストランの微小球が二相水性系中で製造された(Stenekes ら, The Preparation of Dextran Microspheres in an All−Aqueous System: Effect of the Formulation Parameters on Particle Characteristics, Pharmaceutical Research Vol. 15, No. 4, 1998, 557−561、および Franssen および Hennink, A novel preparation method for polymeric microparticles without using organic solvents, Int J Pharm 168, 1−7, 1998)。この手法モードを用いると、生物学的活性物質が有機溶剤にさらされるのが防止されるが、その他については、上記のポリアクリル澱粉について説明した特性と同等の特性を微小球が獲得し、このことがそれらを反復非経口的投与には不適当にする。ヒトが特定のデキストラン分解酵素を持たないことを念頭に置けば、分解速度はポリアクリル澱粉微小球よりもいっそう遅いに違いない。デキストランの使用は重大なアレルギー反応の一定の危険とも関連する。
【0013】
化学的に改変されていない澱粉を用い、外相として油を用いる澱粉微小球の製造が記載されている(US 4,713,249; Schroeder, U., Crystallized carbohydrate spheres for slow release and targeting, Methods Enzymol, 1985 (112), 116−128; Schroeder, U., Crystallized carbohydrate spheres as a slow release matrix for biologically active substances, Bio−materials 5:100−104, 1984)。これらの場合に微小球はアセトン中での沈殿により固化され、これは生物学的活性物質を有機溶剤にさらすこと、および澱粉が物理的架橋により固化する自然の傾向を製造工程中に利用しないことの双方に導く。これは次には澱粉が水に再懸濁されたのち、そして体液にさらされたときに、このような架橋を形成しようとするであろうから、固有の不安定性を有する微小球に導く。油中水滴型エマルジョンを得るためには高い剪断力を必要とし、そして形成された微小球は、非経口的持続放出に適するためにはあまりにも小さすぎる。
【0014】
EP 213303 A2 には、澱粉が物理的架橋の形成により固化する自然の能力を利用し、そして生物学的活性物質を有機溶剤にさらすのを避ける目的で、これらの微小球中に物質を固定化することを利用して、特に化学的に改変されていない澱粉の微小球を二相水性系中で製造することが記載されている。明らかにされた澱粉品質と組み合わせたこの記載された方法は、完全に生物分解性の粒子を生じない。得られた粒子もまた、記載された澱粉品質があまりにも多量の外来植物性タンパク質を含有するので、注射に、特に長期間にわたる反復注射には適しない。この特許により教示されたこととは対照的に、驚くべきことに、二相水性系の形成に要求されるよりも著しく高いポリマー濃度を用いるならば、生物学的活性分子の著しく良好な収率およびより高い負荷量を得ることができ、そしてこれが安定で非凝集性の微小球を得るための条件およびそれらの粒度分布に関しても利益をもたらすことを見出した。記載された熱処理は敏感な巨大分子には使用することができず、そして同じことはエタノールまたはアセトンを用いる乾燥を含む工程にも当てはまる。
【0015】
二相水性系中で微小球を製造する別法が記載されている。US 5 981 719 においては、生物学的活性巨大分子をこの巨大分子の等電点に近接したpHでポリマーと混合し、そしてエネルギー、好ましくは熱の供給により微小球を安定化することによって微粒子が製造される。調製物中の巨大分子、すなわち生物学的活性物質の最低割合は40%であり、これは大部分の用途にとって高すぎ、そして微粒子の用量があまりにも低くなるので、活性物質の注射量がはなはだ不確実になる。この製造方法は温和であり、そして閉じ込められた生物学的活性物質の生物学的活性を保持できると記載されているとしても、微粒子は加熱により安定化され、そして挙げられた実施例において、加熱は少なくとも58℃に30分間、多くの場合70〜90℃に同等の時間行われ、これが敏感なタンパク質によって耐えられると予想することはできず、その生物学的活性は三次元構造に依存しており、そしてタンパク質が製造工程に耐えた場合であっても、小さいが、それにもかかわらず取るに足らなくはないタンパク質の立体配座の変化が起こる危険が依然として存在する。外相としては二つのポリマー、一般的にポリビニルピロリドンおよびPEGの組み合わせが常に用いられ、これは、これら両物質を再現性があり、かつ安全な手段で微小球から洗浄除去しなければならない点で製造工程を複雑にする。形成された微粒子は、例えば皮下注射後の非経口的持続放出に適するためにはあまりにも小さい(実施例には直径0.1μm未満の値が示されている)。なぜならば、マクロファージ(これらは粒子の貪食を専門とし、そして組織に存在する細胞である)は、5〜10、たぶん20μmまでの微小球を容易に貪食することができ、そして貪食された粒子は細胞内のリソソームに局在化され、そこで粒子および生物学的活性物質の両者が分解され、そうすると治療効果が失われる。極めて小さな粒径もまた、濾過のような望ましい方法を使用できないので、微小球の加工をいっそう複雑にする。同等のことは US 5 849 884 にも当てはまる。
【0016】
US 5 578 709 および EP 0 688 429 B1 には、巨大分子微粒子溶液の製造に二相水性系を用い、そして脱水した巨大分子を化学的または熱的に架橋させて微粒子を形成することが記載されている。生物学的活性巨大分子を化学的に架橋させることは、それ自体にとってまたは微粒子マトリックスにとっても全く望ましくない。なぜならば、この種の化学的改変は多くの重大な欠点を有し、例えば敏感なタンパク質の生物活性が低下し、そしてタンパク質の新たな抗原決定基に対する免疫反応を誘導する危険があり、製品の安全性を調査する広範な毒物学的研究が必要になるからである。グルタルアルデヒドとの化学的架橋によって製造された微粒子は以前に知られているが、ヒトへの非経口的反復投与には一般的に不適当と考えられる。US 5 578 709 に記載された微粒子は一般的な表現で US 5 981 719 について説明したのと同じ欠点をこうむり、製造条件は敏感なタンパク質を化学的改変または有害な温度にさらすことによって不適当であり、そして微小球の粒度分布は非経口的持続放出には狭すぎ、かつ微小球の製造後の工程を複雑にする。
【0017】
WO 97/14408 には、非経口的投与後の持続放出用の微粒子を製造するために、生物学的活性物質が有機溶剤にさらされることのないエアサスペンション技術を使用することが記載されている。しかしながら、この刊行物は本発明に係る方法およびそれにより得ることのできる新規な微粒子に向けた手引きを与えていない。
【0018】
US 5 470 582 においては、有機溶剤を用いて微小球それ自体を最初に製造し、次いで、有機溶剤が既に除去されている後段階で巨大分子を負荷する2段階方法により、PLGAから構成され、かつ巨大分子を含有する微小球が製造される。この手法は、あまりにも低い生物学的活性物質含有量、一般的に1〜2%に導き、そして注射直後に放出される極めて大きな画分に導き、これは極めてしばしば全く不適当である。このあまりにも急速な初期放出量は、1%の負荷量と仮定しても既に極めて高く、そして微小球中の活性物質含有量がより高ければ、よりいっそう顕著になる。PLGAマトリックスが分解すると、pHは敏感な巨大分子には一般的に許容されないレベルまで下がる。
【0019】
澱粉が微粒子のための理論的に極めて適切な、おそらく理想的でさえあるマトリックス材料であることは、長い間知られている。なぜならば、澱粉は有機溶剤に溶解する必要がなく、自然に固化する傾向を有するからであり、そして体内には澱粉を内在性の天然物質に、最後にはグルコースに分解できる酵素があるからであり、そして内在性グリコーゲンとの類似性により、澱粉は非免疫原性であることが示されているからである。熱心な努力にもかかわらず、非経口的使用に適する微粒子の製造を可能にする特性を有する澱粉、およびタンパク質のような敏感な生物学的活性物質が閉じ込められるようになるのを可能にする温和な条件下で、完全に生物分解性の微粒子の製造を可能にする条件は、以前に記載されたことがない。
【0020】
澱粉顆粒は、それらを非経口的注射にとって不適当にする不純物、例えば澱粉タンパク質を当然に含有している。精製が不充分な澱粉が故意でなく付着する場合、例えば多くの型の作業グローブに安定化された澱粉顆粒が振りかけられる操作において起こりうるように、極めて重大な二次的効果が生じることがある。澱粉顆粒もまた、許容される時間幅以内に完全に生物分解されないという理由で、反復非経口的投与には本質的に適しない。
【0021】
酸加水分解され精製された澱粉で製造された澱粉微小球は、ヒトへの非経口的投与に用いられている。これらの微小球は強アルカリ性条件下にエピクロルヒドリンで化学的に架橋させることにより製造された。のちに澱粉によって獲得されたこの化学的改変は低下した生物分解性に導き、従って微小球はα−アミラーゼのような内在性酵素によって完全に溶解することができるが、最終産物としてのグルコースに完全には変換されない。製造方法または得られた微小球のどちらも、敏感なタンパク質の固定化に適しもしなければ、本質的に加水分解アミロースに基づくこのような酸加水分解澱粉も、完全に生物分解性の澱粉の製造、またはタンパク質のような生物学的活性物質を高い負荷量で含有する澱粉微小球の製造には適しない。
【0022】
ヒドロキシエチル澱粉(HES)はヒトに高い用量で代用血漿として非経口的に投与される。HESは、概してもっぱら高度分枝状アミロペクチン、いわゆる「ワックス様メイズ」からなる澱粉からの澱粉顆粒によって製造され、分子量分布を低下させるために酸加水分解され、続いてアルカリ性条件下でヒドロキシエチル化され、そして約200,000Daの平均分子量を得るために再度酸加水分解される。こののち、濾過、アセトンでの抽出および噴霧乾燥が行われる。ヒドロキシエチル化の目的は、未改変アミロペクチンがα−アミロースにより極めて急速に分解され、その循環滞留時間が約10分なので、効果の持続時間を延長することである。HESは生物学的活性物質を含有する完全に生分解性の微小球の製造には適しない。なぜならば、化学的改変が生物分解の速度および完全性をかなり低下させ、そして澱粉が非共有結合架橋の形成により固化する自然の傾向の消失をもたらすからである。さらに、HESの高濃度溶液は微小球の製造に使用できるためにはあまりにも粘稠すぎるようになる。これらの高い用量でのHESの使用は非経口的使用可能な澱粉を製造できることを示しているが、HESは化学的架橋または有機溶剤での沈殿を行わずには微粒子の製造に使用できない。
【0023】
WO 99/00425 には、表面関連タンパク質の澱粉顆粒を一掃するために広い最適pHを有する耐熱性タンパク質分解酵素の使用が記載されている。得られた顆粒は非経口的投与には適しない。なぜならば、それらは顆粒中に存在する澱粉タンパク質をなお含有しており、そして添加したタンパク質分解酵素の残留物が顆粒中に残されるという危険があるからである。これらの顆粒もまた、非経口的投与可能な澱粉微小球を二相水性系中で製造するためには適しない。なぜならば、それらは溶解されたのちでさえ、充分高い濃度で使用できるにためには悪い分子量分布を有し、そして微小球が得られたとしても、それらはたぶん完全に生物分解性ではないからである。
【0024】
錠剤を製造するためのより良好な澱粉を製造する目的で、剪断作用を用いて澱粉の分子量分布を改変することが US 5,455,342 および WO 93/21008 に記載されている。得られた澱粉は澱粉タンパク質(これらは剪断作用ののちに変性された形態で存在するかもしれない)の高い含有量のために非経口的投与には適さず、そしてこの得られた澱粉もまた、非経口的投与のための生物分解性澱粉微小球の製造、またはこのような澱粉微小球を製造するための二相水性系中での使用には適しない。剪断作用は WO 96/10042 に開示されているように、ヒドロキシエチル澱粉の製造にも用いられている。しかしながら同様の理由で、このようなヒドロキシエチル澱粉は上記で言及したように非経口的投与または微小球の製造の何れにも適しない。
【0025】
多くの場合に、生物学的活性物質、例えば薬剤を、例えばその安定性を改善し、そして/または問題の物質の処方物の効果的な製造を可能にするために、可溶性形態から固体形態に改変することが必要であるかまたは望ましい。例えば、乳化操作を利用するカプセル封入手順において、生物学的活性物質が外相または外相と内相との間の界面に輸送されるのを避けることにより高い効力を得るため、そして該物質の生物学的活性を保持するために、固体形態の生物学的活性物質を用いる必要がある場合がある。苛酷な製造条件に耐える物質については、押し出しおよび粉砕を用いることができるが、タンパク質のような敏感な生物学的活性物質については、化学的錯化により固体形態を獲得する大部分の場合に問題がある。市販のこのような薬剤調製物の周知の一例は、亜鉛と錯結合した結晶質インスリンである。
【0026】
このように、タンパク質およびペプチドについては、生物学的活性物質を固体形態に変換するために、二価金属イオン、好ましくは亜鉛との錯結合が用いられてきたことは周知である。しかしながら、このような手順には多数の欠点がある。一つの欠点は、全ての興味深い生物学的活性物質の使用可能な錯体の形成が不可能であること、および研究の関係において用いられる多くの錯化剤が非経口的投与に許容されないことである。別の欠点は、しばしば複雑な化学であり、これには見かけ上は簡単な場合でさえも、制御してよく特性決定するために著しい量の努力を必要とすることがある。別の欠点は、一定の国の取締り当局が、周知かつ市販の物質であっても、このような錯化ののちには新しい物質とみなすべきであると考えることであり、これは化学、安全性および臨床上の観点から広範囲かつ極めて費用のかかる特性決定を要求することになる。他の欠点は、活性物質を固体および乾燥形態に変換しようとする場合に持ち込まれる。なぜならば、これは装置の費用がかさみ、そして多くの場合に複雑化することのある噴霧および乾燥手順を伴うからである。多くの敏感な物質は、噴霧液滴を形成するために必要な空気/水または空気/有機液体の界面に、または剪断力にさらされることには耐えられないからである。固体形態に変換された物質をそれが乾燥されたのちに分散または再懸濁させる際の問題については、例えば、許容される条件の使用により個別的に動かすことができないような様式でこれらの粒子が互いに付着するという事実のために、使用可能な結果が得られないこともまた珍しいことではない。これらの多くの手順において有機溶剤が用いられ、その危険性は、敏感な生物学的活性物質およびこれらの物質と接触するスタッフに対して有害であり、そして環境に対して不利な影響を有することである。
【0027】
US 5,654,010 および US 5,664,808 には、無定形錯体を作成するために亜鉛との錯化により固体形態の組み換えヒト成長ホルモン、hGHを製造することが記載されており、これを次いで超音波ノズルを通して超微粉砕し、そして液滴を凍結させるために液体窒素中に噴霧する。次いで液体窒素を−80℃の温度で蒸発させ、そして得られた材料を凍結乾燥する。この手順が複雑であり、そして一般的に適用が困難であることのほかに、生物学的活性物質が水/空気の表面にさらされ、そして形成されたタンパク質の無定形形態が塩化メチレンに懸濁される噴霧手順を含んでいる。塩化メチレンは、毒性学的観点から患者および作業スタッフの両者に対して全く望ましくない有機溶剤である。
【0028】
従って、非経口的投与可能であり、かつ下記の特色を有する澱粉調製物の製造方法が著しく望ましいであろう:
・ 敏感な生物学的活性物質を、それらの生物学的活性を保持しながら微粒子中に閉じ込めるのを可能にする方法;
・ その方法により、生物学的活性物質が有機溶剤、高温または高剪断力にさらされることがなく、そしてそれらの生物学的活性の保持を可能にする条件下で該物質を閉じ込めることができる方法;
・ 非経口的投与可能な調製物に、敏感な生物学的活性物質でさえも高く負荷するのを可能にする方法;
・ その方法により、非経口的注射に適し、そして分解すると化学的に中性の内在性物質が形成される、実質的に完全に生物分解性で生体親和性の調製物を製造することができる方法;
・ その方法により、組織マクロファージの貪食作用を避ける目的で、20μmを超える、好ましくは30μmを超える大きさを有する非経口的注射可能な調製物を製造することができ、そして調製物の製造中の加工を簡単にする方法;
【0029】
・ 制御、持続または遅延放出のための調製物の製造における中間生成物として微粒子を使用することができ、そして閉じ込められた生物学的物質の化学的安定性および生物学的活性の厳格な品質管理を可能にする、生物学的活性物質を含有する微粒子の製造方法;
・ 実質的に完全に生物分解性の澱粉微粒子の製造に適する非経口的に許容される澱粉を利用する方法;
・ 非経口的注射可能な調製物に取り込まれる生物学的活性物質が、化学的錯生成剤を用いることなく、濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 取り込まれる生物学的活性物質が、化学的錯化剤を用いることなく、そしてこの物質の生物学的活性を保持して濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 非経口的投与可能な調製物に取り込まれる生物学的活性物質が、この物質を空気/水または空気/有機溶剤界面にさらすことなく、濃縮または固化するのを可能にする方法;
【0030】
・ 非経口的投与可能な調製物に取り込まれる生物学的活性物質が、噴霧工程または乾燥工程を用いることなく、濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 微粒子中への取り込みにより事前に安定化することなく、生物学的活性物質の再構築段階および/または再懸濁段階の回避を可能にする方法;
・ 取り込まれる生物学的活性物質が、さらに化学的錯化剤を導入することなく、微粒子の製造のために二相水性系を用いて濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 非経口的注射に適し、分解すると化学的に中性の内在性物質を形成する、実質的に完全に生物分解性で生体親和性の微粒状調製物;
・ 生物学的活性物質を含有し、そしてエアサスペンション技術による被覆に適する粒度分布を有し、かつこの目的に充分な機械的強度を有する微粒状調製物;
・ 非経口的投与後に制御放出を与える、生物学的活性物質を含有する被覆微粒子調製物。
【0031】
【発明の詳述】
本発明の第一の態様によれば、本発明は微粒子の製造方法を提供する。より具体的には、本発明は、生物学的活性物質を含有し、そしてこの物質を哺乳類、特にヒトに主として非経口的に投与することを意図した微粒子の製造に関する。第一に、注射を意図した微粒子の製造が問題である。微粒子は主として注射に意図されるので、好ましくは0〜200μm、通常20〜100μm、特に20〜80μmの範囲内の平均直径を有する粒子の製造が問題である。
【0032】
本発明に関して「微粒子」という表現は、本来公知の当技術による一定の大きさの粒子のための一般的用語として用いられる。従って微粒子の一つのタイプは実質的に球形の形態を有する微小球によって構成されるが、微粒子という用語はこのような完全な球形の形態からのずれを一般的に包含することができる。本来公知のマイクロカプセルという用語も、先行技術による微粒子という表現によって包含される。
【0033】
より具体的には、本発明に係る方法は、
a)微粒子に取り込まれる生物学的活性物質の水溶液を調製し、
b)段階a)で得られた溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、生物学的活性物質が濃縮および/または固化するような条件下で混合し、
c)場合により、段階b)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を洗浄し、
d)段階b)またはc)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を澱粉水溶液と混合し、
e)段階d)で得られた組成物と二相水性系の形成能を有するポリマーの水溶液とを、該ポリマー溶液の外相中の内相として生物学的活性物質を含有する澱粉液滴のエマルジョンが形成されるように混合し、
f)段階e)で得られた澱粉液滴を、固化させるかまたは固化を可能にして澱粉微粒子にし、
g)段階f)からの澱粉微粒子を乾燥し、そして
h)場合により、段階g)からの乾燥澱粉微粒子に生体親和性および生物分解性ポリマーの放出制御性外皮を施すことを含む。
【0034】
生物学的活性物質は閉じ込め段階において可溶性形態で存在するので、生物学的活性物質を高度に効果的な手段で微粒子中に取り込むことは一般的に可能であるが、一定の場合には生物学的活性物質を固体形態に変換することが好ましい。例えば、生物学的活性物質を閉じ込め段階中にさらに安定化すること、生物学的活性物質を内相(澱粉溶液)と混合したのちに外相中にまたは内外相間の界面に分布できない形態に変換することにより該物質の収率または負荷量をさらに上昇させること、または澱粉微粒子の製造中に該物質をできるだけ不活性な形態に変換すること(このためには、例えば微粒子の粒度分布に関して改善された特性が要求される)が重要な場合がある。
【0035】
こうして、全く驚くべきことに、二相水性系の外相を作成するためのポリマーとしてしばしば用いられるPEGを、閉じ込められる生物学的活性物質を濃縮および/または固化させるためにも使用できること、そしてこれを、例えばタンパク質の三次元立体配座および生物学的活性を保存できる温和な条件下で実現できることを見出した。
【0036】
この方法は、先行技術と比較して多くの利点を有する。この根拠は、全ての生物学的活性物質が例えば亜鉛と化学的に錯結合できるとは限らないこと、そして全ての錯化剤が非経口的投与に許容されるとは限らないことである。第一に、生物学的活性物質、好ましくはタンパク質またはペプチドを、濃縮および/または固化を得るために錯結合させる必要がない。第二に、この方法の使用は、可溶性タンパク質と比較して、微粒子中に取り込む間にしばしばより良好な安定性をも生じさせる。この方法が生物学的活性物質を微粒子中に取り込む前の噴霧または乾燥工程を含まないという事実は、生物学的活性物質を高い剪断力および界面(空気/水または空気/有機溶剤)にさらすことが回避されることをも意味する。小さな乾燥粒子に極めて普通のことである静電荷による凝集も回避される。生物学的活性物質の乾燥粉末の湿潤および再懸濁に関する問題も回避することができる。純粋に一般的に言って、噴霧工程は複雑で制御が不充分でもある。生物学的活性物質を乾燥形態に変換するために凍結および緩慢な解凍のような工程段階を利用することも必要でない。生物学的活性物質を濃縮/固化形態に変換するために有機溶剤を用いないことも、独特な利点である。
【0037】
本発明に係る方法の段階a)では、この分野で周知であり、ここでさらに詳細に説明する必要のない方法により、生物学的活性物質の水溶液を調製する。しかしながら、これに基本的なことは、生物学的活性物質の生物活性が保存されるような、主に温度および撹拌に関して温和な条件下で溶液を調製することである。さらにこの分野では、溶液のpHを管理または調節するために、非経口的使用に許容される周知の緩衝物質がしばしば用いられる。必要ならば、例えばイオン強度およびオスモル濃度を調節するために、この分野で周知の非経口的使用に許容される物質を使用することもできる。
【0038】
段階b)においてポリエチレングリコールの水溶液を使用することにより、生物学的活性、例えばタンパク質の濃度を得ることができる。この濃度は生物学的活性物質の沈殿作用、すなわち沈殿の形成を生じさせ、これによって固体粒子が形成される。これは例えば光学顕微鏡を用いて調べることにより検出することができる。この工程はしばしば急速に行われるので、粒子の構造は一般的に無定形である。しかしながら、この工程を行う方法に応じて、粒子の他の形態、例えば結晶および過冷却ガラスも本発明により包含される。
【0039】
しかしながら、「濃縮する」という用語は、生物学的活性物質が沈殿しないが、多少とも高度に粘稠な溶液を形成するにすぎない場合をも包含する。従って、「固化する」という用語は、この種の高度に粘稠な溶液が実際に取り扱い可能であり、そしてあたかも沈殿であるかのように実質的に同じ手段で微粒子中に取り込むことができるような安定な液滴を形成する場合をも包含する。濃縮/固化した生物学的活性物質は、微粒子マトリックス中に島または個別の粒子の形態で見出すことができる。
【0040】
従って、本発明に係る方法の一つの実施形態は、段階b)を生物学的活性の固化がその沈殿を生じさせるように行う場合によって示される。
別の実施形態において、段階b)は室温で取り扱いうる液滴の形成能を有する高度に粘稠な溶液を生じさせるように行われる。
この方法のもう一つの実施形態において、段階b)は可逆的に固化した活性物質を形成するために行われる。
この方法のさらに別の実施形態において、固化した生物学的活性物質は、遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体の底相を形成する。
【0041】
「可逆的に固化した」とは、一般的にいって、独特な各生物学的活性物質に適する媒質に適切な条件下で溶解されたとき、および/またはインビトロおよび/またはインビボで微粒子から放出されたときに、問題の生物学的活性物質がポリエチレングリコールによる濃縮/固化の前に有していた形態と本質的に同一の形態を化学的および生物学的の両方において回復することを意味する。
【0042】
固化した生物学的活性物質が遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体の底相を形成するということは、所望の濃縮/固化を検出する手段を与える。これはさらに、問題の物質が段階a)において水溶液の調製後に存在する可溶性形態とは異なる別の物理的形態で存在することを意味する。
【0043】
生物学的活性物質が濃縮した形態で存在するということは、一般的に言って、安定剤および溶解促進物質を用いるか用いないで問題の物質を水性媒質に溶解したときに得ることのできる濃度を超えた濃度で、かつ生物学的活性および化学的安定性を保持して存在することを意味する。
【0044】
生物学的活性物質の望ましい濃縮および/または沈殿が得られるようなPEGの分子量と濃度の組み合わせを選択すべきである。このような条件は、特定の各生物学的活性物質に対して簡単に試験することができる。なぜならば、条件は生物学的活性物質の特性、例えば分子量および溶解性に依存するからである。PEGの分子量は、400〜100,000ダルトン、より好ましくは4,000〜35,000ダルトン、よりいっそう好ましくは6,000〜20,000ダルトンの範囲、最も好ましくは20,000ダルトンであってよい。PEGの濃度は、1〜50%、好ましくは2〜45%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは20〜35%の範囲にあってよい。濃縮および/または沈殿が得られたことは、上記のように調べることができる。生物学的活性物質がその生物活性を保持しているということは、この段階で、例えば適切な緩衝液に希釈し、そして生物学的活性物質を化学的に分析することにより、または別法として適切な免疫学的および/または動物アッセイにより、最も容易に測定することができる。最期試験で不満足な結果が得られたならば、pH調節、使用した1種もしくは数種の緩衝物質およびその濃度、温度および/またはこの技術で公知の安定剤の添加、ならびに使用PEGの濃度および平均分子量の変化を調べるべきである。このような調節は当業者であれば誰でも容易に利用できる。この段階は、酸化反応を回避するために不活性雰囲気中で行われることも明らかであろう。最も簡単な手段は、窒素またはヘリウムのような不活性ガスで溶液中の酸素を追い出すことである。著しく敏感な物質のためには、例えば酸化反応を回避するために極めて純粋なPEGの使用が必要であろう。
【0045】
本発明に係る方法の段階c)を行う必要があるか必要がない程度、すなわち得られた濃縮および/または固化した活性物質を洗浄すべきかどうか、そうであればどの程度までかは、特に、PEG溶液中に溶解した形態で存在する生物学的活性物質の割合に、溶解した物質がこの形態であまりにも多量の望ましくない分解産物を生成することなく充分に安定であるかどうかに、この溶解した物質が微粒子の製造に対して及ぼす効果に、段階b)で採用された条件以外の、例えばPEGの濃度および平均分子量ならびにイオン強度に関する他の条件の使用が必要であるかどうかに、PEGが生物学的活性物質それ自体のための安定剤になるか、またはこの物質を未溶解形態に保持するかまたは表面への吸着を防止することにより安定剤になるかどうかに依存する。
【0046】
濃縮および/または固化した活性物質の実際の洗浄は、この技術分野で確立した適切な技術により行うことができる。なかでも最も簡単な形態において、遠心分離洗浄を用いることができ、そして多くの場合に濾過も使用できる。後者の場合、濃縮および/または固化した活性物質の乾燥は、例えば凝集を生じさせることがあるので、この乾燥を可能にしない条件を採用することが好ましく、そして処理時間は加圧により短縮される。これに基本的なことは、もちろん、用いられる液体が濃縮および/または固化した活性物質を溶解してはならないこと、および適切な条件をそれぞれの各生物学的活性について決定すべきことである。多くの場合、緩衝剤組成、添加物および温度に関する条件は、この必要条件を満たすように選択することができ、そして必要な情報を文献からまたは簡単な実験により得ることができる。濃縮および/または固化した活性物質の溶解を回避するためにポリマーを添加することができ、なかでも最も簡単な場合には、濃縮/固化を行ったときと同じ組成のPEG溶液が用いられる。
【0047】
本発明に係るに方法に関して特に適切な一つの澱粉ならびにその製造方法は、スウェーデン特許出願第 0003616−0 に正確に記載されている。別の適切な澱粉は本願と同日に出願された「澱粉」と題する同時係属中のPCT出願に開示されている。澱粉に関する詳細は、換言すれば、これらの特許出願から得られるので、この点で、それらの内容は参照により本明細書本文に含められる。
【0048】
しかしながら、このような澱粉の最も重要な特色を以下に説明する。高い活性物質収率で完全に生物分解性の微粒子を二相水性系中で形成するため、および得られた澱粉微粒子が以下に説明する特性を有するために、澱粉は一般的に高度分枝状澱粉(これは澱粉顆粒において天然状態でアミロペクチンと呼ばれる)から主として構成されねばならない。澱粉はまた、所望の濃度およびゲル化速度の達成を可能にする分子量分布を有するべきである。前の節で言及した二つの場合に、該分子量分布はそれぞれ剪断作用又は酸加水分解によって達成することができる。
【0049】
付言できることは、この文脈において「生物分解性」という用語は、微粒子が非経口的投与後に体内で溶解されて内在性物質、最後には例えばグルコースを形成することを意味する。生物分解性は、インビトロで適切な酵素、例えばアルファ−アミラーゼとのインキュベーションによって決定または検査することができる。この場合、インキュベーション期間中に酵素を多数回加えるのが適切であり、これによって活性酵素がインキュベーション混合物中に常に存在することが保証される。生物分解性は、微粒子を非経口的に、例えば皮下または筋肉内に注射し、そして組織を時間の関数として組織学的に検査することによって検査することもできる。
【0050】
生物分解性澱粉微粒子は、通常2〜3週間以内、しばしば1週間以内に組織から消失する。澱粉微粒子が例えば薄層を施すことにより放出制御性外皮で被覆されている場合には、生物分解性速度を決定するのは一般的にこの外皮であり、次にはこの速度はアルファ−アミラーゼが澱粉マトリックスを利用可能になるときを決定する。
【0051】
生体親和性は、微粒子を非経口的に、例えば皮下または筋肉内に投与し、そして組織を組織学的に評価することによって検査することもでき、しばしばタンパク質である生物学的活性物質はそれ自体で、別の種に投与すると例えば免疫反応の誘導能を有することを念頭に置くことが重要である。例えば、多数の組み換え産生ヒトタンパク質は試験動物において免疫反応を生じさせることできる。
【0052】
さらに、澱粉は非経口的投与可能な調製物の製造に許容される純度を有しなければならない。生物学的活性物質の生物活性の保持を許す条件下でこの物質が混合されるのを可能にするために、澱粉は充分に高い濃度で充分に安定な溶液を形成できなければならず、これと同時に、さらに安定であると同時に生物分解性でもある微粒子を得るために、制御された手段で自然に固化できなければならない。高い濃度の澱粉は、生物学的活性物質が許容されない程度で外相または内相と外相との界面に分布するのを防止するためにも重要である。
【0053】
澱粉の特性に関して好ましい多くの態様は以下のとおりである。
澱粉は、85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように該アミロペクチンの分子量が低下されていることが好ましい。
加えて、澱粉は、アミノ酸窒素含有量が澱粉の乾燥重量1g当たり50μg未満であることが好ましい。
澱粉は、澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μg、より好ましくは多くとも10μg、最も好ましくは多くとも5μgのアミノ酸窒素の純度を有することが好ましい。
【0054】
上記のアミロペクチンの分子量は、例えば剪断作用、酸加水分解または酵素的加水分解、例えばイソアミラーゼでの加水分解によって、材料の少なくとも80重量%が100〜4,000kDa、より好ましくは200〜1,000kDa、最も好ましくは300〜600kDaの範囲内になるように低下されることが好ましい。
加えて、澱粉は、95重量%を超える、より好ましくは98重量%を超える問題の低下した分子量のアミロペクチン含有量を有することが好ましい。もちろん澱粉は100重量%のこのようなアミロペクチンから構成されていてもよい。
【0055】
別の好ましい実施形態によれば、澱粉は水に25重量%を超える濃度で溶解できるようなタイプのものである。これは一般的に、本来公知の技術によって水に溶解する能力を有すること、すなわち高められた温度、例えば約80℃までの温度での通常の溶解を意味する。
もう一つの好ましい実施形態によれば、澱粉はヒドロキシエチル澱粉に見られるタイプの共有結合した余分の化学基を実質的に含まない。このことは一般的に、澱粉が天然澱粉に見られるタイプの基だけを本質的に含有し、そして例えばヒドロキシエチル澱粉のようには決して改変されていないことを意味する。
【0056】
別の好ましい実施形態は、エンドトキシン含有量が25EU/g未満である澱粉を必要とする。
もう一つの好ましい実施形態は、1g当たり100個未満の微生物、しばしば1g当たり10個未満の微生物しか含まない澱粉を必要とする。
【0057】
さらに、澱粉はアルカリ水溶液での洗浄によって表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンから実質的に精製されており、剪断作用または酸加水分解によって分子量が低下されており、そしてイオン交換クロマトグラフィー、好ましくはアニオン交換クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動によって内部タンパク質から精製されていると定義することができる。
【0058】
これら全ての文脈における純度に関する限り、「本質的に」または「実質的に」という種類の表現は、一般的に少なくとも90%、例えば95%、99%または99.9%を意味するというのが大体の事実である。
アミロペクチンが用いられる澱粉の主成分の部分を構成するということは、一般的にいって、澱粉の乾燥重量に基づいて計算して、その割合が60〜100重量%であることを意味する。
【0059】
或る場合において、より少ない割合、例えば2〜15重量%の短鎖アミロースを用いて、段階f)におけるゲル化速度を改変することが好ましいことがある。このアミロースの平均分子量は、好ましくは2.5〜70kDa、特に5〜45kDaの範囲内にある。短鎖アミロースに関する他の詳細は、米国特許明細書 3,881,991 から得ることができる。
【0060】
段階d)において用いられる澱粉溶液を形成する際に、本来公知の技術による加熱を一般的に用いて澱粉を溶解する。特に好ましい実施形態は、澱粉がオートクレーブ処理中に溶解されると同時に、好ましくは滅菌もされることが必要である。このオートクレーブ処理は、水溶液、例えば注射用水または適切な緩衝液中で実現される。
【0061】
生物学的活性物質が敏感なタンパク質または別の熱感受性物質であるならば、澱粉溶液は問題の物質と組み合わせる前に適切な温度に冷えていなければならない。どの温度が適切であるかは、第一に生物学的活性物質の熱安定性によって決定されるが、純粋に一般的な意味では、約60℃未満、好ましくは55℃未満の温度が適切である。
【0062】
従って好ましい実施形態によれば、1種または数種の活性物質は澱粉溶液と、高くとも60℃、より好ましくは高くとも55℃、最も好ましくは20〜45℃、特に30〜37℃の範囲内の温度で組み合わせられる。
さらに段階d)における混合操作には、3:1〜10,000:1の範囲内の澱粉:生物学的活性物質の重量比を用いることが好都合である。
【0063】
上記で論じたように、澱粉溶液と混合する前に、PEG溶液を用いて活性物質を濃縮/固化させることも事実である。澱粉溶液を生物学的活性物質に加えることが可能であり、その逆であってもよい。そののち、澱粉溶液中での濃縮/固化した活性物質の均質な分散を、適切な技術によって生じさせる。このような技術はこの分野で周知であり、言及できる例は、磁気撹拌、プロペラ撹拌または一つまたはそれ以上のスタティックミキサーの使用である。
【0064】
本発明に係る澱粉微粒子の製造において、固体形態に変換され、そして生物学的活性物質が取り込まれる溶液中の澱粉濃度は、良好な特性を有する澱粉微粒子を形成させるために、少なくとも20重量%であるべきである。正確にどの温度が個々の各場合に最も良く作用するかは、個々の各生物学的活性物質について簡単な手段で検定することができ、ここで、微粒子中の負荷量は個々の場合に要求される負荷量である。この文脈において、微粒子中に取り込まれる生物学的活性物質は二相系および澱粉のゲル化特性に影響を与えることがあり、これは個々の場合の最適条件を決定する目的で慣用の調製実験も行われることを意味するということに注目すべきである。実験は一般的に、澱粉濃度が有利には少なくとも30重量%、一定の特別の場合には少なくとも40重量%であるべきであることを示す。最高限度としては、通常50重量%、特に多くとも45重量%を利用することができる。これらの高い澱粉濃度は、分子量が低下した高度分枝状澱粉の使用なくしては、通常は得ることができない。
【0065】
二相水性系の形成を目的とする段階e)において用いられるポリマーに関しては、内相としての澱粉と二相系を形成する能力を有する多数のポリマーについての、まさにこの技術分野内の情報が刊行されている。このような全てのポリマーは本発明の範囲内にあると考えるべきである。しかしながら、この文脈において特に適するポリマーはポリエチレングリコールである。このポリエチレングリコールは、好ましくは5〜35kDa、より好ましくは15〜25kDa、特に約20kDaの平均分子量を有する。
【0066】
ポリマーは水または水溶液(この表現は緩衝液をも包含する)中に適切な濃度で溶解され、そして適切な温度に温度調節される。この温度は、好ましくは4〜50℃、より好ましくは10〜40℃、しばしば10〜37℃の範囲内にある。水溶液中のポリマー濃度は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好都合には多くとも45重量%である。特に好ましい範囲は30〜40重量%である。
【0067】
段階e)における混合操作は多くの異なる手段で、例えばプロペラ撹拌または少なくとも一つのスタティックミキサーの使用によって行うことができる。混合は、通常4〜50℃、好ましくは20〜40℃の温度範囲内で、しばしば37℃の近傍で行われる。バッチ法においては、澱粉溶液をポリマー溶液に加えることができ、その逆であってもよい。スタティックミキサーまたはブレンダーを利用する場合、この操作は、二つの溶液を二つの異なるパイプラインにポンプ輸送し、ブレンダーを含む共通パイプライン中に送ることによって行うことが好都合である。
【0068】
油/水または水/油エマルジョンとは対照的に、水/水エマルジョンの相間には高い表面張力がないので、低い剪断力を用いてエマルジョンを形成することができ、この場合に液滴が一定の粒度分布に達するために克服されねばならないのは、主として澱粉溶液の粘度である。大部分の場合、磁気またはプロペラ撹拌で充分である。大規模に、例えば製造すべき微粒子の量が50gを超える場合には、いわゆるじゃま板を使用して、用いられる容器内のよりいっそう効果的な撹拌を得ることが好都合である。水/水エマルジョンを形成する別法は少なくとも一つのスタティックミキサーを用いることであり、澱粉溶液を調節された速度でスタティックミキサーが配置されたパイプ中にポンプ輸送することが好都合である。ポンプ輸送がこれらの条件下で一様な流速を与え、混合物を不必要に高い剪断力にさらさず、そして純度および望ましくない物質が漏洩しない点で非経口的調製物の製造に許容される限り、任意の型の適切なポンプを用いて行うことができる。スタティックミキサーを用いてエマルジョンを生成させる場合にも、適切な撹拌器を備えた容器中で微粒子になる固化を起こさせることが一般的に有利である。
【0069】
本発明に係る方法の好ましい実施形態は、段階e)においてポリマー溶液を少なくとも2段階で組成物に加えることを意味し、ここで、エマルジョンが生成したかまたは生成し始めたのちに添加が行われる。
【0070】
ポリマー溶液を多段階で加えること、および例えば用いられるポリマーの平均分子量および/または濃度を変えること(例えば内相中の澱粉濃度を高めるためにこれが望ましい場合)も、もちろん本発明の範囲内にある。
【0071】
さらに、段階e)における混合操作は、形成される澱粉液滴が微粒子に要求される大きさ、すなわち乾燥状態で好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μm、最も好ましくは20〜80μmの範囲内の平均直径を獲得するような条件下で好都合に行われる。
微粒子の固化に関しては、取り込まれる生物学的活性物質にとって温和な条件で固化が起こることが重要である。換言すれば、目下の物質に有害でない温度の使用が第一に問題である。この文脈において、驚くべきことに、このための基準および適切な粒度分布を有する安定な微粒子を形成するための基準は、固化中に二つ以上の温度または温度レベルを用いれば、より容易に満たすことができることが示された。二相系中での固化工程を、固化の最終相で用いられる温度よりも低い温度で開始させると、特に有利である。好ましい実施形態は、固化を1〜20℃、好ましくは1〜10℃の範囲内で、特に4℃近傍で開始させ、そして20〜55℃、好ましくは25〜40℃の範囲内で、特に37℃近傍で終了させることを意味する。
【0072】
選択された条件が正しいかまたは適切であるかの確認は、澱粉微粒子が望ましい粒度分布を有すること、後続の洗浄および乾燥操作中に安定であること、およびインビトロで完全に酵素的手段により実質的に溶解することの確認、および/または取り込まれた物質が効果的にカプセル封入されており、かつ生物活性を保持していることの確認によって得ることができる。最後に述べたことは、通常クロマトグラフィー法を用いるか、または微粒子が温和な条件下で酵素的に溶解されたのちに、インビトロもしくはインビボで、この技術内で確立された他の方法を用いて検査され、そしてこのことは、敏感な生物学的活性物質に対してたくましく信頼性ある製造工程を確保する際の重要な要素である。微粒子が温和な条件下で完全に溶解できることは大きな利点である。なぜならば、このことは、例えば微粒子の溶解に有機溶剤が必要な場合に通常認められる調製物誘導アーチファクト(これは例えば微粒子がPLGAマトリックスから構成されている場合に事実である)を最小限にするからである。
【0073】
外相および余分な活性物質を除去するために、形成された微粒子を適切な手段で洗浄することが好ましい。このような洗浄は濾過によって行うことが好都合であり、これは微粒子の良好な機械的安定性および適切な粒度分布によって可能にされる。遠心分離による洗浄、上澄み液の除去および洗浄媒質への再懸濁も、しばしば適切であろう。各洗浄工程において1種またはそれ以上の適切な洗浄媒質が用いられ、これは一般的に緩衝剤含有水溶液である。これに関して、必要に応じて微粒子の粒度分布を調節するため、例えば小さすぎる微粒子を除去し、そして一定の大きさを超える微粒子が最終生成物中に存在しないことを確保するために、篩分けを用いることもできる。
【0074】
微粒子を適切な手段で、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥または真空乾燥によって乾燥することができる。個々の場合にどの乾燥方法を選択するかは、封入された活性物質の生物学的活性の保持にとって何が最も適切であるかにしばしば依存する。工程の考慮事項、例えば能力および純度の面も、重要な意義を持つようになる。凍結乾燥は、正しく計画されれば封入された生物学的活性物質に関して特に温和なので、しばしば好ましい乾燥方法である。取り込まれた生物学的活性物質がその生物活性を保持していることは、この物質を温和な条件下で酵素的に溶解したのちに、微粒子にとって適切な分析により確立することができる。澱粉に関して使用に適する酵素は、アルファ−アミラーゼおよびアミログルコシダーゼの単独または組み合わせであり、適切な場合には酵素が可能なプロテアーゼ(これはタンパク質を分解できる)を含まないことを確立することが重要である。プロテアーゼの存在は、この分野で公知の方法で、例えばコントロール実験において生物学的活性物質を混合し、そして意図した酵素混合物と共に、微粒子を溶解するために後で用いられる条件下でインキュベートしたのちに、常法によりその完全性を決定することによって検出することができる。調製物がプロテアーゼ夾雑物を含有することが認められた場合には、より高い純度を与える調製物で置き換えることができるか、またはプロテアーゼを追い出す。これはこの分野で公知の技術を用いて、例えば適切なクロマトグラフィー材料に結合したα2−マクログロブリンを用いるクロマトグラフィーによって行うことができる。
【0075】
さらに、微粒子の放出特性を改変するために、生体親和性および生物分解性のポリマーから生成した放出制御性の外皮を施すこともできる。この文脈において適切なポリマーの例は先行技術に見出され、乳酸およびグリコール酸のポリマー(PLGA)を特に挙げることができる。問題の外皮は好ましくはエアサスペンション技術を用いて施される。特に適するこの種の技術は WO 97/14408 に記載されており、従ってこれに関する詳細はこの刊行物から得ることができるので、その内容は参照により本明細書本文に含められる。本発明に係る方法により得られる澱粉微粒子は、上記のエアサスペンション技術により、例えば薄層を施すことにより被覆するために著しく良く適しており、そして得られた被覆微粒子は非経口的投与に特に良く適している。
【0076】
製造した微粒子を使用する場合に、それらは放出制御性外皮で被覆されているかまたは被覆されておらず、乾燥微粒子は適切な媒質、具体的には注射を可能にする媒質に懸濁される。このような媒質および工程は、これらに関してこの分野で周知であるので、ここでさらに詳細に説明する必要はないだろう。実際の注射は適切な針を通して、または針なし注射器を用いて投与することができる。微粒子を注射媒質に事前に再懸濁することなく、乾燥粉末用注射器を用いて注射することも可能である。
【0077】
上記で論じた利点のほかに、本発明に係る方法は次の利点を有する。すなわち、生物学的活性物質の収率が一般的に高いこと、活性物質の生物活性を保持しながら微粒子中の極めて高い活性物質含有量を得ることが可能であること、得られた微粒子がマクロファージによって貪食されるためには大きすぎ、かつ細い針、例えば23G〜25Gを通して注射できるために充分小さいので、これらの微粒子が非経口的制御(例えば遅延または持続)放出に使用するための正しい粒度分布を有すること、および微粒子の分解に際して内在性で中性の分解産物が形成され、これによって活性物質が例えば極度に低いpH値にさらされるのを防止できることである。さらに、本方法それ自体は、精密な品質管理に特に良く適している。
【0078】
本発明に係る方法は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリサッカライド、または一般的に、例えば有機溶剤に敏感または不安定な他の薬剤または生物学的活性物質に関して特に興味深い。組み換え産生タンパク質は生物学的活性物質の極めて興味深い一群である。しかしながら一般的にいって、本発明はこのような物質の存在に限定されない。なぜならば、本発明の概念は非経口的投与に使用可能な全ての生物学的活性物質に適用できるからである。従って敏感性または不安定性の問題との関係のほかに、本発明は、そうしなければ溶剤の除去が困難な場合、または毒物学的問題または他の環境問題が生じるかもしれない場合にも特に興味深い。
【0079】
上記で特定した種類の生物学的活性物質の例は、成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロン(α、β、γ型)、ワクチン、上皮細胞成長ホルモン、因子IV、V、VI、VII、VIIIおよびIX、LHRH類似体、インスリン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子およびインターロイキンである。
【0080】
非タンパク質薬剤タイプの有用な生物学的活性物質は、次の群から選択することができる:
抗腫瘍剤、抗生物質、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤、筋肉弛緩剤、抗てんかん剤、抗抑うつ剤、抗アレルギー剤、気管支拡張剤、強心剤、抗不整脈剤、血管拡張剤、抗糖尿剤、抗凝固剤、止血剤、麻酔剤およびステロイド。
【0081】
本発明の別の態様によれば、本発明はまた、本発明に係る方法により得られるタイプの新規な微粒子に関する。しかしながら、本発明に係る新規な微粒子は本方法により製造できるものに限定されず、製造方法とは無関係に問題のタイプの全ての微粒子を包含する。
【0082】
より正確には、微粒子が上記の方法により得ることのできる微粒子と同じ特性を有する、哺乳類、特にヒトに非経口的に、好ましくは注射により投与するのに適し、かつ生物学的活性物質を含有する微粒子を製造することが問題である。
【0083】
本発明の一つの態様によれば、これらの微粒子は、本質的に化学的に錯結合していない形態および0.05〜30μmの範囲の平均サイズを有する固体粒子の形態の生物学的活性物質を含有するマトリックスとしての非経口的投与可能な生物分解性澱粉から本質的に構成されている微粒子によって示される。
この文脈において平均サイズとは、通常、少なくとも球形または実質的に球形の粒子の場合は平均直径を意味する。別の形状においては、一般的に、粒子の任意方向の最大の大きさに関する平均値を指す。
【0084】
本発明の一つの実施形態によれば、生物学的活性物質を含有する粒子は沈殿により得られ、すなわち沈殿した形態にある。
固体粒子は0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1〜4μmの平均サイズを有することが好ましい。
別の実施形態は、澱粉が、アミノ酸窒素含有量が澱粉の乾燥重量1g当たり50μg未満であり、そして微粒子が澱粉分子間に共有化学架橋結合を含まない微粒子によって示される。
別の実施形態は、澱粉が、85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、その少なくとも80重量%が10〜1,000kDaの範囲内の平均分子量を有する微粒子に関する。
【0085】
澱粉はその他の点で、方法に関して論じた特色を有することができる。
微粒子はまた、方法に関して論じた種類の制御放出性外皮を有することが好ましい。この外皮の好ましい変形に関する方法も参照される。
【0086】
本発明に係る他の微粒子は、生物学的物質の生物活性が、該物質を澱粉中に取り込む前にそれにより示される生物活性と比較して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であり、最も好ましくは本質的に保持されている微粒子である。
本発明に係る他の微粒子は、アルファ−アミラーゼおよび/またはアミログルコシダーゼの存在下にインビトロで生物分解性である微粒子である。
さらに他の微粒子は、生物分解性であり、そして皮下または筋肉内投与ののちに組織から除去される微粒子である。生物学的活性物質は、好ましくはタンパク質、より好ましくは組み換え産生タンパク質である。
【0087】
タンパク質は、タンパク質ホルモン、好ましくは成長ホルモン、凝固因子、好ましくは因子VII、VII、VIIIおよびIX、LHRH類似体、インスリンおよびインスリン類似体、C−ペプチド、グルカゴン様ペプチド、LHRH類似体、レプチン、コロニー刺激因子、好ましくはマクロファージコロニー刺激因子、顆粒球刺激因子および顆粒球/マクロファージ刺激因子、インターフェロン、好ましくはインターフェロンα、インターフェロンβおよびインターフェロンγ、インターロイキン、および組み換え産生ワクチンから選択することが好ましい。
より好ましくは、タンパク質は成長ホルモン、特にヒト成長ホルモン(hGH)である。
【0088】
澱粉マトリックス中の生物学的活性物質が本質的に化学的に錯結合していない形態で存在するということは、一般的に、全金属カチオン:生物学的活性物質のモル比が0.2:1未満であることを意味する。
【0089】
先行技術によれば、類似の文脈において錯結合のために利用されてきたものは主に亜鉛である。従って、本発明に係る微粒子は、それらがこのような亜鉛を本質的に含まないかまたは全く含まないという利点を有する。
より好ましくは、上記の全金属カチオン:生物学的活性物質のモル比は0.1:1未満、特に0.01:1未満であり、できる限り0に近いことが最も好ましいのはもちろんである。
【0090】
ヒト成長ホルモンが生物学的活性物質を構成する場合には、そのダイマー含有量が2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であり、そしてそのポリマー含有量が0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満であるタイプのものが好ましい。
【0091】
本発明に係る微粒子のもう一つの好ましい実施形態は、生物学的活性物質がヒト成長ホルモンであり、そしてインビトロで決定した該hGHの放出動態が、少なくとも1週間にわたり実質的に連続的および規則的な放出であることを特徴とするもので構成されている。
【0092】
生物学的活性物質を含有する非経口的投与可能な生分解性の微粒子調製物を形成する微粒子は、濃度−時間グラフから注射後の最初の24時間中の曲線下の面積と問題の曲線下の面積との比の形で決定して、注射後の最初の24時間中に、全放出量の30%未満である活性物質の放出量を有する。
【0093】
注射後の最初の24時間中の放出量は、全放出量の20%未満、より好ましくは15重量%未満、よりいっそう好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満であることが好ましい。
上記タイプの微粒子調製物を生成する微粒子は、注射後の最初の48時間中に、生物学的活性物質の最高血漿または血清濃度が注射後48時間を超えた時点における生物学的活性物質の最高濃度の300%未満である活性物質の放出量を有する。
上記の最高濃度は、問題の最高濃度の200%未満、より好ましくは100%未満であることが好ましい。
【0094】
別の例は、生物学的活性物質の生体利用率が、問題の物質を可溶性形態で静脈内に注射したときに得られる生体利用率の少なくとも35%である活性物質の放出量を有する、上記タイプの微粒子調製物である。
上記の生体利用率は、生物学的活性物質を静脈内に注射したときに得られる生体利用率の少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%であることが好ましい。
【0095】
もう一つの例は、選択した7日の期間が注射後の最初の24時間を含まないことを条件として、任意の連続7日の期間中に起こる放出において、生物学的活性物質の最高血清または血漿濃度を上記の7日の期間中の平均濃度で割り算した商が少なくとも5であることを特徴とする活性物質の放出量を有する、上記タイプの微粒子調製物である。
上記の放出量は、4倍未満、より好ましくは3倍未満、最も好ましくは2倍未満であることが好ましい。
【0096】
本発明に係る微粒子により得ることのできる微粒子調製物は、問題の生物学的活性物質の平均滞留時間が少なくとも4日である生物学的活性物質の放出量を有する。
上記の平均滞留時間は、少なくとも7日、より好ましくは少なくとも9日、例えば少なくとも11日、または特に少なくとも13日であることが好ましい。
上記で提示した微粒子調製物について明記した特色は、適切な組み合わせであれば何でも組み合わせることができる。
上記の微粒子調製物について明記した種々の特徴は、主にMRT、バーストおよび生体利用率という用語に関する。
【0097】
これらは下記のように定義することができる:
MRT
制御放出のための調製物の目的は、活性材料の持続放出を得ることである。放出時間を定量するために使用できる一つの尺度は、平均滞留時間(MRT)であり、これは薬物動態学で認められた用語である。
MRTは体内に導入された分子が体内に滞在する平均時間である(Clinical Pharmacokinetics. Concepts and Applications. Malcolm Rowland および Thomas N. Tozer, 第2版, Lea&Febiger, Philadelphia London)。
【0098】
MRT値は血漿濃度データから下記の式を用いて計算することができる。
【数1】
式中、Cは血漿濃度であり、tは時間である。
【0099】
バースト
非経口的使用のための制御放出調製物に共通する問題は、薬剤の大部分が体内に投与した直後の早期相の間に放出されることである。専門家の文献内でこれは「バースト効果」と呼ばれている。これは一般的に、薬剤が処方物の表面上にあるという事実、または処方物(これは微粒子からなっていてもよい)がはじけるという事実のためである。低いバースト効果が極めて望ましい。なぜならば、高濃度の薬剤は毒性があり、そしてさらに初期期間中に急速に消失する部分は不充分に利用され、これは意図した処置期間中の薬剤の治療的レベルを保持するためにより多くの薬剤を必要とすることを意味するからである。
バーストは、吸収される全画分のうちの、最初の24時間中に吸収される薬剤のその画分と定義される。
数学的用語では、それは血漿濃度グラフから「曲線下の面積」の計算を用いて定義することができる。
【数2】
【0100】
生体利用率
生体利用率は、供給された薬剤のどれほど多くの部分が投与部位から血中に活性形態で吸収されるかの尺度である。生体利用率は薬剤の静脈内供給量からのデータとしばしば比較され、それ故にこの場合は吸収障壁がなく、従って絶対的生体利用率と呼ばれる。
絶対的生体利用率は下記の式によって定義される:
【数3】
式中、AUCxは検査した処方物に関する曲線下の面積であり、AUCivは薬剤の静脈内供給量に関する曲線下の面積であり、Dxは処方物中の薬剤の量であり、Divは静脈内用量である。
【0101】
放出プロフィールおよび薬物動態学的パラメーターの決定は好ましくは動物実験によって実現される。最も適切な種は、それがヒトと類似しているためにブタである。生物学的活性物質が試験中に生物学的活性物質の薬物動態学的パラメーターの決定に影響を与えるおそれのある免疫反応を誘導することがある場合には、例えば薬剤処置によって免疫反応の阻害を用いるべきである。これはこの技術分野で公知であり、詳細は科学文献、例えば Agersoe ら(J. Pharmacol Toxicol 41 (1999) 1−8)から得ることができる。
【0102】
他の興味深い本発明に係る微粒子は、アルファ−アミラーゼおよび/またはアミログルコシダーゼの存在下にインビトロで生物分解性である微粒子である。
他の好ましい微粒子は、生物分解性であり、そして皮下または筋肉内投与ののちに組織から消去される微粒子である。
【0103】
活性物質を含有する微粒子の生物学的活性の決定に関しては、これを個々の各生物学的物質に適切な手段で行わねばならない。この決定を動物実験の形態で行う場合には、澱粉微粒子中に取り込まれた生物学的活性物質の一定量を、多分これらの微粒子を温和な条件下で予め酵素的に溶解したのちに注射し、そして生物学的応答を、適切な溶液中の同じ生物学的活性物質の相当量を注射したのちに得られる応答と比較する。評価をインビトロで、例えば試験管または細胞培養物で行う場合は、評価の前に澱粉微粒子を温和な条件下で酵素的に溶解することによって生物学的活性物質を完全に利用可能にすることが好ましく、そののちに活性を決定し、そして問題の生物学的活性物質の同一濃度を有するコントロール溶液の活性と比較する。何れの場合にも、評価は澱粉微粒子の分解産物の非特異的効果を含むべきである。
【0104】
【実施例】
以下の非限定的な例証となる実施形態他により本発明をさらに説明する。
実施例1
PEGによる固定化に適する高度に濃縮/沈殿したhGHの製造手順
343mgのhGHに、10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.4を全量2.5mlまで加える。20,000Daの平均分子量を有するPEGを同じ緩衝液に30%の濃度に溶解し、pHを約6.4に調節する。このPEG溶液(25ml)を、プロペラを備えたビーカーに注ぎ、そののち温度を15℃に調節し、hGH溶液(約1.25ml)をプロペラ撹拌下に加え、この混合物を連続撹拌下に75分間放置する。得られた懸濁液を Sorvall SS34 で遠心分離する(5,000rpmで20分)。上澄み液を注意深く抜き取る。沈殿したタンパク質を2mM酢酸亜鉛含有酢酸ナトリウム、pH6.4(10ml)で1回洗浄することができ、得られた上澄み液を抜き取る。
【0105】
実施例2
剪断した高度分枝状澱粉から製造した澱粉微小球中へのPEGで固化したhGHの固定化手順
390kDaの平均分子量を有する剪断した澱粉から澱粉微小球を製造する。澱粉を10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.4に加熱して40%の濃度まで加え、得られた澱粉溶液を55℃に冷却する。そののち、得られた澱粉溶液の21gを実施例1で製造したhGHの全バッチと混合し、2mM酢酸亜鉛含有酢酸ナトリウム、pH6.4(全10ml)に懸濁させ、この混合物を澱粉溶液中のタンパク質の均質懸濁液が形成されるまで撹拌する。得られた懸濁液に12gの濃度42%のPEG溶液(PEGの平均分子量は20kDaである)を加える。固化を4℃で開始させて17時間行い、37℃で6時間に終了させる。得られたhGH含有澱粉微小球を、38mlの2mM酢酸亜鉛含有酢酸ナトリウム、pH6.4で3回洗浄し、凍結乾燥する。得られた澱粉をα−アミラーゼで溶解し、取り込まれたhGHの量を、例えば高速液体クロマトグラフィーで分析することによって決定する。ダイマーおよびポリマーの画分も高速液体クロマトグラフィーで決定する。hGH含有澱粉微小球の収率は一般的に少なくとも80%であり、hGH含有量は乾燥重量として表して約15重量%である。タンパク質のダイマー含有量は一般的に<1%、ポリマー含有量は<0.1%であり、これはタンパク質がヒトへの非経口的投与に許容されることを示す。
【0106】
実施例3
PEGで濃縮したhGHを含有する澱粉微小球の被覆手順
実施例2で得られたhGH含有澱粉微小球を、WO 97/14408 に記載のエアサスペンション技術により、75%の RG502H および25%の RG756(両方とも Boehringer Ingelheim から)からなる混合物を用いて、PLGAから作成した放出制御性外皮で被覆する。被覆操作ののち、この被膜を塩化メチレンおよびアセトンの比1:3の混合物で溶解し、これらの溶剤を例えば遠心分離を繰り返すことにより洗浄除去したのち、微小球をα−アミロースで溶解する。hGH含有量を、例えば高速液体クロマトグラフィーで分析することにより決定する。タンパク質のダイマーおよびポリマー含有量も同じ技術を用いて決定する。タンパク質含有量は約11重量%であってよい。ダイマーの形態で存在するタンパク質の画分は<2%であり、ポリマーの形態は<0.1%である。被覆微小球からのhGHの放出動態をインビトロで決定することができ、その特徴は望ましくないバーストが存在しないこと、およびそうでなければ約1週間の持続期間で連続的かつ規則的に放出することである。このように、この方法を用いて非経口的投与可能な微小球をhGHの制御放出に適するように製造することができる。
【0107】
実施例4
PEGの使用による固定化に適する高度に濃縮/沈殿したhGHの製造手順
実施例1により沈殿したhGHを製造するが、沈殿をヒスチジン緩衝液、pH4.9で洗浄するように変える。
Claims (57)
- a)微粒子に取り込まれる生物学的活性物質の水溶液を調製し、
b)段階a)で得られた溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、生物学的活性物質が濃縮および/または固化するような条件下で混合し、
c)場合により、段階b)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を洗浄し、
d)段階b)またはc)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を澱粉水溶液と混合し、
e)段階d)で得られた組成物と二相水性系の形成能を有するポリマーの水溶液とを、該ポリマー溶液の外相中の内相として生物学的活性物質を含有する澱粉液滴のエマルジョンが形成されるように混合し、
f)段階e)で得られた澱粉液滴を固化させるかまたは固化を可能にして澱粉微粒子にし、
g)段階f)からの澱粉微粒子を乾燥し、そして
h)場合により、段階g)からの乾燥澱粉微粒子に生体親和性および生物分解性ポリマーの放出制御性外皮を施すことを含む、
生物学的活性物質を含有する非経口的投与可能な微粒子の製造方法。 - 段階b)を生物学的活性物質の固化がその沈殿を生じさせるように行う、請求項1に記載の方法。
- 段階b)を生物学的活性物質の固化が室温で取り扱いうる液滴の形成能を有する高度に粘稠な溶液を生じさせるように行う、請求項1に記載の方法。
- 段階b)を可逆的に固化した活性物質を形成するために行う、請求項2または3に記載の方法。
- 固化した生物学的活性物質が、遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体の底相を形成する、請求項2〜4の何れかに記載の方法。
- 段階b)で用いられるポリエチレングリコールが400〜100,000Da、好ましくは4,000〜35,000Da、より好ましくは6,000〜20,000Da、最も好ましくは約20,000Daの平均分子量を有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
- 段階b)で用いられるポリエチレングリコールの濃度が1〜50%(w/w)、好ましくは2〜45%(w/w)、より好ましくは10〜40%(w/w)、最も好ましくは20〜35%(w/w)の範囲にある、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において、85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、材料の少なくとも80重量%が10〜10,000kDaの範囲内となるように該アミロペクチンの分子量が低下されている澱粉を含む澱粉水溶液を利用する、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)においてアミノ酸窒素含有量が澱粉の乾燥重量1g当たり50μg未満である澱粉を含む澱粉水溶液を利用する、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)で用いられる澱粉水溶液の澱粉濃度が少なくとも20重量%である、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉が、澱粉の乾燥重量1g当たり多くとも20μg、好ましくは多くとも10μg、より好ましくは多くとも5μgのアミノ酸窒素の純度を有する、請求項8〜10の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉が95重量%を超える、好ましくは98重量%を超える低下した分子量を持つアミロペクチン含有量を有する、請求項8〜11の何れか1項に記載の方法。
- アミロペクチンの分子量が材料の少なくとも80重量%が100〜4,000kDa、好ましくは200〜1,000kDa、より好ましくは300〜600kDaの範囲内となるように低下されている、請求項8〜12の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉が水に25重量%を超える濃度で溶解できるようなものである、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉がヒドロキシエチル澱粉に見出される型の共有結合した余分な化学基を本質的に含まない、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉がエンドトキシン含有量が25EU/g未満であり、そして1g当たり100個未満の微生物しか含まない、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
- 澱粉がアルカリ水溶液での洗浄により表面に局在するタンパク質、脂質およびエンドトキシンから本質的に精製されており、そしてイオン交換クロマトグラフィー、好ましくはアニオン交換クロマトグラフィーにより内部タンパク質から精製されている、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において2.5〜70kDa、好ましくは5〜45kDaの範囲内の平均分子量を有する2〜15重量%のアミロースも澱粉として用い、ここで、重量%は澱粉の乾燥重量に基づいて計算される、請求項8〜17の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において少なくとも30重量%の澱粉濃度を有する溶液を調製する、請求項10〜18の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において多くとも50重量%、好ましくは多くとも45重量%の澱粉濃度を有する溶液を調製する、請求項8〜19の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)における澱粉水溶液をオートクレーブ処理を伴って調製する、請求項8〜20の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において活性物質と澱粉溶液とを高くとも60℃、好ましくは20〜45℃、特に30〜37℃の温度で組み合わせる、請求項1〜21の何れか1項に記載の方法。
- 段階d)において澱粉と生物学的活性物質との重量比が3:1〜10,000:1の範囲内にある組成物を形成する、請求項1〜22の何れか1項に記載の方法。
- 段階e)における混合を4〜50℃、好ましくは10〜40℃、特に10〜37℃の範囲内の温度で行う、請求項1〜23の何れか1項に記載の方法。
- 段階e)における混合を少なくとも一つのスタティックミキサーによって行う、請求項1〜24の何れか1項に記載の方法。
- 段階e)においてポリマー溶液を少なくとも2段階で組成物に添加し、これらの添加の少なくとも一つを、エマルジョンの生成が開始したのちに行う、請求項1〜25の何れか1項に記載の方法。
- 段階e)においてポリエチレングリコールを水性ポリマーとして用いる、請求項1〜26の何れか1項に記載の方法。
- ポリエチレングリコールが5〜35kDa、好ましくは15〜25kDa、特に約20kDaの平均分子量を有する、請求項25に記載の方法。
- 段階e)において微粒子に要求される大きさ、好ましくは乾燥状態で10〜200μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは20〜80μmの範囲内の平均粒径を与える澱粉液滴を形成する、請求項1〜28の何れか1項に記載の方法。
- 段階e)ののちに微粒子を濾過により洗浄し、そして場合により所望の粒度分布を得るために篩分けする、請求項29に記載の方法。
- 段階f)における固化を少なくとも二つの温度で行い、その開始を終了よりも低い温度で行う、請求項1〜30の何れか1項に記載の方法。
- 固化を1〜20℃、好ましくは1〜10℃の範囲で、特に4℃近傍で開始させ、20〜55℃、好ましくは25〜40℃の範囲で、特に37℃近傍で終了させる、請求項31に記載の方法。
- 段階g)における乾燥を噴霧乾燥、凍結乾燥または真空乾燥、好ましくは凍結乾燥の形態で行う、請求項1〜32の何れか1項に記載の方法。
- 生物学的活性物質としてタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリサッカライド、特に組み換え産生タンパク質からなる群から選択される物質を取り込む、請求項1〜33の何れか1項に記載の方法。
- 段階h)における放出制御性外皮の被覆をエアサスペンション技術により行う、請求項1〜34の何れか1項に記載の方法。
- 段階h)における放出制御性外皮がアルファ−ヒドロキシ酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーにより形成される、請求項1〜35の何れか1項に記載の方法。
- アルファ−ヒドロキシ酸が乳酸および/またはグリコール酸である、請求項36に記載の方法。
- 微粒子が、本質的に化学的に錯結合していない形態および0.05〜30μmの平均サイズを有する固体粒子の形態で生物学的活性物質を含有するマトリックスとして、非経口的投与可能な生物分解性澱粉から本質的に構成されている、哺乳類、特にヒトへの非経口的、好ましくは注射による投与に適し、そして生物学的活性物質を含有する微粒子。
- 生物学的活性物質が沈殿した物質である、請求項38に記載の微粒子。
- 生物学的活性物質の粒子が0.2〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4μmの範囲内の平均サイズを有する、請求項38または39に記載の微粒子。
- 澱粉が85重量%を超えるアミロペクチン含有量を有し、その少なくとも80重量%が10〜1,000kDaの範囲内の平均分子量を有する、請求項38〜40の何れか1項に記載の微粒子。
- 澱粉がアミノ酸窒素含有量が澱粉の乾燥重量1g当たり50μg未満であり、そして微小球が、澱粉分子間に共有化学架橋結合を含まない、請求項38〜41の何れか1項に記載の微粒子。
- 澱粉が請求項6〜16の何れか1項で定義した種類のものである、請求項38〜42の何れか1項に記載の微粒子。
- 請求項33〜35の何れか1項における定義に従って得られるかまたは形成される放出制御性外皮を有する、請求項38〜42の何れか1項に記載の微粒子。
- 生物学的物質の生物活性が、該物質を澱粉中に取り込む前にそれにより示される生物活性と比較して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であり、最も好ましくは本質的に保持されている、請求項38〜44の何れか1項に記載の微粒子。
- アルファ−アミラーゼおよび/またはアミログルコシダーゼの存在下にインビトロで生物分解性である、請求項38〜45の何れか1項に記載の微粒子。
- 生物分解性であり、そして皮下または筋肉内投与ののちに組織から消去される、請求項38〜46の何れか1項に記載の微粒子。
- 生物学的活性物質がタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリサッカライドからなる群から選択される、請求項38〜47の何れか1項に記載の微粒子。
- タンパク質が組み換え産生タンパク質である、請求項48に記載の微粒子。
- タンパク質が成長ホルモン、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、インターフェロン、インスリンおよびワクチンから選択される、請求項48または49に記載の微粒子。
- タンパク質が成長ホルモンである、請求項50に記載の微粒子。
- 成長ホルモンがヒト成長ホルモン(hGH)である、請求項51に記載の微粒子。
- 2価の金属イオン含有量が、全金属カチオン:生物学的活性物質のモル比が0.2:1未満、好ましくは0.1:1未満、より好ましくは0.01:1未満となるような比である、請求項38〜52の何れか1項に記載の微粒子。
- モル比が金属としての亜鉛に適用される、請求項53に記載の微粒子。
- ヒト成長ホルモンのダイマー含有量が<2重量%、好ましくは<1重量%であり、そしてポリマー含有量が<0.2重量%、好ましくは<0.1重量%である、請求項52〜54の何れか1項に記載の微粒子。
- インビトロで決定したhGHの放出動態が、少なくとも1週間にわたり実質的に連続的および規則的な放出であることを特徴とする、請求項52〜55の何れか1項に記載の微粒子。
- 請求項1〜37の何れか1項に記載の方法により得られる微粒子。
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