JP2004510500A - 生分解性ポリエステルブレンド組成物を含む吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
本発明は、丈夫で延性のある、生分解性脂肪族ポリエステルブレンド組成物と、そのような組成物を調製する方法を対象とする。これに限るものではないが、フィルム、繊維、不織布、シート、コーティング、結合剤、発泡体、及び包装用の成形製品を含む、そのようなブレンド組成物で作製される製品に関する。この製品は、柔軟性、生分解性、及び堆肥化性を維持しながら、高い強度、延性、及び強靭性の望ましい組合せを示す。本発明は、さらに、液体透過性トップシートと、本発明のポリエステルブレンド組成物を含むフィルムを含む液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品(例えば、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナーなど)に関する。
本発明のポリエステルブレンドは、
(a)2つのランダム反復モノマーユニットを含むコポリマーであって、第1のランダム反復モノマーユニットは以下の構造を有し、
【化1】
式中、R1がHまたはC1〜C2アルキルで、nは1または2であり、第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【化2】
式中、R2がC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【化3】
式中、mが2〜約16であり、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含み、ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%のレベルで存在し、
【化4】
式中、R1がHまたはC1〜2アルキルで、nが1または2であり、第2のランダム反復モノマーユニットが以下の構造を有し、
【化5】
式中、R2がC3〜19アルキルまたはアルケニルであるコポリマーと、
(b)脂肪族多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物とから合成された、脂肪族エステル重縮合物とを含む。
本発明のポリエステルブレンドは、
(a)2つのランダム反復モノマーユニットを含むコポリマーであって、第1のランダム反復モノマーユニットは以下の構造を有し、
【化1】
式中、R1がHまたはC1〜C2アルキルで、nは1または2であり、第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【化2】
式中、R2がC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【化3】
式中、mが2〜約16であり、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含み、ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%のレベルで存在し、
【化4】
式中、R1がHまたはC1〜2アルキルで、nが1または2であり、第2のランダム反復モノマーユニットが以下の構造を有し、
【化5】
式中、R2がC3〜19アルキルまたはアルケニルであるコポリマーと、
(b)脂肪族多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物とから合成された、脂肪族エステル重縮合物とを含む。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、丈夫で延性のある、生分解性で堆肥化可能な脂肪族ポリエステルブレンド組成物と、そのような組成物を調製する方法を対象とする。これに限るものではないが、フィルム、繊維、不織布、シート、コーティング、結合剤、発泡体、及び包装用の成形製品を含む、そのようなブレンド組成物で作製される製品に関する。この製品は、柔軟性、生分解性、及び堆肥化性を維持しながら、高い強度、延性、及び強靭性の望ましい組合せを示す。そのようなブレンドの他の利益について、本発明で説明する。この製品は、おむつ用トップシート、おむつ用バックシート、使い捨て可能な拭取り用品、買い物及び芝/落葉用袋、農業用フィルム、庭ゴミ用ネット、漁網、種まき用テンプレート、植木鉢、使い捨て可能な衣料品、医療用使い捨て可能製品、紙コーティング、生分解性包装、セルロース繊維または合成繊維用の結合剤など、様々な生分解性物品に有用である。
【0002】
(背景)
本発明は、毎年埋立地に廃棄される物においてより重要な体積分率を占める過剰なプラスチックゴミの、増大する環境問題を解決するための必要性に関する。その環境的な認識にも関わらず、消費者は、これまでの熱可塑性樹脂が提供する、特性とコストの魅力的で類のないバランスを諦めようとしない。従って、環境的利益を提供し、微生物によって迅速に分解されることで知られる、多くの天然ポリマー(例えば、セルロース、デンプンなど)は、独特の一連の物理的特性(即ち、柔軟性、延性、強度、強靭性)、並びに本来の溶融加工可能性に欠けるので、従来のプラスチックの現実的な代替物とはならなかった。従って、これまでの熱可塑性樹脂の利便性、並びにその柔軟性、強度、及び強靭性を落とさず、しかも廃棄問題に対して代替的な解決策を提供する、生分解性の堆肥化可能ポリマー熱可塑性材料に対して明らかな必要性がある。
【0003】
本発明は、さらに、とりわけ生分解性または堆肥化性が用途の望ましい主要特徴の一部である用途で使用できる、新しいプラスチック材料を開発する必要性に関する。そのような例には、例えば農業用フィルム、及びそのようなフィルムがその目的を果たした後で収集される必要がない時に農業従事者に提供する利便性が含まれる。植木鉢または種まき用テンプレートは、基材の一時的な性質が、ユーザの利便性に転換される他の例である。顔用拭取り用品、生理用ナプキン、パンティライナー、さらにはおむつなどの衛生用衣料品が、現在のインフラ(浄化槽または公共下水)を乱さずに、従って処理の不快感を避け、プライバシーを促進して、使用後に直接汚水に有利に廃棄されると、それらの廃棄手段も広がる可能性がある。そのような衛生用衣料品を作製する際に通常使用される現在のプラスチックでは、材料の望ましくない蓄積なしにそのような廃棄手段を行うことができない。上述の例で使用する新しい材料は、理想的には従来のポリオレフィンの物理的特性の多くを示す必要がある。すなわち、それらは、不透水性で、丈夫で、強く、しかし柔らかく、柔軟性があり、ガタ音がなく、できる限り低コストでなければならず、また費用効率が高くなるように、標準的なポリマー加工機器で製造されなければならない。
【0004】
堆肥化可能な熱可塑性材料の直接的な利益を示すその他の用途は、落葉/芝用袋である。コンポスタ及び袋除去のさらなる負担を必要とせず、及び堆肥汚染の危険のない、今日の唯一の堆肥化可能袋とは、紙袋である。しかし、紙袋は、プラスチックフィルムの柔軟性、強靭性、及び耐湿性を提供せず、保管にはかさばる。落葉/芝用袋を作製するために使用される堆肥化可能プラスチックフィルムであれば、紙袋のように廃棄できる袋であり、更にプラスチック袋の利便性を与える袋を提供する。
【0005】
これらの例から見れば、生分解性、溶融加工可能性、及び最終用途性能の組合せが、ポリマーの新分類開発にとって特別な関心事であることが明らかになる。溶融加工可能性は、従来の加工方法によって材料をフィルム、コーティング、不織布、または成形物に変換させる際に重要になる。これらの方法には、単層構造のキャストフィルム及びブロンフィルム押出成形、多層構造のキャストまたはブロンフィルム共押出成形が含まれる。その他の適切なフィルム加工方法には、その他のフィルム、不織布、紙ウェブなど、堆肥化可能基材の片側または両側上への1つの材料の押出コーティングが含まれる。その他の加工方法としては、繊維または不織布を作製する従来の手段(溶融吹込み、スパンボンド、フラッシュスピニング)、及び瓶または鉢の射出または吹込み成形が挙げられる。ポリマー特性は、最終用途時の最適な製品性能(柔軟性、強度、延性、強靭性、熱軟化点、及び耐湿性)を確実にする際だけでなく、連続動作を確実にするために、実際の製品作製段階でも不可欠である。
【0006】
これまで、様々なPHAの生分解性及び物理的特性が、研究され、報告されてきた。ポリヒドロキシアルカノエートは、合成的な方法によって、あるいは細菌や藻類などの様々な微生物によって製造することのできる、半結晶性の熱可塑性ポリエステル化合物である。これまでに知られている細菌性PHAとしては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、またはヒドロキシ酪酸の融点及び結晶化度が高い脆性ホモポリマーであるi−PHB、並びにポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)、またはいくらか結晶化度及び融点が低く、それにも関わらず高い結晶化度及び脆性と同じ欠点を有するコポリマーであるi−PHBVが挙げられる。微生物の存在下で容易に生分解する能力は、数多くの事例で実証されてきた。しかし、それらは、壊れやすいポリマーとして知られており、機械的拘束を受けて容易に脆性破壊及び/または引裂きを示す傾向にあり、それらは明らかに、丈夫で、延性のある、または柔軟性のあるポリマーとして適格とはされない。その融点が高いために、溶融時の大規模な熱分解に寄与する加工温度が必要とされるので、加工可能性もかなりの問題である。その他の既知のPHAは、いわゆる、長側鎖PHAまたはPHO(ポリ(ヒドロキシオクタノエート))である。PHBまたはPHBVとは異なり、これらは、循環ペンチルと、主鎖に沿って規則的に間隔をあけられた高級アルキル側鎖とのため、事実上、非晶性である。しかし、存在する場合、それらの結晶性分画は、非常に低い融点及び極めて遅い結晶化速度を有しており、この2つの主要な欠点は、発明の分野で述べた用途のタイプに有用な熱可塑性樹脂としての可能性を大きく制限する。
【0007】
ブレンド中のポリ(3−ヒドロキシブチレート)ホモポリマー(i−PHB)とポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)コポリマー(PHBV)の使用は、デーブ(Dave)他(ポリマー材料科学(Polym.Mater.Sci.)62、231−35(1990))、及びバーフート(Verhoogt)他(ポリマー(Polymer)、35(24)、5155−69(1994))に記載されている。しかし、ブレンドすることでは、これらの材料の生分解性質を維持しながら、そのような高結晶化度PHAの機械的壊れやすさ、及び柔軟性の欠如の問題は、容易には解決されなかった。
完全な成功ではないが、i−PHB及びPHBVの機械的特性を改善するブレンド手法に関して請求している特許がいくつかある。そのようなブレンド組成物は、本発明には含まない。
【0008】
AIST日本に譲渡されたトキワ(Tokiwa)他の米国特許第5,124.371号(JP03 157450(1991年7月5日)も参照)は、i−PHBとPCL(ポリカプロラクトン)製の生分解性プラスチック組成物を開示している。共重合触媒など、第3の成分の最適な使用について報告されている。この組成物は、ハモンド(Hammond)の次の特許(次の米国特許第5,646,217号を参照)には含まれておらず、後者は、他のポリマーへのブレンドの概念の拡大を目的としている。トキワ(Tokiwa)のPHBとPCLのブレンド、並びにハモンド(Hammond)のブレンドは、その実施例に開示の機械的特性から明らかなように、広範囲にわたる用途で望まれる延性及び強靭性を示すには至っていない。
【0009】
1997年8月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)の米国特許第5,646,217号(PCT国際公開特許WO−A−94 11440、EP669959A1、及びJP08503500も参照)は、第1のポリヒドロキシアルカノエート成分と、任意で第2のポリマー成分とを含むポリマー組成物を開示しており、その組成物は、組成物中の無機酸素含有化合物を使用することによって特性が高められている。無機酸素含有化合物は、エステル交換触媒として働くことができる。それは、周期表のIIA、IIIA、若しくはIVA群由来の金属、または、周期表のB群由来の少なくとも3価のメタロイドのオキシ化合物である。
PHAは、PHB及びPHBV化学構造を具体的に示した、以下の式、
[−O−CmHn−CO−]、m=1〜13、n=2mまたは2m−2(m>2)
の化学的反復ユニットを有すると言われている。
【0010】
本発明では、我々は、i−PHB及びi−PHBVよりも結晶化度が低い、より結晶性が低くより延性のあるランダム変性PHAコポリマーについては、脂肪族エステル重縮合物とのブレンドで優れた機械的相溶性を実現するために、エステル交換触媒を添加する必要がないことを予期せず発見した。さらに、そのようなブレンドは、真に卓越した機械的特性、特に強靭性及び柔軟性を示し、それはハモンド(Hammond)の特許に開示のものよりはるかに優れているだけでなく、LLPDE(直鎖状低密度ポリエチレン)やi−PP(アイソタクチックポリプロピレン)などのポリオレフィンにも有利に匹敵し得る。例えば、ハモンド(Hammond)の特許に記載のすべての実施例では、すべてのブレンドの破断時の伸長度が20%を超えることはなく、報告された強靭性測定値は、概ね平凡なものである。それに対して、我々のブレンドは、破断時の伸長度は数百%までを示し、ポリオレフィンの値を実際に超え得る強靭性の値を示す。加えて、本発明のブレンド組成物の結晶化の改良も、ハモンド(Hammond)の特許に記載のものをはるかに超えるものであり、我々のブレンドは、大規模な熱分解なしに、より低い温度で溶融物から容易に加工することができ、高性能、使い捨て可能、生分解性、及び/または堆肥化可能な製品のための好ましい材料になる。
【0011】
1996年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)の米国特許第5,550,173号(PCT国際公開特許WO94/11445、EP668893A1も参照)は、分子量が少なくとも50,000で、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、及びこれらのコポリマーから成る群から選択されるポリマーの少なくとも1つのオリゴマーを有するポリヒドロキシアルカノエートを含む、ポリマー組成物を開示している。そのようなオリゴマーは、分子量が2,000以下で、非揮発性で、Tgが低いので、PHAを変性する必要がある。オリゴマーは、ヤング率、すなわち弾性率を下げることによって、PHAの柔軟性を高めるのに寄与すると言われている。それらはまた、非揮発性添加物である一方で、生分解プロセスの加速に寄与する。特許のデータによれば、選択したオリゴマーの添加に関係する、強靭性の有意な改善はない(表7の破断時の伸長度データまたはアイゾット衝撃データを参照)。加えて、開示されたオリゴマー構造は、本発明のブレンド成分の1つである、エステル重縮合に基づくものを含まない。
【0012】
1996年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたモンタドール(Montador)他の米国特許第5,516,825号(EP655077も参照)は、ヒドロキシ基の少なくともいくつかをカルボン酸でエステル化し、カルボキシル基の少なくともいくつかをアルコール及び/またはフェノールでエステル化した、少なくとも3つのエステル基を有するエステル化ヒドロキシカルボン酸によって可塑化できる、ヒドロキシアルケノイン酸(hydroxy alkenoic acid)由来の生分解性ポリエステルを開示している。
【0013】
同じ可塑化の着想で、1998年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)他の米国特許第5,753,782号(EP701586A1、PCT国際公開特許WO94/28061も参照)は、もしクエン酸塩がその分子内に少なくとも3つのエステル基を有する二重エステル化ヒドロキシカルボン酸を含まず、さらにグリセロールが三酢酸グリセロール及び二酢酸グリセロールを含まないなら、生分解性ポリエステルと、多塩基酸の高沸点エステル、リン酸誘導体、亜リン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、置換型脂肪酸、それぞれ任意で置換し、任意で最終エステル化した、高沸点グリコール、ポリグリコール、ポリオキシアルキレン、及びグリセロール、ペンタエリスリトール及び誘導体、スルホン酸誘導体、エポキシ誘導体、塩素化パラフィン、ポリマーエステル、ウォルフレックスブート(Wolflex−But)*から成る群から選択される少なくとも1つの可塑剤の可塑化量とを含むポリエステル組成物を開示している。両方の特許では、剛性のより有意な低下(ヤング率の降下)と共に、全体的な機械的特性の改善(破断時の伸長度、衝撃データ)が報告された。しかし、例えば、破断時伸長度データは依然100%未満であり、アイゾット衝撃データは、わずか2〜4倍の増加である。これは、商業用途に通常必要な、10倍以上という強靭性改善を大きく下回る。
【0014】
1996年6月に三菱ガス化学(Mitsubishi Gas & Chem.)に譲渡された松下(Matsushita)他のJP08−157705は、グリコール、脂肪族ジカルボン酸、またはその誘導体から調製された脂肪族ポリエステルと、ポリ−3−ヒドロキシブチレートとを含む、生分解性樹脂塑性物を開示している。ポリ−3−ヒドロキシブチレートの重量平均分子量が、400kg/モル以上であることが望ましい。分子量がそれ未満の場合には、満足な成形品を得ることができないと報告されている。その目的は、特定の脂肪族ポリエステルとポリ−3−ヒドロキシブチレートを混合することによって、成形性、機械的特性、及び熱抵抗性に優れた生分解性樹脂組成物を得ることであった。i−PHB、ヒドロキシ酪酸のホモポリマーと、グリコール及び脂肪族ジカルボン酸の重縮合物とのブレンドは、結晶化度が低く、延性及び柔軟性が大きいコポリマーに対するPHAの定義を制限することにより、本発明には含まれない。
【0015】
同様に、1996年1月に三菱ガス化学に譲渡されたミウラ(Miura)他のJP8027362Aは、脂肪族二塩基酸、望ましくはコハク酸を、脂肪族ジヒドロキシ化合物、望ましくは1,4−ブタンジオール、及びジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)を縮合して得られる、望ましくは99〜50重量部の脂肪族ポリエステルカーボネートと、望ましくは1〜50重量部のポリ−β−ヒドロキシ酪酸とを含む組成物を開示している。やはり、PHA族の最も剛性と脆性を有する員を含有するブレンド、すなわちi−PHBとPHBVは、本発明には含まない。
【0016】
1994年1月にマクニール−PPC社(McNeil−PPC,Inc.)に譲渡されたダビ(Dabi)他のEP606923A2及びEP882765A2は、良い機械的特性を示すと言われており、微生物の存在下で容易に分解される、熱可塑性生分解性組成物の2分類を開示している。その発明の一態様は、脱構造化したデンプン−ポリマー合金ベースの生分解性組成物を開示しており、これは、本発明の範囲外である。発明の他の態様では、熱可塑性エステル含有ポリマー、可塑剤、及び任意で不活性充填剤のブレンドが提供される。より具体的には、これらの組成物は、以下を含むものとして記載されており、
−次の一般式の1つまたはそれ以上の反復ユニットを含む、10〜70重量%のポリマーまたはコポリマーと、
(I)[−O−CHR−CH2−CO−]n(Rは、1〜9個の炭素含有アルキル基)
−分子量が10,000より大きい、5〜35重量%のエステル含有ポリマー、なお、これは、
−次のタイプの、主鎖にエステル結合を有するポリマーと、
(II)[−O−CO−R1−CO−O−R2−]n
−次のタイプの、ペンダントエステル基を有するポリマーと、
(III)[−CH2−CHX−CH2−CHOCOCH3−]n及び
(IV)[−CH2−CR4COOR5−]n
−0〜約30重量%の、トリアセチンなど、1つまたはそれ以上の可塑剤と、
−0〜約50重量%の、炭酸カルシウムまたはデンプンなど、不活性充填剤とから成る群から選択される。
【0017】
そのような組成物を示す例としては、PCL(ポリカプロラクトン)またはEVA(エチレン−ビニルアセテートコポリマー)のいずれかとブレンドした、PHBV(市販のバイオポール(Biopol))が挙げられる。両ポリマーは、本発明の範囲外である。得られた機械的特性は、純粋なPHBVよりは優れているが、卓越しておらず、利用可能なデータによれば、強靭性でも柔軟性でもポリオレフィンに匹敵しない。非常に限られた場合にだけ、ブレンドの破断時の伸長度が100%を超えたが、300%の伸長度に達する事例はなかった。実際、添加物なしのPHBVとPCLの70/30ブレンドでは、報告されている破断時の伸長度である15%は、脆性破壊を示している(延性なし)。
我々のPHAコポリマー(さらに後の発明の詳細な説明を参照)にブレンドするエステル重縮合物のタイプに関して本発明の最も好ましい実施形態である、コハク酸ポリブチレンまたはコハク酸ポリブチレン−共−アジパートは、特許には記載されておらず、実施例でも使用されていない。
【0018】
従って、上述の発明の著者らは、その化学構造及び機械的性能の両方でPHBまたはPHBVとは異なる、本発明の新しいPHAが、コハク酸ポリブチレンまたはコハク酸ポリブチレン−共−アジパートなど、エステル重縮合物とのブレンドで、真に不連続な卓越した機械的特性を実現できる方法を認識も構築もしていない。性能の面で驚くべき結果であるのは、そのようなブレンドが、PHBまたはPHBVのような従来のPHAと同様のブレンドのものだけでなく、以下の実施例で示すように、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど、一般的な延性ポリオレフィンのものまでも超えることができることである。加えて、本発明のブレンドは、迅速に生分解できるという点で有利に匹敵し、また容易に加工でき、高性能な使い捨て可能製品のための好ましい材料となることができる。
【0019】
1998年7月にキンバリー−クラーク(Kimberly−Clark)に譲渡されたツァイ(Tsai)他のPCT国際公開特許WO98/29493は、脂肪族ポリエステルポリマーと多炭素カルボン酸の未反応混合物を含む熱可塑性組成物を開示している。そのような熱可塑性組成物の一例が、ポリ(乳酸)とアジピン酸の混合物である。その熱可塑性組成物は、体液など、流体を吸収するように意図された使い捨て可能な吸収性物品で使用できる不織布構造に形成できる繊維に、押出成形することができる。請求項2では、様々な脂肪族エステルポリマー及びそれらの混合物、並びにそのようなポリマーのコポリマーから作製される組成物を開示している。ビオノーレ(Bionolle)及びPHBVは、列記ポリマーの中にあるが、それらのブレンドは本発明の範囲外である。その他の結晶性が低く柔軟性の高いPHAは、記載されていない。
1992年6月にクローペイプラスチックプロダクツ社(Clopay Plastics Prod.Co.)に譲渡されたウー(Wu)他の米国特許第5,200,247号は、アルカノイルポリマーとポリ(ビニルアルコール)のブレンドを含む生分解性熱可塑性フィルムを開示している。そのフィルムは延伸させることができ、不透明性が与えられ、その生分解性が高められる。ブレンドの90〜75重量%を構成すると言われているアルカノイル熱可塑性ポリマーは、
a)ジアルカノイルポリマー(循環ジアルカノイルユニットの少なくとも10%)と、
b)式O(CH2)xC=O(x=2〜7)のオキシアルカノイルと、
これらの混合物とから成る群から選択される。
【0020】
上述の定義は、本発明の特定のPHAコポリマーを含まず、その最も好ましい実施形態では、オキシアルカノイルポリマーはPCL(すなわち、ポリカプロラクトン)である。延伸可能にするためにフィルムは延性がなければならないという事実以外に、フィルム性能の具体的な請求項はない。
1995年11月にユニチャーム社(Unicharm Corp.)に譲渡されたマツムラ(Matsumura)他の米国特許第5,464,689号は、40〜85%のPHBV(8〜15%V)と、60〜15%のPCLと、5〜40体積%の無機充填剤(粒径0.1〜10ミクロン)とを含む樹脂組成物、及び開示の延伸プロセスによって組成物から製造される多孔質フィルムを開示している。その著者らは、多孔質フィルムが容易に微生物であることを主張している。そのような生分解性ポリエステルブレンドは、本発明に含まれる材料及び組成物の範囲外である。
【0021】
1991年11月にPCDポリマー株式会社(PCD Polymere Gesellschaft)に譲渡されたクラインク(Kleinke)他の米国特許第5,231,148号は、少なくとも70重量%のポリヒドロキシアルカノエートと、少なくとも2つの酸及び/またはアルコール基を含有し、前記ポリヒドロキシアルカノエートの溶融物中で軟化及び/または溶解し、並びに/または前記ポリヒドロキシアルカノエートの融点で溶融物と混和性である、0.1〜10重量%の化合物または化合物の混合物とを含む混合物を開示しているが、ポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸とポリエーテルの混合物は含まれない。本発明のエステル重縮合物は、一般にPHAのコポリマーに可溶性でも混和性でもなく、また化学反応を起こすという明確な証拠がない。
【0022】
ヨーン(Yoon)他の、ポリマー科学・ポリマー物理学雑誌(J.Poly.Sci.,Pol.Phys.)34、2543〜2551ページ(1996年)は、i−PHBと、アジピン酸、エチレングリコール、及び乳酸の脂肪族テルポリエステルとのブレンドの、相溶性及び生分解性の側面を調査した。彼らは、構造研究から、そのようなポリマーは相溶性とみなせると判断したが、ブレンドの結果としてのエステル交換などの化学的変化は見られなかった。
クマガイ(Kumagai)他の、ポリマーの分解及び安定性(Polymer Degradation and Stability)36、241ページ(1992年)は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)と、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ブチレンアジパート)、またはポリ(ビニルアセテート)のいずれかとのブレンドを開示している。初めの2つの事例では、ブレンドが非混和性であることがわかり、第3の種類のブレンドでは混和性が見られた。類似研究において、クマガイ(Kumagai)他の、ポリマーの分解及び安定性(Polymer Degradation and Stability)37、253ページ(1992年)は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)と、ポリ(b−プロピオラクトン)、ポリ(エチレンアジパート)、または高HV含有ポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)とのブレンドを開示している。その著者らは、ブレンドから形成したフィルムの酵素分解速度が、各ポリマー成分フィルムの速度より速いことを開示している。
【0023】
ヴヌク(Wnuk)他のPCT国際公開特許WO96/08535及びWO97/34953号は、生分解性ポリマーのブレンドを含む一般的な組成物を開示しており、生分解性ポリヒドロキシアルカノエートと、脂肪族ポリエステルベースのポリウレタン、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、第2の生分解性ポリマーとを含むポリマー組成物を例示している。上述の脂肪族ポリエステルベースのポリウレタンは、結晶化度が低く、熱可塑性エラストマーのような等級であり、これは、脂肪族ジアルカノイル循環ユニットの大部分を含有する、本発明の半結晶化ポリエステルとは異なる。特に、そのようなポリウレタンは、本発明の実施例の1つで説明するものと同様の結晶化速度の増加に寄与することができない。また、従来の高結晶性で脆性のPHA(PHBVのPHBなど)を使用して作製したブレンドの低い性能と、低結晶化度PHAを含む本発明のブレンドのより大きい延性及び強靭性との間に相違はない。
【0024】
最後に、ポリエステルブレンドに関しては、イーストマンコダック(Eastman Kodak)に譲渡されたハブス(Hubbs)他のPCT国際公開特許WO94/00506が、脂肪族エステル重縮合物を含む、他のポリエステルとの様々なPHAのブレンドを開示している。開示されているPHAは、単に化学合成だけにより作製され、本来はアタクチック、すなわち光学活性でなく、従って、ほとんどまたは全く結晶化度を示さない。それらは本発明のPHAとは異なり、生合成を介して作製した時に完全にアイソタクチック、すなわち光学的に純粋であるか、またはアルキル亜鉛アルコキシドなどの特定の触媒を使用してb−置換型b−プロピオラクトンを重合する時には高度にアイソタクチック(97%)である(プロクターアンドギャンブル社(Procter & Gamble Co.)に譲渡されたL.A.シェットマン(Schechtman)他の米国特許第5,648,452号を参照)。
【0025】
近年、新しいポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)コポリマー組成物が、カネカ(Kaneka)(米国特許第5,292,860号)、昭和電工(Showa Denko)(EP440165A2、EP466050A1)、三菱(Mitsubishi)(米国特許第4,876,331号)、及びプロクターアンドギャンブル(Procter & Gamble)(米国特許第5,498,692号、5,536,564号、5,602,227号、5,685,756号)に開示された。すべて、結晶化プロセスを部分的に妨げる主鎖に沿って、制御された量の「不備」をランダムに組み込むことによって、PHAの結晶化度及び融点を、高結晶化度のPHVまたはPHBVでの値よりも低いいかなる望ましい値にも調整する、様々な手法を記載している。そのような「不備」は、様々なタイプの分枝(3−ヒドロキシヘキサノエート以上)と、短い(3HP、3−ヒドロキシプロピオネート)または長い(4HB、4−ヒドロキシブチレート)直鎖脂肪族柔軟性スペーサのいずれか、または組合せである。その結果が、80℃〜150℃の最も有用な範囲内で溶融し、加工時に熱分解の影響を受けにくい、コポリマー構造である。加えて、これらの新しいコポリマーの生分解速度は、通常、その結晶化度の低さと、微生物の影響を受けやすさの結果として改善されている。しかし、そのようなコポリマーの機械的特性が、PHBまたはPHBVの機械的特性より改善された一方で、その強靭性は、例えば長期物理的エージング後のポリオレフィンの強靭性よりも依然劣る。エージングは、これらのコポリマーの硬化を担い、それがさらにその延性、すなわち破損なしに大規模に塑性変形する能力に影響を及ぼす。それほどではないにせよ、それは、G.J.M.デコニンク(deKoninck)他によって報告されている、PHB及びPHBVに関するエージング効果に似ている。PCT国際公開特許WO94/17121では、後者が、エージング効果を部分的に逆転させることができるが、それでもこれらの高結晶化度ポリマーに十分な延性をもたらすには足りない、熱的焼きなまし処理を開示している。最後に、新しく、より適切なコポリマーの結晶化速度は、特徴的に遅く、それらを従来の変換方法によって加工する課題が残されている。
【0026】
より有用なPHAコポリマーなどの設計におけるこれらの全ての進歩にも関わらず、熱可塑性物質から得られると予測されるようになった、卓越したポリオレフィンのような特性(例えば、柔軟性、延性、強靭性、不透水性)、埋立地を超える廃棄の代替的な手法の可能性を開く高い生分解速度、及び重大な変換なしに従来の転換機器で容易に取り扱うことのできるという加工特徴を示す、材料の分類を見つけるという課題が依然として残されている。本発明は、機械的特性、高い生分解速度、及び加工可能性の容易さの有用なバランスを提示することがわかった、新規の組成物を提供する。
【0027】
(発明の目的)
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点または制限事項を克服する、生分解性のポリヒドロキシアルカノエートベースの組成物及び方法を提供することである。
本発明の目的は、以下に開示する様々なタイプの用途で直面する広範囲の温度にわたってその完全性を維持する、新規で、柔軟性があり、きわめて丈夫で強く、不透水性で、容易に溶融加工可能な、生分解性ポリマー組成物を提供することである。一般的な意味では、生分解性とは、地面に埋められた時若しくは汚水中に廃棄された時、またはその成長に役立つ条件下で微有機体に接触した時、微生物によって、ポリマー成分が時間をかけて同化されやすいことを意味する。材料は、デンプンやセルロースなど、他の既知の天然生分解性物質と同様に、最終的に環境内でCO2、H2O、及びバイオマスに生分解される。
【0028】
本発明の他の目的は、相溶剤または触媒の必要なしに優れた機械的完全性を示し、多くの環境において容易に生分解することのできる、非混和性で機械的相溶性のポリマーブレンドを提供することである。
本発明の他の目的は、生分解性ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーの延性及び強靭性を劇的に高め、従って広範囲の用途でのこれらの新しい材料の有用性を引き出す方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、既知の延伸プロセスによって破断なしに固体に変換させることのできる、強く延性のある生分解性ポリマー基材を提供することであり、得られる変換された基材は、元の基材より高い機械的特性(高い強靭性、部分弾性復元)を示す。
本発明の更に他の目的は、改善された溶融レオロジーと結晶化速度を示す、様々なプラスチック物品に容易に溶融加工可能な生分解性ポリマー組成物を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、溶融または溶媒スピニング、溶融吹込み、キャストフィルム押出成形またはブロンフィルム押出成形、射出成形、溶媒コーティングなど、従来の変換プロセスを用いて、プラスチック物品を作製するために、生分解性ポリマー組成物を使用する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、丈夫で強くしかも柔軟性のある生分解性の衛生用または医療用衣料品、堆肥化可能なプラスチック袋及び農業用フィルム、射出成形鍋、庭ゴミ用ネット、堆肥化可能発泡物品、生分解性のパルプ、紙コーティング並びに結合剤を提供することである。
本発明の他の目的は、汚水を含めて、より多くの種類の手段によって廃棄することのできる、生分解性堆肥化可能バックシートまたは物品の他の構造特徴を有する新規の吸収性物品を提供することである。
【0030】
(発明の概要)
本発明の第1の態様は、ポリエチレンやポリプロピレンなど、最も一般的な延性ポリオレフィンに有利に匹敵する柔軟性、延性及び強靭性特徴を示し、様々な造形品に固体、溶融または溶媒加工でき、しかし微生物の存在下で容易に分解または破壊する、新規の生分解性で堆肥化可能な熱可塑性ポリマー組成物に関する。そのような組成物は、少なくとも2つのポリマー成分を含む。
a)20〜80重量%の新規組成物を含む第1の成分は、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニット(RRMU)を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマー、またはそのブレンドであり、、少なくとも50%のポリヒドロキシアルカノエートモノマーユニットを含む第1のRRMUは以下の一般構造(I)を有し、
【0031】
【化9】
【0032】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0033】
【化10】
【0034】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0035】
【化11】
【0036】
式中、mは2〜約16である。
b)80〜20重量%の新規組成物を含む第2の成分が、以下の一般構造の脂肪族ジアルカノイルユニットの重縮合により得られたエステル重縮合物またはそのブレンドであり、
【0037】
【化12】
【0038】
及び、これらの混合物;
式中、sは約1〜約10、好ましくは約2〜10であり、二価アルコールは以下の式を有し、
HO−(CH2)t−OH
式中、tは約2〜約10である。あるいは、重縮合物の脂肪族二価酸の50%までを、以下の式のテレフタル酸またはナフタル酸などの芳香族のもので置換することができる。
【0039】
【化13】
【0040】
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの生分解性を維持しながら、物理的特性の有利な組合せを得るには、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含む。適切には、ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの数平均分子量が、約150,000g/モルを超えることが適切である。
組成物中で使用するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの他の実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のRRMUを含むことができる。
適切には、追加のRRMUは、以下の構造(IV)を有することができ、
【0041】
【化14】
【0042】
式中、R3がH、またはC1〜C19アルキル若しくはアルケニル基で、qが1または2であるが、追加のRRMUが第1のRRMUとも第2のRRMUとも同一でなく、R1がCH3の時にR3はC2H5でないという条件である。
ポリマー組成物中には、2つより多くのポリマー成分が存在してもよいが、その場合、追加のポリマー組成物は、a)及びb)に表す化学構造に従い、上述で定義した全体的なポリマー組成物を満たす。
任意で、柔軟性を更に調整しその有用性の温度範囲を広げるという着想により、本発明のブレンド組成物は、0〜20重量%の1またはそれ以上の相溶性可塑剤を含むことができる。また、本発明のブレンド組成物は、後者が総ポリマー含有量の10重量%未満に抑えられている間は、1つまたはそれ以上の追加の相溶性ポリマーを含むことができる。ポリマーは、特に、ポリヒドロキシブチレートホモポリマー(iPHB)またはポリヒドロキシブチレート−共−バレレート(PHBV)を含むことができ、これは、本発明の低結晶化度PHAコポリマーの生成を担う同一の生物学的有機体によって少量で製造することができる。
【0043】
本発明の他の態様によれば、本発明は、さらに、新規の生分解性の堆肥化可能熱可塑性ポリマー組成物を調製する方法に関し、これには、ブレンド組成物の溶液または溶融物内でのブレンドと、その後の溶媒の除去、または単純な冷却が含まれる。
本発明はさらに、その強靭性及び延性を改善するように、少なくとも50%の脂肪族ジアルカノイルユニットを含んで、熱可塑性エステル重縮合物を細かく分散させることによって、PHAを強化する方法に関する。
本発明はさらに、本発明のポリマー組成物の加工及び変換による、溶液または溶融物から、触媒または相溶剤を実質的に含まない造形物品への、生分解性プラスチック物品の製作に関する。そのようなプラスチック物品には、フィルム、シート、繊維、コーティング、成形物品、不織布、及び発泡物品が含まれる。
【0044】
本発明はさらに、本発明の高強度及び強靭性ブレンド組成物を用いた、生理用ナプキン、拭取り用品、おむつ、パンティライナーなどを含めた生分解可能な衛生用及び/または医療用衣料品、また落葉/芝用袋、農業用フィルム、漁網、庭ゴミ用ネット及び種まき用テンプレートなどの堆肥化可能袋、並びに使い捨て可能なカップなどの発泡物品、コーティングまたは結合パルプまたは紙ベース製品の製作に関する。
PHAは、その固有の酵素的性質及びその低結晶化度のために、通常それが直面するほとんどの環境条件(好気性及び嫌気性)で生分解速度が速いことで知られる。これがブレンドの生分解性の促進に寄与し、廃棄することのできる手段を拡張するので、他の生分解性ポリエステルとのブレンド中の望ましい成分となっている。その結果、ブレンドは、湿潤条件下を含め、使用時の卓越した機械的完全性及び強度を示すが、ほとんどの環境においてかなり短い時間で容易に破断する。
【0045】
袋は、規則的な間隔で連続的なブロンフィルムを密封し予め切断することによって作製される、通常、単層または多層の構造である。本発明のブレンド組成物の加工可能性及びフィルム性能の様態は、ポリオレフィン製の従来の袋の価値ある代用品の価値の提供において独特のものである。
エステル重縮合物を単に添加し、その後、ブレンドして様々な物品へと変換することによって、ポリヒドロキシアルカノエートから製作した物品の延性を驚くほどに改善できることがわかった。ポリヒドロキシアルカノエート及び脂肪族エステル重縮合ブレンドは、目覚しい機械的強度及び強靭性、高い生分解速度、加工可能性の容易さ、並びに低コスト可能性を有する、生分解性の堆肥化可能プラスチック組成物となる。後者の点は、PHA、及び、例えばコハク酸ポリブチレンなどのエステル重縮合物が、共に大いにC4化学反応に基づいており、また原則的には、細菌性合成または発酵、またその後の重縮合反応を介して商品再生可能資源から得られるという事実に裏付けられるものである。
【0046】
(詳細な説明)
ブレンドの物理的特徴
本出願人は、生分解性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と、実施例1で述べるような脂肪族エステル重縮合物(AEP)とを含む、半結晶性直鎖脂肪族ポリエステルブレンドを、うまく調製できることを見出した。これらのポリエステルは、一般に非混和性ブレンドを形成する。本明細書で使用する時、「非混和性[ポリエステル]ブレンド」とは、示差走査熱量測定(DSC)により調査した時に、多数のガラス転移点及び/または融点を示すブレンドを指す。混合は、一般的な溶媒中の溶液、あるいは溶融物内で、両方の融点より高い温度で容易に達成される。ただし、溶融物の温度が、PHAコポリマーの熱分解が誘発されることのある、150〜160℃より高くなるのを避けることが重要である。ブレンド成分については、本発明の説明で、以下に詳細に説明する。
【0047】
本発明のポリエステルは、一般に非混和性ブレンドを形成する。しかし、機械的完全性に乏しいほとんどの非混和性ブレンドとは異なり、本発明のブレンドは、優れた機械的特性を示すことが思いがけなくわかった。実際、それらはPHAだけから作製した材料上の強靭性及び延性において非常に大きな改善を示し、従って様々な用途に好ましい材料となっている。これについては、そのようなフィルムサンプルで得られた実験的破壊強靭性データを使用して、実施例2及び3で説明する。2つの異なる試験方法を実施例で説明して、試験した特定の材料の高い強靭性を実証する。そのような非混和性で「相溶性」のブレンドは、ブレンドの個々の成分に比べて、少なくとも1つの機械的特性で相乗作用を示す。例えば、ポリエステルブレンドで形成されたフィルムは、単一のブレンド成分で予想されるよりはるかに大きい強靭性を示す。これらの材料の高性能の利益の1つは、それが、高性能の芝/落葉用袋の場合のように、必要であれば改善された強靭性を有する使い捨て可能物品を作製できるか、または作製すべき物品のポリマー成分の量を減らせるので、結果として全体的な材料削減ができることである。材料の削減は、物品をより容易で迅速に生分解可能にする一方で、コストの削減と環境利益に寄与する。
【0048】
延性が向上した結果として、そのような材料に、一様または徐々のいずれかで、早期の破損なしに材料を延伸及び伸長させる固体変換プロセスを容易に実施することができる。本明細書で使用する時、「延性」とは、物品が破損せずに、内部で機械的エネルギーを変形させ消散させる能力を指す。本明細書で使用する時、「破損」とは、物品が破壊するまたは引き裂かれる傾向を指すことを意図する。例えば、延性プラスチックフィルムとは、機械的応力下で、破損せずに、または少なくとも破損前に、延伸し変形するフィルムである。延性が大きくなるほど、材料は、与えられた応力に対して破断せずに適応できるようになる。ポリオレフィンは、その延性で知られており、この特徴を大幅に生かして、ポリオレフィン物品は、さらに有用で機能的な物体へと変換されてきた。従って、ポリオレフィンに匹敵する、またはポリオレフィンを超える、生分解性ポリエステルブレンドを開発することが非常に望ましい。本発明のブレンド組成物のこの特質については、実施例4で詳細に説明する。
【0049】
さらに、固体変換を実施したブレンドの機械的特性が、非延伸試料よりさらに大きい強靭性を示すことが思いがけずわかった。これは、実施例5で説明する。やはり、好機とは、材料を利用する物品の性能の全体的な向上に導くことができ、また、どのような性能の不利もなく、さらなる材料の削減に導くことができるものである。これは、例えば、SELF化などの徐々の延伸プロセスを実施し、それが同じまたはより良い穿刺耐性で袋の収容能力を潜在的に増加させることになる、芝/落葉用袋の場合で説明される。この重大な発見の重要な結果の1つは、袋に荷重をかけるほど、その収容能力が大きくなり、引裂きまたは穿刺耐性能が大きくなることである。実施例6で例示するように、ある程度の復元可能な弾性など、事前の延伸プロセスを介して、ポリマー袋にさらなる機能を与えることができる。そのような弾性は、堆肥化可能な袋に関し、万能サイズの構想への入り口点を提示する。徐々にまたは部分的にだけ事前に引き出される場合、そのようなフィルム中に残されている残存延性または可塑性を使用して、その非常に高い穿刺及び引裂き耐性のためにフィルムが早く破壊される危険を冒さずに、サイズまたは形状をさらに変化させることができる。
【0050】
PHAは、一般に、その結晶核生成及び結晶成長が本質的にかなり遅いので、結晶化するのがかなり遅い。これらのポリマーを、他の一般的なポリマーに匹敵する速度で加工可能にし、本発明の様々な物体にするには、結晶化を加速するための先駆技術が必要である。その本質的に遅い結晶化を避けるには、高効率核生成パッケージが確実に必要となる。文献に既に記載されたもののなかに、適しているものがいくつかある可能性がある。その他は他の発明の主題となっている。いずれにしても、実施例7に示すように、エステル重縮合物がまた、ブレンド中のPHAの結晶化の加速にも寄与することがわかっている。本出願人のデータから、これが、ブレンドのエステル重縮合分画がより速く結晶化するという事実によるものだけではなく、ブレンドのPHA分画も同様であることがわかる。また結果として、それに関して、及び速い速度で、すなわちより経済的に本発明のブレンドを様々な形に変換する、改善された能力において、全体的な利益がある。
【0051】
ブレンドが非混和性である結果として、ポリマー成分が相分離し、その結果、それぞれの熱転移が全体としてブレンドに影響を及ぼす。これがどのようにして、これらの材料が物品中で有用となる温度範囲の拡大を引き起こせるかという例が、実施例8て提供されている。半結晶性ポリマーが、TgとTmの間の間隔で最も有用であることが、一般に理解されている。Tg未満では、それらはより容易に脆性破壊する傾向にあり、しばしば壊れやすいものとみなされ、Tmより高ければ、それらは物理的完全性を失う。上述のブレンドは、これらの材料の実用性の範囲を拡大する手段として、エステル重縮合物の低いTg、並びにポリヒドロキシアルカノエートの高いTmを利用するのを助けることができる。
【0052】
ポリマーの溶融加工のほとんどが、一般にこれらの材料の2つの重要な特徴、すなわち溶融弾性とずり減粘(shear−thinning)作用とを利用している。本明細書で使用する時、「溶融弾性」とは、ポリマー溶融物が加工時に安定な一時的形状を維持する、すなわち溶融物中にある程度妥当な機械的完全性を示す能力を指す。これは、冷却及び凝固前に、溶融物中のポリマーの形を整える際または薄化する際に、非常に大きな柔軟性を提供する。同じ分子量では、PHAコポリマーの溶融弾性は、エステル重縮合物の溶融弾性よりはるかに低く、それが後者のもつれの間の高い分子量に起因すると考えられてきた。結果として、PHAが十分な溶融弾性を示すには、さらに高い分子量が必要となる。ブレンド中では、エステル重縮合成分は、溶融弾性の構築に寄与し、従って高分子量PHAを有するための条件が緩和される(実施例9を参照)。ポリマーに典型的なその他の有用な特徴は、加工時のずり減粘作用を示す能力である。本明細書で使用する時、「ずり減粘」とは、流れにおいて溶融物内でポリマーのずり粘度を低下させること、すなわち粘度を減少させて、材料を加工しやすくすることを意味する。実施例9で実証するように、本発明のブレンド組成物では、ずり減粘は、PHA単独の場合より明白である。
【0053】
本発明のブレンドは、生分解性と呼ばれる。本明細書で使用する時、「生分解性」とは、微生物及び/または自然の環境要因によって、最終的にCO2と水、またはバイオマスに、完全に分解される化合物の能力を示す。本発明のブレンドは、真に生分解性材料を識別するのに役立つと予想され、生分解性に関するASTM標準に合致する製品の認証を目的とした認証/ロゴの開発と共に、ドイツDIN並びに今度のヨーロッパ(CEN)のものと相反しない、堆肥化可能プラスチックに関する近年承認された米国ASTM標準(ASTM D6400−99)の条件を満足するものである。
本発明のPHAは、その組成物には関わらず、全く容易に破断し、微生物によって無機化されることで知られている。エステル重縮合はまた、長い時間をかけて破断し、最終的には微生物によって大部分が代謝されることでも知られている。市販のポリエステルには、ASTM標準によって構築された基準をうまく満たしたものもある。芳香族モノマーが存在する場合、芳香族構成要素の脂肪族構成要素に対する比率を、容易に代謝できないほどに大きい芳香族オリゴマー残基が確実に存在しないように、臨界値より低く維持することが不可欠である。
本明細書全体にわたり、出版物及び特許を参照する。本明細書で述べたすべての参照を、参考として本明細書に組み込む。
特に指示がない限り、本明細書に記載のコポリマー組成物の比はすべてモル比とする。特に指示がない限り、パーセンテージはすべて重量による。
【0054】
ポリヒドロキシアルカノエート
本発明のブレンドで使用するポリヒドロキシアルカノエートは、合成して調製するか、または細菌や藻類など、様々な生物学的有機体によって製造することができる。ポリヒドロキシアルカノエートはコポリマーであり、2つまたはそれ以上の構成要素を有するコポリマーであることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートは、ほぼ光学的に純粋、すなわち主にアイソタクチックまたはシンジオタクチックであることができる。本明細書で使用するポリヒドロキシアルカノエートは、好ましくは、ほぼアイソタクチック(約90重量%〜約100重量%がアイソタクチック)であるか、または完全にアイソタクチック(約100重量%がアイソタクチック)である。完全にアイソタクチックのポリヒドロキシアルカノエートは、生物学的有機体から得ることができ、本発明で使用するポリヒドロキシアルカノエートを、生物学的有機体から発酵によって、あるいは遺伝子導入緑色植物(真核生物)から得ることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーまたはそのブレンドは、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニット(RRMU)を含み、
少なくとも50%のポリヒドロキシアルカノエートモノマーユニットを含む第1のRRMUが以下の一般構造(I)を有し、
【0055】
【化15】
【0056】
式中、R1がH、またはC1若しくはC2アルキルで、nが1または2である。好ましい実施形態では、R1はメチル基(CH3)であり、よって第1のRRMUが以下の構造を有し、
【0057】
【化16】
【0058】
式中、nは1または2である。第1のRRMUの他の好ましい実施形態では、R1がメチルで、nが1であり、よってポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが、3−ヒドロキシブチレートユニットを含む。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0059】
【化17】
【0060】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0061】
【化18】
【0062】
式中、mは2〜約16である。一般に、式(II)のRRMUでは、R2の長さは、ある程度までは、コポリマーの全体的な結晶化度の低減に影響を及ぼす。好ましい実施形態では、R2がC3〜C10アルキル基またはアルケニル基である。その他の好ましい実施形態では、R2がC3〜C6アルキル基であり、他の好ましい実施形態では、R2がC3アルキル基であり、よって第2のRRMUが3−ヒドロキシヘキサノエートである。代替的な好ましい実施形態では、R2がC10〜C19アルキルまたはアルケニル基である。構造(III)のモノマーを含む第2のRRMUに関して、好ましい実施形態では、mが2〜約10で、より好ましくは4または5のいずれかである。他の実施形態では、生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーは、構造(I)の第1のRRMU、及び構造(II)と構造(III)の両方の追加のRRMUを含む。ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの生分解性を維持しながら、有利な組合せの物理的特性を得るには、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含む。適切には、コポリマー中の第1のRRMUと第2のRRMUのモル比が、約50:50〜約99:1の範囲にある。本発明のブレンドを、通常の繊維または成形物品(例えば射出成形または吹込み成形)に加工する時には、PHAのブレンドRRMUの好ましくは約80%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。本発明のブレンドをエラストマーまたは接着剤に加工する時には、PHAのRRMUの好ましくは約50%が、第1のRRMUの構造を有する。本発明のブレンドを不織布に加工する時には、PHAのRRMUの好ましくは約85%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。特定の理論に縛られることを意図しないが、第2のRRMU鎖及び/または分枝長と、支持したモル量との組合せが、第1のRRMUの結晶化度を十分に低減させ、意図した用途に望ましい物理的特性のコポリマーを形成すると考えられている。
【0063】
加えて、ポリヒドロキシアルカノエートの分子量は、好ましくは約150,000より多く、より好ましくは約150,000〜約2,000,000で、さらにより好ましくは約250,000〜約1,000,000である。
組成物で使用するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの他の実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のRRMUを含むことができる。適切には、追加のRRMUは、以下の構造(IV)を有することができ、
【0064】
【化19】
【0065】
式中、R3がH、またはC1〜C19アルキル若しくはアルケニル基で、qが1または2であるが、追加のRRMUが第1のRRMUとも第2のRRMUとも同一でなく、R1がCH3の時にR3はC2H5でないという条件である。好ましくは、コポリマーは、少なくとも2つ、より好ましくは約2〜20の異なるRRMUを含む。好ましくは、RRMUの少なくとも50%が、第1のRRMUの構造を有する。
適切なポリヒドロキシアルカノエートとしては、ノダ(Noda)の米国特許第5,498,692号、5,502,116号、5,536,564号、5,602,227号、5,618,855号、5,685,756号、及び5,747,584号に開示のもの、並びに、カネカ(Kaneka)(米国特許第5,292,860)、昭和電工(Showa Denko)(EP440165A2、EP466050A1)、三菱(米国特許第4,876,331号)に開示の他のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)コポリマー組成物が挙げられるが、これらの特許は参考として本明細書に組み込む。
【0066】
脂肪族エステル重縮合物
本発明で使用する脂肪族エステル重縮合物は、脂肪族多価アルコール及び脂肪族ポリカルボン酸化合物から合成される。本明細書で使用する時、「多価アルコール」とは、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールを指し、「ポリカルボン酸化合物」とは、カルボン酸基と、酸無水物及び酸ハロゲン化物を含めた酸誘導体基とから選択される、少なくとも2つの基を有する化合物を指す。多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物のモル比は、約1.05:1〜約1.2:1であることが好ましい。
多価アルコールは二価アルコールであることが好ましい。適切な二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−リス−ペンタン、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
好ましい二価アルコールは、偶数個の炭素を有する直鎖アルキレン基であり、より好ましい二価アルコールは、2、4、6、8、または10個の炭素原子を有する。さらに好ましくは、二価アルコールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、並びにこれらの混合物から成る群から選択される。
適切な脂肪族ポリカルボン酸化合物としては、脂肪族ポリカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸無水物、脂肪族ポリカルボン酸ハロゲン化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、脂肪族ジカルボン酸化合物であり、より好ましくは、脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸無水物である。適切なポリカルボン酸化合物としては、コハク酸、コハク酸無水物、アジピン酸、アジピン酸無水物、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジノイン酸(dodecadinoic acid)、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
好ましい脂肪族ジカルボン酸化合物は、偶数個の炭素を有する直鎖アルキレン基を有し、より好ましい脂肪族ジカルボン酸化合物は、2、4、6、8、または10個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、ジカルボン酸は、コハク酸、コハク酸無水物、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカノイン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、少なくとも70mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、コハク酸、コハク酸無水物、及びこれらの混合物から成る群から選択される酸を含む。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、約30%以下、好ましくは約10%以下の、コハク酸及び/またはコハク酸無水物以外の酸化合物を含む。好ましくは、コハク酸及び/または無水物と、他の脂肪族ポリカルボン酸化合物のモル比は、約70:30〜約100:0である。
脂肪族エステル重縮合物は、式中sが約1〜約10、好ましくは約2〜10である次式を有する化合物から成る群から選択されるジカルボン酸化合物
【0069】
【化20】
【0070】
及び、これらの混合物;
並びに、式中tが約2〜約10である次式を有する二価アルコール、
HO−(CH2)t−OH
から合成されることができる。
脂肪族エステル重縮合物は、エチレングリコールとコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール及びコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及びセバシン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアジピン酸、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール及びセバシン酸などの、好ましい成分の混合物から調製することができる。より好ましいのは、エチレングリコール及びコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール及びコハク酸またはその無水物、並びに1,4−ブタンジオール、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物の混合物である。
【0071】
脂肪族エステル重縮合物は、芳香族エステル含有量が50%未満である限り、いくらかの芳香族エステル成分をランダムに、または小ブロックに組み込んで含むことができる。重縮合物は、また上述で定義したように、PHAのモノマーまたはポリマーシーケンスを含むこともできる。脂肪族エステル重縮合物にウレタン結合が含有される時には、ウレタン結合の量は、脂肪族エステル重縮合物の0.03〜3.0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。これは、一般に鎖の分子量を増加させる手段としての役割を果たす。
好ましくは、重縮合物の分子量は、約20,000より大きく、より好ましくは約50,000〜約500,000、さらにより好ましくは約100,000〜約400,000である。
【0072】
適切な脂肪族エステル重縮合物としては、タカハシ(Takahashi)他の米国特許第5,525,409号、タキヤマ(Takiyama)他の米国特許第5,310,782号、イマイズミ(Imaizumi)他の米国特許第5,314,969号及び同第5,714,569号に開示のものが挙げられ、これらの特許は参考として本明細書に組み込む。
【0073】
ポリエステルブレンドの配合
ポリエステルブレンド組成物は、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物をブレンドすることによって調製される。ブレンドは、両方のポリマーを溶融させるのに十分な温度で溶融ブレンドすることによって、または共通の溶媒内で溶液ブレンドすることによって調製することができる。好ましくは、溶媒は塩素系溶剤であり、より好ましくはクロロホルムである。溶媒は、ポリマーをブレンドした後に取り除くことができる。ポリヒドロキシアルカノエート及び脂肪族エステル重縮合物は、十分にブレンドして複合構造になる。
好ましくは、ポリエステルブレンド組成物は、界面活性剤、相溶剤、反応開始剤、及び無機充填剤を実質的に含まず、好ましくは全く含まない。本明細書で使用する時、「反応開始剤」とは、カルシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモンまたは亜鉛のアルコキシド、フェノキシド、エノレートまたはカルボキシレートのような無機オキシ化合物を含めた、エステル交換触媒を指す。本明細書で使用する時、「無機充填剤」とは、周期表のIIA、IIIB、及びIVA群から選択される金属などの金属の、酸化物、水酸化物、炭酸塩及び硫酸塩などの充填剤を指す。本明細書で使用する時、「界面活性剤、反応開始剤、及び無機充填剤を実質的に含まない」とは、界面活性剤、反応開始剤、及び/または無機充填剤がそれぞれ、ポリエステルブレンド組成物の約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満のレベルで存在することを意味する。
【0074】
本明細書で使用する時、「可塑剤」とは、柔軟性を改善するためにポリマーに添加する分子量が、約2000グラム/モル以下の化合物またはオリゴマーを指し、ポリマーと混合すると、通常ポリマーのガラス転移温度を下げる。可塑剤としては、グリセロールジアセテート、トルエンジアセテート、トルエンスルホンアミド、ジ−2−エチルヘキシルアジパート、ブチルアセチルリシノレエート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールカプリレート、塩素化パラフィン、ジ−イソブチルフタラート、ジ−イソヘプチルフタラート、ジ−イソ−オクチルフタラート、ジ−イソノニルフタラート、ジ−イソデシルフタラート、ブチルベンジルフタラート、ジデシルフタラート、ポリ(オキシエチレン)(4)ラウリルエーテル、エポキシ化大豆油、ジブチルマレアート、メチルラウレアート、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリエステルブレンド組成物は限定量の可塑剤だけを含む。本明細書で使用する時、「限定量の可塑剤」とは、ポリエステルブレンド組成物の約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満のレベルを指す。上述の特性の有利な組合せを得るために、可塑剤は必ずしも組成物中に必要ないが、材料の強靭性及び延性の改善にさらに寄与することができる。
【0075】
組成物は、様々な非ポリマー成分、中でも核生成剤、抗ブロック剤、静電気防止剤、スリップ剤、酸化防止剤、顔料または他の不活性充填剤などを、さらに含むことができる。これらの材料の強靭性、延性、及び他の特質を得るのに、通常そのような添加物が組成物中にある必要はないが、これらの添加を従来の量で使用することができる。やはり上述の有利な特性の組合せを得るのに、通常可塑剤は必要ではないが、組成物中で1つまたはそれ以上の可塑剤を従来の量で使用することができる。
ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%、好ましくは約30重量%〜約70重量%、より好ましくは約40重量%〜約60重量%のレベルで存在する。脂肪族エステル重縮合物は、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%、好ましくは約30重量%〜約70重量%、より好ましくは約40重量%〜約60重量%のレベルで存在する。ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の比は、約20:80〜約80:20、または約0.25:1〜約4:1である。より好ましくは、ポリエステルブレンドは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とを重量比約40:60〜約60:40で含む。これらのほぼ平衡した比率では、両方の材料の組合せが、望ましい特性の最適化に寄与する。
【0076】
ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物に追加のポリマーをブレンドすることはできるが、延性製品を得るのに追加のポリマーは必要ではない。一般に、ポリエステルブレンドは、追加のポリマーを実質的に含まない。すなわち、追加ポリマーの総ブレンドの10重量%未満が含まれる。ポリエステルブレンドは、本質的にポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とから成ることが好ましい。
【0077】
製造物品
本発明のポリエステルブレンドは、フィルム、シート、繊維、ウェブ、不織布、及び成形物品を含む様々な超強靭性及び延性プラスチック物品に加工することができる。それらはまた、コーティング物品の製作に関与する強靭なコーティングまたは結合剤として使用することもでき、または、ポリエステルブレンドから調製される物品は、一般に変形下でひび割れよりもむしろ程度の大きい剪断収率を示し、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とを含むポリエステルブレンドから調製される物品は、匹敵するポリヒドロキシアルカノエートだけから調製される物品よりも、少ないひび割れ及び脆性を示す。ポリエステルブレンドから調製される物品は、ポリオレフィンから調整される同様の物品に等しい、またはそれ以上の強靭性及び延性を示す。
【0078】
本明細書で使用する時、「フィルム」とは、長さと厚さの比が大きく、幅と厚さの比が大きい、きわめて薄い連続片物質を意味する。厚さの精密な上限に関する条件はないが、好ましい上限は、約0.254mm、より好ましくは約0.01mm、さらにより好ましくは約0.005mmである。本発明のフィルムは、高い生分解性及び/または堆肥化性を有する、液体不透過性バックシートとして使用することができる。それらはまた、堆肥化可能ゴミ袋または農業用フィルムを作製するために使用することもできる。単層または多層フィルムを製造する従来の手段を用いて、従来のフィルム製造装置でフィルムを加工することができる。
本明細書で使用する時、「シート」とは、長さと厚さの比が大きく、幅と厚さの比が大きい、非常に薄い連続片物質を意味し、材料は約0.254mmより厚い。シーティングは、それがより堅く、自立性質を有する点を除いて、特性及び製造の点でフィルムと同じ多くの特徴を共有する。
【0079】
本明細書で使用する時、「繊維」とは、長さと幅の比が大きく、断面が小さい、柔軟性の巨視的均質体を指す。それらは、漁網の庭ゴミ用ネットを製作するために使用することができる。本明細書で使用する時、「発泡体」とは、その嵩全体にわたって分布する多数の気泡の存在によって見かけの密度が実質的に減少した、本発明のポリエステルブレンドを指す。発泡体は、例えば使い捨て可能なカップを製作するために使用することができる。本発明の他の実施形態では、プラスチック物品は成形物品である。本明細書で使用する時、「成形物品」とは、金型によって規定される形状に射出、圧縮、または気体を用いて吹き込まれるポリマーブレンドから形成される物体を意味する。それらは、堆肥化可能な包装または食卓用金物の製作に使用することができる。
【0080】
本発明はさらに、本発明のポリエステルブレンド組成物を含む、使い捨て可能なパーソナルケア製品に関する。例えば、堆肥化可能吸収性物品は、液体透過性トップシートと、ポリエステルブレンドで形成されたフィルムを含む液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された吸収性コアとを含む。そのような吸収性物品として、乳幼児用おむつ、成人失禁用ブリーフ及びパッド、並びに女性衛生用パッド及びライナーが挙げられる。吸収性物品には、おむつで一般に使用されるような、テープ状ひも締結具、または、女性衛生用パッドで一般に使用されるような、接着性裏材を具備することができる。
使い捨て可能なおむつなどの本発明の吸収性物品で、液体不透過性バックシートとして使用される本発明のフィルムは、通常、厚さが約0.01mm〜約0.2mm、好ましくは約0.012mm〜約0.051mmである。好ましい実施形態では、本発明のフィルムは、高い生分解性及び/または堆肥化性に加えて、以下の特性の1つまたはそれ以上を有する。
【0081】
a)約703〜約7030kg/cm2の縦方向(MD)の引張り係数(約6.895×108ダイン/cm2〜約6.895×109ダイン/cm2)、
b)厚さ25.4μm当り少なくとも約70グラムのMD引裂き強さ、
c)厚さ25.4μm当り少なくとも約70グラムの横方向(CD)引裂き強さ、
d)落球落下によって測定した時に少なくとも約12cmの衝撃強度、
e)16時間で1平方センチメートルあたり約0.0012グラム未満の湿気透過速度、
f)少なくとも約5.52×107ダイン/cm2(約56.24kg/cm2)の60℃での係数、及び
g)約12μm〜約75μmの厚さ。
【0082】
バックシートは、4:1〜1:4の範囲の相対重量比でPHAとAEPを含む、本発明によるポリエステルブレンドから形成することができる。一実施形態では、AEPが、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物とから調製され、他の実施形態では、AEPが、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物とから調製される。一実施形態では、PHAは少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0083】
【化21】
【0084】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0085】
【化22】
【0086】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0087】
【化23】
【0088】
式中、mは2〜約16である。
一般に、PHA中のRRMUの少なくとも50%、好ましくは約50%〜約99.9%、より好ましくは約80%〜約99.5%、さらにより好ましくは約90%〜約99%が、第1のRRMUの構造を有する。
トップシートは、柔らかい感触で、着用者の皮膚に非刺激性であることが好ましい。さらに、トップシートは液体透過性で、その厚さ方向に液体を容易に浸透させる。適切なトップシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、天然繊維(例えば、木材または綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステルまたはポリプロピレン繊維)などの広範囲の材料から、または天然繊維と合成繊維の組合せから製造することができる。吸収性コア中の液体と着用者の皮膚を離しておくために、トップシートを疎水性の材料で作製することが好ましい。
【0089】
一実施形態では、トップシートは、本発明によって調製されるポリエステルブレンド製の不織布材料である。一実施形態では、AEPは、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物とから調製され、他の実施形態では、AEPは、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物とから調製される。PHAは、少なくとも2つの異なるRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0090】
【化24】
【0091】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0092】
【化25】
【0093】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0094】
【化26】
【0095】
式中、mは2〜約16である。
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約85%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。
トップシートとバックシートは、適切ないかなる方式でも合わせて接合される。本明細書で使用する時、「接合」という用語は、トップシートをバックシートに直接取り付けることによってトップシートをバックシートに直接接合させる構成、及びトップシートを中間部材に取り付け、次にそれをバックシートに取り付けることによって、トップシートをバックシートに間接的に接合させる構成を包含する。バックシートとトップシートは、PHAを含む接着剤を使用して接合させてもよい。
一実施形態では、トップシートとバックシートの接着接合は、PHAとAEPを含む、本発明によるポリエステルブレンドを含む。PHAは、少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0096】
【化27】
【0097】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0098】
【化28】
【0099】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0100】
【化29】
【0101】
式中、mは2〜約16である。
RRMUの少なくとも50%が、第1のRRMUの構造を有することが好ましい。
吸収性物品の吸収性コアは、トップシートとバックシートの間に配置される。吸収性コアは、多種多様な材料から、多種多様なサイズ及び形に製造することができる。ただし、吸収性コアの総吸収能力は、吸収性物品の使用目的に関して設計された液体荷重に適合性があるべきである。
吸収性コアは、木材パルプ繊維、PHA、吸収性ゲル材料、及びこれらの混合物を含むことができる。一実施形態では、吸収性コアは本発明のポリエステルブレンドを含み、PHAは少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0102】
【化30】
【0103】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0104】
【化31】
【0105】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0106】
【化32】
【0107】
式中、mは2〜約16である。
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約80%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。
一実施形態では、吸収性物品は、その物品の周囲に隣接して配置された1つまたはそれ以上の弾性部材を含む。弾性部材は、PHAを含むことができる。一実施形態では、弾性部材は2つのRRMUを含むPHAを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0108】
【化33】
【0109】
式中、R1はHまたはC2アルキルで、nは1または2であり、第2のRRMUは以下の構造を有する。
【0110】
【化34】
【0111】
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約50%〜約99.9%、より好ましくは約80%〜約99.5%、さらにより好ましくは約90%〜約99%が、第1のRRMUの構造を有する。
本発明のフィルムは、従来の製造フィルム作製プロセス(例えば、ブロンフィルム、キャストフィルムなど)を用いて、堆肥化可能なプラスチック袋の製作に使用することができる。袋は、袋の性能の改善、または原材料の削減(量の削減)のために、以下の実施例に記載するものなど、形成後の変換プロセスをさらに実施することができる。袋は、分離の必要または堆肥化汚染の危険なしに、その堆肥化可能な内容物と共に堆肥化施設で廃棄することができる。
本発明の組成物は、様々な基材、最も好ましくは紙基材のための生分解性コーティングとして使用することができる。それらは、溶融物または溶液から適用することができ、湿気にデリケートな材料に対する湿気バリアとして働く。そのような製品の例は、使用時の耐久性が改善された、コーティング済み紙コップまたは紙皿である。更に、そのような物品は、紙基材と同じ方式で廃棄することができる。
【0112】
(実施例)
以下の例は、本発明の実施例を説明するものであって、本発明を制限しようとするものではない。特許請求される本発明の範囲内にある、さらなる実施形態及び改良は、当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、本発明のの特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書に記載の方法に限定されるものではないことを理解されたい。
【0113】
実施例1
この実施例は、本発明のブレンド組成物の1つを形成するために、1つまたはいくつかのエステル重縮合物に混合した、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)の分枝状コポリマーを含むブレンドの調製を示すものである。そのようなブレンドは、いくつかの代替的な手段に従い、うまく調製される。それらは、共通の溶媒(クロロホルムなど)中の、2つまたはそれ以上の上述のポリマーを溶液ブレンドし、その後、非溶媒中のブレンドを沈殿させることによって得られる。実用的な観点から見ると、その生物学的成長培地からポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを抽出するのに溶媒が必要であるなら、溶液ブレンドが魅力的である。そのようなブレンドはまた、少量の材料を調製するのに適し、特性の特徴付け及び性能評価に適した、バンベリー(Banbury)タイプ混合器で調製されてきた。大量のブレンドは、通常、ハーケ(Haake)2軸式押出成形機を用いて工場内で調製される。4つの異なる加熱域全体にわたる温度プロフィルと、スクリューにかけるトルクを選択することによって、混合条件の制御が可能である。ストランドを温度制御水槽内で冷却し結晶化させた後、ブレンドのストランドを円形金型を通して押出成形及び切断して、ペレットを得る。あるいは、ポリマーブレンドを凝固させることのできる、1組の加熱ロールにわたって収集されるキャストフィルム金型を通して、フィルム材料を押出成形してもよい。
【0114】
上述の方法を介してうまく調製されたブレンドの例としては、以下のものが挙げられる。
−細菌性PHBHxコポリマー(ポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−11.3% 3−ヒドロキシヘキサノエート)、すなわち本発明で定義した第2のRRMUを11.3%含み、分子量>500k)と、ビオノーレ(Bionolle)3001(昭和高分子社(Showa Highpolymer Co.,LDT)(日本、東京)から入手の、ウレタン結合分画を含有する高分子量コハク酸ポリブチレン−共−アジパート)の、80/20または60/40ブレンド。これらは、様々な押出成形温度(155℃、165℃)でキャストフィルムに容易に溶融押出成形してから、加熱ロール上に集められる。
−細菌性PHBHxコポリマーと、低分子量(溶融物流速が高い)のビオノーレ(Bionolle)3020(やはり昭和高分子社(Showa Highpolymer)から入手)の、80/20または60/40ブレンド。
【0115】
−様々な組成物の細菌性PHBHx(すなわち、様々なモル比の3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエート)と、やはり従来の薄層フィルムキャスティング加工によって薄層フィルムに押出成形することのできる、イースターバイオ(EastarBio)(脂肪族ジオールと縮合した脂肪族とテレフタル酸の両方を含むエステル重縮合物)の、80/20または60/40ブレンド。
−PHBHx/ビオノーレ(Bionolle)1020/イースターバイオ(EastarBio)の60/20/20ブレンド。
−n−ブチルマレアートなどの可塑剤を20%添加した、上述のもののようなブレンド。
【0116】
実施例2
この実施例は、PHAコポリマーとエステル重縮合物のブレンドで見られた、強靭性の顕著な改善を示す。剛性−強靭性データは、単一切欠きサイズ特性方法(single notch−size characterization method)を用いて、圧縮成形フィルムで測定される。この方法は、その中心に切欠きの入った広範囲の試料に荷重をかけることから成り、切欠きは、後者に引張り荷重をかける時の破壊開始位置と試料索を通るクラックの伝達とを表す。曲線の初期勾配は、索の剛性または堅さの基準を与え、それはまた、その柔軟性に反比例して測定される。それは、荷重−変位曲線の直線範囲にわたって、ポリマーが荷重を受けて最初にどれだけ変形するかが本質的にわかる、弾性率によって定義される(フックの法則)。それはまた、しばしば、材料が大(塑性)変形または破損する前に恐らく耐えることのできる、荷重の量の合理的な案を提供する。材料に意図する用途のタイプが、剛性または柔軟性の望ましいレベルを決定する。例えば、良いドレープ感触を有するフィルムは、剛性の低い、すなわち柔軟性の高いポリマーを必要とし、一方、堅い包装用瓶は、剛性ポリマーに頼る必要がある。本発明のブレンド組成物に期待される広範囲の用途のため、我々のブレンドは、ブレンド成分(コモノマー含有に反比例して変化するその結晶化度の量)及びブレンド組成物の選択によって大きく制御することのできる、剛性の範囲を対象とする必要がある。
【0117】
強靭性は、材料に関する重要な選択基準である。多くの用途では、材料が製作時及び使用時に、壊滅的(脆性)または進行的(延性)な破損に耐える能力を示すことが重要である。材料は、クラックの伝達が不安定な場合に脆性とみなされ、逆にクラック成長が安定していれば、延性材料を表している。引張り荷重を受けた時にシステムに付与される機械的エネルギーを、吸収または消散させる材料の能力を定量化する方法が、開発された。切欠き2軸引裂き試験は、薄層フィルム内の強靭性を評価するために、科学団体によってしばしば使用される方法である。強靭性の単一点特性は、クラック伝達が始まる前に、試料が支持することのできる最大荷重の2/3まで荷重が再び下がってくる点まで、破壊エネルギー(すなわち引張り荷重曲線下のエネルギー)を測定することによって得られる。そのような基準の定義は、破壊を開始するのに必要な機械的エネルギーを明らかにするだけでなく、破壊を試料全体にわたって伝達するのに必要なエネルギーも包含する。
以下の表は、様々な圧縮成形フィルムを試験した我々の実験結果を要約したものである。
【0118】
【表1】
【0119】
データは、明らかに、PHA単独のブレンドよりも、ビオノーレ(Bionolle)含有ブレンドで見られた強靭性が有意に改善されたことを示している。また、主な半結晶ポリオレフィンに対する基準から、我々のブレンド組成物の強靭性がポリオレフィンと同等またはそれ以上であることが確認され、従って、ポリオレフィンに比べ、性能の損失なしにフィルムの量の削減及び材料削減の可能性が開かれた。
【0120】
実施例3
この実施例は、PHAコポリマーとエステル重縮合物のブレンドで見られた、強靭性の非常に有意な改善を実証するための第2の例である。破壊強靭性データは、「必須作業方法(Essential Work Method)」として破壊試験の分野で既知の多試料手法を使用して、様々な切込みサイズを含む多数の押出成形/キャストフィルム試料で得た。この試験は、前述のものより複雑であり、様々な初期切込み長さを有する試験試料を必要とする。この方法は、フィルム破壊の分野の専門家には既知で使用されており、破壊に対するフィルム材料の耐性の2つのパラメータ特徴が得られるので有用である。やはり、以下の表を使用して、様々なフィルム材料の相対的な性能を比較することができる。この場合、市販のポリエチレン製の高性能ゴミ袋(グラッドクイックタイ(Glad Quick−Tie)、厚さ0.74ミル)を、縦方向(MD)及び横方向(CD)で試験して、ポリ(3HB−共−3Hx(11.3%))とビオノーレ(Bionolle)3001の60/40ブレンドの、溶融押出成形キャストフィルムサンプルと比較した。多試料試験の結果を、厚さにより標準化し、以下の表に示す。MD及びCD引裂きデータの平均は、脂肪族ポリエステルブレンドによって作製したフィルムでほとんど20%優れているだけでなく、2つの方向での性能の異方性もはるかに低く、結果として、我々のブレンドの弱い方の方向も、PEのものほどは弱くなく、従って予期しない破損をする傾向が小さい。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例4
この実施例は、高速固体延伸動作での、実施例1に記載のブレンド組成物のフィルムの変換を報告する。そのような変換は、本発明のブレンド組成物の改善された破壊強靭性によって可能となる。固体状態でポリマー基材に適用された、そのようないくつかの高速延伸プロセスは、技術文献及び特許文献のいずれにも記載されている。均一な延伸プロセスは、テンターフレーミング(tenterframing)で例示されるように(J.H.ブリストン(Briston)のプラスチックフィルム(Plastic Films)、第2版、ロングマン社(Longman Inc.)、ニューヨーク(1983年)、83〜85ページ参照)、通常、フィルム、シート、または繊維/不織布を1軸または2軸的に延伸するために使用され、2軸の場合、延伸段階は、順次、同時、またはその組み合わせで実施することができる。リング−ローリング(米国特許第4,116,892号及び同第5,296,184号)またはSELF化(米国特許第5,518,801号及び同第5,691,035号)など、不均一な延伸プロセスもまた、既に開示され、様々なパターンを示すことのできる1対の溝付きロールにウェブを通すことによって得られる、フィルム部分の逐次的及び局所的延伸から成る。それが、ピンホールの形成(ハイドロフォーミング)、多くの小ディンプルの形成、またはより大きい付属物によって付与されるようなより大きい規模での変形/延伸を伴うかどうかに関わらず、ポリマー基材の変換に関する分野で既知のその他のプロセスを同様に使用することができる。
【0123】
PHAコポリマー基材は、よく壊れやすいので、破砕させずにそのような変換プロセス、特にそのような作業で最も一般的に遭遇する、歪み速度が大きく(>1s^−1)温度が低い(すなわち室温)条件において、容易に取り扱えないことがわかった。PHAフィルムの長時間にわたる物理的老化は、さらに、その強靭性に悪影響を及ぼす。後者は、「若がえり」させる材料に、熱的焼きなまし処理を必要とする。高温及び高変形速度では、プラスチックの変形は早期の破損なしに起こるが、急速に荷重を除くと、材料が大きく復元する様子が見られ、また材料が延伸の前にその初期状態に戻る傾向にある。高温と低変形速度の組合せが、破砕及び大規模な復元の両方を避けるために必要であることがわかった。しかし、これは、プロセスの実行に厳しい制限を与え、その経済性に大きく影響を及ぼす可能性がある。
【0124】
実施例1に記載のブレンド組成物の破壊強靭性を高めると、フィルムの破砕または大規模な復元なしに、またいかなる「若がえり」のための熱的事前処理の必要もなしに、最も不利であるが経済的に好ましい高歪み速度及び低温条件を含めて、固体の延伸をうまく実施することのできる条件範囲をうまく広げられることがわかった。この成功に基づいて、いくつかの固体の延伸させたフィルム試料を、その機械的特性について試験した。その結果を実施例5に報告する。
【0125】
実施例5
この実施例は、上述の高歪み速度固体加工作業によって変換したフィルムの高い強靭性を実証する。次の表は、2つの金属ロールの間で、フィルムに固体での逐次的な延伸プロセスを実施する前と後で、実施例3と同じフィルムの強靭性を比較するものである。この特定の試験で使用した溝の上のパターンの選択は、SELF化のものであり、これは、延伸に斜めの方向に未延伸材料の細いバンドを押し付けて、ウェブに垂直の方向に規則的に交代する延伸及び未延伸バンドに重ね合わせることができるとして前述した。強靭性は、前述の「必須作業方法(Essential Work Method)」によって再度測定され、これは、破壊の開始及び伝達に関するフィルムの相対的性能を述べる2つの重要なパラメータを与えるものである。
【0126】
【表3】
【0127】
本実施例に明らかに示されているように、本発明のブレンド組成物で作製されたフィルムの高い強靭性は、SELF化によるフィルムの変換によってさらに改善することができ、その結果、高性能の用途(高い穿刺耐性袋)での価値が増加した超強靭なフィルム材料が得られる。SELF化の結果、市販のPE袋で見られた強靭性の変化は、比較的小さい。
【0128】
実施例6
この実施例は、本発明のブレンドで作製された延伸させたフィルムで見られた、部分的な復元可能性を実証する。フィルムは、上述のものと同じSELF化プロセスを介して、高歪み速度条件において75℃で延伸させる。その後に逐次的な量で引き伸ばした時の、SELF化したフィルムがSELF化方向に復元する能力を以下の表に示す。これは、試料を様々な伸長度まで引っ張った後で、サンプルに張力が残らなくなるまで試料から荷重を徐々に除き、その後試料に残っている残存伸展度を測定する、インストロン引張り試験(Instron Tensile Tester)を用いて簡単に測定される。試験したフィルムサンプルには、市販のポリエチレン製グラッド袋(Glad bag)、バイオコープ社(Biocorp Inc.)から入手される市販の堆肥化可能袋、PHBHx(11.5%)/イースターバイオ(EastarBio)(後者はイーストマンケミカルズ(Eastman Chemicals)(米国)から入手)の60/40ブレンドで作製された押出成形キャストフィルム、及びPHBHx(11.3%)/ビオノーレ(Bionolle)3001(昭和電工、日本)の60/40ブレンドで作製された押出成形キャストフィルムが含まれる。
【0129】
【表4】
【0130】
データから明らかなように、PHAコポリマーを含むポリエステルブレンドは、150%まで延伸させた時に、PEグラッド袋(PE Glad bag)または市販の袋より大きい復元性を示す。SELF化後の本発明のブレンドの弾力性が大きいということは、材料が様々な形状を取り入れることができ、この材料で作製された製品が様々な基材に、より容易に適合できるという、他の有益な利益を意味する。
【0131】
実施例7
この実施例は、PHAコポリマーをビオノーレ(Bionolle)3001などのエステル重縮合物とブレンドすることによって見られる結晶化動力学的利益を実証する。前述のように、PHAは、本来の結晶核生成及び結晶成長が遅いので、一般に、結晶化がかなり遅い。これらのポリマーを他の一般的なポリマーに匹敵する速度で加工可能にするには、結晶化を加速するための先駆技術が必要とされる。本発明のブレンドは、PHAの結晶化速度を加速する手段を提供する。これは、以下の表にまとめたデータによって証明され、データは、溶融物を所与の温度(この特定の例では50℃)まで急速に冷却した後、その温度でほぼ半分の結晶化が起こるのに必要な時間を表す。ブレンド組成物の場合、それぞれのブレンド組成物について、半結晶化時間を表す2つの別個の最小値がある場合がある。データは、等温条件において結晶化に関係した全体的な結晶化発熱を測定できる、示差走査熱量計(DSC)によって得られる。
【0132】
【表5】
【0133】
データによれば、半結晶化時間は、ブレンド中のビオノーレ(Bionolle)3001の相対含有量に応じて、純粋なPHAの半結晶化時間の30%〜80%に減少することがある。
【0134】
実施例8
この実施例は、組成物のブレンドが有用とみなせる温度範囲の広がりを示す。実際、ポリマーの分野では一般に認識されているが、用途に関わる限り、半結晶化ポリマーの使用範囲は、下方端でのガラス転移温度(Tg)と上方端での溶融温度により描かれる。我々のブレンド組成物のいくつかの例では、2成分が非混和性のままであり、従って別個のガラス転移点及び溶融点を示す。エステル重縮合物のTgは、しばしばPHAコポリマーのTgより低い(可塑剤が存在しても)が、後者の溶融温度は、数十度高いことが多い(DSCによって決定した熱転移値に関する以下の表を参照)。従って、ブレンド組成物は、エステル重縮合物のより低いTgと、PHAのより高い溶融の間のより広い温度範囲を有し、その結果、様々な用途でのブレンド組成物の使用範囲を広げる。
【0135】
【表6】
【0136】
実施例9
この実施例は、ブレンドした時のポリマーのレオロジー的作用で生じる変化を示し、からみ合いの間の高い分子量からもわかるように、本来の堅さが比較的高いので(J−Pオートラン(Autran)他、第8回生物/環境分解性ポリマー学会総会(Annual meeting of the Bio/Environmentally Degradable Polymer Society)(1999年8月21日、ニューオーリンズ)参照)、PHAの複素粘度は、一般に、エステル重縮合物の複素粘度より低く、溶融物中でうまく加工するために、材料に十分な粘性及び溶融弾性を構築するのに十分な高分子量を必要とする。150℃で溶融物中で実施した動的機械的測定に基づいて、合成ポリ(3HB−共−3Hx(11%))等級とビオノーレ(Bionolle)3001に関して以下に示すレオロジーデータから明らかなように、エステル重縮合物は、特に高温または低剪断速度で、PHAとのブレンド中での溶融粘度を増加させるのに寄与することができる。また、試験した周波数範囲にわたり、ビオノーレ(Bionolle)3001の添加によって、多くの加工用途での好ましい特徴であるずり減粘も、PHAにおいて向上する。
【0137】
【表7】
【0138】
実施例10
この実施例は、従来のポリオレフィンまたはエステル重縮合物を超える、ブレンド組成物の臭気バリア特性の改善を実証する。押出成形キャストフィルムサンプルを、容易に気付く強い匂い(タマネギ、ミントなど)を示す食品を入れた小容器内に熱密封する。次いで、小さなエンベロープ形容器を、閉鎖しておかれるジャーの中に完全に密封して置く。ジャーの中で時間をかけて発達する匂いの強度を監視することによって、ポリマーがエンベロープ内部に閉じ込められた強い臭気の原因となる小分子を封じ込める能力を質的に評価することが可能になる。我々のすべての試験では、我々の60/40ポリ(3HBHx(11.3%))/ビオノーレ(Bionolle)3001ブレンド組成物など、PHAベースのフィルムが、ポリオレフィン(直鎖状低密度ポリエチレン)またはエステルポリ重縮合物(ビオノーレ(Bionolle)3001、イースターバイオ(EastarBio))に比べて、より長時間にわたり、香気のより優れた封じ込めを体系的に提供することがわかった。
【0139】
実施例11
この実施例は、ブレンド組成物の生分解性を実証する。ブレンド組成物が堆肥化環境で時間をかけて生分解されることがわかっているのと同様に、本発明のブレンド組成物も生分解される。予想通り、生物的及び好気性湿式環境が、一般に、材料を破壊し、生分解を助け、最終的にはブレンド組成物を無機物化するのに最も好都合な条件を提供することがわかった。異なる形及び形態の対象物は、生分解の速度が異なると予想されるが、60/40ポリ(3HBHx(11.3%))/ビオノーレ(Bionolle)3001ブレンド、または60/40のPHBHx(11.5%)/イースターバイオ(EastarBio)のブレンドが、標準堆肥化試験で、事実上完全に生分解する(>90%)することがわかった。
【0140】
実施例12
この実施例は、芝/落葉用袋作製時のそのようなブレンド組成物の使用を実証する。ここで説明する手順は、押出成形キャストフィルムに適用するが、これに限るものではない。ブロンフィルムなど、他のタイプのフィルムも使用することができる。ブレンド組成物の押出成形キャストフィルムは、標準的なフィルム押出成形機器で調製され、通常、厚さは0.01mm〜0.1mm、幅は30cm〜100cmである。フィルム材料は、袋の底部並びに側部を形成するために使用される熱的密封プロセスによって、異なるサイズの袋に容易に変化する。最後に、密封接合部に沿って密封フィルムを切断した後に、個々のバッグに分離される。次いで、袋に上述のような固体変形プロセスを実施することができる。一例では、袋を70℃まで加熱してからきめのある金属ロールの間に入れ、これにより非延伸領域によって分離された局所的な延伸領域が付与される。フィルム内のこれらの空間的な配置は、ロールのパターンによって決定される。パターンがあるので、その収容能力及び延伸性を高める一方で、袋の破壊強靭性をさらに向上させ、従って結果として製品のための材料が全体的に削減される。
(発明の分野)
本発明は、丈夫で延性のある、生分解性で堆肥化可能な脂肪族ポリエステルブレンド組成物と、そのような組成物を調製する方法を対象とする。これに限るものではないが、フィルム、繊維、不織布、シート、コーティング、結合剤、発泡体、及び包装用の成形製品を含む、そのようなブレンド組成物で作製される製品に関する。この製品は、柔軟性、生分解性、及び堆肥化性を維持しながら、高い強度、延性、及び強靭性の望ましい組合せを示す。そのようなブレンドの他の利益について、本発明で説明する。この製品は、おむつ用トップシート、おむつ用バックシート、使い捨て可能な拭取り用品、買い物及び芝/落葉用袋、農業用フィルム、庭ゴミ用ネット、漁網、種まき用テンプレート、植木鉢、使い捨て可能な衣料品、医療用使い捨て可能製品、紙コーティング、生分解性包装、セルロース繊維または合成繊維用の結合剤など、様々な生分解性物品に有用である。
【0002】
(背景)
本発明は、毎年埋立地に廃棄される物においてより重要な体積分率を占める過剰なプラスチックゴミの、増大する環境問題を解決するための必要性に関する。その環境的な認識にも関わらず、消費者は、これまでの熱可塑性樹脂が提供する、特性とコストの魅力的で類のないバランスを諦めようとしない。従って、環境的利益を提供し、微生物によって迅速に分解されることで知られる、多くの天然ポリマー(例えば、セルロース、デンプンなど)は、独特の一連の物理的特性(即ち、柔軟性、延性、強度、強靭性)、並びに本来の溶融加工可能性に欠けるので、従来のプラスチックの現実的な代替物とはならなかった。従って、これまでの熱可塑性樹脂の利便性、並びにその柔軟性、強度、及び強靭性を落とさず、しかも廃棄問題に対して代替的な解決策を提供する、生分解性の堆肥化可能ポリマー熱可塑性材料に対して明らかな必要性がある。
【0003】
本発明は、さらに、とりわけ生分解性または堆肥化性が用途の望ましい主要特徴の一部である用途で使用できる、新しいプラスチック材料を開発する必要性に関する。そのような例には、例えば農業用フィルム、及びそのようなフィルムがその目的を果たした後で収集される必要がない時に農業従事者に提供する利便性が含まれる。植木鉢または種まき用テンプレートは、基材の一時的な性質が、ユーザの利便性に転換される他の例である。顔用拭取り用品、生理用ナプキン、パンティライナー、さらにはおむつなどの衛生用衣料品が、現在のインフラ(浄化槽または公共下水)を乱さずに、従って処理の不快感を避け、プライバシーを促進して、使用後に直接汚水に有利に廃棄されると、それらの廃棄手段も広がる可能性がある。そのような衛生用衣料品を作製する際に通常使用される現在のプラスチックでは、材料の望ましくない蓄積なしにそのような廃棄手段を行うことができない。上述の例で使用する新しい材料は、理想的には従来のポリオレフィンの物理的特性の多くを示す必要がある。すなわち、それらは、不透水性で、丈夫で、強く、しかし柔らかく、柔軟性があり、ガタ音がなく、できる限り低コストでなければならず、また費用効率が高くなるように、標準的なポリマー加工機器で製造されなければならない。
【0004】
堆肥化可能な熱可塑性材料の直接的な利益を示すその他の用途は、落葉/芝用袋である。コンポスタ及び袋除去のさらなる負担を必要とせず、及び堆肥汚染の危険のない、今日の唯一の堆肥化可能袋とは、紙袋である。しかし、紙袋は、プラスチックフィルムの柔軟性、強靭性、及び耐湿性を提供せず、保管にはかさばる。落葉/芝用袋を作製するために使用される堆肥化可能プラスチックフィルムであれば、紙袋のように廃棄できる袋であり、更にプラスチック袋の利便性を与える袋を提供する。
【0005】
これらの例から見れば、生分解性、溶融加工可能性、及び最終用途性能の組合せが、ポリマーの新分類開発にとって特別な関心事であることが明らかになる。溶融加工可能性は、従来の加工方法によって材料をフィルム、コーティング、不織布、または成形物に変換させる際に重要になる。これらの方法には、単層構造のキャストフィルム及びブロンフィルム押出成形、多層構造のキャストまたはブロンフィルム共押出成形が含まれる。その他の適切なフィルム加工方法には、その他のフィルム、不織布、紙ウェブなど、堆肥化可能基材の片側または両側上への1つの材料の押出コーティングが含まれる。その他の加工方法としては、繊維または不織布を作製する従来の手段(溶融吹込み、スパンボンド、フラッシュスピニング)、及び瓶または鉢の射出または吹込み成形が挙げられる。ポリマー特性は、最終用途時の最適な製品性能(柔軟性、強度、延性、強靭性、熱軟化点、及び耐湿性)を確実にする際だけでなく、連続動作を確実にするために、実際の製品作製段階でも不可欠である。
【0006】
これまで、様々なPHAの生分解性及び物理的特性が、研究され、報告されてきた。ポリヒドロキシアルカノエートは、合成的な方法によって、あるいは細菌や藻類などの様々な微生物によって製造することのできる、半結晶性の熱可塑性ポリエステル化合物である。これまでに知られている細菌性PHAとしては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、またはヒドロキシ酪酸の融点及び結晶化度が高い脆性ホモポリマーであるi−PHB、並びにポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)、またはいくらか結晶化度及び融点が低く、それにも関わらず高い結晶化度及び脆性と同じ欠点を有するコポリマーであるi−PHBVが挙げられる。微生物の存在下で容易に生分解する能力は、数多くの事例で実証されてきた。しかし、それらは、壊れやすいポリマーとして知られており、機械的拘束を受けて容易に脆性破壊及び/または引裂きを示す傾向にあり、それらは明らかに、丈夫で、延性のある、または柔軟性のあるポリマーとして適格とはされない。その融点が高いために、溶融時の大規模な熱分解に寄与する加工温度が必要とされるので、加工可能性もかなりの問題である。その他の既知のPHAは、いわゆる、長側鎖PHAまたはPHO(ポリ(ヒドロキシオクタノエート))である。PHBまたはPHBVとは異なり、これらは、循環ペンチルと、主鎖に沿って規則的に間隔をあけられた高級アルキル側鎖とのため、事実上、非晶性である。しかし、存在する場合、それらの結晶性分画は、非常に低い融点及び極めて遅い結晶化速度を有しており、この2つの主要な欠点は、発明の分野で述べた用途のタイプに有用な熱可塑性樹脂としての可能性を大きく制限する。
【0007】
ブレンド中のポリ(3−ヒドロキシブチレート)ホモポリマー(i−PHB)とポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)コポリマー(PHBV)の使用は、デーブ(Dave)他(ポリマー材料科学(Polym.Mater.Sci.)62、231−35(1990))、及びバーフート(Verhoogt)他(ポリマー(Polymer)、35(24)、5155−69(1994))に記載されている。しかし、ブレンドすることでは、これらの材料の生分解性質を維持しながら、そのような高結晶化度PHAの機械的壊れやすさ、及び柔軟性の欠如の問題は、容易には解決されなかった。
完全な成功ではないが、i−PHB及びPHBVの機械的特性を改善するブレンド手法に関して請求している特許がいくつかある。そのようなブレンド組成物は、本発明には含まない。
【0008】
AIST日本に譲渡されたトキワ(Tokiwa)他の米国特許第5,124.371号(JP03 157450(1991年7月5日)も参照)は、i−PHBとPCL(ポリカプロラクトン)製の生分解性プラスチック組成物を開示している。共重合触媒など、第3の成分の最適な使用について報告されている。この組成物は、ハモンド(Hammond)の次の特許(次の米国特許第5,646,217号を参照)には含まれておらず、後者は、他のポリマーへのブレンドの概念の拡大を目的としている。トキワ(Tokiwa)のPHBとPCLのブレンド、並びにハモンド(Hammond)のブレンドは、その実施例に開示の機械的特性から明らかなように、広範囲にわたる用途で望まれる延性及び強靭性を示すには至っていない。
【0009】
1997年8月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)の米国特許第5,646,217号(PCT国際公開特許WO−A−94 11440、EP669959A1、及びJP08503500も参照)は、第1のポリヒドロキシアルカノエート成分と、任意で第2のポリマー成分とを含むポリマー組成物を開示しており、その組成物は、組成物中の無機酸素含有化合物を使用することによって特性が高められている。無機酸素含有化合物は、エステル交換触媒として働くことができる。それは、周期表のIIA、IIIA、若しくはIVA群由来の金属、または、周期表のB群由来の少なくとも3価のメタロイドのオキシ化合物である。
PHAは、PHB及びPHBV化学構造を具体的に示した、以下の式、
[−O−CmHn−CO−]、m=1〜13、n=2mまたは2m−2(m>2)
の化学的反復ユニットを有すると言われている。
【0010】
本発明では、我々は、i−PHB及びi−PHBVよりも結晶化度が低い、より結晶性が低くより延性のあるランダム変性PHAコポリマーについては、脂肪族エステル重縮合物とのブレンドで優れた機械的相溶性を実現するために、エステル交換触媒を添加する必要がないことを予期せず発見した。さらに、そのようなブレンドは、真に卓越した機械的特性、特に強靭性及び柔軟性を示し、それはハモンド(Hammond)の特許に開示のものよりはるかに優れているだけでなく、LLPDE(直鎖状低密度ポリエチレン)やi−PP(アイソタクチックポリプロピレン)などのポリオレフィンにも有利に匹敵し得る。例えば、ハモンド(Hammond)の特許に記載のすべての実施例では、すべてのブレンドの破断時の伸長度が20%を超えることはなく、報告された強靭性測定値は、概ね平凡なものである。それに対して、我々のブレンドは、破断時の伸長度は数百%までを示し、ポリオレフィンの値を実際に超え得る強靭性の値を示す。加えて、本発明のブレンド組成物の結晶化の改良も、ハモンド(Hammond)の特許に記載のものをはるかに超えるものであり、我々のブレンドは、大規模な熱分解なしに、より低い温度で溶融物から容易に加工することができ、高性能、使い捨て可能、生分解性、及び/または堆肥化可能な製品のための好ましい材料になる。
【0011】
1996年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)の米国特許第5,550,173号(PCT国際公開特許WO94/11445、EP668893A1も参照)は、分子量が少なくとも50,000で、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、及びこれらのコポリマーから成る群から選択されるポリマーの少なくとも1つのオリゴマーを有するポリヒドロキシアルカノエートを含む、ポリマー組成物を開示している。そのようなオリゴマーは、分子量が2,000以下で、非揮発性で、Tgが低いので、PHAを変性する必要がある。オリゴマーは、ヤング率、すなわち弾性率を下げることによって、PHAの柔軟性を高めるのに寄与すると言われている。それらはまた、非揮発性添加物である一方で、生分解プロセスの加速に寄与する。特許のデータによれば、選択したオリゴマーの添加に関係する、強靭性の有意な改善はない(表7の破断時の伸長度データまたはアイゾット衝撃データを参照)。加えて、開示されたオリゴマー構造は、本発明のブレンド成分の1つである、エステル重縮合に基づくものを含まない。
【0012】
1996年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたモンタドール(Montador)他の米国特許第5,516,825号(EP655077も参照)は、ヒドロキシ基の少なくともいくつかをカルボン酸でエステル化し、カルボキシル基の少なくともいくつかをアルコール及び/またはフェノールでエステル化した、少なくとも3つのエステル基を有するエステル化ヒドロキシカルボン酸によって可塑化できる、ヒドロキシアルケノイン酸(hydroxy alkenoic acid)由来の生分解性ポリエステルを開示している。
【0013】
同じ可塑化の着想で、1998年5月にゼネカ(Zeneca)に譲渡されたハモンド(Hammond)他の米国特許第5,753,782号(EP701586A1、PCT国際公開特許WO94/28061も参照)は、もしクエン酸塩がその分子内に少なくとも3つのエステル基を有する二重エステル化ヒドロキシカルボン酸を含まず、さらにグリセロールが三酢酸グリセロール及び二酢酸グリセロールを含まないなら、生分解性ポリエステルと、多塩基酸の高沸点エステル、リン酸誘導体、亜リン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、置換型脂肪酸、それぞれ任意で置換し、任意で最終エステル化した、高沸点グリコール、ポリグリコール、ポリオキシアルキレン、及びグリセロール、ペンタエリスリトール及び誘導体、スルホン酸誘導体、エポキシ誘導体、塩素化パラフィン、ポリマーエステル、ウォルフレックスブート(Wolflex−But)*から成る群から選択される少なくとも1つの可塑剤の可塑化量とを含むポリエステル組成物を開示している。両方の特許では、剛性のより有意な低下(ヤング率の降下)と共に、全体的な機械的特性の改善(破断時の伸長度、衝撃データ)が報告された。しかし、例えば、破断時伸長度データは依然100%未満であり、アイゾット衝撃データは、わずか2〜4倍の増加である。これは、商業用途に通常必要な、10倍以上という強靭性改善を大きく下回る。
【0014】
1996年6月に三菱ガス化学(Mitsubishi Gas & Chem.)に譲渡された松下(Matsushita)他のJP08−157705は、グリコール、脂肪族ジカルボン酸、またはその誘導体から調製された脂肪族ポリエステルと、ポリ−3−ヒドロキシブチレートとを含む、生分解性樹脂塑性物を開示している。ポリ−3−ヒドロキシブチレートの重量平均分子量が、400kg/モル以上であることが望ましい。分子量がそれ未満の場合には、満足な成形品を得ることができないと報告されている。その目的は、特定の脂肪族ポリエステルとポリ−3−ヒドロキシブチレートを混合することによって、成形性、機械的特性、及び熱抵抗性に優れた生分解性樹脂組成物を得ることであった。i−PHB、ヒドロキシ酪酸のホモポリマーと、グリコール及び脂肪族ジカルボン酸の重縮合物とのブレンドは、結晶化度が低く、延性及び柔軟性が大きいコポリマーに対するPHAの定義を制限することにより、本発明には含まれない。
【0015】
同様に、1996年1月に三菱ガス化学に譲渡されたミウラ(Miura)他のJP8027362Aは、脂肪族二塩基酸、望ましくはコハク酸を、脂肪族ジヒドロキシ化合物、望ましくは1,4−ブタンジオール、及びジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)を縮合して得られる、望ましくは99〜50重量部の脂肪族ポリエステルカーボネートと、望ましくは1〜50重量部のポリ−β−ヒドロキシ酪酸とを含む組成物を開示している。やはり、PHA族の最も剛性と脆性を有する員を含有するブレンド、すなわちi−PHBとPHBVは、本発明には含まない。
【0016】
1994年1月にマクニール−PPC社(McNeil−PPC,Inc.)に譲渡されたダビ(Dabi)他のEP606923A2及びEP882765A2は、良い機械的特性を示すと言われており、微生物の存在下で容易に分解される、熱可塑性生分解性組成物の2分類を開示している。その発明の一態様は、脱構造化したデンプン−ポリマー合金ベースの生分解性組成物を開示しており、これは、本発明の範囲外である。発明の他の態様では、熱可塑性エステル含有ポリマー、可塑剤、及び任意で不活性充填剤のブレンドが提供される。より具体的には、これらの組成物は、以下を含むものとして記載されており、
−次の一般式の1つまたはそれ以上の反復ユニットを含む、10〜70重量%のポリマーまたはコポリマーと、
(I)[−O−CHR−CH2−CO−]n(Rは、1〜9個の炭素含有アルキル基)
−分子量が10,000より大きい、5〜35重量%のエステル含有ポリマー、なお、これは、
−次のタイプの、主鎖にエステル結合を有するポリマーと、
(II)[−O−CO−R1−CO−O−R2−]n
−次のタイプの、ペンダントエステル基を有するポリマーと、
(III)[−CH2−CHX−CH2−CHOCOCH3−]n及び
(IV)[−CH2−CR4COOR5−]n
−0〜約30重量%の、トリアセチンなど、1つまたはそれ以上の可塑剤と、
−0〜約50重量%の、炭酸カルシウムまたはデンプンなど、不活性充填剤とから成る群から選択される。
【0017】
そのような組成物を示す例としては、PCL(ポリカプロラクトン)またはEVA(エチレン−ビニルアセテートコポリマー)のいずれかとブレンドした、PHBV(市販のバイオポール(Biopol))が挙げられる。両ポリマーは、本発明の範囲外である。得られた機械的特性は、純粋なPHBVよりは優れているが、卓越しておらず、利用可能なデータによれば、強靭性でも柔軟性でもポリオレフィンに匹敵しない。非常に限られた場合にだけ、ブレンドの破断時の伸長度が100%を超えたが、300%の伸長度に達する事例はなかった。実際、添加物なしのPHBVとPCLの70/30ブレンドでは、報告されている破断時の伸長度である15%は、脆性破壊を示している(延性なし)。
我々のPHAコポリマー(さらに後の発明の詳細な説明を参照)にブレンドするエステル重縮合物のタイプに関して本発明の最も好ましい実施形態である、コハク酸ポリブチレンまたはコハク酸ポリブチレン−共−アジパートは、特許には記載されておらず、実施例でも使用されていない。
【0018】
従って、上述の発明の著者らは、その化学構造及び機械的性能の両方でPHBまたはPHBVとは異なる、本発明の新しいPHAが、コハク酸ポリブチレンまたはコハク酸ポリブチレン−共−アジパートなど、エステル重縮合物とのブレンドで、真に不連続な卓越した機械的特性を実現できる方法を認識も構築もしていない。性能の面で驚くべき結果であるのは、そのようなブレンドが、PHBまたはPHBVのような従来のPHAと同様のブレンドのものだけでなく、以下の実施例で示すように、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど、一般的な延性ポリオレフィンのものまでも超えることができることである。加えて、本発明のブレンドは、迅速に生分解できるという点で有利に匹敵し、また容易に加工でき、高性能な使い捨て可能製品のための好ましい材料となることができる。
【0019】
1998年7月にキンバリー−クラーク(Kimberly−Clark)に譲渡されたツァイ(Tsai)他のPCT国際公開特許WO98/29493は、脂肪族ポリエステルポリマーと多炭素カルボン酸の未反応混合物を含む熱可塑性組成物を開示している。そのような熱可塑性組成物の一例が、ポリ(乳酸)とアジピン酸の混合物である。その熱可塑性組成物は、体液など、流体を吸収するように意図された使い捨て可能な吸収性物品で使用できる不織布構造に形成できる繊維に、押出成形することができる。請求項2では、様々な脂肪族エステルポリマー及びそれらの混合物、並びにそのようなポリマーのコポリマーから作製される組成物を開示している。ビオノーレ(Bionolle)及びPHBVは、列記ポリマーの中にあるが、それらのブレンドは本発明の範囲外である。その他の結晶性が低く柔軟性の高いPHAは、記載されていない。
1992年6月にクローペイプラスチックプロダクツ社(Clopay Plastics Prod.Co.)に譲渡されたウー(Wu)他の米国特許第5,200,247号は、アルカノイルポリマーとポリ(ビニルアルコール)のブレンドを含む生分解性熱可塑性フィルムを開示している。そのフィルムは延伸させることができ、不透明性が与えられ、その生分解性が高められる。ブレンドの90〜75重量%を構成すると言われているアルカノイル熱可塑性ポリマーは、
a)ジアルカノイルポリマー(循環ジアルカノイルユニットの少なくとも10%)と、
b)式O(CH2)xC=O(x=2〜7)のオキシアルカノイルと、
これらの混合物とから成る群から選択される。
【0020】
上述の定義は、本発明の特定のPHAコポリマーを含まず、その最も好ましい実施形態では、オキシアルカノイルポリマーはPCL(すなわち、ポリカプロラクトン)である。延伸可能にするためにフィルムは延性がなければならないという事実以外に、フィルム性能の具体的な請求項はない。
1995年11月にユニチャーム社(Unicharm Corp.)に譲渡されたマツムラ(Matsumura)他の米国特許第5,464,689号は、40〜85%のPHBV(8〜15%V)と、60〜15%のPCLと、5〜40体積%の無機充填剤(粒径0.1〜10ミクロン)とを含む樹脂組成物、及び開示の延伸プロセスによって組成物から製造される多孔質フィルムを開示している。その著者らは、多孔質フィルムが容易に微生物であることを主張している。そのような生分解性ポリエステルブレンドは、本発明に含まれる材料及び組成物の範囲外である。
【0021】
1991年11月にPCDポリマー株式会社(PCD Polymere Gesellschaft)に譲渡されたクラインク(Kleinke)他の米国特許第5,231,148号は、少なくとも70重量%のポリヒドロキシアルカノエートと、少なくとも2つの酸及び/またはアルコール基を含有し、前記ポリヒドロキシアルカノエートの溶融物中で軟化及び/または溶解し、並びに/または前記ポリヒドロキシアルカノエートの融点で溶融物と混和性である、0.1〜10重量%の化合物または化合物の混合物とを含む混合物を開示しているが、ポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸とポリエーテルの混合物は含まれない。本発明のエステル重縮合物は、一般にPHAのコポリマーに可溶性でも混和性でもなく、また化学反応を起こすという明確な証拠がない。
【0022】
ヨーン(Yoon)他の、ポリマー科学・ポリマー物理学雑誌(J.Poly.Sci.,Pol.Phys.)34、2543〜2551ページ(1996年)は、i−PHBと、アジピン酸、エチレングリコール、及び乳酸の脂肪族テルポリエステルとのブレンドの、相溶性及び生分解性の側面を調査した。彼らは、構造研究から、そのようなポリマーは相溶性とみなせると判断したが、ブレンドの結果としてのエステル交換などの化学的変化は見られなかった。
クマガイ(Kumagai)他の、ポリマーの分解及び安定性(Polymer Degradation and Stability)36、241ページ(1992年)は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)と、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ブチレンアジパート)、またはポリ(ビニルアセテート)のいずれかとのブレンドを開示している。初めの2つの事例では、ブレンドが非混和性であることがわかり、第3の種類のブレンドでは混和性が見られた。類似研究において、クマガイ(Kumagai)他の、ポリマーの分解及び安定性(Polymer Degradation and Stability)37、253ページ(1992年)は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)と、ポリ(b−プロピオラクトン)、ポリ(エチレンアジパート)、または高HV含有ポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−バレレート)とのブレンドを開示している。その著者らは、ブレンドから形成したフィルムの酵素分解速度が、各ポリマー成分フィルムの速度より速いことを開示している。
【0023】
ヴヌク(Wnuk)他のPCT国際公開特許WO96/08535及びWO97/34953号は、生分解性ポリマーのブレンドを含む一般的な組成物を開示しており、生分解性ポリヒドロキシアルカノエートと、脂肪族ポリエステルベースのポリウレタン、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、第2の生分解性ポリマーとを含むポリマー組成物を例示している。上述の脂肪族ポリエステルベースのポリウレタンは、結晶化度が低く、熱可塑性エラストマーのような等級であり、これは、脂肪族ジアルカノイル循環ユニットの大部分を含有する、本発明の半結晶化ポリエステルとは異なる。特に、そのようなポリウレタンは、本発明の実施例の1つで説明するものと同様の結晶化速度の増加に寄与することができない。また、従来の高結晶性で脆性のPHA(PHBVのPHBなど)を使用して作製したブレンドの低い性能と、低結晶化度PHAを含む本発明のブレンドのより大きい延性及び強靭性との間に相違はない。
【0024】
最後に、ポリエステルブレンドに関しては、イーストマンコダック(Eastman Kodak)に譲渡されたハブス(Hubbs)他のPCT国際公開特許WO94/00506が、脂肪族エステル重縮合物を含む、他のポリエステルとの様々なPHAのブレンドを開示している。開示されているPHAは、単に化学合成だけにより作製され、本来はアタクチック、すなわち光学活性でなく、従って、ほとんどまたは全く結晶化度を示さない。それらは本発明のPHAとは異なり、生合成を介して作製した時に完全にアイソタクチック、すなわち光学的に純粋であるか、またはアルキル亜鉛アルコキシドなどの特定の触媒を使用してb−置換型b−プロピオラクトンを重合する時には高度にアイソタクチック(97%)である(プロクターアンドギャンブル社(Procter & Gamble Co.)に譲渡されたL.A.シェットマン(Schechtman)他の米国特許第5,648,452号を参照)。
【0025】
近年、新しいポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)コポリマー組成物が、カネカ(Kaneka)(米国特許第5,292,860号)、昭和電工(Showa Denko)(EP440165A2、EP466050A1)、三菱(Mitsubishi)(米国特許第4,876,331号)、及びプロクターアンドギャンブル(Procter & Gamble)(米国特許第5,498,692号、5,536,564号、5,602,227号、5,685,756号)に開示された。すべて、結晶化プロセスを部分的に妨げる主鎖に沿って、制御された量の「不備」をランダムに組み込むことによって、PHAの結晶化度及び融点を、高結晶化度のPHVまたはPHBVでの値よりも低いいかなる望ましい値にも調整する、様々な手法を記載している。そのような「不備」は、様々なタイプの分枝(3−ヒドロキシヘキサノエート以上)と、短い(3HP、3−ヒドロキシプロピオネート)または長い(4HB、4−ヒドロキシブチレート)直鎖脂肪族柔軟性スペーサのいずれか、または組合せである。その結果が、80℃〜150℃の最も有用な範囲内で溶融し、加工時に熱分解の影響を受けにくい、コポリマー構造である。加えて、これらの新しいコポリマーの生分解速度は、通常、その結晶化度の低さと、微生物の影響を受けやすさの結果として改善されている。しかし、そのようなコポリマーの機械的特性が、PHBまたはPHBVの機械的特性より改善された一方で、その強靭性は、例えば長期物理的エージング後のポリオレフィンの強靭性よりも依然劣る。エージングは、これらのコポリマーの硬化を担い、それがさらにその延性、すなわち破損なしに大規模に塑性変形する能力に影響を及ぼす。それほどではないにせよ、それは、G.J.M.デコニンク(deKoninck)他によって報告されている、PHB及びPHBVに関するエージング効果に似ている。PCT国際公開特許WO94/17121では、後者が、エージング効果を部分的に逆転させることができるが、それでもこれらの高結晶化度ポリマーに十分な延性をもたらすには足りない、熱的焼きなまし処理を開示している。最後に、新しく、より適切なコポリマーの結晶化速度は、特徴的に遅く、それらを従来の変換方法によって加工する課題が残されている。
【0026】
より有用なPHAコポリマーなどの設計におけるこれらの全ての進歩にも関わらず、熱可塑性物質から得られると予測されるようになった、卓越したポリオレフィンのような特性(例えば、柔軟性、延性、強靭性、不透水性)、埋立地を超える廃棄の代替的な手法の可能性を開く高い生分解速度、及び重大な変換なしに従来の転換機器で容易に取り扱うことのできるという加工特徴を示す、材料の分類を見つけるという課題が依然として残されている。本発明は、機械的特性、高い生分解速度、及び加工可能性の容易さの有用なバランスを提示することがわかった、新規の組成物を提供する。
【0027】
(発明の目的)
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点または制限事項を克服する、生分解性のポリヒドロキシアルカノエートベースの組成物及び方法を提供することである。
本発明の目的は、以下に開示する様々なタイプの用途で直面する広範囲の温度にわたってその完全性を維持する、新規で、柔軟性があり、きわめて丈夫で強く、不透水性で、容易に溶融加工可能な、生分解性ポリマー組成物を提供することである。一般的な意味では、生分解性とは、地面に埋められた時若しくは汚水中に廃棄された時、またはその成長に役立つ条件下で微有機体に接触した時、微生物によって、ポリマー成分が時間をかけて同化されやすいことを意味する。材料は、デンプンやセルロースなど、他の既知の天然生分解性物質と同様に、最終的に環境内でCO2、H2O、及びバイオマスに生分解される。
【0028】
本発明の他の目的は、相溶剤または触媒の必要なしに優れた機械的完全性を示し、多くの環境において容易に生分解することのできる、非混和性で機械的相溶性のポリマーブレンドを提供することである。
本発明の他の目的は、生分解性ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーの延性及び強靭性を劇的に高め、従って広範囲の用途でのこれらの新しい材料の有用性を引き出す方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、既知の延伸プロセスによって破断なしに固体に変換させることのできる、強く延性のある生分解性ポリマー基材を提供することであり、得られる変換された基材は、元の基材より高い機械的特性(高い強靭性、部分弾性復元)を示す。
本発明の更に他の目的は、改善された溶融レオロジーと結晶化速度を示す、様々なプラスチック物品に容易に溶融加工可能な生分解性ポリマー組成物を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、溶融または溶媒スピニング、溶融吹込み、キャストフィルム押出成形またはブロンフィルム押出成形、射出成形、溶媒コーティングなど、従来の変換プロセスを用いて、プラスチック物品を作製するために、生分解性ポリマー組成物を使用する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、丈夫で強くしかも柔軟性のある生分解性の衛生用または医療用衣料品、堆肥化可能なプラスチック袋及び農業用フィルム、射出成形鍋、庭ゴミ用ネット、堆肥化可能発泡物品、生分解性のパルプ、紙コーティング並びに結合剤を提供することである。
本発明の他の目的は、汚水を含めて、より多くの種類の手段によって廃棄することのできる、生分解性堆肥化可能バックシートまたは物品の他の構造特徴を有する新規の吸収性物品を提供することである。
【0030】
(発明の概要)
本発明の第1の態様は、ポリエチレンやポリプロピレンなど、最も一般的な延性ポリオレフィンに有利に匹敵する柔軟性、延性及び強靭性特徴を示し、様々な造形品に固体、溶融または溶媒加工でき、しかし微生物の存在下で容易に分解または破壊する、新規の生分解性で堆肥化可能な熱可塑性ポリマー組成物に関する。そのような組成物は、少なくとも2つのポリマー成分を含む。
a)20〜80重量%の新規組成物を含む第1の成分は、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニット(RRMU)を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマー、またはそのブレンドであり、、少なくとも50%のポリヒドロキシアルカノエートモノマーユニットを含む第1のRRMUは以下の一般構造(I)を有し、
【0031】
【化9】
【0032】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0033】
【化10】
【0034】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0035】
【化11】
【0036】
式中、mは2〜約16である。
b)80〜20重量%の新規組成物を含む第2の成分が、以下の一般構造の脂肪族ジアルカノイルユニットの重縮合により得られたエステル重縮合物またはそのブレンドであり、
【0037】
【化12】
【0038】
及び、これらの混合物;
式中、sは約1〜約10、好ましくは約2〜10であり、二価アルコールは以下の式を有し、
HO−(CH2)t−OH
式中、tは約2〜約10である。あるいは、重縮合物の脂肪族二価酸の50%までを、以下の式のテレフタル酸またはナフタル酸などの芳香族のもので置換することができる。
【0039】
【化13】
【0040】
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの生分解性を維持しながら、物理的特性の有利な組合せを得るには、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含む。適切には、ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの数平均分子量が、約150,000g/モルを超えることが適切である。
組成物中で使用するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの他の実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のRRMUを含むことができる。
適切には、追加のRRMUは、以下の構造(IV)を有することができ、
【0041】
【化14】
【0042】
式中、R3がH、またはC1〜C19アルキル若しくはアルケニル基で、qが1または2であるが、追加のRRMUが第1のRRMUとも第2のRRMUとも同一でなく、R1がCH3の時にR3はC2H5でないという条件である。
ポリマー組成物中には、2つより多くのポリマー成分が存在してもよいが、その場合、追加のポリマー組成物は、a)及びb)に表す化学構造に従い、上述で定義した全体的なポリマー組成物を満たす。
任意で、柔軟性を更に調整しその有用性の温度範囲を広げるという着想により、本発明のブレンド組成物は、0〜20重量%の1またはそれ以上の相溶性可塑剤を含むことができる。また、本発明のブレンド組成物は、後者が総ポリマー含有量の10重量%未満に抑えられている間は、1つまたはそれ以上の追加の相溶性ポリマーを含むことができる。ポリマーは、特に、ポリヒドロキシブチレートホモポリマー(iPHB)またはポリヒドロキシブチレート−共−バレレート(PHBV)を含むことができ、これは、本発明の低結晶化度PHAコポリマーの生成を担う同一の生物学的有機体によって少量で製造することができる。
【0043】
本発明の他の態様によれば、本発明は、さらに、新規の生分解性の堆肥化可能熱可塑性ポリマー組成物を調製する方法に関し、これには、ブレンド組成物の溶液または溶融物内でのブレンドと、その後の溶媒の除去、または単純な冷却が含まれる。
本発明はさらに、その強靭性及び延性を改善するように、少なくとも50%の脂肪族ジアルカノイルユニットを含んで、熱可塑性エステル重縮合物を細かく分散させることによって、PHAを強化する方法に関する。
本発明はさらに、本発明のポリマー組成物の加工及び変換による、溶液または溶融物から、触媒または相溶剤を実質的に含まない造形物品への、生分解性プラスチック物品の製作に関する。そのようなプラスチック物品には、フィルム、シート、繊維、コーティング、成形物品、不織布、及び発泡物品が含まれる。
【0044】
本発明はさらに、本発明の高強度及び強靭性ブレンド組成物を用いた、生理用ナプキン、拭取り用品、おむつ、パンティライナーなどを含めた生分解可能な衛生用及び/または医療用衣料品、また落葉/芝用袋、農業用フィルム、漁網、庭ゴミ用ネット及び種まき用テンプレートなどの堆肥化可能袋、並びに使い捨て可能なカップなどの発泡物品、コーティングまたは結合パルプまたは紙ベース製品の製作に関する。
PHAは、その固有の酵素的性質及びその低結晶化度のために、通常それが直面するほとんどの環境条件(好気性及び嫌気性)で生分解速度が速いことで知られる。これがブレンドの生分解性の促進に寄与し、廃棄することのできる手段を拡張するので、他の生分解性ポリエステルとのブレンド中の望ましい成分となっている。その結果、ブレンドは、湿潤条件下を含め、使用時の卓越した機械的完全性及び強度を示すが、ほとんどの環境においてかなり短い時間で容易に破断する。
【0045】
袋は、規則的な間隔で連続的なブロンフィルムを密封し予め切断することによって作製される、通常、単層または多層の構造である。本発明のブレンド組成物の加工可能性及びフィルム性能の様態は、ポリオレフィン製の従来の袋の価値ある代用品の価値の提供において独特のものである。
エステル重縮合物を単に添加し、その後、ブレンドして様々な物品へと変換することによって、ポリヒドロキシアルカノエートから製作した物品の延性を驚くほどに改善できることがわかった。ポリヒドロキシアルカノエート及び脂肪族エステル重縮合ブレンドは、目覚しい機械的強度及び強靭性、高い生分解速度、加工可能性の容易さ、並びに低コスト可能性を有する、生分解性の堆肥化可能プラスチック組成物となる。後者の点は、PHA、及び、例えばコハク酸ポリブチレンなどのエステル重縮合物が、共に大いにC4化学反応に基づいており、また原則的には、細菌性合成または発酵、またその後の重縮合反応を介して商品再生可能資源から得られるという事実に裏付けられるものである。
【0046】
(詳細な説明)
ブレンドの物理的特徴
本出願人は、生分解性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と、実施例1で述べるような脂肪族エステル重縮合物(AEP)とを含む、半結晶性直鎖脂肪族ポリエステルブレンドを、うまく調製できることを見出した。これらのポリエステルは、一般に非混和性ブレンドを形成する。本明細書で使用する時、「非混和性[ポリエステル]ブレンド」とは、示差走査熱量測定(DSC)により調査した時に、多数のガラス転移点及び/または融点を示すブレンドを指す。混合は、一般的な溶媒中の溶液、あるいは溶融物内で、両方の融点より高い温度で容易に達成される。ただし、溶融物の温度が、PHAコポリマーの熱分解が誘発されることのある、150〜160℃より高くなるのを避けることが重要である。ブレンド成分については、本発明の説明で、以下に詳細に説明する。
【0047】
本発明のポリエステルは、一般に非混和性ブレンドを形成する。しかし、機械的完全性に乏しいほとんどの非混和性ブレンドとは異なり、本発明のブレンドは、優れた機械的特性を示すことが思いがけなくわかった。実際、それらはPHAだけから作製した材料上の強靭性及び延性において非常に大きな改善を示し、従って様々な用途に好ましい材料となっている。これについては、そのようなフィルムサンプルで得られた実験的破壊強靭性データを使用して、実施例2及び3で説明する。2つの異なる試験方法を実施例で説明して、試験した特定の材料の高い強靭性を実証する。そのような非混和性で「相溶性」のブレンドは、ブレンドの個々の成分に比べて、少なくとも1つの機械的特性で相乗作用を示す。例えば、ポリエステルブレンドで形成されたフィルムは、単一のブレンド成分で予想されるよりはるかに大きい強靭性を示す。これらの材料の高性能の利益の1つは、それが、高性能の芝/落葉用袋の場合のように、必要であれば改善された強靭性を有する使い捨て可能物品を作製できるか、または作製すべき物品のポリマー成分の量を減らせるので、結果として全体的な材料削減ができることである。材料の削減は、物品をより容易で迅速に生分解可能にする一方で、コストの削減と環境利益に寄与する。
【0048】
延性が向上した結果として、そのような材料に、一様または徐々のいずれかで、早期の破損なしに材料を延伸及び伸長させる固体変換プロセスを容易に実施することができる。本明細書で使用する時、「延性」とは、物品が破損せずに、内部で機械的エネルギーを変形させ消散させる能力を指す。本明細書で使用する時、「破損」とは、物品が破壊するまたは引き裂かれる傾向を指すことを意図する。例えば、延性プラスチックフィルムとは、機械的応力下で、破損せずに、または少なくとも破損前に、延伸し変形するフィルムである。延性が大きくなるほど、材料は、与えられた応力に対して破断せずに適応できるようになる。ポリオレフィンは、その延性で知られており、この特徴を大幅に生かして、ポリオレフィン物品は、さらに有用で機能的な物体へと変換されてきた。従って、ポリオレフィンに匹敵する、またはポリオレフィンを超える、生分解性ポリエステルブレンドを開発することが非常に望ましい。本発明のブレンド組成物のこの特質については、実施例4で詳細に説明する。
【0049】
さらに、固体変換を実施したブレンドの機械的特性が、非延伸試料よりさらに大きい強靭性を示すことが思いがけずわかった。これは、実施例5で説明する。やはり、好機とは、材料を利用する物品の性能の全体的な向上に導くことができ、また、どのような性能の不利もなく、さらなる材料の削減に導くことができるものである。これは、例えば、SELF化などの徐々の延伸プロセスを実施し、それが同じまたはより良い穿刺耐性で袋の収容能力を潜在的に増加させることになる、芝/落葉用袋の場合で説明される。この重大な発見の重要な結果の1つは、袋に荷重をかけるほど、その収容能力が大きくなり、引裂きまたは穿刺耐性能が大きくなることである。実施例6で例示するように、ある程度の復元可能な弾性など、事前の延伸プロセスを介して、ポリマー袋にさらなる機能を与えることができる。そのような弾性は、堆肥化可能な袋に関し、万能サイズの構想への入り口点を提示する。徐々にまたは部分的にだけ事前に引き出される場合、そのようなフィルム中に残されている残存延性または可塑性を使用して、その非常に高い穿刺及び引裂き耐性のためにフィルムが早く破壊される危険を冒さずに、サイズまたは形状をさらに変化させることができる。
【0050】
PHAは、一般に、その結晶核生成及び結晶成長が本質的にかなり遅いので、結晶化するのがかなり遅い。これらのポリマーを、他の一般的なポリマーに匹敵する速度で加工可能にし、本発明の様々な物体にするには、結晶化を加速するための先駆技術が必要である。その本質的に遅い結晶化を避けるには、高効率核生成パッケージが確実に必要となる。文献に既に記載されたもののなかに、適しているものがいくつかある可能性がある。その他は他の発明の主題となっている。いずれにしても、実施例7に示すように、エステル重縮合物がまた、ブレンド中のPHAの結晶化の加速にも寄与することがわかっている。本出願人のデータから、これが、ブレンドのエステル重縮合分画がより速く結晶化するという事実によるものだけではなく、ブレンドのPHA分画も同様であることがわかる。また結果として、それに関して、及び速い速度で、すなわちより経済的に本発明のブレンドを様々な形に変換する、改善された能力において、全体的な利益がある。
【0051】
ブレンドが非混和性である結果として、ポリマー成分が相分離し、その結果、それぞれの熱転移が全体としてブレンドに影響を及ぼす。これがどのようにして、これらの材料が物品中で有用となる温度範囲の拡大を引き起こせるかという例が、実施例8て提供されている。半結晶性ポリマーが、TgとTmの間の間隔で最も有用であることが、一般に理解されている。Tg未満では、それらはより容易に脆性破壊する傾向にあり、しばしば壊れやすいものとみなされ、Tmより高ければ、それらは物理的完全性を失う。上述のブレンドは、これらの材料の実用性の範囲を拡大する手段として、エステル重縮合物の低いTg、並びにポリヒドロキシアルカノエートの高いTmを利用するのを助けることができる。
【0052】
ポリマーの溶融加工のほとんどが、一般にこれらの材料の2つの重要な特徴、すなわち溶融弾性とずり減粘(shear−thinning)作用とを利用している。本明細書で使用する時、「溶融弾性」とは、ポリマー溶融物が加工時に安定な一時的形状を維持する、すなわち溶融物中にある程度妥当な機械的完全性を示す能力を指す。これは、冷却及び凝固前に、溶融物中のポリマーの形を整える際または薄化する際に、非常に大きな柔軟性を提供する。同じ分子量では、PHAコポリマーの溶融弾性は、エステル重縮合物の溶融弾性よりはるかに低く、それが後者のもつれの間の高い分子量に起因すると考えられてきた。結果として、PHAが十分な溶融弾性を示すには、さらに高い分子量が必要となる。ブレンド中では、エステル重縮合成分は、溶融弾性の構築に寄与し、従って高分子量PHAを有するための条件が緩和される(実施例9を参照)。ポリマーに典型的なその他の有用な特徴は、加工時のずり減粘作用を示す能力である。本明細書で使用する時、「ずり減粘」とは、流れにおいて溶融物内でポリマーのずり粘度を低下させること、すなわち粘度を減少させて、材料を加工しやすくすることを意味する。実施例9で実証するように、本発明のブレンド組成物では、ずり減粘は、PHA単独の場合より明白である。
【0053】
本発明のブレンドは、生分解性と呼ばれる。本明細書で使用する時、「生分解性」とは、微生物及び/または自然の環境要因によって、最終的にCO2と水、またはバイオマスに、完全に分解される化合物の能力を示す。本発明のブレンドは、真に生分解性材料を識別するのに役立つと予想され、生分解性に関するASTM標準に合致する製品の認証を目的とした認証/ロゴの開発と共に、ドイツDIN並びに今度のヨーロッパ(CEN)のものと相反しない、堆肥化可能プラスチックに関する近年承認された米国ASTM標準(ASTM D6400−99)の条件を満足するものである。
本発明のPHAは、その組成物には関わらず、全く容易に破断し、微生物によって無機化されることで知られている。エステル重縮合はまた、長い時間をかけて破断し、最終的には微生物によって大部分が代謝されることでも知られている。市販のポリエステルには、ASTM標準によって構築された基準をうまく満たしたものもある。芳香族モノマーが存在する場合、芳香族構成要素の脂肪族構成要素に対する比率を、容易に代謝できないほどに大きい芳香族オリゴマー残基が確実に存在しないように、臨界値より低く維持することが不可欠である。
本明細書全体にわたり、出版物及び特許を参照する。本明細書で述べたすべての参照を、参考として本明細書に組み込む。
特に指示がない限り、本明細書に記載のコポリマー組成物の比はすべてモル比とする。特に指示がない限り、パーセンテージはすべて重量による。
【0054】
ポリヒドロキシアルカノエート
本発明のブレンドで使用するポリヒドロキシアルカノエートは、合成して調製するか、または細菌や藻類など、様々な生物学的有機体によって製造することができる。ポリヒドロキシアルカノエートはコポリマーであり、2つまたはそれ以上の構成要素を有するコポリマーであることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートは、ほぼ光学的に純粋、すなわち主にアイソタクチックまたはシンジオタクチックであることができる。本明細書で使用するポリヒドロキシアルカノエートは、好ましくは、ほぼアイソタクチック(約90重量%〜約100重量%がアイソタクチック)であるか、または完全にアイソタクチック(約100重量%がアイソタクチック)である。完全にアイソタクチックのポリヒドロキシアルカノエートは、生物学的有機体から得ることができ、本発明で使用するポリヒドロキシアルカノエートを、生物学的有機体から発酵によって、あるいは遺伝子導入緑色植物(真核生物)から得ることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーまたはそのブレンドは、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニット(RRMU)を含み、
少なくとも50%のポリヒドロキシアルカノエートモノマーユニットを含む第1のRRMUが以下の一般構造(I)を有し、
【0055】
【化15】
【0056】
式中、R1がH、またはC1若しくはC2アルキルで、nが1または2である。好ましい実施形態では、R1はメチル基(CH3)であり、よって第1のRRMUが以下の構造を有し、
【0057】
【化16】
【0058】
式中、nは1または2である。第1のRRMUの他の好ましい実施形態では、R1がメチルで、nが1であり、よってポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが、3−ヒドロキシブチレートユニットを含む。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0059】
【化17】
【0060】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0061】
【化18】
【0062】
式中、mは2〜約16である。一般に、式(II)のRRMUでは、R2の長さは、ある程度までは、コポリマーの全体的な結晶化度の低減に影響を及ぼす。好ましい実施形態では、R2がC3〜C10アルキル基またはアルケニル基である。その他の好ましい実施形態では、R2がC3〜C6アルキル基であり、他の好ましい実施形態では、R2がC3アルキル基であり、よって第2のRRMUが3−ヒドロキシヘキサノエートである。代替的な好ましい実施形態では、R2がC10〜C19アルキルまたはアルケニル基である。構造(III)のモノマーを含む第2のRRMUに関して、好ましい実施形態では、mが2〜約10で、より好ましくは4または5のいずれかである。他の実施形態では、生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーは、構造(I)の第1のRRMU、及び構造(II)と構造(III)の両方の追加のRRMUを含む。ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの生分解性を維持しながら、有利な組合せの物理的特性を得るには、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第1のRRMUの構造を有するRRMUを含む。適切には、コポリマー中の第1のRRMUと第2のRRMUのモル比が、約50:50〜約99:1の範囲にある。本発明のブレンドを、通常の繊維または成形物品(例えば射出成形または吹込み成形)に加工する時には、PHAのブレンドRRMUの好ましくは約80%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。本発明のブレンドをエラストマーまたは接着剤に加工する時には、PHAのRRMUの好ましくは約50%が、第1のRRMUの構造を有する。本発明のブレンドを不織布に加工する時には、PHAのRRMUの好ましくは約85%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。特定の理論に縛られることを意図しないが、第2のRRMU鎖及び/または分枝長と、支持したモル量との組合せが、第1のRRMUの結晶化度を十分に低減させ、意図した用途に望ましい物理的特性のコポリマーを形成すると考えられている。
【0063】
加えて、ポリヒドロキシアルカノエートの分子量は、好ましくは約150,000より多く、より好ましくは約150,000〜約2,000,000で、さらにより好ましくは約250,000〜約1,000,000である。
組成物で使用するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの他の実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のRRMUを含むことができる。適切には、追加のRRMUは、以下の構造(IV)を有することができ、
【0064】
【化19】
【0065】
式中、R3がH、またはC1〜C19アルキル若しくはアルケニル基で、qが1または2であるが、追加のRRMUが第1のRRMUとも第2のRRMUとも同一でなく、R1がCH3の時にR3はC2H5でないという条件である。好ましくは、コポリマーは、少なくとも2つ、より好ましくは約2〜20の異なるRRMUを含む。好ましくは、RRMUの少なくとも50%が、第1のRRMUの構造を有する。
適切なポリヒドロキシアルカノエートとしては、ノダ(Noda)の米国特許第5,498,692号、5,502,116号、5,536,564号、5,602,227号、5,618,855号、5,685,756号、及び5,747,584号に開示のもの、並びに、カネカ(Kaneka)(米国特許第5,292,860)、昭和電工(Showa Denko)(EP440165A2、EP466050A1)、三菱(米国特許第4,876,331号)に開示の他のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)コポリマー組成物が挙げられるが、これらの特許は参考として本明細書に組み込む。
【0066】
脂肪族エステル重縮合物
本発明で使用する脂肪族エステル重縮合物は、脂肪族多価アルコール及び脂肪族ポリカルボン酸化合物から合成される。本明細書で使用する時、「多価アルコール」とは、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールを指し、「ポリカルボン酸化合物」とは、カルボン酸基と、酸無水物及び酸ハロゲン化物を含めた酸誘導体基とから選択される、少なくとも2つの基を有する化合物を指す。多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物のモル比は、約1.05:1〜約1.2:1であることが好ましい。
多価アルコールは二価アルコールであることが好ましい。適切な二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−リス−ペンタン、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
好ましい二価アルコールは、偶数個の炭素を有する直鎖アルキレン基であり、より好ましい二価アルコールは、2、4、6、8、または10個の炭素原子を有する。さらに好ましくは、二価アルコールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、並びにこれらの混合物から成る群から選択される。
適切な脂肪族ポリカルボン酸化合物としては、脂肪族ポリカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸無水物、脂肪族ポリカルボン酸ハロゲン化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、脂肪族ジカルボン酸化合物であり、より好ましくは、脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸無水物である。適切なポリカルボン酸化合物としては、コハク酸、コハク酸無水物、アジピン酸、アジピン酸無水物、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジノイン酸(dodecadinoic acid)、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
好ましい脂肪族ジカルボン酸化合物は、偶数個の炭素を有する直鎖アルキレン基を有し、より好ましい脂肪族ジカルボン酸化合物は、2、4、6、8、または10個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、ジカルボン酸は、コハク酸、コハク酸無水物、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカノイン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、少なくとも70mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、コハク酸、コハク酸無水物、及びこれらの混合物から成る群から選択される酸を含む。好ましくは、脂肪族ポリカルボン酸化合物は、約30%以下、好ましくは約10%以下の、コハク酸及び/またはコハク酸無水物以外の酸化合物を含む。好ましくは、コハク酸及び/または無水物と、他の脂肪族ポリカルボン酸化合物のモル比は、約70:30〜約100:0である。
脂肪族エステル重縮合物は、式中sが約1〜約10、好ましくは約2〜10である次式を有する化合物から成る群から選択されるジカルボン酸化合物
【0069】
【化20】
【0070】
及び、これらの混合物;
並びに、式中tが約2〜約10である次式を有する二価アルコール、
HO−(CH2)t−OH
から合成されることができる。
脂肪族エステル重縮合物は、エチレングリコールとコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール及びコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及びセバシン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアジピン酸、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール及びセバシン酸などの、好ましい成分の混合物から調製することができる。より好ましいのは、エチレングリコール及びコハク酸またはその無水物、1,4−ブタンジオール及びコハク酸またはその無水物、並びに1,4−ブタンジオール、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物の混合物である。
【0071】
脂肪族エステル重縮合物は、芳香族エステル含有量が50%未満である限り、いくらかの芳香族エステル成分をランダムに、または小ブロックに組み込んで含むことができる。重縮合物は、また上述で定義したように、PHAのモノマーまたはポリマーシーケンスを含むこともできる。脂肪族エステル重縮合物にウレタン結合が含有される時には、ウレタン結合の量は、脂肪族エステル重縮合物の0.03〜3.0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。これは、一般に鎖の分子量を増加させる手段としての役割を果たす。
好ましくは、重縮合物の分子量は、約20,000より大きく、より好ましくは約50,000〜約500,000、さらにより好ましくは約100,000〜約400,000である。
【0072】
適切な脂肪族エステル重縮合物としては、タカハシ(Takahashi)他の米国特許第5,525,409号、タキヤマ(Takiyama)他の米国特許第5,310,782号、イマイズミ(Imaizumi)他の米国特許第5,314,969号及び同第5,714,569号に開示のものが挙げられ、これらの特許は参考として本明細書に組み込む。
【0073】
ポリエステルブレンドの配合
ポリエステルブレンド組成物は、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物をブレンドすることによって調製される。ブレンドは、両方のポリマーを溶融させるのに十分な温度で溶融ブレンドすることによって、または共通の溶媒内で溶液ブレンドすることによって調製することができる。好ましくは、溶媒は塩素系溶剤であり、より好ましくはクロロホルムである。溶媒は、ポリマーをブレンドした後に取り除くことができる。ポリヒドロキシアルカノエート及び脂肪族エステル重縮合物は、十分にブレンドして複合構造になる。
好ましくは、ポリエステルブレンド組成物は、界面活性剤、相溶剤、反応開始剤、及び無機充填剤を実質的に含まず、好ましくは全く含まない。本明細書で使用する時、「反応開始剤」とは、カルシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモンまたは亜鉛のアルコキシド、フェノキシド、エノレートまたはカルボキシレートのような無機オキシ化合物を含めた、エステル交換触媒を指す。本明細書で使用する時、「無機充填剤」とは、周期表のIIA、IIIB、及びIVA群から選択される金属などの金属の、酸化物、水酸化物、炭酸塩及び硫酸塩などの充填剤を指す。本明細書で使用する時、「界面活性剤、反応開始剤、及び無機充填剤を実質的に含まない」とは、界面活性剤、反応開始剤、及び/または無機充填剤がそれぞれ、ポリエステルブレンド組成物の約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満のレベルで存在することを意味する。
【0074】
本明細書で使用する時、「可塑剤」とは、柔軟性を改善するためにポリマーに添加する分子量が、約2000グラム/モル以下の化合物またはオリゴマーを指し、ポリマーと混合すると、通常ポリマーのガラス転移温度を下げる。可塑剤としては、グリセロールジアセテート、トルエンジアセテート、トルエンスルホンアミド、ジ−2−エチルヘキシルアジパート、ブチルアセチルリシノレエート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールカプリレート、塩素化パラフィン、ジ−イソブチルフタラート、ジ−イソヘプチルフタラート、ジ−イソ−オクチルフタラート、ジ−イソノニルフタラート、ジ−イソデシルフタラート、ブチルベンジルフタラート、ジデシルフタラート、ポリ(オキシエチレン)(4)ラウリルエーテル、エポキシ化大豆油、ジブチルマレアート、メチルラウレアート、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリエステルブレンド組成物は限定量の可塑剤だけを含む。本明細書で使用する時、「限定量の可塑剤」とは、ポリエステルブレンド組成物の約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満のレベルを指す。上述の特性の有利な組合せを得るために、可塑剤は必ずしも組成物中に必要ないが、材料の強靭性及び延性の改善にさらに寄与することができる。
【0075】
組成物は、様々な非ポリマー成分、中でも核生成剤、抗ブロック剤、静電気防止剤、スリップ剤、酸化防止剤、顔料または他の不活性充填剤などを、さらに含むことができる。これらの材料の強靭性、延性、及び他の特質を得るのに、通常そのような添加物が組成物中にある必要はないが、これらの添加を従来の量で使用することができる。やはり上述の有利な特性の組合せを得るのに、通常可塑剤は必要ではないが、組成物中で1つまたはそれ以上の可塑剤を従来の量で使用することができる。
ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%、好ましくは約30重量%〜約70重量%、より好ましくは約40重量%〜約60重量%のレベルで存在する。脂肪族エステル重縮合物は、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の合計の、少なくとも約20重量%、好ましくは約30重量%〜約70重量%、より好ましくは約40重量%〜約60重量%のレベルで存在する。ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物の比は、約20:80〜約80:20、または約0.25:1〜約4:1である。より好ましくは、ポリエステルブレンドは、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とを重量比約40:60〜約60:40で含む。これらのほぼ平衡した比率では、両方の材料の組合せが、望ましい特性の最適化に寄与する。
【0076】
ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物に追加のポリマーをブレンドすることはできるが、延性製品を得るのに追加のポリマーは必要ではない。一般に、ポリエステルブレンドは、追加のポリマーを実質的に含まない。すなわち、追加ポリマーの総ブレンドの10重量%未満が含まれる。ポリエステルブレンドは、本質的にポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とから成ることが好ましい。
【0077】
製造物品
本発明のポリエステルブレンドは、フィルム、シート、繊維、ウェブ、不織布、及び成形物品を含む様々な超強靭性及び延性プラスチック物品に加工することができる。それらはまた、コーティング物品の製作に関与する強靭なコーティングまたは結合剤として使用することもでき、または、ポリエステルブレンドから調製される物品は、一般に変形下でひび割れよりもむしろ程度の大きい剪断収率を示し、ポリヒドロキシアルカノエートと脂肪族エステル重縮合物とを含むポリエステルブレンドから調製される物品は、匹敵するポリヒドロキシアルカノエートだけから調製される物品よりも、少ないひび割れ及び脆性を示す。ポリエステルブレンドから調製される物品は、ポリオレフィンから調整される同様の物品に等しい、またはそれ以上の強靭性及び延性を示す。
【0078】
本明細書で使用する時、「フィルム」とは、長さと厚さの比が大きく、幅と厚さの比が大きい、きわめて薄い連続片物質を意味する。厚さの精密な上限に関する条件はないが、好ましい上限は、約0.254mm、より好ましくは約0.01mm、さらにより好ましくは約0.005mmである。本発明のフィルムは、高い生分解性及び/または堆肥化性を有する、液体不透過性バックシートとして使用することができる。それらはまた、堆肥化可能ゴミ袋または農業用フィルムを作製するために使用することもできる。単層または多層フィルムを製造する従来の手段を用いて、従来のフィルム製造装置でフィルムを加工することができる。
本明細書で使用する時、「シート」とは、長さと厚さの比が大きく、幅と厚さの比が大きい、非常に薄い連続片物質を意味し、材料は約0.254mmより厚い。シーティングは、それがより堅く、自立性質を有する点を除いて、特性及び製造の点でフィルムと同じ多くの特徴を共有する。
【0079】
本明細書で使用する時、「繊維」とは、長さと幅の比が大きく、断面が小さい、柔軟性の巨視的均質体を指す。それらは、漁網の庭ゴミ用ネットを製作するために使用することができる。本明細書で使用する時、「発泡体」とは、その嵩全体にわたって分布する多数の気泡の存在によって見かけの密度が実質的に減少した、本発明のポリエステルブレンドを指す。発泡体は、例えば使い捨て可能なカップを製作するために使用することができる。本発明の他の実施形態では、プラスチック物品は成形物品である。本明細書で使用する時、「成形物品」とは、金型によって規定される形状に射出、圧縮、または気体を用いて吹き込まれるポリマーブレンドから形成される物体を意味する。それらは、堆肥化可能な包装または食卓用金物の製作に使用することができる。
【0080】
本発明はさらに、本発明のポリエステルブレンド組成物を含む、使い捨て可能なパーソナルケア製品に関する。例えば、堆肥化可能吸収性物品は、液体透過性トップシートと、ポリエステルブレンドで形成されたフィルムを含む液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された吸収性コアとを含む。そのような吸収性物品として、乳幼児用おむつ、成人失禁用ブリーフ及びパッド、並びに女性衛生用パッド及びライナーが挙げられる。吸収性物品には、おむつで一般に使用されるような、テープ状ひも締結具、または、女性衛生用パッドで一般に使用されるような、接着性裏材を具備することができる。
使い捨て可能なおむつなどの本発明の吸収性物品で、液体不透過性バックシートとして使用される本発明のフィルムは、通常、厚さが約0.01mm〜約0.2mm、好ましくは約0.012mm〜約0.051mmである。好ましい実施形態では、本発明のフィルムは、高い生分解性及び/または堆肥化性に加えて、以下の特性の1つまたはそれ以上を有する。
【0081】
a)約703〜約7030kg/cm2の縦方向(MD)の引張り係数(約6.895×108ダイン/cm2〜約6.895×109ダイン/cm2)、
b)厚さ25.4μm当り少なくとも約70グラムのMD引裂き強さ、
c)厚さ25.4μm当り少なくとも約70グラムの横方向(CD)引裂き強さ、
d)落球落下によって測定した時に少なくとも約12cmの衝撃強度、
e)16時間で1平方センチメートルあたり約0.0012グラム未満の湿気透過速度、
f)少なくとも約5.52×107ダイン/cm2(約56.24kg/cm2)の60℃での係数、及び
g)約12μm〜約75μmの厚さ。
【0082】
バックシートは、4:1〜1:4の範囲の相対重量比でPHAとAEPを含む、本発明によるポリエステルブレンドから形成することができる。一実施形態では、AEPが、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物とから調製され、他の実施形態では、AEPが、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物とから調製される。一実施形態では、PHAは少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0083】
【化21】
【0084】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0085】
【化22】
【0086】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0087】
【化23】
【0088】
式中、mは2〜約16である。
一般に、PHA中のRRMUの少なくとも50%、好ましくは約50%〜約99.9%、より好ましくは約80%〜約99.5%、さらにより好ましくは約90%〜約99%が、第1のRRMUの構造を有する。
トップシートは、柔らかい感触で、着用者の皮膚に非刺激性であることが好ましい。さらに、トップシートは液体透過性で、その厚さ方向に液体を容易に浸透させる。適切なトップシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、天然繊維(例えば、木材または綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステルまたはポリプロピレン繊維)などの広範囲の材料から、または天然繊維と合成繊維の組合せから製造することができる。吸収性コア中の液体と着用者の皮膚を離しておくために、トップシートを疎水性の材料で作製することが好ましい。
【0089】
一実施形態では、トップシートは、本発明によって調製されるポリエステルブレンド製の不織布材料である。一実施形態では、AEPは、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物とから調製され、他の実施形態では、AEPは、1,4−ブタンジオールと、コハク酸またはその無水物、及びアジピン酸またはその無水物とから調製される。PHAは、少なくとも2つの異なるRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0090】
【化24】
【0091】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0092】
【化25】
【0093】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0094】
【化26】
【0095】
式中、mは2〜約16である。
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約85%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。
トップシートとバックシートは、適切ないかなる方式でも合わせて接合される。本明細書で使用する時、「接合」という用語は、トップシートをバックシートに直接取り付けることによってトップシートをバックシートに直接接合させる構成、及びトップシートを中間部材に取り付け、次にそれをバックシートに取り付けることによって、トップシートをバックシートに間接的に接合させる構成を包含する。バックシートとトップシートは、PHAを含む接着剤を使用して接合させてもよい。
一実施形態では、トップシートとバックシートの接着接合は、PHAとAEPを含む、本発明によるポリエステルブレンドを含む。PHAは、少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0096】
【化27】
【0097】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0098】
【化28】
【0099】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0100】
【化29】
【0101】
式中、mは2〜約16である。
RRMUの少なくとも50%が、第1のRRMUの構造を有することが好ましい。
吸収性物品の吸収性コアは、トップシートとバックシートの間に配置される。吸収性コアは、多種多様な材料から、多種多様なサイズ及び形に製造することができる。ただし、吸収性コアの総吸収能力は、吸収性物品の使用目的に関して設計された液体荷重に適合性があるべきである。
吸収性コアは、木材パルプ繊維、PHA、吸収性ゲル材料、及びこれらの混合物を含むことができる。一実施形態では、吸収性コアは本発明のポリエステルブレンドを含み、PHAは少なくとも2つのRRMUを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0102】
【化30】
【0103】
式中、R1はH、またはC1若しくはC2アルキルで、nは1または2である。
生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに含まれる第2のRRMUは、以下の構造(II)及び(III)から成る群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、
【0104】
【化31】
【0105】
式中、R2はC3〜C19アルキルまたはC3〜C19アルケニルであり、
【0106】
【化32】
【0107】
式中、mは2〜約16である。
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約80%〜約99.5%、より好ましくは約90%〜約99.5%、さらにより好ましくは約95%〜約99.5%が、第1のRRMUの構造を有する。
一実施形態では、吸収性物品は、その物品の周囲に隣接して配置された1つまたはそれ以上の弾性部材を含む。弾性部材は、PHAを含むことができる。一実施形態では、弾性部材は2つのRRMUを含むPHAを含み、第1のRRMUは以下の構造を有し、
【0108】
【化33】
【0109】
式中、R1はHまたはC2アルキルで、nは1または2であり、第2のRRMUは以下の構造を有する。
【0110】
【化34】
【0111】
一般に、RRMUの少なくとも50%、好ましくは約50%〜約99.9%、より好ましくは約80%〜約99.5%、さらにより好ましくは約90%〜約99%が、第1のRRMUの構造を有する。
本発明のフィルムは、従来の製造フィルム作製プロセス(例えば、ブロンフィルム、キャストフィルムなど)を用いて、堆肥化可能なプラスチック袋の製作に使用することができる。袋は、袋の性能の改善、または原材料の削減(量の削減)のために、以下の実施例に記載するものなど、形成後の変換プロセスをさらに実施することができる。袋は、分離の必要または堆肥化汚染の危険なしに、その堆肥化可能な内容物と共に堆肥化施設で廃棄することができる。
本発明の組成物は、様々な基材、最も好ましくは紙基材のための生分解性コーティングとして使用することができる。それらは、溶融物または溶液から適用することができ、湿気にデリケートな材料に対する湿気バリアとして働く。そのような製品の例は、使用時の耐久性が改善された、コーティング済み紙コップまたは紙皿である。更に、そのような物品は、紙基材と同じ方式で廃棄することができる。
【0112】
(実施例)
以下の例は、本発明の実施例を説明するものであって、本発明を制限しようとするものではない。特許請求される本発明の範囲内にある、さらなる実施形態及び改良は、当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、本発明のの特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書に記載の方法に限定されるものではないことを理解されたい。
【0113】
実施例1
この実施例は、本発明のブレンド組成物の1つを形成するために、1つまたはいくつかのエステル重縮合物に混合した、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)の分枝状コポリマーを含むブレンドの調製を示すものである。そのようなブレンドは、いくつかの代替的な手段に従い、うまく調製される。それらは、共通の溶媒(クロロホルムなど)中の、2つまたはそれ以上の上述のポリマーを溶液ブレンドし、その後、非溶媒中のブレンドを沈殿させることによって得られる。実用的な観点から見ると、その生物学的成長培地からポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを抽出するのに溶媒が必要であるなら、溶液ブレンドが魅力的である。そのようなブレンドはまた、少量の材料を調製するのに適し、特性の特徴付け及び性能評価に適した、バンベリー(Banbury)タイプ混合器で調製されてきた。大量のブレンドは、通常、ハーケ(Haake)2軸式押出成形機を用いて工場内で調製される。4つの異なる加熱域全体にわたる温度プロフィルと、スクリューにかけるトルクを選択することによって、混合条件の制御が可能である。ストランドを温度制御水槽内で冷却し結晶化させた後、ブレンドのストランドを円形金型を通して押出成形及び切断して、ペレットを得る。あるいは、ポリマーブレンドを凝固させることのできる、1組の加熱ロールにわたって収集されるキャストフィルム金型を通して、フィルム材料を押出成形してもよい。
【0114】
上述の方法を介してうまく調製されたブレンドの例としては、以下のものが挙げられる。
−細菌性PHBHxコポリマー(ポリ(3−ヒドロキシブチレート−共−11.3% 3−ヒドロキシヘキサノエート)、すなわち本発明で定義した第2のRRMUを11.3%含み、分子量>500k)と、ビオノーレ(Bionolle)3001(昭和高分子社(Showa Highpolymer Co.,LDT)(日本、東京)から入手の、ウレタン結合分画を含有する高分子量コハク酸ポリブチレン−共−アジパート)の、80/20または60/40ブレンド。これらは、様々な押出成形温度(155℃、165℃)でキャストフィルムに容易に溶融押出成形してから、加熱ロール上に集められる。
−細菌性PHBHxコポリマーと、低分子量(溶融物流速が高い)のビオノーレ(Bionolle)3020(やはり昭和高分子社(Showa Highpolymer)から入手)の、80/20または60/40ブレンド。
【0115】
−様々な組成物の細菌性PHBHx(すなわち、様々なモル比の3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエート)と、やはり従来の薄層フィルムキャスティング加工によって薄層フィルムに押出成形することのできる、イースターバイオ(EastarBio)(脂肪族ジオールと縮合した脂肪族とテレフタル酸の両方を含むエステル重縮合物)の、80/20または60/40ブレンド。
−PHBHx/ビオノーレ(Bionolle)1020/イースターバイオ(EastarBio)の60/20/20ブレンド。
−n−ブチルマレアートなどの可塑剤を20%添加した、上述のもののようなブレンド。
【0116】
実施例2
この実施例は、PHAコポリマーとエステル重縮合物のブレンドで見られた、強靭性の顕著な改善を示す。剛性−強靭性データは、単一切欠きサイズ特性方法(single notch−size characterization method)を用いて、圧縮成形フィルムで測定される。この方法は、その中心に切欠きの入った広範囲の試料に荷重をかけることから成り、切欠きは、後者に引張り荷重をかける時の破壊開始位置と試料索を通るクラックの伝達とを表す。曲線の初期勾配は、索の剛性または堅さの基準を与え、それはまた、その柔軟性に反比例して測定される。それは、荷重−変位曲線の直線範囲にわたって、ポリマーが荷重を受けて最初にどれだけ変形するかが本質的にわかる、弾性率によって定義される(フックの法則)。それはまた、しばしば、材料が大(塑性)変形または破損する前に恐らく耐えることのできる、荷重の量の合理的な案を提供する。材料に意図する用途のタイプが、剛性または柔軟性の望ましいレベルを決定する。例えば、良いドレープ感触を有するフィルムは、剛性の低い、すなわち柔軟性の高いポリマーを必要とし、一方、堅い包装用瓶は、剛性ポリマーに頼る必要がある。本発明のブレンド組成物に期待される広範囲の用途のため、我々のブレンドは、ブレンド成分(コモノマー含有に反比例して変化するその結晶化度の量)及びブレンド組成物の選択によって大きく制御することのできる、剛性の範囲を対象とする必要がある。
【0117】
強靭性は、材料に関する重要な選択基準である。多くの用途では、材料が製作時及び使用時に、壊滅的(脆性)または進行的(延性)な破損に耐える能力を示すことが重要である。材料は、クラックの伝達が不安定な場合に脆性とみなされ、逆にクラック成長が安定していれば、延性材料を表している。引張り荷重を受けた時にシステムに付与される機械的エネルギーを、吸収または消散させる材料の能力を定量化する方法が、開発された。切欠き2軸引裂き試験は、薄層フィルム内の強靭性を評価するために、科学団体によってしばしば使用される方法である。強靭性の単一点特性は、クラック伝達が始まる前に、試料が支持することのできる最大荷重の2/3まで荷重が再び下がってくる点まで、破壊エネルギー(すなわち引張り荷重曲線下のエネルギー)を測定することによって得られる。そのような基準の定義は、破壊を開始するのに必要な機械的エネルギーを明らかにするだけでなく、破壊を試料全体にわたって伝達するのに必要なエネルギーも包含する。
以下の表は、様々な圧縮成形フィルムを試験した我々の実験結果を要約したものである。
【0118】
【表1】
【0119】
データは、明らかに、PHA単独のブレンドよりも、ビオノーレ(Bionolle)含有ブレンドで見られた強靭性が有意に改善されたことを示している。また、主な半結晶ポリオレフィンに対する基準から、我々のブレンド組成物の強靭性がポリオレフィンと同等またはそれ以上であることが確認され、従って、ポリオレフィンに比べ、性能の損失なしにフィルムの量の削減及び材料削減の可能性が開かれた。
【0120】
実施例3
この実施例は、PHAコポリマーとエステル重縮合物のブレンドで見られた、強靭性の非常に有意な改善を実証するための第2の例である。破壊強靭性データは、「必須作業方法(Essential Work Method)」として破壊試験の分野で既知の多試料手法を使用して、様々な切込みサイズを含む多数の押出成形/キャストフィルム試料で得た。この試験は、前述のものより複雑であり、様々な初期切込み長さを有する試験試料を必要とする。この方法は、フィルム破壊の分野の専門家には既知で使用されており、破壊に対するフィルム材料の耐性の2つのパラメータ特徴が得られるので有用である。やはり、以下の表を使用して、様々なフィルム材料の相対的な性能を比較することができる。この場合、市販のポリエチレン製の高性能ゴミ袋(グラッドクイックタイ(Glad Quick−Tie)、厚さ0.74ミル)を、縦方向(MD)及び横方向(CD)で試験して、ポリ(3HB−共−3Hx(11.3%))とビオノーレ(Bionolle)3001の60/40ブレンドの、溶融押出成形キャストフィルムサンプルと比較した。多試料試験の結果を、厚さにより標準化し、以下の表に示す。MD及びCD引裂きデータの平均は、脂肪族ポリエステルブレンドによって作製したフィルムでほとんど20%優れているだけでなく、2つの方向での性能の異方性もはるかに低く、結果として、我々のブレンドの弱い方の方向も、PEのものほどは弱くなく、従って予期しない破損をする傾向が小さい。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例4
この実施例は、高速固体延伸動作での、実施例1に記載のブレンド組成物のフィルムの変換を報告する。そのような変換は、本発明のブレンド組成物の改善された破壊強靭性によって可能となる。固体状態でポリマー基材に適用された、そのようないくつかの高速延伸プロセスは、技術文献及び特許文献のいずれにも記載されている。均一な延伸プロセスは、テンターフレーミング(tenterframing)で例示されるように(J.H.ブリストン(Briston)のプラスチックフィルム(Plastic Films)、第2版、ロングマン社(Longman Inc.)、ニューヨーク(1983年)、83〜85ページ参照)、通常、フィルム、シート、または繊維/不織布を1軸または2軸的に延伸するために使用され、2軸の場合、延伸段階は、順次、同時、またはその組み合わせで実施することができる。リング−ローリング(米国特許第4,116,892号及び同第5,296,184号)またはSELF化(米国特許第5,518,801号及び同第5,691,035号)など、不均一な延伸プロセスもまた、既に開示され、様々なパターンを示すことのできる1対の溝付きロールにウェブを通すことによって得られる、フィルム部分の逐次的及び局所的延伸から成る。それが、ピンホールの形成(ハイドロフォーミング)、多くの小ディンプルの形成、またはより大きい付属物によって付与されるようなより大きい規模での変形/延伸を伴うかどうかに関わらず、ポリマー基材の変換に関する分野で既知のその他のプロセスを同様に使用することができる。
【0123】
PHAコポリマー基材は、よく壊れやすいので、破砕させずにそのような変換プロセス、特にそのような作業で最も一般的に遭遇する、歪み速度が大きく(>1s^−1)温度が低い(すなわち室温)条件において、容易に取り扱えないことがわかった。PHAフィルムの長時間にわたる物理的老化は、さらに、その強靭性に悪影響を及ぼす。後者は、「若がえり」させる材料に、熱的焼きなまし処理を必要とする。高温及び高変形速度では、プラスチックの変形は早期の破損なしに起こるが、急速に荷重を除くと、材料が大きく復元する様子が見られ、また材料が延伸の前にその初期状態に戻る傾向にある。高温と低変形速度の組合せが、破砕及び大規模な復元の両方を避けるために必要であることがわかった。しかし、これは、プロセスの実行に厳しい制限を与え、その経済性に大きく影響を及ぼす可能性がある。
【0124】
実施例1に記載のブレンド組成物の破壊強靭性を高めると、フィルムの破砕または大規模な復元なしに、またいかなる「若がえり」のための熱的事前処理の必要もなしに、最も不利であるが経済的に好ましい高歪み速度及び低温条件を含めて、固体の延伸をうまく実施することのできる条件範囲をうまく広げられることがわかった。この成功に基づいて、いくつかの固体の延伸させたフィルム試料を、その機械的特性について試験した。その結果を実施例5に報告する。
【0125】
実施例5
この実施例は、上述の高歪み速度固体加工作業によって変換したフィルムの高い強靭性を実証する。次の表は、2つの金属ロールの間で、フィルムに固体での逐次的な延伸プロセスを実施する前と後で、実施例3と同じフィルムの強靭性を比較するものである。この特定の試験で使用した溝の上のパターンの選択は、SELF化のものであり、これは、延伸に斜めの方向に未延伸材料の細いバンドを押し付けて、ウェブに垂直の方向に規則的に交代する延伸及び未延伸バンドに重ね合わせることができるとして前述した。強靭性は、前述の「必須作業方法(Essential Work Method)」によって再度測定され、これは、破壊の開始及び伝達に関するフィルムの相対的性能を述べる2つの重要なパラメータを与えるものである。
【0126】
【表3】
【0127】
本実施例に明らかに示されているように、本発明のブレンド組成物で作製されたフィルムの高い強靭性は、SELF化によるフィルムの変換によってさらに改善することができ、その結果、高性能の用途(高い穿刺耐性袋)での価値が増加した超強靭なフィルム材料が得られる。SELF化の結果、市販のPE袋で見られた強靭性の変化は、比較的小さい。
【0128】
実施例6
この実施例は、本発明のブレンドで作製された延伸させたフィルムで見られた、部分的な復元可能性を実証する。フィルムは、上述のものと同じSELF化プロセスを介して、高歪み速度条件において75℃で延伸させる。その後に逐次的な量で引き伸ばした時の、SELF化したフィルムがSELF化方向に復元する能力を以下の表に示す。これは、試料を様々な伸長度まで引っ張った後で、サンプルに張力が残らなくなるまで試料から荷重を徐々に除き、その後試料に残っている残存伸展度を測定する、インストロン引張り試験(Instron Tensile Tester)を用いて簡単に測定される。試験したフィルムサンプルには、市販のポリエチレン製グラッド袋(Glad bag)、バイオコープ社(Biocorp Inc.)から入手される市販の堆肥化可能袋、PHBHx(11.5%)/イースターバイオ(EastarBio)(後者はイーストマンケミカルズ(Eastman Chemicals)(米国)から入手)の60/40ブレンドで作製された押出成形キャストフィルム、及びPHBHx(11.3%)/ビオノーレ(Bionolle)3001(昭和電工、日本)の60/40ブレンドで作製された押出成形キャストフィルムが含まれる。
【0129】
【表4】
【0130】
データから明らかなように、PHAコポリマーを含むポリエステルブレンドは、150%まで延伸させた時に、PEグラッド袋(PE Glad bag)または市販の袋より大きい復元性を示す。SELF化後の本発明のブレンドの弾力性が大きいということは、材料が様々な形状を取り入れることができ、この材料で作製された製品が様々な基材に、より容易に適合できるという、他の有益な利益を意味する。
【0131】
実施例7
この実施例は、PHAコポリマーをビオノーレ(Bionolle)3001などのエステル重縮合物とブレンドすることによって見られる結晶化動力学的利益を実証する。前述のように、PHAは、本来の結晶核生成及び結晶成長が遅いので、一般に、結晶化がかなり遅い。これらのポリマーを他の一般的なポリマーに匹敵する速度で加工可能にするには、結晶化を加速するための先駆技術が必要とされる。本発明のブレンドは、PHAの結晶化速度を加速する手段を提供する。これは、以下の表にまとめたデータによって証明され、データは、溶融物を所与の温度(この特定の例では50℃)まで急速に冷却した後、その温度でほぼ半分の結晶化が起こるのに必要な時間を表す。ブレンド組成物の場合、それぞれのブレンド組成物について、半結晶化時間を表す2つの別個の最小値がある場合がある。データは、等温条件において結晶化に関係した全体的な結晶化発熱を測定できる、示差走査熱量計(DSC)によって得られる。
【0132】
【表5】
【0133】
データによれば、半結晶化時間は、ブレンド中のビオノーレ(Bionolle)3001の相対含有量に応じて、純粋なPHAの半結晶化時間の30%〜80%に減少することがある。
【0134】
実施例8
この実施例は、組成物のブレンドが有用とみなせる温度範囲の広がりを示す。実際、ポリマーの分野では一般に認識されているが、用途に関わる限り、半結晶化ポリマーの使用範囲は、下方端でのガラス転移温度(Tg)と上方端での溶融温度により描かれる。我々のブレンド組成物のいくつかの例では、2成分が非混和性のままであり、従って別個のガラス転移点及び溶融点を示す。エステル重縮合物のTgは、しばしばPHAコポリマーのTgより低い(可塑剤が存在しても)が、後者の溶融温度は、数十度高いことが多い(DSCによって決定した熱転移値に関する以下の表を参照)。従って、ブレンド組成物は、エステル重縮合物のより低いTgと、PHAのより高い溶融の間のより広い温度範囲を有し、その結果、様々な用途でのブレンド組成物の使用範囲を広げる。
【0135】
【表6】
【0136】
実施例9
この実施例は、ブレンドした時のポリマーのレオロジー的作用で生じる変化を示し、からみ合いの間の高い分子量からもわかるように、本来の堅さが比較的高いので(J−Pオートラン(Autran)他、第8回生物/環境分解性ポリマー学会総会(Annual meeting of the Bio/Environmentally Degradable Polymer Society)(1999年8月21日、ニューオーリンズ)参照)、PHAの複素粘度は、一般に、エステル重縮合物の複素粘度より低く、溶融物中でうまく加工するために、材料に十分な粘性及び溶融弾性を構築するのに十分な高分子量を必要とする。150℃で溶融物中で実施した動的機械的測定に基づいて、合成ポリ(3HB−共−3Hx(11%))等級とビオノーレ(Bionolle)3001に関して以下に示すレオロジーデータから明らかなように、エステル重縮合物は、特に高温または低剪断速度で、PHAとのブレンド中での溶融粘度を増加させるのに寄与することができる。また、試験した周波数範囲にわたり、ビオノーレ(Bionolle)3001の添加によって、多くの加工用途での好ましい特徴であるずり減粘も、PHAにおいて向上する。
【0137】
【表7】
【0138】
実施例10
この実施例は、従来のポリオレフィンまたはエステル重縮合物を超える、ブレンド組成物の臭気バリア特性の改善を実証する。押出成形キャストフィルムサンプルを、容易に気付く強い匂い(タマネギ、ミントなど)を示す食品を入れた小容器内に熱密封する。次いで、小さなエンベロープ形容器を、閉鎖しておかれるジャーの中に完全に密封して置く。ジャーの中で時間をかけて発達する匂いの強度を監視することによって、ポリマーがエンベロープ内部に閉じ込められた強い臭気の原因となる小分子を封じ込める能力を質的に評価することが可能になる。我々のすべての試験では、我々の60/40ポリ(3HBHx(11.3%))/ビオノーレ(Bionolle)3001ブレンド組成物など、PHAベースのフィルムが、ポリオレフィン(直鎖状低密度ポリエチレン)またはエステルポリ重縮合物(ビオノーレ(Bionolle)3001、イースターバイオ(EastarBio))に比べて、より長時間にわたり、香気のより優れた封じ込めを体系的に提供することがわかった。
【0139】
実施例11
この実施例は、ブレンド組成物の生分解性を実証する。ブレンド組成物が堆肥化環境で時間をかけて生分解されることがわかっているのと同様に、本発明のブレンド組成物も生分解される。予想通り、生物的及び好気性湿式環境が、一般に、材料を破壊し、生分解を助け、最終的にはブレンド組成物を無機物化するのに最も好都合な条件を提供することがわかった。異なる形及び形態の対象物は、生分解の速度が異なると予想されるが、60/40ポリ(3HBHx(11.3%))/ビオノーレ(Bionolle)3001ブレンド、または60/40のPHBHx(11.5%)/イースターバイオ(EastarBio)のブレンドが、標準堆肥化試験で、事実上完全に生分解する(>90%)することがわかった。
【0140】
実施例12
この実施例は、芝/落葉用袋作製時のそのようなブレンド組成物の使用を実証する。ここで説明する手順は、押出成形キャストフィルムに適用するが、これに限るものではない。ブロンフィルムなど、他のタイプのフィルムも使用することができる。ブレンド組成物の押出成形キャストフィルムは、標準的なフィルム押出成形機器で調製され、通常、厚さは0.01mm〜0.1mm、幅は30cm〜100cmである。フィルム材料は、袋の底部並びに側部を形成するために使用される熱的密封プロセスによって、異なるサイズの袋に容易に変化する。最後に、密封接合部に沿って密封フィルムを切断した後に、個々のバッグに分離される。次いで、袋に上述のような固体変形プロセスを実施することができる。一例では、袋を70℃まで加熱してからきめのある金属ロールの間に入れ、これにより非延伸領域によって分離された局所的な延伸領域が付与される。フィルム内のこれらの空間的な配置は、ロールのパターンによって決定される。パターンがあるので、その収容能力及び延伸性を高める一方で、袋の破壊強靭性をさらに向上させ、従って結果として製品のための材料が全体的に削減される。
Claims (10)
- 吸収性物品であって、
(a)液体透過性トップシートと、
(b)ポリエステルブレンド組成物を含む液体不透過性バックシートと、
(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸収性コアとを含み、
前記ポリエステルブレンド組成物が、
(i)80重量%〜20重量%の、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーであって、第1のランダム反復モノマーユニットが以下の構造(I)を有し、
(ii)20重量%〜80重量%の、脂肪族多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物とから合成された、脂肪族エステル重縮合物とを含むことを特徴とする吸収性物品。 - 吸収性物品であって、
(a)ポリエステルブレンド組成物を含む液体透過性トップシートと、
(b)液体不透過性バックシートと、
(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸収性コアとを含み、
前記ポリエステルブレンド組成物が、
(i)80重量%〜20重量%の、少なくとも2つのランダム反復モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーであって、第1のランダム反復モノマーユニットが以下の構造(I)を有し、
(ii)20重量%〜80重量%の、脂肪族多価アルコールと脂肪族ポリカルボン酸化合物から合成された、脂肪族エステル重縮合物とを含むことを特徴とする吸収性物品。 - 前記多価アルコールが二価アルコールで、さらに前記ポリカルボン酸化合物がジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、及びこれらの混合物から選択されるジカルボン酸化合物である、請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記第1のランダム反復モノマーユニットが、R1がC1アルキルでnが1であるモノマーと、R1がC2アルキルでnが1であるモノマーと、R1がHでnが2であるモノマーと、R1がHでnが1であるモノマーと、これらの混合物とから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記第3のランダム反復モノマーユニットが、R3がC1アルキルでqが1であるモノマーと、R3がC2アルキルでqが1であるモノマーと、R3がHでqが2であるモノマーと、R3がHでqが1であるモノマーと、これらの混合物とから選択される、請求項5に記載の吸収性物品。
- コポリマー(i)中の少なくとも50%のランダム反復モノマーユニットが、第1モノマーユニットの構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記脂肪族エステル重縮合物が、50重量%未満の芳香族系二価酸を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 使い捨て可能なおむつ、生理用ナプキン、またはパンティライナーの形態の、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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