JP2004509917A - 増殖性皮膚疾患の治療のための脂肪酸類似体 - Google Patents
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Abstract
本発明は増殖性皮膚疾患の治療および/または予防に使用できる、式I:R1−[xi−CH2]n−COOR2[式中、R1は1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/またはC1−C24アルキン、および/またはC1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上のもので置換されたC1−C24アルキルであり、R2は水素またはC1−C4アルキルを表し、nは1〜12の整数であり、iは奇数であって、COOR2に関する位置を示し、xiは互いに独立にO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群から選択され、ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]で示される脂肪酸類似体に関する。より詳しくは、本発明はケラチノサイトの増殖および/または分化の阻害に関する。
Description
【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は増殖性皮膚疾患の治療および/または予防のために使用できる脂肪酸類似体に関する。より詳しくは、本発明は、ケラチノサイトの分化および増殖の調節に関連する疾病の治療および/または予防のための脂肪酸類似体の使用に関する。
【0002】
背景技術
増殖性皮膚疾患は世界中に拡がり、何百万というヒトおよび飼育動物を苦しめている。増殖性皮膚疾患はケラチノサイトの細胞増殖、すなわち分裂を特徴とし、不完全な表皮分化とも関連している。乾癬は本発明が関与する増殖性皮膚疾患の中でも最も重篤なものである。
【0003】
乾癬は2つの顕著な生物学的特徴を示す、一般に確定されている皮膚疾患である。一つには、加速化された不完全な分化に関連する著しい表皮の過増殖である。もう一つは、Tリンパ球の補充の増加、場合によっては好中球の膿瘍を伴った表皮および皮膚両者の著しい炎症である。乾癬の多くの病理学的特徴は皮膚の表面0.2mm以内で生じる表皮細胞の増殖の高まりを伴う表皮ケラチノサイトの増殖および成熟における変化に帰することができる。乾癬の病因への従来の取り組みは、表皮の増殖の高まりと肥厚に着目したものであった。正常な皮膚では細胞が基底層から顆粒層へと移行するのに4〜5週間かかる。乾癬の病変部では、細胞周期が短くなり、増殖しうる細胞の絶対数が増え、また、実際に分裂している細胞集団が増えるため、この時間は7倍から10倍に短縮される。また、実質的に程度は低いが、感染患者の臨床上関連のない皮膚にも過増殖現象が現れる。
【0004】
一般型の乾癬である尋常性乾癬は、厚い銀色の鱗屑に覆われた境界の明瞭な紅斑プラークを特徴とする。特徴的な所見としては、皮膚の外傷部位に新しい乾癬病変が生じる同型応答(ケブナー現象)がある。病変部は四肢伸側にあることが多く、通常、爪および頭皮も罹患する。
【0005】
乾癬の治療努力は細胞分裂に対する直接的作用か、または間接的に免疫応答を低下させることにより、表皮の増殖速度を低下させることをねらいとするものである。局部的、限局的な乾癬を有する患者には、局所用コルチコステロイドの投与が外来患者の最も便宜な治療法である。このアプローチでは速やかな改善が見られるが、この有益な速効性には限界があり、慢性的なコルチコステロイドの局所処置は薦められない。慢性局所コルチコステロイド療法の副作用は皮膚の萎縮、用いた薬剤の対する耐性の発現(タキフィラキシー)、および中断後の疾病の著しい悪化を引き起こす。特に薬剤が体表の大部分にわたっていて閉鎖包帯下で用いられている場合には、脳下垂体−副腎の機能抑制が効力のある局所コルチコステロイド療法の潜在的かつ重篤な合併症となる。
【0006】
単独またはPUVAを併用するレチノイド、特にエトレチネートもまた乾癬の有効な治療法である。エトレチネートは剥離型および膿疱型の乾癬に特に有用であるが、レチノイド投与患者では可能性のあるいくつかの主要合併症を監視しなければならない。分類としてレチノイドは強い催奇形物質であり、適切な避妊法用いていない妊娠可能年齢の女性には投与できない。エトレチネートも他のレチノイド同様、コレステロールおよびトリグリセリドレベルの上昇を招くことから、食事管理が必要となる。さらにまた、エトレチネートは肝毒性を引き起こすことがあるため、この薬剤の使用前と使用中は定期的に肝機能検査を行わなければならない。
【0007】
乾癬などの増殖性皮膚疾患の治療に現在用いられている種々の薬剤および光化学療法の使用に伴う合併症や副作用を考えれば、ケラチノサイト増殖を阻害して増殖性皮膚疾患の徴候を緩和する新たな方法および新たな組成物が求められる。
【0008】
【発明の具体的説明】
表皮は層状の扁平上皮であり、その基底層は始原細胞からなり、これらの始原細胞は基底上層へと移動するにつれ高度な一連の分化プログラムを経る。分化の各工程は特異なマーカー遺伝子の発現を特徴とする。増殖中の基底細胞はK5およびK14などのケラチン遺伝子を発現するが、基底層から棘状層への基底細胞の遷移には初期分化マーカーケラチン1(K1)およびケラチン10(K10)のアップレギュレーションが伴う。棘状層から顆粒層への遷移にはインボルクリン(IVL)および後期トランスグルタミナーゼ(TGM1)などの角化外被の構造タンパク質ををコードする遺伝子のアップレギュレーションが伴う。
【0009】
表皮とは高率の脂肪酸およびコレステロール代謝を伴う組織をさし、そこではコレステロール、脂肪酸およびスフィンゴ脂質の蓄積と沈着が有効な表皮バリアの形成を極大に至らせる終端表皮分化プログラムの必須部分となっている。
【0010】
PPARファミリーはケラチノサイトの分化に役割を果たすものと考えられ、本研究において、本発明者らは既知のPPARリガンドの作用と本発明の化合物であるTTAを用いて得られた作用とを比較した。
【0011】
本研究において、本発明者らは単離した基底作用および基底上層細胞、ならびにヒト皮膚切片において、ex vivoヒトケラチノサイト分化中のPPARの発現を詳細に分析した。本発明者らは、適当なPPARサブタイプをもっぱら標的とするPPARサブタイプ選択リガンドの濃縮物を用いたところ、PPARαおよびPPARγ選択リガンドがケラチノサイトマーカー遺伝子発現にごくわずかな作用しか示さないことを見出した(データは示していない)。興味深いことに、PPARδ選択リガンドL165041は用量依存的なインボルクリン発現を誘導した。3種のPPARサブタイプ選択リガンドは総て単独でも組み合わせてもケラチノサイト増殖に弱い作用しか示さなかった。
【0012】
しかし本特許出願は、本発明の化合物、すなわちチア置換脂肪酸テトラデシルチオ酢酸(TTA)はケラチノサイト分化マーカー遺伝子の発現を強く誘導し、それらのケラチノサイトに対して著しい抗増殖作用を示したことを開示する。
【0013】
このようにTTAは、異常な分化を特徴とする種々の表皮疾患の治療のために着目される化合物として有望なものである。
【0014】
結果として本発明は、非細胞傷害濃度の修飾脂肪酸類似体が増殖性皮膚疾患の治療および/または予防に使用できることを開示する。
【0015】
本発明は増殖性皮膚疾患の予防および/または治療を目的とした医薬組成物の製造のための、下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体の使用に関する:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は、水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは、1〜12の整数であり、
iは、奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは、互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。
【0016】
より詳しくは本発明は、ケラチノサイトの分化および増殖を調節するための本化合物の使用に関する。
【0017】
現在のところ好ましい本発明の態様は化合物のテトラデシルチオ酢酸(TTA)およびテトラデシルセレノ酢酸(TSA)に関する。
【0018】
本発明のさらなる態様は、増殖性皮膚疾患ぼ治療および/または予防方法であって、有効量の下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体をそれを要する哺乳類に投与する工程を含んでなる方法に関する:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは1〜12の整数であり、
iは奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。
【0019】
本発明の好ましい態様は、典型的には治療上有効濃度の本発明の化合物をかかる治療を要する哺乳類に投与することを含んでなる。
【0020】
本発明の化合物の投与
医薬剤として本発明の化合物は非経口、経鼻、経口または経皮吸収をはじめとするいずれの好適な技術によって哺乳類へ直接投与してもよい。また、局所投与してもよいし、全身投与してもよい。各薬剤の具体的な投与形路は例えば哺乳類の医療歴によって異なる。
【0021】
本発明の化合物は局所投与することが好ましい。
【0022】
本発明の化合物はクリーム、軟膏、オイルその他の好適な担体、および/またはグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび/またはその混合物などの賦形剤中で調製した分散液として投与してもよい。
【0023】
局所用に好適な医薬形としては、無菌水溶液(水に可溶な場合)または分散液、および局所用溶液または分散液の即時調製用の散剤が挙げられる。いずれの場合にもこの形態は無菌であることが好ましいが、このことは絶対必要であるというわけではなく、その製造および保存条件に適するものであればよい。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物および植物油をはじめとする溶剤または分散媒であってよい。適当な流動性は例えばレシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合には必要な粒径を維持すること、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の活動抑制は種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール(thirmersal)などによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを配合することが好ましい。
【0024】
局所用溶液は、必要量の本発明の化合物を、必要に応じて、上記に挙げた種々の他の成分とともに適当な溶剤に配合し、必要であればさらに濾過除菌をすることで調製する。
【0025】
本明細書において「医薬上許容される担体および/または賦形剤」とは、溶剤、分散媒、水溶液、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などのいずれか、またはすべてを包含する。かかる医薬上有効な物質のための媒質および薬剤の使用は当技術分野で周知である。従来の媒質または薬剤が本有効成分に不適合でない限りは医薬組成物におけるその使用が考えられる。
【0026】
また、本発明の化合物は、増殖性皮膚疾患に対抗する、または増殖性皮膚疾患を予防する他の治療薬と組み合わせて適宜投与される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】
例1:化合物の製造および同定
3置換脂肪酸類似体の合成
本発明に従って用いられる、置換基Xi=3が硫黄原子またはセレニウム原子である化合物は以下の手順によって製造することができる。
【0029】
Xが硫黄原子である場合:
本発明に従って用いられるチオ置換化合物は以下に示される一般法によって製造することができる。
【数1】
この硫黄化合物、すなわちテトラデシルチオ酢酸(TTA)、(CH3−(CH2)13−S−CH2−COOHは欧州特許EP−345038に示されているように製造した。
【0030】
Xがセレニウム原子である場合:
本発明に従って用いられるセレノ置換化合物は以下に示される手順によって製造することができる。
【数2】
この化合物はエタノールまたはメタノールから注意深く結晶化させることで製造した。
【数3】
【0031】
最終化合物、例えばアルキルがテトラデシルの場合には(CH3−(CH2)13−Se−CH2−COOH(テトラデシルセレノ酢酸(TSA))はジエチルエーテルとヘキサンで結晶化させることで精製することができる。
【0032】
本発明のその他の化合物は特許出願PCT/NO99/00135およびNO20001123に示されているようにして合成することができる。
【0033】
例2
ケラチノサイトの分化および増殖に対するTTAの作用
材料および方法
細胞培養および分化
形成外科術後に得たヒト皮膚から正常な成人表皮ケラチノサイトを単離した。血清フリーKGM(GIBCO BRL/Life Technologies, Inc.)でケラチノサイト初代培養物を増殖させ、75cm2培養フラスコまたは37℃に予熱した96ウェルマイクロタイタープレートに(3500細胞/ウェルの密度)に移した。細胞を37℃にて5%CO2の加湿大気下でインキュベートした。細胞が40%密集に達したところで、それらを選択的PPARリガンド(単独または示されているような組合せで)、テトラデシルチオ酢酸(TTA)または1.2mM Ca2+を含有する増殖培地で処理した。wy14643はCalbiochemから入手し、BRL49653はJ. Fleckner, Novo Nordiskから厚意により提供を受け、L165041は厚意によりD.E. Moller (Merck Research Laboratories, Rahway, New Jersey)から提供を受けた。TTAは例1に従って製造した。培地は毎日交換した。分化については、40%密集のケラチノサイト(第0日)を1.2mM CaCl2で処理した。培地は毎日交換した。HaCaT細胞はL. Aarenstrup (Danish Cancer Society, Denmark)から入手した。HaCaT細胞は37℃、5%CO2の加湿大気下、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質(100u/mlペニシリン、1mg/ml硫酸ストレプトマイシンを含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。以降、培地は毎日交換した。
【0034】
ケラチノサイトへの基底細胞および基底上層細胞への分割
形成外科術から得た正常な成人皮膚検体から油脂を取り除き、スケーピュラ(scapula)を用いて表皮側を切断した。この組織を氷上で一晩、ハンクスの緩衝生理食塩水で作製した25U/mlのジスパーゼII(Roche)中でインキュベートした。鉗子で表皮を剥離し、その表皮シートを37℃、0.05mg/mlトリプシン(1:250, GIBCO BRL/Life Technologies, Inc)中で単一細胞が遊離するまでインキュベートした。トリプシン活性は血清含有培地を添加することで阻害した。これらの細胞を800rcfで遠心分離し、予熱したケラチノサイト−SFM(GIBCO BRL/Life Technologies, Inc)中に懸濁させた。この細胞懸濁液をラット尾のコラーゲンでコーティングした組織培養フラスコに加えた。1時間後、付着していない細胞を基底上層細胞として回収し、付着している基底細胞をゴム冠ポリスマンを用いて回収した。細胞ペレットを使用まで−70℃で冷凍した。
【0035】
生存率および増殖率の測定
生存率/増殖率はMosmann T (J Immunol Methods 65:55−63, 1983)が紹介したMTTアッセイの改変法により測定した。Ca2+およびMg2+フリーPBS(NaCl 8g/l, KCl 0.2g/l, Na2HPO4・2H2O 1.44g/l, KH2PO4 0.2g/l, pH7.4)中、5mg/mlのMTT25μlを各ウェルに加え、成長している結晶が細胞壁を突き破るまで(典型的には3〜4週間後)プレートをインキュベーター内に置いた。プレートを軽く振って培地を取り出し、凍結解凍を2度繰り返した後、ホルマザンの結晶がエタノール:アセトン(60:40w/w)に、4℃で30分振盪して溶かした。ホルマザンの量をELISAリーダーで540nmにて定量した。バックグラウンド値は650nmを差し引いた。
【0036】
ELISAによるTg−1発現の測定
細胞に凍結−解凍サイクルを2回施し、1型トランスグルタミナーゼ(Tg−1)をELISAで測定した。各ウェルを37℃にて1時間、PBS中1%のBSA200μlでブロッキングした後、37℃にて1時間、PBS−1%BSAに1:1000希釈したTg−1−特異的モノクローナル抗体B.C1(Biomedical Technologies Inc)100μlとともにインキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20中で5分間3回洗浄し、PBS−1%BSAに1:2500希釈したホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス二次抗体100μlとともに1時間インキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回、さらにPBSで1回洗浄した。o−フェニレンジアミン(OPD)基質100μlを加え、暗所で30分経過した後、反応を2N硫酸100μlで停止した。トランスグルタミナーゼの量はELISAリーダーで490nmにてOPD反応を定量し、650nmのバックグラウンドを差し引くことで求めた。細胞数の変動を補正するため、値は総て細胞数に対してノーマライズした。
【0037】
結果
CD36に対する作用
TTAおよび種々のPPARアクチベーターが既知のPPAR応答遺伝子の発現およびケラチノサイトの分化にどのように影響するかを評価するため、本発明者らはまず、PPAR選択アクチベーターおよびTTAで3日間処理したNHKにおいてCD36/FATおよび2つの分化マーカーInvとTg−1のmRNAレベルを測定した(図1a)。CD36/FAT遺伝子の隣接プロモーターはPPAR応答エレメントを保持していることが分かった。BRL49653(PPARγリガンド)またはWy14643(PPARαリガンド)を投与したところ、CD36/FATの発現が誘導され、PPARδ選択リガンドL165041は著しい用量依存的なCD36発現を誘導したが、このことはCD36/FATもまたPPARδ応答遺伝子であることを示唆するものである。
【0038】
最後に、本発明の化合物、すなわちTTAを添加したところ、CD36/FATのmRNAレベルの発現はWy14643またはBRL49653で見られたものよりも若干高いレベルまで上昇した。
【0039】
十分確立された効力のあるケラチノサイト分化のインデューサーであるCaCl2による処理ではCD36/FATの発現は誘導されなかった。
【0040】
Inv mRNAの発現
図1aに示されているように、Wy14643処理の結果、Inv mRNA発現が若干誘導された。興味深いことに、L165041を添加したところ用量依存的なInv mRNA発現が誘導されたが、BRL49653単独ではInv mRNAの発現に効果はなかった。L165041とWy14643を同時に添加してもInv mRNAの発現レベルの有意な上昇は見られなかった。同様に、Wy14643とBRL49653の併用処理でも、Wy14643単独で見られた上記のようなInv mRNAの発現は誘導されなかった。注目すべきは、L165041とBRL49653を同時に添加したところInv mRNAの発現が強く誘導されたことであり、これはPPARδとPPARγの間の相乗作用を示している。ウエスタンブロット法でもL165041による用量依存的なInvタンパク質誘導とL165041およびBRL49653の間の強い相乗作用を示すRT−PCRにより得られた結果を実質的に再現した(図1b)。PPAR選択リガンドは各々Tg−1 mRNA発現を誘導し、これらPPAR選択リガンドの組合せは付加的な発現を誘導した。
【0041】
本発明の化合物、すなわちTTAを添加したところ、InvおよびTg−1 mRNAの発現は、PPAR選択リガンドでの処理により得られたものを有意に超えるレベルまで上昇した。ウエスタンブロット法によりタンパク質レベルで発現を分析したところ、TTAのInvおよびTg−1発現インデューサーとしての効力はいっそう著しいものであった(図1b)。TTAがInvおよびTg−1 mRNAおよびタンパク質発現を、CaCl2処理の際に見られるものと同等かあるいは高いレベルにまで誘導することは注目に値する。これらの結果を考え合わせると、TTAはPPARに依存する経路によってInvおよびTg−1を誘導する可能性がある他、PPARリガンドおよびアクチベーターとしてのTTAの作用とは無関係なメカニズムによりInvおよびTg−1の発現に対して顕著な作用を示したということが示唆される。
【0042】
TTAがケラチノサイト分化マーカーの発現をアップレギュレートしたことから、本発明者らはTTAまたは種々のサブタイプ選択性PPARアクチベーターによる処理が単独または組合せにおいて初期分化プロセスのNHK形態に影響を及ぼすかどうかを検討した。さらに、InvおよびTg−1の発現は間接免疫蛍光顕微鏡法によっても調べた(図3)。位相差顕微鏡によって評価したところ、リガンドまたは1.2mM CaCl2で3日間処理したNHKの形態に著しい違いはなかった。しかしながら、TTAで処理したディッシュの細胞密度はビヒクルで処理した細胞またはPPAR選択リガンドで処理した細胞よりもずっと小さく、TTAがケラチノサイト特異的マーカーを誘導することに加え、増殖の停止あるいは増殖率の低下をもたらすことを示している。
【0043】
ウエスタンブロット法によって得られた結果を確認すると、間接免疫蛍光顕微鏡法からCaCl2で、またTTAで処理した細胞において匹敵するレベルのInvおよびTg−1発現が明らかになった。さらにまたこの分析は、PPARδ選択リガンドL165041が用量依存的にInv発現を誘導することを示した。
【0044】
ケラチノサイトの分化は細胞サイズの増加と相関している。興味深いことにCaCl2およびTTAで処理した細胞の形態を注意深く比較したところ、TTAで処理した細胞の細胞質/核比率がCaCl2で処理した細胞のものよりも小さい傾向にあることが示された。従ってCaCl2およびTTAによる処理が重複するケラチノサイトマーカー遺伝子セットを誘導したとしても、この知見はTTAとCaCl2はケラチノサイト分化に対する異なる作用を示すことを示唆するものである。ケラチノサイト増殖に対するPPAR選択リガンドおよびTTAの作用をより定量的に調べるために、図3に示されているようにNHK細胞をPPARリガンド、TTAおよびCaCl2で処理し、材料および方法の節で記載したようなMTTアッセイの改変法を用いて増殖に関して評価した。並行して、ELISAに基づくアッセイを用いてTg−1の発現をモニタリングした(図3b)。
【0045】
注目すべきは、TTAが、PPAR選択リガンドで見られたものをはるかに超える、NHK細胞の強い、用量依存的な阻害を示したことである。CaCl2の抗増殖作用はこれらの実験の下限値に過ぎない。RT−PCRおよびウエスタンブロット法によって得られた結果を要約すると、TTAおよびCaCl2のみがTg−1発現を有意に誘導した。従ってMTTアッセイを用いて得られた結果はTTAとPPAR選択リガンドとを明瞭に分けるものであり、TTAがNHK細胞の増殖を強く阻害し、ケラチノサイト分化マーカー遺伝子の発現を強く誘導したことを実証するものであった。
【0046】
本発明の化合物で増殖性皮膚疾患を有する患者を処置する効果は、落屑や紅斑の改善、病変部の退縮などの他覚的基準、ならびにかゆみがなくなったなど自覚的基準により評価した。感染患者の治療効果を確定するために用いる他覚的方法としては目視検査および写真によるプラークの分析がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、表皮分化特異的遺伝子およびCD36の誘導を示す。
【図2】
図2は、TTAおよび選択的PPARリガンドで処理したケラチノサイトの形態およびその分化特異的遺伝子の発現を示す。
【図3】
図3は、TTAが後期表皮分化マーカーTg−1を誘導し、ケラチノサイトの増殖を阻害することを示す。
【発明の背景】
発明の分野
本発明は増殖性皮膚疾患の治療および/または予防のために使用できる脂肪酸類似体に関する。より詳しくは、本発明は、ケラチノサイトの分化および増殖の調節に関連する疾病の治療および/または予防のための脂肪酸類似体の使用に関する。
【0002】
背景技術
増殖性皮膚疾患は世界中に拡がり、何百万というヒトおよび飼育動物を苦しめている。増殖性皮膚疾患はケラチノサイトの細胞増殖、すなわち分裂を特徴とし、不完全な表皮分化とも関連している。乾癬は本発明が関与する増殖性皮膚疾患の中でも最も重篤なものである。
【0003】
乾癬は2つの顕著な生物学的特徴を示す、一般に確定されている皮膚疾患である。一つには、加速化された不完全な分化に関連する著しい表皮の過増殖である。もう一つは、Tリンパ球の補充の増加、場合によっては好中球の膿瘍を伴った表皮および皮膚両者の著しい炎症である。乾癬の多くの病理学的特徴は皮膚の表面0.2mm以内で生じる表皮細胞の増殖の高まりを伴う表皮ケラチノサイトの増殖および成熟における変化に帰することができる。乾癬の病因への従来の取り組みは、表皮の増殖の高まりと肥厚に着目したものであった。正常な皮膚では細胞が基底層から顆粒層へと移行するのに4〜5週間かかる。乾癬の病変部では、細胞周期が短くなり、増殖しうる細胞の絶対数が増え、また、実際に分裂している細胞集団が増えるため、この時間は7倍から10倍に短縮される。また、実質的に程度は低いが、感染患者の臨床上関連のない皮膚にも過増殖現象が現れる。
【0004】
一般型の乾癬である尋常性乾癬は、厚い銀色の鱗屑に覆われた境界の明瞭な紅斑プラークを特徴とする。特徴的な所見としては、皮膚の外傷部位に新しい乾癬病変が生じる同型応答(ケブナー現象)がある。病変部は四肢伸側にあることが多く、通常、爪および頭皮も罹患する。
【0005】
乾癬の治療努力は細胞分裂に対する直接的作用か、または間接的に免疫応答を低下させることにより、表皮の増殖速度を低下させることをねらいとするものである。局部的、限局的な乾癬を有する患者には、局所用コルチコステロイドの投与が外来患者の最も便宜な治療法である。このアプローチでは速やかな改善が見られるが、この有益な速効性には限界があり、慢性的なコルチコステロイドの局所処置は薦められない。慢性局所コルチコステロイド療法の副作用は皮膚の萎縮、用いた薬剤の対する耐性の発現(タキフィラキシー)、および中断後の疾病の著しい悪化を引き起こす。特に薬剤が体表の大部分にわたっていて閉鎖包帯下で用いられている場合には、脳下垂体−副腎の機能抑制が効力のある局所コルチコステロイド療法の潜在的かつ重篤な合併症となる。
【0006】
単独またはPUVAを併用するレチノイド、特にエトレチネートもまた乾癬の有効な治療法である。エトレチネートは剥離型および膿疱型の乾癬に特に有用であるが、レチノイド投与患者では可能性のあるいくつかの主要合併症を監視しなければならない。分類としてレチノイドは強い催奇形物質であり、適切な避妊法用いていない妊娠可能年齢の女性には投与できない。エトレチネートも他のレチノイド同様、コレステロールおよびトリグリセリドレベルの上昇を招くことから、食事管理が必要となる。さらにまた、エトレチネートは肝毒性を引き起こすことがあるため、この薬剤の使用前と使用中は定期的に肝機能検査を行わなければならない。
【0007】
乾癬などの増殖性皮膚疾患の治療に現在用いられている種々の薬剤および光化学療法の使用に伴う合併症や副作用を考えれば、ケラチノサイト増殖を阻害して増殖性皮膚疾患の徴候を緩和する新たな方法および新たな組成物が求められる。
【0008】
【発明の具体的説明】
表皮は層状の扁平上皮であり、その基底層は始原細胞からなり、これらの始原細胞は基底上層へと移動するにつれ高度な一連の分化プログラムを経る。分化の各工程は特異なマーカー遺伝子の発現を特徴とする。増殖中の基底細胞はK5およびK14などのケラチン遺伝子を発現するが、基底層から棘状層への基底細胞の遷移には初期分化マーカーケラチン1(K1)およびケラチン10(K10)のアップレギュレーションが伴う。棘状層から顆粒層への遷移にはインボルクリン(IVL)および後期トランスグルタミナーゼ(TGM1)などの角化外被の構造タンパク質ををコードする遺伝子のアップレギュレーションが伴う。
【0009】
表皮とは高率の脂肪酸およびコレステロール代謝を伴う組織をさし、そこではコレステロール、脂肪酸およびスフィンゴ脂質の蓄積と沈着が有効な表皮バリアの形成を極大に至らせる終端表皮分化プログラムの必須部分となっている。
【0010】
PPARファミリーはケラチノサイトの分化に役割を果たすものと考えられ、本研究において、本発明者らは既知のPPARリガンドの作用と本発明の化合物であるTTAを用いて得られた作用とを比較した。
【0011】
本研究において、本発明者らは単離した基底作用および基底上層細胞、ならびにヒト皮膚切片において、ex vivoヒトケラチノサイト分化中のPPARの発現を詳細に分析した。本発明者らは、適当なPPARサブタイプをもっぱら標的とするPPARサブタイプ選択リガンドの濃縮物を用いたところ、PPARαおよびPPARγ選択リガンドがケラチノサイトマーカー遺伝子発現にごくわずかな作用しか示さないことを見出した(データは示していない)。興味深いことに、PPARδ選択リガンドL165041は用量依存的なインボルクリン発現を誘導した。3種のPPARサブタイプ選択リガンドは総て単独でも組み合わせてもケラチノサイト増殖に弱い作用しか示さなかった。
【0012】
しかし本特許出願は、本発明の化合物、すなわちチア置換脂肪酸テトラデシルチオ酢酸(TTA)はケラチノサイト分化マーカー遺伝子の発現を強く誘導し、それらのケラチノサイトに対して著しい抗増殖作用を示したことを開示する。
【0013】
このようにTTAは、異常な分化を特徴とする種々の表皮疾患の治療のために着目される化合物として有望なものである。
【0014】
結果として本発明は、非細胞傷害濃度の修飾脂肪酸類似体が増殖性皮膚疾患の治療および/または予防に使用できることを開示する。
【0015】
本発明は増殖性皮膚疾患の予防および/または治療を目的とした医薬組成物の製造のための、下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体の使用に関する:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は、水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは、1〜12の整数であり、
iは、奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは、互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。
【0016】
より詳しくは本発明は、ケラチノサイトの分化および増殖を調節するための本化合物の使用に関する。
【0017】
現在のところ好ましい本発明の態様は化合物のテトラデシルチオ酢酸(TTA)およびテトラデシルセレノ酢酸(TSA)に関する。
【0018】
本発明のさらなる態様は、増殖性皮膚疾患ぼ治療および/または予防方法であって、有効量の下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体をそれを要する哺乳類に投与する工程を含んでなる方法に関する:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは1〜12の整数であり、
iは奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。
【0019】
本発明の好ましい態様は、典型的には治療上有効濃度の本発明の化合物をかかる治療を要する哺乳類に投与することを含んでなる。
【0020】
本発明の化合物の投与
医薬剤として本発明の化合物は非経口、経鼻、経口または経皮吸収をはじめとするいずれの好適な技術によって哺乳類へ直接投与してもよい。また、局所投与してもよいし、全身投与してもよい。各薬剤の具体的な投与形路は例えば哺乳類の医療歴によって異なる。
【0021】
本発明の化合物は局所投与することが好ましい。
【0022】
本発明の化合物はクリーム、軟膏、オイルその他の好適な担体、および/またはグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび/またはその混合物などの賦形剤中で調製した分散液として投与してもよい。
【0023】
局所用に好適な医薬形としては、無菌水溶液(水に可溶な場合)または分散液、および局所用溶液または分散液の即時調製用の散剤が挙げられる。いずれの場合にもこの形態は無菌であることが好ましいが、このことは絶対必要であるというわけではなく、その製造および保存条件に適するものであればよい。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物および植物油をはじめとする溶剤または分散媒であってよい。適当な流動性は例えばレシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合には必要な粒径を維持すること、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の活動抑制は種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール(thirmersal)などによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを配合することが好ましい。
【0024】
局所用溶液は、必要量の本発明の化合物を、必要に応じて、上記に挙げた種々の他の成分とともに適当な溶剤に配合し、必要であればさらに濾過除菌をすることで調製する。
【0025】
本明細書において「医薬上許容される担体および/または賦形剤」とは、溶剤、分散媒、水溶液、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などのいずれか、またはすべてを包含する。かかる医薬上有効な物質のための媒質および薬剤の使用は当技術分野で周知である。従来の媒質または薬剤が本有効成分に不適合でない限りは医薬組成物におけるその使用が考えられる。
【0026】
また、本発明の化合物は、増殖性皮膚疾患に対抗する、または増殖性皮膚疾患を予防する他の治療薬と組み合わせて適宜投与される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】
例1:化合物の製造および同定
3置換脂肪酸類似体の合成
本発明に従って用いられる、置換基Xi=3が硫黄原子またはセレニウム原子である化合物は以下の手順によって製造することができる。
【0029】
Xが硫黄原子である場合:
本発明に従って用いられるチオ置換化合物は以下に示される一般法によって製造することができる。
【数1】
この硫黄化合物、すなわちテトラデシルチオ酢酸(TTA)、(CH3−(CH2)13−S−CH2−COOHは欧州特許EP−345038に示されているように製造した。
【0030】
Xがセレニウム原子である場合:
本発明に従って用いられるセレノ置換化合物は以下に示される手順によって製造することができる。
【数2】
この化合物はエタノールまたはメタノールから注意深く結晶化させることで製造した。
【数3】
【0031】
最終化合物、例えばアルキルがテトラデシルの場合には(CH3−(CH2)13−Se−CH2−COOH(テトラデシルセレノ酢酸(TSA))はジエチルエーテルとヘキサンで結晶化させることで精製することができる。
【0032】
本発明のその他の化合物は特許出願PCT/NO99/00135およびNO20001123に示されているようにして合成することができる。
【0033】
例2
ケラチノサイトの分化および増殖に対するTTAの作用
材料および方法
細胞培養および分化
形成外科術後に得たヒト皮膚から正常な成人表皮ケラチノサイトを単離した。血清フリーKGM(GIBCO BRL/Life Technologies, Inc.)でケラチノサイト初代培養物を増殖させ、75cm2培養フラスコまたは37℃に予熱した96ウェルマイクロタイタープレートに(3500細胞/ウェルの密度)に移した。細胞を37℃にて5%CO2の加湿大気下でインキュベートした。細胞が40%密集に達したところで、それらを選択的PPARリガンド(単独または示されているような組合せで)、テトラデシルチオ酢酸(TTA)または1.2mM Ca2+を含有する増殖培地で処理した。wy14643はCalbiochemから入手し、BRL49653はJ. Fleckner, Novo Nordiskから厚意により提供を受け、L165041は厚意によりD.E. Moller (Merck Research Laboratories, Rahway, New Jersey)から提供を受けた。TTAは例1に従って製造した。培地は毎日交換した。分化については、40%密集のケラチノサイト(第0日)を1.2mM CaCl2で処理した。培地は毎日交換した。HaCaT細胞はL. Aarenstrup (Danish Cancer Society, Denmark)から入手した。HaCaT細胞は37℃、5%CO2の加湿大気下、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質(100u/mlペニシリン、1mg/ml硫酸ストレプトマイシンを含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。以降、培地は毎日交換した。
【0034】
ケラチノサイトへの基底細胞および基底上層細胞への分割
形成外科術から得た正常な成人皮膚検体から油脂を取り除き、スケーピュラ(scapula)を用いて表皮側を切断した。この組織を氷上で一晩、ハンクスの緩衝生理食塩水で作製した25U/mlのジスパーゼII(Roche)中でインキュベートした。鉗子で表皮を剥離し、その表皮シートを37℃、0.05mg/mlトリプシン(1:250, GIBCO BRL/Life Technologies, Inc)中で単一細胞が遊離するまでインキュベートした。トリプシン活性は血清含有培地を添加することで阻害した。これらの細胞を800rcfで遠心分離し、予熱したケラチノサイト−SFM(GIBCO BRL/Life Technologies, Inc)中に懸濁させた。この細胞懸濁液をラット尾のコラーゲンでコーティングした組織培養フラスコに加えた。1時間後、付着していない細胞を基底上層細胞として回収し、付着している基底細胞をゴム冠ポリスマンを用いて回収した。細胞ペレットを使用まで−70℃で冷凍した。
【0035】
生存率および増殖率の測定
生存率/増殖率はMosmann T (J Immunol Methods 65:55−63, 1983)が紹介したMTTアッセイの改変法により測定した。Ca2+およびMg2+フリーPBS(NaCl 8g/l, KCl 0.2g/l, Na2HPO4・2H2O 1.44g/l, KH2PO4 0.2g/l, pH7.4)中、5mg/mlのMTT25μlを各ウェルに加え、成長している結晶が細胞壁を突き破るまで(典型的には3〜4週間後)プレートをインキュベーター内に置いた。プレートを軽く振って培地を取り出し、凍結解凍を2度繰り返した後、ホルマザンの結晶がエタノール:アセトン(60:40w/w)に、4℃で30分振盪して溶かした。ホルマザンの量をELISAリーダーで540nmにて定量した。バックグラウンド値は650nmを差し引いた。
【0036】
ELISAによるTg−1発現の測定
細胞に凍結−解凍サイクルを2回施し、1型トランスグルタミナーゼ(Tg−1)をELISAで測定した。各ウェルを37℃にて1時間、PBS中1%のBSA200μlでブロッキングした後、37℃にて1時間、PBS−1%BSAに1:1000希釈したTg−1−特異的モノクローナル抗体B.C1(Biomedical Technologies Inc)100μlとともにインキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20中で5分間3回洗浄し、PBS−1%BSAに1:2500希釈したホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス二次抗体100μlとともに1時間インキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回、さらにPBSで1回洗浄した。o−フェニレンジアミン(OPD)基質100μlを加え、暗所で30分経過した後、反応を2N硫酸100μlで停止した。トランスグルタミナーゼの量はELISAリーダーで490nmにてOPD反応を定量し、650nmのバックグラウンドを差し引くことで求めた。細胞数の変動を補正するため、値は総て細胞数に対してノーマライズした。
【0037】
結果
CD36に対する作用
TTAおよび種々のPPARアクチベーターが既知のPPAR応答遺伝子の発現およびケラチノサイトの分化にどのように影響するかを評価するため、本発明者らはまず、PPAR選択アクチベーターおよびTTAで3日間処理したNHKにおいてCD36/FATおよび2つの分化マーカーInvとTg−1のmRNAレベルを測定した(図1a)。CD36/FAT遺伝子の隣接プロモーターはPPAR応答エレメントを保持していることが分かった。BRL49653(PPARγリガンド)またはWy14643(PPARαリガンド)を投与したところ、CD36/FATの発現が誘導され、PPARδ選択リガンドL165041は著しい用量依存的なCD36発現を誘導したが、このことはCD36/FATもまたPPARδ応答遺伝子であることを示唆するものである。
【0038】
最後に、本発明の化合物、すなわちTTAを添加したところ、CD36/FATのmRNAレベルの発現はWy14643またはBRL49653で見られたものよりも若干高いレベルまで上昇した。
【0039】
十分確立された効力のあるケラチノサイト分化のインデューサーであるCaCl2による処理ではCD36/FATの発現は誘導されなかった。
【0040】
Inv mRNAの発現
図1aに示されているように、Wy14643処理の結果、Inv mRNA発現が若干誘導された。興味深いことに、L165041を添加したところ用量依存的なInv mRNA発現が誘導されたが、BRL49653単独ではInv mRNAの発現に効果はなかった。L165041とWy14643を同時に添加してもInv mRNAの発現レベルの有意な上昇は見られなかった。同様に、Wy14643とBRL49653の併用処理でも、Wy14643単独で見られた上記のようなInv mRNAの発現は誘導されなかった。注目すべきは、L165041とBRL49653を同時に添加したところInv mRNAの発現が強く誘導されたことであり、これはPPARδとPPARγの間の相乗作用を示している。ウエスタンブロット法でもL165041による用量依存的なInvタンパク質誘導とL165041およびBRL49653の間の強い相乗作用を示すRT−PCRにより得られた結果を実質的に再現した(図1b)。PPAR選択リガンドは各々Tg−1 mRNA発現を誘導し、これらPPAR選択リガンドの組合せは付加的な発現を誘導した。
【0041】
本発明の化合物、すなわちTTAを添加したところ、InvおよびTg−1 mRNAの発現は、PPAR選択リガンドでの処理により得られたものを有意に超えるレベルまで上昇した。ウエスタンブロット法によりタンパク質レベルで発現を分析したところ、TTAのInvおよびTg−1発現インデューサーとしての効力はいっそう著しいものであった(図1b)。TTAがInvおよびTg−1 mRNAおよびタンパク質発現を、CaCl2処理の際に見られるものと同等かあるいは高いレベルにまで誘導することは注目に値する。これらの結果を考え合わせると、TTAはPPARに依存する経路によってInvおよびTg−1を誘導する可能性がある他、PPARリガンドおよびアクチベーターとしてのTTAの作用とは無関係なメカニズムによりInvおよびTg−1の発現に対して顕著な作用を示したということが示唆される。
【0042】
TTAがケラチノサイト分化マーカーの発現をアップレギュレートしたことから、本発明者らはTTAまたは種々のサブタイプ選択性PPARアクチベーターによる処理が単独または組合せにおいて初期分化プロセスのNHK形態に影響を及ぼすかどうかを検討した。さらに、InvおよびTg−1の発現は間接免疫蛍光顕微鏡法によっても調べた(図3)。位相差顕微鏡によって評価したところ、リガンドまたは1.2mM CaCl2で3日間処理したNHKの形態に著しい違いはなかった。しかしながら、TTAで処理したディッシュの細胞密度はビヒクルで処理した細胞またはPPAR選択リガンドで処理した細胞よりもずっと小さく、TTAがケラチノサイト特異的マーカーを誘導することに加え、増殖の停止あるいは増殖率の低下をもたらすことを示している。
【0043】
ウエスタンブロット法によって得られた結果を確認すると、間接免疫蛍光顕微鏡法からCaCl2で、またTTAで処理した細胞において匹敵するレベルのInvおよびTg−1発現が明らかになった。さらにまたこの分析は、PPARδ選択リガンドL165041が用量依存的にInv発現を誘導することを示した。
【0044】
ケラチノサイトの分化は細胞サイズの増加と相関している。興味深いことにCaCl2およびTTAで処理した細胞の形態を注意深く比較したところ、TTAで処理した細胞の細胞質/核比率がCaCl2で処理した細胞のものよりも小さい傾向にあることが示された。従ってCaCl2およびTTAによる処理が重複するケラチノサイトマーカー遺伝子セットを誘導したとしても、この知見はTTAとCaCl2はケラチノサイト分化に対する異なる作用を示すことを示唆するものである。ケラチノサイト増殖に対するPPAR選択リガンドおよびTTAの作用をより定量的に調べるために、図3に示されているようにNHK細胞をPPARリガンド、TTAおよびCaCl2で処理し、材料および方法の節で記載したようなMTTアッセイの改変法を用いて増殖に関して評価した。並行して、ELISAに基づくアッセイを用いてTg−1の発現をモニタリングした(図3b)。
【0045】
注目すべきは、TTAが、PPAR選択リガンドで見られたものをはるかに超える、NHK細胞の強い、用量依存的な阻害を示したことである。CaCl2の抗増殖作用はこれらの実験の下限値に過ぎない。RT−PCRおよびウエスタンブロット法によって得られた結果を要約すると、TTAおよびCaCl2のみがTg−1発現を有意に誘導した。従ってMTTアッセイを用いて得られた結果はTTAとPPAR選択リガンドとを明瞭に分けるものであり、TTAがNHK細胞の増殖を強く阻害し、ケラチノサイト分化マーカー遺伝子の発現を強く誘導したことを実証するものであった。
【0046】
本発明の化合物で増殖性皮膚疾患を有する患者を処置する効果は、落屑や紅斑の改善、病変部の退縮などの他覚的基準、ならびにかゆみがなくなったなど自覚的基準により評価した。感染患者の治療効果を確定するために用いる他覚的方法としては目視検査および写真によるプラークの分析がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、表皮分化特異的遺伝子およびCD36の誘導を示す。
【図2】
図2は、TTAおよび選択的PPARリガンドで処理したケラチノサイトの形態およびその分化特異的遺伝子の発現を示す。
【図3】
図3は、TTAが後期表皮分化マーカーTg−1を誘導し、ケラチノサイトの増殖を阻害することを示す。
Claims (16)
- 増殖性皮膚疾患の予防および/または治療を目的とした医薬組成物の製造のための、下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体の使用:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は、水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは、1〜12の整数であり、
iは、奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは、互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。 - 増殖性皮膚疾患が、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異性皮膚炎、原発性刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、層状魚鱗癬、表皮剥離性角化症、前癌性日光角化症、および脂漏からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
- 増殖性皮膚疾患が乾癬である、請求項2に記載の使用。
- R1がアルキルである、請求項1に記載の使用。
- R1がアルケンである、請求項1に記載の使用。
- 化合物がテトラデシルチオ酢酸である、請求項1に記載の使用。
- 化合物がテトラデシルセレノ酢酸である、請求項1に記載の使用。
- 増殖阻害および/またはケラチノサイト分化の誘導を目的とした医薬組成物の製造のための、下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体の使用:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は、水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは、1〜12の整数であり、
iは、奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは、互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。 - 化合物がテトラデシルチオ酢酸である、請求項1に記載の使用。
- 化合物がテトラデシルセレノ酢酸である、請求項1に記載の使用。
- 増殖性皮膚疾患の治療および/または予防方法であって、有効量の下式(I)の脂肪酸類似体またはその塩、プロドラッグもしくは複合体をそれを要する哺乳類に投与する工程を含んでなる、方法:
R1−[xi−CH2]n−COOR2 (I)
[式中、R1は、
1以上の二重結合を有する、かつ/または1以上の三重結合を有するC1−C24アルケン、および/または
C1−C24アルキン、および/または
C1−C24アルキル、または、1個もしくは数個の位置にてフッ素、塩素、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C2−C5アシルオキシ、もしくはC1−C4アルキルからなる群より選択される1以上の化合物で置換されたC1−C24アルキル
であり、
R2は、水素またはC1−C4アルキルを表し、
nは、1〜12の整数であり、
iは、奇数であって、COOR2に関する位置を示し、
xiは、互いに独立してO、S、SO、SO2、SeおよびCH2からなる群より選択され、
ただし、xiの少なくとも1つはCH2でなく、かつ、
R1がアルキンまたはアルケンであるとき、炭素−炭素三重結合または二重結合は、(ω−1)炭素と(ω−2)炭素の間、(ω−2)炭素と(ω−3)炭素の間、または(ω−3)炭素と(ω−4)炭素の間に位置する]。 - R1がアルキルである、請求項11に記載の使用。
- R1がアルケンである、請求項11に記載の使用。
- 化合物がテトラデシルチオ酢酸である、請求項11に記載の方法。
- 化合物がテトラデシルセレノ酢酸である、請求項11に記載の方法。
- 脂肪酸類似体が局所投与される、請求項10に記載の方法。
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