JP2004509904A - デルタメトリン含有顆粒水和剤 - Google Patents

Abstract

本発明は、界面活性剤、分散剤、固体不活性物質、および混合物のｐＨを１〜７の範囲に調節するために充分な量の１種またはそれ以上の酸を含む、顆粒水和剤としてのデルタメトリン処方物に関する。この顆粒剤は動物害虫の防除に特に有用である。

Description

【０００１】
本発明は、顆粒水和剤としてのデルタメトリン処方物、それらの製造方法および害虫防除のためのこのような処方物の使用に関する。
【０００２】
デルタメトリン（Ｓ−α−シアノ−３−フェノキシベンジル−（１Ｒ，３Ｒ）−３−（２，２−ジブロモビニル）−２，２−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル）は、ピレスロイド系殺虫剤であり、害虫防除のために広範囲にかつ長年にわたり使用されている（Ｃ．Ｄ．Ｓ Ｔｏｍｌｉｎ， Ｔｈｅ Ｐｅｓｔｉｃｉｄｅ Ｍａｎｕａｌ， １１ 版， Ｂｒｉｔｉｓｈ Ｃｒｏｐ Ｐｒｏｔｅｃｔｉｏｎ Ｃｏｕｎｃｉｌ， Ｆａｒｎｈａｍ １９９７）。
【０００３】
有機溶剤を必要としないという利点を有する多数の処方物、例えば懸濁濃縮物が開示されている。他の溶剤不含処方物は顆粒水和剤（ＷＤＧ）であり、これを水に加えると、懸濁濃縮物と同様に水中のデルタメトリン粒子の懸濁液を与える。
ＥＰ−Ａ０２２４８４５には、一般的方法で農作物保護に用いられる顆粒水和剤が開示されている。デルタメトリンを含む比較的多数の可能な活性化合物が挙げられている。しかしながら、デルタメトリン含有処方物の例は記載されていない。
驚くべきことに、本発明者らは、デルタメトリンの一定のＷＤＧ処方物が施用に際して、普通に用いられる懸濁濃縮物よりも著しく良好な活性を有することを見出した。
【０００４】
本発明は、
ａ）５〜６０重量％のデルタメトリン、
ｂ）５〜１５重量％の湿潤剤、
ｃ）１０〜３０重量％の分散剤、
ｄ）１０〜７０重量％の固体不活性物質、
ｅ）混合物のｐＨを１〜７の範囲に調節するために充分な量の１種またはそれ以上の酸
を含む顆粒水和剤を提供する。
【０００５】
デルタメトリンは Ａｖｅｎｔｉｓ ＣｒｏｐＳｃｉｅｎｃｅ ＳＡ， Ｌｙｏｎ， Ｆｒａｎｃｅ から市販されている。
好適な湿潤剤は、例えばアルキルナフタレンスルホン酸塩、例えば Ｓｕｐｒａｇｉｌ ＷＰ （登録商標）（Ｒｈｏｄｉａ ＧｍｂＨ）、Ｎ，Ｎ−ジアルキルタウリン酸塩、例えば Ａｒｋｏｐｏｎ Ｔ （登録商標）（Ｃｌａｒｉａｎｔ ＧｍｂＨ）または Ｇｅｒｏｐｏｎ Ｔ−７７ （登録商標）（Ｒｈｏｄｉａ ＧｍｂＨ）、または好ましくはアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムとスルホン化アルキルカルボキシレートのナトリウム塩との混合物、例えば Ｍｏｒｗｅｔ ＥＦＷ （登録商標）（Ｗｉｔｃｏ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ， Ｈｏｕｓｔｏｎ， ＵＳＡ）である。
顆粒剤は一般的に５〜１５重量％、好ましくは５〜１２重量％の湿潤剤を含み、これは複数の成分の混合物であってもよい。
【０００６】
分散剤としての使用に適するものは、例えば、変性リグノスルホン酸ナトリウム、例えば Ｂｏｒｒｅｓｐｅｒｓｅ Ｎａ （登録商標）、Ｕｆｏｘａｎｅ ３Ａ （登録商標）および Ｕｌｔｒａｚｉｎｅ Ｎａ （登録商標）（Ｂｏｒｒｅｇａｒｄ）、クラフトリグノスルホン酸ナトリウム、例えば Ｒｅａｘ ８８ Ｂ （登録商標）（Ｗｅｓｔｖａｃｏ）またはナフタリン−ホルムアルデヒド縮合物、例えば Ｄｉｓｐｅｒｓｉｎｇ Ａｇｅｎｔ ＳＩ （登録商標）（Ｃｌａｒｉａｎｔ ＧｍｂＨ）、Ｍｏｒｗｅｔ Ｄ４２５ （登録商標）（Ｗｉｔｃｏ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）および Ｇａｌｏｒｙｌ ＤＴ ２０１ （登録商標）（ＣＦＰＩ）である。
【０００７】
好ましい分散剤は、アルキルナフタレンスルホン酸／ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩およびリグノスルホン酸ナトリウムであり、これらは例えば Ｍｏｒｗｅｔ Ｄ４２５ （登録商標）（Ｗｉｔｃｏ Ｃｏｒｐ．）または Ｕｆｏｘａｎｅ ３Ａ （登録商標）（Ｂｏｒｒｅｇａｒｄ）の名称で市販されている。
【０００８】
処方物は一般的に２〜３０重量％、好ましくは２〜２５重量％、特に好ましくは２〜２０重量％の分散剤を含み、これは適切ならば２種またはそれ以上の成分の混合物であってもよい。
【０００９】
固体不活性物質としての使用に適するものは、例えば、タルク、ベントナイト、シリカ、シリケート、シリカゲル、合成シリケート、アタクレイ、石灰、黄土、白亜、クレイ、ドロマイト、多孔質珪藻土、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕したプラスチックおよび樹脂、アタパルジャイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、マイカ、破砕または粉砕した穀粒、木材チップまたは木材ミール、破砕または粉砕した樹皮、破砕した堅果殻またはセルロースのような物質である。
【００１０】
用いられる好ましい固体不活性物質は、カオリン、例えば Ｂｌａｎｃ Ｍｉｎｅｒａｕｘ ｄｅ Ｐａｒｉｓ からの Ａｒｇｉｒｅｃ Ｂ２４ （登録商標） または ＥＣＣ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ からのチャイナクレイである。
処方物は一般的に１０〜８０重量％、好ましくは２０〜７０重量％の固体不活性物質を含む。
用いられる酸は、好ましくは有機酸、特にカルボン酸、例えばサリチル酸、特に好ましくはジカルボン酸およびトリカルボン酸、例えばクエン酸、コハク酸、酒石酸またはマレイン酸、またはこれらの混合物である。
酸は、処方物のｐＨを１〜７、好ましくは２〜６の範囲に調節するために充分な量で加えられる。
【００１１】
上記の成分に加えて、本発明に係る処方物は処方技術に慣用される他の成分を含むことができる。その例は、ジアルキルポリシロキサンのような消泡剤、例えば Ｒｈｏｄｏｒｓｉｌ ４１６ （登録商標）（Ｒｈｏｄｉａ Ｆｒａｎｃｅ）、ポリビニルアルコールのような結合剤、例えば Ｍｏｗｉｏｌ ３８３ （登録商標）（Ｃｌａｒｉａｎｔ， Ｇｅｒｍａｎｙ）、安息香酸またはソルビン酸のような保存剤、または他の慣用助剤である。
【００１２】
本発明に係る顆粒剤は当業者に公知の慣用方法で製造することができる。
従って、顆粒水和剤は、押し出し法により、通常は活性化合物を処方助剤および不活性材料と混合し、次いでこの混合物を乾式粉砕し（出発材料粒子が充分に微細であれば必要がない）、この粉末を適切な量の水で湿潤させ、次いでこの材料を押し出し機で圧縮することにより製造される。このように製造した顆粒剤を乾燥し、適切ならば微粉砕または分別して、適切な大きさの顆粒剤を得る。
【００１３】
好ましい流動床法で製造される本発明に係る顆粒剤のためには、活性化合物、処方助剤および不活性材料の水性分散液を製造する。この水性分散液は一般的に４０〜７０重量％の乾燥材料を含み、一般的に湿式粉砕される。顆粒剤のための出発材料として活性化合物の分散液を使用することは、押し出し造粒のように活性化合物粉末を使用するよりも経済的である。なぜならば、湿式粉砕は、乾式粉砕と比較して、技術的観点から見てより安全であり、実施がより容易であり、従ってコスト効果がより良いからである。この分散液は、好ましくは向流法で、熱風が向流で流通するチャンバ内にそれを噴霧することにより造粒される。これは水の蒸発を生じる。蒸発した水は向流空気によりチャンバから吐き出される。不揮発性成分は粉末の形態に留まり、この粉末は導入される空気により流動される。これらの粉末粒子上には、より多くの噴入分散液が付着し、水が蒸発し、結果として大きな粒子表面積、丸い粒子形態、および圧縮押し出し顆粒剤と比較して極めて軽い構造を特徴とする顆粒剤が形成される。
このような方法も本発明によって提供される。
【００１４】
本発明により製造された顆粒剤を用いると、顆粒剤の比較的大きな表面積は顆粒剤の軽い構造と相俟って、水での濡れがより良好になり、従ってより急速にスプレー液に分散するようになる。初期装入材料として役立つ処方粉末は、造粒チャンバ内に直接噴霧する変わりに、噴霧乾燥によって製造することもできる。処方粉末は、処方成分を乾式混合した混合物で置き換えることも可能である。
【００１５】
本発明に係る処方物は農作物保護における害虫の防除、そしてまた好ましくはベクターの防除および衛生管理、および貯蔵場、農場および庭に住む貯蔵農作物害虫の防除に適している。害虫防除の専門家による職業的な害虫防除に使用することが好ましい。害虫は一般的に動物害虫であり、特に例えばゴキブリのような節足動物である。使用のために、本発明に係る顆粒剤は水に分散される。
【００１６】
本発明はまた、害虫防除のための本発明に係る処方物の使用、および本発明に係る処方物を害虫または害虫に見舞われた場所に施用することを含む、ゴキブリのような害虫の防除方法を提供する。
【００１７】
ドイツ特許出願１００４８００６．３ の内容（これは本出願において優先権を主張している）および添付の要約書は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明を以下の実施例により説明するが、これらによって限定されない。
【００１８】
流動床法により製造するために、処方成分を水に分散させ、湿式粉砕した。次いで活性化合物の分散液を造粒チャンバ内に向流法で噴霧した。分散液をさらに噴霧することにより、得られた処方粉末を付着させて、顆粒剤を得た。この目的で、Ｂｕｅｃｈｉ Ｌａｂｏｒａｔｏｒｉｕｍ−Ｔｅｃｈｎｉｋ ＡＧ からの実験室用流動床造粒機 Ｂｕｅｃｈｉ ７１０ を用いた。約２０ｋｇの容量を有する Ａｅｒｏｍａｔｉｃ Ｆｉｅｌｄｅｒ ＡＧ からのタイプ Ｓ−３装置を用いて、比較的大量のバッチを製造した。
顆粒剤の組成は、噴入した分散液の乾燥材料と同一である。
【００１９】
実施例１
【表１】

【００２０】
実施例２
【表２】

【００２１】
実施例３
【表３】

【００２２】
実施例４
【表４】

【００２３】
実施例５
【表５】

【００２４】
実施例６
【表６】

【００２５】
実施例７
【表７】

【００２６】
実施例８
【表８】

【００２７】
実施例９
【００２８】
実施例１からの顆粒剤を水に希釈して、濃度０．１２５重量％の分散液を得た。この分散液をコンクリートフローリングまたは合板のような種々の表面上に、１ｍ^２当たり６．２５ｍｇのデルタメトリンの施用量でスプレーした。このように処理した表面を貯蔵庫に入れ、１、７および３０日後にアメリカゴキブリ（Ｐｅｒｉｐｌａｎｅｔａ ａｍｅｒｉｃａｎａ）に対するその有効性を検査した。この目的で、多数のゴキブリを表面上に置き、１および６日後の致死率を決定した。比較のために、デルタメトリンの濃度２．５重量％の市販の懸濁濃縮物（ＳＣ）処方物を用いた。
結果は下記のとおりであった：（ｄａｔ＝表面の処理後の日数）
【００２９】
【表９】

【００３０】
本発明に係る処方物が懸濁濃縮物よりも良好な結果を示すことは驚くべきである。
【００３１】
実施例１０
実施例１および２からの顆粒剤を水に希釈して、濃度０．１２５重量％の分散液を得た。これらの分散液をセラミック上に、１ｍ^２当たり６．２５ｍｇのデルタメトリンの施用量でスプレーした。このように処理した表面を貯蔵庫に入れ、異なる貯蔵時間後にアメリカゴキブリ（Ｐｅｒｉｐｌａｎｅｔａ ａｍｅｒｉｃａｎａ）に対するその有効性を検査した。ゴキブリの致死率を所定の時間後に決定した。比較のために、デルタメトリンの濃度２．５重量％の市販の懸濁濃縮物（ＳＣ）処方物を用いた。
結果は下記のとおりであった：
【００３２】
【表１０】

【００３３】
本発明に係る処方物が懸濁濃縮物よりも良好な結果を示すことを認めることができる。

Claims (4)

1. ａ）５〜６０重量％のデルタメトリン、
   ｂ）５〜１５重量％の湿潤剤、
   ｃ）１０〜３０重量％の分散剤、
   ｄ）１０〜７０重量％の固体不活性物質、
   ｆ）混合物のｐＨを１〜７の範囲に調節するために充分な量の１種またはそれ以上の酸
   を含む顆粒水和剤。
2. ａ）活性化合物、処方助剤および不活性物質を含む水性分散液を調製して湿式粉砕する段階、および
   ｂ）この分散液を熱風が向流で流通するチャンバ内に連続的に噴霧する段階
   を含む、請求項１に記載の顆粒剤の製造方法。
3. 動物害虫の防除のための請求項１に記載の顆粒剤の使用。
4. 請求項１に記載の顆粒剤を水性分散液に変換し、この分散液の有効量を害虫または害虫に見舞われた場所に施用する、動物害虫の防除方法。