JP2004509518A - 通信システムおよびデバイス - Google Patents

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ファン デ ムーレンホフ デニィス
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Abstract

【課題】バスを介して相互接続された複数のデバイスを有する通信システムであって、前記バスがアイソクロナス転送と非同期転送を扱うことができ、利用可能な帯域幅を効率的に使用し、かつ不要なメッセージの送信を防止する通信システムを提供すること。
【解決手段】
バスを介して相互接続された複数のデバイス(101〜106)を有する通信システムであって、バスがアイソクロナス転送と非同期転送を扱うことができる、通信システム。ステータスマネージャ(105)は、ステータス情報を非同期転送で定期的にバス上にブロードキャストする。デバイス(101〜106)は、ステータスマネージャ(105)がステータス情報をバス上にブロードキャストすることができるようにステータス情報をステータスマネージャ(105)に送ることができる。情報は、低減された周波数で送られ、このことは帯域幅を節約する。この情報として可能なのは、通信システム(500)のネットワークトポロジーに関する情報、通信システム(500)内のデバイス(101〜106)の能力に関する情報、バス上の利用可能な帯域幅に関する情報、通信システム(500)内のモバイルデバイス(520)と基地局デバイス(106)の間の結合のレベルの強度に関する情報である。望ましい実施例においては、ステータス情報はサイクル開始(CS)パケットに埋め込まれる。
【選択図】図5

Description

【0001】
【本発明が属する技術分野】
本発明は、バスを介して相互接続された複数のデバイスを有する通信システムであって、前記バスがアイソクロナス転送と非同期転送を扱うことができ、当該複数のデバイスのうちの第1デバイスが、ステータス情報の要求を前記第1デバイスに送る複数のデバイスのうちの第2デバイスに応答して、当該第2デバイスに当該ステータス情報を直接送るように構成されている、通信システムに関する。
【0002】
本発明は、このような通信システムにおいて使用するためのデバイスにさらに関する。
【0003】
【従来の技術】
民生用電子製品(CE)産業のデバイスとパーソナルコンピュータ(PC)産業のデバイスは、ホームネットワークに接続される傾向がますます高まりつつある。このようなホームネットワークは、一般に、等時性(リアルタイム)情報と非同期(非リアルタイム)情報の両方を転送することができる。通常、オーディオストリームとビデオストリームなどのコンテンツは等時的に(isochronously)転送され、制御情報は一般に非同期に転送される。IEEE 1394規格とその補足および拡張規格は、このようなホームネットワークにおけるバスの標準を規定している。
【0004】
IEEE 1394バス上のデバイスは、すべてピアノード(peer node)で、スター型、ツリー型、デイジーチェイン型、またはこれらの組合せ(ただしループを含まない)などのトポロジーに配置される。システムの動作中に、デバイスをバスに追加する、またはデバイスをバスから取り外すことができる。1つのデバイスを、サイクルマネージャ(Cycle Manager)として動作させ、さらにオプションとしてそれ以外のデバイスをバスマネージャ(Bus Manager)またはアイソクロナスリソースマネージャ(Isochronous Resource Manager)として動作させることができるが、バスの全体的なマスターコントローラの役割を果たすデバイスは必要ない。すべての動作は、分散型ピアツーピア方式で実行される。このアーキテクチャは、オーディオ/ビデオシステムに適している。その理由は、オーディオ/ビデオシステムのデバイスは、伝統的にピアツーピア方式で接続されるためである。
【0005】
ホームネットワーク内のデバイスは、少なくとも非同期通信をサポートする。ほとんどのデバイスは、リアルタイムで転送する必要があるオーディオストリームおよび/またはビデオストリームで使用されるように設計されているため、アイソクロナス通信もサポートする。ネットワークバス上の帯域幅の一部は、非同期転送用に確保されている。このことは、一般に広い帯域幅を必要とするアイソクロナス転送がバス上の帯域幅すべてを占有してしまうことによって、制御情報などが送れなくなることを、防止する。
【0006】
アイソクロナス転送に関して、IEEE 1394の場合、各チャネルが、利用可能な帯域幅の範囲内で数に制限なく論理オーディオまたは論理ビデオチャネルを含むことができる最大64の独立したアイソクロナス「チャネル」が、サポートされている。マルチメディアシステムにおいては、例えば、1つのアイソクロナスチャネルは、サラウンドサウンドオーディオ信号と非圧縮のディジタルビデオ信号を伝えることができる。一般に、情報を等時的に転送するために、デバイスは、アイソクロナスリソースマネージャに対し、チャネルと特定量の帯域幅を要求する。アイソクロナスリソースマネージャは、それが可能であるか否かを判断し、可能であれば、デバイスが使用できるようにそのチャネルを割り当てる。このデバイスが転送を終了すると、アイソクロナスリソースマネージャは、そのチャネルに確保されている帯域幅が再び利用可能となるように、そのチャネルの割り当てを解除する。
【0007】
IEEE 1394のアイソクロナス転送は、コネクションレス方式でチャネル識別子を使用する、バスへのブロードキャストである。アイソクロナス転送が可能なデバイスは、任意のアイソクロナスチャネルから読み取ることができるので、このデバイスが、どのストリームがどのアイソクロナスチャネルで転送されるかを事前に知っている場合、バス上の所望の如何なるストリームも動的に受信することが出来る。
【0008】
バス上の利用可能な帯域幅、リソースの能力、ネットワークトポロジーのマップなどのステータス情報は、通常、1つのデバイスに格納される。この情報を必要とする他のデバイスは、非同期メッセージを使用してこのデバイスに直接連絡し、応答は同じ方式で返される。従って、多数のデバイスが同じステータス情報を必要とする場合には、多数の非同期メッセージが送られる。ステータス情報を持つデバイスによって送られる応答はすべて同じであるが、送信先のデバイスが異なるために複数のメッセージが必要となる。これは帯域幅の浪費である。さらに、その平等間隔(fairness interval)を使用してこれらの無駄な非同期メッセージを転送するデバイスは、より緊急またはより重要な目的に平等間隔を使用することはできない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、利用可能な帯域幅を効率的に使用し、かつ不要なメッセージを送信させない於て書きに記載の通信システムを提供することである。
【0010】
この目的は、本発明によると、ステータス情報を非同期転送で定期的に前記バス上にブロードキャストするためのステータスブロードキャスト手段を有するステータスマネージャを有することを特徴とする通信システムにより達成される。ステータスマネージャは、ステータス情報をバス上にブロードキャストする。この情報は、他のデバイスから取得する(例えば、他のデバイスからステータスマネージャへの非同期転送によって取得する)か、またはステータスマネージャがアクセスできるソースから取得することができる。例えば、バスマネージャがステータスマネージャである場合、バスマネージャは、トポロジーマップに直接アクセスできるので、この情報をいつでもブロードキャストすることができる。アイソクロナスリソースマネージャは、帯域幅とチャネルに関する情報に直接アクセスできるので、このステータス情報が変化したときにブロードキャストすることができる。これにより、すべてのデバイスは、利用可能な帯域幅が変化した時、チャネルが割り当てられた時またはチャンネル割り当てが解除された時などを認識する。ステータスマネージャは、ステータス情報をブロードキャストすることによって、1つのステータス情報の配付のために複数の非同期転送が浪費されることを防ぐ。さらに、デバイスは、この方式でブロードキャストされる情報を取得するために非同期メッセージを送る必要がなくなるので、代わりに他の非同期メッセージを送ることができる。負荷の大きいネットワークにおいては、これによって転送がより高速になる。
【0011】
何らかの理由でステータスマネージャからの非同期転送からステータス情報を読み取ることができないデバイスは、その情報を持つデバイスにステータス情報の要求を直接送ることによってステータス情報を取得することができる。この場合、ステータス情報を持つデバイスは、ステータス情報を直接送って応答する。従って、この解決策はこのようなデバイスにも適合する。
【0012】
一実施例においては、前記非同期転送における前記ステータス情報は、以前にブロードキャストされたステータス情報の更新を有する。更新は、前回ブロードキャストされた非同期転送以降に変化したステータス情報しか含む必要が無いため、更新の転送はより小さくなり、これにより帯域幅が節約される。更新のブロードキャストは、オプションとして、すべてのステータス情報が「リフレッシュ」されるように、完全なステータス情報のブロードキャストで補足しても良い。この完全なステータス情報のブロードキャストは、定期的に、望ましくは更新がブロードキャストされる周期の倍数にあたる周期で、実行することもできる。
【0013】
さらなる実施例においては、前記非同期転送はサイクル開始パケットを有する。別の目的のために必ず転送される1つ以上の非同期転送にステータス情報を埋め込むことによって、帯域幅をさらに大きく節約することができる。サイクル開始パケットは、約125 μsごとに必ず定期的に転送され、かつバス上のすべてのデバイスに必ずブロードキャストされるため、これは、ステータス情報を定期的にブロードキャストするための非常に適した候補である。
【0014】
さらなる実施例においては、前記ステータスマネージャは、前記受信されたステータス情報を非同期転送で前記バス上にブロードキャストするためのステータスブロードキャスト手段に結合された、当該複数のデバイスのうちのデバイスから非同期でステータス情報を受信するためのステータス受信手段をさらに有する。この実施例の利点は、バス上のデバイスが、そのステータス情報を複数のデバイスに複数回送るのではなくステータスマネージャに一度だけ送れば済むように、ステータスマネージャがこれらのデバイスの中央配布ポイントとして機能することである。
【0015】
さらなる実施例においては、当該複数のデバイスのうちの一デバイスが、前記非同期転送からのブロードキャストされたステータス情報を受信するためのステータス読み取り手段を有する。このステータス読み取り手段は、非同期転送を聞き(listen)、復号化し、かつデータを処理して、ステータス情報を取得する。すべてではないにしてもほとんどのデバイスは、非同期転送を受信して処理するための手段を有するため、これらのデバイスにステータス読み取り手段を設けることは、容易かつ安価に実施できる。
【0016】
さらなる実施例においては、前記ステータス情報は、前記通信システムの前記ネットワークトポロジーに関する情報を有する。この実施例の利点は、トポロジーの変化がデバイスに自動的に通知されるので、各デバイスは、この情報が必要なときにバスマネージャに連絡する必要がないことである。
【0017】
さらなる実施例においては、前記ステータス情報は、前記バス上の利用可能なアイソクロナスチャネルに関する情報を有する。この実施例の利点は、デバイスが、(存在する場合)どのチャネルがアイソクロナス転送に利用できるかを容易に調べることが出来る点である。次いで、各デバイスは、そのチャネルを確保するための要求をただちに出すことができる。アイソクロナスチャネルを取得する必要があるデバイスは、通常、先ず、利用可能な帯域幅を取得するための非同期メッセージをアイソクロナスリソースマネージャに送り、次いで、チャネルと、最初の応答に埋め込まれている情報から計算される特定量の帯域幅とを要求する2番目のメッセージを、送る必要がある。本発明による通信システムにおいては、ブロードキャストされた情報にチャネルが利用可能であることが示されている場合にのみ要求を送ることにより、帯域幅を節約することができる。
【0018】
さらなる実施例においては、前記ステータス情報は、前記バス上の利用可能な帯域幅に関する情報を有する。アイソクロナスチャネルを取得する必要があるデバイスは、通常、先ず、利用可能な帯域幅を取得するための非同期メッセージをアイソクロナスリソースマネージャに送り、次いで、チャネルと、最初の応答に埋め込まれている情報から計算される特定量の帯域幅とを要求する2番目のメッセージを、送る必要がある。利用可能な帯域幅をブロードキャストする方法の利点は、デバイスが、アイソクロナスリソースマネージャに問い合わせを送って、要件を満たすのに十分な帯域幅があるか否かを判断することを必要とせずに、情報を取得できる点である。これにより、アイソクロナスチャネルを取得する手順がより効率的になる。
【0019】
さらなる実施例においては、前記ステータス情報は、前記通信システム内のモバイルデバイスと基地局デバイスの間の結合のレベルの強度に関する情報を有する。この実施例の利点は、モバイルデバイスの基地局として機能することができる他のデバイスと、この情報を効率的に共有できることである。これにより、これらのデバイスは、互いに多数の非同期メッセージを送る必要なく互いに連絡した状態を維持することができるので、モバイルデバイスに制御を転送するのに最適な基地局を決定することができる。
【0020】
本発明のさらなる目的は、本発明による通信システムで使用するためのデバイスであって、ステータス情報を非同期転送で定期的に前記バス上にブロードキャストするためのステータスブロードキャスト手段を特徴とする、デバイスを提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、本発明による通信システムで使用するためのデバイスであって、非同期転送からのブロードキャストされたステータス情報を受信するためのステータス読み取り手段を特徴とする、デバイスを提供することである。
【0022】
本発明の上記およびその他の観点は、図面に示されている実施例を参照しながら以下に明確に説明されている。各図面の内容は次のとおりである。
【0023】
すべての図を通じて、同じ参照数字は類似するか対応する特徴を示す。図面に示されている特徴のいくつかは、一般にはソフトウェア内に実施され、従って、ソフトウェアモジュールまたはソフトウェアオブジェクトなどのソフトウェアエンティティを表す。
【0024】
【本発明を実施するための形態】
図1は、カムコーダ101、テレビ102、DVDプレイヤー103、セットトップボックス104、ビデオカセットレコーダー105、パーソナルコンピュータ106を有する通信システム100の一例を図式的に示す。デバイス101〜106は、IEEE 1394バスを介して相互接続されているが、IEEE 1394aまたは類似するバスを使用することもできる。バスは、ポイントツーポイント・シグナリング環境における分散型ピアツーピア方式で動作する。バス上のデバイス101〜106は、それぞれ1つ以上のポート110〜127を有する。ポートは、中継器として機能することができ、そのデバイスの他のポートによって受信されたパケットを再転送する。カムコーダ101とセットトップボックス104は、それぞれのポート110と119を介して相互接続されている。セットトップボックス104とビデオカセットレコーダー105は、それぞれのポート121と122を通じ相互接続されていて、他のものも同様である。IEEE 1394標準の規定によると、2つのデバイスの間には、17個以上のケーブルホップは存在出来ない。1本のバスは、最大63個のデバイスに接続でき、最大1023本のバスを相互接続できる。このようにして、最大64,449個のデバイスを有する非常に大規模なネットワークを作成することができる。各ノードは、バスを介してアドレッシング可能な最大256テラバイトのメモリを有することができる。
【0025】
バスは、ピアツーピア方式で動作するため、中央のバスコントローラは必要ない。しかしながら、通常は、特殊機能を実行する1つ以上のデバイスが存在する。これらのデバイスは、サイクルマネージャ、バスマネージャ、アイソクロナスリソースマネージャである。
【0026】
サイクルマネージャは、ネットワーク上のデバイス101〜106の共通クロック基準を維持する。サイクルマネージャは、125 μsごとにサイクル開始パケットを転送する。このパケットは、サイクルマネージャのローカルクロックの値を含む。受信側デバイスは、この値を使用して自身のローカルクロックを同期する。バス上には、サイクルマネージャとして機能するデバイスが必ず存在する。
【0027】
バスマネージャは、パワーマネージメントなどのバスの最適化を実行し、ネットワークのトポロジーのマップやバス上のデバイス101〜106の速度のリストなどの情報を維持する。デバイスは、この情報を使用して最適な通信速度と経路を選択できる。
【0028】
アイソクロナスリソースマネージャは、アイソクロナスチャネルの割り当てと割り当て解除を管理する。アイソクロナスチャネルによりデータを転送する必要があるデバイス101〜106は、アイソクロナスリソースマネージャに対しチャネルと特定量の帯域幅を要求する必要がある。次いで、アイソクロナスリソースマネージャは、デバイス101〜106のチャネル番号(0〜63)と特定量の帯域幅を割り当てる。帯域幅またはチャネルを割り当てることができない場合には、デバイス101〜106は、要求を後に繰り返すことになる。デバイス101〜106がアイソクロナスデータ転送を完了すると、そのデバイスは、そのチャネルを割り当て解除できるように再びアイソクロナスリソースマネージャに連絡する。バスがリセットされると、アイソクロナスチャネルを使用していたデバイス101〜106はそのチャネルを再要求できるため、デバイス101〜106はそのチャネルでの転送を続行することができる。
【0029】
システム100の動作中に、デバイス101〜106をバスに追加する、またはバスから取り外すことができる。デバイス101〜106がバスに追加されると、自動的にバスリセットが起こる。リセットは、ソフトウェアにより開始させることもできる。リセット後、デバイス101〜106は、リーフノードから開始して、次にブランチノードの順で、自身の構成設定を行う。構成設定は、バスリセット、ツリー識別、自己識別から成る。
【0030】
デバイス101〜106は、リセット信号を受信すると、接続されている他のすべてのデバイスにこの信号を渡す。次いで、デバイス101〜106は、リセット信号がバス上のすべてのデバイスに伝播できるように、しばらくアイドル状態のままになる。また、リセット信号は、デバイス上に存在するバストポロジーに関する情報を消去する。
【0031】
次いで、ツリー識別が実行される。ツリー識別とは、他のノードが接続されているルートノードにより、デバイスのツリーとしてのネットワークトポロジーを定義することである。あるノードが、別のノードに接続されていて、かつその別のノードよりルートに近い場合、そのノードは、その別のノードの親ノードと呼ばれる。別のノードは、親ノードの子ノードと呼ばれる。ここで留意すべきことは、これが、論理的なトポロジーであり、ネットワークの物理的なトポロジーとは異なることである。
【0032】
ネットワークのトポロジーは、次のように決定される。リーフノード(図1においてはデバイス101、102、103)は、それぞれのポート110、114、118に親通知信号を提示する。各ブランチノード(図1においてはデバイス104、105、106)は、それぞれのポート119、123、127上でこの親通知信号を認識し、これらのポート119、123、127に子通知信号を提示し、これらのポートを子ノードに接続されているノードとしてマークする。次いで、リーフノード101、102、103は、それぞれのポート110、114、118から自分の親通知信号を削除する。
【0033】
次いで、セットトップボックス104とパーソナルコンピュータ106は、子ノードに接続されているポートとしてマークされていない、それぞれのポート121と125に親通知信号を提示する。ビデオカセットレコーダー105は、マークされていないポート122、124でこれらの親通知信号を受信し、これらのポート122、124に子通知信号を提示し、これらのポートを子ノードに接続されているポートとしてマークする。ビデオカセットレコーダー105は、そのポートすべてが子ノードに接続されているポートとしてマークされたので、ビデオカセットレコーダー105はルートノードになる。
【0034】
ルートノードが決まるこのプロセスにおいて矛盾が生じることがある。例えば、すべてのブランチノードが、マークされていないポートを同じ数だけ有し、かつ同時に親通知信号を提示するときである。これを防止するため、1つのデバイスがルートノードになれるように、無作為バックオフタイマ(random back−off timer)を使用することができる。また、デバイスは、このシグナリングプロセスにおいて自身の応答を遅らせることによって、強制的に自身をルートノードにすることもできる。例えば、パーソナルコンピュータ106がその親通知信号を遅らせると、ビデオカセットレコーダー105は最終的にポート124に親通知信号を提示する。次いで、パーソナルコンピュータ106は、ポート125に子通知信号を提示し、かつ、すべてのポートを子ノードに接続されているポートとしてマークすることになるため、これは親ノードになるであろう。
【0035】
論理的なツリートポロジーが定義された後、デバイス101〜106は自己識別を実行する。自己識別は、各デバイス101〜106に物理IDを割り当てるステップと、隣接するデバイスの間で転送速度能力を交換するステップと、すべてのデバイス101〜106にツリートポロジーを配付するステップとを有する。自己識別は、ルートノード(ビデオカセットレコーダー105)が、デバイスが接続されているポートのうち最小番号のポート122に信号を送ると開始される。セットトップボックス104は、この信号を受信し、最小番号のポート119に伝播させる。カムコーダ101は、ポート110でこの信号を受信するが、それ以上伝播させることはできない。カムコーダ101は、次いで、自身に物理ID 0を割り当て、自己IDパケットをセットトップボックス104に送り返す。自己IDパケットは、それを作成したデバイスの物理IDを少なくとも含み、そのデバイスの転送速度能力などその他の情報を含むこともできる。セットトップボックス104は、ポート119〜121のうちデバイスが接続されているポートすべてに、この自己IDパケットを再転送する。最終的に、自己IDパケットは、ルートノードに到着し、ルートノードは、より大きな番号を有するポート123、124上のすべてのデバイスにこの自己IDパケットを転送する。このようにして、接続されているすべてのデバイスが、カムコーダ101からの自己IDパケットを受信する。カムコーダ101以外のすべてのデバイス102〜106は、このパケットを受信した時点で、自身の自己IDカウンタをインクリメントする。すべてのデバイスの自己IDカウンタは、最初はゼロである。次いで、カムコーダ101は、自身の自己IDプロセスが完了したため、自己ID完了をセットトップボックス104に送信する。セットトップボックス104は、自身の自己IDプロセスを完了していないため、この完了指標をルートノードに再転送しない。
【0036】
ルートノードは、次いで、自己ID完了指標が受信されていないポートのうち最小番号のポート(ポート122)に別の信号を送る。セットトップボックス104は、物理IDが割り当てられていないデバイスがそれ以上接続されていないため、自身に物理ID 1を割り当て、前の段落に説明されている方法で、他のデバイス101、102、103、105、106にこのパケットを転送する。次いで、セットトップボックス104は、自己ID完了通知をルートノードに転送し、次いで、ルートノードはポート123でこのプロセスを繰り返す。なぜなら、このポートは、この時点で自己ID完了通知が受信されていない最小番号のポートになったからである。デバイス104に物理IDが割り当てられた後、ポート124とデバイス103および106についてもこのプロセスが繰り返される。すべてのデバイス101〜106は、この自己識別プロセスを使用して、自身に一意の物理IDを割り当て、そしてルートノードは常に最大の物理IDを有するであろう。このプロセスが完了すると、カムコーダ101は物理ID 0を有し、セットトップボックス104は物理ID 1を有し、テレビ102は物理ID 2を有し、DVDプレイヤー103は物理ID 3を有し、パーソナルコンピュータ106は物理ID 4を有し、ビデオカセットレコーダー105は物理ID 5を有することになる。
【0037】
初期化が完了する前に、1つ以上のデバイスにサイクルマネージャの役割を割り当てる必要があり、またバスマネージャとアイソクロナスリソースマネージャを選定することもできる。ルートノードは、サイクルマネージャである必要がある。バスがリセットされて、サイクルマネージャとして機能することかできないデバイスがルートノードになった場合には、バスは再びリセットされ、サイクルマネージャとして動作できるデバイスが、ルートノードになる。バスマネージャは、ルートノードになったデバイスがサイクルマネージャとして動作できるか否かを判断する。動作できないと判断されると、バスマネージャは強制的にリセットし、サイクルマネージャとして動作できる別のデバイスがルートノードとして選ばれる。バスマネージャは、デバイスによって選定される。
【0038】
デバイスは、アイソクロナスリソースマネージャになる要求を自身の自己IDパケットの中で示すことができる。自己識別プロセスが完了すると、これらのデバイスのうち物理IDが最大であるデバイスが、アイソクロナスリソースマネージャとして選定される。
【0039】
図2は、データ転送の一部を図式的に示す。IEEE 1394は、2種類の転送モードを提示している。非同期転送は、転送された各パケットの承認ステップを有する非リアルタイムモードであり、保証された配布を行うことができる。このモードは、主に、タイミングがそれほど重要ではない、制御データなどのデータの転送に有用である。非同期データを転送するためのバスへのアクセスは、平等間隔を使用することにより保証される。デバイスは、各平等間隔において1回の非同期バスアクセスを開始することができる。通常、バスの帯域幅の少なくとも20%は、非同期転送用に確保されている。デバイスは、非同期転送を使用して、例えば、特定の機能について別のデバイスについての問い合わせ(特定のタイプのデータを扱うことができるか否かなど)をすることが出来るし、また別のデバイスにコマンドを非同期で送ることによって、別のデバイスを制御することができる。
【0040】
アイソクロナス転送は、リアルタイムであり、予測可能な待ち時間を有し、かつアイソクロナス転送用に確保された特定量の帯域幅を有する。通常、オーディオとビデオストリームなどのタイミングが重要なデータは、等時的に転送される。IEEE 1394は、各チャネルが、利用可能な帯域幅の範囲内で数に制限なく論理オーディオまたは論理ビデオチャネルを含むことができる、最大64個の独立したアイソクロナス「チャネル」をサポートする。マルチメディアシステムにおいては、例えば、1つのアイソクロナスチャネルが、サラウンドサウンドオーディオ信号と非圧縮のディジタルビデオ信号を伝えることができる。
【0041】
アイソクロナス転送は、いわゆるアイソクロナスサイクル(通常は最大100 μsの時間セグメント)で行われる。サイクルは、サイクルマネージャがサイクル開始(CS)パケットをバス上に非同期に転送したときに開始される。アイソクロナスチャネル上でデータを転送する必要があるデバイス101〜106は、ツリートポロジーにおける自分の親ノードにバスアクセスの要求を送る。この要求は、ルートノードまで送られる。ルートノードは、データの転送を希望する1つのデバイスにバスへのアクセスを認める。アクセスを認められるデバイスは、通常はルートノードにもっとも近いデバイスである。その理由は、デバイスの信号がルートノードに達する時間が最小であるからである。
【0042】
一例として、カムコーダ101、テレビ102、DVDプレイヤー103、セットトップボックス104、パーソナルコンピュータ106が、すべてそれぞれのアイソクロナスチャネル上でデータを転送する必要があると想定する。これらのすべてのデバイスは、チャネル番号と特定量の帯域幅をすでに取得している。この場合、データパケットを転送する順序は、それぞれの要求がルートノードに到着するまでに必要な時間によって決まる。テレビ102からの要求が、最初に到着するものと想定する。この場合、テレビ102は、アクセスが認められて、アイソクロナスデータパケット200を転送する。セットトップボックス104が、その次であり、そしてアイソクロナスデータパケット201を転送する。このパケット201の後には、パーソナルコンピュータ106によって送られるアイソクロナスデータパケット202が続く。最後に、カムコーダ101とDVDプレイヤー103が、アイソクロナスデータパケット203と204を転送する。データパケット200〜204の転送の間、バスはアイドル状態でもよい。
【0043】
デバイス101〜106の内の一デバイスが、自身のアクセス権を使用して、割り当てられたチャネル内でデータパケットを転送すると、このデバイスは、そのアイソクロナスサイクルの間そのチャネルに対しバスアクセスを要求することはもはやできない。これにより、バスにアクセスする機会は、別のデバイス101〜106に与えられる。デバイス101〜106の内の一デバイスが、複数のアイソクロナスチャネル上でデータを転送する必要がある場合には、このデバイスは、各チャネルごとに個別の要求を出す必要があり、かつこれらの要求は個別に認められることになる。
【0044】
デバイス101〜106の内の最後のデバイスがアイソクロナスチャネル上でデータを転送した後、バスはアイドル状態になる。アイドル状態の間、デバイス101〜106は、非同期データパケット205、206を転送するためにバスにアクセスすることが可能で、アクセスの順序は、アイソクロナスデータの転送200〜204の場合と同様に決定される。すべてのデバイス101〜106にアクセスの機会が均等に与えられるように、アイドル時間は、いわゆる平等間隔に分割される。平等間隔の間、デバイス101〜106は、1つの非同期データパケット205、206しか転送できない。アクセスを必要としていたデバイス101〜106すべてにそれぞれ機会が与えられて、次いでアービトレーション・リセット・ギャップ(Arbitration Reset Gap)の長さだけバスのアイドル状態が経過すると、新しい平等間隔が開始され、デバイスはさらなる非同期データパケットを転送することができる。
【0045】
非同期データパケットの転送に、1サイクルの間に利用できる時間よりも長くかかることがある。この場合、次のサイクルを開始するCSパケットが遅れてしまう。次のサイクルの非同期データ転送に利用できる時間は、遅延を埋め合わせるために短くなる。
【0046】
図3は、アイソクロナスデータパケットの構造を示す。IEEE 1394標準は、1つのデバイスから別のデバイスへのアイソクロナスデータの送信方法を規定しているが、オーディオやビデオデータなどの固有のタイプのデータの形式については規定していない。Digital Interfaces for Consumer Electronic Audio/Video Equipment(民生用電子オーディオ/ビデオ機器のためのデジタルインタフェース)のIEC 61883標準は、アイソクロナスデータパケットの形式を規定する1つの標準である。この形式は、共通アイソクロナスパケット(CIP)形式としても知られている。
各パケットは、32ビットのヘッダー300と、それに続く多数のペイロードデータブロック301とで構成される。ペイロード301の形式は、ヘッダー300の中の情報に依存し、その内容は実質的に問わない。ヘッダー300内のフィールドは、以下のように定義されている。
Figure 2004509518
最初のヘッダーワードの最初の2ビットは、常に「00」であり、2番目のヘッダーワードの最初の2ビットは常に「01」である。
【0047】
図4は、非同期データパケットの形式を示す。各パケットは、ヘッダー400と、オプションとしてその後に続く多数のペイロードデータブロック401とで構成される。データブロックが存在している場合、その後に、データの保全性を確保するためのデータ周期冗長カウントブロックD_CRCが続く。ヘッダー400内のフィールドは、以下のように定義されている。
Figure 2004509518
【0048】
サイクル開始パケットCSは、データ部401がない特別なタイプの非同期パケットである。これは、プライマリ非同期パケットの1つである。サイクル開始パケット内のヘッダー400内のフィールドの値は、以下のように定義されている(値は16進値である)。
Figure 2004509518
【0049】
図5は、カムコーダが101、テレビ102、DVDプレイヤー103、セットトップボックス104、ビデオカセットレコーダー105、パーソナルコンピュータ106を有する通信システム500を図式的に示す。デバイス101〜106は、IEEE 1394バスを介して相互接続されているが、IEEE 1394a、IEEE 1394a−2000などのバスも使用することができる。この通信システム500では、ビデオカセットレコーダー105が、図1を参照して述べた手順を使用して、ルートノードに選定されている。ビデオカセットレコーダー105は、サイクルマネージャとアイソクロナスリソースマネージャとしても機能するが、他のデバイスをアイソクロナスリソースマネージャとして機能させても良い。パーソナルコンピュータ106は、バスマネージャに選定されている。
【0050】
本発明によると、通信システム500は、ステータスマネージャも有する。このステータスマネージャは、ステータス情報を非同期転送で定期的にバス上にブロードキャストすることによってデバイス101〜106にステータス情報を配付する。デバイス101〜106のうちの1つが、ステータスマネージャとして選定される。配付されるステータス情報のタイプに応じて、いくつかの選択肢が利用可能である。ステータス情報が、バスに関する情報、例えば、利用可能な帯域幅やチャネル割り当ての情報である場合には、アイソクロナスリソースマネージャが適している。トポロジー情報が配付される場合には、ネットワークトポロジーマップを維持するバスマネージャも、ステータスマネージャとして動作することができる。しかしながら、一般にはどのデバイスも、それが必要な手段を有していれば、ステータスマネージャとして動作することができる。複数のデバイスがステータスマネージャとして動作することが可能である場合には、アイソクロナスリソースマネージャまたはバスマネージャを選定するメカニズムに類似する選定メカニズムを、使用することもできる。
【0051】
通信システム500においては、ビデオカセットレコーダー105がステータスマネージャとして動作する。ステータスマネージャ105は、ステータス情報が埋め込まれている非同期転送を生成して転送するためのステータスブロードキャストモジュール502を有する。ステータスブロードキャストモジュール502は、これらの動作を定期的、例えば、約125 msごとに行う。ブロードキャストを使用することにより、1つの非同期転送が、バス上のすべてのデバイスによって受信される。この目的のために、ステータス情報をブロードキャストするのに必要な1つまたは複数の非同期パケットの送信先アドレスを、適切なブロードキャストアドレスに設定する必要がある。IEEE 1394ネットワークにおいては、ブロードキャストアドレスはFFFF(16進値)である。
【0052】
定期的にステータス情報をブロードキャストすることによって、バス上の他のデバイスは、非同期転送を使用してこの情報を自身が要求する必要なく、常に最新バージョンの情報を有する。これにより帯域幅が節約される。非同期転送におけるステータス情報が、以前にブロードキャストされたステータス情報の更新を有するならば、さらなる帯域幅が節約できる。更新に含める必要があるのは、前回にブロードキャストされた非同期転送以降に変化したステータス情報のみであるため、更新の転送はより小さくなり、これにより帯域幅が節約されることになる。更新のブロードキャストは、オプションとして、完全なステータス情報のブロードキャストで補足し、すべてのステータス情報を「リフレッシュ」できるようにすることができる。この完全なステータス情報のブロードキャストは、定期的に、望ましくは更新がブロードキャストされる周期の倍数にあたる周期で実行することもできる。
【0053】
テレビ102、DVDプレイヤー103、セットトップボックス104、パーソナルコンピュータ106は、非同期転送からのブロードキャストされたステータス情報を受信するための、それぞれのステータス読み取りモジュール511、512、513、514を有する。このステータス読み取りモジュールは、非同期転送を聞き、このデータを復号化、処理してステータス情報を取得する。
【0054】
ステータス情報は、ステータスマネージャから直接利用可能となるようにさせることができる。例えば、バスマネージャがステータスマネージャである場合、バスマネージャは、バスのネットワークトポロジーに関する情報に直接アクセスできるため、この情報を非同期転送に埋め込むことができる。アイソクロナスリソースマネージャは、帯域幅とチャネルに関する情報に直接アクセスでき、このステータス情報が変化したときに情報をブロードキャストすることができるため、すべてのデバイスに、利用可能な帯域幅が変化した時、チャネルが割り当てられた時、またはチャンネルが割り当て解除された時などを認識させることができる。データをアイソクロナスチャネルで転送するためには、デバイス101〜106は、最初にアイソクロナスリソースマネージャ105においてチャネルと特定量の帯域幅を確保する必要がある。利用可能な帯域幅を定期的にブロードキャストすることの利点は、デバイスが、そのブロードキャストから情報を取得して、自身の要件を満たすのに十分な帯域幅があるか否かを判断できる点である。十分な帯域幅があれば、そのデバイスはアイソクロナスリソースマネージャ105に要求を送り、割り当てられたチャネルを取得する。通常、デバイスは、利用可能な帯域幅を取得するための非同期メッセージをアイソクロナスリソースマネージャ105に最初に送ってから、チャネルと特定量の帯域幅を要求する2番目のメッセージを送る必要がある。
【0055】
上記以外のタイプのステータス情報が、他のデバイスから送られることがある。別のデバイス101〜106の機能を使用する必要があるデバイス101〜106は、通常、非同期メッセージを使用して、別のデバイス101〜106がその機能をサポートするか否かを認識する必要がある。これは、デバイス検出プロセス(Device Discovery Process)と呼ばれる。例えば、カムコーダ101が、記録された映画を表示するためにテレビ104を使用する必要がある場合には、カムコーダ101は、これが可能か否かを認識するために最初テレビ104に問い合わを行う必要がある。しかしながら、ステータス読み取りモジュール511〜514を有するデバイスは、定期的にブロードキャストされる非同期転送からこの情報を読み取ることができる。
【0056】
通信システム500のデバイス101〜106は、HAVi (Home Audio/Video interoperability)規格に従って動作することができることが、望ましい。HAViとは、相互運用性を目的として共通のソフトウェア層を規定することに合意したCEベンダの共同体である。これにより、レジストリを問い合わせることによって、デバイスの能力に関する情報を取得できる。このためには、能力の情報が必要な対象のデバイスに連絡することになる。しかしながら、通信システム500においては、レジストリ内のこの情報は、ステータスマネージャ105が非同期にブロードキャストすることができる。通信システムが、レジストリに関する他の相互運用性規格を使用する場合にも、同じ技法を使用して帯域幅を節約することができる。図5においては、DVDプレイヤー103とパーソナルコンピュータ106は、ステータス情報をステータスマネージャ105に非同期に送るためのステータス送信モジュール515、516を有する。ステータスマネージャ105は、このステータス情報を非同期に受信するステータス受信モジュール503を有する。ステータス受信モジュール503は、ステータスブロードキャストモジュール502に結合されている。ステータス情報を受信し、必要に応じ何らかのタイプの処理、または更新、書式化を行った後に、ステータスブロードキャストモジュール502は、受信されたステータス情報を次の非同期転送でバス上にブロードキャストすることができる。
【0057】
ステータス情報は、モバイルデバイス520の間の結合のレベルの強度、例えば、携帯式の遠隔制御装置またはワイヤレス電話の受話器と、モバイルデバイス520の基地局として機能するパーソナルコンピュータ106との間の結合のレベルの強度に関する情報、とすることができる。基地局106とモバイルデバイス520の間の接続は、一般にはワイヤレスであり、例えば、DECT技術、または802.11、HIPERLAN、赤外線通信が使用される。結合のレベルは、例えば、パーソナルコンピュータ106によって受信されるときのモバイルデバイス520からの信号の強度である。パーソナルコンピュータ106は、そのステータス送信モジュール516を使用してこのステータス情報をステータスマネージャに送り、ステータスマネージャは、次の非同期転送でこの情報をブロードキャストすることができる。
【0058】
1基のモバイルデバイス用のネットワークで、複数の基地局を使用することができる。例えば、ワイヤレス電話の受信機を各部屋に配置することができる。この場合、モバイルデバイス520を制御するためには別の基地局の方がより適した基地局となることがある。基地局は、最初の評価基準としてモバイルデバイス520との接続の品質を測定することができる。モバイルデバイスを現在制御している基地局よりも別の基地局の接続の品質の方が良好であることが判明した場合には、制御をその別の基地局に移す必要がある。これに代えて、現在制御している基地局が自身の接続を測定して、品質が特定のレベル以下に低下したときに別の基地局に制御を移すこともできる。
【0059】
もう1つの基準は、基地局のリソースの可用性のレベルである。基地局106は、ビジーになり過ぎると、使用者がモバイルデバイス520と良好な性能で対話できるように、モバイルデバイス520の制御を別のデバイスに移すことができる。モバイルデバイスの制御を1つの基地局から別の基地局に移すための手順は、本出願と同じ出願人によるヨーロッパ特許出願00201212.8 (PHNL000193)に記載されている。
【0060】
モバイルデバイス520と基地局106の間の結合レベルの強度は、ステータスマネージャ105にブロードキャストさせることができる。他の基地局はこの情報を受信し、現在の強度を認識することができる。これら他の基地局は、同じ手順を使用して自身の信号強度を報告できる。基地局は、この情報を使用して、モバイルデバイス520の制御を移す先の最適の基地局について、基地局間で交渉(negotiate)することができる。
【0061】
通信システム500に対し、ステータスマネージャとして機能するデバイスは、必ずしも1つである必要はない。非同期転送を識別するための何らかの共通の標準が使用されていることを前提とすると、如何なるデバイスも、ステータス情報の非同期転送をブロードキャストすることができ、かつそれ以外の如何なるデバイスも、この転送を受信かつ処理することができる。しかしながら、複数のデバイスが、自身のステータス情報を定期的にブロードキャストすると、1つの転送に埋め込むことも可能であった情報が、複数の転送(デバイスごとに1つ)に埋め込まれることになる。これは、1つのデバイスにステータスマネージャとして情報を収集してブロードキャストする動作を行わせるシステムほど効率的ではない。
【0062】
望ましい実施例においては、ステータス情報を保持するために、サイクル開始(CS)パケットを使用することができる。サイクル開始パケットは、約125 msごとに定期的に必ず転送され、かつバス上のすべてのデバイスに必ずブロードキャストされるため、ステータス情報を定期的にブロードキャストするための非常に適した候補である。
【0063】
標準によると、トランザクションコード(TC)フィールドが値「8」に設定され、かつH_CRCフィールドがパケットヘッダの有効なCRCを含んでいる場合には、サイクル開始パケットは認識されなければならない。このことは、サイクル開始パケット内の他のフィールドを再利用し、これにより、ステータス情報をブロードキャストする目的でこれらのフィールドを使用することが可能であることを意味する。サイクル開始パケットを使用することにより、少なくともバス上の利用可能なアイソクロナスチャネルとバス上の利用可能な帯域幅に、情報を埋め込むことが可能となる。このような情報は、アイソクロナスリソースマネージャに登録され、かつサイクル開始パケットはサイクルマネージャによって転送される必要があるため、アイソクロナスリソースマネージャとサイクルマネージャは同じ一意のデバイスであることが望ましい。
【0064】
現在の利用可能な帯域幅は、アイソクロナスリソースマネージャのBANDWIDTH_AVAILABLEレジスタの13ビットのbw_remainingフィールドに格納される。この帯域幅量は、帯域幅割当単位と呼ばれる時間単位で表される。1単位は、1クアドレット(32ビットのデータ)を1.6Gビット/秒で送信するための時間であり、約20ナノ秒である。理論的には、125 msのアイソクロナスサイクルの場合、このレジスタの可能な最大値は6144帯域幅割当単位である。しかしながら、アイソクロナストラフィックは、各アイソクロナスサイクルの100 ms以上を占有することはできないため、実際の最大値は4915帯域幅割当単位である。この値は、バスの初期の帯域幅として13ビットのワードに符号化され、このワードはサイクル開始パケットに含まれる必要がある。
【0065】
アイソクロナスリソースマネージャは、CHANNELS_AVAILABLEレジスタを提供する。このレジスタの2つのフィールド、すなわちchannels_available_hiとchannels_available_loを使用することによって、0〜63個までのチャネル番号の確保と解放を行うことができる。各フィールドのサイズは1クアドレットである。標準によると、レジスタのchannels_available_hiフィールドに割り当てられるビットは、ビット0、すなわち、チャネル番号0から開始しなければならず、かつ以降のチャネル番号は、最大ビット31(すなわちチャネル番号31)までのビット番号の単調に増加するシーケンスで表されなければならない。同様に、channels_available_loの中のビットはビット0、すなわち、チャネル番号32から開始しなければならず、かつそれ以降のチャネル番号は、最大ビット31(すなわちチャネル番号63)までのビット番号の単調に増加するシーケンスで表されなければならない。何れのフィールド内のビットも、どのチャネル番号が確保または解放されているかを示す。各ビットごとに、値0はそのチャネルが確保されていることを示し、値1はチャネルが解放されていることを意味する。64個のチャネルのステータスが確保済みまたは利用可能であることを示すために、サイクル開始パケットは2クアドレットの転送を含む必要がある。
【0066】
従って、転送する情報の合計量は、利用可能な帯域幅を符号化するための13ビットと、チャネルステータス情報を符号化するための64ビットからなる、最大77ビットである。図6は、サイクル開始パケットにこの情報を埋め込む方法を示す。このパケットにおいては、ヘッダー600内のフィールドの値は、以下のように解釈される。
Figure 2004509518
【0067】
バスリセットの後、サイクルマネージャは、図4を参照して説明したように、通常の動作時と同様に通常のサイクル開始パケットを送る。このパケットは、サイクルマネージャのIDを他のデバイスにブロードキャストする役割を果たす。このIDは、次のバスリセットまで同じままである。連続するサイクルにおいて、サイクルマネージャは、図6を参照して説明したように、すなわち、ステータス情報を含むサイクル開始パケットを送る。このサイクル開始パケットは、図6のヘッダーフィールド「i」によって示されているように、TLフィールドの最上位ビットを1に設定することによって識別される。DST_IDとD_SPCFCフィールドは変更されない。その理由は、いくつかの実施においては、各サイクルごとに、ブロードキャストパケットを識別し、かつアイソクロナス転送を行うことができるデバイスのローカルなサイクルタイムのレジスタをアップグレードするために、これらの値を使用する必要があるためである。
【0068】
TLフィールドの残りのビットと、RTおよびPFフィールドのビットは、残りの利用可能な帯域幅の圧縮バージョンを符号化するために使用される11ビットを形成する。これらのビットは、図6におけるQ_BWフィールドに埋め込まれる。利用可能な帯域幅を圧縮および復元するためには、以下の式を使用することができる(これを使用することが望ましい)。
Figure 2004509518
かつ
Figure 2004509518
この式において、Xは、アイソクロナスリソースマネージャから利用可能なbw_remainingフィールドの13ビットの値である。Yは、図6のサイクル開始パケットの中のブロードキャストされる11ビットの値であり、Zは、このパケットを受信するデバイスによって復号化される13ビットの値である。これら3つの式を使用すると、XとZの間の最大偏差は2つの時間単位になる。これは、S400速度において128 Kbit/sに等しく、これより低速ではさらに小さい。一般的な帯域幅の確保が数十Mbit/s程度であることを考慮すると、この偏差は十分に許容される。
【0069】
サイクル開始パケットのSRC_IDとD_OFFSETフィールドは定数値を有し、この定数値はバス上のすべてのデバイスで認識される。この定数値は、本実施例においては、channels_available_hiとchannels_available_loフィールドを埋め込むのに必要な2クアドレットを格納するのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】バスを介して相互接続されている多数のデバイスを有する第1通信システムを図式的に示す。
【図2】データ転送の一部を図式的に示す。
【図3】アイソクロナスデータパケットの形式を示す。
【図4】非同期データパケットの形式を示す。
【図5】バスを介して相互接続された多数のデバイスを有する第2通信システムを図式的に示す。
【図6】非同期転送の実施例を図式的に示す。
【符号の説明】
100 通信システム
101〜106 デバイス
110〜127 ポート
200〜204 データパケット
205、206 非同期データパケット
300 ヘッダー
301 ペイロードデータブロック
400 ヘッダー
401 ペイロードデータブロック
500 通信システム
502 ステータスブロードキャストモジュール
503 ステータス受信モジュール
511、512、513、514 ステータス読み取りモジュール
515、516 ステータス送信モジュール
520 モバイルデバイス
600 ヘッダー

Claims (11)

  1. バスを介して相互接続された複数のデバイスを有する通信システムであって、前記バスがアイソクロナス転送と非同期転送を扱うことができ、当該複数のデバイスのうちの第1デバイスが、当該複数のデバイスのうちの第2デバイスがステータス情報の要求を前記第1デバイスに送ることに応答して、当該第2デバイスに当該ステータス情報を直接送るように構成されている、通信システムにおいて、前記通信システムが、ステータス情報を非同期転送で定期的に前記バス上にブロードキャストするためのステータスブロードキャスト手段を有するステータスマネージャを有することを特徴とする、通信システム。
  2. 前記非同期転送における前記ステータス情報が、以前にブロードキャストされたステータス情報の更新を有することを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記非同期転送が、サイクル開始パケットを有する、請求項1に記載の通信システム。
  4. 前記ステータスマネージャが、前記受信されたステータス情報を非同期転送で前記バス上にブロードキャストするためのステータスブロードキャスト手段に結合された、当該複数のデバイスのうちのデバイスから非同期でステータス情報を受信するためのステータス受信手段をさらに有する、請求項1に記載の通信システム。
  5. 当該複数のデバイスのうちのデバイスが、前記非同期転送からの前記ブロードキャストされたステータス情報を受信するためのステータス読み取り手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。
  6. 前記ステータス情報が、前記通信システムの前記ネットワークトポロジーに関する情報を有する、請求項1に記載の通信システム。
  7. 前記ステータス情報が、前記バス上の利用可能なアイソクロナスチャネルに関する情報を有する、請求項1に記載の通信システム。
  8. 前記ステータス情報が、前記バス上の利用可能な帯域幅に関する情報を有する、請求項1に記載の通信システム。
  9. 前記ステータス情報が、前記通信システム内のモバイルデバイスと基地局デバイスの間の結合のレベルの強度に関する情報を有することを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。
  10. ステータスブロードキャスト手段が、ステータス情報を非同期転送で定期的に前記バス上にブロードキャストすることを特徴とする、請求項1の通信システムにおけるステータスマネージャとして使用するためのデバイス。
  11. ステータス読み取り手段が、前記非同期転送からの前記ブロードキャストされたステータス情報を受信することを特徴とする、請求項1の通信システムで使用するためのデバイス。
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