JP2004509510A - データ同期化方法 - Google Patents

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Abstract

通信システム(10)でデータを同期化する方法であって、
(a)1つ又はそれ以上のフレームに分割された、データのシリアルストリームを含む複合信号を、送信手段(20)で生成する段階と、
(b)複合信号を、通信手段(50)を介して受信手段(30)に送信する段階と、
(c)多相クロック信号を生成する段階と、
(d)受信手段で受信した複合信号と、多相クロック信号の各々とを、両信号間で持続する一致が成立するか、又は持続する不一致が成立するまで比較し、それにより受信手段を、複合信号中のビット境界に対して、及び1つ又はそれ以上のクロック位相信号に対して同期化する段階と、
(e)複合信号中のどこのフレームが始まるかを確定するために、受信手段における1つ又はそれ以上のビットテンプレートを、受信手段で受信した複合信号中の1つ又はそれ以上の対応するビットテンプレートと相関付けて、これにより受信手段を複合信号中の1つ又はそれ以上のフレームに同期化する段階と、
を含むことを特徴とする方法。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明はデータを同期化する方法に関し、より詳細には、限定ではないが、本発明は、通信システムで受信したシリアルデータを同期化する方法に関する。更に本発明はまた、本方法によるデータを同期化するために動作可能なシステムに関する。
【0002】
(背景技術)
シリアルデータを同期化する方法は公知である。これらの方法は、一般に次の段階を包含する。
(i)シリアルデータを受信する段階。
(ii)ストリーム中の1つ又はそれ以上の時間識別特性を識別する段階。
(iii)1つ又はそれ以上の時間特性のタイミングを、クロックタイミング特性と比較する段階。
(iv)次に、ストリームの時間識別特性とクロックタイミング特性が相互に一定の位相関係になるように、少なくとも1つのシリアルデータ・ストリームと基準クロックの周波数と位相とをシフトする段階。
【0003】
データの同期化は、単一の複合信号でいくつかの入力信号を搬送するための、時分割多重(TDM)技術を使用する通信システムにおいて特に重要である。TDMでは、複合信号は、反復性のフレームを含み、各フレームは、一連のタイムスロットに分割される。各入力信号は、信号が搬送されるフレーム中に該入力信号に関連した、対応するタイムスロットを有する。
【0004】
典型的な従来のTDM通信システムにおいて、シリアルデータ信号を1つのシステム装置から別の装置に同期転送するために、システム内で利用できる共通のデータクロック信号を使用する必要があることが多い。データクロック信号は、同期基準を提供するために時間識別特性を有する必要があり、例えばデータクロック信号は、通常のクロック信号と共に反復性のフレーム同期パルスを含むことができる。そのようなシステムが正常に作動するために、システム内の合計シリアルデータ信号伝播遅延は、シリアルデータ信号中のデータのビット周期より十分に小さくなければならず、そうでない場合、シリアルデータ信号中のフレームの始まりを識別することは不可能である。従って、所定のシステム同期アーキテクチャを有する典型的な従来システムにおいて、シリアルデータの速度が速くなると、それに伴ってアーキテクチャ内のデータクロック速度を速くする必要がある。このようなデータクロック速度を速くすることは、同期アーキテクチャが既に確立されている従来の通信システムにおいては、実用的でない場合が多い。シリアルデータ伝播遅延の合計と、システム内のクロックデータに対する、対応する伝播遅延は、システム内のデータ送信器とデータ受信器とを物理的に分離して制御する制限要因であり、発明者らは、この制限要因が問題であることを認めている。
【0005】
本発明は、シリアルデータの伝播遅延に対して少なくとも部分的により許容性のある、データ同期化方法を提供しようとすることによって生じた。
【0006】
(発明の開示)
本発明の第1の態様により、以下の段階を含む通信システムのデータ同期方法が提供される。
(a)1つ又はそれ以上のフレームに分割された、データのシリアルストリームを含む複合信号を、送信手段で生成する段階と、
(b)複合信号を、通信手段を介して受信手段に送信する段階と、
(c)多相クロック信号を生成する段階と、
(d)受信手段で受信した複合信号と、多相クロック信号の各々とを、両信号間で持続する一致が成立するか、又は持続する不一致が成立するまで比較し、それにより受信手段を、複合信号中のビット境界に対して、及び1つ又はそれ以上のクロック位相信号に対して同期化する段階と、
(e)複合信号中のどこのフレームが始まるかを確定するために、受信手段における1つ又はそれ以上のビットテンプレートを、受信手段で受信した複合信号中の1つ又はそれ以上の対応するビットテンプレートと相関付けて、これにより受信手段を複合信号中の1つ又はそれ以上のフレームに同期化する段階
【0007】
本方法には潜在的に以下の利点がある。
・システム内のデータ送信器と対応するデータ受信器間の分離距離の増加。
・同期アーキテクチャが確立されている場合、システム中のシリアルデータ伝播速度の増加。
・特定のシリアルデータ速度に関するデータクロック速度の低減。該クロック速度の低減により、システム周辺に伝播するデータクロック信号から発生する、システム内の電磁気放射低減する利点がもたらされる。
【0008】
更に、複合信号が通信手段を介して伝播している間にビットスリップを受けた場合でも、本発明は、受信手段が、複合信号に対して自己同期できるという利点を提供する。
【0009】
従来技術の通信システムは通常、システムの種々の部分を共に同期させるための、マスター・システムクロック信号を生成するマスター・システムクロックを含む。このマスタークロック信号は、該マスター信号のクロック速度と同じビット速度でのデータ交換よりも十分速い反面、データ交換がクロック速度より速い速度でシステムの一部において局所的に起きる場合に問題が発生する。発明者らは、この状況で、受信手段において、受信手段に供給されたマスター・システムクロック信号から多相クロック信号を生成し、マスタークロック信号が、本発明のシステムによって、送信手段と受信手段の両方に供給されるのが有益であることを認めている。
【0010】
データ交換が、本発明のシステム内でマスタークロック速度より速いビット速度で発生する場合、多相クロック信号のパルス持続時間は、マスタークロックのデータサイクル周期の半分よりも大きくないのが有利である。送信手段から受信手段への特定の固有速度のデータ交換に関して、少なくとも3つのクロック位相信号が生成されるのが好ましい。
【0011】
通常、クロック位相信号は、通信システム内の論理回路によって生成される。このような論理回路で比較的容易に実行される2進カウンターのために、2のクロック位相であるのが有利であり、nは1又はそれ以上の値の整数である。
【0012】
本発明の発明者らは、複合信号中のビット境界に対する同期化が、受信手段において、複合信号を複合信号の遅延バージョンと排他的論理和をとるように動作可能な、論理回路を使用して成立するのが好ましく、対応するガード信号を生成し、次に1つ又はそれ以上のクロック位相信号とガード信号との持続する一致、又は持続する不一致が成立するまで、ガード信号を周期的にクロック位相信号と比較し、このような持続する一致又は持続する不一致が、該持続する一致又は持続する不一致を提供する、1つ又はそれ以上のクロック位相信号に対して、前述したステップ(d)中のビット境界の同期を示すことを、認めている。
【0013】
有利には、送信手段は、複合信号中のフレームの発生に対応して、該複合信号中に1つ又はそれ以上のフレームワードを含むように動作可能であり、受信手段中で使用されるビットテンプレートは、フレームワードと相関付け可能であるように構成される。このような相関関係は、フレームの同期を成立させるために有益に使用される。好適には、フレームワードは2つ又はそれ以上のビットを有する。より詳細には、フレームワードは、好適には8つのビットを有し、8ビットが使用される場合、フレームワードがバイナリ値00111100である場合に、曖昧性が最も回避される。
【0014】
本発明の方法は、データストリームが時分割多重(TDM)ディジタルデータを含む場合に特に有用である。このようなデータは、多重チャンネル通信システムで生成されることが多い。
【0015】
本発明の第2の態様により、本発明の第1の態様によるデータに対して同期するように動作可能なデータを搬送するためのシステムが提供される。
本発明の実施形態は、添付図面を参照して実施例のみを使用して以下説明される。
【0016】
(発明を実施するための最良の形態)
図1を参照すると、従来技術の通信システム10が示されている。システム10は、例えば、結節点間の光放射を担持するデータ搬送用の光導波管を経由して互いに接続された、複数のシステム結節点を備える光通信システムとすることができる。或いは、システム10は、結節点間の電気担持信号を搬送する電線を経由して、互いに接続された複数の結節点を備えた電気通信システムであってもよく、該電線は、例えば1つ又はそれ以上のツイストペアの同軸ケーブルである。
【0017】
システム10は、データ送信器20、データ受信器中30、及びデータクロック源40を備える。送信器20は、データリンク50を介して受信器30に接続される。更に、クロック出力T及びクロック源40の関連するフレーム同期出力は、送信器20及び受信器30の両方に接続される。データ入力装置60a、60b、60cは、送信器20のデータ入力へ接続される。
【0018】
動作中、クロック源40は、出力Tにおいて送信器20及び受信器30に伝播するデータクロック信号とフレーム同期信号とを出力する。データ入力装置60a、60b、60cは、送信器20のデータ入力にデータを供給する。送信器20は、該送信機の入力で受信したデータを、データフレームを含む時分割多重(TDM)複合データ信号に組み立て、各装置は、データを搬送するフレーム中に対応するタイムスロットと相関付けられる。次に、送信器20は、データリンク50を介して複合データ信号を、該信号が受け取られる受信器30に出力する。受信器30は、第1に、複合データ信号中のビット境界に同期するためにクロック信号を使用し、次に第2に、複合信号中で各フレームのスタートを示す特性を見いだし、これにより受信器30をフレーム及び同期信号に対して同期させる。受信器30は、次に受信器30から他のユニット(図示せず)へ出力するため、フレームのタイムスロット中に含まれているデータの抽出を開始する。
【0019】
複合データ信号中のデータをデータクロック信号速度より速く転送しようとすると、信号の伝播遅延の結果として、フレームからデータを抽出するときに受信器30においてエラーが発生する可能性がある。最悪の場合、この状況において複合データ信号中のフレームへ受信器30が同期しなくなる可能性がある。
【0020】
発明者らが考案した同期方法を従来技術のシステム10に適用することにより、システム10で使用されたクロックアーキテクチャを変えることなく、データを複合データ信号中に搬送することが可能となるが、システム10に本方法を適用するには、該システムのハードウエアを若干変更する必要がある。クロックアーキテクチャを変更する必要がないことによって、本発明は、より高速のデータ搬送速度で動作するようにアップグレードされるべき既存の通信システムに特に好適となる。本発明の同期方法は、以下の2つの段階を包含する。
段階1:これは、複合データ信号内のビット境界に対する同期に関係する。
段階2:これは、データクロック信号に対する受信器30におけてフレームに対して整列する場合に、ビットスリップが発生しないことを保証することに関係する。
【0021】
本方法を図2、3、及び4を参照して説明する。
図2、3、及び4には、受信データクロック信号、3相クロック信号、受信器30において受信した複合データ信号、ガード信号、及び選択されたクロック信号が示されている。受信クロック信号は、「Rxクロック」で表され、受信器30において受信した、クロック源40からのデータクロック信号に対応する。同様に、3相クロック信号は、「相A」、「相B」及び「相C」で表される。又、複合データ信号は、「Rxデータ」で表される。更に、ガード信号は、「ガード」で表される。更に選択クロック信号は、図2においては「選択クロック(B)」、図3においては「選択クロック(C)」、図4においては「選択クロック(A)」で表される。図2、3、及び4は、3相クロック信号及び受信クロック信号に対する、複合データ信号の互いに異なる位相関係に関する。
【0022】
図2、3、及び4において、3相クロック信号の立ち上りは、アクティブエッジである。この3相クロック信号は、データクロック信号に対してフェーズロックされている。好適には該クロック信号は、受信器30内で局部的に生成され、図示されたように互いに一定の位相関係を有する。或いは、クロック源40において生成され、このクロック信号の相対的な位相関係を持続しながら、受信器30に搬送されることができる。更に、3つのクロック位相が示されているが、システム10において必要な場合には、2つ又はそれ以上の位相を使用することができる。更に、受信器30において2個の位相が使用された場合、これら2の位相は、例えば論理カウンタを使用してデータクロック信号と2位相のすべてが生成される、より高次のシステムクロックから比較的簡単に導出されることができる。以下の説明においては、図示したように3相クロック信号を想定している。
【0023】
ガード信号「ガード」は、受信器30において受信した複合データ信号を、遅延バージョンと排他的論理和をとることによって生成される。遅延バージョンは、それぞれのクロック位相、すなわち位相A、位相B、位相Cの論理1パルス時間を超えない時間だけ遅延するのが好ましい。
【0024】
動作中、受信器30は、クロック源40からデータクロック信号を受信する。受信器30が、送信器20に対して空間的に離れているので、送信器20で受信したデータクロック信号は、受信器30で受信したデータクロック信号に対して位相シフトされる。送信器20は、送信器20で受信したデータクロック信号に対して整列した、複合データ信号位相を出力するように動作可能であるが、複合信号は、受信器30で受信するデータクロック信号に対して、受信器30の受信時に必ずしも位相が整列している必要はない。更に、リンク50が、該リンクに沿って伝播する信号のために時間的に変化する道程を示す場合に、例えばその時々又はその温度が変化すると、種々の変更やアップグレードがシステムに対して行われるので、位相整列は、時間変化の影響による。本発明は、このような位相が整列していない点に対処する。
【0025】
前述した段階1の動作の第1モードでは、受信器30は、該受信器30で受信した複合データ信号中の適切なクロック点を検索する。このような適切な点を決定するために、3つのクロック位相信号の1つを選択することによって、受信器30は例えば図4に示されたような現在のクロック信号として位相Aを開始し、次に論理積をとることによって、ガード信号「ガード」を現在のクロック信号のアクティブな立ち上りと比較し、現在のクロック信号が、アクティブな立ち上りで論理0から論理1に切り替わったとき、ガード信号が論理1と一致した場合、同期が発生したものとみなされる。受信器30は次いで、このような一致がサイクルごとに確実に持続することをテスト時間の間にチェックし始める。この期間にわたってこの一致が持続しないか、又は一致が全く識別できない場合、受信器30は、現在のクロック信号として例えば位相Bなどの、別のクロック位相信号を使用するように切り替える。受信器30は次に、クロック位相の位相Bを使用する持続する一致があるかどうかの確定を開始する。再び、位相Bに一致が全く識別できない場合は、受信器30は、次に例えば位相Cなどの、別のクロック位相信号を使用するように切り替えて、次に位相Cとガード信号間に持続する一致が発生するかどうか識別するためにモニタする。
【0026】
前述した段階1における動作の別の第2のモードでは、受信器30は、該受信器30で受信した複合データ信号中で適切なクロック点を検索する。そのような適切な点を決定するために、3つの位相信号の1つを選択することによって、受信器30は、例えば図4に示されたような現在のクロック信号として位相Aを開始し、次に論理積をとることによって、ガード信号「ガード」を現在のクロック信号のアクティブな立ち上りと比較し、現在のクロック信号が、該信号のアクティブな立ち上りで論理0から論理1に切り替わったときに、このガード信号が論理1と一致しない場合、同期が発生したものとみなされる。受信器30は次いで、そのような不一致がサイクルごとに確実に持続することをテスト時間の間にチェックを始める。テスト期間にわたって不一致が持続しないか、又は一致が識別された場合、受信器30は、現在のクロック信号として、例えば位相Bなどの、別のクロック位相信号を使用するように切り替える。受信器30は次に、クロック位相の位相Bを使用する持続する不一致があるかどうかの確定を開始する。再び、位相Bに一致が識別された場合は、受信器30は、次に例えば位相Cなどの、別のクロック位相信号を使用するように切り替えて、次に位相Cとガード信号間に持続する不一致が発生するかどうか識別するためにモニタする。
【0027】
受信器30は、クロック位相信号を介して、持続する一致又は持続する不一致のどちらかが、ガード信号に対して選択された現在のクロック位相信号の動作モードに応じて、テスト時間の間にわたって達成されるまで、繰り返し循環するように動作可能である。持続する一致又は不一致が達成されるとき、選択された現在のクロック位相は受信器30を使用するために「安全クロック」となる。安全クロックが識別されるときに、ビット境界に対する同期が発生したものとみなされる。
【0028】
「安全クロック」を確定するためのクロック位相信号の選択は、図5に示されるハードウエアをシステム10に組み込むことによって実現されることができる。図5は、全体が100で表されるクロック選択論理ユニットを示す。ユニット100は、遅延装置110、排他的論理和ゲート120、論理積ゲート130、モジュロ3カウンタ140、及びクロックセレクタユニット150を備える。入力「Rxデータ」は、遅延装置110の論理入力Iに接続され、また、排他的論理和ゲート120の第1の論理入力Jに接続される。遅延装置110の論理出力Oは、排他的論理和ゲート120の第2の論理入力Jに接続される。排他的論理和ゲート120からの論理入力Oは、論理積ゲート130の第1の論理入力Kに接続される。論理積ゲート130の第2の論理入力Kは、クロックセレクタユニット150の論理出力Oに接続される。論理積ゲート130からの出力Oは、カウンタ140の論理入力Lに結合される。データラインD及びDを含むカウンタ出力Oは、セレクタユニット150のカウンタ論理入力に結合される。最後に、3つのクロック位相信号である、位相A、位相B、位相Cは、クロックセレクタユニット150の論理クロック入力T、T、Tにそれぞれ対応するクロックに接続される。
【0029】
動作時に、クロック選定ユニット100は、受信器30で受信され、続いて現在の選定クロック位相信号に対するガード信号の持続する一致が達成されるまで、セレクタユニット150に供給されたクロック位相信号を介して実行する、複合データ信号「Rxデータ」を受信し、カウンタ140は、動作モードに応じて、持続する一致又は不一致が達成されるまで、クロック位相信号を介してセレクタユニット150を周期的に進める役割を果たす。図5のガード信号は、排他的論理和ゲート120の出力Oに対応する。更に、現在のクロック位相信号の選定はクロックセレクタユニット150内で行われる。カウンタ140は、同期が達成されるまで、すなわち安全クロックが認識されるまで、クロック位相信号を介して周期的に切り替えるように動作可能である。安全クロックは、クロックセレクタユニット150の出力Oにおいて最後に出力される。
【0030】
図6は、送信器20において受信したデータクロック信号「Txクロック」の2倍の速度で送信された、データ信号「Txデータ」を示す。また、本発明を実施するために変更されたシステム10の受信器30で受信した、複合データ信号「Rxデータ」中で発生する小数ビット遅延も示されている。同様に、送信器20において受信したフレーム同期信号「フレーム同期」も示され、この「フレーム同期」信号は、複合データストリーム中のフレームの始めを決定するために、送信器20で使用されている。送信器20からの複合データ信号「Txデータ」出力は、一時的に「フレーム同期」信号と「Txクロック」信号の立ち上りに整列して示され、この「Txデータ」は、図示されているこれら6つの最初のビットの後に、全体ではより多くのビットを有するのであるが、ビット0からビット5で図6に示されている。
【0031】
小数ビット遅延の問題は、前述の3相クロック信号を使用することによって、段階1で対処される。段階1は、複合データ信号中のビット境界が受信器30においてクロック位相信号の1つと一時的に整列する、すなわち小数ビット遅延に対応することを保証することで効果的となる。システム10で発生する可能性がある別の問題は、段階1が0.33ビットの小数の遅延、すなわちビット小数「f」に対処する場合、図6に示されるように、データリンク50により、送信器20から受信器30に対するデータ伝播に、1ビットを超える、例えば2.33ビット持続する遅延が生じることである。段階2は、離散nービットの遅延に対処するために構成され、フレーム同期が確実に達成されるために必要であり、例えば図6に示されるように2ビットの遅延がある。
【0032】
「フレーム同期」信号は、クロック源40において生成され、データクロック信号と共に送信器20と受信器30の両方に供給される。「フレーム同期」信号は、複合データ信号中のビットフレームのビット0に対応する論理状態0のフレームパルスを有する場合、複合データストリーム中の各フレームの始まりを除けば、通常は論理状態が1である。システム10内のタイミングのずれによって、特定の状況で時間をずらす可能性はあるが、ビット0は、送信器20において、実質的にフレームパルスの中央の時間において開始される。
【0033】
システム10の最小及び最大のデータ伝播遅延は、例えばシステム10を実験的に計測するか、又或いは、システム10のコンピュータシミュレーションによって、事前に分かる。しかし、データリンク50を通過するための複合データ信号の伝播遅延は、段階1を実行するときに該伝播遅延の正確な値は当初分からないが、この最小遅延及び最大の遅延以内にある。
【0034】
このようにして、段階2は、フレームワードを複合データ信号中に注入する送信器20を包含し、このワードは、送信器20においてクロック源40から受信したフレーム同期パルスの中央と、送信器20において好適に一致する、開始のデータビットを有する。フレームワードは、クロック源40から、及び受信器30で受信した、フレーム同期パルス出力よりも早くなく、送信器20によって好適に注入される。
【0035】
段階1で一度ビット同期が実行されると、受信器30において受信した複合データ信号とフレームワードのテンプレートを相関付けるために、受信器30は動作可能であり、通常はフレームパルスの中央と一致する、アクティブなクロック立ち上りに対して予測された遅延の最小及び最大の制限内で、受信した複合データ信号に対してテンプレートをシフトするか、又はその逆を行う。相関付けが行われると、複合データ信号に関連してテンプレートに適用されたビットスリップは、クロック源40から送信器20及び受信器30に伝播するクロックデータ信号から発生する、任意のタイミングのずれを受けるデータリンク50を介して、複合データ信号の伝播から生じる整数のビット遅延の全数に対応する。
【0036】
Rxビット0からRxビット15までによって表わされ、テンプレートを使用してテンプレートビット0からテンプレートビット15までで表される、受信した複合データ信号の相関関係が、図7に示される。伝播遅延シフトPDは、段階1で識別された安全クロックに対して、最小及び最大の予測伝播遅延の間の整数のステップで変化し、相関関係が達成された場合、受信器はビットスリップの量を決定したことになる。図7において、相関関係を達成するための14ビットに対するビットスリップの量は、PD変化に応じて、CFの最大値に対応する最良の相関関係である式1によって定義される。
Figure 2004509510
【0037】
フレームワードは、2つ又はそれ以上のビット、例えば8ビット又は、代替として図7に示されるように16ビットを具備するように選択することができる。フレームワードが、8ビット長のバイトを備える場合、該ワードは、好適にはバイナリ値00111100を有し、フレームワードのこの値の選択は、複合データ信号中のフレームワードの後に含まれるペイロードデータと共に、エイリアシングを回避するのに役立つ。
【0038】
整列のタイミング表である下記の表1は、図8と組合せて、受信器30において受信した複合データ信号に対して、送信器20における出力としての複合データ信号の対応するタイミングの実施例を示す。前述のように、例えば計測又はシミュレーションによって、システム10内の最小及び最大伝播遅延が分かると、受信器30において、時間ウィンドウ、すなわち受信器30において受信した複合データ信号中のフレームの始まりが、受信器30において受信したフレーム同期パルスに対して下がる、図8の「フレームワード有効ウィンドウ」を保証することができる。図8の「Rxデータ1」は、受信器30において、複合データ内のフレームの始まりが受信されて正しく認識される時間内の最も早い点を示す。同様に「Rxデータ4」は、受信器30において、複合データ内のフレームの始まりが受信されて正しく認識される時間内の最も遅い点を示す。更に、「Rxデータ2」と「Rxデータ3」は、受信器30が同期の目的で調整することができる、2つの可能な中間遅延を表す。複合データ信号が、例えばデータストリーム「Rxデータ1」から「Rxデータ4」までの並列の組合せのような、複数の並列データストリームを含む場合、各並列データストリームは、受信器30内に設けられた、本発明によって動作可能な対応する整列回路を有する必要がある。
【0039】
受信器30は、図9に示されるように段階2を実行するための追加のハードウエアを組み込む。このハードウエアは、全体が300で示され、検知可能な論理ユニット310、フレームワード検知論理ユニット320、遅延制御論理ユニット330、及び可変遅延ユニット340を備える。検知論理ユニット320は、送信器20から複合データ信号を受け取るための第1の入力U、検知可能論理ユニット310から出力信号を受け取るための第2の入力U、遅延制御ユニット330の入力に接続された第1の出力V、及び可変遅延ユニット340の第1の入力Wに接続された第2の出力Vを備える。検知可能ユニット310は、2つの入力、すなわちクロック源40からデータクロック信号を受け取るための第1の入力と、クロック源40からフレーム同期信号を受け取るための第2の入力とを含む。遅延制御ユニット330は、可変遅延ユニット340の第2の入力Wに接続された出力を備える。また、遅延制御ユニット330は、フレーム同期信号を受け取るための入力Wを含む。更に、可変遅延ユニット340は、フレーム整列複合データ信号が出力される出力Zを備える。
【0040】
動作時に、検知可能ユニットは、データクロックとフレーム同期データとを受け取り、図8に示される「フレームワード有効ウィンドウ」を生成する。フレームワード検知ユニット320は、複合データストリームと対応付けるために、種々の対応するシフト状態で、フレームワードと共に供給されたフレーム同期データを使用することによって、該検知ユニット320は、受信器30で受信した複合ストリーム中に何時相関関係が発生したかを確定する。出力Vは、フレームワード検知論理ユニット320からの出力信号を、達成された相関関係を示す遅延制御ユニット330に搬送する。遅延制御ユニット330は、ビットスリップの量、従って埋め込みビットの数を確定して、可変遅延ユニット340に追加する。必要な埋め込みビットの数は、可変遅延ユニット340に伝達され、これらのビットは複合データストリームに適切に追加され、出力Zにおいてフレーム整列複合データ信号を提供する。
【0041】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明を実施するように適合されたシステム10に対して変更を行うことができることは、同業者によって理解されるであろう。前述したように、本発明は、従来のクロックタイミング階層を有する既存通信システムにおいて特に有益であり、本発明により、例えば通信帯域幅などを改善するためにシステムのアップグレードがインストールされる場合のように、既存のシステムクロックによって決定されるより大きなデータフロー速度がシステム内で達成されることができる。本発明は、ネットワーク内の現在のクロック速度を超える、データ搬送速度をサポートすることができる追加部品を含めて、アップグレードを実施した場合に、例えば高速のコンピュータネットワークに適用可能である。更にまた、本発明は、現在は1GHz程度の比較的低いクロック速度に設定された内部クロックを有する、コンピュータ内部のシステムに適用することができ、例えば本発明は、数ギガビット/秒の高速シリアル・データフロー速度が要求されるPC内に適用することができる。
【0042】
【表1】表1
Figure 2004509510

【図面の簡単な説明】
【図1】
データ送信器、データ受信器、及びデータ・クロックソースを有する、従来技術で知られた通信システムの図である。
【図2】
クロックデータ信号、複合データ信号、及びクロック信号と複合信号から導出されたデータ信号を示すタイミング図である。
【図3】
クロックデータ信号、複合データ信号、及びクロック信号と複合信号から導出されたデータ信号を示すタイミング図である。
【図4】
クロックデータ信号、複合データ信号、及びクロック信号と複合信号から導出されたデータ信号を示すタイミング図である。
【図5】
本発明による小数ビット遅延同期を実現するため、図1に示される従来技術の通信システムのデータ受信器中に包含する、クロック選定論理ユニットの図である。
【図6】
本発明によって変更された図1のシステムで受信した、複合データ信号中に発生する整数及び小数遅延を示す図である。
【図7】
データ受信器において整数ビットスリップを決定するための、フレームワードを有するデータ受信器において受信した複合データ信号の相関関係を示す図である。
【図8】
送信され受信された複合データ信号と、同時にフレーム同期信号及び整列データを示すタイミング図である。
【図9】
本発明によるフレーム同期を実現するための、図1に示されたシステムのデータ受信器に組み込まれたハードウエア論理を示す図である。

Claims (12)

  1. 通信システムにおいてデータを同期化する方法であって、
    (a)1つ又はそれ以上のフレームに分割された、データのシリアルストリームを含む複合信号を、送信手段で生成する段階と、
    (b)前記複合信号を、通信手段を介して受信手段に送信する段階と、
    (c)多相クロック信号を生成する段階と、
    (d)前記受信手段で受信した複合信号と、前記多相クロック信号の各々とを、両信号間で持続する一致が成立するか、又は持続する不一致が成立するまで比較し、それにより前記受信手段を、前記複合信号中のビット境界に対して、及び1つ又はそれ以上の前記クロック位相信号に対して同期化する段階と、
    (e)前記複合信号中のフレームの始まりを確定するために、前記受信手段における1つ又はそれ以上のビットテンプレートを、前記受信手段で受信した前記複合信号中の1つ又はそれ以上の対応するビットテンプレートと相関付けて、これにより前記受信手段を前記複合信号中の1つ又はそれ以上のフレームに同期化する段階と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記多相クロック信号を、前記受信手段においてマスターシステムのクロックデータ信号から生成し、該クロックデータ信号を、前記システムによって送信手段及び受信手段の両方に対して供給することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多相クロック信号が、前記マスタークロック信号のサイクル周期の半分よりも大きくないパルス持続時間を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ステップ(c)に少なくとも3つの多相クロック信号があることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の方法。
  5. ステップ(c)で生成された、2のクロック位相信号があり、nが1またはそれよりも大きい値の整数であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の方法。
  6. 前記複合信号が、自己の遅延バージョンと排他的論理和を取って、対応するガード信号を生成し、該ガード信号は、1つ又はそれ以上の前記クロック位相信号と該ガード信号との持続する一致又は持続する不一致が成立するまで前記クロック位相信号の各々と周期的に比較され、前記持続する一致又は不一致が、ステップ(d)のビット境界同期を表すことを特徴とする、請求項2、3、4、又は5に記載の方法。
  7. 前記送信手段が、前記複合信号内でのフレームの発生に対応して、前記複合信号中に1つ又はそれ以上のフレームワードを含むように動作可能であり、前記受信手段で使用される、1つ又はそれ以上のビットテンプレートを、1つ又はそれ以上の前記フレームワードと相関付け可能なように構成することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 1つ又はそれ以上の前記フレームワードが、それぞれ2つ又はそれ以上のビットを備えることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 1つ又はそれ以上の前記フレームワードが、それぞれ8つのビットを備えることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 各フレームワードが、00111100のバイナリ値を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記複合信号が、時分割多重(TDM)ディジタルデータを含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法により、データに同期するよう動作可能なデータを搬送するための通信システム。
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