JP2004509174A - 分枝カーボネートポリマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)ジヒドロキシ化合物と炭酸誘導体、連鎖停止剤及び特定の分枝剤との反応生成物である分枝カーボネートポリマー、並びに(b)特定のヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体からなる分枝カーボネートポリマー組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物を含む分枝カーボネートポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性カーボネートポリマーは、空気、水分及び光線特に紫外線(UV)光線の存在下の風化の条件の下で劣化する。この劣化は、黄色化により、そして機械的性質(例えば、衝撃強さ、ノッチ付き衝撃強さ及び多軸応力下の最大破壊強さ、並びに剛性における一般的な増加)における劣化によって、一層明らかになる。
【0003】
カーボネートポリマーが、UV吸収剤例えばヒドロキシトリアゾール化合物の添加により風化に曝されたときUV光線の劣化の影響に対して保護されることは、周知である。例えば、特許文献1参照。
【0004】
【特許文献1】米国特許A4812498
【0005】
押し出しにより大きな寸法的に正確なパーツの製造に非常に重要な分枝カーボネートポリマーが、もし同じ従来のヒドロキシトリアゾールUV吸収剤の存在下と同じ条件下におかれたとき、直鎖カーボネートポリマーよりさらに急速に脆くなることが知られている。例えば、特許文献2参照。
【0006】
【特許文献2】米国特許A5001177
特許文献2は、特定のベンゾトリアゾール誘導体と組み合わされた従来の分枝カーボネートポリマーは、従来のベンゾトリアゾール誘導体を含む従来の分枝カーボネートポリマーより改善された衝撃強さを示すが、特許文献2の分枝カーボネートポリマー組成物は、特定のベンゾトリアゾール誘導体を含んでいても、UV光線を含む風化条件に曝されたとき、裂け、破れ及び脆化並びに顕著な黄色化をなお示すことを開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ベンゾトリアゾール誘導体を含む従来の分枝カーボネートポリマーにより示される欠点から見て、良好な衝撃性を含む分枝カーボネートポリマーの望ましい性質の特徴をある程度保持することによって、UV光線に曝されることからの黄色化及び劣化に対して改善された抵抗性を示す分枝カーボネートポリマー組成物を提供することが非常に望ましい。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような分枝カーボネートポリマー組成物である。この組成物は、(a)ジヒドロキシ化合物と炭酸誘導体、連鎖停止剤及び分枝剤との反応生成物である分枝カーボネートポリマー、ここで分枝剤はフロログルシン;フロログルシド;1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;トリメリット酸;トリメリット酸三塩化物;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸塩化物;または2、6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールであり、並びに
(b)式1
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1及びR2は、同じでもまたは異なってもよく、H、ハロゲン、C1−C10アルキル、C5−C10シクロアルキル、C7−C13アラルキル、C6−C14アリール、OR5またはCOOR5(但し、R5はHまたはC1−C4アルキルである)であり;R3及びR4は、また同じでもまたは異なってもよく、そしてH、C1−C4アルキル、C5またはC6シクロアルキル、ベンジルまたはC6−C14アリールであり;mは1、2または3でありそしてnは1、2、3または4である)
により表されるヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
からなる分枝カーボネートポリマー組成物からなる。
【0011】
他の態様では、本発明は、上記の分枝カーボネートポリマー組成物を製造する方法である。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、上記の分枝カーボネートポリマー組成物を成形または押し出して(例えば、(複数の)共押し出し)そして成形品または押し出し品に成形または押し出す方法を含む。
【0013】
また他の態様では、本発明は、上記の分枝カーボネートポリマー組成物の成形品または押し出し品を含む。
【0014】
本発明の分枝カーボネートポリマー組成物は、押し出した物体、特に固体シート、プレート、多重壁シート、共押し出し固体シート、共押し出し多重壁シート、そして射出成形した物体、例えばレンズ、ヘッドランプ、ランプのカバー、照明キャビネット、そしてプリンター、複写機、コンピュータスクリーン並びに他のエレクトロニックス部材及びビジネス機器、電信機器例えば携帯電話のハウジングの製造に特に有用である。
【0015】
本発明で使用される分枝カーボネートポリマーは、周知の技術により製造でき、例えばいくつの好適な方法は、米国特許A3028365、4529791及び4677162に開示されている。一般に、分枝カーボネートポリマーは、ジヒドロキシ化合物と、炭酸誘導体(ときにはカーボネートプレカーサーとよばれる)及び分枝剤とを反応することにより1種以上のジヒドロキシ化合物から製造できる。
【0016】
好ましいジヒドロキシ化合物は、ジフェノール例えばヒドロキノン、レゾルシノール、4、4´−ジヒドロキシ−ジフェニルビス−(ヒドロキシフェニル)−アルカン、例えばC1−C8アルキレン−またはC2−C8アルキリデン−ビスフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、例えばC5−C15シクロアルキレン−またはC5−C15シクロアルキリデンビス−フェノール、及びビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド、−エーテル−ケトン、−スルホキシドまたは−スルホン;また、α、α´−ビス−(ヒドロキシ−フェニル−ジイソプロピルベンゼン及び対応する化合物(核でアルキル化またはハロゲン化されている)である。以下のものが好ましい:2、2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)、2、2−ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジクロロフェニル)−プロパン(テトラクロロビスフェノールA)、2、2−ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)−プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、2、2−ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−プロパン(テトラメチルビスフェノールA)、1、1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−スルホン(ジキシレノスルホン)に基づくポリカーボネート、そして3核ビスフェノール、例えばα、α´−ビス−ヒドロキシフェニル−p−ジイソプロピルベンゼン及びこれらの化合物の混合物に基づくポリカーボネート。
【0017】
分枝ポリカーボネートの製造に好適な他のビスフェノールは、米国特許A3028365;2999835;3148172;2290131;2991273;3271367及び2999846に記載されている。
【0018】
分枝カーボネートポリマーが、(1)2種以上の異なるジフェノールから、または(2)ホモポリマーよりむしろカーボネートコポリマーまたはヘテロポリマーが望ましい場合、ジフェノールとグリコールまたはヒドロキシ−または酸−末端ポリエステルまたは二塩基酸から誘導できる。従って、用語「カーボネートポリマー」に含まれるのは、米国特許A3169121、4156069及び4260731に記載されているタイプのポリ(エステル−カーボネート)である。
【0019】
本発明で使用するのに好適なカーボネートプレカーサーは、ジヒドロキシ化合物のアニオンによる攻撃でカルボニル炭素から置換できる脱離基を含み、そして炭酸のジエステル、カルボニルハライドまたはアシルハライドのような炭酸誘導体(それらのなかで最も好ましいのはホスゲンである)を含むが、それらに必ずしも限定されない。
【0020】
好適な分枝剤は、3個以上の官能基を含むものである。以下のものは、好ましい分枝剤の例である:フロログルシン;フロログルシド;トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、例えば1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン及び1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;トリメリット酸;トリメリット酸三塩化物;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びその酸塩化物;並びに2、6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール。最も好ましい分枝剤は、1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0021】
使用される分枝剤の量は、分枝剤について通常観察される制限内に維持されねばならず、例えば、化学的に配合されたジヒドロキシ化合物の量に基づいて、0.01モル%以上に等しく、好ましくは0.05モル%以上、さらに好ましくは0.1モル%以上そして最も好ましくは0.5モル%以上(化学的に配合されたジヒドロキシ化合物の量に基づいて)でなければならない。分枝剤は、通常、化学的に配合されたジヒドロキシ化合物の量に基づいて、5モル%以下に等しい量、好ましくは3モル%以下に等しい量、さらに好ましくは2モル%以下に等しい量、より好ましくは1.5モル%以下に等しい量そして最も好ましくは1モル%以下(化学的に配合されたジヒドロキシ化合物の量に基づいて)に等しい量で存在する。
【0022】
本発明で使用される好適な連鎖停止剤は、カーボネートプレカーサーと反応する官能基を含む芳香族化合物であり、例えば芳香族酸ハライドまたはフェノール特に普通に使用されるフェノール、例えばp−第三級−ブチルフェノール、p−クロロフェノール、2、4、6−トリブロモフェノールまたはフェノールそれ自体、フェノール及びその誘導体、飽和脂肪族アルコール、金属性サルファイト、アルキル酸塩化物、トリアルキル−またはトリアリールシラノール、モノハロシラン、アミノアルコール、トリアルキルアルコール、アニリン及びメチルアナリンである。これらのなかで、フェノール、p−第三級−ブチルフェノール、p−クミルフェノール及びp−第三級−オクチルフェノール(4−(1、1、2、2−テトラメチルブチル)−フェノール)は、本発明で使用するのに最も好ましいものである。
【0023】
これらの連鎖停止剤が使用される量は、分枝ポリカーボネートがそれに調節されるべき分子量により決定される。それらは、一般に、工程に投下されるジヒドロキシ化合物の量に基づいて0.5−10モル%の量で使用される。
【0024】
前記の分枝カーボネートポリマーのなかで、芳香族分枝カーボネートポリマーが好ましく、そしてビスフェノールAの分枝カーボネートポリマーが最も好ましい。
【0025】
分枝カーボネートポリマーは、任意の周知の方法、例えばトランスエステル化または界面法によりこれらの原料から製造できる(例えば、H.Schnell、Chemistry and Physics of polycarbonates,Polymer Revue、IX卷、27ページ以下、Interscience Publishers,New York,1964及び米国特許A3544514及び米国再特許27682参照)。界面法が好ましい。これらの方法に関する反応条件は周知である。
【0026】
一般に、分枝カーボネートポリマーは、少なくとも10000、好ましくは少なくとも15000、さらに好ましくは少なくとも19000、より好ましくは少なくとも22000そして最も好ましくは少なくとも28000の重量平均分子量を有しなければならない。分枝カーボネートポリマーの重量平均分子量は、100000より低く、好ましくは45000より低く、さらに好ましくは39000より低く、より好ましくは36000より低くそして最も好ましくは32000より低くなければならない。
【0027】
他に指示されていなければ、本明細書の「分子量」については、ビスフェノールAポリカーボネート標準品によるゲル浸透クロマトグラフィーを使用して芳香族カーボネートポリマーについて測定された重量平均分子量(Mw)をいう。種々の指示は、「重量平均」分子量と同じではないがMw値に補正または転換できる「粘度平均」分子量(Mv)をいうことも注意すべきである。
【0028】
本発明で使用するのに好適なベンゾトリアゾール誘導体は、式
【0029】
【化6】
【0030】
(式中、R1及びR2は、同じでもまたは異なってもよく、H、ハロゲン、C1−C10アルキル、C5−C10シクロアルキル、C7−C13アラルキル、C6−C14アリール、OR5またはCOOR5(但し、R5はHまたはC1−C4アルキルである)であり;R3及びR4は、また同じでもまたは異なってもよく、そしてH、C1−C4アルキル、C5またはC6シクロアルキル、ベンジルまたはC6−C14アリールであり;mは1、2または3でありそしてnは1、2、3または4である)
により表される。
【0031】
R1が、好ましくはH、ClまたはCH3を表し、R2が、好ましくはH、C1−C10アルキル、シクロヘキシル、C7−C9アラルキル、フェニルまたはナフチルを表し、R3及びR4が、好ましくはHまたはC1−C4アルキルを表し、mが好ましくは1を表しそしてnが1を表す。
【0032】
特に好ましいベンゾトリアゾール誘導体(1)は、 R1がHを表し; R2がHまたはC1−C9アルキルを表し;R3がHを表し;R4がHを表し;mが1を表しそしてnが1を表すものである。
【0033】
本発明によるカーボネートポリマー組成物の用途に応じて、ベンゾトリアゾール誘導体は、カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、0.01−15重量%の量で使用される。カーボネートポリマー組成物が、例えば固体または多重壁シートまたは射出成形品として押し出されて使用されるとき、ベンゾトリアゾール誘導体は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.25重量%以上そして最も好ましくは0.3重量%以上の量で使用できる。本発明によれば、カーボネートポリマー組成物が、固体または多重壁シートまたは射出成形品として押し出されるとき、ベンゾトリアゾール誘導体は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは0.7重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下そして最も好ましくは0.5重量%以下の量で使用できる。
【0034】
カーボネートポリマー組成物が共押し出し固体シートまたは共押し出し多重壁シート中のUV吸収層であるとき、ベンゾトリアゾール誘導体は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、1重量%以上、好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上そして最も好ましくは5重量%以上の量で使用できる。本発明によれば、カーボネートポリマー組成物が共押し出し固体シートまたは共押し出し多重壁シート中のUV吸収層であるとき、ベンゾトリアゾール誘導体は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、15重量%以下、好ましくは14重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、より好ましくは12重量%以下、さらにより好ましくは11重量%以下そして最も好ましくは10重量%以下の量で使用できる。
【0035】
さらに、本発明の分枝カーボネートポリマー組成物は、また任意に、このタイプの分枝カーボネートポリマー組成物に普通使用される1種以上の添加物を含むことができる。このタイプの添加物は、充填剤、補強剤、点火抵抗性添加物、熱、光及び酸素により生ずるがこれらに限定されない劣化に対してポリマーブレンド組成物を安定化する化合物、着色剤、抗酸化剤、帯電防止剤、流れ増加剤、離型剤、核生成剤などを含むがこれらに限定されない。充填剤の好ましい例は、例えばタルク、粘土、ウォラストナイト、雲母、ガラスまたはこれらの混合物である。さらに、好ましい点火抵抗性添加物の例は、例えばハロゲン化炭化水素、ハロゲン化カーボネートオリゴマー、ハロゲン化ジグリシジルエーテル、有機燐化合物、フッ素化オレフィン、酸化アンチモン及び芳香族硫黄の金属塩またはこれらの混合物が使用できる。
【0036】
使用される添加物のタイプ及び量は、特定の添加物及び組成物の望ましい性質を含む種々のファクターに依存する。もし使用されるならば、これらの添加物は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、さらに好ましくは少なくとも0.1重量%そして最も好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在できる。一般に、添加物は、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、25重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下そして最も好ましくは1重量%以下の量で存在する。
【0037】
本発明の分枝カーボネートポリマー組成物は、単独で使用されるか、または他のポリマー及び/またはコポリマー樹脂とブレンドされ、例えばポリスチレン、スチレン性コポリマー(例えば、スチレン及びアクリロニトリルコポリマー(SAN)またはスチレン、アクリロニトリル及びブタジエンターポリマー(ABS))、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシドまたはポリエステルとのブレンドがある。
【0038】
本発明の分枝カーボネートポリマー組成物の製造は、ローラ、練合機、1軸または多軸スクリュー押し出し機を含む、当業者に周知の任意の好適な混合手段により達成できる。個々の成分は、ドライブレンドされ次に最終の製品(例えば、押し出しシート)を製造するのに使用される押し出し機で直接溶融混合されるか、または別の押し出し機(例えば、Banburyミキサー)で予備混合されるかの何れかで溶融混合される。組成物のドライブレンドは、また予備溶融混合なしに直接射出成形できる。
【0039】
好ましくは、本発明の分枝カーボネートポリマー組成物は、熱可塑性である。熱の適用により軟化または溶融されるとき、本発明の分枝カーボネートポリマー組成物は、従来の技術、例えば圧縮成形、射出成形、気体補助射出成形、カレンダー成形、真空成形、熱成形、押し出し及び/または吹き込み成形を単独または組み合わせて使用して、成形できる。分枝カーボネートポリマー組成物は、また、フィルム、繊維、多層のラミネートまたは押し出されたシートに成形、紡糸または延伸できるか、またはその目的に適した任意の機械で、1種以上の有機または無機の物質と配合できる。
【0040】
本発明の分枝カーボネートポリマー組成物に関する好ましい用途は、建築物及び温室の建設におけるパンとして使用される固体シートまたは多重壁シートを製造することである。
【0041】
本発明によりUV光線に対して安定化されたカーボネートポリマーの他の用途は、(複数の)共押し出し法による多重壁シートの製造におけるその使用である。共押し出し法では、重りを有する芯は、分枝カーボネートのUV吸収層により1面または両面をカバーされている、合成樹脂(例えばABSまたは直鎖或いは分枝ポリカーボネート、好ましくは分枝カーボネートポリマー)の層である。
UV吸収層は、10−150ミクロメートル、好ましくは20−100ミクロメートルの厚さを有しなければならない。UV吸収剤を実質的に有しない厚さ10−30ミクロメートル好ましくは10−20ミクロメートルのカバー用層は、芯から離れたUV吸収層の面に適用される。
【0042】
本発明の実施を説明するために、実施例を以下に示す。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【0043】
【実施例】
実施例
実施例1及び2の組成物は、ポリカーボネート樹脂ペレット(少なくとも4時間120℃で乾燥)及び他の添加物を15分間タンブルブレンドすることにより製造された。ドライブレンドした混合物を、Werner and Pfleiderer ZSK−25の25mmの完全連動共回転の2軸スクリュー押し出し機に供給した。以下は、ZSK−25押し出し機の配合条件であった。バレル温度プロフィル:240、250、260、270、280、290、300及び300℃;スクリュー速度:毎分250回転(RPM);及び通過量:毎時10kg(kg/時)。押し出した物をストランドの形で冷却し、ペレットとして粉砕した。水浴温度:20℃及びカッター速度:60。実施例1及び2並びに比較例A及びBのペレットを使用して、バレル温度プロフィル:335、330、325及びノズルで320℃;型温度:110℃及び射出速度:毎秒25mm(mm/秒)を有するArburg Allrounder CMD370射出成形機で80mm×80mm×1mmのプラークを製造した。
【0044】
実施例1及び2並びに比較例A及びBの処方量及び性能を、全組成物の重量部で、以下の表1に示す。表1では、以下の通りである。
【0045】
Hoechst Celaneseから市販されている1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン分枝剤(THPE)及びHuels及び/またはSchenectadyから入手できるp−第三級−ブチルフェノール(PTBP)連鎖停止剤を含む分枝カーボネートポリマーの「PC−1」製品:10L容の反応器をアルゴンでパージし、3.87kgの水、0.7kg(3.07モル)のビスフェノールA及び3.5gのTHPE(即ち、ビスフェノールAに対して0.37モル%)を装入した。全合成中、反応温度を20℃でコントロールした。この混合物に、1.07kgの30重量%のアルカリ溶液(8モルNaOH)を加え、ビスフェノールA及びTHPEのすべてを溶解するまで、混合物を撹拌した。次に、反応器に2kgのジクロロメタンを装入した。混合物を激しく撹拌し、ホスゲンを毎秒0.04gの速度(0.4mモル/秒)で添加した。125g(1.26モル)のホスゲンを加えた後、90mLのジクロロメタン中の14.0g(0.093モル)のPTBP(33のビスフェノールA/PTBPモル比)の溶液を一度に加えた。270g(2.73モル)を消費するまで、ホスゲンの添加を続けた。次に、0.6kgの30重量%のアルカリ(4.5モルのNaOH)を一度に加えた。405g(4.1モル)のホスゲンを全部添加した後、2kgのジクロロメタン中の7g(0.07モル)のトリエチルアミンの溶液を添加し、カップリングを達成するために、さらに15分間撹拌した。その後、2kgのジクロロメタンのさらなる部分を添加した。その添加5分後、撹拌器を停止した。混合物を、軽い水相と重いポリマー溶液相とに分離させた。その後、重い相を他の10L容反応器にポンプで移し、そして800mLのHCl(20重量%)の溶液と4Lの水とを添加した。混合物を1500RPMで10分間撹拌し、次に相を分離させた。有機相を1800mLの燐酸(10重量%)及び4Lの水により処理した。次いで、有機相を、中性になるまで500mLの水により4回洗い、1375mLのヘプタンを、ポリカーボネートポリマーを沈澱させるために、ポリマー溶液に添加した。有機溶媒(ヘプタン及びジクロロメタン)を、熱水/水蒸気処理により完全に蒸発させ、そして残存ポリマーを、真空中で1晩120℃で乾燥した。得られた分枝カーボネートポリマーは、36000のMw、10分あたり3.0g(g/10分)のメルト・フロー・レート(MFR)(300℃及び1.2kgの適用負荷の条件下で測定(他に指示されていない限り、すべてのMFRは300℃/1.2kgで測定された))、及び1.37の相対溶液粘度(他に指示されていない限り、すべての溶液粘度はメチレンクロリド中の0.5重量%の溶液で25℃で測定された)を有した。
【0046】
「PC−2」は、PC−1と同じやり方で製造された分枝カーボネートポリマーであるが、但し23のビスフェノールA対PTBPのモル比を有する。得られたカーボネートポリマーは、32000のMw、6.0g/10分のMFR及び1.32の相対溶液粘度を有した。
【0047】
「PC−3」は、3、3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−オキソ−2、3−ジヒドロインドール分枝剤、並びに0.3重量%の2、2−メチレン−ビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)を含む連鎖停止剤としてのフェノールから製造されそして1.37の相対溶液粘度を有する、Bayer AGからMAKROLON(商標)1143として入手できる分枝カーボネートポリマーである。
【0048】
「PC−4」は、3、3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−オキソ−2、3−ジヒドロインドール分枝剤、並びに0.3重量%の2、2−メチレン−ビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)を含む連鎖停止剤としてのフェノールから製造されそして1.32の相対溶液粘度を有する、Bayer AGからMAKROLON1243として入手できる分枝カーボネートポリマーである。
【0049】
「LA−31」は、Adeka Argus Chemical CompanyからADEKA STAB(商標)LA−31として入手できる2、2−メチレン−ビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)である。
【0050】
「IRGAPHOS(商標)168」は、Ciba Geigyから入手できる抗酸化剤である。
【0051】
「ダート衝撃」は、毎秒2メートル(m/秒)の速度及び40mmの支持直径を有する直径5mmの駆動ダートを有するICI製の装置の衝撃テスターを使用してISO 6603に従って測定した落下ダート装置による衝撃であり、各例では、4個のプラークがテストされそして平均値が計算され、さらに破壊時エネルギー(energy to break)(ジュール(J))として報告された。
【0052】
「破断パターン」は、伸び破壊(「D」)または脆化破壊(「B」)として報告されるダート衝撃破断パターンである。
【0053】
「デルタダート衝撃」は、0、2000、3000及び5000時間の風化テスト(下記参照)後のプラークに対して測定された。デルタダート衝撃は、(風化の5000時間後の破壊時エネルギー)マイナス(風化の0時間の破壊時エネルギー)である。
デルタダート衝撃=ダート衝撃5000時間−ダート衝撃0時間
【0054】
「WOM−WET」射出成形プラークは、5000時間の風化テストにかけられた。風化は、Atlas CompanyからのWeather−O−Meter Ci35Wでなされ、6.5ワット(W)のキセノンランプ、及び102分の光プラス脱ミネラル水の噴霧のサイクル( WOM WETの条件)を使用した。63℃のブラックパネル温度であり、相対湿度は50%であり、そして放射度は、340nmで1平方メートルあたり0.35ワット(W/m2)であった。テストのサンプルを、風化前と風化2000、3000及び5000時間後に採った。
【0055】
「色」は、Hunter Colorquest Colorimeterを使用して測定された。測定は、透過モードで落下ダート衝撃テストの前に各射出成形プラークについて同じ位置でなされた。以下の値を記録した。黄色指数 YID1925「YI」。
【0056】
「デルタYI」について、YIは、風化テスト(上記参照)の0、2000、3000及び5000時間後のプラークについて測定された。デルタYIは、(風化テストの5000時間後に測定された黄色指数)マイナス(風化テストの0時間で測定された黄色指数)である。
デルタYI=YI5000時間−YI0時間
【0057】
【表1】
【0058】
本発明の分枝カーボネートポリマー組成物を使用したときの衝撃性の保持の改善及び薄い色の形成は、コントロールとの比較から明らかである。
Claims (15)
- (a)ジヒドロキシ化合物と炭酸誘導体、連鎖停止剤及び分枝剤との反応生成物である分枝カーボネートポリマー、ここで分枝剤はフロログルシン;フロログルシド;1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;トリメリット酸;トリメリット酸三塩化物;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸塩化物;または2、6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールであり、並びに
(b)式1
により表されるヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
からなる分枝カーボネートポリマー組成物。 - 分枝剤が、分枝カーボネートポリマー組成物の重量に基づいて、0.01−15重量%の量で存在する請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- 分枝剤が、1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- R1が、H、ClまたはCH3であり;R2が、H、C1−C10アルキル、シクロヘキシル、C7−C9アラルキル、フェニルまたはナフチルであり;R3及びR4が、HまたはC1−C4アルキルでありそしてm及びnは1である請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- R1、R3及びR4が、Hであり;R2が、HまたはC1−C9アルキルでありそしてm及びnが1である請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- 分枝カーボネートポリマーが、22000−39000の分子量を有する請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- (a)分枝カーボネートポリマーにおいて、ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAであり、炭酸誘導体がホスゲンであり、連鎖停止剤がp−第三級−ブチルフェノールでありそして分枝剤が1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンであり、そして(b)ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体において、R1、R3及びR4がHであり;R2がHまたはC1−C9アルキルでありそしてm及びnが1である請求項1の分枝カーボネートポリマー組成物。
- (1)ジヒドロキシ化合物と炭酸誘導体、連鎖停止剤及び分枝剤との反応生成物である分枝カーボネートポリマー、ここで分枝剤は、フロログルシン;フロログルシド;1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;トリメリット酸;トリメリット酸三塩化物;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸塩化物;または2、6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールであり、並びに
(2)式1
により表されるヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
を組み合わせる工程からなる分枝カーボネートポリマー組成物を製造する方法。 - (1)分枝カーボネートポリマーにおいて、ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAであり、炭酸誘導体がホスゲンであり、連鎖停止剤がp−第三級−ブチルフェノールでありそして分枝剤が1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンであり、そして(2)ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体において、R1、R3及びR4がHであり;R2がHまたはC1−C9アルキルでありそしてm及びnが1である請求項9の分枝カーボネートポリマー組成物を製造する方法。
- (A)(1)ジヒドロキシ化合物と炭酸誘導体、連鎖停止剤及び分枝剤との反応生成物である分枝カーボネートポリマー、ここで分枝剤はフロログルシン;フロログルシド;1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;トリメリット酸;トリメリット酸三塩化物;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸塩化物;または2、6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールであり、並びに
(2)式1
により表されるヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
を組み合わせる工程からなる分枝カーボネートポリマー組成物を製造する工程、及び
(B)該分枝カーボネートポリマー組成物を成形品または押し出し品に成形または押し出す工程
からなる分枝カーボネートポリマー組成物の成形品または押し出し品を製造する方法。 - (A)(1)分枝カーボネートポリマーにおいて、ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAであり、炭酸誘導体がホスゲンであり、連鎖停止剤がp−第三級−ブチルフェノールでありそして分枝剤が1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンであり、そして(A)(2)ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体において、R1、R3及びR4がHであり;R2がHまたはC1−C9アルキルでありそしてm及びnが1である請求項11の分枝カーボネートポリマー組成物の成形品または押し出し品を製造する方法。
- 成形品または押し出し品の形の請求項1の組成物。
- 押し出し固体シート、プレート、多重壁シート、共押し出し固体シート、共押し出し多重壁シート、射出成形レンズ、ヘッドランプ、ランプのカバー、照明キャビネット、またはプリンター、複写機、コンピュータスクリーンまたは携帯電話用のハウジングである請求項13の成形品または押し出し品。
- 固体シート、多重壁シート、共押し出し固体シートまたは共押し出し多重壁シートである請求項13の押し出し品。
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