JP2004508922A - 純粋な蒸気を精製するための方法と装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(技術分野)
本発明は、特別な目的のために、純度の高い蒸気を精製することに関する。具体的には、本発明は、流下膜式蒸発器と上昇用通路を用いて水滴と不純物を分離して、純粋な蒸気を精製することに関する。
【0002】
(背景技術)
従来、医薬の製造や、滅菌を必要とする薬の使用、また注射用の水の精製をはじめとして、様々な医療分野で純度の高い蒸気が求められている。例えば、米国特許第3,875,017号明細書は、このような蒸気を精製するための方法と装置について開示している。この従来例は流下膜式蒸発器について開示しており、この装置は垂直方向に延びる加熱蒸発用チューブの束を加熱用ジャケット(ヒーティングジャケット)内に覆われるように有し、さらにこの外側をシェルによって覆っており、加熱用ジャケットと外側のシェルとの間に環状の空間を形成している。このため、蒸発用チューブの上方端部から水を供給すると、チューブの内面に沿って流下して、加熱蒸発されて蒸気となり、チューブの束の下方端部から排気される。次に、蒸気流は流動方向を180°転換して、加熱用ジャケットと外側のシェルとの間の空間内で上昇する。この際、加熱用ジャケットの外面には螺旋状の通路を形成するフィンが取付けられて、フィンの端部とシェルの内面との間に狭い隙間を形成する。このため、上昇する蒸気は螺旋状の通路内に流入することを強いられて、蒸発物中に含まれる水滴は外側のシェルに向って遠心力により振り飛ばされる。この水滴は外側のシェルの壁に付着して、水膜を形成して膜状流下し、最後に装置の底部に液体のプールを形成する。そして、このプールから、精製された純粋な蒸気の量と比例して、水の流れが排出流として抜き出される。ただし、蒸発物中の水の相が不純物を多量に含むと、この不純物は排出流中にも多量に含まれるようになる。また、純度の高い水を精製するために、螺旋状の通路の上方から、蒸気を消費点(コンサンプションポイント)、つまり腹水器(コンデンサ)まで導いている。
【0003】
上述した装置の変化例として、米国特許第5,983,842号明細書の開示例がある。この先行技術では、チューブの束の下方端部から排気される蒸発物は、装置の底部に設けられるバッフルフィンの回転運動によって作用され、また上昇用の空間は頂部に向って狭まっている。この際、螺旋状の通路は上昇用空間の頂部に設けられて、閉口し、つまり、フィンは外側のシェルの内面と接する。この場合、下方に流下して排出される相は形成されず、しかし水滴は螺旋状の通路の上方に設けられる環状の通路内に加速して集められる。そして、異なるチューブを用いて、残りの水の相を装置の低部に戻している。
【0004】
(発明の開示)
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、純度の高い蒸気を精製するため、流下膜式蒸発器の上昇用通路内で水滴と不純物を分離する効果を高めた、より向上された方法と装置を提供することを目的とする。本発明のさらなる目的は、この改良された装置を備えて、純粋な水を精製し、配分するためのシステムを提供することである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る装置は加熱用ジャケットと共に垂直に延びるチューブの束を使用し、即ち、通常のタイプの流下膜式蒸発器を使用する。この際、蒸発物はチューブの束の下方端部から排気される。
【0006】
また、本発明では、蒸発物から水滴と不純物とを分離する装置は、一本のダウンパイプ(縦樋)を有し、流動方向を180°転換する前に、この内部に蒸発物を流動させて、そしてダウンパイプの外面と中間のシェルの内面との間の上昇用通路(空間)内に流入させる。この際、ダウンパイプの先端部をテーパ付けて、じょうご状に形成してもよい。
【0007】
上昇用通路の上方部には螺旋状のフィン(回転翼)が取付けられ、蒸発物を上方に向けて螺旋状に、回転運動させる。この際、本発明では、中間のシェルに少なくとも一つの開口部またはアウトレット・スリットを備えて、遠心力により螺旋状の通路の周囲まで振り飛ばされた水滴を通り抜けさせる。この開口部の外側には、外側のシェルに冷却された表面を備えて、蒸気の凝縮を行わせる。
【0008】
外側のシェルの内面上で凝縮した蒸気はラジアル方向外側に向う流れを形成して、蒸気、水滴及び不純物を上記内面に向って運ぶようにする。そして、水膜を形成すると、外側及び中間のシェルの間の空間内で前記表面に沿って膜状流下する。この結果、装置(ユニット)の底部に水のプールが形成されて、中間のシェルの下方端部を水没させる。排出された水の制御された流れは、プールから抜き出される。そして、螺旋状の通路の上方端部から出た、純粋で、乾燥した蒸気が装置から排気される。
【0009】
さらに、本発明は、蒸気発生器の内部の部品を取り外し自在に構成して、メンテナンスと清浄を容易にし、器具全体が圧力容器に求められる要求事項を満足させる必要がないようにする。
【0010】
(好適な実施形態の説明)
以下、添付した図を参照して、本発明に係る好適な実施形態について説明する。
図1は、流下膜式蒸発器を構成する、シェル・アンド・チューブ形熱交換器を直立位置で示す図である。加熱蒸発用チューブ1はジャケット2により覆われ、この中にインレットとアウトレット4、5を介して熱媒を流す。また、インレット6を介してチューブの上方端部から給水する。そして、蒸発器の下方端部に本発明の実施の形態に係る分離装置を接続する。
【0011】
ここで図2を参照して、分離装置の構成について説明する。同図を参照して、蒸発物はダウンパイプ7内に流入する。図示する実施の形態では、ダウンパイプ7の上方端部をじょうご状の形状として、蒸発器内と同様に分離装置内の外径を等しく保つようにする。蒸発物はダウンパイプの下方端部から排気され、装置の底部付近の水面8と接近し、そして180°向きを変えて、ダウンパイプと中間のシェル10との間の環状の上昇用通路(空間)9内に流入する。この際、螺旋状のフィン11を用いて、蒸発物用の螺旋状の通路12を形成する。
【0012】
蒸発物を螺旋状に運動させると、遠心力が生じて、この力により蒸発物中に含まれる水滴は通路12の周囲に向って振り飛ばされる。この際、蒸発物中に含まれる異物は凝縮用の核(心)として作用することができ、またこの現象はこの異物が螺旋状の通路の周囲に向って振り飛ばされることを向上させる。そして、純粋で、乾いた蒸気がこの螺旋状の通路12から出ると、接合部(継手)21を介して、この装置から排気される。
【0013】
この際、中間のシェル10に少なくとも一つの開口部13を設けて、振り飛ばされる水滴が中間のシェルと外側のシェル14との間の空間16内に流入できるようにする。この際、外側のシェル14には温度制御用ジャケット15が備えられる。このジャケットはシェル14の内面を冷却するように用いられ、空間16内に流入する蒸気は上記内面上で凝縮して、膜状流下する。この凝縮によって、開口部13から螺旋状の経路12内に向う逆流は生じることはない。この際、適切の数の開口部13が、適当な形状で提供される。以上のように、水滴と不純物は遠心力によって壁10の内壁に向って運ばれて開口部を抜け、そして蒸気の凝結生じるラジアル方向外側に向う流れによって、外側のシェル14の冷却された内壁にまで運ばれる。
【0014】
また、開口部は螺旋状の通路の外周囲、即ちシェル10にて、垂直のスリットとして構成されてもよい。また、1つ又は複数のスリットを螺旋状のフィンと平行に形成してもよく、また、開口部を円形、楕円形または他の形状に形成して、螺旋状の通路に沿った回転運動を行う水滴を捕獲することを向上させるように、端部を配向させてもよい。
【0015】
また、凝縮液と水滴からなる水のプールの液面は、中間のシェル10の下方端部17の上方に保たれる。このため、蒸発物の流れは、上述した通路に沿ってのみ可能となる。この際、スペーサ・インデント18を用いて、中間のシェルの下方端部を中央に位置決めさせてもよい。尚、不純物を豊富に含む排出流は符号19で示す位置から排出される。また、水位を監視するために、サイトグラス20を備えてもよい。
【0016】
図3は、図2に示した装置の平面図を示しており、特に温度制御用のジャケットの位置での断面を示している。同図を参照して、大きな矢印は螺旋状の通路内での蒸発物の回転運動を示している。また、小さな矢印で示すように、開口部13はバッフル(そらせ板)を備えて、通路の周囲に運ばれる水滴と不純物を効果的に取込めるようにする。
【0017】
好ましくは、外側のシェル14の温度は制御されて、凝縮を適切な割合で行えるようにする。この際、エネルギーを保つために、ジャケット15内に給水してもよい。この温度制御手段によって、要求される量と純度に基づいて、形成する放出水の量を制御できる。
【0018】
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態に係る、純粋な蒸気を精製するためのシステムについて説明する。図示されるように、流下膜式蒸発器22に対して、ポンプ23を用いて給水する。また、この蒸発器は本発明の実施の形態に係る分離装置24を備える。加熱蒸気(ヒーティング・スチーム)はバルブ25を介して流入し、復水(凝縮液)は接合部(パイプは示していない)26から抜き出される。そして、純粋な蒸気はライン27とバルブ28を介して、蒸発器から排気され、純粋な蒸気のライン用のバルブ29と純粋な蒸気用のトラップ30とを有する配気(分配)用ネットワークに流入する。一方、不純物を豊富に含む排出された水はライン31を介して分離装置24から抜き出される。また、温度制御用のジャケットに用いる供給用と戻り用のライン32、33が備えられる。
【0019】
尚、先行技術の装置では、分離装置の腐食性でかつ密閉された構造のため、蒸気用通路に簡単にアクセスすることができないといった問題があった。特に内部構造を圧力容器のシェルと一体化するため、圧力容器の構造に特有の面倒な解除操作を経なければこの内部構造を変更することができなかった。これに対して、本発明の実施の形態に係る装置では、外側のシェルの部品のみが圧力容器の要求事項を満たせば足り、従って、この内部の部品及び/または細部は、任意の、防腐性の物質から製造することができ、また清浄時と検査時に取り外し自在に構成することができる。このような物質として、例えば、フルオロカーボンポリマ、セラミック素材、特殊鋼または他の任意の物質を用いることができる。尚、この物質は圧力容器のシェルに対して溶着固定されるのに適切である必要はない。さらに、様々な処理量と純度の要求基準に適合できるように、内部の部品を交換自在に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態に係る分離装置を備えた流下膜式蒸発器を有する蒸気発生器を示す図である。
【図2】
本発明の実施の形態に係る分離装置の細部を示す図である。
【図3】
図2に示した分離装置の平断面図である。
【図4】
図2に示した装置を有する、純粋な蒸気を精製するためのシステムを示す図である。
Claims (7)
- 純粋な蒸気を精製するために、蒸発物を浄化するための方法であって、蒸発物に螺旋状の回転運動を作用させて、遠心力により水滴を分離し、さらに、
螺旋状の通路の周囲に振り飛ばされる水滴と不純物を、前記通路の外面上に形成する少なくとも一つの開口部を介して通り抜けさせて、かつ、前記開口部の外側に設ける、能動的に冷却される表面上にまで前記水滴と不純物の集合物を運ぶことを特徴とする方法。 - 前記蒸発物は流下膜式蒸発器によって作り出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記冷却される表面の温度は、給水用の水を用いて制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 純粋な蒸気を精製するために、蒸発物を浄化するための装置であって、圧力容器のシェルと上昇用の空間を蒸発物用に有し、かつ前記上昇用の空間内に螺旋状の通路を形成するフィンを有し、さらに、
前記螺旋状の通路の外面上に少なくとも一つの開口部と、前記開口部の外側に温度調節された表面を有することを特徴とする装置。 - 前記開口部は垂直のスリットであることを特徴とする請求項4に記載の装置。
- 前記圧力容器のシェルの内部の少なくとも一部は、分離可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
- 前記圧力容器のシェルの内部の少なくとも一部は、前記圧力容器のシェルと異なり、防腐物質から形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の装置。
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