JP2004508037A - 高溶解性食物繊維発酵飲料とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、食物繊維の含有量が増加した発酵生成物の製造方法と、溶解性食物繊維の含有量が増加した製品に関する。
Description
【0001】
技術分野
本発明は、食物繊維の含有量が増加した発酵生成物の製造方法と、溶解性食物繊維の含有量が増加した製品に関する。
【0002】
背景技術
ビールのような発酵生成物の製造方法は広汎に知られている。基本的に、ビールやエール、その他の麦芽酒の醸造は、一般的に、麦芽を作り、細かくした麦芽から糖化によって麦芽汁を得、スターチを糖質に変化させ、濾過して麦汁を得、ホップで麦汁を香り付け、麦汁を煮詰め、混合液をイーストで発酵し、発酵した麦汁(すなわち、ビール)を成熟させ、濾過して充填することからなる。
【0003】
最終製品であるビールは、アルコール、水、各種の消化性または非消化性糖質等の様々な成分を含有する。高カロリー成分の大半は、アルコール成分に由来するものの、アルコール成分および消化性糖質は、ともに発酵生成物に高カロリーをもたらす。消化性糖質によるカロリー数は、発酵過程間に全糖質がアルコールに変質しないことによって上昇し、その結果、アルコール成分によるカロリーの他に残留カロリーが加わることになる。
【0004】
食物繊維の摂取による効果は、周知である。この効果は、非溶解性または溶解性の食物繊維の摂取量を増やすことによって得られる。溶解性の食物繊維は、人間の消化系によって容易に消化されるものではなく、大部分は損なわれずに残留して小腸内のマイクロフローラ(microflora)によって有効利用される複雑な炭水化物として定義される。この文言には、フラクトオリゴ糖および非消化性のイソマルトオリゴ糖が含まれる。
【0005】
したがって、溶解性の食物繊維量が増加した発酵生成物を得る製法が提供されれば、有用となる。
【0006】
アルコール成分の含有量を同量としながら、消化性糖質成分の量が少なく、そのために高カロリー成分の残留量が少なく、しかも消費者に受け入れられるビール等の発酵生成物を製造することは、困難である。発酵生成物から消化性の糖質を単に除去したのみでは、受け入れ難い味となり、こくや口当たりが不足したビールとなるので、消費者に受け入れてもらえなくなる。そのような点において、消費者に受け入れられる製品の製造方法が提供されれば、有用となる。
【0007】
現在、発酵生成物には、消費者に有用な食物繊維の利点がほとんどないし全く活用されていない。食物繊維量が増加した発酵生成物の製造方法が提供されれば、健康増進に有用な製品となり、かつ消費者に受け入れられる製品を提供できることになる。また、低カロリーであるか、少なくとも高カロリー成分が減少し食物繊維の含有量が増加した製品は、有用な製品となる。
【0008】
従来、発酵生成物に風味と口当たりを出すためにイソマルトオリゴ糖を含有するシロップが添加されてきた。日本国特開平7−51045号公報(サッポロ社)には、シロップをビールや発泡性ワインに添加することで、最終製品に風味や香りをもたらすことが開示されているが、食物繊維に関しては開示はない。市販シロップには、非消化性IMOが少量含有されている一方、フラクトオリゴ糖は含有されていない。また、消化性IMOがかなりの量(すなわち、25%パノース(panose)以上)含有されている。このことは、製品の風味を向上させる効果をもたらす。
【0009】
PCT出願された国際公開第00/24864号パンフレットには、穀物類から高栄養価ビール(多量のβ−グルカンを含有する)を得る製造方法が開示されている。この製造方法では、多量のβ−グルカンを含有する麦汁を得るために、一般的な麦芽製造過程を回避することが必要である。この種の製法では、麦芽製造過程が変更を所望しない鍵工程とされるので、この点が問題となる。通常の麦芽製造過程では、麦汁の製造を容易とするため、β−グルカンが除去されるからである。
【0010】
発明の目的
本発明の目的は、上記の背景を考慮して、少なくとも利点を明らかにし、欠点を克服し、または少なくとも有用な選択を提供することにある。
【0011】
本発明の要約
本発明に係る第1の観点によれば、食物繊維の含有量が増加した発酵生成物を製造する醸造方法であって、麦芽を製造した後、選定された過程で溶解性食物繊維の付加的な成分を生成する工程を有する製造方法が提供される。
【0012】
溶解性食物繊維の付加量は、少なくとも0.3g/100mlであることが好ましく、0.5g/100mlであることがさらに好ましく、少なくとも0.7g/100mlであることが最も好ましい。
【0013】
醸造工程中に生成される溶解性食物繊維は、非消化性のイソマルトオリゴ糖、および/またはフラクトオリゴ糖を含むことが好適である。
【0014】
合成されたイソマルトオリゴ糖は、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、イソマルトース、パノースの1種以上を含むことが好ましい。
【0015】
溶解性食物繊維は、醸造過程中に酵素的に合成されたものであることが好ましい。
【0016】
溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることが好ましい。
【0017】
溶解性食物繊維は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から酵素的に生成されたイソマルトオリゴ糖であり、酵素的な変換の前のマルトースは2重量%より多く、好適には15〜80重量%、さらに好適には25〜40重量%に保たれていることが好ましい。
【0018】
酵素は、マッシング中または麦汁調製中に添加することが好ましい。
【0019】
本発明に係る製造方法によって得られた製品には、溶解性食物繊維が少なくともおよそ2.5g/100ml、より好適には4g/100mlより多く含まれることが好ましい。製品における溶解性食物繊維の最小量が0.3g/100mlであることが、より好ましい。
【0020】
また、製品に含まれる消化性糖質が8.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0021】
製造方法には、消化性糖質を選択的に発酵させるイーストを添加することによって、または残留した消化性糖質を充分に発酵させる発酵過程を延長することによって、消化性糖質を選択的に除去する工程が含まれることが好ましい。
【0022】
製品に含まれる消化性糖質は、4g/100ml未満、より好適には2.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0023】
醸造過程には、大麦麦芽と副原料を含む麦芽汁を調製し、この麦芽汁を糖化して麦汁を得、麦汁を沸騰させ、麦汁をイーストで発酵させてビールを得る工程が含まれることが好ましい。
【0024】
また、発酵を行う前に、ホップで香り付けを行うことが好ましい。
【0025】
製造方法においては、成熟工程と濾過工程がさらに行われることが好ましい。
【0026】
本発明に係る第2の観点によれば、発酵生成物の製造方法であって、通常の醸造過程中に、消化性糖質から溶解性食物繊維を酵素的に得る工程を有する製造方法が提供される。
【0027】
溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることが好ましい。
【0028】
合成された溶解性食物繊維には、酵素D−グルコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)、または酵素ネオプラナーゼによって酵素的に合成されたイソマルトオリゴ糖が含まれ、および/または、仮にフラクトオリゴ糖が発酵過程で得られるのであれば、酵素フラクトシルトランスフェラーゼを使用することもできる。
【0029】
酵素は、マッシング圧潰中または麦汁調製中に添加することが好ましい。
【0030】
イソマルトオリゴ糖は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から誘導されたものであり、酵素的な反応を起こさせる前のマルトース濃度は、2重量%より多く、好適には15〜80重量%、さらに好適には25〜40重量%であることが好ましい。
【0031】
イソマルトオリゴ糖は、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、パノースまたはイソマルトースの1種以上を含むことが好ましい。
【0032】
本発明に係る製造方法によって製造された製品には、0.3g/100ml、より好適には0.5g/100ml、最も好適には少なくとも0.7g/100mlの溶解性食物繊維が付加されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る製造方法によって得られた製品には、溶解性食物繊維が少なくともおよそ2.5g/100ml、より好適には4g/100mlよりも多く含まれることが好ましい。製品における溶解性食物繊維の最小量が0.3g/100mlであることが、より好ましい。
【0034】
また、製品に含まれる消化性糖質が8.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0035】
製品に含まれる消化性糖質は、4g/100ml未満であることが好ましく、2.0g/100ml未満であることがより好ましい。
【0036】
本発明に係る第3の観点によれば、水と、アルコールと、およそ4g/100ml未満の消化性糖質と、およそ0.3mg/100mlを超える溶解性食物繊維とを含有する発酵生成物が提供される。
【0037】
この生成物には、2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維が含まれることが好ましい。
【0038】
生成物に含まれる消化性糖質は、およそ2g/100ml未満であることが好ましい。
【0039】
生成物に含まれる溶解性食物繊維は、およそ4g/100mlを超えることが好ましい。
【0040】
溶解性食物繊維には、非消化性のイソマルトオリゴ糖、および/またはフラクトオリゴ糖が含まれることが好ましい。
【0041】
本発明に係る第4の観点によれば、水と、アルコールと、およそ0.3g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性のイソマルトオリゴ糖とを含有する発酵生成物が提供される。
【0042】
この生成物には、およそ0.7g/100ml、より好適にはおよそ2.5g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性のイソマルトオリゴ糖が含まれることが好ましい。
【0043】
本発明に係る他の観点および態様は、以下に説明する実施の形態によって明らかとなるであろう。
【0044】
本発明についての詳細な説明
発酵生成物は、通常、大麦麦芽および副原料を含有する麦芽汁から得られた大部分発酵可能な液や麦汁を一般的な手法で抽出し、この麦汁を沸騰させ、ホップでできる限りの香り付けを行って、この混合物をイーストで発酵させてビールを得ることによって製造される。その後、必要に応じて、熟成、濾過、最終的な充填が行われる。
【0045】
本発明は、主に、溶解性食物繊維を多量に含有する製品を製造する醸造工程に関する。この繊維は、好ましくは、醸造過程中に消化性糖質から酵素的に合成されたものである。この過程を経ることにより、溶解性食物繊維の添加量が0.3g/100ml、好ましくは0.5mg/100ml、好ましくは0.7g/100mlを超える製品を得ることができる。溶解性食物繊維の量が少なくなると、特に減少した消化性糖質成分と結合すると、製品の風味が増すので望ましい。この点に関しては、後述する。
【0046】
本発明は、一般的なビールやエール、他の麦芽酒に関し(しかしながら、酒、ワイン、サイダー、発酵果物ジュース等も含まれ、かつこれらに限定されるものではない)、食事上の必要性に充分に適合するように、溶解性食物繊維の含有量が増加したものである。この種の飲料製品には、およそ2.5g/100mlを超え、より好適には4g/100mlよりも多くの溶解性食物繊維が含まれることが好ましい。溶解性食物繊維の量は、それより少なくてもよいが、このことは、所望の効果が得られるに至るまで、多量の製品を消費する必要があることを意味する。
【0047】
本発明は、消化性糖質の含有量が少なく、このために低カロリーであるとともに、受け入れられる風味特性を有する低カロリー製品となるような、溶解性食物繊維の含有量が増加した発酵生成物をも含む。受け入れられる風味特性を得るために、低カロリー製品は、後述するように、食事上の理由から、およそ0.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することが好ましく、およそ2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することがより好ましい。低カロリー製品に含まれる消化性糖質は、4.0g/100ml未満であることが好ましく、2.0g/100ml未満であることがより好ましい。
【0048】
食物繊維の量を増加させることにより、消費者に良好に受け入れられる(受け入れられる風味、こくおよび口当たりを有する)製品となることが判明した。このことは、消費者に良好に受け入れられる低カロリー製品が、消化性糖質の含有量を低減し、少なくとも部分的に非消化性のイソマルトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖等の溶解性食物繊維に代替することで得られることをも示す。
【0049】
パノースやイソマルトース等のIMOは、量や濃度、消化状況に応じて様々な消化性物質を含有するので、副材料が少ない方が好ましい。重合度(DP)が3であるIMOも使用することができるが、重合度が4以上であるIMOがさらに好ましい。
【0050】
消化性糖質によって、糖質が人間の消化系に直接摂取されてエネルギ源として有効利用される。溶解性食物繊維は、上記した通りに定義される。溶解性食物繊維が、非消化性炭化水素、特にオリゴ糖であり、発酵されたものでないことは、当業者が明らかに容易に諒解し得る事項である。本明細書において開示された技術は、発酵可能な炭化水素と糖質を非発酵性のオリゴ糖に変質させるものである。
【0051】
食物繊維が存在することに由来して健康を増進させるためには、最終製品における食物繊維の量が2.5g/100mlを超えることが好ましいが、0.3g/100mlを超える量であればよい。IMOが機能するのに必要な量は、文献によって様々であるが、必要なIMOの相対量も一貫していないが、この量は利用し得る情報、350ml製品(すなわち、およそ標準的な缶または小瓶)の消費に基づくことが好ましい。または、2本の瓶/缶で製品の内容を適切に構成することで、量を決定するようにしてもよい。
【0052】
カネコらは、「IMO2」(DP1−グルコース0.6%、DP2のマルトース2.1%、イソマルトース63.8%、ニゲロースコジイオース22.6%、DP4のイソマルトテトラオースおよびその他0.5%)を1日に10g摂取することにより、12日間以内にビフィズス菌が顕著に増加すると報告している(Biosci. Biotech. Biochem., 58(12), 2288−2290, 1994)。
【0053】
また、カネコらは、重合度が大きなシロップ「IMO3」(DP1のグルコース0.6%、DP2のマルトース1.1%、イソマルトース2.7%、ニゲロース/コジビオース1.5%、DP3のマルトトリオース4.2%、パノース27.7%、イソマルトトリオース12.1%、重合度4のイソマルトテトラオースおよびその他30.7%、重合度5のイソマルトペンタオースおよびその他8.3%、重合度6またはそれより大であるイソマルトヘキサオースおよびその他11.1%)であれば、1日僅か5gの摂取で、12日間以内にビフィズス菌が顕著に増加するとも報告している。
【0054】
コウモトらは、ビフィズス菌が増加するIMOの最小量が1日当たり8〜10gであることを実証している(Biosci. Biotech. Biochem., 56(6), 937−940, 1992)。このIMOシロップの組成は、DP1のグルコース2.4%、DP2のマルトース3.6%、イソマルトース32.3%、ニゲロース/コジビオース9.1%、DP3のパノース12.3%、イソマルトトリオース14.8%、重合度4のイソマルトテトラオースおよびその他15.5%、重合度5のイソマルトペンタオースおよびその他6.9%、重合度6のイソマルトヘキサオースおよびその他3.3%である。この文献では、およそ75%のIMOが消化され、25%が大腸を通過してマイクロフローラによって発酵されたことも示されている。この25%のIMOは、シロップ中のIMOにおける重合度4以上のものの割合と相関関係がある。
【0055】
上記したように、溶解性食物繊維の必要量は文献によって異なる。しかしながら、これは、溶解性食物繊維の増加が利点をもたらし、重合度が少なくとも4であるIMOが1日につきおよそ2〜2.5gであるという観点を支持するものである。実際、連邦規制の合衆国法典では、溶解性食物繊維を1日当たり6g摂取すべきであると奨励されている。溶解性食物繊維の含有量が2.5g/100mlである製品を提供することは、溶解性食物繊維を含有する製品の摂取量が過剰となることなく溶解性食物繊維の摂取量を増加させることになる。このことを達成し得る下限値は0.3g/100mlであるが、ビールのような飲料では、製品の摂取量は少ない方が好ましい。
【0056】
本発明に係る好適な実施の形態によれば、イソマルトオリゴ糖(IMO)やフラクトオリゴ糖等の溶解性食物繊維が、醸造過程中に酵素的に合成される。所望であれば、醸造過程を、酵素的反応が溶解性食物繊維を生成するように最適化することもできる。この場合、消化性糖質の量が本質的に低減し、かつ溶解性食物繊維の量が増加する。
【0057】
好適な実施の形態では、IMOは、好ましくは麦芽製造の後でかつ発酵の前に、醸造過程中の所望の段階で、IMOを生成することが可能な酵素が添加されることによって醸造過程中に合成される。なお、IMOは、存在する基質を醸造過程それ自体によって変換するか、または、醸造過程中に別個の成分として添加された適切な基質(すなわち、副原料)の付加を介することによって合成される。
【0058】
酵素は、醸造過程において、麦芽汁を得る工程の後に糖化されて得られた麦汁に添加することが好適である。この理由は、この段階では、麦汁を主工程から分離した上で長時間に亘る酵素反応を行わせるべく予備の醸造容器に貯留することが可能であり、これにより醸造効率を向上させることができるからである。酵素の添加時期は、特にこれに限定されるものではなく、例えば、マッシング工程で添加するようにしてもよい。これは、変形例の1つではあるが、マルトースの量が低下するのでイソマルトオリゴ糖の収量が低下すること、時間が限られてくること、醸造過程に工程を付加することが非常に困難であることから、やや好ましからざる実施例ではある。
【0059】
特に好適な実施の形態は、過程中でD−グルコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)を使用して、麦汁中に存在するか、あるいは増加した適切なマルトースおよび/またはマルトオリゴ糖基質から、重合度(DP)の大きなイソマルトオリゴ糖(IMO)を合成することである。別の特に好適な実施の形態は、酵素が、フラクトオリゴ糖(FOS)を生成する能力を有するフラクトシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.10)である。D−グルコシルトランスフェラーゼおよびフラクトシルトランスフェラーゼは、醸造中に溶解性食物繊維を合成するのに好適な酵素である一方、醸造過程中に存在するマルトースおよび/またはマルトオリゴ糖等の糖類および/またはオリゴ糖や、フラクトースおよび/またはフラクトオリゴ糖がさらに重合して所望のIMO生成物を得る変換触媒としての能力が高いからである。本明細書に開示したように、醸造過程中に存在する糖質や炭化水素成分を溶解性食物繊維に変換するような酵素であれば、如何なる酵素も有用である。すなわち、例えば、溶解性食物繊維を酵素的に生成するような、表1に列挙された酵素は、醸造中にIMO生成物を得るのに有用である。
【0060】
本明細書で開示された酵素的変換は、消化性糖質を低減すると同時に、溶解性食物繊維の含有量を増加させるという利点がある。すなわち、本発明に係る製造方法は、消化性の麦汁糖質から溶解性食物繊維を生成することに利用することができる。しかしながら、表1に列挙された酵素は典型的なものではあるが、これに限定されるものではなく、醸造過程中の所望の段階で、ある種の基質を添加することもできる。この添加された基質は、添加された基質を所望の溶解性食物繊維に変換可能な酵素の基質を与える。
【0061】
本発明において明細書中で開示された有用な酵素は、該酵素を生成する公知の出発原料から得られる。例えば、適切なグリコシルトランスフェラーゼやフラクトシルトランスフェラーゼは、動物、微生物、植物から得ることができる。好ましくは、酵素がフラクトシルトランスフェラーゼである場合、出発原料である有機体は、黒色アスペルギルスまたはアスペルギルス泡盛であり、酵素がグリコシルトランスフェラーゼである場合、出発原料である有機体は、黒色アスペルギルスである。しかしながら、適切な酵素は、様々な種類の有機体から得られる。例えば、アブシディア種、アクレモニウム種、アクチノミセス種、アガリクス種、アメロスポリウム種、アナエロミセス(anaeromyces)種、アスペルギルスアウキュリーツ(A. auculeatus)、アスペルギルス泡盛、アスペルギルスフラーブス、アスペルギルスフォエティデュス(A. foetidus)、アスペルギルスフュマリクス(A. fumaricus)、アスペルギルスフミガーツス、アスペルギルスニデュランス(A. nidulans)、黒色アスペルギルス、アスペルギルスオリザエ(A. oryzae)、アスペルギルステレウス、アスペルギルスバーシカラ(A. versicolor)を含むアスペルギルス種、アエウロバシディウム(Aeurobasidium)種、バイポーラリス(Bipolaris)種、セファロスポルム(Cephalosporum)種、キトミウム(Chaetomium)種、コプリナス(Coprinus)種、カーバラリア(Curvalaria)種、ダクチルウム(Dactyllum)種、エルウィニア(Erwinia)種、フサリウムコングロメラン(F. conglomerans)、フサリウムデセムセルラーレ(F. decemcellulare)、フサリウムジャバニカム(F. javanicum)、フサリウムリニ(F. lini)、フサリウムオキシスポルム(F. oxysporum)、フサリウムソラニ(F. solani)を含むフサリウム(Fusarium)種、グリオクラディウム(Gliocladium)種、ヒュミコラインソレン(H. insolens)、ヒュミコララニュギノサ(H. lanuginosa)を含むヒュミコラ(Humicola)種、ミセリオプトーラ(Myceliophthora)種、ミロセシウム(Myrothecium)種、ミュコル(Mucor)種、ニュロスポラクラサ(N. crassa)、ニュロスポラシトフィラ(N. sitophila)を含むニュロスポラ(Neurospora)種、ネオカリマスティック(Neocallimastix)種、オーピノミセス(Orpinomyces)種、ペニシリウム(Penicillium)種、ファネロキート(Phanerochaete)種、フェレビア(Phlebia)種、ピロミセス(Piromyces)種、ペセウドモナス(Pseudomonas)種、リゾプス(Rizopus)種、シゾフィラム(Schizophyllum)種、ストレプトミセス(Streptomyces)種、スターチボトリス(Stachybotrys)種、トラメテス(Trametes)種、トリコデルマレッセイ(T. reesei)、トリコデルマロンギブラディアトム(T. longibrachiatum)、トリコデルマビライド(T. viride)を含むトリコデルマ(Trichoderma)種、ジグロリンカス(Zygorhynchus)種から、酵素や、DNAエンコード酵素を誘導するようにしてもよい。同様に、本発明においては、バシリス(Bacillus)種、アクチノミセス(Actinomyces)、ストレプトオリボクロモジェネス(S. olivochromogenes)を含むストレプトミセス種、特に、フィブロバクタスクシノジェネス(Fibrobacter succinogenes)等の繊維分解性ルミナル(ruminal)バクテリアのようなバクテリア中や、カンジダトレシル(Candida torresil)、カンジダパラプスロシス(C. parapsllosis)、カンジダ酒(C. sake)、カンジダゼイラノイデス(C. zeylanoides)、ピチアミニュタ(Pichia minuta)、リョドトルラグルチニス(Rhodotorula glutinis)、リョドトルラムシラジノーサ(R. mucilaginosa)、スポロボロミセスホルサチクス(Suporobolomyces holsaticus)を含むイーストにも、酵素や、DNAエンコード酵素を見出し得ることが予測される。
【0062】
特に好適な実施の形態においては、組み換え宿主細胞内にてDNAエンコード酵素を圧出することによって、多量の酵素を生成させる。この種の圧出技術は周知であり、DNAエンコード酵素の分離、促進因子や信号配列、終結サイト、適当な遺伝標識を含む適切な媒介体へのDNAの付着、媒介DNAによって適切にエンコードされた褶曲蛋白質を圧出可能な適当な宿主細胞への媒介体の変質が含まれる。
【0063】
例えば、分離されたDNAは、自己分裂する染色体外の媒介体か、またはホストゲノムに一体化する媒介体に置き換わる。上記したように、これらの圧出媒介体は、転写または並進運動が規則的な核酸を含み、核酸に所望の酵素活性をエンコードすることが実施可能である。例えば、先行連鎖または分泌の始端部であるDNAは、ポリペプチドのDNAに連結可能であり、ポリペプチドの分泌に関与するプレ蛋白として圧出される。好適な実施の形態では、自発的に生じた分泌連鎖が様々な蛋白の分泌を減少させる場合、自発的な分泌の始端部連鎖が所望のものに置き換えられる。この実施の形態においては、無関係の分泌始端部連鎖を、蛋白分泌を増加させる核酸をエンコードする様々な蛋白に連結させることが可能である。したがって、自発的に生じる酵素の分泌とその分泌連鎖とを比べる場合、結果として所望の酵素を増加させるものであれば、如何なる分泌始端部連鎖も所望のものである。
【0064】
蛋白の分泌を高める適切な分泌始端部連鎖を得る方法は、当業者に周知である。すなわち、転写および並進運動が規則的な連鎖は、限定されるものではないが、促進因子連鎖と、リボソーム結合サイトと、転写開始または停止連鎖と、向上因子または活性連鎖とを含む。
【0065】
酵素をエンコードする核酸は、セルに導入され、圧出媒介と結合するのが一般的である。導入方法は、ターゲットとなるセルの種類に大きく依存して決定され、CaPO(4)析出、リポソーム融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、ウィルス感染等々のような方法が含まれる。核酸は、安定して宿主細胞のゲノムと一体化するか、例えば、標準的な規則性連鎖および選択遺伝標識を活用する慣習的な核外遺伝子を使用することを介して、一時的または安定して細胞質内に存在する。
【0066】
本発明において、酵素は、蛋白の圧出を引き起こす適切な条件下で、蛋白をエンコードする核酸を含有する圧出媒介体か、蛋白それのみをエンコードする核酸で転換された宿主細胞を培養することによって生成される。蛋白を圧出する適切な条件は、圧出媒介体や宿主細胞として如何なる種類のものを選択したかによって相違するものの、当業者がルーチン的な実験を介して容易に決定することができる。例えば、圧出媒介体に構成性染色質の促進因子を使用すれば、宿主細胞の成長や増殖を最適化することが必要となり、一方、誘導促進因子を使用すれば、誘導のために適切な成長条件が必要となる。適切な宿主細胞は、イースト、バクテリア、糸状性または他の菌類、昆虫、ほ乳類を含む動物の細胞である。
【0067】
D−グリコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)は、溶解性食物繊維を生成するのに好適な酵素であり、マルトースやマルトオリゴ糖(基質)を重合度がより大きいイソマルトオリゴ糖(生成物)に変換する触媒として機能する。フラクトシルトランスフェラーゼは、フラクトオリゴ糖を生成するのに好適である。これらの好ましい付加価値は、消化性糖質の含有量を低減すると同時に、溶解性食物繊維の含有量を増加させることにある。したがって、本発明に係る製造方法においては、溶解性食物繊維を生成するために、通常の消化性麦芽糖質が使用される。
【0068】
ある種のトランスフェラーゼを使用する工業的規模の酵素的プロセスでは、表1(クリッテンデン,R.G.とプレイニ,M.J.、1996,Trend in Food Science and Technology、11月、第7号、第353〜361頁)に示されるように、スターチからイソマルトオリゴ糖(IMO)やシクロ−デキストリン等の各種のオリゴ糖が、スクロースからフラクトオリゴ糖(FOS)が、ラクトースからガラクトオリゴ糖(GOS)が、それぞれ生産される。
【0069】
表1(下記)に、基質と、該基質から得られるオリゴ糖とを、麦汁/ビールに関わりなく併せて示す。基質を変換する触媒として機能する好適な酵素が使用されていることも諒解される。
【0070】
【表1】
【0071】
発酵した生成物は、通常、比較的高カロリー分を含む。その大多数は、生成物に含まれるアルコール成分によるものである。しかしながら、残留カロリー分の大半は、次なる発酵過程で生成物中に残存する消化性糖質に含まれている。これら消化性糖質の大部分を、延長した醸造過程(長時間醸造)によってアルコールに変換することで除去し、カロリーを低下させる。しかしながら、醸造過程を延長することは、製品の香り、こく、口当たりが低減する傾向が現れるのが一般的であり、換言すれば、消費者に受け入れられ難いものとなる。
【0072】
非消化性イソマルトオリゴ糖等の溶解性食物繊維は、カロリーを高めることなくビールの香り、こく、口当たりを向上させ、したがって、低カロリーでありながら、消化性糖質の量が低減するとともに溶解性食物繊維の量が増加して、満足いく風味のビールを生産するための機構を供することができる。この繊維は、通常、発酵生成物中に存在するが、その量は僅かである。したがって、消化性糖質を単に除去したのみでは、低カロリービールにおいて、満足のいく風味とならないので、風味が受け入れられる程度となるまで、生成物中の溶解性食物繊維の含有量を増加させる必要がある。これは、最終製品において、非消化性糖質(すなわち、溶解性食物繊維)の量は、およそ0.3g/100ml〜およそ0.5g/100ml必要であるが、消費者に受け入れられ、かつ上記した食事療法的な理由から、2.5g/100mlを超えることが好ましい。
【0073】
このため、好適な一実施の形態では、本発明は、消化性糖質の量が少なく、その一方で、多量の消化性糖質を含む従来製品と同様の風味、こく、口当たりを有する発酵生成物に関する。好ましい実施の形態では、風味は、消費者に数々の健康的な利点をもたらす溶解性食物繊維の量を増加させることで向上する。
【0074】
所望であれば、製造方法は、発酵過程の終了時に残存する消化性糖質が、発酵過程を延長するか、または、マルトトリオースおよびイソマルトオース等の消化性糖質を対象とするある種のイーストや、半消化性糖質パノースを添加することによって除去されるように最適化することができる。
【0075】
残留消化性糖質の量を最小にする方法の1つは、イーストを使用して残存した消化性糖質を選択的にアルコールに発酵させて醸造混合物から消化性糖質を除去し、消化性糖質による最終製品におけるカロリー含有量を僅かにすることである。
【0076】
最終製品から残留消化性糖質を除去することと、(上記で定義した)溶解性食物繊維を増加させることとにより、低カロリーであるとともに、溶解性食物繊維の量が増大した発酵飲料が得られる。
【0077】
溶解性食物繊維(例えば、イソマルトオリゴ糖および/またはフラクトオリゴ糖)の量の増加は、醸造中に含まれた消化性糖質に対し、消化性がより低いこれらのオリゴ糖を生成するように作用するある種の酵素を使用しての、麦汁やビールの生産に繋がる。この糖質基質、例えば、マルトースを生成するべく、醸造中に麦芽マルトオリゴ糖(例えば、バーレイ−β−アミラーゼ、プルラナーゼ)から多量のマルトースを生成するために、麦汁またはビールに対し、数種の有用な酵素が醸造過程中に添加される。これは、次に、マルトースの糖転移反応またはスクロースの同様の糖転移反応(例えば、フラクトシルトランスフェラーゼを使用しての)を起こす。
【0078】
D−グルコシルトランスフェラーゼは、以下の反応によって、イソマルトオリゴ糖を生成する。
【0079】
第1段階 グルコシル−酵素錯体の形成
マルトース(G−G)+酵素→酵素−グルコース錯体(E−G)+グルコース(G)
第2段階 糖転移
1次反応 マルトース(G−G)+E−G→パノース(DP3)+E
2次反応 グルコース(G)+E−G→イソマルトース(DP2)+E
パノース(DP3)+E−G→
デキストラントリオシル−D−グルコース(DP4)+E
イソマルトース+E−G→イソマルトトリオース(DP3)+E
第1段階では、全ての連鎖反応に関与する酵素−グルコース錯体を充分な量得るために、初期のマルトース濃度を高くすることが必要であることが判明した。
【0080】
標準的な醸造過程は(充填するまで)、少なくとも以下の段階を有する。
【0081】
1.大麦の麦芽をマッシングして麦芽汁を得る
2.麦芽汁中のスターチの大半を、酵素によって麦芽から発酵可能な糖質に変換する
3.麦芽汁を漉して発酵可能な糖質と発酵不可能な糖質とを含有する麦汁とする
4.麦汁を、麦汁収集容器に収集する
5.この麦汁を、沸騰容器内で沸騰させる。この段階では、糖質の付加的な出発原料(例えば、スクロース、マルトースシロップ)等のホップや副原料を添加してもよいし、添加しなくてもよい
6.麦汁を冷却する
7.イーストを加え、発酵可能な糖質をCO2とアルコールに変換する。すなわち、発酵させる
8.熟成
9.濾過
10.充填
本質的な醸造という点からは、工程8、9および10は付加的な工程である。
【0082】
本発明に係る製造方法は、上記の標準的なプロセスに加え、以下の付加的な工程が含まれることが好ましい。
【0083】
2a:
麦汁を効率よく発酵させる酵素、例えば、バーレイ−β−アミラーゼおよびプルラナーゼ、またはその他の酵素や、マルトース/マルトトリオースの比率を高め、グルコースの比率を減少させる酵素の付加
3a:
第1麦汁の味を濃くするべく、濾過方法を緩和する
4a:
多量のマルトースシロップを添加する
4b:
冷却して反応温度を下げ、pHを調整する
4c:
麦汁を、多量の溶解性食物繊維を生成する酵素(例えば、イソマルトオリゴ糖を生成するD−グルコシルトランスフェラーゼ)とともに充分な時間(体積が大きく減少するビールならば約2時間、体積がさほど減少しないビールならば約8時間)反応させる
7a:
イソマルトース/パノースを発酵させて重合度が大きいIMOのみとし、低カロリー、かつ溶解性食物繊維が多量に含まれるビールを生成する
以下は、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を使用した場合のプロセスの好適な条件である。
【0084】
およそ8〜10TGUユニット/乾燥固体1gの充分な酵素線量率(体積消費が小さいビールでは、14〜16TGUと高く)
およそ55〜65℃の最適な温度範囲
およそ4〜6、好ましくは4.5〜5.5の最適なpH範囲
D−グルコシルトランスフェラーゼの好適な添加時点が、麦汁を漉した後であること(ラウター(lauter))。好適な形態では、この麦汁は、マルトースを最大限含む
イソマルトオリゴ糖をより多量に得るための充分な反応時間
酵素的な変換の前に、好適に維持されるマルトース濃度は、およそ2重量%より大、好ましくはおよそ15〜80%、さらに好ましくは25〜40%である
勿論、溶解性食物繊維の効果を得るために、醸造過程またはその過程中のいずれかの段階で、本明細書で既に説明したようにビール(すなわち、サッポロ)にIMOを添加する方法に代え、市販の高IMO量シロップを添加するようにしてもよい。摂取された生成物は、通常の食事制限を補完するように、添加された溶解性非消化性食物繊維を摂取者にもたらす。350ml瓶が1日に2本摂取されるのであれば、必要な溶解性非消化性食物繊維は、0.7g/100ml必要である。公知の製品(例えば、消化性糖質を多量に含有するサッポロ)は、風味が良好なのみであり、この点を容易に達成し得るものではない。
【0085】
しかしながら、シロップを添加し、充分な量の溶解性食物繊維を含む低カロリービールを生産することを所望するのであれば、醸造過程のどこかで繊維を添加することに代え、発酵に先んじて滅菌された状態で添加する必要がある。選択されたイーストは、IMOシロップによって導入された消化性糖質の大部分を発酵させ、既に溶解性食物繊維として特徴づけた、消化性で重合度の大きいIMO糖質を低減させる。
【0086】
実験例
実験例1 D−グルコシルトランスフェラーゼ反応を必要とする麦汁の比較
表2−麦汁の比較
下記の表は、D−グルコシルトランスフェラーゼと連鎖反応して麦汁を生成するのに必要な麦芽組成の相違を示すものである。
【0087】
【表2】
【0088】
通常の醸造麦汁は、大麦の麦芽をマッシング工程によって麦芽汁とし、該麦芽汁が45℃で25重量%となるように醸造用水に導入することで生成した。20分間温度を保持した後、1℃/分の昇温速度で70℃に昇温した。糖化のために50分間保持して、76℃に昇温した。麦芽汁を、ラウタリングによって漉した後、醸造容器に移した。糖度が67°ブリックスの液体糖質を全糖分量が20%となるまで添加し、麦汁を90分沸騰させて冷却した後、麦汁100ml当たり糖分量15.6gとなるように醸造用水で希釈した。
【0089】
マルトース量を最大にした麦汁は、大麦の麦芽をマッシング工程によって麦芽汁とし、麦芽汁が45℃で30重量%となるように醸造用水に導入することで生成した。温度を20分間保持した。マルトースの最大化のため、外来栄養の酵素を添加した。その後、1℃/分の昇温速度で63℃に昇温して100分間保持した。糖化のために72℃に昇温して、45分間保持した。麦芽汁を、ラウタリングによって漉した後、醸造容器に移したが、この麦汁の濃さを通常の14g糖分量/100mlから25g糖分量/100mlに増加させる手法を用いた。この麦汁を15分間沸騰させ、残留物の活性を消失させた。51.5g/100mlのマルトースを含む高マルトースシロップを添加し、麦汁におけるマルトース量を26.5g/100mlとした。この時点で、全糖分量は、59.5g/100mlとなった。
【0090】
以下の実験例2での方法による、HPLC解析結果を参照されたい。
【0091】
実験例2 麦汁とD−グルコシルトランスフェラーゼの酵素的反応
実験例1で生成したマルトース量が最大の麦汁500gを、pH5.0に調整してマッシュ浴内で60℃に加温し、実験の最後までこの温度を保持した。この麦汁に対し、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を500g添加した。0、4、8、12、24時間毎に、5mlのサンプル液を取り分けた。即座に0℃に冷却して保持し、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した。高速液体クロマトグラフィ(HPLC)は、イソマルトオリゴ糖の量を測定するために使用した。HPLCに25μlを注入し、出現したピークの面積と、標準基質によるピークの面積とを比較することにより、オリゴ糖の含有量を定量した。
【0092】
HPLC装置と条件は下記の通りである。
【0093】
検出デバイス−屈折率検出器
カラム−スペルコシルLC−NH2 25cm×4.6mm 25℃における粒径が5ミクロン
溶媒−アセトニトリル:水=75:25、流速1ml/分
この解析結果は、以下の通りである。
【0094】
【表3】
【0095】
食物繊維としてのイソマルトオリゴ糖(IMO)の機能的線量率
上記の表3のデータは、重合度2、重合度3、重合度4/重合度4+のIMOに再フォーマットすることが可能である。この麦汁の全糖分量は、発酵可能ではないが、麦芽中のスターチの沈殿からの消化性デキストリンとして存在する付加的な糖分を含めて59.5g/100mlである。表4に、このデータをg/100mlとして表す。
【0096】
【表4】
【0097】
上記の表4中の生成物は、カネコらやコウモトらによって開示された溶解性食物繊維としての機能を有するIMOを充分な量生成する。
【0098】
実験例3 麦汁とD−グルコシルトランスフェラーゼとの酵素的反応
実験例1で生成したマルトース量が最大の麦汁13.7リットルを、pH5.0に調整して、パイロットプラントの容器内で60℃に加温し、実験の最後までこの温度を保持した。この麦汁に対し、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を41.75g添加した。0、2、4時間毎に、10mlのサンプル液を取り分けた。即座に0℃に冷却して保持し、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した。HPLCの解析方法については、実験例2と同様である。この解析結果は、以下の通りである。
【0099】
【表5】
【0100】
食物繊維としてのイソマルトオリゴ糖(IMO)の機能的線量率
上記の表5のデータは、重合度2、重合度3、重合度4/重合度4+のIMOに再フォーマットすることが可能である。この麦汁の全糖分量は、発酵可能ではないが、麦芽中のスターチの機能不全からの消化性デキストリンとして存在する付加的な糖分を含めて60.5g/100mlである。表6に、g/100mlとして表す。
【0101】
【表6】
【0102】
この表において、表4に比して値が低いが、重合度が3または4であるIMOの量と割合は、5〜10gIMO/日に達している。重合度4のIMOの量と割合も、2.5g/日に達している。
【0103】
速やかな反応が生じ、多量のパノースがイソマルトースとなるように、このサンプルの条件を調整した。
【0104】
要するに、実験例2および実験例3においては、酵素的な反応が、IMOとしての溶解性食物繊維を充分に含有し、このためにビフィズス菌の機能増加をもたらすことが示された。
【0105】
実験例4 酵素的反応条件の最適化
反応条件は、最終製品であるビールの味の濃さ、種類、1日の目標摂取量等に応じて、醸造サイクルをより的確なものとしたり、コスト(例えば、酵素に要するコスト)を抑制したり、最終製品であるビールにおける非消化性IMOの量を相違させること等によって最適化することができる。
【0106】
実験例2に類似した条件下で別の実験を行った。マルトース量が26.5%であるマルトース量が最大化された麦汁に代替して、38.9重量%(HPLCによる)であるものを使用したことが、実験例2からの変更点である。これは、麦汁とマルトースシロップの割合を変更することで行った。反応条件、すなわち、トランスグルコシダーズL−500酵素の量が相違する。結果と反応条件を表7に示す。これは、上記の目的のためのIMO収量が時間と酵素濃度によって変更し得ることを意味するものである。
【0107】
【表7】
【0108】
次の実験例により、この生成されたIMOを含有して受け入れられ得るビールが示されるであろう。
【0109】
実験例5 溶解性食物繊維を含有するビールを生成するための発酵
実験例3から得られた反応麦汁の体積を13.7リットルから40リットルに増加し、沸点に上昇させた。20分後にホップを添加して15EBUとし、麦汁を合計で90分沸騰させた。これを渦巻浴に移し、11℃に冷却して、醸造用水で希釈して糖分量が15.6g/100mlの麦汁を得た。これに対して醸造用イーストを加え、発酵が完全となるまで12日間、13℃で発酵させた。イーストを加える前の麦汁と、イーストを加えてから後の2〜3日毎の麦汁とからサンプルを取り分け、上記した方法でHPLCによる解析を行った。結果を表8に示す。
【0110】
【表8】
【0111】
表8のデータから、発酵可能な糖質が予測通りにアルコールとCO2に変換され、一方、IMO(イソマルトース、パノースおよびデキストラン−3−グルコース)はほとんどイーストによって変換されず、このために溶解性食物繊維を充分に含有するビールが生成されたことが諒解される。最終製品であるビールにおけるIMOの相対量を、下記の表9に示す(発酵が終了した際の最終製品であるビールのアルコール分が、3.85体積%から4.51体積%に上昇していることに留意されたい)。
【0112】
【表9】
【0113】
このビールを熟成し、濾過した後、通常の方法で充填した。このビールの解析結果を、標準的な市販ビールと対比して表10に示す。
【0114】
【表10】
【0115】
着目すべき相違点の1つは、発酵不可能なIMOが存在することにより、OE、REおよびAE等の糖分がより多量であることである。
【0116】
このビールにつき、修練したテスターによる目隠しテストを行ったところ、糖質の量がより多いにも関わらず、甘さやこくの向上は認められなかった。
【0117】
溶解性食物繊維の源としてのIMOを充分に含有するとともに、受け入れられ、かつ風味が匹敵するビールが生産された。
【0118】
実験例6 高溶解性繊維/高残留糖質ビールの高溶解性繊維/低残留糖質ビールへの変換
上記の実験例5を再度行ってIMOを多量に含有する麦汁を得、選択したイーストでイソマルトースとパノースを発酵させ、重合度が4以上のもののみを残留させた。これにより、機能し得る量の溶解性食物繊維を含有する低カロリービールが得られた。
【0119】
マルトトリオースを完全に発酵させることが可能な醸造用イーストが存在することは公知であり、また、文献(ギリランド、European Brewing Congress,1970)においては、サッポロの記述(上記)とは逆に、ある種のイーストがパノースとイソマルトースを発酵させ得ることが示唆されている。
【0120】
標準的な麦汁は、大量の麦汁を再生産するために、マルトース量が最大化された麦汁と、実験例5での発酵に使用されたのと同様に、多くの試発酵を可能とするIMOとから生成される。
【0121】
通常の醸造麦芽(表2に示したように)20kgに対し、IMO500のシロップは4kg必要であり、IMO900のシロップは1kg必要である。その後、18.5°プラトに希釈される。
【0122】
5リットル発酵フラスコ内のこの液に様々な種類のイーストを20万イースト細胞/mlで接種して発酵を行わせ、糖質プロファイルをモニタリングした。このうちの幾つかの結果を表11に対比して示す。
【0123】
【表11】
【0124】
標準的な醸造用イースト(2および3)は、マルトースを完全に発酵させることはなく、かつイソマルトースとパノースは発酵させなかった。しかしながら、イースト14および18は、イソマルトースを全て発酵させ、かつパノースのほとんどを発酵させた。したがって、消化性、せいぜい半消化性でかつ非消化性の溶解性食物繊維と類別することができないと判断されるグルコシル化転移からのこれら重合度が小さい反応生成物は、ビールから効率よく除去され、その結果、低カロリービールとなる。
【0125】
上記した説明において、公知のものに言及する場合、本明細書にその内容を盛り込んだものとし、詳細な説明は省略する。
【0126】
上記した実施例および形態に対し、請求の範囲に定義された本発明の要旨を逸脱することなく、種々の改変・変形が可能なことは明らかである。
技術分野
本発明は、食物繊維の含有量が増加した発酵生成物の製造方法と、溶解性食物繊維の含有量が増加した製品に関する。
【0002】
背景技術
ビールのような発酵生成物の製造方法は広汎に知られている。基本的に、ビールやエール、その他の麦芽酒の醸造は、一般的に、麦芽を作り、細かくした麦芽から糖化によって麦芽汁を得、スターチを糖質に変化させ、濾過して麦汁を得、ホップで麦汁を香り付け、麦汁を煮詰め、混合液をイーストで発酵し、発酵した麦汁(すなわち、ビール)を成熟させ、濾過して充填することからなる。
【0003】
最終製品であるビールは、アルコール、水、各種の消化性または非消化性糖質等の様々な成分を含有する。高カロリー成分の大半は、アルコール成分に由来するものの、アルコール成分および消化性糖質は、ともに発酵生成物に高カロリーをもたらす。消化性糖質によるカロリー数は、発酵過程間に全糖質がアルコールに変質しないことによって上昇し、その結果、アルコール成分によるカロリーの他に残留カロリーが加わることになる。
【0004】
食物繊維の摂取による効果は、周知である。この効果は、非溶解性または溶解性の食物繊維の摂取量を増やすことによって得られる。溶解性の食物繊維は、人間の消化系によって容易に消化されるものではなく、大部分は損なわれずに残留して小腸内のマイクロフローラ(microflora)によって有効利用される複雑な炭水化物として定義される。この文言には、フラクトオリゴ糖および非消化性のイソマルトオリゴ糖が含まれる。
【0005】
したがって、溶解性の食物繊維量が増加した発酵生成物を得る製法が提供されれば、有用となる。
【0006】
アルコール成分の含有量を同量としながら、消化性糖質成分の量が少なく、そのために高カロリー成分の残留量が少なく、しかも消費者に受け入れられるビール等の発酵生成物を製造することは、困難である。発酵生成物から消化性の糖質を単に除去したのみでは、受け入れ難い味となり、こくや口当たりが不足したビールとなるので、消費者に受け入れてもらえなくなる。そのような点において、消費者に受け入れられる製品の製造方法が提供されれば、有用となる。
【0007】
現在、発酵生成物には、消費者に有用な食物繊維の利点がほとんどないし全く活用されていない。食物繊維量が増加した発酵生成物の製造方法が提供されれば、健康増進に有用な製品となり、かつ消費者に受け入れられる製品を提供できることになる。また、低カロリーであるか、少なくとも高カロリー成分が減少し食物繊維の含有量が増加した製品は、有用な製品となる。
【0008】
従来、発酵生成物に風味と口当たりを出すためにイソマルトオリゴ糖を含有するシロップが添加されてきた。日本国特開平7−51045号公報(サッポロ社)には、シロップをビールや発泡性ワインに添加することで、最終製品に風味や香りをもたらすことが開示されているが、食物繊維に関しては開示はない。市販シロップには、非消化性IMOが少量含有されている一方、フラクトオリゴ糖は含有されていない。また、消化性IMOがかなりの量(すなわち、25%パノース(panose)以上)含有されている。このことは、製品の風味を向上させる効果をもたらす。
【0009】
PCT出願された国際公開第00/24864号パンフレットには、穀物類から高栄養価ビール(多量のβ−グルカンを含有する)を得る製造方法が開示されている。この製造方法では、多量のβ−グルカンを含有する麦汁を得るために、一般的な麦芽製造過程を回避することが必要である。この種の製法では、麦芽製造過程が変更を所望しない鍵工程とされるので、この点が問題となる。通常の麦芽製造過程では、麦汁の製造を容易とするため、β−グルカンが除去されるからである。
【0010】
発明の目的
本発明の目的は、上記の背景を考慮して、少なくとも利点を明らかにし、欠点を克服し、または少なくとも有用な選択を提供することにある。
【0011】
本発明の要約
本発明に係る第1の観点によれば、食物繊維の含有量が増加した発酵生成物を製造する醸造方法であって、麦芽を製造した後、選定された過程で溶解性食物繊維の付加的な成分を生成する工程を有する製造方法が提供される。
【0012】
溶解性食物繊維の付加量は、少なくとも0.3g/100mlであることが好ましく、0.5g/100mlであることがさらに好ましく、少なくとも0.7g/100mlであることが最も好ましい。
【0013】
醸造工程中に生成される溶解性食物繊維は、非消化性のイソマルトオリゴ糖、および/またはフラクトオリゴ糖を含むことが好適である。
【0014】
合成されたイソマルトオリゴ糖は、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、イソマルトース、パノースの1種以上を含むことが好ましい。
【0015】
溶解性食物繊維は、醸造過程中に酵素的に合成されたものであることが好ましい。
【0016】
溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることが好ましい。
【0017】
溶解性食物繊維は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から酵素的に生成されたイソマルトオリゴ糖であり、酵素的な変換の前のマルトースは2重量%より多く、好適には15〜80重量%、さらに好適には25〜40重量%に保たれていることが好ましい。
【0018】
酵素は、マッシング中または麦汁調製中に添加することが好ましい。
【0019】
本発明に係る製造方法によって得られた製品には、溶解性食物繊維が少なくともおよそ2.5g/100ml、より好適には4g/100mlより多く含まれることが好ましい。製品における溶解性食物繊維の最小量が0.3g/100mlであることが、より好ましい。
【0020】
また、製品に含まれる消化性糖質が8.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0021】
製造方法には、消化性糖質を選択的に発酵させるイーストを添加することによって、または残留した消化性糖質を充分に発酵させる発酵過程を延長することによって、消化性糖質を選択的に除去する工程が含まれることが好ましい。
【0022】
製品に含まれる消化性糖質は、4g/100ml未満、より好適には2.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0023】
醸造過程には、大麦麦芽と副原料を含む麦芽汁を調製し、この麦芽汁を糖化して麦汁を得、麦汁を沸騰させ、麦汁をイーストで発酵させてビールを得る工程が含まれることが好ましい。
【0024】
また、発酵を行う前に、ホップで香り付けを行うことが好ましい。
【0025】
製造方法においては、成熟工程と濾過工程がさらに行われることが好ましい。
【0026】
本発明に係る第2の観点によれば、発酵生成物の製造方法であって、通常の醸造過程中に、消化性糖質から溶解性食物繊維を酵素的に得る工程を有する製造方法が提供される。
【0027】
溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることが好ましい。
【0028】
合成された溶解性食物繊維には、酵素D−グルコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)、または酵素ネオプラナーゼによって酵素的に合成されたイソマルトオリゴ糖が含まれ、および/または、仮にフラクトオリゴ糖が発酵過程で得られるのであれば、酵素フラクトシルトランスフェラーゼを使用することもできる。
【0029】
酵素は、マッシング圧潰中または麦汁調製中に添加することが好ましい。
【0030】
イソマルトオリゴ糖は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から誘導されたものであり、酵素的な反応を起こさせる前のマルトース濃度は、2重量%より多く、好適には15〜80重量%、さらに好適には25〜40重量%であることが好ましい。
【0031】
イソマルトオリゴ糖は、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、パノースまたはイソマルトースの1種以上を含むことが好ましい。
【0032】
本発明に係る製造方法によって製造された製品には、0.3g/100ml、より好適には0.5g/100ml、最も好適には少なくとも0.7g/100mlの溶解性食物繊維が付加されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る製造方法によって得られた製品には、溶解性食物繊維が少なくともおよそ2.5g/100ml、より好適には4g/100mlよりも多く含まれることが好ましい。製品における溶解性食物繊維の最小量が0.3g/100mlであることが、より好ましい。
【0034】
また、製品に含まれる消化性糖質が8.0g/100ml未満であることが好ましい。
【0035】
製品に含まれる消化性糖質は、4g/100ml未満であることが好ましく、2.0g/100ml未満であることがより好ましい。
【0036】
本発明に係る第3の観点によれば、水と、アルコールと、およそ4g/100ml未満の消化性糖質と、およそ0.3mg/100mlを超える溶解性食物繊維とを含有する発酵生成物が提供される。
【0037】
この生成物には、2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維が含まれることが好ましい。
【0038】
生成物に含まれる消化性糖質は、およそ2g/100ml未満であることが好ましい。
【0039】
生成物に含まれる溶解性食物繊維は、およそ4g/100mlを超えることが好ましい。
【0040】
溶解性食物繊維には、非消化性のイソマルトオリゴ糖、および/またはフラクトオリゴ糖が含まれることが好ましい。
【0041】
本発明に係る第4の観点によれば、水と、アルコールと、およそ0.3g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性のイソマルトオリゴ糖とを含有する発酵生成物が提供される。
【0042】
この生成物には、およそ0.7g/100ml、より好適にはおよそ2.5g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性のイソマルトオリゴ糖が含まれることが好ましい。
【0043】
本発明に係る他の観点および態様は、以下に説明する実施の形態によって明らかとなるであろう。
【0044】
本発明についての詳細な説明
発酵生成物は、通常、大麦麦芽および副原料を含有する麦芽汁から得られた大部分発酵可能な液や麦汁を一般的な手法で抽出し、この麦汁を沸騰させ、ホップでできる限りの香り付けを行って、この混合物をイーストで発酵させてビールを得ることによって製造される。その後、必要に応じて、熟成、濾過、最終的な充填が行われる。
【0045】
本発明は、主に、溶解性食物繊維を多量に含有する製品を製造する醸造工程に関する。この繊維は、好ましくは、醸造過程中に消化性糖質から酵素的に合成されたものである。この過程を経ることにより、溶解性食物繊維の添加量が0.3g/100ml、好ましくは0.5mg/100ml、好ましくは0.7g/100mlを超える製品を得ることができる。溶解性食物繊維の量が少なくなると、特に減少した消化性糖質成分と結合すると、製品の風味が増すので望ましい。この点に関しては、後述する。
【0046】
本発明は、一般的なビールやエール、他の麦芽酒に関し(しかしながら、酒、ワイン、サイダー、発酵果物ジュース等も含まれ、かつこれらに限定されるものではない)、食事上の必要性に充分に適合するように、溶解性食物繊維の含有量が増加したものである。この種の飲料製品には、およそ2.5g/100mlを超え、より好適には4g/100mlよりも多くの溶解性食物繊維が含まれることが好ましい。溶解性食物繊維の量は、それより少なくてもよいが、このことは、所望の効果が得られるに至るまで、多量の製品を消費する必要があることを意味する。
【0047】
本発明は、消化性糖質の含有量が少なく、このために低カロリーであるとともに、受け入れられる風味特性を有する低カロリー製品となるような、溶解性食物繊維の含有量が増加した発酵生成物をも含む。受け入れられる風味特性を得るために、低カロリー製品は、後述するように、食事上の理由から、およそ0.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することが好ましく、およそ2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することがより好ましい。低カロリー製品に含まれる消化性糖質は、4.0g/100ml未満であることが好ましく、2.0g/100ml未満であることがより好ましい。
【0048】
食物繊維の量を増加させることにより、消費者に良好に受け入れられる(受け入れられる風味、こくおよび口当たりを有する)製品となることが判明した。このことは、消費者に良好に受け入れられる低カロリー製品が、消化性糖質の含有量を低減し、少なくとも部分的に非消化性のイソマルトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖等の溶解性食物繊維に代替することで得られることをも示す。
【0049】
パノースやイソマルトース等のIMOは、量や濃度、消化状況に応じて様々な消化性物質を含有するので、副材料が少ない方が好ましい。重合度(DP)が3であるIMOも使用することができるが、重合度が4以上であるIMOがさらに好ましい。
【0050】
消化性糖質によって、糖質が人間の消化系に直接摂取されてエネルギ源として有効利用される。溶解性食物繊維は、上記した通りに定義される。溶解性食物繊維が、非消化性炭化水素、特にオリゴ糖であり、発酵されたものでないことは、当業者が明らかに容易に諒解し得る事項である。本明細書において開示された技術は、発酵可能な炭化水素と糖質を非発酵性のオリゴ糖に変質させるものである。
【0051】
食物繊維が存在することに由来して健康を増進させるためには、最終製品における食物繊維の量が2.5g/100mlを超えることが好ましいが、0.3g/100mlを超える量であればよい。IMOが機能するのに必要な量は、文献によって様々であるが、必要なIMOの相対量も一貫していないが、この量は利用し得る情報、350ml製品(すなわち、およそ標準的な缶または小瓶)の消費に基づくことが好ましい。または、2本の瓶/缶で製品の内容を適切に構成することで、量を決定するようにしてもよい。
【0052】
カネコらは、「IMO2」(DP1−グルコース0.6%、DP2のマルトース2.1%、イソマルトース63.8%、ニゲロースコジイオース22.6%、DP4のイソマルトテトラオースおよびその他0.5%)を1日に10g摂取することにより、12日間以内にビフィズス菌が顕著に増加すると報告している(Biosci. Biotech. Biochem., 58(12), 2288−2290, 1994)。
【0053】
また、カネコらは、重合度が大きなシロップ「IMO3」(DP1のグルコース0.6%、DP2のマルトース1.1%、イソマルトース2.7%、ニゲロース/コジビオース1.5%、DP3のマルトトリオース4.2%、パノース27.7%、イソマルトトリオース12.1%、重合度4のイソマルトテトラオースおよびその他30.7%、重合度5のイソマルトペンタオースおよびその他8.3%、重合度6またはそれより大であるイソマルトヘキサオースおよびその他11.1%)であれば、1日僅か5gの摂取で、12日間以内にビフィズス菌が顕著に増加するとも報告している。
【0054】
コウモトらは、ビフィズス菌が増加するIMOの最小量が1日当たり8〜10gであることを実証している(Biosci. Biotech. Biochem., 56(6), 937−940, 1992)。このIMOシロップの組成は、DP1のグルコース2.4%、DP2のマルトース3.6%、イソマルトース32.3%、ニゲロース/コジビオース9.1%、DP3のパノース12.3%、イソマルトトリオース14.8%、重合度4のイソマルトテトラオースおよびその他15.5%、重合度5のイソマルトペンタオースおよびその他6.9%、重合度6のイソマルトヘキサオースおよびその他3.3%である。この文献では、およそ75%のIMOが消化され、25%が大腸を通過してマイクロフローラによって発酵されたことも示されている。この25%のIMOは、シロップ中のIMOにおける重合度4以上のものの割合と相関関係がある。
【0055】
上記したように、溶解性食物繊維の必要量は文献によって異なる。しかしながら、これは、溶解性食物繊維の増加が利点をもたらし、重合度が少なくとも4であるIMOが1日につきおよそ2〜2.5gであるという観点を支持するものである。実際、連邦規制の合衆国法典では、溶解性食物繊維を1日当たり6g摂取すべきであると奨励されている。溶解性食物繊維の含有量が2.5g/100mlである製品を提供することは、溶解性食物繊維を含有する製品の摂取量が過剰となることなく溶解性食物繊維の摂取量を増加させることになる。このことを達成し得る下限値は0.3g/100mlであるが、ビールのような飲料では、製品の摂取量は少ない方が好ましい。
【0056】
本発明に係る好適な実施の形態によれば、イソマルトオリゴ糖(IMO)やフラクトオリゴ糖等の溶解性食物繊維が、醸造過程中に酵素的に合成される。所望であれば、醸造過程を、酵素的反応が溶解性食物繊維を生成するように最適化することもできる。この場合、消化性糖質の量が本質的に低減し、かつ溶解性食物繊維の量が増加する。
【0057】
好適な実施の形態では、IMOは、好ましくは麦芽製造の後でかつ発酵の前に、醸造過程中の所望の段階で、IMOを生成することが可能な酵素が添加されることによって醸造過程中に合成される。なお、IMOは、存在する基質を醸造過程それ自体によって変換するか、または、醸造過程中に別個の成分として添加された適切な基質(すなわち、副原料)の付加を介することによって合成される。
【0058】
酵素は、醸造過程において、麦芽汁を得る工程の後に糖化されて得られた麦汁に添加することが好適である。この理由は、この段階では、麦汁を主工程から分離した上で長時間に亘る酵素反応を行わせるべく予備の醸造容器に貯留することが可能であり、これにより醸造効率を向上させることができるからである。酵素の添加時期は、特にこれに限定されるものではなく、例えば、マッシング工程で添加するようにしてもよい。これは、変形例の1つではあるが、マルトースの量が低下するのでイソマルトオリゴ糖の収量が低下すること、時間が限られてくること、醸造過程に工程を付加することが非常に困難であることから、やや好ましからざる実施例ではある。
【0059】
特に好適な実施の形態は、過程中でD−グルコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)を使用して、麦汁中に存在するか、あるいは増加した適切なマルトースおよび/またはマルトオリゴ糖基質から、重合度(DP)の大きなイソマルトオリゴ糖(IMO)を合成することである。別の特に好適な実施の形態は、酵素が、フラクトオリゴ糖(FOS)を生成する能力を有するフラクトシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.10)である。D−グルコシルトランスフェラーゼおよびフラクトシルトランスフェラーゼは、醸造中に溶解性食物繊維を合成するのに好適な酵素である一方、醸造過程中に存在するマルトースおよび/またはマルトオリゴ糖等の糖類および/またはオリゴ糖や、フラクトースおよび/またはフラクトオリゴ糖がさらに重合して所望のIMO生成物を得る変換触媒としての能力が高いからである。本明細書に開示したように、醸造過程中に存在する糖質や炭化水素成分を溶解性食物繊維に変換するような酵素であれば、如何なる酵素も有用である。すなわち、例えば、溶解性食物繊維を酵素的に生成するような、表1に列挙された酵素は、醸造中にIMO生成物を得るのに有用である。
【0060】
本明細書で開示された酵素的変換は、消化性糖質を低減すると同時に、溶解性食物繊維の含有量を増加させるという利点がある。すなわち、本発明に係る製造方法は、消化性の麦汁糖質から溶解性食物繊維を生成することに利用することができる。しかしながら、表1に列挙された酵素は典型的なものではあるが、これに限定されるものではなく、醸造過程中の所望の段階で、ある種の基質を添加することもできる。この添加された基質は、添加された基質を所望の溶解性食物繊維に変換可能な酵素の基質を与える。
【0061】
本発明において明細書中で開示された有用な酵素は、該酵素を生成する公知の出発原料から得られる。例えば、適切なグリコシルトランスフェラーゼやフラクトシルトランスフェラーゼは、動物、微生物、植物から得ることができる。好ましくは、酵素がフラクトシルトランスフェラーゼである場合、出発原料である有機体は、黒色アスペルギルスまたはアスペルギルス泡盛であり、酵素がグリコシルトランスフェラーゼである場合、出発原料である有機体は、黒色アスペルギルスである。しかしながら、適切な酵素は、様々な種類の有機体から得られる。例えば、アブシディア種、アクレモニウム種、アクチノミセス種、アガリクス種、アメロスポリウム種、アナエロミセス(anaeromyces)種、アスペルギルスアウキュリーツ(A. auculeatus)、アスペルギルス泡盛、アスペルギルスフラーブス、アスペルギルスフォエティデュス(A. foetidus)、アスペルギルスフュマリクス(A. fumaricus)、アスペルギルスフミガーツス、アスペルギルスニデュランス(A. nidulans)、黒色アスペルギルス、アスペルギルスオリザエ(A. oryzae)、アスペルギルステレウス、アスペルギルスバーシカラ(A. versicolor)を含むアスペルギルス種、アエウロバシディウム(Aeurobasidium)種、バイポーラリス(Bipolaris)種、セファロスポルム(Cephalosporum)種、キトミウム(Chaetomium)種、コプリナス(Coprinus)種、カーバラリア(Curvalaria)種、ダクチルウム(Dactyllum)種、エルウィニア(Erwinia)種、フサリウムコングロメラン(F. conglomerans)、フサリウムデセムセルラーレ(F. decemcellulare)、フサリウムジャバニカム(F. javanicum)、フサリウムリニ(F. lini)、フサリウムオキシスポルム(F. oxysporum)、フサリウムソラニ(F. solani)を含むフサリウム(Fusarium)種、グリオクラディウム(Gliocladium)種、ヒュミコラインソレン(H. insolens)、ヒュミコララニュギノサ(H. lanuginosa)を含むヒュミコラ(Humicola)種、ミセリオプトーラ(Myceliophthora)種、ミロセシウム(Myrothecium)種、ミュコル(Mucor)種、ニュロスポラクラサ(N. crassa)、ニュロスポラシトフィラ(N. sitophila)を含むニュロスポラ(Neurospora)種、ネオカリマスティック(Neocallimastix)種、オーピノミセス(Orpinomyces)種、ペニシリウム(Penicillium)種、ファネロキート(Phanerochaete)種、フェレビア(Phlebia)種、ピロミセス(Piromyces)種、ペセウドモナス(Pseudomonas)種、リゾプス(Rizopus)種、シゾフィラム(Schizophyllum)種、ストレプトミセス(Streptomyces)種、スターチボトリス(Stachybotrys)種、トラメテス(Trametes)種、トリコデルマレッセイ(T. reesei)、トリコデルマロンギブラディアトム(T. longibrachiatum)、トリコデルマビライド(T. viride)を含むトリコデルマ(Trichoderma)種、ジグロリンカス(Zygorhynchus)種から、酵素や、DNAエンコード酵素を誘導するようにしてもよい。同様に、本発明においては、バシリス(Bacillus)種、アクチノミセス(Actinomyces)、ストレプトオリボクロモジェネス(S. olivochromogenes)を含むストレプトミセス種、特に、フィブロバクタスクシノジェネス(Fibrobacter succinogenes)等の繊維分解性ルミナル(ruminal)バクテリアのようなバクテリア中や、カンジダトレシル(Candida torresil)、カンジダパラプスロシス(C. parapsllosis)、カンジダ酒(C. sake)、カンジダゼイラノイデス(C. zeylanoides)、ピチアミニュタ(Pichia minuta)、リョドトルラグルチニス(Rhodotorula glutinis)、リョドトルラムシラジノーサ(R. mucilaginosa)、スポロボロミセスホルサチクス(Suporobolomyces holsaticus)を含むイーストにも、酵素や、DNAエンコード酵素を見出し得ることが予測される。
【0062】
特に好適な実施の形態においては、組み換え宿主細胞内にてDNAエンコード酵素を圧出することによって、多量の酵素を生成させる。この種の圧出技術は周知であり、DNAエンコード酵素の分離、促進因子や信号配列、終結サイト、適当な遺伝標識を含む適切な媒介体へのDNAの付着、媒介DNAによって適切にエンコードされた褶曲蛋白質を圧出可能な適当な宿主細胞への媒介体の変質が含まれる。
【0063】
例えば、分離されたDNAは、自己分裂する染色体外の媒介体か、またはホストゲノムに一体化する媒介体に置き換わる。上記したように、これらの圧出媒介体は、転写または並進運動が規則的な核酸を含み、核酸に所望の酵素活性をエンコードすることが実施可能である。例えば、先行連鎖または分泌の始端部であるDNAは、ポリペプチドのDNAに連結可能であり、ポリペプチドの分泌に関与するプレ蛋白として圧出される。好適な実施の形態では、自発的に生じた分泌連鎖が様々な蛋白の分泌を減少させる場合、自発的な分泌の始端部連鎖が所望のものに置き換えられる。この実施の形態においては、無関係の分泌始端部連鎖を、蛋白分泌を増加させる核酸をエンコードする様々な蛋白に連結させることが可能である。したがって、自発的に生じる酵素の分泌とその分泌連鎖とを比べる場合、結果として所望の酵素を増加させるものであれば、如何なる分泌始端部連鎖も所望のものである。
【0064】
蛋白の分泌を高める適切な分泌始端部連鎖を得る方法は、当業者に周知である。すなわち、転写および並進運動が規則的な連鎖は、限定されるものではないが、促進因子連鎖と、リボソーム結合サイトと、転写開始または停止連鎖と、向上因子または活性連鎖とを含む。
【0065】
酵素をエンコードする核酸は、セルに導入され、圧出媒介と結合するのが一般的である。導入方法は、ターゲットとなるセルの種類に大きく依存して決定され、CaPO(4)析出、リポソーム融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、ウィルス感染等々のような方法が含まれる。核酸は、安定して宿主細胞のゲノムと一体化するか、例えば、標準的な規則性連鎖および選択遺伝標識を活用する慣習的な核外遺伝子を使用することを介して、一時的または安定して細胞質内に存在する。
【0066】
本発明において、酵素は、蛋白の圧出を引き起こす適切な条件下で、蛋白をエンコードする核酸を含有する圧出媒介体か、蛋白それのみをエンコードする核酸で転換された宿主細胞を培養することによって生成される。蛋白を圧出する適切な条件は、圧出媒介体や宿主細胞として如何なる種類のものを選択したかによって相違するものの、当業者がルーチン的な実験を介して容易に決定することができる。例えば、圧出媒介体に構成性染色質の促進因子を使用すれば、宿主細胞の成長や増殖を最適化することが必要となり、一方、誘導促進因子を使用すれば、誘導のために適切な成長条件が必要となる。適切な宿主細胞は、イースト、バクテリア、糸状性または他の菌類、昆虫、ほ乳類を含む動物の細胞である。
【0067】
D−グリコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)は、溶解性食物繊維を生成するのに好適な酵素であり、マルトースやマルトオリゴ糖(基質)を重合度がより大きいイソマルトオリゴ糖(生成物)に変換する触媒として機能する。フラクトシルトランスフェラーゼは、フラクトオリゴ糖を生成するのに好適である。これらの好ましい付加価値は、消化性糖質の含有量を低減すると同時に、溶解性食物繊維の含有量を増加させることにある。したがって、本発明に係る製造方法においては、溶解性食物繊維を生成するために、通常の消化性麦芽糖質が使用される。
【0068】
ある種のトランスフェラーゼを使用する工業的規模の酵素的プロセスでは、表1(クリッテンデン,R.G.とプレイニ,M.J.、1996,Trend in Food Science and Technology、11月、第7号、第353〜361頁)に示されるように、スターチからイソマルトオリゴ糖(IMO)やシクロ−デキストリン等の各種のオリゴ糖が、スクロースからフラクトオリゴ糖(FOS)が、ラクトースからガラクトオリゴ糖(GOS)が、それぞれ生産される。
【0069】
表1(下記)に、基質と、該基質から得られるオリゴ糖とを、麦汁/ビールに関わりなく併せて示す。基質を変換する触媒として機能する好適な酵素が使用されていることも諒解される。
【0070】
【表1】
【0071】
発酵した生成物は、通常、比較的高カロリー分を含む。その大多数は、生成物に含まれるアルコール成分によるものである。しかしながら、残留カロリー分の大半は、次なる発酵過程で生成物中に残存する消化性糖質に含まれている。これら消化性糖質の大部分を、延長した醸造過程(長時間醸造)によってアルコールに変換することで除去し、カロリーを低下させる。しかしながら、醸造過程を延長することは、製品の香り、こく、口当たりが低減する傾向が現れるのが一般的であり、換言すれば、消費者に受け入れられ難いものとなる。
【0072】
非消化性イソマルトオリゴ糖等の溶解性食物繊維は、カロリーを高めることなくビールの香り、こく、口当たりを向上させ、したがって、低カロリーでありながら、消化性糖質の量が低減するとともに溶解性食物繊維の量が増加して、満足いく風味のビールを生産するための機構を供することができる。この繊維は、通常、発酵生成物中に存在するが、その量は僅かである。したがって、消化性糖質を単に除去したのみでは、低カロリービールにおいて、満足のいく風味とならないので、風味が受け入れられる程度となるまで、生成物中の溶解性食物繊維の含有量を増加させる必要がある。これは、最終製品において、非消化性糖質(すなわち、溶解性食物繊維)の量は、およそ0.3g/100ml〜およそ0.5g/100ml必要であるが、消費者に受け入れられ、かつ上記した食事療法的な理由から、2.5g/100mlを超えることが好ましい。
【0073】
このため、好適な一実施の形態では、本発明は、消化性糖質の量が少なく、その一方で、多量の消化性糖質を含む従来製品と同様の風味、こく、口当たりを有する発酵生成物に関する。好ましい実施の形態では、風味は、消費者に数々の健康的な利点をもたらす溶解性食物繊維の量を増加させることで向上する。
【0074】
所望であれば、製造方法は、発酵過程の終了時に残存する消化性糖質が、発酵過程を延長するか、または、マルトトリオースおよびイソマルトオース等の消化性糖質を対象とするある種のイーストや、半消化性糖質パノースを添加することによって除去されるように最適化することができる。
【0075】
残留消化性糖質の量を最小にする方法の1つは、イーストを使用して残存した消化性糖質を選択的にアルコールに発酵させて醸造混合物から消化性糖質を除去し、消化性糖質による最終製品におけるカロリー含有量を僅かにすることである。
【0076】
最終製品から残留消化性糖質を除去することと、(上記で定義した)溶解性食物繊維を増加させることとにより、低カロリーであるとともに、溶解性食物繊維の量が増大した発酵飲料が得られる。
【0077】
溶解性食物繊維(例えば、イソマルトオリゴ糖および/またはフラクトオリゴ糖)の量の増加は、醸造中に含まれた消化性糖質に対し、消化性がより低いこれらのオリゴ糖を生成するように作用するある種の酵素を使用しての、麦汁やビールの生産に繋がる。この糖質基質、例えば、マルトースを生成するべく、醸造中に麦芽マルトオリゴ糖(例えば、バーレイ−β−アミラーゼ、プルラナーゼ)から多量のマルトースを生成するために、麦汁またはビールに対し、数種の有用な酵素が醸造過程中に添加される。これは、次に、マルトースの糖転移反応またはスクロースの同様の糖転移反応(例えば、フラクトシルトランスフェラーゼを使用しての)を起こす。
【0078】
D−グルコシルトランスフェラーゼは、以下の反応によって、イソマルトオリゴ糖を生成する。
【0079】
第1段階 グルコシル−酵素錯体の形成
マルトース(G−G)+酵素→酵素−グルコース錯体(E−G)+グルコース(G)
第2段階 糖転移
1次反応 マルトース(G−G)+E−G→パノース(DP3)+E
2次反応 グルコース(G)+E−G→イソマルトース(DP2)+E
パノース(DP3)+E−G→
デキストラントリオシル−D−グルコース(DP4)+E
イソマルトース+E−G→イソマルトトリオース(DP3)+E
第1段階では、全ての連鎖反応に関与する酵素−グルコース錯体を充分な量得るために、初期のマルトース濃度を高くすることが必要であることが判明した。
【0080】
標準的な醸造過程は(充填するまで)、少なくとも以下の段階を有する。
【0081】
1.大麦の麦芽をマッシングして麦芽汁を得る
2.麦芽汁中のスターチの大半を、酵素によって麦芽から発酵可能な糖質に変換する
3.麦芽汁を漉して発酵可能な糖質と発酵不可能な糖質とを含有する麦汁とする
4.麦汁を、麦汁収集容器に収集する
5.この麦汁を、沸騰容器内で沸騰させる。この段階では、糖質の付加的な出発原料(例えば、スクロース、マルトースシロップ)等のホップや副原料を添加してもよいし、添加しなくてもよい
6.麦汁を冷却する
7.イーストを加え、発酵可能な糖質をCO2とアルコールに変換する。すなわち、発酵させる
8.熟成
9.濾過
10.充填
本質的な醸造という点からは、工程8、9および10は付加的な工程である。
【0082】
本発明に係る製造方法は、上記の標準的なプロセスに加え、以下の付加的な工程が含まれることが好ましい。
【0083】
2a:
麦汁を効率よく発酵させる酵素、例えば、バーレイ−β−アミラーゼおよびプルラナーゼ、またはその他の酵素や、マルトース/マルトトリオースの比率を高め、グルコースの比率を減少させる酵素の付加
3a:
第1麦汁の味を濃くするべく、濾過方法を緩和する
4a:
多量のマルトースシロップを添加する
4b:
冷却して反応温度を下げ、pHを調整する
4c:
麦汁を、多量の溶解性食物繊維を生成する酵素(例えば、イソマルトオリゴ糖を生成するD−グルコシルトランスフェラーゼ)とともに充分な時間(体積が大きく減少するビールならば約2時間、体積がさほど減少しないビールならば約8時間)反応させる
7a:
イソマルトース/パノースを発酵させて重合度が大きいIMOのみとし、低カロリー、かつ溶解性食物繊維が多量に含まれるビールを生成する
以下は、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を使用した場合のプロセスの好適な条件である。
【0084】
およそ8〜10TGUユニット/乾燥固体1gの充分な酵素線量率(体積消費が小さいビールでは、14〜16TGUと高く)
およそ55〜65℃の最適な温度範囲
およそ4〜6、好ましくは4.5〜5.5の最適なpH範囲
D−グルコシルトランスフェラーゼの好適な添加時点が、麦汁を漉した後であること(ラウター(lauter))。好適な形態では、この麦汁は、マルトースを最大限含む
イソマルトオリゴ糖をより多量に得るための充分な反応時間
酵素的な変換の前に、好適に維持されるマルトース濃度は、およそ2重量%より大、好ましくはおよそ15〜80%、さらに好ましくは25〜40%である
勿論、溶解性食物繊維の効果を得るために、醸造過程またはその過程中のいずれかの段階で、本明細書で既に説明したようにビール(すなわち、サッポロ)にIMOを添加する方法に代え、市販の高IMO量シロップを添加するようにしてもよい。摂取された生成物は、通常の食事制限を補完するように、添加された溶解性非消化性食物繊維を摂取者にもたらす。350ml瓶が1日に2本摂取されるのであれば、必要な溶解性非消化性食物繊維は、0.7g/100ml必要である。公知の製品(例えば、消化性糖質を多量に含有するサッポロ)は、風味が良好なのみであり、この点を容易に達成し得るものではない。
【0085】
しかしながら、シロップを添加し、充分な量の溶解性食物繊維を含む低カロリービールを生産することを所望するのであれば、醸造過程のどこかで繊維を添加することに代え、発酵に先んじて滅菌された状態で添加する必要がある。選択されたイーストは、IMOシロップによって導入された消化性糖質の大部分を発酵させ、既に溶解性食物繊維として特徴づけた、消化性で重合度の大きいIMO糖質を低減させる。
【0086】
実験例
実験例1 D−グルコシルトランスフェラーゼ反応を必要とする麦汁の比較
表2−麦汁の比較
下記の表は、D−グルコシルトランスフェラーゼと連鎖反応して麦汁を生成するのに必要な麦芽組成の相違を示すものである。
【0087】
【表2】
【0088】
通常の醸造麦汁は、大麦の麦芽をマッシング工程によって麦芽汁とし、該麦芽汁が45℃で25重量%となるように醸造用水に導入することで生成した。20分間温度を保持した後、1℃/分の昇温速度で70℃に昇温した。糖化のために50分間保持して、76℃に昇温した。麦芽汁を、ラウタリングによって漉した後、醸造容器に移した。糖度が67°ブリックスの液体糖質を全糖分量が20%となるまで添加し、麦汁を90分沸騰させて冷却した後、麦汁100ml当たり糖分量15.6gとなるように醸造用水で希釈した。
【0089】
マルトース量を最大にした麦汁は、大麦の麦芽をマッシング工程によって麦芽汁とし、麦芽汁が45℃で30重量%となるように醸造用水に導入することで生成した。温度を20分間保持した。マルトースの最大化のため、外来栄養の酵素を添加した。その後、1℃/分の昇温速度で63℃に昇温して100分間保持した。糖化のために72℃に昇温して、45分間保持した。麦芽汁を、ラウタリングによって漉した後、醸造容器に移したが、この麦汁の濃さを通常の14g糖分量/100mlから25g糖分量/100mlに増加させる手法を用いた。この麦汁を15分間沸騰させ、残留物の活性を消失させた。51.5g/100mlのマルトースを含む高マルトースシロップを添加し、麦汁におけるマルトース量を26.5g/100mlとした。この時点で、全糖分量は、59.5g/100mlとなった。
【0090】
以下の実験例2での方法による、HPLC解析結果を参照されたい。
【0091】
実験例2 麦汁とD−グルコシルトランスフェラーゼの酵素的反応
実験例1で生成したマルトース量が最大の麦汁500gを、pH5.0に調整してマッシュ浴内で60℃に加温し、実験の最後までこの温度を保持した。この麦汁に対し、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を500g添加した。0、4、8、12、24時間毎に、5mlのサンプル液を取り分けた。即座に0℃に冷却して保持し、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した。高速液体クロマトグラフィ(HPLC)は、イソマルトオリゴ糖の量を測定するために使用した。HPLCに25μlを注入し、出現したピークの面積と、標準基質によるピークの面積とを比較することにより、オリゴ糖の含有量を定量した。
【0092】
HPLC装置と条件は下記の通りである。
【0093】
検出デバイス−屈折率検出器
カラム−スペルコシルLC−NH2 25cm×4.6mm 25℃における粒径が5ミクロン
溶媒−アセトニトリル:水=75:25、流速1ml/分
この解析結果は、以下の通りである。
【0094】
【表3】
【0095】
食物繊維としてのイソマルトオリゴ糖(IMO)の機能的線量率
上記の表3のデータは、重合度2、重合度3、重合度4/重合度4+のIMOに再フォーマットすることが可能である。この麦汁の全糖分量は、発酵可能ではないが、麦芽中のスターチの沈殿からの消化性デキストリンとして存在する付加的な糖分を含めて59.5g/100mlである。表4に、このデータをg/100mlとして表す。
【0096】
【表4】
【0097】
上記の表4中の生成物は、カネコらやコウモトらによって開示された溶解性食物繊維としての機能を有するIMOを充分な量生成する。
【0098】
実験例3 麦汁とD−グルコシルトランスフェラーゼとの酵素的反応
実験例1で生成したマルトース量が最大の麦汁13.7リットルを、pH5.0に調整して、パイロットプラントの容器内で60℃に加温し、実験の最後までこの温度を保持した。この麦汁に対し、D−グルコシルトランスフェラーゼ酵素(ゲネンコルインターナショナル社のトランスグルコシダーズL−500)を41.75g添加した。0、2、4時間毎に、10mlのサンプル液を取り分けた。即座に0℃に冷却して保持し、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した。HPLCの解析方法については、実験例2と同様である。この解析結果は、以下の通りである。
【0099】
【表5】
【0100】
食物繊維としてのイソマルトオリゴ糖(IMO)の機能的線量率
上記の表5のデータは、重合度2、重合度3、重合度4/重合度4+のIMOに再フォーマットすることが可能である。この麦汁の全糖分量は、発酵可能ではないが、麦芽中のスターチの機能不全からの消化性デキストリンとして存在する付加的な糖分を含めて60.5g/100mlである。表6に、g/100mlとして表す。
【0101】
【表6】
【0102】
この表において、表4に比して値が低いが、重合度が3または4であるIMOの量と割合は、5〜10gIMO/日に達している。重合度4のIMOの量と割合も、2.5g/日に達している。
【0103】
速やかな反応が生じ、多量のパノースがイソマルトースとなるように、このサンプルの条件を調整した。
【0104】
要するに、実験例2および実験例3においては、酵素的な反応が、IMOとしての溶解性食物繊維を充分に含有し、このためにビフィズス菌の機能増加をもたらすことが示された。
【0105】
実験例4 酵素的反応条件の最適化
反応条件は、最終製品であるビールの味の濃さ、種類、1日の目標摂取量等に応じて、醸造サイクルをより的確なものとしたり、コスト(例えば、酵素に要するコスト)を抑制したり、最終製品であるビールにおける非消化性IMOの量を相違させること等によって最適化することができる。
【0106】
実験例2に類似した条件下で別の実験を行った。マルトース量が26.5%であるマルトース量が最大化された麦汁に代替して、38.9重量%(HPLCによる)であるものを使用したことが、実験例2からの変更点である。これは、麦汁とマルトースシロップの割合を変更することで行った。反応条件、すなわち、トランスグルコシダーズL−500酵素の量が相違する。結果と反応条件を表7に示す。これは、上記の目的のためのIMO収量が時間と酵素濃度によって変更し得ることを意味するものである。
【0107】
【表7】
【0108】
次の実験例により、この生成されたIMOを含有して受け入れられ得るビールが示されるであろう。
【0109】
実験例5 溶解性食物繊維を含有するビールを生成するための発酵
実験例3から得られた反応麦汁の体積を13.7リットルから40リットルに増加し、沸点に上昇させた。20分後にホップを添加して15EBUとし、麦汁を合計で90分沸騰させた。これを渦巻浴に移し、11℃に冷却して、醸造用水で希釈して糖分量が15.6g/100mlの麦汁を得た。これに対して醸造用イーストを加え、発酵が完全となるまで12日間、13℃で発酵させた。イーストを加える前の麦汁と、イーストを加えてから後の2〜3日毎の麦汁とからサンプルを取り分け、上記した方法でHPLCによる解析を行った。結果を表8に示す。
【0110】
【表8】
【0111】
表8のデータから、発酵可能な糖質が予測通りにアルコールとCO2に変換され、一方、IMO(イソマルトース、パノースおよびデキストラン−3−グルコース)はほとんどイーストによって変換されず、このために溶解性食物繊維を充分に含有するビールが生成されたことが諒解される。最終製品であるビールにおけるIMOの相対量を、下記の表9に示す(発酵が終了した際の最終製品であるビールのアルコール分が、3.85体積%から4.51体積%に上昇していることに留意されたい)。
【0112】
【表9】
【0113】
このビールを熟成し、濾過した後、通常の方法で充填した。このビールの解析結果を、標準的な市販ビールと対比して表10に示す。
【0114】
【表10】
【0115】
着目すべき相違点の1つは、発酵不可能なIMOが存在することにより、OE、REおよびAE等の糖分がより多量であることである。
【0116】
このビールにつき、修練したテスターによる目隠しテストを行ったところ、糖質の量がより多いにも関わらず、甘さやこくの向上は認められなかった。
【0117】
溶解性食物繊維の源としてのIMOを充分に含有するとともに、受け入れられ、かつ風味が匹敵するビールが生産された。
【0118】
実験例6 高溶解性繊維/高残留糖質ビールの高溶解性繊維/低残留糖質ビールへの変換
上記の実験例5を再度行ってIMOを多量に含有する麦汁を得、選択したイーストでイソマルトースとパノースを発酵させ、重合度が4以上のもののみを残留させた。これにより、機能し得る量の溶解性食物繊維を含有する低カロリービールが得られた。
【0119】
マルトトリオースを完全に発酵させることが可能な醸造用イーストが存在することは公知であり、また、文献(ギリランド、European Brewing Congress,1970)においては、サッポロの記述(上記)とは逆に、ある種のイーストがパノースとイソマルトースを発酵させ得ることが示唆されている。
【0120】
標準的な麦汁は、大量の麦汁を再生産するために、マルトース量が最大化された麦汁と、実験例5での発酵に使用されたのと同様に、多くの試発酵を可能とするIMOとから生成される。
【0121】
通常の醸造麦芽(表2に示したように)20kgに対し、IMO500のシロップは4kg必要であり、IMO900のシロップは1kg必要である。その後、18.5°プラトに希釈される。
【0122】
5リットル発酵フラスコ内のこの液に様々な種類のイーストを20万イースト細胞/mlで接種して発酵を行わせ、糖質プロファイルをモニタリングした。このうちの幾つかの結果を表11に対比して示す。
【0123】
【表11】
【0124】
標準的な醸造用イースト(2および3)は、マルトースを完全に発酵させることはなく、かつイソマルトースとパノースは発酵させなかった。しかしながら、イースト14および18は、イソマルトースを全て発酵させ、かつパノースのほとんどを発酵させた。したがって、消化性、せいぜい半消化性でかつ非消化性の溶解性食物繊維と類別することができないと判断されるグルコシル化転移からのこれら重合度が小さい反応生成物は、ビールから効率よく除去され、その結果、低カロリービールとなる。
【0125】
上記した説明において、公知のものに言及する場合、本明細書にその内容を盛り込んだものとし、詳細な説明は省略する。
【0126】
上記した実施例および形態に対し、請求の範囲に定義された本発明の要旨を逸脱することなく、種々の改変・変形が可能なことは明らかである。
Claims (39)
- 食物繊維の含有量が増加した発酵生成物を製造する醸造方法であって、麦芽を製造した後、選定された過程で溶解性食物繊維の付加的な成分を生成する工程を有することを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1記載の醸造方法において、溶解性食物繊維の付加量が少なくとも0.3g/100mlであることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1または2記載の醸造方法において、醸造過程中に生成される溶解性食物繊維が非消化性イソマルトオリゴ糖および/またはフラクトオリゴ糖を含むことを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項3記載の醸造方法において、生成されたイソマルトオリゴ糖が、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、パノース、イソマルトースの1種以上を含むことを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の醸造方法において、溶解性食物繊維は、醸造過程中に酵素的に合成されたものであることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項5記載の醸造方法において、溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の醸造方法において、溶解性食物繊維は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から酵素的に生成されたイソマルトオリゴ糖であり、酵素的な変換の前のマルトースは2重量%よりも多く保たれていることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項7記載の醸造方法において、酵素的な変換の前のマルトースが15〜80重量%に保たれていることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の醸造方法において、酵素は、麦汁を調製する最中に添加されることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の醸造方法において、消化性糖質を選択的に発酵させるイーストを添加することによって、または残留した消化性糖質を充分に発酵させる発酵過程を延長することによって、消化性糖質を選択的に除去する工程が含まれることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の醸造方法において、大麦麦芽と副原料を含む麦芽汁を調製し、この麦芽汁を糖化して麦汁とし、麦汁を沸騰させ、麦汁をイーストで発酵させてビールを得る工程が含まれることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項11記載の醸造方法において、発酵を行う前に、ホップで香り付けを行うことを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項11または12記載の醸造方法において、成熟工程と濾過工程がさらに行われることを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の醸造方法において、生成物が少なくともおよそ0.3g/100mlの溶解性食物繊維を含有することを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項14記載の醸造方法において、生成物が少なくともおよそ2.5g/100mlの溶解性食物繊維を含有することを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項14または15記載の醸造方法において、およそ8.0g/100ml未満の消化性糖質をさらに含有することを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 請求項14〜16のいずれか1項に記載の醸造方法において、およそ4.0g/100ml未満の消化性糖質をさらに含有することを特徴とする発酵生成物の醸造方法。
- 発酵生成物の製造方法であって、通常の醸造過程中に、消化性糖質から溶解性食物繊維を酵素的に得る工程を有することを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項18記載の製造方法において、酵素は、麦汁を調製する最中に添加されることを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項18または19記載の製造方法において、溶解性食物繊維は、グルコースまたはフルクトースのグリコシド転移化によって誘導されたものであることを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項18〜20のいずれか1項に記載の製造方法において、生成した溶解性食物繊維は、酵素D−グルコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.24)、または酵素ネオプラナーゼによって酵素的に合成されたイソマルトオリゴ糖を含み、および/または、フラクトオリゴ糖を発酵過程で得る場合、酵素フラクトシルトランスフェラーゼを使用することを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項21記載の製造方法において、イソマルトオリゴ糖は、マルトースおよび/またはマルトオリゴ糖から誘導されたものであり、酵素的な反応を起こさせる前のマルトース濃度は、2重量%よりも多いことを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項22記載の製造方法において、酵素的な反応が行われる前のマルトース濃度は、15〜80重量%に保たれることを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項21〜23のいずれか1項に記載の製造方法において、イソマルトオリゴ糖は、イソマルトトリオース、イソマルトペントース、イソマルトヘキソース、4−α−デキストラントリシル−D−グルコース、4−α−デキストランテトロシル−D−グルコース、4−α−デキストランペントシル−D−グルコース、63−α−D−グリコシルマルトトリオース、パノースまたはイソマルトースの1種以上を含むことを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項18〜24のいずれか1項に記載の製造方法において、製品に、少なくとも0.3g/100mlの溶解性食物繊維が付加されていることを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項25記載の製造方法において、製品に、少なくとも0.5g/100mlの溶解性食物繊維が付加されていることを特徴とする発酵生成物の製造方法。
- 請求項18〜25のいずれか1項に記載された製造方法によって生産された製品であって、およそ0.3g/100mlよりも多くの溶解性食物繊維を含有することを特徴とする製品。
- 請求項18〜26のいずれか1項に記載された製造方法によって生産された製品であって、およそ2.5g/100mlよりも多くの溶解性食物繊維を含有することを特徴とする製品。
- 請求項27または28記載の製品において、消化性糖質の含有量がおよそ8.0g/100ml未満であることを特徴とする製品。
- 請求項27〜29のいずれか1項に記載の製品において、消化性糖質の含有量がおよそ4.0g/100ml未満であることを特徴とする製品。
- 水と、アルコールと、およそ4g/100ml未満の消化性糖質と、およそ0.3g/100mlを超える溶解性食物繊維とを含有することを特徴とする発酵生成物。
- 請求項31記載の発酵生成物において、およそ2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することを特徴とする発酵生成物。
- 請求項31または32記載の発酵生成物において、含有された消化性糖質がおよそ2g/100ml未満であることを特徴とする発酵生成物。
- 請求項31〜33のいずれか1項に記載の発酵生成物において、およそ2.5g/100mlを超える溶解性食物繊維を含有することを特徴とする発酵生成物。
- 請求項31〜34のいずれか1項に記載の発酵生成物において、溶解性食物繊維が非消化性イソマルトオリゴ糖および/またはフラクトオリゴ糖を含むことを特徴とする発酵生成物。
- 水と、アルコールと、およそ0.3g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性イソマルトオリゴ糖とを含有することを特徴とする発酵生成物。
- 請求項36記載の発酵生成物において、0.7g/100mlを超えるフラクトオリゴ糖および/または非消化性イソマルトオリゴ糖を含有することを特徴とする発酵生成物。
- いずれかの実施例を参照して本明細書中で実質的に開示された発酵生成物の製造方法。
- いずれかの実施例を参照して本明細書中で実質的に開示された発酵生成物。
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