JP2004507692A - 流体クラッチ、流体クラッチ用の作動油供給システム、及び流体クラッチを有する始動ユニット - Google Patents

流体クラッチ、流体クラッチ用の作動油供給システム、及び流体クラッチを有する始動ユニット Download PDF

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Abstract

本発明は、流体クラッチ1であって、共に一つの円環状動作空間4を形成する二つの羽根車、すなわちポンプ羽根車2及びタービン羽根車3と、タービン羽根車3を軸方向に第一作動油導管又は空間9を形成して取り囲む、ポンプ羽根車2と回転しないように結合されたポンプ羽根車覆い6と、円環状動作空間6の内径の領域又はその下に開口する、第二作動油導管又は空間12とを有し、第一及び第二作動油導管又は空間12は選択的にそれぞれ円環状動作空間4への、又はこれからの流入管もしくは空間又は流出管もしくは空間として利用可能である、流体クラッチ1に関する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求の範囲第1項のプレアンブルに記載の特徴をそれぞれ有する流体クラッチ、さらに流体クラッチ用の作動油供給システム、及び流体クラッチを有する始動ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
変速装置、自動変速装置、又は自動伝動装置で使用するための始動ユニットは、多数の実施形態において知られている。これにはたいてい、流体回転数/トルク・コンバータ又は流体クラッチの形の流体力学的構造エレメントが含まれる。流体クラッチを有する伝動装置で使用するための始動ユニットの可能な一実施形態に関して、特許文献1が参照される。この文献は、一緒に一つの円環状の動作空間を形成するポンプ羽根車及びタービン羽根車を含む僅かな軸方向全長を有する始動ユニットの実施形態を開示しており、ここでポンプ羽根車は原動機出力側に配置され、すなわちタービン羽根車は空間的に始動ユニットの入力側とポンプ羽根車の間に配置されている。ポンプ羽根車はこの目的のために、同時にポンプ羽根車覆いを形成するエレメントを介して回転しないように、入力側又はそれに結合された駆動装置に回転しないように連結される。流体クラッチと平行に開閉されるブリッジ・クラッチが提供される。これは、流体力学的構造エレメントを迂回して始動ユニットの入口側から出口側までの動力伝達を可能にする。この場合、ブリッジ・クラッチは個別の構造エレメントとしてポンプ羽根車とタービン羽根車からなるユニットに並んで配置される。さらに、始動ユニットは振動を減衰するための装置を含み、この装置は、流体クラッチの円環状動作空間の径方向外寸法上に配置され、ブリッジ・クラッチの構成要素もしくはクラッチ・ディスクが形成される直径領域に配置される。他の表現で言えば、振動を減衰するための装置を流体クラッチと本質的に一平面の領域に、又はわずかに互いにずらして配置する。この解決策はすでに比較的短い構造であるが、必要とされる軸方向の全長に関しては所定の取付け状況の要件を満たさない。さらにこの実施形態は、多数の機能要素に基づいて、構成部分が多いこと及び組立て経費が高いことを特徴とする。
【0003】
【特許文献1】
独国特許公開第19804635号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、平行に開閉可能な流体クラッチ及びブリッジ・クラッチを含む当初に述べた形式の始動ユニット、ならびに個別要素を、必要な軸方向構造空間が非常に小さく、また構造部品の数が少なく、機能要素が集約されていることを特徴とするようにさらに発展させるという課題に基づくものである。この場合、構造コストをできるだけ低く抑えなければならない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題の本発明による解決策は、独立請求項に記載の特徴によって特徴付けられる。有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
互いに一つの円環状動作空間を形成する二つの羽根車、すなわちポンプ羽根車とタービン羽根車を有する流体クラッチは、ポンプ羽根車に回転しないように結合されたポンプ羽根車覆いを含み、このポンプ羽根車覆いは、タービン羽根車を軸方向に第一作動油導管又は空間を形成し取り囲んでいる。さらに第二作動油導管又は空間が準備され、これは円環状動作空間の内径の領域又はこの下で開口している。本発明によれば、第一及び第二作動油導管又は空間は選択的にそれぞれ円環状動作空間の流入管もしくは空間又は流出管もしくは空間として利用可能である。個々の作動油導管又は空間の機能の選択的変更によって、流体クラッチの貫流方向を簡単な形式及び方法で向心的方向と遠心的方向の間で変えることができる。
【0007】
本発明による解決策は、ブリッジ・クラッチと流体クラッチの作動油誘導を通じたブリッジ・クラッチ用の圧力構成を伴う始動ユニットへの装入の際に、最小の軸方向全長を有する始動ユニットを作り出すための、流体クラッチの構造の構造的基本前提条件を形成する。
【0008】
向心的貫流、すなわち第一作動油導管又は空間を通じてポンプ羽根車とタービン羽根車との間の分離面領域における円環状動作空間の半径方向外側領域へ、及びそこから円環状動作空間の中に形成された動作循環路への作動油の供給を確実にするために、ポンプ羽根車とタービン羽根車とを該当する方法で互いに並立させて、こうして形成された流入角が常に動作循環路の絶頂流への供給を起させ、流出しないように、ポンプ羽根車とタービン羽根車との間に隙間を形成することが必要である。このために、ポンプ羽根車とタービン羽根車は半径方向に隔壁を伴って設計されることが好ましい。
【0009】
流体クラッチに割り当てられた作動油システムは、作動油供給源、及び第一作動油導管又は空間と結合するための第一接続部、ならびに第二作動油導管又は空間と結合するための第二接続部を包含する。本発明によれば、流体クラッチの貫流方向を選択式で変える手段は、両方の作動油導管又は空間への流入流出機能の割当てによって提供される。この場合、接続部という概念は構造的構成エレメントとして理解されるのみでなく、またその機能の点について機能的エレメントとして考えるべきである。流体クラッチの作動油導管又は空間と連絡管との間の移行が考えられる。ここで、作動油供給システムの個別エレメントも流体クラッチの構成部分にすることもそうしないこともできる。これは特に、両作動油導管又は空間、及び/又は、作動油供給源と作動油導管又は空間との間の連絡管部分への、流入流出機能の配分によって流体クラッチの貫流方向を選択的に変更する手段にも通用する。
【0010】
流体クラッチの本発明によって形成された作動油供給システムによって、流体クラッチの貫流方向を簡単なやり方で、構造的変更をすることなく変えることができる。請求項1による流体クラッチの基本構造が維持される。
【0011】
作動油供給システムの形成に関しては多くの可能性がある。具体的な実施形態は装入例の要件に対応して行われ、当該専門家の判断に従う。
【0012】
特に簡単な形成では、手段は少なくとも二つの開閉位置を有するバルブ装置を含む。ここで、第一開閉位置は、流入部及び第一作動油導管又は空間と、流出部及び第二作動油導管又は空間との間の結合を特徴とし、また第二開閉位置は、流入部及び第二作動油導管又は空間と、流出部及び第一作動油導管又は空間との間の結合を特徴とする。両作動油導管又は空間は、開放循環路を通じて互いに結合されることが好ましい。
【0013】
流体クラッチの実施形態では、油圧結合部、すなわち駆動装置とシャフト回転端との間の動力伝達において回転数の変化のみを許す、つまり変換機に対して回転モーメントの変化から自由であり、これによって強制的に回転数に結合されるという構造エレメントが重要になる。これは調整可能にすることもそうしないこともできる。調節される流体クラッチは、充填度合いを運転中に完全充填と空との間で任意に変えることができるクラッチであり、これによってクラッチの動力受入れとこれによる伝達能力が調節可能であり、自動車へ装入すると駆動機械及び/又はシャフト回転端側の無段の負荷依存回転調整が可能になる。この場合、流体クラッチは、ポンプ羽根車として働く一次羽根車とタービン羽根車として働く二次羽根車によって形成される円環状動作空間を有するクラッチとして、又はいわゆるダブル・クラッチ、すなわち一次羽根車と二次羽根車によって形成された二つの円環状動作空間を有するクラッチとして形成されることが可能である。調整可能性は、主に質量流量の変化、すなわち動作空間における充填度合いもしくは動作循環系における作動油循環の影響によって生ずる。ここで、流体クラッチの充填度合いの制御及び/又は調整は圧力制御によって行われることが好ましい。ここで円環状動作空間の絶対圧力の変更が充填度合いの変更に連係する。したがって、部分充填状態を絶対圧力の変更によって調整することができる。この自由な調節可能性は、さまざまな基準、例えばエネルギー消費と有害物質の排出に関して、駆動機械の性能グラフにおける最適化された動作点の制御を可能にする。
【0014】
さらなる有利な発展によれば、個別の作動油導管又は空間を同じく開放した循環路を通じて互いに結合すること、及び各作動油導管又は空間に、バルブ装置を割り当てることが可能となり、その際、作動油導管又は空間において調節すべき圧力値の提示を通じて、流体クラッチにおける流れ方向も伝達可能な動力も固定することができる。
【0015】
本発明によって請求項1の特徴を有する流体クラッチに形成される始動ユニットは、駆動装置に結合可能な入力側とシャフト回転側に結合可能な出力側とを含む。入力側と出力側との間に流体クラッチが配置されている。ここでポンプ羽根車にはいわゆるポンプ羽根車覆いが付加され、このポンプ羽根車覆いはポンプ羽根車に回転しないように連結され、タービン羽根車を軸方向に第一作動油導管又は空間を形成して取り囲む。この場合、ポンプ羽根車覆いをポンプ羽根車と一体的に作ることができるが、いくつかの部分からなる実施形態にすることが好ましく、ここで対応する連結エレメント又は別の結合可能性を通じての回転式連結が行われる。さらに、流体クラッチは、円環状動作空間の内径領域又はその下部につながった第二作動油導管又は空間を含む。本発明によれば、第一及び第二作動油導管又は空間は選択的にそれぞれ円環状動作空間の流入管又は流出管又は空間として利用可能である。個々の作動油導管又は空間の機能をこうして変えることによって、流体クラッチの貫流方向を簡単な形式と方法で向心的と遠心的の間で変えることができる。さらに始動ユニットは、開閉可能クラッチ、特に流体クラッチと平行に連結できるブリッジ・クラッチを含む。これは、通常の場合、特に自動化された切換え伝動装置に装入するために、始動ユニット運転中の大部分において、動力伝達が両エレメントの一つだけ、すなわち流体クラッチ又はブリッジ・クラッチを通じて行われることを意味する。上述の第一の場合では、動力伝達は流体動力ブランチを通じて流体動力伝達の強みを利用して行われるが、第二の場合では、動力伝達は本質的に機械的に機械式クラッチを通じて行われる。しかしここでは、両エレメントが少なくとも移行領域において、すなわち流体動力ブランチと機械式動力ブランチの間で切り換える際に共同で係合するという可能性もある。しかしこの共同係合は継続が限られ、所定の時間を超過してはならない。ブリッジ・クラッチは機械式クラッチとして、円板構造形式で実現されることが好ましい。
【0016】
ブリッジ・クラッチは少なくとも、第一クラッチ・ディスクの形の第一クラッチ・ディスクと、第二クラッチ・ディスクの形の第二クラッチ・ディスクとを含み、これらは互いに少なくとも間接的に、すなわち直接的又は別の伝達手段を通じて間接的に、互いに摩擦式に作動結合状態になることができる。この際、流体力学的構造エレメントの中にブリッジ・クラッチの構成部分を統合することが提供される。これは、クラッチ・ディスク、たいていは第一クラッチ・ディスクを入力側と、特に一次羽根車と回転しないように連結し、また他の第二クラッチ・ディスクを出力側に、好ましくはタービン羽根車に回転しないように連結することによって実現される。クラッチ・ディスクには、押圧力を発生させるため、及びこれによって第一クラッチ・ディスクと第二クラッチ・ディスクとの間に少なくとも間接的な摩擦式連結を起させる手段が付加されている。
【0017】
本発明による解決策は、ブリッジ・クラッチの個々のエレメントを流体クラッチの形の始動エレメントに統合することによって、軸方向に非常に小さな必要構造空間を有する始動ユニットの形成を可能にする。ここではすでに存在する構造エレメントが同時に他のエレメント機能の引き受けを任されるからである。
【0018】
押圧力を生じさせる手段は、少なくとも一つの圧力媒体によって作用可能なピストン・エレメントを含む。これを個別にクラッチ・ディスクに割り当てることができる。特にコンパクトでそれによって有利な形成では、それでもタービン羽根車がピストン・エレメントとして利用される。ピストン・エレメントを作動させるための圧力空間は、円環状動作空間のタービン羽根車に囲まれた部分によって形成される。エレメントの機能を引き受けるための構造的実施形態、及び押圧力を発生させる手段の諸エレメントに関しては、本質的に下記の可能性が成り立つ。
1.タービン羽根車と始動ユニットの出力側との回転式結合であるが、タービン羽根車は軸方向に移動可能であり、
2.タービン羽根車と始動ユニットの出力側との回転式連結であり、タービン羽根車と出力側との間の結合は軸方向弾性に設計される。
【0019】
最初の場合には、第一クラッチ・ディスクとタービン羽根車と回転しないように連結された第二のクラッチ・ディスクとの間の摩擦式連結は、タービン羽根車の移動によって保証され、他方、第二の場合には、タービン羽根車と始動ユニットの出力側との間の連結の可逆変形のみが、押圧力を可能にする。この場合、両解決策は、クラッチが外された状態では第一及び第二クラッチ・ディスクの間の軸方向間隔が小さな実施形態のために適し、他方、第一の解決策は大きな間隔のためにも考えることができる。この場合、タービン羽根車の軸方向移動可能性は0.1〜2mmの範囲である。
【0020】
ほぼ自動的な架橋すなわち連結と、さらに流体クラッチ・ディスクによる動力伝達の確実な動作様式を実現するために、タービン羽根車の軸方向移動の際に、タービン羽根車をその位置でポンプ羽根車に対向して固定させる対応する反力が必要である。この反力は、本発明によれば動作空間に送られる作動油によって作られ、この作動油は、ブリッジ・クラッチの個別クラッチ・ディスク間のタービン羽根車外周に沿って、円環状動作空間の外径範囲におけるポンプ羽根車とタービン羽根車との間の分離平面領域に導かれ、そこからポンプ羽根車の中に送られ、流体クラッチを向心的に貫流する。通常は、開閉可能クラッチの両クラッチ・ディスクは互いに近くに位置する。この場合に10分の1mmの範囲で残っている隙間は、貫流する作動油のための絞り個所として機能する。この絞り個所を通じてピストン面の間に圧力差が生じ、結果的にこの圧力差から、ブリッジ・クラッチのための開閉に必要な押圧力が得られる。これは、最も簡単な場合にはタービン羽根車のプレストレスによる回転式連結と軸方向移動可能性を伴う実施形態によって実現され、例えば少なくともばね装置による。これは同様に、タービン羽根車の軸方向に起る出力側への弾性結合の場合にも可能である。流体作動を機械的ドリフトに切り換える場合には、作動油供給をその方向に関して変え、すなわちタービン羽根車の外周を回るのではなく、流体クラッチの貫流が遠心的に生ずる。クラッチ・ディスクの間に作動油の誘導によって向心的貫流の際に制限されてタービン羽根車に作用する反力はなくなる。そこで、作動油は円環状動作空間の内周の領域に導かれ、作動油によってタービン羽根車に生ずる圧縮力は、タービン羽根車をポンプ羽根車の方向へ移動又は傾斜させ、これで、タービン羽根車に回転しないように連結されたクラッチ・ディスクは、ポンプ羽根車覆いに結合されたクラッチ・ディスクと摩擦式に動作連結状態になる。
【0021】
タービン羽根車もしくはポンプ羽根車覆いに対する第一及び第二クラッチ・ディスクの結合に関しては、多くの可能性が成り立つ。空間的結合は軸方向に見て円環状動作空間のそばで、又はその後で行われる。半径方向の配置は、円環状動作空間の外径と内径の間の領域にあることが好ましい外寸法と内寸法とを特徴とする。
【0022】
クラッチ・ディスクによって形成される摩擦面は、ポンプ羽根車とタービン羽根車との間の分離平面に平行に整列されることが好ましい。これによって必要な押圧力をできるだけ小さく維持することができ、加工技術的許容誤差は問題なく妥協可能である。
【0023】
回転式結合は、タービン羽根車の円環を形成する部分の裏側にタービン羽根車との直接結合によって生ずることが好ましい。個別のクラッチ・ディスクのタービン羽根車及びポンプ羽根車もしくはポンプ羽根車覆いとの回転式連結も、やはりさまざまなやり方によって実現することができる。下記が考えられる。すなわち、
a)クラッチ・ディスクとタービン羽根車及び/又はクラッチ・ディスクとポンプ羽根車覆いの一体式実施形態、
b)個別構造エレメントとしての個別クラッチ・ディスクの形成、及び対応する連結エレメントを介するポンプ羽根車及び/又はタービン羽根車との回転式結合。
【0024】
双方の場合において、摩擦面をクラッチ・ディスクから直接、すなわち第一の場合にはタービン羽根車の外側とポンプ羽根車覆いの内面から、また第二の場合には個別の構造エレメントから、又はタービン羽根車の外周又は個別のクラッチ・ディスクに付け加えられた摩擦皮膜から直接形成することができる。
【0025】
本発明のさらに別の有利な態様では、始動ユニットは、振動を減衰するための装置、特にねじり振動ダンパを含む。このダンパは、流体クラッチの形の流体力学的構造エレメント及びブリッジ・クラッチに好ましくは一列に配置される。これは、振動を減衰するための装置をタービン羽根車と出力側との間に配置することによって達成される。これは、タービン羽根車が振動を減衰する装置の入力側に結合されるか、又は流体動力ブランチの架橋における摩擦式連結を介して、振動減衰装置の入力側がポンプ羽根車とポンプ羽根車覆いを通じて回転しないように連結されることを意味する。空間的には、振動減衰装置の配置は、この場合軸方向に見て本質的に流体力学的構造エレメントを有する領域もしくは平面に生ずる。半径方向には、振動減衰装置は、流体クラッチの円環状の動作空間を形成する部分の内周を描く直径の内部に配置される。この実施形態によって、特に短い軸方向の全長に加えて、さらに、半径方向の利用可能な構造空間も最適に十分利用される。振動減衰装置の実施形態に関しては全く制限はない。すなわち振動ダンパのあらゆる形式を考えることができる。この場合、装入のためには、例えば摩擦減衰のみに基づく振動減衰装置又は油圧減衰装置がある。油圧減衰装置としての実施形態は、回転モーメント伝達の目的で互いに回転しないように結合可能で、かつ周方向に互いに所定の角度だけ回転することができる一次部分と二次部分とを含む他に、一次部分と二次部分との間のばね結合及び/又は減衰結合の手段を含む。この場合、減衰結合の手段は、液圧流体を満たすことができる振動が転位される室を含む。ここで、振動を減衰するための装置はタービン羽根車における出力モーメントについてのみ設計されるべきであり、したがって振動を減衰するための装置は半径方向及び軸方向に非常に小さく構成され、たいていは流体力学的構造エレメントによって予め与えられた始動ユニットの寸法が拡大されることはない。
【0026】
振動を減衰するための装置の他の配置も考えられる。例えば一つの動力ブランチにのみ開閉可能クラッチに一列に、その前又は後に、又は流体クラッチに配置する。
【0027】
ポンプ羽根車とタービン羽根車の空間的配置に関しては、始動ユニットの入力側と出力側に関連して、本質的に下記の二つの可能性が成り立つ。
1. 始動ユニットの入力側と流体クラッチのタービン羽根車との間の軸方向におけるポンプ羽根車の配置、
2. 始動ユニットの入力側とポンプ羽根車との間の軸方向における流体クラッチのタービン羽根車の配置。
【0028】
最後に挙げた可能性は、この場合小さな構造空間にもかかわらず個別のエレメントの腐食可能性を最適に抑制することができるので、有利に適用分野を見いだす。
【0029】
本発明の解決法は、変速装置、特に自動伝動装置、さらに無段変速機(CVT)を有する伝動装置にも、例えば引張り手段伝動装置又はトロイダル伝動装置の形の伝動装置への装入に適している。この場合、始動ユニットは構造ユニットとして個別に事前に組み立て取扱い可能にすることができる。ここで、伝動装置への連結は、伝動装置ハウジング又は連結段付き直列連結部への統合によって行われ、この際すべての場合において、結合は例えば出力側連結段又は無段変速部に連結できるシャフトに取り付けることによって実現可能である。
【0030】
本発明のさらに別の態様では、本発明による始動ユニットは定置設備の駆動系列のみならず自動車への装入にも適している。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、図面を用いて本発明による解決策を説明する。
【0032】
図1a及び図1bは、流体クラッチ1の貫流を変えることによって機能を変える基本原理を簡略化された概略図である。これは、たいていポンプ羽根車2として示される一次羽根車と、二次羽根車として示されるタービン羽根車3とを含む。この両方は一緒に円環状動作空間4を形成し、この円環状動作空間4の中に、流体クラッチの運転中に閉じた動作循環経路5が作動油の転動によって形成される。一次羽根車2はポンプ羽根車覆い6に回転しないように結合され、軸方向にタービン羽根車3を取り囲む。ここでポンプ羽根車覆い6は、タービン羽根車の外周7とポンプ羽根車覆いの内側輪郭8との間に少なくとも一つ作動油導管又は空間9が作動油を導通するために形成されるように、タービン羽根車3を囲む。詳しくは、これは、作動油をタービン羽根車3とポンプ羽根車覆い6との間で、流体クラッチ1、特に一次羽根車2とタービン羽根車3の半径方向外寸法10の領域で、ポンプ羽根車2とタービン羽根車3との間の分離平面11の領域で、上から円環状動作空間4で調節される動作循環経路5の方向にこの中に導いて、向心的貫流を保証することを可能にするはずである。さらに、流体クラッチ1には少なくとも一つの作動油導管又は空間12が付加され、これは作動油を遠心方向に円環状動作空間5へ流入させることを可能にする。ここで作動油導管又は空間12では、管又は特に接続構造部に形成され挿入された導管が重要となり得る。導管の概念はここでは、機能に関して考えるべきであり、内部空間又は組合せ導管及び空間区分も含むことができる。特に9で示す作動油導管又は空間はここでは環状の作動油導通空間として提示されている。さらに、作動油導管の各々は、これが作動油の円環状動作空間4への供給の他に排出にも役立つことができ、すなわちこれによって円環状動作空間からの少なくとも一つの入口及び/又は出口に連結される。この場合、どの領域で作動油が円環状動作空間4から排出するかは些細なことである。本発明によれば、両方の作動油導管又は空間9,12は選択的に流入用又は流出用として利用可能であり、したがって貫流方向も変更される。このため、流体クラッチ1の貫流方向を選択的に変える手段13が準備されている。これら手段は、貫流方向変更手段としても示すことができる。これらの手段は最も簡単な場合には、上述の作動油導管又は作動油誘導空間の機能をその流入又は流出機能に関して取り替えるバルブ装置を含む。この際、バルブ装置は最も簡単な場合には4/2経路バルブ装置14として作られる。図1aに示すバルブ装置14の第二バルブ位置は、流体クラッチ1が遠心的に貫流されることを特徴とする。この場合、内周15の領域で円環状動作空間4に作動油が作動油導管又は空間12を通じて送られる。図1bに示す4/2経路バルブ装置14の第一切換え位置では、作動油の誘導は、タービン羽根車3の外周7における作動油導管又は空間9を通じて、そこから流体クラッチ1の半径方向外寸法10の領域における分離平面11の領域に、すなわち円環状動作空間4に入るよう行われる。この際、流体クラッチは循環経路を形成する場合には向心的に貫流される。確実な作動方式の保証と、さらにまた圧力制御可能性の使用を可能にするために、両作動油導管又は空間は互いに密封すなわち気密及び圧密にされる。
【0033】
流体クラッチ1の図1a及び図1bに示す本発明による形成は、図2aによる始動ユニット16の個別エレメントの特に空間的に場所を節約した配置を実現するための必要な前提条件を提示する。そこで、図2aは、本発明によって形成された流体クラッチ1を有する本発明によって形成された始動ユニット16の基本構造、をかなり簡略化した概略図で示す。始動ユニットは、駆動装置に結合可能な入力側Eと、次に接続された変換段階又はシャフト回転側に結合可能な出力側Aとを含む。始動ユニット16は、流体クラッチ1の形で始動エレメントを含む。さらに始動ユニット16は、始動エレメントに平行に開閉可能なクラッチ17を含む。このクラッチは、自動化された変速装置への装入及び自動伝動装置への装入の際に、常に又は主としてブリッジ・クラッチ18として働く。ここで、開閉可能クラッチはブリッジ・クラッチとして理解され、これは多くの動力ブランチを有する一つの駆動システムにおいて一つの動力ブランチを迂回して動力伝達することを可能にする。開閉可能クラッチ17は、少なくとも二つの互いに摩擦式に作用結合可能なクラッチ・ディスクを含み、これはクラッチ・ディスクの形であることが好ましく、すなわちこの二つのエレメントは、始動ユニット1の入力側Eと出力側Aの間における力の流れ方向に見て、クラッチ入力円板として示すことができる第一クラッチ・ディスク19と、またクラッチ出力円板として示すことができる第二クラッチ・ディスク20である。そこで、第一クラッチ・ディスク19と第二クラッチ・ディスク20との間の摩擦閉合による作用結合を、直接又は間接に実現することができる。そこで最初に述べた事例では、第一クラッチ・ディスク19と第二クラッチ・ディスク20の摩擦結合は直接形成されるが、第二の事例では、さらに別の摩擦面を備えたエレメントが挿入接続される。流体クラッチ1のポンプ羽根車2は、ポンプ羽根車覆い6を含む。これは、ポンプ羽根車2に回転しないように結合された個別の構造エレメントによって形成されるか、又はポンプ羽根車2と共に一体構造ユニットとして実現される。ここで、ポンプ羽根車覆い6は軸方向に本質的にタービン羽根車3の軸方向延長部を通じて組み込み式に挿入されるか、又はタービン羽根車3を少なくとも部分的に半径方向にも取り囲む。タービン羽根車3の包囲は、ポンプ羽根車覆い6によって、又は個別部分による多数の部分からなる実施形態の場合には、個別部分が半径方向に出力側Aの領域にまで及ぶように行われることが好ましい。ここでタービン羽根車3は直接又は間接に、すなわちさらに別の伝達エレメントを通じて始動ユニット16の出力側Aに連結されている。ここで、第一クラッチ・ディスク19は始動ユニット16の入力側Eに回転しないように連結され、第二クラッチ・ディスク20は始動ユニット16の出力側Aに回転しないように連結されている。図示された事例では、第一クラッチ・ディスク19はポンプ羽根車3、特にポンプ羽根車覆い6に回転できないように結合されるが、第二クラッチ・ディスク20はタービン羽根車3に回転しないように連結されている。開閉可能クラッチ17の配置は、半径方向に円環状動作空間4の半径方向延長部領域に行われることが好ましい。さらに、個別のクラッチ・ディスク、特に第一クラッチ・ディスク19と第二クラッチ・ディスク20の間で摩擦結合を実現するために、押圧力を発生させる手段21が準備されている。
【0034】
そこでこの手段21は、圧力媒体によって作用可能なピストン・エレメント22を含み、ここで図示の事例ではピストン・エレメント22の機能はタービン羽根車3によって引き受けられる。この目的のためにタービン羽根車3は、図に示すように出力側Aと回転しないように連結されるが軸方向に移動可能であるか、又は出力側Aに直接回転しないように結合され周方向にはねじれず軸方向には弾性である。さらに、作動油導管又は空間12,9が少なくとも概略図で示されている。流体クラッチ1に直接、貫流方向を選択的に変える手段13が配置されるか、又は流体クラッチ1の中に配置されるか、又はこれに付加される。図示の事例では、このために、図1にすでに説明したように4/2経路バルブ装置14が利用される。ここで4/2経路バルブ装置は作動油導管又は空間9,12に連結され、その位置に応じて流体クラッチ1を通じて作動油貫流方向を制御する。運転中に流体クラッチ1の機能様式及びこれによって動力伝達を円環状動作空間4の中で調節される動作循環を保証するために、動作空間4への作動油流入は向心的に、すなわちタービン羽根車3の外周7の周りに、したがって開閉可能クラッチ17の個々のエレメント間に、特に第一クラッチ・ディスク19と第二クラッチ・ディスク20との間を通って生ずる。作動油流の流入の際に誘導によって制限される反力は、流体クラッチ1における動力伝達中にタービン羽根車3の軸方向固定を可能にする。この反力が作動油流の動作空間4への流入を方向転換又は変更することによってなくなると、円環状動作空間4の中の作動油は、動作空間4の中に生ずる圧力によって軸力に作用し、この軸力はもはやタービン羽根車3によって支えられず、軸方向のタービン羽根車3の移動という結果になる。この場合、この移動は、開閉可能クラッチ装置17の両クラッチ・ディスクが互いに摩擦式で作動結合するように作用し、こうしてタービン羽根車3は機械的にポンプ羽根車2に結合され、これにより圧縮力の作用を受けるピストン・エレメント22は流体クラッチ1に統合され、それもタービン羽根車3によって形成される。この場合、タービン羽根車3の第二クラッチ・ディスク20を支える部分は、ピストン・エレメント22の機能を引き受け、円環状動作空間の中にある作動油は圧力作用を、ピストン・エレメント22では圧力室の機能を引き受ける。この機能状態では、流体クラッチは遠心的に貫流される。
【0035】
始動ユニット16の図2aに示す実施形態では、流体クラッチ1の個々のエレメント、すなわちポンプ羽根車2とタービン羽根車3の特に有利な配置が重要である。この場合、始動ユニット1の入力側Eと出力側Aとの間における力の伝達方向に、タービン羽根車3は空間的に軸方向にポンプ羽根車の後又はこのそばに配置されるが、ポンプ羽根車2は空間的に入力側Eとタービン羽根車3との間に配置されている。図示の事例では流体クラッチ1において、ブリッジ・クラッチとして働く開閉可能クラッチ17の個々のエレメントを摩擦式に連結するために押圧力を発生させる手段21を統合することに基づき、必要な構造エレメントの個数を最小限に抑えることができ、したがって、個々のエレメント、特に開閉可能クラッチ17の第一クラッチ・ディスク19及び第二クラッチ・ディスク20のために押圧力を発生又は準備する追加の個別装置は必要ではない。さらに別の大きな利点は、非常に短い軸方向全長に統合された実施形態によるものである。これは現況技術の実施形態とは異なる本発明の解決策による最適化された羽根車の場合に、さらに短くすることができる。
【0036】
必要な軸方向の構造空間を短くするためのさらに別の態様では、図2bの解決策の有利な再発展によって、ポンプ羽根車2を固定エレメント23によって駆動装置Eに連結され、これによって起動力が、ここではいわゆる可撓板24の結合を通じて図示されていない個別の駆動機械のクランク・シャフト25によって生じ、すなわち軸方向には、柔軟で周方向には回転しないようにした膜を有する。軸方向の全長を短くするためにさらに、固定エレメント23を部分的にポンプ羽根車2の羽根元26まで延ばすことが提供されている。これは、図2aの始動ユニット16の構造実施形態からの詳細によって図2bに示されている。駆動装置又は入力側Eとポンプ羽根車2との間の回転式連結に基づいて、固定エレメント23とポンプ羽根車2、特にポンプ羽根車2の羽根元26との間の相対移動は全くない。円環状動作空間4における運転中に調節される子午線流の障害又はその影響はない。ここで、羽根元26への固定エレメント23のこの種の延長は、図2aの本発明によって形成された始動ユニット16からの切取り部分によって、図2bに示されている。
【0037】
図2aにおいて、第二クラッチ・ディスク20がタービン羽根車3の裏側すなわち外周7に配置されることは好ましい。この場合、この配置は好ましくはポンプ羽根車2とタービン羽根車3との間の分離平面11に平行に、好ましくは円環状動作空間4の内径27と外径28との間の領域に行われる。この際、第二クラッチ・ディスク20は直接タービン羽根車によって形成されることが好ましく、これによって二次羽根車3の外面に付けられた皮膜から摩擦面を作ることができる。
【0038】
本発明のさらに別の態様では、図3による始動ユニット16は、振動を減衰するための装置29、特にねじり振動ダンパを含む。これは多くの形態で構成することができる。最も簡単な場合は、これは簡単な摩擦減衰装置として構成される。しかし流体減衰を備えた実施形態も考えることができる。この形式の振動を減衰するための装置29の具体的な構造に関しては、現況技術から知られている実施形態を参照することができる。ここで具体的な選択は該当する専門家の判断に任される。またある一つの有利な方式では、力学的構造エレメント、流体クラッチ1、開閉可能クラッチ17、及び振動を減衰するための装置29が一列に接続される。ここで振動を減衰するための装置29は、タービン羽根車3に回転しないように連結されこれにより第二クラッチ・ディスク20に連結された一次部分30と、出力側Aに結合された二次部分31とを含む。一次部分30と二次部分31との間には減衰結合及び/又はばね結合の手段が設けられている。振動を減衰するための装置29は、動力伝達ブランチに応じて、流体クラッチ1を通じた動力伝達の際には、流体クラッチ1特にタービン羽根車3と出力側Aとの間に配置され、さらに、開閉可能クラッチ17を通じた動力伝達の際には、開放可能クラッチ17特に第二クラッチ・ディスク20を通じて形成された出力側と始動ユニット16の出力側Aとの間に配置される。両方の場合に、振動を減衰するための装置29は、それぞれ動力を伝達するエレメント、すなわち流体クラッチ1又は開閉可能クラッチ17は一列に連続して接続されている。流体クラッチ1と開閉可能クラッチ17の同時作動、すなわち二つの動力ブランチを介した動力伝達である流体クラッチを通じた全動力の第一出力部分の伝達と開閉可能クラッチ17を通じた第二出力部分の伝達においても、ねじり振動ダンパは両動力ブランチに一列に連続して接続される。始動ユニットのその他の基本構造は図2aに図示されたものと一致している。ここで同じエレメントには同じ参照記号が付されている。
【0039】
図4は、流体クラッチ1.4の形の始動エレメント17.4を有する本発明によって形成された始動ユニット16.4の、さらに別の形態を概略図で示す。ここでも流体クラッチ1.4は、一緒に一つの円環状動作空間4.4を形成する一次羽根車2.4と二次羽根車3.4とを含む。さらにここでも、流体クラッチに平行に開閉可能な開閉可能クラッチ17.4が備えられている。基本機能は図2、3に示されたものと一致している。ここで同じエレメントには同じ参照記号が付されている。しかし、図2及び図3による実施形態と異なり、タービン羽根車3.4は空間的に軸方向に見て、入力側Eとポンプ羽根車2.4との間に配置され、すなわちポンプ羽根車2.4は先の図の実施形態とは異なって原動機側ではなく、原動機シャフト回転側に配置されている。ここで、駆動装置、特に始動ユニット16.4の入力側Eとポンプ羽根車2.4との間の結合は、二次羽根車3.4を取り囲んで軸方向に行われ、これによって、タービン羽根車3.4はシャフト回転側に、出力側Aを通じて半径方向に入力側Eとポンプ羽根車2.4との間の結合部中間空間内で結合され、空間的に見ると、入力側Eとポンプ羽根車2.4との間の結合部前における始動ユニットの入力側Eと出力側Aとの間である。
【0040】
図5a,5bは、図3による実施形態を用いて、本発明によって形成された始動ユニット16の機能方式を示す。同じエレメントには同じ参照番号が付されている。ここで図5aは、流体運転中の動作空間4への作動油流入を示し、すなわちタービン羽根車3の外周7の回りで流体クラッチ1を通じて、円環状動作空間4の外径28の領域におけるポンプ羽根車とタービン羽根車との間の分離平面11への、さらにそこから動作空間4への動力伝達を示す。流体クラッチ1はこの状態では向心的に貫流される。
【0041】
図5bは、これとは異なり、開閉可能クラッチ17に切り換えた場合の、タービン羽根車3の羽根元において円環状動作空間4の内径への圧力を形成する目的で、動作空間4の内周領域におけるタービン羽根車3への変更された作動油供給を示す。流体クラッチ1はこの機能状態では遠心的に貫流される。
【0042】
図6は、有利な再発展を用いて、圧力制御によって流体クラッチ1の動力受入れもまた直接的にも間接的にも制御するという可能性を示している。この目的のために、図2、3による始動ユニット1の実施形態では、詳しくは図示されていないシールによって互いに密封された作動油導管又は空間9,12に、対応する接続部B,Cが付加されている。作動油の誘導は、開放循環経路32を冷却する目的で円環状動作空間4の外側で行われる。
【0043】
図1及び図5に示されているように、流体クラッチ1の貫流の変更は、例えばやはり同じく、個々の作動油流路又は配管の流入部及び流出部への付加しを切換え位置に応じて固定するバルブ装置14を通じて行われる。図示された事例では、流入部及び流出部はそれぞれ33と34で示され、これによってこの作動油導管又は空間への結合を任意に行うことができる。バルブ装置14の第一のここでは示されていない機能設定Iでは、バルブ装置14は34で示す接続部が流入部として機能し、33で示す接続部が戻り部として機能する。ここで、34で示す接続部は個々には示されていない導管によって、タービン羽根車3の外周7の周りに作動油を導くために結合されている。この状態では、結合された作動油流は、個別の互いに摩擦的に連結されるべきクラッチ・ディスク19,20の間に導かれる場合、ブリッジ・クラッチとして作られた開閉可能クラッチ17の非活動化の役目をする。流体クラッチ1はこの状態では向心的に貫流される。これは、中心部への流れ方向、すなわち円環状動作空間4に収められる動作循環経路35の中心へ向う流れ方向を意味する。接続部Cはこの場合、作動油の円環状動作空間4からの流出部として働く。4/2経路バルブ装置14の図6に示す第二の機能設定IIでは、Bで示す接続部は流入部として働き、Cで示す接続部は流入部として働く。この事例では、作動油は遠心的に回転軸の方向から円環状動作空間4の中に導かれ、図5bに示す機能を行使する。流体クラッチ1のタービン羽根車3は、互いに摩擦式に連結状態にすることができる開閉可能クラッチ17のクラッチ・ディスク19,20のためのピストン・エレメントとして機能する。開放循環経路32は容器36を包含する。これに送り管37及び戻り管38が結合され、これらはバルブ装置14を通じて選択的に個別の作動油導管又は空間9,12に結合されている。送り管37は接続部Cに付加され、戻り管38は接続部Bを形成する。圧力制御のために戻り管38の中に、制御可能な圧力制限バルブ39は準備され、これは戻り管38における圧力を所定の値に制限することができる。作動油を供給するために、さらに搬送装置40が設けられている。これによって、動力伝達を開閉可能クラッチ17と流体クラッチ1の両方を通じて同時に生じさせることができる。この際、両接続部B,C間の差圧を通じて、開閉可能クラッチ17のための動力伝達が直接制御され、これによって流体ブランチすなわち流体クラッチ1を通じても間接的に制御される。絶対圧力を通じて、動力伝達を流体クラッチによって変更することができる。
【0044】
図7による別の可能性は、円環状動作空間4への流入部及び円環状動作空間4からの流出部に圧力制御手段を直接付加すことである。この事例では、円環状動作空間4の流入部及び流出部BもしくはCは連結管41を通じて互いに結合され、この連結管41はさらに別の連結管42を通じて作動油容器43に結合されている。ここで、流体クラッチ1の円環状動作空間4における充填度合いの制御は、円環状動作空間4における絶対圧力pabsolut の変更によって行われる。ここで、この目的のために、個々の接続部B、Cにそれぞれ、流入部と戻り部における圧力を制御するための制御可能バルブ装置44、45が、個々の接続部B,Cの流入管又は流出管としての追加に応じて、付け加えられる。最も簡単な事例では、これらはこの図に示すように、互いに独立して制御可能な圧力調整バルブ装置として作られている。連結管41,42ならびに接続部B、C及び作動油容器43は、作動油供給システム46を形成する。バルブ装置45,46の抵抗に対抗する搬送過程を避けるために、連結管41の中に圧力開放バルブ47を準備することが好ましい。
【0045】
圧力調整バルブによって、作動油導管又は空間9,12の中で調節すべき圧力値を通じて、流体クラッチにおける流れ方向ならびに伝達可能な動力が固定される。さらに、各クラッチすなわち流体クラッチ1及び開閉可能クラッチ17を通じて伝達可能な出力部分が個別又は共同で制御可能である。ここで第一出力部分は、流体クラッチ1と開閉可能クラッチ17との並行作動の場合には、流体クラッチ1が配置されている第一動力ブランチを通じて伝達される。第二出力部分は、開閉可能クラッチ17が配置されている第二動力ブランチを通じて伝達される。第一出力部分の制御は、流体クラッチ1における絶対圧力の制御を通じて行われる。これに関する調節量として、作動油導管又は空間12に接続部Cを通じてかかる圧力が機能する。二つの出力部分の制御は、接続部B,Cにかかる差圧を通じて行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】本発明によって流体クラッチの貫流方向を選択的に変える基本原理を示す図である。
【図1b】同じく、本発明によって流体クラッチの貫流方向を選択的に変える基本原理を示す図である。
【図2a】本発明による始動ユニットの有利な形成を示す図である。
【図2b】図2aの部分詳細図である。
【図3】図2aによる有利な形成を示す図である。
【図4】羽根車を取り替えた、図2と図3の実施形態とは反対の始動ユニットの有利な実施形態を示す図である。
【図5a】図2の実施形態による両貫流状態を示す図である。
【図5b】図2の実施形態による両貫流状態を示す図である。
【図6】圧力制御を実現するための可能性の極めて簡略化した概略図である。
【図7】圧力制御を実現するための可能性の極めて簡略化した概略図である。
【符号の説明】
1 流体クラッチ
2 ポンプ羽根車
3 タービン羽根車
4 円環状動作空間
5 動作循環経路
6 ポンプ羽根車覆い
7 タービン羽根車の外周
8 内側輪郭
9 作動油導管又は空間
10 流体クラッチの半径方向外側寸法
11 分離平面
12 作動油導管又は空間
13 貫流方向を選択的に変える手段
14 4/2経路バルブ装置
15 内周
16 始動ユニット
17 開閉可能クラッチ
18 ブリッジ・クラッチ
19 第一クラッチ・ディスク
20 第二クラッチ・ディスク
21 押圧力を発生させる手段
22 ピストン・エレメント
23 固定エレメント
24 可撓板
25 クランク・シャフト
26 羽根元
27 内径
28 外径
29 振動を減衰するための装置
30 一次部分
31 二次部分
32 開放システム
33 流入部
34 流出部
35 動作循環経路
36 容器
37 送り管
38 戻り管
39 圧力制限バルブ
40 搬送装置
41 連結管
42 連結管
43 容器
44 圧力調整バルブ
45 圧力調整バルブ
46 作動油供給システム
47 圧力開放装置
A 始動ユニットの出力側
B 接続部
C 接続部
E 始動ユニットの入力側

Claims (32)

  1. 1.1 共に一つの円環状動作空間(4;4.4)を形成する二つの羽根車、すなわちポンプ羽根車(2;2.4)及びタービン羽根車(3;3.4)と、
    1.2 タービン羽根車(3;3.4)を軸方向に第一作動油導管又は空間(9;9.4)を形成して取り囲む、ポンプ羽根車(2;2.4)と回転しないように結合されたポンプ羽根車覆い(6;6.4)と、
    1.3 円環状動作空間(6;6.4)の内径の領域又はその下で開口する、第二作動油導管又は空間(12;12.4)とを有し、
    1.4 第一及び第二作動油導管又は空間(12;12.4)はそれぞれ、円環状動作空間(4;4.4)への流出管又は空間として、もしくは該円環状動作空間(4;4.4)からの流入管又は空間として利用可能である、
    流体クラッチ(1;1.4)。
  2. 両羽根車(2;2.4;3;3.4)がこれらの大きさに関して小さな間隔で互いに半径方向に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の流体クラッチ(1;1.4)。
  3. 第二作動油導管又は空間(12;12.4)の配置が少なくともポンプ車軸又はタービン車軸に付加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体クラッチ(1;1.4)。
  4. 第一又は第二作動油導管又は空間(9、12;9.4、12.4)が互いに気密に密閉されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の流体クラッチ(1;1.4)。
  5. 5.1 作動油供給源(40;43;36)と、
    5.2 第一作動油導管又は空間(9;9.4)と結合するための第一接続部(B)と、
    5.3 第二作動油導管又は空間(12;12.4)と結合するための第二接続部(C)と、
    5.4 両作動油導管又は空間(9、12;9.4、12.4)に流入部又は流出部の機能を割り当てることによって、流体クラッチ(1;1.4)の貫流方向を選択的に変える手段(14、13)とを有する、
    請求項1から4の何れか一項に記載の流体クラッチ(1;1.4)のための作動油システム(46)。
  6. 下記の特徴、すなわち
    6.1 手段(14)は少なくとも二つの調節位置(I,II)を有するバルブ装置(13)を含むこと、
    6.2 第一調節位置(I)は、流入部と第一作動油導管又は空間(9、9.4)との間、及び流出部と第二作動油導管又は空間(12;12.4)との間を結合し、
    6.3 第二調節位置(II)は、流入部と第二作動油導管又は空間(12;12.4)との間、及び流出部と第一作動油導管又は空間(9;9.4)との間を結合する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の作動油供給システム(46)。
  7. 次の特徴すなわち、
    7.1 流入部と流出部が開放循環経路(32)を通じて互いに連結され、作動油供給ユニット又は貯蔵ユニット(36、43)を含むこと、
    7.3 流体クラッチ及び開閉可能クラッチを通じて伝達可能な出力部分を制御する手段を含むこと、
    を特徴とする請求項6に記載の作動油供給システム(46)。
  8. 流体クラッチ(1;1.4)と開閉可能クラッチ(17;17.4)とを通じて伝達可能な出力部分を制御する手段が、両作動油導管又は空間(9,12;9.4,12.4)に対する流入部又は流出部の機能を、それぞれ個々の作動油導管又は空間(9,12;9.4,12.4)及び少なくとも一つの作動油導管又は空間内の圧力を制御するためのバルブ装置(39)に割り当てることによって流体クラッチの貫流方向を選択的に変える手段(14,14.4)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の作動油供給システム(46)。
  9. 伝達可能な出力部分を制御する手段と、流入部又は流出部の機能を両作動油導管又は空間に割り当てることによって流体クラッチの貫流方向を選択的に変える手段が、それぞれ個々の作動油導管又は空間(9,12;9.4,12.4)に付加されて個別に制御可能なバルブ装置(44、45)によって形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の作動油供給システム(46)。
  10. 制御可能なバルブ装置(44、45)が圧力調整バルブ装置として構成されることを特徴とする、請求項9に記載の作動油供給システム(46)。
  11. 11.1 駆動装置に結合可能な入力側(E)及び駆動装置に結合可能な出力側(A)と、
    11.2 請求項1から4の何れか一項に記載の流体クラッチ(1;1.4)の形の始動エレメントと、
    11.3 少なくとも二つの互いに直接又は間接にさらに別の伝達手段を介して摩擦式に動作連結状態にすることができるクラッチ・ディスク、すなわちそれぞれ入力部(E)及び出力部(A)に結合される第一クラッチ・ディスク(19)及び第二クラッチ・ディスク(20)を包含する開閉可能クラッチ(17,17.4)と
    を有する始動ユニット(16,16.4)。
  12. 第一クラッチ・ディスク(19)と第二クラッチ・ディスク(20)との間の少なくとも間接的な摩擦式連結を実現するための押圧力を発生させる手段(21)が備えられていることを特徴とする、請求項11に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  13. 第一クラッチ・ディスク(19)はポンプ羽根車覆い(6、6.4)に回転しないように連結され、第二クラッチ・ディスク(20)はタービン羽根車(3;3.4)に回転しないように連結され、第一クラッチ・ディスク(19)と第二クラッチ・ディスク(20)の間の少なくとも間接的な摩擦式連結を実現する手段(21)は、圧力媒体によって作用可能な少なくとも一つのピストン・エレメント(22)を含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  14. 下記の特徴、すなわち
    14.1 タービン羽根車(3,3.4)は軸方向に移動可能に、しかし始動ユニット(16;16.4)の出力側(A)に回転しないように連結されていること、
    14.2 ピストン・エレメント(22)はタービン羽根車(3,3.4)によって形成されること、
    14.3 ピストン・エレメント(22)に作用するための圧力媒体を充填できる室は円環状動作空間(4,4.4)によって形成されることを特徴とする、請求項11から13の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  15. 下記の特徴、すなわち
    15.1 タービン羽根車(3、3.4)は出力側(A)に回転しないように連結され、しかしクラッチは周方向にねじれないように軸方向に弾性的に構成されていること、
    15.2 ピストン・エレメント(22)はタービン羽根車(3,3.4)によって形成されること、
    15.3 ピストン・エレメントに作用するための圧力媒体を充填できる室は円環状動作空間(4;4.4)によって形成されることを特徴とする、請求項11から13の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  16. 下記の特徴、すなわち
    16.1 第一クラッチ・ディスク(19)及び/又は第二クラッチ・ディスク(20)が、ポンプ羽根車覆い(6;6.4)及び/又はタービン羽根車(3;3.4)と共に一体として作られていること、
    16.2 ポンプ羽根車覆い(6;6.4)及び/又はタービン羽根車(3、3.4)が摩擦被膜で覆われていること、
    を特徴とする、請求項11から15の何れか一項に記載の始動ユニット(16、16.4)。
  17. 下記の特徴すなわち、
    17.1 第一クラッチ・ディスク(19)及び/又は第二クラッチ・ディスク(20)が、個別の構造エレメントとして作成され、これらはポンプ羽根車覆い(6;6.4)及び/又はタービン羽根車(3,3.4)と回転しないように連結されていること、
    17.2 摩擦面は個別の構造エレメント又はその上に付けられた摩擦被膜によって形成されていること、
    を特徴とする、請求項11から15の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  18. 第二クラッチ・ディスク(20)がタービン羽根車(3;3.4)の裏側に配置されていることを特徴とする、請求項11から17の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  19. 第二クラッチ・ディスク(20)が半径方向に、円環状動作空間(4;4.4)の外径と内径の間の領域に配置されていることを特徴とする、請求項18に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  20. 第一クラッチ・ディスク(19)及び第二クラッチ・ディスク(20)が、分離平面(11)と平行にポンプ羽根車(2;2.4)とタービン羽根車(3;3.4)の間に整列されていることを特徴とする、請求項11から19の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  21. 下記の特徴、すなわち
    21.1 振動を減衰するための装置(29;29.4)、特にねじり振動ダンパを有すること、
    21.2 振動を減衰するための装置(29;29.4)は流体クラッチ(1;1.4)及び開閉可能クラッチ(17;17.4)と一列に接続されていること、
    を特徴とする始動ユニット(16;16.4)。
  22. 振動を減衰するための装置(29;29.4)がタービン羽根車(3;3.4)と出力側(A)との間に配置されていることを特徴とする、請求項21に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  23. 振動を減衰するための装置(29;29.4)が摩擦減衰装置として構成されていることを特徴とする、請求項21又は22に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  24. 振動を減衰するための装置(29;29.4)が油圧減衰装置として実施されていることを特徴とする、請求項21又は22に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  25. 下記の特徴、すなわち
    25.1 振動(22)を減衰するための装置(29;29.4)が一次部分(30)と二次部分(31)とを含み、これらは周方向に互いに回転しないように結合されているが、互いに限られた範囲で回転可能であり、
    25.2 一次部分(30)と二次部分(31)の間に、減衰クラッチ及び/又はスプリング・クラッチのための手段が配置されていることを特徴とする、請求項24に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  26. タービン羽根車(3.4)が空間的に入力側(E)とポンプ羽根車(2.4)の間に配置されていることを特徴とする、請求項11から25の何れか一項に記載の始動ユニット(6.4)。
  27. タービン羽根車(3)が空間的にポンプ羽根車(2)の後に配置され、ポンプ羽根車(2)は入力側(E)とタービン羽根車(3)の間に配置されていることを特徴とする、請求項11から25の何れか一項に記載の始動ユニット(16)。
  28. 請求項5から10の何れか一項に記載の作動油供給システム(46)の構成要素を含むことを特徴とする、請求項11から27の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)。
  29. 請求項11から28の何れか一項に記載の始動ユニット(16;16.4)を有する伝動構造ユニット。
  30. 始動ユニット(16;16.4)の出力側(A)が少なくとも一つの後続接続段階に結合されていることを特徴とする、請求項29に記載の伝動構造ユニット。
  31. 始動ユニット(16;16.4)の出力側(A)が無段変速部に結合されていることを特徴とする、請求項29又は30に記載の伝動構造ユニット。
  32. 自動伝動装置として実現されることを特徴とする、請求項29又は30に記載の伝動構造ユニット。
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