JP2004507482A - 血管新生を阻害するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
内皮細胞における血管新生を阻害するための方法および内皮細胞におけるアポトーシスを、アネクシンIIと結合する化合物によって誘導するための方法を提供する。これらの化合物およびこれらの化合物の使用方法は、望まない血管形成を特徴とする病気または障害の処置において有用である。また、さらに提供されるのは、アネクシンIIに結合する化合物および薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物ならびに該化合物を見いだすための方法である。
Description
【0001】
発明の背景
より多くの証拠によって、血管新生、すなわち新しい血管が成長する過程が、固形癌の成長および転移に必須であることが明らかになっている。毛細血管は一義的に内皮細胞から構成によって、内皮細胞は多くの場合通常の生理条件下においては休止状態にある。外部刺激に反応した場合、休止状態にあった内皮細胞は、基底膜を細胞外性マトリクスプロテアーゼによって分解することがあり、内皮細胞は遊出し、間質細胞および基底膜に侵入するようになる。これらの細胞はその形態を変え、増殖し新たな血管を形成することができるようになる (Folkman, J. and Y. Shing. 1992. J. Biol. Chem. 267:10931−10934)。血管新生を刺激するために、腫瘍は種々の因子を誘導し、これは線維芽細胞増殖因子(bFGF)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含む。しかし、多くの悪性腫瘍も血管新生阻害物質を産生し、これはアンジオスタチンおよびエンドスタチンを含む(O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328; O’Reilly, M.S. et al. 1997. Cell 88:277−285)。この複雑な過程が意味するのは複数の制御系(control)の存在であり、該制御系によって短時間のうちにスイッチがオン・オフされ、血管形成過程が調節される。
【0002】
血管新生の過程は、ネガティブおよびポジティブフィードバック調節因子の両方によって厳密に調節されていて、その結果恒常的状態が保たれている。これらの因子のバランスの崩壊は、病理状態下において疾病過程の進展および進行につながる可能性があり、それは腫瘍成長、糖尿病性網膜症、組織および器官異常、ならびに心血管系障害などである(Folkman, J. 1995. Nat. Med. 1:27−31)。アンジオスタチンは、血管新生に対する強力なネガティブ調節剤であり、マウスにおける初期腫瘍の成長および転移を潜在的に阻害し得る(Sim, B.K. et al. 1997. Cancer Res. 57:1329−1334)。
【0003】
アンジオスタチンはマウスの尿から精製されているが、該マウスはルイス肺癌に罹患したものであって、そしてアンジオスタチンは、プラスミノーゲンの38kDaの内部断片(98〜440アミノ酸)と同定され、該断片は分子の最初の4つのクリングル領域(kringle’s)を構成していた。アンジオスタチンは、インビトロにおける、プラスミノーゲンの限定的なプロテオリシスによっても産生し得る。種々の方法によって製造されたアンジオスタチンが、マウスの腫瘍成長を退行せしめることが示されている(Gately, S. et al. 1997. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:10868−10872; Gately, S. et al. 1996. Cancer Res. 56:4887−4890; Stathakis, P. et al. 1997. J. Biol. Chem. 272:20641−20645; Don, Z. et al. 1997. Cell 88:801−810)。インビトロにおいて試験した場合、アンジオスタチンは細胞増殖、遊走、およびコラーゲンゲル中における三次元的毛管形成を阻害することが示されているが、これらは全て血管新生における必須の段階である。インビボにおいては、アンジオスタチンはプラスミノーゲンの加水分解によって産生されるが、これは多くの酵素によるものであり、マクロファージ由来のメタロプロテイナーゼ、プラスミンリダクターゼ、MMP−7(マトリクスメタロプロテイナーゼ7)、ゼラチナーゼB/タイプIVコラゲナーゼ、MMP−9 (マトリクスメタロプロテイナーゼ9)、および膵エラスターゼが含まれる。アンジオスタチンは、マウスにおけるマウスおよびヒトの広範にわたる腫瘍モデルを効果的に阻害することが示されている(O’Reilly, M.S. et al. 1996. Nat. Med. 2:689−692; O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 59:471−482; Wu、Z. et al. 1997. Biochem. Biophys. Res. Commun. 236:651−654; Griscelli, F. et al. 1998. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6367−6372)が、これは腫瘍の新血管新生の阻害によるものであり、プラスミノーゲン自体は血管新生および腫瘍の退行を阻害しない。これらのデータは、クリングル領域の特定のコンホメーションが、アンジオスタチンの抗血管新生活性には重要であることを示唆している。
【0004】
その潜在的な抗癌における価値にもかかわらず、アンジオスタチンの作用機構およびその細胞受容体の実体(identity)は、十分に解明されていない。
アネクシンIIは、最も多量に存する、プラスミノーゲンおよびプラスミノーゲン活性化因子の内皮細胞フィブリノーゲン受容体である。アネクシンIIは、組織のプラスミノーゲン活性化因子およびその表面上のプラスミノーゲンの集合体を形成せしめる。内皮細胞上のこの三分子集合体は、プラスミンを最大の効率で、血管床内において製造できる(Hajjar, K.A. et al. 1994. J. Biol. Chem. 269:21191−21197; Kang、H.M. et al. 1999. Trends Cardiovasc. Med. 9:92−102)。この細胞表面産生プラスミンは、不活化から保護されている。プラスミンは、広スペクトラムなトリプシン様セリンプロテアーゼであり、フィブリンおよび数種の内皮細胞マトリクスタンパク質を分解し、これらはラミニン、トロンボスポンジン、およびコラーゲン類である。細胞外マトリクスの前記タンパク質分解および基底膜の消失は、内皮細胞および腫瘍細胞が侵入し、遊走しそして血管新生および転移を促進するために必要である(Kang, H.M. et al. 1999. Trends Cardiovasc. Med. 9:92−102)。
【0005】
発明の概要
本発明は、アネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用によって、血管新生を阻害する組成物を同定するための方法および該組成物を用いるための方法を提供する。これらの方法は、アネクシンIIが、アンジオスタチンの特異的、高親和性アンジオスタチン結合性受容体であると同定されたことに基づいている。血管新生を阻害することができる化合物をここに見いだすことが可能になったが、それは該化合物のアネクシンIIへの結合能を調査することによるものである。血管新生に対する好ましい阻害剤は、アネクシンIIに対する結合においてアンジオスタチンを競合する。アンジオスタチンとアネクシンとの相互作用に対する調節剤(modulator)、特にアンジオスタチンのアネクシンIIへの結合と競合する剤またはそれをミミックする剤は、内皮細胞のアポトーシス活性を促進することによって血管新生を阻害すると考えられる。
【0006】
発明の詳細な説明
アンジオスタチン特異的受容体がここに見いだされそして精製されたが、それは内皮細胞由来である。該受容体は35kDaのタンパク質であり、それは既知のプラスミノーゲン受容体であるアネクシンIIと同一の配列を有する。アンジオスタチンのこの内皮細胞内受容体への結合は、特異的でありかつ高親和性であることが示された。この細胞内アンジオスタチン受容体の発見によって、機構が提供され、該機構は血管新生の新規な阻害剤の発見のため、ならびに細胞内における血管新生を阻害するための方法のために探索可能になる機構である。
【0007】
アンジオスタチンは、ヒトプラスミノーゲンに対する限定タンパク質加水分解性消化作用により、精製ウシ膵エラスターゼを用いて産生された。該タンパク質は、単一ステップによって、リジン−セファロースアフィニティクロマトグラフィによって約95%の均一性に精製されたことがSDS−PAGEによって決定された。該均一画分を集め、濃縮、透析および滅菌濾過を行った。次に精製画分をさらなる免疫反応性に関する特性化に付したが、これには抗クリングル1−3(K1−3)モノクローナル抗体を用いた。精製したアンジオスタチンは、構造特異的な抗K1−3モノクローナル抗体に対して強い免疫反応を示した精製したタンパク質が、アンジオスタチンであることの証明をさらに確実にするために、38kDaバンドをPVDF膜に移送し、アミドブラックによって染色した。染色されたバンドを膜から切り出し、N末端シークエンシングを行った。アミノ酸配列としてYLSEKKGGNGKN(配列番号4)が産生されたが、それは発表されているアンジオスタチン(K1−4)の配列と相同であった。スイスタンパク質データベースの調査によって、前記配列はプラスミノーゲンのクリングル1−4にのみ一致することが示された。続いて、精製したアンジオスタチンは、既に報告されているように、内皮細胞増殖に対して活性を有することが見いだされ、それは同一濃度範囲において見いだされた(O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328)。この高精製かつ生物活性を有するアンジオスタチンを以後の実験に用いて、アンジオスタチン結合タンパク質、すなわちアンジオスタチン受容体の発見を行った。
【0008】
免疫細胞化学を、培養ウシ動脈内皮細胞を用いて、4室組織スライドにおいて行った。細胞を固定し、95%エタノールを用いて浸透可能にし、抗K1−3モノクローナル抗体またはコントロールとみなされるHRP抱合二次抗体とともにインキュベートした。試験室をアンジオスタチンとともにインキュベートし、続いて抗K1−3モノクローナル抗体および二次抗体とともにインキュベートした。内皮細胞のみに特異的な染色が存在する一方、アンジオスタチンまたは一次抗体の添加を行っていないコントロールは染色されなかった。
【0009】
アンジオスタチンがアネクシンIIを介して培養内皮細胞に結合するかを決定するために、内皮細胞ライセートをアンジオスタチン結合に関してリガンドブロッティングを用いて試験を行った。BAECを90%のコンフルエンシィ(confluency)まで生育せしめた。 細胞を回収し、ペレットを洗浄しPBSに再懸濁した。細胞を超音波処理し、そして不要画分、すなわち全細胞膜画分を示すものをSDS−PAGEによって解析し、ニトロセルロースに移した。膜は5%無脂乾燥乳によってブロックし、そして精製したアンジオスタチン(1μg/ml)とともに1時間インキュベートした。膜を洗浄し、抗K1−3抗体(1:100)とともに1時間再インキュベートし、その後HRP抱合マウスIgGとともにインキュベートした後ECLによって現像した。リガンド免疫ブロッティングによって単一のタンパク質のバンドが見いだされ、それは約35kDaの分子量を有していて、アネクシンIIの分子量に一致した。並行してコントロールの免疫ブロットも行い、それはアンジオスタチンの添加に関して以外は上記と同様に行ったが、コントロールは結合を全く示さなかった。
【0010】
細胞下におけるアンジオスタチン結合タンパク質の評価を行うために、内皮細胞の細胞内小器官を分割し、約10マイクログラムのタンパク質を12%SDS−PAGEによって分離し、そしてリガンドブロット解析に付した。このリガンドブロット解析によって、前記35kDaアンジオスタチン結合タンパク質は、ミクロソーム膜画分に特定された。コントロールブロットはここでも結合を示さなかった。
次に行った実験は、アンジオスタチン結合タンパク質の精製であった。段階的精製手法を用いて、カラムクロマトグラフィを行った。単一の主要なバンドがアンジオスタチンアフィニティクロマトグラフィ手法によって単離され、それは35kDaの分子量を有していた。さらに、これらの画分のアンジオスタチン結合性をリガンドブロット解析によって決定した。一つのブロットはアンジオスタチンとインキュベートせず、コントロールとして機能させた。二番目の試験ブロットを次に1μg/mlのアンジオスタチンとともにインキュベートした。二番目の試験ブロットのみがアンジオスタチンとの結合を示した。コントロールはアンジオスタチンとの結合を示さなかった。
【0011】
精製タンパク質のトリプシン断片によって、配列SLYYYIQQDTK (配列番号1)、SYSPYDMLESIK(配列番号2)、およびALLYLXGGDD(配列番号3)が産生され、それらは339残基を有するアネクシンIIのアミノ酸314〜324、234〜245および330〜339と、それぞれ100%一致した。アミノ酸配列の結果に基づき、前記35kDaアンジオスタチン結合タンパク質はアネクシンIIであると決定された。
アネクシンII結合の特異性を決定するために、BAEC、NIH3T3、HUVECおよびA431からの細胞ライセートを調製し、約10マイクログラムのタンパク質をリガンドブロット解析に付した。アンジオスタチンの結合は、内皮細胞に限られることが示された。アンジオスタチンは、BAECおよびHUVECラインのアネクシンIIに結合したが、A431細胞または線維芽細胞への結合は僅かしか検出されないかまたは全く検出されなかった。これらの結果について、ウェスタンブロット解析によって、抗モノクローナル抗体を用いて確認を行った。アネクシンII抗体によってリガンドブロット実験において観察されたタンパク質のバンドが認識されたが、線維芽細胞はアネクシンII抗原の結合を示さなかった。A431細胞は低い結合および低いアネクシンIIの発現を示した。これらの実験によって、アネクシンIIがアンジオスタチン受容体として機能することが示された。
【0012】
放射性ラベルアンジオスタチンをマイクロタイタプレートに固定化したアネクシンIIに添加すると、高親和性で特異的な結合相互作用が示された。結合は、ラベルしていないアンジオスタチンおよび抗アネクシンII抗体によって、それぞれ80%および55%阻害され、このことからアンジオスタチンとその受容体であるアネクシンIIとの結合の特異性が示された。BSAがコントロールとして用いられたが、示された結合はごく僅かであった。アンジオスタチン/アネクシンII相互作用は、リジン結合サイト依存性であることが、リガンド免疫沈殿法により、抗アネクシンIIモノクローナル抗体を用いて示された。アンジオスタチンをアネクシンIIとともにε−ACA100mM存在下においてインキュベートした場合には、アンジオスタチンの結合は完全にブロックされたが、これは結合がリジン依存性であることを示している。
【0013】
アンジオスタチンをさらに特徴付けるために、プラスミノーゲンとアネクシンIIとの相互作用、アンジオスタチンのアネクシンIIに対するプロテインAセファロースゲルにおける結合を解析した。アネクシンIIおよび抗アネクシンII抗体複合体をプロテインAセファロースゲルに固定化し、濃度を増しながら放射性ラベルアンジオスタチンまたはプラスミノーゲンとインキュベートした。アンジオスタチンまたはプラスミノーゲンの結合は濃度依存性であり、みかけのKdは164nMおよび101nMにおいてそれぞれ飽和した。コントロール実験においては、放射性ラベルアンジオスタチンのゲルに対して最大で5〜10パーセントの結合が同一の濃度範囲において生じ、タンパク質への結合は見いだされなかった。アンジオスタチンのその受容体であるアネクシンIIへの結合をさらに特徴付けるために、結合したアンジオスタチンを溶出させ、その実体をSDS−PAGEおよびそのあとのラジオオートグラフィによって確認した。アンジオスタチンとアネクシンIIの結合の特異性が、100倍モル過剰のラベルしていないアンジオスタチンによって、ラベルされたものの約80%の結合が阻害されることによってさらに明確に示された。これらのデータによって、アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンのアネクシンIIとの相互作用は、高い親和性および特異性を有することが示された。
【0014】
放射性ラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの内皮細胞に対する結合性についても測定を行った。アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの結合はともに濃度依存的であり、Kdは83nMおよび125nMにおいてそれぞれ飽和した。インビボ結合実験において得られたKd値は、インビトロにおける値の2因数(a factor of 2)以内であり、これはアンジオスタチンが内皮細胞表面上のアネクシンIIに結合することを示唆している。
アネクシンIIが内皮細胞表面における、アンジオスタチンの受容体であることをさらに明確に示すために、抗アネクシンIIモノクローナル抗体のアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの内皮細胞への結合に対する影響について検討を行った。抗アネクシンIIモノクローナル抗体は、アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの結合を、それぞれ68%および62%まで阻害した。両方のラベルしていないリガンドともに過剰量である場合には他の結合と競合したが、これは結合反応の特異性を明示するものである。これらの結果によって、アネクシンIIは、内皮細胞表面におけるアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの受容体であるという結論が支持された。
【0015】
アンジオスタチン−アネクシンII相互作用の機能面での重要性を、内皮細胞におけるアンジオスタチンのアポトーシス活性を抗アネクシンII抗体によってブロックする実験によって立証した。抗アネクシンII抗体は、アンジオスタチンの細胞の生死に対する影響を濃度依存的にミミックすることが示された。抗体によって媒介された細胞死は、モノクローナル抗体存在下においてアネクシンIIのコア領域において観察され、ならびに分子全体に対して調製したポリクローナル抗体存在下においても観察された。さらに、免疫IgGは影響を示さず、これによって抗体媒介性アポトーシスが特異的であることが示された。
アンジオスタチン−アネクシンII相互作用の機能面に関する結論について、さらに精製したアンジオスタチンを精製したアネクシンIIとインキュベートすることによって精査を行った。結果として生じるアネクシンIIに結合したアンジオスタチンの内皮細胞アポトーシス活性について次に検討した。見いだされたことは、精製したアネクシンII受容体がアンジオスタチンのアポトーシス活性を完全に阻害した(abrogated)ことである。アネクシンIIの活性アンジオスタチン受容体機能と一致したのは、さらなる発見すなわち過剰のリジン−プラスミノーゲンによってBAECを処理すると、それはBAECへの結合に関してアンジオスタチンと競合することが示されていたが、アンジオスタチンの活性が完全に阻害されたことであった。
【0016】
抗アネクシンIIモノクローナル抗体についても、インビボにおいて腫瘍の成長を阻害することが明らかになった。これらの実験においては、抗腫瘍活性を皮下にルイス肺癌を植え付けたマウスによって評価した(O’Reilly et al. Cell 1994 79:315−28)。この動物モデルにおける腫瘍の成長は、アンジオスタチンに高度に依存性であった。10頭のマウスの側腹部にルイス肺癌細胞106個を皮下注射した。触知可能な腫瘍が発達した9日後に、マウスを2群に分け、5頭ずつの群にした。一方の群のマウスの処理を、リン酸緩衝食塩水によって希釈した単一用量の抗アネクシンIIモノクローナル抗体を経静脈投与(60μg/血液体積ml)することによって行った。他方の群をここではコントロールと称し、リン酸バッファ生理食塩水のみによって処理した。相対腫瘍体積として測定した長さ×幅2/2を、マウスについて処理前に調査した。次にマウスを7日間処理に付し、殺した。抗アネクシンIIモノクローナル抗体を処理したマウスにおいては、腫瘍は1日後の触知可能な大きさを感知可能な程度に越えて進行することはなかった。これに対して、コントロールの動物においては、腫瘍は急激に成長した。異なる2群の比較の結果、約600%の減少が抗体処理動物においてはコントロールに比較してあることが明らかになった。さらに、モノクローナル抗体の毒性も処理動物において観察されなかった。動物に体重の変化も抗体処理前後において生じなかった。組織は、心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓、脳、膵臓および腸を含め、コントロールおよび抗体処理動物において外見上正常であった。
【0017】
まとめると、これらの実験によって、アネクシンIIがアンジオスタチンの生理的受容体であり、血管新生過程において、腫瘍成長に関与しているものも含めて、中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
したがって、本発明は組成物を見いだすための方法を提供し、該組成物は血管新生をアネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用によって阻害するものである。さらに、本発明はこれらの組成物を、血管新生の阻害および内皮細胞のアポトーシス活性の誘導において用いる方法に関する。したがって、前記組成物は、種々の病気または障害であって好ましくない血管新生に関連するもの、すなわち癌、黄斑変性、糖尿病性網膜症およびリウマチ関節炎を含むがこれらには限定されないもの、に対する処置において有用である。
【0018】
例示される化合物であって、血管新生の阻害および内皮細胞のアポトーシス活性の誘導において有用な、アネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用に基づくものは、アネクシンIIに対する抗体、可溶性形態のアネクシンII、ペプチドまたはペプチド断片であって、アンジオスタチンを含む前記4クリングル領域の1個または2個以上をミミックしているもの、ならびに小有機分子であって、アネクシンIIに結合するものおよびアネクシンに対する抗体産生を誘導する免疫原性形態のアネクシンIIに結合するものを含む。本発明の一態様においては、前記免疫原性アネクシンIIがワクチンとして投与され、アネクシンIIに対する免疫反応を起こさせ、それによって好ましくない血管新生、例えば腫瘍に生じるようなもの、を阻害する。アネクシンIIのようなタンパク質を免疫原生にするための方法は当該技術分野においてはよく知られていて、当業者はそれを普通に行うことができる。同様によく知られているのは、免疫原生タンパク質からワクチンを製造するための方法である。
【0019】
本発明の目的において、「抗体」の語はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、オムニクローナル抗体、そして抗体断片およびアプタマならびに一本鎖オリゴヌクレオチドであって、SELEXと称されるインビトロ進化プロトコル(evolution protocol)によって導かれるものおよび当業者によく知られたものを意味する。本明細書において用いられる「抗体」の語は、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体、ならびにFab断片、またはFab発現ライブラリの産物も包括的に意味する。当該技術分野において知られている種々の手法を用いて前記抗体を作製してよい。
本発明において他の化合物であってアネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンと相互作用するものを、当業者は本明細書において提供された教示に基づいて普通に見いだすことができる。一態様においては、化合物をスクリーニングしてアネクシンII受容体へのその結合能を測定することができる。化合物にアネクシンII受容体への結合能が見いだされた場合、次に該化合物をさらなるアッセイによって試験し、その抗血管新生アッセイおよび内皮細胞においてアポトーシスを誘導する能力について調査することができる。より好ましくは、本発明において用いられる化合物のスクリーニングは、アネクシンIIへの結合に関するアンジオスタチンとのその競合能について行うことができる。アンジオスタチンを、アネクシンIIへの結合に関して排除するかまたはアンジオスタチンと有効に競合する化合物は、抗血管新生活性および内皮細胞においてアポトーシスの誘導をミミックすると予測される。
【0020】
次に、内皮細胞を有効量の化合物と接触させることができ、該化合物はアネクシンIIと結合して内皮細胞における血管新生を阻害するとともに、選択的に内皮細胞においてアポトーシスを誘導する。「有効量」とは、化合物の濃度であって、内皮細胞における血管新生を阻害するとともに、選択的に内皮細胞の細胞死を誘導することができる濃度を意味する。該濃度を、当業者は普通に決定することができ、それはインビトロアッセイにおける化合物の活性に基づくものであり本明細書に記載されているが、当該技術分野においてよく知られている血管新生アッセイにおける活性に基づくものもある。種々の投与経路を用いることができ、それが限定されずに含むのは、経口、経静脈、経皮、腫瘍内、および筋肉内または皮下であり、選択は投与される化合物の薬剤動態特性、生体利用効率および処置される条件に依存する。
【0021】
好ましい態様において、前記化合物は薬学的組成物に導入され、それは薬学的に許容されるビヒクルも含んでいる。この態様においては、化合物がアンジオスタチンとアネクシンIIへの結合に関して競合すると好ましい。適切な薬学的に許容されるビヒクルを当業者は普通に選択することができ、それは化合物の溶解性および化合物が投与される経路に基づく。
下記の非限定的な例は、本発明をより適切に例示するために示されるものである。
【0022】
例
例1:アンジオスタチンの産生および精製
アンジオスタチンを、ヒトプラスミノーゲンに対する限定タンパク質加水分解消化作用により、精製ウシ膵エラスターゼを用いて、O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328の記載に従って生成した。典型的な反応において、プラスミノーゲンは38kDaと19kDaの2つの断片に切断され、それらは抗K1−3モノクローナル抗体によって認識された。前記エラスターゼ消化混合物を、リジン−セファロースカラムに適用した。担持されたカラムを10カラム量のリン酸緩衝食塩水(PBS)によって大規模洗浄を行い、エラスターゼおよび他の非吸収性タンパク質を除去した。カラムをさらに5カラム量の100nMNaClによって洗浄し、低結合性タンパク質を除去した。高結合性のリジン結合画分のみを特定して、100mMNaCl中の200mMε−アミノカプリン酸(ACA)によって溶出を行った。全画分をSDS−PAGEによって解析し、クーマシーおよび銀によって染色し、さらにウェスタンブロット解析によって純度および均一性を確認した。抗プラスミノーゲン抗体に対しても交差反応を示す均一画分を一緒にプールし、加圧透析によって濃縮し、そして1リットルのPBSに対して大規模透析を3日間にわたり、バッファを5回交換して行った。最終調製物を0.22ミクロンフィルタを通過させて滅菌し、分割して−70℃に保存した。
【0023】
例2:細胞培養
ウシ動脈内皮細胞(BAEC)およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、Ham’s F−12培地(Sigma Chemical社)にグルタミン1%、FBS10%、ペニシリン50U/ml、ストレプトマイシン50μg/ml、およびゲンタマイシン50μg/mlを補充した培地にて維持した。アンジオスタチン結合タンパク質を見いだすために、細胞をラバーポリスマンによってかき取り、冷却したPBSによる3回の洗浄をホモジナイズする前に行った。線維芽細胞を、10%FBSおよび抗生物質を含有するDMEMによって培養した。
【0024】
例3:内皮細胞増殖アッセイ
アンジオスタチンの生物活性の特徴付けを、内皮細胞増殖の阻害に基づいて行った。ウシ動脈内皮細胞内皮細胞(BAEC)を入手し、上記のように(Qian, X. et al. 1997. Exp. Cell Res.235:403−412)成長させた。増殖アッセイのために、細胞をPBSによって洗浄し0.05%トリプシン溶液処理によって分散せしめた。次に細胞を96ウェル培養プレートへの播種を、該プレートにHam’s F12−K培地中のFBS2%を含有せしめ、密度を10,000細胞/ウェルとし、24時間にわたり37℃において実行した。次に培地をBSA0.1%を含有するHam’s F12−K培地に取り替え、細胞をさらに24時間にわたり培養し(grown)、培地に同調させた。24時間後に、異なる濃度のアンジオスタチンを添加し、そして20分後にbFGF(1ng/ml)を添加した。培地を36時間インキュベートした。細胞のうち、bFGFのみによって処理したものを100%の活性とみなした。コントロールおよび処理細胞の生存率を、比色細胞増殖アッセイキット(Promega社製)によって測定した。このアッセイは、生存細胞の代謝活性を、Owen’s試薬を可溶性ホルマザンに変換する酵素デヒドロゲナーゼによって測定するものである。
【0025】
例4:リガンド免疫ブロットアッセイ
BAECライセートを細胞のダウンス(Dounce)ホモジナイザーによって破砕するかまたは超音波処理によって調製した。全タンパク質濃度を測定した。内皮細胞を12%SDS−PAGEによって分離した。分解したタンパク質をニトロセルロース膜に、定常電圧100Vにおいて1時間にわたり移動した。前記膜を洗浄し、1時間にわたり5%無脂ミルク中において、室温にてブロックした。次に膜のインキュベーションを、一晩にわたり4℃にて、アンジオスタチン1μg/mlとともに行った。大規模洗浄をトリスバッファ食塩水であって0.2%のツイーン20(TBST)を含有するものによって行い、膜の抗クリングル1−3(K1−3)との再インキュベーションを、1:100の希釈率において、1時間室温にて行った。ブロットをHRPラベル抗マウスIgGを用いて現像し、製造者のインストラクションに従って化学発光を増大させた。アンジオスタチンをポジティブコントロールとしてゲルの第一レーンに含ませ、正確性と妥当性を確保した。
【0026】
例5:固相放射性リガンド結合研究実験
アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンのリガンドの放射性ヨウ素化を、比活性がそれぞれ5.2×106cpm/μgおよび6.6×106cpm/μgになるようにヨードビーズ(Pierce, Rockford, IL)を用いて行い、そしてラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンをゲル濾過によってさらに精製した。結合していない放射性ラベルヨウ素をpH7.4のPBSに対する透析によって除去し、そしてリガンドを結合研究実験に用いる前にラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの純度をSDS−PAGEによって確認した。プラスチックプレートをPBS中のアネクシンII100ngによって被覆したが、これは振盪を室温にて24時間行うことによって行った。アネクシンIIを固定化したプレートをPBS100μl中の125Iラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲン1μMとともに、3〜4時間常に振盪しながらインキュベートした。インキュベーションの後、ウェルをTBSTによって洗浄し、そして残存している放射能をガンマ計数(gamma counting)によって定量した。非特異的結合は、1%BSAの存在下において測定した。
【0027】
例6:アンジオスタチンの固定化アネクシンIIに対する結合の動力学的解析
抗アネクシンIIモノクローナル抗体(40μg)を精製アネクシンII40μgとともに、反応量のPBS200μl中において1時間、4℃にてインキュベートした。プロテインAセファロース1mlを反応混合物に、穏やかに振盪しながら一晩添加した。98%を越える抗アネクシンIIモノクローナル抗体およびプロテインAセファロースに結合したアネクシンIIセファロースが、SDS−PAGEによって測定された。プロテインAセファロースゲルを2000〜3000rpmにて5分間遠心分離に付した。上清を除去し、ゲルを3〜4回洗浄してあらゆる結合していないタンパク質を除去した。プロテインAセファロースゲルを0.1%BSAとともに1時間インキュベートし非特異的的結合部位をブロックした。BSAを遠心分離によって除去し、ゲルを洗浄してPBSに再懸濁した。アネクシンII固定化ゲル(10μl)のインキュベーションを、濃度を増大させながら125I−アンジオスタチンとともに、最終体積100μlにて行った。非特異的結合を並行実験によって、抗アネクシンII抗体のみをプロテインAセファロースゲルに固定化して用いて測定した。インキュベーションの後、ゲルの分離のためにを遠心分離を3000rpmにて5分間行い、その後に上清を除去し続いてゲルを迅速に3〜4回PBSによって洗浄して非特異的結合物質を除去した。放射性ラベルアンジオスタチンの結合量の計量を、ゲル中に存する放射能のレベルに基づいて行った。
【0028】
例7:結合特異性の測定
結合特異性を特徴付けるために、100倍モル量過剰のラベルしていないリガンドのインキュベーションを30分間、125I−プラスミノーゲンの125I−アンジオスタチンを添加する前に行った。ゲルに関連する放射能の定量を、LKBγ線カウンタによって行った。固定化アネクシンII結合タンパク質を特徴付けるために、ゲルをSDSサンプルバッファ25μlに懸濁し、溶出タンパク質をSDS−PAGE12%において分離し、ゲルの乾燥およびオートラジオグラフィのための処理を行った。
【0029】
例8:内皮細胞への結合
BAECの播種を、96ウェル培養プレートにFBS2%を含有したHam’s F12 K培地に、10,000細胞/ウェルの密度で行った。次に培地をBSA0.1%を含有したHam’s F12 K培地と取り替え、細胞をさらに24時間培養して培地に同調させた。24時間後に細胞を洗浄し、そしてアネクシンIIを固定化したプレートをPBS100μl中の125Iラベルアンジオスタチンまたは125Iラベルプラスミノーゲン1μMとともに、全体積100μlの結合バッファ(PBSにCaCl23mM、MgCl21mM、およびBSA5mg/mlを含有)中において、4℃にて穏やかにに振盪しながらインキュベートした。インキュベーションの後、細胞を素早く5回洗浄して非特異的に結合した物質を除去した。アリコットを計数バイアルに移し、ガンマカウンタによって計数を行った。非特異的カウントを全結合カウントから減じた。データの解析を非直線カーブ回帰を用いて行い、そしてミカエリス・メンテン動力学をプリズムソフトウェア(San Diego、CA)によって解析した。
【0030】
例9:リガンド免疫沈殿
精製アンジオスタチンおよびアネクシンIIのインキュベーションを、2〜3時間にわたり4℃にて、穏やかに振盪しながら行った。次に混合物と抗アネクシンIIモノクローナル抗体との結合を、4℃にて3〜4時間行わせた。この三分子複合体の固定化を、プロテインAセファロースゲルによって4℃にて一晩行った。該ゲルを遠心分離に付し、洗浄してあらゆる結合していないタンパク質を除去した。ゲルをSDS担持バッファ50μlに懸濁し、37℃に10〜15分間温め、そして遠心分離によって分離を行った。溶出したタンパク質をSDS−PAGEゲル12%に担持し、100Vにて分離を行った。ゲルの電気ブロットをニトロセルロース膜に行い、そしてプローブを抗クリングル1−3抗体、そしてHRP抱合二次抗体によって行い、さらに電界発光によって現像した。
【0031】
例10:免疫細胞化学
免疫細胞化学を、BAEC培養4室組織培養スライドによって行った。細胞を固定し、透過性の付与を95%エタノールによって行い、アンジオスタチン(1μg/ml)とともに2時間インキュベートし、PBSによって大規模に洗浄し、そして抗クリングル1−3モノクローナル抗体との再インキュベートを、1時間行った(1:100)。コントロールの細胞は、アンジオスタチン単独または抗体単独のいずれかとともにインキュベートを行った。染色を適切な抱合二次抗体を用いて行い、その後にHRPアビジンビオチンによる処理を以前の報告(Tuszynski, G.P. and R.F. Nicosia. 1994. Lab. Invest. 70:228−233)に従って行った。細胞の対比染色をヘマトキシリンを用いて行い、そして顕微鏡写真を明視野顕微鏡によって撮影した。
【0032】
例11:アンジオスタチン受容体の精製
大規模(約100個のローラー瓶(roller bottle))のマイコプラズマフリーBAECの培養をナショナル細胞培養装置(National Cell Culture facility:Cellex Biosciences, Minneapolis, MN)において行った。封入した細胞の塊である内皮細胞(15ml)を冷却したPBS中において洗浄し、ホモジナイズを冷却したpH7.4のトリス−スクロースバッファであって、プロテア−ゼ阻害剤であるロイペプチン(4.2μM)、アンチパイン(3.3μM)、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(0.57mM)を含有するものの中において行い、Sharma and Shapiro(1995. Arch. Biochem. Biophys. 316:478−484)の方法に従って分取した。超遠心にかけた精製ミクロソーム原形質膜画分を均質化バッファ中において可溶化し、4℃にて保存してさらなる精製に備えた。精製を開始する前に、全ての画分のアンジオスタチン結合に関する調査を、リガンドブロット解析によって行った。アネクシンII画分の可溶化を、Triton X−100の0.5%溶解バッファであってプロテア−ゼ阻害剤を含有するものを滴下添加することによって行った。可溶化膜画分に対して、105,000×gのさらなる遠心分離を30分間行い、あらゆる不溶物質を除去した。上清のさらなる透析をバッファA(10mMTris−HCl、pH7.4、0.1mMジチオトレイトール、0.1%クロロアミドプロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、1mMのEDTA、および5%グリセロール)を用いて、2日間行い全てのTriton X−100を除去した。
【0033】
さらなる精製の全ては4℃にて行ったが、他に記載がある場合はこの限りでない。透析液を可溶化ミクロソーム原形質膜から得て、それをフラクトゲル(Fractogel)強陰イオン交換カラム(2.5×20cm)に付し、流速0.2ml/分とし、それは予め10カラム量のバッファAによって平衡化した。サンプルを担持させた後、カラムをまず10カラム量のバッファAによる洗浄を、280nmにおける吸光度が0〜0.050吸収単位になるまで行った。カラムの溶出を、一次勾配を有するバッファB中の0〜1MKClによって行った。カラムからの溶出液のモニターを280nmにおいて行い、ピーク解析をアンジオスタチン結合タンパク質(アネクシンII)について、リガンド結合によって行った。画分のうちアンジオスタチン結合に関して濃縮したものをプールし、加圧透析によって濃縮し、透析を一晩、4回の交換を10mMTris−HCl、pH7.4であって、5%グリセロール、1mMのEDTA、0.1mMジチオトレイトールに対して行って実行した。透析画分のさらなるクロマトグラフィを、ヒドロキシルアパタイトカラムおよびそれに続くアンジオスタチンアフィニティクロマトグラフィによって行った。
【0034】
タンパク質の溶出を、一次勾配を有する0〜100%のバッファA、Bそれぞれによって行った。カラムからの溶出液のモニターを280nmにおいて行い、ピーク解析をアンジオスタチンリガンドブロット解析によって行った。結合画分をプールし、濃縮し、透析を10mMリン酸カリウムバッファ、pH7.4であって、0.1mMジチオトレイトールおよび1mMのEDTAを含有するものによって行った。透析画分の純度の決定を、SDS−PAGEによって行った。ゲルの染色を、クーマシーブルーおよび銀によって行い、あらゆる微量のコンタミネーションをも検出した。最終の均一タンパク質生成物の特徴付けを、アンジオスタチンリガンドブロット解析によって行い、タンパク質を−80℃にて保存した。
【0035】
例12:タンパク質のマイクロ配列決定(Micro sequencing)
約30pmolの精製内皮細胞タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、そして染色をクーマシーブルーによって行った。タンパク質バンドをゲルから切り出し、トリプシン分解に付した。生成したペプチド断片を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分離し、さらなる特徴付けを質量分析によって行った。3つの断片について、配列の決定をエドマン分解によって行った。
発明の背景
より多くの証拠によって、血管新生、すなわち新しい血管が成長する過程が、固形癌の成長および転移に必須であることが明らかになっている。毛細血管は一義的に内皮細胞から構成によって、内皮細胞は多くの場合通常の生理条件下においては休止状態にある。外部刺激に反応した場合、休止状態にあった内皮細胞は、基底膜を細胞外性マトリクスプロテアーゼによって分解することがあり、内皮細胞は遊出し、間質細胞および基底膜に侵入するようになる。これらの細胞はその形態を変え、増殖し新たな血管を形成することができるようになる (Folkman, J. and Y. Shing. 1992. J. Biol. Chem. 267:10931−10934)。血管新生を刺激するために、腫瘍は種々の因子を誘導し、これは線維芽細胞増殖因子(bFGF)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含む。しかし、多くの悪性腫瘍も血管新生阻害物質を産生し、これはアンジオスタチンおよびエンドスタチンを含む(O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328; O’Reilly, M.S. et al. 1997. Cell 88:277−285)。この複雑な過程が意味するのは複数の制御系(control)の存在であり、該制御系によって短時間のうちにスイッチがオン・オフされ、血管形成過程が調節される。
【0002】
血管新生の過程は、ネガティブおよびポジティブフィードバック調節因子の両方によって厳密に調節されていて、その結果恒常的状態が保たれている。これらの因子のバランスの崩壊は、病理状態下において疾病過程の進展および進行につながる可能性があり、それは腫瘍成長、糖尿病性網膜症、組織および器官異常、ならびに心血管系障害などである(Folkman, J. 1995. Nat. Med. 1:27−31)。アンジオスタチンは、血管新生に対する強力なネガティブ調節剤であり、マウスにおける初期腫瘍の成長および転移を潜在的に阻害し得る(Sim, B.K. et al. 1997. Cancer Res. 57:1329−1334)。
【0003】
アンジオスタチンはマウスの尿から精製されているが、該マウスはルイス肺癌に罹患したものであって、そしてアンジオスタチンは、プラスミノーゲンの38kDaの内部断片(98〜440アミノ酸)と同定され、該断片は分子の最初の4つのクリングル領域(kringle’s)を構成していた。アンジオスタチンは、インビトロにおける、プラスミノーゲンの限定的なプロテオリシスによっても産生し得る。種々の方法によって製造されたアンジオスタチンが、マウスの腫瘍成長を退行せしめることが示されている(Gately, S. et al. 1997. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:10868−10872; Gately, S. et al. 1996. Cancer Res. 56:4887−4890; Stathakis, P. et al. 1997. J. Biol. Chem. 272:20641−20645; Don, Z. et al. 1997. Cell 88:801−810)。インビトロにおいて試験した場合、アンジオスタチンは細胞増殖、遊走、およびコラーゲンゲル中における三次元的毛管形成を阻害することが示されているが、これらは全て血管新生における必須の段階である。インビボにおいては、アンジオスタチンはプラスミノーゲンの加水分解によって産生されるが、これは多くの酵素によるものであり、マクロファージ由来のメタロプロテイナーゼ、プラスミンリダクターゼ、MMP−7(マトリクスメタロプロテイナーゼ7)、ゼラチナーゼB/タイプIVコラゲナーゼ、MMP−9 (マトリクスメタロプロテイナーゼ9)、および膵エラスターゼが含まれる。アンジオスタチンは、マウスにおけるマウスおよびヒトの広範にわたる腫瘍モデルを効果的に阻害することが示されている(O’Reilly, M.S. et al. 1996. Nat. Med. 2:689−692; O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 59:471−482; Wu、Z. et al. 1997. Biochem. Biophys. Res. Commun. 236:651−654; Griscelli, F. et al. 1998. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6367−6372)が、これは腫瘍の新血管新生の阻害によるものであり、プラスミノーゲン自体は血管新生および腫瘍の退行を阻害しない。これらのデータは、クリングル領域の特定のコンホメーションが、アンジオスタチンの抗血管新生活性には重要であることを示唆している。
【0004】
その潜在的な抗癌における価値にもかかわらず、アンジオスタチンの作用機構およびその細胞受容体の実体(identity)は、十分に解明されていない。
アネクシンIIは、最も多量に存する、プラスミノーゲンおよびプラスミノーゲン活性化因子の内皮細胞フィブリノーゲン受容体である。アネクシンIIは、組織のプラスミノーゲン活性化因子およびその表面上のプラスミノーゲンの集合体を形成せしめる。内皮細胞上のこの三分子集合体は、プラスミンを最大の効率で、血管床内において製造できる(Hajjar, K.A. et al. 1994. J. Biol. Chem. 269:21191−21197; Kang、H.M. et al. 1999. Trends Cardiovasc. Med. 9:92−102)。この細胞表面産生プラスミンは、不活化から保護されている。プラスミンは、広スペクトラムなトリプシン様セリンプロテアーゼであり、フィブリンおよび数種の内皮細胞マトリクスタンパク質を分解し、これらはラミニン、トロンボスポンジン、およびコラーゲン類である。細胞外マトリクスの前記タンパク質分解および基底膜の消失は、内皮細胞および腫瘍細胞が侵入し、遊走しそして血管新生および転移を促進するために必要である(Kang, H.M. et al. 1999. Trends Cardiovasc. Med. 9:92−102)。
【0005】
発明の概要
本発明は、アネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用によって、血管新生を阻害する組成物を同定するための方法および該組成物を用いるための方法を提供する。これらの方法は、アネクシンIIが、アンジオスタチンの特異的、高親和性アンジオスタチン結合性受容体であると同定されたことに基づいている。血管新生を阻害することができる化合物をここに見いだすことが可能になったが、それは該化合物のアネクシンIIへの結合能を調査することによるものである。血管新生に対する好ましい阻害剤は、アネクシンIIに対する結合においてアンジオスタチンを競合する。アンジオスタチンとアネクシンとの相互作用に対する調節剤(modulator)、特にアンジオスタチンのアネクシンIIへの結合と競合する剤またはそれをミミックする剤は、内皮細胞のアポトーシス活性を促進することによって血管新生を阻害すると考えられる。
【0006】
発明の詳細な説明
アンジオスタチン特異的受容体がここに見いだされそして精製されたが、それは内皮細胞由来である。該受容体は35kDaのタンパク質であり、それは既知のプラスミノーゲン受容体であるアネクシンIIと同一の配列を有する。アンジオスタチンのこの内皮細胞内受容体への結合は、特異的でありかつ高親和性であることが示された。この細胞内アンジオスタチン受容体の発見によって、機構が提供され、該機構は血管新生の新規な阻害剤の発見のため、ならびに細胞内における血管新生を阻害するための方法のために探索可能になる機構である。
【0007】
アンジオスタチンは、ヒトプラスミノーゲンに対する限定タンパク質加水分解性消化作用により、精製ウシ膵エラスターゼを用いて産生された。該タンパク質は、単一ステップによって、リジン−セファロースアフィニティクロマトグラフィによって約95%の均一性に精製されたことがSDS−PAGEによって決定された。該均一画分を集め、濃縮、透析および滅菌濾過を行った。次に精製画分をさらなる免疫反応性に関する特性化に付したが、これには抗クリングル1−3(K1−3)モノクローナル抗体を用いた。精製したアンジオスタチンは、構造特異的な抗K1−3モノクローナル抗体に対して強い免疫反応を示した精製したタンパク質が、アンジオスタチンであることの証明をさらに確実にするために、38kDaバンドをPVDF膜に移送し、アミドブラックによって染色した。染色されたバンドを膜から切り出し、N末端シークエンシングを行った。アミノ酸配列としてYLSEKKGGNGKN(配列番号4)が産生されたが、それは発表されているアンジオスタチン(K1−4)の配列と相同であった。スイスタンパク質データベースの調査によって、前記配列はプラスミノーゲンのクリングル1−4にのみ一致することが示された。続いて、精製したアンジオスタチンは、既に報告されているように、内皮細胞増殖に対して活性を有することが見いだされ、それは同一濃度範囲において見いだされた(O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328)。この高精製かつ生物活性を有するアンジオスタチンを以後の実験に用いて、アンジオスタチン結合タンパク質、すなわちアンジオスタチン受容体の発見を行った。
【0008】
免疫細胞化学を、培養ウシ動脈内皮細胞を用いて、4室組織スライドにおいて行った。細胞を固定し、95%エタノールを用いて浸透可能にし、抗K1−3モノクローナル抗体またはコントロールとみなされるHRP抱合二次抗体とともにインキュベートした。試験室をアンジオスタチンとともにインキュベートし、続いて抗K1−3モノクローナル抗体および二次抗体とともにインキュベートした。内皮細胞のみに特異的な染色が存在する一方、アンジオスタチンまたは一次抗体の添加を行っていないコントロールは染色されなかった。
【0009】
アンジオスタチンがアネクシンIIを介して培養内皮細胞に結合するかを決定するために、内皮細胞ライセートをアンジオスタチン結合に関してリガンドブロッティングを用いて試験を行った。BAECを90%のコンフルエンシィ(confluency)まで生育せしめた。 細胞を回収し、ペレットを洗浄しPBSに再懸濁した。細胞を超音波処理し、そして不要画分、すなわち全細胞膜画分を示すものをSDS−PAGEによって解析し、ニトロセルロースに移した。膜は5%無脂乾燥乳によってブロックし、そして精製したアンジオスタチン(1μg/ml)とともに1時間インキュベートした。膜を洗浄し、抗K1−3抗体(1:100)とともに1時間再インキュベートし、その後HRP抱合マウスIgGとともにインキュベートした後ECLによって現像した。リガンド免疫ブロッティングによって単一のタンパク質のバンドが見いだされ、それは約35kDaの分子量を有していて、アネクシンIIの分子量に一致した。並行してコントロールの免疫ブロットも行い、それはアンジオスタチンの添加に関して以外は上記と同様に行ったが、コントロールは結合を全く示さなかった。
【0010】
細胞下におけるアンジオスタチン結合タンパク質の評価を行うために、内皮細胞の細胞内小器官を分割し、約10マイクログラムのタンパク質を12%SDS−PAGEによって分離し、そしてリガンドブロット解析に付した。このリガンドブロット解析によって、前記35kDaアンジオスタチン結合タンパク質は、ミクロソーム膜画分に特定された。コントロールブロットはここでも結合を示さなかった。
次に行った実験は、アンジオスタチン結合タンパク質の精製であった。段階的精製手法を用いて、カラムクロマトグラフィを行った。単一の主要なバンドがアンジオスタチンアフィニティクロマトグラフィ手法によって単離され、それは35kDaの分子量を有していた。さらに、これらの画分のアンジオスタチン結合性をリガンドブロット解析によって決定した。一つのブロットはアンジオスタチンとインキュベートせず、コントロールとして機能させた。二番目の試験ブロットを次に1μg/mlのアンジオスタチンとともにインキュベートした。二番目の試験ブロットのみがアンジオスタチンとの結合を示した。コントロールはアンジオスタチンとの結合を示さなかった。
【0011】
精製タンパク質のトリプシン断片によって、配列SLYYYIQQDTK (配列番号1)、SYSPYDMLESIK(配列番号2)、およびALLYLXGGDD(配列番号3)が産生され、それらは339残基を有するアネクシンIIのアミノ酸314〜324、234〜245および330〜339と、それぞれ100%一致した。アミノ酸配列の結果に基づき、前記35kDaアンジオスタチン結合タンパク質はアネクシンIIであると決定された。
アネクシンII結合の特異性を決定するために、BAEC、NIH3T3、HUVECおよびA431からの細胞ライセートを調製し、約10マイクログラムのタンパク質をリガンドブロット解析に付した。アンジオスタチンの結合は、内皮細胞に限られることが示された。アンジオスタチンは、BAECおよびHUVECラインのアネクシンIIに結合したが、A431細胞または線維芽細胞への結合は僅かしか検出されないかまたは全く検出されなかった。これらの結果について、ウェスタンブロット解析によって、抗モノクローナル抗体を用いて確認を行った。アネクシンII抗体によってリガンドブロット実験において観察されたタンパク質のバンドが認識されたが、線維芽細胞はアネクシンII抗原の結合を示さなかった。A431細胞は低い結合および低いアネクシンIIの発現を示した。これらの実験によって、アネクシンIIがアンジオスタチン受容体として機能することが示された。
【0012】
放射性ラベルアンジオスタチンをマイクロタイタプレートに固定化したアネクシンIIに添加すると、高親和性で特異的な結合相互作用が示された。結合は、ラベルしていないアンジオスタチンおよび抗アネクシンII抗体によって、それぞれ80%および55%阻害され、このことからアンジオスタチンとその受容体であるアネクシンIIとの結合の特異性が示された。BSAがコントロールとして用いられたが、示された結合はごく僅かであった。アンジオスタチン/アネクシンII相互作用は、リジン結合サイト依存性であることが、リガンド免疫沈殿法により、抗アネクシンIIモノクローナル抗体を用いて示された。アンジオスタチンをアネクシンIIとともにε−ACA100mM存在下においてインキュベートした場合には、アンジオスタチンの結合は完全にブロックされたが、これは結合がリジン依存性であることを示している。
【0013】
アンジオスタチンをさらに特徴付けるために、プラスミノーゲンとアネクシンIIとの相互作用、アンジオスタチンのアネクシンIIに対するプロテインAセファロースゲルにおける結合を解析した。アネクシンIIおよび抗アネクシンII抗体複合体をプロテインAセファロースゲルに固定化し、濃度を増しながら放射性ラベルアンジオスタチンまたはプラスミノーゲンとインキュベートした。アンジオスタチンまたはプラスミノーゲンの結合は濃度依存性であり、みかけのKdは164nMおよび101nMにおいてそれぞれ飽和した。コントロール実験においては、放射性ラベルアンジオスタチンのゲルに対して最大で5〜10パーセントの結合が同一の濃度範囲において生じ、タンパク質への結合は見いだされなかった。アンジオスタチンのその受容体であるアネクシンIIへの結合をさらに特徴付けるために、結合したアンジオスタチンを溶出させ、その実体をSDS−PAGEおよびそのあとのラジオオートグラフィによって確認した。アンジオスタチンとアネクシンIIの結合の特異性が、100倍モル過剰のラベルしていないアンジオスタチンによって、ラベルされたものの約80%の結合が阻害されることによってさらに明確に示された。これらのデータによって、アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンのアネクシンIIとの相互作用は、高い親和性および特異性を有することが示された。
【0014】
放射性ラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの内皮細胞に対する結合性についても測定を行った。アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの結合はともに濃度依存的であり、Kdは83nMおよび125nMにおいてそれぞれ飽和した。インビボ結合実験において得られたKd値は、インビトロにおける値の2因数(a factor of 2)以内であり、これはアンジオスタチンが内皮細胞表面上のアネクシンIIに結合することを示唆している。
アネクシンIIが内皮細胞表面における、アンジオスタチンの受容体であることをさらに明確に示すために、抗アネクシンIIモノクローナル抗体のアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの内皮細胞への結合に対する影響について検討を行った。抗アネクシンIIモノクローナル抗体は、アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの結合を、それぞれ68%および62%まで阻害した。両方のラベルしていないリガンドともに過剰量である場合には他の結合と競合したが、これは結合反応の特異性を明示するものである。これらの結果によって、アネクシンIIは、内皮細胞表面におけるアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの受容体であるという結論が支持された。
【0015】
アンジオスタチン−アネクシンII相互作用の機能面での重要性を、内皮細胞におけるアンジオスタチンのアポトーシス活性を抗アネクシンII抗体によってブロックする実験によって立証した。抗アネクシンII抗体は、アンジオスタチンの細胞の生死に対する影響を濃度依存的にミミックすることが示された。抗体によって媒介された細胞死は、モノクローナル抗体存在下においてアネクシンIIのコア領域において観察され、ならびに分子全体に対して調製したポリクローナル抗体存在下においても観察された。さらに、免疫IgGは影響を示さず、これによって抗体媒介性アポトーシスが特異的であることが示された。
アンジオスタチン−アネクシンII相互作用の機能面に関する結論について、さらに精製したアンジオスタチンを精製したアネクシンIIとインキュベートすることによって精査を行った。結果として生じるアネクシンIIに結合したアンジオスタチンの内皮細胞アポトーシス活性について次に検討した。見いだされたことは、精製したアネクシンII受容体がアンジオスタチンのアポトーシス活性を完全に阻害した(abrogated)ことである。アネクシンIIの活性アンジオスタチン受容体機能と一致したのは、さらなる発見すなわち過剰のリジン−プラスミノーゲンによってBAECを処理すると、それはBAECへの結合に関してアンジオスタチンと競合することが示されていたが、アンジオスタチンの活性が完全に阻害されたことであった。
【0016】
抗アネクシンIIモノクローナル抗体についても、インビボにおいて腫瘍の成長を阻害することが明らかになった。これらの実験においては、抗腫瘍活性を皮下にルイス肺癌を植え付けたマウスによって評価した(O’Reilly et al. Cell 1994 79:315−28)。この動物モデルにおける腫瘍の成長は、アンジオスタチンに高度に依存性であった。10頭のマウスの側腹部にルイス肺癌細胞106個を皮下注射した。触知可能な腫瘍が発達した9日後に、マウスを2群に分け、5頭ずつの群にした。一方の群のマウスの処理を、リン酸緩衝食塩水によって希釈した単一用量の抗アネクシンIIモノクローナル抗体を経静脈投与(60μg/血液体積ml)することによって行った。他方の群をここではコントロールと称し、リン酸バッファ生理食塩水のみによって処理した。相対腫瘍体積として測定した長さ×幅2/2を、マウスについて処理前に調査した。次にマウスを7日間処理に付し、殺した。抗アネクシンIIモノクローナル抗体を処理したマウスにおいては、腫瘍は1日後の触知可能な大きさを感知可能な程度に越えて進行することはなかった。これに対して、コントロールの動物においては、腫瘍は急激に成長した。異なる2群の比較の結果、約600%の減少が抗体処理動物においてはコントロールに比較してあることが明らかになった。さらに、モノクローナル抗体の毒性も処理動物において観察されなかった。動物に体重の変化も抗体処理前後において生じなかった。組織は、心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓、脳、膵臓および腸を含め、コントロールおよび抗体処理動物において外見上正常であった。
【0017】
まとめると、これらの実験によって、アネクシンIIがアンジオスタチンの生理的受容体であり、血管新生過程において、腫瘍成長に関与しているものも含めて、中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
したがって、本発明は組成物を見いだすための方法を提供し、該組成物は血管新生をアネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用によって阻害するものである。さらに、本発明はこれらの組成物を、血管新生の阻害および内皮細胞のアポトーシス活性の誘導において用いる方法に関する。したがって、前記組成物は、種々の病気または障害であって好ましくない血管新生に関連するもの、すなわち癌、黄斑変性、糖尿病性網膜症およびリウマチ関節炎を含むがこれらには限定されないもの、に対する処置において有用である。
【0018】
例示される化合物であって、血管新生の阻害および内皮細胞のアポトーシス活性の誘導において有用な、アネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンとの相互作用に基づくものは、アネクシンIIに対する抗体、可溶性形態のアネクシンII、ペプチドまたはペプチド断片であって、アンジオスタチンを含む前記4クリングル領域の1個または2個以上をミミックしているもの、ならびに小有機分子であって、アネクシンIIに結合するものおよびアネクシンに対する抗体産生を誘導する免疫原性形態のアネクシンIIに結合するものを含む。本発明の一態様においては、前記免疫原性アネクシンIIがワクチンとして投与され、アネクシンIIに対する免疫反応を起こさせ、それによって好ましくない血管新生、例えば腫瘍に生じるようなもの、を阻害する。アネクシンIIのようなタンパク質を免疫原生にするための方法は当該技術分野においてはよく知られていて、当業者はそれを普通に行うことができる。同様によく知られているのは、免疫原生タンパク質からワクチンを製造するための方法である。
【0019】
本発明の目的において、「抗体」の語はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、オムニクローナル抗体、そして抗体断片およびアプタマならびに一本鎖オリゴヌクレオチドであって、SELEXと称されるインビトロ進化プロトコル(evolution protocol)によって導かれるものおよび当業者によく知られたものを意味する。本明細書において用いられる「抗体」の語は、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体、ならびにFab断片、またはFab発現ライブラリの産物も包括的に意味する。当該技術分野において知られている種々の手法を用いて前記抗体を作製してよい。
本発明において他の化合物であってアネクシンIIおよび/またはアンジオスタチンと相互作用するものを、当業者は本明細書において提供された教示に基づいて普通に見いだすことができる。一態様においては、化合物をスクリーニングしてアネクシンII受容体へのその結合能を測定することができる。化合物にアネクシンII受容体への結合能が見いだされた場合、次に該化合物をさらなるアッセイによって試験し、その抗血管新生アッセイおよび内皮細胞においてアポトーシスを誘導する能力について調査することができる。より好ましくは、本発明において用いられる化合物のスクリーニングは、アネクシンIIへの結合に関するアンジオスタチンとのその競合能について行うことができる。アンジオスタチンを、アネクシンIIへの結合に関して排除するかまたはアンジオスタチンと有効に競合する化合物は、抗血管新生活性および内皮細胞においてアポトーシスの誘導をミミックすると予測される。
【0020】
次に、内皮細胞を有効量の化合物と接触させることができ、該化合物はアネクシンIIと結合して内皮細胞における血管新生を阻害するとともに、選択的に内皮細胞においてアポトーシスを誘導する。「有効量」とは、化合物の濃度であって、内皮細胞における血管新生を阻害するとともに、選択的に内皮細胞の細胞死を誘導することができる濃度を意味する。該濃度を、当業者は普通に決定することができ、それはインビトロアッセイにおける化合物の活性に基づくものであり本明細書に記載されているが、当該技術分野においてよく知られている血管新生アッセイにおける活性に基づくものもある。種々の投与経路を用いることができ、それが限定されずに含むのは、経口、経静脈、経皮、腫瘍内、および筋肉内または皮下であり、選択は投与される化合物の薬剤動態特性、生体利用効率および処置される条件に依存する。
【0021】
好ましい態様において、前記化合物は薬学的組成物に導入され、それは薬学的に許容されるビヒクルも含んでいる。この態様においては、化合物がアンジオスタチンとアネクシンIIへの結合に関して競合すると好ましい。適切な薬学的に許容されるビヒクルを当業者は普通に選択することができ、それは化合物の溶解性および化合物が投与される経路に基づく。
下記の非限定的な例は、本発明をより適切に例示するために示されるものである。
【0022】
例
例1:アンジオスタチンの産生および精製
アンジオスタチンを、ヒトプラスミノーゲンに対する限定タンパク質加水分解消化作用により、精製ウシ膵エラスターゼを用いて、O’Reilly, M.S. et al. 1994. Cell 79:315−328の記載に従って生成した。典型的な反応において、プラスミノーゲンは38kDaと19kDaの2つの断片に切断され、それらは抗K1−3モノクローナル抗体によって認識された。前記エラスターゼ消化混合物を、リジン−セファロースカラムに適用した。担持されたカラムを10カラム量のリン酸緩衝食塩水(PBS)によって大規模洗浄を行い、エラスターゼおよび他の非吸収性タンパク質を除去した。カラムをさらに5カラム量の100nMNaClによって洗浄し、低結合性タンパク質を除去した。高結合性のリジン結合画分のみを特定して、100mMNaCl中の200mMε−アミノカプリン酸(ACA)によって溶出を行った。全画分をSDS−PAGEによって解析し、クーマシーおよび銀によって染色し、さらにウェスタンブロット解析によって純度および均一性を確認した。抗プラスミノーゲン抗体に対しても交差反応を示す均一画分を一緒にプールし、加圧透析によって濃縮し、そして1リットルのPBSに対して大規模透析を3日間にわたり、バッファを5回交換して行った。最終調製物を0.22ミクロンフィルタを通過させて滅菌し、分割して−70℃に保存した。
【0023】
例2:細胞培養
ウシ動脈内皮細胞(BAEC)およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、Ham’s F−12培地(Sigma Chemical社)にグルタミン1%、FBS10%、ペニシリン50U/ml、ストレプトマイシン50μg/ml、およびゲンタマイシン50μg/mlを補充した培地にて維持した。アンジオスタチン結合タンパク質を見いだすために、細胞をラバーポリスマンによってかき取り、冷却したPBSによる3回の洗浄をホモジナイズする前に行った。線維芽細胞を、10%FBSおよび抗生物質を含有するDMEMによって培養した。
【0024】
例3:内皮細胞増殖アッセイ
アンジオスタチンの生物活性の特徴付けを、内皮細胞増殖の阻害に基づいて行った。ウシ動脈内皮細胞内皮細胞(BAEC)を入手し、上記のように(Qian, X. et al. 1997. Exp. Cell Res.235:403−412)成長させた。増殖アッセイのために、細胞をPBSによって洗浄し0.05%トリプシン溶液処理によって分散せしめた。次に細胞を96ウェル培養プレートへの播種を、該プレートにHam’s F12−K培地中のFBS2%を含有せしめ、密度を10,000細胞/ウェルとし、24時間にわたり37℃において実行した。次に培地をBSA0.1%を含有するHam’s F12−K培地に取り替え、細胞をさらに24時間にわたり培養し(grown)、培地に同調させた。24時間後に、異なる濃度のアンジオスタチンを添加し、そして20分後にbFGF(1ng/ml)を添加した。培地を36時間インキュベートした。細胞のうち、bFGFのみによって処理したものを100%の活性とみなした。コントロールおよび処理細胞の生存率を、比色細胞増殖アッセイキット(Promega社製)によって測定した。このアッセイは、生存細胞の代謝活性を、Owen’s試薬を可溶性ホルマザンに変換する酵素デヒドロゲナーゼによって測定するものである。
【0025】
例4:リガンド免疫ブロットアッセイ
BAECライセートを細胞のダウンス(Dounce)ホモジナイザーによって破砕するかまたは超音波処理によって調製した。全タンパク質濃度を測定した。内皮細胞を12%SDS−PAGEによって分離した。分解したタンパク質をニトロセルロース膜に、定常電圧100Vにおいて1時間にわたり移動した。前記膜を洗浄し、1時間にわたり5%無脂ミルク中において、室温にてブロックした。次に膜のインキュベーションを、一晩にわたり4℃にて、アンジオスタチン1μg/mlとともに行った。大規模洗浄をトリスバッファ食塩水であって0.2%のツイーン20(TBST)を含有するものによって行い、膜の抗クリングル1−3(K1−3)との再インキュベーションを、1:100の希釈率において、1時間室温にて行った。ブロットをHRPラベル抗マウスIgGを用いて現像し、製造者のインストラクションに従って化学発光を増大させた。アンジオスタチンをポジティブコントロールとしてゲルの第一レーンに含ませ、正確性と妥当性を確保した。
【0026】
例5:固相放射性リガンド結合研究実験
アンジオスタチンおよびプラスミノーゲンのリガンドの放射性ヨウ素化を、比活性がそれぞれ5.2×106cpm/μgおよび6.6×106cpm/μgになるようにヨードビーズ(Pierce, Rockford, IL)を用いて行い、そしてラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンをゲル濾過によってさらに精製した。結合していない放射性ラベルヨウ素をpH7.4のPBSに対する透析によって除去し、そしてリガンドを結合研究実験に用いる前にラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲンの純度をSDS−PAGEによって確認した。プラスチックプレートをPBS中のアネクシンII100ngによって被覆したが、これは振盪を室温にて24時間行うことによって行った。アネクシンIIを固定化したプレートをPBS100μl中の125Iラベルアンジオスタチンおよびプラスミノーゲン1μMとともに、3〜4時間常に振盪しながらインキュベートした。インキュベーションの後、ウェルをTBSTによって洗浄し、そして残存している放射能をガンマ計数(gamma counting)によって定量した。非特異的結合は、1%BSAの存在下において測定した。
【0027】
例6:アンジオスタチンの固定化アネクシンIIに対する結合の動力学的解析
抗アネクシンIIモノクローナル抗体(40μg)を精製アネクシンII40μgとともに、反応量のPBS200μl中において1時間、4℃にてインキュベートした。プロテインAセファロース1mlを反応混合物に、穏やかに振盪しながら一晩添加した。98%を越える抗アネクシンIIモノクローナル抗体およびプロテインAセファロースに結合したアネクシンIIセファロースが、SDS−PAGEによって測定された。プロテインAセファロースゲルを2000〜3000rpmにて5分間遠心分離に付した。上清を除去し、ゲルを3〜4回洗浄してあらゆる結合していないタンパク質を除去した。プロテインAセファロースゲルを0.1%BSAとともに1時間インキュベートし非特異的的結合部位をブロックした。BSAを遠心分離によって除去し、ゲルを洗浄してPBSに再懸濁した。アネクシンII固定化ゲル(10μl)のインキュベーションを、濃度を増大させながら125I−アンジオスタチンとともに、最終体積100μlにて行った。非特異的結合を並行実験によって、抗アネクシンII抗体のみをプロテインAセファロースゲルに固定化して用いて測定した。インキュベーションの後、ゲルの分離のためにを遠心分離を3000rpmにて5分間行い、その後に上清を除去し続いてゲルを迅速に3〜4回PBSによって洗浄して非特異的結合物質を除去した。放射性ラベルアンジオスタチンの結合量の計量を、ゲル中に存する放射能のレベルに基づいて行った。
【0028】
例7:結合特異性の測定
結合特異性を特徴付けるために、100倍モル量過剰のラベルしていないリガンドのインキュベーションを30分間、125I−プラスミノーゲンの125I−アンジオスタチンを添加する前に行った。ゲルに関連する放射能の定量を、LKBγ線カウンタによって行った。固定化アネクシンII結合タンパク質を特徴付けるために、ゲルをSDSサンプルバッファ25μlに懸濁し、溶出タンパク質をSDS−PAGE12%において分離し、ゲルの乾燥およびオートラジオグラフィのための処理を行った。
【0029】
例8:内皮細胞への結合
BAECの播種を、96ウェル培養プレートにFBS2%を含有したHam’s F12 K培地に、10,000細胞/ウェルの密度で行った。次に培地をBSA0.1%を含有したHam’s F12 K培地と取り替え、細胞をさらに24時間培養して培地に同調させた。24時間後に細胞を洗浄し、そしてアネクシンIIを固定化したプレートをPBS100μl中の125Iラベルアンジオスタチンまたは125Iラベルプラスミノーゲン1μMとともに、全体積100μlの結合バッファ(PBSにCaCl23mM、MgCl21mM、およびBSA5mg/mlを含有)中において、4℃にて穏やかにに振盪しながらインキュベートした。インキュベーションの後、細胞を素早く5回洗浄して非特異的に結合した物質を除去した。アリコットを計数バイアルに移し、ガンマカウンタによって計数を行った。非特異的カウントを全結合カウントから減じた。データの解析を非直線カーブ回帰を用いて行い、そしてミカエリス・メンテン動力学をプリズムソフトウェア(San Diego、CA)によって解析した。
【0030】
例9:リガンド免疫沈殿
精製アンジオスタチンおよびアネクシンIIのインキュベーションを、2〜3時間にわたり4℃にて、穏やかに振盪しながら行った。次に混合物と抗アネクシンIIモノクローナル抗体との結合を、4℃にて3〜4時間行わせた。この三分子複合体の固定化を、プロテインAセファロースゲルによって4℃にて一晩行った。該ゲルを遠心分離に付し、洗浄してあらゆる結合していないタンパク質を除去した。ゲルをSDS担持バッファ50μlに懸濁し、37℃に10〜15分間温め、そして遠心分離によって分離を行った。溶出したタンパク質をSDS−PAGEゲル12%に担持し、100Vにて分離を行った。ゲルの電気ブロットをニトロセルロース膜に行い、そしてプローブを抗クリングル1−3抗体、そしてHRP抱合二次抗体によって行い、さらに電界発光によって現像した。
【0031】
例10:免疫細胞化学
免疫細胞化学を、BAEC培養4室組織培養スライドによって行った。細胞を固定し、透過性の付与を95%エタノールによって行い、アンジオスタチン(1μg/ml)とともに2時間インキュベートし、PBSによって大規模に洗浄し、そして抗クリングル1−3モノクローナル抗体との再インキュベートを、1時間行った(1:100)。コントロールの細胞は、アンジオスタチン単独または抗体単独のいずれかとともにインキュベートを行った。染色を適切な抱合二次抗体を用いて行い、その後にHRPアビジンビオチンによる処理を以前の報告(Tuszynski, G.P. and R.F. Nicosia. 1994. Lab. Invest. 70:228−233)に従って行った。細胞の対比染色をヘマトキシリンを用いて行い、そして顕微鏡写真を明視野顕微鏡によって撮影した。
【0032】
例11:アンジオスタチン受容体の精製
大規模(約100個のローラー瓶(roller bottle))のマイコプラズマフリーBAECの培養をナショナル細胞培養装置(National Cell Culture facility:Cellex Biosciences, Minneapolis, MN)において行った。封入した細胞の塊である内皮細胞(15ml)を冷却したPBS中において洗浄し、ホモジナイズを冷却したpH7.4のトリス−スクロースバッファであって、プロテア−ゼ阻害剤であるロイペプチン(4.2μM)、アンチパイン(3.3μM)、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(0.57mM)を含有するものの中において行い、Sharma and Shapiro(1995. Arch. Biochem. Biophys. 316:478−484)の方法に従って分取した。超遠心にかけた精製ミクロソーム原形質膜画分を均質化バッファ中において可溶化し、4℃にて保存してさらなる精製に備えた。精製を開始する前に、全ての画分のアンジオスタチン結合に関する調査を、リガンドブロット解析によって行った。アネクシンII画分の可溶化を、Triton X−100の0.5%溶解バッファであってプロテア−ゼ阻害剤を含有するものを滴下添加することによって行った。可溶化膜画分に対して、105,000×gのさらなる遠心分離を30分間行い、あらゆる不溶物質を除去した。上清のさらなる透析をバッファA(10mMTris−HCl、pH7.4、0.1mMジチオトレイトール、0.1%クロロアミドプロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、1mMのEDTA、および5%グリセロール)を用いて、2日間行い全てのTriton X−100を除去した。
【0033】
さらなる精製の全ては4℃にて行ったが、他に記載がある場合はこの限りでない。透析液を可溶化ミクロソーム原形質膜から得て、それをフラクトゲル(Fractogel)強陰イオン交換カラム(2.5×20cm)に付し、流速0.2ml/分とし、それは予め10カラム量のバッファAによって平衡化した。サンプルを担持させた後、カラムをまず10カラム量のバッファAによる洗浄を、280nmにおける吸光度が0〜0.050吸収単位になるまで行った。カラムの溶出を、一次勾配を有するバッファB中の0〜1MKClによって行った。カラムからの溶出液のモニターを280nmにおいて行い、ピーク解析をアンジオスタチン結合タンパク質(アネクシンII)について、リガンド結合によって行った。画分のうちアンジオスタチン結合に関して濃縮したものをプールし、加圧透析によって濃縮し、透析を一晩、4回の交換を10mMTris−HCl、pH7.4であって、5%グリセロール、1mMのEDTA、0.1mMジチオトレイトールに対して行って実行した。透析画分のさらなるクロマトグラフィを、ヒドロキシルアパタイトカラムおよびそれに続くアンジオスタチンアフィニティクロマトグラフィによって行った。
【0034】
タンパク質の溶出を、一次勾配を有する0〜100%のバッファA、Bそれぞれによって行った。カラムからの溶出液のモニターを280nmにおいて行い、ピーク解析をアンジオスタチンリガンドブロット解析によって行った。結合画分をプールし、濃縮し、透析を10mMリン酸カリウムバッファ、pH7.4であって、0.1mMジチオトレイトールおよび1mMのEDTAを含有するものによって行った。透析画分の純度の決定を、SDS−PAGEによって行った。ゲルの染色を、クーマシーブルーおよび銀によって行い、あらゆる微量のコンタミネーションをも検出した。最終の均一タンパク質生成物の特徴付けを、アンジオスタチンリガンドブロット解析によって行い、タンパク質を−80℃にて保存した。
【0035】
例12:タンパク質のマイクロ配列決定(Micro sequencing)
約30pmolの精製内皮細胞タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、そして染色をクーマシーブルーによって行った。タンパク質バンドをゲルから切り出し、トリプシン分解に付した。生成したペプチド断片を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分離し、さらなる特徴付けを質量分析によって行った。3つの断片について、配列の決定をエドマン分解によって行った。
Claims (15)
- 内皮細胞における血管新生を阻害するための方法であって、内皮細胞を、アネクシンIIと結合する化合物の有効量と接触させることを含む、前記方法。
- 化合物が、アネクシンIIへの結合に関してアンジオスタチンと競合する、請求項1に記載の方法。
- 化合物が、アネクシンII特異抗体を含む、請求項1に記載の方法。
- 内皮細胞に選択的にアポトーシスを誘導する方法であって、内皮細胞を、アネクシンIIと結合する化合物の有効量と接触させることを含む、前記方法。
- 化合物が、アネクシンIIへの結合に関してアンジオスタチンと競合する、請求項4に記載の方法。
- 化合物が、アネクシンII特異抗体を含む、請求項4に記載の方法。
- 望まない血管新生に関連する病気または障害を処置するための方法であって、アネクシンIIと結合する化合物の有効量を患者に投与することを含む、前記方法。
- 病気または障害が、癌、黄斑変性、糖尿病性網膜症またはリウマチ関節炎を含む、請求項7に記載の方法。
- 化合物が、アネクシンIIへの結合に関してアンジオスタチンと競合する、請求項7に記載の方法。
- 化合物が、アネクシンII特異抗体を含む、請求項7に記載の方法。
- 血管新生を阻害するための医薬組成物であって、アネクシンIIへの結合に関してアンジオスタチンと競合する化合物および薬学的に許容されるビヒクルを含む、前記医薬組成物。
- 化合物が、可溶性アネクシンIIを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
- 免疫原性アネクシンIIを含むワクチン。
- 細胞または組織において、血管新生を調節する化合物を同定するための方法であって、該化合物の存在下および非存在下の両方において、前記細胞または組織におけるアンジオスタチンのアネクシンIIへの結合レベルを決定することを含み、アンジオスタチンとアネクシンIIとの結合の増加または減少が、血管新生の調節に関連している、前記方法。
- 細胞が内皮細胞である、請求項14に記載の方法。
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