JP2002507405A - 低酸素誘導ヒト遺伝子、タンパク質およびそれらの使用 - Google Patents

低酸素誘導ヒト遺伝子、タンパク質およびそれらの使用

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    • C12Q2600/158Expression markers

Abstract

(57)【要約】 2種の新規な低酸素誘導性ヒト遺伝子HIG1およびHIG2のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を記載する。加えて、多数の既知遺伝子は現在、低酸素誘導性として確立されるに至った。これらの遺伝子には、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンセターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソーム L7、線維芽細胞成長因子-3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走抑制因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ-2、エンドセリン-2、B-細胞転移遺伝子-1、還元剤およびツニカマイシン応答タンパク質、CDC様キナーゼ-1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導タンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質、ヒトヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ-1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸脱水素酵素、Bcl-2-相互作用キラー、Nip3L/Nix、およびPim-lが含まれる。これらのタンパク質に特異的に結合する低酸素誘導性遺伝子配列、タンパク質、または抗体を含む、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドアレイを記載する。低酸素誘導性遺伝子配列およびタンパク質、およびそれらのアレイを、癌および虚血などの低酸素関連症状の診断および処置に使用する方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 a)発明の分野 この発明は、低酸素誘導遺伝子、およびそのフラグメント、並びに卒中、心臓
発作および癌を含め、低酸素症を伴う病状の診断および処置におけるこれらの配
列の使用に関するものである。
【0002】 b)関連技術の記載 低酸素症は、血管形成、赤血球形成および解糖を含む若干の細胞および全身プ
ロセスの調節に関与している。低酸素傷害および低酸素誘導遺伝子発現はまた、
虚血、網膜症、新生児ジストレスおよび癌を含む様々な重症の病的状態において
ある一定の役割を演じる。
【0003】 低酸素誘導遺伝子発現は、肝臓、心臓、眼および脳を含む多くの組織における
虚血(および再灌流)に関連している。低酸素誘導遺伝子の多くは、低酸素状態
に曝された細胞の防御および修復に関与すると考えられている。従って、ストレ
ス誘導性遺伝子の中にはその身体防御的発現の増強が、多くの虚血/再灌流関連
状態、例えば肝臓移植、バイパス手術、心停止および卒中において有益であると
考えられているものもある。例えば、脳の場合、脳虚血に対する応答には、成長
因子および抗アポトーシス遺伝子の発現増強が含まれる(Koistinahoら(199
7)Neuroreport 20:i-viii)。
【0004】 しかしながら、遺伝子発現の虚血誘導は、常に有益とは限らない。例えば、脳
虚血はまた、アポトーシス遺伝子または神経細胞の退行変性を促す他の遺伝子の
発現を誘発し得る。虚血はまた、前炎症性サイトカイン、ケモカインおよび内皮
白血球接着分子のアップレギュレーションにより損傷脳において激しい炎症反応
を誘発し得る(Feuersteinら(1997)Ann. N.Y. Acad. Sci. 15:179 −93)。この低酸素誘導炎症応答が脳損傷の主因であるという証拠もある。
【0005】 また、新生血管形成と関連した眼病も低酸素症を伴う。これらの眼病には、糖
尿病性網膜症、未熟児網膜症および鎌状赤血球網膜症がある。これらはすべて、
失明に至るほど重篤であり得る。低酸素誘導遺伝子、血管内皮成長因子(VEG
F)のアンチセンス阻害による未熟児網膜症の処置の実行可能性については既に
立証されている(Robinson、特許番号5661135)。
【0006】 また、創傷治癒のプロセスも低酸素による遺伝子発現の誘導を伴う(Anderson
ら、特許番号5681706)。マクロファージによるTNF−α(腫瘍壊死因
子−α)発現および分泌は、低酸素により誘導される創傷治癒に関与した一種の
応答である。他の低酸素誘導作用には、瘢痕組織形成がある。
【0007】 出生後生活におけるストレスに対する身体応答において主要な調節的役割を演
じることに加えて、組織低酸素症は、発達中の胚において、特に新脈管形成およ
び血管形成に関して遺伝子発現の調節に関与している(Iyerら(1998)Gene
and Development 12:149−162、Maltepeら(1997)Nature386
:403−407)。低酸素症はまた、新生児ストレスおよび妊娠関連疾患にお
いてもある一定の役割を演じる。例えば、酸素圧は、子宮内における栄養膜細胞
層の増殖および分化を調節すると思われる(Genbacevら(1997)Science2 77:1669−1672)。妊娠に関連した病状の中には、例えば子かん前症
にように、異常な栄養膜細胞層の分化および行動に関連するものもある。若干の
試験によると、低酸素誘導遺伝子産物、例えばインシュリン様成長結合タンパク
質(IGFBP−1)の濃度増加は、一旦子癇前症が第3トリメスターに症状が
現れた場合、それに関連していることが示されたが、米国特許5712103は
、第1および第2トリメスターにおいて、特に第2トリメスターの中間期におけ
る母体血液中でのIGFBP−1のレベル低下は、子癇前症の前兆的指標である
ことを示唆している。
【0008】 低酸素症はまた、腫瘍性組織においてある基幹的役割を演じることが確立され
た。ヒト腫瘍が悪性腫瘍へ進行するのは、特有な微環境に応じた多重遺伝子の識
別的発現を伴う進化プロセスである。低酸素状態は、悪性腫瘍への進行を推進す
るプロセス、例えば血管形成またはp53腫瘍サプレッサー活性の排除に直接的
に好都合である支配的腫瘍微環境をひき起こす。
【0009】 さらなる腫瘍増大を促進するのに加えて、ほぼ全ての固体腫瘍から見出される
異常に低い酸素レベルは、治療努力に有害な影響を及ぼす。低酸素状態の腫瘍は
、放射線療法および化学療法に対する耐性を示すことが多い。
【0010】 さらに腫瘍低酸素状態および癌治療間の関係については、腫瘍の酸素レベルが
独立予後因子であることを示した子宮頸癌試験により例証されている(Hoeckel ら(1996)Semin. Radiat. Oncol. 6:1−8)。腫瘍の酸素レベルの予後
値は、全ての他の指標、例えば患者の年齢、臨床段階または腫瘍の大きさよりも
重要であることが見出された。
【0011】 当業界では若干の酸素調節遺伝子が同定されている。これらの遺伝子の多くの
発現は、低酸素誘導因子−1(HIF−1)、転写因子複合体と遺伝子における
因子のDNA認識部位、低酸素応答性エレメント(HRE)の相互作用により誘
導される。HIF−1は、クローン化されており、ストレッサー、例えば熱ショ
ックおよび電離放射線により活性化されないことが見出された。
【0012】 示差(differential-display)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、低酸素に
より誘導される追加的遺伝子の同定に使用されている(O'Rourkeら(1996)
Eur. J. Biochem. 241:403−410)。6種の低酸素誘導遺伝子が同定 され、そのうち3種は既知機能を有していた。既知遺伝子に加えて、2種の発現
された配列標識(EST)および1種の完全長配列が同定された。低酸素誘導遺
伝子をスクリーニングするため O'Rourkeらにより使用された示差PCR方法は 、その低酸素誘導遺伝子同定能力に限界があることが見出された。
【0013】 低酸素誘導遺伝子の同定に加えて、それらの遺伝子のストレス応答性調節エレ
メントの同定もまた興味の対象である。上記調節エレメントの同定により、遺伝
子治療の固有の腫瘍特異的形態が提供され得る。以前に同定された低酸素誘導遺
伝子、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ−1からのHREは、低酸素条件下に
おけるインビトロおよびインビボ(腫瘍内)の両方での異種遺伝子の発現制御に
使用されている( Dachs ら(1997)Nature Medicine 3:515−520 )。同様に、無酸素症応答性エレメントを利用して異種タンパク質の発現制御を
行う方法については既に報告されている( Anderson ら、特許第5681706
号)。
【0014】 (発明の要約) 本発明は、その発現が低酸素状態下で誘導される遺伝子に関するものである。
【0015】 この発明の一態様は、配列番号1(図1A)に示された配列を有し、低酸素誘
導ヒト遺伝子HIG1のcDNAを含み、配列番号2(HIG1、図1B)のポ
リペプチド配列をコードする分離されたポリヌクレオチドを提供する。配列番号
1に相補的な配列をもつポリヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド長
である配列番号1のフラグメント、および配列番号1とハイブリダイズする配列
もまた、本発明に包含される。特に、本発明の一態様は、ヌクレオチド62−3
43を含み、それらのヌクレオチドがヒトHIG1のコーディング配列を表わす
、配列番号1に示された配列のフラグメントに関するものである。コーディング
配列に対する補体、コーディング配列の少なくとも12ヌクレオチド長フラグメ
ント、およびHIG1のコーディング配列とハイブリダイズする配列もまた本発
明により提供される。
【0016】 本発明の別の態様は、配列番号3(図2A)に示された配列を有し、低酸素誘
導遺伝子HIG2のcDNAを含み、配列番号4(HIG2、図2B)のポリペ
プチド配列をコードする、分離されたポリヌクレオチドを提供する。配列番号3
の補体並びにその少なくとも12ヌクレオチド長のフラグメントおよびそれとハ
イブリダイズする配列もまた提供される。本発明は、特に配列番号3に示された
配列のヌクレオチド274−465に対応する配列を有するポリヌクレオチド、
またはその補体、またはその少なくとも12ヌクレオチド長フラグメント、また
はそれとハイブリダイズする配列に関するものである。ヌクレオチド274−4
65は、ヒトHIG2のコーディング配列を表す。
【0017】 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび送達ビー
クルおよび本発明ポリヌクレオチドにより遺伝子工学操作が加えられた宿主細胞
を包含する。
【0018】 別の態様において、本発明は、配列番号1または配列番号3のポリヌクレオチ
ドまたはそれに対する補体の好ましくは少なくとも約15フラグメント長のフラ
グメントを含むオリゴヌクレオチドプローブを提供する。
【0019】 さらに、配列番号2(HIG1)および配列番号4(HIG2)に示された配
列のポリペプチド、またはいずれかの配列のポリペプチドの生化学的に均等内容
のフラグメントも本発明に包含される。
【0020】 本発明の低酸素誘導ポリペプチドHIG1またはHIG2に対して特異的に免
疫反応性を示す抗体もまた、提供される。
【0021】 さらに別の態様において、本発明は、少なくとも2種の異なる低酸素誘導遺伝
子に対応するポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列、低酸素誘導ポリペプ
チド、または低酸素誘導ポリペプチドに免疫反応性を示す抗体を提供する。
【0022】 ここに記載されている本発明の配列、診断方法および処置方法での使用に適し
た低酸素誘導遺伝子は、HIG1およびHIG2またはそれらの誘導体に限定さ
れるわけではなく、現時点で低酸素誘導性であることが決定された若干の既知遺
伝子も含まれる。本発明の方法および配列に有用な追加的低酸素誘導遺伝子には
、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリ ボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソ
ームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン
活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、
リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元
剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、
成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DEC1、低密度リポタンパク質受容
体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキ
シゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸
結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー、Nip3
L/NixおよびPim−1の遺伝子があるが、これらに限定はされない。
【0023】 一態様において、本発明は、動物組織における低酸素誘導遺伝子の発現を検定
し、動物組織における低酸素状態の存在を測定し、動物における低酸素関連状態
を評価することにより、特に既知低酸素状態に合わせて治療を調整するための診
断および予後手段を提供する。HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチ
ン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシン ターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞成長因
子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、マクロ
ファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2
、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤およびツニカマイシン応答
性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タ
ンパク45、DEC1、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質、ハムスタ
ー毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトー
スビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒド
ロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー、Nip3L/NixおよびPim−1
の低酸素誘導遺伝子またはその組み合わせの発現産物、例えばmRNA転写物ま
たはタンパク質の検出により、組織における低酸素状態の存在を測定するかまた
は動物における低酸素関連状態を評価することもこの発明に包含される。上記方
法による低酸素関連状態の診断および処置方法もまた、この発明に包含される。
【0024】 低酸素誘導遺伝子の発現を検定するか、動物組織における低酸素状態の存在を
測定するか、または動物における低酸素関連状態を評価する他の方法は、本発明
の配列の使用を伴う。まず、本発明のポリヌクレオチド配列または抗体配列を、
動物から得られた体液または組織標本からの、またはそこから誘導されたポリヌ
クレオチドまたはポリペプチドと各々接触させ得る。次に、配列部位に結合する
動物標本からのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの量および位置を測定する
。所望により、観察された遺伝子発現パターンは、適当な処理により相互関係が
明らかにされ得る。
【0025】 本発明の他の態様は、まず腫瘍における低酸素状態の存在を測定し、次に癌に
関して確立された治療形態、例えば放射線療法、化学療法および手術で腫瘍を処
置することによる、腫瘍である組織の処置に関するものである。
【0026】 他の態様において、本発明は、細胞における低酸素誘導遺伝子HIG1、HI
G2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホス ホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リ
ボソームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノー
ゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容
体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、
還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシ
ン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DEC1、低密度リポタンパク質
受容体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロ
オキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂
肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー、Ni
p3L/NixまたはPim−1の遺伝子の発現を遮断するか、または組織にお
けるこれらの遺伝子のポリペプチド発現産物を中和することにより組織の低酸素
性応答を減衰させる方法を提供する。本発明はまた、動物、例えばヒトにおいて
組織の低酸素性応答を減衰させることによる低酸素関連状態の処置方法を提供す
る。
【0027】 低酸素症に対する組織応答を高める方法は、本発明の他の態様で提供されてい
る。これらの方法では、組織に本発明の低酸素誘導遺伝子を含む発現ベクターを
投与するかまたは低酸素誘導遺伝子のポリペプチド発現産物を投与する。
【0028】 ストレス誘導およびストレス抑制遺伝子の同定方法もまた、提供される。
【0029】 (図面の簡単な記載) 図1は、ヒトHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す。ヒトHIG1 遺伝子に関するヌクレオチド配列は、図1Aの5'〜3'(配列番号1)に示され
ている。コーディング配列には下線が引かれている。他の領域は遺伝子の非翻訳
領域(5'および3'UTR)である。ヒトHIG1のタンパク質配列は図1B(
配列番号2)に示されている。
【0030】 図2は、ヒトHIG2 cDNAおよびタンパク質配列を示す。ヒトHIG2 遺伝子に関するヌクレオチド配列は、図2Aの5'〜3'(配列番号3)に示され
ている。コーディング配列には下線が引かれている。他の領域は遺伝子の非翻訳
領域(5'および3'UTR)である。ヒトHIG2のタンパク質配列は図2B(
配列番号4)に示されている。
【0031】 図3は、ネズミHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す。ネズミHI G1遺伝子に関するヌクレオチド配列は、図3Aの5'〜3'(配列番号5)に示
されている。コーディング配列には下線が引かれている。他の領域は遺伝子の非
翻訳領域(5'および3'UTR)である。ネズミHIG1のタンパク質配列は図
3B(配列番号6)に示されている。
【0032】 図4は、セリオラ・キンケラディアタ(seriola quinqueradiata)のHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す。この魚のHIG1遺伝子に関するヌク レオチド配列は、図4Aの5'〜3'(配列番号7)に示されている。コーディン
グ配列には下線が引かれている。他の領域は遺伝子の非翻訳領域(5'および3'
UTR)である。魚HIG1のタンパク質配列は図4B(配列番号8)に示され
ている。
【0033】 図5は、ネズミHIG2 cDNAおよびタンパク質配列を示す。ネズミHI G2遺伝子に関するヌクレオチド配列は、図5Aの5'〜3'(配列番号9)に示
されている。コーディング配列には下線が引かれている。他の領域は遺伝子の非
翻訳領域(5'および3'UTR)である。ネズミHIG2のタンパク質配列は図
5B(配列番号10)に示されている。
【0034】 図6は、ヒトHIG1およびHIG2タンパク質配列と他の種のHIG1およ
びHIG2配列とを平行整列した図を示す。ヒト(hHIG1)、マウス(mH
IG1)および魚(セリオラ・キンケラディアテ、seriola quinqueradiate)(
fHIGまたはGHL1)からのHIG1相同体は、図6Aに整列されている。
ヒト(hHIG2)およびマウス(mHIG2)からのHIG2相同体は図6B
に整列されている。
【0035】 図7は、cDNAライブラリーフラグメントへのリンカーの付加を図解したも
のである。リンカー付加の後、PCR増幅が行われる。
【0036】 図8は、テスターcDNAにとって特有な配列によりテスターcDNAライブ
ラリーを濃厚化するのに減算プロトコールがいかに使用されるかを説明している
【0037】 (発明の詳細な記載) a)定義および一般的パラメーター 次に示された定義は、この発明の記述に使用されている様々な語の意味および
範囲を説明および定義している。
【0038】 「低酸素(症)」(または「低酸素(性)の」)の語は、請求の範囲を含む本
明細書の目的としては、酸素含量が約5%またはそれ未満であるように酸素圧が
低下した環境を意味する。ほとんどの場合、低酸素組織は約2%未満またはそれ
と同等である酸素含量を有する。
【0039】 「酸素正常」または「オキシック」(oxic)状態は、特定環境にとって正常な
レベルの酸素を含む状態である。酸素正常またはオキシック組織は一般的には約
5%より高い酸素含量を有する。
【0040】 「低酸素誘導」または「低酸素誘導性」の語は、それが遺伝子に対して用いら
れる場合、宿主細胞が酸素正常状態に曝されたときよりも低酸素状態に曝された
ときの方が、遺伝子が高レベルで発現されることを意味する。典型的には、低酸
素誘導遺伝子のmRNA転写物の数は、酸素正常細胞に対し低酸素細胞では少な
くとも約20%高い。好ましくは、低酸素誘導遺伝子の発現は、酸素正常細胞に
対し低酸素細胞では少なくとも約2倍高い。最も好ましくは、低酸素誘導性遺伝
子の発現は、酸素正常細胞に対し低酸素細胞では少なくとも約5倍高い。
【0041】 動物における「低酸素関連状態」は、動物の組織において低酸素または低酸素
誘導遺伝子の発現レベルの改変(一般的には増強)が含まれている状態である。
低酸素または低酸素誘導遺伝子の発現改変は、状態の原因、発展、進行、改善ま
たは治癒の一種の徴候であり得るかまたはそこである一定の役割を演じ得る。低
酸素関連状態は、場合により疾患または病的状態であり得る。低酸素関連状態に
は、癌、虚血、再灌流、網膜症、新生児ジストレス、子癇前症、心停止、卒中お
よび創傷治癒があるが、これらに限定はされない。
【0042】 「低酸素誘導タンパク質」または「低酸素誘導遺伝子産物」の語は、発現が低
酸素により誘導される遺伝子によりコードされるタンパク質を意味する。
【0043】 「分離された」の語は、物質がその本来の環境(例、それが自然に存在する場
合は自然環境)から除去されることを意味する。例えば、生きている動物に存在
する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは分離されていないが、同じポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドであってもベクターまたは組成物の一部であ
り得、上記ベクターまたは組成物がその自然環境の一部ではないという点で分離
されたものであり得る。
【0044】 「患者から得られた標本」または「動物から得られた標本」は、組織標本また
は体液標本であり得る。「組織」の語は、ここでは一細胞、多細胞、細胞の凝集
形成、または組織全体で構成されるあらゆる生物学的材料を指すのに用いられて
いる。ここで使用されている組織の語は、正常または異常(すなわち腫瘍)であ
り得る一細胞または複数細胞を包含する。「体液」は、生物体または生物体の組
織から抽出、排出または分泌されたあらゆる液体物質であり得る。体液は必ずし
も細胞を含むとは限らない。本発明に関連した体液には、全血、血清、血漿、尿
、脳脊髄液、涙液および羊水があるが、これらに限定はされない。
【0045】 「生化学的に均等内容の変異(体)」の語は、ここに開示された特異的配列と
は何らかの点で異なるにも拘わらず、同じか実質的に同じ機能性を呈するタンパ
ク質または核酸配列を意味する。例えばcDNAの場合、代替的cDNAがmR
NAをコードし、次いでそれがこの発明のタンパク質をコードする場合、これは
、具体的に開示されたもの以外の核酸を含む修飾配列が含まれていることを意味
する。上記修飾は、僅かのみまたは多くの塩基の置換を含み得る。修飾は、縮重
コーディング配列の置換または一コーディング配列と別の配列の置換を含み得、
非天然核酸の導入が予測される。機能的基準を満たしていれば、代替的DNAが
必ずしもここに開示されたものとハイブリダイズする必要はない。好ましくは、
修飾核酸配列は、興味の対象である配列とハイブリダイズし、それと少なくとも
95%の相補性を示す。
【0046】 同様に、この発明のタンパク質の場合、機能性には影響を及ぼさないアミノ酸
配列における改変が為され得る。上記変異体は、一アミノ酸と別のアミノ酸の置
換、修飾された側鎖または非天然アミノ酸の使用、および先端切除を含み得る。
熟練した技術者であれば、基本的機能に影響を及ぼすこと無く改変に対しどの部
位が最も影響され易いかは認識できるはずである。
【0047】 「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」または「核酸」は、天然ヌク
レオシド塩基アデニン、グアニジン、シトシン、チミンおよびウラシルを含め、
mRNA、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAおよびRNA配列を包含
するが、これらに限定するわけではない。この語はまた、1つまたはそれ以上の
修飾ヌクレオシドを有する配列を包含する。「ポリヌクレオチド」および「オリ
ゴヌクレオチド」の語は、ここでは互換的に使用されている。長さまたは合成起
源に関する制限は、ここでこれらの語のいずれかが使用されている場合でも全く
示唆されてはいない。
【0048】 「ポリペプチド」の語は、ペプチド結合により連結された少なくとも2個のア
ミノ酸を含むポリ(アミノ酸)を意味する。「タンパク質」は、遺伝子によりコ
ードされるポリペプチドである。
【0049】 ポリペプチドまたはタンパク質を「中和する」とは、ポリペプチドまたはタン
パク質の生物活性を部分的または全体的に阻害することを意味する。この活性阻
害は、触媒活性の阻害、受容体またはリガンドへの結合阻止、遮断または二量体
形成などを意味し得る。
【0050】 「それとハイブリダイズする配列」の語は、通常ハイブリダイゼーション条件
下、例えば室温で緩衝(pH7.0−7.5)食塩水溶液(例えば、1〜500ミ
リモルのNaCl)中で別のポリヌクレオチド配列とワトソン‐クリック水素結
合を形成し得るポリヌクレオチド配列を意味する。通常ハイブリダイゼーション
条件は関与するポリヌクレオチドの長さにより異なるが、一般的にそれらは少な
くとも1個のカチオン、例えばNa+、K+、Mg2+、またはCa2+の存在、ほぼ
中性のpH、および55℃より低い温度を含む。ポリヌクレオチドとハイブリダ
イズする配列はそのポリヌクレオチドに対し約90%−100%の相補性を有し
得るが、高塩濃度の溶液中、および/または低温条件下で、配列が十分な長さを
有する場合、ポリヌクレオチドの相補性が70%またはそれより高率、または5
0%またはそれより高率でも、そのポリヌクレオチドとハイブリダイズし得る。
それとハイブリダイズする配列は、一般的に少なくとも12ヌクレオチド、好ま
しくは少なくとも約15ヌクレオチドを含み、標的ポリヌクレオチドと相補的で
ある。
【0051】 「コーディング配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれたとき、インビト
ロまたはインビボのポリペプチドへ転写および翻訳される(DNAの場合)かま
たは翻訳される(mRNAの場合)ポリヌクレオチドまたは核酸配列である。コ
ーディング配列の境界は、5'(アミノ)末端にある翻訳開始コドンおよび3'(
カルボキシ)末端にある翻訳停止コドンにより決定される。転写終止配列は、通
常コーディング配列に対し3'に位置する。
【0052】 核酸「制御配列」は、特定された宿主細胞における所定のコーディング配列の
転写および翻訳に必要および十分であるように、翻訳開始および停止コドン、プ
ロモーター配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写終止配列
、上流調節ドメイン、エンハンサーなどを包含する。真核生物細胞に適した制御
配列の例は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーである
。目的遺伝子の転写および翻訳に必要かつ十分なものが存在している場合、これ
らの制御配列の全てが組換えベクターに存在する必要はない。
【0053】 「機能発揮または機能し得るように結合された」は、所望の機能を遂行させる
ためのコーディングおよび制御配列の立体配置を指す。すなわち、コーディング
配列に機能発揮し得るように結合された制御配列は、コーディング配列の発現を
遂行させ得る。RNAポリメラーゼがプロモーター配列と結合し、コーディング
配列をmRNAへ転写し、それがコード化タンパク質へ翻訳され得る場合、コー
ディング配列は細胞において転写調節領域に機能し得るように結合されているか
またはその制御下にある。制御配列がコーディング配列の発現を指令すべく機能
している場合、制御配列はコーディング配列と隣接している必要はない。すなわ
ち、例えば、介在している未翻訳転写配列は、プロモーター配列およびコーディ
ング配列間に存在し得、プロモーター配列はまだコーディング配列に「機能し得
るように結合されている」とみなされ得る。
【0054】 ここに記載されている発現産物は、特定された化学構造を有するタンパク質性
物質により構成され得る。しかしながら、正確な構造は、若干の因子、特にタン
パク質に共通した化学的修飾により異なる。例えば、タンパク質は全て電離し得
るアミノおよびカルボキシル基を含むため、タンパク質は酸性または塩基性塩形
態、または中性形態で得られる。1次アミノ酸配列は、糖分子を用いて(グリコ
シル化)または例えば脂質、燐酸基、アセチル基などとの共有またはイオン結合
を含む他の化学的誘導体化手段により誘導体化され得、サッカリドとの会合を通
して行われる場合が多い。これらの修飾はインビトロまたはインビボで行われ得
、後者は翻訳後プロセッシングシステムを通して宿主細胞により遂行される。上
記修飾により、分子の生物学的活性が増加または減少され得るため、上記化学修
飾分子はまた本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0055】 「ベクター」は、1本鎖、2本鎖または環状DNAまたはRNAから成るポリ
ヌクレオチドを意味する。「発現ベクター」は、機能的遺伝子発現を行えるよう
に適当な距離で機能し得るように結合された次のエレメント:複製起点、プロモ
ーター、エンハンサー、5'mRNA先導配列、リボソーム結合部位、核酸カセ ット、終止およびポリアデニル化部位、および選択マーカー配列により構成され
る。これらのエレメントの1つまたはそれ以上は、特異適用においては省かれ得
る。核酸カセットは、発現される核酸配列の挿入に関する制限部位を含み得る機
能的ベクターでは、核酸カセットは、翻訳開始および終止部位を含め発現される
べき核酸配列を含む。特定コーディング配列が適当な調節配列を伴うベクターに
組込まれるように発現ベクターが構築され、制御配列に関するコーディング配列
の位置および配向は、コーディング配列が制御配列の「制御」下で転写されるよ
うになっている。興味の対象である特定タンパク質をコードする配列の修飾は、
この目的を達成するのに望ましいものであり得る。例えば、適当な配向をもつ制
御配列に結合され得るように配列を修飾するか、または読み枠を維持することが
必要な場合もあり得る。制御配列および他の調節配列は、ベクターへの挿入前に
コーディング配列に連結され得る。別法として、コーディング配列は、既に制御
配列および制御配列を伴う読み枠にあってその調節制御下に置かれた適当な制限
部位を含む発現ベクターへ直接クローン化され得る。
【0056】 「調節エレメント」は、転写因子(複数も可)が結合するDNAセグメントで
あり、遺伝子のプロモーターの活性を積極的(誘導)または消極的(抑制)に改
変する。
【0057】 「ストレス応答性エレメント」または「ストレス応答性調節エレメント」は、
環境ストレスに応答して細胞により活性化された転写因子に結合する調節エレメ
ントである。環境ストレッサーは、酸素枯渇、放射線、熱ショック、pH変化、
低体温またはグルコース欠乏のうちの1つまたはそれ以上を含み得る。
【0058】 ここで使用されている「送達ビークル」は、細胞へポリペプチドまたはポリヌ
クレオチドを送達する手段を包含する。送達ビークルは、好ましくは発現ベクタ
ーを細胞または生物体中の細胞へ送達するのに使用される。送達ビークルは、ウ
イルス、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、単純疱
疹ウイルスまたはワクシニアウイルスであり得る。
【0059】 他の可能な送達ビークルは非ウイルス性である。例えば、当業界熟練者に公知
である多くのリポソーム製剤の一種、例えばリポフェクチンが、送達ビークルと
して有用であり得る。リポソームは、細胞膜を構成する脂質と類似した形で配置
された脂質により構成される中空球形小胞である。それらは、水溶性化合物、例
えばポリヌクレオチドの封入に有用な内部水性空間を有する。認識分子は、特異
組織への送達ビークルのターゲッティングを目的としてそれらの表面へ結合され
得る。
【0060】 ここで使用されている「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリ
ン遺伝子のフラグメントにより実質的にコードされる1つまたはそれ以上のポリ
ペプチドから成るタンパク質を包含する。抗体は、無傷の免疫グロブリンまたは
若干のフラグメントとして存在し得、例えば様々なペプチダーゼ消化により生成
される十分に特性確認されたフラグメントが含まれる。様々な抗体フラグメント
が無傷抗体の消化に関して特定されており、熟練者にとって、抗体フラグメント
が化学的または組換えDNA方法の利用により新たに合成され得るのは当然のこ
とである。すなわち、ここで使用されている抗体の語はまた、抗体全体の修飾に
より製造されるかまたは組換えDNA方法を用いて新たに合成される抗体フラグ
メントを包含する。「抗体」の語を使用する際に包含される抗体フラグメントに
は、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、Fv、dsFvジアボディ(d
iabody)およびFdフラグメントがあるが、これらに限定はされない。
【0061】 「ポリペプチドに特異結合する」または「と特異的免疫反応性を示す」という
表現が、抗体に関するものである場合、異種集団のタンパク質および他のバイオ
テクノロジー製品の存在下におけるポリペプチド(またはタンパク質)の存在の
決定因である結合反応を指す。すなわち、指定されたイムノアッセイ条件下にお
いて、特異化抗体は、特定タンパク質に結合するが、試料中に存在する他のタン
パク質にあまり大量には結合しない。上記条件下でのタンパク質への特異結合は
、特定タンパク質またはポリペプチドに対するその特異性に関して選択された抗
体を必要とし得る。特定タンパク質との特異的免疫反応性を示す抗体を選択する
ために、様々なイムノアッセイ形式が使用され得る。例えば、固相ELISAイ
ムノアッセイは、タンパク質との特異的免疫反応性を示すモノクローナル抗体の
選択に常用される。
【0062】 b)低酸素誘導遺伝子および発現産物 我々は、ここではHIG1と称される新規ヒト遺伝子を発見しており、その発
現は低酸素に対する細胞応答により誘導される(具体例として、下記実施例1−
6参照)。我々は、ヒトHIG1遺伝子(配列番号1、図1A)のcDNAを分
離し、配列番号1のヌクレオチド62−343であるコーディング配列を同定し
た。HIG1によりコードされるタンパク質は、図1B(配列番号2)に示され
たアミノ酸配列を含む。配列番号1に相補的な配列をもつポリヌクレオチド、少
なくとも12ヌクレオチド長を有する配列番号1のフラグメントであるポリヌク
レオチドおよび配列番号1にハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた、本発
明の範囲内に含まれる。配列番号1のフラグメントは、好ましくは少なくとも1
5ヌクレオチド長である。
【0063】 特に、配列番号1のヌクレオチド62−343を含むポリヌクレオチド、また
はそれに対する補体、またはその少なくとも12ヌクレオチド長のフラグメント
、またはそれにハイブリダイズする配列が好ましい。HIG1のコーディング配
列のフラグメントは、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド長である。
【0064】 我々はまた、ここではHIG2と称される第2の新規ヒト遺伝子を発見してお
り、その発現は低酸素に対する細胞応答により誘導される。我々は、この遺伝子
のcDNAクローンを分離した。HIG2遺伝子のcDNA配列は、図2A(配
列番号3)に示されている。HIG2のコーディング配列は、配列番号3のヌク
レオチド274−465を含む。少なくとも12、および好ましくは15ヌクレ
オチド長のHIG2配列および特にHIG2コーディング配列のフラグメントも
同様に本発明により提供される。配列番号3に(特にヌクレオチド274−46
5に)相補的である配列のポリヌクレオチドまたは配列番号3(特にヌクレオチ
ド274−465)に示された配列のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポ
リヌクレオチドもまた考えられる。
【0065】 HIG1(配列番号2、図1B)およびHIG2(配列番号4、図2B)のポ
リヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、またはいずれかのタンパク質
の生化学的に均等内容の変異体もまた、本発明により提供される。少なくとも8
アミノ酸から成るこれらのポリペプチドのフラグメントもまた提供される。好ま
しくは、フラグメントは少なくとも15アミノ酸長である。
【0066】 前記ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生化学的に均等内容の変異体は全
て、この発明の範囲内に十分含まれると考えられる。マウスおよび魚HIG1ポ
リヌクレオチドおよびポリペプチド配列(図3、4および6)は、ヒトHIG1
の生化学的に均等内容の変異体であるとみなされ得る。マウスHIG2ポリヌク
レオチドおよびポリペプチド配列(図5および6)も同様にヒトHIG1の生化
学的に均等内容の変異体であることが理解される。
【0067】 この発明のポリヌクレオチドは、発現ベクター内へ容易に組込まれ得る。好ま
しい態様において、配列番号1のヌクレオチド62−343(HIG1のコーデ
ィング配列)または配列番号2のヌクレオチド274−465(HIG2のコー
ディング配列)を含むポリヌクレオチド配列は、適当な制御配列、例えばプロモ
ーターと機能し得るように結合されている。
【0068】 別法として、遺伝子の非翻訳領域の部分を含む配列番号1または配列番号2の
ポリヌクレオチドの大きいフラグメントは、発現ベクターにおいて代わりに使用
され得る。非翻訳領域は重大な調節領域、例えば低酸素応答性エレメントを含み
得るため、これは低酸素誘導性が所望される場合特に有用であり得る。
【0069】 この発明のポリヌクレオチドはまた、宿主細胞内に組込まれ得る。一態様では
、トランスフェクションを用いることにより、本発明ポリヌクレオチドの1種を
含む発現ベクターを細胞へ導入させ得る。また、トランスフェクションされたベ
クターのポリペプチドを、調節エレメントを含む制御配列と機能し得るように結
合させることにより、本発明ポリヌクレオチドによりコードされる外来タンパク
質またはポリペプチド配列の細胞内での発現が行われ得る。クローニング、増幅
、発現、および精製方法は、熟練技術者には明らかなものである。代表的方法は
、Molecular Cloning: a Laboratory Manual、第2版、1−3巻、Sambrookら、
コールドスプリングハーバー・ラボラトリー(1989)に開示されている。
【0070】 HIG1またはHIG2ポリヌクレオチドは、まずベクターを細胞中へ組込み
、次いで細胞を動物へ移入する(エクスビボ)かまたはベクターを直接動物体内
の細胞中に組込む(インビボ)ことにより、動物へ導入され得る。
【0071】 細胞へのHIG1またはHIG2ポリヌクレオチドの導入は、核酸を細胞へ直
接注入するかまたはまず核酸をポリリシンまたは細胞膜通過を容易にさせるカチ
オン性脂質と混合することにより達成され得る。しかしながら、細胞へのポリヌ
クレオチドの導入は、好ましくは送達ビークル、例えばリポソームまたはウイル
スの使用により達成される。細胞へのHIG1またはHIG2ポリヌクレオチド
または発現ベクターの導入に使用され得るウイルスには、レトロウイルス、アデ
ノウイルス、アデノ関連ウイルス、単純疱疹ウイルスおよびワクシニアウイルス
があるが、これらに限定はされない。
【0072】 HIG1およびHIG2に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、特にH
IG1またはHIG2の発現を遮断し得るものは、本発明により提供される。ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは配列番号1または配列番号3の少
なくとも一部分(好ましくは少なくとも約12ヌクレオチド長)に相補的な配列
を有するオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ま
しくは約15および約22間のヌクレオチド長である。アンチセンスオリゴヌク
レオチドの配列または塩基の修飾は、細胞への移入、安定性、またはHIG1ま
たはHIG2 mRNAへの堅固な結合を容易にするのに望ましいものであり得 る。
【0073】 オリゴヌクレオチドプローブは、本発明の別の態様により提供される。このプ
ローブは、この発明のポリヌクレオチドの1種、またはその少なくとも12ヌク
レオチド長のフラグメントにより構成される。プローブは、細胞におけるHIG
1またはHIG2の低酸素誘導発現を検定し、プローブが適切に標識されている
場合、それを定量するのに使用され得る。好ましい態様において、プローブは、
少なくとも約15ヌクレオチド長である。特に好ましい態様において、プローブ
は15および22間のヌクレオチド長である。
【0074】 HIG1またはHIG2ポリペプチドと特異的免疫反応性を示す抗体は、本発
明のさらに別の態様を表す。これらの抗体は、モノクローナルまたはポリクロー
ナルであり得る。抗体は、所望により組換え体または純粋に合成的であり得る。
抗体は、無傷の抗体またはフラグメントであり得る。HIG1またはHIG2ポ
リペプチドに特異的な抗体の製造は、当業界における熟練者にとって常用的なも
のである。
【0075】 低酸素誘導性であることが見出された新規遺伝子HIG1およびHIG2の同
定に加えて、我々はまた、幾つかの既知遺伝子がヒトにおいて低酸素誘導性であ
ることを初めて確立した(下記具体例、実施例2および9参照)。これらの遺伝
子には、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホ スホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、
リボソームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノ
ーゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受
容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1
、還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエ
シン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DEC1、低密度リポタンパク
質受容体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、シク
ロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、
脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー、N
ip3L/NixおよびPim−1がある。さらに、グリセルアルデヒド−3−
リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現、内皮細胞において低酸素誘導性
であることが既に知られている発現(Gravenら(1998)Am. J. Physiol.、 274(2 Pt 1):C347−355)は、現時点では我々の研究により形質
転換細胞で多大に誘導されることが示されている。さらに、データベースからの
多数のEST配列は、現時点で低酸素誘導性であるものとして同定されている(
表3、実施例8および表5、実施例9)。
【0076】 c)ポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび抗体配列構造 本発明の別の態様は、配列構造における多数(少なくとも2、好ましくは4を
越える)の低酸素誘導遺伝子配列、低酸素誘導遺伝子配列に相補的なポリヌクレ
オチドプローブ、低酸素誘導ポリペプチド、または抗体(低酸素誘導ポリペプチ
ドと免疫反応性を示す)の呈示(presentation)を含む。特に好ましい配列構造
では、約10種を越えるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体が配列構造
上に呈示される。別の好ましい態様では、配列構造における異なるポリヌクレオ
チド、タンパク質または抗体の数は、約25より大、さらには約100よりも大
きい。
【0077】 本発明の一態様は、少なくとも2種の異なる低酸素誘導遺伝子を含むポリヌク
レオチド、またはそれに対する補体、またはその少なくとも12ヌクレオチド長
フラグメント、またはそれとハイブリダイズする配列の配列構造を提供する。低
酸素誘導遺伝子またはそれらのフラグメントは、所望によりHIG1、HIG2
、表1(下記)、表3(下記実施例8)および表5(下記、実施例9)に列挙さ
れた低酸素誘導遺伝子のいずれかから選択され得る。しかしながら、配列構造上
の低酸素誘導遺伝子配列は、必ずしもここに列挙された低酸素誘導性のものから
のみ誘導される必要はないものとする。配列構造上のポリヌクレオチドは、典型
的には1本鎖である。
【0078】 例えば、ポリヌクレオチド配列構造の一態様において、配列構造上の多重ポリ
ヌクレオチドの1つはHIG1またはHIG2遺伝子配列から誘導される。配列
構造のポリヌクレオチドは、遺伝子の1本鎖の全配列を含み得るか、またはその
少なくとも12ヌクレオチド長フラグメントまたはそれとハイブリダイズする配
列を含み得る。別の態様において、配列構造のポリヌクレオチドの1つは、配列
番号1(HIG1)のヌクレオチド62−343または配列番号2(HIG2)
のヌクレオチド274−465に対応するポリヌクレオチド、またはコーディン
グ配列の1つに対する補体、またはコーディング配列の1つの少なくとも12ヌ
クレオチド長フラグメント、またはコーディング配列の1つとハイブリダイズす
る配列を含む。ポリヌクレオチド配列構造の別の態様において、HIG1、HI
G2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホス ホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リ
ボソームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノー
ゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容
体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、
還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシ
ン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DEC1、低密度リポタンパク質
受容体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロ
オキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂
肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー、Ni
p3L/NixおよびPim−1のポリヌクレオチド配列の少なくとも1つは、
低酸素誘導遺伝子からの第2の異なるポリヌクレオチド配列と組み合わせた配列
構造上に表示される。第2のポリヌクレオチド配列は、HIG1、HIG2、下
記に示されている、表1に示された低酸素誘導遺伝子のいずれか、表3(実施例
8参照)に示された低酸素誘導遺伝子の発現された配列標識のいずれか、または
他のいずれかの低酸素誘導遺伝子または低酸素誘導遺伝子から発現された配列標
識から選択され得る。どの遺伝子が配列構造上に呈示されているかとは関係無く
、遺伝子配列は全体として呈示される必要はないことが解る。
【0079】 配列構造に固定されたポリヌクレオチド配列は、最も好ましくは、1本鎖であ
り、関連のある低酸素誘導遺伝子のmRNA転写物と相補的である。固定化ポリ
ヌクレオチドは、遺伝子のフラグメントまたは相補的配列または少なくとも12
ヌクレオチド、好ましくは15ヌクレオチドを含むEST配列であり得る。別法
として、少なくとも50または少なくとも100ヌクレオチドのESTフラグメ
ントを含む長い遺伝子フラグメントも使用され得る。配列構造の好ましい態様で
は、配列構造は多くの異なる遺伝子配列により構成される。
【0080】 ポリヌクレオチド配列構造の別の態様において、類似機能の遺伝子産物を発現
する低酸素誘導遺伝子と相互関係があるポリヌクレオチドのみ、配列構造上に含
まれる。単一機能範ちゅうからのタンパク質をコードする少なくとも2種、ただ
し優先的には2種より多い異なる低酸素誘導遺伝子が配列構造上に表示されてい
る。低酸素誘導タンパク質の7種の機能的範ちゅうの例は次の通り、すなわち(
1)解糖酵素/タンパク質、(2)血管形成/組織改造性タンパク質、(3)赤
血球形成/脈管調節タンパク質、(4)代謝/ホメオスタシスタンパク質、(5
)アポトーシスタンパク質、(6)DNA修復タンパク質、および(7)細胞周
期タンパク質である。これらの範ちゅうは、各範ちゅうの代表的構成員と一緒に
、下記表1に示されている。低酸素誘導タンパク質の7種の機能的範ちゅうの各
々の構成員は表1に示されたリストに限定されるわけではないことが解る。さら
に、低酸素誘導遺伝子の機能的範ちゅうのリストは、表1に列挙された7種の範
ちゅうに限定されるわけではないことも解る。また、この配列構造の好ましい態
様は、関連のある低酸素誘導遺伝子のmRNA転写物に相補的なポリヌクレオチ
ド配列を含む。配列構造の特に好ましい態様は、多重ポリヌクレオチド配列を表
しており、その各々は、血管形成および/または組織改造に関与するタンパク質
をコードする異なる遺伝子に相補的である。
【0081】 表1.低酸素誘導遺伝子の7種の機能的範ちゅう
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0082】 ポリヌクレオチド配列構造の別の態様では、低酸素誘導遺伝子の少なくとも2
種の異なる機能的範ちゅうに属するタンパク質をコードする遺伝子配列と相互関
係を示すポリヌクレオチドが、単一配列構造上に表示されている。配列構造の形
成には少なくとも2種の異なるポリヌクレオチド配列が要求されるが、好ましい
態様では、2種より多い種類が使用される。また、この配列構造の好ましい態様
は、少なくとも12ヌクレオチド長、好ましくは15ヌクレオチド長をもつ関連
性のある低酸素誘導遺伝子のmRNA転写物に相補的なポリヌクレオチド配列を
含む。
【0083】 本発明はまた、上記で検討されたポリヌクレオチド配列構造に類似したポリペ
プチド配列構造を提供するが、ただし低酸素誘導遺伝子のポリペプチド配列また
はそのフラグメントが配列構造上に表示されているものとする。ポリペプチド配
列構造は、少なくとも2種の低酸素誘導遺伝子のポリペプチド発現産物、または
その生化学的に均等内容のフラグメントを含む。例えば、ポリペプチド配列構造
は、タンパク質HIG1またはHIG2および低酸素誘導遺伝子産物である少な
くとも1種の他のタンパク質を含み得る。別法として、ポリペプチド配列構造は
、代わりにHIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンテターゼ、アセトア
セチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受
容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止
因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−
2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、C
DC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DE
C1、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同
体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファタ
ーゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bc
l−2相互作用キラー、Nip3L/NixおよびPim−1から成る群から選
ばれる少なくとも1種のタンパク質、またはその生化学的に均等内容のフラグメ
ント、および第2低酸素誘導遺伝子産物である少なくとも1種の第2ポリペプチ
ドまたはその生物学的に均等内容のフラグメントを含み得る。
【0084】 本発明の別の態様は、少なくとも2種の異なる低酸素誘導タンパク質、または
その生化学的に均等内容のフラグメントを含むポリペプチド配列構造に関するも
のであり、各低酸素誘導タンパク質は異なる機能的範ちゅうに属している。別法
として、ポリペプチド配列構造は、少なくとも2種の異なる低酸素誘導タンパク
質またはその生化学的に均等内容のフラグメントを含み、低酸素誘導タンパク質
は全て単一機能的範ちゅうに属するタンパク質である。所望により、機能的範ち
ゅうは、解糖酵素/タンパク質、代謝/ホメオスタシスタンパク質、アポトーシ
スタンパク質、DNA修復タンパク質、血管形成/組織改造性タンパク質、細胞
周期タンパク質、および赤血球形成/脈管調節タンパク質から成る群から選択さ
れ得る(上記表1参照)。
【0085】 本発明のさらに別の態様は、上記ポリペプチド配列構造と類似した配列構造で
あるが、ただし、ポリペプチド配列自体ではなく、低酸素誘導ポリペプチドとの
免疫反応性を示す抗体が固定化されて配列構造を形成しているものとする。各配
列構造は、少なくとも2種の異なる抗体を含み、その各々は異なる低酸素誘導タ
ンパク質に対し免疫反応性を示す。2種の抗体の各々は、低酸素誘導遺伝子、例
えば限定するわけではないがHIG1またはHIG2のポリペプチド発現産物と
特異的な免疫反応性を示す。例えば、一態様では、抗体配列構造は、HIG1、
HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、 ホスホリボシルピロホスフェートシンテターゼ、アセトアセチルCoAチオラー
ゼ、リボソームL7、線維芽細胞成長因子−3、EPH受容体リガンド、プラス
ミノーゲン活性化因子阻害剤1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチ
ン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子
−1、還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、
キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク45、DEC1、低密度リポタン
パク質受容体関連タンパク質、ハムスター毛髪遺伝子相同体、アジポフィリン、
シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送
体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2相互作用キラー
、Nip3L/NixおよびPim−1から成る群から選ばれるタンパク質と免
疫反応性を示す少なくとも1種の抗体を含む。さらに、抗体配列構造は少なくと
も1種の第2抗体を含み、上記第2抗体は第2低酸素誘導遺伝子産物またはその
生化学的に均等内容のフラグメントと特異結合する。
【0086】 配列構造上の抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。それら
は、本発明のポリペプチドと特異結合し得る無傷の抗体または抗体のフラグメン
トであり得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列構造の場合に
言えることであるが、抗体配列構造は、好ましくは少なくとも4種の抗体、さら
に好ましくは約10種を越える異なる抗体を含む。
【0087】 生体分子、特にポリヌクレオチドの配列構造の構築方法は、当業界では既に確
立されている。例えば、幾つかの特に高密度のポリヌクレオチド配列構造の製造
方法が、Pirrungら、特許番号5143854、Pirrungら、特許番号54057
83および Fodorら、特許番号5510270に開示されており、それらをすべ
て引用して説明の一部とする。ポリペプチド、抗体またはポリヌクレオチドは、
配列構造に共有結合的または非共有結合的に固定化され得る。生体分子の固定化
方法は当業界の平均的熟練者にはよく知られている。ポリヌクレオチドまたはポ
リペプチドを配列構造に固定化する材料は多様であり得る。生体分子配列構造の
構築に可能な基質には、セルロース、ガラス、珪素、酸化珪素、窒化珪素、ポリ
スチレン、ゲルマニウム、(ポリ)テトラフルオロエチレンおよび燐化ガリウム
があるが、これらに限定されるわけではない。
【0088】 d)使用方法 下記使用方法のすべてにおいて、動物は、好ましくは、哺乳動物である。最も
好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0089】 我々は、HIG1またはHIG2および多くの他の遺伝子の発現が、下に示し
た具体例(実施例1〜9)に示すように、低酸素症状に対する細胞応答であるこ
とを示すものであると証明した。したがって、動物の組織または体液におけるH
IG1もしくはHIG2またはその組合わせなど、低酸素誘導性遺伝子の異常な
転写レベルの検出が、低酸素関連症状の診断または予知方法の両方に使用するこ
とができる。異常レベルは、分析対象の低酸素関連症状に依存する上昇レベルあ
るいは下降レベルのいずれによっても特徴づけられるものである。他の事例にお
いては、低酸素誘導性遺伝子転写の完全な欠如または無数の存在が異常症状の徴
候である。同様に、低酸素誘導性ポリペプチドまたはその組合わせの異常レベル
検出が、低酸素関連症状の診断または予知方法の両方に使用可能である。組織中
に低酸素の存在することは、動物の組織または体液において、本発明のポリヌク
レオチドによりコードされる転写物またはポリペプチドの有無を試験することに
より評価し得る。転写物またはポリペプチドの検出は定性的であもあり、定量的
でもある。
【0090】 したがって、本発明の一局面では、動物組織における低酸素の存在を判定する
方法または動物組織における低酸素関連症状を評価する方法を提供する。これら
の方法は、動物の体液または組織中の以下の群から選択される少なくとも1つの
遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)転写物またはポリペプチド発現産物
を検定することを特徴とする:HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチ
ン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンター
ゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−
3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロフ
ァージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、
エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タン
パク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク
質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスタ
ーヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルク
トースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、グルコ
ース輸送体様タンパク質III、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キ ラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群。組織中の低酸素の存在を判
定するこの方法は、動物において低酸素関連症状を診断するのに使用することが
できる。
【0091】 これらの方法により決定される組織中低酸素の存在、または低酸素誘導性遺伝
子発現の程度は、動物に対する適切な治療を選択するのに使用することができる
。例えば、評価対象の低酸素関連症状は癌であり、また、評価の目標となる組織
は選択肢として腫瘍である。腫瘍が低酸素に特徴的な遺伝子発現パターンを示し
ている程度または血管形成に関与する遺伝子の活性化は、例えば、その特定のタ
イプの適切な腫瘍治療法と有効に相関させることができる。
【0092】 しかし、低酸素関連症状は必ずしも癌である必要はない。低酸素関連症状は代
りに低酸素症状が(動物にとって好ましいかまたは有害である)一つの役割を果
たす症状であることもある。かかる症状は、虚血、再潅流、網膜症、新生児仮死
、子癇前症、心拍停止、発作および創傷治癒などであるが、これらに限定される
ものではない。
【0093】 低酸素誘導性遺伝子の転写物は当業者周知の幾つもの手段により検出すること
が可能である。診断検出の一態様は、生体内または生体外で、転写物配列に相補
的な標識化核酸プローブを転写物にアニーリングすることからなる。標識プロー
ブは蛍光、放射活性、免疫活性、比色または他の検出用標識化物である。非常に
僅かな量の転写物を検出するために、動物からの組織または液状サンプル中の転
写物増幅を先ず実施し、引続く転写物検出の一助とする。低酸素状態で誘導され
た転写物の増幅は、本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用い、該転写
物のcDNAコピーを作る逆転写酵素を用い、次いで指数増幅を達成するポリメ
ラーゼ連鎖反応を用い、容易に達成することができる。
【0094】 HIG1もしくはHIG2遺伝子または他のいずれかの低酸素誘導遺伝子のポ
リペプチド産物発現の検出は、例えば、該ポリペプチド産物と特異的に免疫反応
し得る標識した抗体を適用することにより達成し得た。該抗体は生体内での組織
に、あるいは動物から取出した組織もしくは体液サンプルに適用し得る。ここで
は当業者周知の様々な形態の一般的なイムノアッセイ法が適用できる。これらの
アッセイ法としては競合アッセイ法、非競合アッセイ法の両法を包含する。例え
ば、ある場合に「サンドイッチアッセイ」といわれる1つの型のアッセイにおい
て、HIG2ポリペプチドと特異的に反応する固相化抗体を生体組織または液状
サンプルと接触させる。固相化したHIG2抗体複合体の存在確認は、次いで、
HIG2ポリペプチドまたはHIG2−抗体複合体と免疫反応し得る第二の標識
化抗体を適用することにより達成し得た。ウエスタンブロット型のアッセイ法も
本発明の代替態様において使用し得た。
【0095】 取出した組織を生体外で分析するには、mRNA転写物または遺伝子産物の存
在を試験する前に、組織を分解するのが好ましい。例えば、ポリヌクレオチドの
検出を所望する場合には、タンパク質加水分解による分解が有用である(Temsam
aniら、特許番号5,693,466)。サンプル中のタンパク質または核酸の 抽出または単離もまた診断選抜を実施する前に実施するのが好ましい。細胞また
は生物液体からタンパク質または核酸を単離する多くの方法が技術的に十分に確
立されている。
【0096】 好適な態様において、低酸素誘導性遺伝子発現の診断的評価は、発現レベルに
ある1種を超える低酸素誘導性誘導可能遺伝子を一度で検定することからなる。
本発明の配列(アレイ)は複数の低酸素誘導性遺伝子の発現を並行して検定する
のに特に有用である。生体外検出に関する上記の診断検出法は、組織または体液
のサンプルを本発明配列(アレイ)の一つに投与することで、組織または体液内
のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの存在を検出する方法としても適用する
【0097】 動物組織において低酸素の存在を判定するために、あるいは動物組織における
低酸素関連症状を評価するために、本発明のポリヌクレオチドまたは抗体の配列
(アレイ)を使用することは、組織の低酸素応答の確実な性質と段階を前例もな
しに一見することを可能にするが、その理由は、組合わされた遺伝子の、低酸素
により誘導された発現が一度に選抜されるからである。低酸素誘導性(または低
酸素抑制性)遺伝子の発現パターンは、下記実施例8および9に具体的に例示し
たように、複雑で、組織における低酸素を強く示唆する。低酸素誘導性遺伝子の
発現パターンは、したがって、動物の低酸素関連症状の治療に助けとなる診断法
または予知方法に使用することができる。組合わされた低酸素誘導遺伝子の発現
パターンに関する情報は、例えば、腫瘍の攻撃性と容易に相関させることが可能
であって、それにより治療の最良の方針を確立するための重要な知識を提供し得
る。
【0098】 本発明のポリペプチド配列はまた低酸素関連症状の治療に有用な医薬の選抜に
も使用することができる。これらの医薬は組織の低酸素応答を阻害し得る薬物で
あってもよい。
【0099】 例えば、動物組織の低酸素誘導遺伝子の発現を検定する方法、動物組織の低酸
素の存在を判定する方法、あるいは動物組織の低酸素関連症状を評価する方法は
、動物から得られる体液または組織サンプルのタンパク質またはメッセンジャー
RNAを先ず本発明の抗体配列(アレイ)またはポリヌクレオチド配列(アレイ
)とそれぞれ接触させることからなる。動物からの組織または体液サンプルは配
列(アレイ)と直接接触させ、次いで該配列(アレイ)上の該タンパク質または
mRNA転写物の結合を検出することができる。(検定すべき組織細胞は、好ま
しくは、配列(アレイ)に適用する前に溶解させるのがよい)。あるいは、組織
または体液サンプルは該配列(アレイ)に適用する前に精製して該タンパク質ま
たはmRNA転写物を単離してもよい。替わり得る方法の態様において、先ず逆
転写によりサンプルのメッセンジャーRNAからcDNAを調製し、次いでcD
NAをポリヌクレオチド配列(アレイ)に適用する。本発明では先ずは該タンパ
ク質、mRNAまたはcDNAを該配列(アレイ)に送り込み、過剰のまたは非
結合のタンパク質、mRNA、またはcDNAを除去した後、該配列(アレイ)
に結合したままのタンパク質、mRNAまたはcDNAの量および位置を検出す
ることを特徴とする。
【0100】 さらに、動物の低酸素関連症状を診断する方法は、動物組織の低酸素関連症状
の評価結果を該動物に対する適切な治療と相関させるさらなる工程を含んでなる
。上記方法のいずれかにより評価、診断または治療し得る低酸素関連症状は、癌
、虚血、再潅流、網膜症、新生児仮死、子癇前症、心拍停止、または発作などの
症状である。
【0101】 本発明のもう一つの局面では癌の治療法を提供する。この方法は上記方法のい
ずれかにより腫瘍の低酸素存在を先ず決定することからなる(配列のある場合も
ない場合も)。本方法はさらに放射線療法、化学療法、または外科手術など癌治
療の確立された形態の治療法を組合わせて当該腫瘍を治療することを特徴とする
【0102】 HIG1もしくはHIG2または表1に掲載したごとき他の低酸素誘導性遺伝
子配列の遺伝子配列に相当するポリヌクレオチドを用い、低酸素に対する組織の
応答を減衰させることが可能である。これら低酸素誘導性配列は、組織内でアン
チセンスオリゴヌクレオチド、三重ラセンプローブ、触媒核酸などの導入により
、組織内のHIG遺伝子または他の低酸素誘導性遺伝子の発現を阻害するような
様式で標的化される。
【0103】 したがって、一態様において、組織の低酸素応答を減衰させる方法は、当該細
胞において以下の群から選択される遺伝子の発現を阻害することを特徴とする:
HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己
抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオ
ラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プ
ラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロ
ネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位
遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1
、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポ
タンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジ
ポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、ク
レアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相
互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群。低酸素誘導性遺
伝子のこの発現阻害は当該組織の細胞に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三
重ラセンプローブ、デオキシリボザイム、または低酸素誘導性遺伝子に特異的な
リボザイムなどの核酸分子を導入することにより任意に達成することができる。
【0104】 本発明の替わり得る態様において、HIG1もしくはHIG2タンパク質また
は低酸素誘導性遺伝子の他の発現産物を代りに標的化し、組織の低酸素応答を減
衰させることができる。この目的のためには、低酸素誘導遺伝子の発現産物に特
異的な抗体、アンタゴニスト、インヒビター、またはプロテアーゼなどを組織に
導入するとよい。
【0105】 一態様において、組織の低酸素応答を減衰させる方法は、以下の群から選択さ
れるタンパク質を中和することを特徴とする:HIG1、HIG2、アネキシン
V、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフ
ェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽
細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤
−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキ
シラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイ
シン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷
誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパ
ク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナー
ゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タン
パク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix
、およびPim−1からなる群。本方法において、該タンパク質を特異的に標的化
する作用物質を該組織の細胞に任意に導入するが、作用物質とは抗体、アンタゴ
ニスト、インヒビター、またはプロテアーゼなどである。
【0106】 組織の低酸素応答を減衰させる上記の方法は、動物における低酸素関連症状を
治療するために使用することができる。例えば、動物における低酸素関連症状の
治療は、低酸素の(または潜在的に低酸素の)組織の低酸素誘導遺伝子配列を標
的とすることにより、当業者既知の1以上の技法を介して実施することができる
。これらの技法は、限定されるものではないが、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ド、三重ラセンプローブ、デオキシリボザイム、またはリボザイムなどを関与す
る被験体組織に導入することからなる。好適な態様において、治療すべき動物は
ヒトである。本治療が目標とする低酸素関連症状は、虚血、発作、心臓発作、新
生児仮死、網膜症、またはその他の低酸素が有意な役割を演じる疾患症状などで
ある。もう一つの態様において、治療すべき低酸素関連症状は癌であり、その組
織は腫瘍である。開示した腫瘍の治療は他の癌治療法、例えば、放射線療法、化
学療法、または外科手術など他の癌併用療法と組合わせてもよい。
【0107】 同様に、低酸素関連症状の治療は、上記のように、低酸素誘導性遺伝子のタン
パク質発現産物を中和することにより達成することもできる。本方法によると、
HIG1およびHIG2ポリペプチドを標的とし中和する抗体、アンタゴニスト
、インヒビター、プロテアーゼなどを、治療すべき組織を含む動物、好ましくは
ヒトに導入するのがよい。
【0108】 低酸素誘導性であるとして新たに同定された遺伝子のタンパク質発現産物を用
い、低酸素関連症状の治療に有用なインヒビターなどの薬物を同定または選抜す
ることができる。例えば、小型分子の薬物候補またはペプチドは、HIG1、H
IG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホ
リボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボ
ソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲ
ン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容
体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、
還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、
成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質レ
セプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、
シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送
体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キラ
ー、Nip3L/Nix、またはPim−1のタンパク質のいずれかに対し、低酸素誘
導タンパク質の酵素活性の不活性化または決定的な結合活性の防御が起こるかど
うかを見るために試験することが可能である。代替法として、小型分子のコンビ
ナトリアルライブラリーまたはファージ展示により産生されるようなペプチドの
ライブラリーを、本明細書に記載の低酸素誘導タンパク質の1つに対しスクリー
ニングしてもよい。
【0109】 低酸素により誘導されるある種の遺伝子産物発現は、細胞を損傷または死から
保護するのに役立つ。かくして、本発明は、組織の低酸素応答を高め、それによ
って低酸素組織(または潜在的に低酸素の組織)を治療する方法を提供する。本
方法は発現ベクターを該組織に導入し、ベクター上コーディング配列の発現が起
こるようにすることを特徴とする。発現ベクターのコーディング配列は少なくと
も以下の遺伝子の1つの配列を含んでなる:HIG1、HIG2、アネキシンV
、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェ
ートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細
胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−
1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシ
ラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシ
ン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘
導性タンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク
質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ
−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパ
ク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix、
またはPim−1。組織内のベクター低酸素誘導性遺伝子の発現は、発現ベクター
不存在下に起こる場合よりも高いレベルで起こらなければならない。特定の用途
により、発現ベクターのコーディング配列はその本来のプロモーター、もう一つ
の低酸素誘導性プロモーター、または構成プロモーターに操作可能に連鎖させる
【0110】 あるいは低酸素誘導性遺伝子は、組織の低酸素応答を上昇させ、かつ、低酸素
治療のために組織に直接導入してもよい。タンパク質の送達は、リポソーム、ヒ
ドロゲル、制御放出ポリマー、またはポリペプチドを薬物として送達するために
有用であることが技術的に知られている伝播体のいずれかを使用して達成するこ
とができる。 e)ストレス誘導性遺伝子の同定方法
【0111】 低酸素誘導性遺伝子を同定する努力を助長するために、我々は発現量差分析(
Representational Difference Analysis; RDA)として知られるPCR差引き
法を改変改良した(具体例として下記実施例1、および図7および8参照)。R
DA法は2つの関連するが異なる起源からのゲノムDNA間の差を識別するため
に用いられている(Wiglerら、特許番号5,436,142)。RDA技法はポ
リメラーゼ連鎖反応を介して、1つのDNAサンプル内に含まれるが他には含ま
れていないこれら配列のフラグメントのみを選択的に増幅することからなる。こ
の方法に使用される増幅工程の選択性は正確ではないが、ヒト2人の個体のゲノ
ムにおける相違を検出するのには十分である。
【0112】 本発明はストレス誘導性遺伝子およびストレス抑制性遺伝子双方を同定する方
法を提供する。本方法は異なるストレス条件に曝した細胞集団からのmRNA間
の差異を見分ける。ストレス誘導性遺伝子同定のための代表的なプロトコールを
下の具体的な例示において詳細に概説する(実施例1)。
【0113】 ストレス誘導性遺伝子またはストレス抑制性遺伝子および遺伝子のフラグメン
トを同定する方法は、2つの集団のmRNAライブラリーから2つのcDNAラ
イブラリーを調製するのに先立って、先ず2集団の細胞の一方をストレス状態と
することからなる。mRNA配列の逆転写を経てcDNAライブラリーを生成さ
せるプロトコールは技術的に周知であり、それを実施するためのキットが市販入
手可能である(例えば、ギブコBRLから)。本方法の好適な態様において、c
DNAは、3'−末端にG、A、またはC残基をもつ等比率のオリゴマーを含む オリゴ−dTプライマー(「インデックス」または「レジスター」プライマー)
の混合物を用いて合成する。この方法は所定のプライマーがmRNAの配列内で
無作為にハイブリダイズするよりもむしろポリA尾部配列の開始点でハイブリダ
イズするのを確かなものとする。これらオリゴ−dTプライマーはまた各cDN
Aフラグメントに取込まれる限定されたDNA配列(20ないし24塩基対の長
さ)を有する。この標識は各cDNAの3'−末端を特異的に増幅するための2 つのPCRプライマーの使用を可能とする。2つのcDNAライブラリーは別個
に制限酵素で消化し、次いで、図7に示すように、消化したcDNAフラグメン
トの末端にリンカー配列を結合する。制限消化およびリンカーの連結反応は当業
者既知の方法で実施される。かかる方法の数例がサムブルーク(Sambrook)ら(
1989)分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー・プレス(参照により本明細書に取込む)に見出す
ことができる。
【0114】 2つの細胞集団の1つから得られるcDNAライブラリーをポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)により標識オリゴヌクレオチドプライマーで増幅する。好適な態
様において、オリゴヌクレオチドプライマーの「標識(タグ)」はビオチンであ
る。しかし、標識化した対象物の選択または単離手段(例えば、アフィニティク
ロマトグラフィーによる)を提供する化学的または生物学的部分が標識として適
している。好適な態様において、標識としてビオチンを使用することはストレプ
トアビジン樹脂上の標識配列除去を可能とする。しかし、代わり得る態様におい
ては、例えば、チオール基を有するオリゴヌクレオチドを標識プライマーとして
代りに使用し得るが、その理由は付着したチオール基をもつオリゴヌクレオチド
が、チオプロピルセファロースカラムまたは水銀含有樹脂などの多様な親和性樹
脂上に保持し得るからである。標識プライマーによりPCR増幅したcDNAラ
イブラリーは本明細書において「ドライバー」cDNAという。
【0115】 ストレス細胞からのcDNAライブラリーは別個のポリメラーゼ連鎖反応にお
いて、正常な非標識化オリゴヌクレオチドプライマーにより増幅する。この方式
でPCR増幅したcDNAライブラリーは本明細書において「テスター」cDN
Aという。 非標識化、増幅テスターcDNAを加熱し、次いで、大過剰(一般には約5−
ないし約100−倍)の標識化、増幅ドライバーcDNAの存在下に再アニール
する。図8参照。次に、DNA鎖がそれ自体標識化されているか、または標識D
NAと二重鎖形成しているこれらのDNA鎖を混合物から除去する。この除去は
一般にDNA鎖混合物を、先に該プライマー上で用いた標識に対し親和性を有す
る樹脂またはマトリックスに露呈することにより実施する。好適な態様において
は、ストレプトアビジン被覆した磁気ビーズが使用される。ストレプトアビジン
アガロースなど、他の樹脂もビオチン標識と関連させて使用し得よう。標識化し
た一本鎖または二本鎖cDNAは親和性樹脂に保持され、保持されない非標識化
種は流動物または上清に見出される。この技法において、非ストレス細胞集団か
らのcDNAは、ストレス細胞集団からのcDNAから「差引く」。残りの非標
識化cDNAライブラリーは「濃厚化した」という。次いで、残りの非標識化c
DNA配列を再びポリメラーゼ連鎖反応により非標識プライマーで増幅する。
【0116】 残りの非標識化cDNA配列の増幅後、非標識化cDNAライブラリーを再び
大過剰(一般には約5−ないし約100−倍)の最初の標識化、cDNAライブ
ラリー存在下に加熱、再アニール化する。標識化DNA分子すべての除去、およ
び残り標識化配列の再増幅を再び行う。加熱と再アニーリング、標識化分子の除
去、および残りの非標識化分子再増幅からなる工程組み合わせが一回の操作を構
成する。本発明の方法はこの操作を0回から多数回繰り返すことからなる。好適
な態様において、本方法は総計約3ないし5回の操作からなる。
【0117】 特に好適な態様において、本方法は、ストレス細胞集団からのcDNAライブ
ラリーが、非ストレス集団からのcDNAライブラリーから代りに差引かれる第
二の工程セットと並行して上記の工程を実施することからなる。この意味すると
ころは、第二の工程セットにおいてストレス細胞集団からのcDNAライブラリ
ーが標識プライマーで増幅され、非ストレス細胞集団からのcDNAライブラリ
ーが非標識プライマーで増幅されることである。ストレス細胞集団の当初cDN
Aは非ストレス細胞集団のcDNAから繰返し差引き、別途、非ストレス細胞集
団の当初cDNAはストレス細胞集団から繰返し差引く。
【0118】 本方法の好適な態様の最終回操作において、工程2セットから得られる2つの
濃厚cDNAライブラリーの一方は、他方の濃厚cDNAライブラリーから差引
く。どの濃厚ライブラリーをどちらから差引くかは、ストレス誘導性またはスト
レス抑制性配列が捜し求められるかどうかにもっぱら掛っている。もしストレス
誘導性配列を求めるならば、濃縮した非ストレスcDNAが濃縮したストレスc
DNAライブラリーから差引かれる。もしストレス抑制性配列を求めるならば、
濃縮したストレス細胞cDNAライブラリーが濃縮した非ストレス細胞cDNA
ライブラリーから差引かれる。
【0119】 一方の濃厚ライブラリーから他方に対して差引く最終工程は、本手法の最初の
差引き操作が2つの集団において共通に、また高頻度で存在するcDNAのみを
除く傾向にあるので有利であるが、その理由は希有メッセージから誘導されるc
DNAフラグメントが、ハイブリダイズ工程に際して相補鎖を見出し得ない程度
の低濃度で最初に存在するからである。共通の主要配列を差引き操作により除去
した後、希有配列の濃度が増大し始め、その結果それらがを有効に差引き得るよ
うになる。差引き操作を複数回サイクル実施した後、両条件から最も希有の配列
をライブラリーに濃縮し、他方から一方の濃厚ライブラリーを差引き、ストレス
誘導またはストレス抑制遺伝子の有効な単離をもたらす。
【0120】 所望回数の差引き操作を完了した後、濃縮したcDNAライブラリーをクロー
ン化し、当業者既知の多くの技法、そのいずれか一つを用い配列決定する。PC
R増幅DNA鎖をクローニングと配列決定に適したベクターに挿入する特に便利
な方法は、「T−Aクローニング」として知られ、インビトロゲン、ノバゲンな
どの企業から商業的に入手し得る。他の替わり得る方法は、分子クローニング:
実験室マニュアル、第2版、第1〜3巻、サムブルーク(Sambrook)ら編纂、コ
ールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(1989)に見出すこ
とができる。
【0121】 一態様において、2つの細胞集団の1つが露呈されるストレスは低酸素である
。本方法はその他のストレスへの応答研究、例えば、イオン化放射、加熱、グル
コース飢餓、低体温、またはpH変化などの研究にも応用し得る。あるいは、毒
素または薬物などのストレスに対する応答が、本開示方法を採用することにより
研究可能となる。
【0122】 f)実施例 以下の具体的実施例は本発明の説明を意図するものであって、特許請求の範囲
を制限するものと解釈すべきではない。
【0123】 実施例1 濃厚化cDNAライブラリーの生成 ヒト・パピローマウイルスE6およびE7腫瘍タンパク質(HCE.E6.E
7)で安定的に不死化した正常ヒト子宮頚管上皮細胞を、発現量差分析(repres
ent ational difference analysis; RDA)により濃縮したcDNAライブラ リーの構築用の出発物質として利用した。HCE.E6E7を合成培地PFMR
−4A中で培養した(Kim et al.(1997)Cancer Res. 57:4200〜4
)。 低酸素条件(5%CO2/5%H2/90%N2、37℃16時間)下に培養し たHCE.E6E7細胞および好気性条件(5%CO2/20%O2/75%N2 、37℃)下に培養したHCE.E6E7細胞両方からの総量5μgのポリA+ mRNAを用い、ギブコBRLcDNA合成システムにより二重鎖cDNA調製
物を生成させた。 低酸素条件は、90%N2,5%CO2および5%H2の気体混合物を流す嫌気 性チャンバー(シェルドン・ラボラトリーズ、コーネリアス、OR)を用いて生
成させた。チャンバー内に導入された酸素は少しであっても触媒上の水素により
消費させた。モニター用酸素電極を用い、実験の間、環境の酸素が0.05%以
下であることを確認した。 低酸素細胞または有酸素細胞からのcDNA産物(約1〜1.5μg)の5分
の1を、20単位のNlaIII制限酵素、50mM酢酸カリウム、1mM−DTT 、および100μg/mlのウシ血清アルブミンにより37℃で60分間消化し
た。反応混合物をフェノールとクロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させ、
水10μLに溶解し、次いで凍結乾燥した。エチジウム・アガロースゲル電気泳
動を使用し、切断が成功であったことを確認した。
【0124】 RDA手技(すなわち「テスト」および「ドライバー」)に使用される各cD
NA対では、2つの異なるDNAリンカーが連結反応によりNlaIII切断末端に 連結された。連結部位と反対のリンカー配列の3'末端は、リガーゼの受容体ま たは供与体として使用されないようにアミンで終結させた。使用したリンカーオ
リゴヌクレオチドは以下のとおりであった(ただし、「X」は2つの鎖の短い方
の3'末端アミノ終結残基を意味する): 5'−TTTTACCAGCTTATTCAATTCGGTCCTCTCGCA CAGGATGCATG−3'(配列番号11) XATGGTCGAATAAGTTAAGCCAGGAGAGCGTGTCC
TAC−5'(配列番号12) 5'−TTTTTGTAGACATTCTAGTATCTCGTCAAGTCG GAAGGATGCATG−3'(配列番号13) XAACATCTGTAAGATCATAGAGCAGTTCAGCCTTC
CTAC−5'(配列番号14) (配列番号13および配列番号14のリンカー対は低酸素培養した細胞のcDN
A用に使用した)。2つの個々のリンカー鎖を10mMトリス−HCl(pH7 .6)、10mM−MgCl2バッファーに溶解し(10μMの各オリゴマー)、
次いで加熱変性し、連結反応に使用する前にゆっくりと室温まで冷却した。
【0125】 次に、NlaIII切断cDNA1μgを100μL容量の1μM二本鎖リンカー 、5%ポリエチレングリコール、50mMトリス−HCl(pH7.6)、10 mM−MgCl2、1mM−ATP、および1mM−DTT中、16℃で3時間連
結反応させた。cDNAフラグメントの連結に使用したリンカーはNlaIIIオー バーハングの3'−末端にリン酸をもたないので、得られる連結反応産物は一本 鎖ニックをもつ。この方法で反応を実施すると、リンカーの自己連結を防止する
のに有利であった。過剰のリンカーは、セファクリルS−300HRを詰めたス
ピン−カラムによるゲル濾過により除去した。リンカー連結cDNAフラグメン
トはミクロフュージチューブに集め、一方、非連結リンカーは他の低分子量成分
とともにセファクリルにトラップした。ゲル濾過したリンカー連結cDNAフラ
グメントは、次いで、凍結乾燥した。
【0126】 リンカー連結cDNAフラグメントは単一プライマー技法により増幅した。再
び、この調製品をドライバーcDNAとして使用すべき場合には、5'−末端に ビオチン残基をもつPCRプライマーを用いてそれを増幅した。もしこの調製品
がテストcDNAとして使用すべきでものあって、そのドライバーが配列の差引
きに使用されるなら、非標識化プライマーをもちいてそれを増幅した。
【0127】 連結したcDNA(0.1μg量)は、1μMプライマー、10mMトリス−
HCl(pH8.3)、50mM−KCl、1.5mM−MgCl2、および0.0
1%ゼラチン含有の標準PCRバッファー中で増幅した。PCR増幅の前に、ニ
ックPCR鋳型を72℃5分間の伸長反応の間にTAQポリメラーゼにより修復
しなければならなかった。この最初の培養の後に、35サイクルの標準PCR反
応(94℃、30秒;56℃、30秒;72℃、60秒)をパーキン・エルマー
DNAサーマル・サイクラーにより実施した。増幅工程に使用したオリゴヌクレ
オチドプライマーは以下のとおりであった: 5'−CCAGCTTATTCAATTCGGTCC−3'(配列番号15) 5'−GTAGACATTCTAGTATCTCGT−3'(配列番号16) (配列番号16は低酸素培養細胞からcDNAを増幅するために使用したプライ
マーであった)。全PCR反応は上記のセファクリル・スピンカラム1mlを通
して塩、dNTP、および過剰のプライマーを除去した。増幅の収率はエチジウ
ム・アガロースゲル電気泳動により決定した。産生物は予測どおりにDNAフラ
グメントのスメアとして100ないし2,000塩基対(bp)サイズの範囲に
現われた。
【0128】 差引きの最初の操作はビオチン化ドライバーcDNA3μgをテストcDNA
0.1μgと混合することにより実施した。この混合物を0.5mLミクロフュ
ージチューブ中で凍結乾燥し、2μLの50mM−ヘペス(HEPES)(pH
7.5)、10mM−EDTA、1.5mM−NaCl、および2%硫酸ドデシ ルナトリウム(SDS)中に注意深く再溶解した。極少量のこの溶液は鉱油50
μLを上に載せて蒸散を防止し、そのチューブをサーマルサイクラーに入れて9
5℃に10分間加熱した。次いで、1時間を要して68℃までゆっくり冷却し、
その後68℃での培養をさらに4時間継続した。培養の終末点で同じヘペスバッ
ファー100μLを68℃でチューブに加えた。希釈した溶液を室温まで冷却し
、鉱油を除去した。
【0129】 ビオチン化cDNAと任意のハイブリダイズした配列は、同じ培養バッファー
中M−280ストレプトアビジン・ダイナビーズ(ダイナル)1mgを含有する
スラリー100μLと希釈した溶液とを混合することにより除去した。培養はゆ
っくりと転倒させることにより室温で30分間継続した。次いで、ビーズは磁石
を用いてチューブの底にペレット化し、上清を除き、上記のようにセファクリル
・スピンカラム1mlを通して脱塩した。次いで、このcDNA溶液を凍結乾燥
し、水10μLに再溶解した。 差引き操作後に残存する少量のcDNAは、同一のプライマーを用いPCRに
より再増幅した。一本鎖結合タンパク質を、差引き操作したcDNAフラグメン
トの再増幅に使用したPCR反応混合物に添加した:差引き操作したcDNA調
製品1μL(10分の1容量)を、大腸菌一本鎖結合タンパク質(パーフェクト
・マッチTM、ストラタジーン)1μg含有のPCRバッファー100μL中に入
れた。cDNAは25サイクルのPCR(94℃、30秒;54℃、30秒;7
2℃、60秒)により増幅し、その産生物をエチジウム・アガロースゲル電気泳
動により分析した。この再増幅cDNAの外見は上記当初物質のものに似ていた
【0130】 複数回の差引き操作を実施した。差引きライブラリーを並行して調製し、結果
として、低酸素条件下に発現させ配列用に濃縮したライブラリーを、正常酸素条
件下に発現させ配列用に濃縮したライブラリーと同時に調製した。各事例におい
て、差引きの初回操作に使用したドライバーはcDNAフラグメントの当初セッ
トであった。3回の差引き操作の後、並行して調製した濃厚ライブラリーは4回
目操作のドライバーとして用いた。この方法において両条件からの最も希有な配
列を最終ライブラリーにおいて濃厚化した。例えば、この最終回操作において低
酸素誘導配列を得るために、正常酸素条件下に発現させ配列用に濃縮したcDN
Aライブラリーはドライバーライブラリーとして使用し、低酸素条件下に発現さ
せ配列用に濃縮したcDNAライブラリーはテストライブラリーとして使用した
【0131】 実施例2 有効単離発現配列標識体(EST)の配列同定とノーザンブロット分析 低酸素条件および好気性条件下に培養したHCE.E6E7細胞から実施例1
の差引き操作プロトコールにより産生させた2つの濃厚化ライブラリーそれぞれ
から、数百種のcDNAフラグメントを配列決定した。低酸素cDNAから有酸
素cDNAを差引くRDA操作を4回繰返し、低酸素処理により理論上誘導され
る遺伝子を提示する濃厚化ライブラリーの一つに、フラグメント集団を生成させ
た。cDNAライブラリーから無作為に選択された500種のクローンにつき、
部分的に配列決定した。得られた配列をNCBI−ブラストにより分析し、濃縮
集団中の遺伝子/ESTそれぞれの頻度を決定し、また、単離した低酸素誘導E
STが以前に同定した遺伝子またはESTに相当するか否かを確認した。
【0132】 低酸素条件下に発現させ配列用に濃縮したcDNAライブラリーから得られる
無作為に選択した500種のcDNAにおけるEST配列の頻度(4回の差引き
操作後)を下の表2に示す。最も高頻度に存在するEST,すなわちHIG1E
STおよびHIG2ESTは、既知の遺伝子に対応するものはなかった。これら
最も高頻度に繰返されるクローンは未知であたので、HIG1およびHIG2を
提示する完全長のcDNAを単離した(下記実施例3参照)。
【0133】 一度ならず提示され、高度に反復する要素を含まなかった各ライブラリーのク
ローンに存在するすべてのESTは、SiHa子宮頚癌細胞(および/またはHCE
.E6E7細胞)での低酸素による誘導について、ノーザンブロットにより試験
した。ESTの提示を一度ならず認められた選択プローブを、異なる好気性およ
び低酸素露出後に取得した細胞培養物からの全RNAのノーザンブロットに適用
し、低酸素の誘導性または抑制性を証明した。例えば、ノーザンブロットアッセ
イを用い、HCE.E6E7好気性濃厚化ライブラリーに検出されるα−チュー
ブリンmRNAは、HCE.E6E7細胞の低酸素に応答して低下するが、一方
、低酸素濃厚化ライブラリーに見出されるHIG2ESTに対応するmRNAは
、同じ低酸素条件下で著しく増大することを確認した。
【0134】 表2.低酸素cDNAから有酸素cDNAを差引くRDA操作を4回繰返した後
にcDNAライブラリーから単離される標識物:
【表8】
【表9】 * ノーザンブロットにより決定された場合** マイナーな4.2kBのアセトアシルCoAチオラーゼ・メッセージのみが 誘導される
【0135】 ノーザンブロットアッセイの手法は以下のとおり実施した。総RNAは製造業
者の指示に従いトリゾール(Trizol)(ギブコBRL)で単離した。総RNA5
〜10μgをグリオキサールで変性させ、1%アガロースリン酸ゲル上でサイズ
分画した。ゲルをハイボンド・ナイロン(シュライヒャーおよびシュエル;Schl
ei cher and Shuell)に毛管転移し、UV架橋した。プローブはゲル精製した完
全長HIG1またはStu1フラグメント(レジプライム(Rediprime)、アマシャ
ム)のコーディング配列のみを含むHIG2フラグメントのランダムプライミン
グにより放射標識した。ハイブリダイズは、0.5M−Na2HPO4、7%SD
S、1mM−EDTA中で、HIG1については56℃で、HIG2については
65℃で実施し、56℃または65℃で0.2〜0.5×SSCまで洗浄し、燐
光イメージプレートに露光し、次いでストーム(Storm)860燐光イメージ機 (モレキュラー・ダイナミックス)上で可視化した。
【0136】 ノーザンブロットにより決定したESTの低酸素誘導性を上記表2に要約する
。HIG1およびHIG2の両配列がノーザンブロットアッセイにおいて低酸素
症誘導性を示した。 HIG2発現のためにプローブされた種々の好気性および低酸素性ヒト細胞(
HCE.E6E7;SiHa子宮頚部偏平上皮癌、MCF−7乳癌、H1299肺癌
、Hct116結腸癌細胞;ヒト子宮頚部線維芽細胞(HCF)およびHCF.
E6E7)からの総RNAノーザンブロットは、以下のことを示した:(1)該
遺伝子は単一の1.5kb転写物として発現される(起源となるESTはHCE
.E6E7の1.6−および4−kb未知転写物と交差配列する);(2)HI
G2mRNAは、HCE.E6E7、SiHa、およびMCF−7細胞において、低
酸素の6時間後、21%O2(空気)で検出不可であったのが、0.02%O2
は豊富な存在量まで増加する;(3)HIG2は低酸素の6時間後、HI299
およびHct116細胞において、中程度に発現される;(4)HCFおよびH
CE.E6E7において検出可能なHIG2mRNAは存在しない;(5)SiHa
細胞において、HIG2は低酸素の48時間、上昇したままであるが、露光の7
2時間までには中程度に低下する;および(6)HIG2の誘導は、UV−C(
20J/m2)、γ−線照射(6Gy)、MMS(100μg/mL、1時間) 、血清奪取(0.1%)、またはグルコース飢餓(4%、<1mM)での処理後
、6時間目および24時間目まではSiHa細胞に見出されない;(7)HIG2の
発現は、低酸素細胞を2時間の再酸素化にさらした後に消失する。
【0137】 HIG1の低酸素誘導性は、検討した様々な異なるヒト細胞系にまたがって、
約2倍と約5倍の間に及ぶことが見出された。HIG2の低酸素誘導性は、検討
した様々なヒト細胞系にまたがって、約10倍と約20倍の間に及ぶ(下記実施
例4も参照)。 新しい遺伝子HIG1およびHIG2に加えて、実施例1の差引き法により同
定された数種の既知遺伝子が低酸素誘導性であるとノーザンブロットにより確認
された。これらの遺伝子も表2に掲載する。アネキシンV、リポコルチン2、hn
RNP A1、Ku(70)自己抗原、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒド ロゲナーゼ、リボゾームL7、アセトアセチルCoAチオラーゼ、およびPRP
Pシンターゼなどの遺伝子に相当するESTは、低酸素選抜における多重ヒット
により同定した。これら既知の遺伝子はすべて低酸素誘導性であるとノーザンブ
ロットにより確認された。
【0138】 留意すべきことは、アセトアセチルCoAチオラーゼ配列の標識は誘導性とし
て掲載されているが、報告された当該遺伝子の主要RNA(1.8kb)は変化
しないということである。しかし、24〜48時間の低酸素後に誘導される大型
のハイブリダイズRNA種(4.2kb)が存在する(データ非開示)。 グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)に対応する
ESTは、cDNAクローンの中でも特に広く分布していた。グリセルアルデヒ
ド−3−リン酸デヒドロゲナーゼの低酸素誘導発現は、以前、正常な非形質転換
細胞においてのみ同定されていた。
【0139】 実施例3 完全長HIG1およびHIG2cDNA配列の単離と分析 16時間低酸素にさらしたSiHa細胞から単離したmRNAから構築の通常の
cDNAライブラリーをプローブするために使用し、完全長cDNAクローンH
IG2を得た。このライブラリーは常套法を用い放射標識HIG2標識物により
プローブした。完全長HIG1は、先ずNCBIヒトESTデータベースから、
完全長配列が生成する(1.35kb)まで、オーバーラップESTを同定する
ことにより単離した。PCRプライマーは、16時間の低酸素処理後に単離した
SiHaRNAのRT−PCRを用いて完全配列を増幅するために、5'および3'
UTRに対応して合成した。完全長HIG1cDNAは、次いでクローン化し、
配列決定して予測した配列を確認した。 HIG1の完全長cDNA配列を図1Aに示す。HIG2の完全長cDNA配
列を図2Aに示す。HIG1およびHIG2からの推定オープン読み枠の翻訳を
それぞれ図1Bおよび2Bに掲載するが、両者は小型ペプチド(それぞれ95お
よび64アミノ酸残基)をコードし、明確な機能的モチーフをもたない。
【0140】 実施例4 子宮頚部癌細胞系におけるHIG1およびHIG2の低酸素誘導 HIG1およびHIG2はその機能が未知の新規2種類の遺伝子の典型である
ため、これらの遺伝子をさらに詳細に検討した。HIG1およびHIG2の発現
は、有酸素および低酸素条件下、生体外で一連のヒト子宮頚癌細胞系(SiHa、
CaSkiおよびC33a)において実験した。(細胞系のSiHa、CaSkiおよび C33aはATCCから入手し、ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)また は10%ウシ胎仔血清添加RPMI1640中で培養した。HIG1はテストさ
れたすべての細胞系において低酸素2時間以内に適度に誘導されるが、その上昇
はSiHa細胞においてのみ存続する。HIG2はテストされた子宮頚癌細胞のす
べてにおいて低基底レベルからよりばらつきなく誘導される。主要HIG2mR
NA種は長さが1.4kbであるが、他にも2つの存在量の少ないmRNA種(
8.0および9.0kb)が存在して、それらは主要種と同じ反応速度で誘導さ
れる。
【0141】 実施例5 腫瘍異種移植片におけるHIG1およびHIG2の低酸素誘導 生体内でのHIG1およびHIG2の低酸素誘導についても、C33a細胞系
から生成させた腫瘍異種移植片にて、総腫瘍RNAのノーザンブロット分析によ
り試験した。未処理異種移植片における遺伝子発現は、体外培養とRNA単離の
24時間前に宿主動物のフラボン酢酸(FAA)による処理によって低酸素とな
した移植片での発現と比較した。腫瘍異種移植片を生成させるために、2.5〜
5×106細胞をSCIDマウスの脇腹に皮下注射し、採取前、直径1〜2cm に達する腫瘍に成長させた。FAA(リファ・ケミカル、NY)は、腫瘍採取の
24時間前に、5%重炭酸ナトリウム中200mg/kgとして該動物に腹腔内
注射した。FAA処理は、エッペンドルフ電極により測定したとき、腫瘍の低酸
素を増大させるに至り、また、HIG1およびHIG2の発現をそれぞれ1.2
倍および2.4倍増大させた。生体内HIG1誘導の適度なレベルは、生体外デ
ータにより予期し得ないものではない。これらの実験においてプローブに用いら
れるヒト遺伝子の部分は、マウスRNAとの相同性が低く、使用した条件下で交
差ハイブリダイズしなかった。
【0142】 実施例6 HIG1およびHIG2の誘導特異性 我々は次に、HIG1およびHIG2の誘導が低酸素ストレスにユニークかど
うか、またはそれは他の腫瘍微小環境ストレス、例えば、グルコース奪取、血清
飢餓などにより引き出されるのか、あるいは遺伝子特性ストレス、例えば、UV
またはイオン化放射線などにより引き出されるのかを検討した。我々はまた、H
IF−1応答性遺伝子からの発現を誘導すると示されている低酸素性模倣鉄キレ
ート化合物デスフェロキサミン(desferoxamine)についても試験した。ストレス
処理として、細胞をプレート上に一夜塗付し、次いでその翌日に256nmのU
Vにより1.2J/m2/秒、または137Cs源からのガンマ照射により3.8G y/分、処理した。グルコースと血清の奪取実験は、細胞をリン酸バッファー食
塩水(PBS)で3度洗浄し、指示された培地(透析血清含有無グルコースRP
MIまたは0.1%FBS RPMI)と置換えることにより実施した。 ノーザンブロット分析はこれらのストレスにさらしたC33a細胞から単離し たRNA上で実施した。HIG1はこの経時的低酸素ストレスに対し応答が乏し
いが、グルコース奪取により強く誘導された。HIG2は低酸素状態、低酸素性
模倣ストレス性デスフェロキサミン(DFO)およびグルコース奪取により強く
誘導された。UV光はHIG1またはHIG2発現のいずれにもあまり影響がな
いように思われた。それに対し、イオン化放射線はHIG1の発現レベルを変化
させることはなかったが、HIG2については24時間までに中程度ながら2.
5倍誘導するに至った。HIG2のストレス応答性パターンとHIF応答性VE
GF遺伝子のそれとには類似性があったが、これはHIF−1がHIG2の発現
に重要であることを示唆している。
【0143】 実施例7 非ヒト種からのHIG1およびHIG2配列の同定 進化の過程で保存されたオーソロガスを提示する他の種からの遺伝子フラグメ
ントについてNCBI−dbESTデータベースを検索すると、ヒト型のHIG1
およびHIG2に類似のペプチドをコードする重なり合うマウスESTフラグメ
ントが同定された。マウスHIG1およびHIG2のオーソロガスをそれぞれ図
3Aおよび5Aに示す。これらのマウス遺伝子は予測されたペプチド(それぞれ
図3Bおよび5B)をコードし、該ペプチドはヒトのペプチドとそれぞれ84%
および76%の相同性を有する。また、データベースにはサカナ(ブリ;seriol
a quinqueradiata)からクローン化されたcDNAが存在し、これはHIG1オ
ーソロガスをコードしていた(図4Aおよび4B)。HIG1同族体の配列比較
を図6Aに示す。HIG2同族体の配列比較は図6Bに示す。 我々は推定した遺伝子をクローニングすること、およびそれらの発現をアッセ
イすることにより、マウスのHIG1およびHIG2の存在を確認した。我々は
これらの遺伝子を増幅するであろう5'および3'非翻訳領域の配列に対応するオ
リゴヌクレオチドプライマーを設計した。我々は全マウスHIG2cDNAを増
幅するプライマーを作製し得たが、マウスHIG1についてはそのコーディング
配列を増幅するプライマーを作製し得ただけであった: mHIG1前進プライマー(配列番号17): 5'−CCGATCTAGAGGAAGGGACCCCGCGTCTCGGA −3' mHIG1逆進プライマー(配列番号18): 5'−GGCGCTCGAGTCTAAACCCACATGTTATTTAT TG−3' mHIG2前進プライマー(配列番号19): 5'−CCTTACTCCTGCACGACCTGG−3' mHIG2逆進プライマー(配列番号20): 5'− GGCGCTCGAGCACATGTGCATTACACTGGAGA
−3'
【0144】 これらのプライマーは、マウス偏平細胞腫瘍細胞系SCCVII(10%FBS
補足DMEM中で培養)から単離した逆転写RNAからのHIG1またはHIG
2のコーディング配列を増幅するために使用した。増幅したフラグメントをクロ
ーン化し、配列決定して、予測した配列を確認した。 このクローン化遺伝子は、SCCVII細胞から単離したRNAのノーザンブロ
ット分析用プローブとして次いで使用した。この分析によると、mHIG1(マ
ウスHIG1)およびmHIG2(マウスHIG2)は双方RNAの低酸素誘導
性種を有する。マウスHIG1はプローブに対し強くハイブリダイズする、長さ
約1.2〜1.4kbの2つの主要RNA種をもつ。大きい方のメッセージがや
や控えめに誘導される一方、小さい方のメッセージは低酸素にさらした12時間
までに約5倍に強く誘導される。マウスHIG2もまた2つのRNA種を有し、
その長さは約1.4および2.2kbである。マウスHIG2mRNAは両方と
も控えめに低酸素誘導性であるように思われ、その誘導は6〜12時間までに2
〜3倍となる。比較のために、同じブロットを血管内皮増殖因子(VEGF)で
プローブしたが、このメッセージは6時間までに約5倍の誘導を示す。
【0145】 実施例8 ジーン・ディスカバリー・アレイ(遺伝子発見配列;GDA)による低酸素下
の遺伝子発現分析 GDAアレイを含むナイロンフィルターはゲノム・システムズ(セントルイス
、MO)から購入したが、このものにはI.M.A.G.E.連合(LLNL)
が最初に特性化した核酸を付着してある。このアレイは、既知遺伝子としての、
または該連合が単離したEST (発現された配列標識)としての範疇に入る18
,394のcDNAクローンを提示する。このフィルターを使用して、有酸素条
件および低酸素条件(18時間、<0.2%)下に、SIHA腫瘍細胞における
これら配列したcDNAすべてのmRNA発現レベルを定量した。コントロール
と低酸素SIHA細胞からメッセンジャーRNAを単離し、MoML逆転写酵素
を用いてcDNAプローブを生成させた。mRNA2μgを、反応バッファー、
4mM−dATP、4mM−dGTP、4mM−dTTPおよび4mMアルファ
[33]P−dCTP、および200U逆転写酵素の存在下に、オリゴヌクレオチ
ド・プライマー(T)18NM(N=A/C/G、M=A/C/G/T)500n gと培養した。次いで、この反応により産生された放射活性標識第一鎖cDNA
を用い、それぞれのフィルターにつきプローブした。次いで、このフィルターを
燐光イメージプレートにさらし、その画像を収集して分析のために計数化した。
そして、各cDNAについて相対計測数を定量し、GDA分析ソフトウエアを用
い比較した。結果は、低酸素誘導の最大レベルであった500遺伝子またはES
Tについては表3に、また、低酸素抑制の最大レベルであった500遺伝子また
はESTについては表4に示す。
【0146】 表3.低酸素細胞においてその発現が誘導された遺伝子(ジェンバンク受託番号
により同定)について、有酸素細胞での発現を超える低酸素細胞における発現を
その比によって示す。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】 表4.低酸素細胞においてその発現が抑制された遺伝子(ジェンバンク受託番号
により同定)について、低酸素細胞での発現を超える有酸素細胞における発現を
その比によって示す。
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0147】 実施例9 GEMTMマイクロアレイによる低酸素条件下での遺伝子発現の分析 FaDu細胞遺伝子の低酸素誘導は、低酸素条件(5%CO2/5%H2/90%N 2 、37℃16時間)にさらしたFaDu細胞の遺伝子発現と正常、有酸素条件に さらしたものとを比較することにより分析した。この差別発現は、ゲノム・シス
テムズ・インクが提供するGEMTM技法を用いて分析した。メッセンジャーRN
A(mRNA)は低酸素FaDu細胞から抽出し、また、別個に有酸素FaDu細胞
からも抽出した。 総RNAは、実質的に標準的ゲノム・システムズ・インクのプロトコールに従
い、以下のように細胞から単離した。トリゾール(Trizol) 500μLを50〜
100mgの新鮮な凍結細胞に加えた。次いで、直ちに細胞をホモジネートとし
た。トリゾール500μLを次いで加え、サンプルをよく混合した。サンプルを
室温で5分間ホモジネートとした。次に、トリゾール1mlあたり0.2mlの
クロロホルムを加えた。この混合物を15秒間激しくかき混ぜ、室温で3分間培
養した。次いで、サンプルを12,000×gで4℃15分間遠沈した。水層は
その境界面を乱さないように新たな遠沈管に移した。イソプロパノール0.5m
Lを加え、サンプルを室温で10分間培養した。RNAは12,000×gで4
℃10分間遠沈し、ペレット化した。次いで、上清を除いた。75%エタノール
1mLをペレットに加え、次いでボルテックスした。次いでこれを7,500×
g、4℃で5分間遠沈した。エタノールを除去した。ペレットを室温で10分間
乾燥し、無ヌクレアーゼ水10μLとかし、−80℃で保存した。
【0148】 次に、ポリA+RNAは、実質的に標準的ゲノム・システムズ・インクのプロ
トコールに従い、以下のように総RNAから単離した。ポリA RNAを精製す るために、総RNAサンプルをキアゲン(Qiagen)のオリゴ・テックスmRNA分 離カラムに2回通した。ポリA RNAの溶出後、ポリA RNAをエタノール沈
殿させ、最終産物をDEPC H2OまたはTEに取込んだ。オリゴ・テックス・
カラムからの溶出液50μLにつき、40μLの1X TEおよび1μLのグリ コーゲン(5mg/mL)を加えた。次いで、100%EtOH120μLを加 え、サンプルを−80℃で10分間凍結させた。次いで、サンプルを12,00
0×g、4℃で10分間、遠心した。上清を除き、75%EtOH250μLを 加えた。ペレットを12,000×g、4℃で5分間、遠心した。再び上清を除
き、ペレットを室温で10分間乾燥した。次いで、ペレットをDEPC H2Oに
溶解し、50ng/μLの濃度とした。
【0149】 精製したRNAサンプルは、GEMマイクロアレイ分析を実施するためにゲノ
ム・システムズ・インクに送った。ゲノム・システムズ・インクは、当業者周知
の標準方法により、mRNAサンプルから蛍光標識cDNAプローブを作製した
。有酸素FaDu細胞由来のmRNAサンプルに対応するcDNAプローブは、低
酸素FaDu細胞由来のmRNAサンプルに対応するcDNAプローブとは異なる
識別可能な蛍光標識物で標識した。
【0150】 2つの蛍光プローブサンプル(一方は低酸素FaDu細胞由来、他方は有酸素F
aDu細胞由来)は、同時にゲノム・システムズ・インクが、配列したcDNA分
子にハイブリダイズさせるために、ヒューマン・ユニGEM Vマイクロアレイ に適用した。ヒューマン・ユニGEM Vマイクロアレイは、配列を保証したゲ ノム・システムズ・インク所有のcDNAクローンを含んでおり、これは4,0
00種以上の既知ヒト遺伝子とユニジーン・データベースにマップ化した3,0
00種までのESTを提示する(マイクロアレイ上の遺伝子はすべて、既知の機
能、相同性、およびヒト転写物マップ上のプレゼンスなどの基準に対し選択した
)。GEMマイクロアレイの遺伝子または遺伝子フラグメント(それぞれ長さで
500〜5000塩基対)はガラス表面上に配列されており、その表面にそれら
が化学的に結合している。 2種の蛍光cDNAサンプルは配列したcDNA分子と十分に培養してハイブ
リダイズが起こるようにし、その後、ハイブリダイズしなかったプローブ分子を
洗い流した。GEMマイクロアレイの異なる遺伝子/ESTは、次いで、2種の
蛍光標識それぞれに対し走査した。特定の遺伝子部位に蛍光標識の存在すること
は、蛍光標識に対応する細胞中に遺伝子の発現のあることを示している。 マイクロアレイ上、低酸素細胞に最大レベルの誘導を示すと判断された30種
の遺伝子またはEST(対する有酸素細胞)を、それらの誘導レベル、もし分か
れば機能的範ちゅう、およびジェンバンク受託番号とともに、下記表5に掲載す
る。
【0151】 表5.FaDu細胞において低酸素により誘導された遺伝子
【表21】
【表22】
【表23】
【0152】 本発明の種々の変更態様と変動は、本発明の範囲と精神を逸脱せずとも当業者
には明白である。本発明は特定の好適な実施態様と関連させて記載してあるが、
本発明は請求項どおりであって、かかる特定の実施態様に不当に限定されるべき
ではないと理解すべきである。さらに、当業者に明瞭な本発明を実施するために
記載された様式の種々の変更は特許請求の範囲内にあるものとする。
【0153】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒトHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す。
【図2】 図2は、ヒトHIG2 cDNAおよびタンパク質配列を示す。
【図3】 図3は、ネズミHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す
【図4】 図4は、セリオラ・キンケラディアタ(seriola quinqueradiata
)のHIG1 cDNAおよびタンパク質配列を示す。
【図5】 図5は、ネズミHIG2 cDNAおよびタンパク質配列を示す 。
【図6】 図6は、ヒトHIG1およびHIG2タンパク質配列と他の種の
HIG1およびHIG2配列とを平行整列した図を示す。
【図7】 図7は、cDNAライブラリーフラグメントへのリンカーの付加
を図解したものである。
【図8】 図8は、テスターcDNAにとって特有な配列によりテスターc
DNAライブラリーを濃厚化するのに減算プロトコールがいかに使用されるかを
説明している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 G01N 33/50 D 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A G01N 33/50 F (72)発明者 ニコラス・シー・デンコ アメリカ合衆国94025カリフォルニア州メ ンロ・パーク、ナインス・アベニュー573 番 (72)発明者 アマト・ジェイ・ジャチア アメリカ合衆国94305カリフォルニア州ス タンフォード、ライアン・コート1番 (72)発明者 クリストファー・ジェイ・グリーン アメリカ合衆国94945カリフォルニア州ノ バト、トパーズ・ドライブ2737番 (72)発明者 キース・アール・レイドルート アメリカ合衆国94301カリフォルニア州パ ロ・アルト、フォレスト・アベニュー461 番 (72)発明者 コーネリア・シンドラー アメリカ合衆国94306カリフォルニア州パ ロ・アルト、マタデロ・アベニュー922番 (72)発明者 アルバート・チン−ウェイ・クーン アメリカ合衆国94024カリフォルニア州ロ ス・アルトス、サウス・クラーク・アベニ ュー62番

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示す配列、それらの補体、その少なくとも12
    個のヌクレオチド鎖長フラグメント、またはそれらにハイブリダイズする配列、
    または 配列番号3に示す配列、その補体、それらの少なくとも12個のヌクレオチド
    鎖長フラグメント、またはそれらにハイブリダイズする配列、 を含んでなる、単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 配列番号1のヌクレオチド62〜343、その補体、それら
    の少なくとも12個のヌクレオチド鎖長フラグメント、またはそれらにハイブリ
    ダイズする配列を含むものである、請求項1記載の単離ポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号3のヌクレオチド274〜465、その補体、それ
    らの少なくとも12個のヌクレオチド鎖長フラグメント、またはそれらにハイブ
    リダイズする配列を含むものである、請求項1記載の単離ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 発現ベクターであって、 (i)請求項1記載のポリヌクレオチド、および (ii)当該ポリヌクレオチドに操作可能に連鎖しているプロモーター、 を含む、発現ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリヌクレオチドを含む、送達ビークル。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリヌクレオチドを含む単離細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリヌクレオチドの発現を遮断し得るアンチ
    センスオリゴヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 少なくとも12個のヌクレオチド鎖長である、請求項1記載
    のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを含むプローブ。
  9. 【請求項9】 ポリヌクレオチドの配列(アレイ)であって、 (a)請求項1記載ポリヌクレオチドの少なくとも1種、および (b)第二のポリヌクレオチドであって、該第二のポリヌクレオチドが第二の低
    酸素−誘導性遺伝子配列またはその少なくとも12個のヌクレオチド鎖長フラグ
    メントを含むポリヌクレオチドである、 を含んでなる、ポリヌクレオチドの配列(アレイ)。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のポリヌクレオチド配列またはその生化学的
    に均等のフラグメントによりコードされる単離ポリペプチド。
  11. 【請求項11】 配列番号2、配列番号2と生化学的に均等なフラグメント
    、配列番号4、または配列番号4と生化学的に均等なフラグメントを含む単離ポ
    リペプチド。
  12. 【請求項12】 (a)請求項11記載のポリペプチドの少なくとも1種、および (b)少なくとも1種の第二のポリペプチドであって、当該第二のポリペプチド
    が低酸素−誘導性遺伝子産物またはその生化学的に均等なフラグメントである、
    を含んでなる、ポリペプチド配列(アレイ)。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のポリペプチドと特異的に免疫反応性であ
    る抗体。
  14. 【請求項14】 抗体の配列(アレイ)であって、 (a)請求項13記載の抗体の少なくとも1種、および (b)少なくとも1種の第二抗体であって、当該第二の抗体が低酸素−誘導性遺
    伝子産物またはその生化学的に均等なフラグメントに特異的に結合する抗体であ
    る、 を含んでなる抗体の配列(アレイ)。
  15. 【請求項15】 少なくとも2種の異なる低酸素−誘導性遺伝子、またはそ
    れに対する補体、またはそれらの少なくとも12のヌクレオチド鎖長フラグメン
    ト、またはそれらにハイブリダイズする配列を含んでなる、ポリヌクレオチドの
    配列(アレイ)。
  16. 【請求項16】 少なくとも2種の異なるポリヌクレオチドを含んでなり、
    それぞれが低酸素−誘導性遺伝子、またはその少なくとも12のヌクレオチド鎖
    長フラグメント、またはそれらに対する補体を含んでなり、その場合、当該低酸
    素−誘導性遺伝子が解糖酵素/タンパク質、代謝/ホメオスタシスタンパク質、
    アポトーシスタンパク質、DNA修復タンパク質、血管形成/組織改造性タンパ
    ク質、細胞周期タンパク質、および赤血球形成/脈管調節タンパク質からなる群
    から選択される、異なる機能的範ちゅうに属するタンパク質をコードするもので
    ある、請求項15記載の配列(アレイ)。
  17. 【請求項17】 少なくとも2種の異なるポリヌクレオチドを含んでなり、
    それぞれが低酸素−誘導性遺伝子、またはその少なくとも12のヌクレオチド鎖
    長フラグメント、またはそれに対する補体を含んでなり、その場合、当該低酸素
    −誘導性遺伝子が解糖酵素/タンパク質、代謝/ホメオスタシスタンパク質、ア
    ポトーシスタンパク質、DNA修復タンパク質、血管形成/組織再造形タンパク
    質、細胞周期タンパク質、および赤血球形成/脈管調節タンパク質からなる群か
    ら選択される単一機能的範ちゅうに属するタンパク質をコードするものである、
    請求項15記載の配列(アレイ)。
  18. 【請求項18】 少なくとも2種の異なるポリヌクレオチドを含んでなり、
    それぞれが低酸素−誘導性遺伝子、またはその少なくとも12のヌクレオチド鎖
    長フラグメント、またはそれに対する補体を含んでなり、その場合、当該低酸素
    −誘導性遺伝子のすべてが血管形成または組織再造形タンパク質をコードするも
    のである、請求項17記載の配列(アレイ)。
  19. 【請求項19】 請求項15記載の配列(アレイ)であって (a)HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、 Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルC oAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガ
    ンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、
    フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B
    細胞転位遺伝子−1、還元剤およびツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様
    キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1
    、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子
    相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスフ
    ァターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、
    Bcl−2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から
    選択される少なくとも1種の遺伝子、またはその少なくとも12のヌクレオチド
    鎖長フラグメント;および (b)第二のポリヌクレオチドであって、その場合の当該第二ポリヌクレオチド
    が第二の低酸素−誘導性遺伝子またはその少なくとも12のヌクレオチド鎖長フ
    ラグメントである第二ポリヌクレオチド、 を含んでなる、請求項15記載の配列(アレイ)。
  20. 【請求項20】 少なくとも2種の低酸素−誘導性遺伝子のポリペプチド発
    現産物またはその生化学的に均等のフラグメントを含んでなるポリペプチドの配
    列(アレイ)。
  21. 【請求項21】 少なくとも2種の低酸素誘導タンパク質またはその生化学
    的に均等のフラグメントを含んでなり、その場合の各低酸素誘導タンパク質が解
    糖タンパク質、代謝酵素/タンパク質、アポトーシスタンパク質、DNA修復タ
    ンパク質、血管形成/組織再造形タンパク質、細胞周期タンパク質、および赤血
    球形成/脈管調節タンパク質からなる群から選択される異なる機能的範ちゅうに
    属するものである、請求項20記載の配列(アレイ)。
  22. 【請求項22】 少なくとも2種の低酸素誘導タンパク質またはその生化学
    的に均等のフラグメントを含んでなり、その場合の各低酸素誘導タンパク質が解
    糖酵素/タンパク質、代謝/ホメオスタシスタンパク質、アポトーシスタンパク
    質、DNA修復タンパク質、血管形成/組織再造形タンパク質、細胞周期タンパ
    ク質、および赤血球形成/脈管調節タンパク質からなる群から選択される単一機
    能的範ちゅうに属するタンパク質のすべてである、請求項20記載の配列(アレ
    イ)。
  23. 【請求項23】 請求項20記載の配列(アレイ)であって、 (a)HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、 Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルC oAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガ
    ンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、
    フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B
    細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナ
    ーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低
    密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同
    体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファタ
    ーゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl
    −2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択
    される少なくとも1種のタンパク質またはその生化学的に均等のフラグメント;
    および (b)少なくとも1種の第二ポリペプチドであって、その場合の当該第二ポリペ
    プチドが第二の低酸素誘導遺伝子産物またはその生化学的に均等のフラグメント
    である第二ポリペプチド、 を含んでなる、請求項20記載の配列(アレイ)。
  24. 【請求項24】 低酸素−誘導性遺伝子のポリペプチド発現産物と特異的に
    免疫反応する少なくとも2種の異なる抗体を含んでなる抗体の配列(アレイ)。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の抗体の配列(アレイ)であって、 (a)HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、 Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルC oAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガ
    ンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、
    フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B
    細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナ
    ーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低
    密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同
    体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファタ
    ーゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl
    −2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択
    されるタンパク質と免疫反応する少なくとも1種の抗体;および (b)少なくとも1種の第二抗体であって、その場合の当該第二抗体が第二の低
    酸素誘導遺伝子産物またはその生化学的に均等のフラグメントに特異的に結合す
    る第二抗体、 を含んでなる、請求項24記載の抗体の配列(アレイ)。
  26. 【請求項26】 動物の組織における低酸素−誘導性遺伝子の発現をアッセ
    イする方法であって、 (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルのタンパク質を請求項24
    記載の配列(アレイ)と接触させ、次いで (b)該配列(アレイ)に結合する当該サンプルからのタンパク質の量と位置を
    検出する、 ことを特徴とする方法。
  27. 【請求項27】 動物組織における低酸素関連症状を評価する方法であって
    、 (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルのタンパク質を請求項24
    記載の配列(アレイ)と接触させ、次いで (b)該配列(アレイ)に結合する当該サンプルからのタンパク質の量と位置を
    検出する、 ことを特徴とする方法。
  28. 【請求項28】 当該低酸素関連症状が癌、虚血、再潅流、網膜症、新生児
    仮死、子癇前症、心拍停止、または発作である、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 動物における低酸素関連症状を診断する方法であって、 (a)請求項27記載の方法により動物組織における低酸素関連症状を評価し、
    そして (b)工程(a)の判定結果を該動物の適切な治療と相関させる、 ことを特徴とする方法。
  30. 【請求項30】 動物組織における低酸素関連症状を治療する方法であって
    、 (a)請求項29記載の方法により動物組織における低酸素関連症状を診断し、
    そして (b)当該動物を適切な治療法により治療する、 ことを特徴とする方法。
  31. 【請求項31】 動物組織における低酸素の存在を判定する方法であって、
    (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルのタンパク質を請求項24
    記載の配列(アレイ)と接触させ、次いで (b)該配列(アレイ)に結合する当該サンプルからのタンパク質の量と位置を
    検出する、 ことを特徴とする方法。
  32. 【請求項32】 動物組織における低酸素誘導性遺伝子の発現を検定する方
    法であって、 (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルからのメッセンジャーRN
    A、またはそれから誘導されるcDNAを請求項15記載の配列(アレイ)と接
    触させ、ついで (b)該配列(アレイ)に結合する当該サンプルからのメッセンジャーRNAま
    たはcDNAの量と位置を検出する、 ことを特徴とする方法。
  33. 【請求項33】 動物組織における低酸素関連症状を評価する方法であって
    、 (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルからのメッセンジャーRN
    A、またはそれから誘導されるcDNAを請求項15記載の配列(アレイ)と接
    触させ、ついで (b)該配列(アレイ)に結合するメッセンジャーRNAまたはcDNAの量と
    位置を検出する、 ことを特徴とする方法。
  34. 【請求項34】 当該低酸素関連症状が癌、虚血、再潅流、網膜症、新生児
    仮死、子癇前症、心拍停止、または発作である請求項33記載の方法。
  35. 【請求項35】 動物における低酸素関連症状を診断する方法であって、 (a)請求項33記載の方法により動物組織における低酸素関連症状を評価し、
    そして (b)工程(a)の判定結果を該動物の適切な治療と相関させる、 ことを特徴とする方法。
  36. 【請求項36】 動物組織における低酸素関連症状を治療する方法であって
    、 (a)請求項35記載の方法により動物組織における低酸素関連症状を診断し、
    そして (b)当該動物を適切な治療法により治療する、 ことを特徴とする方法。
  37. 【請求項37】 動物組織における低酸素の存在を判定する方法であって、
    (a)当該動物から得られる体液または組織サンプルからのメッセンジャーRN
    A、またはそれから誘導されるcDNAを請求項15記載の配列(アレイ)と接
    触させ、ついで (b)該配列に結合するメッセンジャーRNAまたはcDNAの量と位置を検出
    する、 ことを特徴とする方法。
  38. 【請求項38】 動物組織における低酸素関連症状を治療する方法であって
    、 (a)当該動物の体液または組織中のHIG1、HIG2、アネキシンV、リポ
    コルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシ
    ンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖
    因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マ
    クロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ
    −2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答
    性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タ
    ンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハ
    ムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、
    フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、
    グルコース輸送体様タンパク質III、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作 用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択される少なく
    とも1種の遺伝子のmRNA転写物またはポリペプチド発現産物を検定すること
    、 (b)工程(a)の判定結果を低酸素関連症状に対する適切な治療法と相関させ
    ること、および (c)当該組織を当該適切な治療法で治療すること、 を特徴とする方法。
  39. 【請求項39】 当該低酸素関連症状が癌、虚血、再潅流、網膜症、新生児
    仮死、子癇前症、心拍停止、または発作である請求項38記載の方法。
  40. 【請求項40】 請求項39記載の方法であって、 (a)当該低酸素関連症状が癌であり、そして (b)当該適切な治療法が放射線療法、化学療法、および外科手術からなる群か
    ら選択されるものである、 請求項39記載の方法。
  41. 【請求項41】 動物組織における低酸素の存在を判定する方法であって、
    当該動物の体液または組織中のHIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチ
    ン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンター
    ゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−
    3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロフ
    ァージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、
    エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タン
    パク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク
    質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスタ
    ーヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルク
    トースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、グルコ
    ース輸送体様タンパク質III、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キ ラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択される遺伝子のmR
    NA転写物またはポリペプチド発現産物を検定することを特徴とする方法。
  42. 【請求項42】 当該組織が腫瘍である請求項41記載の方法。
  43. 【請求項43】 腫瘍の治療法であって、 (a)請求項42記載の方法により腫瘍中低酸素の存在を判定し、次いで (b)当該腫瘍を確立された形態の癌治療法により治療する、 ことを特徴とする方法。
  44. 【請求項44】 当該確立された形態の癌治療法が放射線療法、化学療法、
    および外科手術からなる群から選択されるものである請求項43記載の方法。
  45. 【請求項45】 動物における低酸素関連症状を診断する方法であって、請
    求項41記載の方法により動物組織中に低酸素の存在を決定することを特徴とす
    る方法。
  46. 【請求項46】 動物組織の低酸素応答を減衰させる方法であって、 HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己
    抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオ
    ラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プ
    ラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロ
    ネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位
    遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1
    、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポ
    タンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジ
    ポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、ク
    レアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相
    互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択される遺
    伝子の発現を阻害する ことを特徴とする方法。
  47. 【請求項47】 動物における低酸素関連症状を治療する方法であって、請
    求項46記載の方法により当該動物組織の低酸素応答を減衰させることを特徴と
    する方法。
  48. 【請求項48】 組織の低酸素応答を減衰させる方法であって、 HIG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己
    抗原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオ
    ラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プ
    ラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロ
    ネクチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位
    遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1
    、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポ
    タンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジ
    ポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、ク
    レアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相
    互作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択されるタ
    ンパク質を中和する ことを特徴とする方法。
  49. 【請求項49】 動物における低酸素関連症状を治療する方法であって、請
    求項48記載の方法により当該動物組織の低酸素応答を減衰させることを特徴と
    する方法。
  50. 【請求項50】 組織における低酸素関連症状を治療する方法であって、 (a)当該組織に発現ベクターを導入し、次いで (b)当該組織内で当該発現ベクターのコーディング配列を発現させることから
    なり、その場合の当該コーディング配列がHIG1、HIG2、アネキシンV、
    リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗原、ホスホリボシルピロホスフェー
    トシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、リボソームL7、線維芽細胞
    増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1
    、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネクチン受容体、リジルヒドロキシラ
    ーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺伝子−1、還元剤とツニカマイシン
    応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、キエシン、成長阻止DNA損傷誘導
    性タンパク質45、DEC1、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質
    、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポフィリン、シクロオキシゲナーゼ−
    1、フルクトースビスホスファターゼ、クレアチン輸送体、脂肪酸結合タンパク
    質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互作用性キラー、Nip3L/Nix、お
    よびPim−1からなる群から選択される遺伝子である ことを特徴とする方法。
  51. 【請求項51】 組織における低酸素関連症状を治療する方法であって、H
    IG1、HIG2、アネキシンV、リポコルチン2、hnRNP A1、Ku自己抗
    原、ホスホリボシルピロホスフェートシンターゼ、アセトアセチルCoAチオラ
    ーゼ、リボソームL7、線維芽細胞増殖因子−3、EPH受容体リガンド、プラ
    スミノーゲン活性化因子阻害剤−1、マクロファージ遊走阻止因子、フィブロネ
    クチン受容体、リジルヒドロキシラーゼ−2、エンドセリン−2、B細胞転位遺
    伝子−1、還元剤とツニカマイシン応答性タンパク質、CDC様キナーゼ−1、
    キエシン、成長阻止DNA損傷誘導性タンパク質45、DEC1、低密度リポタ
    ンパク質レセプター関連タンパク質、ハムスターヘアリー遺伝子相同体、アジポ
    フィリン、シクロオキシゲナーゼ−1、フルクトースビスホスファターゼ、クレ
    アチン輸送体、脂肪酸結合タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、Bcl−2−相互
    作用性キラー、Nip3L/Nix、およびPim−1からなる群から選択される遺伝
    子により発現されるポリペプチドを該組織に投与することを特徴とする方法。
  52. 【請求項52】 ストレス誘導性遺伝子および遺伝子のフラグメントを同定
    する方法であって、 (a)2集団の細胞の一方をストレスに付す工程; (b)2集団の細胞からcDNAライブラリーを調製する工程; (c)該cDNAライブラリーを制限酵素で消化し、次いで消化した当該cDN
    Aの末端にリンカー配列を結合する工程; (d)非ストレス細胞からのcDNAライブラリーをポリメラーゼ連鎖反応によ
    り標識化プライマーで増幅し、かつ、ストレス細胞からの他のcDNAライブラ
    リーをポリメラーゼ連鎖反応により非標識化プライマーで増幅する工程; (e)標識化増幅したcDNAの存在下に、非標識化増幅したcDNAを加熱し
    、再アニーリングする工程; (f)それ自体が標識化されているか、または標識化DNAと二重ラセンを形成
    しているこれらDNA鎖を混合物から除去する工程; (g)残りの非標識化cDNA配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する工程
    ; (h)残りの非標識化cDNA配列と最初の標識化cDNAライブラリーを2種
    のcDNAライブラリーとして用い、工程(c)から(g)を0回ないし5回反
    復する工程; (i)別途、本方法の第二部分において、工程(c)から(h)を実施するが、
    ただし、工程(d)においては非ストレス細胞からのcDNAライブラリーは非
    標識化プライマーで増幅し、ストレス細胞からのcDNAライブラリーは標識化
    プライマーで増幅する工程;および (j)本方法の第三部分において、工程(c)から(g)を反復するが、その場
    合、工程(c)では2種のcDNAライブラリーが本方法の第一および第二部分
    から得られた濃厚cDNAライブラリーであり、また、工程(d)では非ストレ
    ス細胞からの濃厚cDNAライブラリーが増幅に際し標識化され、かつ、ストレ
    ス細胞からの濃厚cDNAライブラリーが非標識プライマーで増幅される工程;
    からなることを特徴とする方法。
  53. 【請求項53】 当該ストレスが低酸素症、イオン化放射線照射、低体温症
    、および心臓発作からなる群から選択されるものである請求項52記載の方法。
  54. 【請求項54】 工程(b)の当該cDNAライブラリーがインデックスプ
    ライマーにより調製されるものである請求項52記載の方法。
  55. 【請求項55】 ストレス抑制性遺伝子および遺伝子のフラグメントを同定
    する方法であって、 (a)2集団の細胞の一方をストレスに付す工程; (b)2集団の細胞からcDNAライブラリーを調製する工程; (c)該cDNAライブラリーを制限酵素で消化し、次いで消化した当該cDN
    Aの末端にリンカー配列を結合する工程; (d)非ストレス細胞からのcDNAライブラリーをポリメラーゼ連鎖反応によ
    り標識化プライマーで増幅し、かつ、ストレス細胞からの他のcDNAライブラ
    リーをポリメラーゼ連鎖反応により非標識化プライマーで増幅する工程; (e)標識化増幅したcDNAの存在下に、非標識化増幅したcDNAを加熱し
    、再アニーリングする工程; (f)それ自体が標識化されているか、または標識化DNAと二重ラセンを形成
    しているこれらDNA鎖を混合物から除去する工程; (g)残りの非標識化cDNA配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する工程
    ; (h)残りの非標識化cDNA配列と最初の標識化cDNAライブラリーを2種
    のcDNAライブラリーとして用い、工程(c)から(g)を0回ないし5回反
    復する工程; (i)別途、本方法の第二部分において、工程(c)から(h)を実施するが、
    ただし、工程(d)においては非ストレス細胞からのcDNAライブラリーは非
    標識化プライマーで増幅し、ストレス細胞からのcDNAライブラリーは標識化
    プライマーで増幅する工程;および (j)本方法の第三部分において、工程(c)から(g)を反復するが、その場
    合、工程(c)では2種のcDNAライブラリーが本方法の第一および第二部分
    から得られた濃厚cDNAライブラリーであり、また、工程(d)ではストレス
    細胞からの濃厚cDNAライブラリーが増幅に際し標識化され、かつ、非ストレ
    ス細胞からの濃厚cDNAライブラリーが非標識プライマーで増幅される工程;
    からなることを特徴とする方法。
  56. 【請求項56】 当該ストレスが低酸素症、イオン化放射線照射、低体温症
    、および心臓発作からなる群から選択されるものである請求項55記載の方法。
  57. 【請求項57】 工程(b)の当該cDNAライブラリーがインデックスプ
    ライマーにより調製されるものである請求項55記載の方法。
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