JP2004505242A - 残留表面応力の現位置測定のための装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図1
Description
(関連出願の引用)
本出願は、「Apparatus and Method for In−Situ Measurement of Residual Surface Stress]と題された、2000年7月21日に提出された米国特許出願番号60/219,997号の仮出願の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に表面応力測定に関する。具体的には、本発明は、現位置の残留表面応力測定に関する。
【0003】
(背景技術)
残留表面応力は、発電装置構成要素(例えば、冷却管、蒸気発生器のU字管、膨張遷移、周溶接など)等の幅広いデバイスにおける金属及び多結晶構成要素の応力腐食割れにおいて重大な役割を果たすことが示されてきた。一般に、多結晶材料の残留応力測定の信頼性ある1つの技法は、回折に基づいている。回折技法は、金属多結晶材料が応力を受けた場合、材料中の弾性歪が、その粒の結晶格子において現れるという事実を利用する。外部から加えられた、又は材料内に残留する応力は、降伏応力未満の場合、数十粒にわたって拡がる原子間弾性マクロ歪となる。応力を受けた結果、格子平面間の距離(即ち、格子面間隔)、及び放射線回折の角度(2θ)が変化する。これにより、回折された放射線のピーク位置が変動し、試料が受けた弾性歪を数値化することができる。
【0004】
一般に、回折によって応力測定に利用されてきた放射線には、X線と中性子線の2種類がある。残念ながら、中性子線は、現位置又は表面測定が可能ではない。更に、現存のX線回折機器は、現位置利用のための良好な可搬性に対しては、一般に大きすぎる。
【0005】
ペンシルバニア州立大学は、Ruud−Barrett位置高感度シンチレーション検出器(PSSD)と呼ばれる、光ファイバーベースのX線検出器技術を開発した。このPSSDは、回折されたX線リング上の2つの位置からデータを同時に収集するために2つの独立した検出表面を使用し、これにより、単一の照射で正確な応力を測定する独自の機能を提供する。この単一照射技術は、単一の入射X線光が、特定の角度θ又は角度θの狭い範囲で回折されて、回折光のコーンを形成する事実に基づく。コーン軸線に垂直な平面は、試料表面が応力を受けていない場合には、円形でコーンを遮り、試料表面が応力を受けている場合には、歪んだ楕円形で遮る。この楕円形の歪みは、表面応力の尺度である。
【0006】
PSSDは、パターンが増幅され電子化されるPSSDの電子構成部品に、回折X線パターンの光アナログを伝導するための、長さが約1mで断面積が3mm×12mmの可撓性の干渉性光ファイバー束を使用する。光信号は、回折X線パターンをX線が光に変換されるシンチレーション・コーティングに当てることにより生成される。このX線パターンの光アナログは、可撓性の干渉性光ファイバー束を介して、通常試料から1m又はそれ以上離れたPSSDの電子構成部品へ運ばれる。PSSDの電子構成部品において、光信号は、映像増倍管によって増幅され、次にダイオード・アレイによりデジタルの電気信号へ変換される。このデジタル電気信号は、次に試料表面上の応力を計算するコンピュータで使用される。
【0007】
現在のところ、PSSD機器は、直径10cm以上の導管における検査に限定されており、200ワットX線管を測定表面の近傍(例えば、4cm)に引き込むことが必要である。本発明のPSSDは、更なる小型化及び可搬性の改善の幾つかの障壁に取り組む。第1に、X線源のサイズがかなり縮小されたとはいえ、ファイバー束断面は、直径約7cm未満の試料内部に対して使用するには大きすぎる。第2に、光ファイバー断面が縮小された場合、現在使用しているダイオード・アレイの空間分解能は、X線応力測定の適切な正確さを与えるには粗すぎる可能性がある。PSSDに関する更なる情報は、米国特許第4,686,631号及び第5,148,458号に記載されている。これらの特許は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0008】
前述に基づいて、容易に持ち運びが可能で、近距離(例えば、約5cm)離れた2つの平行するプレート間の応力を測定可能な改良PSSDに対するニーズがある。
【0009】
(発明の開示)
残留表面応力の現位置測定装置は、小型X線管と検出器とを備える。例示的な実施形態において、検出器は、小型X線管に結合された管スリーブと、管スリーブに結合された第1の光ファイバ束と、管スリーブに結合された第2の光ファイバ束と、光ファイバ束に結合された電荷結合素子とを含む。又、光ファイバ保持具及びコリメータのX線管本体への組み込みからなる別の実施形態が想定される。X線管により放射されたX線が、試料表面から回折され、第1の光ファイバ束と、第2の光ファイバ束とによって遮られる。遮られたX線が、光に変換されて、第1の光ファイバ束及び第2の光ファイバ束によって、電荷結合素子に送られる。受け取った光の輝度が、検出され及び電子化されて、第1のリング及び第2のリングを生成する。試料表面の残留応力が、第1のリング及び第2のリングの半径差に基づいて計算される。
【0010】
例示的な実施形態において、検出器は、X線を光に変換するために、第1の光ファイバ束及び第2の光ファイバ束の前端に取り付けられたシンチレータを更に備える。1つの実施形態において、シンチレータは、希土類シンチレータである。別の実施形態において、シンチレータは、カドミウム亜鉛シンチレータである。
【0011】
別の例示的な実施形態において、検出器は、第1の光ファイバ束と電荷結合素子との間、及び第2の光ファイバ束と前記電荷結合素子との間の両方に映像増倍管を更に備える。映像増倍管は、第1の光ファイバ束及び第2の光ファイバ束から受け取った光をそれぞれ増幅する。
【0012】
更に別の例示的な実施形態において、検出器は、X線管から試料表面へX線を平行光線束にする、管スリーブに取り付けられたコリメータを更に備える。
【0013】
例示的な実施形態において、小型X線管は、直径が1インチよりも小さく、20kVのX線を発生し、100Wよりも小さい消費電力を必要とする。別の例示的な実施形態において、第1の光ファイバ束及び第2の光ファイバ束は、約10ミクロン以下の寸法の各ファイバーを有し、各ファイバ束が、約6mm×6mmの断面積を有する。
【0014】
1つの実施形態において、第1の光ファイバ束が、2つの束に分割されて小型X線管に沿って通っており、小型X線管のカソード端の後に再接合されている。別の実施形態において、第1の光ファイバ束は、小型X線管に近接して取り付けられるように敷設されている。
【0015】
例示的な実施形態において、電荷結合素子は、複数のピクセルを含み、各ピクセルが、該ピクセル表面に当たる光子を検出可能である。1つの実施形態において、残留応力が、電荷結合素子からのデジタル化されたデータを受け取るために取り付けられたコンピュータによって計算される。
【0016】
残留表面応力の現位置測定のための方法は、試料表面から回折されたX線の第1のセグメントを遮る段階と、試料表面から回折されたX線の第2のセグメントを遮る段階と、セグメントを光に変換する段階と、電荷結合素子を通して、第1のセグメントから光の輝度を検出する段階と、電荷結合素子を通して、第2のセグメントから光の輝度を検出する段階と、検出された輝度に基づき第1及び第2のリングを規定する段階と、同心にある第1のリングの第1の半径及び第2のリングの第2の半径を計算する段階と、第1の半径と第2の半径との差を計算する段階と、該差に基づき試料表面の残留応力を計算する段階と、を含む。
【0017】
例示的な実施形態において、セグメントを光に変換する段階が、第1のシンチレーション・コーティングによって第1のセグメントを光に変換する段階と、第2のシンチレーション・コーティングによって第2のセグメントを光に変換する段階と、を含む
【0018】
別の例示的な実施形態において、第1のリングを規定する段階が、電荷結合素子によって検出された輝度を1組の曲線に適合させる段階と、1組の曲線における頂点を決定する段階と、第1のリングを規定するために頂点を連結する段階と、を含む。
【0019】
更に別の例示的な実施形態において、第2のリングを規定する段階が、電荷結合素子によって検出された輝度を1組の曲線に適合させる段階と、1組の曲線における頂点を決定する段階と、第2のリングを規定するために頂点を連結する段階と、を含む。
【0020】
(発明を実施するための最良の形態)
改良されたPSSD
図1は、本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイス100(以下「改良PSSD」)を示している。この改良PSSD100は、表面応力が測定されるべき試料表面を有する試料管へ挿入される。
【0021】
改良PSSD100は、小型X線管104と、X線管104のアノード端に結合された管スリーブ106と、コリメータ107と、光ファイバー束A110を保持する光ファイバー束保持具A108(以下保持具A)と、光ファイバー束B114を保持する光ファイバー束保持具B112(以下保持具B)と、光ファイバー束A110及び光ファイバー束B114のためのそれぞれシンチレーション・コーティング層116A及び116Bと、電子構成部品118とを含む。説明を容易にするために、図1には光ファイバー束B114に取り付けられた電子構成部品118だけを示している。
【0022】
例示的な実施形態において、電子構成部品118は、光ファイバー束B114を通って検出光を受け取る電荷結合素子(CCD)122に結合された映像増倍管120を含む。図示しないが、光ファイバー束A110は、映像増倍管120及び電荷結合素子122に取り付けられている。CCD122は、映像増倍管120から受け取った増幅光を電子化し、この電子化データを、試料表面上の残留応力を計算するコンピュータ124等の高速な計算機へ供給する。
【0023】
例示的な実施形態において、試料管102の直径は、約50mmである。この実施形態において、X線管104は、カソード端で約25mmであり、アノード端で約18mmであり、全長が約140mmである。X線管104の他の寸法は、X線管が直径で1インチよりも小さく、少なくとも電圧が20kV未満のX線を発生し、100ワット未満の消費電力を要する条件の下で、本発明の本質から逸脱することなく可能である。好適なX線管104は、Proto Manufacturing Limited等のX線管製造メーカから入手可能である。更に、この実施形態において、保持具A108及び保持具B112は、約10mm×18mm×19mmの寸法を有している。例示的な実施形態において、X線がX線管104の垂直軸線に対して角度60°でX線管104から放射された場合、保持具B112の前面は、X線管104の垂直軸線に対して角度30°に配置されている。この角度は、X線管104から放射されるX線の角度及び検出される回折角度に応じて変更することができる。例えば、X線が、X線管104の垂直軸線に対して90°で放射された場合、保持具B112の前面は、X線管104の垂直軸線に対して60°であろう。
【0024】
X線管104は、コリメータ107を通って試料管102の表面上にX線を放射する。例示的な実施形態において、コリメータ107は、X線管104からX線を平行光線束とするための、断面積1mm×4mmの方形窓を有する。コリメータ107の窓サイズは、望ましいシャープネスとX線束とのバランス取りに応じて調整可能である。更に、該窓形状は方形とする必要はなく、例えば円形とすることができる。
【0025】
通常、平行X線は、X線管104の垂直軸線に対して任意の角度(例えば、60°)で試料表面に照射する。この角度は、X線管104の垂直軸線に対して60°から90°まで等の許容範囲内で調整可能である。X線は、試料表面に照射されると、試料表面から回折され、光ファイバー束A110及び光ファイバー束B114によって遮られる。一般にX線は、X線コーンとして回折される。これらのX線コーンは、該コーンに沿った特定の場所で光ファイバー束110、114によって遮られる。例えば、X線コーンが、該コーンの軸線に垂直な平面内で遮られる場合、X線のリングが遮られる。応力が試料表面に存在する場合、X線リングは、楕円状となる点に留意されたい。試料表面と光ファイバー束110、114間との距離が近くなるにつれて、X線リングのより大きなセグメントが遮られる。従って、そのようなセグメントは、試料表面と光ファイバー束110、114間との距離がより大きかったために、遮られるセグメントがより小さかった場合に処理されていたと同様に、直線としてはもはや処理されることはできない。
【0026】
回折されたX線は、光ファイバー束110、114の前部に配置されたそれぞれシンチレーション・コーティング116A及び116Bによって光に変換される。例示的な実施形態において、シンチレーション・コーティング116A及び116Bは、カドミウム亜鉛シンチレータから作られている。別の例示的な実施形態において、シンチレーション・コーティング116A及び116Bは、希土類シンチレータから作られている。しかしながら、該シンチレーション・コーティングは、他の任意の材料から作られることができる。該シンチレーション・コーティングの厚さは、所望の効率及び分解能に応じて調整可能である。
【0027】
X線がシンチレーション・コーティング116A及び116Bによって光に変換された後、光は光ファイバー束110、114をそれぞれ通って進む。例示的な実施形態において、各光ファイバー束は、幾万もの干渉性ファイバーから作られている。各光ファイバー束の最適サイズは、2つの競合する考慮事項に基づいて決定される。即ち、(1)各光ファイバー束は、できる限り多くの回折X線を捕獲するために、できる限り大きくすべきである、及び(2)各光ファイバー束は、非常に狭い領域内(例えば50mm管体)に取り付けられることができるように可能な限り小さくするべきである。例えば、光ファイバー束110、114を50mm管体に取り付ける場合、該考慮事項の間の良好な妥協を得るために、各光ファイバー束110、114は、6mm×6mmの断面を有することができる。
【0028】
光ファイバー束110、114を通って進む光は、映像増倍管120によって光ファイバー束の端で受け取られる。該映像増倍管120は、受け取った光を増幅し、次に該増幅した光を電荷結合素子122へ供給する。該電荷結合素子122は、ピクセル(pixel)を含み、ここで各ピクセルは、表面に照射される数多くの光子を検出する極めて小さな検出器として機能する。一般に、改良PSSDのための好適な電荷結合素子122が、市販されている。
【0029】
各光ファイバー束110、114に関して、電荷結合素子122により検出された光子は、電子化された後、X線リングのセグメントを生成するために利用される。改良PSSD100が、予め利用可能な応力測定デバイスよりもはるかに狭い空間に取り付けられることができ、シンチレーション・コーティング116A及び116Bから照射試料表面102までの距離がはるかに小さいので、回折X線コーンのより大きなセグメントが、遮蔽されて、最終的に電荷結合素子122によって検出されることが見込まれる。結果として、回折X線のより大きなセグメントは、2次元リングとして処理されるべきである。遮られた2次元リングに基づいて応力を計算するので、電荷結合素子122は、従来のダイオード・アレイでの実現よりも好ましい。これは、ダイオードアレイが1次元寸法しか持たない線形配列である一方、電荷結合素子122が、2次元寸法を持つエリアアレイであるためであり、これはリング検出にとって好ましい。検出されたリングの種々の特性は、次にコンピュータ124等のような高速計算機によって利用され、以下に説明するように、試料表面上の残留応力を計算する。
【0030】
応力解析
各光ファイバー束110、114からのリングが検出されて電子化された後、 2つのリングの半径が決定される。このリングの半径は、以下に説明するように、試料表面の残留応力計算に使用される。
【0031】
単一照射に関して、試料表面の応力は、以下の式1によって計算されることができる。
ここで、Eはヤング率、νはポアソン比、角度β、2θ、及び2ηは、以下の試料表面からのX線回折を示す概略図で定義されている。
【0032】
【表1】
【0033】
次に当技術分野で既知の小さな角に対する近似処理が適用されて、
であり、ここで、検出面が湾曲している(即ち光ファイバー束A110及びB114が平坦である)と仮定した場合、L’,Sol’,R’及びSor’は、ピクセル内にあり、κはピクセル当たりの角度値である。その結果、式1は次の式に変形される。
ここで、Roは、作動距離であり、又、試料−検出器距離(即ち、試料表面からシンチレーション・コートされた光ファイバ束A110、B114の面までの距離)とも呼ばれている。既知のRoの変化に対するL’,Sol’,R’及びSor’の変動を測定することにより、応力を受けないピクセル位置のR’が、当技術分野で既知の放物線回帰過程を用いて(即ち、R’=AL’2+BL’+C、ここでA、B及びCは、放物線係数)、左ピクセル位置L’の関数として決定される較正基準が確定する。この手法は、応力の関数としての補正項を備えた、R0に対して「予測/修正」(Predictor/Corrector)反復解法を用いる。その結果、R0の初期推測値は、
であり、反復修正値は、
であり、ここでL及びRは、光ファイバー束A110及びB114にそれぞれ取り付けられた電荷結合素子122によって検出されたリング半径に等しく、
である。
【0034】
解Roが収束すると、(反復値間が0.1%Ro未満の変化とみなされ)、表面応力は、式2を適用することにより計算される。この手法が大きな作動距離(例えばRo=20mm)に対して適切に働くことが証明された一方で、小さな角度の近似処理(本質的に検出器が湾曲していると仮定)が妥当でない場合(例えばRo<20mmの場合)は、正確な方法論を適用することができる。
【0035】
この正確な方法論は、RoをL’+R’+Sol’+Sor’の関数として決定し、2ηLeft及び2ηRightの粉末試料表面値をRoの関数として決定する放物線回帰過程を用いることにより達成される。前述のように、Sol’及びSor’は、線形距離であり、Roの変化から独立している。多くの回帰測定がなされた結果、Sol’及びSor’の位置が最小エラーで決定されることができた。Sol’及びSor’の値を用いて、値S’+R’+Sol’+Sor’が決定され、ここでRoは、粉末試料表面下に既知の厚さのホイルを配置することにより変化する。この考えに基づいて、関数Ro(S’+R’+Sol’+Sor’)及び2ηLeft(Ro)及び2ηRight(Ro)が放物線回帰過程によって決定される。
【0036】
電荷結合素子122からのデータ収集及び電子化データに基づく適応の後、Roは、値(S’+R’+Sol’+Sor’)から計算される。Roが既知になると、値2ηLeft(Ro)及び2ηRight(Ro)が粉末試料表面に対して計算される。次に応力材料に関しては、
である。
【0037】
次に、この値は表面応力を計算するために式1で使用される。値ηを計算することにより、検出器が非湾曲面を有することを考慮して、一貫した単一照射応力測定が、小さい作動距離(例えば、20mm未満)でも可能となる。
【0038】
例示的な実施形態
図2は、本発明の実施形態として分割式光ファイバー束A110を示す改良PSSD100の部分前面図である。この実施形態において、光ファイバー束A110は、X線管104の垂直軸線に対して45°の角度に分割されている。この光ファイバー束A110を分割する目的は、X線管104に沿った該ファイバー束の取り付けを容易にするためであり、X線管104からの干渉を低減し、改良PSSD100の寸法を低減するためである。分割式光ファイバー束A110は、光が電子構成部品118へ供給される前に、後で再接合される(図示せず)。例示的な実施形態において、光ファイバー束A110の分割角度(即ち45°)は、少なくとも光ファイバーが破損することなく撓むことができる範囲に応じて調整される。この方法によって、X線管からの干渉が最小となるので、一般に最も大きい許容角度まで光ファイバー束A110を撓ませるのが好ましい。好ましい実施形態において、光ファイバー束A110は、X線管104の下側に包まれており、改良PSSD100を最小の干渉とすると同時に最も小型のものとする。
【0039】
図3は、本発明の他の実施形態として輪郭が描かれた光ファイバー束A110を示す改良PSSD100の別の部分前面図である。この実施形態においては、光ファイバー束A110を分割する代わりに、該ファイバー束が、X線管104に沿って通しやすく、X線管104からの干渉を低減し、改良PSSD100の寸法を低減する任意の角度で敷設されている。
【0040】
図4は、図3で示された実施形態の別の角度から示された改良PSSD100の左部分図である。このファイバー束の敷設は、光ファイバー束A110ができる限りX線管に近接するように撓み調整可能であり、その結果改良PSSD100は、光ファイバ内で破損を生じることなく、狭い空間内に取り付けられることができる。
【0041】
図5は、該ファイバー束A110が分割又は敷設いずれでも、光ファイバー束A110に対する光ファイバー束B114を示す改良PSSD100の右部分図である。
【0042】
図6は、本発明の実施形態による改良PSSD100の別の右部分図である。図6では、保持具108、112が、ネジ602−608等の機械的手段を介してコリメータ107に取り付けられている。
【0043】
図7は、本発明の実施形態による改良PSSD100の別の右部分図である。図7では、保持具108、112が、エポキシ樹脂等の接着手段を介してコリメータ107に取り付けられている。例示的な実施形態において、ネジ602−608等の機械的手段は、当初は保持具108、112を望ましい位置に調整するために使用されていた。その後ネジ602−608は、エポキシ樹脂等の接着手段に置き換えられている。別の例示的な実施形態において、改良PSSD100全体が1つの剛体として作られており、従って機械的手段又は接着手段のいずれかの必要性を最小にする。
【0044】
図8は、本発明の実施形態による改良PSSD100の部分平面図である。この図は、X線管104からのX線が、管スリーブ106からコリメータ107へ出る開口802を示している。図7で説明したように、図8に示す機械的手段が、改良PSSDの製造方法に応じて任意選択される。
【0045】
図9は、本発明の実施形態によるX線管104のアノード端からの改良PSSD100の左部分図である。図7で説明したように、図8に示す機械的手段が、改良PSSDの製造方法に応じて任意選択される。
【0046】
図10は、本発明の実施形態によるX線管104のカソード端からの改良PSSD100の左部分図である。この図は、保持具A108及び保持具Bの両方を支持するのに使用される例示的な支持手段402を示している。図7で説明したように、図10に示す機械的手段が、改良PSSDの製造方法に応じて任意選択される。
【0047】
応力解析を実行するソフトウェア
例示的な実施形態において、コンピュータ124のメモリー部分にインストールされたソフトウェアは、電荷結合素子122からのデータに基づく応力計算のために実行される。本発明の実施形態による簡略化されたソフトウェアのアルゴリズムを図11に示す。ステップ1102で、電荷結合素子の各ピクセルによって検出された光の輝度が、電子化されてコンピュータ124によって受け取られる。次に、電子化された各ピクセルの光輝度は、曲線に適合される(ステップ1104)。各曲線の頂点が決定される(ステップ1106)。各電荷結合素子に対して、全ての決定された頂点が連結される(ステップ1108)。例示的な実施形態において、連結された頂点は、試料表面から回折された、及び光ファイバ束110、114によりそれぞれ遮られたリングセグメントの近似である。次に各セグメントに対して、連結された頂点は、リングを規定するように適合される(ステップ1110)。例示的な実施形態において、リングの規定には、当技術分野で既知の幾何方程式が使用される。ステップ1110で規定された各リングの半径が計算される(ステップ1112)。各リングの半径の差が計算される(ステップ1114)。このリングの半径の差は、前述の応力解析の節で説明された一連の方程式を解くことにより、試料表面の応力計算に使用される(ステップ1116)。
【0048】
前述の実施例は、特定の例示的な実施形態を示しており、別の実施形態、変形形態、及び変更形態が可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、上記の特定の実施形態に限定されるものではなく、請求項によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスを示す図である。
【図2】
本発明の実施形態による例示的な分割式光ファイバー束の部分前面図である。
【図3】
本発明の実施形態による別の例示的な光ファイバー束の部分前面図である。
【図4】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスの左部分図である。
【図5】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスの右部分図である。
【図6】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスの右部分図である。
【図7】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスの別の右部分図である。
【図8】
本発明の実施形態による例示的な現位置の残留応力測定デバイスの部分平面図である。
【図9】
本発明の実施形態によるX線管のアノード端からの例示的な現位置の残留応力測定デバイスの左部分図である。
【図10】
本発明の実施形態によるX線管のカソード端からの例示的な現位置の残留応力測定デバイスの別の左部分図である。
【図11】
本発明の実施形態による応力解析を実行する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
Claims (26)
- 残留表面応力の現位置測定装置であって、
小型X線管と、
前記小型X線管に結合された管スリーブと、
前記管スリーブに結合された第1の光ファイバ束と、
前記管スリーブに結合された第2の光ファイバ束と
前記第1の光ファイバ束と、第2の光ファイバ束とにそれぞれ結合された各電荷結合素子と、
を備え、
前記X線管により放射されたX線が、試料表面から回折され、前記第1の光ファイバ束と、第2の光ファイバ束とによって遮られ、
前記遮られたX線が、光に変換されて、前記第1の光ファイバ束及び第2の光ファイバ束によって、前記電荷結合素子に送られ、
前記受け取った光の輝度が、検出され及び電子化されて、第1のリング及び第2のリングを生成し、
前記試料表面の残留応力が、前記第1のリングと前記第2のリングとの半径差に基づいて計算されることを特徴とする、残留表面応力の現位置測定装置 - 前記小型X線管が、直径が1インチよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記小型X線管が、少なくとも20kVのX線を発生することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記小型X線管が、100Wよりも小さい消費電力を必要とすることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記管スリーブが、前記小型X線管のアノード側に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記X線を光に変換するために、前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束の前部に取り付けられたシンチレータを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記シンチレータが、希土類シンチレータであることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
- 前記シンチレータが、カドミウム亜鉛シンチレータであることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束が、約10ミクロン以下の寸法の各ファイバーを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束の断面が、方形であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束が、2つの束に分割されて前記小型X線管に沿って通っており、前記電荷結合素子に結合される前に再接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束が、前記小型X線管に近接して取り付けられるように敷設されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束と前記第1の電荷結合素子との間に映像増倍管を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記映像増倍管が、前記第1の光ファイバ束から受け取った光を増幅することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
- 前記第2の光ファイバ束と前記電荷結合素子との間に映像増倍管を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記映像増倍管が、前記第2の光ファイバ束から受け取った光を増幅することを特徴とする、請求項15に記載の装置。
- 前記電荷結合素子の各々が、複数のピクセルを含み、該ピクセルが、該ピクセル表面に当たる光子を検出することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記残留応力が、前記電荷結合素子からのデジタル化されたデータを受け取るために取り付けられたコンピュータによって計算されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記X線管から前記試料表面へX線を平行光線束にする、前記管スリーブに取り付けられたコリメータを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束が、機械的手段により前記管スリーブに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束が、接着手段により前記管スリーブに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 残留表面応力の現位置測定のための方法であって、
試料表面から回折されたX線の第1のセグメントを遮る段階と、
前記試料表面から回折された前記X線の第2のセグメントを遮る段階と、
前記セグメントを光に変換する段階と、
電荷結合素子を通して、前記第1のセグメントから前記光の輝度を検出する段階と、
電荷結合素子を通して、前記第2のセグメントから前記光の輝度を検出する段階と、
前記電荷結合素子によって検出された輝度に基づいて第1のリングを規定する段階と、
前記電荷結合素子によって検出された輝度に基づいて第2のリングを規定する段階と、
同心にある前記各リングの第1の半径及び第2の半径を計算する段階と、
前記第1の半径と第2の半径との差を計算する段階と、
前記差に基づき前記試料表面の残留応力を計算する段階と、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記セグメントを光に変換する段階が、
第1のシンチレーション・コーティングによって前記第1のセグメントを光に変換する段階と、
第2のシンチレーション・コーティングによって前記第2のセグメントを光に変換する段階と、を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。 - 映像増倍管を介して、前記第1のシンチレーション・コーティングで変換された前記光を増幅する段階と、
映像増倍管を介して、前記第2のシンチレーション・コーティングで変換された前記光を増幅する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。 - 前記第1のリングを規定する段階が、
前記第1の電荷結合素子によって検出された前記輝度を1組の曲線に適合させる段階と、
前記1組の曲線における頂点を決定する段階と、
前記第1のリングを規定するために前記頂点を連結する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。 - 前記第2のリングを規定する段階が、
前記第2の電荷結合素子によって検出された前記輝度を1組の曲線に適合させる段階と、
前記1組の曲線における頂点を決定する段階と、
前記第2のリングを規定するために前記頂点を連結する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
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