JP2004505132A - ポリアミドをグラフトしたポリオレフィンベースの相溶化剤と、この相溶化剤を含む混合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤と、その製造方法。ポリアミドとポリオレフィンとを相溶化するのに有用。
【解決手段】グラフト基はラクタムの重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基を除く)を有する不飽和モノマーAの残基を介して主鎖に結合し、上記不飽和モノマーAの残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。この相溶化剤の製造方法では(i)不飽和モノマーAをポリオレフィン主鎖にグラフトし、(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマーAが有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。第2〜4形態の変形例がある。
【解決手段】グラフト基はラクタムの重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基を除く)を有する不飽和モノマーAの残基を介して主鎖に結合し、上記不飽和モノマーAの残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。この相溶化剤の製造方法では(i)不飽和モノマーAをポリオレフィン主鎖にグラフトし、(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマーAが有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。第2〜4形態の変形例がある。
Description
【0001】
【発明の分野】
本発明は、ポリアミドのグラフト基(greffon)を有するポリオレフィンをベースとした相溶化剤と、この相溶化剤を含む混合物とに関するものである。
本発明は、上記相溶化剤を含むポリオレフィンとポリアミドとの混合物に関するものでもある。
【0002】
【従来の技術】
ポリマーを混合物にすることよって元の各ポリマー成分とは特性が異なり、性質が改良された材料にすることができる。しかし、各ポリマーは必ずしも互いに混和性がないため、ポリマー混合物に相溶化剤を添加する必要がある。この相溶化剤は一般に混合される各ポリマー成分に対して親和性を有する別のポリマーである。本発明の相溶化剤はポリアミドとポリオレフィンとを相溶化するのに有用である。
【0003】
下記文献にはポリマー混合物、特にポリアミドとポリプロピレンの混合物から成る相溶化剤が記載されている:
【特許文献1】米国特許第5,342,886号明細書
この相溶化剤はポリプロピレン主鎖を有し、それにポリアミドのグラフト基が結合している。この相溶化剤を製造するには、ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーの主鎖に無水マレイン酸を結合しておき、別に、モノアミン末端基を有するポリアミドすなわちアミン末端とアルキル末端とを有するポリアミドを作り、次に、上記のアミン官能基と無水マレイン酸とを溶融混合して反応させてモノアミノ化ポリアミドをポリプロピレン主鎖に結合させる。
【0004】
下記文献には上記方法の改良法が記載されている。
【特許文献2】国際特許出願WO−9950323号公報
この特許ではポリプロピレン主鎖に下記[式5]の3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)がグラフトされる:
【0005】
【式5】
【0006】
このTMIは二重結合によって主鎖に結合される。グラフトされるTMIの量は100部の主鎖に対して最大で1.8重量部である。次に、カプロラクタムと触媒としてのナトリウムカプロラクトメートを加え、カプロラクタムのアニオン重合を行う。この重合はポリプロピレン主鎖上にグラフトさせたイソシアネート基によって開始され、進行する。この重合でイソシアネート基は活性剤として働くが、グラフトを形成するためのカプロラクタムの重合が非常に遅いため、イソシアネートの他に活性剤を添加しなければならないが、そうすると相溶化剤の他にPA6ホモポリマーが作られてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、グラフト化TMIの量を主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部にすれば、ポリプロピレン主鎖にグラフトされたイソシアネート以外に添加剤を添加する必要がないということを見出した。すなわち、カプロラクタムを主としてイソシアネート活性剤から重合してPA6ホモポリマーをほとんど含まない相溶化剤を得ることができる。
本発明者はさらに、上記以外のポリオレフィン主鎖および/またはポリアミドのグラフト基を結合かつ成長させる上記以外のモノマーを用いて、ポリアミドのグラフト基を有するポリオレフィン主鎖から成る相溶化剤を製造できるということも見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1形態は、ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタムの重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基ではない)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 上記不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、上記第1形態の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0009】
第1形態の変形例では、モノマー(A)は二重結合へのグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時の共重合によって導入される。すなわち、この第1形態の変形例では、本発明はポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤に関するものである:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基は除く)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。
【0010】
本発明はさらに、この第1形態の変形例の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A)とポリオレフィン主鎖の別の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
共重合した無水マレイン酸を含むポリオレフィンは低コストで容易に製造でき、工業的に利用可能であるので、この第1変形例は不飽和モノマー(A)が例えば無水マレイン酸のような不飽和カルボン酸無水物である相溶化剤に特に有利である。
【0011】
本発明の第2形態は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、この第2形態の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖にグラフトし、
(ii) グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0012】
第2形態の変形例では、モノマー(A2)は二重結合へのグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時に共重合で導入される。すなわち、この第2形態の変形例は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基が二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、この第2形態の変形例の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法では、
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマー主鎖の各種成分と共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0013】
本発明の第3形態は、ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く第1官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位と反応可能な第2官能基とを有する2官能性モノマー(A3)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A3)の残基は第2官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位との反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、下記工程から成るこの第3形態の相溶化剤の製造方法に関するものである:
(i) 2官能性モノマー(A3)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して2官能性不飽和モノマー(A3)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0014】
本発明の第4形態は、ポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。
本発明はさらに、下記をこの第4形態の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法は下記工程から成る:
(i) 不飽和モノマー(A2)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行う。
【0015】
第4形態の変形例では、モノマー(A2)は二重結合によるグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時に共重合で導入される。すなわち、第4形態の変形例はポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤を形態とする:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。
【0016】
本発明はさらに、この第4形態の変形例の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法は下記工程から成る:
(i) 主鎖100重量部当たり不飽和モノマー(A2)の比率を少なくとも2重量部にして不飽和モノマー(A2)とポリオレフィン主鎖の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
本発明はさらに、ポリアミドと、ポリオレフィンと、上記相溶化剤との混合物に関するものである。この混合物中のポリアミドの種類によっては、グラフト反応以外で生じたポリアミドを相溶化剤から分離しないで用いることもできる。
【0017】
【実施の態様】
第1形態
ポリオレフィン主鎖
ポリオレフィンは通常のホモポリマーまたはα−オレフィンまたはジオレフィンのコポリマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンおよびブタジエンのホモポリマーまたはコポリマーで、例としては下記のものが挙げられる:
1) エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、特にLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)およびメタロセンポリエチレン;
2) プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー;
3) エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン−プロピレン−ゴム)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)コポリマー;
【0018】
4) エチレンと、不飽和カルボン酸の塩またはエステルの中から選択される少なくとも1種の化合物、例えばアルキル(メタ)アクリレート(例えばメチルアクリレート)とのコポリマー(コモノマー比率は40重量%以下)
5) スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)およびスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー
【0019】
プロピレンのホモポリマーまたは30モル%以下のエチレンを含むコポリマーを用いるのが好ましい。MFI(メルトフローインデックスの略)は0.2〜500g/10分(2.16kgの荷重、230℃、ASTM D 1238)、好ましくは0.2〜200g/10分である。
また、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー等を用いるのも好ましい。
【0020】
不飽和モノマー(A)
不飽和モノマー(A)は活性剤として働く官能基で、例としてはオキサゾリン、ニトリル、酸塩化物、アミド、イミド、エステルおよび無水カルボン酸基が挙げられる。例えば不飽和カルボン酸の誘導体、例えば無水物、エステル、アミドまたはイミドが挙げられる。不飽和カルボン酸としては2〜20個の炭素原子を有するもの、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。
【0021】
特に好ましいグラフトモノマーは4〜10個の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸無水物である。このグラフトモノマーには例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリールコハク酸、シクロへクス−4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチレンシクロへクス−4‐エン−1,2‐無水ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物およびx−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,2−ジカルボン酸無水物等がある。無水マレイン酸を用いるのが有利である。
【0022】
不飽和モノマー(A)の例として下記式のオキサゾリンを挙げることもできる:
【式6】
(ここで、Rはアルキル基、芳香族基またはシクロアルキル基に由来するもので、主鎖に共重合またはグラフト可能な二重結合を有している。例としてはイソプロペニロキサゾリンが挙げられる。
【0023】
ポリオレフィン主鎖にモノマー(A)をグラフトする方法は種々公知である。
2種以上の異なるモノマー(A)の混合物をグラフトしても本発明の範囲から逸脱するものではない。
例えば、ラジカル開始剤の存在下でポリオレフィン主鎖を約150℃〜約300℃の高温に加熱してグラフトすることができる。
【0024】
使用に適したラジカル開始剤はt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド等である。
【0025】
ラジカル開始剤の量はポリオレフィン主鎖の0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%にすることができる。
グラフトモノマー(A)の量は適当に選択できるが、グラフトされる主鎖100重量部当たり0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部にするのが好ましい。
不飽和カルボン酸無水物に関してグラフトモノマー(A)の量は、FTIR分光法によるコハク酸基の定量で求める。
【0026】
グラフト反応はブレンダー、ミキサーまたは押出し機等の熱可塑性プラスチックを混合する任意の装置を用いた公知の方法で実施することができる。
グラフト反応と同時に、ラジカル作用で副反応が生じる。この副反応によって、グラフトされるポリマー主鎖がポリエチレンが主である場合には分子量が増加し、ポリプロピレンの場合には分子量が低下する。グラフト反応に必要なラジカルの量が多量の場合、ポリオレフィンの分子量の増加によって融解粘度が大きく変化する。一般にグラフトは押出し機で実施するので、グラフトしたポリエチレンの粘度が高過ぎて押出しできなくなったり、グラフトしたポリプロピレンの粘度が低過ぎて押出しできなくなる。この現象のためラジカルグラフトでポリオレフィンに結合させるモノマー(A)の量を減らすことになる。
【0027】
ポリオレフィン主鎖の劣化を大きく減らす化合物の例としては下記式のスチレン化合物が挙げられる:
【式7】
(ここで、R2はH、OH、CH3またはアルキルを示す)
R2がH、すなわち化合物がスチレンであるのが好ましい。この化合物の使用量はポリオレフィン主鎖の0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0028】
モノマー(A)のグラフトに必要なラジカル開始剤によって生じるポリオレフィン主鎖の副反応を減らす化合物の例としては安定なニトロキシドラジカルを挙げることができる。この安定なフリーラジカルを寿命が一瞬(2、3ミリ秒)である前記のラジカル(ペルオキシドまたはアゾから生ずる)と混同してはならない。
ニトロキシドの例としては下記が挙げられる:
2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニロキシ(PROXYL)、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピロリジニロキシ(TEMPOの名称で市販)、
N−t−ブチル−1‐フェニル−2メチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐(2−ナフチル)−2−メチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐ジエチルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐ジベンジルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−フェニル−1‐ジエチルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−フェニル−1‐ジエチルフォスフォノ−1−メチルエチルニトロキシド、
N−(1‐フェニル−2メチルプロピル)−1‐ジエチルフォスフォノ−1−メチルエチルニトロキシド。
TEMPOを用いるのが好ましい。
【0029】
安定なフリーラジカルの使用量はグラフトされるポリマー1kgに対して0.05〜200ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモル、特に好ましくは0.3〜5ミリモルにすることができる。
ラクタム
ラクタムの例としては主環に3〜12個の置換可能な炭素原子を有するラクタムが挙げられ、例えばβ,β−ジメチルプロピオラクタム、α,α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。2種以上のラクタムを用いても本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0030】
触媒
触媒はラクタメート(lactamate)を作るのに十分な強い塩基である。触媒の例としてはナトリウム、カリウム、アルカリ金属水素化物または水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドまたはエトキシドが挙げられる。予め製造したラクタメート、例えばナトリウムラクタメート等を、モノマー(A)がグラフトされたポリオレフィン主鎖とラクタムとの混合物に添加することもできる。触媒とラクタムの比率はラクタム100モルに対して触媒を0.1〜10モル、好ましくは0.3〜5モルにする。また、エチレンビスステアルアミド、エチレンビスオレアミドまたはアセトアリニド等の連鎖抑制剤を添加することもできる。
【0031】
モノマー(A)のグラフト反応に用いたものと同じ装置で反応を実施することができる。例えば押出し機を用いた場合には、第1帯域でグラフトを実施し、次の帯域にラクタムと触媒を導入する。ラクタムのアニオン重合およびモノマー(A)の活性剤の官能基からのグラフト基の生成はグラフト基を構成するポリアミドの融点以上の温度で行う。この温度は前記融点より20〜110℃高くするのが有利である。
グラフトされたモノマー(A)の量が少な過ぎてアニオン重合が適切な速度(すなわち約2〜10分)で行なわれない場合(十分な量の活性剤がない場合)には、追加の活性剤を添加するか、温度を上げる。この活性剤はモノマー(A)と同じ官能基にするか、その他の活性剤にすることができる。この活性剤はラクタムと触媒を加えてから添加するのが好ましい。
【0032】
活性剤
活性剤は重合を開始させ、および/または、促進させる任意の化合物で、例えばラクタム−N−カルボキシアニリド、イソシアネート、カルボジイミド、シアンイミド、アシル−ラクタム、トリアジン、尿素、n−置換イミドまたはエステルが挙げられる。活性剤を反応現場(in situ)で形成することもできる。例えばラクタム中にアルキルイソシアネートを添加してアシル−ラクタムを得ることができる。
活性剤に対する触媒の比率(単位 モル)は0.2〜10にできる。活性剤の総量はモノマー(A)から生じたものとラクタムと一緒にさらに添加したものとの合計である。
【0033】
モノマー(A)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加した場合には、ラクタム自体のアニオン重合で得られるグラフト基のポリアミド以外のポリアミドと相溶化剤との混合物が得られる。活性剤をモノマー(A)が有する活性剤以外の活性剤を添加しない場合には相溶化剤のみが得られ、グラフト基以外のポリアミドは全く生じないか、ほんの少量(相溶化剤の2〜3重量%未満)が生じるだけである。
グラフト基の数は主鎖にグラフトされるモノマー(A)の量と共に増加する。グラフト基の長さはラクタムの量と共に増加する。グラフト基のポリアミド以外に生じるポリアミドの比率はラクタムの量およびモノマー(A)の有する活性剤以外に添加した活性剤の量と共に増加する。反応速度は温度と共に上昇する。
【0034】
ラクタムのアニオン重合で得られる生成物は相溶化剤か、相溶化剤とポリアミドとの混合物で、いずれも直接用いることができる。すなわち、ポリアミドおよび/またはポリオレフィンと混合して用いるか、顆粒にして後で用いることができる。
グラフト基以外に生じたポリアミドは任意の手段で相溶化剤から分離することができる。グラフト基のないポリオレフィン主鎖が残っていてもよい。ポリオレフィンは高温のキシレンに溶解でき、ポリアミドは蟻酸に溶解できるので、これら2種の化合物を完全に溶解することで、溶けずに残る相溶化剤を分離することができる。
モノマー(A)が有する活性剤の量が十分な場合には追加の活性剤をラクタムと一緒に添加して、相溶化剤とポリアミドとの混合物を直接製造することもできる。すなわち、ラクタムと同時に或いはラクタムのアニオン重合終了後にポリオレフィンを添加してポリアミド、ポリオレフィンおよび相溶化剤の混合物を製造することができる。
【0035】
第1形態の変形例
本発明の第1形態の変形例ではモノマー(A)をグラフト反応ではなく、共重合によって主鎖に導入する。モノマー(A)を含むコポリマーは少なくとも1種のα−オレフィンと、モノマー(A)と、必要に応じて用いられるアルキル(メタ)アクリレート等の別のコモノマーとから成るコポリマーである。エチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびエチレン−アルキル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸コポリマーを用いるのが有利である。これらのコポリマーは0.01〜10重量%の無水マレイン酸と、0〜40重量%、好ましくは5〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートとを含む。コポリマーのMFI(190℃−2.16kg)は20〜100である。アルキル(メタ)アクリレートのアルキルは24個以下の炭素原子を有することができ、アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたは2−エチルへキシルアクリレートを挙げることができる。
上記のα−オレフィンとオキサゾリンとのコポリマーも用いることができる。
上記の第1形態と同様な操作を行う。第1形態に記載の操作はこの変形例でも有効である。
【0036】
第2形態
コポリマー主鎖
コポリマー主鎖はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーにするのが有利である。アルキルは24個以下の炭素原子を有することができ、アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのコポリマーのMFI(メルトフローインデックス)は0.3〜500g/10分(190℃、2.16kg)にするのが有利である。(メタ)アクリレートの含有量はコポリマーの2〜40重量%、好ましくは9〜35重量%にするのが有利である。これらのコポリマーは1000〜2500バールの圧力下で管式反応器またはオートクレーブ内でのラジカル重合で製造できる。
コポリマー主鎖が前記コポリマーの2種以上の混合物であっても本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0037】
モノマー(A2)
モノマー(A2)は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖にグラフト可能な、イソシアネート基を有する任意の不飽和モノマーである。グラフト条件下で安定性であるものが推奨される。モノマー(A2)の例としてはベンゼン核がイソシアネート基を有するか、ベンゼン核がイソシアネートで置換されたアルキルを有するスチレンおよびα−メチルスチレンが挙げられる。このモノマー(A2)は上記のTMIにするのが有利である。
操作は上記第1形態と同様に行う。第1形態に記載の操作はこの第2形態でも有効である。不飽和モノマー(A2)をTMIにする場合、不飽和モノマー(A2)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加する必要がないようにするには、主鎖にグラフトする不飽和モノマー(A2)の比率をポリマー主鎖100重量部に対して2重量部にする。
【0038】
第3形態
本発明の第3形態のポリオレフィン主鎖は反応部位を有している。この反応部位の例としてはOH基等が挙げられる。主鎖は例えばエチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)である。このコポリマーは一般に20〜60モル%のエチレンを含んでいる。
例えば、38モル%のエチレンを含み、MFIが8(210℃、荷重2.16kg)、融点が183℃、結晶点が160℃、Tg(ガラス遷移温度)が61℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。また、29モル%のエチレンを含み、MFIが15(230℃、荷重2.16kg)、融点が188℃、結晶点が163℃、Tg(ガラス遷移温度)が62℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。さらに、32モル%のエチレンを含み、MFIが6(230℃、荷重2.16kg)、融点が188℃、結晶点が163℃、Tg(ガラス遷移温度)が62℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0039】
ポリオレフィンのホモポリマーまたは酸基または無水カルボン酸基を有するコポリマー、例えばエチレン/(メタ)アクリル酸または無水不飽和カルボン酸物のコポリマーが挙げられる。これらの酸または無水物はグラフトまたは共重合され、コポリマーは必要に応じてアルキル(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0040】
不飽和モノマー(A3)
不飽和モノマー(A3)の例としてはOH基との反応によって主鎖に固定されたジイソシアネートが挙げられる。また、ビスオキサゾリンおよび下記式のオキサゾリンが挙げられる:
【式8】
(ここで、R1は主鎖の官能基と反応可能な官能基を有するアルキル基、芳香族基またはシクロアルキル基)
R1が有する上記官能基は例えば酸、ヒドロキシ基またはハロゲン基にすることができる。
操作は上記第1の態様と同様に行う。第1の態様に記載の操作はこの第3の態様でも有効である。
【0041】
第4の態様
第4の態様のポリオレフィン主鎖は通常のホモポリマーまたはα−オレフィンまたはジオレフィンのコポリマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンまたはブタジエン等のコポリマーで、例えば下記が挙げられる:
1) エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、特にLDPE、HDPE、LLDPE(線形低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)およびメタロセンポリエチレン、
2) プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、
3) エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン−プロピレンゴムの略)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)コポリマー、
4) スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)またはスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー。
【0042】
30モル%以下のエチレンを含むプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーを用いるのが有利である。MFI(メルトフローインデックスの略)は0.2〜500g/10分(2.16kg荷重下、230℃、ASTM D 1238規格)、好ましくは0.2〜200gにする。
エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーを用いるのも有利である。
モノマー(A2)は上記定義のものである。グラフト比は主鎖100重量部に対して少なくとも2重量部であり、好ましくは2〜4重量部である。モノマー(A2)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加する必要はない。
操作は第1の態様と同様に行う。第1の態様に記載の操作はこの第4の態様でも有効である。
【0043】
【実施例】
マクロ活性剤 PP−g−TMI の存在下でのε−カプロラクタムの重合
「マクロ活性剤PP−g−TMI」および「TMI(イソシアネート)がグラフトされたポリプロピレン主鎖」という呼び方は上記の国際特許出願WO9950323号の記載に従ったものであり、この特許に記載の方法で製造された。
マクロ活性剤PP−g−TMI(上記特許に記載の方法で製造)の存在下で、TMIのグラフト率(主鎖100重量部に対して1.30、3.34および6.47重量部)を変えてε−カプロラクタムを重合した。ε−カプロラクタムに対するマクロ活性剤の濃度は25〜50重量%である。使用した触媒はNaカプロラクタメート(BASF社からBASF C10(登録商標)の名称で市販のチップ状またはフレーク状の触媒)で、ε−カプロラクタム1kg当たり1.4モルのナトリウムを含む。触媒の使用量はマクロ活性剤+ε−カプロラクタムの混合物100重量部当たり4重量部である。
【0044】
ハックレオコード(Haake Rheocord)社の混合機を200℃(または215℃)に予め加熱し、マクロ活性剤、ε−カプロラクタムおよび触媒から成る予備混合物を導入した。この混合物を混合機で200℃(または215℃)に加熱し、毎分64回転の撹拌速度(rpm)で混合した。10〜20分後、ポリマーを回収し、液体窒素で冷却(急冷)した。得られたポリマー中の残留ε−カプロラクタムの濃度を求めるために、熱湯を用いてε−カプロラクタムを抽出した。得られた残留ε−カプロラクタムの濃度から重合の転化率を計算した。各重合で得られた転化率を「表1」に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
「表1」で「phr」とは「100部当たり(per hundred relative)」の略で、ポリプロピレン100部当りのTMIの部数を意味する。
TMIグラフト率の増加とともに重合速度および重合転化率が増加する。6.48phrのグラフト率で得られる転化率値は熱力学平衡下で得られる値に近いが、1.30phrのグラフト率での転化率は低くなる。
【発明の分野】
本発明は、ポリアミドのグラフト基(greffon)を有するポリオレフィンをベースとした相溶化剤と、この相溶化剤を含む混合物とに関するものである。
本発明は、上記相溶化剤を含むポリオレフィンとポリアミドとの混合物に関するものでもある。
【0002】
【従来の技術】
ポリマーを混合物にすることよって元の各ポリマー成分とは特性が異なり、性質が改良された材料にすることができる。しかし、各ポリマーは必ずしも互いに混和性がないため、ポリマー混合物に相溶化剤を添加する必要がある。この相溶化剤は一般に混合される各ポリマー成分に対して親和性を有する別のポリマーである。本発明の相溶化剤はポリアミドとポリオレフィンとを相溶化するのに有用である。
【0003】
下記文献にはポリマー混合物、特にポリアミドとポリプロピレンの混合物から成る相溶化剤が記載されている:
【特許文献1】米国特許第5,342,886号明細書
この相溶化剤はポリプロピレン主鎖を有し、それにポリアミドのグラフト基が結合している。この相溶化剤を製造するには、ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーの主鎖に無水マレイン酸を結合しておき、別に、モノアミン末端基を有するポリアミドすなわちアミン末端とアルキル末端とを有するポリアミドを作り、次に、上記のアミン官能基と無水マレイン酸とを溶融混合して反応させてモノアミノ化ポリアミドをポリプロピレン主鎖に結合させる。
【0004】
下記文献には上記方法の改良法が記載されている。
【特許文献2】国際特許出願WO−9950323号公報
この特許ではポリプロピレン主鎖に下記[式5]の3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)がグラフトされる:
【0005】
【式5】
【0006】
このTMIは二重結合によって主鎖に結合される。グラフトされるTMIの量は100部の主鎖に対して最大で1.8重量部である。次に、カプロラクタムと触媒としてのナトリウムカプロラクトメートを加え、カプロラクタムのアニオン重合を行う。この重合はポリプロピレン主鎖上にグラフトさせたイソシアネート基によって開始され、進行する。この重合でイソシアネート基は活性剤として働くが、グラフトを形成するためのカプロラクタムの重合が非常に遅いため、イソシアネートの他に活性剤を添加しなければならないが、そうすると相溶化剤の他にPA6ホモポリマーが作られてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、グラフト化TMIの量を主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部にすれば、ポリプロピレン主鎖にグラフトされたイソシアネート以外に添加剤を添加する必要がないということを見出した。すなわち、カプロラクタムを主としてイソシアネート活性剤から重合してPA6ホモポリマーをほとんど含まない相溶化剤を得ることができる。
本発明者はさらに、上記以外のポリオレフィン主鎖および/またはポリアミドのグラフト基を結合かつ成長させる上記以外のモノマーを用いて、ポリアミドのグラフト基を有するポリオレフィン主鎖から成る相溶化剤を製造できるということも見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1形態は、ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタムの重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基ではない)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 上記不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、上記第1形態の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0009】
第1形態の変形例では、モノマー(A)は二重結合へのグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時の共重合によって導入される。すなわち、この第1形態の変形例では、本発明はポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤に関するものである:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基は除く)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。
【0010】
本発明はさらに、この第1形態の変形例の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A)とポリオレフィン主鎖の別の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
共重合した無水マレイン酸を含むポリオレフィンは低コストで容易に製造でき、工業的に利用可能であるので、この第1変形例は不飽和モノマー(A)が例えば無水マレイン酸のような不飽和カルボン酸無水物である相溶化剤に特に有利である。
【0011】
本発明の第2形態は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、この第2形態の相溶化剤の製造方法にも関するものである。この方法は下記工程からなる:
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖にグラフトし、
(ii) グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0012】
第2形態の変形例では、モノマー(A2)は二重結合へのグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時に共重合で導入される。すなわち、この第2形態の変形例は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基が二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、この第2形態の変形例の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法では、
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマー主鎖の各種成分と共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0013】
本発明の第3形態は、ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く第1官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位と反応可能な第2官能基とを有する2官能性モノマー(A3)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A3)の残基は第2官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位との反応によって主鎖に結合している。
本発明はさらに、下記工程から成るこの第3形態の相溶化剤の製造方法に関するものである:
(i) 2官能性モノマー(A3)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して2官能性不飽和モノマー(A3)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
【0014】
本発明の第4形態は、ポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤にある:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。
本発明はさらに、下記をこの第4形態の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法は下記工程から成る:
(i) 不飽和モノマー(A2)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行う。
【0015】
第4形態の変形例では、モノマー(A2)は二重結合によるグラフト反応で主鎖に結合されるのではなく、主鎖の製造時に共重合で導入される。すなわち、第4形態の変形例はポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、下記を特徴とする相溶化剤を形態とする:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。
【0016】
本発明はさらに、この第4形態の変形例の相溶化剤の製造方法に関するものである。この方法は下記工程から成る:
(i) 主鎖100重量部当たり不飽和モノマー(A2)の比率を少なくとも2重量部にして不飽和モノマー(A2)とポリオレフィン主鎖の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。
本発明はさらに、ポリアミドと、ポリオレフィンと、上記相溶化剤との混合物に関するものである。この混合物中のポリアミドの種類によっては、グラフト反応以外で生じたポリアミドを相溶化剤から分離しないで用いることもできる。
【0017】
【実施の態様】
第1形態
ポリオレフィン主鎖
ポリオレフィンは通常のホモポリマーまたはα−オレフィンまたはジオレフィンのコポリマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンおよびブタジエンのホモポリマーまたはコポリマーで、例としては下記のものが挙げられる:
1) エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、特にLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)およびメタロセンポリエチレン;
2) プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー;
3) エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン−プロピレン−ゴム)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)コポリマー;
【0018】
4) エチレンと、不飽和カルボン酸の塩またはエステルの中から選択される少なくとも1種の化合物、例えばアルキル(メタ)アクリレート(例えばメチルアクリレート)とのコポリマー(コモノマー比率は40重量%以下)
5) スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)およびスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー
【0019】
プロピレンのホモポリマーまたは30モル%以下のエチレンを含むコポリマーを用いるのが好ましい。MFI(メルトフローインデックスの略)は0.2〜500g/10分(2.16kgの荷重、230℃、ASTM D 1238)、好ましくは0.2〜200g/10分である。
また、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー等を用いるのも好ましい。
【0020】
不飽和モノマー(A)
不飽和モノマー(A)は活性剤として働く官能基で、例としてはオキサゾリン、ニトリル、酸塩化物、アミド、イミド、エステルおよび無水カルボン酸基が挙げられる。例えば不飽和カルボン酸の誘導体、例えば無水物、エステル、アミドまたはイミドが挙げられる。不飽和カルボン酸としては2〜20個の炭素原子を有するもの、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。
【0021】
特に好ましいグラフトモノマーは4〜10個の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸無水物である。このグラフトモノマーには例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリールコハク酸、シクロへクス−4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチレンシクロへクス−4‐エン−1,2‐無水ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物およびx−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,2−ジカルボン酸無水物等がある。無水マレイン酸を用いるのが有利である。
【0022】
不飽和モノマー(A)の例として下記式のオキサゾリンを挙げることもできる:
【式6】
(ここで、Rはアルキル基、芳香族基またはシクロアルキル基に由来するもので、主鎖に共重合またはグラフト可能な二重結合を有している。例としてはイソプロペニロキサゾリンが挙げられる。
【0023】
ポリオレフィン主鎖にモノマー(A)をグラフトする方法は種々公知である。
2種以上の異なるモノマー(A)の混合物をグラフトしても本発明の範囲から逸脱するものではない。
例えば、ラジカル開始剤の存在下でポリオレフィン主鎖を約150℃〜約300℃の高温に加熱してグラフトすることができる。
【0024】
使用に適したラジカル開始剤はt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド等である。
【0025】
ラジカル開始剤の量はポリオレフィン主鎖の0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%にすることができる。
グラフトモノマー(A)の量は適当に選択できるが、グラフトされる主鎖100重量部当たり0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部にするのが好ましい。
不飽和カルボン酸無水物に関してグラフトモノマー(A)の量は、FTIR分光法によるコハク酸基の定量で求める。
【0026】
グラフト反応はブレンダー、ミキサーまたは押出し機等の熱可塑性プラスチックを混合する任意の装置を用いた公知の方法で実施することができる。
グラフト反応と同時に、ラジカル作用で副反応が生じる。この副反応によって、グラフトされるポリマー主鎖がポリエチレンが主である場合には分子量が増加し、ポリプロピレンの場合には分子量が低下する。グラフト反応に必要なラジカルの量が多量の場合、ポリオレフィンの分子量の増加によって融解粘度が大きく変化する。一般にグラフトは押出し機で実施するので、グラフトしたポリエチレンの粘度が高過ぎて押出しできなくなったり、グラフトしたポリプロピレンの粘度が低過ぎて押出しできなくなる。この現象のためラジカルグラフトでポリオレフィンに結合させるモノマー(A)の量を減らすことになる。
【0027】
ポリオレフィン主鎖の劣化を大きく減らす化合物の例としては下記式のスチレン化合物が挙げられる:
【式7】
(ここで、R2はH、OH、CH3またはアルキルを示す)
R2がH、すなわち化合物がスチレンであるのが好ましい。この化合物の使用量はポリオレフィン主鎖の0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0028】
モノマー(A)のグラフトに必要なラジカル開始剤によって生じるポリオレフィン主鎖の副反応を減らす化合物の例としては安定なニトロキシドラジカルを挙げることができる。この安定なフリーラジカルを寿命が一瞬(2、3ミリ秒)である前記のラジカル(ペルオキシドまたはアゾから生ずる)と混同してはならない。
ニトロキシドの例としては下記が挙げられる:
2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニロキシ(PROXYL)、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピロリジニロキシ(TEMPOの名称で市販)、
N−t−ブチル−1‐フェニル−2メチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐(2−ナフチル)−2−メチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐ジエチルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−t−ブチル−1‐ジベンジルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−フェニル−1‐ジエチルフォスフォノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
N−フェニル−1‐ジエチルフォスフォノ−1−メチルエチルニトロキシド、
N−(1‐フェニル−2メチルプロピル)−1‐ジエチルフォスフォノ−1−メチルエチルニトロキシド。
TEMPOを用いるのが好ましい。
【0029】
安定なフリーラジカルの使用量はグラフトされるポリマー1kgに対して0.05〜200ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモル、特に好ましくは0.3〜5ミリモルにすることができる。
ラクタム
ラクタムの例としては主環に3〜12個の置換可能な炭素原子を有するラクタムが挙げられ、例えばβ,β−ジメチルプロピオラクタム、α,α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。2種以上のラクタムを用いても本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0030】
触媒
触媒はラクタメート(lactamate)を作るのに十分な強い塩基である。触媒の例としてはナトリウム、カリウム、アルカリ金属水素化物または水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドまたはエトキシドが挙げられる。予め製造したラクタメート、例えばナトリウムラクタメート等を、モノマー(A)がグラフトされたポリオレフィン主鎖とラクタムとの混合物に添加することもできる。触媒とラクタムの比率はラクタム100モルに対して触媒を0.1〜10モル、好ましくは0.3〜5モルにする。また、エチレンビスステアルアミド、エチレンビスオレアミドまたはアセトアリニド等の連鎖抑制剤を添加することもできる。
【0031】
モノマー(A)のグラフト反応に用いたものと同じ装置で反応を実施することができる。例えば押出し機を用いた場合には、第1帯域でグラフトを実施し、次の帯域にラクタムと触媒を導入する。ラクタムのアニオン重合およびモノマー(A)の活性剤の官能基からのグラフト基の生成はグラフト基を構成するポリアミドの融点以上の温度で行う。この温度は前記融点より20〜110℃高くするのが有利である。
グラフトされたモノマー(A)の量が少な過ぎてアニオン重合が適切な速度(すなわち約2〜10分)で行なわれない場合(十分な量の活性剤がない場合)には、追加の活性剤を添加するか、温度を上げる。この活性剤はモノマー(A)と同じ官能基にするか、その他の活性剤にすることができる。この活性剤はラクタムと触媒を加えてから添加するのが好ましい。
【0032】
活性剤
活性剤は重合を開始させ、および/または、促進させる任意の化合物で、例えばラクタム−N−カルボキシアニリド、イソシアネート、カルボジイミド、シアンイミド、アシル−ラクタム、トリアジン、尿素、n−置換イミドまたはエステルが挙げられる。活性剤を反応現場(in situ)で形成することもできる。例えばラクタム中にアルキルイソシアネートを添加してアシル−ラクタムを得ることができる。
活性剤に対する触媒の比率(単位 モル)は0.2〜10にできる。活性剤の総量はモノマー(A)から生じたものとラクタムと一緒にさらに添加したものとの合計である。
【0033】
モノマー(A)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加した場合には、ラクタム自体のアニオン重合で得られるグラフト基のポリアミド以外のポリアミドと相溶化剤との混合物が得られる。活性剤をモノマー(A)が有する活性剤以外の活性剤を添加しない場合には相溶化剤のみが得られ、グラフト基以外のポリアミドは全く生じないか、ほんの少量(相溶化剤の2〜3重量%未満)が生じるだけである。
グラフト基の数は主鎖にグラフトされるモノマー(A)の量と共に増加する。グラフト基の長さはラクタムの量と共に増加する。グラフト基のポリアミド以外に生じるポリアミドの比率はラクタムの量およびモノマー(A)の有する活性剤以外に添加した活性剤の量と共に増加する。反応速度は温度と共に上昇する。
【0034】
ラクタムのアニオン重合で得られる生成物は相溶化剤か、相溶化剤とポリアミドとの混合物で、いずれも直接用いることができる。すなわち、ポリアミドおよび/またはポリオレフィンと混合して用いるか、顆粒にして後で用いることができる。
グラフト基以外に生じたポリアミドは任意の手段で相溶化剤から分離することができる。グラフト基のないポリオレフィン主鎖が残っていてもよい。ポリオレフィンは高温のキシレンに溶解でき、ポリアミドは蟻酸に溶解できるので、これら2種の化合物を完全に溶解することで、溶けずに残る相溶化剤を分離することができる。
モノマー(A)が有する活性剤の量が十分な場合には追加の活性剤をラクタムと一緒に添加して、相溶化剤とポリアミドとの混合物を直接製造することもできる。すなわち、ラクタムと同時に或いはラクタムのアニオン重合終了後にポリオレフィンを添加してポリアミド、ポリオレフィンおよび相溶化剤の混合物を製造することができる。
【0035】
第1形態の変形例
本発明の第1形態の変形例ではモノマー(A)をグラフト反応ではなく、共重合によって主鎖に導入する。モノマー(A)を含むコポリマーは少なくとも1種のα−オレフィンと、モノマー(A)と、必要に応じて用いられるアルキル(メタ)アクリレート等の別のコモノマーとから成るコポリマーである。エチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびエチレン−アルキル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸コポリマーを用いるのが有利である。これらのコポリマーは0.01〜10重量%の無水マレイン酸と、0〜40重量%、好ましくは5〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートとを含む。コポリマーのMFI(190℃−2.16kg)は20〜100である。アルキル(メタ)アクリレートのアルキルは24個以下の炭素原子を有することができ、アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたは2−エチルへキシルアクリレートを挙げることができる。
上記のα−オレフィンとオキサゾリンとのコポリマーも用いることができる。
上記の第1形態と同様な操作を行う。第1形態に記載の操作はこの変形例でも有効である。
【0036】
第2形態
コポリマー主鎖
コポリマー主鎖はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーにするのが有利である。アルキルは24個以下の炭素原子を有することができ、アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのコポリマーのMFI(メルトフローインデックス)は0.3〜500g/10分(190℃、2.16kg)にするのが有利である。(メタ)アクリレートの含有量はコポリマーの2〜40重量%、好ましくは9〜35重量%にするのが有利である。これらのコポリマーは1000〜2500バールの圧力下で管式反応器またはオートクレーブ内でのラジカル重合で製造できる。
コポリマー主鎖が前記コポリマーの2種以上の混合物であっても本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0037】
モノマー(A2)
モノマー(A2)は、エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖にグラフト可能な、イソシアネート基を有する任意の不飽和モノマーである。グラフト条件下で安定性であるものが推奨される。モノマー(A2)の例としてはベンゼン核がイソシアネート基を有するか、ベンゼン核がイソシアネートで置換されたアルキルを有するスチレンおよびα−メチルスチレンが挙げられる。このモノマー(A2)は上記のTMIにするのが有利である。
操作は上記第1形態と同様に行う。第1形態に記載の操作はこの第2形態でも有効である。不飽和モノマー(A2)をTMIにする場合、不飽和モノマー(A2)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加する必要がないようにするには、主鎖にグラフトする不飽和モノマー(A2)の比率をポリマー主鎖100重量部に対して2重量部にする。
【0038】
第3形態
本発明の第3形態のポリオレフィン主鎖は反応部位を有している。この反応部位の例としてはOH基等が挙げられる。主鎖は例えばエチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)である。このコポリマーは一般に20〜60モル%のエチレンを含んでいる。
例えば、38モル%のエチレンを含み、MFIが8(210℃、荷重2.16kg)、融点が183℃、結晶点が160℃、Tg(ガラス遷移温度)が61℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。また、29モル%のエチレンを含み、MFIが15(230℃、荷重2.16kg)、融点が188℃、結晶点が163℃、Tg(ガラス遷移温度)が62℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。さらに、32モル%のエチレンを含み、MFIが6(230℃、荷重2.16kg)、融点が188℃、結晶点が163℃、Tg(ガラス遷移温度)が62℃のエチレン−ビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0039】
ポリオレフィンのホモポリマーまたは酸基または無水カルボン酸基を有するコポリマー、例えばエチレン/(メタ)アクリル酸または無水不飽和カルボン酸物のコポリマーが挙げられる。これらの酸または無水物はグラフトまたは共重合され、コポリマーは必要に応じてアルキル(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0040】
不飽和モノマー(A3)
不飽和モノマー(A3)の例としてはOH基との反応によって主鎖に固定されたジイソシアネートが挙げられる。また、ビスオキサゾリンおよび下記式のオキサゾリンが挙げられる:
【式8】
(ここで、R1は主鎖の官能基と反応可能な官能基を有するアルキル基、芳香族基またはシクロアルキル基)
R1が有する上記官能基は例えば酸、ヒドロキシ基またはハロゲン基にすることができる。
操作は上記第1の態様と同様に行う。第1の態様に記載の操作はこの第3の態様でも有効である。
【0041】
第4の態様
第4の態様のポリオレフィン主鎖は通常のホモポリマーまたはα−オレフィンまたはジオレフィンのコポリマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンまたはブタジエン等のコポリマーで、例えば下記が挙げられる:
1) エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、特にLDPE、HDPE、LLDPE(線形低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)およびメタロセンポリエチレン、
2) プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、
3) エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン−プロピレンゴムの略)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)コポリマー、
4) スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)またはスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー。
【0042】
30モル%以下のエチレンを含むプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーを用いるのが有利である。MFI(メルトフローインデックスの略)は0.2〜500g/10分(2.16kg荷重下、230℃、ASTM D 1238規格)、好ましくは0.2〜200gにする。
エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーを用いるのも有利である。
モノマー(A2)は上記定義のものである。グラフト比は主鎖100重量部に対して少なくとも2重量部であり、好ましくは2〜4重量部である。モノマー(A2)が有する活性剤以外にさらに活性剤を添加する必要はない。
操作は第1の態様と同様に行う。第1の態様に記載の操作はこの第4の態様でも有効である。
【0043】
【実施例】
マクロ活性剤 PP−g−TMI の存在下でのε−カプロラクタムの重合
「マクロ活性剤PP−g−TMI」および「TMI(イソシアネート)がグラフトされたポリプロピレン主鎖」という呼び方は上記の国際特許出願WO9950323号の記載に従ったものであり、この特許に記載の方法で製造された。
マクロ活性剤PP−g−TMI(上記特許に記載の方法で製造)の存在下で、TMIのグラフト率(主鎖100重量部に対して1.30、3.34および6.47重量部)を変えてε−カプロラクタムを重合した。ε−カプロラクタムに対するマクロ活性剤の濃度は25〜50重量%である。使用した触媒はNaカプロラクタメート(BASF社からBASF C10(登録商標)の名称で市販のチップ状またはフレーク状の触媒)で、ε−カプロラクタム1kg当たり1.4モルのナトリウムを含む。触媒の使用量はマクロ活性剤+ε−カプロラクタムの混合物100重量部当たり4重量部である。
【0044】
ハックレオコード(Haake Rheocord)社の混合機を200℃(または215℃)に予め加熱し、マクロ活性剤、ε−カプロラクタムおよび触媒から成る予備混合物を導入した。この混合物を混合機で200℃(または215℃)に加熱し、毎分64回転の撹拌速度(rpm)で混合した。10〜20分後、ポリマーを回収し、液体窒素で冷却(急冷)した。得られたポリマー中の残留ε−カプロラクタムの濃度を求めるために、熱湯を用いてε−カプロラクタムを抽出した。得られた残留ε−カプロラクタムの濃度から重合の転化率を計算した。各重合で得られた転化率を「表1」に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
「表1」で「phr」とは「100部当たり(per hundred relative)」の略で、ポリプロピレン100部当りのTMIの部数を意味する。
TMIグラフト率の増加とともに重合速度および重合転化率が増加する。6.48phrのグラフト率で得られる転化率値は熱力学平衡下で得られる値に近いが、1.30phrのグラフト率での転化率は低くなる。
Claims (19)
- ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、
下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタムの重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基ではない)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 上記不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。 - ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、
下記(1)および(2)を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く官能基(ただし、イソシアネート基は除く)を有する不飽和モノマー(A)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A)の残基は二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。 - エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、
下記を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応によって主鎖に結合している。 - エチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、
下記を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート官能基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基が二重結合からの共重合によって主鎖に結合している。 - ポリオレフィンの主鎖とポリアミドのグラフト基とから成る相溶化剤において、
下記を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働く第1官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位と反応可能な第2官能基とを有する2官能性モノマー(A3)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A3)の残基は第2官能基とポリオレフィン主鎖の反応部位との反応によって主鎖に結合している。 - ポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、
下記を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。 - ポリオレフィン主鎖とポリアミドのグラフト基から成る相溶化剤において、
下記を特徴とする相溶化剤:
(1) グラフト基は、ラクタム重合時に活性剤として働くイソシアネート基を有する不飽和モノマー(A2)の残基を介して主鎖に結合し、
(2) 不飽和モノマー(A2)の残基は二重結合からのグラフト反応で主鎖に結合し、グラフトされた不飽和モノマー(A2)の比率は主鎖100重量部当たり少なくとも2重量部である。 - 下記工程からなる請求項1に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 不飽和モノマー(A)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 下記工程からなる請求項2に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 不飽和モノマー(A)とポリオレフィン主鎖の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 下記工程からなる請求項3に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマーから成る主鎖にグラフトし、
(ii) グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 下記工程からなる請求項4に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 不飽和モノマー(A2)をエチレンと少なくとも1種の不飽和カルボン酸エステルとのコポリマー主鎖の各種成分と共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 下記工程からなる請求項5に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 2官能性モノマー(A3)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して2官能性不飽和モノマー(A3)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 下記工程から成る請求項6に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 不飽和モノマー(A2)をポリオレフィン主鎖にグラフトし、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行う。 - 下記工程から成る請求項7に記載の相溶化剤の製造方法:
(i) 主鎖100重量部当たり不飽和モノマー(A2)の比率を少なくとも2重量部にして不飽和モノマー(A2)とポリオレフィン主鎖の各成分とを共重合し、
(ii)グラフト用先駆ラクタムおよび触媒を添加し、加熱して不飽和モノマー(A2)が有する活性剤の官能基から始まるラクタムのアニオン重合を行い、必要な場合には、グラフト基以外として生成したポリアミドを相溶化剤から分離する。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の相溶化剤と、ポリアミドと、ポリオレフィンとの混合物。
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