JP2004503293A - 心臓病処置および装置 - Google Patents

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ロールバウ、ドナルド、ジー.
サバー、ハニ、エヌ.
シャープランド、ジェイ.、エドワード
ウォルシュ、ロバート、ジー.
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アコーン カーディオヴァスキュラー、インク.
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Abstract

A−V溝によって分割される上部および下部を有する心臓の心臓病を処置する装置であって、その装置は、心臓に固定されるように適合させられたジャケットと、そのジャケットに結合した非付着性材料とを含む。そのジャケットは、上端と下端との間の容積を規定する柔軟な材料から製造され、そのジャケットは、心臓の外的なジオメトリにぴったりと合致し、かつ、心弛緩期には最大調整容積を超える心臓の拡張を抑制すると共に、心収縮期には実質的に妨げられることなく心収縮が行なわれるように、そのジャケットを前記最大調整容積と想定し、心臓上で調整されるよう適合させられる。柔軟な材料であるため、そのジャケットにより、心弛緩期の心臓の充填は妨げられない。また、外科的に心臓にアクセスし、本発明の処置装置をあてがい、その処置装置を心臓へ固定し、その処置装置を心臓上に残すと同時に心臓へのアクセスを外科的に閉じることを含む、心臓病の処置方法も記述している。

Description

【0001】
この出願は、アコーン カーディオヴァスキュラー、インク.(ACORN CARDIOVASCULAR, INC.)、アメリカ合衆国国民および居住者により、アメリカ合衆国を除く全ての国を指定するPCT出願として提出されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、心臓病および関連する心臓病合併症の処置のための装置および方法に関する。特に、本発明は心臓病を処置するための装置に関し、その装置は心臓に固定されるように適合させられたジャケットと、ジャケットと結合して提供された非付着性材料とを含む。
【0003】
(発明の背景)
慢性またはうっ血性の心臓病は、進行性の消耗性疾患である。前記の病気は、進行性の心臓肥大を特徴とする。しばしば、心不全は、冠状動脈硬化症および心筋梗塞症の結果として発現する。梗塞形成の後、不可逆的に傷ついた心筋は線維瘢痕組織と徐々に置き換わり、筋細胞は限られた増殖能力しか有さないので、失われた筋細胞は再生できない。筋細胞が線維芽細胞および膠原で置き換えられるので、心臓の仕組みにおける変化により、うっ血性心不全の進行性発症が引き起こされる。
【0004】
心臓が肥大するにつれて、心臓は、血液を送りだすために、心拍のたびに、増大する仕事量を実行している。やがて、心臓はとても肥大するので、心臓が十分に血液を供給することができなくなる。苦しんでいる患者は疲れて、簡単な仕事すらできなくなり、苦痛と不快感を覚える。さらに、心臓が肥大するにつれ、内部心臓弁が適切に閉じることができなくなる。これにより、弁機能が損なわれ、さらには心臓の血液供給能力が損なわれる。
【0005】
うっ血性心臓病の原因は、完全には分かっていない。ある場合には、うっ血性心臓病は、ウイルス感染に起因する。そのような場合、ウイルス感染が終わった後にも心臓肥大という有害な結果が持続し、前記の病気が進行的に消耗経過を持続させるほどに、心臓は肥大する。
【0006】
うっ血性心臓病に苦しむ患者は、通常、4つのクラスにグループ分けされる(すなわち、NYHAクラスI、II、IIIおよびIV)。初期段階(例えば、クラスIおよびII)においては、薬物療法が、通常指示される処置である。薬物療法は前記病気の症状を処置し、病気の進行を遅らせることができる。重要なことに、うっ血性心臓病の治療法はない。薬物療法をしてもなお、前記病気は進行する。さらに、薬物は有害な副作用を、特に血流中に投与されたとき、有する。
【0007】
現在、うっ血性心臓病に対する唯一の維持処置は、心臓移植である。資格を得るためには、患者は前記病気の後期段階(例えば、クラスIIIおよびIV、クラスIVの患者が移植に対して優先権を与えられる)でなければならない。そのような患者は極端に病的な患者である。クラスIIIの患者は、身体活動の制限を示し、クラスIVの患者は安静にしていても症状がある。
【0008】
薬物療法と心臓移植との間の効果的な中間処置が存在しないため、クラスIIIおよびIVの患者は、心臓移植の資格を得るまで恐ろしく苦しむことになる。さらに、そのように苦しんだ後、得られる処置は、満足できるものではない。心臓移植手法は非常に危険が高く、極度に侵襲性で、費用がかかり、患者の寿命がわずかに延びるだけである。例えば、移植前にクラスIVの患者の推定余命が6ヶ月から1年の推定余命であるとする。心臓移植によって、その推定は約5年まで向上させることができうる。
【0009】
不幸にも、うっ血性心臓病患者の必要を満たすほど十分には移植用心臓が入手できない。アメリカ合衆国において、年間35,000を越す移植志願者が、たった約2,000の移植を得るために争う。移植待機リストは平均約8〜12ヶ月の長さで、しばしば患者はドナーの心臓を約1〜2年待たなければならない。ドナーの心臓の入手可能性は歴史的にみて増加しているが、その増加率は劇的に鈍い。心臓移植の危険性と費用を許容できるとしても、この処置の選択肢は、ますます利用できなくなりつつある。さらに、多くの患者は、たくさんある資格基準のうちのいずれかを満たすことができないために、心臓移植の資格を得ることができない。
【0010】
うっ血性心不全は甚大な社会的衝撃を与えている。アメリカ合衆国だけでも、約500万人が前記の病気に罹患している(クラスI〜IVを合わせて)。不安を抱かせることには、うっ血性心不全は、もっとも急速に増加している病気の一つである(アメリカ合衆国内で、新しい患者は毎年約400,000人である)。前記病気の経済費用は、毎年380億ドルと見積もられる。
【0011】
驚くほどではないが、うっ血性心臓病および関連する合併症の代替処置を見出すための相当な努力がなされている。ある代替処置は、1997年12月30日付けでアルフネス(Alferness)へ譲渡された米国特許No.5,702,343に記述され、それは心弛緩期の心臓の拡張を束縛するジャケットを教示する。本発明は、’343特許に記述された発明の向上に関する。
【0012】
(発明の概要)
本発明は、心臓病および関連する心臓病合併症の処置のための装置および方法を提供する。本発明によれば、その装置は心臓に固定されるように適合させられたジャケットと、ジャケットと結合した非付着性材料とを含む。前記非付着性材料は、心臓表面上にジャケットが存在する結果、望ましくない線維症または心臓への癒着を予防するのが好ましい。前記非付着性材料は、ジャケットの一体化した部分として形成されるか、または装置全体の独立要素として提供されることができる。非付着性材料の位置決めは制御され、線維症の危険性または心臓の表面もしくは周囲臓器への他の有害効果を減らすことができる。前記非付着性材料はジャケットの内部または上に位置し、主要な血管を含む心臓表面の領域の上に重なり、必要が生じたときには、これら血管へのアクセスを容易にするのが好ましい。前記非付着性材料はまた、そのような除去が所望または必要なときには、ジャケットの除去を容易にする。ある実施の態様においては、非付着性材料はジャケット上のコーティングを含む。代わりに、前記非付着性材料は装置の分離可能な要素を含み、ジャケットに結合して提供される。
【0013】
ある実施の態様において、心臓病を処置する装置は、心臓に固定され、かつ心臓の外的なジオメトリに合致する柔軟な材料のジャケットと、心臓の表面上で望ましくない線維症を予防するための非付着性材料とを含む。前記ジャケットを心臓上で調整されるように適合させ、心臓の外的なジオメトリにぴったりと合致し、心弛緩期には最大調整容積を超える心臓の拡張を抑制すると共に、心収縮期には実質的に妨げられることなく心収縮が行なわれるように、前記ジャケットを前記最大調整容積と想定するのが好ましい。ある観点において、前記非付着性材料は特定な領域のみ、または心臓の全体の表面領域を覆うように適合される。
【0014】
別の実施の態様において、心臓病および関連する心臓病合併症の処置方法が記述され、その方法は、外科的に心臓にアクセスすること;心臓上に処置装置をあてがうこと;処置装置を心臓に固定すること;および心臓上にその処置装置を残すと同時に心臓へのアクセスを外科的に閉じることを含む。その処置装置は、心臓に固定され、心臓の外的なジオメトリと合致している柔軟な材料のジャケットと、そのジャケットと結合した非付着性材料とを含む。
【0015】
(詳細な説明)
本発明は、心筋症、弁閉鎖不全症、不整脈および他の心臓病合併症のような心臓の状況の処置のための装置および方法を提供する。通常、本発明は心臓に固定され、所定の限界まで心弛緩期の心臓の拡張を抑制するジャケットと、心臓の表面に治療薬を送達するための送達源とに関する。
【0016】
本発明は、心臓障害の処置の公知方法より利点がある。多くの医薬品処置の公知方法には、血流を通じて作用部位へ医薬品を送達することが含まれる。所望の効果を得るのにこれらの医薬品に必要な時間と、それらの効果がどの程度持続するかは、その医薬品がどの程度すばやく血流に入るか、それらのどの程度が血流に入るか、それらが血流にどの程度すばやく残るか、それらがどの程度効率的に肝臓により分解されるか(代謝される)、それらがどの程度すばやく腎臓および腸により除去されるかを含む、しばしば幾つかの因子に左右される。その医薬品は血流から身体の組織へゆっくり移動する。さらに、その医薬品は、膜を横切るそれらの能力に応じて異なる組織へ異なる速度で浸透する。通常、脂溶性医薬品は細胞膜を水溶性医薬品よりもすばやく横切ることができる。
【0017】
医薬品の静脈内投与は、医薬品の全身レベルが許容可能な限度を超えると、有害な副作用をもたらす。医薬品の分布は、その医薬品が血流中に投与されると、さらに複雑になる。いったん吸収されると、大部分の医薬品は均等に身体中には広がらない。ある医薬品は、血液および筋肉の水様組織内に留まる傾向があり、一方、他のものは甲状腺、肝臓および腎臓のような特定な組織に集まる。加えて、ある医薬品は血液蛋白質にしっかりと結合し、血流から非常にゆっくり消失し、一方他のものは血流から非常にすばやく他の組織へ逃れる。ある組織は別の医薬品のレザバーとして働き、医薬品の高いレベルを形成し、それにより医薬品の分布を持続させる。実際、脂肪組織に蓄積するもののような、ある医薬品は、これらの組織からゆっくりと消失し、その結果、医薬品摂取を停止した後も血流中を何日間か循環する。
【0018】
逆に、医薬品の局在化され、標的化された送達は、標的組織以外の身体の領域における医薬品の循環を除去することにより、望ましくない全身効果を避けることができる。医薬品−関連の全身毒性効果のような望ましくない全身の効果を避ける一方、うっ血性心臓病または他の関連する心臓障害を、医薬品で処置できることが有用であろう。
【0019】
本発明は、治療薬送達の制御可能性(薬剤への暴露の持続時間、用量および薬剤に暴露される標的領域のサイズを含む)および、密接で、長期間で、移動しない治療薬と標的表面の間の接触のような利点の組み合わせを提供する。本発明は、心臓上またはその周辺の特定な標的領域への治療薬の送達を目的とする。所望であれば、全体の心臓の表面を薬剤で処置するか、または心臓の1以上の特定な領域を処置することができる。所望のように治療薬を導く能力により、治療薬の有害な全身効果は避けられる。
【0020】
本発明は、装置の植込み後、治療薬の制御放出を維持する。本発明に従えば、心臓の表面への治療薬の送達のための送達源は、心臓表面との移動しない接触に提供され、それにより心臓の所定の領域に徐放的に処置をする。本発明はまた、治療薬の送達のための柔軟な装置を提供し、その結果、その装置は薬剤送達の間に心臓との密接な接触を維持する。この心臓との密接な、移動しない接触により、治療薬の局所的送達が達成される。そうでなければ、例えば虚血のため、標的表面へ血流が乏しくなるような因子の結果、送達するのが不可能または少なくとも困難であろう。本発明は治療薬を直接、局所標的表面に送達するので、少量、しかし、もしかするとより高い局所濃度の治療薬が送達されることがありうる。
【0021】
本発明は、心臓の処置に限定されない。装置および方法は、心臓周囲の組織または所望な身体の他の組織を処置するのに用いることができる。本発明は従って、治療薬の身体組織への制御放出を提供する。
ある好ましい実施の態様において、心臓の機械的エネルギーにより医薬品を送達させる。この実施の態様において、例えば、装置のジャケットに対する心臓の圧力により、装置の送達源からの治療薬の放出を制御する。別の好ましい実施の態様において、本発明は1種類以上の薬剤での処置が所望であるとき、組み合わせの薬剤を標的組織へ暴露させることができる。例えば、医師が心臓のリズムと感染の可能性のある感染症の両方を抑制すべきと判断したとき、1以上の抗不整脈薬および1以上の所望の抗生物質を、その装置と共に提供することができる。
【0022】
最初に図1および1Aを参照すると、正常で健康なヒトの心臓H’が、切断面で概略的に示されており、本発明の理解を容易にするためにこれから説明する。図1は、心収縮期(つまり、高左心室圧)の心臓H’を示す。図1Aは、心弛緩期(つまり、低左心室圧)の心臓H’を示す。
【0023】
前記心臓H’は、外壁または心筋MYO’と、内部壁または隔壁S’とを有する筋肉である。前記の心筋MYO’および隔壁S’は、右心房RA’、左心房LA’、右心室RV’および左心室LV’を含む4つの内部心腔を規定する。前記心臓H’の長さは、縦軸AA’−BB’に沿って、上端または基底B’から下端または尖A’まで測定される。
【0024】
前記右および左心房RA’、LA’は、前記心臓H’の上部UP’に前記基底B’に隣接して存在する。前記右および左心室RV’、LV’は、前記心臓H’の下部LP’に前記尖A’に隣接して存在する。前記心室RV’、LV’は、尖A’に隣接する心室下極限LE’で終了しており、そこから心筋MYO’の厚みだけ間隔がある。
【0025】
前記上部および下部UP’、LP’の複雑な湾曲部のため、前記上部および下部UP’、LP’は、一般にA−V溝AVG’と呼ばれる、周辺を取り巻く溝で交わる。前記の心腔RA’、RV’、LA’、LV’に通じる複数の主要血管が、上部UP’から伸びている。説明を簡略化するために、上大静脈SVC’および左肺静脈LPV’のみを代表して示す。
【0026】
前記心臓H’は、前記心腔RA’、RV’、LA’、LV’の間、および前記心腔と主要血管(例えば、上大静脈SVC’および左肺静脈LPV’)との間の血液を制御する弁を含む。説明を簡略化するために、そのような弁の全ては示していない。その代わりに、右心房RA’と右心室RV’の間の三尖弁TV’、および左心房LA’と左心室LV’の間の僧帽弁MV’のみを、代表して示す。
【0027】
前記弁は、弁輪VA’と呼ばれる前記A−V溝AVG’に隣接する前記下部LP’領域の前記心筋MYO’に部分的に固定されている。前記弁TV’およびMV’は、心臓Hの鼓動サイクルを通じて開閉する。
【0028】
図1および1Aは、それぞれ心収縮期および心弛緩期の正常で健康な心臓H’を示す。心収縮期(図1)では、心筋MYO’が収縮し、前記心臓は概ね円錐状の下部LP’を含む形をとる。心弛緩期(図1A)では、前記心臓H’は拡張し、円錐形の下部LP’は(軸AA’−BB’に関して)外側に放射状に膨らむ。
【0029】
収縮および拡張中の心臓H’の運動および心臓H’の形の変化は複雑である。前記運動量は心臓H’の全体にわたってかなり変化がある。前記運動は、軸AA’−BB’に平行な構成要素(便宜的に縦拡張または収縮と呼ぶ)を含む。前記運動はまた、軸AA’−BB’に垂直な構成要素(便宜的に周囲拡張または収縮と呼ぶ)を含む。
【0030】
心収縮期(図1)および心弛緩期(図1A)における健康な心臓H’を説明したので、うっ血性心臓病により変形した心臓との比較ができる。そのような心臓Hの心収縮期を図2に、心弛緩期を図2Aに示す。疾患心臓Hの全ての要素は、疾患心臓Hを健康な心臓H’と区別するために、アポストロフィーを省略した以外は、健康な心臓H’と同様な要素と同一に標識がされている。
【0031】
(心収縮期の心臓H’およびHを示す)図1および2を比較すると、前記疾患心臓Hの下部LPは、前記健康な心臓H’の下部LP’の先細り円錐形態を失っている。代わりに、前記疾患心臓Hの下部LPは、前記尖AとA−V溝AVGとの間が外側に膨らむ。そのように変形しているので、心収縮期の前記疾患心臓H(図2)は、心弛緩期の健康な心臓H’(図1A)に似る。心弛緩期(図2A)には、前記変形はさらにいっそう極端になる。
【0032】
疾患心臓Hは図1および1Aの表示から、図2および2Aの表示まで拡張するので、前記心臓Hは進行的に効率の悪いポンプになる。それゆえ、前記心臓Hは、より大量の酸素が要求されるので、同じ量の血液を送りだすために、より多くのエネルギーを必要とする。前記病気が継続して進行すると、前記心臓Hは患者の体に十分な血液を提供できなくなり、前記患者は機能不全の症候を示すようになる。
【0033】
説明を簡略化するために、うっ血性心臓病の進行を前記心臓Hの下部LPの進行性肥大に関して図解して説明した。下部LPのそのような肥大が最も一般的で厄介であるが、上部UPの肥大も同様に起こりうる。
【0034】
心不全に加えて、前記心臓Hの肥大は心弁障害をもたらすこともある。前記弁輪VAの周囲が増加すると、前記弁TVおよびMVの葉状器官が離れて広がっていることがある。一定量の肥大の後、前記の広がりがとても深刻になり、前記葉状器官が完全に閉じることができなくなることもある(図2Aに僧帽弁MVで示した)。不完全な閉鎖は、心弁逆流という結果をもたらし、心臓のパフォーマンスのさらなる劣化に寄与する。前記弁輪VAの周辺を取り巻く肥大が、上記のように心弁機能不全に寄与するかもしれないが、前記心弁の葉状器官の分離は、最も一般的には心臓Hのジオメトリの変形による。このことは、図1Bと2Bを参照して、もっともよく説明されている。
【0035】
図1Bおよび2Bには、健康な心臓および疾患心臓をそれぞれ示し、心収縮期の左心室LV’、LVを隔壁(図1Bおよび2Bには示さず)から眺めた。健康な心臓H’では、僧帽弁MV’の葉状器官MVL’は左心室圧により促されて閉じる。乳頭筋PM’、PMは心臓壁MYO’、MYOと接続し、心室下極限LE’、LEに近い。乳頭筋PM’、PMは接続腱索CT’、CTにより、葉状器官MVL’、MVL上に引っ張られる。乳頭筋による葉状器官の引っ張りにより、心収縮期に閉じた位置にある弁葉状器官を保持し、正常な心臓における弁漏れを防ぐように機能する。著しく病んだ心臓Hにおいて、僧帽弁の葉状器官は心収縮期に心室LVから心房へ血液の逆流を防ぐのに十分に閉じることができないことがある。
【0036】
図1Bに示すように、健康な心臓H’のジオメトリは、心筋MYO’、乳頭筋PM’および腱索CT’が協同して僧帽弁MV’を完全に閉じさせるようなものである。しかし、心筋MYOが疾患心臓Hにおいて外側に膨らむと(図2B)、膨らみの結果、乳頭筋PMのずれが生じる。このずれが機能して、僧帽弁が完全に閉じることができないような、はずれた位置に葉状器官MVLを引っ張る。
うっ血性心臓病の特徴および問題を説明したので、本発明の処置方法および器具をここに説明する。
【0037】
本発明の装置は、心臓に固定されるように適合させられたジャケットと、1以上の治療薬を心臓へ送達するための送達源とを含む。一般に、本発明のジャケットは心筋MYOを取り囲むように形成される。ここで用いる「取り囲む」は、ジャケットが、少なくとも心臓の正反対の面で抑制表面をあてがうことにより、最後の心弛緩期に心臓壁の拡張を減じさせることができることを意味する。ここに記述された好ましい実施の態様のいくつかにおいて、例えば、心臓の外表面を実質的に取り囲むことができる、連続的材料により、正反対の表面を相互に連絡させる。ジャケットはまた、柔軟な材料から製造され、心弛緩期に心臓の充填が制限のなくさせるのが好ましい。
【0038】
ここで図3、3A、4および4Aを参照すると、本発明の装置は、柔軟な、生物学的に適合性のある材料のジャケット10として示される。ここで用いられる「生物学的に適合性のある材料」は、その材料が周囲組織に逆効果、例えば拒絶、感染症、炎症等を引き起こさないような、生物学的に有害ではない材料を意味する。そのような材料は、生体安定性材料、例えば生体安定性ポリマー、または以下に詳細に述べる生物分解性材料であってもよい。
【0039】
ジャケット10は上端および下端12、14を有する囲まれたニット材料である。ジャケット10、10’は、開口端12、12’および14’以外は完全に囲まれている、内容積16、16’を規定する。図3の実施の態様では、下端14は閉じている。図4の実施の態様では、下端14’は開いている。両方の実施の態様において、上端12、12’は開いている。代わりに、SVC、LVCおよび他の血管にジャケット材料を通過させる一方、上端12、12’は閉じることができる。明細書を通じて、図3の実施の態様を説明する。図3および4の実施の態様の間に共通な要素は、第2の実施の態様と区別するためにアポストロフィーをつけて同じく番号を付し、そのような要素については、別々に論じる必要はない。
【0040】
ジャケット10は、処置される心臓Hに関して必要な大きさにされる。詳細には、ジャケット10は容量16以内に束縛される心臓Hの大きさに作られる。ジャケット10は、心臓Hの周りに滑りこませることができる。ジャケット10は、ジャケット10が下部LPを束縛するのに十分な上端および下端12、14の間の長さLを有する。ジャケット10の上端12は、少なくとも弁輪VAまで達し、さらに下部LPにまで達し、少なくとも心室下極限LEを束縛する。
【0041】
本発明のジャケットは、心臓への適用に適当なサイズと形で提供されうる。例えばある実施の態様では、ジャケット10は円錐形で提供される。ここで用いる「円錐状」は、ジャケットの直径が上端12、12’から下端14、14’に向かって心臓の楕円形に近づけるために減少するジャケットの形を指す。ある実施の態様では、ジャケット10のサイズは予め決まっており、従ってジャケットは心臓への適用前に円錐形に製造される。代わりに、ジャケットの形は心臓上に装置を装着するときに調節される。
【0042】
下部LPの肥大がもっとも問題であるので、好ましい実施の態様において、上端12がA−V溝AVG中に存在することができるようにジャケット10を一定の大きさに作る。上部UPの肥大を束縛することが所望である場合、ジャケット10は上部UPを覆うように広げることができる。
【0043】
上端12がA−V溝AVGにくるようにジャケット10を一定の大きさに作ることは、多くの理由から望ましい。第一に、溝AVGは容易に識別可能な解剖学的特徴であり、外科医がジャケット10を配置するのをアシストする。上端12をA−V溝AVGに配置することにより、外科医はジャケット10が弁輪VAで十分に束縛していることを確信する。A−V溝AVGおよび主要血管は、弁輪VAの適用範囲を確実にしながら、ジャケット10の配置のために自然な停止線として作用する。停止線のような特徴を用いることは、外科医の視覚が不明瞭または限定されるような最小限侵襲性な手術において、特に有益である。
【0044】
壁側心膜が開いている場合、下部LPはジャケット10を前記尖A上に適用させることに障害はない。しかし、壁側心膜が無傷であれば、横隔膜の壁側心膜への付着が、心臓の尖Aへのジャケットの適用を阻害する。この状況で、ジャケットは、ジャケット10’の上端12’から下端14’へ伸びる線に沿って開くことができる。その後ジャケットを心臓の心膜表面の周りに適用し、心臓に設置した後、開いた線の向かい合う端を一緒に固定する。向かい合う端を固定するシステムは、例えば、米国特許No.5,702,343号に開示されている。その全体の開示は、ここに参照として取り込まれる。
【0045】
図3および3Aの実施の態様では、下端14は閉じており、長さLは上端12がA−V溝AVGに設置されたときに心臓Hの尖Aが下端14内に受け入れられるサイズにされる。図4および4Aの実施の態様では、下端14’は開いており、長さL’は上端12’がA−V溝AVGに設置されたときに心臓Hの尖Aが下端14’を超えて突き出るサイズにされる。長さL’は、下端14’が心室下極限LEを超えて広がるサイズにされ、それにより両方のジャケット10、10’において、心室RV、LVを取り囲む心筋MYOが、直接ジャケット10、10’の材料と向かい合わせになる。そのような設置がジャケット10、10’に、心臓Hの心室壁の肥大に対して束縛を与えるので望ましい。
【0046】
上記のようにジャケット10が心臓H上に配置された後、ジャケット10は心臓上に固定される。ジャケット10は縫合または他の適当な外科的取り付け方法により、心臓Hに固定されるのが好ましい。ジャケット10は、上端12に沿って周辺を取り巻いて間をあけて、縫合部位Sで心臓Hに縫合される。外科医は、設置後にジャケット10が動くことを避けるために、さらなる縫合部位を加えることも選ぶことができるが、そのような部位Sの数は、ジャケット10が心収縮期に心臓Hの収縮を限定しないように、制限されるのが好ましい。
【0047】
別の実施の態様では、ジャケットは適当な生粘着物(bioadhesive)を用いて心臓に固定される。生粘着物は、ジャケットのみと結合して、または1以上の治療薬および/もしくは非付着性材料と組み合わせて用いることができる。ここで用いられる「生粘着物」は、生物学的組織に要素を、または2つの生物学的組織を互いに付着させる材料を意味する。生粘着物は生物学的に適合性のある材料から製造され、組織への付着を固定させるのが好ましい。本発明に従えば、好ましい生粘着物は、十分に移動しないやり方で、所望の効果が得られるのに十分な時間の間、心臓にジャケット10を取り付ける。生粘着物は、心臓の自然な動きの結果、ジャケットの転置を防ぐのに十分、ジャケットを固定させるので好ましい。好ましい生粘着物は従って、いくらか柔軟であり、心臓または周囲組織の動きに順応する。
【0048】
本発明に従い用いられる生粘着物は、心臓の組織および/またはそれに近接した組織の望まれていない逆効果、例えば刺激状態、炎症、感染症等を引き起こさないのが好ましい。ジャケットが生粘着物と結合して用いられると、適当な生粘着物は装置から心筋への治療薬の浸透を妨げないので好ましい。ある実施の態様では、1以上の生粘着物を含む装置の領域が、1以上の治療薬を含む領域から独立している。代わりに、1以上の生粘着物を含む装置の領域は、1以上の治療薬を含む領域と部分的に重なる。この代わりの実施の態様では、生粘着物は治療薬に浸透性であるのが好ましく、その結果生粘着物は治療薬の心臓の表面への放出を妨害しない。さらに別の実施の態様では、生粘着物自体は1以上の治療薬を含む。
【0049】
好ましい生粘着物は、ポリエチレン グリコール、フィブリン、シアノアクリレートのような材料、またはウシ血清アルブミン(BSA)およびグルタルアルデヒドの組み合わせを含む材料から製造される。適当なポリエチレン グリコール−ベースの材料は、製品名フォカール・シール(Focal Seal)(登録商標)の名でフォカール・インコーポレーテッド(Focal, Inc.)により、製品名コシール(CoSeal)(登録商標)の名でコヘッション・テクノロジー・インコーポレーテッド(Cohesion Technologies, Inc.)により提供される。フィブリン−ベースの材料の例は、製品名ヘマシール(Hemaseel)(登録商標)の名でヘマキュア・コーポレーション(Haemacure Corporation)により提供される。ウシ血清アルブミンとグルタルアルデヒドとの組み合わせをベースにした適当な材料は、クリオライフ・インターナショナル・インコーポレーテッド(Cryolife International, Inc.)により提供される。シアノアクリレート−ベースの材料の例は、製品名デルマボンド(Dermabond)(登録商標)の名でジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)により提供される。当該分野で公知な他の適当な生粘着物は、この明細書を考慮して、上記材料と置き換えることが可能である。
【0050】
ジャケット10を心臓H上に容易に配置するために、ジャケット10の容量および形は心弛緩期の下部LPよりも大きい。そのようなサイズにすれば、ジャケット10は、容易に心臓Hの周りに滑り込ませることができる。いったん配置したら、ジャケットの容量および形は、ジャケット10が心弛緩期の心臓Hの外的なジオメトリにぴったりと合致するように、調整される。そのようなサイズ調整は、ジャケット10がニット構成であるため、容易に達成される。例えば、ジャケット10の余分な材料を引き寄せて縫合しS’’(図5)、ジャケット10の容量を減らしてジャケット10を心弛緩期の心臓Hの形に合致させる。そのような形は、最大調整容積を表す。ジャケット10は、心収縮期の心臓Hの収縮の制限を防ぐ一方、最大調整容積を超える心臓Hの肥大を抑制する。ジャケットの柔軟な材料は、心弛緩期の心臓の充填を制限しないようにすることができるので好ましい。図5の引き寄せの別の例として、ジャケット10は、容量を調整する他の手段を備えることができる。例えば、米国特許No.5,702,343号に記述されたように、ジャケットはスロットを備えることができる。スロットの端は、ジャケットの容量を減らすために、一緒に引き寄せることができる。
【0051】
ジャケットの容量は、装置を心臓へ適用する前、最中または後で調整することができる。ある実施の態様では、心臓を治療薬、例えば医薬品で処置し、心臓のサイズをジャケットの適用の前に縮小させる。この実施の態様では、治療薬は手術の前に心臓の全体のサイズを縮小させるように作用し、ジャケットをその後縮小した心臓に適用する。別の実施の態様では、心臓上に装置を設置し、装置のサイズを合わせて心臓を刺激して縮小サイズにすることにより、心臓のサイズを縮小させる。心臓サイズは、医薬品、例えば ドブタミン、ドーパミンまたはエピネフリンまたは他の正の変力性剤により、ジャケット設置の際に縮小させることができるのが、より好ましい。代わりに、外科手術手順を用いて心臓サイズを縮小することができる。本発明のジャケットをその後、縮小サイズ化心臓の上にぴったりと置き、縮小サイズを超えて肥大することを防ぐか、または縮小させる。
【0052】
ジャケット10は、心弛緩期の心臓Hにぴったり合うように調整される。心臓機能を損なうほどにきつくジャケット10を留めないように注意する。心弛緩期には、左心室LVは血液で満たされる。ジャケット10がきつ過ぎると、左心室LVは十分に広がることができず、左心室圧が上昇する。ジャケット10を適合させる間、外科医は左心室圧をモニターすることができる。例えば、いわゆる肺動脈楔入圧をモニターする周知の技術は、肺動脈に配置したカテーテルを用いる。楔入圧は左心房LAと左心室LVにおける充填圧を示すのに用いられる。圧力のわずかな上昇(例えば、2〜3mmHg)は許容可能であるが、ジャケット10は、心弛緩期に左心室圧の著しい上昇を引き起こさないようにあまりきつくなく、心臓H上にぴったりと合わされる。
【0053】
ジャケット10はニット、生体適合性のある材料から構成される。ニット18は図6に図示する。ニットは織物業界でよく知られた、いわゆる「アトラス(Atlas)ニット」が好ましい。アトラスニットは、ポーリング(Paling),「ラップ・ニッティング・テクノロジー(Warp Knitting Technology)」、111頁、コロンバイン・プレス(Columbine Press)(出版社)リミテッド、バクストン(Buxton)、英国(1970)に説明されている。
【0054】
アトラスニットは、方向性のある拡張特性を有する繊維20のニットである。より詳細には、ニット18は、通常、非弾性繊維20から形成されるが、休止状態以上に少なくともわずかに拡張可能な、柔軟な織物を構成することができる。図6には、休止状態のニット18を示す。織物18の繊維20は縦軸XおよびXを有する2セットの繊維ストランド21a、21bに織られる。ストランド21a、21bを織り合せて、通常平行で間隔の開いたストランド21aと、通常平行で間隔の開いたストランド21bとで織物18を形成する。
【0055】
説明を簡略化するために、織物18をストランド21a、21bの軸のみを示した図7に概略的に示す。ストランド21a、21bを、対角軸Aを有するダイヤモンド−形のオープンセル23を規定する軸XおよびXで織り合せる。好ましい実施の態様では、織物18が休止しており、伸びていないときには軸Aは5mmの長さである。織物18は力に応答して伸びることができる。力が対角軸Aに平行に適用されたとき、そのような所定の力でも、織物18はもっとも伸びる。織物18は力がストランド軸XおよびXに平行に適用されたとき、もっとも伸びない。ジャケット10はニットの材料が、心臓の縦軸AA−BBに平行である対角軸Aに対して方向性を持って整列するよう、構成される。
【0056】
ジャケット10は上述のニットパターンのため、拡張可能であるが、ニット18の繊維20は非拡張性であるのが好ましい。全ての材料が少なくとも少量は拡張するが、繊維20は低弾性率の材料から形成されるのが好ましい。心弛緩期の心臓Hでの低圧に応答して、繊維20は本質的には非弾性である。好ましい実施の態様では、繊維は70デニールのポリエステルである。ポリエステルが現在は好ましいが、他の適当な材料にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ステンレス鋼等を含む。代わりに、ジャケットの繊維は、ここに記述された適当な生物分解性材料またはそのブレンドから製造される。
【0057】
ニット材料は、多数の利点を持つ。そのような材料は柔軟であり、心臓Hの動きを制限しないことができる(心臓拡張に対し所望の束縛以外)。材料は開いており、液体透過性のための多数の隙間の空間を規定し、かつ心臓Hとジャケット10の材料の直接的接触の表面領域の量を最小限にし(それにより刺激状態または剥離の領域を最小限にする)、線維症および瘢痕組織を最小限にする。
【0058】
ニット構成のオープン領域はまた、心臓へ、および心臓から電流の通路として、心臓と周囲組織の電気的接続を可能にする。例えば、ニット材料は電気的に絶縁体であるが、オープンニット構成は十分に電気的に浸透性であり、心臓のトランス−胸部除細動の使用が可能になる。また、オープンな、柔軟な構成により、ジャケットを通過して電気的要素の通路(例えば、ペーサーリード)を可能にすることができる。そのうえ、オープン構成により他の方法、例えば冠状動脈バイパスが可能になり、ジャケットを除去せずに手術できる。
【0059】
ある好ましい実施の態様では、ニット構成の隙間の空間に、本発明の治療薬を含む。例えば、ある実施の態様では、隙間の空間は、以下により詳細に説明する治療薬を含有する、生物学的に適合性のあり、かつ/または生物分解性なポリマーマトリックスを含む生物分解性空間充填材料で満たされる。
【0060】
セル23の大きなオープン領域が、ジャケット10の材料との接触において、心臓H表面領域の量を最小にする(それにより線維症を減らす)ことができるので、望ましい。しかし、セル領域23があまりに大きいと局在化した動脈瘤が形成する。また、ストランド21a、21bは部分的に血管をブロックするのに十分な力で冠状血管を覆うことができる。セルサイズが小さくなると、ストランドの数が増え、それによりストランドあたりの制限力が減少する。好ましい実施の態様では、特定な列のセルのセル領域CAが、セルの列が他の断面的に周辺を取り巻く面積に関して取り囲む、心臓の断面的に周辺を取り巻く面積と直接相互に関連する。すなわち、断面的に周辺を取り巻く面積が大きいほど、断面的に周辺を取り巻く面積を直接覆うセルの列中のセルの領域が大きくなる。心臓の断面的に周辺を取り巻く面積と、セル領域を「相互に関連させる」ことにより、セル領域が心臓の断面的に周辺を取り巻く面積の関数として決定される。セル領域は、織物材料を心臓に適用するか、またはジャケットに形づくり、心臓に適用するとき、各セルが所望な心臓束縛を提供するのに十分広がることができるように、決定される。従って、セル領域は、より大きい断面的に周辺を取り巻く面積を有する心臓の領域を越えて適用された列におけるセルのセル領域よりも、より小さい断面的に周辺を取り巻く面積を有する心臓の領域を越えて適用された列におけるセルのほうが小さくなる。適切な最大セル領域は、例えば、1〜100mm、典型的には3〜9mmである。最大セル領域は、ジャケット10の材料が完全に伸び、前述の心臓H上で最大調整容積に調整された後のセル23の領域である。
【0061】
織物18は、引き裂き抵抗性および作業的抗性であるのが好ましい。材料の欠陥または不注意に引き裂いたときに、そのような欠陥または引き裂きは、ニット構成のために、伝搬が制限される。
代わりの実施の態様では、ジャケットはエラストマー材料から製造される。本発明の装置に適用な生物学的に適合性のある材料は通常、心臓壁よりも低い適合性を有する。生物学的に適合性のある材料はその心臓壁よりも適合性が低いが、弾性な生物学的に適合性のある材料のある限られた拡張が、心臓充填の間に起こりうる。ジャケット製造に適当なエラストマー材料には、例えば、ポリウレタン、シリコーン等が含まれる。
【0062】
生物学的に適合性のある材料が弾性または非弾性であろうが、本発明に従う装置への利点は心臓強化であり、それは心弛緩期に提供される。さらに、ここに説明したような装置は、心臓のポンピングを活性化させることによる補助を心臓に提供しない。
【0063】
心臓病を処置する装置および方法は、米国特許No.5,702,343(本発明の譲り受け人に通常譲渡され、その開示はここに参照として取り込む)に開示されている。ジャケット10は、心臓Hの他の運動を妨げない一方、心臓の望ましくない肥大をさらに抑制する。この教示の利益として、多数の改変が可能である。例えば、ジャケット10は心外膜(すなわち、心筋の外表面)に直接適用する必要がないが、壁側心膜の上に設置することができる。さらに、抗線維症裏地(ニットの繊維上の、PTFE、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、または他のポリマーコーティングのような)をジャケット10に、例えば心臓とジャケットの間で、用いることができるか、またはジャケットの外表面上に(心臓から離れて)適用されてもよい。代わりに、繊維20はPTFEでコートされてもよい。
【0064】
ある実施の態様において、非付着性材料は、本発明のジャケット10と結合して、心臓の表面上のジャケットの存在の結果である望ましくない線維症を防ぐのに提供される。ここで用いる「非付着性材料」は生体適合性のある材料を意味し、臓器の表面、例えば心臓の心外膜表面に付着しない。その材料は、上述のように、本発明のジャケットと同様に機能することができる。ある実施の態様では、非付着性材料は本発明のジャケットの一部として製造される。代わりに、非付着性材料は本発明の独立要素として製造され、本発明のジャケットと、心臓の心外膜表面に位置する。ジャケットが長期間心臓上に設置されていると、ジャケットの除去は困難になりうるが、非付着性材料はジャケットの除去を容易にする。
【0065】
別の実施の態様では、非付着性材料はジャケットの外表面上に設置される;すなわち、ジャケットの表面が心臓からそれている。この実施の態様では、非付着性材料は周囲組織の望ましくない線維症または周囲組織への癒着を防ぐ。代わりに、非付着性材料はジャケットの隙間の空間を充填するヒドロゲル材料に形成されることができる。非付着性材料が望ましくない線維症またはいずれかの標的組織への他の損傷を防ぐように形成されることは、当該分野の当業者には明らかであろう。
【0066】
非付着性材料は、いずれかの所望の心臓の表面、例えば心臓の表面全体または心臓の選択された領域のみを、覆うよう適合させることができる。ある実施の態様では、その材料はジャケット全体を裏打ちするよう製造され、従って心臓の心外膜表面全体を覆う。そうでなければ心臓はジャケットと接触しうる。
【0067】
選択された部位でのジャケットの除去は、本発明の装置を受け入れるが、バイパス術を必要とする冠状動脈疾患がその後発現する患者に、冠状動脈バイパス術のための吻合(anastemotic)部位を形成するために、冠状動脈にアクセスするために、要求されるかもしれない。非付着性材料をこれらの選択された部位に設置することにより、ジャケットの除去およびこれらの動脈へのアクセスを容易にする。図8に示されたある実施の態様では、非付着性材料30はジャケット10と心臓の心外膜表面の間の戦略的な部位に設置され、冠状血管にアクセスさせる。例えば、非付着性材料を、主要な冠状動脈の心外膜コースにのみを覆うように設置する。これにより、冠状動脈バイパス手術が本発明の装置を過去に受け入れた患者に必要と考えられても、外科医はジャケットの一部を除去することができる。
【0068】
代わりに、非付着性材料を戦略的に基底から尖の部位に設置し、圧縮の軽減を可能にする。図9に示されたある実施の態様では、非付着性材料32は心臓の基底から尖に進むリブ34を形成するのが好ましい。リブは、装置に沿って一定の距離だけ離れて備えられるのが好ましい。この実施の態様は、ジャケットが心臓に圧縮を生じさせるのが望ましい。患者が、ジャケットの結果、抑制的または拘束的パターンを生じる場合には、リブにより、リブ部位でジャケットに外科医が印をつけることができる。抑制の軽減が、ある患者においては望ましい。例えば、抑制的生理が、ジャケットの存在および心弛緩期の心臓の圧力の結果、ある患者に起こることがある。これは、ジャケットの除去が順番に必要になるかもしれない。
【0069】
非付着性材料は、所望の特性を与える適当な材料のいずれかから製造される。ある実施の態様では、非付着性材料はジャケット10を製造するのに用いられたのと同じ材料、例えば、ポリエステル、PTFE、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン等から製造される。さらに別の実施の態様では、非付着性材料はジャケット10とは異なる材料から製造される。適当な非付着性材料の別の例が、商標名ゴアテックス(GORE−TEX)(登録商標)で市販で入手可能である。さらに別の実施の態様では、非付着性材料は、ここに記述したように、ヒドロゲルから製造される。非付着性材料は、所望の適用次第では、柔軟な、または堅くてもよい。この教示を考慮すれば、当該分野の当業者は、適当な非付着性材料を選択することができる。
【0070】
非付着性材料は、ある実施の態様では、装置の独立要素として提供される。例えば、非付着性材料は、ジャケットと心臓の表面の間に、またはジャケットの外表面上に、心臓からそれて、設置されている独立裏地として提供されることができる。さらに別の実施の態様では、本発明の非付着性材料は装置のジャケット上のコーティングとして提供される。
【0071】
本発明の装置は、非付着性材料を含むことができ、所望であれば任意にさらに抗線維症剤を含むことができる。装置の独立要素として提供されるとき、非付着性材料の設置は、ジャケットの適用の間いずれか適当なときに、例えば、ジャケットを心臓に装着する前、最中または後に達成される。装置の独立要素として提供されるとき、非付着性材料はジャケット10により心臓表面上に定位置に保持される。この実施の態様では、ジャケット10のぴったりとしたフィットは心臓上で非付着性材料の所望の部位を維持するのに十分である。代わりに、非付着性材料をジャケット10に取り付ける。この代わりの実施の態様では、非付着性材料のジャケットへの取り付け、およびジャケット10の心臓への取り付け(上述のように)により、非付着性材料の装着が維持される。非付着性材料のジャケットへの固定は適当な手段のいずれか、例えば縫合、ステープル、生粘着物等を用いて達成することができる。ここの記載を考慮すれば、当該分野の当業者は、非付着性材料をジャケットへ固定するための適当な方法を容易に選択することができる。
【0072】
非付着性材料は治療薬に浸透性になるよう製造されることができ、その結果、その材料は薬剤の心臓への送達を妨害することがない。代わりに、非付着性材料は、例えば、治療薬の送達の妨害の心配がないとき、例えば、非付着性材料の位置が、装置に含まれる治療薬の位置から独立しているようなとき、治療薬に非浸透性である。
【0073】
ジャケット10は安価で、装着および固定が容易であり、最小限侵襲的な手順において用いるように変更可能である。薄い、柔軟な織物18により、ジャケット10は最小限侵襲的な手順において、つぶされ、かつ小さい直径の管を通じて通過させることが可能である。
【0074】
ジャケット10は、うっ血性心不全の初期段階、例えば心筋梗塞症もしくはうっ血性心不全、または後期段階、例えば慢性拡張型心筋症において用いることができる。ウイルス感染による心臓肥大に直面している患者には、ジャケット10により、ウイルス感染が消失することができるのに十分な時間、心臓Hの束縛をすることができる。さらなる心臓肥大を防ぐのに加え、ジャケット10は、弁輪の周囲の肥大を抑制し、心室壁の変形を抑制することにより、弁障害を処置する。
【0075】
ニット構成を含むジャケット10は、心臓Hの縦および周囲の収縮(心臓機能に必要)を自由に可能にする。固体ラップ(心筋形成術手順における筋肉ラップのような)とは異なり、織物18は心臓収縮を妨げない。適合の後、ジャケット10は非弾性であり、非拘束的な心室壁の内部の動きを可能にする一方、さらなる心臓肥大を防ぐ。さらに、ジャケットにより、心臓の非拘束的な心弛緩期の充填を可能にする。ジャケットは、心弛緩期の終わりに、心室の過度な加圧または伸張を防ぐ。オープンセル構造により、ジャケット10の装着の後、バイパス術手順において冠状血管にアクセスすることが可能になる。また、心筋形成術において、広背節筋肉は、変動する、太い厚さ(約1mm〜1cmの範囲)を有する。対照的に、ジャケット10の材料は均等に薄い(1mm厚さより薄い)。薄い壁の構成は、従って線維症の危険を減らし、心臓収縮機能との干渉を最小限にする。
【0076】
本発明のジャケットについての動物試験研究により、本発明のジャケットの効果が示される。試験動物に図3の装置10を装着させた。動物の心臓は高速に速度を速めて、心不全を引き起こした。6週間後、装置なしの動物は著しい心臓肥大を体験し、一方装置を付けた動物は著しい肥大は体験しなかった。さらに、装置を付けた動物は、僧帽弁逆流が著しく減少し、駆出分画により測定されるように収縮可能性が向上した。
【0077】
上述のジャケットは、心臓の表面に治療薬を送達するための送達源と共に用いる。ここで用いる「治療薬」は、心臓または周囲組織の病気または障害の処置、治療、軽減または予防において補助する薬剤である。治療薬は、処置された組織の構造または機能に作用することにより機能し、所望の効果を得る。
【0078】
本発明は、心臓および/または周囲組織の標的領域への治療薬の局在化し、標的化された送達のための装置および方法を提供する。ここで用いられる「標的」「標的領域」および「標的組織」は、本発明を用いて処置されることを意図する、心臓または心臓周辺の組織の特定な部位を指す。本発明で予想されるように、標的組織は、例えば、心臓の特定な領域(例えば、虚血または壊死の領域または1以上の疾患もしくは損傷動脈)、心臓の表面全体、または心臓周辺の特定な組織(例えば、肺または心膜)を含む、本発明の方法または装置で処置される所望の領域のいずれを含むことができる。さらに、標的組織、例えば心臓、の表面に送達された後、治療薬は組織表面に浸透し、それにより組織の表面下で作用する。
【0079】
本発明で予想されるように、治療薬には1以上の薬物、細胞材料および/またはそれらの組み合わせを含む。本適用は適切な治療薬の例を示すが、ここでの開示は限定を目的とするものではない。ここでの詳細な例示的治療薬の説明は、限定を意図するものではない;むしろ、その説明は本発明の範囲内に、適切な治療薬を包含すると解釈されるべきである。
【0080】
適切な薬物には、標的組織、例えば心臓および/または周囲組織、ならびにその過程に作用する化合物または薬理的化合物を含む。適切な薬物の例には、抗不整脈薬、血栓溶解薬、抗再狭窄薬(anti−restenotic agent)、抗炎症または抗線維症剤、抗アポプトーシス薬(anti−apoptotic agent)、抗生物質、神経ホルモン阻害剤、抗神経ホルモンアゴニスト、白血球抑制因子アンタゴニスト、糖蛋白質130アンタゴニスト、抗免疫拒絶薬、マトリックス・メタロプロテアーゼの阻害剤、石灰化を防止する薬剤、β−アドレナリン受容体、代謝因子、核酸分子を活性化することなく細胞内カルシウムを増加させる薬剤、および標的組織における病気または障害を処置、治癒、軽減または予防しうる他の同等な薬剤を含む。
【0081】
本発明により予想されるように、抗不整脈薬は、不整脈(すなわち、異常な心臓律動)を阻害するように作用し、心臓に正常な洞律動を安定化させる化合物である。抗不整脈薬の例には、タイプI(例えば、リドカイン、プロカインアミド、エンカイニド、フレカイニド(flecainide))、タイプII(例えば、β−アドレナリン作動性効果遮断薬、例えばノルエピネフリン、エピネフリン、イソプロテレノール、プロパノールオール(propanolol)、ドブタミン)およびタイプIII(例えば、イブチリデ(ibutilide)およびソラトール(solatol))に分類されるもの、ならびにキニジン、フェニトイン、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ニトログリセリン、ヒドララジン、カプトプリルおよびカルシウム拮抗薬、例えばベラパニル(verapanil)、ニフェジピンおよびジルチアゼムを含む。
【0082】
血栓溶解薬は、身体中のクロットを溶解させるか、または分裂させるように作用する化合物である。適当な血栓溶解薬の例には、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)等を含む。
【0083】
別の実施の態様では、本発明の治療薬には1以上の抗再狭窄薬を含む。ここで用いられる抗再狭窄薬は、アテローム斑のレベルで、経皮経管冠動脈形成術の後の冠状動脈または冠状動脈バイパス術移植手術の後の人工血管の、再狭窄(すなわち、細胞増殖)および/または細胞外基質合成を阻害する薬剤である。適当な抗再狭窄薬の例には、抗血栓薬(例えば、ヘパリンおよびレオプロ(ReoPro))および放射性核種エミッタ等を含む。
【0084】
代わりに、本発明の治療薬には、1以上の抗炎症または抗線維症剤を含む。そのような抗炎症または抗線維症剤は、異所性線維症と関連した瘢痕形成を阻害し、心外膜線維症[発明の装置から標的組織への他の薬剤の拡散を妨害し、電流の流れに対する抵抗を増加させることがあり、それによってペースメーカーがより多くの電圧量を伝える必要が生じる]の形成を予防する薬剤である。適当な抗炎症または抗線維症剤の例には、ステロイド、例えばデキサメタゾン等、およびラチオゲン様薬(lathrogenic agent)、例えば、ペニシラミン、n−アセチル−システイン、β−アミノプロピオニトリル等を含む。
【0085】
別の実施の態様では、治療薬は、代謝作用因子の形態で提供される。ここで用いられる代謝作用因子は、代謝経路において活性を変えることが可能な生物学的に活性な分子を意味する。従って、代謝作用因子は、代謝経路の中間体または最終生成物により誘発される生体応答を変えることが可能である。そのような作用因子は、酵素、酵素阻害剤または刺激薬、神経ホルモン、ホルモン等であってもよい。例には、神経ホルモン代謝に関与する酵素への特定な結合活性、またはそのような神経ホルモンの細胞膜結合受容体への特定な結合活性を有する、アンタゴニストまたはアゴニストとして役に立つことを意図する天然および医薬品を含む。これらの中で代謝作用因子は、アンギオテンシン変換酵素およびアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの代謝転換を阻害するACE阻害剤、中性エンドプロテアーゼを阻害し、心房性ナトリウム排泄増加性ペプチドの代謝破壊を予防するチオロファン(thiorphan)、スピロノラクトン、β−ブロッカーおよびロサルタン(losartan)である。これらの後者3つの作用因子は、アルドステロン、カテコールアミン(例えば、ノルエピネフリン)およびアンギオテンシンIIそれぞれのアンタゴニストであり、従って受容体結合、およびこれらの天然の代謝により通常は誘発される生体応答を阻害する。
【0086】
代わりに、治療薬は、心臓または周囲組織の病気または障害の処置、治療、軽減または予防において補助するよう機能する治療遺伝子の形態で提供されうる。ここで用いられる「治療遺伝子」は、発現したとき治療効果を生じる特定な蛋白質またはポリペプチド鎖を特定する核酸のセグメントである。そのような治療遺伝子の多くは当該分野で公知であり、心臓病または障害の処置において有益な効果を生じる。例えば、適当な治療遺伝子は、再狭窄を予防し、血管形成を促進し、心臓不整脈を制御する電気的伝導性の経路を調整し、創傷治癒プロセスを高め(例えば、TGF−βのような成長因子を用いて)または組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)もしくウロキナーゼのような血栓溶解薬を発現するよう機能する。
【0087】
この実施の態様において、前記治療薬は、1以上の遺伝子剤、たとえば剥き出しの遺伝子プラスミド、オリゴヌクレオチド、リボザイムおよび遺伝子エンコード特定導入遺伝子製品を含むウイルスベクターを含む。そのような遺伝子剤により、 遺伝子を標的領域に導入し、導入遺伝子製品の発現を促進するメカニズムが提供される。
【0088】
核酸の形態で提供されるとき、治療薬は送達システム、例えばリポソーム、ミクロスフェア、ナノスフェアおよびポリマーマトリックスを通じて提供されることができ、または剥き出しの核酸として提供されることができる。ポリマーマトリックスを用いて提供されるとき、核酸は、ポリマーマトリックス中に閉じ込められるかもしくは分散させられ、またはその表面上に吸着させられるかのいずれかである。ポリマーは生物分解性材料、例えばポリエステルもしくはポリ無水物またはそのブレンド;非生物分解性材料、例えばエチレンビニルアセテートコポリマー;または天然材料、例えば膠原もしくはゼラチンとして提供されることができる。
【0089】
適切な薬物は、表面作用することができ、または心筋に浸透することができる。例えば、小さい分子化合物は、心筋に浸透し、心臓の表面の真下で作用することができる。MYOに浸透することができる小さい分子化合物の例には、抗不整脈剤、ラチロゲン生成剤(lathrogenic)、例えばペニシラミン、N−アセチル−L−システインおよび3−アミノプロピオニトリル フマレート等を含む。
【0090】
前記治療薬が薬物を含むとき、その薬物は、送達源の組成および薬物の標的組織への送達のために所望な用量に応じて、いずれかの適当な担体希釈剤、充填剤、結合剤または他の賦形剤と共に提供されることができる。「担体」は、保管、投与および/または薬剤の治癒効果を促進するのに当該分野で通常用いられる医薬的に許容な担体を意味する。担体は、薬物の望ましくない副作用のいずれをも減らすこともできる。適当な担体は安定であり、すなわち、処方の他の成分と反応することができない。処置に用いられた用量および濃度で、処置を受けた者に局所的に逆効果を生じるべきではない。そのような担体は通常当該分野で知られている。「レミントンの薬剤科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、 16版、オスロ A(Olso, A)編集(1980)参照。
【0091】
別の実施の態様では、本発明の治療薬は細胞材料の形態で提供される。本発明で予想されるように、細胞材料は、異なる表現型(例えば平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞)または同じ表現型(例えば心筋細胞)を有する分化した細胞から得られた材料を意味する。代わりに、細胞材料は分化していない細胞、例えば、間葉性細胞から得られる。細胞材料は心臓に導入され、弱くなった心臓を強くするために、損傷した細胞の生物的機能を修復、補充、また強める。細胞材料の懸濁液を疾患心臓組織へ注入することができ、移植された細胞は疾患組織の構造および機能の正常化に対する重要な誘因となる。ある好ましい実施の態様では、細胞材料は心筋に注入され、それにより細胞の組織への編入、隣接細胞と同時に発生する細胞収縮、および心臓血行動態における改善を引き起こす。細胞材料には、ここで記載の発明を用いる適用に所望な筋原性細胞、内分泌細胞、島細胞、および他の適当な細胞型を含む。
【0092】
細胞は単一の組織型であってもよく、または細胞の混合固体を含んでもよい。細胞組織物には移植されるホストに対して異種固体の、異質遺伝子型および/または同質遺伝子型の細胞を含むことができる。培養組織中での脊椎動物細胞の伝搬は当該分野で公知である(例えば、「組織培養(Tissue Culture)」、アカデミックプレス(Academic Press)、クラウスとパターソン(Kruse and Patterson)、編集者(1973)参照)。
【0093】
移植された細胞材料には、培地を含んでもよい。当該分野の当業者は細胞培地を熟知している。市販で入手可能な培地の例は、ハム F10(シグマ)、最少必須栄養素培地(「MEM」シグマ)、RPMI−1640(シグマ)およびダルベッコ修正イーグル培地(「DMEM」シグマ)である。培地は必要であれば、ホルモンおよび/または他の成長因子、塩、緩衝剤、ヌクレオシド、抗生物質および微量要素(無機化合物は通常マイクロモル範囲の最終濃度で存在する。)で補強することができる。代わりに、送達源により、栄養素を腔に分散させ、生きている細胞培養物を維持することができる。
【0094】
ある実施の態様では、移植された細胞がホストに有益な効果を有する治療薬を製造する。この実施の態様では、その治療薬は、前述の治療薬を1以上含むことができる。
【0095】
この発明のある実施の態様では、移植された細胞は遺伝子工学的に形質変換された細胞であってもよい。ここで用いる用語「形質変換された細胞」は、外来性DNAまたは遺伝子構成物が導入され、染色体外の要素として、または染色体の同化によるいずれかで、DNAが複製可能になる細胞を指す。細胞の形質転換は、当該分野の当業者に知られる標準的な技術を用いて行われ、例えばサムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング(Molecular Cloning):研究室のマニュアル(A Laboratory Manual)」、ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリーズ・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989)に記述されている。
【0096】
外来性DNAまたは遺伝子構成物は、受容者の細胞の外側で発生し、DNA送達技術により受容者細胞に導入される核酸配列を指す。DNAまたは遺伝子構成物は、当該分野の当業者の公知な組み換えDNA技術を用いて製造されるか、または供給源材料から精製された核酸フラグメントであってもよい。外来性遺伝子は、相同の配列、例えば受容者細胞が由来する同じ種族からクローン化された配列、単離された配列、または誘導されたものから完全に構成されることができる。代わりに、外来性遺伝子の全部または一部は、受容者細胞が由来する種族以外の種族からの配列で構成されることができ、以後、異種構造配列と呼ぶ。外来性遺伝子構成物は、実質的にまたは計画的に変更された遺伝子の一部である調節配列およびコドン配列のいずれもが天然ではなく、または外来性遺伝子構成物は、様々な供給源からの配列フラグメントが最終的な遺伝子構成物に存在することにおいてキメラである。
【0097】
ある実施の態様では、細胞材料は平滑筋細胞、内皮細胞、間葉性幹細胞および線維芽細胞から選択され、分化転換を用いて心臓の周囲へ導入される。分化転換はケスラー(Kessler)らにより記述された手順であって、処理され、分化され、または分化した細胞を、明確に異なる表現型を有する分化した細胞型へ変換することを含む(「心臓筋への筋芽細胞移植:細胞生物および可能な適用(Myoblast Cell Grafting Into Heart Muscle: Cellular Biology and Potential Applications」、P.D.ケスラーら、Annu. Rev. Physiol. 1999,61:219−42参照)。本発明において、提供者からの平滑筋細胞、内皮細胞、間葉性幹細胞および/または線維芽細胞は、送達源(例えば、細胞は送達源の表面上に供給されることができる、以下に詳細に説明する)と結合して提供され、分化転換用の細胞材料の供給源を提供することができる。
【0098】
別の実施の態様では、細胞材料は心臓の表面上にグラフトされた筋原性細胞を含むことができる。この点で、新しい筋原性細胞、例えば心筋細胞は、心臓の修復のため、心筋へ導入される。ここで用いられるグラフトには、心臓の表面への適用のため心筋細胞を送達源上または内にコーティングまたは含浸すること、または直接心外膜注入により心臓筋へ心筋細胞を注入することを含む。筋原性細胞は、処置を受けた患者から採取され、細胞の拒絶の最小限にするのが好ましい。
【0099】
ある実施の態様では、ジャケット材料は、治療薬を含むマトリックス材料が取り付けられた上で骨組として役に立つ。例えば、収縮細胞は、ジャケット材料が細胞を支持するための骨組として役立つような方法で、ジャケット中/上に供給または被うことができる。ここに説明するように、細胞は患者の培養物から採取され、ジャケット材料に適用することができる。一方、間葉性細胞は別の患者から採取され、ジャケット材料に適用することができる。いずれにしろ、これらの細胞はその後適合され、骨格筋を、心筋形成術と関係した収縮のための要求に適合させるように、収縮作業をする。ジャケット上/中に移植された細胞を、細胞が収縮要素内に向かうように、配向した磁場に暴露することができる。ジャケットの材料を含む生体適合性のある材料それ自体が設計され、筋肉収縮の適当な方向に向く(すなわち、心臓の筋肉繊維と調和して)のが最適である。装置上に含まれる細胞はその後、心臓と同時作動性な電気的ペースメーカーを用いて刺激されることができる。心臓細胞で心筋の瘢痕組織を置き換える試みは、例えば、Liらにより、「壊れた心臓を修復する細胞治療(Cell Therapy to Repair Broken Hearts)」, Can. J. Cardiol. 14, 5: 735−744(1998)に記述されている。
【0100】
心筋細胞または他の生育可能な細胞集団を様々な特異的または非特異的な手段でジャケットに付着させることができる。細胞はジャケットの織物上で直接培養することができる。適当な環境下で、細胞は促進され、ジャケット表面を完全に覆うことができる。筋細胞の場合、細胞は、おそらく心臓を支持するために合成的に活性な収縮要素を供給することにより、同時作動的に収縮するようにすることができる。細胞のジャケットへの取り付けは、ジャケット基幹ポリマーに共有的に結合したスペーサーアームによってすることができる。このスペーサーアームはメチレン基または天然もしくは合成ペプチドのストリングから典型的に構成され、その末端に生物学的に活性な付着基を有するように構築され、その基が細胞表面上の受容体と相互作用する。一例では、rgd(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)配列で終結するポリリジンペプチド(または他のそのような基幹)を用いる。rgd配列は、特定な細胞表面受容体と結合し、細胞の付着を安定化することが知られている。同様な例が補綴の人工血管の構成で用いられ、rgdペプチドがグラフト中に取り込まれ、内皮細胞の結合および安定化を容易にする。
【0101】
心臓の表面に導入された細胞材料は様々な臨床的適用がある。例えば、移植した細胞は心臓の表面で蛋白質送達のためのプラットフォームを提供することができる。この実施の態様では、前記細胞は心臓の表面で蛋白質送達の継続的な供給源を提供し、心筋修復を促進し、移植された細胞の成長を強める。例えば、筋細胞を遺伝子的に変更し、組み換えTGF−β1または他の作用因子を心臓に送達する。そのうえ、神経栄養性因子および/または血管由来因子、例えば血管内皮成長因子または線維芽細胞成長因子、は、これらの蛋白質の全身送達の潜在的に害のある効果を避けるために、局所的に発現することができる。
【0102】
本発明の送達源は、様々な適当な形態で提供することができる。ある実施の態様では、前記送達源は、ジャケットの材料の上に提供され、および/またはジャケットの材料の中に含浸されたコーティングを含む。代わりに、前記送達源はジャケットと結合して提供された、分離可能な送達源を含む。
【0103】
ある実施の態様では、前記送達源は装置のジャケットの上のコーティングとして、および/またはジャケットの材料の中に含浸されたコーティングとして提供される。この実施の態様では、前記コーティングは、マトリックス 材料および1以上の治療薬を含む。ここで用いるマトリックス材料は、生物学的および医薬的に適合性および/または生物分解性材料であり、1以上の治療薬を含有するように適合することができる。マトリックス材料は治療薬に柔軟性および浸透性であり、治療薬の制御放出に適当な供給源を提供するのが好ましい。適当なマトリックス材料の例には、ポリマー性マトリックス材料およびヒドロゲルを含む。
【0104】
前記コーティングは、当該分野で公知の方法を用いて、例えば、ジャケット上にコーティングを浸すこと、コーティングすること、噴霧または浸漬することにより、いずれかの適当な方式でジャケットに適用することができる。多孔性な、ニット生体適合性のあるジャケット材料は、ここに記述するように、コーティングまたは浸漬により治療薬の適用に特によく適している。前記コーティングはニットジャケット材料のみの繊維ストランド21aおよび21bを形成する繊維20上に提供されるか、または前記コーティングは、ジャケットの繊維20およびオープンセル23の両方の均一なコーティングとして提供されうる。前記コーティングの粘度は、前記コーティングが、繊維のみのコーティングとして、または繊維およびオープンセルの均一なコーティングとして提供されるかどうかで決定される。前記コーティングの粘度は、前記コーティングの固形物割合およびポリマーの分子量のような因子で決定される。
【0105】
ジャケットのニット材料は、前記送達源と関連する多数の利点を有する。ある実施の態様では、前記コーティングは、ニットジャケットの繊維ストランド21aおよび21bを形成する個々の繊維上に提供される。上述のように、個々の繊維を軸XおよびXに沿って織り合せる。織り合せた繊維ストランドでは、並んでいる配置で提供された単一繊維ストランドまたはストランドと比べて、コーティング用表面積を増加させる。また、繊維のみに沿ったコーティングは、上述の材料の利点を順番に提供するニットの開いた、隙間の空間を維持する。
【0106】
代わりに、前記コーティングは繊維を被覆するのみならず、ジャケットの隙間の空間を満たす均一なコーティングとして提供される。この実施の態様では、コーティングがジャケットの繊維の表面上に提供されるのみならず、繊維で規定される隙間の空間を埋めるので、前記送達源の全体の表面積はさらに増加する。前記隙間の空間は、治療薬を含む濃縮されたコーティングの空間が開いた領域を規定し、前記コーティング用レザバーとして役に立つ。同時に、ジャケットの利点、例えば、ジャケットの柔軟性および、密接で移動しない心臓との接触が維持される。
【0107】
前記コーティングが繊維ストランドのみに沿って、または繊維ストランドおよびオープンセルの両方の上のいずれかに提供されても、ジャケットの柔軟性は維持される。ニット材料の方向性のある拡張特性により、装置の送達源は心臓の表面との密接な接触を維持することができ、その結果、1以上の治療薬は、心臓の表面および/または心臓の周囲の標的組織に直接放出されることができる。前記コーティング自体は十分に柔軟であり、その結果、割れたり、材料から落ちたり剥がれたりせず、むしろジャケット材料に沿って広がる。さらに、ジャケットが心臓を取り囲み、その自然な動きの間、心臓に沿って広がるので、前記送達源は長時間の間、心臓の表面との密接な接触が維持される。前記装置は心臓の自然な動きにより自由にならず、従って密接で移動しない治療薬1以上の送達を長時間の間提供することができる。
【0108】
前記コーティングは、ジャケットの選択された部分または表面領域全体を含むジャケット上の適切な部位のいずれかに提供することができる。例えば、虚血の領域に重なるジャケットの一部は選択された領域のみに適切な治療薬を備えることができ、一方、抗線維症剤をジャケットの別の選択された領域または全体の領域上に同時に提供することができる。ジャケットをコーティングする方法は、所望のコーティング領域を達成するために変更することができる。
【0109】
ジャケット上のコーティングは、治療薬の標的組織への放出を制御する一方、所望の効果を達成するのに適当な治療薬の用量を提供するのに適当な厚さで提供される。コーティングの厚さに影響を与える他の因子には、治療薬のサイズ、治療薬の放出動態およびコーティングに対する治療薬の疎水性または親水性を含む。同時に、前記コーティングは、ジャケット材料の柔軟性に有害に影響する厚さでは提供されない。例えば、コーティングの厚さが増加するにつれ、心臓が心弛緩期に動くのに必要な量が増加する。その結果、前記コーティングが厚くなるほど、ジャケットの柔軟性が少なくなり、ジャケットからの線維症のリスクは大きくなる。現在予期されるコーティングの最終的な(全体の)厚さは、通常約0.5mm〜約4mmの範囲で、好ましくは約0.5mm〜約2mmの範囲で、最適には約0.5mm〜約1mmの範囲である。しかし、コーティングの最終的な厚さは、ここに記述の利点および特徴を得るのに適切な厚さのいずれかに適合することができると理解される。前記コーティングは、単一のコーティングを適用するか、または多重コーティングを適用することにより、最終的に所望な厚さを達成するために形成することができる。
【0110】
コーティングのマトリックス材料は、ポリマー性材料またはヒドロゲルが好ましい。好ましいポリマー性材料は、結晶化の度合いが低く、生体適合性のあるものである。ある実施の態様では、ポリマー性マトリックス材料は生物分解性である。この実施の態様で用いられうる生物分解性ポリマーの例には、ポリラクチド、ポリグリコシド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン(phosphazen)、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレン オキサレート、ポリアルキレン スクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン グリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キトサンおよびコポリマー、ターポリマーまたは上記材料の組み合わせもしくは混合物を含む。マトリックス材料はまた、ヒドロゲルの形態でも提供されることができる。この実施の態様では、治療薬は、マトリックス材料の拡散により、および/または分解により、マトリックスから放出される。
【0111】
代わりの実施の態様では、ポリマー性マトリックス材料は、非分解性であり、その結果、マトリックス材料は埋め込まれた装置の一部のままであり、時間が経っても分解しない。適当な非分解性材料の例には、例えば、ポリウレタン(例えば、ポリエーテル ポリウレタン)またはシリコーンゴム材料(例えば、ポリジメチルシロキサン誘導体)を含む。この実施の態様では、治療薬はマトリックス材料を通じて、薬剤の拡散により、放出される。
【0112】
分解性および非分解性の両方の材料は長期間にわたって身体中に留まることを意図されるため、これらの材料は、組織に毒性であるかもしれない、浸出可能な成分は全く含まないのが好ましい。
【0113】
コーティングの所望な柔らかさおよび柔軟性ならびに治療薬の放出速度に左右され、所望の結果を生じるために、ポリマーの量と種類を異ならせることができる。例えば、比較的柔軟性で柔軟なポリマー マトリックス、低いTgを有するコポリマー、本質的にはラクチド/カプロラクトン コポリマーを用いることができる。
【0114】
ポリマー性材料は、非毒性で生体適合性のある溶媒と共に提供されるのが好ましい。適当な溶媒の例には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチル エチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸および1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンを含む。当該分野の当業者には、ポリマー性材料の結晶性、親水性、水素結合および分子量のような因子を用いて、ポリマー性マトリックス材料に適切な溶媒を容易に決定することができる。
【0115】
本発明のコーティングの典型的な適用は以下のとおりである。ジャケットに適用される治療薬を、適当な溶媒、例えばジメチルアセトアミドに溶解させる。ある実施の態様では、その治療薬は溶媒に溶解性であり、ポリマーと医薬品の均一な溶液をジャケットに適用する。あるいは、その医薬品は溶媒に溶解性ではなく、その医薬品の溶媒中の懸濁液または分散液が生じる。マトリックス材料はまた、溶媒に溶解させる。治療薬溶液およびマトリックス材料溶液を混合し、その溶液は非均一な懸濁液を形成するが、均一な溶液を形成するのが好ましい。いずれの実施の態様でも、溶媒は放散し、ポリマーは固化し、固体マトリックス内に治療薬を閉じ込めるか、または包む。
【0116】
マトリックス材料/治療薬溶液をその後、例えば、ディップコーティングまたは他の適当な方法により、ジャケットに適用する。コートされたジャケットをその溶液から除去し、任意に乾燥させる。ジャケットを、例えば真空オーブン中で、乾燥させるか、または空気乾燥させ、ジャケットから溶媒を蒸発させる。その結果、マトリックス 材料/治療薬の薄いフィルムが生じる。
【0117】
心臓の表面上に装置を配置した後、治療薬を、マトリックス材料の孔を通じた拡散および/またはポリマー性マトリックス分解メカニズムにより、隣接する組織へコーティングから放出させる。送達源からの治療薬の放出速度と程度は、スピードと量の範囲に対して調節される。固体マトリックスからの治療薬の放出は、治療薬、例えば医薬品の一体式ポリマー性装置からの放出の同じ一般的な法則に従う。そのうえ、マトリックス材料がヒドロゲル ポリマーを含むとき、マトリックス材料は、水性環境中で、例えば身体中で膨張するように、製造されることができる。この実施の態様では、ヒドロゲルの親水性は、所望の水取り込みが可能なように、(例えば、マトリックス材料の極性を変えることにより)変えることができる。そのようなマトリックスの膨張により、マトリックスと隣接する組織との間に治療薬の送達のための伝達が提供される。
【0118】
放出速度に影響を与える因子には、治療薬の特徴、全体のコーティングの特徴を含む。放出速度に影響を与える治療薬の特徴には、水溶性、マトリックス内の分布、コーティング内の濃度、マトリックス材料への取り付けの化学的性質(すなわち、化学的結合、もしあるならば)、分子量、親水性または疎水性、物理的形態等を含む。例えば、水に低い溶解性を有する治療薬、例えば脂質または他の疎水性分子の放出には、典型的にはポリマー性マトリックスの実質的部分の分解を必要とし、その結果、その材料を周囲の標的組織液体へ直接暴露する。
【0119】
放出速度はまた、マトリックス材料および治療薬を含むコーティング全体の特徴にも影響される。例えば、ポリマー性マトリックスは、効果的および/または実質的な量の治療薬がマトリックスから放出された後、分解するように処方することができる。放出速度は、コーティングのサイズおよび形;マトリックス材料の材料のタイプおよび分子量;コーティングの溶解性、生物分解性および/または親水性;治療薬および特定のマトリックス材料を含む透過性因子;マトリックスの分解;ならびに、もしあるならば、コーティング内に存在する他の添加剤の濃度および種類により影響されうる。本発明で用いるために選択した治療薬次第で上記パラメータを調節し、所望の放出速度と持続時間を得ることができる。
【0120】
通常、コーティングが厚いと、コーティング容量が大きくなり、従って、コーティング内に取り入れられうる治療薬の量が多くなる。その結果、より多量の治療薬が、より厚いコーティングから表面上は送達され、送達は、より長い時間にわたって、起こるように調整することができる。他の因子は送達速度に影響するかもしれない。コーティング中の気孔率、反射コーティング組成物および密度は、コーティングから隣接心臓組織へ治療薬が容易に移動することに強い影響を与えるかもしれない。コーティング組成物および治療薬または薬剤の化学構造は、これら材料の間の相互作用の性質に影響を与えるかもしれない。治療薬がコーティングと強力な相互作用を示すならば、そのとき放出速度は遅いだろう。例えば、親水性分子を含むポリウレタン マトリックス コーティングを適応させて、親水性治療薬用の迅速な放出ビヒクルを提供することができる。同様に、疎水性治療薬は、疎水性ポリマーコーティングから遅い放出動態を有する。
【0121】
任意に、マトリックス材料を処方して、イニシアルバースト効果を提供する。これにより、治療薬の巨丸剤用量を生じ、その結果、ある期間にわたって、比較的一定な治療薬の放出が生じる。より大きなイニシアルバーストに貢献する因子には、コーティングの厚さ、治療薬の粒子サイズおよびコーティング中に含まれる治療薬の量を含む。例えば、より大きなイニシアルバーストに貢献する因子には、コーティングのより厚い厚さ、治療薬のより大きい粒子サイズ、および治療薬のより多い量または濃度を含む。
【0122】
本発明は、ある範囲の用量の治療薬を、長期にわたって、送達することができる装置を提供する。コーティングに組み込まれる治療薬の量は、患者の医師により決定される。この量は、所望の放出プロフィール、治療的効果に必要な医薬品の濃度、治療薬が効果的な処理のために放出されなければならない時間の長さのような因子に左右される。例えば、より多くの重量割合の治療薬を含むコーティングは、通常、標的組織へより多い総量の治療薬を放出する。本発明に従えば、そのコーティングは、約1%(重量)から約40%(重量)の治療薬を含む。そのコーティングは、好ましくは約5%(重量)から約30%(重量)の、より好ましくは、約10%(重量)から約15%(重量)の治療薬を含む。
【0123】
ある実施の態様では、ポリマー性マトリックスが分解するので、治療薬が送達源から放出される。送達源は、治療薬が無くなるまで、調整された速度でマトリックス内に治療薬を放出する。ある治療薬では、ポリマーは、治療薬が完全に放出された後に分解する。ペプチドまたは蛋白質のような他の治療薬では、非拡散性医薬品が体液に暴露されるまでポリマーが分解した後にのみ、治療薬は完全に放出される。
【0124】
ある実施の態様では、コーティングのマトリックス材料は、ヒドロゲル ポリマーの形態で提供される。この実施の態様では、水和ポリマーマトリックスにより、治療薬を標的組織に制御して放出することができる。前述のように、ヒドロゲルの厚さを調節して治療薬の放出速度を異ならせることができる。対照的に、治療薬を急速に放出することが所望なとき、ヒドロゲルの厚さは減らす。治療薬のマトリックス中のヒドロゲル ポリマーに対する割合を調節し、所望の放出速度と時間に対する用量を提供する。ヒドロゲルは、少なくとも80%(v/v)の水を含むのが好ましい。
【0125】
ヒドロゲル ポリマーは、ポリカルボン酸、水膨張セルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエチレンオキサイド、ポリ(2−ヒドロキシエチル メタクリレート)、ポリ(エチレン オキサイド)およびそれらのコポリマーから選択される。
【0126】
ある実施の態様では、ヒドロゲル ポリマーは、実質的な量の治療薬、典型的には水性形態の治療薬を取り込む能力に特徴があり、膨張可能であり、その結果、心弛緩期の間に心臓の自然な拡張により圧力が作用するとき、水性治療薬溶液がコーティングから外に効果的に絞りだされうる。したがって、治療薬の組織への拡散が、心弛緩期の間に作用される圧力の適用により、促進される一方、健康な心臓または他の組織を破壊または損なうのを避けるような穏やかな仕方で、治療薬は組織に適用される。同時に、心臓とジャケットの間の圧力により、処置領域以外の身体の領域に治療薬が拡散するのを防ぐシールを効果的に形成する。ヒドロゲル ポリマーは、ポリマー性マトリックス材料について上述のように、生物分解性または非分解性であってもよい。
【0127】
あるいは、送達源は、本発明の装置を心臓に付着させるのに用いられる化学的/ポリマーの生粘着物システムを含む。ジャケットを心臓に付着させるのに用いられるポリマーシステムは、1以上の治療薬を含むように変更される。生粘着物システムに含まれる治療薬の量は、治療薬の所望の用量、治療薬の溶解性およびポリマーの分子量に対する治療薬の分子量を含む、上記のような因子に影響される。さらに、どのように治療薬添加がポリマー生粘着物の物理的および/または化学的な特徴に影響するかも考慮される。
【0128】
本発明の別の実施の態様では、送達源は装置のジャケットから独立した要素として提供される。送達源は、対象になっている治療薬を含むパッチ、または治療薬を含む嚢の形態で提供されることができる。適当なパッチおよび嚢は、当該分野で知られている。例えば、「ポリウレタン・マトリックスからイブチリデの心外膜投与:除細動閾値および電気生理学パラメータ(Epicardial Administration of Ibutilide from Polyurethane matrixes: Effects on Defibrillation Threshold and Electrophysiologic Parameters)」、ラブハセトワー(Labhasetwar)ら、J. Of Cardiovascular Pharm., 24:826−840 (1994), 「不整脈のためのソタロール制御−放出システム:試験管内特性、生体内医薬品素質および電気生理学効果(Sotalol Controlled−Release Systems s for Arrhythmias: In Vitro Characterization, In Vivo Drug Disposition, and Electrophysiologic Effects)」、ラブハセトワーら、J. of Pharm. Sciences, 83: 156−164 (1994)参照。
【0129】
送達源が嚢を含むとき、その嚢は充填可能であるのが好ましい。嚢の再充填は、適当な方法のいずれか、例えば、皮膚の表面下で最も近い接合を含む嚢に接続されたカテーテルを用いるか、または使い捨ての皮下注射針から治療薬の1度使用的な直接な注入により、行うことができる。
【0130】
この実施の態様では、ジャケットは、心臓の表面に対して送達源を圧迫し、心臓に対して正しい位置に送達源を保つ、送達源のための定着表面を備える。本発明によれば、パッチまたは嚢は、ジャケット10の真下に備えることができ、その結果、送達源がジャケットと心臓の間に位置できる。ジャケットは、心臓を損傷させることなく(損傷は、処置部位に、送達源を直接取り付けることにより生じる)、縫合、粘着剤等により、心臓に対して送達源を圧迫する。送達源は、ジャケットに付着させることができる。例えば、縫合または生粘着物を用い、ジャケットに関して送達源の位置を保持することができる。または、パッチまたは嚢は、心臓に対するジャケットの圧力により、簡単に定位置に保つことができる。ジャケット自体は、心臓との移動しない接触を保持されるので、送達源もまた、心臓の表面上の移動しない位置に備えられる。例えば、ジャケットを送達源の位置決めを保持するために使用することにより、線維症、壊死等のような望ましくない効果を防止する。
【0131】
パッチまたは嚢は、拒絶、感染症等に関連する逆効果を防ぐために、生体適合性のある材料から製造される。そのようなパッチまたは嚢中に供給された治療薬の量は、コーティングとして送達源について上述のもののような因子に左右される。
【0132】
治療薬を標的組織に送達するのは、受動的ならびに活性な送達方法により、なされることができる。受動的な方法には、上述のような、送達源からの薬剤の拡散を含む。活性な送達メカニズムは、標的組織へ治療薬を送達するエネルギー源を用いる。
【0133】
活性な送達システムには、1以上の治療薬を標的組織に送達するためのエネルギー源を用いるシステムを含む。適当なエネルギー源には、ポンプまたは電流源のような外部源を含む。例えば、浸透ポンプは、嚢送達源と共に用いられ、治療薬の嚢から標的組織への活性な送達を提供することができる。電流源の例には、電池および電極を含む。例えば、本発明の装置は、イオン導入法を用い、1以上の治療薬を心臓に送達することができる。イオン導入法は、電流を用い、直接心臓の電極パッチを通じ、組織へ荷電した分子を移動させることができる。イオン導入法は当該分野で知られており、音波泳動法および電池駆動装置を用いる方法である。他の適当な外部エネルギー源には、超音波、熱エネルギー、高周波またはマイクロ波エネルギーを含む。
【0134】
さらに別の実施の態様では、心臓の自然な動きを、治療薬送達のエネルギー源として用いる。上述のように、本発明の送達源がヒドロゲルを含むとき、心臓の心弛緩期の充填により、ヒドロゲル コーティングから治療薬の放出が引き起こされうる。この実施の態様では、心臓または他の組織に対してヒドロゲル ポリマー コーティングの圧迫の間、ヒドロゲル ポリマー コーティングから所望の用量の治療薬を放出できるように、ヒドロゲルを選択することができる。心臓のポンプ輸送行為により、装置は治療薬を放出し、治療薬は装置上のポリマー コーティングの圧迫により効果的に放出される。心臓が心弛緩期の間に拡張するとき、それが装置のジャケットに対して圧力を働かせ、次に心臓に対してコーティングを圧迫する。コーティングの圧縮が、標的組織内へまたは上へ移動のための、治療薬の放出の引き金になる。組織に対する流体の治療薬へジャケットにより適用される圧力が、治療薬の組織への移動を高める。圧力は、組織を傷つけることなく治療薬を放出させるのに十分である。同様に、心臓の動きを、嚢またはパッチから治療薬の放出を駆動させるのに用いることができる。
【0135】
別の実施の態様では、1以上の治療薬が、送達源の表面上に備えられたマイクロニードルを用いて、心筋中に治療薬を注入することにより、心臓表面へ送達される。送達源が嚢を含み、細かいマイクロニードルを嚢に接続させ、チャンネルを提供し、それを通じて治療薬を心筋中に移動させるのが好ましい。ある実施の態様では、治療薬を注入するための空気圧は、容易に利用可能なように患者の皮膚の真下の部位に通された、隣接する末端接合を含むカテーテルを用いて、嚢を加圧することにより、提供される。または、心臓の心弛緩期充填から変換されたエネルギーが、治療薬を注入するための圧力を提供することができる。拡張する心臓がジャケットの抑制力を発生させるので、心臓の心弛緩期充填により、嚢に圧力をかける。これが次に薬剤の標的組織への放出を生じさせる。
【0136】
本発明により予想されるように、治療薬は、数分間〜数週間の間、心臓または興味ある周囲組織へ送達されることができる。
本発明は、1以上の治療薬を心臓表面上の1以上の選択部位へ送達させる、改善された能力を提供する。本発明のジャケットは、心臓の全部または一部を包囲し、ジャケットの全部または1以上の選択領域は、本発明の送達源を備えることができる。
【0137】
特定な観点では、本発明は、2方向または1方向のいずれかであってもよい送達源を提供する。例えば、心臓と周囲組織の間の癒着を予防するとき、治療薬の2方向の放出が所望である。例えば、標的組織が心臓であるとき、送達源を、心臓のみに対して治療薬を放出するように適応させることができる。ある実施の態様では、この1方向の放出は、心臓のみに面するジャケット上に治療薬を含有するコーティングを提供することにより、達成することができる。または、標的組織が心臓周辺の組織であるとき、送達装置を、心臓から遠ざけて、したがって標的組織に向かって治療薬を放出するように適応させることができる。
【0138】
ある実施の態様では、装置のジャケット材料は、ジャケット材料の気孔率を変えることにより、送達源に残っている治療薬が心臓の方向にのみ放出されるように、形成することができる。この実施の態様では、心臓に面するか、または隣接するジャケットの部分が、治療薬がジャケットから心筋へ拡散することができるのに十分大きな気孔率を有する。心臓から離れて面するジャケットの部分は、非多孔性に変更されても、または治療薬が通り抜けるのに不十分なサイズの孔を含むように変更されてもよい。または、標的組織が心臓周辺の組織を含むなら、ジャケット材料は、治療薬送達が心臓から離れて、周囲組織へ向かうように、変更されてもよい。さらに別の実施の態様では、不浸透性層は、組織の特定な領域へ治療薬が送達されるのを妨げるためのバリアーを作るために備えることができる。治療薬の送達は、この実施の態様では、バリアーと逆の方向に起こる。
【0139】
送達源が独立した嚢またはパッチの形態で備えられるとき、送達源の透過性は治療薬が標的組織へ選択的に放出することができるように、コーティングについて上記した気孔率を変化させることにより、適応することができる。または、上述のような不浸透性層を、その嚢またはパッチと接続して、治療薬の管理された送達を達成するために備えることができる。
【0140】
ある実施の態様では、本発明は、心臓および/または周囲組織の選択された標的領域に送達を提供する。この実施の態様では、治療薬の送達は精密に調整されており、したがって選択された領域のみに、治療薬が暴露される。これは、例えば、送達源がジャケット上のコーティングの形態で提供されているとき、ジャケット10の所望な領域のみを治療薬でコーティングすることにより、達成することができる。または、送達源が独立した嚢またはパッチを含むとき、送達源の部位は、限定された標的領域のみに治療薬を暴露するよう、調整されることができる。例えば、動脈を含む心臓の領域を超えて、抗線維症剤を適用することが所望であり、したがって、未来の冠状動脈修復のための動脈に到達するのが必要であるなら、ジャケットと心臓の間の癒着は全くない。
【0141】
当該分野で知られている固形医薬品の送達装置とは異なり、本発明は、心臓または他の標的組織への治療薬の徐放性、制御放出を提供する、ニットの生体適合性のある材料のジャケットを提供する。送達源がジャケット上にコーティングを含むとき、ジャケット材料は、標的組織と密接な、移動しない接触を保つために、柔軟な装置と同様、治療薬の適用のためのより広い表面領域を提供する。ニット材料の構造により、1以上の治療薬のより大容量を装置が保持することが可能である。さらに、本発明のジャケットは、心臓の下部、心臓の上部または実質的に全心臓表面を包囲するよう適合させることができる。本発明のジャケットに包まれた心臓の表面積にかかわらず、装置の送達源は、いずれかの所望の標的領域、例えば、心臓の特定な表面動脈または虚血もしくは壊死の領域に、位置することができる。
【0142】
本発明は心臓適応に関連して記述したが、ここに記述した方法および説明は、ここに示した教示を用い、身体のさまざまな組織に容易に適合させることができることは、理解される。
【0143】
本発明の好ましい実施の態様が記述されたが、本発明の意図および添付の請求の範囲の範囲から離れることなく、種々の変更、適応および修正がなされることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、心収縮期に示される正常な、健康なヒトの心臓の概略断面図であり;図1Aは心弛緩期の心臓を示す図1の図であり;図1Bは、隔壁から見て、僧帽弁を示す健康な心臓の左心室の図である。
【図2】図2は、心収縮期に示される病気のヒトの心臓の概略断面図であり;図2Aは心弛緩期の心臓を示す図2の図であり;図2Bは疾患心臓を示す図1Bの図である。
【図3】図3は、本発明による心臓束縛装置の第1の実施の態様の透視図であり;図3Aは図3の装置が定位置にある心弛緩期の疾患心臓の側立面図である。
【図4】図4は、本発明による心臓束縛装置の第2の実施の態様の透視図であり;図4Aは、図4の装置が定位置にある心弛緩期の疾患心臓の側立面図である。
【図5】図5は、心筋に重複し、装置の材料をぴったりとしたフィットに引き寄せた、本発明の装置の断面図である。
【図6】図6は、休止状態の本発明の装置のニット構成の拡大図である。
【図7】図7は、図6の材料の概略図である。
【図8】図8は、ジャケットと心筋の間に配置された、非付着性な、生体適合性のある材料を含む本発明による心臓強化装置の実施の態様の透視図である。
【図9】図9は、ジャケットに結合したリブの形態の、非付着性な、生体適合性のある材料を含む、本発明による心臓強化装置の実施の態様の透視図である。

Claims (25)

  1. A−V溝によって分割される上部および下部を有する心臓の心臓病を処置する装置であって、前記装置はジャケットと非付着性材料を含み、
    a.   柔軟な材料の前記ジャケットは、上端と下端との間の容積を規定し、前記ジャケットは心臓に固定されるように適合させられ、心臓の外的なジオメトリにぴったりと合致し、かつ、心弛緩期には最大調整容積を超える心臓の拡張を抑制すると共に、心収縮期には実質的に妨げられることなく心収縮が行なわれるように前記ジャケットを前記最大調整容積と想定し、心臓上で調整されるよう適合させられ、
    b.   前記非付着性材料は前記ジャケットと結合している。
  2. 前記ジャケットが、エラストマー材料を含む請求項1に記載の装置。
  3. 前記ジャケットが、生物分解性材料を含む請求項1に記載の装置。
  4. 前記装置の前記非付着性材料が、前記ジャケットと心臓の表面の間に設置される裏地の形態で提供される請求項1に記載の装置。
  5. 前記装置の前記非付着性材料が、基底から心臓の尖へ伸張する1以上のリブの形態で提供される請求項1に記載の装置。
  6. 前記非付着性材料が、前記ジャケットの一体化した部分として製造される請求項1に記載の装置。
  7. 前記非付着性材料が、前記ジャケットから独立した要素として形成される請求項1に記載の装置。
  8. 前記非付着性材料が、前記ジャケット上のコーティングとして提供される請求項1に記載の装置。
  9. 心臓の表面に1以上の治療薬を送達するための送達源をさらに含む請求項1に記載の装置。
  10. 前記装置が、心臓の表面上の標的領域に、前記1以上の治療薬の局所的な送達を提供する請求項9に記載の装置。
  11. 前記治療薬が、薬物を含む請求項9に記載の装置。
  12. 前記治療薬が、細胞材料を含む請求項9に記載の装置。
  13. 前記送達源が、前記ジャケット上のコーティングを含む請求項9に記載の装置。
  14. 前記送達源が、前記ジャケットから分離可能な要素を含む請求項9に記載の装置。
  15. 1以上の治療薬の送達のための前記送達源が、前記非付着性材料の領域と部分的に重なる前記ジャケットの領域に提供される請求項9に記載の装置。
  16. 前記非付着性材料が、前記治療薬に浸透性である請求項15に記載の装置。
  17. 1以上の治療薬の送達のための前記送達源が、前記非付着性材料の領域から独立した前記ジャケットの領域に提供される請求項9に記載の装置。
  18. 心臓病を処置する方法であって、
    その方法は、
    a. 外科的に心臓にアクセスすること;
    b. 処置装置を心臓上にあてがうこと、その装置はジャケットと非付着材料を含み、
    1) 柔軟な材料の前記ジャケットは上端と下端との間の容積を規定し、前記ジャケットは心臓に固定されるように適合させられ、心臓の外的なジオメトリにぴったりと合致し、かつ、心弛緩期には最大調整容積を超える心臓の周囲拡張を抑制すると共に、心収縮期には実質的に妨げられることなく心収縮が行なわれるように前記ジャケットを前記最大調整容積と想定し、心臓上で調整されるよう適合させられ;
    2) 前記非付着性材料は前記ジャケットと結合している;
    c. 前記処置装置を心臓に固定すること;および
    d. 心臓上に前記処置装置を残すと同時に、心臓へのアクセスを外科的に閉じることを含む。
  19. 前記装置の前記非付着性材料が、前記ジャケットと心臓の表面の間に設置される裏地の形態で提供される請求項18に記載の方法。
  20. 前記装置の前記非付着性材料が、基底から心臓の尖へ伸張する1以上のリブの形態で提供される請求項18に記載の方法。
  21. 前記非付着性材料が、前記ジャケットの一体化した部分として製造される請求項18に記載の方法。
  22. 前記非付着性材料が、前記ジャケットから独立した要素として製造される請求項18に記載の方法。
  23. 前記処置装置が、心臓の表面に1以上の治療薬を送達するための送達源をさらに含む請求項18に記載の方法。
  24. 前記1以上の治療薬が、1以上の薬物を含む請求項23に記載の方法。
  25. 前記1以上の治療薬が、細胞材料を含む請求項23に記載の方法。
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