JP2004502661A - ワックスエステルをベースとする非油性皮膚軟化薬の製造法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アルコールと脂肪酸とのエステル(ワックスエステル)をベースとする、分子量が約600ダルトン未満(好ましくは550ダルトン未満、さらに好ましくは約450ダルトン未満)の非油性皮膚軟化薬を製造する方法に関し、本発明の方法は、
a) 脂肪物質中に含まれているトリグリセリドを、触媒の存在下にて第一アルコールによってエステル交換する工程;
b) 触媒を除去する工程;
c) 残留アルコールを好ましくは漂白剤の存在下にて蒸留し、次いで漂白剤を除去する工程; および
d1) 好ましくは漂白された残留物に対し、残留グリセリドの少なくとも一部が結晶化するよう冷蔵もしくは冷却処置を施し、次いで前記の結晶化した残留グリセリドを除去するか、または
d2) 好ましくは漂白された残留物を水素化する工程;
からなる。
a) 脂肪物質中に含まれているトリグリセリドを、触媒の存在下にて第一アルコールによってエステル交換する工程;
b) 触媒を除去する工程;
c) 残留アルコールを好ましくは漂白剤の存在下にて蒸留し、次いで漂白剤を除去する工程; および
d1) 好ましくは漂白された残留物に対し、残留グリセリドの少なくとも一部が結晶化するよう冷蔵もしくは冷却処置を施し、次いで前記の結晶化した残留グリセリドを除去するか、または
d2) 好ましくは漂白された残留物を水素化する工程;
からなる。
Description
【0001】
本発明は化学薬品の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、非油性皮膚軟化薬の製造法に関する。
【0002】
皮膚軟化薬は、乾燥した皮膚を軟化させるために、また乾燥皮膚の弾力性を向上させるために、化粧品工業および製薬工業において広く使用されている。“皮膚を軟化する(emollient)”とは、触覚と視覚によってもたらされるひとまとまりの知覚を表わしている。触覚によってもたらされる知覚は、軟らかさ、弾力性、及びなめらかさである。視覚によってもたらされる知覚は光沢と無光沢である。
【0003】
多くの種類の皮膚軟化薬が、化粧品出発物質の供給業者から提供されている。こうした皮膚軟化薬は、それらの化学に関して、および2つのファクター(施用時の皮膚軟化効果および皮膚軟化性の残留)に関して互いに異なる。従って、これらの皮膚軟化薬のうち、あるものは保護効果をもち、あるものは高い油性効果を示し、あるものは乾燥の印象を与え、そしてあるものは収斂性効果を有する。
【0004】
ほとんどの皮膚軟化薬は、かなり長い炭素鎖(直鎖状または分岐鎖状)を有する脂肪酸を含んでいることを特徴とする。これらの脂肪酸はそれ自体が、ある程度長い炭素鎖(直鎖状または分岐鎖状)を有するアルコールとエステルの形で結合する。皮膚軟化効果の基礎を構成するのがこれらのエステルと脂肪酸である。一般には、2つのグループのエステルがこういった種類の皮膚軟化薬を構成すると考えられる。すなわち、完全に天然由来のエステルと合成によるエステルであり、この場合、合成とは、アルコールによる脂肪酸のエステル化を意味している。合成によるエステルは通常、飽和脂肪酸から製造される。合成エステルは、酸化に対しては極めて安定であるが、表皮でのいかなる生合成プロセスにも組み込まれる可能性がなくなる。既に確立しているように、必須脂肪酸と呼ばれるポリ不飽和脂肪酸(リノール酸とリノレン酸)は、表皮の酵素によって、経表皮性水分の消失を抑えると思われる他のポリ不飽和脂肪酸(他にも種々の効果を有する)に変換することができる。こうした水分の消失を抑える効果によって皮膚の軟化がもたらされ、天然物質のエステル(たとえば、植物油や植物性油脂、魚油、および動物性脂肪物質)において求められているのがこの皮膚軟化効果である。
【0005】
これらの脂肪物質は全て、グリセロールのトリグリセリドもしくはトリエステルと脂肪酸との混合物からなる。こうした脂肪物質にコンシステンシーを与えるのがこれらエステルにおいて見られる脂肪酸の性質である。従って、飽和脂肪酸中においてこれら脂肪物質の含量が多くなるほど、20℃にて相当量の固形油脂または固形植物油が得られる状態にまでコンシステンシーが増大する。実際上、この温度では固体生成物が得られ、油脂は完全に水素化されている。これとは逆に、不飽和脂肪酸(モノ不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸)の含量が低くなるほど、油脂は20℃にて完全に液状となる可能性が益々高くなる。
【0006】
このことは、不飽和脂肪酸の全含量がしばしば85%以上という組成を有することを特徴とする植物油に対しても当てはまる。オイルの液体コンシステンシーは、皮膚軟化効果の点で1つの利点である。この液体コンシステンシーに、必須脂肪酸(たとえばリノール酸、必須脂肪酸が形成される油質の植物由来の関数として、植物油中に種々の割合にて存在している)の効果が組み込まれる。前述したように、生合成プロセスを介したリノール酸から他の不飽和脂肪酸への変換は大きな保湿効果をもたらし、このことが、表皮を良好な皮膚軟化状態に保持することに寄与する。最後に、植物油を使用する場合は、その中に存在する鹸化できない化合物(たとえば、スクアレン、カロチン、トリテルペンアルコール、およびフィトステロール)が果たす重要な生物学的役割を考慮に入れる必要がある。しかしながら、これらの植物油を完全に水素化して、生物学的活性はないものの酸化に対しては極めて安定な皮膚軟化性脂肪物質を得ることができ、これらの物質は、ある種のクリームを得るのに必要なコンシステンシーを有する。
【0007】
これらの利点はいずれもよく知られているが、それにもかかわらず一般には、植物油と脂肪物質は、皮膚の浸透速度が遅いために、皮膚に施用した後に触れると油性状態であるという重大な欠点を有する。大まかに言うと、分子の経皮浸透速度はその分子量に反比例する。この速度は、400ダルトンの分子量に対しては比較的高いが、この分子量より大きくなると、浸透速度は急激に減少する。しかしながら、植物油中のトリグリセリドの分子量は約870ダルトンであって、400ダルトンよりはるかに大きい。従って、たとえば化粧品配合物や医薬品配合物において使用される植物油は、極めて徐々にしか皮膚に浸透していかないトリグリセリドのために油性であるという印象を与えることがある。
【0008】
従って直面している問題点は、植物油と脂肪物質をベースとした、触れても油性ではない皮膚軟化薬製剤を得るべく、主要な化合物の分子量が約600ダルトン未満(好ましくは約500ダルトン未満、さらに好ましくは約450ダルトン未満)であるような皮膚軟化薬の製造法を見出すことである。第2の目的は、植物油または脂肪物質を変換させること、そして得られた生成物を、脂肪酸と鹸化できない物質の完全性(intactness)が失われず、従って脂肪物質のすべての性質が、油性であるという不都合さを引き起こすことなく利用できるような条件下にて精製することにある。
【0009】
この問題は、
a) 脂肪物質(好ましくは植物由来の脂肪物質)中に含まれているトリグリセリドを、触媒の存在下にて第一アルコール(好ましくは植物由来の第一アルコール)によってエステル交換する工程;
b) 触媒を除去する工程;
c) 残留アルコールを好ましくは漂白剤の存在下にて蒸留し、次いで漂白剤を除去する工程; および
d1) 好ましくは漂白された残留物に対し、残留グリセリドの少なくとも一部が結晶化するよう冷蔵処置もしくは冷却処置を施し、次いで前記の結晶化した残留グリセリドを特に濾過によって除去するか、または
d2) 好ましくは漂白された残留物を水素化する工程;
を含む本発明の方法によって解消される。
【0010】
工程d1)において、前記残留グリセリドは、工程a)における前記第一アルコールによるエステル化によって生じるモノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドである。グリセリドを除去することにより、冷蔵温度(一般には室温、好ましくは少なくとも15℃の温度)にて完全に液状である生成物が得られる。
【0011】
工程d2)において、残留物を水素化すると、より高い融点(一般には、生成物の分子量に応じて25℃〜80℃の融点)を有する生成物が形成される。
本発明においては、“脂肪物質”とは、粗製もしくは精製された植物油または脂質(水素化されていてもよい)、粗製もしくは精製された魚油(水素化されていてもよい)、粗製もしくは精製された動物性脂肪(水素化されていてもよい)、あるいは粗製もしくは精製された無水乳脂(anhydrous dairy fat)(水素化されていてもよい)を表わしている。
【0012】
エステル交換工程において使用するアルコールは、C1−C22アルカノール(alcanol)、C3−C22アルケノール(alcenol)、またはC3−C22枝分かれアルコールから選択することができる。これらの枝分かれアルコールは通常、C1−C8アルキル置換基を有する。C1−C22アルカノールの中では、C4−C18アルカノールが好ましく、特に好ましいのはC6−C18アルカノールである。C3−C22枝分かれアルコールの中では、C8−C22アルコールが好ましい。C1−C22枝分かれ第一アルコール(好ましくはC6〜C18)から得られる脂肪酸エステルを、本発明においてはワックスエステル(wax−ester)と呼ぶ。ワックスエステルという用語は一般には、室温で固体であるような、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルをカバーしている。本明細書ではこの意味を拡大し、本発明に従って得られる、室温で固体または液体であるような、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルをカバーするのにも使用されている。使用する飽和アルコールの鎖長を変えることによって、20℃にて液体である植物油からワックスエステルを得ることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施態様に従って、アルコールは、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、ヘキシルデカノール、またはオレイルアルコールから選択される。
【0014】
工程a)においては、脂肪物質の重量を基準として約30重量%〜約150重量%のアルコールを使用するのが有利である。エステル交換反応の終了時点での残留アルコールの含量は通常、使用した出発アルコールの重量を基準として約20重量%〜約35重量%である。
【0015】
エステル交換反応を起こさせるのに使用される触媒は、アルカリ塩基、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属、または強酸であるのが好ましい。
触媒は、ソーダ、ナトリウムメチラート、金属ナトリウム、または4−トルエンスルホン酸から選択するのが有利である。
【0016】
エステル交換反応は通常、不活性雰囲気(たとえば窒素)下で撹拌しながら、約100℃〜約200℃の温度で約0.5時間〜約10時間行う。
工程b)における触媒の除去は、アルカリタイプの触媒が使用される場合、アルカリ触媒を中和するのに必要な強酸(たとえば、硫酸や塩酸)を、1N〜5Nの水溶液にて化学量論量より約500%過剰量を使用して、室温で約30分〜約1時間撹拌することによって行う。触媒中和プロセスの後に水で洗浄し、このとき各洗浄は、洗浄しようとする生成物の重量を基準として約10重量%〜約20重量%の水を使用して、約80℃〜約100℃の温度で撹拌しながら行う。中和を達成するには、一般には2〜4回の洗浄が必要である。触媒が強酸であるとき、この強酸の除去は、水で直接洗浄することによって行うのが有利である。これらの洗浄プロセスを撹拌しながら約80℃〜約100℃の温度で行うために、洗浄すべき生成物の10重量%〜20重量%に等しい量の水を使用する。洗浄水が中性pHを有するまで、必要とされるだけの洗浄を行う。
【0017】
工程c)における中和生成物中の残留アルコールの蒸留は、約10パスカル〜約100パスカルの絶対圧力にて、約65℃〜約230℃の温度で、一般には約4時間(好ましくは約2時間)行う。前記蒸留プロセスは、蒸留しようとする生成物重量の約0.1重量%〜約1重量%の量の漂白剤(たとえば活性炭)の存在下で行うのが有利である。充分冷却した後に、一般には直接濾過することによって蒸留残留物から漂白剤を分離する。
【0018】
工程d1)における冷蔵プロセスもしくは冷却プロセスは、漂白された蒸留物を約10℃〜約14℃の温度で約1時間〜約4時間にわたって撹拌することによって行い、次いでこの冷蔵もしくは冷却された生成物を濾過する。
【0019】
冷蔵温度もしくは冷却温度は下げることができるが、こうした処置は、本発明によるワックスエステルの一部が結晶化して、結晶化残留グリセリドと共に除去されるという点においてリスクをもたらす。
【0020】
本発明の1つの実施態様によれば、残留アルコールの蒸留後に回収される生成物(残留物)が反応器中で、触媒(たとえば、ニッケルもしくはパラジウムをベースとする触媒)の存在下にて、約1バール〜約20バールの圧力で、約100℃〜約220℃の温度で約2時間〜約8時間にわたって水素化される。こうした条件下において、酸とアルコールの炭素鎖の不飽和部分の全て(不飽和である場合)が水素化され、このとき水素化生成物は1未満のヨウ素価を有する。触媒は、濾紙で直接濾過することによって分離される。
【0021】
工程d1)またはd2)において得られる生成物は、約55重量%〜約95重量%のワックスエステル含量(得られる生成物の重量を基準としたパーセント)を有するのが有利であり、約66重量%〜約90重量%のワックスエステル含量を有するのが好ましく、約70重量%〜約80重量%のワックスエステル含量を有するのがさらに好ましい。
【0022】
他の態様によれば、本発明は、上記のプロセスによって得ることのできる、ワックスエステルをベースとした非油性皮膚軟化薬に関する。本発明の皮膚軟化薬は以下のような特徴をもつ:
− 20℃にて液体状、固体状、または脂質状のコンシステンシー、
− 表皮に対して完全に適合している
− 触れると乾燥していてすべすべしている、
− 広がりやすい、
− 表皮を速やかに浸透する、
− 出発オイルと同一の皮膚特性を有する。
【0023】
本発明による非油性皮膚軟化薬は、
− 66〜95重量%のワックスエステル、
− 0.1〜12重量%のトリグリセリド、
− 3〜20重量%のジグリセリド、および
− 1.5〜10重量%のモノグリセリド(これら4種の成分の合計が100%としての割合)、ならびにほとんど鹸化不可能な物質(一般には約0.1重量%〜約1.5重量%を示す)を含んだ混合物からなる。
【0024】
本発明は、下記の実施例を読めば理解がより深まるであろう。これらの実施例は単に例示のために記載してある。
実施例1
541gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。459gのオレイルアルコールと0.41gの50%ソーダ水溶液を加える。フラスコ中を減圧(5000絶対Pa)にしてから、フラスコを180℃に加熱し、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。180℃に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。フラスコ中での反応を180℃で6時間行ってから冷却する。
【0025】
実施例2
709gの精製扁桃油を一つ口フラスコ中に入れる。291gの1−オクタノールと1.4gのナトリウムメチラートを加える。フラスコ中を5000絶対Paの減圧にしてから、温度を100℃に上げる。100℃に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。次いでフラスコの温度を170℃に上げ、この温度で6時間保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。
【0026】
実施例3
670gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。330gの1−デカノール中に0.5gのナトリウムを溶解して得られる混合物を加える。500絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0027】
実施例4
670gの精製ヒマワリ油を一つ口フラスコ中に入れる。330gの1−デカノールと1.5gの4−トルエンスルホン酸を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を150℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。6時間撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0028】
実施例5
756gの精製サーモン油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを244gのヘキサノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0029】
実施例6
496gの油脂バター(fat butter)を一つ口フラスコ中に入れる。504gのオレイルアルコールと0.45gの50%ソーダ水溶液を加える。フラスコ中を5000絶対Paの減圧にした後、フラスコを180℃に加熱し、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。この温度に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。フラスコ中での反応を180℃で6.5時間行ってから冷却する。
【0030】
実施例7
541gの精製した溶融シアバターを一つ口フラスコ中に入れる。459gのヘキシル−デカノールと1gのナトリウムメチラートを加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を170℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。7時間後、反応を停止する。
【0031】
実施例8
670gの完全水素化菜種油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを330gの1−デカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0032】
実施例9
700gのマカダミア油を一つ口フラスコ中に入れる。0.55gのナトリウムを300gの1−オクタノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で45分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。
【0033】
実施例10
670gの精製ハシバミ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを330gの1−デカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0034】
実施例11
541gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.71gのナトリウムを456gの1−オクタデカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、フラスコの温度を125℃に上げ、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。この温度に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。180℃で6時間反応させてから冷却する。
【0035】
実施例12
実施例3において得られる生成物に対して下記のような処理を施す。生成物を反応フラスコ中にて減圧に保持しつつ、2N硫酸水溶液50mlを加える。温度を90℃に上げ、混合物を15分撹拌してからデカントする。酸性の水相を抜き取り、100mlの水を加え、本混合物を10分撹拌してからデカントする。水によるこの洗浄操作を、中性になるまで2回繰り返す。完全にデカントしてから、生成物を減圧にて95℃で充分に乾燥する。960gの生成物が回収され、これに活性炭を加える。本混合物を、窒素のミクロバブルを通しながら減圧(70Pa)にて蒸留する。蒸留終了時点で流体が達する温度が180℃を越えないように、フラスコを徐々に加熱する。蒸留プロセス中の減圧は約60Paである。3時間後に蒸留を停止する。900gの生成物が蒸留フラスコから回収され、これを濾紙で濾過して活性炭を分離する。880gの黄色液状生成物(やや沈殿物あり)が得られる。冷却液が通るための二重外部被覆物を備えた円筒形反応器中に875gの生成物を入れる。冷却液(前記冷却反応器の二重被覆物中において14℃)を通すことによってこの液体を14.5℃の温度に徐々に冷却し、4時間撹拌してから濾過する。850gの黄色液体が得られ、ほとんど臭気はなく、15℃にて完全に液状である。
【0036】
冷蔵もしくは冷却処置と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる82.2gのワックスエステル、
− 60.9gの1−デシルオクタデセン 9c オエート(オレイン酸デシル), MW=422ダルトン,
− 10.2gの1−デシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 1.8gの1−デシルヘキサデセン 9c オエート(パルミトオレイン酸デシル),
− 2.0gの1−デシルオクタデカノエート 9c10c オエート(ステアリン酸デシル),
− 6.4gの1−デシルオクタデカジエン 9c10c オエート(リノール酸デシル),
− 0.5gの1−デシルオクタデカトリエン 9c10c12c オエート(リノレン酸デシル),
− 0.1gのデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
− 0.3gのデシルエイコセン 11c オエート〔デシルガデオレート(decyl gadeolate)〕,
*5.5gのオリーブトリグリセリド、
*6.0gのオリーブジグリセリド、 および
*4.0gのオリーブモノグリセリド
を含有する。
【0037】
実施例13
実施例12において得られる冷蔵もしくは冷却処置の前の生成物を、撹拌装置を装備した反応器中にて、シリカ担持のニッケルベース触媒(触媒中25%ニッケル)を1%使用して、10バールの圧力にて200℃で6時間水素化する。触媒を濾別した後、ベージュ色がかった白色の生成物が得られ、融点は40℃、ヨウ素価は1未満である。
【0038】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる82.2gのワックスエステル、
− 69.7gの1−デシルオクタデカノエート(ステアリン酸デシル), MW=424ダルトン,
− 11.9gの1−デシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 0.4gのデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
*5.5gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*6.1gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、 および
*4.1gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0039】
実施例14
実施例11において得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られた生成物に0.25重量%の活性炭を加える。60℃に冷却した後、この温度で濾紙により濾過して漂白剤を除去する。次いで、実施例13の場合と同じ条件にて濾液を水素化する。触媒を濾過した後、融点が57℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0040】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる78.0gのワックスエステル、
− 66.3gの1−オクタデシルオクタデカノエート(ステアリン酸デシル), MW=536ダルトン,
− 11.3gの1−オクタデシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 0.4gの1−オクタデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
*6.9gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*5.0gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、 および
*7.6gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0041】
実施例15
750gのオリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを242gのヘキサノール中に溶解して得られる混合物を加える。10000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で30分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られる生成物に0.25重量%の活性炭を加える。次いでこの生成物を、60Paの圧力および180℃の温度で2時間蒸留する。冷却してから生成物を濾紙により濾過する。得られる濾液を、実施例13の場合と同じ条件で水素化する。触媒を濾過した後、融点が25.0℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0042】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる89.1gのワックスエステル、
− 74.9gの1−ヘキシルオクタデカノエート(ステアリン酸ヘキシル), MW=368ダルトン,
− 13.1gの1−ヘキシルヘキサデカノエート(パルミチン酸ヘキシル),
− 1.1gの1−ヘキシルエイコサノエート(アラキジン酸ヘキシル),
*1.1gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、および
*3.4gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0043】
実施例16
600gのオリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.8gのナトリウムを402gの1−テトラデカノール中に溶解して得た混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で30分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られる生成物に0.25重量%の活性炭を加える。次いでこの生成物を、60Paの圧力および200℃の温度で2時間蒸留する。冷却してから生成物を濾紙により濾過する。得られる濾液を、実施例13の場合と同じ条件で水素化する。触媒を濾過した後、融点が48℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0044】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる78.9gのワックスエステル、
− 64.0gの1−テトラデシルオクタデカノエート(ステアリン酸テトラデシル), MW=536ダルトン,
− 13.6gの1−テトラデシルヘキサデカノエート(パルミチン酸テトラデシル),
− 1.3gの1−テトラデシルエイコサノエート(アラキジン酸テトラデシル),
*8.8gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*5.3gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、および
*3.9gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
本発明は化学薬品の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、非油性皮膚軟化薬の製造法に関する。
【0002】
皮膚軟化薬は、乾燥した皮膚を軟化させるために、また乾燥皮膚の弾力性を向上させるために、化粧品工業および製薬工業において広く使用されている。“皮膚を軟化する(emollient)”とは、触覚と視覚によってもたらされるひとまとまりの知覚を表わしている。触覚によってもたらされる知覚は、軟らかさ、弾力性、及びなめらかさである。視覚によってもたらされる知覚は光沢と無光沢である。
【0003】
多くの種類の皮膚軟化薬が、化粧品出発物質の供給業者から提供されている。こうした皮膚軟化薬は、それらの化学に関して、および2つのファクター(施用時の皮膚軟化効果および皮膚軟化性の残留)に関して互いに異なる。従って、これらの皮膚軟化薬のうち、あるものは保護効果をもち、あるものは高い油性効果を示し、あるものは乾燥の印象を与え、そしてあるものは収斂性効果を有する。
【0004】
ほとんどの皮膚軟化薬は、かなり長い炭素鎖(直鎖状または分岐鎖状)を有する脂肪酸を含んでいることを特徴とする。これらの脂肪酸はそれ自体が、ある程度長い炭素鎖(直鎖状または分岐鎖状)を有するアルコールとエステルの形で結合する。皮膚軟化効果の基礎を構成するのがこれらのエステルと脂肪酸である。一般には、2つのグループのエステルがこういった種類の皮膚軟化薬を構成すると考えられる。すなわち、完全に天然由来のエステルと合成によるエステルであり、この場合、合成とは、アルコールによる脂肪酸のエステル化を意味している。合成によるエステルは通常、飽和脂肪酸から製造される。合成エステルは、酸化に対しては極めて安定であるが、表皮でのいかなる生合成プロセスにも組み込まれる可能性がなくなる。既に確立しているように、必須脂肪酸と呼ばれるポリ不飽和脂肪酸(リノール酸とリノレン酸)は、表皮の酵素によって、経表皮性水分の消失を抑えると思われる他のポリ不飽和脂肪酸(他にも種々の効果を有する)に変換することができる。こうした水分の消失を抑える効果によって皮膚の軟化がもたらされ、天然物質のエステル(たとえば、植物油や植物性油脂、魚油、および動物性脂肪物質)において求められているのがこの皮膚軟化効果である。
【0005】
これらの脂肪物質は全て、グリセロールのトリグリセリドもしくはトリエステルと脂肪酸との混合物からなる。こうした脂肪物質にコンシステンシーを与えるのがこれらエステルにおいて見られる脂肪酸の性質である。従って、飽和脂肪酸中においてこれら脂肪物質の含量が多くなるほど、20℃にて相当量の固形油脂または固形植物油が得られる状態にまでコンシステンシーが増大する。実際上、この温度では固体生成物が得られ、油脂は完全に水素化されている。これとは逆に、不飽和脂肪酸(モノ不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸)の含量が低くなるほど、油脂は20℃にて完全に液状となる可能性が益々高くなる。
【0006】
このことは、不飽和脂肪酸の全含量がしばしば85%以上という組成を有することを特徴とする植物油に対しても当てはまる。オイルの液体コンシステンシーは、皮膚軟化効果の点で1つの利点である。この液体コンシステンシーに、必須脂肪酸(たとえばリノール酸、必須脂肪酸が形成される油質の植物由来の関数として、植物油中に種々の割合にて存在している)の効果が組み込まれる。前述したように、生合成プロセスを介したリノール酸から他の不飽和脂肪酸への変換は大きな保湿効果をもたらし、このことが、表皮を良好な皮膚軟化状態に保持することに寄与する。最後に、植物油を使用する場合は、その中に存在する鹸化できない化合物(たとえば、スクアレン、カロチン、トリテルペンアルコール、およびフィトステロール)が果たす重要な生物学的役割を考慮に入れる必要がある。しかしながら、これらの植物油を完全に水素化して、生物学的活性はないものの酸化に対しては極めて安定な皮膚軟化性脂肪物質を得ることができ、これらの物質は、ある種のクリームを得るのに必要なコンシステンシーを有する。
【0007】
これらの利点はいずれもよく知られているが、それにもかかわらず一般には、植物油と脂肪物質は、皮膚の浸透速度が遅いために、皮膚に施用した後に触れると油性状態であるという重大な欠点を有する。大まかに言うと、分子の経皮浸透速度はその分子量に反比例する。この速度は、400ダルトンの分子量に対しては比較的高いが、この分子量より大きくなると、浸透速度は急激に減少する。しかしながら、植物油中のトリグリセリドの分子量は約870ダルトンであって、400ダルトンよりはるかに大きい。従って、たとえば化粧品配合物や医薬品配合物において使用される植物油は、極めて徐々にしか皮膚に浸透していかないトリグリセリドのために油性であるという印象を与えることがある。
【0008】
従って直面している問題点は、植物油と脂肪物質をベースとした、触れても油性ではない皮膚軟化薬製剤を得るべく、主要な化合物の分子量が約600ダルトン未満(好ましくは約500ダルトン未満、さらに好ましくは約450ダルトン未満)であるような皮膚軟化薬の製造法を見出すことである。第2の目的は、植物油または脂肪物質を変換させること、そして得られた生成物を、脂肪酸と鹸化できない物質の完全性(intactness)が失われず、従って脂肪物質のすべての性質が、油性であるという不都合さを引き起こすことなく利用できるような条件下にて精製することにある。
【0009】
この問題は、
a) 脂肪物質(好ましくは植物由来の脂肪物質)中に含まれているトリグリセリドを、触媒の存在下にて第一アルコール(好ましくは植物由来の第一アルコール)によってエステル交換する工程;
b) 触媒を除去する工程;
c) 残留アルコールを好ましくは漂白剤の存在下にて蒸留し、次いで漂白剤を除去する工程; および
d1) 好ましくは漂白された残留物に対し、残留グリセリドの少なくとも一部が結晶化するよう冷蔵処置もしくは冷却処置を施し、次いで前記の結晶化した残留グリセリドを特に濾過によって除去するか、または
d2) 好ましくは漂白された残留物を水素化する工程;
を含む本発明の方法によって解消される。
【0010】
工程d1)において、前記残留グリセリドは、工程a)における前記第一アルコールによるエステル化によって生じるモノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドである。グリセリドを除去することにより、冷蔵温度(一般には室温、好ましくは少なくとも15℃の温度)にて完全に液状である生成物が得られる。
【0011】
工程d2)において、残留物を水素化すると、より高い融点(一般には、生成物の分子量に応じて25℃〜80℃の融点)を有する生成物が形成される。
本発明においては、“脂肪物質”とは、粗製もしくは精製された植物油または脂質(水素化されていてもよい)、粗製もしくは精製された魚油(水素化されていてもよい)、粗製もしくは精製された動物性脂肪(水素化されていてもよい)、あるいは粗製もしくは精製された無水乳脂(anhydrous dairy fat)(水素化されていてもよい)を表わしている。
【0012】
エステル交換工程において使用するアルコールは、C1−C22アルカノール(alcanol)、C3−C22アルケノール(alcenol)、またはC3−C22枝分かれアルコールから選択することができる。これらの枝分かれアルコールは通常、C1−C8アルキル置換基を有する。C1−C22アルカノールの中では、C4−C18アルカノールが好ましく、特に好ましいのはC6−C18アルカノールである。C3−C22枝分かれアルコールの中では、C8−C22アルコールが好ましい。C1−C22枝分かれ第一アルコール(好ましくはC6〜C18)から得られる脂肪酸エステルを、本発明においてはワックスエステル(wax−ester)と呼ぶ。ワックスエステルという用語は一般には、室温で固体であるような、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルをカバーしている。本明細書ではこの意味を拡大し、本発明に従って得られる、室温で固体または液体であるような、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルをカバーするのにも使用されている。使用する飽和アルコールの鎖長を変えることによって、20℃にて液体である植物油からワックスエステルを得ることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施態様に従って、アルコールは、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、ヘキシルデカノール、またはオレイルアルコールから選択される。
【0014】
工程a)においては、脂肪物質の重量を基準として約30重量%〜約150重量%のアルコールを使用するのが有利である。エステル交換反応の終了時点での残留アルコールの含量は通常、使用した出発アルコールの重量を基準として約20重量%〜約35重量%である。
【0015】
エステル交換反応を起こさせるのに使用される触媒は、アルカリ塩基、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属、または強酸であるのが好ましい。
触媒は、ソーダ、ナトリウムメチラート、金属ナトリウム、または4−トルエンスルホン酸から選択するのが有利である。
【0016】
エステル交換反応は通常、不活性雰囲気(たとえば窒素)下で撹拌しながら、約100℃〜約200℃の温度で約0.5時間〜約10時間行う。
工程b)における触媒の除去は、アルカリタイプの触媒が使用される場合、アルカリ触媒を中和するのに必要な強酸(たとえば、硫酸や塩酸)を、1N〜5Nの水溶液にて化学量論量より約500%過剰量を使用して、室温で約30分〜約1時間撹拌することによって行う。触媒中和プロセスの後に水で洗浄し、このとき各洗浄は、洗浄しようとする生成物の重量を基準として約10重量%〜約20重量%の水を使用して、約80℃〜約100℃の温度で撹拌しながら行う。中和を達成するには、一般には2〜4回の洗浄が必要である。触媒が強酸であるとき、この強酸の除去は、水で直接洗浄することによって行うのが有利である。これらの洗浄プロセスを撹拌しながら約80℃〜約100℃の温度で行うために、洗浄すべき生成物の10重量%〜20重量%に等しい量の水を使用する。洗浄水が中性pHを有するまで、必要とされるだけの洗浄を行う。
【0017】
工程c)における中和生成物中の残留アルコールの蒸留は、約10パスカル〜約100パスカルの絶対圧力にて、約65℃〜約230℃の温度で、一般には約4時間(好ましくは約2時間)行う。前記蒸留プロセスは、蒸留しようとする生成物重量の約0.1重量%〜約1重量%の量の漂白剤(たとえば活性炭)の存在下で行うのが有利である。充分冷却した後に、一般には直接濾過することによって蒸留残留物から漂白剤を分離する。
【0018】
工程d1)における冷蔵プロセスもしくは冷却プロセスは、漂白された蒸留物を約10℃〜約14℃の温度で約1時間〜約4時間にわたって撹拌することによって行い、次いでこの冷蔵もしくは冷却された生成物を濾過する。
【0019】
冷蔵温度もしくは冷却温度は下げることができるが、こうした処置は、本発明によるワックスエステルの一部が結晶化して、結晶化残留グリセリドと共に除去されるという点においてリスクをもたらす。
【0020】
本発明の1つの実施態様によれば、残留アルコールの蒸留後に回収される生成物(残留物)が反応器中で、触媒(たとえば、ニッケルもしくはパラジウムをベースとする触媒)の存在下にて、約1バール〜約20バールの圧力で、約100℃〜約220℃の温度で約2時間〜約8時間にわたって水素化される。こうした条件下において、酸とアルコールの炭素鎖の不飽和部分の全て(不飽和である場合)が水素化され、このとき水素化生成物は1未満のヨウ素価を有する。触媒は、濾紙で直接濾過することによって分離される。
【0021】
工程d1)またはd2)において得られる生成物は、約55重量%〜約95重量%のワックスエステル含量(得られる生成物の重量を基準としたパーセント)を有するのが有利であり、約66重量%〜約90重量%のワックスエステル含量を有するのが好ましく、約70重量%〜約80重量%のワックスエステル含量を有するのがさらに好ましい。
【0022】
他の態様によれば、本発明は、上記のプロセスによって得ることのできる、ワックスエステルをベースとした非油性皮膚軟化薬に関する。本発明の皮膚軟化薬は以下のような特徴をもつ:
− 20℃にて液体状、固体状、または脂質状のコンシステンシー、
− 表皮に対して完全に適合している
− 触れると乾燥していてすべすべしている、
− 広がりやすい、
− 表皮を速やかに浸透する、
− 出発オイルと同一の皮膚特性を有する。
【0023】
本発明による非油性皮膚軟化薬は、
− 66〜95重量%のワックスエステル、
− 0.1〜12重量%のトリグリセリド、
− 3〜20重量%のジグリセリド、および
− 1.5〜10重量%のモノグリセリド(これら4種の成分の合計が100%としての割合)、ならびにほとんど鹸化不可能な物質(一般には約0.1重量%〜約1.5重量%を示す)を含んだ混合物からなる。
【0024】
本発明は、下記の実施例を読めば理解がより深まるであろう。これらの実施例は単に例示のために記載してある。
実施例1
541gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。459gのオレイルアルコールと0.41gの50%ソーダ水溶液を加える。フラスコ中を減圧(5000絶対Pa)にしてから、フラスコを180℃に加熱し、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。180℃に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。フラスコ中での反応を180℃で6時間行ってから冷却する。
【0025】
実施例2
709gの精製扁桃油を一つ口フラスコ中に入れる。291gの1−オクタノールと1.4gのナトリウムメチラートを加える。フラスコ中を5000絶対Paの減圧にしてから、温度を100℃に上げる。100℃に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。次いでフラスコの温度を170℃に上げ、この温度で6時間保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。
【0026】
実施例3
670gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。330gの1−デカノール中に0.5gのナトリウムを溶解して得られる混合物を加える。500絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0027】
実施例4
670gの精製ヒマワリ油を一つ口フラスコ中に入れる。330gの1−デカノールと1.5gの4−トルエンスルホン酸を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を150℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。6時間撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0028】
実施例5
756gの精製サーモン油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを244gのヘキサノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0029】
実施例6
496gの油脂バター(fat butter)を一つ口フラスコ中に入れる。504gのオレイルアルコールと0.45gの50%ソーダ水溶液を加える。フラスコ中を5000絶対Paの減圧にした後、フラスコを180℃に加熱し、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。この温度に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。フラスコ中での反応を180℃で6.5時間行ってから冷却する。
【0030】
実施例7
541gの精製した溶融シアバターを一つ口フラスコ中に入れる。459gのヘキシル−デカノールと1gのナトリウムメチラートを加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を170℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。7時間後、反応を停止する。
【0031】
実施例8
670gの完全水素化菜種油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを330gの1−デカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0032】
実施例9
700gのマカダミア油を一つ口フラスコ中に入れる。0.55gのナトリウムを300gの1−オクタノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で45分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。
【0033】
実施例10
670gの精製ハシバミ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを330gの1−デカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を125℃に上げる。この温度に達したら、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。125℃で30分撹拌すると、エステル交換反応が所望のレベルに達する。
【0034】
実施例11
541gの精製オリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.71gのナトリウムを456gの1−オクタデカノール中に溶解して得られる混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、フラスコの温度を125℃に上げ、内容物を撹拌して反応媒体を均一にする。この温度に達したら、減圧を止め、反応媒体周りの雰囲気を窒素で加圧する。180℃で6時間反応させてから冷却する。
【0035】
実施例12
実施例3において得られる生成物に対して下記のような処理を施す。生成物を反応フラスコ中にて減圧に保持しつつ、2N硫酸水溶液50mlを加える。温度を90℃に上げ、混合物を15分撹拌してからデカントする。酸性の水相を抜き取り、100mlの水を加え、本混合物を10分撹拌してからデカントする。水によるこの洗浄操作を、中性になるまで2回繰り返す。完全にデカントしてから、生成物を減圧にて95℃で充分に乾燥する。960gの生成物が回収され、これに活性炭を加える。本混合物を、窒素のミクロバブルを通しながら減圧(70Pa)にて蒸留する。蒸留終了時点で流体が達する温度が180℃を越えないように、フラスコを徐々に加熱する。蒸留プロセス中の減圧は約60Paである。3時間後に蒸留を停止する。900gの生成物が蒸留フラスコから回収され、これを濾紙で濾過して活性炭を分離する。880gの黄色液状生成物(やや沈殿物あり)が得られる。冷却液が通るための二重外部被覆物を備えた円筒形反応器中に875gの生成物を入れる。冷却液(前記冷却反応器の二重被覆物中において14℃)を通すことによってこの液体を14.5℃の温度に徐々に冷却し、4時間撹拌してから濾過する。850gの黄色液体が得られ、ほとんど臭気はなく、15℃にて完全に液状である。
【0036】
冷蔵もしくは冷却処置と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる82.2gのワックスエステル、
− 60.9gの1−デシルオクタデセン 9c オエート(オレイン酸デシル), MW=422ダルトン,
− 10.2gの1−デシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 1.8gの1−デシルヘキサデセン 9c オエート(パルミトオレイン酸デシル),
− 2.0gの1−デシルオクタデカノエート 9c10c オエート(ステアリン酸デシル),
− 6.4gの1−デシルオクタデカジエン 9c10c オエート(リノール酸デシル),
− 0.5gの1−デシルオクタデカトリエン 9c10c12c オエート(リノレン酸デシル),
− 0.1gのデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
− 0.3gのデシルエイコセン 11c オエート〔デシルガデオレート(decyl gadeolate)〕,
*5.5gのオリーブトリグリセリド、
*6.0gのオリーブジグリセリド、 および
*4.0gのオリーブモノグリセリド
を含有する。
【0037】
実施例13
実施例12において得られる冷蔵もしくは冷却処置の前の生成物を、撹拌装置を装備した反応器中にて、シリカ担持のニッケルベース触媒(触媒中25%ニッケル)を1%使用して、10バールの圧力にて200℃で6時間水素化する。触媒を濾別した後、ベージュ色がかった白色の生成物が得られ、融点は40℃、ヨウ素価は1未満である。
【0038】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる82.2gのワックスエステル、
− 69.7gの1−デシルオクタデカノエート(ステアリン酸デシル), MW=424ダルトン,
− 11.9gの1−デシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 0.4gのデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
*5.5gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*6.1gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、 および
*4.1gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0039】
実施例14
実施例11において得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られた生成物に0.25重量%の活性炭を加える。60℃に冷却した後、この温度で濾紙により濾過して漂白剤を除去する。次いで、実施例13の場合と同じ条件にて濾液を水素化する。触媒を濾過した後、融点が57℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0040】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる78.0gのワックスエステル、
− 66.3gの1−オクタデシルオクタデカノエート(ステアリン酸デシル), MW=536ダルトン,
− 11.3gの1−オクタデシルヘキサデカノエート(パルミチン酸デシル),
− 0.4gの1−オクタデシルエイコサノエート(アラキジン酸デシル),
*6.9gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*5.0gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、 および
*7.6gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0041】
実施例15
750gのオリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.5gのナトリウムを242gのヘキサノール中に溶解して得られる混合物を加える。10000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で30分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られる生成物に0.25重量%の活性炭を加える。次いでこの生成物を、60Paの圧力および180℃の温度で2時間蒸留する。冷却してから生成物を濾紙により濾過する。得られる濾液を、実施例13の場合と同じ条件で水素化する。触媒を濾過した後、融点が25.0℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0042】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる89.1gのワックスエステル、
− 74.9gの1−ヘキシルオクタデカノエート(ステアリン酸ヘキシル), MW=368ダルトン,
− 13.1gの1−ヘキシルヘキサデカノエート(パルミチン酸ヘキシル),
− 1.1gの1−ヘキシルエイコサノエート(アラキジン酸ヘキシル),
*1.1gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、および
*3.4gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
【0043】
実施例16
600gのオリーブ油を一つ口フラスコ中に入れる。0.8gのナトリウムを402gの1−テトラデカノール中に溶解して得た混合物を加える。5000絶対Paの減圧にした後、温度を100℃に上げる。この温度に達したら、減圧を止め、フラスコ中の雰囲気を窒素で幾らか加圧する。フラスコの温度を125℃に上げ、この温度で30分保持する。次いでフラスコを室温に冷却する。得られる生成物に対し、実施例12における生成物の場合と同じ処置(2Nの硫酸で洗浄することにより触媒を除去)を施す。洗浄水を除去した後、得られる生成物に0.25重量%の活性炭を加える。次いでこの生成物を、60Paの圧力および200℃の温度で2時間蒸留する。冷却してから生成物を濾紙により濾過する。得られる濾液を、実施例13の場合と同じ条件で水素化する。触媒を濾過した後、融点が48℃でヨウ素価が1未満の生成物が得られる。
【0044】
水素化と濾過の後に得られる生成物は、生成物の重量100g当たり、
*下記の成分からなる78.9gのワックスエステル、
− 64.0gの1−テトラデシルオクタデカノエート(ステアリン酸テトラデシル), MW=536ダルトン,
− 13.6gの1−テトラデシルヘキサデカノエート(パルミチン酸テトラデシル),
− 1.3gの1−テトラデシルエイコサノエート(アラキジン酸テトラデシル),
*8.8gのトリグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、
*5.3gのジグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)、および
*3.9gのモノグリセリド(パルミチン酸エステル14.5%、ステアリン酸エステル85.0%、アラキジン酸エステル0.5%)
を含有する。
Claims (15)
- アルコールと脂肪酸とのエステルすなわちワックスエステルをベースとする、約600ダルトン未満、好ましくは550ダルトン未満、さらに好ましくは約450ダルトン未満の分子量を有する非油性皮膚軟化薬を製造するための方法であって、
a) 脂肪物質中に含まれているトリグリセリドを、触媒の存在下にて第一アルコールによってエステル交換する工程;
b) 触媒を除去する工程;
c) 残留アルコールを好ましくは漂白剤の存在下にて蒸留し、次いで漂白剤を除去する工程; および
d1) 好ましくは漂白された残留物に対し、残留グリセリドの少なくとも一部が結晶化するよう冷蔵もしくは冷却処置を施し、次いで前記の結晶化した残留グリセリドを除去するか、または
d2) 好ましくは漂白された残留物を水素化する工程;
からなる前記製造法。 - 工程a)において使用されるアルコールが、C1−C22アルカノール、C3−C22アルケノール、またはC3−C22枝分かれアルコールである、請求項1記載の製造法。
- 前記アルコールが、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、ヘキシルデカノール、またはオレイルアルコールから選択される、請求項2記載の製造法。
- アルコールの使用量が脂肪物質の重量を基準として約30重量%〜約150重量%である、請求項2または3に記載の製造法。
- 工程a)において使用される触媒が、アルカリ塩基、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属、または強酸から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造法。
- 前記触媒が、ソーダ、ナトリウムメチラート、金属ナトリウム、または4−トルエンスルホン酸から選択される、請求項5記載の製造法。
- 前記エステル交換反応が、約100℃〜約200℃の温度にて好ましくは不活性雰囲気下で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造法。
- エステル交換反応の終了時点における残留アルコールの含量が、最初のアルコール使用量を基準として一般には約20重量%〜約35重量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造法。
- 前記触媒を工程b)において、可能な限り強酸で処理する前に、洗浄水が中性pHに達するまで約80℃〜約100℃の温度にて水で洗浄することによって除去する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造法。
- 工程c)における残留アルコールの蒸留を、10〜100パスカルの範囲の圧力下にて約65℃〜230℃の温度で行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造法。
- 工程c)における残留アルコールの蒸留を、蒸留すべき生成物の重量を基準として約0.1重量%〜約1重量%の量の漂白剤の存在下で行う、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造法。
- 工程d1)における漂白残留物の冷蔵もしくは冷却処置を約10℃〜約14℃の温度で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造法。
- 冷蔵もしくは冷却処置された生成物または漂白残留物の水素化を、約1バール〜約20バールの水素圧力下にて約100℃〜約220℃の温度で行う、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造法。
- 工程d1)または工程d2)の終了時点において得られる生成物において、脂肪酸と脂肪アルコールエステル(ワックスエステル)との合計含量が約55重量%〜約95重量%である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造法。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造法によって得られる可能性のある、脂肪酸と脂肪アルコールエステル(ワックスエステル)とをベースとする非油性皮膚軟化薬。
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