JP2004502299A - 単一ウエハチャンバにおける多結晶シリコンの結晶構造制御 - Google Patents

単一ウエハチャンバにおける多結晶シリコンの結晶構造制御 Download PDF

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Abstract

多結晶シリコン膜を形成するための方法及び装置。本発明によれば、シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物をチャンバへ供給する。そのプロセスガス混合物から多結晶シリコン膜が形成される。
【選択図】1

Description

【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、半導体処理の分野に関し、更に詳細には、シリコン膜の結晶構造を制御するための方法及び装置に関する。
【0002】
2.関連技術の説明
マイクロプロセッサやメモリのような複雑で高密度の集積回路を製造するために、デバイス形状は絶えず縮小されなければならない。デバイス密度を高めるために縮小されなければならない重要な形状は、MOSトランジスタのポリシリコンゲートの長さと対応するポリシリコンの厚さである。現在のポリシリコン堆積プロセスは、図6に示されるように大きな柱状粒子604を持つポリシリコン膜602を形成するものである。トランジスタゲートの長さは0.18ミクロン未満まで小さくされるので、大きな柱状粒子604はトランジスタの性能に重要な役割を果たし始めている。膜の抵抗を降下させるためにポリシリコン膜に後で添加されるドーパント606には、ポリシリコン膜602全体に拡散させるために粒界608が使われる。従来技術のプロセスにおいては粒子604が大きな柱状ドーパントであることから、拡散が制限され、ドープされていないポリシリコンの領域610を、特にポリシリコン602/ゲート誘電体612インタフェースに生じる。ポリデプレション効果として知られるドーパントの一様な分布の欠除は、製造されたトランジスタ、特にゲート長さが0.18ミクロンより小さいトランジスタの性能に有害な影響を及ぼす。
【0003】
従って、狭い幅のゲート長電極がポリデプレション効果を受けずに製造され得るような小さなランダム粒子でポリシリコン膜を形成する方法が求められている。
【0004】
発明の要約
多結晶シリコン膜を形成するための方法及び装置。本発明によれば、シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物を含んでいるプロセスガス混合物をチャンバへ供給する。そのプロセスガス混合物から多結晶シリコン膜が形成される。
【0005】
本発明の詳細な説明
説明のための次の記述においては、本発明の十分な理解を得るために多くの個々の詳細が示されている。しかしながら、本発明が個々の詳細を含めずに実施することができることは当業者に明らかである。ある例においては、個々の装置の構造と方法が本発明を鮮明にするように記載されていない。
【0006】
本発明は、多結晶シリコン膜を堆積させるための方法と装置である。本発明によれば、基板又はウエハをチャンバ内の支持体上に載置する。次に支持体を加熱し、チャンバ内の所望の圧力を維持する。次にシラン(SiH)又はジシラン(SiH)に限定されないようなシリコン源ガスと、Hと、窒素(N)、ヘリウム(He)、又はアルゴン(Ar)に限定されないような不活性ガスとを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物をチャンバへ供給する。水素ガスは、典型的には希釈ガス混合物の8〜20体積%であり、好ましくは10〜15体積%である。基板又は支持体からの加熱は、シリコン源ガスを熱的に分解させ、ウエハ上に多結晶シリコン膜を形成させる。Hが希釈ガス混合物中に含まれることから、堆積したシリコンの結晶配列は<220>配列とは反対に<111>で占められている。本発明のプロセスは、柱状構造とは反対にランダム粒子構造を持つ多結晶シリコン膜を与え、平均粒度は50〜500オングストロームである。ランダム粒子多結晶シリコン膜は、続いてのイオン注入ステップ中にドーパントが小粒子によってゲート/ゲート酸化物インタフェースに容易にかつ一様に拡散され、よってポリデプレション効果が排除されることからゲート電極としての使用が理想的である。更に、本発明のランダム粒子ポリシリコン膜は、また、シリコン膜の小さくランダムな粒子構造が六フッ化タングステン(WF)を用いた化学気相成長(CVD)によるタングステン又はタングステンシリサイドの堆積中にフッ素がゲート誘電体へ侵入することを阻止する非常に有効なバリヤであり得ることから電極又は相互接続部のポリシリコン/タングステンシリサイド膜の形成に有効である。本発明の多結晶シリコン堆積プロセスは、アルミニウム側壁と抵抗ヒータが含まれた窒化アルミニウムウエハ支持体をもちかつチャンバ内へのガス注入用オーバーヘッドシャワを持つサーマル堆積チャンバでの使用が理想的である。
【0007】
本発明は抵抗加熱処理チャンバに相対して記載されるが、他のタイプの処理チャンバも本明細書に記載される手法とともに用いることができることは理解されるべきである。
【0008】
図面を参照すると、低圧化学気相成長(LPCVD)チャンバが記載されている。図1〜図3は、各々本発明を実施するのに用いられる抵抗リアクタのようなあるタイプのリアクタを示す断面図である。図1〜3は、各々2つの異なる断面によるチャンバを示す断面図である、それぞれの断面はチャンバのほぼ1/2を示している図である。
【0009】
図1〜3に示されるLPCVDチャンバ100は、この実施形態においては100Torrより大きい圧力が維持され得るような材料から作られている。説明のために大体5〜6リットルの範囲のチャンバが記載されている。図1には、“ウエハプロセス”位置でのプロセスチャンバ本体45の内部が示されている。図2には、“ウエハ装填”位置でのチャンバの同じ図が示されている。図3には、“ウエハ装填”位置でのチャンバの同じ側断面図が示されている。各例においてウエハ500はチャンバ内での場所を示すために破線で示されている。
【0010】
図1〜図3は、プロセスガス又はガスの熱分解が行われてウエハ上に膜を形成する反応チャンバ90(例えば、CVD反応)を画成するチャンバ本体45を示している。チャンバ本体45は、実施形態においてはアルミニウムから作られ、チャンバ45を冷却するために(例えば、“コールドウォール”反応チャンバ)ポンプで送られるウエハの通路55を有する。チャンバ90内には、この図ではシャフト65で支持されたサセプタ5を含む抵抗ヒータ80がある。サセプタ5は、半導体ウエハ500(破線で示されている)のような基板を支持するのに十分な表面積を有する。
【0011】
プロセスガスは、チャンバ本体45のチャンバリッド30の上面のガス分配口20を通って密封されたチャンバ90に入る。次にプロセスガスは、ウエハの表面積とほぼ一致する領域にガスを配分するためにブロッカープレート25を通過する。その後、この図では、プロセスガスは抵抗ヒータ80の上にありかつチャンバ内部でチャンバリッド30に結合した貫通面板25を通って配分される。この実施形態においてブロッカープレートと面板25との組合わせの目的は、基板、例えば、ウエハでのプロセスガスの一様な分配を作り出すためである。
【0012】
ウエハのような基板500は、チャンバ90においてはチャンバ本体45の側面部のエントリポート40を通ってヒータ80のサセプタ5上に載置される。処理するウエハを適合させるために、サセプタ5の表面が図3に示されるようにエントリポート40の下にあるようにヒータ80が下げられる。典型的にはロボット搬送メカニズムによって、ウエハは、例えば、搬送ブレード41によってサセプタの上面のチャンバ90へ装填される。装填されると、エントリ40は密封され、ヒータ80は、例えば、ステップモータであるリフタアセンブリ60によって面板25に向かって上(例えば、上方)方向に進められる。ウエハ500が面板25から近い距離(例えば、400〜700mil)であるときに進行が停止する(図1参照)。ウエハ処理位置においては、チャンバ90はほとんど2つのゾーンに分けられ、第1ゾーンはサセプタ5の上面より上であり、第2ゾーンはサセプタ5の下面より下である。一般的には、ポリシリコン膜形成を第1ゾーンに限定することが望ましい。
【0013】
この点で、ガスパネルによって制御されたプロセスガスはガス分配口20を通り、ブロッカープレート24と貫通面板25を通ってチャンバ90へ流れ込む。プロセスガスは熱分解されてウエハ上に膜を形成する。同時に、不活性ボトムパージガス、例えば、窒素が第2チャンバゾーンに導入されてそのゾーンでの膜形成を阻止する。圧力制御システムにおいては、チャンバ90内の圧力を設定し、チャンバ90に結合した1以上の圧力調整器によって維持する。一実施形態においては、例えば、圧力が設定され、当該技術において既知のチャンバ本体45に結合したベアトーン圧力調整器によって維持される。この実施形態においては、ベアトーン圧力調整器によって圧力が150Torr以上のレベルに維持されている。
【0014】
残留プロセスガスは、チャンバ90からポンププレート85を通ってチャンバ本体45の側面の収集容器(真空排出部31)へポンプで送られる。ポンププレート85は2つの流れ領域を作り、結果として基板上に一様なシリコン層を作るガスフローパターンになる。
【0015】
装置の外に配置されたポンプ32は、ポンプチャネル4140(図1〜3ではチャネル414の下)内を真空圧力にしてプロセスガスとパージガスの双方を真空排気部31を通ってチャンバ90から排出させる。ガスは排出コンジット33に沿ってチャンバ90から排出する。チャネルを通る排出ガスの流量は、コンジット33に沿って配置されたスロットルバルブ34で制御されることが好ましい。処理チャンバ90内の圧力は、センサ(図示せず)によってモニタされ、スロットルバルブ34でコンジット33の断面積を変えることにより制御される。好ましくは、チャンバ圧を表示しかつスロットルバルブ34を調整してチャンバ90内に所望の圧力を維持するセンサからの信号をコントローラ又はプロセッサが受信する。本発明と共に用いるのに適したスロットルバルブは、Murdochに発行されApplied Materials, Inc.に譲渡された米国特許第5,000,225号に記載されており、その全開示内容は本明細書に援用されている。
【0016】
ウエハ処理が完了すると、チャンバ90は、例えば、窒素のような不活性ガスでパージすることができる。処理しパージした後、ヒータ80は図2に示される位置までリフタアセンブリ60によって下方向に進められる(例えば、下げられる)。ヒータ80が移動するにつれて、一端がサセプタ95の表面に開口又はスルーボアを通って伸び、もう一端がサセプタ5の下(例えば、下方)面からカンチレバー取り付け方式で伸びているリフトピン95がチャンバ90の底に配置されたリフトプレート75と接触する。図2に示されるように、実施形態においてはその点でリフトプレート75がウエハ処理位置に保たれている(即ち、プレートが図1にあった同じ位置)。ヒータ80がアセンブリ60の作用によって下方向に移動し続けるにつれて、リフトピン95は静止したままであり、最後にはサセプタ5の上又はサセプタ5の上面に伸びて処理したウエハをサセプタ5の表面から分離する。サセプタ5の表面は、開口40の下の位置まで移動する。
【0017】
処理したウエハをサセプタ5から分離するとすぐにロボットメカニズムの搬送ブレード41が開口40を通ってリフトピン95のヘッドの下に挿入され、ウエハがリフトピンによって支持される。次に、リフタアセンブリ60がヒータ80を下に移動させ(例えば、下げ)、プレート75を“ウエハ装填”位置まで上げる。リフトプレート75を下方向に移動することにより、処理されたウエハの表面が搬送ブレードと接触するまで下方向に移動する。次に処理されたウエハは、エントリポート40を通って、例えば、ウエハを取り出すと共にウエハを次の処理ステップに搬送するロボット搬送メカニズムによって取り出される。次に第2ウエハをチャンバ90へ装填することができる。一般的には、上記ステップによって逆にウエハがプロセス位置に運ばれる。適切なリフタアセンブリ60の詳細な説明は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.に譲渡された米国特許第5,772,773号に記載されている。
【0018】
多結晶シリコン膜を形成するLPCVD処理のような高温動作においては、チャンバ90内部のヒータ温度は750℃以上になり得る。従って、チャンバ90内に露出された部品はそのような高温処理と適合しなければならない。そのような材料は、そのような高温処理と適合しなければならない。そのような材料は、チャンバ90に導入することができるプロセスガスと他の薬品、例えば、洗浄薬品(例えば、NF)とも適合しなければならない。ヒータ80の露出面は、材料がプロセスと適合しているのであれば種々の材料から構成されてもよい。例えば、ヒータ80のシャフト65とサセプタ5とは、同じ窒化アルミニウム材料から構成されてもよい。また、サセプタ5の表面は、熱導電性が140W/mKの高熱導電性窒化アルミニウム材料(95%のオーダーで)から構成されてもよく、シャフト65はそれより低い導電性窒化アルミニウムから構成される。ヒータ80のサセプタ5は、典型的には拡散結合或いはろう付けによってシャフト65に結合される。そのような結合がチャンバ90の環境に耐えるようなものである。
【0019】
図1は、サセプタ5の本体の断面とシャフト65の断面を含んでいるヒータ80の一部を示す断面図である。この図においては、図1は、2つの加熱素子、第1加熱素子50と第2加熱素子57が形成されたサセプタ5の本体を示す図である。各加熱素子(例えば、加熱素子50と加熱素子57)はサセプタの材料と同じ熱膨張係数を持つ材料から作られている。適切な材料としてはモリブデン(Mo)が含まれる。各加熱素子としては、コイル構造でのモリブデン材料の薄層が含まれる。
【0020】
図1においては、第2加熱素子57は第1加熱素子50の下にある(図ではサセプタの表面に相対して)サセプタ5の本体の面に形成されている。第1加熱素子50と第2加熱素子57は別々に電力端末に結合されている。電力端末は、縦に伸びている開口を通ってシャフト65を通ってサセプタ5の表面を加熱するために必要なエネルギーを供給する電源で導電鉛として下方向に伸びている。2つの高温計、第1パイロメータ10と第2パイロメータ15がチャンバリッド内の開口を通って伸びている。各高温計は、サセプタ5の表面(又はサセプタ5上のウエハの表面)の温度についてのデータを示している。図1に示されるようにヒータ80の断面に熱電対の存在が示されている。熱電対70は、縦に伸びている開口を通りシャフト65を通ってサセプタ5の上面のすぐ下の点まで伸びている。
【0021】
多結晶シリコン膜を小さなランダム粒子で堆積させる方法は、ここでは図4のフローチャート400と図1〜図3の低圧化学気相成長(LPCVD)チャンバについて記載する。
【0022】
本発明によれば、フローチャート400のブロック402に示されるように、まずウエハ又は基板を堆積チャンバ90内に配置する。堆積した多結晶シリコン膜が半導体集積回路のトランジスタのゲート電極として用いられる本発明の実施形態においては、基板500は図5aに示されるように酸化ケイ素又はオキシ窒化ケイ素のようなゲート誘電層504が形成されたドープシリコンウエハ502である。ポリシリコン膜が相互接続部又はキャパシタ電極として用いられる場合には、ポリシリコン膜はドープシリコンウエハ502上に形成された中間層誘電対504上に形成される。ウエハ500は、図3に示されるように搬送ブレード41によってチャンバ90に運ばれる。次にヒータは、図1に示されるようにウエハ装填位置からウエハ処理位置に上げられる。
【0023】
次に、ブロック404に示されるように、所望の堆積圧と温度が得られ、チャンバ90内で安定化される。圧力と温度を安定化しつつ、N、He、Hr、Hのような安定化ガス、又はその組合わせがチャンバ90に導入される。本発明の好適実施形態においては、続いてのポリシリコン堆積に用いられる希釈ガスの流量と濃度は温度と圧力を安定化するために用いられる。安定化のために希釈ガスを用いると、ポリシリコン堆積の前に希釈ガス流量と濃度の安定化が可能になる。
【0024】
本発明の実施形態においては、チャンバを150〜350Torrの圧力にし、200〜275Torrが好ましく、ヒータ温度を700〜740℃、好ましくは710〜720℃に上げ、希釈ガスを10〜30slmの流量でチャンバ90へ供給する。本発明によれば、希釈ガスはHと、窒素(N)、アルゴン(Ar)、又はヘリウム(He)のようなこれらに限定されない不活性ガス、又はその組合わせとから成るものである。本発明のための不活性ガスはポリシリコン膜を堆積させるために用いられる反応によって使用されず、相互作用もせず、また、ポリシリコン膜堆積中にチャンバ部品と相互作用しないガスである。本発明の好適実施形態においては、不活性ガスは窒素(N)のみから成るものである。本発明の実施形態においては、Hは希釈ガス混合物の8体積%より多く、20体積%未満であり、希釈ガス混合物のHは好ましくは10〜15体積%である。
【0025】
本発明の希釈ガスの十分なH/不活性ガス濃度比は、続いて堆積したポリシリコン膜が<220>結晶配列に比べて<111>結晶配列で占められるような比率である。更に、希釈ガス混合物の十分なH/不活性ガス濃度比は、続いて堆積した多結晶シリコン膜が、平均粒度が50〜500オングストロームのランダム粒子構造を持つような比率である。
【0026】
本発明の実施形態においては、希釈ガス混合物は2つの別の成分でチャンバ90に供給される。希釈ガス混合物の第1成分は、チャンバリッド30の分配口20によって供給される。第1成分は、希釈ガス混合物に用いられるH全部と希釈ガス混合物に用いられる不活性ガスの一部(典型的には約2/3)から成る。希釈ガス混合物の第2成分は、ヒータ80のチャンバ90の下の方の部分に供給され、希釈ガス混合物に用いられる不活性ガスの残りの部分(典型的には約1/3)から成る。底のチャンバ部分を通って不活性ガスの一部を供給することは、多結晶シリコン膜がチャンバの下の方の部分の部品上に堆積することを防止することを援助するためである。本発明の実施形態においては、8〜18slm、好ましくは約9slmの不活性ガス(好ましくはN)が上の分配プレート20を通って供給され、3〜10slm、好ましくは4〜6slmの不活性ガス(好ましくはN)がチャンバ90の底又は下の部分に供給される。希釈ガス混合物中の所望の%のHと不活性ガスとは分配口20に入れる前に混合される。
【0027】
次に、温度、圧力、ガス流量が安定化されると、シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物を含んでいるプロセスガス混合物がチャンバ90に供給されて図5bに示されるように基板500上に多結晶シリコン膜506を堆積する。本発明の好適実施形態においては、シリコン源ガスはシラン(SiH)であるが、ジシラン(Si)のような他のシリコン源ガスでもあり得る。本発明の好適実施形態によれば、既に流れ、温度と圧力の安定化ステップ404中に安定化された希釈ガス混合物に50〜150sccm、好ましくは70〜100sccmのシラン(SiH)が添加される。このようにしてポリシリコンの堆積中に、50〜150sccmのシラン(SiH)と、Hと不活性ガスを含んでいる10〜30slmの希釈ガス混合物を含んでいるプロセスガス混合物がチャンバ内に供給され、チャンバ90内の圧力が150〜350Torrに維持され、サセプタ5の温度が700〜740℃に維持される。(LPCVDリアクタ100においては基板又はウエハ500の温度はサセプタ5の測定温度より典型的には約50℃低いことは理解されるべきである。)本発明の好適実施形態においては、シリコン源ガスは希釈ガス混合物の第1成分(上の成分)に添加され、流入口20を通ってチャンバ90に流し込まれる。
【0028】
サセプタ5とウエハ500からの熱エネルギーがシリコン源ガスを熱分解させ、図5bに示されるようにゲート誘電体上にポリシリコン膜又はシリコンウエハ502上に中間層誘電体504を堆積させる。本発明の実施形態においては、熱エネルギーのみを用いてプラズマ又は光子増強のような追加のエネルギー源を援助せずにシリコン源ガスを分解させる。
【0029】
プロセスガス混合物がチャンバ90内に供給されるにつれて、シリコン源ガスが分解してシリコン原子を生じ、絶縁層504上に多結晶シリコン膜を形成する。Hはシラン(SiH)の分解の反応生成物である。プロセスガス混合物中にHの適量を添加することにより、シラン(SiH)の分解が緩慢になり、多結晶シリコン膜506を小さなランダム粒子507で形成させることを可能にする。本発明においては、Hを用いてウエハを横切るシリコン源反応を操作する。Hが希釈ガス混合物の8〜20%であることにより、平均粒度が50〜500オングストロームであるランダム粒子が形成され得る。更に、希釈ガス混合物中にHの十分量を含めることにより、<220>結晶配列が形成されるのとは反対に多結晶シリコン膜506は<111>結晶配列で占められる。
【0030】
本発明によれば、堆積圧力、温度、プロセスガス流量、濃度は、ポリシリコン膜が毎分1500〜5000オングストローム、毎分2000〜300オングストロームの速度で堆積されるように選ばれる。プロセスガス混合物は、所望の厚さのポリシリコン膜506が形成されるまでチャンバ90に連続して供給される。ゲートや相互接続部の用途の場合、厚さが500〜2000オングストロームのポリシリコン膜506が適していることがわかった。
【0031】
堆積ポリシリコン膜506を完了した後、ヒータ80はプロセス位置から装填位置に下げ、ウエハ500をチャンバ90から取り出した。
【0032】
このときに基板500の処理を更に実施してポリシリコン膜506から1以上の所望の形状を形成し得る。例えば、ポリシリコンゲート電極の場合には、ポリシリコン膜506をイオン注入機に搬送することができ、そこでP型ドーパント(ホウ素)又はN型ドーパント(リン又はヒ素)がポリシリコン膜に注入されて膜の導電性が高められる。ポリシリコン膜506が小さなランダム粒子を含むことから、ドーパント508を注入ために用いられる続いてのアニールは最も必要とする図5cに示されるようにドーパント508をポリシリコン/ゲート酸化物インタフェース510に容易に一様に注入し得る。小粒子507は、製造されたトランジスタの性能に有害な影響を及ぼす望ましくないポリデプレション効果(高抵抗領域)を招き得るドープされていないポリ領域を作らずにドーパントの一様な配置を可能にする。図6に示されるように大きな柱状の粒子を形成した従来技術のポリシリコン堆積プロセスにおいては、続いてのイオン注入とアニールステップはポリデプレション効果や悪いデバイス性能を招き得るポリシリコンインタフェースでドープされていないシリコンのポケット610を残し得る。
【0033】
更に、小さくランダムな粒界507はポリシリコン膜506上にタングステン又はタングステンシリサイドの堆積も可能にする。例えば、ゲート電極、キャパシタ電極、相互接続部の製造においてはたまに図5dに示されるようにドープポリシリコン上にタングステン又はタングステンシリサイドを形成することによりドープポリシリコン膜の抵抗を更に降下させることが望ましい。タングステン膜はWFとHを用いた化学気相堆積(CVD)によって形成することができ、タングステンシリサイド膜はWFとシラン(SiH)又はジクロロシラン(DCS)を用いたCVDによって形成することができる。WFの分解中、望ましくないフッ素イオンが大きな柱状粒子を持つポリシリコン膜に侵入し、ゲート誘電層の完全性に影響する。しかしながら、本発明においてはポリシリコン506の小さくランダムな粒子構造507はフッ素がゲート誘電層に達することを防止するのに有効なバリヤを与える。従って、ポリシリコン膜506の小さなランダム粒子は信頼性の課題を生じることなくポリシリコン膜506上にWFを用いたCVDによりタングステン又はタングステンシリサイド膜512を直接堆積することを可能にする。
【0034】
イオン注入及び/又はポリシリコン膜506上のタングステン膜形成後、周知のフォトリソグラフィとエッチングの手法を用いてポリシリコン506とタングステン又はタングステンシリサイド膜512を所望されるゲート電極、相互接続部、又はキャパシタ電極へパターン形成することができる。従って、本発明のポリシリコン堆積プロセスは、ポリシリコンデプレション効果を含めずにポリシリコン膜の一様なドーピングを可能にし、ゲート誘電層の性質に影響せずにポリシリコン膜上にCVDによりタングステン又はタングステンシリサイド膜を直接堆積させることを可能にする。
【0035】
LPCVDチャンバ100は、プロセッサ/コントローラ700とメモリ702、例えば、ハードディスクドライブとを含んでいる。プロセッサ/コントローラ700は、シングルボード(SBC)アナログ又はディジタル入力/出力ボードと、インタフェースボードと、ステッパモータコントローラボードとを含んでいる。プロセッサ/コントローラ700は、LPCVDチャンバの活性をすべて制御する。システムコントローラは、メモリ702のようなコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータプログラムであるシステムコントローラソフトウエアを実行する。コンピュータプログラムには、本発明のポリシリコン堆積プロセスのタイミング、ガスの混合物、チャンバ圧、ヒータ温度、電源、サセプタ位置、他のパラメータが含まれている。コンピュータプログラムコードは、68000アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortran等の慣用のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語に書き込まれ得る。プロセスガス混合、圧力制御、ヒータ制御を実行するためのサブルーチンは、メモリ702の中に記憶されている。上記のランダム粒子構造を持つ多結晶シリコン膜を形成するのに必要なプロセスガス流量又は組成、温度、又は圧力のようなプロセスパラメータはメモリ702に記憶されている。従って、本発明によれば、LPCVDチャンバ100は、シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物をチャンバ90へ供給するステップと、サセプタ5を700〜740℃に加熱するステップと、多結晶シリコン膜を熱的化学気相成長によりウエハ上に堆積させ得るようにチャンバ90内の圧力を150〜350Torrにするステップのための命令とプロセスパラメータをメモリ702に含んでいる。
【0036】
このように、小さくランダムな粒界を持つ多結晶シリコン膜を形成する方法を記載してきた。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1断面と第2断面の各々がチャンバの1/2による本発明の実施形態の“ウエハプロセス”位置に抵抗ヒータを含んでいる処理チャンバを示す側断面図である。
【図2】
ウエハ分離位置における図1と同様の側断面図である。
【図3】
ウエハ装填位置における図1と同様の側断面図である。
【図4】
本発明のポリシリコン堆積プロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図5】
図5aはゲート誘電体又は中間層誘電体がシリコンウエハ上に形成された基板を示す図である。
図5bは図5aの基板上に形成された小さなランダム粒子の多結晶シリコン膜の形成を示す図である。
図5cは図5bの基板へのドーパントのイオン注入と拡散を示す図である。
図5dは図5cの基板上のタングステン又はタングステンシリサイド膜の形成を示す図である。
【図6】
大きな柱状粒子を持つ従来技術のポリシリコン膜を示す図である。
【符号の説明】
5…サセプタ、10…第1パイロメータ、15…第2パイロメータ、20…ガス分配口、注入口、24…ブロッカープレート、、25…フェースプレート、30…チャンバリッド、31…真空排気部、32…ポンプ、33…コンジット、34…スロットルバルブ、40…エントリポート、41…搬送ブレード、45…プロセスチャンバ本体、50…加熱素子、55…通路、57…加熱素子、60…リフタアセンブリ、65…シャフト、70…熱電対、75…コンタクトリフトプレート、80…抵抗ヒータ、85…ポンププレート、90…反応チャンバ、95…リフトピン、100…LPCVDチャンバ、リアクタ、400…フローチャート、402…ブロック、404…ブロック、414…チャネル、500…ウエハ、基板、502…ドープシリコンウエハ、504…ゲート誘電層、中間層誘電体、絶縁層、506…多結晶シリコン膜、ポリシリコン膜、507…粒界、小さくランダムな粒子構造、508…ドーパント、510…ポリシリコン/ゲート酸化物インタフェース、512…タングステン又はタングステンシリサイド膜、602…ポリシリコン膜、604…大きな柱状粒子、606…ドーパント、608…粒界、610…ドープされていないポリシリコン領域、ポケット、612…ゲート誘電体、700…プロセッサ/コントローラ、702…メモリ、4140…ポンプチャネル。

Claims (26)

  1. 多結晶シリコン膜の形成方法であって、
    シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物を供給するステップと、
    前記シリコン源ガスから前記多結晶シリコン膜を形成するステップと、
    を含む、前記の方法。
  2. 前記不活性ガスが窒素(N)、ヘリウム(H)又はアルゴン(Ar)から成る群より選ばれる、請求項1記載の方法。
  3. が前記希釈ガス混合物の20体積%未満である、請求項1記載の方法。
  4. が前記希釈ガス混合物の8%より多い、請求項1記載の方法。
  5. が前記希釈ガス混合物の10〜15%である、請求項1記載の方法。
  6. 前記希釈ガス混合物のH/不活性ガス体積濃度比が、平均粒度が50〜500オングストロームのランダム粒子構造を持つ前記多結晶シリコン膜を堆積するような比率である、請求項1記載の方法。
  7. 前記多結晶シリコンが<111>結晶配列で占められている、請求項1記載の方法。
  8. 前記シリコン源ガスがシラン(SiH)である、請求項1記載の方法。
  9. 多結晶シリコン膜の形成方法であって、
    基板をチャンバ内の支持体上に載置するステップと、
    前記支持体を700〜740℃に加熱するステップと、
    前記チャンバ内の圧力を150〜350Torrにするステップと、
    シリコン源ガスと、HとNを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物を供給するステップと、
    前記シリコン源ガスを熱的に分解して前記基板上に多結晶シリコン膜を形成するステップと、
    を含む、前記方法。
  10. が前記希釈ガス混合物の20%未満である、請求項9記載の方法。
  11. が前記希釈ガス混合物の8%より多い、請求項9記載の方法。
  12. が前記希釈ガス混合物の10〜15%である、請求項9記載の方法。
  13. 前記希釈ガス混合物のH/N濃度比が、平均粒度が50〜500オングストロームのランダム粒子構造を持つ前記多結晶シリコン膜を堆積するような比率である、請求項9記載の方法。
  14. 前記多結晶シリコンが<111>結晶配列で占められている、請求項9記載の方法。
  15. 前記シリコン源ガスがシラン(SiH)である、請求項9記載の方法。
  16. 前記希釈ガスの前記チャンバへの流量が10〜30slmであり、前記シランガスの流量が50〜150sccmである、請求項9記載の方法。
  17. 前記希釈ガスの前記チャンバへの流量が12〜20slmであり、前記シランの流量が70〜100sccmである、請求項9記載の方法。
  18. 前記希釈ガス混合物と前記シリコン源ガスが、前記シリコン膜を毎分1000〜5000オングストロームの速度で堆積する濃度と温度で前記チャンバへ供給される、請求項9記載の方法。
  19. 多結晶シリコン膜の形成方法であって、
    アルミニウム側壁と、抵抗ヒータが含まれた窒化アルミニウム基質支持体を有するチャンバ内に基板を配置するステップと、
    前記基板支持体を加熱するステップと、
    シリコン源ガスと、HとNを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物を前記基板支持体の上にあるシャワヘッドを通って前記チャンバへ供給するステップと、
    前記シリコン源ガスから前記多結晶シリコン膜を形成するステップと、
    を含む、前記の方法。
  20. ガス流を前記基板支持体の下から前記チャンバ内へ供給するステップを更に含んでいる、請求項19記載の方法。
  21. が前記チャンバへの前記ガス流の20%未満である、請求項19記載の方法。
  22. が前記チャンバへの前記全ガス流の8%より多い、請求項19記載の方法。
  23. が前記チャンバへの前記全ガス流の10〜15%である、請求項19記載の方法。
  24. ドープされた多結晶シリコンゲート電極を形成する方法であって、
    シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物をチャンバへ供給するステップと、
    前記プロセスガス混合物から多結晶シリコン膜を形成するステップと、
    前記多結晶シリコン膜へドーパントを注入するステップと、
    を含む、前記の方法。
  25. タングステン/シリコン複合膜を形成する方法であって、
    シリコン源ガスと、Hと不活性ガスを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガスを供給するステップと、
    前記プロセスガス混合物から前記多結晶シリコン膜を形成するステップと、
    WFを含んでいる反応種ガス混合物を用いて前記多結晶シリコン膜上にタングステン膜又はタングステンシリサイド膜を形成するステップと、
    を含む、前記の方法。
  26. 基板処理システムであって、
    基板処理中に基板を保持する、チャンバ内にある基板ホルダと、
    プロセスガス混合物をチャンバへ導入して前記基板上に層を堆積させるためのガス送出システムと、
    該チャンバ圧を制御するためにガス流出口に結合したポンプと、
    前記ガス送出システムと前記ポンプを制御するためのコントローラと、
    前記処理システムの動作を指示するためにコンピュータ読み取りプログラムが具体化されたコンピュータ読み取り可能媒体を含み、前記コンピュータ読み取りプログラムがシリコン源ガスと、Hと不活性ガスとを含んでいる希釈ガス混合物とを含んでいるプロセスガス混合物を導入する前記ガス送出システムを制御するための命令を含んでいる、前記コントローラに結合したメモリと、
    を含む、処理システム。
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