JP2004501864A - α−ハロゲン化ケトンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、α−ハロゲン化第二級アルコールからα−ハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。より特定的には本発明は、α−トリハロゲン化第二級アルコールからα−トリハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。α−ハロゲン化ケトンを製造するための本発明方法の特徴は、元素周期表の1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒及び場合によっては活性化剤の存在下で分子酸素または酸素含有気体を使用してα−ハロゲン化第二級アルコールを液相中で酸化することである。
Description
【0001】
本発明は、α−ハロゲン化第二級アルコールからα−ハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。より特定的には本発明は、α−トリハロゲン化第二級アルコールからα−トリハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。
【0002】
α−トリハロゲン化ケトンは、有機金属化合物をトリフルオロ酢酸またはそのエステルと反応させる方法を使用して製造できる[Chem.L.S.ら,J.Fluorine Chem.VIII,p.17(1981)]。
【0003】
上記の方法は多くの欠点を有している。該方法は、ブロモベンゼンから有機金属化合物を製造する段階、次いで低温(−78℃)でトリフルオロ酢酸と反応させる段階、及び加水分解する段階、などの複数の段階を含む。このため、方法の実施が複雑で、大規模生産に応用することが難しい。
【0004】
更に、副生物が形成されるので、満足な反応効率が得られない。
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点を克服できる新規な方法を提供することである。
【0006】
我々はここに、本発明の目的となるα−ハロゲン化ケトンの製造方法を見出した。本発明方法の特徴は、周期表の1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒の存在下で分子酸素または酸素含有気体を使用してα−ハロゲン化第二級アルコールを液相中で酸化させる処理から成ることである。
【0007】
本発明方法の好ましい変形によれば、カドミウム、セリウム、ビスマス、鉛、銀、テルル、錫またはゲルマニウムのような金属を活性化剤として添加する。
【0008】
本発明の1つの目的は、一般式(I):
【0009】
【化9】
のα−ハロゲン化第二級アルコールからα−ハロゲン化ケトンを製造するための極めて汎用的な方法を提供することである。
【0010】
上記の式(I)において、Qは、1〜40個の炭素原子を含む置換または未置換の一価の炭化水素基を表し、同じまたは異なるY1、Y2及びY3は、水素原子を表すか、または、ハロゲン原子、即ち、塩素、フッ素、臭素もしくはヨウ素、好ましくはフッ素を表すか、または、1〜10個の炭素原子を含むペルハロゲノアルキル基を表し、基Y1、Y2及びY3の少なくとも1つがハロゲン原子を表す。
【0011】
式(I)の好ましい化合物は、基Y1、Y2及びY3の少なくとも2つがハロゲン原子を表す式(I)の化合物、より好ましくは基Y1、Y2及びY3の全部がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を表す式(I)の化合物である。
【0012】
本発明によればまた、基CY1Y2Y3がペルハロゲノアルキル基、好ましくはペルフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基を表すことができる。
【0013】
式(I)において、基−CHOH−CY1Y2Y3を“ハロゲノメチルカルビノール”と呼ぶ。
【0014】
本発明方法の顕著な特徴は、1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒及び任意に活性化剤の存在下で水性または有機性媒体中でα−ハロゲン化第二級アルコールを対応するケトンに酸化させることである。
【0015】
金属元素については“Bulletin de la Societe Chimiqe de France”,no1(1966)に収載の周期表に定義されている。
【0016】
より詳細には、ケトン製造の出発物質となるα−ハロゲン化第二級アルコールは一般式(I)を有しており、式中のQは、置換または未置換の一価の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の非環状脂肪族基でもよく、または、飽和、不飽和もしくは芳香族の単環式もしくは多環式の炭素環基もしくは複素環基でもよい。
【0017】
本発明方法に使用するための特に適当な一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールは、式中のQが単環式または多環式の芳香族炭化水素基を表す一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールである。これらの基は互いに、オルト−縮合系(例えばナフチル基)を形成できるかまたはオルト−及びペリ−縮合系を形成できる。
【0018】
好ましくは、Qは一般式(II):
【0019】
【化10】
のアリール基を表す。この式(II)において、
・nは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数である;
・Rは、以下の基または官能基の1つであるR1を表す:
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル;
・1〜6個の炭素原子を有しておりかつ1〜13個のハロゲン原子を有しているハロゲノアルキル基(該ハロゲノアルキル基はモノ−、ポリ−またはペルハロゲノアルキルであり得る);
・2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルケニル基、例えば、ビニルまたはアリル;
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルコキシまたはチオエーテル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシまたはブトキシ;
・以下の式のいずれかによって表される基:
−OH
−COOH
−CHO
−CN
−N−(R2)2
−X
−CF3;
ここに、同じまたは異なる基R2は、水素原子を表すか、または、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または、フェニル基を表し、Xはハロゲン原子、特に塩素原子または臭素原子を表す;あるいは、
・Rは、より複雑な以下の基の1つであるR3を表す:
・基:
【0020】
【化11】
ここに、
R1は上記の定義と同義であり、
R4は、共有結合を表すか、または、1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の二価の炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレンまたはイソプロピリデンを表し、
mは0〜3の整数を表す;
・基R4−A−R5
ここに、
R4は上記の定義と同義であり、
R5は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または基
【0021】
【化12】
を表し、
Aは、以下の基:
【0022】
【化13】
の1つを表し、
ここに、m、R1及びR2は上記の定義と同義である。
【0023】
nが1よりも大きい数であるとき、複数の基Rは同じ基でも異なる基でもよく、ベンゼン環の隣合う2つの炭素原子は核外のメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基のようなケタールブリッジを介して互いに結合され得る。
好ましくはnが0、1、2または3である。
【0024】
本発明方法に使用するために好ましい一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールは、上記に引用した全ての基Qのうちでも式中のQが一般式(II)のアリール基を表し、式(II)中の、
・nが0、1、2または3であり、
・Rが以下の基または官能基:
・1〜4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル基;
・1〜4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルコキシまたはチオエーテル基;
・メチレンまたはエチレンシオキシ基;
・−OH基;
の1つを表すα−ハロゲン化第二級アルコールである。
【0025】
一般式(I)を有しており、式中のQが一般式(II)のアリール基を表すα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、5−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、5−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、5−ヒドロキシ−1−フェニル−3−ビス(トリクロロメチルカルビノール)、5−ヒドロキシ−1−フェニル−3−ビス(トリフルオロメチルカルビノール)、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−2−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−2−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,3−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,3−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,6−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,6−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,3,4−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,3,4−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,4,6−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,4,6−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4,5−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,4,5−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノールが挙げられる。
【0026】
α−ハロゲン化第二級アルコールを表す一般式(I)において、Qは、一般的に3〜7個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を環に含む飽和しているかまたは1個もしくは2個の不飽和結合を環に含む炭素環基を表すことができる。該環は1個〜5個の基R1、好ましくは1個〜3個の基R1によって置換されていてもよく、このR1は一般式(II)のアリール置換基に関する上記の定義と同義である。
【0027】
好ましい基Qの例としては、1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基またはシクロヘキセン−イル基を挙げることができる。
【0028】
Qが脂環式基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、1−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−メチル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−シクロヘキサン、1−メチル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−シクロヘキサン、1−メチル−4−イソプロピル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロピル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロピル−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−メチル−4−イソプロピル−(トリフルオロメチルカルビノール)−シクロヘキサンが挙げられる。
【0029】
上述のように、Qは直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基を表すことができる。
【0030】
より正確には、Qは、好ましくは1〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニル、アルカジエニルまたはアルキニル基を表す。
【0031】
炭化水素鎖は場合によっては、
・以下の基:
【0032】
【化14】
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つによって遮断されることができるか、
・及び/または以下の置換基:
−OH、−COOH、−CHO、−CN、−N(R2)2、−X、−CF3
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つを含み得る。
【0033】
直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基は場合によっては環状置換基を含み得る。“環”という用語は、飽和、不飽和または芳香族の炭素環式または複素環式の環を意味する。
【0034】
非環状脂肪族基は共有結合または以下の基:
【0035】
【化15】
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つによって環に結合できる。
使用され得る環状置換基の例は、脂環式、芳香族または複素環式の置換基、特に環に6個の炭素原子を含む脂環式の環またはベンゼン環であり、場合によってはこれらの環状置換基自体が同じかまたは異なる1、2、3、4または5個の基R1を含んでいてもよく、このR1は上記の定義と同義である。
【0036】
Qが脂肪族基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、1,1,1−トリフルオロ−2−ペンタノール、4−メチル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキサノール、3,3−ジメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノール、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−1,1,1−トリクロロ−5−ペンタノール、1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、5−ヒドロキシ−4−メチル−6,6,6−トリクロロ−3−ヘキサノン、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−オクタノン、2−ヒドロキシ−6−メチル−1,1,1−トリクロロ−4−ヘプタノン、4−エチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘキサノール、3−エチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−ノナノン、2−ヒドロキシ−7−メチル−1,1,1−トリクロロ−4−オクタノン、1,1,1−トリクロロ−4,6,6−トリメチル−2−ヘプタノール、1,1,1−トリクロロ−2−ノナノール、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−デカノン、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−ウンデカノン、1,1,1−トリクロロ−2−ドデカノール、1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ブテン−2−オール、5,5,5−トリクロロ−1−ペンテン−4−オール、4−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−3−ペンテン−2−オール、3,4−ジメチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−エチル−1,1,1−トリクロロ−3−ヘキセン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−4−ヘキセン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ノネン−2−オール、1,1,1,4−テトラクロロ−3−ノネン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ドデセン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−4−オクテン−2−オール、7−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−7−オクテン−3−イン−2−オール、8−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−7−オクテン−3−イン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ノニン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−デシン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−4−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−3−ペンテン−2−オール、9−トリクロロエチロールリモネン、(3,4,5,6−テトラヒドロ)−4−ノナトリル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、4−フェニル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−フェニル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、4,6,6−トリメチル−1,1,1−トリクロロ−3−ヘプテン−2−オール、4,6,6−トリメチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、5−メチル−1,1,1−トリクロロ−5−ヘキセン−2−オール、5−メチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘキサノール、3,4−ジメチル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノールが挙げられる。
【0037】
Qはまた、飽和または不飽和の複素環基、特に環に5個または6個の原子を含み、これらの原子の1つまたは2つが窒素、イオウまたは酸素のようなヘテロ原子である飽和または不飽和の複素環基を表してもよい。複素環の炭素原子は、基R1によって全面的または部分的に置換されていてもよく、このR1は式(II)のアリール基の置換基に関する上記の定義と同義である。
【0038】
Qはまた、各環に少なくとも1個のヘテロ原子を含み互いの間にオルト−もしくはオルト−及びペリ−縮合系を形成している少なくとも2個の芳香族もしくは非芳香族の複素環から成る基であると定義されるか、または、少なくとも1個の芳香族もしくは非芳香族の炭素環と互いの間にオルト−もしくはオルト−及びペリ−縮合系を形成している少なくとも1個の芳香族もしくは非芳香族の複素環とから成る基であると定義される多環式複素環基を表してもよい。
【0039】
Qが複素環基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、2−フリル−トリクロロメチルカルビノール、2−フリル−トリフルオロメチルカルビノール、1−(5−メチルフリル)−トリクロロメチルカルビノール、1−(5−N,N−ジエチルフラミド)−トリクロロメチルカルビノール、(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−3−ピリジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(トリクロロメチルカルビノール)−ピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(トリフルオロメチルカルビノール)−ピリミジン、4−ヒドロキシ−6−メチル−2−メチルアミノ−5−(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)−ピリミジン、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)−ピリミジンが挙げられる。
【0040】
本発明方法を使用してケトンに酸化できる出発α−ハロゲン化第二級アルコールは、文献に記載の方法によって得られる。特に、J.H.T.LEDRUT及びG.COMBESによって“Industrie chimique belge”no6(1962),p.635−652に引用されている製造手順のいずれかを使用して製造できる。
【0041】
α−ハロゲン化第二級アルコールを製造する多様な方法のうちで、この種の化合物の幾つかのファミリーを製造するためには幾つかの方法が残りの方法よりも好適である。
【0042】
例えば、置換活性水素をもつ化合物はクロラール(またはブロマール)と反応して対応するα−ハロゲン化第二級アルコールを生成し得る。
【0043】
ベラトロール(または1,2−ジメトキシベンゼン)のような芳香族炭化水素をクロラールと反応させるために塩化アルミニウムのような酸触媒を使用することが可能である。この種の製造については、上記に引用の文献に加えて、Bulletin de la Societe Chimique de France(1954),p.932のR.QUELETの論文を参照するとよい。
【0044】
フェノールを出発物質とするとき、クロラールを無水炭酸カリウムの存在下で反応させることが可能である(M.PAULY,Berichte der Deutschen Gesellschaft 56,979(1923)参照)。
【0045】
また、出願人の国際特許出願PCT/FR99/01235及びPCT/FR99/01379に従って製造したα−ハロゲン化第二級アルコールを使用することも可能である。
【0046】
本発明方法で使用される触媒は周期表の1b族及び8族から選択された金属を含有する。
【0047】
周期表の8族から選択された金属を含有する触媒の例としては、ニッケル、並びに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金のような貴金属及びそれらの混合物が挙げられる。1b族から選択される好ましい金属は銅である。
【0048】
好ましくは白金及び/またはパラジウム触媒を、白金黒、パラジウム黒、酸化白金、酸化パラジウムのような入手可能な形態で使用するか、または、貴金属自体をカーボンブラック、炭酸カルシウム、活性アルミナ及びシリカもしくは等価物のような種々の支持体に付着させた形態で使用する。カーボンブラックを支持体とする触媒系が特に好適である。
【0049】
式(I)の化合物の重量に対する金属M1の重量として表されるこの触媒の使用量は、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.04重量%〜2重量%の範囲でよい。
【0050】
触媒に関してより詳細に知るためには米国特許第3,673,257号及びフランス特許第2,305,420号及び第2,350,323号を参照するとよい。
【0051】
活性化剤は、上記に引用した特許に記載された活性化剤のいずれかから選択できる。好ましくは、ビスマス、鉛またはカドミウムを遊離金属またはカチオンの形態で使用する。カチオン形態の場合、会合するアニオンは重要ではなく、これらの金属の誘導体を使用できる。好ましくは金属ビスマスまたはその誘導体を使用する。
【0052】
ビスマス原子が0よりも大きい酸化数、例えば2、3、4または5の酸化数を有しているような無機または有機のビスマス誘導体を使用できる。この条件が満たされているならばビスマスに会合する残基は重要ではない。活性化剤は反応媒体に可溶性でも不溶性でもよい。
【0053】
本発明方法に使用し得る適当な活性化剤の例は、酸化ビスマス;水酸化ビスマス;ビスマスの塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物、セレン化物またはテルル化物のような無機水素酸の塩;ビスマスの亜硫酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、亜リン酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、アンチモン酸塩、ヒ酸塩、亜セレン酸塩またはセレン酸塩のような無機オキシ酸の塩;ビスマスのバナジウム酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、クロム酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩または過マンガン酸塩のような遷移金属から誘導されたオキシ酸の塩である。
【0054】
別の適当な化合物は、ビスマスの酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、乳酸塩またはクエン酸塩のような脂肪族もしくは芳香族の有機酸の塩;ビスマスの没食子酸塩及びピロ没食子酸塩のようなフェネートである。これらの塩及びフェネートはまたビスムチル塩でもよい。
【0055】
別の無機または有機の化合物としては、ビスマスとリン及びヒ素のような元素との二元化合物;ビスマス及びそれらの塩を含有するヘテロポリ酸;脂肪族または芳香族ビスムチン、などが挙げられる。
【0056】
以下のような特定例がある:
−酸化物:BiO;Bi2O3;Bi2O4;Bi2O5;
−水酸化物:Bi(OH)3;
−無機水素酸の塩:塩化ビスマスBiCl3;臭化ビスマスBiBr3;ヨウ化ビスマスBiI3;硫化ビスマスBi2S3;セレン化ビスマスBi2Se3;テルル化ビスマスBi2Te3;
−無機オキシ酸の塩;塩基性亜硫酸ビスマスBi2(SO3)3,Bi2O3,5H2O;中性硫酸ビスマスBi2(SO4)3;硫酸ビスムチル(BiO)HSO4;亜硝酸ビスムチル(BiO)NO2,0.5H2O;中性硝酸ビスムチルBi(NO3)3,5H2O;ビスマス及びマグネシウムの複硝酸塩2Bi(NO3)3,3Mg(NO3)2,24H2O;硝酸ビスムチル(BiO)NO3;亜リン酸ビスマスBi2(PO3H)3,3H2O;中性リン酸ビスマスBiPO4;ピロリン酸ビスマスBi4(P2O7)3;炭酸ビスムチル(BiO)2CO3,0.5H2O;中性過塩素酸ビスマスBi(ClO4)3,5H2O;過塩素酸ビスムチル(BiO)ClO4;アンチモン酸ビスマスBiSbO4;中性ヒ酸ビスマスBi(AsO4)3;ヒ酸ビスムチル(BiO)AsO4,5H2O;亜セレン酸ビスマスBi2(SeO3)3;
−遷移金属から誘導されたオキシ酸の塩;バナジウム酸ビスマスBiVO4;ニオブ酸ビスマスBiNbO4;タンタル酸ビスマスBiTaO4;中性クロム酸ビスマスBi2(CrO4);ジクロム酸ビスムチル[(BiO)2]2Cr2O7;酸性クロム酸ビスムチルH(BiO)CrO4;ビスムチル及びカリウムの複クロム酸塩K(BiO)CrO4;モリブデン酸ビスマスBi2(MoO4)3;タングステン酸ビスマスBi2(WO4)3;ビスマスとナトリウムとの複モリブデン酸塩NaBi(MoO4)2;塩基性過マンガン酸ビスマスBi2O2(OH)MnO4;
−脂肪族または芳香族の有機酸の塩:酢酸ビスマスBi(C2H3O2)3;プロピオン酸ビスムチル(BiO)C3H5O2;塩基性安息香酸ビスマスC6H5CO2Bi(OH)2;サリチル酸ビスムチルC6H4CO2(BiO)(OH);シュウ酸ビスマス(C2O4)3Bi2;酒石酸ビスマスBi2(C4H4O6)3,6H2O;乳酸ビスマス(C6H9O5)OBi,7H2O;クエン酸ビスマスC6H5O7Bi;
−フェネート:塩基性没食子酸ビスマスC7H7O7Bi;塩基性ピロ没食子酸ビスマスC6H3(OH)2(OBi)(OH)。
【0057】
その他の適当な無機または有機の化合物は、リン化ビスマスBiP;ヒ化ビスマスBi3As4;ビスマス酸ナトリウムNaBiO3;ビスマス−チオシアン酸H2[Bi(BNS)5],H3[Bi(CNS)6]及びそれらのナトリウム及びカリウム塩;トリメチルビスムチンBi(CH3)3及びトリフェニルビスムチンBi(C6H5)3である。
【0058】
本発明方法に使用され得る好ましいビスマス誘導体は、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、無機水素酸のビスマスまたはビスムチル塩、無機オキシ酸のビスマスまたはビスムチル塩、脂肪族または芳香族の有機酸のビスマスまたはビスムチル塩、並びに、ビスマスまたはビスムチルフェネートである。
【0059】
本発明方法に使用され得る活性化剤の特に好適なグループは、酸化ビスマスBi2O3及びBi2O4、水酸化ビスマスBi(OH)3、中性硫酸ビスマスBi2(SO4)3、塩化ビスマスBiCl3、臭化ビスマスBiBr3、ヨウ化ビスマスBiI3、中性硝酸ビスマスBi(NO3)3,5H2O、硝酸ビスムチルBiO(NO3)、炭酸ビスムチル(BiO)2CO3,0.5H2O、酢酸ビスマスBi(C2H3O2)3,サリチル酸ビスムチルC6H4CO2(BiO)(OH)によって形成される。
【0060】
使用される金属M1の重量を基準とした活性化剤中の金属の量として表される活性化剤の使用量は広範囲に増減し得る。金属M1の使用量の0.1重量%という少量から100重量%以上までの範囲で問題なく使用できる。有利な量は約50%である。
【0061】
本発明方法は、出発物質の種類に応じた多くの実施態様を有している。
【0062】
Qがアリール基であり少なくとも1個のヒドロキシル基を有している式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールを出発物質とするときは、化合物を塩形態のフェノール型化合物と反応させるのが有利である。
【0063】
この場合、触媒系は、金属M1を基材とする触媒と活性化剤とを順次にまたは同時に導入することによって用時調製されるかまたは別の時期に調製される。
【0064】
出発物質となるα−ハロゲン化第二級アルコールがフェノール型化合物でないとき、酸化反応は有機溶媒中で塩基を導入しないで生じさせる。
【0065】
この場合には、金属M1と活性化剤とから成る触媒系を予め調製しておくのが望ましい。
【0066】
より詳細には、ハロゲノメチルカルビノール基とヒドロキシル基とを含む式(I)のアルコールを使用する本発明の第一の実施態様では、溶液中に塩基化剤を含む水性媒体中で酸化反応を行う。より特定的には塩基化剤は、水酸化アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムまたはカリウムのメチラート、エチラート、イソプロピラート、tert−ブチラートのようなアルカリ金属アルカノラート、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または炭酸水素塩、一般的にはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基と弱酸との塩である。
【0067】
従って、式(I)の出発アルコールは、好ましくは酸化反応が生じる前に塩形態のヒドロキシル基を含む。
【0068】
経済上の理由から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの使用が好ましい。使用すべき無機塩基の割合は好ましくは、OH−のモル数と式(I)の化合物のモル数との比が1−2となるような割合である。
【0069】
液相中の式(I)のアルコールの重量濃度は通常は1重量%〜40重量%、好ましくは2重量%〜30重量%の範囲である。
【0070】
本発明方法は実際には、分子酸素または酸素含有気体、例えば空気を、式(I)のアルコールと塩基化剤と金属M1含有触媒と場合によっては活性化剤とを上述の割合で含む溶液に接触させる処理から成る。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、酸化反応に先立って最初に式(I)のアルコールの塩を形成する。
【0072】
1つの実施方法では、式(I)のアルコールと塩基化剤とを仕込み、周囲温度(通常は15℃〜5℃の範囲)で塩形態の化合物を得る。
次に、金属M1を含有する触媒と場合によっては活性化剤とを導入する。
次いで、反応混合物を酸素流または酸素含有気体流下で所望の反応温度に加熱する。
【0073】
本発明によれば、酸化温度は好ましくは40℃〜100℃の温度範囲から選択する。
一般には周囲圧力を使用するが、1〜20バールの圧力で処理することも可能である。
次に、混合物を所望温度で、カルビノール基をカルボニル基に変換させるために必要な酸素量に対応する量の酸素が消費されるまで撹拌する。
好ましくは30分〜6時間持続する反応の終了後、式(III):
【0074】
【化16】
〔式中、Q、Y1、Y2及びY3は上記の定義と同義である〕のケトン化合物を回収する。
【0075】
必要な場合には冷却後に、例えば濾過によって触媒系を反応混合物から分離する。
【0076】
次の段階では、得られた媒体に、好ましくは塩酸もしくは硫酸のような無機のプロトン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸もしくはメタンスルホン酸のような有機酸を添加することによってpHが5以下になるまで酸性化する。
【0077】
酸の濃度は重要でなく、好ましくは市販形態の酸を使用する。
酸性化は通常は周囲温度で行う。
【0078】
次に、式(III)のケトン化合物を慣用の技術、例えば、水素化または非水素化芳香族炭化水素、より特定的にはトルエンまたはモノ−もしくはジ−クロロベンゼンのような適当な有機溶媒を使用した抽出によって回収する。
【0079】
本発明の別の実施態様では、出発物質として使用されるα−ハロゲン化第二級アルコールが、脂肪族または芳香族型であるがフェノール型(即ち、ヒドロキシル基を含む芳香族化合物)でない化合物から成る。
【0080】
この場合、反応は水中で行うのが有利であるが、α−ハロゲン化第二級アルコールが十分に水溶性でないとき、例えば周囲温度下の水中溶解度が20重量%未満であるときは有機溶媒中で行う。
【0081】
反応条件下で不活性であり出発化合物を少なくとも部分的に溶解し得る有機溶媒を使用する。
【0082】
より特定的な例としては、エステル型の溶媒、特に酢酸ブチル、酢酸アミル及びフタル酸エチルが挙げられる。
【0083】
溶媒中の出発基質の濃度は好ましくは10重量%〜30重量%の範囲である。
【0084】
触媒系は好ましくは上述のように用時調製する。
【0085】
1つの例では、例えば、支持体好ましくは活性炭、シリカまたアルミナに金属M1を付着させることによって触媒を調製し、次いで、活性化剤となる化合物を塩基の存在下、好ましくは炭酸ナトリウムの存在下で導入することによって触媒系(M1触媒/活性化剤)を調製する。
これによって金属M1及び活性化剤を基材とする触媒系が得られる。
【0086】
また、水素、ホルモルまたはヒドラジンのような還元剤によって触媒系を還元することも可能である。
【0087】
酸化反応の温度は好ましくは100℃〜160℃の温度範囲で選択される。
【0088】
一般には周囲圧力を使用するが、1〜20バールの圧力を使用することも可能である。
【0089】
1つの実施方法では、式(I)の化合物、有機溶媒及び触媒を仕込む。
酸素流または酸素含有気体流下に維持した反応媒体を所望の反応温度まで加熱する。
【0090】
次に、混合物を所望温度で、カルビノール基をカルボニル基に変換させるために必要な酸素量に対応する量の酸素が消費されるまで撹拌する。
【0091】
反応中に有機媒体中で形成された水を気体の蒸留または物理的飛沫同伴によって連続的に除去する。
【0092】
好ましくは30分から6時間持続する反応の終了後に、式(III)の化合物を通常は蒸留によって回収する。
【0093】
本発明はまた、一般式:
【0094】
【化17】
〔式中、Qは上記の定義と同義であり、好ましくはQが上記に定義の脂肪族基を表し、Y1、Y2及びY3は水素原子またはフッ素原子を表し、Y1、Y2及びY3が少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは3個のフッ素原子を表す〕のα−ハロゲン化ケトンを提供する。
【0095】
本発明の実施例を非限定的に説明する。
【0096】
実施例で使用した略号は以下の定義を有している。
変換度(TT)は、変換された基質のモル数と使用された基質のモル数との比に相当する。
【0097】
収率(RR)は形成された生成物のモル数と使用された基質のモル数との比に相当する。
【0098】
貴金属の重量は、触媒の全重量(活性相+支持体)に対する重量%として表す。
【0099】
実施例1
4−トリフルオロアセチルアニソールの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸エチルを添加した。
これを撹拌し、次いで、Engelhardによって製品として販売されている50%の水を含有する0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を導入した。
これを125℃に加熱し、反応器頂部に空気流を通した。
6時間の反応後、ガスクロマトグラフィーで測定した収率(RR)は99%であった。
【0100】
実施例2
5.3%Pd+3%Biから成る触媒を使用して実施例1を繰り返した。
6時間の反応後、収率(RR)は13%であった。
【0101】
実施例3
4−トリフルオロアセチル−2−ヒドロキシトルエンの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシ−3−メチルベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水を添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.5gの5.4%Pt+1.8%Bi/C触媒を導入した。
これを80℃に加熱し、溶液に空気流を導入した。
これらの条件下で15時間反応後、ガスクロマトグラフィーで測定した収率(RR)は95%であった。
【0102】
実施例4
40mlの酢酸ブチルを使用して実施例3を繰り返した。
反応を125℃で行った。
6時間の反応後、収率(RR)は96%であった。
【0103】
実施例5
4−トリフルオロアセチル−2−ヒドロキシトルエンの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシ−3−メチルベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水及び0.8gの水酸化ナトリウムを添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.5gの5%Pt/C触媒を導入した。
次いで17mgのBi2O3を添加した。
これを80℃に加熱し、バブリングによって反応媒体に空気流を通した。
8時間の反応後、収率(RR)は96%であった。
【0104】
実施例6
2,6−トリフルオロアセチル−ノニル−4−フェノールの製造
8gの2,6−(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−4−ノニルフェノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水及び1.3gの水酸化ナトリウムペレットを添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.8gの5%Pt/C触媒及び27mgのBi2O3を添加した。
これを80℃に加熱し、空気流をバブリングした。
15時間の反応後、収率(RR)は94%であった。
【0105】
実施例7
シス及びトランス1,1,1−トリフルオロ−4−ノネン−2−オンの製造
4gのシス及びトランス1,1,1−ヒドロキシ−2−ノネン−4を100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸ブチルを添加して撹拌した。
次いで50%の水を含有する0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を添加した。
これを125℃に加熱し、反応媒体に空気流を通した。
8時間の反応後、収率(RR)は94%であった。
【0106】
実施例8
3−(トリフルオロアセチル)ピリジンの製造
5gの(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−3−ピリジンを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸ブチルを添加して撹拌した。
次いで0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を添加した。
これを125℃に加熱し、反応媒体に空気流を通した。
10時間の反応後、ガスクロマトグラフィーによって得られた収率(RR)は68%であった。
本発明は、α−ハロゲン化第二級アルコールからα−ハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。より特定的には本発明は、α−トリハロゲン化第二級アルコールからα−トリハロゲン化ケトンを製造する方法に関する。
【0002】
α−トリハロゲン化ケトンは、有機金属化合物をトリフルオロ酢酸またはそのエステルと反応させる方法を使用して製造できる[Chem.L.S.ら,J.Fluorine Chem.VIII,p.17(1981)]。
【0003】
上記の方法は多くの欠点を有している。該方法は、ブロモベンゼンから有機金属化合物を製造する段階、次いで低温(−78℃)でトリフルオロ酢酸と反応させる段階、及び加水分解する段階、などの複数の段階を含む。このため、方法の実施が複雑で、大規模生産に応用することが難しい。
【0004】
更に、副生物が形成されるので、満足な反応効率が得られない。
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点を克服できる新規な方法を提供することである。
【0006】
我々はここに、本発明の目的となるα−ハロゲン化ケトンの製造方法を見出した。本発明方法の特徴は、周期表の1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒の存在下で分子酸素または酸素含有気体を使用してα−ハロゲン化第二級アルコールを液相中で酸化させる処理から成ることである。
【0007】
本発明方法の好ましい変形によれば、カドミウム、セリウム、ビスマス、鉛、銀、テルル、錫またはゲルマニウムのような金属を活性化剤として添加する。
【0008】
本発明の1つの目的は、一般式(I):
【0009】
【化9】
のα−ハロゲン化第二級アルコールからα−ハロゲン化ケトンを製造するための極めて汎用的な方法を提供することである。
【0010】
上記の式(I)において、Qは、1〜40個の炭素原子を含む置換または未置換の一価の炭化水素基を表し、同じまたは異なるY1、Y2及びY3は、水素原子を表すか、または、ハロゲン原子、即ち、塩素、フッ素、臭素もしくはヨウ素、好ましくはフッ素を表すか、または、1〜10個の炭素原子を含むペルハロゲノアルキル基を表し、基Y1、Y2及びY3の少なくとも1つがハロゲン原子を表す。
【0011】
式(I)の好ましい化合物は、基Y1、Y2及びY3の少なくとも2つがハロゲン原子を表す式(I)の化合物、より好ましくは基Y1、Y2及びY3の全部がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を表す式(I)の化合物である。
【0012】
本発明によればまた、基CY1Y2Y3がペルハロゲノアルキル基、好ましくはペルフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基を表すことができる。
【0013】
式(I)において、基−CHOH−CY1Y2Y3を“ハロゲノメチルカルビノール”と呼ぶ。
【0014】
本発明方法の顕著な特徴は、1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒及び任意に活性化剤の存在下で水性または有機性媒体中でα−ハロゲン化第二級アルコールを対応するケトンに酸化させることである。
【0015】
金属元素については“Bulletin de la Societe Chimiqe de France”,no1(1966)に収載の周期表に定義されている。
【0016】
より詳細には、ケトン製造の出発物質となるα−ハロゲン化第二級アルコールは一般式(I)を有しており、式中のQは、置換または未置換の一価の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の非環状脂肪族基でもよく、または、飽和、不飽和もしくは芳香族の単環式もしくは多環式の炭素環基もしくは複素環基でもよい。
【0017】
本発明方法に使用するための特に適当な一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールは、式中のQが単環式または多環式の芳香族炭化水素基を表す一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールである。これらの基は互いに、オルト−縮合系(例えばナフチル基)を形成できるかまたはオルト−及びペリ−縮合系を形成できる。
【0018】
好ましくは、Qは一般式(II):
【0019】
【化10】
のアリール基を表す。この式(II)において、
・nは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数である;
・Rは、以下の基または官能基の1つであるR1を表す:
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル;
・1〜6個の炭素原子を有しておりかつ1〜13個のハロゲン原子を有しているハロゲノアルキル基(該ハロゲノアルキル基はモノ−、ポリ−またはペルハロゲノアルキルであり得る);
・2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルケニル基、例えば、ビニルまたはアリル;
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルコキシまたはチオエーテル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシまたはブトキシ;
・以下の式のいずれかによって表される基:
−OH
−COOH
−CHO
−CN
−N−(R2)2
−X
−CF3;
ここに、同じまたは異なる基R2は、水素原子を表すか、または、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または、フェニル基を表し、Xはハロゲン原子、特に塩素原子または臭素原子を表す;あるいは、
・Rは、より複雑な以下の基の1つであるR3を表す:
・基:
【0020】
【化11】
ここに、
R1は上記の定義と同義であり、
R4は、共有結合を表すか、または、1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の二価の炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレンまたはイソプロピリデンを表し、
mは0〜3の整数を表す;
・基R4−A−R5
ここに、
R4は上記の定義と同義であり、
R5は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または基
【0021】
【化12】
を表し、
Aは、以下の基:
【0022】
【化13】
の1つを表し、
ここに、m、R1及びR2は上記の定義と同義である。
【0023】
nが1よりも大きい数であるとき、複数の基Rは同じ基でも異なる基でもよく、ベンゼン環の隣合う2つの炭素原子は核外のメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基のようなケタールブリッジを介して互いに結合され得る。
好ましくはnが0、1、2または3である。
【0024】
本発明方法に使用するために好ましい一般式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールは、上記に引用した全ての基Qのうちでも式中のQが一般式(II)のアリール基を表し、式(II)中の、
・nが0、1、2または3であり、
・Rが以下の基または官能基:
・1〜4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル基;
・1〜4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルコキシまたはチオエーテル基;
・メチレンまたはエチレンシオキシ基;
・−OH基;
の1つを表すα−ハロゲン化第二級アルコールである。
【0025】
一般式(I)を有しており、式中のQが一般式(II)のアリール基を表すα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、5−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、5−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、5−ヒドロキシ−1−フェニル−3−ビス(トリクロロメチルカルビノール)、5−ヒドロキシ−1−フェニル−3−ビス(トリフルオロメチルカルビノール)、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−3−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−4−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−5−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−2−アミノ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−2−アミノ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,3−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,3−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,6−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,6−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,3,4−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,3,4−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、2,4,6−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2,4,6−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4,5−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,4,5−トリヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノールが挙げられる。
【0026】
α−ハロゲン化第二級アルコールを表す一般式(I)において、Qは、一般的に3〜7個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を環に含む飽和しているかまたは1個もしくは2個の不飽和結合を環に含む炭素環基を表すことができる。該環は1個〜5個の基R1、好ましくは1個〜3個の基R1によって置換されていてもよく、このR1は一般式(II)のアリール置換基に関する上記の定義と同義である。
【0027】
好ましい基Qの例としては、1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基またはシクロヘキセン−イル基を挙げることができる。
【0028】
Qが脂環式基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、1−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−メチル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−シクロヘキサン、1−メチル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−シクロヘキサン、1−メチル−4−イソプロピル−2−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロピル−2−(トリフルオロメチルカルビノール)−1−シクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロピル−(トリクロロメチルカルビノール)−1−シクロヘキサン、1−メチル−4−イソプロピル−(トリフルオロメチルカルビノール)−シクロヘキサンが挙げられる。
【0029】
上述のように、Qは直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基を表すことができる。
【0030】
より正確には、Qは、好ましくは1〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニル、アルカジエニルまたはアルキニル基を表す。
【0031】
炭化水素鎖は場合によっては、
・以下の基:
【0032】
【化14】
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つによって遮断されることができるか、
・及び/または以下の置換基:
−OH、−COOH、−CHO、−CN、−N(R2)2、−X、−CF3
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つを含み得る。
【0033】
直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基は場合によっては環状置換基を含み得る。“環”という用語は、飽和、不飽和または芳香族の炭素環式または複素環式の環を意味する。
【0034】
非環状脂肪族基は共有結合または以下の基:
【0035】
【化15】
〔式中、R2は上記の定義と同義である〕の1つによって環に結合できる。
使用され得る環状置換基の例は、脂環式、芳香族または複素環式の置換基、特に環に6個の炭素原子を含む脂環式の環またはベンゼン環であり、場合によってはこれらの環状置換基自体が同じかまたは異なる1、2、3、4または5個の基R1を含んでいてもよく、このR1は上記の定義と同義である。
【0036】
Qが脂肪族基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、1,1,1−トリフルオロ−2−ペンタノール、4−メチル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキサノール、3,3−ジメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノール、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−1,1,1−トリクロロ−5−ペンタノール、1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、5−ヒドロキシ−4−メチル−6,6,6−トリクロロ−3−ヘキサノン、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−オクタノン、2−ヒドロキシ−6−メチル−1,1,1−トリクロロ−4−ヘプタノン、4−エチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘキサノール、3−エチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−ノナノン、2−ヒドロキシ−7−メチル−1,1,1−トリクロロ−4−オクタノン、1,1,1−トリクロロ−4,6,6−トリメチル−2−ヘプタノール、1,1,1−トリクロロ−2−ノナノール、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−デカノン、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリクロロ−4−ウンデカノン、1,1,1−トリクロロ−2−ドデカノール、1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ブテン−2−オール、5,5,5−トリクロロ−1−ペンテン−4−オール、4−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−3−ペンテン−2−オール、3,4−ジメチル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−エチル−1,1,1−トリクロロ−3−ヘキセン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−4−ヘキセン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ノネン−2−オール、1,1,1,4−テトラクロロ−3−ノネン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ドデセン−2−オール、1,1,1−トリフルオロ−4−オクテン−2−オール、7−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−7−オクテン−3−イン−2−オール、8−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−7−オクテン−3−イン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−ノニン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−3−デシン−2−オール、1,1,1−トリクロロ−4−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−3−ペンテン−2−オール、9−トリクロロエチロールリモネン、(3,4,5,6−テトラヒドロ)−4−ノナトリル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、4−フェニル−1,1,1−トリクロロ−3−ペンテン−2−オール、4−フェニル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノール、4,6,6−トリメチル−1,1,1−トリクロロ−3−ヘプテン−2−オール、4,6,6−トリメチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘプタノール、5−メチル−1,1,1−トリクロロ−5−ヘキセン−2−オール、5−メチル−1,1,1−トリクロロ−2−ヘキサノール、3,4−ジメチル−1,1,1−トリクロロ−2−ペンタノールが挙げられる。
【0037】
Qはまた、飽和または不飽和の複素環基、特に環に5個または6個の原子を含み、これらの原子の1つまたは2つが窒素、イオウまたは酸素のようなヘテロ原子である飽和または不飽和の複素環基を表してもよい。複素環の炭素原子は、基R1によって全面的または部分的に置換されていてもよく、このR1は式(II)のアリール基の置換基に関する上記の定義と同義である。
【0038】
Qはまた、各環に少なくとも1個のヘテロ原子を含み互いの間にオルト−もしくはオルト−及びペリ−縮合系を形成している少なくとも2個の芳香族もしくは非芳香族の複素環から成る基であると定義されるか、または、少なくとも1個の芳香族もしくは非芳香族の炭素環と互いの間にオルト−もしくはオルト−及びペリ−縮合系を形成している少なくとも1個の芳香族もしくは非芳香族の複素環とから成る基であると定義される多環式複素環基を表してもよい。
【0039】
Qが複素環基を表す式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールの例としては、2−フリル−トリクロロメチルカルビノール、2−フリル−トリフルオロメチルカルビノール、1−(5−メチルフリル)−トリクロロメチルカルビノール、1−(5−N,N−ジエチルフラミド)−トリクロロメチルカルビノール、(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−3−ピリジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(トリクロロメチルカルビノール)−ピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(トリフルオロメチルカルビノール)−ピリミジン、4−ヒドロキシ−6−メチル−2−メチルアミノ−5−(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)−ピリミジン、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)−ピリミジンが挙げられる。
【0040】
本発明方法を使用してケトンに酸化できる出発α−ハロゲン化第二級アルコールは、文献に記載の方法によって得られる。特に、J.H.T.LEDRUT及びG.COMBESによって“Industrie chimique belge”no6(1962),p.635−652に引用されている製造手順のいずれかを使用して製造できる。
【0041】
α−ハロゲン化第二級アルコールを製造する多様な方法のうちで、この種の化合物の幾つかのファミリーを製造するためには幾つかの方法が残りの方法よりも好適である。
【0042】
例えば、置換活性水素をもつ化合物はクロラール(またはブロマール)と反応して対応するα−ハロゲン化第二級アルコールを生成し得る。
【0043】
ベラトロール(または1,2−ジメトキシベンゼン)のような芳香族炭化水素をクロラールと反応させるために塩化アルミニウムのような酸触媒を使用することが可能である。この種の製造については、上記に引用の文献に加えて、Bulletin de la Societe Chimique de France(1954),p.932のR.QUELETの論文を参照するとよい。
【0044】
フェノールを出発物質とするとき、クロラールを無水炭酸カリウムの存在下で反応させることが可能である(M.PAULY,Berichte der Deutschen Gesellschaft 56,979(1923)参照)。
【0045】
また、出願人の国際特許出願PCT/FR99/01235及びPCT/FR99/01379に従って製造したα−ハロゲン化第二級アルコールを使用することも可能である。
【0046】
本発明方法で使用される触媒は周期表の1b族及び8族から選択された金属を含有する。
【0047】
周期表の8族から選択された金属を含有する触媒の例としては、ニッケル、並びに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金のような貴金属及びそれらの混合物が挙げられる。1b族から選択される好ましい金属は銅である。
【0048】
好ましくは白金及び/またはパラジウム触媒を、白金黒、パラジウム黒、酸化白金、酸化パラジウムのような入手可能な形態で使用するか、または、貴金属自体をカーボンブラック、炭酸カルシウム、活性アルミナ及びシリカもしくは等価物のような種々の支持体に付着させた形態で使用する。カーボンブラックを支持体とする触媒系が特に好適である。
【0049】
式(I)の化合物の重量に対する金属M1の重量として表されるこの触媒の使用量は、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.04重量%〜2重量%の範囲でよい。
【0050】
触媒に関してより詳細に知るためには米国特許第3,673,257号及びフランス特許第2,305,420号及び第2,350,323号を参照するとよい。
【0051】
活性化剤は、上記に引用した特許に記載された活性化剤のいずれかから選択できる。好ましくは、ビスマス、鉛またはカドミウムを遊離金属またはカチオンの形態で使用する。カチオン形態の場合、会合するアニオンは重要ではなく、これらの金属の誘導体を使用できる。好ましくは金属ビスマスまたはその誘導体を使用する。
【0052】
ビスマス原子が0よりも大きい酸化数、例えば2、3、4または5の酸化数を有しているような無機または有機のビスマス誘導体を使用できる。この条件が満たされているならばビスマスに会合する残基は重要ではない。活性化剤は反応媒体に可溶性でも不溶性でもよい。
【0053】
本発明方法に使用し得る適当な活性化剤の例は、酸化ビスマス;水酸化ビスマス;ビスマスの塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物、セレン化物またはテルル化物のような無機水素酸の塩;ビスマスの亜硫酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、亜リン酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、アンチモン酸塩、ヒ酸塩、亜セレン酸塩またはセレン酸塩のような無機オキシ酸の塩;ビスマスのバナジウム酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、クロム酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩または過マンガン酸塩のような遷移金属から誘導されたオキシ酸の塩である。
【0054】
別の適当な化合物は、ビスマスの酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、乳酸塩またはクエン酸塩のような脂肪族もしくは芳香族の有機酸の塩;ビスマスの没食子酸塩及びピロ没食子酸塩のようなフェネートである。これらの塩及びフェネートはまたビスムチル塩でもよい。
【0055】
別の無機または有機の化合物としては、ビスマスとリン及びヒ素のような元素との二元化合物;ビスマス及びそれらの塩を含有するヘテロポリ酸;脂肪族または芳香族ビスムチン、などが挙げられる。
【0056】
以下のような特定例がある:
−酸化物:BiO;Bi2O3;Bi2O4;Bi2O5;
−水酸化物:Bi(OH)3;
−無機水素酸の塩:塩化ビスマスBiCl3;臭化ビスマスBiBr3;ヨウ化ビスマスBiI3;硫化ビスマスBi2S3;セレン化ビスマスBi2Se3;テルル化ビスマスBi2Te3;
−無機オキシ酸の塩;塩基性亜硫酸ビスマスBi2(SO3)3,Bi2O3,5H2O;中性硫酸ビスマスBi2(SO4)3;硫酸ビスムチル(BiO)HSO4;亜硝酸ビスムチル(BiO)NO2,0.5H2O;中性硝酸ビスムチルBi(NO3)3,5H2O;ビスマス及びマグネシウムの複硝酸塩2Bi(NO3)3,3Mg(NO3)2,24H2O;硝酸ビスムチル(BiO)NO3;亜リン酸ビスマスBi2(PO3H)3,3H2O;中性リン酸ビスマスBiPO4;ピロリン酸ビスマスBi4(P2O7)3;炭酸ビスムチル(BiO)2CO3,0.5H2O;中性過塩素酸ビスマスBi(ClO4)3,5H2O;過塩素酸ビスムチル(BiO)ClO4;アンチモン酸ビスマスBiSbO4;中性ヒ酸ビスマスBi(AsO4)3;ヒ酸ビスムチル(BiO)AsO4,5H2O;亜セレン酸ビスマスBi2(SeO3)3;
−遷移金属から誘導されたオキシ酸の塩;バナジウム酸ビスマスBiVO4;ニオブ酸ビスマスBiNbO4;タンタル酸ビスマスBiTaO4;中性クロム酸ビスマスBi2(CrO4);ジクロム酸ビスムチル[(BiO)2]2Cr2O7;酸性クロム酸ビスムチルH(BiO)CrO4;ビスムチル及びカリウムの複クロム酸塩K(BiO)CrO4;モリブデン酸ビスマスBi2(MoO4)3;タングステン酸ビスマスBi2(WO4)3;ビスマスとナトリウムとの複モリブデン酸塩NaBi(MoO4)2;塩基性過マンガン酸ビスマスBi2O2(OH)MnO4;
−脂肪族または芳香族の有機酸の塩:酢酸ビスマスBi(C2H3O2)3;プロピオン酸ビスムチル(BiO)C3H5O2;塩基性安息香酸ビスマスC6H5CO2Bi(OH)2;サリチル酸ビスムチルC6H4CO2(BiO)(OH);シュウ酸ビスマス(C2O4)3Bi2;酒石酸ビスマスBi2(C4H4O6)3,6H2O;乳酸ビスマス(C6H9O5)OBi,7H2O;クエン酸ビスマスC6H5O7Bi;
−フェネート:塩基性没食子酸ビスマスC7H7O7Bi;塩基性ピロ没食子酸ビスマスC6H3(OH)2(OBi)(OH)。
【0057】
その他の適当な無機または有機の化合物は、リン化ビスマスBiP;ヒ化ビスマスBi3As4;ビスマス酸ナトリウムNaBiO3;ビスマス−チオシアン酸H2[Bi(BNS)5],H3[Bi(CNS)6]及びそれらのナトリウム及びカリウム塩;トリメチルビスムチンBi(CH3)3及びトリフェニルビスムチンBi(C6H5)3である。
【0058】
本発明方法に使用され得る好ましいビスマス誘導体は、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、無機水素酸のビスマスまたはビスムチル塩、無機オキシ酸のビスマスまたはビスムチル塩、脂肪族または芳香族の有機酸のビスマスまたはビスムチル塩、並びに、ビスマスまたはビスムチルフェネートである。
【0059】
本発明方法に使用され得る活性化剤の特に好適なグループは、酸化ビスマスBi2O3及びBi2O4、水酸化ビスマスBi(OH)3、中性硫酸ビスマスBi2(SO4)3、塩化ビスマスBiCl3、臭化ビスマスBiBr3、ヨウ化ビスマスBiI3、中性硝酸ビスマスBi(NO3)3,5H2O、硝酸ビスムチルBiO(NO3)、炭酸ビスムチル(BiO)2CO3,0.5H2O、酢酸ビスマスBi(C2H3O2)3,サリチル酸ビスムチルC6H4CO2(BiO)(OH)によって形成される。
【0060】
使用される金属M1の重量を基準とした活性化剤中の金属の量として表される活性化剤の使用量は広範囲に増減し得る。金属M1の使用量の0.1重量%という少量から100重量%以上までの範囲で問題なく使用できる。有利な量は約50%である。
【0061】
本発明方法は、出発物質の種類に応じた多くの実施態様を有している。
【0062】
Qがアリール基であり少なくとも1個のヒドロキシル基を有している式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールを出発物質とするときは、化合物を塩形態のフェノール型化合物と反応させるのが有利である。
【0063】
この場合、触媒系は、金属M1を基材とする触媒と活性化剤とを順次にまたは同時に導入することによって用時調製されるかまたは別の時期に調製される。
【0064】
出発物質となるα−ハロゲン化第二級アルコールがフェノール型化合物でないとき、酸化反応は有機溶媒中で塩基を導入しないで生じさせる。
【0065】
この場合には、金属M1と活性化剤とから成る触媒系を予め調製しておくのが望ましい。
【0066】
より詳細には、ハロゲノメチルカルビノール基とヒドロキシル基とを含む式(I)のアルコールを使用する本発明の第一の実施態様では、溶液中に塩基化剤を含む水性媒体中で酸化反応を行う。より特定的には塩基化剤は、水酸化アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムまたはカリウムのメチラート、エチラート、イソプロピラート、tert−ブチラートのようなアルカリ金属アルカノラート、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または炭酸水素塩、一般的にはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基と弱酸との塩である。
【0067】
従って、式(I)の出発アルコールは、好ましくは酸化反応が生じる前に塩形態のヒドロキシル基を含む。
【0068】
経済上の理由から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの使用が好ましい。使用すべき無機塩基の割合は好ましくは、OH−のモル数と式(I)の化合物のモル数との比が1−2となるような割合である。
【0069】
液相中の式(I)のアルコールの重量濃度は通常は1重量%〜40重量%、好ましくは2重量%〜30重量%の範囲である。
【0070】
本発明方法は実際には、分子酸素または酸素含有気体、例えば空気を、式(I)のアルコールと塩基化剤と金属M1含有触媒と場合によっては活性化剤とを上述の割合で含む溶液に接触させる処理から成る。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、酸化反応に先立って最初に式(I)のアルコールの塩を形成する。
【0072】
1つの実施方法では、式(I)のアルコールと塩基化剤とを仕込み、周囲温度(通常は15℃〜5℃の範囲)で塩形態の化合物を得る。
次に、金属M1を含有する触媒と場合によっては活性化剤とを導入する。
次いで、反応混合物を酸素流または酸素含有気体流下で所望の反応温度に加熱する。
【0073】
本発明によれば、酸化温度は好ましくは40℃〜100℃の温度範囲から選択する。
一般には周囲圧力を使用するが、1〜20バールの圧力で処理することも可能である。
次に、混合物を所望温度で、カルビノール基をカルボニル基に変換させるために必要な酸素量に対応する量の酸素が消費されるまで撹拌する。
好ましくは30分〜6時間持続する反応の終了後、式(III):
【0074】
【化16】
〔式中、Q、Y1、Y2及びY3は上記の定義と同義である〕のケトン化合物を回収する。
【0075】
必要な場合には冷却後に、例えば濾過によって触媒系を反応混合物から分離する。
【0076】
次の段階では、得られた媒体に、好ましくは塩酸もしくは硫酸のような無機のプロトン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸もしくはメタンスルホン酸のような有機酸を添加することによってpHが5以下になるまで酸性化する。
【0077】
酸の濃度は重要でなく、好ましくは市販形態の酸を使用する。
酸性化は通常は周囲温度で行う。
【0078】
次に、式(III)のケトン化合物を慣用の技術、例えば、水素化または非水素化芳香族炭化水素、より特定的にはトルエンまたはモノ−もしくはジ−クロロベンゼンのような適当な有機溶媒を使用した抽出によって回収する。
【0079】
本発明の別の実施態様では、出発物質として使用されるα−ハロゲン化第二級アルコールが、脂肪族または芳香族型であるがフェノール型(即ち、ヒドロキシル基を含む芳香族化合物)でない化合物から成る。
【0080】
この場合、反応は水中で行うのが有利であるが、α−ハロゲン化第二級アルコールが十分に水溶性でないとき、例えば周囲温度下の水中溶解度が20重量%未満であるときは有機溶媒中で行う。
【0081】
反応条件下で不活性であり出発化合物を少なくとも部分的に溶解し得る有機溶媒を使用する。
【0082】
より特定的な例としては、エステル型の溶媒、特に酢酸ブチル、酢酸アミル及びフタル酸エチルが挙げられる。
【0083】
溶媒中の出発基質の濃度は好ましくは10重量%〜30重量%の範囲である。
【0084】
触媒系は好ましくは上述のように用時調製する。
【0085】
1つの例では、例えば、支持体好ましくは活性炭、シリカまたアルミナに金属M1を付着させることによって触媒を調製し、次いで、活性化剤となる化合物を塩基の存在下、好ましくは炭酸ナトリウムの存在下で導入することによって触媒系(M1触媒/活性化剤)を調製する。
これによって金属M1及び活性化剤を基材とする触媒系が得られる。
【0086】
また、水素、ホルモルまたはヒドラジンのような還元剤によって触媒系を還元することも可能である。
【0087】
酸化反応の温度は好ましくは100℃〜160℃の温度範囲で選択される。
【0088】
一般には周囲圧力を使用するが、1〜20バールの圧力を使用することも可能である。
【0089】
1つの実施方法では、式(I)の化合物、有機溶媒及び触媒を仕込む。
酸素流または酸素含有気体流下に維持した反応媒体を所望の反応温度まで加熱する。
【0090】
次に、混合物を所望温度で、カルビノール基をカルボニル基に変換させるために必要な酸素量に対応する量の酸素が消費されるまで撹拌する。
【0091】
反応中に有機媒体中で形成された水を気体の蒸留または物理的飛沫同伴によって連続的に除去する。
【0092】
好ましくは30分から6時間持続する反応の終了後に、式(III)の化合物を通常は蒸留によって回収する。
【0093】
本発明はまた、一般式:
【0094】
【化17】
〔式中、Qは上記の定義と同義であり、好ましくはQが上記に定義の脂肪族基を表し、Y1、Y2及びY3は水素原子またはフッ素原子を表し、Y1、Y2及びY3が少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは3個のフッ素原子を表す〕のα−ハロゲン化ケトンを提供する。
【0095】
本発明の実施例を非限定的に説明する。
【0096】
実施例で使用した略号は以下の定義を有している。
変換度(TT)は、変換された基質のモル数と使用された基質のモル数との比に相当する。
【0097】
収率(RR)は形成された生成物のモル数と使用された基質のモル数との比に相当する。
【0098】
貴金属の重量は、触媒の全重量(活性相+支持体)に対する重量%として表す。
【0099】
実施例1
4−トリフルオロアセチルアニソールの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸エチルを添加した。
これを撹拌し、次いで、Engelhardによって製品として販売されている50%の水を含有する0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を導入した。
これを125℃に加熱し、反応器頂部に空気流を通した。
6時間の反応後、ガスクロマトグラフィーで測定した収率(RR)は99%であった。
【0100】
実施例2
5.3%Pd+3%Biから成る触媒を使用して実施例1を繰り返した。
6時間の反応後、収率(RR)は13%であった。
【0101】
実施例3
4−トリフルオロアセチル−2−ヒドロキシトルエンの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシ−3−メチルベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水を添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.5gの5.4%Pt+1.8%Bi/C触媒を導入した。
これを80℃に加熱し、溶液に空気流を導入した。
これらの条件下で15時間反応後、ガスクロマトグラフィーで測定した収率(RR)は95%であった。
【0102】
実施例4
40mlの酢酸ブチルを使用して実施例3を繰り返した。
反応を125℃で行った。
6時間の反応後、収率(RR)は96%であった。
【0103】
実施例5
4−トリフルオロアセチル−2−ヒドロキシトルエンの製造
4gの2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシ−3−メチルベンゼン)エタノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水及び0.8gの水酸化ナトリウムを添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.5gの5%Pt/C触媒を導入した。
次いで17mgのBi2O3を添加した。
これを80℃に加熱し、バブリングによって反応媒体に空気流を通した。
8時間の反応後、収率(RR)は96%であった。
【0104】
実施例6
2,6−トリフルオロアセチル−ノニル−4−フェノールの製造
8gの2,6−(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−4−ノニルフェノールを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの水及び1.3gの水酸化ナトリウムペレットを添加した。
これを撹拌し、次いで、50%の水を含有する0.8gの5%Pt/C触媒及び27mgのBi2O3を添加した。
これを80℃に加熱し、空気流をバブリングした。
15時間の反応後、収率(RR)は94%であった。
【0105】
実施例7
シス及びトランス1,1,1−トリフルオロ−4−ノネン−2−オンの製造
4gのシス及びトランス1,1,1−ヒドロキシ−2−ノネン−4を100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸ブチルを添加して撹拌した。
次いで50%の水を含有する0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を添加した。
これを125℃に加熱し、反応媒体に空気流を通した。
8時間の反応後、収率(RR)は94%であった。
【0106】
実施例8
3−(トリフルオロアセチル)ピリジンの製造
5gの(2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール)−3−ピリジンを100mlのガラス反応器に導入した。
40mlの酢酸ブチルを添加して撹拌した。
次いで0.5gの4.7%Pt+1.5%Bi/C触媒を添加した。
これを125℃に加熱し、反応媒体に空気流を通した。
10時間の反応後、ガスクロマトグラフィーによって得られた収率(RR)は68%であった。
Claims (33)
- 周期表の1b族及び8族の金属から選択された金属M1を含有する触媒の存在下で分子酸素または酸素含有気体を使用してα−ハロゲン化第二級アルコールを液相中で酸化する処理から成ることを特徴とするα−ハロゲン化ケトンの製造方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中の基Y1、Y2及びY3の少なくとも2つがハロゲン原子を表し、より好ましくは基Y1、Y2及びY3の全部がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を表すことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが、置換または未置換の一価の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基であるか、あるいは、飽和、不飽和または芳香族の単環式または多環式の炭素環基または複素環基であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが、一般式(II):
・nは、0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数である;
・Rは、以下の基または官能基の1つから成るR1を表す:
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル;
・1〜6個の炭素原子を有しておりかつ1〜13個のハロゲン原子を有しているハロゲノアルキル基(該ハロゲノアロキルはモノ−、ポリ−またはペルハロゲノアルキルであり得る);
・2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルケニル基、例えば、ビニルまたはアリル;
・1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルコキシまたはチオエーテル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシまたはブトキシ;
・以下の基:
−OH
−COOH
−CHO
−CN
−N−(R2)2
−X
−CF3;
ここに、同じまたは異なる基R2は、水素原子を表すか、または、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または、フェニル基を表し、Xは、ハロゲン原子、特に塩素原子または臭素原子を表す;あるいは、
・Rは、より複雑な以下の基の1つから成るR3を表す:
・基:
R1は前記の定義と同義であり、
R4は、共有結合を表すか、または、1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の二価の炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレンまたはイソプロピリデンを表し、
mは0〜3の整数を表す;
・基R4−A−R5:
ここに、
R4は前記の定義と同義であり、
R5は、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有している直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または基:
Aは、以下の基の1つを表し:
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。 - α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが一般式(II)のアリール基を表し、一般式(II)において、nが1よりも大きい数であり、基Rは同じ基でもまたは異なる基でもよく、ベンゼン環の隣合う2個の炭素原子がケタールブリッジ、好ましくは核外のメチレン基またはエチレン基によって互いに結合されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが一般式(II)のアリール基を表し、一般式(II)において、
・Rが以下の官能基の1つを表す:
・1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分子状のアルキル基;
・1〜4個の炭素原子を有している直鎖状または分子状のアルコキシ基またはチオエーテル基;
・メチレンまたはエチレン−ジオキシ基;
・−OH基;
・フェニル基またはベンジル基;
・ハロゲン原子;
ことを特徴とする請求項5または6に記載の方法。 - α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが、一般には3〜7個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を環に含む飽和しているかまたは1〜2個の不飽和結合を環に含む炭素環基を表し、前記環は1〜5個の基R1、好ましくは1〜3個の基R1によって置換されていてもよく、R1は請求項5に記載の定義と同義であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが、請求項5に定義したような1〜5個の同じまたは異なる基R1を有していてもよい脂環式、芳香族または複素環式置換基を有している直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の非環状脂肪族基を表すことを特徴とする請求項10に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが一般式(I)を有しており、式中のQが、特に環に5個または6個の炭素原子を有しており、そのうちの1個または2個のヘテロ原子が窒素、イオウまたは酸素のような原子である飽和または不飽和の一価の複素環基を表し、複素環の炭素原子が全面的または部分的に基R1によって置換されていてもよく、R1は請求項5に記載の定義と同義であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
- α−ハロゲン化第二級アルコールが、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、2−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3−ヒドロキシ−4−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,4−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリクロロメチルカルビノール、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4−ジメトキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、3,4−メチレンジオキシ−1−フェニル−トリフルオロメチルカルビノール、1,1,1−トリフルオロ−4−オクテン−2−オールまたは1,1,1−トリフルオロ−4−デセン−2−オールであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 1b族及び8族の金属用の活性化剤、例えば、カドミウム、セリウム、ビスマス、鉛、銀、テルル、錫またはゲルマニウム、好ましくはビスマスを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 触媒が、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金またはそれらの混合物を含有すること、好ましくは触媒が白金及び/またはパラジウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 白金及び/またはパラジウム触媒が、白金黒、パラジウム黒、酸化白金、酸化パラジウムの形態で導入されるか、または、カーボンブラック、炭酸カルシウム、活性アルミナ及びシリカまたは等価物のような種々の支持体に付着させた貴金属の形態、特にカーボンブラックに付着させた貴金属の形態で導入されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 式(I)の化合物の重量に対する金属M1の重量として表される触媒の使用量が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.04重量%〜2重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 活性化剤が、酸化ビスマス;水酸化ビスマス;無機水素酸のビスマスまたはビスムチル塩、好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物、セレン化物、テルル化物;無機オキシ酸のビスマスまたはビスムチル塩、好ましくは亜硫酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、亜リン酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、アンチモン酸塩、ヒ酸塩、亜セレン酸塩またはセレン酸塩;脂肪族または芳香族の有機酸のビスマスまたはビスムチル塩、好ましくは、酢酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、乳酸塩またはクエン酸塩;ビスマスまたはビスムチルのフェネート、好ましくは没食子酸塩及びピロ没食子酸塩から成るグループから選択された有機または無機のビスマス誘導体であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- ビスマス誘導体が、酸化ビスマスBi2O3及びBi2O4;水酸化ビスマスBi(OH)3;塩化ビスマスBiCl3;臭化ビスマスBiBr3;ヨウ化ビスマスBiI3;中性硫酸ビスマスBi2(SO4);中性硝酸ビスマスBi(NO3)3,5H2O;硝酸ビスムチル(BiO)NO3;炭酸ビスムチル(BiO)2CO3,0.5H2O;酢酸ビスマスBi(C2H3O2)3;サリチル酸ビスムチルC6H4CO2(BiO)(OH)から成るグループから選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
- 使用される金属M1の重量を基準として表される活性化剤の量が、0.1重量%〜100重量%の範囲、好ましくは約50重量%であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 式(I)のα−トリハロゲン化第二級アルコールが環にハロゲノメチルカルビノール基とヒドロキシル基とを有している式(I)の芳香族化合物であるとき、塩基化剤を含む水性媒体中で酸化反応を実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 塩基化剤がソーダであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 酸化反応に先立って式(I)のアルコールの塩形態を形成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 式(I)のアルコール及び塩基化剤を仕込み、周囲温度で塩形態の化合物を製造し、次いで、金属M1を含有する触媒と任意に活性化剤とを導入し、酸素流または酸素含有気体流中に維持した反応混合物を所望の反応温度に加熱することを特徴とする請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
- 酸化反応を40℃〜100℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)のα−ハロゲン化第二級アルコールが環にハロゲノメチルカルビノール基とヒドロキシル基とを有している芳香族化合物以外のα−ハロゲン化第二級アルコールであるときは、水性または有機性の媒体中で酸化反応を実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 有機溶媒がエステル型の溶媒、好ましくは酢酸ブチルであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
- 金属M1と活性化剤を含有する触媒系を予め調製することを特徴とする請求項26に記載の方法。
- 酸化反応の温度が100℃〜160℃の範囲であることを特徴とする請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)の化合物と水または有機溶媒と触媒系とを一緒に仕込むことを特徴とする請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
- 式(IV)を有しており、式中のQが請求項9に定義の脂肪族基を表し、Y1、Y2及びY3が水素原子またはフッ素原子を表し、Y1、Y2及びY3が少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは3個のフッ素原子を表すことを特徴とする請求項31に記載のケトン。
- 1,1,1−トリフルオロ−4−オクテン−2−オン;
1,1,1−トリフルオロ−4−ノネン−2−オン;
1,1,1−トリフルオロ−4−デセン−2−オン;
4−トリフルオロアセチルアニソール;
4−トリフルオロアセチル−2−ヒドロキシ−トルエン;
2,6−トリフルオロアセチル−ノニル−4−フェノール;
3−(トリフルオロアセチル)ピリジン。
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