JP2004500876A - 組換え体のタンパク質分解トリプターゼ、組換え体のタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異、及びそれらの生成方法 - Google Patents

組換え体のタンパク質分解トリプターゼ、組換え体のタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異、及びそれらの生成方法 Download PDF

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Abstract

開示は、形質転換された宿主で酵素的に活性なトリプターゼの生成を導く発現構成である、真核生物の宿主細胞で酵素的に活性な組換え体のタンパク質分解トリプターゼを発現する方法、及び酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼを発現する発現構成を含有する遺伝子工学的に改変された真核生物の宿主細胞である。さらに、かかる方法で生成されたタンパク質分解トリプターゼの使用が開示される。また、開示は、形質転換された真核生物の宿主細胞で突然変異の生成を導く発現構成である、真核生物の宿主細胞でタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異を生成する方法、及びタンパク質分解トリプターゼの活性部位が突然変異した形態を発現する発現構成を含有する遺伝子工学的に改変された真核生物の宿主細胞である。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、発現が酵素学的に活性なタンパク質分解トリプターゼのコード化を構成し、酵素学的に活性な組換え体のタンパク質分解トリプターゼを発現する遺伝子工学的に改変された真核生物である、微生物の宿主で遺伝子工学的に改変された酵素学的に活性な組換え体のタンパク質分解トリプターゼの生成方法を導く。本発明はまた、発現が活性部位の突然変異による酵素活性を欠損した変異型タンパク質分解トリプターゼのコード化を構成し、活性部位の突然変異を有する変異型組換えタンパク質分解トリプターゼを発現する、遺伝子工学的に改変された真核生物である、遺伝子工学的に改変された微生物の宿主で組換え体のタンパク質分解のトリプターゼの活性部位の突然変異の合成方法を導く。
【0002】
文献目録
ここに言及される参考文献としての完全な引例は、配列リストの直前の文献目録に含まれる。
【0003】
関連する技術の記載
マスト細胞β−トリプターゼは、インビボ(in vivo)で未知の生物学的機能である中立のセリンプロテアーゼである。しかしながら、それは喘息、脈管形成及び組織を改変に密接に結び付けられている。それは、マスト細胞の顆粒タンパク質の合計の20%w/v以内を構成する。β−トリプターゼは、マスト細胞の顆粒に選択的に保存されて、マスト細胞脱顆粒反応で作動される。β−トリプターゼはマスト細胞にとって独占的であるために、マスト細胞を媒介として病理学の特定のマーカーとして好意を獲得した。マスト細胞の異質性、構造及び媒介物質に関する完全な議論のためにはニルソン及びスキワーツ(Nilsson and Schwartz)(1994)を参照すること。
【0004】
喘息において、マスト細胞は、アレルゲンの攻撃に続いて直ちに起こる、急性の免疫反応に密接に関係している。例えば、ホルゲートとチャーチ(Holgate and Church)(1992)を参照のこと。羊をモデルにしたアレルギーにおいて、J.M.クラーク等(J.M.Clark et al.)(1995)のトリプターゼは抗原に引き起こされる気道反応での重要な仲介者の役割をすることを示している。
【0005】
多くのタンパク質は、フィブリノーゲンのα及びβチェーンを含有して、インビトロ(in vitro)でのトリプターゼ切断の基質であることが報告されている。スキワーツ等(1985)を参照すること。トリプターゼはフィブリノーゲンを血餅活性を欠損し、潜在的にマスト細胞脱顆粒反応の部位で抗凝血剤の役割をするフラグメントに切断する。
【0006】
精製された天然のヒトβ−トリプターゼは約134kDaの四量体のエンドプロテアーゼである。4つのサブユニットの各々は、約31乃至34kDaの大きさである。スキワーツ(1995)に言及されるように、1981年にヒトのトリプターゼは分散されて富化された肺のマスト細胞から明らかに均一になるように第一に精製された。しかしながら、さらなる調査は、哺乳類のトリプターゼの少なくとも二つの異なるタイプ又はグループが存在することを示しており、それらはタンパク質分解トリプターゼと非タンパク質分解トリプターゼである。それらのトリプターゼ形態のタンパク質分解トリプターゼは、活性トリプターゼを算出するために分解できる。切断可能なタンパク質分解のトリプターゼはβ−トリプターゼ、β型のトリプターゼ、及びトランスメンブラントリプターゼを含む。さらに、β−トリプターゼは2つの優勢なイソ型に分けられて、それらはβ−Iとβ−IIである。β−Iのイソ型はスキントリプターゼと呼ばれ、β−IIのイソ型はスキントリプターゼは肺トリプターゼと呼ばれる。この新しい命名法がここでは使用される。
【0007】
切断可能なタンパク質分解トリプターゼと対照的に、第二のタイプであるトリプターゼの非タンパク質分解トリプターゼは切断できない。このようにして、非タンパク質分解トリプターゼは酵素的に活性ではない。非タンパク質分解トリプターゼはα−トリプターゼを含む。フアング(Huang)等(1999)は、タンパク質分解トリプターゼをアミノ酸1(分解されたタンパク質分解トリプターゼの第一のアミノ酸)からアミノ酸−3及び−2でのアミノ酸R−Vへの分解に貢献する。R−Vはβ−トリプターゼに存在し、一方でα−トリプターゼには存在しない。さらに、タンパク質分解及び非タンパク質分解トリプターゼは、はっきりした遺伝子からの由来である。
【0008】
ヒトのトリプターゼは、スミス等(1984)によって記載のように、死体の肺組織から慣習的に分離される。
【0009】
ヒトのトリプターゼをコード化する、クローニングcDNAが多くの調査で報告されている。イデ(Ide)等(1995)を参照するラットのマスト細胞トリプターゼと同様に、ミラー等(Miller et al)(1990)、バンダーライス等(Vanderslice et al)(1990)及びブロムとヘルマン(Blom and Hellman)(1993)を参照のこと。
【0010】
しかしながら、特に活発なトリプターゼを発現する、ヒトのトリプターゼを発現する以前からの試みは、細菌の発現システム又はバキュロウィルスの発現システムを使用することは、酵素力の欠損に帰着するタンパク質の折りたたみ問題を含む無数の問題で悩まされる。これらの失敗は、少なくとも一部分は、トリプターゼ酵素が酵素の活性形態を産出するために翻訳後で大規模に修飾されるという事実による。したがって、原核生物で生成された組換え体トリプターゼの比活性は翻訳後のグリコシル化の欠如により低いと予想されるだろう。さらなる結果として、酵素的に活性な組換え体ヒトトリプターゼの以前からの試みは、方法が酵素前駆体を活性化する発現後の化学的修飾及び後の精製を要求するので、理想とははるかに掛け離れたものであることが分かった。
【0011】
例えば、サカイ等(1996)はバキュロウィルスシステムでの組換え体ヒトα−トリプターゼとβ−トリプターゼ前駆体の発現と精製を報告している。しかしながら、形成されたトリプターゼ前駆体は不活性である。
【0012】
異種のタンパク質合成のための宿主としてのメチロトローフな酵母(例えばHansenula polymorpha、K1uyveromyces lactis、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、Schwanniomyces occidentalis及びYarrowia lipolytica)の使用に関して、これらの生物の特性及びかかる使用におけるそれらの適応性は広範囲に重要な文献において調査された。例えば、フェイバー等(Faber et al.)(1995)、バックホルツ及びグリーソン(BuckhoIz and Gleeson)(1991)を参照してください。
【0013】
チェン等(Chan et al)(1999)は、メチロトローフな酵母でプロトリプターゼをクローニングした。チェン等の発現した合成物は、活性な四量体トリプターゼを形成するために外因的に処理されるべきである、プロトリプターゼモノマーである。この変換は、活性段階に依存するヘパリン−及びジペプチジルペプチダーゼIを含有する、追加的な2つのカラム精製方法を必要とする。これらの外生の処理段階は、非常に低い発現レベル、各段階での酵素の量の大規模な欠損及び精製された酵素の非常に低い終量に帰着する。
【0014】
事前にクローニングされたトリプターゼは、切断部位を含まない。したがって、クローニングされたトリプターゼはアミノ酸−3と−2でRVを欠損する。したがって、それらのクローニングされたトリプターゼは切断されない。それらの以前のトリプターゼシステムは切断しないために、以前のトリプターゼは酵素的に活性な四量体を同時に形成しない。
【0015】
タンパク質分解トリプターゼの活性部位は事前に決定されない。アミノ酸44、91、及び194がタンパク質分解トリプターゼで保存され、酵素的な活性部位の存在と関係する一方で、これらの三つのアミノ酸が活性のために必要になるという事前の実証はなかった。
【0016】
フアング等(Huang et al)(1999)はα−トリプターゼを突然変異させ、α−トリプターゼの基質と結合するクレフトを形成する表面ループの一つである、残存の215の重要性を決定するために昆虫の細胞で発現した。フアング等による昆虫細胞での異種のα−トリプターゼの発現は、タンパク質を活性化するために数多のエクスビボ(ex vivo)の翻訳後段階を必要とする。
【0017】
発明の概要
酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼ(例えば、β−I,β−II,β型)とタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異だけの発現システムを提供する酵母でのトリプターゼの発現は合成される。様々な活性のタンパク質分解トリプターゼを合成するために、DNA発現の構築がDNAと細菌及び酵母との間を行き来するために使用される。例えば、トリプターゼをコード化するDNAの部位直結型突然変異は従来のエシェリヒア.コリの宿主でなされ、次いで、変異型DNAは、新規なトリプターゼの発現のために適切な真核細胞の宿主に転換される。
【0018】
本発明の好ましい実施態様は、5´から3´へ移動する、プロモーターを含有するDNA発現構成を導き、プロモーターは分泌シグナルの配列に機能的にリンクして、分泌シグナルの配列は活性部位の変位を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクし、ここで発現構成は、活性部位の変位により酵素活性が欠損した成熟なタンパク質分解トリプターゼの発現を導く。
【0019】
本発明の他の好ましい実施態様は、AOX1、GAP,MOX,FMD,ADH,LAC4,XPR2,LEU2,GAM1、PGK1,GAL7,GAPDH,CYC1及びCUP1から構成されるグループから選択される5´から3´へ移動する、プロモーターを含有するDNA発現構成を導き、プロモーターは分泌シグナルの配列に機能的にリンクして、分泌シグナルの配列は活性部位の変位を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクし、DNA配列はターミネーター配列に機能的にリンクする。
【0020】
本発明によると、タンパク質分解トリプターゼをコード化するDNAは、タンパク質分解トリプターゼの3つの活性部位アミノ酸(アミノ酸44、91、及び194)のうちの一つが突然変位される。変異されたDNAは真核細胞の発現システムにクローニングされ、好ましくは酵母の宿主細胞である、適切な真核細胞の宿主細胞に形質転換される。形質転換が成功した宿主細胞は発現し、翻訳後処理を行ない、好ましくは発現を誘発する、活性部位変異型成熟トリプターゼを分泌する。
【0021】
本発明の他の実施態様は、発現構成を含み発現するために形質転換された生物によって合成される、トリプターゼの酵素活性を欠損する、組換え体タンパク質を導く。好ましくは、DNA発現の構成は、アミノ酸44のヒスチジン、アミノ酸91のアスパラギン酸、アミノ酸194のセリンである、タンパク質分解トリプターゼ遺伝子内の3つの推定される活性部位の一つで突然変異を有する。好ましくは、突然変異はそれらのアミノ酸位置でアラニンに変化する。
【0022】
さらに、本発明はポリクローナル又はモノクローナル抗ヒトタンパク質分解トリプターゼ抗体の産出方法を導く。好ましい実施態様は、発現構成を含み発現するために形質転換された生物によって合成される、タンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異を備える動物の接種を含む。抗体生成の他の組換え方法は、制限しないが、ファージの表示技術、ライブラリースクリーニング、及びそれら二つの方法の組み合わせを含有して使用できる。本発明はまた、それによって生成される、ポリクローナル、モノクローナル、またはキメラのモノクローナル抗ヒトタンパク質分解トリプターゼ抗体を導く。
【0023】
本発明の別の好ましい実施態様は、5´から3´へ移動する、プロモーターを含有するDNA発現構成を導き、プロモーターは分泌シグナルの配列に機能的にリンクして、分泌シグナルの配列は活性部位の変位を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクし、ここで発現構成は発現構成を含むために形質転換された宿主に酵素活性を有する成熟のタンパク質分解トリプターゼの発現を導く。
【0024】
本発明のさらなる別の実施態様は、5´から3´へ移動する、プロモーターを含有するDNA発現構成を導き、プロモーターは分泌シグナルの配列に機能的にリンクして、分泌シグナルの配列は配列番号6のポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクし、ここで発現構成は発現構成を含むために形質転換された宿主に酵素活性を有する成熟のβ−IIトリプターゼの発現を導く。アミノ酸102でのβ−Iトリプターゼの突然変異はβ−IIトリプターゼと同一の配列を産出する。β−IIトリプターゼのコード領域の残存部分において変化はない。突然変異がβ−Iトリプターゼの突然変異として産出されるが、これより後ではβ−IIトリプターゼと呼ばれ、β−IIトリプターゼと同一のコード領域である。組換え体β−IIトリプターゼは、酵母のゲノムに統合されるDNA構成を発現する。好ましい実施態様において、遺伝子工学的に改変された酵母細胞は、ここに記載のようにβ−IIトリプターゼ発現構成を含み発現するために形質転換されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞を含む。
【0025】
本発明は、すぐ下流(つまり3´方向)のタンパク質分解トリプターゼの成熟形態をコード化する、機能的にリンクしているDNA配列を必要とし、発現構成を産出するための分泌シグナル配列をフレーム内に必要とする。pPIC9−HumTryN102Kをデザインしたプラスミドである好ましい実施態様である、発現構成は、好ましくは酵母菌株であり、最も好ましくはピキア(Pichia)属菌株である、適切な宿主に形質転換される。そのように形質転換された宿主は、発現構成によってコード化されたβ−IIトリプターゼを発現し分泌する。発現されたβ−IIトリプターゼは、宿主細胞によって正確に処理され、トリプターゼの代替のイソ型として細胞培養液に分泌される。
【0026】
本発明は、天然型のトリプターゼがプロタンパク質として合成されるという利点を有する。ここに記載される修飾型トリプターゼアンプリコンはN−末端アミノ酸前駆体をコード化する配列を欠如する。フレーム内の融合としてこの配列をN−末端酵母分泌シグナル配列にクローニングすることによって、分泌されたトリプターゼタンパク質を活性処理することを問題にする必要はない。切断され、セルフアセンブルを行ない、さらに必要とされる外因性の操作なしで活性な四量体酵素を同時に形成する成熟モノマーとして分泌される。
【0027】
この結果を達成するために、シグナルペプチドの切断部位は、成熟トリプターゼタンパク質のN−末端に隣接して位置している。真核細胞の宿主細胞のプロテアーゼの作用によるシグナルペプチドの切断は、分泌されるトリプターゼからシグナルペプチドを移動する。この結果は、ヒトの組織から分離された成熟な天然型トリプターゼ分子で見られる同一のアミノ酸末端残基を含有するトリプターゼの酵素的に活性な成熟形態の分泌である。
【0028】
ここに記載のタンパク質分解トリプターゼの生成方法の明確な利点は、以前の方法と異なり、そのようにして生成されたトリプターゼは、トリプターゼ作用を開始するための任意の外因性又はヒト支援型発現後若しくは精製後修飾或いは操作を必要としないことである。本発明において、モノマーは分泌されるように切断される。モノマーの活性な四量体へのセルフアセンブルは、細胞からの分泌後に発生する。これは分泌後に自動的に起こる。本発明にしたがって生成されたタンパク質分解トリプターゼは、死体のトリプターゼに比較して優れている酵素活性を有する。
【0029】
ここに記載されるタンパク質分解トリプターゼの生成方法の他の明白な利点は、前述のようにして生成されたトリプターゼは高い発現レベルを有することである。酵素が死体から精製される従来の精製工程と比較して、ここに記載の方法と結果となるトリプターゼは死体からのトリプターゼで共通して見られる不純物を欠損する。さらに、死体供給源の物質を使用することに関連するバイオハザードを欠損する。ここに記載される方法及び結果となるトリプターゼはまた、バッチ間の偏差が少なく、精製されたトリプターゼの高い均一性を有する。結果となるトリプターゼはまた、高い比活性を有する。
【0030】
本発明によって産する酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼの即座の有効性は、直ちにいくつかの未到の長所がある。それらは、マスト細胞が介在する疾病でのトリプターゼの生物学的に重要な理解の前進と同様に、潜在的な治療として特定のトリプターゼ阻害剤における組み合わせライブラリーの大規模なスクリーニングを容易にすることを含む。
【0031】
本発明によって提供されるタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異は、このユニークなプロテアーゼの構造と機能的な特性についての理解を促進するツールを供給する。活性部位は、酵素反応において必要な部位を意味する。活性部位は、活性部位の表面ループに限定しない。ここに記載の活性部位の突然変異は四量体を形成できる。
【0032】
本発明による方法は、確定される規格を有するトリプターゼの大きく標準化されたロット(100mg以上又は5リットルの酵母培養液)を生成するために使用できる。本方法はまた、マイクログラムからグラム又はキログラム単位の量までトリプターゼを生成するために容易く計量できる。死体からトリプターゼを精製するための従来の方法を用いて、一体のヒトの肺からはほんの10ミリグラムのトリプターゼが得られる。
【0033】
好ましいピキアの形質転換体で生成されるトリプターゼの量は、例えば、製薬研究、組み合わせライブラリースクリーニング、及びX線結晶学的な研究などの大量規模の研究を可能にするために過去において可能であった量よりも十分に多い。さらに、大量に生成されるトリプターゼはトリプターゼのアゴニスト及び/又はアンタゴニストの発展を可能にする。
【0034】
本発明の他の目的及び利点は、本発明の下記の詳細な記載及び請求項の読み込みによって明らかになるだろう。
【0035】
発明の詳細な記載
定義
明細書及び請求項についての明瞭で一貫した理解を提供するために、次の定義はここに使用される。 明らかに記述されない用語は当業者によって理解されるような標準的な意味を有している。
【0036】
活性部位変位型−活性部位は酵素反応に必要な部位を意味する。活性部位は活性部位の表面ループに制限されない。ここで使用されるように、タンパク質分解トリプターゼの活性部位はアミノ酸44、91、及び194又はタンパク質分解トリプターゼにおけるそれらの比較可能なアミノ酸である。ここに記載されるタンパク質分解トリプターゼの活性部位変位型は切断可能であり、四量体を形成する。活性部位変位型は酵素的活性を欠損する。活性のこの欠損は、成熟四量体を形成する能力の欠損によるものではなく、活性部位の突然変異によるためである。
【0037】
酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼ−遺伝子工学的に改変された宿主細胞からの異種のタンパク質の発現に適用するように、発現された/抽出されたタンパク質が所望の活性を有するために分泌シグナルペプチド又は人工的なグリコシル化の人工的切断などの発現後又は抽出後の化学処理処理を必要としない場合にタンパク質は酵素的に活性である。タンパク質分解トリプターゼは、酵素的な活性となる四量体形態に正確に形成されるべきである。“成熟したタンパク質分解トリプターゼ”と共に同義的に使用した。
【0038】
発現構成−構成が適切な宿主細胞に形質転換される場合にコード化されたタンパク質又はペプチドの発現を導く一つ以上の抑制的なサブシークエンスに機能的にリンクされた、関心のあるタンパク質又はペプチドをコード化する少なくとも一つのサブシークエンスを含有するDNA構成。かかる構成は、さらに形質転換細胞への抗生物質耐性又は栄養の制限を与えるサブシーケンスのような構成を含むために変形された宿主細胞を選択するためのサブシーケンスのコード化する方法を含んでいるかもしれない。
【0039】
宿主細胞−一般的に、形質転換を行ない易い真核生物細胞は、限定しないが、Hansenula, K1uyveromyces, Pichia, Saccharoinyces, Schizosaccharornyces,Schwanniornyces, Yarrowia,並びに、同様に, Hansenula polymorpha, Kluyveromyces lactis, Pichia pastoris, Saccharomyces cerevisiae, Schizosaccharomyces pombe, Schwanniomyces occidentalis及び
【外1】
Figure 2004500876
属の生物を含有する。ピキア属の宿主が好ましく、最も好ましい宿主細胞はATCC20864の特徴を有するピキア・パストリスである。
【0040】
成熟した、タンパク質分解トリプターゼ−遺伝子工学的に改変された宿主細胞からの異種のタンパク質の発現に適用するように、発現された/抽出されたタンパク質が所望の活性を有するために分泌シグナルペプチド又は人工的なグリコシル化の人工的切断などの発現後又は抽出後の化学処理処理を必要としない場合にタンパク質は酵素的に活性である。タンパク質分解トリプターゼは、酵素的な活性となる四量体形態に正確に形成されるべきである。“酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼ”と共に同義的に使用した。
【0041】
非タンパク質分解トリプターゼ−切断せずセルフアセンブルしないトリプターゼの形態。非タンパク質分解トリプターゼの例は、限定しないが、α−トリプターゼを含む。従来技術でのトリプターゼの命名法は一貫していないことを注意する。
【0042】
機能的にリンク−連結されたDNA配列を参照する場合、配列が同じリーディングフレームにあり、上流の調節配列が下流の構造配列に関して実行するだろうことを示す。機能的にリンクされるDNA配列は、必ずしも物理的に互いに直接的にリンクされないが、リンクした配列の機能上の関係に干渉しない、介在するヌクレオチドによって分離されるかもしれない。
【0043】
ピキア・パストリス−インビトロジェンコーポレーション(米国、カリフォリニア、サンディエゴ)から入手可能なピキア・パストリス菌株KM71と同様に、アメリカンタイプカルチャーコレクション(米国、20110−2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティビルディング、10801、ATCC)登録番号2604、20864(菌株GS115と同義である)、28485、60372、66390乃至66395、76273、及び76274の寄託された菌株の特徴を有する菌株を含有する任意のピキア・パストリス菌株。ATCC20864(菌株GS115)と菌株KM71が好ましい宿主細胞のタイプである。
【0044】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)−大量の所望のポリヌクレオチド配列を産出するために、DNAポリメラーゼと一対のプライマーを用いて、変性、アニーリング、伸長反応を行なう技術である。反応の詳細は米国特許第4,683,195号明細書と4,683,202号明細書を参照のこと。
【0045】
プロモーター−RNAポリメラーゼが結合し、DNA配列を対応するRNA配列に下流(つまり3´)へと特異的な転写を導くDNA配列。RNA合成の開始シグナルとしてのプロモーター機能。本プロモーター自身は転写されない。
【0046】
タンパク質分解トリプターゼ−プロトリプターゼ形態に切断可能でセルフアセンブルするトリプターゼであり、ここでモノマーはトリプターゼ活性を開始するための任意の外因性の若しくはヒト支援型発現後又は精製後の修飾或いは操作を伴わないで四量体にアセンブルされる。タンパク質分解トリプターゼの例は、制限されないが、β−Iトリプターゼ(以前はスキントリプターゼと呼ばれていた)、β−IIトリプターゼ(以前は肺トリプターゼと呼ばれていた)、β型トリプターゼ、及びトランスメンブラントリプターゼである。従来技術でのトリプターゼの命名法は一貫していないことを注意する。
【0047】
分泌シグナルペプチド−一般的に10乃至85の優先的な疎水性のアミノ酸残基からのN末端伸長。分泌シグナルペプチドは分泌シグナル配列によってコード化され、細胞質のコンパートメントからの成熟したタンパク質の動態化に帰着する分泌経路を開始する。分泌シグナルペプチドは成熟したタンパク質鎖の翻訳後から切断され、成熟したタンパク質の一部を形成しない。発現されたタンパク質はタンパク質分解トリプターゼの酵素的に活性な四量体形態を形成するために分泌されるに違いない。
【0048】
分泌シグナル配列−オペロンの転写開始部位と第一構造遺伝子との間に位置するDNA配列。分泌シグナルは分泌シグナルペプチドと呼ばれる短いペプチドをコード化する。
【0049】
セルフアセンブルする四量体のトリプターゼ−切断可能でセルフアセンブルするトリプターゼ。タンパク質分解トリプターゼはこの用語に含まれる。発明者はセルフアセンブルの特定のモードを制限することを望まないが、アミノ酸1(切断されたタンパク質分解トリプターゼの第一アミノ酸)からのアミノ酸−3と−2でのR−Vがこの活性に必須であることが信じられている。
【0050】
ターミネ−ター−転写の停止を示す、転写された配列の3´末端に位置するDNA配列。
【0051】
トリプターゼ:他の方法で識別されないのであれば、タンパク質分解トリプターゼ。
【0052】
遺伝子工学:
制限酵素であるエンドヌクレアーゼでの消化、PCRによる増幅、ゲルエレクトロフォレシスによるハイブリダイゼーション、ライゲーション、分離及び抽出、異種のDNAと細胞の形質転換、成功した形質転換体の選択、等のDNAの操作における下記に記載の多くの段階は、当業者によって周知であり幅広く実行され、広範囲にここにさらに詳しく述べられない。もし他の方法で言及されないのであれば、ここで利用されるDNAプロトコールは、サンブルック、フリッシュ及びマニアチス(Sambrook、Fritsch, and Maniatis)(1989)に記載される。
【0053】
組換え体の酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼ
タンパク質分解トリプターゼは、酵素的に活性な四量体を形成する、切断可能でセルフアセンブルするトリプターゼである。非タンパク質分解トリプターゼは、切断可能でない。切断は自発的なアセンブルにおいて必要とされる。したがって、非タンパク質分解トリプターゼはセルフアセンブルしない。図1のアミノ酸配列に示されるように、ヒトのタンパク質分解トリプターゼはある配列の相同性を共有する。特に、アミノ酸R−Vは、切断されたタンパク質分解トリプターゼの第一のアミノ酸である、アミノ酸1からの位置−3及び−2でアミノ酸を見つける。RVモチーフはタンパク質分解トリプターゼの切断を暗示する。RVモチーフは切断できないα−トリプターゼでは存在せず、したがって四量体にセルフアセンブルしない。
【0054】
以前からの組換え体トリプターゼとは異なり、本発明のタンパク質分解トリプターゼは切断部位より前の配列を含み、切断されセルフアセンブルするタンパク質分解トリプターゼを許容する存在を含む。β−II及びβ−IIトリプターゼ,β型トリプターゼ、並びにトランスメンブラントリプターゼはタンパク質分解トリプターゼに含まれる。ヒトβ−I及びβ−IIは、102の位置のアミノ酸(β−Iはアスパラギンで、一方のβ−IIはリジンである)によって異なる。さらに、ヒトβ−Iは2つのN−リンクされた部位でグリコシル化され、一方でβ−IIは唯一一つの部位でグリコシル化される。この違いが配列の分析によって予測される一方、本発明によって提供される組換え体タンパク質は、N102が実際にグリコシル化されることを例証する第一のものである。β−トリプターゼ及びα−トリプターゼに存在するアミノ酸N204は、すべてのβ−トリプターゼ及びα−トリプターゼにおいてグリコシル化されると考えられる。
【0055】
組換え体の酵素的に活性なβ−Iトリプターゼ
β−Iトリプターゼをコード化するDNAの抽出:
実施例1aの構成を参照するに、β−Iトリプターゼをコード化するDNAはドナーからマスト細胞のサンプル(4x10、全細胞の1.1%)を最初に集めることによって抽出される。次いで、ポリ(A)がLiCl沈澱及びオリゴ(dT)−セルロースクロマトグラフィーによって抽出された。cDNAライブラリーが適切なファージベクター(米国、カリフォリニア、ラジョラ、ストラタジーン、λ ZAP IIベクター)で構成されて、スクリーニング以前にエシェリヒア.コリXL1−Blue細胞で一旦増幅された。
【0056】
実施例1aのライブラリーは、30%ホルムアミドのハイブリダイゼーション溶液と5xSSCを除いて、従来の手法でニックトランスレーションによって2x10cpm/μgに32Pラベルされた犬のトリプターゼのcDNAで42℃でスクリーニングされた。ポジティブな組換え体は、オートラジオグラフィー、プラーク精製、及びリプロービングによって判別された。cDNAプローブにハイブリダイズするインサートを含有するファージミドは、R408ヘルパーファージを用いてファージベクターから除去されて、エシェリヒア.コリXL1−Blue細胞に形質転換されて、アルカリ溶菌によって精製される。cDNAインサートの配列は、SEQUENASE(登録商標)ブランドのシークエンシングキット(米国、オハイオ州、クリーブランド、ユナイテッドステイツバイオケミカル)を用いて2本鎖DNAにおいて修飾されたジデオキシチェインターミネ−ションによって決定された。M13フォワード、リバース、及びKSプライマー(ストラタジーン)が最初のシークエンス反応に使用された。続くシークエンス反応は、事前に決定されたシークエンスから消化されたオリゴプライマーを使用した。
【0057】
ポジティブなクローンはまた、EMBL−3のヒトの胎盤の遺伝子ライブラリーなどの市販のライブラリー(米国、カリフォルニア州、パロアルト、クローンテック)をスクリーニングするために使用された。ここで、cDNAはニックトランスレーションによってビオチン−7−dATPでラベルされ、固定化されたファージDNAに50℃でハイブリダイズして、可視化された。ポジティブなクローンはプラーク精製と再度スクリーニングされた。ファージDNAは従来の手法のプレートライセート方法によって精製されて、遺伝子断片を産出するためにBamHIで消化された。遺伝子断片はアガロースゲル電気泳動によって分離され、ニトロセルロースに転写されて、トリプターゼcDNAにハイブリダイズされる。断片のハイブリダイズはpBluescript KS(+)ファージミド(ストラタジーン)のBamHI部位にライゲートされて、cDNAにおける記載のようにヌクレオチド配列が決定される。バンダースライス等(Vanderslice et al)(1990)を参照のこと。
【0058】
前述に記載のようにβ−Iトリプターゼをコード化する分離された断片のDNA配列は、配列番号6に示されるアミノ酸をコード化する配列番号5に描写されている。配列番号6のアミノ酸は、配列番号2に記載される、成熟したタンパク質分解トリプターゼを形成するために切断される。β−Iトリプターゼをコード化する断片のDNA配列は、配列番号1(コード化されたタンパク質は配列番号2に示される。)に記載される。
【0059】
発現構成へβ−IトリプターゼDNAの組み込み:
実施例1aを参照するに、β−Iトリプターゼをコード化するDNAは、発現構成を産出する真核生物の宿主でトリプターゼをコード化する配列の発現を導くために適切な調整サブシークエンスと機能的にリンクしている。好ましくは、構成はポジティブな形質転換体の容易い識別を可能にする一つ以上のサブシークエンスを含んでいる。最低条件として、発現構成は、機能的にリンクする5´から3´に向かうプロモーター配列、分泌シグナル配列、β−Iトリプターゼをコード化する配列、及びターミネ−ター配列を含むべきである。この手法において、プロモーターは、適切な宿主に組み込まれた場合に、下流の分泌シグナル配列とβ−Iトリプターゼ構造遺伝子の転写を開始するだろう。
【0060】
サブシークエンスをコード化する選択可能な構成物質及び/又は栄養要求性のマーカー並びに複数のクローニング部位と同様に必要なサブシークエンスを含有する数多のプラスミドは市販されており入手可能である。pPIC9の好ましいプラスミドはインビトロジェン(米国、カリフォルニア、サンディエゴ)から入手可能である。pPIC9の概略は図2に提供される。
【0061】
pPIC9は8023の塩基対を有し、1乃至948の塩基に5´AOXIプロモーター、949乃至1218塩基にα−機能の分泌シグナル(図2にSで示されている)、1192乃至1241塩基に複数のクローニング部位、1253乃至1586塩基に3´AOXIターミネ−ター断片(3´AOXI(TT)で示されている)を含む環状DNAプラスミドである。pPIC9はまた、7713乃至6853塩基にアンピシリン耐性の遺伝子と6708乃至6034塩基にColEIオリジンを含む。複数のクローニング部位はXhoI, SnaBI, EcoRI、AvrII及びNotIの制限酵素部位を含む。このプラスミドはまた、BglII, SacI, SalI,及びStuIの制限酵素部位を含む。
【0062】
他の真核細胞プロモーター及びターミネ−ター配列は、発現構成において比較可能な結果として使用できる。一般的に、これは必要とされないが、プロモーターは、コード化されたトリプターゼの効率的な発現を確定するために選択されたホストと相同性である。プロモーターは構造的であるか又は誘導的であり得る。適切な真核細胞のプロモーター及びターミネ−ター配列は、(AOX1に加えて)GAP, MOX, FMD, ADH, LAC4, XPR2, LEU2,GAM1, PGK1, GAL7,GAPDH, CYC1,CUP1等を含む。この列記は例示であり、独占的ではない。
【0063】
実施例1aに示されるように、β−Iトリプターゼをコード化するDNA配列は、pPIC9の複数のクローニング部位に含まれる制限酵素部位によって与えられる付着末端との相補的なオーバーハングを産出するために分離されたトリプターゼDNA配列の5´と3´末端を修飾することによって、pPIC9の複数のクローニング部位に導入される。pPIC9プラスミドと増幅されたβ−Iトリプターゼの断片は、すべて従来の周知の手法において、適切な制限酵素で消化され、ハイブリダイズされて、ライゲート(T4DNAライゲース)され、適切な細菌の宿主(エシェリヒア.コリ菌株JM109、プロメガコーポレーション、米国、ウィスコンシン州、マジソンが好まれる)に形質転換(塩化カルシウム)され、アンピシリン耐性によってポジティブクローンが選択される。
【0064】
β−Iトリプターゼをコード化するDNA断片の末端を修飾するために、β−IトリプターゼDNAは、適切な制限酵素ヌクレア−ゼ認識部位を含むが、コード化されたタンパク質のアミノ酸配列は変化しない、部分的に相同性なヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。結果となるアンプリコンはしたがって同一のタンパク質をコード化するが、β−Iトリプターゼをコード化する断片を発現構成に組み込むことを必要とする制限酵素部位を含む。β−IトリプターゼDNAとDNAコードの退化の知識を用いて、コード化されたペプチドのアミノ酸配列を変化しない適切な認識部位を導入する多くの適切なプライマーが構成される。
【0065】
実施例により完璧に記載されるように、配列番号3と配列番号4に描写される例示的なプライマーを備える配列番号5に示されるようなDNA配列の増幅は、5´末端に近接するXhoI制限部位の断片と3´末端に近接するNotI制限部位の断片を含有する増幅されたβ−Iトリプターゼをコード化するDNA断片を3産出した。それら2つの制限部位は見本としてのみである。事実上、任意の制限部位は、コード化されたβ−Iトリプターゼ酵素の配列を変化せずに、β−Iトリプターゼをコード化するDNA断片のターミナル末端に導入できる。選択はユーザー次第であり、最後の発現構成に組み込まれる他のサブシークエンスで利用可能な形態、位置、制限部位の数にほとんど完全に依存する。
【0066】
末端のXhoIとNotI部位を含有する修飾されたアンプリコンは、任意のプラスミド又はXhoI認識部位とNotI認識部位を含有する構成に従来の周知の手法で容易くインサートできる。
【0067】
他のサブシークエンスはまた発現構成に含むことができる。一つの特異的な支援型のサブシークエンスは、細胞から発現されたタンパク質の分泌を導くためのシグナルペプチドをコード化する分泌シグナル配列である。シグナルペプチドは成熟したタンパク質のいずれの部分を形成せず、シグナルペプチドは細胞壁を通過するようにタンパク質から切断され、それによって成熟したタンパク質を産出する。本発明の目的において、好ましい分泌シグナル配列は、処理されないタンパク質のKEX2切断部位をコード化する配列である。次いで、酵母のシグナルペプチダーゼのKEX2の作用は、タンパク質の残存物からシグナルペプチドを切断し、それによって成熟したβ−Iトリプターゼ酵素を産出する。α−機能の分泌シグナルのサブシークエンスはピキア宿主を用いて組換え体β−Iトリプターゼの分泌において好ましい。
【0068】
実施例1aに記載のように、クローニングのために細菌に宿主にβ−Iトリプターゼをコード化する構成を形質転換した後、ポジティブな形質転換体はアンピシリン耐性コロニーから抽出されたプラスミドの制限分析によって適切にアセンブルされた発現構成においてスクリーニングされた。次いで、発現構成は標準的な手法で抽出され、コード化されたヒトのβ−Iトリプターゼの発現において適切な真核細胞の宿主に形質転換された。
【0069】
真核細胞の宿主の形質転換:
次いで、ヒトのβ−Iトリプターゼをコード化する発現構成は実施例2aに記載のような適切な真核細胞の宿主に組み込まれる。好ましい宿主は酵母細胞である。翻訳後に細胞によって発現されたβ−Iトリプターゼが適切に処理されるために、真核細胞の宿主が使用されるべきである。真核細胞の宿主の宿主によって処理される翻訳後の細胞間処理は、成熟なタンパク質の酵素活性に影響を与えるために重要である。
【0070】
好ましい宿主は、Hansenula polymorpha, Kluyveromyces lactis, Pichia pastoris, Saccharoniyces cerevisiae, Schizosaccharomyces pombe, Schwanniomyces occidentalis及びYarrowia lipolyticaを含む。最も好ましい宿主は、ピキア属である。ピキアから、最も好ましい宿主はATCC20864(菌株GS115)又はKM71(インビトロジェン)の特性を有するピキア・パストリスである。
【0071】
形質転換は、従来の手法のエレクトロポレーションによって好ましく達成される。宿主細胞は1Mのソルビトールでの広範囲な洗浄によってエレクトロコンペテントになり、次いで、適切な単一の切断する制限酵素(例えば、pPIC9,SalI又はSacIで)で事前に消化された発現構成のアリコートで混合され、形質転換された。形質転換が成功した栄養要求体は最小限の培養液でスクリーニングされ、次いで高レベルのトリプターゼを生成するクローンを識別するためにフレッシュな培養液で再度スクリーニングされた。
【0072】
誘導プロモーターに機能的にリンクしている場合、形質転換が成功した栄養要求体はβ−Iトリプターゼの生成を開始するために必要とされる誘導物質を含有する培養液でスクリーニングされる。
【0073】
β−Iトリプターゼは、ここに参照として組み込まれる、プロメガコープレーションに譲渡された、1997年1月14日に出願されたNilesとHaak−Frendschoの米国特許第5,594,116号明細書の記載のように酵素とリンクした免疫吸着アッセイを用いて培養液からアッセイできる。簡略すると、適切なマイクロタイタープレートは、特にニワトリである、免疫されたトリ由来のヒトのトリプターゼに特異的な捕獲抗体でコーティングされた。これは捕獲抗体の溶液でマイクロタイタープレートをコーティングすることによってなされ、4℃で8乃至48時間インキュベーションする。次いで、コーティングされたプレートはTBST溶液(Tween20のトリスで緩衝された食塩水)で完全に洗浄された。次いで、マイクロタイタープレート自体への非特異的な残存する結合は、ブロッキングバッファーでプレートをコーティングすることによってブロックされた。一般的に使用されるブロッキングバッファーは、ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する0.05%Tween20溶液である。プレートはTBSTで再度洗浄された。
【0074】
次いで、試験される溶液はブロッキングバッファーで希釈された。多くの連続した希釈の準備が推奨される。次いで、プレートはテスト溶液でコーティングされ、室温で少なくとも2時間インキュベートされた。
【0075】
インキュベーション後、プレートはTBTSTで再度洗浄された。リン酸で緩衝した食塩水又はTweenのリン酸で緩衝した食塩水などの他の緩衝液がまた使用されるかもしれない。
【0076】
次ぎの段階は捕獲されたトリプターゼに結合する抗体溶液を検出するトリプターゼを導入することである。好ましい検出抗体は、トリプターゼに特異的なネズミ由来のモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体の溶液は調製され、ウェルはコーティングされ、室温で少なくとも2時間インキュベートされた。インキュベーション後、プレートは再びTBSTで洗浄された。
【0077】
プレートはTBSTで洗浄され、次いでホースラディッシュペルオキシダ−ゼ結合の特定の抗体でコーティングされた。かかるホースラディッシュペルオキシダーゼ結合の特定の抗体は当業者において周知である。かかる結合を調製するための従来の方法は、ホースラディッシュペルオキシダーゼの活性化されたペルオキシダーゼとアミノ基の間のシッフ塩基の形成を後に続けて、酵素の炭水化物側鎖を酸化させるために過ヨウ素酸ナトリウムを使用することを含んでいる。結合の好ましい抗体は、ゴート由来の抗マウスIgG抗体である。次いで、シッフ塩基は安定した抗体/酵素結合を産出するために還元(ホウ素水素化ナトリウム)された。次いで、マイクロタイタープレートのウェルは室温で少なくとも2時間インキュベートされた。結合抗体は捕獲抗体又はトリプターゼ自体と反応するべきではないことがここで重要である。プレートは、基質を添加する前にTBSで三回洗浄されることが好ましい。
【0078】
ホースラディッシュペルオキシダーゼ基質溶液は各ウェルに添加され、室温で15分間インキュベートされた。カラー反応が停止するまで酸が添加された。次いで、ウェルは450nmで分光計で試験された。比色検定において、基質3,3´,5,5´−テトラメチルベンジン(TMB)との接合で使用されるホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗マウス抗体が好ましい。他のホースラディッシュペルオキシダーゼ、例えばO−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(OPD)及び抗マウスアルカリフォスファターゼなどが等しい成功で接合する。比色の二重の抗体サンドイッチELISAは約20pg/mlの感度を有し、15乃至2000pg/mlの範囲の線形の反応を有し、rは0.99以上である。
【0079】
CBZ Lys−チオベニルエステル/DNTP結合切断アッセイ又は他の酵素切断アッセイはまた、β−Iトリプターゼの酵素活性を分析するために使用できる。
【0080】
組換え体の酵素的に活性なβ−IIトリプターゼ
ヒトβ−Iトリプターゼを組換え体ヒトβ−IIトリプターゼに変換:
ヒトβ−I及びヒトβ−IIトリプターゼはアミノ酸102以外は相同性のアミノ酸であり、β−Iトリプターゼのアミノ酸102はアスパラギン残基であり、一方でβ−IIトリプターゼのアミノ酸102はリジン残基である。実施例1bにより詳細に記載のように、アミノ酸102は、β−IトリプターゼのクローンpPIC9−HumTryで突然変異しアスパラギンからリジンに変換し、それによってβ−Iトリプターゼのアミノ酸配列からβ−IIトリプターゼのアミノ酸配列に変化する。新規のクローンはpPIC9−HumTryN102Kと呼ばれる。遺伝子は、GeneEditor in vitro Site Directed Mutagenesis Kit(登録商標)(プロメガコーポレーション)でキットの指示書にしたがって突然変異された。この突然変異に使用されたオリゴヌクレオチドは、配列番号7:(5´―GAGGAGCCGGTGAAGGGTCTCCAGCCAC―3´)である。結果となる突然変異されたトリプターゼDNA、つまり組換え体β−IIトリプターゼは配列番号8で示され、そのアミノ酸配列は配列番号9に記載される。配列番号9のペプチドは、配列番号11に記載のアミノ酸を有する、成熟したβ−IIトリプターゼを形成するために切断される。切断されて成熟したβ−IIトリプターゼをコード化するDNAは、配列番号10に示される。
【0081】
実施例1bに記載のように、突然変異の反応は細菌株BMH71−18(キットに含まれている)を形質転換するために使用される。同様の結果をもたらす例えば、ES1301などのmutS遺伝子のトランスポゾンの挿入を含む、他の菌株は同様が使用できる。BMH71−18mutS能力細胞が好ましい。DNAは細胞から分離されて、JM109エシェリヒア.コリ細胞を形質転換するために使用される。JM109細胞から分離されたDNAは、アミノ酸102の突然変異を確認するために制限酵素で消化される。
【0082】
pPIC9−HumTryN102K DNAをピキアと形質転換:
次いで、ヒトβ−IIトリプターゼをコード化する発現構成pPIC9−HumTryN102Kは、前述のように適切な真核細胞の宿主に組み込まれた。翻訳後に細胞によってβ−IIトリプターゼが適切に処理されるために真核細胞の宿主が使用されるべきである。真核細胞の宿主による翻訳後の細胞間処理は、成熟したタンパク質に酵素活性を与えるために重要である。前述したように、発現構成は、好ましくは酵母である、任意の適切な真核細胞の宿主に組み込むことができる。好ましい宿主は、Hansenula polymorpha, Kluyveromyces lactis, Pichia pastoris, Saccharoniyces cerevisiae, Schizosaccharomyces pombe, Schwanniomyces occidentalis及びYarrowia lipolyticaを含む。最も好ましい宿主は、ピキア属である。ピキアから、最も好ましい宿主はATCC20864(菌株GS115)、SMD1168(インビトロジェン)又はKM71(インビトロジェン)の特性を有するピキア・パストリスである。実施例2bは、pPIC−HumTryN102Kとピキア・パストリス菌株、SMD1168、GS115及びKM71との形質転換構成を詳細に記する。pPIC9−HumTryN102K DNAは、宿主に形質転換される前にSalIで消化された。
【0083】
宿主細胞は、従来の手法のエレクトロポレーションによって形質転換され、前述したようにスクリーニングされた。誘導プロモーターに機能的にリンクしている場合、形質転換が成功した栄養要求体は、前述のようにトリプターゼの生成を開始するために必要とされる誘導物質を含有する培養液でスクリーニングされる。
【0084】
最良の発現反応:
クローンは最良の表現反応において有効になることができる。ここにおいて、様々なクローンの単一コロニーは50mlのYPD肉汁培養液(内容/L:20gのペプトン−Y,10gの酵母抽出物−Y,20gのデキストロース、30℃でpH6.5)に加えられた。細胞は30℃で攪拌してオーバーナイトで培養された。次の日に、A600のオーバーナイトの培養液が確認された。各クローンにおいて、細胞(300A600ユニット)は臨床用遠心機で回転数2500rpmで10分間遠心分離された。細胞は25mlのBMMY(緩衝された最低限のメタノール複合体培養液:0.5%メタノールを含有するが1%グリセロールを含有しないBMGY)で再度懸濁された。BMGYは、100mMリン酸カリウム、pH6.0、10g/Lの酵母抽出物、20g/Lのペプトン、13.4g/Lの窒素を基にした酵母、0.4mg/Lのビオチン、及び1%のグリセロールを含む、最低限のグリセロール複合体培養液で緩衝された。両BMMYとBMGYはインビトロジェンから市販されており入手可能である。細胞は500mlのBMMY培養に移された。次いで、植付けされた培養のA600が確認された。細胞は30℃で攪拌してオーバーナイトで培養された。
【0085】
次ぎの日、各培養の5mlのサンプルを採取して、各培養のA600が確認された。各培養に2.5mlのメタノールが供給された。培養液は5mlの50mg/mlヘパリン(BMMYで調製)で補われた。細胞は30℃の攪拌でオーバーナイト培養された。次の日、各培養から5mlのサンプルを採取した。各培養のA600が確認された。各培養に2.5mlのメタノールが供給された。細胞は30℃の攪拌でオーバーナイト培養された。次ぎの日、各培養の5mlのサンプルを採取して、各培養のA600が確認された。A600の分析から、成長曲線がお互いに比較できる。活性データもまた比較できる。
【0086】
酵素的に活性な組換え体タンパク質分解トリプターゼにおける最終使用
ここに記載された組換え体タンパク質分解トリプターゼの明かな利点は、酵素的な活性である。組換え体タンパク質分解トリプターゼが活性であるために、死体のトリプターゼの使用を必要としない、すべての適用において使用できる。
【0087】
例えば、本発明の組換え体タンパク質分解トリプターゼは死体のトリプターゼと等価の生物的な活性を有するので、様々な動物における抗ヒトトリプターゼ抗体を産出する抗体として使用できる。これは、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ギニアピッグ、ニワトリ、ゴート又は他の動物などの試験動物を一連のブースターインジェクションに続き、組換え体トリプターゼの初期の植え付けで植え付けることによる周知の従来の手法においてなされる。インジェクションは動物において免疫反応を開始して、結果として組換え体トリプターゼに対するポリクローナル抗体の生成に帰着する。
【0088】
抗体を抽出するために、血清(又は鳥の場合は卵黄)のIgGフラクションが通常の手法で抽出された。卵黄では、これはプロメガコーポレーションの“EGGstart”TMIgY精製システム(プロメガコーポレーション、米国、ウィスコンシン州、マジソン)市販製品を利用して達成できる。当該技術において周知である他の連続的な沈澱方法などの血清又は卵黄からイミュノグロブリンを抽出する多くの他の方法が存在する。例えば、スクープR.K.(Scopes,R.K.)を参照のこと。抗ヒトトリプターゼ抗体を抽出する十分に完全なタンパク質抽出の従来の方法は、食塩溶液からタンパク質を沈澱することによってタンパク質フラクションを“塩析”することである。試験動物の血清からのIgYポリクローナル抗体は、例えば、クロマトグラフィーの方法を用いて抽出できる。再度、当業者に周知の血清又は卵黄からイミュノグロブリンを抽出するための多くの方法が存在する。
【0089】
同様な手法において、ここに記載の組換え体タンパク質分解トリプターゼは、従来のハイブリドーマ技術を用いてモノクローナル抗ヒトトリプターゼ抗体を生成するために使用できる。この技術において、マウス又は他の試験動物は、所望の免疫反応を開始するために組換え体ヒトトリプターゼで免疫化される。ネズミ由来のモノクローナル抗体において、ブリスタン調製したハツカネズミが幅広く利用される。免疫化動物からの脾臓細胞は、髄腫細胞株のような永久の細胞株を備えた融合によって不滅になる。次いで、融合細胞は、組換え体トリプターゼに特異的な抗体を分泌する細胞において連続的に希釈され、培養され、スクリーニングされる。そのようにして形成されたモノクローナル抗体は多くの適用に使用され、それらの適用は、例えば、ヒトトリプターゼの検出アッセイ、ヒトトリプターゼのエピトープマッピング、又は治療若しくは他の適用でのトリプターゼ活性の阻害などである。前述で記載のような抗体生成の他の組換え技術は、組換え体タンパク質分解トリプターゼに対する抗体を生成するために使用できる。
【0090】
本発明の組換え体タンパク質分解トリプターゼは、トリプターゼ阻害剤、アンタゴニスト、アゴニスト等として作用する化合物におけるドラッグスクリーニングで使用できる。例えば、トリプターゼ阻害剤をスクリーニングするために、本発明の組換え体タンパク質分解トリプターゼは、推定されるトリプターゼ阻害剤と接触できる。次いで、阻害剤の有効性は、トリプターゼ活性の標準曲線と比較してトリプターゼ酵素活性の欠損を測定することによって決定される。
【0091】
同様にして、同一のアプローチはタンパク質分解トリプターゼの酵素活性での作用に対する有望な薬の候補をスクリーニングするために使用することができる。これは溶液段階で組換え体タンパク質分解トリプターゼを用いてなされる。主題の組換え体タンパク質分解トリプターゼは酵素的に活性であるために、タンパク質分解トリプターゼに与えられた化合物の作用は、タンパク質分解トリプターゼの酵素活性で有する化合物の作用を測定することによって容易に決定できる。
【0092】
組換え体タンパク質分解トリプターゼにおける他の使用は、化学的なライブラリー、ペプチドライブラリー等のスクリーニングを含む。組換え体タンパク質分解トリプターゼはまた、インビトロ、インビボ及びエクスビボでの基質の試験において使用できる。加えて、モデル化は組換え体タンパク質分解トリプターゼにおいてなされ得る。
【0093】
組換え体タンパク質分解トリプターゼはまた、生物的又は他の溶液でのタンパク質分解トリプターゼの存在を分析するために使用できる。例えば、組換え体トリプターゼは、ヒトトリプターゼでの酵素リンク型免疫吸着アッセイ(ELISAs)を発達するために使用できる。例えば、ここに参照として組み入れられた、二重の抗体サンドイッチ型ELISAを記載するNilesとHaak−Frendschoの米国特許第5,744,319号明細書を参照のこと。ELISAsは多数において異なっているようになるが、構成(そのすべては当該技術において十分に周知である)は関連している。比較的容易い使用で幅広く線形反応範囲により幅広く使用される構成は、二重の抗体サンドイッチELISAとして周知である。二重の抗体サンドイッチELISAの基本的なプロトコールは下記の様である。プレートはアッセイされるイミュノグロブリンに特異的な抗体(捕獲抗体と呼ばれる)によってコーティングされる。この場合、捕獲抗体は、前述のように抽出された組換え体トリプターゼに特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体である。次いで、プレートは、試験プレートに対してイミュノグロブリンの非特異的な結合をブロックするウシ血清アルブミン(BSA)などのブロッキング剤で洗浄された。次いで、トリプターゼの存在を試験する溶液は、捕獲抗体でコーティングされたプレートでインキュベートされる。次いで、プレートは洗浄され、検出抗体でインキュベートされ、再度洗浄されて、酵素結合の特異的な抗体でインキュベートされる。インキュベーション後、非結合の接合はプレートから洗い流されて、酵素の基質が加えられる。酵素結合の抗体結合の存在は、測定し定量できる、相対的な色の変化に帰着する。
【0094】
非常に低レベルのタンパク質分解トリプターゼを検出するために、与えられたアッセイの検出限界よりも低いレベルである、組換え体タンパク質分解トリプターゼはサンプルをスパイクするために既知量(又は活性)で使用でき、それによってアッセイされるサンプルのトリプターゼ濃度を検出限界以上に増大し、使用されるアッセイの線形反応の範囲に増大する。
【0095】
本発明が広範囲に特徴づけられ、品質管理手段に従わせられる、酵素的に活性な組換え体タンパク質分解トリプターゼの大量生産を可能にするために、組換え体トリプターゼに対する抗体は増大し、トリプターゼの存在を検出し、トリプターゼの酵素活性の異なる化合物の作用を測定する多くのアッセイの構成で利用できる。
【0096】
本発明が提供する組換え体タンパク質分解トリプターゼは、タンパク質分解トリプターゼのホモ四量体を研究するために使用できる。以前は、酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼは、様々なタンパク質分解トリプターゼ遺伝子(例えば、β−Iとβ−II)からの合成物がヘテロな四量体タンパク質分解トリプターゼを形成する場合にインビボのみで合成された。すなわち、四量体の単一の分子である、酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼは異なるモノマーからなる。対照的に、本発明によって提供されるタンパク質分解トリプターゼにおいて、単一の酵素的に活性なタンパク質分解トリプターゼの四量体分子は同一のモノマー(例えば、β−Iモノマーだけが四量体を形成する)で合成される。
【0097】
さらに、酵素的に活性な組換え体β−IIトリプターゼは、β−Iとβ−IIトリプターゼとの差異を判読する実験での制御として使用できる。これは、死体から調製されたトリプターゼが決して100%純粋でないという事実の見地において特に有用である。代わって、ヒトの死体のトリプターゼはα−トリプターゼと様々な形態のβ−トリプターゼの混合である。したがって、酵素的に活性な組換え体β−IIトリプターゼは、α−トリプターゼと様々な形態のβ−トリプターゼ(図3を参照)との差異を判読する実験での制御として使用できる。
【0098】
β−トリプターゼの活性部位の突然変異:
トリプターゼの活性部位は、図1に示されるように7つのループ(A,B,C,D,3,1及び2)の位置であると予測される。これを確定するために、突然変異がアミノ酸44,91及び194になされた。保存されない変化が様々なアミノ酸でなされた。アミノ酸44,91及び194はアラニンに変化した。しかしながら、アミノ酸は任意の非電荷残基に突然変異できる。分子モデル化によって、それらの単一のポイントミューテーションは二次構造を破壊することを予測しなかった。
【0099】
図1から見られるように、アミノ酸44は推定されるBループ内に位置し、アミノ酸91はループCのC末端方向に位置し、アミノ酸194はループ1内である。アミノ酸44,91及び194は、触媒性三構造と呼ばれる。タンパク質分解トリプターゼの活性部位が残基44のヒスチジン、残基91のアスパラギン、及び残基194のセリンを含むかどうかを決定するために、推定される活性部位の突然変異は、QuikChange(登録商標)Site Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン、カリフォルニア州、ラジョラ)(実施例1cで詳細に記載)で産出された。
【0100】
実施例1cで記載のように、突然変異の反応は、細菌の菌株Epicurian Coli(登録商標)XL1−Blue超能力細胞を形質転換するために使用された。次いで、構成は実施例2cに記載のような適切な真核生物の宿主に形質転換された。ピキア細胞が好ましい。簡略すると、DNAは第一に直線化された。直線化DNAはピキアGS115細胞に加えられ、前述のようにエレクトロポレーションされた。形質転換されたピキアはmutとmutの表現型でスクリーニングされた。
【0101】
活性部位の突然変異の特異的な切断活性:
実施例4a乃至4bで示されるように、活性部位の突然変異を有する未精製のβ−Iとβ−IIトリプターゼはCBZ−Lys−チオベンジルエステル切断アッセイによって決定される。実施例5に記載のようにタンパク質分解トリプターゼが精製された後、特異的な活性が再度アッセイされる。実施例6bの詳細のように、β−Iとβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変異の比活性は、組換え体の酵素的に活性なβ−Iとβ−IIトリプターゼタンパク質よりもほぼ1000倍低い。
【0102】
活性部位の突然変異によるトリプターゼの生成の検証:
活性部位の突然変異により、成熟の欠損によるものではないβ−Iとβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変位の比活性の欠損を証明するために、タンパク質分解トリプターゼ発現である、活性部位の突然変位の発現が実施例3bの詳細のようなβ−トリプターゼに対する抗体を用いてウェスタンブロットで立証された。実施例7に示されるように、β−Iとβ−IIトリプターゼのゲルフィルタレーション分析とさらに活性部位の突然変異が確定されたS194A β−Iトリプターゼの活性部位の突然変異は、四量体である。
【0103】
タンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異の最終使用:
タンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異における使用は下記を含む。インビトロとインビボの活性研究はトリプターゼに導かれた。多くの幅広いスペクトルのプロテアーゼ阻害剤がインビトロで特効を有し、インビボでは非常に毒性であることが周知である。不運にも、トリプターゼの天然の阻害剤は知られていない。したがって、データ解釈はこれらのインビボ研究で複雑になる。エクシピエントバッファー(excipient buffer)(NaCl,MES,バッファー、グリセロール、及びヘパリンを含有する)、タンパク質のロード、発熱物質又は低分子のピキアアレルゲンを含有する内因性の生理学的な作用を完全に一致させることは困難である。活性部位の突然変異はタンパク質分解トリプターゼの阻害された形態を提供する。したがって、インビボ研究は、前述に列記した複雑さを伴わずに活性部位の突然変異で処理する。インビトロ、エクスビボ及び他の研究は活性部位の突然変異で実行できる。加えて、活性部位の突然変異はモデル化の研究に使用できる。
【0104】
さらに、トリプターゼ酵素の活性部位の突然変異はさらなる研究を補足するために使用できる。両組換え体のヒトβ−I及びβ−IIトリプターゼイソマーのアミノ酸44、91、及び194の単一のアミノ酸置換は、組換え体トリプターゼの比活性を突然変異しない酵素の活性よりも1%未満で減少する。高い純度にに精製され、活性酵素の調製と同様の手法で保存できるために、それらの活性が減少されたタンパク質分解トリプターゼはインビボ実験における理想的な制御を提供する。
【0105】
活性部位の突然変異はまた、酵素活性を越えて、このユニークなプロテアーゼのさらなる構造的及び機能的な特質を調査するツールを提供する。
【0106】
実施例
下記の実施例は、主題である発明のより完全な理解を提供するために単に含まれる。実施例は、ここに記載され請求される本発明の範囲をどのような手法においても限定しない。
【0107】
構成の生成
実施例1a:ヒトβ−Iトリプターゼ発現ベクターの構成:
pBSHumTry(Vanderslice等、1990を参照)によってコード化されたヒトβ−Iトリプターゼ遺伝子の5´と3´末端は、一対の部分的に相同性なオリゴヌクレオチドプライマーである、配列番号2と配列番号3を用いPCRを介して修飾される。修飾されたトリプターゼの断片は、pPIC9−HumTryを示す発現構成を産出するためにpPIC9(図2の“S”を参照)に見られるα−ファクター分泌シグナルの下流のpPIC9(インビトロジェン)のXhoIとNotI部位にライゲーションされる。エシェリヒア.コリ菌株JM109(プロメガコーポレーション、米国、ウィスコンシン州、マジソン)は、形質転換体のライブラリーを形成するために標準プロトコール(塩化カルシウム)を用いてライゲーションミックスで形質転換される。形質転換体は、アンピシリン耐性コロニーから抽出されたプラスミドDNAの制限分析によって適切に構成されたpPIC9−HumTry構成においてスクリーニングされる。
【0108】
実施例1b:ヒトβ−IIトリプターゼ発現ベクターの構成:
pPIC9−HumTryのヒトβ−Iトリプターゼのアミノ酸102は、アスパラギンからリジンに突然変異し、ヒトβ−Iトリプターゼからヒトβ−IIトリプターゼのタンパク質に変化する。遺伝子は、GeneEditor in vitro Site Directed Mutagenesis Kit(プロメガコーポレーション)を用い、キットの説明書にしたがって突然変異された。この突然変異に使用されたオリゴヌクレオチドは前述に記載の配列番号7である。
【0109】
突然変異の反応は細菌株BMH71−18を形質転換するために使用された。例えば、ES1301などのmutS遺伝子でのトランスポゾンインサーションを含有する他の菌株は等しく使用できる。DNAは細胞から抽出され、JM109エシェリヒア.コリ細胞を形質転換するために使用される。JM109細胞から抽出されたDNAは、アミノ酸102の突然変異を確定するために制限酵素で消化された。
【0110】
実施例1c:H44a、D91A及びS194A突然変異の構成:
β−I及びβ−IIトリプターゼ遺伝子において、3つの推定される活性部位の一つの突然変異を有する突然変異の構成が生成された。各突然変異はアミノ酸残基がアラニンに変化した。
【0111】
QuikChange(登録商標)Site Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン、カリフォルニア、ラジョラ)を用いて、部位特異的突然変異が実行された。上部と下部のストランドのオリゴは、各アミノ酸で対になっている。S194Aにおいて、オリゴの突然変異の対はループ構造を形成することが予期された。したがって、オリゴの2つの対(1つの対はループ構造を形成することが予期されたが、もう一方は形成しない)は別々に試験された。pPIC9−HumTry(β−Iトリプターゼ)プラスミドとpPIC9−HumTryN102K(β−IIトリプターゼ)プラスミドは、3つの推定される活性部位で突然変異された。個々の突然変異は各部位で生成された。
【0112】
下記のオリゴヌクレオチドは突然変異に使用された。
【0113】
配列番号12、H44Aの上部の鎖:
(5´―GTGCTGACCGCCGCGGCGTGCGTGGGACCGGAC―3´);
配列番号13、H44Aの下部の鎖:
(5´―GTCCGGTCCCACGCACGCCGCGGCGGTCAGCAC―3´);
配列番号14、D19Aの上部の鎖:
(5´―GCCCAGATCGGAGCGGCAATCGCCCTGCTGGAG―3´);
配列番号15、D19Aの下部の鎖:
(5´―CTCCAGCAGGGCGATTGCCGCTCCGATCTGGGC―3´);
配列番号16、44℃でループを形成したS194Aの第一の上部の鎖:
(5´―TGTCAAGGCGACGCCGGCGGACCTCTGGTG―3´);
配列番号17、S194Aの第一の下部の鎖:
(5´―CACCAGAGGTCCGCCGGCGTCGCCTTGACA―3´);
配列番号18、ループを形成しないS194Aの第二の上部の鎖:
(5´―CAAGGAGAGGCCGGACCACTGGTG―3´);及び
配列番号19、S194Aの第二の下部の鎖:
(5´―GCACACCAGGGGCCCGCCGGCGTCGCCCTGGCATGA―3´)。
【0114】
上のオリゴで生成された突然変異は表1に示される配列を有する。
【0115】
【表1】
Figure 2004500876
すべての突然変位体はQuikChange Kitに含まれる細胞、Epicurian Coli XL1−Blue超能力細胞に形質転換された。下記の点を除いて、キットの説明書にしたがった。pPIC9HumTryN102Kプラスミドのテンプレートは、各反応で16、32、及び64ng使用した。さらに、最終の伸長反応が68℃で18分であることを除いて、反応はキットの記載にしたがってサイクル反応した。
【0116】
Epicurian Coli XL1−Blue超能力細胞は突然変異反応で形質転換した。各突然変異から、9つのコロニーを採取し、100μg/mlアンピシリンを備えるLBでオーバーナイト培養した。プラスミドはWizardS/V(プロメガ、ウィスコンシン州、マジソン)を用いて抽出された。突然変異を確定するために、制限酵素の消化は、SacI又はNaeI Turboを用いて5μlの各DNAで20μlの終量を導いた。次いで、DNAは突然変異を確定するためにシークエンスされた。
【0117】
構成とピキア・パストリスの形質転換:
実施例2a:ヒトβ−Iトリプターゼ:
ピキア・パストリス菌株GS115(ATCC20864)とKM71(インビトロジェン)のフレッシュな培養液は、1Mソルビトールの広範囲な洗浄によってエレクトロポレーションのために調製された。エレクトロコンペテントな細胞は、SalI,BglII又はSacIのいずれか一つで消化された実施例1aにより生成されたpPIC9−HumTry DNAのアリコートで混合され、形質転換された。形質転換体は最低限の培養液でHis+プロトトロフとして最初に識別された。メタノールを利用する表現型は、最小のデキストロースと最小のメタノールグリッドプレートのレプリカプレートを介して分析された。
【0118】
実施例2b:ヒトβ−IIトリプターゼ:
pPIC9−HumTryN102K DNAはSalIで消化された。消化物は37℃で90分間インキュベートされ、65℃で混合物をインキュベートすることで停止された。次いで、混合物はエタノール沈澱され、ペレットは50μlの水で再度懸濁された。
【0119】
ピキア細胞(SMD1168、インビトロジェン;ATCC20864;及びKM71、インビトロジェン)は下記のプロトコールでエレクトロポレーションによってDNAと形質転換された。キュベットは冷蔵庫で予め冷却された。80μlのエレクトロコンペテントな細胞はキュベットに移された。DNAを切断する10μlのSalIが添加された。下記のパラメータ−にしたがって細胞に電流が送られた。ギャップは0.2cmで、電圧は1500voltsで、キャパシタンスは25μFで、抵抗は200Ω。1mlの予め冷却した1Mのソルビトールが添加された。200μlのエレクトロポレーションされた細胞が最小限のデキストロースプレートに拡散された。プレートは30℃でインキュベートされた。
【0120】
ピキアクローンは、Invitrogen Pichia Expression Manualに記載のようにMut及びMut形質転換体においてスクリーニングされた。
【0121】
実施例2c:H44A,D91A及びS194Aの突然変異
活性部位の突然変異はSacIで部分的に切断された。P.pastoris GS115は、エレクトロポレ−ションによる部分的な切断の活性部位の構成と形質転換され、実施例2bに記載のようにスクリーニングされた。
【0122】
ウェスタンブロット解析
実施例3a:ヒトβ−I及びβ−IIトリプターゼ
PGNaseFとのグリコシダーゼ消化はβ−I及びβ−IIトリプターゼで実行された。図3はβ−Iトリプターゼ(rhβI)、β−IIトリプターゼ(rhβII)、及び死体から抽出されたβ−トリプターゼ(天然型β)のウェスタンブロットである。転写されたトリプターゼは、ビオチン化された抗ヒトトリプターゼAA5モノクローナル抗体(プロメガコーポレーション)をプローブにすることで可視化された。未消化のトリプターゼ(最初の3つのレーンを参照)は、消化されたトリプターゼ(2番目の3つのレーンを参照)と比較された。図3に示されるように、グリコシダーゼ消化は組換え体タンパク質分解トリプターゼの単一のトリプターゼのコアタンパク質を産出する。天然のトリプターゼの同様の分解物の存在に注意する。
【0123】
組換え体β−Iトリプターゼ、組換え体β−IIトリプターゼ、及び死体の肺トリプターゼは、タンパク質のグリコシル化状態を示すためにCOOMASSIE(登録商標)で染色されたSDS PAGEにロードされた。図4を参照するに、pPIC9−HumTryN102Kから産出されたβ−IIトリプターゼは、組換え体β−Iトリプターゼよりも一つ少ないグリコシル化部位を有する。PNGaseF又はEndoHのいずれかで消化される場合、pPIC9−HumTryN102Kから産出されたβ−IIトリプターゼは、pPIC9−HumTryトリプターゼ(1コアに減少された)から由来のβ−Iトリプターゼと同様な挙動をする(データは示されていない)。死体のトリプターゼはEndoHの追加によって消化されない(データは示されていない)。
【0124】
実施例3b:H44A,D91A及びS194Aの突然変異
図5は、β−Iトリプターゼのピキア・パストリスの発酵誘発と二つの活性部位の突然変異(H44AとS194A)のウェスタンブロットである。ゲルは、ビオチン化された抗ヒトトリプターゼAA5モノクローナル抗体(プロメガコーポレーション)をプローブにすることで可視化された。図5に示されるようにグリコシル化の研究が活性部位の突然変異で実行されないが、活性部位の突然変異は、活性部位の突然変異の活性なカウンターパートとして同一の分子量で移動する。
【0125】
酵素アッセイ(未精製の酵素で)
実施例4a:ヒトβ−Iトリプターゼとヒトβ−IトリプターゼのH44A,及びS194Aの突然変異:
β−Iトリプターゼの活性部位の突然変異H44A,及びS194A並びに組換え体β−Iトリプターゼからの未精製サンプルは、CBZ−Lys−S−チオベンジルエステル/DNTB結合切断アッセイで分析される。アッセイの結果(ユニット/ml/分)は図5のゲルの下部に示される。
【0126】
実施例4b:ヒトβ−IIトリプターゼとヒトβ−IIトリプターゼのS194Aの突然変異:
β−IIトリプターゼの活性部位の突然変異S194Aで形質転換されたピキア・パストリスは培養され、トリプターゼは誘発された。図6はこのクローンから64時間後のピキア・パストリスの誘発の上澄みのウェスタンブロットである。CBZ−Lys−S−チオベンジルエステル/DNTB結合切断アッセイは、ロードされたサンプルで実行された。アッセイからの対応するユニット/ml/分はゲルの下部に示される。
【0127】
トリプターゼ精製スキーム
実施例5:組換え体タンパク質分解トリプターゼの精製
下記の実施例はβ−Iトリプターゼのクローンで実行される。この精製スキームはまた、β−IIトリプターゼとβ−I及びβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変異で使用される。
【0128】
β−Iトリプターゼを発現するピキア・パストリスのクローンは、250回転/分の攪拌率により30℃で培養器においてBMMY培養液で培養した。培養液のpHは5.0乃至5.1に維持され、発現はメタノールを0.5%(v/v)まで添加することによって誘発した。72時間後に、細胞を有しない培養液は集められて、細胞をペレットにするまで400gで遠心分離され、−70℃で保存された。β−Iトリプターゼの精製は、37℃のインキュベーターで攪拌して解凍され、活性がアッセイされるβ−Iトリプターゼを含有する112mlの細胞を有しない培養液で始めた。すべての続く酵素精製段階は室温で処理された。死体のヒトの肺トリプターゼの確立された疎水性でヘパリンと結合する特徴は、β−Iトリプターゼのアフィニティ精製における簡素なスキームを考案するために開発された。上澄みは、30分間の磁石攪拌しながら2Mの(NHSOの固体をゆっくりと添加することでなされた。15分間の20,000gの遠心分離後、上澄みはサンプリングされ、活性がアッセイされた。次いで、2Mの(NHSOを含有する上澄みは、10mMMes/2M(NHSO/0.5MNaCl/10%(v/v)グリセロール/0.02%NaN(pH6.1)で事前に平衡化された、650M疎水性の相互作用ゲルマトリックスの60mlのトヨピアルブチル(Toyopearl butyl)のベッド容量で混合された。混合物は酵素の結合を可能にするために室温で1時間穏やかに攪拌された。
【0129】
周期的に、ゲルマトリックスの上澄みはサンプリングされ、結合効率を決定するためにアッセイされた。かなりの活性が未結合のままでない場合、レジンはカラムにロードされ、1リットルの事前に平衡化されたバッファーで洗浄された。結合したタンパク質は、10mMMes/0.2MNaCl/10%(v/v)グリセロール/0.02%NaN(pH5.5)の添加によってカラムから溶出された。フラクション(5ml)が回収されて活性がアッセイされ、2ユニット/ml以上の含有がプールされた。緑のピキア色素を含有する数多の非トリプターゼタンパク質が共にブチルカラムクロマトグラフィーにおいて精製されたが、この段階は、ピキアの発酵培養液に残存する構成部分を削除する一方でトリプターゼ活性を濃縮する役目をした。ブチルカラムからの活性なフラクションがプールされ、アッセイされ、塩濃度を減少するためにナノピュア水で1:2に希釈し、10mMMes/0.2MNaCl/10%(v/v)グリセロール/0.02%NaN(pH5.5)で事前に平衡化された、650Mのトヨピアル(Toyopearl) AF−ヘパリンの60mlのベッド容量で混合された。
【0130】
室温で1時間のインキュベーションの間、結合効率を決定するために、上澄みは周期的にアッセイされた。かなりの活性が未結合のままでない場合、レジンはカラムにロードされ、1リットルの事前に平衡化されたバッファーで洗浄された。酵素の溶出は、10mMMes/2MNaCl/10%(v/v)グリセロール/0.02%NaN(pH6.1)によって達成された。フラクション(5ml)が回収されて、少なくとも2ユニット/mlの活性の含有がプールされた。活性のアッセイ後、β−Iトリプターゼは透析されて、10kDaの切断メンブランが設備されたAMICON(登録商標)ブランドの攪拌型細胞濃縮機で濃縮された。精製されたβ−Iトリプターゼは、ヘパリンカラム溶出バッファーに保存された。
【0131】
ヘパリンアフィニティカラムはβ−Iトリプターゼ活性の最も高い濃縮を提供した。精製されたβ−IトリプターゼのSDS/PAGE分析は、精製されたβ−Iトリプターゼが、33,000Daで弱いバンドでほぼ50,000Daで拡散領域である、35、900と34,200Daの推定される分子量の2つの主要なバンドを含むことを示した。バンドの強度とエリアの画像解析は、2つの主要なバンドが全体の反応性タンパク質の90%以上を占めることを示した。精製されたβ−Iトリプターゼの比活性は、α−N−ベンジルオキシカルボニル−リジンチオベンジルエステル切断アッセイによって100ユニット/mよりも高く一貫しており、純粋な完全に活性である天然の死体のヒトの肺トリプターゼの比活性よりもほぼ二倍であった。β−Iトリプターゼの濃度は、グリコシル化されないタンパク質のサブユニットの分子量としての27,500Da、及び純粋な死体のヒトの肺トリプターゼにおいて決定される28.1のA280(1%)によって計算された。フルオレセイン4−メチルルンベリフェリル(methylumbelliferyl)p−グアニジノベンゾアート滴定液での活性部位滴定は、β−Iトリプターゼの2つの調製が94%と96%の活性サブユニットを含んだことを示した。死体のヒトの肺トリプターゼの2つの調製は、88%と96%の活性部位を含んで同時に滴定された。
【0132】
酵素活性(精製された酵素で)
実施例6a:ヒトβ−Iトリプターゼ
この実施例において、β−IトリプターゼクローンのGS115/HumTry5−37の発酵からの培養液の112mlサンプルからの精製されたトリプターゼの収率と活性が表示された。比活性は、CBZ−Lys−S−チオベンゾイルエステル/DNTB結合切断アッセイによって決定された。表2は結果を要約している。この実施例は、主題の発明を用いた精製の容易さと、トリプターゼの高収率を実証する。
【0133】
【表2】
Figure 2004500876
実施例6b:β−I及びβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変異
β−I及びβ−IIトリプターゼから精製されたトリプターゼとそれらのそれぞれのS194A活性部位の突然変異はCBZ−Lys−チオベンゾイルエステル/DNTBアッセイによってアッセイされた。β−I及びβ−IIトリプターゼが活性を有し、一方でβ−I及びβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変異は、最小限であるか又は全く活性を有せず、アミノ酸44、91及び194がタンパク質分解トリプターゼ活性において必須であることを示唆することを結果は示した。
【0134】
β−I及びβ−IIトリプターゼの両者から精製された酵素の特異的な切断の活性とβ−I及びβ−IIトリプターゼの活性部位の突然変異はCBZ−Lys−チオベンゾイルエステル/DNTBアッセイによって決定された。表3は結果を要約する。
【0135】
【表3】
Figure 2004500876
明かに、表3に示された結果は活性部位の突然変異による特異的な切断の活性の消滅を示している。
【0136】
活性部位の突然変異によるものであって発現の欠損によるものではない活性が欠損した発現したトリプターゼの活性部位の突然変異を確定するために、SDS−PAGEが、β−Iトリプターゼの活性部位の突然変異(H44AとS194A)及び組換え体β−Iトリプターゼの酵素的な活性形態で行なわれた。タンパク質はメンブランに転写されて、前述のようにビオチン化抗ヒトトリプターゼAA5モノクローナル抗体(プロメガコーポレーション)でブロッティングされた。図5は、活性部位の突然変異がトリプターゼタンパク質を発現する、この研究のウェスタンブロットの結果を示している。したがって、それらの突然変異の比活性の欠損は活性部位の突然変異によるものであり、タンパク質生成の欠如によるものではない。
【0137】
実施例6c:組換え体β−Iトリプターゼとヒトの死体のトリプターゼとの動態比較:
この実施例において、本発明による組換え体β−Iトリプターゼの動態(rHT)は、肺から抽出されたヒトの死体のトリプターゼの動態(HLT)と比較された。結果は表4に示される。
【0138】
【表4】
Figure 2004500876
実施例6d:組換え体β−I及びβ−IIトリプターゼのKの決定:
組換え体β−I及びβ−IIトリプターゼイソ型のKは、Lineweaver−Burkプロット(LBP)及びEadie−Hofsteeプロット(EHP)の両者によって決定される。得られた値は:トリプターゼβ−I=36μM(LBP)と24.5μM(EHP);β−IIトリプターゼ=30μM(LBP)と29.1μM(EHP)。
【0139】
ゲル濾過アッセイ
実施例7:β−I及びβ−IIトリプターゼ及びβ−Iトリプターゼの活性部位の突然変異のゲル濾過:
β−I及びβ−IIトリプターゼ及びβ−Iトリプターゼの活性部位の突然変異のゲル濾過アッセイは、それらの組換え体のホモ酵素のさらなる4量体構造を確定するために処理された。図7はβ−I及びβ−IIトリプターゼとS194Aのβ−Iトリプターゼの活性部位の突然変異のすべてが同一の分子量を有し、それらすべてが四量体であることを確定することが示される。トリプターゼの既知の天然の生理的な阻害剤が存在しないために、酵素は活性な四量体形態から不活性な分離物への分離によって制御されると考えられる。スキワーツL及びブラッドフォードT(SchwartzL.And BradfordT.)(1986)を参照のこと。したがって、β−Iトリプターゼに導入された突然変異が四量体を形成する、その性能ではなく酵素の触媒部位に影響したことを確認すると同様に四量体形態にβ−I及びβ−IIトリプターゼ活性を関連させることは重要であった。
【0140】
阻害アッセイ:
実施例8a:AEBSFでのβ−I及びβ−IIトリプターゼの阻害
2つのイソ型間に阻害の差異がある場合に、セリンプロテアーゼの阻害剤である、AEBSF(A.G.サイエンティフィックインク、カリフォルニア州、サンディエゴ)が組換え体ヒトβ−I及びβ−IIトリプターゼを阻害するかどうかを決定する研究が行なわれた。
【0141】
200μg/mlのβ−I及びβ−IIトリプターゼのサンプルは、可溶化された0.1mM又は1.0mM(終濃度)AEBSFのいずれかで処理され、CBZ−Lys−チオベンゾイルエステル/DNTB結合切断アッセイによって60分後にモニターされた。
【0142】
図8に示されるように、特に1mMの終濃度で使用された場合、AEBSFは組換え体のヒトのイソ型の非常に有力な阻害剤である。2つのイソ型間の明白な差異は見られなかった。
【0143】
実施例8b:ELMIRON(登録商標)アッセイ:
ELMIRON(アルザ、カリフォルニア州、マウンテンビュー)は、膀胱と胃腸管(GI)で炎症を抑える薬剤である。トリプターゼは膀胱と胃腸管(GI)の炎症を多大に介在すると信じられている。したがって、ELMIRONは、トリプターゼに薬剤を滴定することによってpPIC9−HumTryN102Kから産出される組換え体β−IIトリプターゼの酵素的な阻害に直接作用することを試験した。
【0144】
β−IIトリプターゼは、ELMIRON(50mg/mlの保存濃度でpH6.0の水で懸濁した)の10の十分な希釈液において、20μg/mlの10mM MES、0.2M NaCl、及び0.5mg/mlヘパリン、pH6.1のフラクションに希釈された。様々な濃度(25、2.5、0.25及び0.025mg/ml)はβ−IIトリプターゼと3時間インキュベートされた。活性は、CBZ−Lys−チオベンゾイルエステル/DNTB結合切断によってアッセイされた。ELMIRONは25乃至0.025mg/mlの試験濃度範囲でβ−IIトリプターゼを阻害しないことが判明した。
【0145】
フィブリノーゲン切断アッセイ
実施例9:組換え体及び天然のβ−トリプターゼのフィブリノーゲン溶解活性:
図9を参照するに、生成された天然と組換え体のβ−トリプターゼは、スキワーツ等(Schwartz et al)(1985)によって記載されるようなヒトフィブリノーゲンを代謝する天然と組換え体のβ−トリプターゼの性能を評価した。凍結されたフィブリノーゲンは、0.5mg/mlヘパリンを伴う10mM CaClと150mM NaClを含有する1.0mg/ml濃度の10mMトリス、pH7.4によって再度懸濁された。フィブリノーゲンのマスターミックスは4つの100mlアリコートに分割されて、5μgの組換え体β−Iトリプターゼ(R βIトリプターゼ)、組換え体β−IIトリプターゼ(R βIIトリプターゼ)、又は天然のβ−トリプターゼ(天然β)は3つの試験管のうちの一つに添加された。残りの試験管はコントロール(酵素なし)とした。トリプターゼとフィブリノーゲンを含有する試験管は、さらに2つの試験管に分配されて、1つの試験管は−20℃で、もう一方の試験管は37℃で60分間インキュベートされた。次いで、反応は標準の電気泳動方法で4乃至20%トリスグリシンSDS−PAGEゲルで2μgに相当するタンパク質をローディングすることによって解析した。ゲルはGelCodeで染色され、乾燥されてスキャニングにより画像化された。
【0146】
図9に示されるように、フィブリノーゲンα、β、γサブユニットはトリプターゼ酵素の不在においても、またインキュベーション処理でも分解されなかった。αとβのサブユニットは、冷却のインキュベーション中でさえも組換え体β−I及びβ−IIトリプターゼ酵素によって効率的に加水分解された。天然のβ−トリプターゼはフィブリノーゲン溶解の効率が低いが、しかしこれは組換え体酵素と比較して合成基質での全体の低い比活性によって予期された。
【0147】
組換え体ヒトトリプターゼ及び組換え体ヒトトリプターゼを得る方法は、ここに例証し記載した特定の試薬、宿主生物、及び遺伝子操作に限定しないが、しかし、付随の請求項の範囲内であるように、それらの修正されて等価な形態をすべて包含することが理解される。
【0148】
(文献目録)
Figure 2004500876
Figure 2004500876
Figure 2004500876

【図面の簡単な説明】
【図1】
タンパク質分解及び非タンパク質分解トリプターゼのアミノ酸配列である。図中の黒塗りの下向き三角形は、各成熟したトリプターゼの第一のアミノ酸を示す。記号A,B,C,D,3,1,及び2は、ウシの膵臓のトリプターゼ及びヒトβ−IIトリプターゼの構造に基づく各トリプターゼの基質と結合するクリフトを形成することを予期される7つのループを与える。
【図2】
pPIC9の概略図である。
【図3】
ヒトβ−Iトリプターゼ(rhβI)、β−IIトリプターゼ(rhβII)、及び死体から分離されたβ−Iトリプターゼ(天然型β)のウェスタンブロットを示す。ゲルは、ビオチン化された抗ヒトトリプターゼAA5モノクローナル抗体(プロメガコーポレーション)をプローブにすることで可視化できる。PGNaseFでのグリコシダーゼ消化がサンプルで実行された。最初の三つのレーンは未消化のトリプターゼを含む。2番目の3つのレーンは消化されたトリプターゼを含む。グリコシダーゼ消化は単一のトリプターゼのコアタンパク質を生じる。
【図4】
タンパク質のグリコシル化の状態を示す組換え体ヒトβ−I及びβ―IIトリプターゼ並びに天然型トリプターゼのCOOMASSIEダイで染色したSDS−PAGEである。
【図5】
ヒトβ−Iトリプターゼとその二つの活性部位の突然変位(H44A及びS194A)のピキア・パストリスの発酵誘発のウェスタンブロットである。ゲルは、ビオチン化された抗ヒトトリプターゼAA5モノクローナル抗体(プロメガコーポレーション)をプローブにすることで可視化できる。CBZ−Lys−S−チオベンゾイルエステル/DNTB結合切断アッセイはロードされたサンプルで実行された。アッセイにより対応するユニット/ml/分がゲルの下に示されている。
【図6】
8つの異なるヒトβ−IIS194A活性部位変異型クローンからの64時間後のピキア・パストリス誘発の上澄みのウェスタンブロットである。CBZ−Lys−S−チオベンゾイルエステル/DNTB結合切断アッセイはロードされたサンプルで実行された。アッセイにより対応するユニット/ml/分がゲルの下に示されている。
【図7】
ゲルフィルタレーションによるヒトβ−I及びβ−IIトリプターゼ並びにβ−Iトリプターゼ変位型S194Aにおける分子量の決定を示す。
【図8】
不可逆的セリンプロテアーゼ阻害剤AEBSFによってヒトβ−I及びβ−IIトリプターゼの阻害を例示するグラフである。
【図9】
ヒトβ−トリプターゼによってフィブリノーゲンの切断及び不活性のバイオアッセイの比較を示す。

Claims (61)

  1. 活性部位の突然変異を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクしている分泌シグナル配列に機能的にリンクした5´から3´に移動するプロモーターを含有するDNA発現構成であって、ここで該発現構成は、前記活性部位の突然変異により酵素活性欠損の前記発現構成を含むように形質転換された宿主で酵素活性を欠損する成熟したタンパク質分解トリプターゼの発現を導くことを特徴とするDNA発現構成。
  2. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はβ−Iトリプターゼをコード化することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  3. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はβ−IIトリプターゼをコード化することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  4. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はヒトタンパク質分解トリプターゼをコード化することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  5. 前記活性部位の突然変異は天然のアミノ酸を非電荷型アミノ酸に変えることを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  6. 前記活性部位の突然変異は天然のアミノ酸をアラニンに変えることを特徴とする請求項5に記載のDNA発現構成。
  7. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号36、配列番号38、配列番号40、及び配列番号42からなるグループから選択されるDNA配列を有することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  8. 前記タンパク質分解トリプターゼは、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号37、配列番号39、配列番号41、及び配列番号43からなるグループから選択されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  9. 前記分泌シグナル配列はKEX2切断部位をコード化することを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  10. 前記分泌シグナル配列は、アミノ酸残基ロイシン−グルタミン酸−リジン−アルギニンをコード化する3´末端を含むことを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  11. 前記プロモーターは構成的プロモーターであることを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  12. 前記プロモーターは誘導プロモーターであることを特徴とする請求項1に記載のDNA発現構成。
  13. AOX1,GAP,MOX,FMD,ADH,LAC4,XPR2,LEU2,GAM1,PGK1,GAL7,GADPH,CYC1,及びCUP1からなるグループから選択される5´から3´に移動するプロモーターを含有するDNA発現構成であって、前記プロモーターは分泌シグナル配列に機能的にリンクしており、前記分泌シグナル配列は活性部位の突然変異を有するタンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクしており、前記DNA配列はターミネーター配列に機能的にリンクしていることを特徴とするDNA発現構成。
  14. 前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はβ−Iトリプターゼをコード化することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  15. 前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はβ−IIトリプターゼをコード化することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  16. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はヒトタンパク質分解トリプターゼをコード化することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  17. 活性部位の突然変異を有する前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号36、配列番号38、配列番号40、及び配列番号42からなるグループから選択されるDNA配列を有することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  18. 前記タンパク質分解トリプターゼは、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号37、配列番号39、配列番号41、及び配列番号43からなるグループから選択されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  19. 前記分泌シグナル配列はKEX2切断部位をコード化することを特徴とする請求項13に記載のDNA発現構成。
  20. 請求項1による発現構成で真核生物の宿主細胞を形質転換することを含有するタンパク質分解トリプターゼの活性部位の突然変異の生成方法であって、前記真核生物の宿主細胞は酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼを発現することを特徴とする方法。
  21. 酵母の宿主細胞が形質転換されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. ピキア属の宿主細胞が形質転換されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. ピキア・パストリスの宿主細胞が形質転換されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. ピキア・パストリス ATCC20864又はピキア・パストリス菌株KM71の特徴を有する宿主細胞が形質転換されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼの抽出をさらに含有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  26. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼでのライブラリーのスクリーニングをさらに含有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  27. 化学的なライブラリーがスクリーニングされることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. ペプチドライブラリーがスクリーニングされることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  29. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼでの基質の試験をさらに含有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  30. 前記試験はインビボ試験であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. 前記試験はインビトロ試験であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  32. 前記試験はエクスビボ試験であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  33. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼのモデル化をさらに含有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  34. 請求項1による発現構成を含み発現するために形質転換された真核生物の宿主細胞を含有する酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼを発現する遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  35. 前記真核細胞は酵母細胞であることを特徴とする請求項34に記載の遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  36. 前記酵母細胞はピキア属であることを特徴とする請求項35に記載の遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  37. 請求項13による発現構成を含み発現するために形質転換された真核生物の宿主細胞を含有する酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼを発現する遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  38. 請求項20による酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼに対する抗体の産出を含有するポリクローナル又はモノクローナル抗ヒトトリプターゼ抗体の産出方法。
  39. 請求項38の方法により生成されるポリクローナル又はモノクローナル抗ヒトタンパク質分解トリプターゼ抗体。
  40. 配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号45、配列番号47、配列番号49、及び配列番号51からなるグループから選択されるポリペプチドをコード化するアミノ酸配列を含有する活性部位の突然変異を有する組換え体の成熟したタンパク質分解トリプターゼ。
  41. タンパク質分解トリプターゼをコード化するDNA配列に機能的にリンクしている分泌シグナル配列に機能的にリンクした5´から3´に移動するプロモーターを含有するDNA発現構成であって、ここで該発現構成は、前記発現構成を含むために形質転換された宿主で酵素活性を有する成熟したタンパク質分解トリプターゼの発現を導くことを特徴とするDNA発現構成。
  42. 前記タンパク質分解トリプターゼをコード化する前記DNA配列はヒトタンパク質分解トリプターゼをコード化することを特徴とする請求項41に記載のDNA発現構成。
  43. 前記DNA配列は配列番号8を含み、前記発現構成は前記発現構成を含むために形質転換された宿主で酵素活性を有する成熟したβ−IIトリプターゼの発現を導くことを特徴とする請求項42に記載のDNA発現構成。
  44. 請求項43による発現構成での真核生物の宿主細胞の形質転換を含有する酵素的に活性なβ−IIトリプターゼの生成方法であって、前記宿主細胞は酵素的に活性なβ−IIトリプターゼを発現することを特徴とする方法。
  45. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼの抽出をさらに含有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
  46. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼでのライブラリーのスクリーニングをさらに含有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
  47. 化学的なライブラリーがスクリーニングされることを特徴とする請求項46に記載の方法。
  48. ペプチドライブラリーがスクリーニングされることを特徴とする請求項46に記載の方法。
  49. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼでの基質の試験をさらに含有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
  50. 前記試験はインビボ試験であることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 前記試験はインビトロ試験であることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  52. 前記試験はエクスビボ試験であることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  53. 生成された前記酵素的に不活性なタンパク質分解トリプターゼのモデル化をさらに含有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
  54. 酵母の宿主が形質転換されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  55. ピキアの宿主が形質転換されることを特徴とする請求項54に記載の方法。
  56. 請求項43による発現構成を含み発現するために形質転換された真核生物の宿主細胞を含有する酵素的に活性なβ−IIトリプターゼを発現する遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  57. 前記真核細胞は酵母細胞であることを特徴とする請求項56に記載の遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  58. 前記酵母細胞はピキア細胞であることを特徴とする請求項57に記載の遺伝子工学的に改変された真核細胞。
  59. 請求項44に記載の方法によって生成されるトリプターゼ活性を有する、酵素的に活性でグリコシル化された組換え体のヒトβ−IIトリプターゼ。
  60. 配列番号9を含有するアミノ酸配列を含む組換え体のβ−IIトリプターゼ。
  61. 配列番号11を含有するアミノ酸配列を含む組換え体の成熟したβ−IIトリプターゼ。
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