JP2004500872A - Gp354核酸およびポリペプチド - Google Patents

Gp354核酸およびポリペプチド Download PDF

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Abstract

GP354と名付けられた新規な免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。GP354は、推定一回膜貫通ドメイン、および5つの免疫グロブリン(Ig)ドメインを、タンパク質の細胞外部分に有する。GP354のタンパク質構造および組織分布は、GP354が、膵臓および中枢神経系(CNS)における細胞−細胞認識、結合、シグナル伝達、および接着事象において役割を果たすことを示す。単離されたGP354に関連するポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ベクターならびにこれらのいずれかを含む宿主細胞、GP354を指向する抗体、このような抗体を産生する細胞、ならびに関連する診断方法および治療方法が、本発明によって提供される。

Description

【0001】
(関連出願)
本出願は、2000年6月22日に出願された米国仮特許出願番号第60/213,611号から優先権を主張し、この仮特許出願の開示は、本明細書中で参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、一般的には分子生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は、免疫グロブリンのスーパーファミリーのメンバーに関する。
(発明の背景)
多数のタンパク質は、保存された構造のモチーフおよび生物学的機能に基づくスーパーファミリーに分類されてきた。スーパーファミリーは、特定の程度の配列相同性(通常、少なくとも15%)を共有するタンパク質のグループとして広く定義される。スーパーファミリーのメンバーによって共有される保存配列は、ドメインと称される緻密な三次構造の形成にしばしば寄与し、そしてしばしば特定のスーパーファミリーを特徴付けるドメインの全配列が単一のエキソンによってコードされる(例えば、Abbasら、CELLULAR AND MOLECULAR IMMUNOLOGY,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA.1997を参照のこと)。スーパーファミリーのメンバーは、分岐進化によって共通の前駆遺伝子に由来するようであり、マルチドメインタンパク質は、1つのより多いスーパーファミリーに属し得る。タンパク質スーパーファミリーの例としては、以下が挙げられる:リガンド依存性イオンチャネルレセプタースーパーファミリー、電位依存性イオンチャネルレセプタースーパーファミリー、レセプターチロシンキナーゼスーパーファミリー、レセプタータンパク質チロシンホスファターゼスーパーファミリー、Gタンパク質共役型レセプタースーパーファミリー、および免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー。
【0002】
このIgスーパーファミリーは、部分的なアミノ酸配列の相同性ならびにIg重鎖およびIg軽鎖においてもともと同一である三次構造的特徴を共有するタンパク質を含む。Igスーパーファミリーの共通の構造モチーフは、いわゆる「Igドメイン」である。Igドメインは、70〜110個のアミノ酸残基および内部にCys−Cysジスルフィド結合を有する三次元的な球形構造である。これらのドメインは、2層のβプリーツシートを含み、各レイヤーは、5〜10アミノ酸残基の3〜5の逆平行鎖から構成される。Igドメインは、IgVドメインまたはIgCドメインのいずれかに対する最も近隣な相同性に基づいてV様またはC様として分類される。一般的な見解として、例えば、Abbasら、前出を参照のこと。
【0003】
Igスーパーファミリーの最も同定されたメンバーは、細胞外部分、広く分岐する細胞質末端(cytoplasmic tail)において1つ以上のIgドメインを有する内在性原形質膜タンパク質(通常、内因性酵素活性を持たない)である。これらの総括に例外は存在する。Igスーパーファミリーメンバーの1つの反復特性は、(同じかまたは異なるアミノ酸配列の)異なるポリペプチド鎖におけるIgドメイン間の相互作用が、この分子の生物学的活性に必須であるということである。ヘテロフィリックな相互作用はまた、異なる細胞の表面上に発現される全体的に別個の分子におけるIgドメイン間で生じ得る。このような相互作用は、細胞−細胞結合を安定化する接着力を提供する。
【0004】
Igスーパーファミリーの多数のメンバーは、脊椎動物の免疫軽における細胞認識、接着および結合機能を媒介する細胞表面または可溶性分子である。Igスーパーファミリーを産生する2つの顕著な細胞型は、Bリンパ球およびTリンパ球である。免疫系において重要な例示的なIgスーパーファミリーメンバータンパク質としては、以下が挙げられる:抗体、T細胞レセプター、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子および主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD28、CD20(B1)、CD32(FcgRII)、CD44、CD54(ICAM−1)、CD80(B7−1)、CD86(B7−2)、CD90(Thy−1)、CD102(ICAM−2)、CD106(VCAM−1)、CD121(IL−1R)、CD152(CTLA−4)、p−IgR、NCAM、およびCD140(PDGFR)(Abbasら、前出)。
【0005】
いくつかのIgスーパーファミリーメンバーは、免疫系以外(例えば、神経系)で同定されてきた。これらの保存された構造モチーフおよび免疫系におけるこのようなモチーフの周知の機能に基づいて、これらのIgスーパーファミリーメンバーは、非免疫組織において同様に細胞の認識、結合および接着機能を実施するようである。特定の細胞型に局在する新規Igスーパーファミリーメンバーは、診断の目的のために細胞マーカーおよび組織マーカーに有用である。組織特異的Igスーパーファミリーメンバーはまた、特に、例えば、組織損傷後または組織傷害後の組織発生の間または組織再生の間の、組織における不適切な細胞−細胞接着およびシグナル伝達に関連した異常な状態、障害および/または疾患を処置するための治療用標的に適している。
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、これまで未知であったIgスーパーファミリーメンバー(GP354と称される)をコードする遺伝子の発見に(少なくとも一部)基づく。(他に示さない限り、名前が小文字の場合(gp354)は、本発明の新規核酸をいい、これに対して名前が大文字の場合(GP354)は、本発明の新規ポリペプチドをいう)。このヒトgp354 cDNAによってコードされるタンパク質(GP354)は、膵臓に豊富な内在性膜タンパク質である。GP354は、推定一回膜貫通型ドメインおよびこのタンパク質の細胞外部分に5つの免疫グロブリン(Ig)ドメインを有する。GP354タンパク質は、先に記載されたタンパク質のいずれかと、全体で30%以下のアミノ酸の同一性を共有する。GP354構造および組織分布は、これが膵臓および中枢神経系(CNS)中の細胞−細胞相互作用において役割を果たすことを示す。
【0007】
本発明は、GP354またはその生物学的に活性な部分をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、GP354をコードするポリヌクレオチドの検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとしての使用に適切なポリヌクレオチドフラグメントを提供する。他に特別に示さない限り、「GP354」、「GP354」タンパク質および「GP354」ポリペプチドは、ヒト遺伝子産物または他の非ヒト哺乳動物もしくは他の脊椎動物種におけるこのタンパク質の相同体をいう。
【0008】
本発明は、(推定gp354 cDNAによってコードされる)配列番号2のアミノ酸配列;(部分的gp354膵臓cDNAによってコードされる)配列番号4のアミノ酸配列;(誘導gp354 cDNAによってコードされた)配列番号8のアミノ酸配列;(部分的誘導gp354 cDNAによってコードされる)配列番号10のアミノ酸配列;もしくは(gp354膵臓cDNAによってコードされる)配列番号12のアミノ酸配列;または配列番号2、4、8、10および12のいずれか1つのうち少なくとも1つのIgドメインに対して、少なくとも80%(85%、95%または98%)同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを特徴とする。
【0009】
いくつかの実施形態において、このポリヌクレオチドは、配列番号1(gp354 cDNA)の配列、または少なくとも17個の核酸単位(例えば、ヌクレオチド)を有するそのフラグメントを含む。このようなフラグメントの例は、配列番号3である。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号5(gp354を含むゲノムDNA)の配列、または少なくとも17個の核酸単位を有するそのフラグメントを含む。例示的なフラグメントは、配列番号6(gp354上流のゲノムDNA)のフラグメントである。他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号7(誘導gp354 cDNA)の配列、または少なくとも17個の核酸単位を有するそのフラグメントを含む。例示的なフラグメントは、配列番号9のフラグメント(誘導gp354 cDNAのC末端のフラグメント)である。他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号11(膵臓のgp354 cDNA)の配列、または少なくとも17個の核酸単位を有するそのフラグメントを含む。好ましいフラグメントは、少なくとも1つの細胞外Igドメインおよび/またはGP354の細胞内ドメインの一部または全てをコードする。
【0010】
本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然の対立遺伝子改変体をコードするポリヌクレオチドを提供し、ここで、この核酸は、ストリンジェントな条件下で配列番号1または配列番号11にハイブリダイズする。本発明はまた、配列番号4、8、10または12のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然の対立遺伝子改変体をコードするポリヌクレオチドを提供し、ここで、この核酸は、ストリンジェントな条件下で配列番号1または配列番号11にハイブリダイズする。
【0011】
配列番号2、4、8、10もしくはl2のアミノ酸配列;またはこれらの配列のいずれか1つによってコードされるIgドメインに対して、少なくとも80%(85%、95%または98%)同一であるアミノ酸配列を含む単離されたGP354タンパク質もまた本発明によって提供される。
【0012】
本発明はまた、配列番号1、3、5、7、9もしくは11;または少なくとも1つのIgドメインをコードするこれらの配列のいずれか1つの一部に対して、少なくとも約65%、好ましくは75%、85%または95%同一である配列含むポリヌクレオチドによってコードされる単離されたGP354タンパク質を提供する。配列番号1または配列番号11の配列を有する核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる、単離されたGP354タンパク質もまた提供される。
【0013】
本発明は、Igスーパーファミリーの他のメンバーをコードする核酸と比較してgp354核酸を特異的に検出するgp354ポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、核酸構築物(例えば、組換えベクター(例えば、クローニングベクター、ターゲティングベクターまたは発現ベクター)を提供し、このベクターは、本発明のgp354ポリヌクレオチドを含む。
【0014】
このような核酸構築物を含む宿主細胞はまた、提供され、GP354ポリペプチドを産生するように組換え発現構築物を含む本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することによってGP354ポリペプチドを提供するための方法も同様に提供される。
【0015】
単離されたGP354タンパク質または組換えGP354タンパク質および単離されたGP354ペプチドまたは組換えGP354ペプチドは、本発明によって提供される。好ましいGP354タンパク質およびGP354ポリペプチドは、天然のヒトGP354によって保有される以下の(重複する)生物学的活性の少なくとも1つを保有する:(1)GP354タンパク質に自然に結合するリガンド(例えば、タンパク質レセプター、多糖類など)と相互作用する(例えば、結合する)能力;(2)天然のヒトGP354に対する自己抗体または天然のヒトGP354に対して生じる抗体に結合する能力;(3)膵臓の機能(例えば、膵臓におけるシグナル伝達機能または膵臓の器官発達における工程)に関連する能力;(4)神経機能(例えば、神経系におけるシグナル伝達機能または神経系の発達における工程)に関連する能力;ならびに(5)細胞−細胞相互作用(例えば、認識、結合および/または接着)を媒介する能力。
【0016】
GP354タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、非GP354ポリペプチド(例えば、異種アミノ酸配列(例えば、タンパク質の安定性、検出、精製、または標的細胞へのインビボでの送達を促進する配列)に作動可能に連結して、GP354融合タンパク質を形成し得る。
【0017】
本発明はさらに、以下を含む抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)を特徴とする:キメラ抗体およびヒト化抗体(これは、GP354タンパク質またはその一部に特異的に結合する)。
【0018】
本発明は、上記のgp354関連の単離されたポリヌクレオチド、GP354タンパク質もしくはその生物学的に活性な部分、抗体または融合タンパク質のうち少なくとも1つを含む薬学的組成物を提供し;この薬学的組成物は、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む。このような組成物は、異常なGP354の細胞局在化、発現および/または活性に関連した被験体における状態を改善するための治療方法に有用である。
【0019】
このように、本発明はまた、本発明のgp354関連化合物またはgp354関連組成物を投与する工程を包含する処置の方法を提供する。このような方法は、例えば、異常な状態、発生途中もしくは成人の膵臓系および中枢神経系における細胞の認識、結合、シグナル伝達および接着機能に関連する異常な状態、障害または疾患を処置するために有用である。
【0020】
膵臓の豊富なタンパク質(GP354)は、特に、例えば、膵臓の損傷、傷害または変性状態の後の、組織発達の間ならびに組織再生および/または組織治癒の間の、発生途中および成人の膵臓における、不適切な細胞−細胞の結合、接着ならびにシグナル伝達に関連する異常な状態、障害ならびに/または疾患を処置するための適切な治療的標的である。これはまた、GP354が免疫状態、自己免疫状態、および変性状態に関連した膵臓の細胞死を阻害するための適切な治療的標的であると想定される。GP354の神経の形態は、組織の異常を処置するため、組織の再生および修復のため、ならびに中枢神経系における組織変性および細胞死を阻害するための類似の適切な治療的標的である。
【0021】
本発明は、GP354の活性を調節するための方法を提供する。この方法において、標的細胞は、GP354の活性またはGP354の発現を調節(例えば、阻害または刺激)する因子と接触することによって、GP354の活性またはGP354の発現を変更する。いくつかの実施形態において、この因子は、GP354に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態において、この因子は、gp354遺伝子の転写、gp354 RNAのスプライシング、またはgp354 mRNAの翻訳を調節することによってGP354の活性またはGP354の発現を調節する。なお他の実施形態において、この因子は、gp354 mRNAまたはgp354遺伝子のコード鎖に対するアンチセンスである配列を有する核酸である。他の実施形態において、この因子は、GP354タンパク質、GP354タンパク質をコードする核酸、あるいはGP354タンパク質のアンタゴニストまたはアゴニスト(例えば、ペプチド、擬ペプチド(peptidomimetic)、もしくは他の低分子)であり得る。
【0022】
本発明はまた、GP354タンパク質に結合する化合物を同定するための方法を提供する。別の局面において、本発明は、GP354タンパク質の生物学的活性を調節する化合物を同定するための方法を提供し、この方法は、試験化合物の存在下および非存在下でこのタンパク質の生物学的活性または発現を測定する工程およびこのタンパク質の活性を変更するこれらの化合物を同定する工程を包含する。コンビナトリアルライブラリーは、これらの方法において候補化合物の供給源として用いられ得る。
【0023】
本発明は、生物学的サンプル(例えば、患者由来の流体サンプルもしくは組織サンプル)中のgp354ポリヌクレオチド、GP354タンパク質またはその活性の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、このサンプルを、gp354ポリヌクレオチド配列、GP354タンパク質またはその活性の存在の指標を検出し得る因子と接触させることによる。
【0024】
診断アッセイは、以下:(i)GP354タンパク質をコードする遺伝子の異常な修飾または変異;(ii)GP354タンパク質をコードする遺伝子の調節不良(mis−regulation)(転写、スプライシングまたは翻訳);および(iii)GP354タンパク質の異常な翻訳後修飾もしくはGP354タンパク質の局在化、の少なくとも1つによって特徴付けられるgp354関連遺伝子の損傷または変異の存在または非存在を同定するために提供され、ここで、この遺伝子の野生型形態は、GP354の生物学的活性を有するタンパク質をコードする。
【0025】
本発明は、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む、非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ウマまたはウシのような哺乳動物)細胞の少なくともいくつかを提供する。このような動物は、その体細胞および/または生殖細胞のいくつかのみがこのポリヌクレオチドを保有するキメラ体であり得る。このような動物は、その体細胞および生殖細胞の全てがこのポリヌクレオチドを保有する場合、代替的にトランスジェニックであり得る
本発明はまた、gp354遺伝子の内因性オルソログが遺伝子ターゲティングによって破壊される(すなわち「ノックアウト」)非ヒト動物を提供する。gp354ポリヌクレオチド、生物学的サンプル(例えば、組織および流体)ならびにこれら由来のGP354関連産物を含む細胞ならびに上述の動物はまた、本発明の範囲内である。
【0026】
本発明は、本発明の核酸配列およびアミノ酸配列をソーティングするコンピュータで読み取り可能な手段を提供する。コンピュータで読み取り可能な手段の記録は、配列の読み取りおよび表示について、ならびに本発明の配列の他の配列との比較、アライメントおよび順序付けについて評価し得る。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面および上記の特許請求の範囲から明白である。
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、これまで未知であったタンパク質(GP354)をコードする新規ヒト遺伝子の発見に少なくとも一部基づく。この遺伝子(gp354)を、ヒトゲノムの(「探索用の(mining)」)公開されている核酸配列のコンピュータによる分析によって同定した。gp354遺伝子は、少なくとも14個のエキソンを含み、そして通常、ヒト第19染色体上の残基である。この遺伝子から転写されたmRNAは、1779個の塩基対のオープンリーディングフレームを有し、そして592個のアミノ酸残基であると予測されるタンパク質をコードする。この新規GP354タンパク質は、膵臓および脳において主に発現される。
【0029】
(定義)
本明細書中で用いられる場合、「核酸」(「ポリヌクレオチド」ともいう)とは、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNAまたは合成DNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)を含む。この用語はまた、非天然ヌクレオチドアナログ、非天然ヌクレオシド間結合または両方を含む、DNAアナログまたはRNAのアナログを含むことが意図される。核酸は、任意のトポロジー構造であり得る。例えば、核酸は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、四本鎖、部分的二本鎖、分枝、ヘアピン、環状、またはパドロック構造であり得る。例えば、Banerら,Curr.Opin.Biotechnol.12:11−15(2001);Escudeら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 14;96(19):10603−7(1999);Nilssonら,Science 265(5181):2085−8 (1994);Praseuthら,Biochim.Biophys.Acta.1489(1):181−206(1999);Fox,Curr.Med.Cheni.7(1):17−37(2000);Kochetkovaら,Methods Mol.Biol.130:189−201(2000);Chanら,J.Mol.Med.75(4):267−82(1997)を参照のこと。
【0030】
本明細書中で用いられる場合、「単離された核酸」(「単離されたポリヌクレオチド」ともいう)は、その核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸である。特に、単離された、非組換え天然染色体およびその500kbを超えるフラグメントが排除される。好ましくは、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生物のゲノム中の核酸に天然で隣接する配列を実質的に含まない。例えば、好ましい単離されたgp354核酸は、単離された核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸に天然で隣接する、約10kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列に隣接する。なおより好ましくは、この単離された核酸は、5000塩基対以下、しばしば1000塩基対以下、500塩基対以下、100塩基対以下または50塩基対以下である。
【0031】
しかし、「単離された」は、そのように記載される核酸またはポリヌクレオチド自体が天然の環境から物理的に取り出されたことを必ずしも必要としない。例えば、生物のゲノム中の内因性核酸は、異種配列(すなわち、この内因性核酸配列に天然では隣接しない配列)が、その内因性核酸配列に隣接して配置され、この内因性核酸配列の発現が変化する場合に、本明細書中では「単離された」とみなされる。例として、非天然プロモーター配列が、(例えば、相同組換えによって)ヒトの細胞のゲノム中でgp354遺伝子の天然のプロモーターに代えて置換され得て、その結果、この遺伝子は、変化した発現パターンを有する。この遺伝子は、天然で隣接する配列の少なくともいくつかから分離されているので、今や「単離された」ものになる。
【0032】
核酸はまた、対応する核酸がゲノム中に天然には生じない任意の改変を含む場合、「単離された」とみなされる。例えば、内因性のgp354コード配列は、例えば、ヒトの介入により、人為的に導入される挿入、欠損または点変異を含む場合、「単離された」とみなされる。「単離された核酸」はまた、宿主細胞の染色体中に非相同的部位で組みこまれた核酸、エピソームとして存在する核酸構築物、および宿主細胞染色体中に組みこまれた核酸構築物を含む。さらに、「単離された核酸」は、組換え技術によって産生される場合に、他の細胞物質を実質的に含まないものであり得るか、もしくは培養培地を実質的に含まないものであり得るか、あるいは、化学的に合成される場合に、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。
【0033】
本発明のポリヌクレオチドは、全長GP354タンパク質をコードし得る場合に、「全長」とみなされる。
【0034】
本明細書中で用いられる場合に、句、参照核酸配列の「縮重改変体」とは、標準的な遺伝暗号に従って、翻訳されて、その参照核酸配列から翻訳された配列と同一のアミノ酸配列を提供し得る、核酸配列を含む。
【0035】
本明細書中で用いられる場合に、用語「マイクロアレイ」(「核酸マイクロアレイ」ともいう)は、基材に結合した複数の核酸を示し、結合した核酸のそれぞれへのハイブリダイゼーションは、個別に検出可能である。その基材は、固体構成もしくは多孔性構成、平面構成もしくは非平面構成、単一構成もしくは分散構成、または他の任意の構成であり得る。
【0036】
そう規定される場合に、用語「マイクロアレイ」は、Schena(編)、DNA Microarrays:A Practical Approach(Practical Approach Series)、Oxford University Press(1999)(ISBN:0199637768);Nature Genet.21(1)(補遺):1−60(1999);およびSchena(編)、Microarray Biochip:Tools and Technology,Eaton Publishing Company/BioTechniques Books Division(2000)(ISBN:1881299376);Brennerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97(4):1665−1670(2000)において、このように呼ばれるかまたは同様に呼ばれる、全ての装置を含む。これら参考文献の全ての開示は、本明細書中において、その全体が参考として援用される。
【0037】
核酸ハイブリダイゼーションに関して本明細書中で用いられる場合、用語「プローブ」(「核酸プローブ」または「ハイブリダイゼーションプローブ」ともいう)は、検出可能に標識されているかまたは検出可能に標識されるように意図される、単離された既知の配列の核酸をいう。核酸マイクロアレイに関して本明細書中で用いられる場合、用語「プローブ」(等価には、「核酸プローブ」または「ハイブリダイゼーションプローブ」)は、基材に結合されるているかまたは基材に結合されるように意図されている、単離された核酸をいう。このような状況のいずれにおいても、用語「標的」は、配列相補性によって、プローブに結合することが意図される、核酸をいう。
【0038】
他のように示されない限り、「配列番号Xを含む核酸」は、(i)配列番号Xの配列または(ii)配列番号Xに相補的な配列のいずれかを少なくとも一部が有する核酸をいう。この2つの間の選択は、状況によって、決定される。例えば、核酸がプローブとして用いられる場合、この2つの間の選択は、プローブが所望される標的に相補的であるという必要条件によって決定される。
【0039】
本明細書中での目的のために、「高ストリンジェンシー条件」は、溶液相でのハイブリダイゼーションについて、65℃の6×SSC(ここで、20×SSCは、3.0M NaClおよび0.3Mクエン酸ナトリウムを含む)、1% SDS中で、8−12時間水性(すなわち、ホルムアルデヒドを含まない)ハイブリダイゼーションを行い、その後65℃の0.2×SSC、0.1% SDSで20分間洗浄することとして規定される。65℃でのハイブリダイゼーションは、多数の要因(ハイブリダイズする配列の長さおよび同一性パーセントを含む)に依存して異なる速度で生じることが、当業者により理解される。
【0040】
マイクロアレイに基づくハイブリダイゼーションについて、標準的な「高ストリンジェンシー条件」は、42℃の加湿オーブン中において、50%ホルムアルデヒド、5×SSC、0.2μg/μlポリ(dA)、0.2μg/μlヒトcot1 DNAおよび0.5% SDS中で一晩ハイブリダイゼーションし、その後55℃の1×SSC、0.2% SDS中で5分間、次いで55℃の0.1×SSC、0.2% SDS中で20分間マイクロアレイを連続洗浄することとして規定される。マイクロアレイに基づくハイブリダイゼーションについて、「中程度のストリンジェンシー条件」とは、構造的および機能的に関連したタンパク質をコードするmRNAにクロスハイブリダイゼーションするのに適しており、高ストリンジェンシー条件についての条件と同じであるが、ハイブリダイゼーションの温度を下げ、室温(約25℃)で洗浄するように規定される。
【0041】
本明細書中で用いられる場合、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、交換可能に使用されて、天然に存在するかまたは合成されたアミノ酸のポリマーを長さに関わりなく示し、ここで、本明細書中のアミノ酸は、ペプチド結合に関与できる、天然に存在するアミノ酸、天然に存在するアミノ酸の構造改変体、および合成された天然に存在しないアナログを含む。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、翻訳後および合成後の修飾(例えば、N末端アミノ酸またはC末端アミノ酸の切断反応およびグリコシル化)を、明示的に許容する。本明細書中において、用語「オリゴペプチド」は、アミノ酸残基25以下を有する、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを示す。
【0042】
タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドは、単離されたポリヌクレオチドによってコードされる場合;天然には見られない純度で存在する場合(ここで、純度は、他の細胞物質の存在に関して判断され得る);および/または天然には見出されないアミノ酸アナログもしくはアミノ酸誘導体、または標準的ペプチド結合以外の連結を含む場合に、「単離された」とみなされる。このように規定される場合「単離された」は、そのように記載されるタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドが、天然の環境から物理的に取り出されたことを必ずしも必要としない。
【0043】
タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドは、少なくとも65%(例えば、少なくとも75%、85%または95%)の濃度(組成物中の総タンパク質に関する質量に基づいて測定される)で存在する場合に、本明細書中において「精製された」とみなされる。濃度が少なくとも85%である場合に、ンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドは、「実質的に精製されたとみなされる。
【0044】
本明細書中において用いられる場合、用語「ホモログ」(「相同体」ともいう)は、「オルソログ」および「パラログ」を含む。「オルソログ」は、異なる生物種における、同じ遺伝子の別個の存在のことである。この別個の存在は、類似したアミノ酸配列または同一のアミノ酸配列を有し、ここで配列の類似性の程度は、その同じ遺伝子を有する共通の祖先からの、種の進化距離に部分的に依存する。用語「パラログ」は、1つの生物種における1つの遺伝子の別個の存在のことを示す。この別個の存在は、類似したアミノ酸配列または同一のアミノ酸配列を有し、ここで配列の類似性の程度は、この存在を生じる遺伝子複製事象からの、これらの別個の存在の進化距離に部分的に依存する。
【0045】
「相同性」アミノ酸配列は、保存性アミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、このポリペプチドは、実質的に同じ結合性および/または活性を有する。しかし、相同性アミノ酸配列は、他の既知のIgスーパーファミリーメンバーをコードするアミノ酸配列を含まない。相同性(同一性%)は、例えば、デフォルト設定を用いるGAPプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix(登録商標)、Genetics Computer Group、University Research Park,Madison WI)によって、決定され得る(このGAPプログラムは、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math.、2:482−489(1981)(これは本明細書中において、その全体が参考として援用される))のアルゴリズムを使用する)。
【0046】
本明細書中で用いられる場合、用語「抗体」は、完全な抗体(2つの重鎖および2つの軽鎖からなる)またはそのフラグメントをいう。このようなフラグメントとしては、そのフラグメントが抗原に特異的に結合できる限り、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々のプロテアーゼを用いた消化によって生じたフラグメント、化学的切断および/または化学的解離によって生じたフラグメント、ならびに組換え的産生されたフラグメント。これらのフラグメントには、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメントおよび単鎖Fv(scFv)フラグメントがある。
【0047】
配列が改変されているが、抗原に特異的に結合でき得る抗体もまた、用語「抗体」の範囲内にある。改変抗体の例は、種間キメラ抗体およびヒト化抗体;抗体融合物;ならびにヘテロマー抗体複合体(例えば、ディアボディ(diabidy)(二重特異的抗体)、単鎖ディアボディおよびイントラボディ)である(例えば、Marasco(編)、Intracellular Antibodies:Research and Disease Applications、Springer−Verlag New York、Inc.(1998)(ISBN:3540641513)(この開示は、本明細書中においてその全体が援用される)を参照のこと)。
【0048】
「特異的結合」は、2つの分子が、環境中の他の分子への結合に優先して互いに結合する、能力をいう。典型的には、「特異的結合」は、反応中の偶然の結合より、少なくとも2倍、より典型的には少なくとも10倍、しばしば少なくとも100倍、識別する。典型的に、特異的結合反応のアフィニティーまたはアビディティは、少なくとも約10−7M(例えば、少なくとも約10−8Mまたは10−9M)である。
【0049】
用語「領域」は、生体分子の1次構造の物理的に連続した位置を意味する。タンパク質の場合、領域は、そのタンパク質のアミノ酸配列の連続した位置によって規定される。
【0050】
用語「ドメイン」は、生体分子の公知の機能または推測される機能に寄与する生体分子の構造をいう。ドメインは、それらの領域またはそれらの部分と同一の広がりであり得;ドメインはまた、生体分子の異なる非連続的な領域も含み得る。GP354タンパク質ドメインの例としては、細胞外Igドメイン(すなわち、N末端)、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメイン(すなわち、C末端)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「化合物」は、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、核酸、脂質などが挙げられるがこれらに限定されない任意の分子を意味し、このような化合物は、天然または合成であり得る。
【0052】
他に規定がない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例示的な方法および材料が、以下で記載されるが、本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価の方法および材料もまた、本発明の実施において使用され得、そしてそれらは、当業者には明白である。本明細書中で言及される全ての刊行物および他の参考文献は、それら全体が参考として援用される。矛盾している場合、定義を含む本明細書が、支配する。これらの材料、方法および実施例は、例示でのみあり、制限されることを意図しない。
【0053】
当業者に公知の組換えDNA技術の一般的な原理を示している標準的な参考としては、以下が挙げられる:Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York(1998および2001に補遺);Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(1989);Kaufmanら、編,HANDBOOK OF MOLECULAR AND CELLULAR METHODS IN BIOLOGY AND MEDICINE,CRC Press,Boca Raton(1995);McPherson,編,DIRECTED MUTAGENESIS:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press,Oxford(1991)。当業者に公知の免疫学の一般的な原理を示している標準的な参考資料としては、以下が挙げられる:HarlowおよびLane,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,第2版Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1999);Roittら、IMMUNOLOGY,第3版,Mosby−Year Book Europe Limited,London(1993)。当業者に公知の医学生理学および薬理学の一般的な原理を示している標準的な参考資料としては、以下が挙げられる:Harrison’s PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE,第14版,(Anthony S.Fauciら編),McGraw−Hill Companies,Inc.,1998。
【0054】
(GP354関連核酸)
gp354遺伝子は、BACクローンのコンティグ38において、GenBank登録番号AC022315(これは,2000年2月10日に寄託された)で同定した。この寄託物は、gp354のヒトゲノム配列(図6および配列番号5)を有し、これは、5’上流(1〜6278位)および3’下流(16490〜20050)の非転写ゲノム配列を含む。
【0055】
本発明は、GP354タンパク質全体をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。上記のように、本発明のこのような「全長」ポリヌクレオチドは、特に、全長GP354タンパク質を発現するために使用され得る。この全長ポリヌクレオチドはまた、核酸プローブとして(プローブとして)使用され得、これらの実施形態の単離されたポリヌクレオチドは、gp354ポリヌクレオチドおよび関連ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0056】
好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:(i)配列番号1、5、7または11のヌクレオチド配列、(ii)配列番号1、5、7または11のヌクレオチド配列の縮重改変体、あるいは(iii)(i)または(ii)の相補体。配列番号1は、推定されるgp354 cDNA配列を示し、配列番号5は、5’非転写領域および3’非転写領域を含む、gp354コード配列を含むゲノムDNA配列を示す。配列番号7は、配列番号1のスプライス変異体であり得る誘導gp354cDNA配列を示し、そして配列番号11は、膵臓gp354cDNA配列を示す。
【0057】
他の実施形態において、本発明は、以下を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:(i)配列番号2、配列番号8または配列番号12のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、あるいは(ii)配列番号2、配列番号8または配列番号12のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の相補体。配列番号2は、配列番号1のcDNAによってコードされるGP354のアミノ酸配列を示し、配列番号8は、配列番号5および配列番号11由来の配列によってコードされるGP354のアミノ酸配列を示し、そして配列番号12は、配列番号11の膵臓cDNAによってコードされるGP354のアミノ酸配列を示す(図8)。
【0058】
他の実施形態において、本発明は、以下のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチドを提供する:(i)配列番号2、配列番号8または配列番号12の配列を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列、(ii)保存的アミノ酸置換を有する配列番号2、配列番号8または配列番号12の配列を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列、あるいは(iii)(i)または(ii)の相補体である、ヌクレオチド配列。ここで、配列番号2は、配列番号1のcDNAによってコードされるGP354のアミノ酸配列を示し、配列番号8は、配列番号5および配列番号11由来の配列によってコードされるGP354のアミノ酸配列を示し、そして配列番号12は、配列番号11の膵臓cDNAによってコードされるGP354のアミノ酸配列を示す。
【0059】
(GP354の一部をコードする核酸)
本発明はまた、GP354の選択部分をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。本明細書中以下でさらに議論されるように、これらの「核酸分子」は、例えば、単独でかまたは融合タンパク質のエレメントとして、GP354の特定の部分を発現するために使用され得る。核酸フラグメントはまた、領域特異的核酸プローブとしても使用され得る。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:(i)配列番号3、配列番号6または配列番号9のヌクレオチド配列、(ii)配列番号3、配列番号6または配列番号9のヌクレオチド配列の縮重改変体、あるいは(iii)(i)または(ii)の相補体。配列番号3は、gp354膵臓RNA由来の785塩基対RT−PCRフラグメントを示す。配列番号6は、gp354コード配列から上流のゲノム配列を示し、そして配列番号9は、gp354膵臓RNA由来の1782塩基対RT−PCRフラグメントを示す。
【0061】
他の実施形態において、単離されたポリヌクレオチド、またはそれらの相補体は、GP354のN末端細胞外部分に特徴的なIgドメインを少なくとも1つ、好ましくは、2つ、3つ、4つまたは5つ有するポリペプチドをコードする。詳細には、5つの細胞外Igドメインは、それぞれ、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド103〜306、406〜609、715〜870、967〜1122および1228〜1445(図1参照)、ならびに、それぞれ、配列番号8のgp354 cDNA配列のヌクレオチド307〜510、610〜813、919〜1074、1171〜1326および1432〜1659(図7参照)によってコードされる。好ましい実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、少なくとも1コピーにおいて、少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、そして最も好ましくは、5つ全てのドメインをコードする。
【0062】
いくつかの使用について、このようなタンパク質産物、核酸フラグメント(またはそれらの相補体)は、膜を通るそのコードされたポリペプチドの輸送を媒介するシグナル分泌配列をコードする配列を含む。このようなシグナル分泌配列は、代表的には、膜を通る輸送が起こる場合、ポリペプチドから切断される。GP354シグナル分泌配列は、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド1〜54(図1参照)、および配列番号8のgp354 cDNAのヌクレオチド1〜57(図7参照)によってコードされる。より好ましくは、本発明の単離されたポリヌクレオチドのシグナル分泌配列は、gp354由来である。GP354のシグナル配列がまた、分泌の間に切断されると仮定した場合、成熟GP354ポリペプチド配列は、配列番号1のヌクレオチド55〜57(図1参照)、および配列番号8のgp354 cDNAのヌクレオチド259〜261(図7参照)によってコードされるN末端プロリン残基を有する。
【0063】
本発明のポリヌクレオチドの他の好ましい実施形態は、GP354の膜貫通ドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはその相補体である。上記の好ましい、単離されたポリヌクレオチドは、例えば、コードされたポリペプチドの膜への挿入が所望される場合に、必要に応じて、膜貫通ドメインをコードし得る。この膜貫通ドメインは、gp354配列によってコードされ得るか、または異種膜関連タンパク質の膜貫通ドメインをコードする異種遺伝子によってコードされ得る。gp354膜貫通ドメインは、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド1522〜1590(図1参照)、および配列番号8のgp354 cDNAのヌクレオチド1726〜1794(図7参照)によってコードされる。
【0064】
所望の場合、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、例えば、GP354結合相互作用に応答する特定のシグナル反応が望まれる場合、細胞内C末端ドメインをコードする配列(またはそれらの相補体)を含み得る。この細胞内ドメインは、gp354によってコードされ得るか(以下を参照)、または異種膜関連タンパク質の細胞内ドメインをコードする異種遺伝子によってコードされ得る。本発明の好ましいポリヌクレオチドは、GP354の(C末端)細胞内ドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそれらの相補体である。詳細には、GP354の1つの細胞内ドメインは、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド1591〜1776(図1参照)によってコードされる。GP354の細胞内ドメインのより長い形態は、配列番号8のgp354 cDNA配列のヌクレオチド1795〜2319(図7参照)によってコードされる。
【0065】
本発明の1つの好ましい、単離されたポリヌクレオチドは、図5に示され(配列番号3を参照)、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド139〜923(図1参照)を含む。このポリヌクレオチドは、プライマーGX1−218(配列番号8)およびGX1−219(配列番号9)を用いて、膵臓RNAから増幅されるRT−PCRフラグメントの配列を含む。実施例2を参照のこと。この好ましい、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号2のアミノ酸47〜307をコードし、すなわち、このポリヌクレオチドは、第1のN末端Igドメインのアミノ酸13〜68(すなわち、このIgドメインの最初の12N末端アミノ酸を欠失している)をコードし、そしてGP354の第2のIgドメインおよび第3のIgドメインをコードする。
【0066】
(クロスハイブリダイズする核酸)
核酸の実施形態の別のシリーズにおいて、本発明は、本発明の種々のgp354核酸にハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドを提供する。これらの「クロスハイブリダイズする核酸」は、特に、本発明のgp354に関連するタンパク質(さらに、アイソフォーム、ホモログ、パラログ、またはオルトログについても同様)に対するプローブとして、およびこれらのタンパク質の発現を駆動するために、使用され得る。
【0067】
いくつかのこのような実施形態において、本発明は、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1、5、7、9または11;配列番号1、5、7、9または11の相補体;または少なくとも17核酸ユニットを有するそれらのフラグメントを含むヌクレオチド配列を有するプローブにハイブリダイズする配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0068】
(好ましい核酸)
膵臓組織または神経組織において発現される核酸(または、その相補体)は、上記の核酸の中で特に好ましい。上述のような、gp354の生物学的活性を有するポリペプチドをコードする核酸(または、その相補体)もまた、上記の核酸の中で特に好ましい。
【0069】
(核酸フラグメント)
核酸の実施形態の別のシリーズにおいて、本発明は、特に、領域特異的核酸プローブとして、増幅プライマーとして、およびエピトープタンパク質フラグメントまたは免疫原性タンパク質フラグメントの発現または合成を指向するために有用性を示す、本発明の種々の単離されたポリヌクレオチドのフラグメントを提供する。
【0070】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1、5、7、9または11から選択される連続する核酸配列の少なくとも17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、20ヌクレオチド、24ヌクレオチド、または25ヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0071】
他の実施形態において、本発明は、(i)配列番号2、4、8、10または12の少なくとも8個連続するアミノ酸の配列を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列、(ii)保存的アミノ酸置換を有する、配列番号2、4、8、10または12の少なくとも8個連続するアミノ酸の配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、あるいは(iii)(i)または(ii)の相補体である、ヌクレオチド配列、を含む単離された核酸を提供する。
【0072】
(単一エキソンプローブ)
本発明はさらに、gp354遺伝子の1つのみのエキソンの一部を有する、ゲノム由来の単一エキソンプローブを提供する。このような単一エキソンプローブは、スプライス改変体の同定および特徴付けにおいて特定の有用性を有する。特に、このような単一エキソンプローブは、gp354の異なるアイソフォームの発現を同定および識別するために有用である。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1、5、7、9もしくは11、または配列番号1、5、7、9もしくは11の相補体の、以下のエキソン特異的部分の1つから選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸を提供する。ここで、この部分は、配列番号1、5、7、9もしくは11、またはそれらの相補体の部分のいずれか1つの少なくとも17個連続するヌクレオチド、18個連続するヌクレオチド、20個連続するヌクレオチド、24個連続するヌクレオチド、25個連続するヌクレオチド、または50個連続するヌクレオチドを含む。
【0074】
【表1】
Figure 2004500872
【0075】
【表2】
Figure 2004500872
(転写制御核酸)
別の局面において、本発明は、gp354遺伝子の転写を制御する核酸配列エレメントを含む、ゲノム由来の単離されたポリヌクレオチドを提供する。これらの核酸は、特に、組み換え構築物中の異種コード領域の発現を駆動するために使用され得、従って、このような異種コード領域に、ネイティブgp354遺伝子の発現パターンを与える。これらの核酸はまた、逆に、gp354のゲノム遺伝子座に異種転写制御エレメントを標的化するために使用され得、gp354遺伝子自体の発現パターンを変化させる。
【0076】
このような実施形態の第1のシリーズにおいて、本発明は、配列番号5のヌクレオチド1〜6483;配列番号5のヌクレオチド1483〜6482;配列番号5のヌクレオチド2483〜6482;配列番号5のヌクレオチド3483〜6482;配列番号5のヌクレオチド4483〜6482;配列番号5のヌクレオチド5483〜6482;もしくは配列番号5のヌクレオチド5983〜6482;またはこのような配列の相補鎖を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0077】
他の実施形態において、本発明は、配列番号5のヌクレオチド1〜6483;配列番号5のヌクレオチド1483〜6482;配列番号5のヌクレオチド2483〜6482;配列番号5のヌクレオチド3483〜6482;配列番号5のヌクレオチド4483〜6482;配列番号5のヌクレオチド5483〜6482;もしくは配列番号5のヌクレオチド5983〜6482;またはこのような配列の相補鎖の、少なくとも17、18、20、24、または25ヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0078】
配列番号5のヌクレオチド1〜6483;配列番号5のヌクレオチド1483〜6482;配列番号5のヌクレオチド2483〜6482;配列番号5のヌクレオチド3483〜6482;配列番号5のヌクレオチド4483〜6482;配列番号5のヌクレオチド5483〜6482;もしくは配列番号5のヌクレオチド5983〜6482;またはこのような配列の相補鎖を含む単離されたポリヌクレオチドの各々は、gp354遺伝子の発達特異的および組織特異的な発現および調節を媒介する転写制御配列を有する。このような転写制御配列は、それらに作動可能に連結された異種核酸配列に、このような発達特異的および組織特異的な発現パターンを与えるために有用である。
【0079】
(gp354核酸分子の他の規定された特徴)
本明細書中に詳細に示される全ての核酸配列は、デオキシリボヌクレオチドの配列として示される。しかし、示される配列は、ポリヌクレオチド組成物に適するように解釈されることが意図される:例えば、単離された核酸がRNAで構成される場合、示される配列は、リボヌクレオチドを意図し、チミジンがウリジンで置換される。
【0080】
多型(例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP))は、真核生物ゲノムにおいて頻繁に発生する。1,400,000より多いSNPが、ヒトゲノムにおいてすでに同定されており(International Human Genome Sequencing Consortium,Nature 409:860−921(2001))、そして1つの種の1つの個体から決定された配列は、その集団に存在する他の対立遺伝子形態と異なり得る。あるいは、単一ヌクレオチド多型ではなく小さな欠失および挿入は、全体的な集団においてまれではなく、しばしばそのタンパク質の機能を変更しない。
【0081】
従って、本発明は、本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチド(例えば、配列番号1、3、5、6、7、9、および11)と配列において同一な単離されたポリヌクレオチドを提供するだけでなく、それらの詳細に記載される核酸配列の対立遺伝子改変体である単離されたポリヌクレオチドもまた提供することが特に強調される。さらに、本発明は、配列番号1、3、5、6、7、9、および11または少なくとも1つのIgドメインをコードするこれらの配列のいずれか1つの部分と配列において少なくとも約65%同一であり、代表的には、本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において少なくとも約70%、75%、80%、85%、または90%同一であり、有用に、本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において少なくとも約91%、92%、93%、94%、または95%同一であり、より有用に本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一であり、そして最も保存的には、本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において少なくとも約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一である、gp354のホモログ(例えば、パラログおよびオルトログ)を提供する。これらの配列改変体は天然に存在し得るか、または無作為変異誘発または特異的変異誘発によるようなヒトの介入により生じ得る。
【0082】
核酸配列改変体は、例えば、配列番号7に存在する配列の252位、703位、770位、1249位、および1811〜1816位に生じることが見出された。
【0083】
本明細書における目的のために、2つの核酸配列のパーセント同一性は、Tatianaら、「Blast 2 sequences−a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」、FEMS Microbiol Lett.174:247−250(1999)の手順を用いて決定される。この手順は:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Blast/bl2seq/bl2.htmlにてオンラインで利用可能なコンピュータプログラムBLAST2 SEQUENCESにより達成される。核酸配列のパーセント同一性を評価するために、BLAST2 SEQUENCESのBLASTNモジュールが、以下のデフォルト値で使用され、そして両方の配列は、それらの全体において入力される:(i)リワード フォー ア マッチ(reward for a match):1;(ii)ペナルティー フォー ア ミスマッチ(penalty for a mismatch):−2;(iii)オープンギャップ5およびエクステンションギャップ2ペナルティー;(iv)ギャップX_ドロップオフ50エクスペクト10ワードサイズ11フィルター。
【0084】
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、GP354タンパク質およびタンパク質フラグメントの発現に有用であり、従って、本発明は、GP354タンパク質およびその一部をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する(本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において同一なポリヌクレオチドだけでなく、それらの縮重改変体も同様に提供する)。周知のように、遺伝暗号は縮重し、そして最適な発現のためのコドンの選択は種間で変化する。また、周知のように、アミノ酸置換は、天然の対立遺伝子改変体の間で頻繁に生じ、しばしば保存的置換は、タンパク質機能において最小の変化しか生じない。
【0085】
従って、本発明は、本明細書中に詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において同一のポリヌクレオチドだけでなく、保存的アミノ酸置換または中程度の保存的アミノ酸置換を有する、GP354およびその一部分をコードするポリヌクレオチドもまた提供する。
【0086】
保存的アミノ酸置換と呼ぶために種々の基準が存在するが(主に、進化的に関連するタンパク質間で観察される変化か、または予想される化学的類似性かのいずれかに基づく)、本明細書における目的のためには、保存的置換は、本明細書の以下に複写したPAM250対数尤度行列(log−likelihood matrix)において正の値を有する任意の変化である(Gonnetら、Science 256(5062):1443−5(1992)を参照のこと)。
【0087】
【表3】
Figure 2004500872
本明細書における目的のために、「中程度の保存的」置換は、本明細書の上に複写したPAM250対数尤度行列においてマイナスではない値を有する任意の変化である。
【0088】
生物学的活性の重度の減少または除去を回避するために、種々の種のGP354タンパク質間またはIgファミリーメンバー間で保存されるアミノ酸残基は、遺伝子操作時に変更されない(保存的置換を除く)。例えば、GP354のIgドメインを維持するために、システイン残基は保存されるべきである。
【0089】
ポリヌクレオチドの関係はまた、機能的試験を用いて、規定のハイブリダイゼーションストリンジェンシーにおいて2つのポリヌクレオチドが互いに塩基対を形成する能力が特徴付けられ得る。従って、本発明は、本明細書中で詳細に記載されるポリヌクレオチドと配列において同一であるだけでなく、本発明の種々の単離されたgp354ポリヌクレオチド(「参照核酸」)の全てまたは一部分に高ストリンジェンシー条件(本明細書で規定されるような)下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド(「クロスハイブリダイゼーションする核酸」)を提供するための、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0090】
このようなクロスハイブリダイゼーションする核酸は、特に、本発明のタンパク質に関連するタンパク質(例えば、選択的スプライス改変体およびホモログ(例えば、オルトログおよびパラログ))のためのプローブ、およびこのようなタンパク質の発現を駆動するために有用である。特に有用なオルトログは、他の霊長類種由来(例えば、チンパンジー、アカゲザル、ヒヒ、オラウータン、およびゴリラ);げっ歯類由来(例えば、ラット、マウス、モルモット);ウサギ目由来(例えば、ウサギ)、および家畜由来(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ)のオルトログである。
【0091】
参照核酸のハイブリダイズする部分は、代表的に、少なくとも15ヌクレオチド長であり、しばしば少なくとも17、20、25、30、35、40、または50ヌクレオチド(nt)長である。参照核酸のより大きな部分(例えば、少なくとも50nt、100nt、150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、450nt、500nt以上であり、参照核酸の全長以下の部分)にハイブリダイズするクロスハイブリダイゼーションする核酸もまた、有用である。
【0092】
クロスハイブリダイゼーションする核酸のハイブリダイズする部分は、参照核酸の少なくとも一部分と配列において少なくとも75%同一である。代表的に、クロスハイブリダイゼーションする核酸のハイブリダイズする部分は、参照核酸の少なくとも一部分と配列において、少なくとも80%、しばしば少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、または少なくとも90%さえも同一である。しばしば、クロスハイブリダイゼーションする核酸のハイブリダイズする部分は、参照核酸配列の少なくとも一部分と配列において、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。時々、クロスハイブリダイゼーションする核酸のハイブリダイズする部分は、参照核酸の少なくとも一部分と配列において、少なくとも99.5%同一である。
【0093】
本発明はまた、本発明の種々の単離されたポリヌクレオチドまたは核酸のフラグメントを提供する。参照核酸の「フラグメント」により、本明細書ではこの参照核酸配列の一部分に対するヌクレオチド配列同一性を有する単離されたポリヌクレオチドまたは核酸(どのくらい獲得されていても)が意図される。この一部分は、少なくとも17ヌクレオチドであり、そして参照核酸全体より短い。
【0094】
理論上、17ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは、30億塩基のヒトゲノムに1つ未満の頻度で無作為に生じるのに十分な長さのオリゴヌクレオチドであり、従って、哺乳動物ゲノムの複雑度を有する核酸混合物中の参照配列を特異的に同定し得る核酸プローブを提供するのに十分な長さのオリゴヌクレオチドである。さらなる特異性は、部分ゲノムの複雑度の核酸サンプルをプローブすることにより、および/または17ヌクレオチドと同じくらい短い長さの複数のフラグメントを集合的に用いて、核酸の増幅をプライムすることにより(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により)獲得され得る。
【0095】
本発明の核酸プローブは、ホモログまたは同一なタンパク質をコードするRNA転写物またはゲノム配列を検出するために使用され得る。このプローブは、それらに結合された標識基(例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子)を含み得る。このようなプローブは、(i)GP354タンパク質を誤発現する(例えば、異常なスプライシング、異常なmRNAレベル)か、または(ii)gp354遺伝子中に変異(例えば、欠失、挿入、または点変異)を有する、細胞または組織を同定するための診断キットの一部として使用され得る。このような診断キットは、好ましくは、標識試薬およびそれらの使用のための説明書を含む。
【0096】
本発明の単離されたポリヌクレオチドはまた、PCR、プライマー伸長などにおいてプライマーとして用いられ得る。プライマーとして有用であるために、このポリヌクレオチドは、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長(例えば、少なくとも7、8、9、または10ヌクレオチド長)であり得る。このプライマーは、例えば、gp354 mRNAまたはcDNAの増幅のために、gp354遺伝子のエキソン配列にハイブリダイズし得る。あるいは、このプライマーは、gp354遺伝子のゲノム構造の非転写部分(例えば、調節部分)を利用するために、gp354遺伝子のイントロン配列または上流もしくは下流調節配列にハイブリダイズし得る。
【0097】
本発明の核酸プライマーはまた、例えば、SNP検出のための一塩基伸長(SBE)をプライムするために使用され得る(例えば、本明細書中で、開示がその全体において参考として援用される、米国特許第6,004,744号を参照のこと)。等温増幅アプローチ(例えば、ローリングサークル増幅)もまた、現在十分に記載されている。例えば、Schweitzerら、Curr.Opin.Biotechnol.12(1):21−7(2001);米国特許第5,854,033号および同第5,714,320号、ならびに国際特許公開WO 97/19193およびWO 00/15779を参照のこと(これらの開示は、本明細書中でその全体において参考として援用される)。ローリングサークル増幅は、SNP検出を容易にする他の技術と組み合わせられ得る。例えば、Lizardiら、Nature Genet.19(3):225−32(1998)を参照のこと。
【0098】
以下に記載されるように、少なくとも6連続アミノ酸をコードする核酸フラグメント(すなわち、18ヌクレオチド以上のフラグメント)は、参照核酸によりコードされるタンパク質のエピトープをマッピングする際に有用性を有するペプチドの発現または合成を指示する上で有用である。例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1984);ならびに米国特許第4,708,871号および同第5,595,915号を参照のこと。
【0099】
そして、以下に記載されるように、少なくとも8連続アミノ酸をコードする核酸フラグメント(すなわち、24ヌクレオチド以上のフラグメント)は、免疫原として有用性を有するペプチドの発現または合成を指示する上で有用である。例えば、Lerner、「Tapping the immunological repertoire to produce antibodies of predetermined specificity」、Nature 299:592−596(1982);Shinnickら、Annu.Rev.Microbiol.37:425−46(1983);Sutcliffeら、Science 219:660−6(1983)を参照のこと。
【0100】
従って、本発明の核酸フラグメントは、少なくとも17ヌクレオチド長、代表的には少なくとも18ヌクレオチド長、そしてしばしば少なくとも24、25、30、35、40、または45ヌクレオチド(nt)長である。当然、少なくとも50nt、100nt、150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、450nt、500ntまたはそれ以上を有するより大きなフラグメントもまた有用であり、そして当業者に認識されるように、時には好ましい。
【0101】
発現されるメッセージの調査に基づくというよりもゲノム配列の採掘(mining)に基づき、本発明はさらに、gp354遺伝子の部分を含む単離されたゲノム由来のポリヌクレオチドまたは核酸を提供する。本発明は特に、ゲノム由来の単一エキソンプローブを提供する。このプローブは、エキソン(「参照エキソン」)の少なくとも一部分を含み、そして高ストリンジェンシー条件下で、参照エキソンを含む転写物由来の核酸に検出可能にハイブリダイズし得る。しかし、この単一エキソンプローブは、高ストリンジェンシー条件下で、参照エキソンを欠くがゲノムにおいて参照エキソンに隣接して見いだされる1つ以上のエキソンを含む核酸に検出可能にハイブリダイズしない。
【0102】
本発明はまた、gp354遺伝子の転写を制御する核酸配列エレメントを含む単離されたゲノム由来のポリヌクレオチドまたは核酸を提供する。転写制御配列として、例えば、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、ターミネーター、サイレンサーなどが挙げられる。
【0103】
転写または翻訳のアンチセンス阻害における使用が所望される場合、あるいは酵素的核酸分子(例えば、リボザイム)のアンチセンス媒介標的化が所望される場合、本発明の単離されたポリヌクレオチドおよび核酸は、有用に、1つ以上の改変塩基(以下を参照のこと)および/または1つ以上の改変もしくは変更されたヌクレオシド間結合を含み得、これらは、しばしば、ヌクレアーゼ耐性を提供する。Hartmannら(編), Manual of Antisense Methodology(Perspectives in Antisense Science), Kluwer Law International (1999)(ISBN:079238539X);Steinら(編),Applied Antisense Oligonucleotide Technology,Wiley−Liss(cover(1998)(ISBN:0471172790);Chadwickら(編),Oligonucleotides as Therapeutic Agents−Symposium No.209,John Wiley & Son Ltd(1997)(ISBN:0471972797)を参照のこと。このような改変された塩基およびヌクレオシド間結合は、Gamperら,Nucl.Acids Res.28(21):4332−9(2000)(この開示は、本明細書中でその全体において参考として援用される)に記載されるように、本発明の単離された核酸が標的遺伝子修正のために使用される場合にもまた、しばしば所望される。
【0104】
本発明のアンチセンス核酸分子(およびアンチセンスによって標的化された酵素的核酸)は、治療設定において使用され得る。これらの分子は、作動可能に連結された転写調節配列を含む発現ベクターから発現され得、その活性が、このベクターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節に議論については、Weintraubら,Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,REVIEWS−−TRENDS IN GENETICS,1巻(1)(1986)を参照のこと。
【0105】
本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムであり得る。リボザイムは、相補性領域を有する一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイムは、gp354 mRNA転写物を触媒的に切断するために使用され、それによりgp354 mRNAの翻訳を阻害し得る。gp354コード核酸に対する特異性を有するリボザイムが、本明細書中に開示されるgp354ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1または3)に基づいて、設計され得る。
【0106】
gp354のオリゴヌクレオチド模倣物(例えば、ペプチド核酸(PNA))が、治療適用および診断適用において使用され得る。例えば、Hyrupら(1996)Bioorg.Med.Chem.Lett.4:5−23を参照のこと。PNA化合物において、核酸のホスホジエステル骨格は、アミド含有骨格で(特に、アミド結合によって連結された反復N−(2−アミノエチル)グリシンユニットによって)置換される。例えば、PNAは、例えば、転写または翻訳の停止を誘導することによるか、または複製を阻害することによる、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンス薬剤または抗遺伝子薬剤として使用され得る。gp354のPNAはまた、例えば、PNA指向性PCRクランピング(PNA directed PCR clamping)による遺伝子中の一塩基対変異の分析において;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて用いられる場合の人工制限酵素として;またはDNA配列決定およびハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、用いられ得る(Hyrupら、前出;およびPerry−O’Keefe,前出)。gp354のPNAは、親油性基または他のヘルパー基をPNAに結合することによって、PNA−DNAキメラの形成によってか、またはリポソームの使用もしくは当該分野で公知の薬物送達の他の技術(下記を参照のこと)によって、例えば、それらの安定性もしくは細胞取り込みを増強するために改変され得る。
【0107】
本発明のオリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため)、または細胞膜もしくは血液脳関門を横切る輸送を容易にする薬剤のような他の付加基(appended group)を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘因性切断剤(hybridization triggered cleavage agent)またはインターカレート剤で改変され得る。この目的のために、このオリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘因性架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘因性切断剤など(下記を参照のこと))に結合体化され得る。
【0108】
天然に見出される核酸組成物との差異(例えば、非ネイティブ塩基、改変されたヌクレオシド間結合、合成後修飾)は、gp354ポリヌクレオチドの長さ全体を通して存在し得るか、または有用に、それらの異なる部分に配置され得る。後者の例として、別々のDNAドメインおよびRNAドメインを有するキメラ核酸が合成され得、米国特許第5,760,012号および同第5,731,181号にさらに記載されるように(これらの開示は、本明細書中でその全体において参考として援用される)、標的化された遺伝子の修復のための利用性を実証され得る。DNAおよびPNAの両方を含むキメラ核酸は、改変PCR反応において有用性を有することが実証されている。Misraら、Biochem.37:1917−1925(1998)を参照のこと;Finnら、Nucl.Acids Res.24:3357−3363(1996)(本明細書中に参考として援用される)もまた参照のこと。
【0109】
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸はまた、有用に、基材に結合され得る。この基材は、多孔性または固体性、平板性または非平板性、一体的または分割された基板であり得;結合は、共有結合または非共有結合であり得る。基材に結合させた場合、本発明の核酸は、それらが標識されていない状態でプローブとして用いられ得る。例えば、本発明の核酸は、有用に、多孔性基材(通常は、膜(代表的には、ニトロセルロース、ナイロン、または正に荷電した誘導体化ナイロンを含む))に結合され得;このように結合された本発明の核酸は、標識された核酸サンプル内(ゲノム核酸のサンプルまたは転写物に由来する核酸のサンプルのいずれか)に存在するgp354核酸を、例えば、逆ドットブロットにより検出するために用いられ得る。
【0110】
本発明の核酸はまた、有用に、固体基材(例えば、ガラス)に結合され得るが、他の固体材料(例えば、非晶質ケイ素、結晶性ケイ素、またはプラスチック)もまた用いられ得る。本発明の核酸は、支持基材の表面に共有結合され得るか、または推定される非共有結合的相互作用によって変性および接着を促進するカオトロピック剤において誘導体化した表面に適用され得るか、またはそれらのいくつかの組み合わせに適用され得る。
【0111】
本発明の核酸は、基材に結合され得、この基材に対して、複数の他の核酸が同時に結合され、この複数の結合した核酸の各々に対するハイブリダイゼーションは、別個に検出可能である。低密度では(例えば、多孔性膜上で)、これらの基材に結合した収集物は、代表的には、マクロアレイとよばれる;高密度では(代表的には、ガラスのような固体支持体上)、これらの基材に結合した複数の核酸の収集物は、通称、マイクロアレイと呼ばれる。本明細書中で用いられる場合、用語マイクロアレイは、全ての密度のアレイを含む。従って、本発明は、本発明の核酸を含むマイクロアレイを提供する。
【0112】
本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、ゲノム核酸サンプルおよび転写物由来の核酸サンプルの両方においてgp354核酸を検出し、特徴付け、そして定量し、そしてこれらのサンプルからgp354核酸を単離し得る。溶液中で遊離している場合、このようなプローブは、代表的には(しかし、常にではない)、検出可能に標識されるか、マイクロアレイにおけるのと同様に基材に結合され、このようなプローブは、代表的には(しかし、常にではない)、標識されない。
【0113】
例えば、本発明の単離された核酸をプローブとして用いて、染色体スプレッド(chromosome spread)に対する蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を通じて、gp354ゲノム遺伝子座における全改変(例えば、gp354ゲノム遺伝子座の欠失、挿入、転座、および重複)を検出および特徴付けし得る。例えば、Andreeffら(編),Introduction to Fluorescence In Situ Hybridization:Principles and Clinical Applications,John Wiley&Sons(1999)(ISBN:0471013455)を参照のこと(この開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)。本発明の単離された核酸は、例えば、制限フラグメント長多型のサザンブロット検出を用いて、より小さなゲノム改変を評価するためにプローブとして用いられ得る。本発明の単離された核酸は、本発明の核酸を含むゲノムクローンを単離するためにプローブとして用いられ得る。このゲノムクローンは、その後、制限マッピングされ得、そして配列レベルで欠失、挿入、転座、および置換(一ヌクレオチド多型、すなわちSNP)を同定するために配列決定され得る。
【0114】
本発明の単離された核酸はまた、転写物由来の核酸サンプル中のgp354核酸を検出し、特徴付け、そして定量し、そしてこのサンプルからgp354核酸を単離するためにプローブとして用いられ得る。例えば、本発明の単離された核酸は、総RNAサンプルもしくはポリA+で選択されたRNAサンプルのノーザンブロットによりgp354 mRNAを検出し、長さにより特徴付けし、そして定量するために、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る。本発明の単離された核酸はまた、組織切片に対するインサイチュハイブリダイゼーションによりgp354メッセージを検出し、位置により特徴付け、そして定量するために、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る(例えば、Schwarchzacherら,In Situ Hybridization,Springer−Verlag New York(2000)(ISBN: 0387915966)(この開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0115】
さらに、本発明の単離された核酸は、cDNAライブラリーにおいてgp354クローンの提示を測定するために、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る。例えば、本発明の単離された核酸は、cDNAライブラリーからgp354核酸を単離するために、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る。このことにより、gp354 RNAメッセージの配列レベルでの特徴付け(欠失、挿入、短縮化の同定(選択的スプライシング形態におけるエクソンの欠失、挿入、および短縮化を含む)および一ヌクレオチド多型を含む)が可能になる。
本明細書中以下の実施例において記載されるように、本発明の核酸を使用して、gp354遺伝子の発現を測定するためにも、転写物由来のサンプル中のgp354核酸を検出および定量し得る。gp354発現の測定は、異常なgp354発現と関連した状態、障害および疾患(gp354が正常に発現される膵臓組織および神経組織においてgp354が正常に発現される様式で、ならびに本明細書中以下の実施例においてさらに記載されるように、誤って発現され得る組織において)についての診断アッセイにおいて特定の有用性を有する。
【0116】
従って、当業者に容易に明らかであるように、gp354核酸プローブ各々は、標識されていようと、基材に結合されていようと、その両方であろうと、膵臓組織および神経組織(これらの組織では、発現が既に確認されている)におけるgp354発現のレベルを測定するためのツールとして使用するために現在利用可能である。
【0117】
gp354を発現することがなおも実証されていない組織に関して、本発明のgp354核酸プローブは、gp354核酸の存在を検出するために、例えば、膵臓もしくは神経系における異常なgp354細胞発現または他の組織における異常な組織分布に関係する状態、障害または疾患を有して存在する患者の組織でのgp354RNA発現を検出するために、このような組織を調査するためのツールとして現在利用可能である。
【0118】
上記のように、本発明の核酸プローブは、マイクロアレイを構築することにおいて有用であり;続いてこのマイクロアレイは、例えば、薬物発見および標的確認のプログラムにおいて遺伝子発現を測定し、そして調査するために有用な製品である。マイクロアレイ上に含まれる場合、gp354核酸プローブ各々により、gp354遺伝子の一部分がこのプローブ内に含まれることを検出し、従って、シグナルを検出する能力をマイクロアレイデバイスに与えるために、このマイクロアレイが特に有用となる。ここで、このようなプローブがない場合、このマイクロアレイデバイスは、シグナルがないことを報告する。
【0119】
gp354発現のレベルの変化は、有用性を有するための発現の測定に観察される必要はない。遺伝子発現分析が、細胞に対する化学的薬剤の毒性を評価するために用いられる場合、例えば、薬剤が遺伝子発現レベルを変化させることができないことは、この薬物が、その遺伝子の発現されたタンパク質が一部である経路に影響を与えないようであるという証拠である。同様に、遺伝子発現分析が、薬理学的薬剤の副作用を評価するために用いられる場合−主役(lead)化合物の発見におけるか、または主役化合物の誘導体の引き続くスクリーニングにおけるかのいずれかにもかかわらず−薬剤が、遺伝子の発現レベルを改変できないことは、この薬物が遺伝子の発現されたタンパク質が一部分である経路に影響を与えないという証拠である。その全体が本明細書に参考として援用されるWO99/58720は、その発現が計算で用いられる遺伝子の同一性または機能を問わずに、第1および第2の遺伝子発現プロフィールの関連性を定量する方法、および複数の遺伝子発現プロフィールの関連性を順序付ける方法を提供する。
【0120】
本発明のゲノム由来単一エキソンプローブおよびゲノム由来単一エキソンプローブマイクロアレイは、本発明の核酸のスプライシング改変体のハイスループット検出を可能にするさらなる有用性を有している。
【0121】
プロモーターをともなうポリヌクレオチド挿入物に隣接するベクターのような核酸構築物中に挿入された本発明のポリヌクレオチドは、本発明の核酸のいずれかの鎖に相補的なRNAのインビトロ発現を駆動するために用いられ得る。このRNAは、cDNA−mRNAサブトラクションにおいてか、またはインビトロ翻訳のために一本鎖プローブとして用いられ得る。GP354タンパク質またはその一部をコードするようなポリヌクレオチドは、さらに、単独であるか、または融合タンパク質の一部分のいずれかとして、GP354タンパク質またはタンパク質フラグメントを発現するために用いられ得る。発現は、ゲノムから、または本発明の転写物由来のポリヌクレオチドからであり得る。
【0122】
タンパク質発現がゲノムDNAから行われる場合、代表的には、発現は、最初のRNA転写物からイントロンをスプライシングし得る、真核生物細胞、代表的には哺乳動物細胞で行われる。発現は、エピソーム性ベクターから駆動され得るか、または宿主細胞染色体中に組み込まれたゲノムDNAから駆動され得る。以下に記載されるように、発現が、本発明の転写物由来(またはそうでなければイントロンのない)ポリヌクレオチドからである場合、発現は、広範な種類の原核生物細胞または真核生物細胞中で行われ得る。
【0123】
インビトロで発現されて、タンパク質、タンパク質フラグメント、またはタンパク質融合体は、その後単離されて、本発明のタンパク質またはタンパク質イソ形態に特異的なイムノアッセイにおける標準として用いられ得;治療薬剤として用いられ得、例えば、本発明のタンパク質が欠損している個体における受動置換療法として投与され得;ワクチンとして投与され得;特異的抗体のインビトロ産生のために用いられ得、その後、この抗体は、例えば、本発明のタンパク質の検出および定量のための分析薬剤として、または免疫療法薬剤として用いられ得る。
【0124】
本発明の単離されたポリヌクレオチドおよび核酸はまた、本発明のタンパク質のインビボ発現を駆動するために用いられ得る。インビボ発現は、遺伝子療法を目的にするベクター−代表的にはウイルスベクター、しばしば、複製不能レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)を基礎にしたベクター−から駆動され得る。インビボ発現は、この核酸に対して内因性または(例えばベクターからの)外因性の発現制御シグナルから駆動され得る。本発明の他のウイルスベクターとしては、例えば、バキュロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ワクシニアウイルス、およびレトロウイルス由来のベクターが挙げられる。
【0125】
本発明の単離されたgp354ポリヌクレオチドの種々の形態(例えば、ゲノムまたはcDNA)を、雄もしくは雌の前核中にマイクロインジェクションし得るか、または胚性幹(ES)細胞中に組み込んで、本発明のタンパク質を産生し得るトランスジェニック非ヒト動物を作製し得る。
【0126】
本発明のゲノム核酸はまた、被験体中のgp354遺伝子座への相同的組み換えを標的化するために用いられ得る。例えば、米国特許第6,187,305号;6,204,061号;5,631,153号;5,627,059号;5,487,992号;5,464,764号;5,614,396号;5,527,695号および6,063,630号;ならびにKmiecら(編)、Gene Targeting Protocols.133巻、Humana Press(2000)(ISBN:0896033600);Joyner(編)、Gene Targeting:A Practical Approach、Oxford University Press,Inc.(2000)(ISBN:0199637938);Sedivyら、Gene Targeting、Oxford University Press(1998)(ISBN:071677013X);Tymmsら(編)、Gene Knockout Protocols.Humana Press(2000)(ISBN:0896035727);Makら(編)、The Gene Knockout FactsBook、第2巻、Academic Press,Inc.(1998)(ISBN:0124660444);Torresら、Laboratory Protocols for Conditional Gene Targeting、Oxford University Press(1977)(ISBN:019963677X);Vega(編)、Gene Targeting、CRC Press、LLC(1994)(ISBN:084938950X)を参照のこと。これらの開示はその全体が参考として本明細書に援用される。
【0127】
ゲノム領域が、転写調節エレメントを含む場合、相同組換えを用いて、ヒト細胞からのGP354タンパク質のインビトロ産生の目的、および遺伝子療法の目的のための両方に、GP354の発現を改変し得る。例えば、それらの開示の全体が参考として本明細書に援用される、米国特許第5,981,214号、6,048,524号;5,272,071号を参照のこと。相同組換えに代表的に用いられるようなものより小さな本発明のポリヌクレオチドのフラグメントもまた、おそらく、相同組換えの間に関与する機構とは異なる細胞の機構によって、標的化された遺伝子矯正または改変のために用いられ得る。例えば、米国特許第5,945,339号、5,888,983号、5,871,984号、5,795,972号、5,780,296号、5,760,012号、5,756,325号、5,731,181号;およびCulverら、「Correction of chromosomal point mutations in human cells with bifunctional oligonucleotides」Nature Biotechnol.17(10):989−93(1999);Gamperら、Nucl.Acids Res.28(21):4332−9(2000)を参照のこと。これらの開示は、本明細書に参考として援用される。
【0128】
本発明のポリヌクレオチドは、標準的な技法により、ゲノムライブラリー、cDNAライブラリー、およびmRNAサンプルのような核酸サンプルをプローブするために、本発明の標識プローブを用いることによって得られ得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、本明細書中以下の実施例1にさらに示されるように、本発明の核酸プライマーを用いる増幅によっても得られ得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、特に、約100ヌクレオチドより少ない場合、代表的には、市販の自動化合成機を用いる固相合成により、化学的に合成され得る。
【0129】
(ベクターおよび宿主細胞)
(A.核酸構築物)
本発明は、1つ以上の単離された本発明のポリヌクレオチドを含む、ベクターのような核酸構築物、およびこのようなベクターが導入された宿主細胞を提供する。
【0130】
このようなベクターは、宿主細胞において本発明のポリヌクレオチドを増やすため(クローニングベクター)、異なる生物由来の宿主細胞間で本発明のポリヌクレオチドをシャトルするため(シャトルベクター)、宿主細胞染色体中に本発明のポリヌクレオチドを挿入するため(挿入ベクター)、インビトロまたは宿主細胞内で本発明のポリヌクレオチドのセンスRNA転写物またはアンチセンスRNA転写物を発現するため、および単独または異種ポリペプチドへの融合として、本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリヌクレオチドを発現するため(発現ベクター)に用いられ得る。本発明のベクターは、しばしば、このような使用のいくつかに好適である。
【0131】
ベクター類は、今や、当該分野で周知であり、そして、特に、Jonesら(編)、Vectors:Cloning Applications:Essential Techniques(Essential Techniques Series)、John Wiley&Son Ltd 1998(ISBN:047196266X);Jonesら(編)、Vectors:Expression Systems:Essential Techniques(Essential Techniques Series)、John Wiley&Son Ltd 1998(ISBN:0471962678);Gacesaら、Vectors:Essential Data、John Wiley&Sons,1995(ISBN:0471948411);Cid−Arregui(編)、Viral Vectors:Basic Science and Gene Therapy、Eaton Publishing Co.、2000(ISBN:188129935X);Sambrookら、Molecular Coning:A Laboratory Mannual(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001(ISBN:0879695773);Ausubelら(編)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology(第4版)、John Wiley&Sons、1999(ISBN:047132938X)に記載されている。これらの開示はそれらの全体が本明細書中に参考として援用される。広範な種類のベクターが市販されている。現存するベクターの使用および改変は当該分野の技術内に十分ある。
【0132】
代表的には、ベクターは、ウイルス、プラスミド、原核生物または真核生物の染色体エレメント、またはそれらのいくつかの組み合わせ由来であり、そして、いくつかの組み込みベクターは、染色体が改変される宿主中で機能的である起点を欠き、そしていくつかのベクターは、選択マーカーを欠いているが、少なくとも1つの複製起点、少なくとも1つの異種核酸の挿入のための部位(代表的には、複数の緊密にクラスターとなった単一の切断制限部位を備えたポリリンカーの形態である)、および少なくとも1つの選択マーカーを含む。本発明のベクターは、さらに、少なくとも1つの位置でベクター中に挿入された少なくとも1つの単離された本発明のポリヌクレオチド核酸を含む。存在する場合、複製起点および選択マーカーは、所望の宿主細胞(単数または複数)を基にして選択され;次に、宿主細胞は、所望の適用を基にして選択される。
【0133】
例えば、原核生物細胞、代表的にはE.coliは、代表的にはクローニング、すなわち、宿主細胞中のポリヌクレオチド配列の増幅のために選択される。このような場合、ベクター複製は、(λファージ、M13、T7、T3およびP1のような)大腸菌に感染するファージの複製戦略、または自律複製エピソーム、著名には、pBR322プラスミドおよびpUCシリーズプラスミドを含む、ColE1プラスミドおよびその後の誘導体の複製起点を基にすることを意味する。E.coliが宿主として用いられる場合、選択マーカーは、同様に、グラム陰性細菌中の選択性のために選択される:例えば、代表的なマーカーは、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゼオシンのような抗生物質に対する耐性を付与する;栄養要求性マーカーもまた用いられ得る。
【0134】
別の例として、代表的にはS.cerevisiaeである酵母細胞が、真核生物遺伝子研究のため、(例えば、ツーハイブリッドシステムの使用を介する)相互作用タンパク質成分の同定のため、およびタンパク質発現のために特に選択される。酵母における使用のための本発明のベクターは、代表的には、いつもではないが、酵母における使用のために適切な複製起点、および酵母において機能的である選択マーカーを含む。
【0135】
適切な酵母ベクターの例は、組み込みYIpベクター、セントロメア配列CENを含む複製エピソームのYEpベクター、および自律複製配列ARSを含む。YACは、インビボでテロメア(TEL)として機能する同種または異種のDNA配列を含み、かつ酵母ARS(複製起点)セグメントおよびCEN(セントロメア)セグメントを含む、YLpと称される酵母線状プラスミドに基づく。
【0136】
酵母ベクターにおける選択マーカーとしては、特異的な自己栄養性変異(例えば、ura3−52、his3−D1、leu2−D1、trpl−Dlおよびlys2−201)を補完する種々の自己栄養性マーカー(これらの(Saccharomyces cerevisiaeにおける)最も一般的なものは、URA3、HIS3、LEU2、TRP1およびLYS2である)が挙げられる。このURA3酵母遺伝子およびLYS2酵母遺伝子は、原栄養体系統の増殖を阻害するが、それぞれ、ura3変異体およびlys2変異体の増殖を許容する特異的なインヒビターである、5−フルオロ−オロチン酸(FOA)およびα−アミノアジピン酸(αAA)に、それぞれ基づくネガティブ選択をさらに可能にする。他の選択マーカーは、例えば、ゼオシン(zeocin)に対する耐性を与える。
【0137】
昆虫細胞は、高い効率のタンパク質発現について、しばしば選択される。宿主細胞が、Spodoptera frugiperda(例えば、Sf9細胞株およびSf21細胞株、ならびにexpresSFTM細胞(Protein Sciences Corp.,Meriden,CT,USA))に由来する場合、ベクター複製ストラテジーは、代表的には、バキュロウイルス生活環に基づく。代表的には、バキュロウイルス移入ベクターを使用して、野生型AcMNPVポリへドリン遺伝子を目的の異種遺伝子で置き換える。野生型ゲノムにおいてこのポリへドリン遺伝子に隣接する配列は、この移入ベクター上の発現カセットの5’および3’に位置される。AcMNPV DNAを用いる同時トランスフェクション後、相同組換え現象がこれらの配列の間で起こり、この目的の遺伝子、およびこのポリへドリンプロモーターまたはp10プロモーターを保有する組換えウイルスを生じる。選択は、lacZ融合活性についてのビジュアルスクリーニングに基づき得る。
【0138】
哺乳動物細胞は、薬学的因子として意図されるタンパク質の発現についてしばしば選択され、また、タンパク質もしくは生理学的経路の潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニングのための宿主細胞としても選択される。哺乳動物細胞における自律的染色体外複製について意図されるベクターとしては、代表的には、ウイルス起源(例えば、(ラージT抗原を発現する細胞株(例えば、COS1細胞およびCOS7細胞)における複製のための)SV40起源、乳頭腫ウイルス起源、または長期間のエピソーム複製のためのEBV起源(例えば、EBV EBNA−1遺伝子産物およびアデノウイルスE1Aを構成的に発現する293−EBNA細胞における使用のための))が挙げられる。哺乳動物染色体の一部として組み込み、従って複製を意図されるベクターは、哺乳動物細胞内で機能的な(例えば、SV40起源の)複製起点を含み得るが、必ずしもこれらを含むに及ばない。ウイルス(例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、および様々な哺乳動物レトロウイルス)に基づくベクターは、代表的には、ウイルス複製ストラテジーに従って複製する。
【0139】
哺乳動物細胞での用途のための選択マーカーは、ネオマイシン(G418)、ブラスチシジン、ハイグロマイシンおよびゼオシンに対する耐性、ならびにHAT培地を使用するプリンサルベージ経路に基づく選択を含む。
【0140】
植物細胞はまた、代表的には、植物ウイルス(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV);タバコモザイクウイルス(TMV))由来のベクターレプリコン、および植物における適切性について選択される選択マーカーを用いる、発現のために使用され得る。
【0141】
プラスミドまたはウイルス由来のベクターにおいて容易に適応され得るポリヌクレオチドより大きな、本発明のポリヌクレオチドの増殖のために、本発明は、gp354核酸、しばしばゲノム核酸を含む、人工染色体(BAC、YAC、およびHAC)をさらに提供する。
【0142】
プラスミドまたはウイルス由来のベクターにおいて容易に適応され得るポリヌクレオチドより大きな、本発明のポリヌクレオチドの増殖のために、本発明は、gp354核酸(しばしば、ゲノム核酸)を含む、人工染色体(BAC、YAC、およびHAC)をさらに提供する。例えば、Shizuyaら,Keio J.Med.50(1):26−30(2001);Shizuyaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89(18):8794−7(1992);Kuroiwaら,Nature Biotechnol.18(10):1086−90(2000);Henningら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(2):592−7(1999);Harringtonら,Nature Genet.15(4):345−55(1997)(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0143】
本発明のベクターはまた、しばしば、挿入された異種核酸からのRNAのインビトロ転写を可能にするエレメントを含む。このようなベクターは、代表的に、ファージプロモーター(例えば、核酸挿入物に隣接するT7、T3またはSP6由来のもの)を含む。しばしば、このようなプロモーターの異なる2つは、挿入された核酸に隣接し、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の別個のインビトロ産生を分離し得る。
【0144】
挿入された異種核酸からポリペプチドの発現を駆動する本発明の発現ベクターは、しばしば、タンパク質コード異種核酸挿入物に作動可能に連結される他の種々の遺伝的エレメント(代表的には、転写を駆動し、そして調節する遺伝的エレメント(例えば、プロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメント)、RNAプロセシングを容易にする遺伝的エレメント(例えば、転写終止、スプライシングシグナルおよび/またはポリアデニル化シグナル)、ならびに翻訳を容易にする遺伝的エレメント(例えば、リボソームコンセンサス配列)を含む。他の転写制御配列としては、例えば、オペレーター、サイレンサーなどが挙げられる。このような発現制御エレメント(誘導性発現、および発生発現または組織調節発現を与える発現制御エレメントを含む)の使用は、当該分野で周知である。
【0145】
膵臓、神経系または乳腺においてGP354を発現することが可能な組織特異的調節エレメントは、特に有用であり得、そして当該分野で公知である(例えば、神経特異的神経フィラメントプロモーター(ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開番号264,166))。発生的に調節されるプロモーターもまた選択され得、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537−546)。膨大な種々の誘導性プロモーターが、公知であり、そして具体的な適用に基づいて選択され得る。
【0146】
発現ベクターは、精製および/または視覚化を容易にする小タンパク質タグに、発現されたポリペプチドを融合するように設計され得る。多くのこのようなタグが公知であり、そして利用可能である。発現ベクターはまた、精製タグおよび/または同定タグより大きなポリペプチドに、異種核酸挿入物によってコードされるタンパク質を融合するように設計され得る。有用なタンパク質融合物としては、コードされるタンパク質の提示をファージまたは細胞の表面上に可能にするタンパク質融合物、内因性蛍光タンパク質(例えば、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)様発色団を有するタンパク質)への融合物、IgG Fc領域または他の免疫グロブリン型の定常ドメインへの融合物、およびツーハイブリット選択系における使用のための融合物が挙げられる。
【0147】
発現されるタンパク質の分泌のために、広範な種々のベクターが利用可能であり、これらは、リーダーペプチドのような分泌シグナルをコードする適切な配列を含む。ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、および哺乳動物ディスプレイのために設計されるベクターは、例えば、N末端細胞表面標的化シグナルおよびC末端膜貫通アンカー化ドメインを使用して、組換えタンパク質を標的化する。
【0148】
異種核酸にコードされるタンパク質を、基質非依存性の、元来蛍光発光性のAequorea victoria由来の緑蛍光タンパク質(「GFP」)ならびにその多くのカラーシフト改変体および/または安定化改変体の発色団に融合する、広範な種々のベクターが現在存在する。
【0149】
FcRnレセプター(これはまた、FcRpレセプターおよびBrambellレセプター、FcRbと呼称される)との相互作用を通してタンパク質薬学的製品の血清半減期を増大するために、IgG Fc領域に対する異種配列の融合を可能にするベクターはまた、広範に利用可能である。
【0150】
本発明のタンパク質、タンパク質融合物およびタンパク質フラグメントの長期間の高収量組換え産生のために、安定発現が好ましい。安定発現は、(好ましくは、選択可能マーカーを有する)ベクターの、宿主細胞ゲノムへの組み込み、その後の組み込み体の選択によって、容易に達成される。
【0151】
(B.宿主細胞)
本発明は、細胞内でエピソーム的に存在するか、または宿主細胞染色体に全体的もしくは部分的に取り込まれるかのいずれかにある、本発明のベクターのような核酸構築物を含む、宿主細胞(原核生物(細菌)細胞または真核生物細胞(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞および動物細胞)のいずれか)をさらに含む。
【0152】
他の考慮(その考慮のいくつかは、上記である)の中で、宿主細胞株は、発現タンパク質を所望の様式でプロセスする能力について選択され得る。ポリペプチドのこのような翻訳後修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアセチル化が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこれは、このような翻訳後修飾を有するGP354タンパク質を提供するための本発明の局面である。
【0153】
適切な宿主細胞の代表的な、非限定的な例としては、細菌細胞(例えば、E.coli、Caulobacter crescentus、Streptomyces species、およびSalmonella typhimurium);酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia methanolica);昆虫細胞株(例えば、Spodoptera fiugiperda由来の細胞(例えば、Sf9細胞株およびSf21細胞株、ならびにexpresSFTM細胞(Protein Sciences Corp.、Meriden、CT、USA))、Drosophila S2細胞、およびTrichoplusia ni High Five(登録商標)細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA);ならびに哺乳動物細胞が挙げられる。代表的な哺乳動物細胞としては、COS1細胞およびCOS7細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH 3T3細胞、293細胞、HEPG2細胞、HeLa細胞、L細胞、HeLa、MDCK、HEK293、WI38、マウスES細胞株(例えば、129/SV株、C57/BL6株、DBA−1株、129/SVJ株由来)、K562、Jurkat細胞、ならびにBW5147が挙げられる。他の有用な哺乳動物細胞株が、周知であり、そしてAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA,USA)およびNational Institute of General medical Sciences(NIGMS)Human Genetic Cell Repository at the Coriell Cell Repositories(Camden,NJ,USA)から容易に入手可能である。
【0154】
本発明のベクターおよび核酸を、宿主細胞に導入する方法は、当該分野で周知であり;技術の選択は、導入される特異的なベクターおよび選択される宿主細胞に主に依存する。
【0155】
(GP354タンパク質、GP354ポリペプチドおよびGP354フラグメント)
本発明は、抗原としての使用(例えば、エピトープマッピング)、免疫原としての使用(例えば、抗体を惹起するため、またはワクチンとして)、および治療組成物における使用のために適切なGP354タンパク質およびこれらの種々のフラグメントを提供する。異種ポリペプチドに対するGP354ポリペプチドおよびフラグメントの融合物、ならびに本発明のこのタンパク質、フラグメントおよび融合物の他の部分に対する(例えば、キャリアタンパク質に対する、発色団対する)結合体がまた、提供される。
【0156】
いくつかの実施形態において、本発明は、全長gp354 cDNA(配列番号1、配列番号7または配列番号11)、または変性改変体にコードされるアミノ酸配列を含む、単離されたGP354ポリペプチドを提供する。本発明はまた、必要に応じて1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する、全長gp354 cDNA(配列番号1、配列番号7または配列番号11)にコードされるアミノ酸を有する、単離されたGP354ポリペプチドを提供する。
【0157】
本発明また、gp354 cDNA(配列番号1、配列番号7または配列番号11)のヌクレオチド配列の一部分または全部を有するプローブに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、単離されたGP354ポリペプチドを提供する。好ましくは、ストリンジェントにまたは中程度にストリンジェントにクロスハイブリダイズする本発明のポリヌクレオチドによってコードされる単離されたGP354ポリペプチドは、少なくとも1つのGP354の生物学的活性を有する。
【0158】
別の一連の実施形態において、本発明は、必要に応じて1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する、配列番号2、配列番号8または配列番号12のGP354アミノ酸配列を含む、単離されたGP354ポリペプチドを提供する。1つ以上の保存的アミノ酸置換を必要に応じて有する、配列番号2、配列番号8または配列番号12のいずれかの全長GP354ポリペプチド配列によってコードされるアミノ酸配列を有する、単離されたGP354ポリペプチドがまた、提供される。本発明は、上記の単離されたポリペプチドの各々のフラグメントをさらに提供し、特に、配列番号2、配列番号8または配列番号12に与えられる配列の、少なくとも6個のアミノ酸、8個のアミノ酸、15個のアミノ酸のから配列全体までを有するフラグメントを提供する。
【0159】
上記の単離されたポリペプチドの各々は、N末端の18アミノ酸または21アミノ酸のシグナル配列を含み、このシグナル配列は、代表的には、膜を通過するタンパク質の挿入の際に除去される。従って、本発明は、N末端のシグナル配列が取り除かれた上記の単離されたGP354ポリペプチドを提供する。切断は、配列番号2の18〜19位または配列番号8の21〜22位に、G残基とP残基との間に生じると推定される。
【0160】
従って、本発明は、GP354の推定成熟N末端細胞外ドメインの全てまたは一部分を含む単離されたGP354ポリペプチドを提供する(GP354ドメインおよびGP354配列について、図1および図7ならびに配列番号2および配列番号8を参照のこと)。GP354の推定成熟N末端細胞外ドメイン(すなわち、分泌シグナル配列を欠いている)は、配列番号2のアミノ酸19−507、または配列番号8のアミノ酸22〜510からなる。特定された配列の、少なくとも、6アミノ酸、8アミノ酸、15アミノ酸から配列全体までを有する上記の配列のフラグメントもまた、含まれる。
【0161】
本発明はまた、GP354のN末端の細胞外ドメインの全てまたは一部分を含むかまたは有する単離されたGP354ポリペプチドを提供する(GP354ドメインおよびGP354配列について、図1および図7ならびに配列番号2および配列番号8を参照のこと)。GP354のN末端の細胞外ドメインは、配列番号2のアミノ酸1〜507、または配列番号8のアミノ酸1〜510からなる。特定された配列の、少なくとも、6アミノ酸、8アミノ酸、15アミノ酸から配列全体までを有する上記の配列のフラグメントもまた、含まれる。
【0162】
好ましい実施形態において、単離されたGP354ポリペプチドは、GP354の細胞外ドメインの全体を有するか、またはそれを含み、そして機能的GP354膜貫通ドメインを欠く。この膜貫通ドメインが、除外されるか、欠失されるか、または変異されて、非機能的となり得る。GP354の膜貫通ドメインは、配列番号2のアミノ酸508〜アミノ酸530、または配列番号8のアミノ酸511〜533からなる。
【0163】
他の好ましい実施形態において、単離されたGP354ポリペプチドは、異種タンパク質ドメインに融合されるGP354N末端細胞外ドメインの一部または全体からなる。好ましくは、単離されたGP354ポリペプチドは、少なくとも1つの細胞外Igドメイン、より好ましくは、2つのGP354細胞外Igドメイン、そして最も好ましくは、3つ、4つ、または5つのGP354細胞外Igドメインを含む。
【0164】
GP354の膜貫通ドメインおよびGP354のC末端細胞質領域からなる群より選択されるGP354フラグメントを含む、単離されたGP354ポリペプチドもまた好ましい。他の好ましい実施形態において、単離されたGP354ポリペプチドは、異種タンパク質ドメインに融合される、GP354細胞質ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分または全体からなる。
【0165】
本発明のGP354フラグメントは、ネイティブGP354タンパク質の連続した部分であり得る。しかし、本明細書中で提供されるようなGP354遺伝子およびタンパク質配列の知見が、ネイティブGP354タンパク質において連続的でない種々のドメインの再結合を可能にすることが理解される。
【0166】
本発明はまた、GP354および関連するタンパク質の選択部分を含むポリペプチドを提供する。本明細書中の以下でさらに議論されるように、特に異種タンパク質フラグメントに結合される場合、これらのタンパク質フラグメントは、例えば、タンパク質−タンパク質相互作用を介して特定の細胞型に因子を標的化するため;Igドメイン含有タンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用を阻害するため;競合的結合アッセイのため;およびフラグメント特異的GP354抗体を惹起するために使用され得る。
【0167】
このような実施形態の第1連として、タンパク質フラグメントは、少なくとも1つのコピーにおいて、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのGP354のN末端細胞外部分に特徴的なIgドメインを含む。具体的には、5つの細胞外Igドメインが、それぞれ、配列番号2のGP354アミノ酸配列のアミノ酸35〜102、136〜203、239〜290、323〜374、および410〜485(図1参照のこと)にコードされ、そして、それぞれ、配列番号8のGP354アミノ酸配列のアミノ酸38〜109、139〜206、242〜293、326〜377および413〜488(図2参照のこと)にコードされる。好ましい実施形態において、このタンパク質フラグメントは、少なくともの1つのコピーの中で、少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、そして最も好ましくは5つ全てのドメイをコードする。
【0168】
好ましくは、このタンパク質フラグメントは、膜を介するこのポリペプチド輸送を媒介するN末端シグナル分泌配列を含む。このGP354シグナル分泌配列は、配列番号2のGP354アミノ酸配列のアミノ酸1〜18(図1を参照のこと)および配列番号8のGP354アミノ酸配列のアミノ酸1〜21(図7を参照のこと)によってコードされる。より好ましくは、このタンパク質フラグメントのシグナル分泌配列は、GP354由来である。
【0169】
上記の好ましいタンパク質フラグメントは、このポリペプチドの膜への挿入が非常に所望される場合、必要に応じて膜貫通ドメインを含み得る。この膜貫通ドメインは、GP354ドメイン(以下を参照のこと)であり得るか、または異種膜結合タンパク質の膜貫通ドメインをコードする異種遺伝子によってコードされ得る。
【0170】
非常に所望される場合、上記の好ましいタンパク質フラグメントは、特定のシグナル伝達反応が、GP354結合相互作用に応答して所望される場合に、細胞内C末端ドメインをさらに含み得る。この細胞内ドメインは、GP354に由来し得る(以下を参照のこと)か、またこのドメインは、異種膜結合タンパク質の細胞内ドメインをコードする異種遺伝子にコードされ得る。
【0171】
本発明のタンパク質フラグメントの他の好ましい実施形態は、GP354の膜貫通ドメインを含むフラグメントである。具体的には、このGP354膜貫通ドメインは、配列番号2のGP354アミノ酸配列のアミノ酸508〜530(図1を参照のこと)にコードされる。
【0172】
上記のタンパク質フラグメントのさらに他の好ましい実施形態は、GP354のC末端細胞内ドメインを有する。具体的には、GP354の1つの細胞内ドメインは、配列番号2のGP354アミノ酸配列のアミノ酸531−592(図1参照のこと)にコードされる。GP354の細胞内ドメインの別の形態は、配列番号8のGP354アミノ酸配列のアミノ酸534〜708(図7を参照のこと)によってコードされる。これらの異なった細胞内ドメイン形態は、選択的スプライシングによって生成されると考えられている。
【0173】
本発明の好ましいタンパク質フラグメントは、配列番号1のgp354 cDNA配列のヌクレオチド139〜923にコードされる(図1を参照のこと)。これは、プライマー、GX1−218(配列番号16)およびGX1−219(配列番号17;実施例2を参照のこと)を使用して膵臓RNAから増幅したRT−PCRフラグメントによってコードされ、そして、配列番号2のアミノ酸47〜307からなり、すなわち、これは、GP354の第1のN末端Igドメイン(68アミノ酸のうち最初の12アミノ酸を欠く)ならびに第2および第3のIgドメインのほとんどをコードしている。
【0174】
上述のように、本発明は、好ましいGP354活性を実質的に保持する配列を有する、挿入もしくは欠失の様式だけ、保存的置換または中程度に保存的置換の様式だけ、ハイブリダイゼーション関連タンパク質として、またはクロスハイブリダイズするタンパク質として、特に、上で参照される配列識別子(配列番号)(SEQ ID NOs:)における特徴を有する記載されたタンパク質と、配列において異なるタンパク質をさらに提供する。上で議論されるように、本発明は、異種ポリペプチドに対する、本明細書中に記載されるポリペプチド、タンパク質およびタンパク質フラグメントの融合をさらに提供する。
【0175】
免疫原として使用される場合、本発明の様々なタンパク質の実施形態は、特に、GP354タンパク質の種々のエピトープに結合する抗体を惹起するために使用され得る。
【0176】
(GP354タンパク質の特徴の他の定義付け)
図1は、gp354 cDNAクローン(配列番号1)によってコードされる推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。同様に、配列番号4、配列番号8、配列番号10、および配列番号12において提供されるアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3、配列番号7、配列番号9、および配列番号11で提供されるヌクレオチド配列から推定される。別段指摘されない限り、本発明のタンパク質のアミノ酸配列は、核酸配列からの推定翻訳として決定された。従って、本明細書中で示される任意のアミノ酸配列は、上記で詳細に記載したようなこの核酸配列における誤差に起因する誤差を含み得る。さらに、一塩基多型(SNP)は、真核生物ゲノムにおいて頻繁に生じ(ヒトゲノムにおいて140万を超えるSNPが既に同定されている(International Human Genome Sequencing Consortium,Nature 409:860−921(2001)))、そして、1つの種の1個体から決定された配列は、集団の中に存在する、他の対立遺伝子形態とは異なり得る。タンパク質の機能を変更しない少量の欠失および挿入は、頻繁に見出され得る。
【0177】
従って、本発明は、本明細書中の特徴を有する記載されたポリペプチドに配列において同一なGP354ポリペプチドのみでなく、本明細書中の特徴を有する記載されたポリペプチドに配列において少なくとも約80%同一な単離されたタンパク質、本明細書中の特徴を有する記載されたポリペプチドに配列において代表的には少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%または95%同一な単離されたタンパク質、本明細書中の特徴を有する記載されたポリペプチドに配列において通常は少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一な単離されたタンパク質、および最も保存的には、本明細書中の特徴を有する記載されたポリペプチドに配列において少なくとも約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%および99.9%同一な単離されたタンパク質が提供される。これらの配列改変体は、天然に存在し得るか、または無作為突然変異誘発または指向された突然変異誘発によって人の介入により生じ得る。
【0178】
本明細書中の目的のために、2つのアミノ酸配列のパーセント同一性は、Tatianaらの「Blast 2 sequence−a new tool for comparing protein and nucleotide sequence」,FEMS Microbiol Lett.174:247−250(1999)の手順を使用して決定される。この手順は、コンピュータプログラムBlast 2 SEQUENCESによって達成され、以下:http ://www.ncbi.nlm.nih.gov/Blast/bl2seq/bl2.html,
からオンラインで利用可能である。アミノ酸配列のパーセント同一性を評価するために、Blast 2 SEQUENCESのBlastPモジュールが、以下のデフォルト値を用いて使用される:(i)BLOSUM62マトリクス(Henikoffら,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89(22):10915−9(1992));(ii)オープンギャップ(open gap)11ペナルティおよびエクステンション1ギャップペナルティ;ならびに(iii)gap x_dropoff50 期待値(expect)10ワードサイズ3フィルター、そして両方の配列は全体が入力された。
【0179】
周知のように、アミノ酸置換は、天然の対立遺伝子改変体において頻繁に生じ、
保存的置換がしばしば、タンパク質機能における最小の変化のみを引き起こす。従って、本発明は、本明細書中の特徴を持つ記載されるタンパク質に配列において同一なタンパク質のみではなく、保存的アミノ酸置換を有する、GP354タンパク質の配列またはそれらの一部分を有する単離されたタンパク質、を提供する。中程度に保存的アミノ酸置換を有する、GP354タンパク質の配列およびその一部分を有する単離されたタンパク質もまた、提供される。これらの保存的置換された改変体または中程度に保存的に置換された改変体は、天然に存在し得るか、または人の介入によって生じ得る。
【0180】
対立遺伝子改変は、例えば、位置195、196、539、および540での、配列番号2と配列番号8との間のアミノ酸配列における差異の原因である。スプライス改変体(例えば、差次的な5’スプライス部位選択、または3’スプライス部位選択)はまた、配列番号2のC末端アミノ酸配列と配列番号8のC末端アミノ酸配列との間の差異の原因であり得る。
【0181】
当該分野で周知のように、タンパク質の関連性はまた、機能試験、所定のハイブリダイゼーションストリンジェンシーにおいて互いに塩基対を形成するコード核酸の能力を使用して、特徴付けられる。従って、本明細書中の特徴を有する記載されたタンパク質に配列において同一である単離されたタンパク質を提供するのみではなく、様々な本発明の単離されたポリヌクレオチドの改変体(「参照核酸」)の全てまたは一部分に(本明細書中の上記で定義されるような)高度なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる単離されたタンパク質(「ハイブリダイゼーション関連タンパク質」)を提供することは、本発明の別の局面である。
【0182】
ハイブリダイゼーション関連タンパク質は、本発明のGP354タンパク質の代替的なアイソフォーム、ホモログ、パラログ、およびオルソログであり得る。特に有用なオルソログは、チンパンジー、アカゲマカクザル、ヒヒ、オランウータン、およびゴリラのような他の霊長類由来;ラット、マウス、モルモットのようなげっ歯類由来;ウサギ(rabbit)のようなウサギ目の動物(lagogmorph)由来;およびウシ、ブタ、ウマ、ヤギのような家畜由来のオルソログである。
【0183】
タンパク質の関連性はまた、第2の機能的試験(第2のタンパク質が抗体に結合するのを競合的に阻害する第1のタンパク質の能力)を使用して特徴付けられ得る。従って、本発明の別の局面は、本明細書中に詳細に記載されるタンパク質と配列が同一な単離されたタンパク質を提供するだけでなく、本発明の種々の単離されたGP354タンパク質(「参照タンパク質」)の全てまたは一部分への抗体の結合を競合的に阻害する単離されたタンパク質(「交差反応性タンパク質」)もまた提供することである。このような競合的阻害は、当業者に周知の免疫アッセイを使用して容易に決定され得る。
【0184】
10%までの非同一性を生じる欠失および挿入を有するタンパク質、保存的または中程度に保存的な置換を有するタンパク質、ハイブリダイゼーション関連タンパク質、および交差反応性タンパク質を含む、本明細書中に詳細に記載されるタンパク質とアミノ酸配列において異なる本発明のタンパク質の中で、1つ以上のGP354活性を実質的に保持するタンパク質が好ましい(前出を参照のこと)。
【0185】
変化に寛容であるが機能を保持する残基は、アラニン走査変異誘発、Cunninghamら、Science 244(4908):1081−5(1989);トランスポゾンリンカー走査変異誘発、Chenら、Gene 263(1−2):39−48(2001);ホモログ走査変異誘発およびアラニン走査変異誘発の組み合わせ、Jinら、J.Mol.Biol.226(3):851−65(1992);機能的アッセイが後に続くコンビナトリアルアラニン走査、Weissら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 97(16):8950−4(2000)のような当該分野で公知の方法を使用して、既知の残基においてタンパク質を変更することよって同定され得る。トランスポゾンリンカー走査キットは、市販されている(New England Biolabs,Beverly,MA,USA,カタログ番号E7−102S;EZ::TNTM In−Frame Linker Insertion Kit,カタログ番号EZI04KN,Epicentre Technologies Corporation,Madison,WI,USA)。
【0186】
以下にさらに記載されるように、本発明の単離されたタンパク質は、GP354タンパク質、これらのアイソフォーム、ホモログ、パラログ、および/またはオルソログを特異的に認識する抗体を惹起する特異的な免疫原として容易に使用され得る。この抗体は、次いで、とりわけ、本発明のGP354タンパク質についてアッセイ(例えば、タンパク質流体サンプル(例えば、血清)の検出のためにELISAによるか、組織サンプル中のタンパク質の検出のために免疫組織化学またはレーザー走査サイトメトリーによるか、または細胞懸濁液中の細胞内タンパク質の検出のためのフローサイトメトリーによる)するために、GP354タンパク質の特異的抗体媒介性の単離および/または精製(例えば、免疫沈降による)のために、およびGP354作用の特異的なアンタゴニストまたはアゴニストとしての使用のために使用され得る。
【0187】
本発明の単離されたタンパク質はまた、本発明のGP354タンパク質の濃度および/または量を特異的に決定するために使用されるアッセイにおける特異的な標準としての使用のために直ちに利用可能である。周知であるように、タンパク質分析物の検出および定量のためのELISAキットは、代表的に、測定標準としての使用のための既知の濃度の単離されたかつ精製されたタンパク質を含む(例えば、ヒトインターフェロンγ OptEIAキット、カタログ番号555142、Pharmingen,San Diego,CA USAは、バキュロウイルス生成のヒト組換えγインターフェロンを含む)。
【0188】
本発明の単離されたタンパク質はまた、タンパク質−タンパク質相互作用の表面強化レーザー脱離イオン化(SELDI)検出のための特異的な生体分子捕捉プローブとしての使用のために直ちに利用可能である(WO98/59362;WO98/59360;WO98/59361;およびMerchantら、Electrophoresis 21(6):1164−77(2000)(この開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される))。同様に、本発明の単離されたタンパク質はまた、BIACORE表面プラズモン共鳴プローブ上の特異的な生体分子捕捉プローブとしての使用のために直ちに利用可能である。Weinbergerら、Pharmacogenomics 1(4):395−416(2000);Malmqvist,Biochem.Soc.Trans.27(2)335−40(1999)を参照のこと。
【0189】
本発明の単離されたタンパク質はまた、GP354の産生およびGP354活性において特定の欠損があると診断された患者における、治療補充剤として有用である。
【0190】
本発明はまた、本発明の種々のタンパク質のフラグメントを提供する。このタンパク質フラグメントは、GP354の抗原性フラグメントおよび免疫原性フラグメントとして有用である。タンパク質の「フラグメント」とは、本明細書中では、どのように入手されようが、参照アミノ酸配列の一部分と同一であるアミノ酸配列を有する(この一部分は、少なくとも6アミノ酸であり、かつ参照核酸の全体よりも少ない)単離されたタンパク質(同様に、ポリペプチド、ペプチド、オリゴペプチド)が意図される。このように定義されるように、「フラグメント」は、参照タンパク質の物理的フラグメント化によって得られる必要はない。しかし、それによりこのような起源は除外されない。
【0191】
少なくとも6連続するアミノ酸のフラグメントは、参照タンパク質のB細胞エピトープおよびT細胞エピトープをマッピングする際に有用である。例えば、Geysenら、「Use of peptide synthesis to probe viral antigens for epitopes to a resolution of a single amino acid」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1984)ならびに米国特許第4,708,871号および同第5,595,915号(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。このフラグメントは、このようなエピトープマッピングにおいて有用であるために、それ自体が免疫優性エピトープの免疫原性の一部分である必要はなく、またネイティブな抗体によって認識すらされる必要はないので、本発明のタンパク質の少なくとも6アミノ酸の全てのフラグメントは、このような研究において有用性を有する。
【0192】
少なくとも8連続するアミノ酸のフラグメント(しばしば、少なくとも15連続するアミノ酸)は、本発明のタンパク質を認識する抗体を惹起するための免疫原としての有用性を有する。例えば、Lerner「Tapping the immunological repertoire to produce antibodies of predetermined specificity」、Nature 299:592−596(1982);Shinnickら、「Synthetic peptide immunogens as vaccines」、Annu.Rev.Microbiol.37:425−46(1983);Sutcliffeら、「Antibodies that react with predetermined sites on proteins」、Science 219:660−6(1983)(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。上記の参考文献にさらに記載されるように、キャリア(例えば、タンパク質)に結合体化された実質上全ての8マーが、免疫原性であると判明する(すなわち、結合体化ペプチドについての抗体を惹起し得ると判明する);従って、本発明のタンパク質の少なくとも8アミノ酸の全てのフラグメントは、免疫原性としての有用性を有する。
【0193】
少なくとも8、9、10、または12連続するアミノ酸のフラグメントはまた、タンパク質全体もしくはその一部分の、抗体(エピトープマッピングにおけるような)、および天然の結合パートナー(例えば、多量体の複合体におけるサブユニット、または係るタンパク質のレセプターまたはリガンド)への結合の競合的インヒビターとして有用である;この競合的な阻害は、目的のタンパク質に特異的に結合する分子の同定および分離を可能にする(米国特許第5,539,084号および同第5,783,674号(これらは、その全体が参考として本明細書中に参考として援用される))。
【0194】
従って、本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントは、少なくとも6アミノ酸長、代表的には少なくとも8、9、10、または12アミノ酸長、そしてしばしば少なくとも15アミノ酸長である。しばしば、本発明のタンパク質またはそのフラグメントは、少なくとも20、25、30、35、または50アミノ酸長以上である。少なくとも75、100、150以上のアミノ酸を有するより大きいフラグメントもまた有用であり、時々好まれる。
【0195】
本発明はさらに、本発明のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメントの各々の異種ポリペプチドへの融合物を提供する。融合とは、本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントが、アミノ酸またはアミノ酸アナログのペプチド結合ポリマーにおいて、異種ポリペプチドに直鎖状に連続していることが、本明細書中で意図される;「異種ポリペプチド」とは、天然には、本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントと連続して存在しないポリペプチドが、本明細書中で意図される。そのように定義されるように、融合物は、変更された配置にて、GP354タンパク質の複数のフラグメントから全体的になり得る;このような場合において、GP354フラグメントのいずれかは、融合タンパク質において、他のGP354フラグメントと異種であると考えられ得る。しかし、より代表的には、異種ポリペプチドは、GP354タンパク質自体から引き出されない。
【0196】
本発明の融合タンパク質は、本発明のタンパク質の少なくとも1つのフラグメントを含み、このフラグメントは、少なくとも6、代表的に少なくとも8、しばしば少なくとも15、および有用には少なくとも16、17、18、19、または20アミノ酸長である。融合物に含まれる本発明のタンパク質のフラグメントは、有用には、少なくとも25、50、75、100、または150アミノ酸長であり得る。本発明のGP354タンパク質全体、機能的ドメイン(例えば、N末端GP354 IgドメインおよびC末端細胞内ドメイン)を含む融合物は、特定の有用性を有する。GP354 Igドメインを含む融合物は、他のIgドメイン含有分子を認識する融合タンパク質および表面にこれらを提示する細胞を操作する際に有用である。これは、順に、GP354または結合パートナーを発現する膵臓細胞またはCNS由来細胞;またはGP354または結合パートナーを発現する膵臓細胞またはCNS由来細胞に由来する細胞表面分子の全てまたは一部分に、異種配列(例えば、毒素または治療薬)を標的化するために有用であり得る。
【0197】
本発明の融合タンパク質内に含まれる異種ポリペプチドは、少なくとも6アミノ酸長、しばしば少なくとも8アミノ酸長、そして好ましくは少なくとも15、20、25アミノ酸長である。より大きいポリペプチド(例えば、IgG Fc領域)、およびタンパク質全体(例えば、ルシフェラーゼまたはGFP発色団含有タンパク質)さえも含む融合物は、特定の有用性を有する。
【0198】
本発明のベクターおよび発現ベクターの記載において上述したように、本発明の融合タンパク質に含まれる異種ポリペプチドは、有用には、組換え的に発現されるタンパク質の精製および/または可視化を容易にするように設計されたポリペプチドを含む。精製タグはまた、化学的に合成される融合物に組み込まれ得るが、化学合成は、代表的に、HPLCによるさらなる精製で十分である十分な純度を提供する;しかし、上記のような可視化タグは、タンパク質が化学合成によって生成される場合でさえそれらの有用性を保持し、そしてそのように含まれる場合、本発明の融合タンパク質は、GP354の存在の直接的な検出可能なマーカーとして有用になる。
【0199】
また上に議論されるように、本発明の融合タンパク質に含まれる異種ポリペプチドは、有用には、分泌シグナルおよび/またはリーダー配列の組み込みを介して、原核生物宿主については細胞膜周辺腔または細胞外環境、真核生物については培養培地中に、組換え的に発現されるタンパク質の分泌を容易にするポリペプチドを含み得る。
【0200】
本発明の他の有用なタンパク質融合物は、酵母ツーハイブリッドシステム中の餌として本発明のタンパク質の使用を可能にする融合物を含む。Bartelら(編)、The Yeast Two−Hybrid System,Oxford University Press(1997)(ISBN:0195109384);Zhuら、Yeast Hybrid Technologies,Eaton Publishing,(2000)(ISBN 1−881299−15−5);Fieldsら、Trends Genet.10(8):286−92(1994);Mendelsohnら、Curr.Opin.Biotechnol.5(5):482−6(1994);Lubanら、Curr.Opin.Biotechnol.6(1):59−64(1995);Allenら、Trends Biochem.Sci.20(12):511−6(1995);Dress,Curr.Opin.Chem.Biol.3(1):64−70(1999);Topcuら、Pharm.Res.17(9):1049−55(2000);Fashenaら、Gene 250(1−2):1−14(2000)(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。代表的に、このような融合物は、E.coli LexAまたは酵母GAL4 DNA結合ドメインのいずれかに対する。核局在シグナルに融合された餌を発現する関連した餌プラスミドは、利用可能である。
【0201】
他の有用なタンパク質融合物としては、上記のような、ファージまたは細胞の表面上にコードされたタンパク質の表示を可能にする融合物、内因的に検出可能なタンパク質(例えば、蛍光タンパク質または光放射タンパク質)への融合物、および安定なタンパク質ドメイン(例えば、IgG Fc領域のような免疫グロブリン重鎖ドメイン)への融合物が挙げられる。
【0202】
本発明のタンパク質およびタンパク質フラグメントはまた、本発明のタンパク質に結合するかまたはこれを組み込む細胞の特異的切除を行なうために、タンパク質毒素(例えば、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、Shiga毒素A、炭素菌毒素致死因子、リシン、または他の生物学的に有害な部分)に有用に融合され得る。
【0203】
本発明の単離されたタンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質融合物は、ネイティブなペプチド結合によって結合される天然のアミノ酸から構成され得るか、またはタンパク質の長さ全体にわたってかもしくはその1つ以上の部分に局在するかのいずれかで、非天然のアミノ酸アナログ、非ネイティブな結合、および合成後(翻訳後)改変のいずれかもしくは全てを含み得る。
【0204】
当該分野で周知のように、単離されたタンパク質が使用される場合(例えば、エピトープマッピングについて)、このような非天然のアナログ、非ネイティブな残基間結合、または合成後改変の範囲は、ペプチドの抗体への結合を可能にする範囲に限定される。非ヒト宿主(例えば、マウス)における抗体の調製のための免疫原として使用される場合、このような非天然のアナログ、非ネイティブな残基間結合、または合成後改変の範囲は、タンパク質の免疫原性に干渉しない範囲に限定される。単離されたタンパク質が治療剤(例えば、ワクチン)としてかまたは補充療法のために使用される場合、このような変化の範囲は、単離されたタンパク質に毒性を与えない範囲に限定される。
【0205】
固相化学合成の間にかまたは組換え方法によって非天然のアミノ酸を組み込むための技術は、当該分野において十分に確立されている。手順は、特に、Chanら(編)、Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach(Practical Approach Series),Oxford Univ.Press(2000年3月)(ISBN:0199637245);Jones,Amino Acid and Peptide Synthesis(Oxford Chemistry Primers,No7),Oxford Univ.Press(1992年8月)(ISBN:0198556683);およびBodanszky,Principles of Peptide Synthesis(Springer Laboratory),Springer Verlag(1993年12月)(ISBN:0387564314)(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用されている)において記載されている。
【0206】
天然のアミノ酸のD−エナンチオマーは、化学的ペプチド合成の間に容易に組み込まれ得る;D−アミノ酸から構築されるペプチドは、タンパク質分解攻撃に対してより耐性である;D−エナンチオマーの組み込みはまた、ペプチドに対して特定の三次元コンホメーションを与えるために使用され得る。化学合成の間に一般に付加される他のアミノ酸アナログとしては、オルニチン、ノルロイシン、リン酸化アミノ酸(代表的に、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン)、L−マロニルチロシン(ホスホチロシンのハイブリダイズ不可能なアナログ)(Koleら、Biochem.Biophys.Res.Com.209:817−821(1995))および種々のハロゲン化フェニルアラニン誘導体が挙げられる。
【0207】
検出可能な標識を有するアミノ酸アナログはまた、標識されたポリペプチドを提供するために、合成の間に有用に組み込まれ得る。例えば、ビオチンは、ビオチノイル−−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−リジン(FMOCビオサイチン)(Molecular Probes,Eugene,OR,USA)を使用して付加され得る。(ビオチンはまた、E.coli BirA基質ペプチドの融合タンパク質中への組み込みによって酵素的に付加され得る。)ダブシル(dabcyl)−L−リジンのFMOCおよびtBOC誘導体(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,USA)を使用して、合成の間にペプチド配列中の選択された部位にダブシル発色団を組み込み得る。アミノナフタレン誘導体EDANS(蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)システムにおけるダブシルクエンチャーと対形成するための最も一般的な発色団)は、EDANS−−FMOC−L−グルタミン酸または対応するtBOC誘導体(共にMolecular Probes,Inc.Eugene,OR,USA)を使用することによって、自動化ペプチド合成の間に導入され得る。テトラメチルローダミン発色団は、(FMOC)−−TMR−L−リジン(Molecular Probes,Inc.Eugene,OR,USA)を使用するペプチドの自動化FMOC合成の間に組み込まれ得る。
【0208】
化学合成の間に組み込まれ得る他の有用なアミノ酸アナログとしては、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、およびアリル側鎖保護を有するチロシンアナログ(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA,USA)が挙げられる;アリル側鎖は、環状ペプチド分枝鎖ペプチド、スルホン化ペプチド、グリコシル化ペプチド、およびリン酸化ペプチドの合成を可能にする。化学合成の間に組み込み可能である、大多数の他のFMOC保護された非天然アミノ酸アナログは、例えば、The Peptide Laboratory(Richmond,CA,USA)から市販されている。
【0209】
非天然のアミノ酸残基はまた、所望の非天然のアミノ酸との化学的アミノアシル化によって、サプレッサーtRNA(代表的には、UAG停止コドンを認識するtRNA)を操作することにより生合成的に付加され得る。従来の部位特異的変異誘発は、タンパク質遺伝子中の目的の部位に選択された停止コドンUAGを導入するために使用される。アシル化サプレッサーtRNAおよび変異遺伝子が、インビトロ転写/翻訳系において組み合わせられる場合、非天然のアミノ酸は、特定化された位置にそのアミノ酸を含むタンパク質を与えるように、UAGコドンに応答して組み込まれる。Liuら、Proc.NatlAcad.Sci.USA 96(9):4780−5(1999);Wangら、Science 292(5516);498−500(2001)。
【0210】
本発明の単離されたGP3534タンパク質、タンパク質フラグメントおよび融合タンパク質はまた、環状形態および分枝形態を生じる結合を含む、非ネイティブの残基間結合を含み得る。本発明の単離されたGP354タンパク質およびタンパク質フラグメントはまた、タンパク質の長さ全体にわたってかまたは1つ以上のその部分に局在してかのいずれかで、翻訳後改変および合成後改変を含み得る。
【0211】
例えば、真核生物細胞における組換え発現によって生成される場合、本発明の単離されたタンパク質、フラグメントおよび融合タンパク質は、代表的に、N連結および/またはO連結グリコシル化を含み、これらのパターンは、タンパク質配列におけるグリコシル化部位の利用可能性および宿主細胞の同一性の両方を反映する。グリコシル化パターンのさらなる改変は、酵素的に行なわれ得る。別の例としては、本発明の組換えポリペプチドはまた、宿主媒介性プロセスから生じるいくつかの場合、改変された開始メチオニン残基を含み得る。
【0212】
本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質融合物が、化学合成によって生成される場合、合成後改変が、樹脂からの脱保護および切断の前か、または脱保護および切断の後に、行なわれ得る。合成タンパク質の脱保護および切断の前の改変は、しばしば、例えば、樹脂結合合成ペプチドのN末端への改変部分の標的化を可能にすることによって、より大きい制御を可能にする。有用な合成後(および翻訳後)改変は、発光団のような検出可能な標識への結合体化を含む。一方で、リジン残基のN末端アミノ基およびεアミノ基と、そして他方で、システイン残基の遊離チオール基と、非変性条件下で反応する、広範な種々のアミン反応性およびチオール反応性の発色団誘導体が、合成されている。
【0213】
種々のアミン反応性またはチオール反応性の発色団へのタンパク質の結合体化を可能にするキットが市販されている;Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR,USA)は、例えば、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Fluorescein−EX、Alexa Fluor 488、Oregon Green 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、およびTexas Red−Xへのタンパク質の結合体化のためのキットを提供する。Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)647(モノクローナル抗体標識キット)、BODIPY色素、Cascade Blue、Cascade Yellow、Dansyl、リサミンローダミンB、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 514、Pacific Blue、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、Texas Redを含む、広範な種々の他のアミン反応性およびチオール反応性の発色団が、市販されている(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,USA)。
【0214】
本発明のポリペプチドはまた、二官能性連結試薬を使用して、発色団、他のタンパク質、および他の高分子に結合体化され得る。一般的なホモ二官能性試薬としては、例えば、APG、AEDP、BASED、BMB、BMDB、BMH、BMOE,BM[PEO]、BM[PEO]、BS3、BSOCOES、DFDNB、DMA、DMP、DMS、DPDPB、DSG、DSP(Lomant試薬)、DSS、DST、DTBP、DTME、DTSSP、EGS、HBVS、Sulfo−BSOCOES、Sulfo−DST、Sulfo−EGS(全てPierce,Rockford,IL,USAから入手可能)が挙げられる;一般的なヘテロ二官能性架橋剤としては、ABH、AMAS、ANB−NOS、APDP、ASBA、BMPA、BMPH、BMPS、EDC、EMCA、EMCH、EMCS、KMUA、KMUH、GMBS、LC−SMCC、LC−SPDP、MBS、M2C2H、MPBH、MSA、NHS−ASA、PDPH、PMPI、SADP、SAED、SAND、SANPAH、SASD、SATP、SBAP、SFAD、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、SMPT、SPDP、Sulfo−EMCS、Sulfo−GMBS、Sulfo−HSAB、Sulfo−KMUS、Sulfo−LC−SPDP、Sulfo−MBS、Sulfo−NHS−LC−ASA、Sulfo−SADP、Sulfo−SANPAH、Sulfo−SIAB、Sulfo−SMCC、Sulfo−SMPB、Sulfo−LC−SMPT、SVSB、TFCS(全てPierce,Rockford,IL,USAから入手可能)が挙げられる。
【0215】
本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質融合物は、このような架橋剤を使用して、アミン反応性またはチオール反応性ではない発色団に結合体化され得る。本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント、および融合タンパク質に有用に結合体化され得る他の標識としては、放射性標識、内視鏡的超音波検査造影剤、およびMRI造影剤が挙げられる。本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質融合物はまた、抗GP354抗体を惹起するための免疫原性を増加させるために、キャリアタンパク質(例えば、KLH、ウシサイログロブリン、およびウシ血清アルブミン(BSA))に対してさえも架橋剤を使用して有用に結合体化され得る。
【0216】
本発明のGP354タンパク質、タンパク質フラグメントおよびタンパク質融合物はまた、通常、ポリエチレングリコール(PEG)に結合され得る;PEG化は、代償療法のために静脈内に投与されるタンパク質の血清半減期を増大する。Delgadoら,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.9(3−4):249−304(1992);Scottら,Curr.Pharm.Des.4(6):423−38(1998);DeSantisら,Curr.Opin.Biotechnol.10(4):324−30(1999)(これらの全体が、参考として本明細書中に援用される)。PEGモノマーは、穏やかな条件下で直接的な結合を可能するトレシルクロリド(tresyl chloride)(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド)で活性化されたPEGモノマーを使用するPEG化で、直接的に、またはリンカーを介してタンパク質に結合され得る。
【0217】
本発明の単離されたGP354タンパク質(その融合物を含む)は、典型的には、上記されるような本発明の発現ベクターを使用して組換え発現によって、または特に約100アミノ酸よりも少ない場合、必要に応じて化学的合成によって(典型的には、固相合成)、および時には、インビトロ翻訳によって産生され得る。
【0218】
本発明の単離されたタンパク質の産生の後は、必要に応じて精製を行い得る。組換え発現されたタンパク質の精製は、今や当該分野の技術範囲内である。例えば、Thornerら(編),Applications of Chimeric Genes and Hybrid Proteins,Part A:Gene Expression and Protein Purification(Methods in Enzymology,第326巻),Academic Press(2000),(ISBN:0121822273);Harbin(編),Cloning,Gene Expression and Protein Purification:Experimental Procedures and Process Rationale,Oxford Univ.Press(2001)(ISBN:0195132947);Marshakら,Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996)(ISBN:0−87969−385−1);およびRoe(編),Protein Purification Applications,Oxford University Press(2001)(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。従って、ここで詳述される必要はない。
【0219】
しかし、簡潔には、精製タグが、このようなタグを付加した発現ベクターの使用を介して融合される場合、精製は、タグに適切である手段(例えば、ポリヒスチジンタグのための固定化金属アフィニティークロマトグラフィーの使用)によって、少なくとも部分的にもたらされ得る。当該分野において通常の他の技術としては、硫酸アンモニウム分画、免疫沈降、タンパク質高速液体クロマトグラフィー(FPLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および分取ゲル電気泳動が挙げられる。化学的に合成されたペプチドの精製は、例えば、HPLCによって容易にもたらされ得る。
従って、純粋または実質的に純粋な形態において本発明の単離されたGP354タンパク質を提供することが、本発明の局面である。本発明の精製されたタンパク質は、上記のように単離されたタンパク質であり、これは、組成物中の総タンパク質に関して質量基準(w/w)において測定される場合、少なくとも95%の濃度で存在する。このような精製物は、しばしば、例えば、HPLCによるようなさらなる精製を伴わずに化学合成の間に得られ得る。本発明の精製されたタンパク質は、96%、97%、98%および99%の濃度でさえ存在し得る(組成物中の総タンパク質に関して質量基準において測定される)。本発明のタンパク質はなお、HPLCによるような精製後に、99.5%、99.6%および99.7%、99.8%または99.9%のレベルでさえ存在し得る。
【0220】
本発明の単離されたタンパク質は、治療薬として(例えば、ワクチンとしてまたは代償療法のために)使用される場合、高レベルの純度が、好ましいが、本発明の単離されたタンパク質はまた、低純度でも有用である。例えば、本発明の部分的に精製されたタンパク質を、免疫原として使用して、実験動物において抗体を惹起し得る。
【0221】
従って、本発明は、実質的に精製された形態において本発明の単離されたタンパク質を提供する。本発明の「実質的に精製されたタンパク質」は、組成物中の総タンパク質に関して質量基準において測定される場合、少なくとも70%の濃度で存在する、上記のような単離されたタンパク質である。通常、実質的に精製されたタンパク質は、組成物中の総タンパク質に関して質量基準において測定される場合、少なくとも75%、80%、または少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、94.5%でさえまたは少なくとも94.9%の濃度でさえ存在する。
【0222】
好ましい実施形態において、本発明の精製されたタンパク質および実質的に精製されたタンパク質は、検出可能な両性電解質、アクリルアミドモノマー、ビスアクリルアミドモノマーおよびポリアクリルアミドを欠いた組成物中にある。
【0223】
本発明のGP354タンパク質、フラグメントおよび融合物は、通常、基質に結合され得る。基質は、多孔性、実質的に非多孔性(例えば、プラスチック)または中実;平面または非平面であり;結合は、共有結合または非共有結合であり得る。多孔性基質(通常は、膜)は、典型的に、ニトロセルロース、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)または陽イオン誘導体化された親水性PVDFを含み;このように結合されると本発明のタンパク質、フラグメントおよび融合物を使用して、本発明の固定化タンパク質に特異的に結合する、例えば、血清中の抗体を検出および定量し得る。本発明のタンパク質、フラグメントおよび融合物は、プラスチックのような、実質的に非多孔性基質に結合する場合、本発明の固体化タンパク質に特異的に結合する、例えば、血清中の抗体を検出および定量するために使用され得る。
【0224】
本発明のタンパク質、フラグメントおよび融合物はまた、表面増強レーザー脱着イオン化供給源(surface enhanced laser desorption ionization source)としての使用に適切である基質に結合され得る;このように結合されると本発明のタンパク質、フラグメントまたは融合物は、第2のタンパク質を結合し、次いで検出するのに有用であり、このタンパク質は、表面結合タンパク質にそれらの間の生物学的な相互作用を示す十分な親和性またはアビディティで結合する。
【0225】
本発明のタンパク質、フラグメントおよび融合物はまた、表面プラズモン共鳴検出における使用に適切である基質に結合され得る。このように結合されると本発明のタンパク質、フラグメントまたは融合物は、第2のタンパク質を結合し、次いで検出するのに有用であり、このタンパク質は、表面結合タンパク質に2つの間の有意な生物学的な相互作用を示すのに十分な親和性またはアビディティで結合する。
【0226】
(抗体および抗体産生細胞)
本発明は、本発明のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメントに特異的に結合するか、または本発明の単離されたGP354核酸によってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントに結合する抗体(フラグメントおよびその誘導体を含む)を提供する。抗体は、ネイティブコンホメーションのタンパク質に存在するか、またはいくつかの場合、例えば、SDS中での可溶化によって変性されるタンパク質に存在するかのいずれかのようなタンパク質またはタンパク質フラグメントの直線のエピトープ、接触しないエピトープまたはコンホメーションエピトープに特異的であり得る。
【0227】
本発明はまた、抗体の結合が、本発明の1つ以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメントによって、または本発明の単離されたgp354ポリヌクレオチドによってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって競合的に阻害され得る抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)を提供する。
【0228】
第1の一連の抗体の実施形態において、本発明は、配列番号2、4、8、10または12におけるアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合する、抗体(ポリクローナルおよびモノクローナルの両方)ならびにそのフラグメントおよび誘導体を提供する。
【0229】
このような抗体は、種々のインビトロ免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロティングおよびELISA)において有用である。このような抗体はまた、免疫沈降、免疫アフィニティークロマトグラフィーまたは磁気ビーズ媒介精製(magnetic bead−mediated purification)によってGP354タンパク質(関連する交差反応性タンパク質を含む)を単離および精製するのに有用である。このような方法は、当該分野で周知である。
【0230】
第2の一連の抗体の実施形態において、本発明は、抗体の特異的な結合が、本発明の単離されたタンパク質およびポリペプチドによって競合的に阻害され得る抗体(ポリクローナルおよびモノクローナルの両方)ならびにそのフラグメントおよび誘導体を提供する。
【0231】
他の実施形態において、本発明はさらに、検出可能に標識された上記の抗体を提供し、そしてなお他の実施形態において、基質に結合される上記の抗体を提供する。
【0232】
本明細書中において使用される場合、用語「抗体」は、第1の分子種に特異的に結合し得る、少なくとも一部が、少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子によってコードされるポリペプチドおよび特異的な結合が可能なままそのフラグメントまたは誘導体をいう。
【0233】
「特異的に結合する」および「特異的結合」とは、本明細書中で、抗体が、抗体および第1の分子種が混合される他の分子種に結合するよりむしろ第1の分子種に結合する能力を意図する。抗体が、第1の分子種に特異的に結合し得る場合、この抗体は特に、この第1の分子種を「認識する」と言われる。
【0234】
当該分野で周知であるように、抗体が、混合物中の分子種間を識別し得る程度は、混合物中の種のコンホメーションの関連性に部分的に依存する;典型的に、本発明の抗体は、少なくとも2倍、さらに典型的には少なくとも5倍、典型的には10倍、25倍、50倍、75倍より多くまでおよびしばしば100倍より多く、ならびに時として500倍または1000倍より多く非GP354タンパク質への偶発的な結合を越えて識別する。本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントを検出するために使用される場合、ヒト膵臓および神経組織由来のサンプルにおける本発明のタンパク質の存在を決定するために使用され得る際、本発明の抗体は、十分に特異的である。
【0235】
典型的には、本発明のGP354タンパク質またはタンパク質フラグメントに対する本発明の抗体(または、IgMペンタマーの場合、抗体マルチマー)の親和性あるいはアビディティは、少なくとも約1×10−6モル濃度(M)、典型的には少なくとも約5×10−7M、通常少なくとも約1×10−7Mであり、少なくとも1×10−8M、5×10−9Mおよび1×10−10Mの親和性およびアビディティが、特に有用であることがわかっている。
【0236】
本発明の抗体は、任意の哺乳動物種由来の天然に存在する形態(例えば、IgG、IgM、IgD、IgEおよびIgA)であり得る。
【0237】
ヒト抗体は、まれではあるが、ヒトドナーまたはヒト細胞から直接的に引き出され得る。このような場合、本発明のタンパク質に対する抗体は、典型的に、本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントでの、偶発的な免疫化(例えば、自己免疫化)から生じる。このような抗体は、典型的に、不変ではないが、ポリクローナルである。
【0238】
ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニック動物を使用してさらに頻繁に得られる。このトランスジェニック動物は、本発明のGP354タンパク質免疫原で肯定的に免疫され得る。ヒト抗体を産生し得るヒトIgトランスジェニックマウスおよび特異的な免疫化によってトランスジェニックマウス由来のヒト抗体を産生する方法は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第6,162,963号;同第6,150,584号;同第6,114,598号;同第6,075,181号;同第5,939,598号;同第5,877,397号;同第5,874,299号;同第5,814,318号;同第5,789,650号;同第5,770,429号;同第5,661,016号;同第5,633,425号;同第5,625,126号;同第5,569,825号;同第5,545,807号;同第5,545,806号および同第5,591,669号(これらの開示は、それらの全体が、参考として本明細書中に開示される)を参照のこと。このような抗体は、典型的には、モノクローナルであり、そして典型的には、マウス抗体の産生に関して開発された技術を使用して産生される。
【0239】
本発明の抗体が、インビボ診断薬または治療薬として人間に投与されるべきである場合、投与された抗体へのレシピエント免疫応答が、しばしば、マウスのような別の種に由来する抗体の投与によって引き起こされるレシピエント免疫応答より実質的に低いので、ヒト抗体は、特に有用であり、そしてしばしば、好ましい。
【0240】
本発明のIgG、IgM、IgD、IgEおよびIgA抗体はまた、通常、げっ歯類(典型的には、マウス、だけでなくラット、モルモットおよびハムスター)、ウサギ目の動物(典型的には、ウサギ)およびより大きな哺乳動物(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシおよびウマも)を含む他の哺乳動物種から得られる。このような場合、ヒト抗体を産生するトランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いる場合と同様に、偶発的な免疫化は、必要とされず、そして非ヒト哺乳動物は、典型的に、本発明のタンパク質またはタンパク質フラグメントを用いて、標準的な免疫プロトコルに従って、肯定的に免疫される。
【0241】
上記されるように、他のところで上記される(これらの考察は、本明細書中に参考として援用される)ような二機能性のリンカーを都合よく使用して、キャリア、典型的には、ウシサイログロブリン、キーホールカサガイヘモシアニンまたはウシ血清アルブミンのようなタンパク質に結合される場合、本発明のタンパク質の8個以上連続するアミノ酸の実質的に全てのフラグメントは、免疫原として効果的に使用され得る。
【0242】
免疫原性はまた、他の部分と本発明のタンパク質およびタンパク質フラグメントの融合体によって与えられ得る。本発明のペプチドは、例えば、分枝したポリリジンコアマトリクスにおける固相合成によって産生され得る;これらの多重抗原ペプチド(MAP)は、高い純度、増大したアビディティ、正確な化学的定義およびワクチン開発において改善した安全性を提供する。Tamら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5409−5413(1988);Posnettら,J.Biol.Chem.263,1719−1725(1988)。
【0243】
非ヒト哺乳動物を免疫するためのプロトコルは、当該分野において非常に確立されている(Harlowら(編),Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1998)(ISBN:0879693142);Coliganら(編),Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.(2001)(ISBN:0−471−52276−7);Zola,Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives(Basics:From Background to Bench),Springer Verlag(2000)(ISBN:0387915907)(これらの開示は、本明細書中に参考として援用される))。
【0244】
非ヒト哺乳動物由来の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、ここでポリクローナル抗体は、本発明のタンパク質の免疫組織化学的検出において特定の利点を有し、そしてモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質の特定のエピトープを識別および区別する際に利点を有する。
【0245】
免疫の後に、本発明の抗体は、任意の当該分野で受け入れられた技術を使用して産生され得る。このような技術は、当該分野で周知である(Coliganら(編),Current Protocols in Immunology.John Wiley&Sons,Inc.(2001)(ISBN:0−471−52276−7);Zola,Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives(Basics:From Background to Bench),Springer Verlag(2000)(ISBN:0387915907);Howardら(編),Basic Methods in Antibody Production and Characterization,CRC Press(2000)(ISBN:0849394457);Harlowら(編),Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1998)(ISBN:0879693142);Davis(編),Monoclonal Antibody Protocols,第45巻,Humana Press(1995)(ISBN:0896033082);Delves(編),Antibody Production:Essential Techniques,John Wiley&Son Ltd(1997)(ISBN:0471970107);Kenney,Antibody Solution:An Antibody Methods Manual,Chapman&Hall(1997)(ISBN:0412141914)(これらの全体が、本明細書中に参考として援用される))。従って、ここで詳述する必要はない。
【0246】
本発明の抗体のフラグメントまたは誘導体が、所望される場合、宿主細胞における組換え発現は、特に有用である。組換え抗体(抗体全体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体)産生のための宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。
【0247】
原核生物宿主は、本発明のファージディスプレイされた抗体を産生するのに特に有用である。ファージディスプレイされた抗体の技術(ここで、抗体可変領域フラグメントは、例えば、線維状のファージ(例えば、M13)の表面上でのディスプレイに関して遺伝子IIIタンパク質(pIII)または遺伝子VIIIタンパク質(pVIII)に融合される)は、現在までに十分に確立され(Sidhu,Curr.Opin.Biotechnol.11(6):610−6(2000);Griffithsら,Curr.Opin.Biotechnol.9(1):102−8(1998);Hoogenboomら,Immunotechnology,4(1):1−20(1998);Raderら,Current Opinion in Biotechnology 8:503−508(1997);Aujameら,Human Antibodies 8:155−168(1997);Hoogenboom,Trends in Biotechnol.15:62−70(1997);de Kruifら,17:453−455(1996);Barbasら,Trends in Biotechnol.14:230−234(1996);Winterら,Ann.Rev.Immunol.433−455(1994))、そしてこのようなライブラリー由来の抗体フラグメントを産生、成長、スクリーニング(パニング(pan))および使用するために必要とされる技術およびプロトコルは、最近以下に編集されている:Barbasら,Phage Display:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)(ISBN0−87969−546−3);Kayら(編),Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual,Academic Press,Inc.(1996);Abelsonら(編),Combinatorial Chemistry,Methods in Enzymology vol.267,Academic Press(1996,5月)(これらの開示は、その全体が、参考として本明細書中に援用される)。典型的には、ファージディスプレイされた抗体フラグメントは、scFvフラグメントまたはFabフラグメントである;所望される場合、全長抗体は、ディスプレイするファージから完全な抗体に可変領域をクローニングし、そしてさらなる原核宿主細胞または真核宿主細胞において全長抗体を発現することによって産生され得る。
【0248】
真核細胞はまた、本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗体誘導体の発現に有用である。例えば、本発明の抗体フラグメントは、Pichia pastoris,Takahashiら,Biosci.Biotechnol.Biochem.64(10):2138−44(2000);Freyreら,J. Biotechnol.76(2−3):157−63(2000);Fischerら,Biotechnol.Appl.Biochem.30(Pt2):117−20(1999);Pennellら,Res.Immunol.149(6):599−603(1998);Eldinら,J.Immunol.Methods.201(1):67−75(1997);およびSaccharomyces cerevisiae,Frenkenら,Res.Immunol.149(6):589−99(1998);Shustaら,Nature Biotechnol.16(8):773−7(1998)(これらの開示は、その全体が、本明細書中に援用される)において産生され得る。
【0249】
本発明の抗体(抗体フラグメントおよび誘導体を含む)はまた、昆虫細胞において産生され得る。Liら,Protein Expr.Purif.21(1):121−8(2001);Ailorら,Biotechnol.Bioeng 58(2−3):196−203(1998);Hsuら,Biotechnol.Prog.13(1):96−104(1997);Edelmanら,Immunology 91(1):13−9(1997);およびNesbitら,J.Immunol.Methods.151(1−2):201−8(1992)(これらの開示は、その全体が、本明細書中に援用される)。
【0250】
本発明の抗体ならびにそのフラグメントおよび誘導体はまた、植物細胞において産生され得る。Giddingsら,Nature Biotechnol.18(11):1151−5(2000);Gavilondoら,Biotechniques 29(1):128−38(2000);Fischerら,J Biol.Regul.Homeost.Agents 14(2):83−92(2000);Fischerら,Biotechnol.Appl.Biochem.30(Pt2):113−6(1999);Fischerら,Biol.Chem.380(7−8):825−39(1999);Russell,Curr.Top.Microbiol.Immunol.240:119−38(1999);およびMaら,Plant Physiol.109(2):341−6(1995)(これらの開示は、その全体が、本明細書中に援用される)。
【0251】
本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗体誘導体の組換え発現に有用な哺乳動物細胞としては、CHO細胞、COS細胞、293細胞および骨髄腫細胞が挙げられる。Vermaら,J.Immunol.Methods 216(1−2):165−81(1998)は、抗体の発現のための細菌、酵母、昆虫および哺乳動物発現系を概説および比較する。
【0252】
本発明の抗体はまた、Merkら,J.Biochem.(Tokyo).125(2):328−33(1999)およびRyabovaら,Nature Biotechnol.15(1):79−84(1997)にさらに記載されるように無細胞翻訳によって調製され得、そしてPollockら,J.Immunol.Methods 231(1−2):147−57(1999)(これらの開示は、その全体が、本明細書中に参考として援用される)にさらに記載されるようにトランスジェニック動物の乳汁に調製され得る。
【0253】
本発明は、本発明の1つ以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたgp354ポリヌクレオチドによってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントに特異的に結合する抗体フラグメント、あるいは本発明の1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、または本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって結合が競合的に阻害され得る抗体フラグメントをさらに提供する。
【0254】
このような抗体フラグメントのうちでも有用なフラグメントは、Fab、Fab’、Fv、F(ab)’、および単鎖Fv(scFv)フラグメントである。他の有用なフラグメントは、Hudson,Curr.Opin.Biotechnol.9(4):395−402(1998)に記載される。従って、本発明は、本発明の1つ以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離された核酸によってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントに特異的に結合する抗体誘導体、あるいは本発明の1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、または本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1つ以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって結合が、競合的に阻害され得る抗体誘導体を提供する。
【0255】
このような誘導体のうちでも有用な誘導体は、キメラ抗体、霊長類化抗体およびヒト化抗体である;このような誘導体は、人間において免疫原性は低い。従って、非ヒト哺乳動物種由来の改変されていない抗体よりインビボ投与にさらに適切である。
【0256】
キメラ抗体は、典型的に別の種(典型的にはヒト)の定常領域に融合した、1種(典型的にはマウス)の免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖可変領域(CDRとフレームワーク残基の両方を含む)を含む。例えば、米国特許第5,807,715号;Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci USA.81(21):6851−5(1984);Sharonら,Nature 309(5966):364−7(1984);Takedaら,Nature 314(6010):452−4(1985)(これらの開示は、その全体が、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0257】
霊長類化抗体およびヒト化抗体は、典型的には、非ヒト霊長類に移植されたマウス抗体由来の重鎖および/または軽鎖CDRまたはヒト抗体V領域フレームワークを含む(通常、ヒト定常領域をさらに含む)(Riechmannら,Nature 332(6162):323−7(1988);Coら,Nature 351(6326):501−2(1991);米国特許第6,054,297号;同第5,821,337号;同第5,770,196号;同第5,766,886号;同第5,821,123号;同第5,869,619号;同第6,180,377号;同第6,013,256号;同第5,693,761号;および同第6,180,370号(これらの開示は、その全体が、参考として本明細書中に援用される))。
【0258】
本発明の他の有用な抗体誘導体は、ヘテロマー抗体複合体および抗体融合体(例えば、二抗体(二重特異性抗体)、単鎖二抗体および内抗体)を含む。
【0259】
本発明の抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)は、有用なためには、標識され得る。従って、本発明の別の局面は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメントに特異的に結合する標識された抗体を提供することである。すなわち、その結合は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、または本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって競合的に阻害され得る。
【0260】
標識の選択は、一部、所望される用途に依存する。本発明の抗体が、組織サンプルの免疫組織化学的染色のために使用される場合、標識は、有用なためには、検出可能な生成物の生成および局所的堆積を触媒する酵素であり得る。代表的に抗体に結合体化されて、その免疫組織化学的可視化を可能にする酵素は、周知であり、そして、これらとしては、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびウレアーゼが挙げられる。本発明の抗体はまた、コロイド状金を使用して標識され得る。
【0261】
可視的に検出可能な生成物、発光標識および蛍光標識の生成ならびに堆積のための多数の代表的な物質もまた、周知であり、そしてさらに記載される必要はない。例えば、Thorpeら、Methods Enzymol.133:331−53(1986);Krickaら、J.Immunoassay 17(1):67−83(1996);およびLundqvistら、J.Biolumin.Chemilumin.10(6)353−9(1995)(これらの開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。増強された化学発光検出(ECL)のためのキットは、市販されている。
【0262】
本発明の抗体が、例えば、フローサイトメトリー検出、走査型レーザーサイトメトリー検出、または蛍光イムノアッセイのために使用される場合、これらは、有用なために、フルオロフォア(fluorophore)で標識される。本発明の抗体に有用であるように結合し得る広範な種々のフルオロフォア標識が存在する。多くは、例えば、Molecular Probes,Inc.、Eugene、OR、USAから入手可能である。
【0263】
標識されたアビジン、ストレプトアビジン、カプタビジン(capatavidin)またはニュートラビジン(neutravidin)を使用する二次検出のために、本発明の抗体は、有用なためには、ビオチンで標識され得る。
【0264】
本発明の抗体が、たとえば、ウェスタンブロット適用のために使用される場合、これらの抗体は、有用なためには、放射性同位体(例えば、33P、32P、35S、Hおよび125I)で標識され得る。別の例としては、本発明の抗体が放射免疫治療のために使用される場合、この標識は、有用なためには、228Th、227Ac、225Ac、223Ra、213Bi、212Pb、212Bi、211At、203Pb、194Os、188Re、186Re、153Sm、149Tb、131I、125I、111In、105Rh、99mTc、97Ru、90Y、90Sr、88Y、72Se、67Cuまたは47Scであり得る。別の例として、本発明の抗体が、インビボの診断用途のために使用される場合、これらの抗体は、MRI造影剤(例えば、ガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Laufferら、Radiology 207(2):529−38(1998))への結合体化によって、または放射性同位体標識によって検出可能にされ得る。当業者に理解されるように、上記の任意の標識の使用は、言及された適用に限定されない。
【0265】
本発明の抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)はまた、本発明のタンパク質を、提示および/または発現する細胞に対して、毒素の除去(ablative)作用を標的化するために、生物学的に有害な部分(例えば、毒素)に結合体化され得る。一般に、このような免疫毒素中の抗体は、Psedomonas外毒素A、ジフテリア毒素、志賀毒素A、炭疽毒素致死因子、またはリシンに結合体化される。Hall(編)、Immunotoxin Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology、166巻)、Humana Press(2000)(ISBN:0896037754);およびFrankelら(編)、Clinical Applications of Immunotoxins、Springer−Verlag New York、Incorporated(1998)(ISBN:3540640975)を参照のこと。これらの開示は、総説に関して、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0266】
本発明の抗体は、有用なために、基板に結合され得る。従って、本発明は、本発明の1以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントに対して特異的に結合する抗体を提供する。すなわち、その結合は、基材に結合した本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって競合的に阻害され得る。基材は多孔性または非多孔性、平面または非平面であり得る。
【0267】
例えば、本発明の抗体は、有用なことには、免疫親和性クロマトグラフィーの目的のために、濾過媒体(例えば、NHS活性化SepharoseまたはCNBr−活性化Sepharose)に結合体化され得る。
【0268】
本発明の抗体はまた、有用なためには、代表的にはビオチン−ストレプトアビジン相互作用によって、常磁性マイクロスフェアに結合体化され得、次いで、このマイクロスフェアは、本発明のタンパク質を発現または提示する細胞の単離のために使用され得る。別の例として、本発明の抗体は、有用なためには、ELISAのためのマイクロタイタープレートの表面に結合され得る。
【0269】
上記のように、本発明の抗体は、原核生物細胞および真核生物細胞において産生され得る。従って、本発明はまた、本発明の抗体を発現する細胞(本発明の抗体を発現するように組換え的に改変されたハイブリドーマ細胞、B細胞、形質細胞、および宿主細胞を含む)を提供する。
【0270】
本発明はまた、本発明の1以上のGP354タンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントに対して特異的に結合するように進化したアプタマーを提供する。すなわち、その結合は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメント、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる1以上のタンパク質およびタンパク質フラグメントによって競合的に阻害され得る。
【0271】
(薬学的組成物および治療方法)
GP354は、主に膵臓で、そして神経組織(例えば、CNS)でより少ない量で発現される、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの新規のメンバーである。GP354、および内在性(integral)細胞表面膜タンパク質は、細胞−細胞認識および接着反応を媒介する他のファミリーのメンバーにおいて既知の、その細胞外部分において、5つのシグネチャーIgドメインを有する。Igスーパーファミリーのメンバーとして、GP354は、膵臓、神経およびGP354が発現する潜在的な他の組織における細胞−細胞認識、結合および接着機能を媒介するために重要であるようである。
【0272】
GP354に最も密接に関連する2つのタンパク質(Drosophila不規則交差タンパク質(ICCR)およびヒトネフリン(nephrin)タンパク質(図2を参照のこと))は、両方共、発達のパターニング(patterning)および細胞−細胞連結に関連する。DrosophilaにおけるICCR遺伝子座での変異は、異常なアポトーシス活性におそらく少なくとも一部起因して、ハエにおいて感覚器官の発達に影響する(Ramos,R.Gら(1993)Genes Dev.7:2533〜47)。ネフリン遺伝子における変異は、ヒトにおいて先天性の腎炎を引き起こす(Kestila,M.ら(1998)Mol.Cell 1:575〜582)。ネフリンは、糸球体の細隙の横隔膜に位置し、そして、細胞接着において役割を果たすと考えられる(Ruotsalainen,V.ら、(1999)Proc Natl Acad Sci 96:7962〜7967)。GP354とこれら2つのタンパク質との間の類似性は、GP354もまた、同様の発達経路、および特に、膵臓および神経系における器官および組織の、発達および/または維持に関係する、シグナル伝達経路を誘発する、細胞−細胞相互作用において役割を果たすことを示唆する。
【0273】
膵臓に豊富なタンパク質として、GP354は、膵臓において、特に組織発達の間、ならびに組織再生および/または組織治癒の間(例えば、膵臓の損傷、外傷もしくは変性状態の後)、不適切な細胞−細胞結合、接着およびシグナル伝達に関連する異常な状態、障害および/または疾患を処置するための適切な治療標的である。GP354は、免疫、自己免疫、および変性状態に関連する膵臓の細胞死を阻害するために有用であることもまた想定される。GP354の神経の形態が、CNS組織における、組織の再生および修復についての、ならびに変性および細胞死を抑制するための同様に適切な治療標的である。
【0274】
従って、本発明は、本発明の核酸、タンパク質および抗体、ならびにGP354活性の模倣物、アゴニスト、アンタゴニストまたは調節剤を含む薬学的組成物を提供し、これは、GP354の誤った発現(mis−expression)に関連する障害、状態または疾患の処置(すなわち、寛解)のための薬学的薬剤として、またはGP354関連分子および細胞認識経路に関与する他の成分の異常な発現もしくは活性を克服するために、投与され得る。GP354発現は、膵臓において比較的集中しているので、GP354の誤った発現が、膵臓障害もしくは膵臓疾患、および/または機能の膵臓発達における先天的な欠損に関連し得ることが予測される。
【0275】
本発明の組成物の投与が有効である膵臓の障害および疾患としては、急性膵炎(しばしば、しかしいつもではなく、異常な膵臓の外分泌の機能(例えば、血清、腹水および/もしくは胸膜液アミラーゼレベルの増大、または異常なリパーゼまたはトリプシノーゲンレベル)を示す)が挙げられる。膵臓炎症および壊死はまた、急性膵炎および慢性膵炎、ならびに外分泌の機能不全に関連する。種々の膵臓内分泌腫瘍が特徴付けられ、そして膵臓に影響する自己免疫障害もまた記載されている。膵臓の障害および疾患の診断および処置のより詳細な説明については、Harrison’s PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE,第14版(Anthony S.Fauciら、編)、McGraw−Hill Companies,Inc.、1998、Part Eleven,第3節(この開示は、その全体において本明細書中で援用される)を参照のこと。
【0276】
GP354発現はまた、膵臓において検出されるよりも低いレベルではあるが、神経CNS組織においても検出される。従って、GP354の誤った発現は、神経の機能不全、障害もしくは疾患、またはCNSの異常な発達に関連し得る。本発明の組成物を用いて処置することによって回復され得る神経障害の例としては、限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、老年性痴呆、片頭痛、てんかん、神経炎、神経衰弱、ニューロパシー、およびGP354媒介神経移動、神経変性(例えば、GP354媒介自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症の特定の形態))に関連する任意の他の疾患、ならびに神経腫瘍(例えば、神経膠腫、神経膠星状芽細胞腫および神経膠星状細胞腫)が挙げられる。
【0277】
本発明の組成物が有用であり得るいくつかの他の障害としては、内分泌およびホルモン問題(例えば、糖尿病)、膵臓の疾患、癌(特に、膵臓癌)などが挙げられる。このような疾患を有するか、またはこのような疾患を発症する危険性を有する個体を処置するための、GP354調節因子(GP354アンチセンス試薬、GP354リガンドおよび抗GP354抗体を含む)の使用は、本発明の局面である。
【0278】
本発明の組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に、代表的に、約0.1〜90重量%(例えば、1〜20%または1〜10%)の本発明の治療剤を含む。経口投与のための組成物の固体処方物は、適切なキャリアまたは賦形剤(例えば、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、アカシア、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム(dicarcium phosphate)、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムまたはアルギン酸)を含み得る。使用され得る崩壊剤としては、限定ではなく、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウムデンプン、およびアルギン酸が挙げられる。使用され得る錠剤結合剤としては、アカシア、メチルセルロール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PovidoneTM)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースが挙げられる。使用され得る潤沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、蝋、油およびコロイド状シリカが挙げられる。
【0279】
水または他の水性ビヒクル中に調製される経口投与のための組成物の液体処方物は、種々の懸濁剤(例えば、メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリンドンおよびポリビニルアルコール)を含み得る。液体処方物はまた、活性化合物、湿潤剤、甘味剤ならびに着色剤および矯味・矯臭剤を一緒に含む、溶液、乳濁液、シロップ、エリキシルを含み得る。種々の液体処方物および粉末処方物は、処置されるべき哺乳動物の肺への吸入のために、従来の方法によって調製され得る。
【0280】
組成物の注射可能な処方物は、種々のキャリア(例えば、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)を含み得る。静脈内注射のために、この化合物の水溶性型が点滴法によって投与され得、それによって抗真菌剤および生理学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的処方物が注入される。生理学的に受容可能な賦形剤としては、例えば、5%のデキストロース、0.9%の生理食塩水、リンゲル溶液または他の適切な賦形剤が挙げられ得る。筋内調製物(例えば、化合物の適切な可溶性塩形態の滅菌処方物)は、薬学的賦形剤(例えば、注射用蒸留水、0.9%の生理食塩水、または5%のグルコース溶液)中に溶解され得、そして投与され得る。化合物の適切な不溶性形態は、水性の基剤または薬学的に受容可能な油基剤(例えば、長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル))中の懸濁物として、調製および投与され得る。
【0281】
局所的な半固体軟膏処方物は、代表的に、薬学的なクリーム状基剤のようなキャリア中に、約1〜20%、例えば、5〜10%の濃度の活性成分を含む。局所的使用のための種々の処方物としては、活性成分ならびに種々の支持体およびビヒクルを含む、ドロップ、チンキ剤、ローション、クリーム、溶液および軟膏が挙げられる。各薬学的処方物中の治療剤の最適な割合は、処方自体ならびに特定の病理および関連の治療レジメンにおいて所望される治療的効果に従って変化する。
【0282】
吸入および経皮的処方物もまた、容易に調製され得る。
【0283】
薬学的処方は、十分確立された分野であり、そして以下においてさらに記載される:Gennaro(編)、Remington:The Sciecnce and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott、Williams&Wlikins(2000)(ISBN:0683306472);Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott、Williams&Wlikins Publishers(1999)(ISBN:0683305727);およびKibbe(編)、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceuticl Association、第3版、(2000)(ISBN:091733096X)(これらの開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される)。医薬分野の当業者に公知の従来の方法は、患者に薬学的処方物を投与するために使用され得る。
【0284】
代表的には、この薬学的処方物は、この薬学的処方物を含む経皮的パッチを患者の皮膚に適用し、そしてこのパッチを患者の皮膚に接触させたままにする(一般に、パッチ当たり、1〜5時間)ことによって、患者に投与される。他の経皮的経路の投与(例えば、局所的に適用されるクリーム、軟膏などの使用による)は、従来の技術を適用することによって使用され得る。これらの薬学的処方物はまた、標準的な技術を使用することによって、他の従来の経路(例えば、経腸的な、皮下の、肺内の、経粘膜的、腹腔内の、子宮内の、舌下の、鞘内の、または筋内の経路)を介して投与され得る。さらに、この薬学的処方物は、例えば、1ヶ月、3ヶ月または6ヶ月の蓄積投与可能な、または生分解性材料および方法を使用することによって、注射可能な蓄積経路の投与を介して患者に投与され得る。
【0285】
投与経路にかかわらず、治療用タンパク質または抗体薬剤は、代表的に、患者の体重1kg当たり、0.01mg〜30mgの毎日の投薬量(例えば、1mg/kg〜5mg/kg)で投与される。この薬学的処方物は、所望の場合、所望される毎日の総用量を達成するために、1日当たり複数の用量で投与され得る。処置方法の有効性は、障害の既知の徴候または症状について患者をモニタリングすることによって評価され得る。
【0286】
本発明の薬学的組成物は、容器、パッケージまたはディスペンサー中に、単独でかまたは投与のためのラベルおよび手引書を有するキットの一部として、含まれ得る。
【0287】
(トランスジェニック動物および細胞)
別の局面において、本発明は、gp354アイソフォーム核酸を含むトランスジェニック細胞およびトランスジェニック非ヒト生物、ならびにヒトgp354遺伝子の内因性オルソログの破壊を標的化されたトランスジェニック細胞およびトランスジェニック非ヒト生物を提供する。これらの細胞は、胚性幹細胞または体細胞であり得る。これらのトランスジェニック非ヒト生物は、キメラ、非キメラヘテロ接合体、および非キメラホモ接合体であり得る。
【0288】
本発明の宿主細胞は、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の宿主細胞は、gp354ヌクレオチド配列が導入されている受精卵または胚性幹細胞である。このような宿主細胞は、そのゲノムに外因性gp354配列が導入されている非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用され得るか、または動物中の関連の内因性gp354配列を変更もしくは置換するために使用され得る。
【0289】
本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、1以上の動物細胞が導入遺伝子を含んでいる、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはウシ、ヤギ、ヒツジまたはげっ歯類(例えば、ラット、マウス)である。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、イヌ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。
【0290】
本明細書中で使用される場合、「導入遺伝子」は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組み込まれ、そして成熟動物のゲノム中に保持される外因性DNAであり、それによって、トランスジェニック動物の1以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指示する。
【0291】
本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物」は、内因性gp354遺伝子が、内因性遺伝子と、動物の発生前に動物の細胞(例えば、動物の胚性幹細胞)中に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって変更されている、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
【0292】
本発明の非ヒトトランスジェニック動物は、gp354の機能および/または活性を研究するため、ならびにgp354活性の調節因子を同定および/または評価するために有用である。これらはまた、GP354タンパク質またはポリペプチドフラグメントを生成するための方法(すなわち、ここで、このタンパク質は、非ヒト哺乳動物の乳腺において生成される)において有用である。
【0293】
本発明のトランスジェニック動物は、例えば、微量注入、レトロウイルス感染によって、受精卵の雄性前核中にgp354コード核酸を導入し、そして偽妊娠雌性親動物中で卵細胞を発生させることによって作製され得る。配列番号1、3、5、6、7、9、または11のヒトgp354DNA配列を含むポリヌクレオチドは、導入遺伝子として、非ヒト動物のゲノム中に導入され得る。あるいは、本発明の単離されたポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションによって単離されるヒトgp354遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスgp354遺伝子)は、導入遺伝子として使用され得る。異種転写制御配列の配列、イントロン配列、ポリアデニル化シグナルなどもまた、導入遺伝子に作動可能に連結されて、レシピエント宿主動物において、導入遺伝子の発現の効率性を増大させ得るか、またはさもなければ導入遺伝子の発現を調節し得る(例えば、発生または組織特異的な様式で)。
【0294】
胚操作および微量注入によって、トランスジェニック動物、特にマウスのような動物を作製するための方法は、当該分野で慣習的になっており、そして例えば、以下において記載される:米国特許第4,736,866号;同第4,870,009号;および同第4,873,191号;ならびにHogan 1986、MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.。類似の方法は、他のトランシジェニック動物の作製のために使用される。トランスジェニック創始動物は、この動物の組織または細胞においてゲノム中のgp354導入遺伝子の存在および/またはgp354 mRNAの発現に基づいて、同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物は、導入遺伝子を保有するさらなる動物を繁殖させるために使用され得る。さらに、gp354をコードする導入遺伝子を保有するトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子を保有する他のトランスジェニック動物とさらに交配され得る。
【0295】
相同組換え動物を作製するために、gp354遺伝子の少なくとも一部を含むベクターが調製され、このgp354遺伝子の少なくとも一部分には、欠失、付加または置換が導入されており、それによってgp354遺伝子を変更する(例えば、機能的に破壊する)。gp354遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば、配列番号1、5、9、または11)であり得るが、より好ましくはヒトgp354遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、配列番号1、5、9、または11のヒトgp354遺伝子のマウスホモログを使用して、マウスゲノム中で内因性gp354遺伝子を変更するために適切な相同組換えベクターを構築し得る。
【0296】
いくつかの実施形態において、このベクターは、相同組換えの際に、内因性gp354遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能的なタンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計される。あるいは、このベクターは、相同組換えの際に、内因性gp354遺伝子が変異またはそうでなければ変更されているが、なお機能的タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域が変更されて、これによって内因性GP354タンパク質の発現を変更し得る)ように設計され得る。相同組換えベクターにおいて、gp354遺伝子の変更された部分は、ベクターによって保有される外因性gp354遺伝子と胚性幹細胞中の内因性gp354遺伝子との間で相同組換えが生じることを可能にするために、gp354遺伝子のさらなる核酸によってその5’末端および3’末端が隣接される。さらなる隣接gp354核酸は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えのために十分な長さである。代表的には、数キロベースの隣接DNA(5’末端および3’末端の両方で)が、ベクターに含まれる。例えば、相同組換えベクターの例示的な記載については、Thomasら(1987)Cell 51:503を参照のこと。
【0297】
このベクターは、(例えば、エレクトロポレーションによって)胚性幹細胞株に導入され、そして導入されたgp354遺伝子が内因性gp354遺伝子で相同的に組換えられた細胞が選択される(例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照のこと)。次いで、選択された細胞は動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入されて、集合キメラを形成する。例えば、Bradley 1987、TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:A PRACTOCAL APPROACH、Robertson編、IRL、Oxford、113−152頁を参照のこと。次いで、キメラ胚を、適切な偽妊娠雌性親動物中に移植し、胚を出産間近にする。生殖細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫を使用して、動物の全細胞が導入遺伝子の生殖系列伝達によって相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させ得る。
【0298】
相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、以下にさらに記載される:Bradley(1991)Curr.Opin.Biotechnol.2:823−829;PCT国際公開番号WO90/11354;WO91/01140;WO92/0968;およびWO93/04169。
【0299】
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンもまた、Wilmutら(1997)Nature 385:810−813に記載の方法に従って作製し得る。簡潔には、トランスジェニック動物由来の細胞(例えば、体細胞)を、単離し得、そして増殖周期を抜け出しG0期に入るように誘導し得る。次いで、この静止期の細胞を、例えば、電気パルスの使用によって、静止期の細胞が単離されたのと同種の動物由来の除核した卵細胞に融合させ得る。次いで、再構築された卵細胞を、桑実胚または未分化胚芽細胞に発生するように培養し、次いで、偽妊娠雌性親動物に移す。この雌性親動物の生まれた子孫は、細胞(例えば、体細胞)が単離された動物のクローンである。
【0300】
インビボの導入遺伝子の調節された発現を、制御可能な組換え系(例えば、cre/loxP組換え系(例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと)およびFLP組換え系(O’Gormenら(1991)Science 251:1315−1355))を使用して達成し得る。cre/loxP組換え系を使用して導入遺伝子の発現を調節する場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要である。この系の両方のエレメントを含むトランスジェニック動物を、例えば、2匹のトランスジェニックマウス(各々が、選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子またはリコンビナーゼをコードする導入遺伝子のいずれかを含む)を交尾させることによって、獲得し得る。
【0301】
(アンチセンス試薬および方法)
(A.アンチセンス)
本発明の単離されたポリヌクレオチドの多くは、gp354ポリヌクレオチドを認識し、そのgp354ポリヌクレオチドにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドである。全長およびフラグメントのアンチセンスポリヌクレオチドが提供される。本発明のフラグメントアンチセンス分子は、(i)gp354 RNAを特異的に認識し、そしてそのgp354 RNAに特異的にハイブリダイズする分子(GP354をコードするDNAと、他の公知の分子をコードするDNAとの配列比較によって決定される)を含む。GP354をコードするポリヌクレオチドに独特な配列の同定は、任意の公に利用可能な配列データベースの使用によって、および/または市販の配列比較プログラムの使用によって推定され得る。所望の配列の同定の後に、制限消化による単離または当該分野において周知の種々のポリメラーゼ連鎖反応技術のいずれかを使用する増幅が実施され得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、gp354 mRNAを発現する細胞によってGP354の発現を調節することに特に関する。
【0302】
GP354をコードするヌクレオチド配列由来の配列番号1、3、5、6、7、9または11に記載されるヌクレオチド配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはフラグメント、あるいは、それらに相補的であるかまたは相同な配列は、種々の組織における遺伝子発現を探索するための診断ツールとして有用である。例えば、組織は、この酵素のネイティブな発現またはそれに関連する病理学的な状態を調査するために、従来のオートラジオグラフィー技術によって検出可能な基を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いてインサイチュで探索され得る。特定の局面において、少なくとも約10ヌクレオチド、約25ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、もしくは約500ヌクレオチド、またはgp354コード鎖全体あるいはそれらの一部のみに相補的な配列を含むアンチセンス核酸分子が提供される。配列番号2、4、8、10、または12のGP354タンパク質のフラグメント、ホモログ、誘導体およびアナログをコードする核酸分子、配列番号1、3、5、6、7、9または11のGP354核酸配列に相補的なアンチセンス核酸が、さらに提供される。
【0303】
本発明のアンチセンス核酸分子は、GP354をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」または非コード領域に対するアンチセンスであり得る。用語「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう(例えば、ヒトGP354のタンパク質コード領域は、配列番号1、7または11に示されるコード領域に対応する)。
【0304】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは、配列番号1、7または11のヌクレオチド配列の調節領域、あるいはそれらに対応するmRNA(開始コドン、TATAボックス、エンハンサー配列などを含むが、これらに限定されない)に関する。アンチセンス核酸分子は、gp354のコード領域全体または非コード領域全体に相補的であり得るが、より好ましくは、gp354 mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、gp354 mRNAの翻訳開始部位の周りの領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5ヌクレオチド長、約10ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長、約25ヌクレオチド長、約30ヌクレオチド長、約35ヌクレオチド長、約40ヌクレオチド長、約45ヌクレオチド長または約50ヌクレオチド長であり得る。
【0305】
本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用して、化学合成または酵素連結反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然のヌクレオチドまたは種々の改変されたヌクレオチド(分子の生物学的安定性を増加させるため、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるために設計される(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る))を使用して化学的に合成され得る。
【0306】
あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされた発現ベクターを使用して生物学的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、以下のサブセクションにおいてさらに記載されるように、目的の標的核酸へのアンチセンス方向である)。
【0307】
本発明のアンチセンス核酸分子(好ましくは、10〜20ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチド)は、代表的に、GP354タンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズするかまたは結合して、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害するように、被験体に投与されるかまたはインサイチュで作製される。転写レベルまたは翻訳レベルのいずれかでのgp354発現の抑制は、異常なgp354発現によって特徴付けられる疾患/状態に対する細胞モデルまたは動物モデルを作製するために有用である。
【0308】
ハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成するための従来のヌクレオチド相補性によって、または例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重鎖らせんの主溝における特異的な相互作用によってであり得る。ホスホロチオエートおよびメチルホスホネートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明による治療的使用に特に意図される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’末端に、ポリ−L−リジン、トランスフェリン、ポリリジン、またはコレステロール部分を付加することによってさらに改変され得る。
【0309】
本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例としては、組織部位への直接注入が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的化するために改変され得、次いで、全身的に投与され得る。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、例えば、アンチセンス核酸分子を、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、選択された細胞表面に発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを使用して細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が極力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの制御下に配置されるベクター構築物が好ましい。
【0310】
なお他の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、a−アノマー核酸分子である。a−アノマー核酸分子は、通常のb−ユニットとは異なり、鎖が互いに平行に並ぶ(run parallel)相補的なRNAを有する特定の二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultierら(1987)Nucleic Acids Res 15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−O−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res 15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、(1987)FEBS Lett 215:327−330)を含み得る。
【0311】
(B.リボザイムおよび触媒核酸)
なお別の一連の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、gp354特異的リボザイムの一部(または、改変として、「ヌクレオザイム」)である。リボザイムは、相補的な領域を有する、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッド、ヘアピン、グループIイントロンリボザイムなど)は、gp354 mRNA転写物を触媒的に切断するために使用されて、それによってgp354 mRNAの翻訳を阻害し得る。gp354コード核酸に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示されるgp354ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列(配列番号1、3、5、6、7、9または11)に基づいて設計され得る。例えば、米国特許第5,116,742号;同第5,334,711号;同第5,652,094号;および同第6,204,027号(それらの全体が本明細書中において参考として援用される)を参照のこと。
【0312】
例えば、活性部位のヌクレオチド配列がGP354コードmRNAにおいて切断されるヌクレオチド配列に相補的である、テトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体が、構築され得る。例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと。あるいは、gp354 mRANは、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択するために使用され得る。例えば、Bartelら、(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと。
【0313】
gp354遺伝子の発現は、gp354の調節領域(例えば、gp354プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化して、標的細胞におけるgp354遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成することによって阻害され得る。一般的に、Helene.(1991)Anticancer Drug Des.6:569−84;Helene.ら、(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;およびMaher(1992)Bioassays 14:807−15を参照のこと。
【0314】
(C.ペプチド核酸(PNA))
他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣物(特に、インビボ投与に有用である)において、糖およびヌクレオシド間連結の両方は、新規な基で置換される(例えば、ペプチド核酸(PNA))。例えば、Hyrupら、(1996)Bioorg.Med.Chem.Lett.4:5−23を参照のこと。PNA化合物において、核酸のホスホジエステル骨格は、特に、アミド結合によって連結されるN−(2−アミノエチル)グリシン単位を繰り返すことによって、アミド含有骨格で置換される。核酸塩基は、代表的には、メチレンカルボニル連結によって、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら、上記;およびPerry−O’Keefe ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675(1996)に記載されるように、標準的な固相ペプチド合成プロトコルを使用して実施され得る。
【0315】
gp354のPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され得る。例えば、PNAは、例えば、転写停止または翻訳停止を誘導することによってかあるいは複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたは抗原剤として使用され得る。gp354のPNAはまた、例えば、PNA指向PCRクランピングによって、例えば遺伝子における単一塩基対変異の分析において;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)との組み合わせにおいて使用される場合に、人工制限酵素として;またはDNA配列およびハイブリダイゼーションに対するプローブもしくはプライマーとして使用され得る(Hyrupら、上記;およびPerry−O’Keefe、上記)。
【0316】
他の実施形態において、gp354のPNAは、例えば、それらの安定性または細胞取り込みを増強するために、親油性または他のヘルパー基をPNAに取り付けることによって、PNA−DNAキメラの形成によって、あるいはリポソームまたは当該分野で公知の薬物送達の他の技術の使用によって、改変され得る。例えば、gp354のPAN−DNAキメラが作製され得、これは、PNAおよびDNAの有利な性質を組み合わせ得る。このようなキメラによって、DNA認識酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)が、DNA部分と相互作用し得、一方、PNA部分は、高い結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング(stacking)、核酸塩基間の結合の数、および方向(Hyrup、上記)の点で、選択された適切な長さのリンカーを使用して、連結され得る。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup、上記およびFinnら、Nuc.Acids Res.24:3357−63(1996)に記載されるように実施され得る。
【0317】
例えば、DNA鎖は、標準的なホスホラミダイト結合化学を使用して固体支持体上で合成され得、そして改変ヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミダイト)は、PNAとDNAの5’末端との間に使用され得る(Magら、Nuc.Acids Res.17:5973−88(1989))。次いで、PNAモノマーを、逐次様式で結合して、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を作製する(Finnら、上記)。あるいは、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成され得る。Petersenら、Bioorg.Med.Chem.Lett.5:1119−11124(1975)を参照のこと。
【0318】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付属基(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため)、あるいは細胞膜(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652(1987);PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)または血液−脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を横切る輸送を容易にする薬剤を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘引(triggered)切断剤(例えば、Krolら、BioTechniques 6:958−976(1988)を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zon、Pharm.Res.5:539−549(1988)を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘引架橋剤、輸送因子、ハイブリダイゼーション誘引切断剤など)に結合され得る。
【0319】
PNA化学および適用は、特に、Rayら、FASEB J.14(9):1041−60(2000);Nielsenら、Pharmacol Toxicol.86(1):3−7(2000);Larsenら、Biochim Biophys Acta 1489(1):159−66(1999);Nielsen,Curr.Opin.Struct.Biol.9(3):353−7(1999)、およびNielsen,Curr.Opin.Biotechnol.10(1):71−5(1999)(これらの開示は、その全体が本明細書中において参考として援用される)において総説がなされる。
【0320】
(診断方法)
(A.核酸診断)
上記のように、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、正常に発現される組織(例えば、膵臓およびCNS)、およびこのような異常組織ミス発現が疑われる場合、正常に発現されない組織におけるgp354 mRNAのレベルを評価するための核酸プローブとして使用され得る。
【0321】
従って、本発明は、サンプルを、gp354ポリヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションによって特異的に検出し得る本発明の単離されたポリヌクレオチドと接触させることによって、生物学的サンプル(例えば、細胞抽出物、患者由来の流体または組織サンプル)におけるgp354ポリヌクレオチドの存在を検出するための方法を提供する。
【0322】
好ましくは、この方法は、高度にストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件下で、サンプルを単離された核酸と接触させる工程、および単離されたポリヌクレオチドのサンプル中の核酸へのハイブリダイゼーションを検出する工程を包含し、ここで、このハイブリダイゼーションの存在は、サンプル中のgp354コード配列の存在を示す。
【0323】
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、これらの組織においてgp354の特異的発現に基づく、膵臓および中枢神経系において特定の細胞型に特異的な核酸プローブとして使用され得る。従って、本発明は、サンプルを、gp354ポリヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションによって特異的に検出し得る本発明の単離されたポリヌクレオチドと接触させることによって、生物学的サンプル(例えば、細胞抽出物、患者由来の流体または組織サンプル)におけるgp354ポリヌクレオチドの存在を検出することによって、膵臓細胞または神経細胞として細胞を同定するための方法を提供する。
【0324】
本発明はまた、以下の少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝損傷または変異の存在または非存在を同定するための診断アッセイを提供する:(i)GP354タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変または変異;(ii)GP354タンパク質をコードする遺伝子のミス調節;および(iii)GP354タンパク質の異常な翻訳後修飾。ここで、野生型形態の遺伝子は、GP354生物学的活性を有するタンパク質をコードする。
【0325】
本発明は、ヒトgp354遺伝子のホモログを同定する方法をさらに提供し、この方法は、核酸ライブラリーを、配列番号1、3、5、6、7、9または11を含む核酸プローブ、または少なくとも17ヌクレオチドを有するその部分と、中程度または高度にストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする工程;およびこの核酸プローブがライブラリーの核酸配列にハイブリダイズするか否かを決定する工程を包含する。ライブラリーの核酸配列がこのような選択された条件下でハイブリダイズする場合、これは、ヒトgp354遺伝子のホモログである。
【0326】
(B.抗体診断)
本発明の抗体は、正常に発現される組織(例えば、膵臓およびCSN)、およびこのような異常組織ミス発現が疑われる場合、正常に発現されない組織において、GP354タンパク質の発現レベルを評価するために使用され得る。
【0327】
従って、本発明は、サンプルを、GP354タンパク質の存在またはその活性のインジケーターを検出し得る薬剤と接触させることによって、生物学的サンプル(例えば、患者由来の細胞抽出物、流体または組織サンプル)においてGP354タンパク質の存在またはその活性を検出するための方法を提供する。好ましくは、この薬剤は、GP354タンパク質の少なくとも1つのエピトープに特異的な抗体である。
【0328】
従って、本発明は、GP354タンパク質がサンプル中に存在するか否かを決定するための方法を提供し、この方法は、サンプルを、少なくとも1つのGP354エピトープを有する抗体と接触させる工程、および抗体の抗原への特異的結合を検出する工程を包含し、これは、サンプル中のGP354タンパク質の存在を示す。
【0329】
上記方法はまた、被験体試験細胞由来の生物学的サンプル(例えば、細胞抽出物、被験体由来の流体または組織サンプル)に存在するGP354ポリペプチドの量を、非膵臓組織かつ非神経組織由来の平行な生物学的サンプルに存在するGP354ポリペプチドの量を比較することによって、被験体の試験細胞を膵臓細胞または神経細胞として同定するのに有用である。
【0330】
(C.疾患を診断するための方法)
本発明のgp354単離ポリヌクレオチド、タンパク質およびGP354特異的抗体は、異常なgp354発現と関連する種々の障害状態および疾患状態を診断するための方法において有用である。
【0331】
従って、本発明は、被験体の疾患状態を診断するための方法を提供し、この方法は、被験体由来の組織サンプル中のGP354タンパク質の量または活性を、コントロールサンプル(例えば、健康な被験体由来の等価なもの)におけるGP354ポリペプチドの量または活性と比較する工程を包含し、ここで、コントロールサンプルにおけるGP354ポリペプチドの量または活性と比較した組織サンプルにおけるGP354ポリペプチドの量または活性における有意な違いは、この被験体が疾患状態を有することを示す。
【0332】
好ましい実施形態において、組織サンプルにおけるGP354タンパク質の量または活性は、本発明のGP354ポリペプチドまたはフラグメントを使用する競合結合アッセイによって、あるいは本発明のGP354特異的抗体を使用するイムノアッセイによって評価される。好ましくは、この方法は、膵臓または神経系に関連する疾患状態を診断するために使用される。
【0333】
異なる組織における相対的なgp354 mRNAレベルをモニタリングすることによって被験体における疾患状態を診断するための方法も提供される。好ましくは、この方法は、この被験体由来の試験組織サンプルにおけるgp354 mRNAの量を、コントロールサンプルにおけるgp354 mRNAの量と比較する工程を包含し、ここで、コントロールサンプルにおける量と比較した試験サンプルにおけるmRNAの量における有意な差は、この被験体が疾患状態を有することを示す。
【0334】
好ましい実施形態において、組織サンプルにおけるgp354 mRNAの量は、本発明の単離されたgp354ポリヌクレオチドまたは核酸フラグメントを使用してハイブリダイゼーションによって評価される。好ましくは、この方法は、膵臓または神経系に関連する疾患状態を診断するために使用される。
【0335】
(コンピューター読み取り可能な手段)
本発明のさらなる局面は、本発明のgp354核酸配列およびアミノ酸配列を保存するためのコンピューター読み取り可能な手段である。好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中に記載される配列番号を、配列の完全なセットとしてまたは任意の組み合わせで保存するためのコンピューター読み取り可能な手段を提供する。コンピューター読み取り可能な手段の記録は、読み取りおよびディスプレイのため、特定の基準に合うデータについての問い合わせ(query)におけるデータの位置付け、配列の比較、セットの基準に合う配列のアライメントまたは順序付けを可能にするプログラムの適用のためのコンピュータシステムとのインターフェースのためなどにアクセスされ得る。
【0336】
本発明の核酸配列およびアミノ酸配列は、検索分析および配列分析アルゴリズムにおいて有用なデータベースの成分として特に有用である。これらの実施形態において使用される場合、用語「本発明の核酸配列」および「本発明のアミノ酸配列」は、コンピューター読み取り可能な形態に換算(reduce)または保存されるか、あるいは換算または保存され得る、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの任意の検出可能な化学的特徴または物理的特徴を意味する。これらとしては、限定しないが、クロマトグラフィー走査データまたはピークデータ、それら由来の写真データまたは走査データ、および質量分析データが挙げられる。
【0337】
本発明は、本発明の配列を保存するコンピューター読み取り可能な媒体を提供する。コンピューター読み取り可能な媒体は、以下の1つ以上を含み得る:本発明の核酸配列の配列を含む核酸配列;本発明のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列;配列の少なくとも1つが本発明の核酸配列の配列を含む、1セットの核酸配列;配列の少なくとも1つが、本発明のアミノ酸配列の配列を含む、1セットのアミノ酸配列;本発明の1つ以上の核酸配列の配列を含む核酸配列を表すデータセット;本発明のアミノ配列の配列を含むアミノ配列をコードする核酸配列を表すデータセット;少なくとも1つの配列が、本発明の核酸配列の配列を含む、1セットの核酸配列;少なくとも1つの配列が、本発明のアミノ酸配列の配列を含む、1セットのアミノ酸配列;本発明の核酸配列の配列を含む核酸配列を表すデータセット;本発明のアミノ配列の配列を含むアミノ酸配列をコードする核酸配列を表すデータセット。コンピューター読み取り可能な媒体は、情報またはデータを保存するために使用される任意の組成の物体(例えば、市販のフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、ハードドライブ、コンパクトディスク、およびビデオディスクを含む)であり得る。
【0338】
従って、本発明は、ヒトgp354遺伝子のホモログを同定するための診断アッセイを提供し、このアッセイは、核酸データベースを、配列番号1、3、5、6、7、9または11からなる問い合わせ配列、または300以上のヌクレオチドを有するその一部を用いてスクリーニングする工程を包含し、ここで、配列番号1、3、5、6、7、9または11、またはその一部と少なくとも65%同一であるが100%未満同一なデータベース内の核酸配列が、存在する場合、ヒトgp354遺伝子のホモログである。
【0339】
特徴配列(特に、本発明の遺伝子配列)の分析のための方法がまた、本発明によって提供される。配列分析の好ましい方法としては、例えば、配列相同性分析(例えば、同一性分析および類似性分析)、RNA構造分析、配列アセンブリ、分岐(cladistic)分析、配列モチーフ分析、オープンリーディングフレーム決定、核酸塩基コーリング(calling)、および配列決定クロマトグラムピーク分析の方法が挙げられる。
【0340】
コンピューターベースの方法を、核酸の相同性の同定を実施するために提供する。この方法は、本発明の核酸の配列を含む核酸配列をコンピューターで読み取り可能な媒体中に提供する工程;および相同性を同定するために、この核酸配列を少なくとも一つの核酸配列またはアミノ酸配列と比較する工程を包含する。
【0341】
コンピューターベースの方法をまた、アミノ酸の相同性の同定を実施するために提供し、この方法は、本発明のポリペプチドの配列を含むアミノ酸配列をコンピューターで読み取り可能な媒体中に提供する工程;および相同性を同定するために、このアミノ酸配列を少なくとも一つの核酸配列またはアミノ酸配列と比較する工程を包含する。
【0342】
コンピューターベースの方法を、またさらに、オーバーラップする核酸配列の構築のために、単一の核酸配列に提供し、この方法は、本発明の核酸の配列を含む第1の核酸配列をコンピューターで読み取り可能な媒体中に提供する工程;および第1の核酸配列と第2の核酸配列との間の少なくとも1つのオーバーラップする領域をスクリーニングする工程を包含する。
【0343】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の方法および材料を例証することを意味する。記載した条件およびパラメーターの適切な変更および追加は、分子生物学の分野において通常になされ、このことは、本発明の精神および範囲内であることは、当業者に明らかである。
【0344】
以下に記載される実験について、全てのRT−PCRおよびフラグメントを、クローニングする前にゲル精製した。このフラグメントを、標準的な方法によって、アガロースゲル電気泳動によって分離した。DNAフラグメントを、アガロースゲルから切り取り、そして製造者の説明書(Qiagen、Valencia、CA)に従い、QIAEX樹脂を使用してゲルから精製した。このゲル精製したフラグメントを、プラスミドベクターにクローニングし、次いで、このプラスミドを用いて、コンピテントなTOP10 E.coli宿主細胞を形質転換した。この宿主細胞によって産生されたプラスミドを、標準的なアルカリ溶解ミニプレップ手順(Qiagen、Valencia、CA)によって単離した。配列決定を、標準的なジデオキシ終結法(Applied Biosystems、Foster City、CA)によって実施した。
【0345】
(実施例1.遺伝子予測および配列分析)
遺伝子予測ソフトウェアプログラムGENSCAN(BurgeおよびKarlin、J.Mol.Biol.268:78−94(1997))ならびにGENEMARKHMM(LukashinおよびBorodovsky、Nuc.Acids Res.26:1107−1115(1998))を使用して、GenBankに寄託されたハイスループットゲノム配列において新規な遺伝子を同定した。そのように同定するために、Genbankデータ全体を、ローカルサーバーにタウンロードし、個々の配列のコンティグを、配列の入力に伴って提供されるアノテーションに従って分離した。この分析において使用されたパラメーターは、そのプログラムとともに含まれるデフォルトパラメーターであった(Burgeら、前出;およびLukashinら、前出)。
【0346】
GENSCANおよびGENEMARKHMMから同様の結果が得られた遺伝子を、さらに分析した。具体的には、これらの遺伝子配列を、タンパク質配列に翻訳し、次に、これらのタンパク質配列を、GenpeptおよびSwissprotのタンパク質配列データベースのBlast分析において問い合わせ配列として使用した。
【0347】
BLAST(「Basic Local Alignment Search Tool」)アルゴリズムは、配列の類似性を決定するのに適切である(Altschulら、J.Mol.Biol.、215、403−410(1999))。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、ウェブサイトのthe National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公共利用可能である。このアルゴリズムは、問い合わせ配列中のW長の短いワードを同定することによってハイスコアリング配列ペア(high scoring sequence pair(HSP))を最初に同定することを含み、これは、データベース配列中の同じ長さのワードでアライメントした場合、いくつかの正の値の閾値スコアTと一致するか、このスコアTを満足するかのいずれかである。Tは、隣接するワードのスコア閾値として言及される(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接するワードのヒットは、サーチを開始するためのシードとして作用し、これらを含むHSPを見出す。ワードのヒットは、累積的アライメントスコアを増加させ得る限り、各配列に沿って両方向に伸展される。各方向でのワードのヒットの伸展は、以下の場合に停止される:(1)この累積的アライメントスコアが、最大の達成値から問い合わせ配列Xに出くわす場合;(2)この累積的スコアが、1以上の負のスコアを与える残基のアライメントの累積に起因して、0以下になる場合;または(3)いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、このアライメントの感度および速度を決定する。このBLASTプログラムは、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアマトリクス(Henikoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89、10915−10919(1992))アライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0348】
BLAST(Karlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90、5873−5787(1993))およびGAPPED BLASTは、2つの配列間の類似性の統計的な分析を行う。BLASTアルゴリズムによって提供される1つの類似性の測定は、最小の合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間または2つのアミノ酸配列間での一致が偶然生じるかの確率の指標を提供する。例えば、テスト核酸をgp354核酸と比較して最小の合計確率が、約1未満、好ましくは、約0.1未満、より好ましくは、約0.01未満、そして最も好ましくは、約0.001未満である場合、核酸がgp354の遺伝子またはcDNAと類似しているとみなされる。
【0349】
このgp345遺伝子(ORF)を、GenBank登録番号AC022315(これは、2000年2月10日に寄託された)のBACのコンティグ38中において同定した。この遺伝子についてのGENSCAN予測は、逆方向であり、そして表3に示される以下の14個のエキソンを含んだ。
【0350】
【表4】
Figure 2004500872
公共利用可能なESTのデータベースに対するgp354遺伝子のBLAST分析は、ESTが予測された遺伝子と一致しないことを示した。
【0351】
(実施例2:gp354の増幅)
gp354cDNAの配列を、MARATHON−READY RACEキット(Clontech、Palo Alto、CA)を使用して、cDNA末端の迅速な増幅(RACE)を実施することによって得る。MARATHON−READY cDNAは、ヒトの組織のmRNAから合成した二重鎖cDNAであり、これを、標準的なアダプターのセット(Clontech)に連結した。全てのRACE反応は、このキットと共に提供されるアダプタープライマーAP−1、5’−CCATCCTAATACGACTCACTATAGGGC−3’(配列番号14)を使用する。gp354についての3’RACEは、順方向プライマーGX1−218、5’−TACTGGGGGCTAGTTCAGTGGACTAA−3’(配列番号16)、または逆方向プライマーGX1−219の相補体、5’−CCAAACAGCACATCCAGCGCAGTAC−3’(配列番号17)と共にAP−1を使用し得る。gp354についての5’RACEは、逆方向プライマーGX1−219、または逆方向プライマーGX1−218の相補体と共にAP−1を使用し得る。ADVANTAGE 2 DNAポリメラーゼ(Clontech)を、増幅反応のために使用し得る。「タッチダウン(touchdown)」PCR(Donら、Nuc.Acids Res.19:4008(1991))条件を、熱サイクルに使用したことを除いて、MARATHON−READYキットを、製造者の説明書に従って使用し得る。熱サイクル条件は、以下の通りである:94℃で1分間;94℃で15秒間、72℃で15秒間、68℃で15秒間の1サイクル;94℃で15秒間、71℃で15秒間、68℃で15秒間の1サイクル;94℃で15秒間、70℃で15秒間、68℃で15秒間の1サイクル;94℃で15秒間、69℃で15秒間、68℃で15秒間の1サイクル;94℃で15秒間、68℃で30秒間の35サイクル;そして68℃で10分間。
【0352】
(実施例3:RT−PCRによるGP354発現の確認)
インターエキソン−PCRを、この予測されたgp354遺伝子が実際に発現されることを確認するため、および(予測された遺伝子構造ではなく)本当の遺伝子構造を決定するクローニングプロセスを開始するために使用した。このPCRを、複数の組織のcDNAパネル(逆転写PCR(「RT−PCR」)によって、これらの組織から単離されたmRNAから生成される)を使用して、製造者の説明書(Clontech)に従って実施した。複数の組織のcDNAパネルより、PCRのためのテンプレートとして二重鎖のヒトcDNAを提供した。GX1−218およびGX1−219(前出)を、PCRのためのプライマーとして使用した。PCRのための熱サイクラー条件は、以下の通りであった:94℃で1分間、続いて、94℃で20秒間、68℃で2分間の35サイクル、続いて、68℃で5分間(最終サイクル)。
【0353】
この複数のヒト組織のcDNAパネルは、以下の組織由来のcDNAを含んだ:脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、下垂体、骨格筋、結腸、卵巣、末梢血白血球、前立腺、小腸、脾臓、精巣、および胸腺。これらの結果を、表3に示す。約785bpのバンドは、膵臓において観測され、そして他の組織中において観測されなかった。
【0354】
膵臓由来のPCRフラグメントを、PCR2.1プラスミドベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)中にクローニングした。得られたプラスミド構築物CS0026(ATCC登録番号PCT−4450;2002年6月11日に寄託された)を増殖し、そして挿入物を、上記のように配列決定した。この配列を、配列番号3として示す。
【0355】
(実施例4:RACEによる全長gp354cDNAの同定)
遺伝子予測プログラムGENSCANおよびGENEMARKは、予測可能なエラー比率を有するので(Burgeら、前出;Lukashinら、前出)、実施例3に記載されるPCRフラグメントを、RACE反応を介して、gp354cDNA配列の比率を得るために、種配列として使用する。この3’RACE反応について、このプライマーは、GX1−218またはGX1−219の相補体であり、そしてこのテンプレートは、ヒトの膵臓組織由来のcDNAである(実施例3を参照のこと)。この5’RACEについて、このプライマーは、GX1−219またはGX1−218の相補体であり、そしてこのテンプレートはまた、ヒトの膵臓組織由来のcDNAである。このように得られた5’RACEフラグメントおよび3’RACEフラグメントを、ゲル精製し、クローニングし、そして配列決定した。全長gp354cDNA配列を構築するために、初期PCR産物、5’RACE産物および3’RACE産物を、GCGコンピューターパッケージ中のASSEMBLEプログラム(Genetics Computer Group、Madison、Wisconsin)を使用して、単一の連続配列中に構築する。
【0356】
(実施例5:ノーザンブロット分析によるGP354発現の確認)
GP354発現を確認するために、ノーザンブロット分析を、2μgのポリA RNAを含むブロット(Clontechカタログ番号7760−1)の各レーンで処理した。このブロットに示される組織は、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、および膵臓を含んだ。このノーザンブロットのためのプローブは、実施例3に記載されるPCRフラグメント(配列番号3)であった。50ngのプローブを、FeinbergおよびVogelsteinのランダムプライム化方法によって標識した(Anal.Biochem.132:6−13(1983))。ハイブリダイゼーションを、EXPRESSHYB溶液(Clontechカタログ番号8015−1)中において68℃、1時間で実施した。オートラジオグラフィの前に、ノーザンブロットを、室温にて2×SSC/0.05%SDSで洗浄し、続いて、50℃の0.1×SSC/0.1%SDSで2回洗浄した。膵臓cDNAのPCRにおける場合、約785bpのバンドを、ノーザンブロット中で観測した。他の組織は、GP354の発現を示さなかった(図4)。
【0357】
(実施例6:ゲノムライブラリーのPCRスクリーニングおよびGP354コード領域のサブスクリーニング)
gp354ゲノム遺伝子座のサブクローニングを、ゲノムライブラリーから、またはゲノムDNAから直接的に、PCRによって達成し得る。例えば、2μlのヒトゲノムライブラリー(約10PFU/ml)(Clontech)を、6mlのK802細胞(一晩培養)(Clontech)に添加し、次いで、250mlのアリコートとして、各々の24本のマイクロチューブに分配した。このマイクロチューブを、15分間、37℃でインキュベートする。7mlのアガロース(0.8%)を、各チューブに添加し、混合し、次いで、LB寒天+10mlのMgSOプレート上に注ぎ、そして37℃で一晩インキュベートした。5mlのSMファージ緩衝液(0.1M NaCl、8.1mM MgSO・7HO、50mM Tris・Cl(pH7.5)、0.01%ゼラチン)を各プレート(5ml)に添加し、そしてアガロースの上部を、顕微鏡用のスライドを用いて取り除き、そして50mlの遠心管に配置する。一滴のクロロホルムを添加し、そしてこのチューブを、37℃の振盪器に15分間配置し、次いで、20分間、4000rpmで遠心分離(Sorvall RT6000卓上用遠心分離器)し、そしてこの上清を、ストック溶液として4℃で保存した。
【0358】
次いで、PCRを、以下を含む20ml中で実施した:8.8mlのHO、4mlの5×RAPID−LOAD BUFFER(Origene)、2mlの10×PCR BUFFER II(Perkin Elmer)、2mlの25mMのMgCl、0.8mlの10mMのdNTP、配列番号1のgp354ポリヌクレオチドの5’末端の配列の少なくとも一部分を含む、0.12mlのプライマー(1mg/ml)、配列番号1のgp354ポリヌクレオチドの3’末端に対して相補的である配列の少なくとも一部分を含む、0.12mlのプライマー(1mg/ml)、0.2mlのAMPLITAQ GOLDポリメラーゼ(Perkin Elmer)および24本のチューブの各々からの2mlのファージ溶液。このPCR反応は、以下を含む:80℃で20分間、95℃で10分間の1サイクル;次いで、95℃で30秒間、72℃で4分間(サイクル毎に1℃低下させる)、68℃で2分間の22サイクル、続いて、95℃で30秒間、55℃で30秒間、68℃で60秒間での30サイクル。この反応物を、2%のアガロースゲル上に充填する。
【0359】
正確なサイズのPCR産物を与えるチューブから、5μlを、5個の1:10の希釈物を設定するために使用し、これを、LB寒天+10mlのMgSOプレート上に配置し、そして一晩インキュベートした。BA85ニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schuell)を、1時間、各プレートの上部に配置する。フィルターを取り除き、ペトリ皿の上側にファージを配置し、そしてファージを溶出するために、15分間、4mlのSM緩衝液で覆う。1mlのSM緩衝液を、各プレートから取り除き、そして上記のようにPCR反応を設定するために使用する。PCR産物を得るために最も希釈したプレートを細分し、フィルターを載せ、そしてPCR反応を繰り返す。このプレートの一連の希釈および細分を、ポジティブなPCRバンドを与える単一のプラークが単離されるまで、続ける。一旦、単一のプラークが単離されると、10mlのファージ上清を、1プレート当たり100mlのSM細胞および200mlのK802細胞に添加し、全部で8個のプレートを設定する。このプレートを一晩37℃でインキュベートする。8mlのSMを、各プレートに添加し、そしてアガロースの上部を、顕微鏡用のスライドで擦り落し、そして遠心管中に収集する。
【0360】
3滴のクロロホルムを、遠心管に添加する。続いて、このチューブをボルテックスにかけ、15分間、37℃でインキュベートし、そして20分間、4000rpmで遠心分離(Sorvall RT6000卓上用遠心分離器)し、ファージを回収する。回収したファージを使用して、QIAGEN LAMBDA MIDI KITを使用してゲノムファージDNAを単離する。プライマーに関する配列は、本明細書中で示す配列に由来し得る。
【0361】
gp354遺伝子のコード配列をサブクローニングするために、PCRを、以下を含む50μlの反応物中で実施する:33μlのHO、5μlの10×TT緩衝液(140mMの硫化アンモニウム、0.1%のゼラチン、0.6MのTris−トリシン pH8.4)、5μlの15mMnMgSO、2μlの10mMのdNTP、4μlのゲノムファージDNA(0.1μg/ml)、配列番号1のgp354ポリヌクレオチドの最も5’側のコード配列の少なくとも一部分を含む、0.3μlのプライマー(1μl/ml)、配列番号1のgp354ポリヌクレオチドの最も3’側のコード配列の少なくとも一部分に対して相補的である配列を含む、0.3μlのプライマー(1μg/ml)、0.4μlのHIGH FIDELITY Taqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)。PCR反応を、94℃で2分間の1サイクルで開始し、続いて、94℃で30秒間、55℃で60秒間の15サイクル、そして68℃で2分間実施した。
【0362】
PCR産物を、2%のアガロースゲル上に充填する。期待されるサイズのDNAバンドを、ゲルから切り取り、GENELUTE AGAROSEスピンカラム(Supelco)に配置し、そして10分間、最大速度で遠心した。溶出したDNAを、エタノールで沈殿させ、そしてライゲーションのために12μlのHO中で再懸濁させた。これらのPCRプライマー配列は、本明細書中で提供される配列に由来し得る。
【0363】
このライゲーション反応は、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)からの溶液を使用する。この反応は、室温で5分間かけて、4μlのPCR産物および1μlのpCRII−TOPOベクターを含む溶液中で進める。この反応を、1μlの6×TOPOクローニング停止溶液の添加によって終結させる。次いで、このライゲーション産物を、氷上に配置する。2μlのライゲーション反応物を使用して、ONE−SHOT TOP10細胞(Invitrogen)を形質転換する。簡潔には、このライゲーション反応物を、この細胞と共に混合し、そして30分間、氷上に配置する。次いで、この細胞に、30秒間、42℃の熱ショックを与え、そして2分間、氷上に配置する。次に、250μlのSOCを、細胞に添加し、これを、1時間、37℃で振盪させながらインキュベートし、次いで、アンピシリンプレート上にプレートする。
【0364】
このプレートからの単一のコロニーを使用して、5mlのLB培地の培養物を播種する。プラスミドDNAを、CONCERT RAPID PLASMID MINIPREP SYSTEM(GibcoBRL)を使用して、この培養物から精製し、次いで、プラスミドDNAの挿入物を、配列決定する。
【0365】
このgp354ゲノムファージDNAを、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(PE Applied Biosystems)(これは、高度なキャピラリー電気泳動技術およびABI PRISM BIGDYE Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kitを使用する)を使用して配列決定した。サイクル−配列決定反応物は、14mlのHO、16mlのBEGDYE Terminator混合物、7mlのゲノムファージDNA(0.1mg/ml)および3mlのプライマー(25ng/ml)を含み得る。この反応を、Perkin−Elmer 9600熱サイクラー中で、以下により実施する:95℃で5分間、続いて95℃で30秒間、55℃で20秒間の99サイクル、そして60℃で4分間。この産物を、CENTRIFLEXゲル濾過カートリッジを使用して精製し、減圧下で乾燥し、次いで16μlのTemplate Suppression Reagent(テンプレート抑制剤)(PE Applied Biosystems)中に溶解する。これらのサンプルを、95℃で5分間加熱し、次いで、310 Genetic Analyzer中に配置する。
【0366】
pCRIIにサブクローニングしたDNAを、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(前出)を使用して配列決定する。各々のサイクル−配列決定反応物は、6mlのHO、8mlのBIGDYE Terminator混合物、5mlのミニプレップDNA(0.1mg/ml)、および1mlのプライマー(25ng/ml)を含み、そしてPerkin−Elmer 9600熱サイクラー中で、96℃で10秒間、50℃で10秒間の25サイクル、そして60℃で4分間により実施する。この産物を、CENTRIFLEXゲル濾過カートリッジを使用して精製し、減圧下で乾燥し、そして次いで16μlのTemplate Suppression Reagent中に溶解する。これらのサンプルを、95℃で5分間加熱し、次いで、310 Genetic Analyzer中に配置する。
【0367】
(実施例7:脳におけるGP364の発現を実証するためのハイブリダイゼーション分析)
哺乳動物(例えば、ラット)におけるgp354の発現は、インサイチュのハイブリダイゼーション組織化学によって研究され得る。膵臓におけるgp354発現を研究するために、例えば、Reichert−Jungクリオスタットを使用して、矢状および冠状のラットの膵臓凍結切片(20μm厚)を調製する。個々の切片を、シラン処理したヌクレアーゼを含まないスライド(CEL Associates,Inc.、Houston、TX)に凍結固定し、そして−80℃で保存する。切片を、固定後に、4%の冷パラホルムアルデヒド中で始めて処理し、冷リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中でリンスし、トリエタノールアミン緩衝液中の無水酢酸を使用してアセチル化し、そして室温における70%、95%および100%のアルコールでの一連のアルコール洗浄によって脱水する。続いて、切片をクロロホルム中で脱脂し、続いて、室温で100%および95%のアルコールに連続的に暴露することによって再水和する。処理した凍結切片を含む顕微鏡用スライドを、ハイブリダイゼーションの前に空気乾燥させる。他の組織を、同様の様式でアッセイし得る。
【0368】
gp354特異的プローブを、PCRおよび配列番号1または配列番号3からの配列情報を使用して作製し得る。PCR増幅後、フラグメントを制限酵素で消化し、そして同じ酵素を用いて切断したpBluescript IIにクローン化する。gp354のセンス鎖に特異的なプローブの生成のために、pBluescript IIにクローン化されたクローン化gp354フラグメントを、適切な制限酵素で直線化し得、これはベクター性T7プロモーターおよび市販のT7 RNAポリメラーゼを使用して、標識されたランオフ(run−off)転写物(すなわち、cRNAリボプローブ)に対する基質を提供する。gp354のアンチセンス鎖に特異的なプローブをまた、組換えプラスミドを適切な制限酵素で切断し、T3プロモーターおよび同族ポリメラーゼを使用して、標識されたランオフcRNA転写物の生成のための直線化基質を生成することにより、pBluescript中のgp354を使用して容易に調製し得る。
【0369】
リボプローブを、[35S]−UTPで標識して、アンチセンスリボプローブについて、約0.40×10cpm/pmolの比活性、およびセンス鎖リボプローブについて、約0.65×10cpm/pmolの比活性を生じ得る。続いて、各リボプローブを変性し、そして50% ホルムアミド、10% デキストラン、0.3M NaCl、10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、1×デンハルト溶液、および10mM ジチオトレイオールを含むハイブリダイゼーション緩衝液に添加する(2pmol/ml)。
【0370】
得られた膵臓凍結切片を含む顕微鏡用スライドを、スライド1つあたり45μlのハイブリダイゼーション溶液に単独で暴露し、そしてハイブリダイゼーション溶液に暴露されている部分の上にシラン処理されたカバースリップを置き得る。切片を52℃で一晩(例えば、15〜18時間)インキュベートし、ハイブリダイゼーションを起こす。次いで、等量の凍結切片を、センスまたはアンチセンスのgp354特異的cRNAリボプローブに暴露する。
【0371】
ハイブリダイゼーション期間の後、このスライドのカバーガラスを1×SSC中で洗浄し、続いてこのスライドを、37℃で45分間、10mM Tris・HCl(pH7.4)、0.5M EDTAおよび0.5M NaClを含む緩衝液中20μg/mlのRNase Aに暴露することによって、RAase A処理する。次いで、この凍結切片を、それぞれ20分間の、0.1×SSC中、52℃の3回の高いストリンジェンシーの洗浄に供する。一連の洗浄の後、この凍結切片を、アルコール中70%、95%および100%の酢酸アンモニウムに連続的に暴露し、続いて空気乾燥し、そしてKODAK BIOMAX MR−1フィルムに暴露することによって、この凍結切片を脱水する。暴露の13日後、このフィルムを現像し、そして任意の有意なハイブリダイゼーションシグナルを検出する。
【0372】
これらの結果に基づいて、フィルムのオートラジオグラムにより示されるようにハイブリダイズした組織を含むスライドに、KODAK NTB−2核トラックエマルジョンをコーティングし、そしてこのスライドを暗室で32日間保存する。次いで、このスライドを現像し、そしてヘマトキシリンで対比染色する。エマルジョンでコーティングされた部分を、顕微鏡で分析して、標識の特異性を決定する。オートラジオグラフグレイン(アンチセンスプローブのハイブリダイゼーションによって生成する)が、クレシルバイオレットで染色された細胞体と明らかに会合している場合、このシグナルを特異的であると決定する。細胞体間に見出されるオートラジオグラフグレインは、プローブの非特異的結合を示す。
【0373】
膵臓および脳におけるGP354の発現(下記)は、GP354活性の調節は、神経系におけるGP354の活性を阻害または増加することによって、特定の神経障害を処置するための有用性を有するという効能を提供する。
【0374】
(実施例8:gp354−RNAのノーザンブロット分析)
ノーザンブロットハイブリダイゼーションを行って、gp354 mRNAの発現を試験し得る。配列番号1、配列番号3またはそれらの相補体の少なくとも一部を含むクローンを、プローブとして使用し得る。ベクター特異的プライマーを、PCRに使用して、32P標識のためのハイブリダイゼーションプローブフラグメントを生成する。PCRは、以下のように行う:
(1)以下の試薬を混合する:
1μl gp354含有プラスミド
2μl 順方向プライマー
2μl 逆方向プライマー
10μl Taqポリメラーゼのメーカー(例えば、Amersham Pharmacia Biotech)により提供される10×PCR緩衝液
1μl 10mM dNTP(例えば、Boehringer Mannheimカタログ番号1969064)
0.5μl Taqポリメラーゼ(例えば、Amersham Pharmacia Biotechカタログ番号27−0799−62)
83.5μl 水。
【0375】
(2)以下のプログラムを使用して、サーモサイクラーでPCRを行う:
94℃で5分;94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分を30サイクル;および72℃で10分。
【0376】
PCR産物を、QIAQUICK PCR Purification Kit(Qiagenカタログ番号28104)を使用して精製し得る。この精製したPCRフラグメントを、「Ready to go DNA Labeling Beads」(Amersham pharmacia Biotechカタログ番号2−9240−01)を使用するランダムプライミングによって、32P−dCTP(Amersham Pharmacia Biotechカタログ番号AA005/250)で標識する。メーカーのプロトコルに従って、Clontech由来のヒト多組織ノーザンブロットについてハイブリダイゼーションを行う。Molecular Dynamics PHOSPHORIMAGERスクリーン(カタログ番号MD146−814)で一晩露光した後、約1.35kbのバンドを可視化する。
【0377】
(実施例9:真核生物宿主細胞におけるGP354の組換え発現)
(A.哺乳動物細胞におけるgp354の発現)
GP354タンパク質を生成するために、GP354コードポリヌクレオチドを、組換え技術を使用して発現する。例えば、実施例1に記載の配列を、市販の発現ベクターのpzeoSV2(Invitrogen)にサブクローニングする。得られた発現構築物を、トランスフェクション試薬のFUGENE6(Boehringer−Mannheim)および製品挿入物に提供されるトランスフェクションプロトコルを使用してチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクトする。他の真核生物細胞株(ヒト胚性腎臓(HEK 293)およびCOS細胞を含む)も同様に適切である。
【0378】
GP354を安定に発現する細胞を、100μg/mlのゼオシン(zeocin)(Stratagene,LaJolla,CA)の存在下における増殖によって選択する。必要に応じて、GP354を、標準的なクロマトグラフィー技術を使用して、細胞から精製し得る。精製を容易にするために、GP354アミノ酸配列の部分に対応する1つ以上の合成ペプチド配列に対して抗血清を惹起し、そしてこの抗血清を使用してGP354を親和性精製する。このGP354タンパク質をまた、タグ配列(例えば、ポリヒスチジン、赤血球凝集素またはFLAG)とインフレームで発現して、精製を促進する。さらに、GP354ポリペプチドの多くの用途(例えば、以下に記載されるアッセイ)は、宿主細胞からのGP354の精製を必要としないことが理解される。
【0379】
(B.293細胞におけるGP354の発現)
哺乳動物細胞293(形質転換されたヒトまたは霊長類の胚性腎臓細胞)におけるGP354の発現のために、関連のgp354コード配列を有するプラスミドを、ベクターpSecTag2A(Invitrogen)を使用して調製する。ベクターpSecTag2Aは、分泌のためのマウスIgK鎖リーダー配列、抗myc抗体を用いて組み替えタンパク質を検出するためのc−mycエピトープ、ニッケルキレートクロマトグラフィーを用いて精製するためのC末端ポリヒスチジン、および安定なトランスフェクト体の選択のためのゼオシン耐性遺伝子を含む。このgp354 cDNAの増幅のための順方向プライマーを、標準的な手順によって決定し、そしてこの順方向プライマーは、好ましくは、HindIIIクローニング部位を導入するためのヌクレオチドの5’伸長部分およびgp354配列と一致するヌクレオチドを含む。逆方向プライマーをまた、慣用的な手順によって決定し、そしてこの逆方向プライマーは、好ましくは、クローニングのためのXhoI制限部位を導入するためのヌクレオチドの5’伸長部分およびgp354配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを含む。PCR条件は、アニーリング温度として55℃である。PCR産物をゲル精製し、そしてベクターのHindIII−XhoIにクローニングする。QIAGENクロマトグラフィーカラムを使用して、DNAを精製し、そしてDOTAPトランスフェクション培地(Boehringer Mannheim)を使用して、293細胞にトランスフェクトする。一過性にトランスフェクトされた細胞を、トランスフェクションの24時間後に、抗Hisおよび抗GP354ペプチド抗体を使用してプローブするウエスタンブロットを使用して、発現について試験する。
【0380】
永久的にトランスフェクトされた細胞を、Zeocinを用いて選択肢、そして増殖する。組換えタンパク質の産生を、抗His、抗Mycまたは抗GP354ペプチド抗体でプローブするウエスタンブロットを使用して、細胞および培地の両方から検出する。
【0381】
(C.COS細胞におけるGP354の発現)
COS7細胞におけるGP354の発現について、例えば、配列番号1の配列を有するポリヌクレオチドを、ベクターp3−CIにクローニングし得る。このベクターは、bGH(ウシ成長ホルモン)ポリアデニル化配列から上流に位置するHCMV(ヒトサイトメガロウイルス)プロモーターイントロン、および多クローニング部位を含む、pUC18由来プラスミドである。さらに、プラスミドは、安定な形質転換体の選択のためのメトトレキセート(MTX)の存在下における選択を提供するdhrf(ジヒドロホレートレダクターゼ)を含む。
【0382】
順方向プライマーを、慣用的な手順で決定し、そしてこの順方向プライマーは、好ましくは、クローニングのためのXbaI制限部位を導入する5’伸長部位、続いて配列番号1のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドを含む。逆方向プライマーをまた、慣用的な手順で決定し、そしてこの逆方向プライマーは、好ましくは、SalIクローニング部位を導入するヌクレオチドの5’伸長部分、続いて配列番号1のヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを含む。
【0383】
このPCRは、95℃で5分の最初の変性工程;95℃で30秒の変性、58℃で30秒のアニーリングおよび72℃で30秒の伸長の30サイクル;続いて72℃で5分の伸長を包含する。PCR産物をゲル精製し、そしてベクターp3−CIのXbaIおよびSalI部位に連結する。この構築物を使用して、コンピテントE.coli細胞を形質転換する。次いで、QIAGENクロマトグラフィーカラムを用いて、E.coli培養物からプラスミドDNAを精製し、そしてメーカーの仕様書に従って、BRL製のLIPOFECTAMINE試薬を使用して、COS7細胞にトランスフェクトする。トランスフェクションの48時間後および72時間後に、この培地および細胞を、組換えタンパク質の発現について試験する。
【0384】
COS細胞培養物から発現したGP354を、最初に、細胞増殖培地を約10mgタンパク質/mlまで濃縮することによって精製し得る。この精製は、例えば、クロマトグラフィーによって達成し得る。
【0385】
精製したGP354を、YM−10膜を備えたAMICON濃縮機で、0.5mg/mlまで濃縮し、そして−80℃で保存する。
【0386】
(D.昆虫細胞におけるGP354の発現)
バキュロウイルス系におけるGP354の発現について、配列番号1の配列を有するポリヌクレオチドを、PCRによって増幅する。順方向プライマーを、慣用的な手順によって決定し、そしてこの順方向プライマーは、好ましくは、NdeIクローニング部位を付加する5’伸長部分、続いて配列番号1のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドを含む。逆方向プライマーをまた、慣用的な手順によって決定し、そしてこの逆方向プライマーは、好ましくは、KpnIクローニング部位を導入する5’伸長部分、続いて入れて配列番号1のヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを含む。
【0387】
PCR産物をゲル精製し、NdeIおよびKpnIで消化し、そして発現ベクターpAcHTL−A(Pharmingen,San Diego,,CA)の対応する部位にクローニングする。このpAcHTLベクターは、Autographaカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強力な多角プロモーター、および多クローニング部位から上流の6×Hisタグを含む。リン酸化のためのタンパク質キナーゼ部位および組換えタンパク質の切除のためのトロンビン部位をコードする核酸配列は、多クローニング部位の前にある。
【0388】
もちろん、多くの他のバキュロウイルスベクター(例えば、pAC373、pVL941およびpAcIM1)を、pAcHTL−Aの代わりに使用し得る。GP354ポリペプチドの発現のために適切な他のベクターをまた使用し得るが、ただし、ベクター構築物は、転写、翻訳および輸送のための適切に配置されたシグナル(例えば、インフレームのAUGおよびシグナルペプチド)を必要に応じて含む。このようなベクターは、例えば、Luckowら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
【0389】
このウイルスを、標準的なバキュロウイルス発現方法(例えば、Summersら、A MANUAL OF METHODS FOR BACULOVIRUS VECTORS AND INSECT CELL CULTURE PROCEDURES,Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No.1555(1987)に記載される方法)を使用して、増殖および単離する。好ましい実施形態において、gp354遺伝子を含むpAcHLT−Aを、BACULOGOLDトランスフェクションキット(Pharmingen)を使用して、バキュロウイルスに導入する。感染の24時間後に、感染細胞を35S−メチオニンで放射標識することによって、個々のウイルス単離体をタンパク質産生について分析する。感染細胞を、感染の48時間後に収集し、そして標識タンパク質をSDS−PAGEによって可視化する。高い発現レベルを示すウイルスを単離し、そしてスケールアップした発現のために使用する。
【0390】
Sf9細胞におけるGP354ポリペプチドの発現について、配列番号1の配列を有するポリヌクレオチドを、バキュロウイルス発現について上に記載された方法を使用して、PCRによって増幅し得る。gp354 cDNAを、Sf9昆虫細胞における発現のためのベクターAcHLT−A(Pharmingen)にクローニングする。(バキュロウイルスにおける発現のための上記の同じプライマーを使用して)内部NdeI部位を除去した後に、この挿入物をNdeIおよびkpnI部位にクローニングする。DNAを、QIAGENクロマトグラフィーカラムを用いて精製し、そしてSf9細胞において発現させる。GP354特異的抗体を使用して、精製していないプラークの予備的ウエスタンブロット実験を、推定サイズの組換えタンパク質の存在について試験する。さらなる精製およびHiG5細胞における発現の最適化の後に、この結果を確認する。
【0391】
(実施例10:相互作用捕捉/ツーハイブリッドシステム)
GP354相互作用タンパク質についてアッセイするために、相互作用捕捉/ツーハイブリッドライブラリースクリーニング方法を使用し得る。このアッセイは、最初に、Fieldsら、Nature 340:245(1989)において記載された。プロトコルは、Ausubelら、SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NY(1999)およびAusubel.F.M.ら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、第4版、Greene and Wiley−interscience,NY(1992)に公開される。キットは、例えば、Clontech(MATCHMAKER Two−Hybrid System 3)から市販される。
【0392】
GP354の全てまたは一部をコードする核酸配列と、酵母転写因子GAL4のDNA結合ドメイン(DNA−BD)との融合物を、適切なベクター(すなわち、pGBKT7)を使用して構築する。同様に、GAL4活性ドメイン(ad)融合ライブラフィーを、潜在的なGP354結合タンパク質のcDNA由来の第2のプラスミド(すなわち、pGADT7)において構築する。cDNAライブラリの作製のプロトコルについては、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版、Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)を参照のこと。
【0393】
DNA−BD/GP354融合構築物を、配列決定によって確認し、そして自立性レセプター遺伝子活性化および細胞毒性(この両方は、首尾良いツーハイブリッド分析を可能にする)について試験する。類似のコントロールを、AD/ライブラリー融合構築物を用いて実施して、宿主細胞における発現および転写活性の欠失を証明する。標準的な手順(Ausubelら、前出)に従って、酵母細胞に、GP354およびライブラフィー融合プラスミドの両方を形質転換する(約105形質転換体/mgDNA)。DNA−BD/GP354とAD/ライブラリータンパク質とのインビボ結合により、特定の酵母プラスミドレポーター遺伝子(すなわち、lacZ、HIS3、ADE2、LEU2)の転写が生じる。酵母細胞を栄養不足培地に入れて、レポーター遺伝子の発現についてスクリーニングする。Xgal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−D−ガラクトシド)を補充した培地中で増殖した後、コロニーをβ−ガラクトシダーゼ活性について二連でアッセイする(β−ガラクトシダーゼ活性のフィルターアッセイは、Breedenら、Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.,50:643(1985)に記載される)。陽性のAD−ライブラリープラスミドを、形質転換体からレスキューし、そしてもとの酵母株および無関係のDNA−BD融合タンパク質を含む他の株に再導入して、特定のGP354/ライブラリータンパク質の相互作用を確認する。挿入DNAを配列決定して、GAL4 ADに融合したオープンリーディングフレームの存在を証明し、そしてGP354結合タンパク質の同一性を決定する。
【0394】
(実施例11:GP354ポリペプチドに対する抗体)
GP354に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成し、そしてこれらの有用な抗原結合フラグメントまたはそれらの改変体(「ヒト化」改変体および全ヒト抗体を含む)を生成するために、標準的な技術を用いる。このようなプロトコルは、例えば、Sambrookら(前出)、およびHarlowら編、ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1988)に見出され得る。いくつかの実施形態において、組換えGP354ポリペプチド(またはこのようなポリペプチドを含む細胞もしくは細胞膜)を、抗体を生成するための抗原として使用する。いくつかの実施形態において得、GP354の免疫原性部分に対応するアミノ酸配列を有する1つ以上のペプチド(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のアミノ酸)を、抗原として使用する。GP354の細胞外部分に対応するペプチド、特に、親水性細胞外部分が好ましい。抗原をアジュバントと混合するか、またはハプテンに結合して、抗体産生を増加し得る。
【0395】
(A.ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)
1つの代表的なプロトコルにおいて、組換えGP354またはその合成フラグメントを使用して、マウスを免疫してモノクローナル抗体を生成するか、またはポリクローナル抗体については、より大きな哺乳動物(例えば、ウサギ)を免役する。抗原性を増大するために、ペプチドを、例えば、Pierceから市販されるキーホールリンペットヘモシアニンに結合し得る。最初の注射について、この抗原をフロイント完全アジュバントと共に乳化し、そして皮下注射する。2〜3週間の間隔で、GP354抗原のさらなるアリコートを、フロイントの不完全アジュバントと共に乳化し、そして皮下注射する。最後のブースト注射の前に、血清サンプルを、この免疫したマウスから採取し、そしてウエスタンブロットによってアッセイして、GP354と免疫反応性の抗体の存在を確認する。この免疫した動物由来の血清は、ポリクローナル抗血清として使用され得るか、またはGP354を認識するポリクローナル抗体を単離するために使用され得る。
【0396】
あるいは、マウスを屠殺し、モノクローナル抗体の生成のために、それらの脾臓を取り出す。モノクローナル抗体を生成するために、この脾臓を、10mlの血清を含まないRPMI 1640に入れ、そして2mM M−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、100単位/ml ペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシン(RPMI)(Bibco,Canada)を補充した血清を含まないRPMI 1640中でこの脾臓を粉砕することによって、単一細胞の懸濁液を形成する。この細胞懸濁液を濾過し、そして遠心分離によって洗浄し、そして血清を含まないRPMIに再懸濁する。ネイティブのBalb/cマウスから採取した胸腺細胞を、類似の様式で調製し、そして支持細胞層として使用する。10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories,Inc.,Logan,Utah)を含むRPMI中で、融合前の3日間対数期に保たれたNS−1骨髄腫細胞を、同様に遠心分離し、そして洗浄する。
【0397】
ハイブリドーマ融合物を生成するために、免役したマウス由来の脾臓細胞をNS−1細胞と合わせ、そして遠心分離し、そして上清を吸引する。この細胞ペレットを、チューブを叩くことによって取り出し、そして2mlの37℃のPEG 1500(75mM HEPES(pH8.0)中50%)をこのペレットに加えて撹拌し、続いて血清を含まないRPMIを添加する。その後、この細胞を遠心分離し、15% FBS、100μM ナトリウムハイポキサンチン、0.4μM アミノプテリン、16μM チミジン(HAT)(Gibco)、25単位/ml IL−6(Boehringer−Mannheim)および1.5×10胸腺細胞/mlを含むRPMIに再懸濁し、そして10の平底96ウェル組織培養プレートに入れる。
【0398】
融合の2、4および6日後に、100μlの培地をこれらの組織培養プレートのウェルから取り出し、そして新鮮な培地と交換する。8日目に、融合物をELISAによってスクリーニングし、GP354に結合するマウスIgGの存在について試験する。抗GP354抗体を産生するモノクローナル培養物が得られるまで、希釈によって、選択したウェルの細胞を、さらにクローニングする。
【0399】
(B.抗GP354モノクローナル抗体のヒト化)
本明細書中に報告されるGP354の発現パターン、および治療的介在のための標的としてのGP354の可能性は、GP354インヒビター(アンタゴニスト)に対する治療的指標を示唆する。GP354中和抗体は、GP354アンタゴニストとして有用な治療剤の1つのクラスを含む。以下は、抗GP354モノクローナル抗体を「ヒト化」することによって、抗GP354モノクローナル抗体の、ヒトにおける治療剤としての有用性を改善するためのプロトコルである。ヒト化抗体は、改善された血清半減期を有し、そしてヒトにおける免疫原性が低い。抗体のヒト化の原理は、文献に記載されている。例えば、相補体への潜在的結合を最小にするためには、ヒト化抗体は、IgGサブタイプのものであることが好ましい。
【0400】
ヒト化の1つのレベルは、目的の非ヒト抗体の可変ドメインおよびヒト抗体の定常ドメインを含むキメラ抗体を作製することによって、達成され得る。例えば、Morrisonら,Adv.Immunol.,44:65−92(1989)を参照のこと。抗GP354抗体の可変ドメインを、適切なB細胞ハイブリドーマのゲノムDNAからか、またはこのハイブリドーマ由来のcDNAからクローニングし得る。V領域の遺伝子フラグメントは、ヒト抗体定常ドメインをコードするエキソンに連結される。得られる構築物は、適切な哺乳動物宿主細胞(例えば、ミエローマ細胞またはCHO細胞)中で発現される。
【0401】
ヒト化のさらに高いレベルを達成するためには、非ヒトモノクローナル抗体の抗原結合相補性決定領域(CDR)をコードする可変領域の遺伝子フラグメントの部分のみが、ヒト抗体配列にクローニングされる。例えば、Jonesら,Nature 321:522−525(1986);Riechmannら,Nature 332:323−327(1988);Verhoeyenら,Science 239:1534−36(1988);およびTempestら,Bio/Technology 9:266−71(1991)を参照のこと。必要であれば、CDR3領域を囲むヒト抗体のβ−シートフレームワークもまた、もとのモノクローナル抗体の抗原結合部位の三次元構造をより綿密に反映するために、改変(すなわち、「復帰突然変異」)される。Kettleboroughら,Protein Engin.4:773−783(1991);およびFooteら,J.Mol.Biol.224:487−499(1992)を参照のこと。
【0402】
代替のアプローチにおいて、目的の非ヒトモノクローナル抗体の表面が、非ヒト抗体の選択された表面残基を、例えば部位特異的変異誘発によって変更し、一方でこの非ヒト抗体の内部残基および接触残基の全てを維持することによって、ヒト化される。Padlan,Mol.Immunol.,28(4/5):489−98(1991)を参照のこと。
【0403】
上述のアプローチは、抗GP354モノクローナル抗体およびこれらの抗体を産生するハイブリドーマを使用して、利用される。ヒト化抗GP354抗体は、GP354の発現またはリガンドにより媒介されるGP354シグナル伝達が所望でない状態を処置または軽減するための治療剤として、有用である。
【0404】
(C.ファージディスプレイ由来のヒトGP354中和抗体)
抗GP354抗体はまた、Aujameら,Human Antibodies 8(4):155−168(1997);Hoogenboom,TIBTECH 15:62−70(1997);およびRaderら,Curr.Opin.Biotechnol.8:503−508(1997)に記載されるもののような、ファージディスプレイ技術によって生成され得る。例えば、Fabフラグメントまたは連結した短鎖Fvフラグメントの形態での、抗体可変領域は、線維状ファージマイナーコートタンパク質pIIIのアミノ末端に融合される。この融合タンパク質の発現およびこの融合タンパク質の成熟ファージコートへの組み込みは、その表面に抗体を提示し、そしてこの抗体をコードする遺伝物質を含むファージ粒子を生じる。このような構築物を含むファージライブラリーは、細菌において発現され、そしてこのライブラリーは、抗原プローブとして標識GP354または固定化GP354を使用して、GP354特異的ファージ抗体に関してスクリーニングされる。
【0405】
(D.トランスジェニックマウス由来のヒトGP354特異的抗体)
ヒトGP354特異的抗体は、本質的にBruiggemannら,Immunol.Today 17(8):391−97(1996)およびBruggemannら,Curr.Opin.Biotechnol.8:455−58(1997)に記載されるように、トランスジェニックマウスにおいて生成される。ヒトV遺伝子セグメントを生殖細胞系配置で保有し、そしてこれらの導入遺伝子をそのリンパ様組織において発現するトランスジェニックマウスを、従来の免疫プロトコルを使用して、GP354組成物で免疫する。この免疫されたマウス由来のB細胞を使用し、従来のプロトコルを使用して、ハイブリドーマを生成し、そしてスクリーニングして、抗GP354ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを同定する(例えば、上記のように)。
【0406】
(実施例12:GP354活性の調節因子を同定するためのアッセイ)
GP354活性の調節因子(アゴニストおよびアンタゴニスト)を同定するためのいくつかの非限定的なアッセイが、以下に記載される。これらのアッセイによって同定され得る調節因子のうちでも、レセプターの天然リガンド;天然リガンドの合成アナログおよび誘導体;天然の抗体または抗体様コンビナトリアルライブラリー由来の抗体および/または抗体様化合物;ならびに/あるいはライブラリーのハイスループットのスクリーニングによって同定される合成化合物などである。
【0407】
GP354を結合する全ての調節因子が、組織サンプルにおいてGP354を同定するために有用である(例えば、診断目的または治療目的で)。アゴニスト調節因子およびアンタゴニスト調節因子は、GP354媒介疾患を処置するために、GP354活性を、それぞれアップレギュレートおよびダウンレギュレートするために有用である。これらのアッセイは、単一の推定調節因子を使用して実施され得、そして/または候補アンタゴニストと組み合わせた既知のアゴニスト(またはその逆)を使用して実施され得る。
【0408】
(A.cAMPアッセイ)
1つの型のアッセイにおいて、環状アデノシン一リン酸(cAMP)のレベルが、候補調節因子化合物に曝露されたgp354トランスフェクト細胞において測定される。cAMPアッセイのためのプロトコルは、文献に記載されている。例えば、Sutherlandら,Circulation 37:279(1968);Frandsenら,Life Sciences 18:529−541(1976);Dooleyら,J.of Pharmacol.Exp.Therap.283(2):735−41(1997);およびGeorgeら,J.of Biomol.Screening 2(4):235−40(1997)を参照のこと。NEN Life Science Productsのアデニルシクラーゼ活性化FLASHPLATEアッセイを使用する、このようなアッセイのための例示的なプロトコルを、以下に記載する。
【0409】
簡単に言えば、GP354コード配列を、pzeoSV2(Invitrogen)のような発現ベクターにサブクローニングする。CHO細胞を、得られる発現構築物で、公知の方法(例えば、FUGENE6トランスフェクション試薬を供給する場合には、Boehringer−Mannheimによって提供されるトランスフェクションプロトコル)を使用して一時的にトランスフェクトする。トランスフェクトされたCHO細胞を、FLASHPLATEアッセイキットの96ウェルマイクロプレートに播種し、これを、cAMPに対する抗血清を結合させた固体シンチレーション剤でコーティングする。コントロールとして、いくつかのウェルに、トランスフェクトされていないCHO細胞を播種する。このプレートにおける他のウェルに、標準曲線を作成する際に使用するための種々の量のcAMP標準溶液を与える。1つ以上の試験化合物を各ウェルの細胞に添加し、化合物のない培地または緩衝液をコントロールとして用いる。処理後、室温でちょうど15分間、cAMPを細胞中に蓄積させる。このアッセイを、[125I]−cAMPを含む溶解緩衝液の添加によって終了し、そしてプレートを、Packard TOPCOUNT 96ウェルマイクロプレートシンチレーションカウンターを使用して計数する。溶解細胞または標準に由来する非標識cAMPと、固定量の[125I]−cAMPとは、このプレートに結合した抗体に関して競合する。標準曲線を構築し、そして未知のものに対するcAMP値を、内挿によって得る。試験化合物への曝露に応答しての、細胞の細胞内cAMPレベルの変化は、GP354の調節活性の指標である。Gタンパク質のGsサブタイプに結合するレセプターのアゴニストとして作用する調節因子は、cAMPの産生を刺激し、cAMPレベルの顕著な(例えば、3〜10倍の)上昇を導く。Gタンパク質のGi/oサブタイプに結合するレセプターのアゴニストは、フォルスコリンにより刺激されるcAMP産生を阻害し、cAMPレベルの顕著な減少(例えば、50〜100%)を導く。インバースアゴニストとして作用する調節因子は、構成的に活性であるかまたは既知のアゴニストによって活性化されるかのいずれかであるレセプターにおいて、これらの効果を逆にする。
【0410】
(B.エクオリンアッセイ)
別のアッセイにおいて、細胞(例えば、CHO細胞)は、gp354発現構築物および発光タンパク質アポアクオリンをコードする構築物で、一時的に同時トランスフェクトされる。補因子セレントラジンの存在下で、アポアクオリンは、測定可能な発光を生じ、この発光は、細胞質の遊離カルシウムの量に比例する。一般的に、Cobboldら「Aequorin measurements of cytoplasmic free calcium」:McCormack J.G.およびCobbold P.H.編,CELLULAR CALCIUM:A PRACTICAL APPROACH.Oxford:IRL Press(1991);Stablesら,Anal.Biochem.252:115−26(1997);ならびにHaugland,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS,第6版,Eugene OR(1996)を参照のこと。
【0411】
1つの例示的なアッセイにおいて、gp354コード配列を、pzeoSV2(Invitrogen)にサブクローニングする。CHO細胞を、得られる発現構築物および発光タンパク質アポアクオリンをコードする構築物(Molecular Probes)で、トランスフェクション試薬FUGENE6(Boehringer−Mannheim)および製品の挿入物で提供されるトランスフェクションプロトコルを使用して、一時的に同時トランスフェクトする。
【0412】
これらの細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充したMEM(Gibco/BRL,Gaithersburg,MD)中で、37℃で24時間培養する。次いで、この培養培地を、5μMセレントラジン(Molecular Probes)を含む無血清MEMと交換する。培養を、37℃でさらに2時間続ける。引き続いて、VERSEN(Gibco/BRL)を使用してこれらの細胞をプレートから剥し、洗浄し、そして無血清MEM中に2×10細胞/mlで再懸濁させる。
【0413】
候補GP354調節因子化合物の希釈物を、無血清MEM中で調製し、そして不透明な96ウェルアッセイプレートのウェルに、50μL/ウェルで分配する。次いで、このプレートをMLXマイクロタイタープレートルミノメーター(Dynex Technologies,Inc.,Chantilly,VA)に設置する。この装置は、50μlの細胞懸濁物を、1回に1つのウェルで各ウェルに分配し、そして即座に、発光を15秒間読み取るようプログラムされている。候補調節因子についての用量−応答曲線を、各光シグナルピークについての曲線下面積を使用して構築する。データを、1部位リガンドについての式を使用して、SLIDEWRITEを用いて分析し、そしてEC50値を得る。これらの化合物によって引き起こされる発光の変化を、調節活性の指標とみなす。Gタンパク質のGqサブタイプに結合するレセプターにおいて、アゴニストとして働く調節因子は、100倍までの発光の増加を与える。インバースアゴニストとして働く調節因子は、構成的に活性であるかまたは既知のアゴニストによって活性化されるかのいずれかのレセプターにおいて、この効果を逆にする。
【0414】
(C.ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ)
発光タンパク質ルシフェラーゼは、GP354調節因子を同定するための別の有用なツールを提供する。細胞(例えば、CHO細胞またはCOS7細胞)を、gp354発現構築物および転写因子結合部位(例えば、cAMP応答エレメント(CRE)、AP−1、またはNF−κB)の下流のルシフェラーゼタンパク質に対する遺伝子を含むレポーター構築物で、一時的に同時トランスフェクトする。ルシフェラーゼの発現レベルは、シグナル伝達事象の活性化状態を反映する。一般的には、Georgeら,J.Biomol.Screening 2(4):235−240(1997);およびStratowaら,Curr.Opin.Biotechnol.6:574−581(1995)を参照のこと。ルシフェラーゼ活性を、例えば、Promega(Madison,WI)から入手可能なルシフェラーゼアッセイ試薬を使用して、定量的に測定し得る。
【0415】
1つの例示的なアッセイにおいて、CHO細胞を、24ウェル培養プレートに、トランスフェクションの1日前に10細胞/ウェルの密度でプレートし、そして10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充したMEM(Gibco/BRL)中37℃で培養する。細胞を、gp354発現構築物およびルシフェラーゼ遺伝子を含むレポーター構築物で、一時的に同時トランスフェクトする。レポータープラスミド構築物のCRE−ルシフェラーゼ、AP−1−ルシフェラーゼおよびNF−κB−ルシフェラーゼを、Stratagene(LaJolla,CA)から購入し得る。トランスフェクションを、FUGENE6トランスフェクション試薬(Boehringer−Mannheim)を使用して、供給元の指示書に従って実施する。レポーター構築物単独でトランスフェクトした細胞を、コントロールとして使用する。
【0416】
トランスフェクションの24時間後、これらの細胞を、37℃に予熱したPBSで1回洗浄する。次いで、無血清MEMを、これらの細胞に、単独で(コントロール)かまたは1つ以上の候補調節因子と共にかのいずれかで、添加する。次いで、これらの細胞を37℃で5時間インキュベートする。その後、これらの細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、そして100μlの溶解緩衝液を、Promegaによって供給されるルシフェラーゼアッセイキットのウェルごとに添加することによって、溶解する。室温で15分間のインキュベーションの後に、15μlの溶解物を、不透明白色の96ウェルプレートで50μlの基質溶液(Promega)と混合し、そして発光を、Wallaceモデル1450MICROBETAシンチレーションおよび発光カウンター(Wallace Instruments,Gaithersburg,MD)で即座に読み取る。
【0417】
候補調節因子化合物の存在下対非存在下での発光の差異は、調節活性の指標である。構成的に活性であるかまたはアゴニストによって活性化されるかのいずれかであるレセプターは、レポーター遺伝子単独でトランスフェクトした細胞と比較して、代表的に3倍〜20倍の発光の刺激を与える。インバースアゴニストとして作用する調節因子は、この効果を逆にする。
【0418】
(D.FLIPRを用いる細胞内カルシウムの測定)
細胞内カルシウムレベルの変化は、レセプター活性の別の認識された指標であり、そしてこのようなアッセイを使用して、GP354活性の調節因子についてスクリーニングし得る。例えば、gp354発現ベクターで安定にトランスフェクトされたCHO細胞を、4×10細胞/ウェルの密度で、Packard黒壁96ウェルプレート(このプレート上の種々のウェルから発する蛍光シグナルを区別するよう特別に設計されている)にプレートする。これらの細胞を、36mg/Lピルベートおよび1g/Lグルコースを含み、1%ウシ胎仔血清および4種のカルシウム指示色素(FLUO−3 AM、FLUO−4 AM、CALCIUM GREEN−1 AM、またはOREGON GREEN 488 BAPTA−1 AM)のうちの1種を、各々4μMの濃度で添加した改変ダルベッコPBS(D−PBS)中、37℃で60分間インキュベートする。プレートを、1%ウシ胎仔血清を含まない改変D−PBSで1回洗浄し、そして37℃で10分間インキュベートして、残余の色素を細胞膜から除去する。さらに、1%ウシ胎仔血清を含まない改変D−PBSでの一連の洗浄を実施し、その直後にカルシウム応答を活性化させる。
【0419】
カルシウム応答を、1種以上の候補レセプターアゴニスト化合物(カルシウムイオノフォアA23187(10μM;陽性コントロール)、またはATP(4μM;陽性コントロール))を添加することによって、開始する。蛍光を、アルゴンレーザーを備えるMolecular DeviceのFLIPRによって測定する(488nmで励起)。例えば、Kuntzweilerら,Drug Dev.Res.44(1):14−20(1998)を参照のこと。検出器カメラのためのFストップを2.5に設定し、そして露光の長さは0.4ミリ秒である。細胞の基準蛍光を20秒間測定し、その後、候補アゴニストのATPまたはA23187を添加する。基準蛍光のレベルを応答シグナルから減算する。カルシウムシグナルを2秒ごとに読み取りながら約200秒間測定する。カルシウムイオノフォアA23187およびATPは、代表的に、カルシウムシグナルをベースラインレベルの約200%上に増加させる。一般に、活性化GP354は、ベースラインシグナルの少なくとも約10〜15%上に、カルシウムシグナルを増加させる。
【0420】
(E.有糸分裂誘発アッセイ)
有糸分裂誘発アッセイにおいて、候補調節因子がgp354媒介細胞分裂を誘導または阻害する能力を決定する。例えば、Lajinessら,J.Pharmacol.and Exp.Therap.267(3):1573−1581(1993)を参照のこと。例えば、GP354を安定して発現するCHO細胞を、96ウェルプレートに、5000細胞/ウェルの密度で播種し、そして10%ウシ胎仔血清を含むMEM中37℃で48時間増殖させ、この時点で、これらの細胞を無血清MEMで2回リンスする。リンス後、80μlの新鮮なMEM、または既知のマイトジェンを含むMEMを、無血清培地中に希釈した種々の濃度の1種以上の試験化合物を含む20μlのMEMと共に添加する。コントロールとして、各プレート上のいくつかのウェルに、無血清培地単独を入れ、そしていくつかには10%ウシ胎仔血清を含む培地を入れる。トランスフェクトされていない細胞またはベクター単独でトランスフェクトされた細胞もまた、コントロールとして働き得る。
【0421】
16〜18時間の培養の後に、1μCiの[H]−チミジン(2Ci/mmol)をこれらのウェルに添加し、そして細胞を37℃でさらに2時間インキュベートする。これらの細胞をトリプシン処理し、そして細胞採取器(cell harvester)(Tomtec)を用いてフィルタマット上に収集する;次いで、このフィルタをBetaplateカウンターで計数する。無血清試験ウェルへの[H]−チミジンの取込みを、血清で刺激した細胞(陽性コントロール)において達成された結果と比較する。複数の濃度の試験化合物の使用により、非線形の、最小自乗当てはめ式A=B×[C/(D+C)]+Gを使用する、用量応答曲線の作成および分析が可能となる。この式において、Aは、血清刺激のパーセントであり;Bは、最大の効果からベースラインを減算したものであり;Cは、EC50であり;Dは、化合物の濃度であり;そしてGは、最大の効果である。パラメータB、CおよびGは、単体の最適化(Simplex optimization)によって決定される。
【0422】
レセプターに結合するアゴニストは、細胞への[H]−チミジンの取込みを増加させ、血清への80%までの応答を示すと予測される。レセプターに結合するアンタゴニストは、既知のアゴニストを用いて見られる刺激を、100%まで阻害する。
【0423】
(F.[35S]GTPgS結合アッセイ)
GP354がGタンパク質媒介経路を通ってシグナル伝達するか否かを評価することが可能である。Gタンパク質結合レセプターは、細胞内Gタンパク質(これの活性は、GTPの結合、および結合GDPを与える加水分解を含む)を通してシグナル伝達する。従って、候補調節因子の存在下および非存在下での、加水分解不可能なGTPアナログである[35S]GTPgSの結合の測定は、調節因子活性のための別のアッセイを提供する。例えば、Kowalら,Neuropharmacology 37:179−187(1998)を参照のこと。
【0424】
1つの例示的なアッセイにおいて、gp354発現ベクターで安定にトランスフェクトされた細胞を、10cmの組織培養ディッシュ中でサブコンフルエントまで増殖させ、Ca2+/Mg2+を含まない5mlの氷冷リン酸緩衝化生理食塩水で1回リンスし、そして5mlの同じ緩衝液中に掻き取った。細胞を、遠心分離(500×g、5分)によってペレット化し、TEE緩衝液(25mM Tris(pH7.5)、5mM EDTA、5mM EGTA)中に再懸濁させ、そして液体窒素中で凍結させる。解凍後、これらの細胞をDounceホモジナイザー(細胞のプレートあたり1ml TEE)を使用してホモジナイズし、そして1,000×gで5分間遠心分離して、核および破壊されていない細胞を除去する。
【0425】
ホモジネートの上清を20,000×gで20分間遠心分離して、膜の画分を単離し、そして膜のペレットをTEEで1回洗浄し、そして結合緩衝液(20mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、10mM MgCl2、1mM EDTA)中に再懸濁させる。再懸濁させた膜を、液体窒素中で凍結させ得、そして使用まで−70℃で貯蔵し得る。
【0426】
上記のように調製され、そして−70℃で保存された細胞膜のアリコートを、解凍し、ホモジナイズし、そして20mM HEPES、10mM MgCl2、1mM EDTA、120mM NaCl、10μM GDP、および0.2mMアスコルビン酸を含む緩衝液中に、10〜50μg/mlの濃度で希釈する。90μlの最終容量で、ホモジネートを種々の濃度の候補調節因子化合物または100μM GTPと共に、30℃で30分間インキュベートし、次いで氷上に置く。各サンプルに、10μlグアノシン5’−O−(3[35S]チオ)三リン酸(NEN、1200Ci/mmol;[35S]−GTPgS)を、100〜200pMの最終濃度まで添加した。サンプルを30℃でさらに30分間インキュベートし、1mlの10mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl2(4℃)を添加し、そして濾過によって反応を停止させる。
【0427】
サンプルを、Whatman GF/Bフィルタで濾過し、そしてこのフィルタを20mlの氷冷10mM HEPES(pH7.4)、10mM MgClで洗浄する。フィルタを、液体シンチレーション分光法によって計数する。[35S]−GTPgSの非特異的結合を、100μM GTPの存在下で測定し、そして全体から減算する。細胞において[35S]−GTPgS結合の量を調節する化合物を選択し、トランスフェクトされていないコントロール細胞と比較する。アゴニストによるレセプターの活性化は、[35S]−GTPgS結合の5倍までの増加を与える。この応答は、アンタゴニストによってブロックされる。
【0428】
(G.MAPキナーゼ活性アッセイ)
GP354を発現する細胞における、MAPキナーゼ活性の評価は、GP354活性の調節因子を同定するための別のアッセイを提供する。例えば、Lajinessら,J.Pharmacol.Exp.Therap.267(3):1573−1581(1993)およびBoultonら,Cell 65:663−675(1991)を参照のこと。いくつかの実施形態において、gp354で安定にトランスフェクトされたCHO細胞を、アッセイの48時間前に、6ウェルプレートに7×10細胞/ウェルの密度で播種する。この48時間の間に、これらの細胞を10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充したMEM培地中37℃で培養する。これらの細胞を1〜2時間血清飢餓させ、その後、刺激因子を添加する。
【0429】
アッセイのために、これらの細胞を、培地単独でかまたは候補アゴニストもしくは200nM Phorbolエステル−酢酸ミリストイル(すなわち、PMA、陽性コントロール)のいずれかを含む培地で処理し、そしてこれらの細胞を、37℃で種々の時間にわたってインキュベートする。この反応を停止させるために、これらのプレートを氷上に置き、培地を吸引し、そして細胞を、1mM EDTAを含む1mlの氷冷PBSでリンスする。その後、200μlの細胞溶解緩衝液(12.5mM MOPS(pH7.3)、12.5mMグリセロホスフェート、7.5mM MgCl、0.5mM EGTA、0.5mMバナジン酸ナトリウム、1mMベンズアミジン、1mMジチオトレイトール、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン、2μg/mlペプスタチンA、および1μMオカダ酸)を、これらの細胞に添加する。これらの細胞をプレートから掻き取り、そして23 3/4G針を10回通過させることによってホモジナイズし、そして細胞質ゾル画分を、20,000×gで15分間の遠心分離によって、調製する。
【0430】
細胞質ゾルのアリコート(1〜5μgのタンパク質を含む5〜10μl)を、1mM MAPK基質ペプチド(APRTPGGRR(配列番号9)、Upstate Biotechnology,Inc.,NY)および50μM[g−32P]ATP(NEN、3000Ci/mmol)と混合し、約2000cpm/pmolの最終比活性に、総容量25μlに希釈する。これらのサンプルを30℃で5分間インキュベートし、そして反応を、2cmの正方形のWhatman P81ホスホセルロース紙上に20μlをスポットすることによって、停止させる。これらの正方形のフィルタを、1%HPOを4回交換して洗浄し、そしてこれらの正方形を液体シンチレーション分光法に供して、結合した標識を定量する。等価な細胞質抽出物を、MAPK基質ペプチドなしでインキュベートし、そしてこれらのサンプル由来の結合した標識を、基質ペプチドを用いた一致するサンプルから減算する。各ウェルからの細胞質抽出物を、分離点として使用する。タンパク質濃度を、色素結合タンパク質アッセイ(Bio−Rad Laboratories)によって決定する。このレセプターのアゴニスト活性化は、MAPK酵素活性の5倍までの増加を生じると予測される。この増加は、アンタゴニストによってブロックされる。
【0431】
(H. [H]アラキドン酸放出)
GP354の活性化はまた、細胞におけるアラキドン酸の放出を増強し得、これはまた、GP354活性の修飾因子についてのさらに別の有用なアッセイを提供する。例えば、Kantermanら、Molecular Pharmacology 39:364〜369(1991)を参照のこと。例えば、GP354発現ベクターで安定にトランスフェクトされるCHO細胞を、1.5×10細胞/ウェルの密度で24ウェル中にプレートし、そして10%ウシ胎仔血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充したMEM培地中、使用前に37℃で48時間増殖させる。各ウェルの細胞を、10mM HEPES、pH7.5、および0.5%脂肪酸非含有ウシ胎仔血清アルブミンを補充した1ml MEM中0.5μCi/mlの[H]アラキドン酸(Amersham Corp.、210Ci/mmol)とともに、2時間37℃でインキュベーションすることによって標識する。次いで細胞を2回、1mlの同じ緩衝液を用いて洗浄する。候補の化合物を、1mlの同じ緩衝液に、単独で、または10μM ATPと共にのいずれかで添加し、そして細胞を37℃で30分間インキュベートする。緩衝液単独と、偽トランスフェクト細胞を、コントロールとして使用する。各ウェルからのサンプル(0.5ml)を、液体シンチレーション分光法によって計数する。レセプターを活性化するアゴニストは、[H]アラキドン酸のATP刺激放出の増強を誘導する。この増強は、アンタゴニストによってブロックされる。
【0432】
(I. 細胞外酸性化速度)
さらに別のアッセイにおいて、GP354活性の候補修飾因子の効果を、試験化合物により誘導されるpHの細胞外変化をモニタリングすることでアッセイする。例えば、Dunlopら、J.Pharmacol.Toxicol.Meth.40(1):47〜55(1998)を参照のこと。1つの実施形態において、GP354発現ベクターでトランスフェクトしたCHO細胞を、12mmカプセルカップ(Molecular Devices Corp.)に、4×10細胞/カップで、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充したMEM培地中に播種する。この細胞を、この培地中で、5%CO中37℃で、24時間インキュベートする。
【0433】
細胞外酸性化速度を、CYTOSENSOR MICROPHYSIOMETER(Molecular Devices Corp.)を使用して測定する。このカプセルカップを、MICROPHYSIOMETERのセンサーチャンバーに取り付け、そしてこのチャンバーを、泳動緩衝液(4mM L−グルタミン、10単位/mlペニシリン、10μg/mlストレプトマイシン、26mM NaClを補充した、ビカルボネート非含有MEM)で、100μl/分の流動速度で灌流する。候補のアゴニストまたは他の薬剤を、泳動緩衝液中に希釈し、そして第2の流動経路を通して灌流する。各60秒のポンプサイクルの間に、このポンプを38秒間作動させ、そして残りの22秒間消す。センサーチャンバーにおける泳動緩衝液のpHを、サイクル中の43〜58秒から記録し、そしてこのポンプを60秒で再スタートさせて、次のサイクルを開始させる。記録時間の間の泳動緩衝液の酸性化速度は、Cytosoftプログラムによって計算される。酸性化の速度の変化は、修飾因子候補の添加後に得られた、最高の速度測定値から、基底値(修飾因子候補の添加の直前の4回の速度測定の平均値)を減算することによって計算される。この選択された機器は、61mV/pH単位を検出する。レセプターのアゴニストとして作用する修飾因子は、アゴニストの非存在下における速度と比較して、細胞外酸性化の速度において上昇をもたらす。この応答は、レセプターのアンタゴニストとして作用する修飾因子によってブロックされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、GP354のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列である。配列番号1または配列番号2を参照のこと。細胞外部位における免疫グロブリン(Ig)ドメインに下線を引き、そして膜貫通ドメインは、四角で囲んでいる。
【図2】
図2は、GP354アミノ酸配列(上)(配列番号2)と、Drosophilaの不規則な交差(irregular chiasm)(ICCR)の配列(配列番号13)およびヒトネフリン(配列番号14)タンパク質とのアライメントである。ダッシュは、任意の配列中のギャップを示す。アスタリスクは、3本の配列中において同定されるアミノ酸を示す。
【図3】
図3は、逆転写ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)によって決定される場合のヒト組織におけるGP354の発現である。RT−PCRは文字において記載されるように実施した。GP354の発現は、膵臓においてのみ検出される。B=脳のレーン、H=心臓のレーン、K=腎臓のレーン、Lv=肝臓のレーン、Lg=肺のレーン、Pn=膵臓のレーン、Pt=胎盤のレーン、Ms=骨格筋のレーン、C=結腸のレーン、Ov=卵巣のレーン、Le=末梢血リンパ球のレーン、Pr=前立腺のレーン、Si=小腸のレーン、Sp=脾臓のレーン、Te=精巣のレーン、Ty=胸腺のレーン、−=テンプレートを含まないコントロールのレーン、G=ゲノムDNAコントロールのレーン
【図4】
図4は、ノーザンブロットによって決定される場合のヒト組織におけるGP354のRNAの発現である。ノーザンブロットは、gp354配列から調製したプローブとハイブリダイズさせた。およそ3.2kbのハイブリダイズするRNAを、膵臓において観察したが、試験した他の組織のいずれにおいても観察しなかった。H=心臓、B=脳、P=胎盤、Ln=肺、L=肝臓、M=骨格筋、K=腎臓、Pc=胎盤。
【図5】
図5は、プライマーGX1−218およびGX1−219を用いて得たRT−フラグメントの配列である。(配列番号3を参照のこと)。
【図6】
図6は、ヒトゲノムgp354のヌクレオチド配列である、エキソン(Exon)には、下線を引いている。配列番号5を参照のこと。
【図7】
図7は、発現されたGP354のヌクレオチドおよび誘導アミノ酸配列である。配列番号7および8を参照のこと。
【図8】
図8は、膵臓のgp354 cDNAのヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列である。配列番号11および12を参照のこと。

Claims (39)

  1. 単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号12をコードするcDNA配列または配列番号12の対立遺伝子改変体を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  2. 前記cDNA配列が、配列番号11またはその対立遺伝子改変体である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 配列番号8をコードするcDNA配列および配列番号8の対立遺伝子改変体を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 前記cDNA配列が、配列番号7またはその対立遺伝子改変体である、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  5. 前記cDNA配列に作動可能に連結された転写調節配列をさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  6. 異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  7. 請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  8. プラスミドベクターである、請求項7に記載のベクター。
  9. ウイルスベクターである、請求項7に記載のベクター。
  10. バキュロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルスおよびレトロウイルスからなる群より選択される、請求項9に記載のベクター。
  11. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む、宿主細胞。
  12. 前記宿主細胞が、細菌細胞、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞および哺乳動物細胞からなる群より選択される、請求項11に記載の宿主細胞。
  13. 前記宿主細胞がヒト細胞である、請求項11に記載の宿主細胞。
  14. 請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、単離されたポリペプチド。
  15. 異種配列をさらに含む、請求項14に記載のポリペプチド。
  16. 請求項1に記載のポリヌクレオチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
  17. 請求項14に記載のポリヌクレオチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
  18. 請求項14に記載のポリペプチドに結合する、抗体。
  19. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項18に記載の抗体。
  20. 前記抗体が、ヒト化抗体または完全にヒト抗体である、請求項19に記載の抗体。
  21. 請求項18〜20に記載のいずれか1つの抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
  22. ポリペプチドを産生する方法であって、該方法は、
    請求項11に記載の宿主細胞を、前記ポリヌクレオチドが発現される条件下で培地中で培養する工程、および
    該細胞からまたは該培養培地から該ポリペプチドを回収する工程、
    を包含する、方法。
  23. サンプル中のgp354コード配列の存在を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
    該サンプルを、高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチドと接触させる工程、および
    該単離されたポリヌクレオチドの、該サンプルにおける核酸に対するハイブリダイゼーションを検出する工程であって、ここで、該ハイブリダイゼーションの存在が、該サンプル中のgp354コード配列の存在を示す、工程、
    を包含する、方法。
  24. サンプル中のGP354タンパク質の存在を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
    該サンプルを、請求項18、19または20に記載の抗体と接触させる工程;および
    抗原に対する該抗体の特異的結合を検出する工程であって、ここで、該特異的結合の存在が、該サンプル中のGP354タンパク質の存在を示す、工程、
    を包含する、方法。
  25. GP354タンパク質を結合する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程:
    GP354タンパク質を、試験化合物と接触させる工程;および
    該GP354タンパク質および該試験化合物によって形成される複合体を検出する工程であって、ここで、該複合体の存在が、該試験化合物が該GP354タンパク質に結合することを示す、工程、
    を包含する、方法。
  26. GP354タンパク質の活性を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程:
    該GP354タンパク質を、試験化合物と接触させる工程;および
    該GP354タンパク質の活性に対する試験化合物の効果を検出する工程であって、ここで、接触工程の後の該活性の変化が、該試験化合物が該GP354タンパク質の活性を調節することを示す、工程、
    を包含する、方法。
  27. 被験体における疾患状態を診断する方法であって、該方法は、該被験体からの組織サンプル中のGP354タンパク質の量または活性を、コントロールサンプル中のGP354タンパク質の量または活性と比較する工程を包含し、ここで、コントロールと比較した該組織サンプル中の該GP354タンパク質の量または活性の有意な相違が、該被験体が疾患状態を有することを示す、方法。
  28. 前記疾患状態が、膵臓に関連する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記疾患状態が、中枢神経系に関連する、請求項27に記載の方法。
  30. 被験体における疾患状態を診断する方法であって、該方法が、該被験体からの組織サンプル中のgp354 mRNAの量を、コントロールサンプル中のgp354 mRNAの量と比較する工程を包含し、ここで、コントロールと比較した該組織サンプル中の該mRNAの量の有意な相違が、該被験体が疾患状態を有することを示す、方法。
  31. 前記疾患状態が、膵臓に関連する、請求項30に記載の方法。
  32. 前記疾患状態が、中枢神経系に関連する、請求項30に記載の方法。
  33. 試験細胞中の遺伝的な病変または変異の存在または非存在を同定するための診断アッセイであって、該遺伝的な病変または変異は、以下:(i)GP354タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変もしくは変異;(ii)GP354タンパク質をコードする遺伝子の調節不良;および(iii)GP354タンパク質の異常な翻訳後修飾、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ、該アッセイは、以下の工程:
    該試験細胞、および該遺伝的な病変または変異を欠く参照細胞からの核酸を、配列番号1、3、7、9または11、あるいは少なくとも17ヌクレオチドを有するこれらの一部を含む核酸プローブと、高いストリンジェンシーの条件下で別々にハイブリダイズさせる工程;および
    該核酸ハイブリッドを、高いストリンジェンシーの洗浄条件下で別々に洗浄し、該ハイブリッドを解離させる工程;および
    該参照細胞の核酸と比較して、該核酸プローブが、該試験細胞の核酸からより容易に解離されるか否かを決定する工程、
    を包含する、診断アッセイ。
  34. 膵臓損傷の処置のための、請求項16、17または21に記載の組成物の使用。
  35. 膵臓に関連した異常または疾患状態の処置のための、請求項16、17または21に記載の組成物の使用。
  36. 前記状態が、急性膵臓炎または慢性膵臓炎、膵臓の炎症、膵臓の壊死、外分泌機能不全、脾臓内分泌およびホルモン不均衡、膵臓腫瘍および関連の癌、ならびに膵臓に影響する自己免疫障害からなる群より選択される、請求項35に記載の使用。
  37. 中枢神経系に対する損傷の処置のための、請求項16、17または21に記載の組成物の使用。
  38. 中枢神経系に関連する異常または疾患状態の処置のための、請求項16、17または21に記載の組成物の使用。
  39. 前記状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、老年痴呆、偏頭痛、てんかん、神経炎、神経衰弱、ニューロパシー、神経変性および神経腫瘍からなる群より選択される、請求項38に記載の使用。
JP2002504315A 2000-06-22 2001-06-22 Gp354核酸およびポリペプチド Pending JP2004500872A (ja)

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