JP2004500356A - 医薬品製造におけるヒメニアルディシンまたはその誘導体の使用 - Google Patents

医薬品製造におけるヒメニアルディシンまたはその誘導体の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、サイクリン依存性キナーゼ、GSK−3βおよびカゼインキナーゼ1を阻害する際に用いる医薬品製造における、式(I)のヒメニアルディシンもしくはその誘導体(式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、HまたはBrを表す)、またはその医薬品として許容される塩の使用に関する。神経変性性疾患、糖尿病、炎症性病変、および癌を予防および治療するための適用。
【化1】

Description

【0001】
本発明は、細胞分裂または細胞内シグナル伝達を阻止可能な医薬品の製造におけるヒメニアルディシンまたはその誘導体の使用に関する。
【0002】
本発明は特に、蛋白質キナーゼ阻害剤の製造におけるヒメニアルディシン(以下、HDと呼ぶ)またはその誘導体の使用に関する。
【0003】
蛋白質キナーゼは細胞調節、特に蛋白質リン酸化に関与している。
【0004】
サイクリン依存性キナーゼ蛋白質(略してCDK)は、細胞周期制御(CDK1、2、3、4、6および7)、胸腺細胞アポトーシス(CDK2)、神経機能(CDK5)、転写制御(CDK7、8および9)に関与している(総説[1、2、3]、参考文献リストは本書の最後に示している)。神経組織において、CDK5/p35は微小管付属蛋白質tauおよびMAP−1B、Pak1キナーゼならびにニューロフィラメントサブユニットをリン酸化する。集中的スクリーニングにより、オロモウシン(olomoucine)、ロスコビチン(roscovitine)、プルバラノール(purvalanol)、フラボピリドール(flavopiridol)、インジルビンズ(indirubins)、パウロンズ(paullones)などの一連のCDK化学阻害剤が数年のうちに同定された。これらの化合物のいくつかは顕著な選択性および有効性を示す。多くはCDK2と共結晶化され、キナーゼのATP結合ポケットとのそれらの相互作用が詳細に解析されている(総説[4])。
【0005】
HDは蛋白質キナーゼCを阻害するとの報告もなされている(WO 9316703およびWO 9531462)。
【0006】
前記化合物およびその誘導体はCDK1、2および5、ならびに蛋白質リン酸化に関与する他の2つの主要な蛋白質キナーゼ、すなわちグリコーゲン合成酵素キナーゼ3−β(略してGSK−3β)およびカゼインキナーゼ1の強力で選択的な阻害剤であることが明らかにされている。
【0007】
本発明は、したがって、サイクリン依存性キナーゼ、GSK−3βおよびカゼインキナーゼ1を阻害する際に用いる医薬品製造における、下記の式Iのヒメニアルディシンもしくはその誘導体
【0008】
【化2】
Figure 2004500356
(式中、RおよびRは同じまたは異なっていて、HまたはBRを表す)、またはその医薬品として許容される塩の使用に関する。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「誘導体」なる用語は前述の塩を含む。
【0010】
好ましい使用において、化合物は4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリン−5−イリデン)−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ(2,3−c)アゼピン−8−オン、またはその医薬品として許容される塩である。
【0011】
もう1つの好ましい使用において、化合物は4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリン−5−イリデン)−2−ブロモ−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ(2,3−c)アゼピン−8−オン、またはその医薬品として許容される塩である。
【0012】
他のCDK阻害剤で観察されるとおり、HDおよびその誘導体はATPとの競合によって作用する。これらはCDK2のGlu−81およびLeu−83残基との3つの水素結合を通じてATP結合ポケットと相互作用する。
【0013】
CDK2のGlu−81およびLeu−83残基との水素結合を形成することができるヒメニアルディシン誘導体も、本発明の一部である。
【0014】
前述のとおり、前記化合物はCDK1、CDK2、CDK5、GSK−3βおよびカゼインキナーゼ1を強力に阻害する。
【0015】
いくつかのモデルにおけるインビボ実験で、E18ラット皮質ニューロンにおけるPak1キナーゼのリン酸化/ダウンレギュレーションの欠損により示されるとおり、HDおよびその誘導体がCDK5/p35を阻害することが明らかにされている。
【0016】
これらは、GSK−3β特異的部位におけるMAP−1Bリン酸化の阻害によって示されるとおり、インビボでGSK−3βも阻害する。また、これらは微小管結合蛋白質tauの、アルツハイマー病においてGSK−3βおよびCDK5/p35により過リン酸化されている部位でのインビボでのリン酸化も阻止する。
【0017】
神経変性性疾患に関与する基質の過リン酸化に関与する主なキナーゼを表す、前記キナーゼに作用することにより、前記化合物は対応する状態を治療および予防する医薬品の製造のために非常に興味が持たれる。
【0018】
したがって、本発明は、神経変性性疾患を治療する際に有用な医薬品の製造のためのHDおよびその誘導体の使用に関する。
【0019】
前記医薬品はアルツハイマー病、またはパーキンソン病、多系統萎縮症などの他の神経疾患を治療または予防するために用いることができる。これらは、遺伝性イヌ脊髄性筋萎縮症のイヌを治療するためにも有用である。
【0020】
本発明は、糖尿病の予防および治療において有効な医薬品の製造のためのHDおよびその誘導体の使用にも関する。前記化合物はGSK−3β阻害剤であるため、これらはその点で非常に興味深いインスリン様作用薬を構成する。
【0021】
HDおよびその誘導体の抗炎症性も、そのような状態を治療および予防する際に有用な医薬品の製造のために用いられる。
【0022】
前記キナーゼ、特にCDKに作用することにより、前記化合物は抗増殖効果も有し、非常に興味深い抗腫瘍性を示すことになる。本発明はしたがって、癌を予防および治療する医薬品製造のためのHDおよびその誘導体の使用にも関する。
【0023】
式Iの化合物は海洋無脊椎動物から単離することができる[5]。
【0024】
HDはアゲラシダ、アキシネリダおよび磯海綿目に属する海洋海綿の種において見いだされた。これらの動物は、明らかに代謝的にHDに関係する様々な物質を含む(図1)。
【0025】
式Iの化合物の医薬品として許容される酸付加塩は、通常の方法に従って有機または無機酸と形成される。
【0026】
適当な酸には酢酸、アスコルビン酸、マレイン酸、リン酸、サリチル酸および酒石酸が含まれる。
【0027】
医薬品は、前述の化合物の有効な量を、医薬品として許容される担体と共に含む。
【0028】
前記担体は投与形態に応じて固体であっても、液体であってもよい。
【0029】
医薬品は、非経口、直腸内、局所、経皮または経口などの様々な形態で投与することができる。これらは特に経口または注射可能な経路で投与される。
【0030】
経口経路による投与のために、トローチ、圧縮錠、丸剤、錠剤、カプセル剤、滴剤、シロップ、懸濁剤または乳剤を用いることができる。これらの組成物は用量単位あたり100から1000mgの活性成分を含むと都合がよく、300から600mgが好ましい。
【0031】
他の投与形態には、無菌または滅菌可能な溶液から調合された、静脈内、皮下または筋肉内経路のための注射溶液が含まれる。これらは懸濁液または乳液であってもよい。
【0032】
これらの注射可能な形態は、用量単位あたり100から1000mgの式Iの化合物、またはその医薬品として許容される塩を含み、300から600mgが好ましい。
【0033】
例示のために、それを必要とする患者に用いることができる用量は下記の用量に対応する。例えば、神経変性性障害の治療のために1日に1から4回、100から1000mg/日を患者に投与する。
【0034】
本発明は、その活性成分が前述の式Iの化合物からなる生物学的試薬にも関する。
【0035】
これらの試薬は細胞分裂およびリン酸化メカニズムの試験における基準または標準として用いることができる。
【0036】
本発明の他の特徴および利点は、図1から13を参考に以下の実施例に記載する。
【0037】
I/材料と方法
−化学物質および試薬
オルトバナジン酸ナトリウム、EGTA、EDTA、RNアーゼA、Mops、β−グリセロホスフェート、フェニルホスフェート、フッ化ナトリウム、グルタチオン−アガロース、ジチオスレイトール(DTT)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ニトロフェニルホスフェート、ロイペプチン、アプロチニン、ミクロシスチンペプスタチン、大豆トリプシン阻害剤、ベンズアミジン、ヒストンH1(III−S型)、ミエリン塩基性蛋白質、カゼインはSigma Chemicalsから入手し、[γ−32P]−ATP(PB168)はAmershamから入手した。
【0038】
GS−1ペプチド(YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQSpEDEEE)は合成によって得た。
【0039】
ヒメニアルディシンは以前の報告[6、7]のとおりに単離し、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10〜50mMの保存溶液として溶解した。これを水性緩衝液中で使用直前にMeSO中5〜10mMに希釈した。反応混合物中の最終DMSO濃度は1体積%未満であった。
【0040】
アキシノヒダントイン(Axinohydantoin)[7]、ヒメニアルディシン−白金錯体、ジアセチルヒメニアルディシン、ジアセチル−デブロモヒメニアルディシン、ジブロモファケルスタチン(dibromophakellststin)[6]、アゲラスタチンA(agelastatin A)[8]、ジブロモアゲリフェリン(dibromoageliferin)、クラスロジン(clathrodin)、ヒメニジン(hymenidin)、ジブロモカンタレリン(dibromocantharelline)[9]は研究室で調製した。アゲロンジン(agelongine)[10]、ジスパカミドB(dispacamide B)[11]、セプトリン(sceptrin)[12]、オロイジン(oroidin)[13]およびスティーヴンシン(stevensine)(オジリン(odiline))[14、9]はAgelas属から精製した。
【0041】
GST−網膜芽細胞腫蛋白質は細菌内で発現させ、以前の報告[15]のとおりグルタチオン−セファロースビーズで精製した。p9CKShs1−セファロースビーズは以前の報告[16]のとおりに調製した。
【0042】
−緩衝液
ホモジナイゼーション緩衝液:60mM β−グリセロホスフェート、15mM p−ニトロフェニルホスフェート、25mM Mops(pH7.2)、15mM EGTA、15mM MgCl、1mM DTT、1mM バナジン酸ナトリウム、1mM NaF、1mMフェニルホスフェート、10μgロイペプチン/ml、10μgアプロチニン/ml、10μg大豆トリプシン阻害剤/mlおよび100μMベンズアミジン。
【0043】
緩衝液A:10mM MgCl、1mM EGTA、1mM DTT、25mM トリスHCl pH7.5、50μgヘパリン/ml。
【0044】
緩衝液C:5mM EGTA、NaF無添加、プロテアーゼ阻害剤無添加以外はホモジナイゼーション緩衝液。
【0045】
低張溶解緩衝液(HLB):50mMトリスHCl pH7.4、120mM NaCl、10%グリセロール、1%ノニデットP40、5mM DTT、1mM EGTA、20mM NaF、1mMオルトバナジン酸塩、5μMミクロシスチン、各100μg/mlのロイペプチン、アプロチニンおよびペプスタチン。
【0046】
トリス緩衝化食塩水−トゥイーン20(TBST):50mMトリスpH7.4、150mM NaCl、0.1%トゥイーン20。
【0047】
STM緩衝液:10mMトリスHCl pH8.0、0.25M ショ糖、10mM MgCl、1mM DTT、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤[17]。
【0048】
−キナーゼの調製およびアッセイ
キナーゼの活性を緩衝液AまたはC(別に記載のない限り)中、30℃、最終ATP濃度15μMでアッセイした。ブランク値を差し引き、活性を10分間のインキュベーション中に取り込まれたホスフェートのpmolで計算した(通常は最大活性、すなわち阻害剤なしの場合の%で表す)。MeS0を適当に希釈して対照試験を行った。いくつかの場合に、基質のリン酸化をSDS−PAGE後のオートラジオグラフィにより評価した。IC50値を用量反応曲線から見積もった。
【0049】
CDK1/サイクリンBをM期のヒトデ(Marthasterias glacialis)卵母細胞からホモジナイゼーション緩衝液中で抽出し、p9CKShs1−セファロースビーズのアフィニティクロマトグラフィで、以前の報告[15、16]のとおり、遊離p9CKShs1により溶出して精製した。キナーゼ活性を緩衝液Cで最終容量30μl中、15μM[γ−32P]ATP(3,000Ci/mmol;1mCi/ml)存在下、1mgのヒストンH1/mlを用いてアッセイした。30℃で10分間のインキュベーション後、25μlアリコートの上清を2.5×3cmのワットマンP81ホスホセルロース紙片にスポットし、20秒後、フィルタを水1リットルあたり10mlのリン酸溶液中で5回(各回少なくとも5分間)洗浄した。湿ったフィルタを1mlのACS(Amersham)シンチレーション液中で計数した。
【0050】
GSK−3βは、ウサギ筋肉から精製するか、または昆虫Sf9細胞中で発現させて精製する[18]。1mg BSA/ml 10mM DTT中で1/100に希釈した後、緩衝液Aで最終容量30μl中、15μM[γ−32P]ATP(3,000Ci/mmol;1mCi/ml)存在下、5μlの40μM GS−1ペプチドを基質としてアッセイした。30℃で30分間のインキュベーション後、25μlアリコートの上清をP81ホスホセルロース紙にスポットし、前述のとおり処理した。
【0051】
CDK5/p25を等量の組換えCDK5と大腸菌において発現させたp25とを混合することによりGST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)融合蛋白質として再構成し、グルタチオン−アガロースのアフィニティクロマトグラフィで精製した(p25はCDK5活性化因子の短縮版である)。その活性を緩衝液CでCDK1/サイクリンBについて記載のとおりにアッセイした。
【0052】
CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK3/サイクリンE、CDK4/サイクリンD1、CDK6/サイクリンD2、His標識erk1およびerk2、蛋白質キナーゼCアイソフォーム、cAMP依存性蛋白質キナーゼの触媒サブユニット、cGMP依存性蛋白質キナーゼ、ミオシン軽鎖キナーゼ、カゼインキナーゼ1および2、ASK−γ(GSK−3の植物ホモログ)、インスリン受容体チロシンキナーゼドメイン(CIRK−41)、c−raf、MAPKK、c−jun N末端キナーゼ(Promegaから入手)、c−srcキナーゼならびにv−ablキナーゼを報告されているとおりにアッセイした[15]。
【0053】
−電気泳動およびウェスタンブロッティング
p9CKShs1−セファロースビーズに結合した蛋白質(ヒトデCDK1/サイクリンB)を2X Laemmliサンプル緩衝液で変性した。サンプルを10%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で泳動させた。Milliblot−SDEシステム(Millipore)で、転写緩衝液中2.5mA/cmで30分間、蛋白質をゲルから0.1μmニトロセルロースシートに転写した。続いて、フィルタをTBST中5%の低脂肪乳で1時間ブロックした。次いでフィルタをTBSTで洗浄し、1次抗体(抗PSTAIRE、1:2000;抗サイクリンB、1:1000)と共に1時間インキュベートした。TBSTで4回洗浄(1×20分、3×5分)後、ニトロセルロースシートをTBST中で希釈(1:1000)したセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合2次抗体で1時間処理した。次いでフィルタをTBSTで5回洗浄(1×20分、4×5分)し、ECL検出試薬およびHyperfilm MPを用いて増強したchemioluminescenceにより分析した。
【0054】
−CDK2/HD結晶の調製
ヒトCDK2を以前の報告[19]のとおりに精製して結晶化した。結晶が割れるのを防止するために、化学的架橋を含む方法を用いた。結晶をまず、0.5mM ATP、1mM MgClを含む溶液に2時間浸漬し、次いで0.1%グルタルアルデヒドを用い、4℃で1時間架橋させた。十分な洗浄後、結晶を0.2M HEPES、5%エチレングリコールおよび1%DMSO中の阻害剤溶液に移した。このプロトコルにより、いかなる損傷も示すことなく、結晶を0.5mMまでの阻害剤濃度で数日間浸漬することができた。
【0055】
−CDK2/HD結晶構造の決定
Rigaku回転陽極発生器に固定されたR−Axis IIイメージプレート検出システムを用い、CDK2/HD単結晶で、2.1Åの分解能までのX線回折データを収集した。データは結晶の照射による損傷を防ぐために120Kで収集した。凍結直前に、結晶を25%エチレングリコールを含む凍結防御溶液に移した。Molecular Structure Corporation凍結装置を用いて乾燥窒素蒸気中でフラッシュ凍結を行った。凍結により単位格子の寸法がわずかに変わり、モザイク幅が0.2から0.6°に増大した。それ自体での架橋では回折上の特徴はあまり変化がなかった。強度データをDENZOおよびSCALEPACKプログラムで処理した[20]。CCP4スートで実行されるプログラムTRUNCATE[21]を用いて、最終的な構造因子振幅を得た。データ処理統計の概要を表3に示す。CDK2/HD複合体の精密化を高度に精密化されたCDK2/ATPモデルの座標から開始した。すべての精密化段階はプログラムX−PLOR[22]を用いて行った。凍結結晶中の単位格子内にCDK2分子をうまく再配向および再配置するために、分子置換とその後の剛体精密化が必要であった。次いで、共役勾配エネルギー最小化を数回用いて、モデルをさらに精密化した。この段階の後、2F−FおよびF−Fフーリエマップから計算した明確な電子密度により、ヒメニアルディシン阻害剤の結合様式が示された。ヒメニアルディシンの初期座標および幾何学的制限条件はMattia他[23]の小分子構造からとった。次いで、X線制限エネルギー最小化および分子動力学の両方を、モデル構築と交互に数回行うことにより、CDK2/HDモデルの精密化を続行した。精密化の終わりに向けて、いくつかの水分子および2〜3のエチレングリコール分子をモデルに加えた。CDK2/HDモデルの立体化学を、ソフトウェアパッケージPROCHECK[24]を用いて立証した。
【0056】
−プレセニリン−2のインビトロでのリン酸化
プレセニリン−2の膜貫通ドメイン6と7との間の大きい親水性ループを、プレセニリン−2ループ−マルトース結合蛋白質(MBP)融合蛋白質として大腸菌で発現させた[25]。アフィニティクロマトグラフィによる精製後、プレセニリン−2−MBPをCK1の基質として用いた。様々な濃度のHD存在下で30分間インキュベートした後、Laemmliサンプル緩衝液を加えてキナーゼ反応を停止した。MBP−プレセニリン−2をSDS−PAGEで分離し、そのリン酸化レベルをオートラジオグラフィで可視化した。
【0057】
−インビトロおよびインビボでのCDK5/p35によるPak1リン酸化
インビトロでのPak1リン酸化
CDK5/p35を、C末端Santa Cruz抗体(キナーゼアッセイ毎に全蛋白質400μg)を用いてP02ラット皮質から免疫沈降させた。免疫沈降物を等しいアリコートに分け、GST−Pak1K299を基質として用いてキナーゼアッセイを行った。報告されているとおり[17]、キナーゼアッセイの直前に、ロスコビチン、HDまたはDMSOをビーズに加えた。リン酸化をオートラジオグラフィでモニターした。
【0058】
インビボでのPak1リン酸化
培養4日の時点でE18ラット胚皮質から得た培養ニューロンにHDを加えた。対照としてDMSOを、用いた薬物の最大容量(7.5μl)まで用いた。薬物を細胞上に1時間放置した。次いで細胞を氷上、STM緩衝液中で溶解し、膜画分を0.5%NP−40を含むSTMで単離した[17]。
【0059】
Pak1免疫沈降を特異的ポリクローナル抗体を用いて実施した後、ヒストンH4を基質として用いてキナーゼアッセイを行った。Pak1活性のレベルを反映するH4リン酸化の量を、オートラジオグラフィフィルム上のバンド強度を測定し、NIHイメージングプログラムで定量することにより求めた。
【0060】
負荷対照としてPak1およびp35ウェスタンブロットを行った。p35の量はCDK5/p35キナーゼ阻害のレベルと共に増加する。
【0061】
−インビボでのGSK−3によるMAP−1Bリン酸化および免疫化学
小脳顆粒細胞をマウス新生仔から単離し、Hattenの方法に従い[26]Percoll勾配を用いて精製した。細胞をポリ−D−リシン(100μg/ml)およびラミニン(50μg/ml)でコーティングしたプレートに播種し、無血清培地中で1日増殖させ、次いで培養物をHD(1〜100μM)で20時間処理した。培養物をPBS中4%ホルムアルデヒドで固定し、PBS中、4℃で保存した。細胞を100%メタノールで透過可能とし、GAP−43およびMAP−1B−P(SMI−31、Affiniti)に対する1次抗体と共に4℃で終夜インキュベートした。FITCおよびテキサスレッド結合2次抗体を用いた(Vector)。ウェスタンブロット分析のために、細胞をサンプル緩衝液中で溶解し、8%SDS−PAGEにより分析した。蛋白質をニトロセルロース膜に転写し、ブロック溶液(TBS中0.1%トゥイーン20、3%乾燥スキムミルク)中で希釈したMAP−1B−P(SMI−31)に対する抗体と共に室温で2時間インキュベートした。HRP結合2次抗体(Amersham)を用い、蛋白質をECLシステム(Pierce)を用いて可視化した。ブロットをフラットベッドスキャナー(UMAX Astra 1200S)を用いてスキャンした。
【0062】
−インビトロおよびインビボでのTauリン酸化
細胞およびウイルス。Sf9細胞(カリフォルニア州サンディエゴのInVitrogen)を、10%ウシ胎仔血清ならびに50μgゲンタマイシン/mlおよび2.5μgアムホテリシン/mlを補足した単層培養Grace培地(メリーランド州ゲイザースバーグのGibco BRL)中27℃で増殖させた。BaculoGoldをPharMingen(カリフォルニア州サンディエゴ)から、pVL1392をInVitrogenから入手した。
【0063】
tauトランスフェクション。最短のヒトtauアイソフォーム[27]であるhtau23の遺伝子をXbaIおよびBamHIにより細菌発現ベクターpNG2[28]から切り出し、同じ制限エンドヌクレアーゼによって切断されたバキュロウイルストランスファーベクターpVL1392に挿入した。tauバキュロウイルス含有ベクターを構築するためにBaculoGoldシステムを用いた。BaculoGold DNAは致命的欠失を含むバキュロウイルスの改変型である。BaculoGold DNAと相補バキュロウイルストランスファーベクターとの共トランスフェクションにより、このウイルスDNAの致命的欠失が救済され、htau23コーディング配列を有する生存ウイルス粒子が再構成された。トランスフェクションに用いたプラスミドDNAはQIAGENカートリッジ(ドイツのHilden)を用いて精製した。単層において増殖させたSf9細胞(60mm細胞培養皿に2×10細胞)をバキュロウイルスDNA(BaculoGold DNA 0.5μg)およびpVL1392のベクター誘導体(2μg)と、リン酸カルシウム共沈法を用いて共トランスフェクションした。組換え蛋白質の有無を感染から5日後の感染細胞においてSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングにより調べた。
【0064】
Sf9細胞におけるTauリン酸化
キナーゼ阻害剤のtauリン酸化に対する影響を調べるために、バキュロウイルス発現htau23に感染させたSf9細胞を感染から36時間後に50μMのHDまたはフラボピリドールで5時間処理した後、回収した。リン酸化が促進された対照tauサンプルを得るために、htau23発現Sf9細胞を回収前に0.2μMのオカダ酸で5時間処理した。
【0065】
Tauウェスタンブロッティング
Sf9細胞をMOI 1〜5で組換えウイルスにより感染させた。細胞溶解産物をHypotonic Lysis Buffer(HLB)中で調製した。16,000gで15分間遠心後、上清を回収し、そのNaCl濃度を500mMとした。これを次いで、10分間煮沸し、16,000gで15分間再遠心した。蛋白質(3μg)をSDS−PAGEで分離し、PVDF膜に転写し、下記の抗体でウェスタンブロッティングした。AT−8(1:2000)、AT−180(1:1000)、AT−100(1:500)、PHF−1(1:600)、およびポリクローナル抗tau抗体K9JA。
【0066】
インビトロでのtauリン酸化を精製GSK−3βおよび基質として組換えtau−32を用いて行った。前述のGSK−3βアッセイ条件で、様々な濃度のHD存在下、30分間インキュベートした後、Laemmliサンプル緩衝液を加えることによりキナーゼ反応を停止した。tauをSDS−PAGEで分離し、そのリン酸化レベルをオートラジオグラフィで可視化した。
【0067】
II/結果
ヒメニアルディシンのキナーゼ阻害の選択性
酵素活性を、漸増濃度のHD存在下、実験法の項に記載のとおりにアッセイした。IC50を用量反応曲線から計算した。−は、試験した最高用量(括弧内)で効果なし。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004500356
15μMのATP存在下で、HDはCDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK3/サイクリンEおよびCDK5/p35をそれぞれ22、70、40、100および28nMのIC50で阻害することが明らかとなった(表1)。オロモウシン[29]、ロスコビチン[15]、インジルビン−3’−モノキシム[30]、ケンパウロン[31]で観察されたとおり、またフラボピリドール[32]とは反対に、HDはCDK4/サイクリンD1およびCDK6/サイクリンD2に対しては限られた効果しかなかった(IC50はそれぞれ600および700nM)。
【0069】
次にHDを様々な高度に精製されたキナーゼに対して試験した(表1)。キナーゼ活性を適当な基質(ヒストンH1、カゼイン、ミエリン塩基性蛋白質、ペプチドなど)を用い、15μM ATP(濃度は、過去に報告されている文献との比較、ATPの高い特異性といった実際的な理由から選んだ)および漸増濃度のHD存在下でアッセイした。IC50値も表1に示している。試験したたいていのキナーゼはほとんど、またはまったく阻害されなかった(IC50>1μM)。しかし、2つのキナーゼ、グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3β(GSK−3β)およびカゼインキナーゼ1(CK1)はHDに対して非常に感受性が強かった(IC50はそれぞれ10および35nM)。
【0070】
CDK1/サイクリンBのHD類縁体による阻害
CDK1/サイクリンBを、漸増濃度のHDおよび類縁体存在下、実験法の項に記載のとおりにアッセイした。活性は最大活性、すなわち阻害剤なしで測定した値の%で表した。結果を図2に示す。
【0071】
適当な基質を用いたHD感受性キナーゼのインビトロアッセイ
HD感受性キナーゼの、生理的に適当な基質を用いてのインビトロアッセイも行った。カゼインキナーゼ1に対してはプレセニリン−2の断片[25]、CDK5/p35に対してはPak1[17]、GSK−3βに対してはインスリン受容体基質IRS−1[33]またはtau。結果を図3〜5に示す。
【0072】
図3は、インビトロでのカゼインキナーゼ1によるプレセニリン−2のリン酸化に対するHDの阻害効果を示している。プレセニリン−2とマルトース結合蛋白質との間の細菌により発現させた融合蛋白質(PS−2.MBP)をインビトロで漸増濃度のHD存在下、カゼインキナーゼ1でリン酸化してSDS−PAGEで分離した後、オートラジオグラフィを行った。
【0073】
図4は、インビトロおよびインビボでのCDK5/p35によるPak1のリン酸化に対するHDの阻害効果を示している。ラット胚皮質ニューロンを様々な濃度のHDに1時間暴露した。Pak1を次いで免疫沈降し、ヒストンH4に対するそのキナーゼ活性を測定した。上図は基質のSDS−PAGE後のH4リン酸化のレベルを示している。数字はオートラジオグラフィの定量に対応する。ウェスタンブロットはPak1(下図)およびp35の量を示す。CDK5阻害の結果としてのp35レベルの増大。図5は、インビトロおよびインビボでのGSK−3βによるtauリン酸化によるリン酸化阻害効果を示している。
【0074】
図5Aは、下記の実験の結果を示す。細菌により発現させた組換えヒトtauをインビトロで漸増濃度のHD存在下、GSK−3βでリン酸化してSDS−PAGEで分離した後、オートラジオグラフィを行った。
【0075】
結果を図5Bに示している実験において、htau23を発現するSf9細胞を無処理で放置する(−)か、またはオカダ酸(OA)、ヒメニアルディシン(HD)、もしくはフラボピリドール(FL)に5時間暴露した。細胞溶解産物(3μg htau23)をSDS−PAGEで分離し、クーマシーブルーで染色するか、または以下の様々な抗体で免疫ブロットした。K9JA(汎tau抗体)はtauを含むすべての調製物を認識し、AT8、AT180およびPHF1は異なるリン酸化SPまたはTPモチーフに特異的で、AT100はT212およびS214でリン酸化されたtauを認識し、これはアルツハイマーtauに高度に特異的な反応である。
【0076】
キナーゼのHDに対する感受性は、より人工的な基質でアッセイした同じキナーゼの感受性に完全に匹敵していた。
【0077】
ヒメニアルディシン類縁体によるCDK1、CDK5ならびにGSK−3βおよびCK1の阻害
CDK1/サイクリンB、CDK5/p35、GSK−3βおよびCK1に対して海洋海綿から単離されたいくつかの天然のHD関連化合物およびいくつかの合成的に改変したHD類縁体を試験した。結果を図2および表2に示す。数字は図1に示す構造を表している。酵素活性を、漸増濃度のHD存在下、実験法の項に記載のとおりにアッセイした。IC50を用量反応曲線から計算した。阻害効果が観察されなかった場合(−)、試験した最高濃度を括弧内に示す。
【0078】
【表2】
Figure 2004500356
HDはなお最も活性の高い化合物であった。興味深いことに、ジブロモカンタレリン(10)はGSK−3βに対して著しい阻害効果を示した(IC50 3μM)。ヒメニジン(13)はCDK5に特異的であった。
【0079】
ヒメニアルディシンはATP結合の競合的阻害剤である
HD作用のメカニズムを調べるために、ATPレベルとHD濃度の両方を変動させて動力学的実験を行った(図6A)。異なるヒメニアルディシン濃度でのCDK1/サイクリンB蛋白質キナーゼ活性のアッセイから得た動力学データの二重逆数プロット。酵素活性を実験法の項に記載のとおりにアッセイした。結果を図6Aに、1/ATPに対する1/vの1次プロットで示している。反応混合物中のATP濃度は0.05から0.25mMまで変動し、ヒストンH1濃度は0.7mg/mlの一定値に保たれていた。挿入図は1次プロットからの濃度に対する傾きの2次再プロットを示している。見かけの阻害定数(K)を矢印で示す。結果を図6Bに示す。ヒメニアルディシンはCDK1からサイクリンBを放出しない。p9CKShs1−セファロース−固定CDK1/サイクリンBをHDに30分間曝露し、洗浄し、抗サイクリンBおよび抗PSTAIRE抗体を用いたウェスタンブロッティングにより分析した。
【0080】
データにより、HDはATPの競合阻害剤として作用することが示されている。HD濃度に対する傾き再プロットで直線性が認められることから、HDは1次阻害剤であると見なされる(図6A、挿入図)。見かけの阻害定数(K)は50nMであった。HDはCDK1からサイクリンBを移動させることによって作用するものではない(図6B)。p9CKShs1−セファロースに固定したCDK1/サイクリンBを高濃度のHDに曝露し、ビーズを次いで十分に洗浄した後、ウェスタンブロット分析を行った。両方のサブユニットはまだ一緒に検出可能であった。
【0081】
CDK2/ヒメニアルディシン複合体の結晶構造
HDに浸漬したCDK2結晶の構造を、2.1Åの分解能で決定および精密化した。結晶の割れを防ぐために、浸漬前に架橋剤による処理が必要であった。構造決定の詳細を表3に示す。
【0082】
【表3】
Figure 2004500356
最終モデルは結晶学上のR−factor 19.2%(Rfree 26.7%)、良好な形状で、274のアミノ酸残基、1つの結合HD、85の溶媒分子および4つのエチレングリコール分子からなる。CDK2の2つの高度に柔軟なループの一部である、36〜44および149〜163残基は、電子密度が弱いか、またはないため、最終モデルから除外された。CDK2モデルにおけるすべての非グリシン残基は、φ−ψ空間の「additional allowed」領域のすぐ外側の主鎖配座を有するGlu−73およびArg−126の2残基を除き、ラマチャンドランプロット[26]のエネルギー的に好ましい領域内に十分に入る主鎖ねじれ角を有する。
【0083】
HDの電子密度の立体図を図7に示す。HDはフーリエの差の分布図に明白に配置可能で、この阻害剤もATP結合ポケット内で結合することが確認された(図7A)。結合部位相互作用の概略図を図7Bおよび8に示す。
【0084】
図7AはCDK2のATP結合ポケット内のHDの精密化構造を示す立体図である。推論される水素結合を細い点線で示す。
【0085】
図7BはCDK2とHDとの相互作用の概略図である。蛋白質側鎖の接触はそれぞれの残基ボックスに連結する線で示し、主鎖原子との相互作用は特定の主鎖原子への線で示す。ファンデルワールス接触は点線で示し、水素結合は破線で示す。
【0086】
HDのピロロアゼピン二重環構造はIle−10、Val−18、Ala−31、Val−64、Phe−80、およびLeu−134により形成される浅い疎水性ポケットを占め、これらの残基の側鎖原子とのいくつかのファンデルワールス接触を形成する。加えて、ピロール環のN1原子とLeu−83のカルボニル酸素との間、アゼピン環のO1カルボニル酸素とLeu−83の主鎖アミドとの間、およびアゼピン環のN2アミドとGlu−81のカルボニル酸素との間の3つの水素結合が、CDK2の主鎖と形成される。HDのピロロ環に結合した臭素原子はATP結合ポケットの外側を向いており、部分的に溶媒に曝露されるが、Ile−10およびHis−84の主鎖カルボニル酸素、ならびにIle−10およびLeu−134の側鎖に対して充填されてもいる。HDのグアニジン環構造の結合は、1つの直接的な水素結合と2つの水を介しての水素結合に加えて、少数のファンデルワールス接触、主にVal−18の側鎖との接触を含む。直接的な水素結合はグアニジンのN5アミノ基とAsp−145の側鎖酸素の1つとの間で形成される。2つの水を介しての水素結合はHDのO2とAsp−145の主鎖NHとの間、およびHDのN5とGln−131の主鎖カルボニルとの間の結合である。アポ−CDK2およびCDK2/ATPの構造比較により、HDとの結合によるAsp−145の大きな移動が明らかになり、この移動はCα原子の1Åのシフトと、側鎖のHDグアニジン環から離れる方へのCα−Cβ結合の周りの約90°の回転とからなる。阻害剤と接触する他のすべての残基は、アポ−CDK2およびCDK2/ATPの構造で見られたものと非常に類似の配座を有する。
【0087】
CDK2/ヒメニアルディシンと他のCDK2/阻害剤複合体との比較
HDの効力を理解するための構造的基礎を提供するために、CDK2/HD複合体の構造をCDK2とATP、スタウロスポリン、フラボピリドール、ならびにプリン類縁体であるオロモウシン、ロスコビチン、およびプルバラノールとの複合体の構造と比較し、またサイクリンA/CDK2/ATP複合体の構造とも比較した。比較を示す立体図を図9に示す。
【0088】
図9Aは、アポ−CDK2におけるATP(白い結合)およびサイクリンA−CDK2におけるATP(黄色い結合)上にHD(黒い結合)を重ね合わせた図である。
【0089】
図9Bは、オロモウシン(白)およびプルバラノール上にHDを重ね合わせた図である。
【0090】
図9Cは、フラボピリドール上にHDを重ね合わせた図である。CDK2の残基81〜84の主鎖原子、およびCDK2/HD複合体中のAsp−145の側鎖を黒い結合の球棒模型で示している。重ね合わせたCDK2−リガンド複合体からの同じ残基を結合で示している。A)において、細い結合はアポ酵素を表し、太い結合はサイクリンA−CDK2二量体を表している。
【0091】
HDの疎水性二重環構造はCDK2において、CDK2/ATP複合体におけるATPのプリン環とほぼ同じ位置で、他のCDK2/阻害剤複合体における二重環構造と類似の位置に結合する(図9)。異なる二重環構造の配向は異なる阻害剤の間で著しく異なるが、浅いATP−プリン結合ポケットとの最適な形状相補性を提供する必要性があるために制約され、一方でCDK2の交叉連結において残基81〜83の主鎖といくつかの水素結合が形成される。CDK2/HD複合体における水素結合相互作用は、これまでに試験したすべてのCDK2/阻害剤複合体の中で最も好ましいもののようである。N2とGlu−81のペプチド酸素との間、およびO1とLeu−83のペプチドアミドとの間の水素結合は、ATPのアデニン塩基とCDK2との間や、スタウロスポリンおよびフラボピリドールとのCDK2/阻害剤複合体における水素結合に非常に類似している。CDK2/HD複合体におけるLeu−83の主鎖カルボニルとの第3の水素結合がこれらの複合体では見られず、3つのプリン系阻害剤であるオロモウシン、ロスコビチン、およびプルバラノールとの複合体でのみ認められる。HDと同様、これら後者3つの阻害剤も、交叉連結によって3つの水素結合を形成するが、これらのGlu−81ペプチド酸素との相互作用ははるかに弱く、プリン環の酸性C8原子との珍しいC−H−−−O水素結合を含む。
【0092】
HDの臭素原子はCDK2において、他のCDK2/阻害剤複合体ではベンジル基によって占有される領域の近隣に結合する。この領域での疎水性基の結合は、Ile−10、Phe−82の側鎖および残基82〜84の主鎖に対して充填することができ、これは阻害剤のCDK2に対する特異性の増大にとって重要である。HDの臭素はベンジル環と同じ数の相互作用を提供することはできないが、表2および図2における様々なHD類縁体の阻害活性から認められるとおり、HDにこの原子が存在することは、CDK2に対する結合親和性および特異性に著しく寄与していると考えられる。
【0093】
同様に興味深いのは、HDのグアニジン環によって占有されているCDK2の領域である。他のCDK2/阻害剤複合体との重ね合わせにより、フラボピリドールおよびスタウロスポリン阻害剤だけが、ATPのαホスフェートが結合するポケットに部分的に重なる、CDK2のこの領域に結合する基を有していることが示される。CDK2/HD複合体の構造を、CDK2/フラボピリドール複合体[34]の構造と比較することにより、これらの構造が異なる阻害剤の結合様式におけるいくつかの著しい類似性が明らかとなる。HDのO2カルボニル酸素は、フラボピリドールのO7ヒドロキシル基の位置の近くにあり、ATP−プリン結合ポケットに結合したベンゾピラン環から出ている。いずれの阻害剤においても、酸素原子は、Asp−145の主鎖アミドとの水を介しての水素結合を形成する。さらに、HDのグアニジン環のN5アミノ基は、CDK2/フラボピリドール複合体のピペリジン環の正に荷電したアミン基の近くに位置する。いずれの原子もAsp−145の側鎖カルボキシレートと水素結合の距離にある。フラボピリドールの正に荷電したアミン基と、Asp−145の負に荷電したカルボキシレートとの間のエネルギー的に好ましい相互作用は、この阻害剤のCDK2への結合強度に重要な寄与をすると考えられる。生理的条件下では、グアニジン環は少なくとも部分的にN3でプロトン化されるようで、したがってN3、C11、N4およびN5の間で非局在化した(部分的)正電荷を提供するため、同様の相互作用がCDK2/HD複合体でも可能であると思われる。Asp−145の移動も両方のCDK2/阻害剤複合体で保存されている。これはインジルビン−5−スルホネート/CDK2の構造においても認められる。Asp−145はほとんどの蛋白質キナーゼで見られる保存されたDFGモチーフの一部である。CDK2/ATP複合体のものとは著しく異なるが、両方のCDK2/阻害剤複合体におけるAsp−145の位置と配座は事実、機能的により関連するサイクリンA/CDK2/ATP複合体のものと非常に類似している(図9A)。
【0094】
インビトロでのプレセニリンリン酸化の阻害
アルツハイマー病に関連する様々な蛋白質基質のインビトロおよびインビボでのリン酸化に対するHDの効果も調べた。プレセニリン−2の膜貫通ドメイン6および7の間の大きな親水性ループは、カゼインキナーゼ1および2両方のインビトロでの基質である。このドメインはインビボでリン酸化される[25]。プレセニリン−2−MBP融合蛋白質をCK1のインビトロ基質として用い、プレセニリン−2リン酸化のHDによる用量依存的阻害を観察した(図3)。MBP単独ではCK1によりリン酸化されなかった。
【0095】
インビトロおよびインビボでの神経性CDK5/p35によるPak1リン酸化阻害
CDK5/p35の生理的基質の中には神経性キナーゼPak1[17]がある。Pak1およびp35はいずれもRhoファミリーの小さいGTPアーゼであるRacに関連する。CDK5/p35によるPak1リン酸化は、Pak1キナーゼ活性を阻害することになる。ロスコビチンはインビトロおよびインビボの両方でCDK5/p35を阻害し、その結果Pak1のダウンレギュレーションも阻害する。これらの実験をHDで繰り返した(図4)。まず、CDK5/p35をP02ラット皮質から免疫沈降させ、GST−Pak1K299(キナーゼ失活Pak1変異体)に対するそのキナーゼ活性をHD、ロスコビチン、またはDMSO存在下で[17]のとおりにアッセイした。HDによるCDK5の用量依存的阻害が観察された(IC50は10から100nMの間)(図4A)。次に、E18ラット胚皮質から得た培養ニューロンを用いて、インビボ実験を実施した(図4B)。培養4日目の時点でHDを加え、細胞上に1時間放置した。対照としてDMSOを用いた。次いで、細胞を氷上のSTM緩衝液中で溶解し、膜画分を単離した[17]。次いで、Pak1を免疫沈降させ、ヒストンH4を用いてアッセイした。NIHイメージングプログラムを用いて、オートラジオグラフィフィルム上のバンドの強度により測定したH4リン酸化の量を定量した。負荷対照として抗Pak1および抗p35ウェスタンブロットを行った。以前に報告されているとおり[35]、CDK5/p35キナーゼ阻害の程度に伴ってp35の量が増加する。Pak1活性の増大が認められ、内因性CDK5活性の阻害と一致した(図4B)。
【0096】
HDは小脳顆粒細胞ニューロンにおけるGSK−3によるMAP−1Bリン酸化を阻害する
小脳顆粒細胞ニューロンにおいて、GSK−3βはWNT−7aおよびリチウムの両方によって阻害される[49、50]。WNT−7aおよびリチウムは軸索のリモデリングと、軸索の成長に関与する微小管付属蛋白質であるMAP−1Bのリン酸化型の欠損を引き起こす。GSK−3βは抗体SMI−31によって認識される部位でMAP−1Bをリン酸化するため、WNTまたはリチウムによるGSK−3βの阻害はリン酸化されたAP−1BであるMAP−1B−Pの欠損を招くことになる。ニューロンの形態およびMAP−1Bリン酸化に対するHDの効果を調べるために、小脳顆粒細胞を異なる濃度のHD中で培養した。
【0097】
結果を図10に示す。GAP−43およびMAP−1B−Pに対する二重免疫蛍光染色により、MAP−1B−Pが軸索にそって存在することが示されている(AおよびB)。10μMのHDで20時間処理しても、細胞の形態(C)またはMAP−1B−P(D)に明白な効果は認められない。矢印は同じ細胞を示している。50μMのHD処理により、軸索の広がり、軸索の短縮(E)および軸索突起からのMAP−1B−Pの欠損(F)が引き起こされる。矢印は同じ細胞を示している。100μMのHD処理では、細胞の形態により劇的な変化が生じ、軸索にそった広がりと分枝、糸状足の数の増加、および軸索の短縮が認められる(G)。MAP−1B−Pはほとんどの軸索突起から失われる(H)。矢印はMAP−1B−Pが失われた軸索を示す。バー=20μM。
【0098】
細胞溶解産物のウェスタンブロッティング分析により、HD用量増加に応答してのMAP−1B−Pの漸減が示されている(I)。
【0099】
突起が長く、糸状足の数が非常に少ない対照細胞において(図10A)、MAP−1B−Pは軸索の全長にそって存在する(図10B)。低濃度(1μM、10μM、25μM)では、HDは細胞の形態(図10C)またはMAP−1B−Pの分布(図10D)に対して目に見える効果は示さなかった。しかし、50μMのHD処理では軸索の広がりおよび分枝、ならびに軸索長の短縮(図10E)が引き起こされ、同時にほとんどの軸索突起からのMAP−1B−Pの欠損が見られた(図10F)。培養物を100μMのHDで処理すると、細胞の形態により劇的な変化が生じ、広範な分枝および広がり、軸索長の短縮、および糸状足の数の増加が認められ(図10G)、それと共に突起からのMAP−1B−Pの欠損が認められた(図10H)。観察された軸索のリモデリングは軸索の拡がった領域からの安定な微小管欠損を伴っていた。HDはウェスタンブロッティングによって調べたところ、用量依存的にMAP−1B−Pの欠損を引き起こす(図10I)。この効果はリチウムまたはWNT−7a処理によって観察された効果[37]と同様である。HDはGSK−3βを直接阻害することが明らかにされたため、前記の結果よりHDによるMAP−1B−Pの欠損および軸索リモデリングは培養ニューロンにおけるGSK−3β阻害の結果であることが示唆される。
【0100】
インビボおよびインビトロでのGSK−3によるtauリン酸化の阻害
微小管付属蛋白質tauは、GSK−3βおよびCDK5/p35を含むいくつかのキナーゼの基質である。細菌により発現された組換えヒトtauは事実、インビトロでGSK−3βによってリン酸化され、このリン酸化はHDによって用量依存的に阻害された。IC50はおよそ33nMであった(図5A)。次いで、Sf9細胞において発現されたヒトtau23のインビボでのリン酸化に対するHDの効果を調べた(図5B)。細胞を無処理で放置する(−)か、または0.2μMのオカダ酸(OA)、50μMのHD、もしくは同様にGSK−3βを阻害するCDK阻害剤のフラボピリドール(FL)50μMに暴露した。htau23をSDS−PAGEで分離した後、様々な抗体で免疫ブロットした。K9JA(汎tau抗体)はtauを含むすべての調製物を認識する。AT8、AT180およびPHF1は、それぞれSer202とThr205、Thr231とSer235、およびSer396とSer404(最も長いヒトtauアイソフォームであるhtau40での番号付けによる)の異なるリン酸化SPまたはTPモチーフに特異的である。AT100はT212およびS214でリン酸化されたtauを認識する。この反応はアルツハイマーtauに高度に特異的であるが、両方の部位がリン酸化されていれば、Sf9細胞でも起こる。HDまたはフラボピリドールによる処理後にAT100のシグナルが消失することから、いずれの化合物もSf9細胞におけるGSK−3β様活性を阻害可能であることが示される。
【0101】
III CDK1、2、5、GSK−3βおよびカゼインキナーゼ1阻害剤の調製
−液体調合物
HDの懸濁液または溶液を、100から1000mgのHDをエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの非水性溶媒、油、または水などの液体担体に、懸濁化剤、保存剤、着香剤または着色剤と共に加えることによって調製するが、液体担体の量は活性成分の所望の濃度が得られるよう調節する。
【0102】
−錠剤
2ブロモHD誘導体を、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、ショ糖またはセルロースなどの担体中に組み込み、圧縮する。
それぞれの量は活性成分の所望の濃度に応じて選択する。
【0103】
IV HDの細胞効果の試験
方法
NCI疾患指向性インビトロスクリーニング
9つの腫瘍型を含む60のヒト腫瘍細胞系統(Boyd and Paull、1995)を24時間培養後、0.01〜100μMのロスコビチンに48時間連続曝露した。スルホローダミニンB蛋白質アッセイを用いて細胞毒性を評価した。
【0104】
チミジン取り込み。HT29−18−C1細胞を24穴プレート中、2.105細胞/500μl培地/ウェルで培養した。サブコンフルエムトな細胞を洗い流し、飢餓−同期化のために無血清培地中に48時間放置した。HD存在下、5%の血清を加えることにより、増殖停止から解放した。24時間処理期間の最後の4時間に、2μCiのメチル−3Hチミジン(比活性50Ci/mMol)(ICN Biomedical)を各ウェルに加えた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、5%の冷トリクロロ酢酸により4℃で45分間処理した。細胞を水洗し、0.3M NaOHにより37℃で1時間可溶化した。Beckmanベータ計数器で放射能を測定した。
【0105】
細胞培養および処理。ヒト大腸腺癌細胞系統HT29のサブクローンであるHT29−18−C1を、10%FCS、2mM L−グルタミン(Eurobio)および50mg/mlゲンタマイシン(Gibco−BRL)を補足したDulbecco改変イーグル培地(Gibco−BRL)中、37℃、10%CO2で培養した。細胞を48時間の血清除去により同期化した。次いで、細胞に5%ウシ胎仔血清(FCS)を加えることにより増殖停止から解放した。DMSO中で調製したHDを最終濃度0から80μMの範囲でただちに培地に加え、24時間置いた。いくつかの実験では、血清添加の22時間後にHDを加え、さらに24時間放置した。また、他の実験では非同期化細胞にHDを加えた。次いで細胞を洗浄し、5%FCS培地中で培養し、異なる時点でFACSにより計数または分析した。
【0106】
細胞計数およびフローサイトメトリーによる細胞周期分析。細胞を血球計数器で計数した。細胞周期の分布をフローサイトメトリーで解析した。接着細胞(1.10)をトリプシン化し、冷70%エタノール中で4時間固定した。固定細胞をPBSで洗浄し、1mlあたり5μgのRNアーゼA(Sigma Chemicals)とインキュベートし、25μg/mlのプロピジウムヨウ素(Aldrich)により37℃で1時間染色した。染色細胞をFACScan細胞蛍光測定器でcellFit Softwareプログラム(Becton Dickinson Immunocytometry Systems)を用いて解析した。
【0107】
結果
ヒメニアルディシンの細胞効果:増殖阻害
HD(0.01〜100μM;48時間暴露)をNCI疾患指向性インビトロスクリーニング、すなわち9つの腫瘍型(白血病、非小細胞肺癌、大腸癌、中枢神経系癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、乳癌)を含む60のヒト腫瘍細胞系統で試験した。すべての細胞系統はHDに対して同様の感受性を示した。平均IC50は15.1μMであった(ロスコビチン:16μM(Meijer他、1997)、オロモウシン:60.3μM(Abraham他、1995))。細胞系統のロスコビチンに対する感受性と野生型または突然変異p53の存在との間に相関は認められなかった。
【0108】
細胞特性
細胞増殖の阻害剤
【0109】
【表4】
Figure 2004500356
【0110】
【表5】
Figure 2004500356
ヒメニアルディシンの細胞効果:S期およびG2/M移行
ヒメニアルディシンはHT29−18−C1の増殖阻害を引き起こす。
【0111】
HT29−18−C1細胞を血清除去によりG1において同期化させた。0時間の時点で5%FCSを加え、細胞を10μMのHDで同時に処理(o)、または曝露なし(o)とした。24時間とその後は、5%FCSを含む培地中で培養した。細胞数を12時間毎に72時間、血球計数器を用いて計数した。増殖阻害の動力学を図9Aに示す。HD処理により、72時間の間の細胞数増加が対照に比べて低下していることによってモニターされるとおり、強い増殖阻害が引き起こされた。血清処理細胞(0時間)を様々な濃度のHDに曝露し、24時間後に計数した。結果を図9Bに示す。非血清刺激細胞(網掛け)の数を比較のために示す。阻害効果はHDの用量に依存的で、IC50は5μMであった(図9B)。トリパンブルー色素排除により、24時間の時点で10および80μM HDにはほとんど毒性は伴わないことが示された(それぞれ生存率>95%と90%)。このHDの抗増殖効果は可逆的のようである。事実、細胞は培養72時間後には再度ゆっくりと増殖し始めた。
【0112】
ヒメニアルディシンはS期停止を引き起こす。
【0113】
HD処理細胞の細胞周期分布に関する結果を図10Aに示す。HT29−18−C1を48時間血清飢餓させた。次いで、5%血清を加え(0時間)、細胞を同時に5または40μMのHDでその後24時間処理、または無処理とした。次いで、細胞を固定し、その細胞周期状態を実験法の項に記載のとおりにFACscan分析によって調べた。数字は異なる細胞周期にある細胞の%を示している。図10BにHD処理細胞におけるS期蓄積の動力学を示す。血清飢餓HT29−18−C1細胞に0時間の時点で血清を加え、同時に10μMのHDでその後24時間処理、または無処理とした。細胞周期分布を24時間毎に72時間分析した。
【0114】
蛍光活性化細胞分類機(FACs)解析により、HD処理は無処理の細胞に比べてS期における細胞蓄積を引き起こすことが明らかとなった。HD非存在下では、血清刺激した細胞は容易にG2/Mに進行した(図10A)。これとは対照的に、HD処理細胞は血清刺激後にG2/Mに進行できず、S期で停止したままであった。HT29−18−C1培養物の細胞周期分布に対するHDの効果も経時的に調べた(図10B)。同期化した細胞を10μMのHD存在下、または非存在下で5%FCS培地中に24時間放置した。次いで、細胞を5%FCS培地中でさらに48時間培養した。細胞数と一致して、HDは72時間の細胞培養中に細胞増殖を阻害し、S期に細胞を蓄積させることが認められた(図10B)。ヒメニアルディシンはG2/M停止を引き起こす。
【0115】
別の型の実験で、HT29−18−C1を48時間血清飢餓させた。次いで、5%血清を0時間の時点で加え、22時間後に10μMのHDを加えた。14時間後、すなわち血清刺激の36時間後に、実験法の項に記載のとおりにFACscan分析によって細胞周期分布を調べた。この場合、細胞はS期に入る機会があり、HD処理によってG2/Mにおける細胞蓄積が引き起こされる(図11)。
【0116】
参考文献
【0117】
【表6】
Figure 2004500356
【0118】
【表7】
Figure 2004500356
【0119】
【表8】
Figure 2004500356
【0120】
【表9】
Figure 2004500356
【0121】
【表10】
Figure 2004500356

【図面の簡単な説明】
【図1】
海洋海綿から単離されたヒメニアルディシンおよび関連する代謝産物の構造を示す図である。
【図2】
HDおよび類縁体の濃度を漸増させた場合のCDK1/サイクリンBキナーゼの活性を示す図である。
【図3】
漸増濃度のHD存在下、インビトロでカゼインキナーゼ1によりリン酸化し、SDS−PAGEで分離したプレセニリン−MBP融合蛋白質のオートラジオグラフィを示す図である。
【図4】
図4AはインビトロおよびインビボでのCDK5/p35によるPak1リン酸化に対するHDによる阻害を示す図であり、基質のSDS−PAGE後のH4リン酸化レベルを示す。
図4BはインビトロおよびインビボでのCDK5/p35によるPak1リン酸化に対するHDによる阻害を示す図であり、Pak1およびp35の量を示すウェスタンブロットである。
【図5】
図5Aは漸増濃度のHD存在下、インビトロでGSK−3βによりリン酸化し、SDS−PAGEで分離したr−htauのオートラジオグラフィを示す図である。
図5BはインビボでCDK阻害剤に曝露した、または曝露していないhtau23調製物を、様々な抗体と反応させて得た免疫ブロット法の結果を示す図である。
【図6】
図6AはHDの異なる濃度でのCDK1/サイクリンB蛋白質キナーゼ活性のアッセイから得た動力学的データを示す図である。
図6Bは固定化CDK1/サイクリンBをHDに曝露し、抗サイクリンBおよび抗PSTAIRE抗体でウェスタンブロッティングして得た結果を示す図である。
【図7】
CDK2と複合したHDの電子密度マップを示す立体図である。
【図8A】
CDK2のATP結合ポケット内におけるHDの精密化された構造を示す立体図である。
【図8B】
CDK2とHDとの間の相互作用を示す概略図である。
【図9】
HD−CDK2結合と他のCDK2リガンドの結合との比較を示す立体図である。
【図10】
HD濃度(A〜H)に応じてGAP−43およびMAP−1B−Pの二重免疫蛍光染色により得た結果と、HDの漸増用量に応答しての細胞溶解産物によるウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図11】
HT29−18−C1細胞増殖に対するHDの効果を示す図である。
【図12】
S期停止におけるHDの細胞効果を示す図である。
【図13】
G2/M移行におけるHDの細胞効果を示す図である。

Claims (10)

  1. サイクリン依存性キナーゼ、GSK−3βおよびカゼインキナーゼ1を阻害する際に用いる医薬品の製造における、下記の式Iのヒメニアルディシンもしくはその誘導体
    Figure 2004500356
    (式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、HまたはBrを表す)、またはその医薬品として許容される塩の使用。
  2. 化合物が4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリン−5−イリデン)−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ(2,3−c)アゼピン−8−オン、またはその医薬品として許容される塩である、請求項1に記載の使用。
  3. 化合物が4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリン−5−イリデン)−2−ブロモ−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ(2,3−c)アゼピン−8−オン、またはその医薬品として許容される塩である、請求項1に記載の使用。
  4. 前記医薬品が神経変性性疾患を治療または予防するためのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記医薬品がアルツハイマー病を治療するためのものである、請求項4に記載の使用。
  6. 前記医薬品が糖尿病を治療または予防するためのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記医薬品が炎症性病変を治療または予防するためのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  8. 前記医薬品が癌を予防または治療するためのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記医薬品が経口経路による投与のために調製されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 前記阻害剤が注射経路による投与のために調製されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
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