JP2004364461A - 搬送体の回生制動装置、回生制動方法、制御方法及び搬送装置 - Google Patents

搬送体の回生制動装置、回生制動方法、制御方法及び搬送装置 Download PDF

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Shigeaki Wachi
滋明 和智
Yoshihiro Kawarazaki
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Abstract

【課題】不安定平衡点を有する搬送装置において、回生制動を実現する。
【解決手段】制御部20には、傾き角度を検出する傾き角度センサ31と、回転動作を制御する回転信号発生部32と、演算処理部33、34が設けられる。また、電池26から供給される供給電力57により、回転駆動制御信42、43を入力として電力増幅された制御電力51、52をモータ14、15に供給する電力増幅回路27、28が設けられる。さらに、モータ14、15からの回生電力53、54を回生電流制御信号42、43に基づき電池26に所定の充電電流となるように電池充電電流55、56を出力する回生電流調整器29、30が設けられる。そして、回転駆動制御信号42、43と、タコモータ37、38からの角速度49、50を入力して、第1のモータ14及び第2のモータ15の動作を切り替えるモード切り替え器39が設けられる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば人を乗せて走行する乗り物に使用して好適な搬送体の回生制動装置、回生制動方法、制御方法及び搬送装置に関する。詳しくは、1輪または車輪の回転軸が略同軸配置される複数の車輪で走行する搬送装置において、その回生制動を良好に行うことができるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2輪により路面上を走行する搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1乃至特許文献8参照。)。
【0003】
上述の2輪車は、車輪が同軸に設けられていながら、制御ループの作用により倒れることなく、路面上を所定の姿勢を保ちつつ安定に走行するものである。このような搬送装置の動作の概略を、図7を用いて説明する。
【0004】
図7において、搬送装置110は、ステップ台111と、ステップ台111に設けられた2つのモータ114及び1115と、車輪112及び車輪113と、モータ114の回転を車輪112に伝える車軸116及びモータ115の回転を車輪113に伝える車軸117と、ステップ台111に結合されてその先端部にハンドル119を有するステー118と、ステップ台111に設けられた図示しないセンサ部と制御部とバッテリーとからなる。
【0005】
また、車輪112と車輪113は同軸に配置され、車軸116及び車軸117によりステップ台111に図示しないベアリング保持部によって、回転軸を中心として回転自由となるように結合される。なお、モータの回転力を車輪に伝えるに際して直接に回転を伝達することなく、歯車やベルト等により構成される伝達機構を介在しても良い。そして車輪112及び車輪113は略一点である、接地点122及び123により路面125に接している。
【0006】
さらに、搬送装置110の動作を以下に説明する。すなわち、ステップ台111には、搬送装置により移送される搬送者、若しくは搬送される物体(以下、操車者で代表する)が乗る。ここで、搬送装置110は、車輪112及び車輪113の外周部の1点である点122及び123で路面125と接しているので、操車者が姿勢を変化させると搬送者を含めた搬送装置110の重心である重心点の位置が移動する。
【0007】
そこで、搬送装置110全体を力学系として見て、上述の重心の移動がある場合のステップ台111と路面との位置関係に及ぼす作用について、図8を用いて説明する。まず、図8において、点122及び点123が同じ点である射影接地点184に射影され、かつ、重力の働く方向に向かう直線である重力線181を含む平面を射影平面と定義する。従って射影平面は、紙面と同一面である。
【0008】
さらに、図8を用いて射影平面における動作を説明する。ここで、射影平面(紙面)に射影される重心点の位置を重心射影点182と定義し、射影平面に射影される回転軸の位置を射影車軸点183と定義する。従って、射影平面において、この重心射影点182と射影接地点184とが重力線181の線上にある場合には、この重心位置は平衡点であり、重心の位置は移動することがない。
【0009】
しかしながら、重心射影点182の位置が重力線181の線上の位置から移動をして、例えば重心射影点180となると、重力に応じて生じる重力加速度Wgにより、車軸の射影点である射影車軸点183を中心として、ステップ台111に回転力が生じる。このときの回転力の大きさTgは、射影車軸点183から重心射影点180までの距離をLとして、〔数1〕で表される。
【0010】
【数1】
Tg=Hg×L
【0011】
この〔数1〕において、値Hgは、射影車軸点183と重心射影点180とを結ぶ直線と直交方向に働く力であり、搬送者を含めた搬送装置110の重量に重力加速度の分力成分である。従って、値Hgの大きさは、射影車軸点183と重心射影点180とを結ぶ直線と重力線181のなす角度をΘとして、〔数2〕で表される。
【0012】
【数2】
Hg=Tg×SinΘ
【0013】
一方、別の作用である、モータ116及びモータ117が回転に伴いステップ台111が受ける力について説明する。モータ116及びモータ117は、ロータとステータからなり、両者は他の一方に対して相対的に回転運動をする。そして一般的なインナーロータ形のモータにおいて、ステータはモータを覆う外囲部の一部をなし、外囲部はステップ台111に固定されて、モータの回転は外囲部に対する相対運動として生じるものである。
【0014】
従って、モータの回転軸に負荷が結合されている場合においては、この負荷の大きさに応じて、ステップ台111を、射影車軸点183を回転中心として傾けるモータ反作用力が生じる。このときの反作用力の大きさは、路面を車輪が転がる場合の転がり摩擦力と車輪の走行速度とに比例し、ステータに働く力の作用点の位置を射影車軸点より距離r離間した点に反作用力Frとして集中すると考えることができる。
【0015】
すなわち反作用力Frの大きさは、モータの回転駆動力や転がり摩擦係数に依存するものである。この反作用力をトルク反作用力と定義して以下用いる。
【削除】トルク反作用力Tsの大きさは、下記の〔数3〕で表される。なおこの場合に、ステップ台111は1枚の剛性の高い板で構成されているので、力が加わることによるステップ台の構造の変化はない。
【0016】
【数3】
Ts=Fr×r
【0017】
さらにステップ台111に加わるトルク反作用力は、左の車輪112を回転駆動するモータ114によるトルク反作用力と、右の車輪113を回転駆動するモータ115によるトルク反作用力との合成力となる。従って、モータ114により発生するトルク反作用力Ts1と、モータ115により発生するトルク反作用力Ts2とを合成した値が、下記の〔数4〕で表される総合のトルク反作用力Tsaとなる。
【0018】
なお、直進運動をする場合にはトルク反作用力の大きさTs1とトルク反作用力の大きさTs2は略等しくなり、このときのトルク反作用力は〔数4〕で表される。以下においては、説明の簡単化のために、値Ts1と値Ts2とが等しいものとするが、作用の説明の一般性を失うものではない。
【0019】
【数4】
Tsa=Ts1+Ts2=2×Fr×r
【0020】
すなわち、搬送者を含む搬送体には回転力Tgが働くので、この力だけであれば、搬送体はこの回転力により回転してしまい路面と接触して回転は停止する。しかしながら、上述の重力加速度による回転力Tgと、モータ114及びモータ115により発生する合成のトルク反作用力Tsaとの方向が逆向きで、大きさが等しく、下記の〔数5〕が成立する場合には、搬送装置によって搬送される搬送者は、重心位置を所定の位置に保持していることができる。
【0021】
【数5】
Tg−Tsa=0
【0022】
さらに、〔数5〕に上述の諸式を代入して、結論として〔数6〕を得ることができる。
【0023】
【数6】
Θ=Sin−1(2×Fr×r/L×Wg)
【0024】
ここで、値Lと値Wgは定数であるので、搬送装置の安定状態を維持するためには〔数6〕に示す関係式が常に成り立つようにしなければならない。さらに、〔数6〕で示す関係を維持するためには、射影重心点の位置をトルク反作用力による回転力の大きさに応じて常に制御しなければならない。しかしながら、搬送装置によって搬送される搬送者の重心移動の動作によってこれを要求することは極めて困難であるところから、サーボループの作用により自動的にこれを行う。
【0025】
具体的には、ステップ台111上のセンサ部に設けられる角度検出センサで、射影平面におけるステップ台111の重力方向との傾き角度Θを検出し、この検出される値に所定のゲインを掛けたり、位相補償を施したりした後の角度Θに応じる信号を、モータ114及びモータ117に入力することにより、射影重心点180の位置を保持することができる。
【0026】
すなわち、このようなサーボを行えば、例えば搬送者が重心の位置を前に移動させれば搬送装置110は前進し、重心の位置を前に移動すればするほど進行速度は速くなって安定に走行する。また、後退する場合には、重心を後方に移動させることにより、同様の操作を行うことができる。
【0027】
さらに、搬送装置110の進行方向を変更する場合においては、上述のサーボを行いながら、モータ112に加算電圧(減算電圧)を加え、モータ113に減算電圧(加算電圧)を加えることにより左右の車輪の回転数を異ならせて、自由に方向を変えて走行することができる。
【0028】
なお、上述の〔特許文献1〕〜〔特許文献7〕にはこのような搬送体およびこのような搬送体を制御する技術が開示されている。また、〔特許文献8〕には、重力方向に対する傾きではなく、走行面と搬送体のステップ台との相対的な傾き角度を検出することにより、走行面と所定の角度を維持しつつ安定に走行する搬送体の技術も開示されている。
【0029】
一方、別の周知慣用の技術として、回生制動の技術が4輪車の場合には多用されている。この技術は、車両の運動エネルギーを、発電機を用いて電気エネルギーとして回収し、同時にブレーキとしての作用も達成するものである。この場合においては、別に発電機を設けることなく電動機を可逆的に発電機として動作させることも周知慣用の技術的手段である。
【0030】
さらに、別の従来の技術として、ステップダウンスイッチングレギュレータ、ステップアップスイッチングレギュレータ、インバーススイッチングレギュレータが知られている。スイッチングレギュレータは、スイッチング作用により原理的には無損失で電圧を変換するものであり、ステップダウンスイッチングレギュレータは電圧を降圧し、ステップアップスイッチングレギュレータは電圧を昇圧し、インバーススイッチングレギュレータは極性を正負相互に変換するものである。
【0031】
【特許文献1】
特表2001−521856
【特許文献2】
特開平01−316810
【特許文献3】
US−6223104
【特許文献4】
特開昭62−181985
【特許文献5】
特開昭63−305082
【特許文献6】
US−5701965
【特許文献7】
US−5791091
【特許文献8】
特開昭62−181985
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の技術においては、射影重心点の位置に応じてモータのトルク反作用力を制御するので制御電力が常に必要となる。一方、このような搬送装置は電池で走行するので電力の消費を最小にすることが望まれる。
【0033】
そこで、ブレーキをかけて制動動作を行う場合には、モータから運動エネルギーを回収する回生制動を行うことが考えられる。これによれば、回生制動により運動エネルギーを電力に変換してブレーキ動作を行うと同時に、発生した電力を電池に戻し電池を充電することができるので、電池での走行距離を伸ばすことができるものである。
【0034】
しかしながら、従来4輪車に多用されている回生制動を直に、1輪車や車軸が略同軸に配置される2輪車等の複数の車輪を有する搬送体に適用することには困難が伴う。その理由は、4輪車においては、どのような制動を行っても車体の安定状態は維持されるのに対して、1輪車や車軸が略同軸に配置される2輪車等の複数の車輪を有する搬送体においては、無限定に回生制動を行うと安定状態を維持することが困難となるからである。そこで、1輪車や2輪車等の移動する搬送体の安定を保ちつつ回生動作を行うという従来にはない新たな課題が生じる。
【0035】
また、回生動作により搬送体を安定できるのは、あくまでも車輪が現在有している運動エネルギーを電力として変換できる限度においてであり、車輪を逆回転させる等の運動エネルギーを車輪に対して与えなければ搬送体の安定が保たれない場合においては、回生動作のみでは搬送体を安定化することができない。従って、回生動作と通常の走行動作を組み合わせて搬送体を安定に走行させるという別の新規な課題も生じる。
【0036】
この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置では、1輪車、2輪車等の不安定平衡点を有する搬送装置において、安定状態を維持しながら回生制動を行うことが困難であり、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができなかったというものである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
このため本発明においては、車輪の回転力を電力として回収する回生制動を行うと共に、筐体の走行方向における重力方向または走行面との傾き角度を検出し、傾き角度に応じて回生制動により回収する電力の量を調整するようにしたものであって、これによれば、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にするという従来の課題を解決することができる。更に、動力による通常走行と回生制動による走行とを自動的に選択して連続的に結合させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明の搬送体の回生制動装置においては、車輪の回転力を電力として回収する回生制動手段と、回生制動手段の発生する回転作用力が作用する、搬送体の構造の一部をなす筺体と、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または筺体の走行方向における走行面との傾き角度を検出する角度検出手段と、傾き角度に応じた角度信号に基づき回生制動手段を制御する制御信号を発生する演算手段とを備え、傾き角度に応じて回生制動手段により回収する電力の量を調整してなるものである。
【0039】
また、本発明の搬送体の回生制動方法においては、前記車輪の回転力を電力として回収する回生制動を行うに際して、搬送体の筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または筺体の走行する走行面との傾き角度を検出し、傾き角度に応じた回転作用力を発生するように回生制動により回収する電力の量を調整してなるものである。
【0040】
また、本発明の搬送体の制御方法においては、車輪を回転させる動力を動力発生手段により発生し、または、車輪の回転力を電力として回生制動手段により回収するに際して、搬送体の筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または筺体の走行する走行面との傾き角度を検出し、車輪の回転方向を示す車輪回転方向信号を検出し、車輪の回転方向と、回生制動手段を制御する制御信号の極性と、に基づき、動力を動力発生手段により発生するか電力を回生制動手段により回収するかを選択し、傾き角度に応じたトルク反作用力を発生するように動力発生手段による動力の量を調整し、または、傾き角度に応じた回転作用力を発生するように回生制動手段により回収する電力の量を調整してなるものである。
【0041】
さらに本発明の搬送装置においては、車輪の回転力を電力として回収する回生制動手段と、回生制動手段の発生する回転作用力が作用する、搬送体の構造の一部をなす筐体と、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または筺体の走行方向における走行面との傾き角度を検出する角度検出手段と、傾き角度に応じた角度信号に基づき回生制動手段を制御する制御信号を発生する演算手段とを備え、傾き角度に応じて回生制動手段により回収する電力の量を調整することにより搬送装置の姿勢の維持を図るものである。
【0042】
以下に、図1乃至図3を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0043】
図1には、本発明の搬送装置の実施の形態の概略図を示す。図1に示した実施の形態において、搬送装置は、図7に示した従来の装置におけるものと何ら異なる点はない。モータが発電機としても作用することにより回生制動を行える点が異なるのみである。従って、通常の走行においては構成も作用も図7に示した従来の装置と同じであり何ら異なる点はない。
【0044】
また以下の説明において、モータは、動力発生手段としての電動機としても、回生制動手段としての発電機としても作用するが、動作を明瞭に区別する場合にはそれぞれの単語を使用する。すなわち、電動機との記載は動力を発生する電動機としての作用をする場合を指すものとし、発電機との記載は電力を発生する発電作用をする場合を指すものとする。しかしその実体はいずれもモータである。
【0045】
さらにモータの種類としては、直流電動機(直流発電機)、同期電動機(同期発電機)、誘導電動機(誘導電動機)等、種々の形式が採用可能であるが、以下の説明では、直流電動機(発電機)を代表例として説明する。しかしながら、他の形式のモータであっても、同様に実施することができるものである。
【0046】
すなわち、図1と図7との対比において、搬送装置10は搬送装置110に、ステップ台11はステップ台111に、モータ14及びモータ15はモータ114及びモータ1115に、車輪12及び車輪13は車輪112及び車輪113に、車軸16及び車軸17は車軸116及び車軸117に、ハンドル19はハンドル119に、ステー18はステー118に各々対応する。そして車輪12及び車輪13は略一点である、接地点22及び23により路面25に接している。
【0047】
そこで、図2に沿って実施の形態の動作原理を説明する。例えば、モータを電動機として動作させる場合において前方向に進行する回転駆動力をモータに与えると、モータの回転力により生じるトルク反作用力として符号185で示す力Fr1がモータの外囲部に働き、その結果としてステップ台11を傾けることは、上述の〔従来の技術〕で説明した通りである。
【0048】
一方、搬送装置が前方向に進行中において、モータを発電機として作用させ回生制動を行う場合に、回生制動力に応じて、符号186で示す力Fr2が働く。この場合、回生制動の量が大きくなるに従い別の力Fr2(符号186)の大きさは大きくなる。この力Fr2を回転作用力と定義して以下用いる。
【0049】
次に、符号186で示す回転作用力Fr2が働く理由を述べる。モータの回転子は回転軸を介して車輪に結合されているので、搬送体の回転運動は車輪の回転を介して回転子の回転運動に変換される。このとき、電機子巻き線への電力の供給を止め、電機子巻き線に負荷を接続すると固定子と回転子との電磁変換作用により電機子巻き線から電力が取り出せる。すなわちこの場合に、モータは発電機として作用することになる。
【0050】
ここで、電力を取り出す電機子巻き線は固定子側に設けても、回転子側に設けても動作の原理に異なるところはない。なお、電動機動作においては電力を供給し、あるいは、発電機動作において電力を取り出すための巻き線が施された部材が固定子あるいは回転子であるかを問わず一般に電機子と称し、電機子に施されている巻き線を電機子巻き線と呼んでいる。
【0051】
回生制動を行わない場合、すなわち電機子巻き線の負荷として電池が接続されていない場合には、電機子巻き線から電流を取り出すことがないので、回転子が回転をしたとしても、固定子や固定子が固着されるモータ外囲部およびステップ台11に何の力も与えることなく自由に回転をする。しかしながら、巻き線から電流を取り出すに従い、回転子の回転は妨げられる。
【0052】
すなわち、電機子から電力を取り出すと回転子と同方向に固定子は回転を始める。これによりステップ台11は回転子の回転方向と同一の方向に回転力が作用することとなる。この作用力が回転作用力であり、発電機の回転子の回転方向と同じ向きに働く力である。
【0053】
ここで、モータが電動機として働く場合には、電機子電流を大きくしてモータの推力が大きくなればなるほど、回転子の回転方向とは逆向きのトルク反作用力が固定子に作用する。一方、発電機として働く場合には、電機子巻き線より負荷に供給される電流の大きさを大きくすればするほど、回転子と固定子の磁気的結合度が強くなり、回転作用力が大きくなり、回転子の回転に固定子が引きずられ、固定子も回転することになる。
【0054】
この場合に、回転作用力による回転力は点183を中心として働き、トルク反作用力Fr1と回転作用力Fr2の方向は、上述の理由により、図2に表されてように180度異なった方向に向いている。
【0055】
そこで、回生動作を行う場合の搬送体全体に働く回転作用力を値Tsaとし、ステップ台11は1枚の剛性の高い板で構成されているので、力が加わることによる構造の変化はないものとすると、値Tsaは〔数7〕で表される。
【0056】
【数7】
Tsa=Tsk1+Tsk2
【0057】
この〔数7〕で、値Tsk1は回生制動時にモータ14により生じる回転作用力であり、値Tsk2は回生制動時にモータ15により生じる回転作用力である。
【0058】
ここで、直進する場合において、モータ14とモータ15の両方のモータから同じ回生電力を得ている場合には、値Tsk1と値Tsk2とは同じ大きさとなる。簡単化のために、以下の説明においてはTs1=Ts2=Fr2とするが、一般性を失うものではない。これにより〔数7〕は〔数8〕に変形される。
【0059】
【数8】
Tsa=2×Fr2×r
【0060】
さらに、回生電力を発生している場合の操車者の重心移動による力のバランスを説明する。操車者が重心位置を移動させることにより発生する回転力の大きさTgは〔数1〕に示した通りである。従って、上述した〔数6〕に示すトルクバランスの式は、モータを電動機として作用させ走行する時のみならず、モータを発電機として作用させて回生制動する場合にも、値Frを値Fr2と書き換えれば同様に成立する。
【0061】
ここにおいて、値Fr2で表す回生動作における回転作用力の方向と値Fr1で表す電動機が発生するトルク反作用力の方向とが逆向きになるので、回転力の大きさTgの方向も回生動作時と回転駆動時とでは逆むきにならなければトルクがバランスすることはない。すなわち、このような状態を作り出すには、回生動作時と回転駆動時とでは、〔数6〕の角度Θの極性を逆方向にしなければならない。
【0062】
すなわち、〔数6〕の角度Θが負方向に大きくなればなるほど、重心を後方に移動させて回生電力を大ききして回転作用力を大きくしなければ搬送体は安定状態を維持することができない。さらに具体的に説明すると、前方に進行している状態において、図2に示すように後方に重心を移した場合に回生動作を行い所定の適切な電力を発電機から吸収することができれば、搬送体10は安定して走行をすることとなる。
【0063】
この場合に、所定の適切な電力とは、後方に傾ける傾き角度Θと回転作用力との関係が〔数6〕に示すように維持されるような発電電力量である。この発電電力量は、発電機の負荷の大きさを変化させることにより調整可能である。すなわち、発電機の回転子が高速で回転をしていたとしても負荷がなく負荷に電流が流れない状態では発電機の発電電力量は零である。
【0064】
一方、発電機の回転子が低速で回転していたとしても重い負荷を接続すれば発電機の発電電力量は大きくなる。ただし、〔数6〕で表せる関係を人の操作で維持することは困難を伴うので、電動機として働かせる従来におけると同様にサーボ機構を用いて行う。
【0065】
さらに電動機として働かせる従来例における作用と、本実施の形態における回生制動の作用の差異を明確にすれば、以下のようになる。従来は角度Θの大きさに関係なく、モータは常に電動機として働くので、モータの回転速度を遅くする場合には、モータに逆電流を流してモータの回転に制動を行っており、そのための電力が蓄電池からモータに供給され、すべてが消費電力となっていた。
【0066】
すなわち、例えば前方に移動している状態で、操車者の体重を後方に移動させると、角度Θは減少したり負値になったりするが、このような場合においては、電動機に現在の回転方向と逆方向に回転するような力を蓄電池の電力を使って発生させて角度Θに応じたトルク反作用力を発生させていた。この結果として、モータは逆回転しない場合にも回転速度が減速されていた。
【0067】
一方、本実施の形態においては、前方に移動している状態で、操車者の体重を後方に移動させると、角度Θは減少したり負値になったりするが、このような場合においては、モータを発電機として作用させて、回転作用力により搬送体の姿勢の安定化を図る。この場合に回転作用力の大きさは回生制動量、すなわち、発電電力量に略比例したものとなるので、発電電力量を後述するスイッチングレギュレータで適切に保つと同時に負荷電力として蓄電池に戻すものである。
【0068】
具体的には、スイッチングレギュレータの出力端に接続される蓄電池に印加される電圧と蓄電池に流れ込む電流との積が発電電力量である。ここで、スイッチングレギュレータの出力の電圧を高くすることにより、発電電力量、すなわち蓄電池の充電に寄与する電力は大きくすることができる。この場合に、蓄電池の内部インピーダンスは一般には低いので、充電電流の変化に対して殆ど蓄電池の電圧変化することはない。
【0069】
一方、スイッチングレギュレータの出力から蓄電池の配線の抵抗と蓄電池の内部インピーダンスの作用により、スイッチングレギュレータの出力端の電圧を高くすると発電電力を大きくすることができる。このとき、充電に寄与する電力は、発電電力から配線の抵抗による電力消費および蓄電池の内部インピーダンスによる電力消費を差し引いた電力である。
【0070】
従って、搬送体の動きとしては同様に見えても、従来は電池の充電電力を消費するのに対して本実施の形態においては、電池の充電電力を増加させるという効果の点において大きな差異を有することになる。
【0071】
さらに、装置の具体的な実施の形態の構成を図3に示す。この実施形態における搬送体は、第1の車輪12を回転駆動する第1のモータM1(14)、第2の車輪13を回転駆動する第2のモータM2(15)、第1の車輪12の回転方向と回転角速度を表す第1の角速度49を検出する第1のタコモータTG(37)、第2の車輪13の回転方向と回転角速度を表す第2の角速度50を検出する第2のタコモータTG(38)、制御部20及び電池26とからなる。
【0072】
そして制御部20には、以下の構成が設けられる。すなわち、まずステップ台11に設けられステップ台11の重力方向への傾き角度Θを検出する傾き角度センサ31と、旋回動作において回転動作を制御する回転信号発生部32と、傾き角度センサ31からの角度信号40及び回転信号発生部32からの回転指示信号41を処理する第1の演算処理部33、並びに第2の演算処理部34が設けられる。
【0073】
また、電池26から供給される供給電力57により、第1の演算処理部33からの第1の回転駆動制御信42を入力として電力増幅された第1の制御電力51を第1のモータ14に供給する第1の電力増幅回路27と、同じく電池26から供給される供給電力57により、第2の演算処理部34からの第2の回転駆動制御信43を入力として電力増幅された第2の制御電力52を第2のモータ15に供給する第2の電力増幅回路28が設けられる。
【0074】
さらに、第1のモータ14からの第1の回生電力53を第1の演算処理部33からの第1の回生電流制御信号42に基づき電池26に所定の充電電流となるように電池充電電流55を出力する第1の回生電流調整器29と、同じく第2のモータ15からの第2の回生電力54を第2の演算処理部34からの第2の回生電流制御信号43に基づき電池26に所定の充電電流となるように電池充電電流56を出力する第2の回生電流調整器30が設けられる。
【0075】
そして、第1の回転駆動制御信号42及び第2の回転駆動制御信号43と、第1の角速度49及び第2の角速度50を入力して、第1のモータ14及び第2のモータ15の動作を切り替える、モード切り替え手段としてのモード切り替え器39が設けられる。
【0076】
なお、上述の第1の回転駆動制御信42と第1の回生電流制御信号42とは名称が異なるのみで、いずれも第1の演算処理部33からの信号であり、上述の第2の回転駆動制御信43と第2の回生電流制御信号43とは名称が異なるのみで、いずれも第2の演算処理部34からの信号である。
【0077】
またこの装置において、傾き角度Θを検出する角度検出手段としての傾き角度センサ31は、例えばステップ台11に設けられる回転型ポテンショメータの回転軸に棒状の回転部材を設け、回転軸の反対側の棒の先端に錘を取り付け、さらに共振をダンプするダンパーも備え、重力を利用して、抵抗値変化としてピッチ角度Θに対応する信号を検出することができる。
【0078】
ただしこの場合においては、錘は重力加速度により力を受けると同時に、搬送車輌の進行による移動による加速度の力も同時に受ける。このため、ピッチ角度Θを検出するには、移動加速度をキャンセルする必要があり、例えば、別に加速度センサを設けてピッチ角度に含まれる加速度成分をキャンセルすることが望ましい。すなわち、このような角度センサは、搬送体の重力方向に対する絶対的な傾きを検出するものである。
【0079】
あるいは、別の傾き角度検出方法としては、上述の〔特許文献8〕に開示されたような、走行面とステップ台との相対的な傾き角度をΘとして検出するものであっても良く、この場合には、走行面をトレースする棒の他端にポテンショメータの回転軸を取り付けたものであっても良い。
【0080】
このように重力に対する絶対的な傾き角度を検出する場合であっても、走行面に対する相対的な傾き角度を検出する場合であっても、本実施の形態においては何ら問題なく作用する。ここで走行面に対する相対的な角度は、走行面に垂直な場合を0度の基準点に定めるものとする。このように基準を定めることにより、走行面が水平である場合には、重力に対する絶対角度と走行面に対する相対角度とが一致することになる。
【0081】
そして上述の第1の演算処理部33及び第2の演算処理部34は、傾き角度40及び回転信号41が入力されると加減演算を行い、さらに、必要に応じて位相補償やゲイン係数を掛け合わせたりする。また、第1の電力増幅回路27及び第2の電力増幅回路28は第1の演算処理部33及び第2の演算処理部34からの信号の電力増幅を行う。なお電力増幅の態様は、モータがDCモータである場合には直流電力増幅器であり、モータが同期機や誘導機である場合には交流電力増幅器である。
【0082】
さらに第1の回生電流調整器29は第1のモータが発電機として働く場合に動作するものである。また第2の回生電流調整器30は第2のモータが発電機として働く場合に動作するものである。すなわち、回生制動を行う際に発電機として働くモータ14またはモータ15により発生する回転作用力を所定の値に制御するためには、モータ14またはモータ15からの電圧を昇圧、または降圧する必要がある。
【0083】
ここで、電力の損失が少なく電圧を昇圧または降圧するには、ステップアップ・スイッチングレギュレータまたはステップダウン・スイッチングレギュレータが用いられる。図4には、ステップアップ及びステップダウン・スイッチングレギュレータを組み合わせて、自由に電圧の昇降を行う電圧変換回路の概念図を示す。なお図4は、第1の回生電流調整器29についてのブロックダイヤグラムを示すが、第2の回生電流調整器30についても全く同様な構成を有している。
【0084】
さらに、この装置がどのように動作するかを順次説明する。まずモータが電動機として働くか、発電機として働くかは、その時点における搬送体の走行状況と操車者の重心の位置との関係で定まるものであり、モード切り替え機39が自動的に判別して切り替える。
【0085】
そして第1のモータ14が電動機として作用する場合には、第1の電力増幅器27が作用し、第1の回生電流調整器29は作用することはない。同様に第2のモータ15が電動機として作用する場合には、第2の電力増幅器28が作用し、第2の回生電流調整器30は作用することはない。
【0086】
一方、第1のモータ14が発電機として作用する場合には、第1の回生電流調整器29が作用し、第1の電力増幅器27は作用することはない。同様に第2のモータ15が電動機として作用する場合には、第2の回生電流調整器30が作用し、第2の電力増幅器28は作用することはない。
【0087】
また、第1のモータ14及び第2のモータ15が同時に電動機または発電機として作用することもあるが、第1のモータ14または第2のモータ15のいずれか一方が発電機として動作し、第1のモータ14または第2のモータ15のいずれか一方が電動機として動作する場合もある。
【0088】
例えば、旋回動作をする場合や、走行面と車輪との関係で片方のモータのみに過大な摩擦抵抗が生じた場合等には第1のモータ14と第2のモータ15の動作が一方は電動機として働き、他方は発電機として働くこともある。いずれの場合もその動作モードの切り替えはモード切替機によりなされる。以下にどのように動作モードが切り替えられるかも含めて、図3に示す装置の動作をより詳細に説明する。
【0089】
まず、モータを電動機として使用する場合における動作について説明する。ここでは、基本的な原理は従来の技術と異なることがないが、図3に沿って説明する。なお、以下の説明は、第1のモータ14について行うが、第2のモータ15についても同様であるので、第2のモータについては、説明を省略する。
【0090】
モード切り替え器39においてモータを電動機として動作させる選択が、以下のように行われる。第1の車輪の現在の回転方向、すなわち第1のモータ14の回転方向Drを第1のタコモータ37の信号に基づき検出する。次に、第1の演算処理部33の出力信号42から第1のモータ14を現在の回転方向に回転させようとするのか、逆に現在の回転方向とは逆方向に回転させブレーキ方向に回転させようとしているのかを検出する。
【0091】
ここで、第1のモータ14に指示する回転方向Dmは、第1の演算処理部33からの第1の演算信号42が正負いずれの極性であるかにより容易に検出可能である。そして、例えばモード切り替え器39で検出される回転方向Dmの極性で第1のモータ14を駆動したとして、タコメータが現在表す回転方向を維持する場合には、この状態で第1のモータを駆動し続ければ良いことを意味するので、第1のモータは電動機として作用させれば良いこととなる。
【0092】
従って、回転方向Drと回転方向Dmとが一致する場合においては、第1の電力回路27の作用により第1のモータ14は回転制御される。この場合における動作は、上述の従来の例と全く同じ制御動作である。またこの場合には、図示しない電子回路により回路が切断され、第1の回生電流調整器29は第1のモータ14に作用することはない。
【0093】
一方、回転方向Drと回転方向Dmとが逆方向である場合においては、第1のモータをブレーキとして働かせることを意味している。すなわち、現在の第1の車輪12の回転方向と逆方向に第1の車輪12を回転させるような指令が第1の演算信号42により発せられているのである。このような場合、従来は、第1のモータ14に電力を供給して逆方向の力を電動機により発生させた。しかしながら、上述したようにこのような制御においては電力を消費してしまう。
【0094】
そこで、本発明では、省電力のために、回生動作により対処する。すなわち、モード切り替え器39が回転方向Drと回転方向Dmとの極性を見て、第1の回生調節器を動作させ、第1の回生電流調整器29の作用により第1のモータ14からの電力を回収して電池26を充電する。この場合には、図示しない電子回路により回路が切断され、第1の電力増幅回路27は第1のモータ14に作用することはない。
【0095】
そして、このような回生動作においては、第1のモータ14が発電機として作動することにより、発電される電力を電池26に充電することができ、同時に第1のモータ14が発電機として働くことにより第1の車輪12にとってはブレーキとなり、電力の回収とブレーキとが同時に行われる。
【0096】
ここで、回生動作により回収する電力量を調整することによりブレーキ量が定まるのであるが、発電機からの発電電圧は第1の車輪12の回転速度により定まるので、発電機の出力を直接に電池26に接続したとしても所期の目的を達成することは困難である。この目的のため、本発明においては、インターフェイスとしての作用を第1の回生電流調整器29が行うものであり、具体的な構成はスイッチングレギュレータとなっている。
【0097】
さらに、図4に示す第1の回生制動部29おいてどのように作動して回生動作が行われるかを具体的な構成を示して説明する。
【0098】
ここで、図4の上部はステップアップレギュレータを構成し、下部はステップダウンスイッチングレギュレータを構成する。このステップアップスイッチングレギュレータは、第1のモータの発生する電圧を昇圧して電池26に充電電流を流す。ここで、充電電流の大きさは、ステップアップ電力スイッチ63のON時間が長くなるほど大きなものとなる。
【0099】
また、回転作用力の大きさは電池の両端の電圧は充電電流によらず略一定であるので、充電電流が大きくなると大きくなる。従ってステップアップ電力スイッチ63のON時間を長くすることにより、スイッチングレギュレータの出力の電圧をより高くして充電電流を増加させ、結果として、回転作用力を大きくすることができる。なお、ステップアップ電力スイッチ63はステップアップ制御信号発生部62からの信号により制御される。
【0100】
さらにステップダウンスイッチングレギュレータは、第1のモータの発生する電圧が大きい場合に第1のモータの発生する電圧を降圧して電池26に充電電流を流す。ここで、充電電流の大きさは、第1のステッダウン電力スイッチ68のOFF時間が長くなるほど小さなものとなる。
【0101】
また、回転作用力の大きさは充電電流が小さくなる程小さくなるので、ステップダウン電力スイッチ68のOFF時間を長くすることにより回転作用力を小さくすることができる。なお、ステップダウン電力スイッチ68はステップアップ制御信号発生部62からの信号により制御される。
【0102】
さらに、ステップアップ制御信号発生部62及びステップダウン制御信号発生部70は、第1の回生電流制御信号42及び第1のモード切り替え信号47により制御される。具体的にどのように制御されるかについて、図5に示すフローチャートに従って以下に説明をする。なお、以下の説明は、第1のモータ14の制御について述べるが、第2のモータ15の制御も同様である。
【0103】
すなわち図5において、ステップ〔1〕で第1のタコモータTG(37)からの第1の角速度49と、第1の演算処理部33からの第1の回転駆動制御信42が取り込まれ、ステップ〔2〕で第1のモータ14の回転方向Drと第1のモータ14に指示する回転方向Dmが検出される。そしてステップ〔3〕で回転方向Drと回転方向Dmが一致しているか否か判断される。さらにステップ〔4〕で、電力スイッチ63のON時間が所定の値以上か否か判断される。
【0104】
これらの判断により、例えば回転方向Drと回転方向Dmが一致しているときや、電力スイッチ63のON時間が所定の値以上のときには、第1の電力増幅器27が選択され、第1のモータM1(14)が第1の演算処理部33からの第1の回転駆動制御信号42に従って駆動される。このとき、電池26に充電された電力が消費される。
【0105】
また、回転方向Drと回転方向Dmが不一致で、電力スイッチ63のON時間が所定の値以内のときは、第1の回生電流調整器29が選択され、第1のモータM1(14)からの回生電力が、第1の演算処理部33からの第1の回転駆動制御信42に従って電池26に充電される。
【0106】
このようにして、第1のモータ14及び第2のモータ15の駆動と、これらのモータからの回生電力の電池26への充電が行われる。さらに、上述のスイッチングレギュレータの構成からなる第1の回生電流調整器29の動作について、搬送体における制動動作との関係において以下に詳細に説明する。
【0107】
図6には、第1の演算信号42と、ステップアップ電力スイッチ63を制御する信号及びステップダウン電力スイッチ68を制御する信号との関係を表すタイムチャート図を示す。ここで第1の演算信号42が大きい場合には、制動を強く行わなければ搬送体の姿勢のバランスが保たれないことを意味するので、充電電流Ibは大きくしなければならない。
【0108】
すなわち、第1の回生電流制御信号42が比較的大きい場合には、充電電流を大きくして回生制動を大きくしなければ搬送体は安定状態に保つことができないので、電池に流れる電流を大きくすべく、ステップアップレギュレータが動作する。
【0109】
従ってこの場合には、第1の回生電流制御信号42の大きさに応じて、ステッアップ電力スイッチ63のON時間が長くなり、結果として、電流Ibの値は大きくなる。なお、図6のAは、第1の回生電流制御信号42が大きい場合の各部の電力スイッチの波形を示す。また図6のBは、第1の回生電流制御信号42が小さい場合の各部の電力スイッチの波形を示す。
【0110】
ここで、ステップアップレギュレータによって、第1の回生電流制御信号42の大きさに応じた充電電流Ibを流すことができる場合には問題はないが、電力スイッチ63のON時間の幅を所定の値以上としても電圧の昇圧ができない領域が存在する。この原因は、ステップアップレギュレータに使用されるインダクタンスに蓄えられる磁気エネルギーの量および電力スイッチとして使用される半導体素子の取り扱える電流が有限であることおよび電機子の抵抗により発電機から取り出せる電流に制限が加わるためである。
【0111】
このため、予め定める所定の値以上に電力スイッチ63の幅が拡がる場合には、それ以上の電力を発電機から電池26に回収することはできず、回生制御は不能とみなして、通常の電動機による制御モードに戻すループが設けられる。これにより、電池26から第1のモータ14に必要な電流が電池26より供給され搬送体10は常に安定した状態を保つことができる。
【0112】
一方、電力スイッチ63のOFF時間が長く成る程、充電電流Ibの値は小さくなるが、ステップアップ電力スイッチ63をOFF状態にしても第1のモータ14の起電圧以下の電圧(正確に言うならば、起電圧からダイオード64及びインダクタンス60の電圧降下引いた電圧である。)を電池26に印加することができないため、充電電流Ibを減少させることができない場合も生じる。
【0113】
すなわちこのような場合には、ステップアップ電力スイッチ63の制御幅(デューテイ)が0となるので、制御幅が0となることを検出して電力スイッチ72をOFF状態にすれば、ステップダウンレギュレータの作用で、〔数6〕の条件を満たしながら回生制動を行うことができる。なお、図6のCは第1の回生電流制御信号42がさらに小さくなった場合の各部の電力スイッチの波形を示す。
【0114】
ここで、ステップアップレギュレータとステップダウンレギュレータとを同時に働かしても逆流防止ダイオード71の作用により両方のレギュレータが干渉するようなことはなく、何の問題も生じない。
【0115】
例えば、第1のモータからの電圧が低く充電電流を増やしたい場合において、ステップダウン電力スイッチ68がON状態を維持し続ける場合には、自動的にステップアップ電力スイッチ63の作用により所定の充電電流とされる。なお、この場合において、第1の逆流防止ダイオード71の作用により、電流の逆流は防止される。
【0116】
一方、第1のモータからの電圧が高く充電電流を減らしたい場合において、ステップアップ電力スイッチ63がOFF状態を維持し続ける場合には、自動的にステッダウン電力スイッチ68の作用により所定の充電電流とされるが、ダイオード64の作用により干渉は防止される。
【0117】
さらに、第1の回生電流調整器29と第2の回生電流調整器30との干渉もダイオード64及びダイオード71により防止できる。このようにして、第1の回生電流制御信号42の大きさに応じて自動的にステップアップレギュレータとステップダウンレギュレータが選択的に動作して、必要な制動力を発生させる回生制動を行うことができる。
【0118】
従ってこの実施形態において、車輪の回転力を電気エネルギーとして回収する回生制動を行うと共に、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度を検出し、傾き角度に応じて回生制動により回収する電力の量を調整するようにしたことによって、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にするという従来の課題を解決し、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができる。
【0119】
これによって、従来の装置では、2輪車等の不安定平衡点を有する搬送装置において、安定状態を維持しながら回生制動を行うことが困難であり、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【0120】
こうして上述の搬送体の回生制動装置によれば、車輪の回転力を電気エネルギーとして回収する回生制動手段と、回生制動手段を固着する筐体と、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度を検出する角度検出手段を備え、傾き角度に応じて回生制動手段から回収する電力の量を調整することにより、搬送装置の安定状態を維持して回生動作を行うことができ、装置の省電力化が可能となるものである。
【0121】
また、上述の搬送体の回生制動方法によれば、車輪の回転力を電気エネルギーとして回収する回生制動を行うと共に、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度を検出し、傾き角度に応じて回生制動により回収する電力の量を調整することにより、搬送装置の安定状態を維持して回生動作を行うことができ、装置の省電力化が可能となるものである。
【0122】
また、上述の搬送体の制御方法によれば、車輪の回転力を電気エネルギーとして回収する回生制動手段に伝え、回生制動手段を固着する筐体の走行方向における傾きに応じた傾き信号を検出し、傾き信号に応じて回生制動手段から回収する電力の量を調整する回生制動ステップを有することにより、搬送装置の安定状態を維持して回生動作を行うことができ、装置の省電力化が可能となるものである。
【0123】
さらに上述の搬送装置によれば、車輪の回転力を電気エネルギーとして回収する回生制動手段と、回生制動手段を固着する筐体と、筐体の走行方向における重力方向との傾き角度を検出する角度検出手段を備え、傾き角度に応じて回生制動手段から回収する電力の量を調整することにより、搬送装置の安定状態を維持して回生動作を行うことができ、装置の省電力化が可能となるものである。
【0124】
すなわち、本発明によれば、車輪の回転により生じるモータのトルク反作用と回生電力との関係を調整することにより回生制動を行うので、搬送装置の安定状態を維持して回生動作を行うことができ、装置の省電力化が可能となるものである。
【0125】
なお本発明は、上述の説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【0126】
【発明の効果】
従って請求項1の発明によれば、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にするという従来の課題を解決することができるものである。
【0127】
さらに請求項2の発明によれば、によって、動力発生手段を有する場合においても、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にし、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができるものである。
【0128】
請求項3の発明によれば、回生制動手段によって、筺体を所定の傾き角度に維持するに十分な電力を回収することが困難な場合には、動力発生手段を動作させることにより、筺体を所定の傾き角度に維持することを可能とするものである。
【0129】
請求項4の発明によれば、同軸に配置される第1及び第2の車輪を備える場合であって、第1の車輪と第2の車輪とが、異なる回転速度で回転したり、異なる回転方向に回転する場合であっても、第1の車輪と第2の車輪を各々独立に、回生制動手段を動作させるか動力発生手段を動作させるかを選択可能とするものである。これにより、電力の回収が効率的に行えるものである。
【0130】
請求項5の発明によれば、回生制動手段の具体的な構成として、発電機とスイッチングレギュレータと蓄電池を用いるものであるので、電力損失なく、回収した電力を蓄電池に充電して省電力化が図れるものである。
【0131】
また、請求項6の発明によれば、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にするという従来の課題を解決することができるものである。
【0132】
さらに請求項7の発明によれば、回生制動と動力発生とを選択して、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にし、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができるものである。
【0133】
請求項8の発明によれば、回生制動と動力発生とのいずれかを選択するに際して、さらに電力の回収が可能か否かの判断に基づき選択を行うことによって、回生制動手段の動作に応じた充電電流を流すことができない場合においても、良好な制御を行うことができるものである。
【0134】
請求項9の発明によれば、車輪は第1及び第2の車輪からなり、第1の車輪の回転に応じた回生動作と第2の車輪の回転に応じた回生動作とを独立に行うことにより効率的な制御を行うことができるものである。
【0135】
さらに請求項10の発明によれば、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にするという従来の課題を解決することができるものである。
【0136】
さらに請求項11の発明によれば、不安定平衡点を有する搬送装置における安定状態を維持しながら回生制動を可能にし、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができるものである。
【0137】
請求項12の発明によれば、モード切り替え手段は、さらに回生制動手段の回生動作が可能か否かの判断に基づき動力発生手段または回生制動手段のいずれかを選択的に動作させることによって、回生制動手段の動作に応じた充電電流を流すことができない場合においても、良好な制御を行うことができるものである。
【0138】
請求項13の発明によれば、車輪は同軸に配置される第1及び第2の車輪からなり、傾き角度に応じて第1の回生制動手段または第2の回生制動手段から回収する電力の量を調整することによって、特に車輪が同軸に配置された2輪車において、良好な制御を行うことができるものである。
【0139】
請求項14の発明によれば、発電機を筐体に固着して回転作用力を筐体に効率的に作用させ、スイッチングレギュレータを用いることにより電力の損失がなく、変換電力を電池を備えるという、具体的な構成を用いた装置において、良好な制御を行うことができるものである。
【0140】
これによって、従来の装置では、1輪車や2輪車等の不安定平衡点を有する搬送装置において、安定状態を維持しながら回生制動を行うことが困難であり、通常走行と回生制動を連続的に結合させることができなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用される搬送装置の実施形態の構成図である。
【図2】その動作の説明のための図である。
【図3】本発明の適用される搬送装置の実施形態の回路構成を示すブロック図である。
【図4】回生電流調整器の構成を示すブロック図である。
【図5】その動作の説明のためのフローチャート図である。
【図6】その動作の説明のためのタイムチャート図である。
【図7】従来の搬送装置の構成図である。
【図8】その動作の説明のための図である。
【符号の説明】
10…搬送装置、11…ステップ台、12…第1の車輪、13…第2の車輪、14…第1のモータ、15…第2のモータ、16,17…車軸、18…ステー、19…ハンドル、22,23…接地点、25…路面

Claims (14)

  1. 車輪により移動可能とされる搬送体の回生制動装置であって、
    前記車輪の回転力を電力として回収する回生制動手段と、
    前記回生制動手段の発生する回転作用力が作用する、搬送体の構造の一部をなす筺体と、
    前記筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行方向における走行面との傾き角度を検出する角度検出手段と、
    前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記回生制動手段を制御する制御信号を発生する演算手段とを備え、
    前記傾き角度に応じて前記回生制動手段により回収する電力の量を調整する
    ことを特徴とする搬送体の回生制動装置。
  2. 車輪により移動可能とされる搬送体の回生制動装置であって、
    前記車輪を回転させる回転力を発生する動力発生手段と、
    前記車輪の回転力を電力として回収する回生制動手段と、
    前記動力発生手段の発生するトルク反作用力または前記回生制動手段の発生する回転作用力が作用する、搬送体の構造の一部をなす筺体と、
    前記筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行方向における走行面との傾き角度を検出する角度検出手段と、
    前記車輪の回転している方向を示す車輪回転方向信号を検出する回転検出手段と、
    前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記回生制動手段または前記動力発生手段を制御する制御信号を発生する演算手段と、
    前記車輪回転方向信号および前記制御信号に基づき前記動力発生手段または前記回生制動手段のいずれかを選択的に動作させるモード切り替え手段とを備え、
    前記角度信号に応じて前記動力手段に発生する電力または前記回生制動手段から回収する電力を調整する
    ことを特徴とする搬送体の回生制動装置。
  3. 請求項2記載の搬送体の回生制動装置において、
    前記モード切り替え手段は、前記車輪回転方向信号および前記制御信号に基づき回生制動手段が選択された後に、さらに、前記回生制動手段による回生動作が可能か否かを判断して、回生動作が可能と判断すれば前記回生制動手段を動作させ、回生動作が不可能と判断すれば前記動力発生手段を動作させる
    ことを特徴とする搬送体の回生制動装置。
  4. 請求項2記載の搬送体の回生制動装置において、
    前記車輪は、同軸に配置される第1及び第2の車輪からなり、
    前記動力発生手段は、前記第1の車輪に回転力を付与する第1の動力発生手段と、前記第2の車輪に回転力を付与する第2の動力発生手段とを備え、
    前記回生制動手段は、前記第1の車輪の回転力を第1の電力として回収する第1の回生制動手段と、前記第2の車輪の回転力を第2の電力として回収する第2の回生制動手段とを備え、
    前記演算手段は、前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記第1の回生制動手段を制御する第1の制御信号を発生する第1の演算手段と、前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記第2の回生制動手段を制御する第2の制御信号を発生する第2の演算手段とを備え、
    前記回転検出手段は、前記第1の車輪の回転している方向を示す第1の車輪回転方向信号を検出する第1の回転検出手段と、前記第2の車輪の回転している方向を示す第2の車輪回転方向信号を検出する第2の回転検出手段とを備え、
    前記モード切り替え手段は、前記第1の車輪回転方向信号および前記第1の制御信号に基づき前記第1の動力発生手段または前記第1の回生制動手段のいずれかを選択的に動作させる第1のモード切り替え手段と、前記第2の車輪回転方向信号および前記第2の制御信号に基づき前記第2の動力発生手段または前記第2の回生制動手段のいずれかを選択的に動作させる第2のモード切り替え手段とを備え、
    前記角度信号に応じて前記第1の動力発生手段により発生する第1の動力若しくは前記第1の回生制動手段から回収する第1の電力を調整すると供に前記角度信号に応じて前記第2の動力発生手段により発生する第2の動力若しくは前記第2の回生制動手段から回収する第2の電力を調整する
    ことを特徴とする搬送体の回生制動装置。
  5. 請求項1記載の搬送体の回生制動装置において、
    前記回生制動手段は、前記車輪の回転が伝えられる発電機と、
    前記発電機からの出力電力を所定の電圧に変換して変換電力を得るスイッチングレギュレータと、
    前記変換電力を蓄電する電池である
    ことを特徴とする搬送体の回生制動装置。
  6. 車輪により移動可能とされる搬送体の回生制動方法であって、
    前記車輪の回転力を電力として回収する回生制動を行うに際して、
    前記搬送体の筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行する走行面との傾き角度を検出し、
    前記傾き角度に応じた回転作用力を発生するように前記回生制動により回収する電力の量を調整する
    ことを特徴とする搬送体の回生制動方法。
  7. 車輪により移動可能とされる搬送体の制御方法であって、
    前記車輪を回転させる動力を動力発生手段により発生し、または、前記車輪の回転力を電力として回生制動手段により回収するに際して、
    前記搬送体の筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行する走行面との傾き角度を検出し、
    前記車輪の回転方向を示す車輪回転方向信号を検出し、
    前記車輪の回転方向と、前記回生制動手段を制御する制御信号の極性と、に基づき、前記動力を前記動力発生手段により発生するか前記電力を前記回生制動手段により回収するかを選択し、
    前記傾き角度に応じたトルク反作用力を発生するように前記動力発生手段による動力の量を調整し、または、前記傾き角度に応じた回転作用力を発生するように前記回生制動手段により回収する電力の量を調整する
    ことを特徴とする搬送体の制御方法。
  8. 請求項7記載の搬送体の制御方法において、
    前記車輪の回転方向と、前記回生制動手段を制御する制御信号の極性と、に基づき、前記電力を前記回生制動手段により回収することを選択した後、さらに、前記傾き角度に応じた電力の回収が可能か否かを判断し、
    不可能と判断をするときには、再び、前記動力を前記動力発生手段により発生する
    ことを特徴とする搬送体の制御方法。
  9. 請求項7記載の搬送体の制御方法において、
    前記車輪は第1及び第2の車輪からなり、
    前記第1の車輪を回転させる第1の動力を第1の動力発生手段により発生し、若しくは、前記第1の車輪の回転力を第1の電力として第1の回生制動手段により回収し、前記第2の車輪を回転させる第2の動力を第2の動力発生手段により発生し、若しくは、前記第2の車輪の回転力を第2の電力として第2の回生制動手段により回収するに際して、
    前記搬送体の筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行する走行面との傾き角度を検出し、
    前記第1の車輪の回転方向を示す第1の車輪回転方向信号を検出し、
    前記第1の車輪の回転方向と、前記第1の回生制動手段を制御する第1の制御信号の極性と、に基づき、前記第1の動力を前記第1の動力発生手段により発生するか、前記第1の電力を前記第1の回生制動手段により回収するかを選択し、
    前記傾き角度に応じた第1のトルク反作用力を発生するように前記第1の動力発生手段による第1の動力の量を調整し、または、前記傾き角度に応じた第1の回転作用力を発生するように前記第1の回生制動手段により回収する第1の電力の量を調整すると供に、
    前記第2の車輪の回転方向を示す第2の車輪回転方向信号を検出し、
    前記第2の車輪の回転方向と、前記第2の回生制動手段を制御する第2の制御信号の極性と、に基づき、前記第2の動力を前記第2の動力発生手段により発生するか、前記第2の電力を前記第2の回生制動手段により回収するかを選択し、
    前記傾き角度に応じた第2のトルク反作用力を発生するように前記第2の動力発生手段による第2の動力の量を調整し、または、前記傾き角度に応じた第2の回転作用力を発生するように前記第2の回生制動手段により回収する第2の電力の量を調整する
    ことを特徴とする搬送体の制御方法。
  10. 車輪により走行面の上を移動可能とされる搬送装置であって、
    前記車輪の回転力を電力として回収する回生制動手段と、
    前記回生制動手段の発生する回転作用力が作用する筺体と、
    前記筐体の走行方向における重力方向との傾き角度または前記筺体の走行方向における走行面との傾き角度を検出する角度検出手段と、
    前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記回生制動手段を制御する制御信号を発生する演算手段とを備え、
    前記傾き角度に応じて前記回生制動手段により回収する電力の量を調整することにより前記搬送装置の姿勢の維持を図る
    ことを特徴とする搬送装置。
  11. 請求項10記載の搬送装置において、
    前記筺体にトルク反作用力を与え、かつ、前記車輪を回転させる回転力を発生する動力発生手段と、
    前記車輪の回転方向を示す車輪回転方向信号を検出する回転検出手段と、
    前記車輪回転方向信号及び前記制御信号に基づき前記動力発生手段または前記回生制動手段のいずれかを選択的に動作させるモード切り替え手段とを、
    さらに備え、
    前記傾き信号に応じて前記動力手段に発生する動力の量または前記回生制動手段から回収する電力の量を調整する
    ことを特徴とする搬送装置。
  12. 請求項11記載の搬送装置において、
    前記モード切り替え手段は、前記車輪回転方向信号および前記制御信号に基づき回生制動手段が選択される場合であっても、さらに、前記回生制動手段による回生動作が可能か否かを判断して、回生動作が可能と判断すれば前記回生制動手段を動作させ、回生動作が不可能と判断すれば前記動力発生手段を動作させる
    ことを特徴とする搬送装置。
  13. 請求項10記載の搬送装置において、
    前記車輪は、同軸に配置される第1及び第2の車輪からなり、
    前記動力発生手段は、前記第1の車輪に回転力を付与する第1の動力発生手段と、前記第2の車輪に回転力を付与する第2の動力発生手段とを備え、
    前記回生制動手段は、前記第1の車輪の回転力を第1の電力として回収する第1の回生制動手段と、前記第2の車輪の回転力を第2の電力として回収する第2の回生制動手段とを備え、
    前記演算手段は、前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記第1の回生制動手段を制御する第1の制御信号を発生する第1の演算手段と、前記傾き角度に応じた角度信号に基づき前記第2の回生制動手段を制御する第2の制御信号を発生する第2の演算手段とを備え、
    前記回転検出手段は、前記第1の車輪の回転している方向を示す第1の車輪回転方向信号を検出する第1の回転検出手段と、前記第2の車輪の回転している方向を示す第2の車輪回転方向信号を検出する第2の回転検出手段とを備え、
    前記モード切り替え手段は、前記第1の車輪回転方向信号および前記第1の制御信号に基づき前記第1の動力発生手段または前記第1の回生制動手段のいずれかを選択的に動作させる第1のモード切り替え手段と、前記第2の車輪回転方向信号および前記第2の制御信号に基づき前記第2の動力発生手段または前記第2の回生制動手段のいずれかを選択的に動作させる第2のモード切り替え手段とを備え、
    前記角度信号に応じて前記第1の動力発生手段により発生する第1の動力若しくは前記第1の回生制動手段から回収する第1の電力を調整すると供に前記角度信号に応じて前記第2の動力発生手段により発生する第2の動力若しくは前記第2の回生制動手段から回収する第2の電力を調整する
    ことを特徴とする搬送装置。
  14. 請求項10記載の搬送装置において、
    前記回生制動手段は、前記車輪の回転が伝えられる発電機と、前記発電機からの出力電力を所定の電圧に変換して変換電力を得るスイッチングレギュレータと、前記変換電力を蓄電する電池を備え、
    前記回転作用力は、前記発電機の外囲部を前記筺体に固着することにより得、前記回収する電力の量は、前記筐体の傾きに応じて前記所定の電圧を変化させることを特徴とする搬送装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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