JP2004363986A - 無線情報通信システム、端末用プログラム、及びサーバ用プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】データ通信の信頼性を向上させる。
【解決手段】CPU81は、無通信区間の時間を計測し(S20)、計測時間が基準時間以上になったか否かを判定する(S21)。計測時間が基準時間以上になると、CPU81はヘルシー信号を送信し(S22)、ヘルシー信号の送信から所定時間内にヘルシー応答を受信したか否かを判定する(S23)。所定時間内にヘルシー応答を受信しなかった場合は、再接続処理が実行される(S24)。
【選択図】 図6
【解決手段】CPU81は、無通信区間の時間を計測し(S20)、計測時間が基準時間以上になったか否かを判定する(S21)。計測時間が基準時間以上になると、CPU81はヘルシー信号を送信し(S22)、ヘルシー信号の送信から所定時間内にヘルシー応答を受信したか否かを判定する(S23)。所定時間内にヘルシー応答を受信しなかった場合は、再接続処理が実行される(S24)。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線情報通信システムの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所等の事業所では、クレーンやフォークリフト等の移動体による作業や人が移動しながら作業が行われる。このような作業のガイダンスあるいは作業に関わる情報処理を目的として多くの端末システムが開発されてきた。この端末システムにおいては、サーバと端末との間でデータ通信を行うことになるが、事業所で用いられる端末システムでは、端末が移動する必要があるため、データ通信方式として様々な無線方式が採用されていた。
【0003】
例えば、特許文献1には無線方式としてPHS通信を採用したフォークリフト無線LANシステムが開示されている。このシステムでは、サーバと端末との間にコードレス電話による無線回線を介在させている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−203800号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、無線方式は、有線方式と比較して移動が自由であるといった利点がある一方、データ通信の信頼性が低いといった問題がある。特に、多数の制御装置や運搬装置等が稼動している事業所においては、各種の機器からノイズが放射されるため、劣悪な通信環境にある。
【0006】
このため、サーバと端末とのデータ通信に無線通信を採用する場合には、無線回線の切断を前提として、データ通信の信頼性を確保する必要がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、データ通信の信頼性を向上させること等を解決課題の一例とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に係る無線情報通信システムは、端末(8)と第1サーバ(2)との間でPHS通信が行われる無線情報通信システム(20)において、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し(S22)、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段(81)と、前記通信監視手段(81)によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段(S24)とを備え、前記第1サーバ(2)は、前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末(8)へ送信する応答手段(21)を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0010】
この発明によれば、無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を第1サーバに送信して通信回線の切断を確認し、通信不能の場合には再接続を実行するので、各端末と第1サーバとの間にPHS通信を用いてもその通信障害を迅速に検知して、通信再開に向けた処理を開始することができ、データ通信の信頼性が向上する。この結果、端末・第1サーバ間でデータ通信が必要とされる場合に、データ通信の遅延を回避することができ、作業効率を向上させることができる。また、所定の信号は、単に周期的に送信されるのではなく、無通信区間の時間が基準時間以上になったときに送信される。すなわち、各端末と第1サーバとの間の通信状態は、所定の信号の通信のみならず、有効なデータの通信によって監視される。これにより、通信資源を有効に活用し、且つ、第1サーバの処理負荷を軽減することができる。なお、この発明において、無通信区間とは、有効な通信が行われなった区間をいう。
【0011】
上述した無線情報通信システム(20)において、前記通信監視手段(S12)は、前記無通信区間の時間を計測する第1計測手段(S20)と、前記第1計測手段によって計測された第1計測時間が基準時間以上になったことを検知して、前記所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信する送信手段(S21、22)と、前記所定の信号の送信から前記応答を受信するまでの時間を計測する第2計測手段(S23)と、前記第2計測手段の計測時間が、所定時間を超えた場合に通信不能であることを検知する検知手段(S23)とを備えることが好ましい(請求項2)。第1計測手段及び第2計測手段は、ハードウエアで構成してもよいし、ソフトウエアで構成してもよい。
【0012】
また、本発明に係る他の無線情報通信システムは、第1サーバ(2)を介して端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)において、前記第1サーバ(2)は、データを記憶する記憶手段(23)と、当該第1サーバ(2)と前記端末(8)との間の通信状態を監視する下位回線監視手段(21)と、前記下位回線監視手段(21)によって前記端末(8)との間の通信不能が検知されると(S40)、前記第2サーバ(1)から受信したデータのうち、前記端末(8)へ向けたデータを前記記憶手段(23)に記憶し、前記下位回線監視手段(21)によって前記端末(8)との間の通信回復が検知されると(S42)、前記記憶手段(23)から前記端末(8)へ向けたデータを読み出して当該データを前記端末(8)へ送信させる制御手段(21)と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項3)。
【0013】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間で通信障害が発生した場合に第2サーバから送信されたデータを第1サーバでバッファリングするので、信頼性の低いPHS通信を採用しても確実にデータを各端末に送信することができ、データ通信の信頼性が向上する。また、第2サーバから第1サーバへの通信が有効であれば、第1サーバと端末との間に通信障害が発生しても、第2サーバはデータを一度送信すれば済むので、第2サーバは、第1サーバと各端末との間の通信状態とは無関係に処理を進めることも可能である。これにより、第2サーバの処理負荷を軽減するとともに、第1サーバと第2サーバとの間の通信資源の利用効率を向上させることができる。
【0014】
この無線情報通信システムにおいて、前記端末(8)は、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段(81)と、前記通信監視手段(81)によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段(81)とを備え、前記第1サーバ(2)は、前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末(8)へ送信する応答手段を備え、前記下位回線監視手段(21)は、前記所定の手続に従って前記端末(8)から送信される要求信号の受信を検知することによって、前記の端末(8)との間の通信回復を検知することが好ましい(請求項4)。この場合には、端末と第1サーバとの間に通信障害が発生した場合に、端末が主体となって通信再開に向けた処理を各々開始させるので、第1サーバの処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る他の無線情報通信システムは、第1サーバ(2)を介して複数の端末(8)と前記第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記複数の端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)において、前記第1サーバ(2)は、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信状態を監視する上位回線監視手段(21)と、前記上位回線監視手段(21)によって通信不能が検知されると(S50)、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末(8)のうち所定の端末に送信し(S53)、前記上位回線監視手段(21)によって通信回復が検知されると(S54)、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末(8)に送信(S57)する通知手段(21)と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項5)。
【0016】
この発明によれば、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、各端末からデータの再送を実行することができ、データ通信の信頼性が向上する。特に、本発明を事業所における作業を指示するシステムに利用する場合には、端末から第2サーバ(上位サーバ)に向けてデータを送信したとき、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能を端末で知ることができなければ、端末側では正常にデータが第2サーバへ送信されたものとして、次の作業を進めることも考えられる。しかしながら、本発明においては、通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、端末においてこれらの情報を把握することができ、未伝送のデータは通信回復後の再送等によって対処することが可能となる。
【0017】
ここで、前記通知手段(21)は、前記上位回線監視手段(21)によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、前記第1サーバ(2)に対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信することが好ましい(請求項6)。この場合は、データ通信が必要となった端末に対して通信不能通知及び通信回復通知が送信されるので、第1サーバと複数の端末間の通信資源を節約することができる。
【0018】
上述した無線情報通信システムにおいて、前記複数の端末のそれぞれは(8)、情報を表示する表示手段(85)と、前記第1サーバ(2)から前記通信不能通知を受信したことを検知して、前記表示手段(85)に通信が不能である旨のメッセージを前記情報として表示させ、前記第1サーバ(2)から前記通信回復通知を受信したことを検知して、前記表示手段に通信が回復した旨のメッセージを前記情報として表示させる表示制御手段(81)と、を備えることが好ましい(請求項7)。この場合、端末のオペレータは、表示手段に表示されるメッセージによって、通信不能及び通信回復を知ることができる。なお、端末は人の入力操作に応じた検出信号を出力する入力手段と、検出信号に基づいてデータの再送を実行する再送手段とを備えるものであってもよい。
【0019】
次に、本発明に係る端末用プログラムは、端末(8)と第1サーバ(2)との間でPHS通信が行われる無線情報通信システム(20)の端末(8)に用いられる端末用プログラムであって、コンピュータとしての前記端末(8)を当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段と、前記通信監視手段によって通信不能が検知されると、前記所定の手続を実行する再接続手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項8)。
【0020】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間にPHS通信を用いてもその通信障害を迅速に検知して、通信再開に向けた処理を開始することができ、データ通信の信頼性が向上する。この結果、端末・第1サーバ間でデータ通信が必要とされる場合に、データ通信の遅延を回避することができ、作業効率を向上させることができる。また、各端末と第1サーバとの間の通信状態は、所定の信号の通信のみならず、有効なデータの通信によって監視されるから、通信資源を有効に活用し、且つ、第1サーバの処理負荷を軽減することができる。
【0021】
次に、本発明に係るサーバ用プログラムは、第1サーバ(2)を介して端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)の第1サーバ(2)に用いられるサーバ用プログラムであって、コンピュータとしての前記第1サーバ(2)を、当該第1サーバ(2)と前記端末(8)との間の通信状態を監視する下位回線監視手段と、前記下位回線監視手段によって前記端末(8)との間の通信不能が検知されると、前記第2サーバ(1)から受信したデータのうち、前記端末(8)へ向けたデータを記憶し、前記下位回線監視手段によって前記端末(8)との間の通信回復が検知されると、記憶した前記データを前記端末(8)へ送信させる制御手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項9)。
【0022】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間で通信障害が発生した場合に第2サーバから送信されたデータを第1サーバでバッファリングするので、信頼性の低いPHS通信を採用しても確実にデータを各端末に送信することができ、データ通信の信頼性が向上する。また、第2サーバから第1サーバへの通信が有効であれば、第1サーバと端末との間に通信障害が発生しても、第2サーバはデータを一度送信すれば済むので、第2サーバの処理負荷を軽減するとともに、第1サーバと第2サーバとの間の通信資源の利用効率を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明に係る他のサーバ用プログラムは、第1サーバ(2)を介して複数の端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記複数の端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)の第1サーバ(2)に用いられるサーバ用プログラムであって、コンピュータとしての前記第1サーバ(2)を、当該第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信状態を監視する上位回線監視手段と、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されると、当該第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末のうち所定の端末に送信し、前記上位回線監視手段によって通信回復が検知されると、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末に送信する通知手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項10)。
【0024】
この発明によれば、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、端末においてこれらの情報を把握することができ、未伝送のデータは通信回復後の再送等によって対処することが可能となる。
【0025】
なお、前記通知手段は、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、当該第1サーバ(2)に対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信する手段として機能することが好ましい(請求項11)。この場合は、第1サーバと複数の端末間の通信資源を有効に利用することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例として、事業所系操業システムを取り上げ、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、事業所系操業システムに限定されるものではなく、サーバとクライアントとを備え、それらの間のデータ通信の一部にPHS通信等の無線通信を採用する総てのシステムに適用することができる。
【0027】
<1.システムの全体構成>
図1は、事業所系操業システムの全体構成を示すブロック図である。この図に示すように事業所系操業システム100は、生産管理ビジコン1、複数の事業所システム20,20,…、及びこれらを接続する通信ネットワーク3を備える。生産管理ビジコン1は、各事業所システム20,20,…を統括して管理する上位サーバであって、事業所系操業システム100の制御中枢として機能する。事業所システム20,20,…は、地域的に分散して配置される工場や倉庫といった事業所毎に設けられている。通信ネットワーク3は、専用回線で構築してもよいしあるいは公衆回線で構築してもよく、インターネットが含まれる。生産管理ビジコン1は、倉庫・工場内の置場管理、現品管理、出荷管理、及び搬送実績管理といった生産に関わる管理を実行する。
【0028】
次に、事業所システム20は、サーバ2、LAN4、ルータ5、交換機6、複数のアンテナ7,7,…、及び複数の端末8,8,…を備える。サーバ2は、ゲートウエイ機能を有し、通信ネットワーク3を介して生産管理ビジコン1とデータ通信を行う一方、各端末8とデータ通信を行う。サーバ2と各端末8との通信の一部には、無線通信区間が含まれる。無線通信の方式としては、各種の方式を採用することができるが、この例ではPHS(Personal Handyphone System)通信を採用する。PHSの規格は、ARIB(社団法人電波産業会)において標準化が実施され、データ通信プロトコルにおいてもPIAFSの標準規格が定められている。
【0029】
仮に、無線通信の方式としてメーカー独自の特定小電力無線を各事業所システム20、20、…において別個に採用すると、メーカ独自の無線通信プロトコルにあわせてシステムを構築しなければならず、その開発、保守、さらには予備品管理を含めた維持管理には多大な工数が必要となる。この点、PHS通信では通信プロトコルが標準化されているので、本実施形態の各事業所システム20は、同一の構成で構築することが可能となり、機器と機能の共通化・標準化が図られ、その開発維持管理に関わる労力及びコストを大幅に削減することができる。
【0030】
さらに、製鉄所等の事業所においては、テレコンと呼ばれる手動操作のクレーンが2.4GHzの周波数で動作している。このため、同様の無線帯域で通信を行う無線LANを採用すると混信のおそれがあるが、PHS通信では1.9GHzを使用するため、混信のおそれが少ない。
【0031】
PHS通信に関わるハードウエアは、複数の端末8が備えるPHS通信カード86、複数のアンテナ7、及び交換機6を含む。PHS通信において、各端末8は移動局として機能し、各アンテナ7は基地局として機能し、交換機6は交換局として機能する。端末8は、作業者が携帯したり、あるいは、クレーンやフォークリフトといった移動体に設置されている。各アンテナ7は事業所内に分散して配置されている。このため、端末8が事業所内を移動しても、端末8は各アンテナ7を介して交換機6と接続される。
【0032】
交換機6は、経路制御を実行するルータ5及びLAN4を介してサーバ2に接続される。LAN4は、例えば、イーサネット(Ethernet)(登録商標)によって構築される。これによって、ルータ5とサーバ2との間で高速のデータ通信を高い信頼性の下に実行することができる。なお、本実施形態においては、PHS通信を採用するので、アンテナ7及び交換機6等を利用して、移動電話機能を付加することも可能である。この場合は、携帯電話機を構内電話として利用することができる。また、各従業者が携帯電話機を所持すれば、居所確認に用いることもできる。
【0033】
次に、端末8としては、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、あるいはCE端末を用いることができる。端末8の電気的な構成を図2に示す。端末8は、CPU81、ROM82、RAM83、ハードディスク84、ディスプレイ85、PHS通信カード86及びキーボード87を備える。CPU81はバスを介して各構成部分と接続されており、各種のプログラムを実行する。ROM81は、読み出し専用の不揮発性メモリであって、そこにはブートプログラム等が記憶されている。RAM83は、読み出し及び書き込みが可能なメモリであって、CPU81の作業領域として機能する。RAM83には、CPU81の制御の下、ハードディスク84から読み出された各種のプログラムが転送される他、これらのプログラムによる処理途中のデータ等が記憶される。この端末8が実行するプログラムには、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と称する)とPHS通信ハンドラプログラム(以下、「PHS通信ハンドラ」と称する)とが含まれる。
【0034】
ディスプレイ85には、CPU81の制御の下、生産管理ビジコン1から送信される各種のメッセージ及びサーバ2から送信される所定のメッセージが表示される。生産管理ビジコン1から送信されるメッセージとしては、作業者に対する作業指示や作業手順等がある。例えば、「識別No.SM123456のコイルをA地点からB地点まで搬送せよ。」といった作業指示である。
【0035】
キーボード87は入力手段として機能し、人の入力操作に応じた検出信号を出力する。CPU81は、検出信号に基づいて各種の処理を実行する。例えば、上述したコイルを搬送する例において、作業者がキーボード87を用いて作業が完了した旨を入力すると、CPU81は検出信号に基づいてこのメッセージを生産管理ビジコン1へ送信する。これにより、生産管理ビジコン1は、作業が完了したことを認識し、他の作業の進行状況等を考慮して次の作業指示を当該端末8に対して送信する。以下の説明では、各端末8から生産管理ビジコン1へ向けて送信されるデータを上りデータと称し、生産管理ビジコン1から各端末8へ向けて送信されるデータを下りデータと称する。なお、キーボード87の替わりにマウスを入力手段として用いてもよい。あるいは、ディスプレイ85をタッチパネルで構成して、作業者がディスプレイ85に表示されるアイコンを指等で触ることによって、端末8に対する入力操作を行ってもよい。
【0036】
次に、サーバ2の電気的な構成を図3に示す。サーバ2は、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、ディスプレイ25、第1インターフェース26、第2インターフェース27及びキーボード28を備える。これらの構成部分のうち、第1インターフェース26及び第2インターフェース27を除く構成部分は、ハードウエアの機能としては端末8と同様であり、そこで実行されるソフトウエアが相違する。
【0037】
第1インターフェース26は、LAN4を介してルータ5との間で通信を実行するハードウエアであり、例えば、LANカードで構成される。第2インターフェース27は、通信ネットワーク3を介して生産管理ビジコン1との間でデータ通信を実行するハードウエアであり、例えば、モデムで構成される。このサーバ2は、後述するプログラムを実行することによって、第1にゲートウエイとして機能し、第2に下りデータの送信についてバッファとして機能する。この場合、所定の下り送信データがRAM23に記憶され、RAM23がデータバッファとして機能する。
【0038】
サーバ2は、各端末8と上位側のホストコンピュータたる生産管理ビジコン1との間に設けられており、ゲートウエイとして機能を有する。即ち、上位ホスト側メッセージを上位接続プロトコルにて受信し、下位側にPHS通信を用いて送信する機能と、下位端末側メッセージをPHS通信にて受信し、上位接続プロトコルに適合したメッセージで送出する機能を有する。なお、上位側プロトコルはどのようなものであってもよく、ホストコンピュータとしての生産管理ビジコン1が何であれ、下位側の共通化を図ることができる。さらに、サーバ2は、下位回線異常時に上位ホストがわメッセージを受信してバッファリングする機能と下位回線復旧時にバッファリングされたメッセージを送出する機能と、上位側回線異常時には端末側へ回線異常を通知する機能を有する。
【0039】
次に、図4に、端末8、サーバ2、及び生産管理ビジコン1で実行されるプログラムの概略を示す。まず、端末8は、アプリケーションとPHS通信ハンドラとを備える。この図では、アプリケ−ションを1個のプログラムとして示してあるが、複数のプログラムから構成されてもよいことは勿論である。この点は、サーバ2及び生産管理ビジコン1についても同様である。端末8のPHS通信ハンドラとサーバ2のPHS通信ハンドラは対になるものであって、これらの間でPHS通信が実行される。また、サーバ2のデータ通信ハンドラと生産管理ビジコン1のデータ通信ハンドラは対になるものであって、これらの間でデータ通信が実行される。
【0040】
PHS通信ハンドラは、ヘルシー処理モジュール、ソケット通信モジュール、及びPPP接続モジュールを含み、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)の機能を有する。PPP(Point to Point Protocol)接続モジュールによって、電話線や専用線等のシリアル回線を用いて通信するための物理層/データリンク層のプロトコルが実行され、ダイアルアップ接続が可能となる。また、PPP接続モジュールは、ダイアルアップ切断を検知して、検知結果をソケット通信モジュール及びヘルシー処理モジュールに送るようになっている。
【0041】
ソケット通信モジュールは、TCP/IPにおいて利用するネットワーク用APIである。これによってオープン要求、データ送信、クローズ要求に対する応答タイムアウトが監視される。オープン要求は、ソケット通信の開始を通信の相手方に要求するものであり、クローズ要求は、ソケット通信の終了を通信の相手方に要求するものである。ソケット通信では、オープン要求、データ送信、及びクローズ要求を送信先が受信すると、結果応答を返信するようになっている。従って、送信元は送信に対する応答を受信するまでの時間を監視することによって、通信回線の状態を知ることができる。この意味でソケット通信モジュールは、通信回線の状態を監視する通信回線監視機構の一部として機能する。
【0042】
ソケット通信モジュールは、タイムアウトを検知すると、何等かの通信障害が発生したものとして、ソケットのクローズ及びソケットの廃棄を実行する。この後、ソケット通信モジュールは、オープン要求を送信先へ送信するが、PPP接続モジュールからダイアルアップ切断を検知したことを示す情報を受け取ると、ダイアルアップ手続から即時に再開される。
【0043】
ヘルシー処理モジュールは、所定のタイミングでヘルシー信号をサーバ2へ送信し、そのタイムアウトを監視する機能を有する。この意味でヘルシー処理モジュールは、通信回線の状態を監視する通信回線監視機構の一部として機能する。ヘルシー処理モジュールは、タイムアウトを検知した場合、N(Nは自然数)回のリトライを試行してソケット通信の再開設を行うが、PPP接続モジュールからダイアルアップ切断を検知したことを示す情報を受け取ると、ダイアルアップ手続から即時に再開する。
【0044】
これらのモジュールで実現される通信回線監視機構によって、第1に、PHS通信回線に何等かの障害が発生した場合これを迅速に検知することができ、第2に、復旧の自動化を図ることができ、第3に、復旧の早期化を図ることができる。これらの点は、PHS通信を採用する事業所系操業システム100において特に重要である。
【0045】
生産管理ビジコン1等の上位サーバと複数の端末8とを用いたシステムでは、各端末8からの情報を上位サーバで一元的に管理し、上位サーバは必要に応じて何等かの判断をし、その判断結果を各端末8に送信する。このため、情報を迅速・確実に伝達することはシステムを稼動させる上で欠くことができない基本性能である。一方、各端末8を移動可能にすると、各端末8と生産管理ビジコン1との通信経路にPHS通信等の無線通信区間を設ける必要があるが、無線通信は有線通信と比較して信頼性が低い。そこで、端末8の移動を確保するためPHS通信をシステムに取り入れる場合には、PHS通信の障害を前提としてシステムを構築する必要がある。上述したように本実施形態では、各種の通信回線監視機構を備えるので、たとえPHS通信に障害が発生しても、これを直ちに検知して即時に通信開始に向けての処理が実行されるから、情報の迅速・確実な伝達が確保されることになる。
【0046】
さらに、端末8のアプリケーションは、通信状態を作業者に通知する機能を有する。即ち、通信回線監視機構によって上位回線の異常時にその通知を受信し、例えば、「上位回線異常」をディスプレイ85に表示させる。また、作業者の端末情報入力送信に対し、「送信OK」、「回線クローズ」、「送信失敗」、「接続中」等の情報をディスプレイ85に表示させる。なお、端末8にスピーカ等を設け、音声によって通知を行ってもよい。いずれにしろ、作業者に対するサービスとして、端末8は回線状況の通知を行う。
【0047】
<2.システムの全体動作>
次に、端末8と生産管理ビジコン1との間のデータ通信のシーケンスを図5に示す。ここでは、端末8とルータ5との通信、端末8とサーバ2との間の通信、サーバ2と生産管理ビジコン1との間の通信を順に確立し、端末8とサーバ2との間の通信、端末8とルータ5との通信を順に切断する例を示す。このシーケンスはシステムの全体動作を説明するための一例であって、実際の事業所系操業システム100では、端末8をシステムに組み込んだ後は、端末8と生産管理ビジコン1とのデータ通信がいつでも可能なように個々のデータ通信が終了した後も通信の切断は実行しない。
【0048】
まず、端末8からPPP接続要求がルータ5に送信されると(ステップS1)、これを受信したルータ5はPPP接続処理を実行し、PPP接続結果応答を端末8に返信する(ステップS2)。これにより、ダイアルアップ接続が完了し、端末8とサーバ2との間で、TCP/IPレベルでのコネクションが確立する(ステップS3)。これらの処理は、端末8がPPP接続モジュールを実行することによってなされる。
【0049】
この後、端末8は、ソケット通信モジュールによってオープン要求をサーバ2に送信する(ステップS4)。オープン要求をサーバ2が受信すると、サーバ2は送信元である端末8に対してオープン結果応答を返信する(ステップS5)。端末8は、タイマを備え、オープン要求を送信してからオープン結果応答を受信するまでの時間を計測する。そして、端末8は、タイマによって計測された計測時間が基準時間を超えるか否かを判定し、計測時間が基準時間を超えた場合には、何等かの通信障害が発生したことを検知する。タイムアウトの監視はソケット通信モジュールによって実行される。
【0050】
通信障害が発生したことが検知された場合、端末8は、PPP切断要求をルータ5に対して送信した後、ステップS1に戻って処理を実行する。すなわち、端末8は、PPP接続要求をルータ5に送信(ステップS1)→TCP/IPレベルでのコネクションを確立(ステップS3)→オープン要求の送信(ステップS4)といった手順を自動的に実行する。
【0051】
次に、端末8は、上りデータ送信要求をサーバ2に対して送信する(ステップS7)。上りデータ送信要求は、端末8で実行されるアプリケーションで生成された上りデータが含まれている。この上りデータは、例えば、所定の作業が完了したことを示す情報であってもよい。
【0052】
上りデータ送信要求をサーバ2が受信すると、サーバ2は端末8に対して上りデータ送信結果応答を返信する(ステップS7)。端末8は上りデータ送信結果応答を受信することによって、サーバ2が上りデータ送信要求を受信したことを知ることができる。
【0053】
また、端末8は、上りデータ送信要求を送信してから上りデータ送信結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する。監視の手順は上述したオープン要求の送信と同様である。そして、通信障害が発生したことが検知された場合、端末8は、PPP切断要求をルータ5に対して送信した後、ステップS1に戻って処理を実行する。
【0054】
次に、上りデータ送信要求を受信したサーバ2は、生産管理ビジコン1に対して上りデータ送信を実行する(ステップS8)。これによって、端末8から生産管理ビジコン1へデータが転送される。
【0055】
生産管理ビジコン1は、必要に応じて下りデータ送信要求をサーバ2へ送信する(ステップS9)。この下りデータ送信要求には、下りデータが含まれる。この下りデータは、例えば、所定の作業を指示する情報であってもよい。サーバ2が生産管理ビジコン1から下りデータ送信要求S9を受信すると、サーバ2は下りデータ送信を実行する(ステップS10)。これによって、生産管理ビジコン1から端末8へデータが転送される。
【0056】
下りデータ送信を受信した端末8は、下りデータ送信結果応答をサーバ2へ返信する。サーバ2は、下りデータ送信結果応答を受信することによって、端末8が下りデータ送信を受信したことを知ることができる。また、サーバ2は、下りデータ送信を送信してから下りデータ送信結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する。監視の手順は上述したオープン要求の送信と同様である。
【0057】
次に、ヘルシー処理が端末8とサーバ2との間で実行される。ヘルシー処理の詳細は後述するが、その概要は、端末8が、サーバ2との間の有効な通信を監視し、無通信時間が所定の時間に達すると、PHS通信を含む端末8とサーバ2との間の通信回線の状態を確認するために端末8からサーバ2に向けてヘルシー信号を送信し、サーバ2が端末8へ応答を返信するというものである。
【0058】
次に、メンテナンス等の何等かの理由によって端末8をシステムから分離する場合には、端末8はクローズ要求をサーバ2に送信する(ステップS13)。サーバ2はクローズ要求を受信すると、クローズ結果応答を端末8に送信する(ステップS14)。これにより、TCP/IPレベルでのコネクションが切断されることになる(ステップS15)。なお、端末8が、クローズ要求を送信してからクローズ結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する点については、上述したオープン要求の送信と同様である。
【0059】
この後、端末8がPPP切断要求をルータ5へ送信すると(ステップS16)、ルータ5はPPP切断結果応答を端末8へ返信する(ステップS17)。これによって、ダイアルアップ接続が切断される。
【0060】
例えば、端末8が製鉄所等の事業所におけるクレーンに配置されている場合には、端末8のアプリケーションは、クレーン作業に対応した画面選択表示機能、生還管理ビジコンへの処理要求入力、処理要求メッセージ送信機能、及び生産管理ビジコン1より受信したメッセージの画面への表示機能を有する。そして、クレーンのオペレータが端末8より作業に対する作業指示を要求すると、この要求が上りデータとして生産管理ビシコン1へ送信される。生産管理ビジコン1からその作業指示が下りデータとして送信され、これを当該端末8が受信すると、そのディスプレイ85に指示が表示される。また、他の例としては、自動更新情報として生産管理ビジコン1から指示が送信されてもよい。そして、端末8のディスプレイ85に表示される情報に従って、オペレータがクレーンを操作し、作業を行い、生産管理ビジコン1に対して作業処理要求を入力して送信し、作業が進行することになる。なお、作業要求した端末8に対して、生産管理ビジコン1の作業指示メッセージを送信する仕組みとしては、メッセージ中に画面ONや端末ONを定義することにより、実現可能である。このようなメッセージ送信中にPHS回線の異常が発生した場合、PHS通信ハンドラの動作に従って、回線自動復旧が図れる。端末8には、この回線状況がディスプレイ85に表示されたりあるいは音声にてオペレータに通知される。このため、オペレータは常に回線状況を把握して作業を行えるため、確実に作業が行われる。
【0061】
<3.ヘルシー処理>
次に、ヘルシー処理について説明する。図6は、端末8のヘルシー処理モジュールの処理内容を示すフローチャートである。ヘルシー処理において、CPU81は、無通信区間の時間を計測する。ここで、無通信区間とは、ある有効な通信と次の有効な通信までの期間をいう。さらに、有効な通信とは、PHS通信を含む端末8からサーバ2までの通信経路に障害が無く、データ伝送が行われた通信をいう。
【0062】
端末8とサーバ2との間の通信は、端末8から見たとき、端末8からサーバ2へ向けての送信と、サーバ2から端末8へ向けての受信とがある。オープン要求、上りデータ送信要求、クローズ要求といった各種の送信がなされると、サーバ2は応答を必ず返信する。そして、この応答を端末8が受信することによって、端末8はサーバ2との間の通信が有効であったこと(有効な通信が行われたこと)検知する。一方、サーバ2からオープン要求や下りデータを受信したときにも、端末8は、端末8からサーバ2までの通信経路に障害が無くデータ伝送が行われたこと(すなわち、有効な通信が行われたこと)を検知する。このため、無通信区間の時間は、応答又は下りデータといったサーバ2から何等かの情報を受信した時点から計測が開始される。具体的には、CPU81が情報を受信した時点でタイマをリセットすることによって無通信区間の時間が計測される。タイマは、端末8がハードウエアとして備えてもよいし、あるいは、CPU81のクロック信号をカウントするソフトウエアで構成してもよい。
【0063】
次に、CPU81は、タイマの計測時間が予め定められた基準時間以上になったか否かを判定する(ステップS21)。計測時間が基準時間に達する前は、ステップS21の処理を繰り返す。ここで、計測時間が基準時間に達する前に、有効な通信が行われた場合(すなわち、前述した、端末8からの各種送信に対するサーバ2かたの応答方はサーバ2からの下りデータ等を受信した場合)有効な通信が行われたこと)には、CPU81はタイマをリセットする。
【0064】
ステップS21の判定が肯定された場合には、端末8とサーバ2との間で有効な通信が基準時間以上行われなかったことを意味する。仮に、PHS通信に何等かの障害が発生しPHS通信回線が切断されていたとすると、アプリケーションレベルの通信を再開するために、端末8は、図5に示すステップS1からステップS5までの処理を実行する必要がある。従って、事業所での作業に必要な情報をサーバ2を介して端末8と生産管理ビジコン1との間でやりとりするための通信を再開するまでに長時間がかかるといった問題がある。そこで、端末8とサーバ2との間で有効な通信が基準時間以上行われなかった場合には、端末8はサーバ2へ向けてヘルシー信号を送信する(ステップS22)。これにより、端末8とサーバ2との間の通信回線の障害を迅速に検知することができる。サーバ2はヘルシー信号を受信すると、送信元の端末8に対してヘルシー応答を返信する。
【0065】
この後、端末8は、ヘルシー信号の送信から所定時間内にヘルシー応答を受信したか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の条件が肯定される場合には、PHS通信回線が正常であることを意味する。この場合、端末8は、無通信区間を計測するタイマをリセットして処理をステップS20へ戻す。
【0066】
一方、ステップS23の条件が否定される場合には、端末8とサーバ2との間のTCP/IPレベルでのコネクションが切断され(ステップS24)、再接続処理が実行される(ステップS25)。
【0067】
ここで、図7を参照して、ヘルシー信号の送信を具体的に説明する。なお、この例にあっては、図6のステップS21の判定に用いる基準時間がTaであり、ステップS23の判定に用いる所定時間がTbであるものとする。そして、無通信区間の時間は第1タイマにより計測され、ヘルシー信号の送信からの経過時間は第2タイマにより計測されるものとする。
【0068】
この例では、時刻t0において通信1が実行され、時間T1が経過して時刻t1に至った時点で通信2が実行される。この場合、Ta>T1であるので、ヘルシー信号の送信は行われず、第1タイマ値はリセットされる。そして、時刻t1から時間Taが経過して時刻t2に至ると、第1タイマ値=Taとなり、ヘルシー信号の送信が実行される。この送信と同時に第2タイマの計測が開始する。この例では、時刻t3でヘルシー応答を端末8が受信するが、Tb>T3であるから、時刻t3において再接続処理は実行されず、第1タイマがリセットされる。そして、時刻t3から時間Taが経過して時刻t4に至ると、再びヘルシー信号が送信される。この後、時間Tbが経過してもヘルシー応答がないので、時刻t5において再接続処理が実行される。
【0069】
本実施形態において、ヘルシー信号は、無通信区間の時間が基準時間に至ったときに送信される。つまり、端末8は、ヘルシー信号を単に周期的に送信するのではなく、オープン要求結果応答、上り送信データ要求結果応答、下り送信データ等の受信があった場合には、ヘルシー信号の送信を省略している。これは、有効な通信によって、PHS通信回線の状態が正常であると判断できるからである。仮に、ヘルシー信号を有効な通信とは無関係に周期的に送信すると、通信資源が無駄に消費されることになる。また、多数の端末8を収容する大規模な事業所システム20にあっては、サーバ2の処理負荷が重くなる。端末8は、無通信区間の時間が基準時間に至ったときにヘルシー信号を送信するから、通信資源を有効に活用し、且つ、サーバ2の処理負荷を軽減することができる。
【0070】
<4.再接続処理>
次に、再接続処理の内容を示すフローチャートを図8に示す。再接続処理では、まず、TCP/IPレベルでのコネクションの確立が図られる(ステップS30)。次に、端末8のCPU81は、オープン要求をサーバ2に送信させ(ステップS31)、所定時間内にオープン結果応答を受信したか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32の条件が肯定された場合には、再接続が完了したことになり、上りデータ及び下りデータの送受信が可能となる。
【0071】
一方、ステップS32の条件が否定された場合には、CPU81はオープン要求の送信回数がN回であるか否かを判定し(ステップS33)、N回未満の場合は処理をステップS31に戻し、処理を繰り返す。そして、オープン要求の送信回数がN回になると、CPU81は、PPP切断要求をルータ5へ送信させる(ステップS34)。
【0072】
この後、CPU81は、PPP接続要求をルータ5に送信させ(ステップS35)、ダイアルアップ接続が確立した否かを判定する(ステップS36)。ダイアルアップ接続が確立していない場合は、CPU81は処理をステップS35に戻し、ダイアルアップ接続が確立するまで処理を繰り返す。そして、ダイアルアップ接続が確立すると、CPU81は処理をステップS30に戻す。
【0073】
このようにヘルシー信号の送信によって、PHS通信回線の障害が検知された場合には、人の入力操作を待つことなく、即時に再接続処理が実行されるので、通信不能の時間を大幅に短縮することができる。
【0074】
<5.バッファリング処理>
次に、サーバ2のバッファリング処理の内容を説明する。バッファリング処理はCPU21がバッファリング処理モジュールを実行することによって実現される。図9は、バッファリング処理の内容を示すフローチャートである。
【0075】
まず、CPU21は、サーバ・端末間の通信回線の状態を常時監視しており、通信不能を検知すると(ステップS40)、下りデータ送信要求をデータバッファに記憶する(ステップS41)。通信不能は、例えば、図5に示すステップS11の下りデータ送信結果応答についてタイムアウトとなった場合、PPP切断要求を受信した場合、PPP接続モジュールから通信不能通知を受け取った場合等に検知される。また、RAM23の所定の記憶領域はデータバッファとして機能し、そこには、下りデータ送信要求が順次記憶される。
【0076】
次に、CPU21は、サーバ・端末間の通信が回復したか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、端末8から送信されるオープン要求を受信することによって通信の回復を検知してもよい。サーバ・端末間の通信が回復すると、サーバ2はデータバッファから下りデータ送信要求を読み出して送信する(ステップS43)。
【0077】
このように下りデータをサーバ2においてバッファリングすることにより、PHS通信回線に障害が発生した場合、生産管理ビジコン1が下りデータ送信要求を再送する処理を省くことができる。
【0078】
<6.サーバ・生産管理ビジコン間の通信障害発生時の処理>
次に、サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線に障害が発生した場合の処理について、図10に示すシーケンス図を参照して説明する。サーバ2は、サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線の状態を常時監視しており、それらの間の通信不能を検知する(ステップS50)。
【0079】
この後、サーバ2は、上りデータ送信要求を端末8から受信すると(ステップS51)、上りデータ送信結果応答を端末8へ返信し(ステップS52)、さらに、通信不能通知を端末8へ送信する(ステップS53)。通信不能通知は、サーバ・生産管理ビジコンで通信障害が発生中であることを示す情報を含む。続いて、サーバ2は、上りデータ送信要求を破棄する(ステップS54)。ここで、通信不能通知は、サーバ2が収容する総ての端末8に対して送信してもよいが、通信資源を節約する観点から、所定の端末8に対してのみ行うことが好ましい。具体的には、サーバ2が通信不能を検知してから通信回復を検知するまでの期間に、サーバ2に対してデータを送信した端末8に対してのみ通信不能通知を送信すればよい。さらに、サーバ2は、通信不能通知を送信した端末8に対してのみ通信回復通知を送信してもよい。
【0080】
通信不能通知は、サーバ・生産管理ビジコンで通信障害が発生中であることを示す情報を含む。端末8は、上りデータ送信要求結果応答を受信することによって、端末・サーバ間の通信は正常であることを認識し、さらに、通信不能通知を受信することによって上りデータが生産管理ビジコン1へ送信されていないことを認識する。
【0081】
この場合、端末8のCPU81は、通信不能通知の受信を検知すると、ディスプレイ85に通信不能メッセージを表示させる(ステップS55)。このメッセージは、例えば、「サーバ・ビジコン間の通信が不能です。回復を待って再送してください。」といったものであってもよいし、あるいは、通信不能を示すアイコンの表示であってもよい。
【0082】
この後、サーバ・ビジコン間で通信が回復すると、サーバ2はサーバ・ビジコン間の通信回復を検知して(ステップS56)、通信回復通知を端末8へ送信する(ステップS57)。通信回復通知は、サーバ・ビジコン間の通信が回復したことを示す情報を含む。
【0083】
端末8のCPU81は、通信回復通知の受信を検知すると、ディスプレイ85に通信回復メッセージを表示させる(ステップS58)。このメッセージは、例えば、「サーバ・ビジコン間の通信が回復しました。再送してください。」といったものであってもよいし、あるいは、通信回復を示すアイコンの表示であってもよい。
【0084】
この後、作業者がキーボード87を操作して送信指示を入力すると、CPU81はこれを検知して、上りデータ送信要求をサーバ2へ送信させる(ステップS59、60)。続いて、サーバ2は、上りデータを生産管理ビジコン1へ送信する(ステップS62)。これにより、上りデータが再送される。
【0085】
サーバ2は、端末・サーバ間に障害を発生したとき、下りデータをバッファリングする一方、サーバ・ビジコン間に障害が発生したとき、上りデータについてはバッファリングをせずに通信不能である旨を端末8に通知する。このように上りデータと下りデータとで異なる処理を実行するのは、以下の理由による。
【0086】
すなわち、生産管理ビジコン1は、端末8に対して逐次作業指示を送信するようにプログラムされており、何等かの作業指示を出力すると、その作業自体が完了した旨の報告を受け取るまで次の作業指示を出力することはない。従って、生産管理ビジコン1は、ある作業指示を含む下りデータを送信すると、その完了報告を含む上りデータを受信するまでの期間において、生産管理ビジコン1は作業中であるとして状態を管理すればよいので、通信障害について積極的に対応する必要はない。但し、サーバ・ビジコン間の通信が正常で、サーバ・端末間の通信が異常の場合には、生産管理ビジコン1は作業指示を出力したものとして管理しているので、下りデータをサーバ2でバッファリングする必要がある。また、バッファリングすることによって、通信不能を生産管理ビジコン1に送信する必要もなくなる。
【0087】
一方、端末・サーバ間の通信が正常でサーバ・ビジコン間の通信が異常の場合に、上りデータをサーバ2でバッファリングすると、端末8の作業者は上りデータが正常に送信されたものとして、作業を進めてしまう。この場合には、作業の進行状況を生産管理ビジコン1で一括管理することができなくなる。そこで、上りデータについては、通信不能である旨を端末8のディスプレイ85に表示して、データを再送するようにしたのである。
【0088】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、通信障害を迅速に検知して通信再開に向けた処理を開始するので、データ通信の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る事業所系操業システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムに用いられる端末8の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】同システムに用いられるサーバ2の電気的な構成をブロック図である。
【図4】端末8、サーバ2、及び生産管理ビジコン1で実行されるプログラムの概略を示す説明図である。
【図5】端末8と生産管理ビジコン1との間のデータ通信のシーケンスを示すシーケンス図である。
【図6】端末8のヘルシー処理モジュールの処理内容を示すフローチャートである。
【図7】ヘルシー信号の送信例を示す説明図である。
【図8】再接続処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】バッファリング処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線に障害が発生した場合の処理例を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
1 生産管理ビジコン(第2サーバ)
2 サーバ(第1サーバ)
8 端末
20 事業所システム(無線通信情報システム)
81 CPU(表示制御手段)
85 ディスプレイ(表示手段)
100 事業所系操業システム(無線通信情報システム)
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線情報通信システムの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所等の事業所では、クレーンやフォークリフト等の移動体による作業や人が移動しながら作業が行われる。このような作業のガイダンスあるいは作業に関わる情報処理を目的として多くの端末システムが開発されてきた。この端末システムにおいては、サーバと端末との間でデータ通信を行うことになるが、事業所で用いられる端末システムでは、端末が移動する必要があるため、データ通信方式として様々な無線方式が採用されていた。
【0003】
例えば、特許文献1には無線方式としてPHS通信を採用したフォークリフト無線LANシステムが開示されている。このシステムでは、サーバと端末との間にコードレス電話による無線回線を介在させている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−203800号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、無線方式は、有線方式と比較して移動が自由であるといった利点がある一方、データ通信の信頼性が低いといった問題がある。特に、多数の制御装置や運搬装置等が稼動している事業所においては、各種の機器からノイズが放射されるため、劣悪な通信環境にある。
【0006】
このため、サーバと端末とのデータ通信に無線通信を採用する場合には、無線回線の切断を前提として、データ通信の信頼性を確保する必要がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、データ通信の信頼性を向上させること等を解決課題の一例とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に係る無線情報通信システムは、端末(8)と第1サーバ(2)との間でPHS通信が行われる無線情報通信システム(20)において、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し(S22)、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段(81)と、前記通信監視手段(81)によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段(S24)とを備え、前記第1サーバ(2)は、前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末(8)へ送信する応答手段(21)を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0010】
この発明によれば、無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を第1サーバに送信して通信回線の切断を確認し、通信不能の場合には再接続を実行するので、各端末と第1サーバとの間にPHS通信を用いてもその通信障害を迅速に検知して、通信再開に向けた処理を開始することができ、データ通信の信頼性が向上する。この結果、端末・第1サーバ間でデータ通信が必要とされる場合に、データ通信の遅延を回避することができ、作業効率を向上させることができる。また、所定の信号は、単に周期的に送信されるのではなく、無通信区間の時間が基準時間以上になったときに送信される。すなわち、各端末と第1サーバとの間の通信状態は、所定の信号の通信のみならず、有効なデータの通信によって監視される。これにより、通信資源を有効に活用し、且つ、第1サーバの処理負荷を軽減することができる。なお、この発明において、無通信区間とは、有効な通信が行われなった区間をいう。
【0011】
上述した無線情報通信システム(20)において、前記通信監視手段(S12)は、前記無通信区間の時間を計測する第1計測手段(S20)と、前記第1計測手段によって計測された第1計測時間が基準時間以上になったことを検知して、前記所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信する送信手段(S21、22)と、前記所定の信号の送信から前記応答を受信するまでの時間を計測する第2計測手段(S23)と、前記第2計測手段の計測時間が、所定時間を超えた場合に通信不能であることを検知する検知手段(S23)とを備えることが好ましい(請求項2)。第1計測手段及び第2計測手段は、ハードウエアで構成してもよいし、ソフトウエアで構成してもよい。
【0012】
また、本発明に係る他の無線情報通信システムは、第1サーバ(2)を介して端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)において、前記第1サーバ(2)は、データを記憶する記憶手段(23)と、当該第1サーバ(2)と前記端末(8)との間の通信状態を監視する下位回線監視手段(21)と、前記下位回線監視手段(21)によって前記端末(8)との間の通信不能が検知されると(S40)、前記第2サーバ(1)から受信したデータのうち、前記端末(8)へ向けたデータを前記記憶手段(23)に記憶し、前記下位回線監視手段(21)によって前記端末(8)との間の通信回復が検知されると(S42)、前記記憶手段(23)から前記端末(8)へ向けたデータを読み出して当該データを前記端末(8)へ送信させる制御手段(21)と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項3)。
【0013】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間で通信障害が発生した場合に第2サーバから送信されたデータを第1サーバでバッファリングするので、信頼性の低いPHS通信を採用しても確実にデータを各端末に送信することができ、データ通信の信頼性が向上する。また、第2サーバから第1サーバへの通信が有効であれば、第1サーバと端末との間に通信障害が発生しても、第2サーバはデータを一度送信すれば済むので、第2サーバは、第1サーバと各端末との間の通信状態とは無関係に処理を進めることも可能である。これにより、第2サーバの処理負荷を軽減するとともに、第1サーバと第2サーバとの間の通信資源の利用効率を向上させることができる。
【0014】
この無線情報通信システムにおいて、前記端末(8)は、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段(81)と、前記通信監視手段(81)によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段(81)とを備え、前記第1サーバ(2)は、前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末(8)へ送信する応答手段を備え、前記下位回線監視手段(21)は、前記所定の手続に従って前記端末(8)から送信される要求信号の受信を検知することによって、前記の端末(8)との間の通信回復を検知することが好ましい(請求項4)。この場合には、端末と第1サーバとの間に通信障害が発生した場合に、端末が主体となって通信再開に向けた処理を各々開始させるので、第1サーバの処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る他の無線情報通信システムは、第1サーバ(2)を介して複数の端末(8)と前記第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記複数の端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)において、前記第1サーバ(2)は、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信状態を監視する上位回線監視手段(21)と、前記上位回線監視手段(21)によって通信不能が検知されると(S50)、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末(8)のうち所定の端末に送信し(S53)、前記上位回線監視手段(21)によって通信回復が検知されると(S54)、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末(8)に送信(S57)する通知手段(21)と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項5)。
【0016】
この発明によれば、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、各端末からデータの再送を実行することができ、データ通信の信頼性が向上する。特に、本発明を事業所における作業を指示するシステムに利用する場合には、端末から第2サーバ(上位サーバ)に向けてデータを送信したとき、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能を端末で知ることができなければ、端末側では正常にデータが第2サーバへ送信されたものとして、次の作業を進めることも考えられる。しかしながら、本発明においては、通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、端末においてこれらの情報を把握することができ、未伝送のデータは通信回復後の再送等によって対処することが可能となる。
【0017】
ここで、前記通知手段(21)は、前記上位回線監視手段(21)によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、前記第1サーバ(2)に対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信することが好ましい(請求項6)。この場合は、データ通信が必要となった端末に対して通信不能通知及び通信回復通知が送信されるので、第1サーバと複数の端末間の通信資源を節約することができる。
【0018】
上述した無線情報通信システムにおいて、前記複数の端末のそれぞれは(8)、情報を表示する表示手段(85)と、前記第1サーバ(2)から前記通信不能通知を受信したことを検知して、前記表示手段(85)に通信が不能である旨のメッセージを前記情報として表示させ、前記第1サーバ(2)から前記通信回復通知を受信したことを検知して、前記表示手段に通信が回復した旨のメッセージを前記情報として表示させる表示制御手段(81)と、を備えることが好ましい(請求項7)。この場合、端末のオペレータは、表示手段に表示されるメッセージによって、通信不能及び通信回復を知ることができる。なお、端末は人の入力操作に応じた検出信号を出力する入力手段と、検出信号に基づいてデータの再送を実行する再送手段とを備えるものであってもよい。
【0019】
次に、本発明に係る端末用プログラムは、端末(8)と第1サーバ(2)との間でPHS通信が行われる無線情報通信システム(20)の端末(8)に用いられる端末用プログラムであって、コンピュータとしての前記端末(8)を当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の通信状態を監視して、当該端末(8)と前記第1サーバ(2)との間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバ(2)に送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段と、前記通信監視手段によって通信不能が検知されると、前記所定の手続を実行する再接続手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項8)。
【0020】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間にPHS通信を用いてもその通信障害を迅速に検知して、通信再開に向けた処理を開始することができ、データ通信の信頼性が向上する。この結果、端末・第1サーバ間でデータ通信が必要とされる場合に、データ通信の遅延を回避することができ、作業効率を向上させることができる。また、各端末と第1サーバとの間の通信状態は、所定の信号の通信のみならず、有効なデータの通信によって監視されるから、通信資源を有効に活用し、且つ、第1サーバの処理負荷を軽減することができる。
【0021】
次に、本発明に係るサーバ用プログラムは、第1サーバ(2)を介して端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)の第1サーバ(2)に用いられるサーバ用プログラムであって、コンピュータとしての前記第1サーバ(2)を、当該第1サーバ(2)と前記端末(8)との間の通信状態を監視する下位回線監視手段と、前記下位回線監視手段によって前記端末(8)との間の通信不能が検知されると、前記第2サーバ(1)から受信したデータのうち、前記端末(8)へ向けたデータを記憶し、前記下位回線監視手段によって前記端末(8)との間の通信回復が検知されると、記憶した前記データを前記端末(8)へ送信させる制御手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項9)。
【0022】
この発明によれば、端末と第1サーバとの間で通信障害が発生した場合に第2サーバから送信されたデータを第1サーバでバッファリングするので、信頼性の低いPHS通信を採用しても確実にデータを各端末に送信することができ、データ通信の信頼性が向上する。また、第2サーバから第1サーバへの通信が有効であれば、第1サーバと端末との間に通信障害が発生しても、第2サーバはデータを一度送信すれば済むので、第2サーバの処理負荷を軽減するとともに、第1サーバと第2サーバとの間の通信資源の利用効率を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明に係る他のサーバ用プログラムは、第1サーバ(2)を介して複数の端末(8)と第2サーバ(1)との間でデータ通信を行い、前記複数の端末(8)と前記第1サーバ(2)との間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で所定の通信が行われる無線情報通信システム(100)の第1サーバ(2)に用いられるサーバ用プログラムであって、コンピュータとしての前記第1サーバ(2)を、当該第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信状態を監視する上位回線監視手段と、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されると、当該第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末のうち所定の端末に送信し、前記上位回線監視手段によって通信回復が検知されると、前記第1サーバ(2)と前記第2サーバ(1)との間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末に送信する通知手段として機能させることにより、上述した課題を解決する(請求項10)。
【0024】
この発明によれば、第1サーバと第2サーバとの間の通信不能及び通信回復が端末に送信されるので、端末においてこれらの情報を把握することができ、未伝送のデータは通信回復後の再送等によって対処することが可能となる。
【0025】
なお、前記通知手段は、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、当該第1サーバ(2)に対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信する手段として機能することが好ましい(請求項11)。この場合は、第1サーバと複数の端末間の通信資源を有効に利用することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例として、事業所系操業システムを取り上げ、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、事業所系操業システムに限定されるものではなく、サーバとクライアントとを備え、それらの間のデータ通信の一部にPHS通信等の無線通信を採用する総てのシステムに適用することができる。
【0027】
<1.システムの全体構成>
図1は、事業所系操業システムの全体構成を示すブロック図である。この図に示すように事業所系操業システム100は、生産管理ビジコン1、複数の事業所システム20,20,…、及びこれらを接続する通信ネットワーク3を備える。生産管理ビジコン1は、各事業所システム20,20,…を統括して管理する上位サーバであって、事業所系操業システム100の制御中枢として機能する。事業所システム20,20,…は、地域的に分散して配置される工場や倉庫といった事業所毎に設けられている。通信ネットワーク3は、専用回線で構築してもよいしあるいは公衆回線で構築してもよく、インターネットが含まれる。生産管理ビジコン1は、倉庫・工場内の置場管理、現品管理、出荷管理、及び搬送実績管理といった生産に関わる管理を実行する。
【0028】
次に、事業所システム20は、サーバ2、LAN4、ルータ5、交換機6、複数のアンテナ7,7,…、及び複数の端末8,8,…を備える。サーバ2は、ゲートウエイ機能を有し、通信ネットワーク3を介して生産管理ビジコン1とデータ通信を行う一方、各端末8とデータ通信を行う。サーバ2と各端末8との通信の一部には、無線通信区間が含まれる。無線通信の方式としては、各種の方式を採用することができるが、この例ではPHS(Personal Handyphone System)通信を採用する。PHSの規格は、ARIB(社団法人電波産業会)において標準化が実施され、データ通信プロトコルにおいてもPIAFSの標準規格が定められている。
【0029】
仮に、無線通信の方式としてメーカー独自の特定小電力無線を各事業所システム20、20、…において別個に採用すると、メーカ独自の無線通信プロトコルにあわせてシステムを構築しなければならず、その開発、保守、さらには予備品管理を含めた維持管理には多大な工数が必要となる。この点、PHS通信では通信プロトコルが標準化されているので、本実施形態の各事業所システム20は、同一の構成で構築することが可能となり、機器と機能の共通化・標準化が図られ、その開発維持管理に関わる労力及びコストを大幅に削減することができる。
【0030】
さらに、製鉄所等の事業所においては、テレコンと呼ばれる手動操作のクレーンが2.4GHzの周波数で動作している。このため、同様の無線帯域で通信を行う無線LANを採用すると混信のおそれがあるが、PHS通信では1.9GHzを使用するため、混信のおそれが少ない。
【0031】
PHS通信に関わるハードウエアは、複数の端末8が備えるPHS通信カード86、複数のアンテナ7、及び交換機6を含む。PHS通信において、各端末8は移動局として機能し、各アンテナ7は基地局として機能し、交換機6は交換局として機能する。端末8は、作業者が携帯したり、あるいは、クレーンやフォークリフトといった移動体に設置されている。各アンテナ7は事業所内に分散して配置されている。このため、端末8が事業所内を移動しても、端末8は各アンテナ7を介して交換機6と接続される。
【0032】
交換機6は、経路制御を実行するルータ5及びLAN4を介してサーバ2に接続される。LAN4は、例えば、イーサネット(Ethernet)(登録商標)によって構築される。これによって、ルータ5とサーバ2との間で高速のデータ通信を高い信頼性の下に実行することができる。なお、本実施形態においては、PHS通信を採用するので、アンテナ7及び交換機6等を利用して、移動電話機能を付加することも可能である。この場合は、携帯電話機を構内電話として利用することができる。また、各従業者が携帯電話機を所持すれば、居所確認に用いることもできる。
【0033】
次に、端末8としては、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、あるいはCE端末を用いることができる。端末8の電気的な構成を図2に示す。端末8は、CPU81、ROM82、RAM83、ハードディスク84、ディスプレイ85、PHS通信カード86及びキーボード87を備える。CPU81はバスを介して各構成部分と接続されており、各種のプログラムを実行する。ROM81は、読み出し専用の不揮発性メモリであって、そこにはブートプログラム等が記憶されている。RAM83は、読み出し及び書き込みが可能なメモリであって、CPU81の作業領域として機能する。RAM83には、CPU81の制御の下、ハードディスク84から読み出された各種のプログラムが転送される他、これらのプログラムによる処理途中のデータ等が記憶される。この端末8が実行するプログラムには、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と称する)とPHS通信ハンドラプログラム(以下、「PHS通信ハンドラ」と称する)とが含まれる。
【0034】
ディスプレイ85には、CPU81の制御の下、生産管理ビジコン1から送信される各種のメッセージ及びサーバ2から送信される所定のメッセージが表示される。生産管理ビジコン1から送信されるメッセージとしては、作業者に対する作業指示や作業手順等がある。例えば、「識別No.SM123456のコイルをA地点からB地点まで搬送せよ。」といった作業指示である。
【0035】
キーボード87は入力手段として機能し、人の入力操作に応じた検出信号を出力する。CPU81は、検出信号に基づいて各種の処理を実行する。例えば、上述したコイルを搬送する例において、作業者がキーボード87を用いて作業が完了した旨を入力すると、CPU81は検出信号に基づいてこのメッセージを生産管理ビジコン1へ送信する。これにより、生産管理ビジコン1は、作業が完了したことを認識し、他の作業の進行状況等を考慮して次の作業指示を当該端末8に対して送信する。以下の説明では、各端末8から生産管理ビジコン1へ向けて送信されるデータを上りデータと称し、生産管理ビジコン1から各端末8へ向けて送信されるデータを下りデータと称する。なお、キーボード87の替わりにマウスを入力手段として用いてもよい。あるいは、ディスプレイ85をタッチパネルで構成して、作業者がディスプレイ85に表示されるアイコンを指等で触ることによって、端末8に対する入力操作を行ってもよい。
【0036】
次に、サーバ2の電気的な構成を図3に示す。サーバ2は、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、ディスプレイ25、第1インターフェース26、第2インターフェース27及びキーボード28を備える。これらの構成部分のうち、第1インターフェース26及び第2インターフェース27を除く構成部分は、ハードウエアの機能としては端末8と同様であり、そこで実行されるソフトウエアが相違する。
【0037】
第1インターフェース26は、LAN4を介してルータ5との間で通信を実行するハードウエアであり、例えば、LANカードで構成される。第2インターフェース27は、通信ネットワーク3を介して生産管理ビジコン1との間でデータ通信を実行するハードウエアであり、例えば、モデムで構成される。このサーバ2は、後述するプログラムを実行することによって、第1にゲートウエイとして機能し、第2に下りデータの送信についてバッファとして機能する。この場合、所定の下り送信データがRAM23に記憶され、RAM23がデータバッファとして機能する。
【0038】
サーバ2は、各端末8と上位側のホストコンピュータたる生産管理ビジコン1との間に設けられており、ゲートウエイとして機能を有する。即ち、上位ホスト側メッセージを上位接続プロトコルにて受信し、下位側にPHS通信を用いて送信する機能と、下位端末側メッセージをPHS通信にて受信し、上位接続プロトコルに適合したメッセージで送出する機能を有する。なお、上位側プロトコルはどのようなものであってもよく、ホストコンピュータとしての生産管理ビジコン1が何であれ、下位側の共通化を図ることができる。さらに、サーバ2は、下位回線異常時に上位ホストがわメッセージを受信してバッファリングする機能と下位回線復旧時にバッファリングされたメッセージを送出する機能と、上位側回線異常時には端末側へ回線異常を通知する機能を有する。
【0039】
次に、図4に、端末8、サーバ2、及び生産管理ビジコン1で実行されるプログラムの概略を示す。まず、端末8は、アプリケーションとPHS通信ハンドラとを備える。この図では、アプリケ−ションを1個のプログラムとして示してあるが、複数のプログラムから構成されてもよいことは勿論である。この点は、サーバ2及び生産管理ビジコン1についても同様である。端末8のPHS通信ハンドラとサーバ2のPHS通信ハンドラは対になるものであって、これらの間でPHS通信が実行される。また、サーバ2のデータ通信ハンドラと生産管理ビジコン1のデータ通信ハンドラは対になるものであって、これらの間でデータ通信が実行される。
【0040】
PHS通信ハンドラは、ヘルシー処理モジュール、ソケット通信モジュール、及びPPP接続モジュールを含み、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)の機能を有する。PPP(Point to Point Protocol)接続モジュールによって、電話線や専用線等のシリアル回線を用いて通信するための物理層/データリンク層のプロトコルが実行され、ダイアルアップ接続が可能となる。また、PPP接続モジュールは、ダイアルアップ切断を検知して、検知結果をソケット通信モジュール及びヘルシー処理モジュールに送るようになっている。
【0041】
ソケット通信モジュールは、TCP/IPにおいて利用するネットワーク用APIである。これによってオープン要求、データ送信、クローズ要求に対する応答タイムアウトが監視される。オープン要求は、ソケット通信の開始を通信の相手方に要求するものであり、クローズ要求は、ソケット通信の終了を通信の相手方に要求するものである。ソケット通信では、オープン要求、データ送信、及びクローズ要求を送信先が受信すると、結果応答を返信するようになっている。従って、送信元は送信に対する応答を受信するまでの時間を監視することによって、通信回線の状態を知ることができる。この意味でソケット通信モジュールは、通信回線の状態を監視する通信回線監視機構の一部として機能する。
【0042】
ソケット通信モジュールは、タイムアウトを検知すると、何等かの通信障害が発生したものとして、ソケットのクローズ及びソケットの廃棄を実行する。この後、ソケット通信モジュールは、オープン要求を送信先へ送信するが、PPP接続モジュールからダイアルアップ切断を検知したことを示す情報を受け取ると、ダイアルアップ手続から即時に再開される。
【0043】
ヘルシー処理モジュールは、所定のタイミングでヘルシー信号をサーバ2へ送信し、そのタイムアウトを監視する機能を有する。この意味でヘルシー処理モジュールは、通信回線の状態を監視する通信回線監視機構の一部として機能する。ヘルシー処理モジュールは、タイムアウトを検知した場合、N(Nは自然数)回のリトライを試行してソケット通信の再開設を行うが、PPP接続モジュールからダイアルアップ切断を検知したことを示す情報を受け取ると、ダイアルアップ手続から即時に再開する。
【0044】
これらのモジュールで実現される通信回線監視機構によって、第1に、PHS通信回線に何等かの障害が発生した場合これを迅速に検知することができ、第2に、復旧の自動化を図ることができ、第3に、復旧の早期化を図ることができる。これらの点は、PHS通信を採用する事業所系操業システム100において特に重要である。
【0045】
生産管理ビジコン1等の上位サーバと複数の端末8とを用いたシステムでは、各端末8からの情報を上位サーバで一元的に管理し、上位サーバは必要に応じて何等かの判断をし、その判断結果を各端末8に送信する。このため、情報を迅速・確実に伝達することはシステムを稼動させる上で欠くことができない基本性能である。一方、各端末8を移動可能にすると、各端末8と生産管理ビジコン1との通信経路にPHS通信等の無線通信区間を設ける必要があるが、無線通信は有線通信と比較して信頼性が低い。そこで、端末8の移動を確保するためPHS通信をシステムに取り入れる場合には、PHS通信の障害を前提としてシステムを構築する必要がある。上述したように本実施形態では、各種の通信回線監視機構を備えるので、たとえPHS通信に障害が発生しても、これを直ちに検知して即時に通信開始に向けての処理が実行されるから、情報の迅速・確実な伝達が確保されることになる。
【0046】
さらに、端末8のアプリケーションは、通信状態を作業者に通知する機能を有する。即ち、通信回線監視機構によって上位回線の異常時にその通知を受信し、例えば、「上位回線異常」をディスプレイ85に表示させる。また、作業者の端末情報入力送信に対し、「送信OK」、「回線クローズ」、「送信失敗」、「接続中」等の情報をディスプレイ85に表示させる。なお、端末8にスピーカ等を設け、音声によって通知を行ってもよい。いずれにしろ、作業者に対するサービスとして、端末8は回線状況の通知を行う。
【0047】
<2.システムの全体動作>
次に、端末8と生産管理ビジコン1との間のデータ通信のシーケンスを図5に示す。ここでは、端末8とルータ5との通信、端末8とサーバ2との間の通信、サーバ2と生産管理ビジコン1との間の通信を順に確立し、端末8とサーバ2との間の通信、端末8とルータ5との通信を順に切断する例を示す。このシーケンスはシステムの全体動作を説明するための一例であって、実際の事業所系操業システム100では、端末8をシステムに組み込んだ後は、端末8と生産管理ビジコン1とのデータ通信がいつでも可能なように個々のデータ通信が終了した後も通信の切断は実行しない。
【0048】
まず、端末8からPPP接続要求がルータ5に送信されると(ステップS1)、これを受信したルータ5はPPP接続処理を実行し、PPP接続結果応答を端末8に返信する(ステップS2)。これにより、ダイアルアップ接続が完了し、端末8とサーバ2との間で、TCP/IPレベルでのコネクションが確立する(ステップS3)。これらの処理は、端末8がPPP接続モジュールを実行することによってなされる。
【0049】
この後、端末8は、ソケット通信モジュールによってオープン要求をサーバ2に送信する(ステップS4)。オープン要求をサーバ2が受信すると、サーバ2は送信元である端末8に対してオープン結果応答を返信する(ステップS5)。端末8は、タイマを備え、オープン要求を送信してからオープン結果応答を受信するまでの時間を計測する。そして、端末8は、タイマによって計測された計測時間が基準時間を超えるか否かを判定し、計測時間が基準時間を超えた場合には、何等かの通信障害が発生したことを検知する。タイムアウトの監視はソケット通信モジュールによって実行される。
【0050】
通信障害が発生したことが検知された場合、端末8は、PPP切断要求をルータ5に対して送信した後、ステップS1に戻って処理を実行する。すなわち、端末8は、PPP接続要求をルータ5に送信(ステップS1)→TCP/IPレベルでのコネクションを確立(ステップS3)→オープン要求の送信(ステップS4)といった手順を自動的に実行する。
【0051】
次に、端末8は、上りデータ送信要求をサーバ2に対して送信する(ステップS7)。上りデータ送信要求は、端末8で実行されるアプリケーションで生成された上りデータが含まれている。この上りデータは、例えば、所定の作業が完了したことを示す情報であってもよい。
【0052】
上りデータ送信要求をサーバ2が受信すると、サーバ2は端末8に対して上りデータ送信結果応答を返信する(ステップS7)。端末8は上りデータ送信結果応答を受信することによって、サーバ2が上りデータ送信要求を受信したことを知ることができる。
【0053】
また、端末8は、上りデータ送信要求を送信してから上りデータ送信結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する。監視の手順は上述したオープン要求の送信と同様である。そして、通信障害が発生したことが検知された場合、端末8は、PPP切断要求をルータ5に対して送信した後、ステップS1に戻って処理を実行する。
【0054】
次に、上りデータ送信要求を受信したサーバ2は、生産管理ビジコン1に対して上りデータ送信を実行する(ステップS8)。これによって、端末8から生産管理ビジコン1へデータが転送される。
【0055】
生産管理ビジコン1は、必要に応じて下りデータ送信要求をサーバ2へ送信する(ステップS9)。この下りデータ送信要求には、下りデータが含まれる。この下りデータは、例えば、所定の作業を指示する情報であってもよい。サーバ2が生産管理ビジコン1から下りデータ送信要求S9を受信すると、サーバ2は下りデータ送信を実行する(ステップS10)。これによって、生産管理ビジコン1から端末8へデータが転送される。
【0056】
下りデータ送信を受信した端末8は、下りデータ送信結果応答をサーバ2へ返信する。サーバ2は、下りデータ送信結果応答を受信することによって、端末8が下りデータ送信を受信したことを知ることができる。また、サーバ2は、下りデータ送信を送信してから下りデータ送信結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する。監視の手順は上述したオープン要求の送信と同様である。
【0057】
次に、ヘルシー処理が端末8とサーバ2との間で実行される。ヘルシー処理の詳細は後述するが、その概要は、端末8が、サーバ2との間の有効な通信を監視し、無通信時間が所定の時間に達すると、PHS通信を含む端末8とサーバ2との間の通信回線の状態を確認するために端末8からサーバ2に向けてヘルシー信号を送信し、サーバ2が端末8へ応答を返信するというものである。
【0058】
次に、メンテナンス等の何等かの理由によって端末8をシステムから分離する場合には、端末8はクローズ要求をサーバ2に送信する(ステップS13)。サーバ2はクローズ要求を受信すると、クローズ結果応答を端末8に送信する(ステップS14)。これにより、TCP/IPレベルでのコネクションが切断されることになる(ステップS15)。なお、端末8が、クローズ要求を送信してからクローズ結果応答を受信するまでの時間に基づいて、応答タイムアウトを監視する点については、上述したオープン要求の送信と同様である。
【0059】
この後、端末8がPPP切断要求をルータ5へ送信すると(ステップS16)、ルータ5はPPP切断結果応答を端末8へ返信する(ステップS17)。これによって、ダイアルアップ接続が切断される。
【0060】
例えば、端末8が製鉄所等の事業所におけるクレーンに配置されている場合には、端末8のアプリケーションは、クレーン作業に対応した画面選択表示機能、生還管理ビジコンへの処理要求入力、処理要求メッセージ送信機能、及び生産管理ビジコン1より受信したメッセージの画面への表示機能を有する。そして、クレーンのオペレータが端末8より作業に対する作業指示を要求すると、この要求が上りデータとして生産管理ビシコン1へ送信される。生産管理ビジコン1からその作業指示が下りデータとして送信され、これを当該端末8が受信すると、そのディスプレイ85に指示が表示される。また、他の例としては、自動更新情報として生産管理ビジコン1から指示が送信されてもよい。そして、端末8のディスプレイ85に表示される情報に従って、オペレータがクレーンを操作し、作業を行い、生産管理ビジコン1に対して作業処理要求を入力して送信し、作業が進行することになる。なお、作業要求した端末8に対して、生産管理ビジコン1の作業指示メッセージを送信する仕組みとしては、メッセージ中に画面ONや端末ONを定義することにより、実現可能である。このようなメッセージ送信中にPHS回線の異常が発生した場合、PHS通信ハンドラの動作に従って、回線自動復旧が図れる。端末8には、この回線状況がディスプレイ85に表示されたりあるいは音声にてオペレータに通知される。このため、オペレータは常に回線状況を把握して作業を行えるため、確実に作業が行われる。
【0061】
<3.ヘルシー処理>
次に、ヘルシー処理について説明する。図6は、端末8のヘルシー処理モジュールの処理内容を示すフローチャートである。ヘルシー処理において、CPU81は、無通信区間の時間を計測する。ここで、無通信区間とは、ある有効な通信と次の有効な通信までの期間をいう。さらに、有効な通信とは、PHS通信を含む端末8からサーバ2までの通信経路に障害が無く、データ伝送が行われた通信をいう。
【0062】
端末8とサーバ2との間の通信は、端末8から見たとき、端末8からサーバ2へ向けての送信と、サーバ2から端末8へ向けての受信とがある。オープン要求、上りデータ送信要求、クローズ要求といった各種の送信がなされると、サーバ2は応答を必ず返信する。そして、この応答を端末8が受信することによって、端末8はサーバ2との間の通信が有効であったこと(有効な通信が行われたこと)検知する。一方、サーバ2からオープン要求や下りデータを受信したときにも、端末8は、端末8からサーバ2までの通信経路に障害が無くデータ伝送が行われたこと(すなわち、有効な通信が行われたこと)を検知する。このため、無通信区間の時間は、応答又は下りデータといったサーバ2から何等かの情報を受信した時点から計測が開始される。具体的には、CPU81が情報を受信した時点でタイマをリセットすることによって無通信区間の時間が計測される。タイマは、端末8がハードウエアとして備えてもよいし、あるいは、CPU81のクロック信号をカウントするソフトウエアで構成してもよい。
【0063】
次に、CPU81は、タイマの計測時間が予め定められた基準時間以上になったか否かを判定する(ステップS21)。計測時間が基準時間に達する前は、ステップS21の処理を繰り返す。ここで、計測時間が基準時間に達する前に、有効な通信が行われた場合(すなわち、前述した、端末8からの各種送信に対するサーバ2かたの応答方はサーバ2からの下りデータ等を受信した場合)有効な通信が行われたこと)には、CPU81はタイマをリセットする。
【0064】
ステップS21の判定が肯定された場合には、端末8とサーバ2との間で有効な通信が基準時間以上行われなかったことを意味する。仮に、PHS通信に何等かの障害が発生しPHS通信回線が切断されていたとすると、アプリケーションレベルの通信を再開するために、端末8は、図5に示すステップS1からステップS5までの処理を実行する必要がある。従って、事業所での作業に必要な情報をサーバ2を介して端末8と生産管理ビジコン1との間でやりとりするための通信を再開するまでに長時間がかかるといった問題がある。そこで、端末8とサーバ2との間で有効な通信が基準時間以上行われなかった場合には、端末8はサーバ2へ向けてヘルシー信号を送信する(ステップS22)。これにより、端末8とサーバ2との間の通信回線の障害を迅速に検知することができる。サーバ2はヘルシー信号を受信すると、送信元の端末8に対してヘルシー応答を返信する。
【0065】
この後、端末8は、ヘルシー信号の送信から所定時間内にヘルシー応答を受信したか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の条件が肯定される場合には、PHS通信回線が正常であることを意味する。この場合、端末8は、無通信区間を計測するタイマをリセットして処理をステップS20へ戻す。
【0066】
一方、ステップS23の条件が否定される場合には、端末8とサーバ2との間のTCP/IPレベルでのコネクションが切断され(ステップS24)、再接続処理が実行される(ステップS25)。
【0067】
ここで、図7を参照して、ヘルシー信号の送信を具体的に説明する。なお、この例にあっては、図6のステップS21の判定に用いる基準時間がTaであり、ステップS23の判定に用いる所定時間がTbであるものとする。そして、無通信区間の時間は第1タイマにより計測され、ヘルシー信号の送信からの経過時間は第2タイマにより計測されるものとする。
【0068】
この例では、時刻t0において通信1が実行され、時間T1が経過して時刻t1に至った時点で通信2が実行される。この場合、Ta>T1であるので、ヘルシー信号の送信は行われず、第1タイマ値はリセットされる。そして、時刻t1から時間Taが経過して時刻t2に至ると、第1タイマ値=Taとなり、ヘルシー信号の送信が実行される。この送信と同時に第2タイマの計測が開始する。この例では、時刻t3でヘルシー応答を端末8が受信するが、Tb>T3であるから、時刻t3において再接続処理は実行されず、第1タイマがリセットされる。そして、時刻t3から時間Taが経過して時刻t4に至ると、再びヘルシー信号が送信される。この後、時間Tbが経過してもヘルシー応答がないので、時刻t5において再接続処理が実行される。
【0069】
本実施形態において、ヘルシー信号は、無通信区間の時間が基準時間に至ったときに送信される。つまり、端末8は、ヘルシー信号を単に周期的に送信するのではなく、オープン要求結果応答、上り送信データ要求結果応答、下り送信データ等の受信があった場合には、ヘルシー信号の送信を省略している。これは、有効な通信によって、PHS通信回線の状態が正常であると判断できるからである。仮に、ヘルシー信号を有効な通信とは無関係に周期的に送信すると、通信資源が無駄に消費されることになる。また、多数の端末8を収容する大規模な事業所システム20にあっては、サーバ2の処理負荷が重くなる。端末8は、無通信区間の時間が基準時間に至ったときにヘルシー信号を送信するから、通信資源を有効に活用し、且つ、サーバ2の処理負荷を軽減することができる。
【0070】
<4.再接続処理>
次に、再接続処理の内容を示すフローチャートを図8に示す。再接続処理では、まず、TCP/IPレベルでのコネクションの確立が図られる(ステップS30)。次に、端末8のCPU81は、オープン要求をサーバ2に送信させ(ステップS31)、所定時間内にオープン結果応答を受信したか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32の条件が肯定された場合には、再接続が完了したことになり、上りデータ及び下りデータの送受信が可能となる。
【0071】
一方、ステップS32の条件が否定された場合には、CPU81はオープン要求の送信回数がN回であるか否かを判定し(ステップS33)、N回未満の場合は処理をステップS31に戻し、処理を繰り返す。そして、オープン要求の送信回数がN回になると、CPU81は、PPP切断要求をルータ5へ送信させる(ステップS34)。
【0072】
この後、CPU81は、PPP接続要求をルータ5に送信させ(ステップS35)、ダイアルアップ接続が確立した否かを判定する(ステップS36)。ダイアルアップ接続が確立していない場合は、CPU81は処理をステップS35に戻し、ダイアルアップ接続が確立するまで処理を繰り返す。そして、ダイアルアップ接続が確立すると、CPU81は処理をステップS30に戻す。
【0073】
このようにヘルシー信号の送信によって、PHS通信回線の障害が検知された場合には、人の入力操作を待つことなく、即時に再接続処理が実行されるので、通信不能の時間を大幅に短縮することができる。
【0074】
<5.バッファリング処理>
次に、サーバ2のバッファリング処理の内容を説明する。バッファリング処理はCPU21がバッファリング処理モジュールを実行することによって実現される。図9は、バッファリング処理の内容を示すフローチャートである。
【0075】
まず、CPU21は、サーバ・端末間の通信回線の状態を常時監視しており、通信不能を検知すると(ステップS40)、下りデータ送信要求をデータバッファに記憶する(ステップS41)。通信不能は、例えば、図5に示すステップS11の下りデータ送信結果応答についてタイムアウトとなった場合、PPP切断要求を受信した場合、PPP接続モジュールから通信不能通知を受け取った場合等に検知される。また、RAM23の所定の記憶領域はデータバッファとして機能し、そこには、下りデータ送信要求が順次記憶される。
【0076】
次に、CPU21は、サーバ・端末間の通信が回復したか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、端末8から送信されるオープン要求を受信することによって通信の回復を検知してもよい。サーバ・端末間の通信が回復すると、サーバ2はデータバッファから下りデータ送信要求を読み出して送信する(ステップS43)。
【0077】
このように下りデータをサーバ2においてバッファリングすることにより、PHS通信回線に障害が発生した場合、生産管理ビジコン1が下りデータ送信要求を再送する処理を省くことができる。
【0078】
<6.サーバ・生産管理ビジコン間の通信障害発生時の処理>
次に、サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線に障害が発生した場合の処理について、図10に示すシーケンス図を参照して説明する。サーバ2は、サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線の状態を常時監視しており、それらの間の通信不能を検知する(ステップS50)。
【0079】
この後、サーバ2は、上りデータ送信要求を端末8から受信すると(ステップS51)、上りデータ送信結果応答を端末8へ返信し(ステップS52)、さらに、通信不能通知を端末8へ送信する(ステップS53)。通信不能通知は、サーバ・生産管理ビジコンで通信障害が発生中であることを示す情報を含む。続いて、サーバ2は、上りデータ送信要求を破棄する(ステップS54)。ここで、通信不能通知は、サーバ2が収容する総ての端末8に対して送信してもよいが、通信資源を節約する観点から、所定の端末8に対してのみ行うことが好ましい。具体的には、サーバ2が通信不能を検知してから通信回復を検知するまでの期間に、サーバ2に対してデータを送信した端末8に対してのみ通信不能通知を送信すればよい。さらに、サーバ2は、通信不能通知を送信した端末8に対してのみ通信回復通知を送信してもよい。
【0080】
通信不能通知は、サーバ・生産管理ビジコンで通信障害が発生中であることを示す情報を含む。端末8は、上りデータ送信要求結果応答を受信することによって、端末・サーバ間の通信は正常であることを認識し、さらに、通信不能通知を受信することによって上りデータが生産管理ビジコン1へ送信されていないことを認識する。
【0081】
この場合、端末8のCPU81は、通信不能通知の受信を検知すると、ディスプレイ85に通信不能メッセージを表示させる(ステップS55)。このメッセージは、例えば、「サーバ・ビジコン間の通信が不能です。回復を待って再送してください。」といったものであってもよいし、あるいは、通信不能を示すアイコンの表示であってもよい。
【0082】
この後、サーバ・ビジコン間で通信が回復すると、サーバ2はサーバ・ビジコン間の通信回復を検知して(ステップS56)、通信回復通知を端末8へ送信する(ステップS57)。通信回復通知は、サーバ・ビジコン間の通信が回復したことを示す情報を含む。
【0083】
端末8のCPU81は、通信回復通知の受信を検知すると、ディスプレイ85に通信回復メッセージを表示させる(ステップS58)。このメッセージは、例えば、「サーバ・ビジコン間の通信が回復しました。再送してください。」といったものであってもよいし、あるいは、通信回復を示すアイコンの表示であってもよい。
【0084】
この後、作業者がキーボード87を操作して送信指示を入力すると、CPU81はこれを検知して、上りデータ送信要求をサーバ2へ送信させる(ステップS59、60)。続いて、サーバ2は、上りデータを生産管理ビジコン1へ送信する(ステップS62)。これにより、上りデータが再送される。
【0085】
サーバ2は、端末・サーバ間に障害を発生したとき、下りデータをバッファリングする一方、サーバ・ビジコン間に障害が発生したとき、上りデータについてはバッファリングをせずに通信不能である旨を端末8に通知する。このように上りデータと下りデータとで異なる処理を実行するのは、以下の理由による。
【0086】
すなわち、生産管理ビジコン1は、端末8に対して逐次作業指示を送信するようにプログラムされており、何等かの作業指示を出力すると、その作業自体が完了した旨の報告を受け取るまで次の作業指示を出力することはない。従って、生産管理ビジコン1は、ある作業指示を含む下りデータを送信すると、その完了報告を含む上りデータを受信するまでの期間において、生産管理ビジコン1は作業中であるとして状態を管理すればよいので、通信障害について積極的に対応する必要はない。但し、サーバ・ビジコン間の通信が正常で、サーバ・端末間の通信が異常の場合には、生産管理ビジコン1は作業指示を出力したものとして管理しているので、下りデータをサーバ2でバッファリングする必要がある。また、バッファリングすることによって、通信不能を生産管理ビジコン1に送信する必要もなくなる。
【0087】
一方、端末・サーバ間の通信が正常でサーバ・ビジコン間の通信が異常の場合に、上りデータをサーバ2でバッファリングすると、端末8の作業者は上りデータが正常に送信されたものとして、作業を進めてしまう。この場合には、作業の進行状況を生産管理ビジコン1で一括管理することができなくなる。そこで、上りデータについては、通信不能である旨を端末8のディスプレイ85に表示して、データを再送するようにしたのである。
【0088】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、通信障害を迅速に検知して通信再開に向けた処理を開始するので、データ通信の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る事業所系操業システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムに用いられる端末8の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】同システムに用いられるサーバ2の電気的な構成をブロック図である。
【図4】端末8、サーバ2、及び生産管理ビジコン1で実行されるプログラムの概略を示す説明図である。
【図5】端末8と生産管理ビジコン1との間のデータ通信のシーケンスを示すシーケンス図である。
【図6】端末8のヘルシー処理モジュールの処理内容を示すフローチャートである。
【図7】ヘルシー信号の送信例を示す説明図である。
【図8】再接続処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】バッファリング処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】サーバ・生産管理ビジコン間の通信回線に障害が発生した場合の処理例を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
1 生産管理ビジコン(第2サーバ)
2 サーバ(第1サーバ)
8 端末
20 事業所システム(無線通信情報システム)
81 CPU(表示制御手段)
85 ディスプレイ(表示手段)
100 事業所系操業システム(無線通信情報システム)
Claims (11)
- 端末と第1サーバとの間でPHS通信が行われる無線情報通信システムにおいて、
前記端末は、
当該端末と前記第1サーバとの間の通信状態を監視して、当該端末と前記第1サーバとの間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバに送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段と、
前記通信監視手段によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段とを備え、
前記第1サーバは、前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末へ送信する応答手段を備える
ことを特徴とする無線情報通信システム。 - 前記通信監視手段は、
前記無通信区間の時間を計測する第1計測手段と、
前記第1計測手段によって計測された第1計測時間が基準時間以上になったことを検知して、前記所定の信号を前記第1サーバに送信する送信手段と、
前記所定の信号の送信から前記応答を受信するまでの時間を計測する第2計測手段と、
前記第2計測手段の計測時間が、所定時間を超えた場合に通信不能であることを検知する検知手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線情報通信システム。 - 第1サーバを介して端末と第2サーバとの間でデータ通信を行い、前記端末と前記第1サーバとの間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で所定の通信が行われる無線情報通信システムにおいて、
前記第1サーバは、
データを記憶する記憶手段と、
当該第1サーバと前記端末との間の通信状態を監視する下位回線監視手段と、
前記下位回線監視手段によって前記端末との間の通信不能が検知されると、前記第2サーバから受信したデータのうち、前記端末へ向けたデータを前記記憶手段に記憶し、前記下位回線監視手段によって前記端末との間の通信回復が検知されると、前記記憶手段から前記端末へ向けたデータを読み出して当該データを前記端末へ送信させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする無線情報通信システム。 - 前記端末は、
当該端末と前記第1サーバとの間の通信状態を監視して、当該端末と前記第1サーバとの間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバに送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段と、
前記通信監視手段によって通信不能が検知されると、通信を再開する所定の手続を実行する再接続手段とを備え、
前記第1サーバは、
前記所定の信号を受信すると前記応答を前記端末へ送信する応答手段を備え、
前記下位回線監視手段は、前記所定の手続に従って前記端末から送信される要求信号の受信を検知することによって、前記端末との間の通信回復を検知する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線情報通信システム。 - 第1サーバを介して複数の端末と第2サーバとの間でデータ通信を行い、前記複数の端末と前記第1サーバとの間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で所定の通信が行われる無線情報通信システムにおいて、
前記第1サーバは、
前記第1サーバと前記第2サーバとの間の通信状態を監視する上位回線監視手段と、
前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されると、前記第1サーバと前記第2サーバとの間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末のうち所定の端末に送信し、前記上位回線監視手段によって通信回復が検知されると、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末に送信する通知手段と、
を備えることを特徴とする無線情報通信システム。 - 前記通知手段は、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、前記第1サーバに対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信することを特徴とする請求項5に記載の無線情報通信システム。
- 前記複数の端末のそれぞれは、
情報を表示する表示手段と、
前記第1サーバから前記通信不能通知を受信したことを検知して、前記表示手段に通信が不能である旨のメッセージを前記情報として表示させ、前記第1サーバから前記通信回復通知を受信したことを検知して、前記表示手段に通信が回復した旨のメッセージを前記情報として表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載した無線情報通信システム。 - 端末と第1サーバとの間でPHS通信が行われる無線情報通信システムの端末に用いられる端末用プログラムであって、
コンピュータとしての前記端末を
当該端末と前記第1サーバとの間の通信状態を監視して、当該端末と前記第1サーバとの間の無通信区間の時間が基準時間以上になると、所定の信号を前記第1サーバに送信し、前記所定の信号に対する応答を前記所定の信号の送信から所定時間内に受信しない場合に通信不能であることを検知する通信監視手段と、
前記監視手段によって通信不能が検知されると、前記所定の手続を実行する再接続手段として
機能させる端末用プログラム。 - 第1サーバを介して端末と前記第2サーバとの間でデータ通信を行い、前記端末と前記第1サーバとの間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で所定の通信が行われる無線情報通信システムの第1サーバに用いられるサーバ用プログラムであって、
コンピュータとしての前記第1サーバを、
当該第1サーバと前記端末との間の通信状態を監視する下位回線監視手段と、
前記下位回線監視手段によって前記端末との間の通信不能が検知されると、前記第2サーバから受信したデータのうち、前記端末へ向けたデータを記憶し、前記下位回線監視手段によって前記端末との間の通信回復が検知されると、記憶した前記データを前記端末へ送信させる制御手段として
機能させることを特徴とするサーバ用プログラム。 - 第1サーバを介して複数の端末と第2サーバとの間でデータ通信を行い、前記複数の端末と前記第1サーバとの間ではPHS通信が行われ、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で所定の通信が行われる無線情報通信システムの第1サーバに用いられるサーバ用プログラムであって、
コンピュータとしての前記第1サーバを、
当該第1サーバと前記第2サーバとの間の通信状態を監視する上位回線監視手段と、
前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されると、当該第1サーバと前記第2サーバとの間の通信が不能であることを示す通信不能通知を前記複数の端末のうち所定の端末に送信し、前記上位回線監視手段によって通信回復が検知されると、前記第1サーバと前記第2サーバとの間で通信が回復したことを示す通信回復通知を前記所定の端末に送信する通知手段として
機能させることを特徴とするサーバ用プログラム。 - 前記通知手段は、前記上位回線監視手段によって通信不能が検知されてから通信回復が検知されるまでの期間に、当該第1サーバに対してデータを送信した端末を前記所定の端末として特定して前記通信不能通知及び前記通信回復通知を送信する手段として機能することを特徴とする請求項10に記載のサーバ用プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2003160382A JP2004363986A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 無線情報通信システム、端末用プログラム、及びサーバ用プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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2003
- 2003-06-05 JP JP2003160382A patent/JP2004363986A/ja active Pending
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