JP2004363419A - パルス光源 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定で高繰り返しの連続光パルスを発生でき、しかも繰り返し周波数を精度良く自由に変えることができるパルス光源を提供すること。
【解決手段】反射鏡1及び2からなる共振器1−1と、反射鏡1及び3からなる共振器1−2と、共振器1−1及び1−2の内部に共有される半導体光増幅媒質4と、共振器1−1の内部に配置された電界吸収型光変調器5と、共振器1−1及び1−2の共振長を変化させるリニアステージ24及び25とを具備し、共振器1−1及び1−2及び半導体光増幅媒質4は、共振器1−1及び1−2内を伝搬する光が少なくとも半導体光増幅媒質4内の一部で偏波面と光軸が一致するように配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】反射鏡1及び2からなる共振器1−1と、反射鏡1及び3からなる共振器1−2と、共振器1−1及び1−2の内部に共有される半導体光増幅媒質4と、共振器1−1の内部に配置された電界吸収型光変調器5と、共振器1−1及び1−2の共振長を変化させるリニアステージ24及び25とを具備し、共振器1−1及び1−2及び半導体光増幅媒質4は、共振器1−1及び1−2内を伝搬する光が少なくとも半導体光増幅媒質4内の一部で偏波面と光軸が一致するように配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し周波数を変化させることができるパルス光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パルス光源は、光計測や光通信等、光の広帯域性を利用した様々な技術分野において非常に重要な役割を果たしている。特に近年、100GHzを超えるような高い繰り返し周波数の連続パルス列を発生するパルス光源は、超高速の光通信に用いる光源や光電変換素子と組み合わせたミリ波信号ソース等として利用されている。
【0003】
パルス光源の典型的なものとして、非常に短い光パルスを発生できるモード同期レーザがあるが、なかでも半導体モード同期レーザは、固体レーザや気体レーザを用いたモード同期レーザに比べ、高い繰り返しパルスが発生でき、小型でかつ安定性に優れるという利点をもっている。現在、数GHzから100GHz程度までの繰り返し周波数を持つ半導体モード同期レーザが報告されているが、通常、劈開等により半導体材料の一部を加工して反射鏡を形成するため、共振器長が固定され、繰り返し周波数を連続的に変えることができないという問題があった。例えば、非特許文献1,2がその例である。
【0004】
また、さらに高い繰り返し周波数を得るため、半導体レーザの共振器の内部に溝等を作ることによって第3の反射鏡を設け、複合共振器効果を利用するという試みもなされている(非特許文献3)。この複合共振器効果とは、複数の共振器で発生する縦モードどうしの干渉によって、縦モード間隔の広い光を生成するものである。このような構成を採用することにより高繰り返し周波数を実現することが可能であるが、この場合もやはり、半導体材料の一部を加工して反射鏡を形成しているため、繰り返し周波数を変えることができないという問題があった。
【0005】
従来、繰り返し周波数を自由に変化させることができるパルス光源として図5に示すようなビート光源がある。これは、2つの発振波長の違うレーザ41とレーザ42の出力光を、カプラ47で合波させ、光路48からビート光49を発生させるものである。この際、レーザ41、光路43a、偏波コントローラ45、光路43bを通して出射する光の偏波面と、レーザ42、光路44a、偏波コントローラ46、光路44bを通して出射する光の偏波面とが一致するように偏波コントローラ45,46で偏波面を調整してやる必要がある。
【0006】
この方法では、各レーザ41,42の発振波長を制御することによって、ビート光49の周波数を変化させているが、波長を可変にしながらその絶対値を正確に制御することが難しいため、周波数のチューナビリティーを保ちながら繰り返し周波数を正確に制御することが困難である。また、ビート光49の一部を光電変換して電気領域で参照信号と比較し、フィードバックすることによって繰り返し周波数を制御することができるが、この方法では繰り返し周波数の最大値が電気部品の帯域で制限されてしまうという問題がある。また、光源装置自体が大掛かりとなってしまうという問題もある。
【0007】
さらに、非特許文献4に見られるような、半導体モード同期レーザの反射鏡の1つを外部反射鏡に置き換えた構成をもつ光源を用いる方法もある。この構成の光源では、外部反射鏡を動かして共振器長を変えることで、繰り返し周波数可変の光パルス列を生成できる。しかし、共振器長に対応した基本共振周波数の光パルス列を生成する場合、使用する光学部品等の寸法によって共振器長が制限されるため、繰り返し周波数は40GHz程度が上限であった。また、基本共振周波数の整数倍の電気信号で同期することにより、80GHz程度までの繰り返しのパルス列を生成できるが、エレクトロニクスの制限により、100GHzを超える高繰り返しの光パルス列を生成するのは困難であった。
【0008】
【非特許文献1】ハンセンPB、レイボンG、コレンU、ミラーBI、ヤングMG、シエンM、バルスCA、アルファネスRC著、「アクティブモードロッキング用の集積ブラッグ反射鏡を含む5.5mm長InGaAsモノリシック拡張キャビティレーザ」、IEEE、光技術、第4巻8、1992年3月、215−217頁(”5.5nm Long InGaAsP Monolithic Extended−Cavity Laser with an Integrated Bragg−Reflector for Active Mode−Locking”, Hansen,P.B.,Raybon,G.,Koren,U.,Miler,B.I.,Young,M.G.,Chien,M.,Burrus,C.A.,Alferness,R.C.,IEEE Photon. Technol.)。
【0009】
【非特許文献2】サトウK、コタカI、ヒラノA、アソベM、ミヤモトY、シミズN、ハギモトK著、「電界吸収変調器が集積されたモードロックドレーザを使用した102GHzにおける高繰り返し周波数パルス発生」、エレクトロニクス レター、第34巻8、1998年4月16日、790−792頁(”High−repetition frequency pulse generation at 102GHz using modelocked lasers integrated with electroabsorption modulators”,Sato,K.,Kotaka,I.,Hirano,A.,Asobe,M.,Miyamoto,Y.,Shimizu,N.,Hagimoto,K.,Electron. Lett.,vol.34,8,16 April 1998, pp. 790−792.)。
【0010】
【非特許文献3】ヤンソンDA、ストリートMW、マクドガルSD、タニーIG、マーシュJH、アブラチンEA著、「フォトニックバンドギャップ反射鏡を用いたモノリシック複合キャビティレーザダイオードの超高速ハーモニックモードロック」、IEEE J、クァンタム エレクトロニクス レター、第38巻1、2002年1月1日、1−11頁(”Ultrafast Harmonic Mode−Locking of Monolithic Compound−Cavity Laser Diodes Incorporating Photonic−Bandgap Reflectors”, Yanson,D.A.,Street,M.W.,McDougall,S.D.,Thayne,I.G.,Marsh,J.H.,Avrutin,E.A.,IEEE J. Quantumn Electron.Lett.,vo1.38,1,1 Jan. 2002, pp.1−11.)。
【0011】
【非特許文献4】ハシモトY、ヤマダH、クリバヤシR、ヨコヤマ著、「高安定外部キャビティモードロック半導体レーザモジュールによる40GHzチューナブル光パルス発生」、OFC、2002年、WV5、342−343頁(”40−GHz Tunable Optical Pulse Generation from a Highly−Stable External−Cavity Mode−Locked Semiconductor Laser Module” ,Hashimoto,Y.,Yamada,H.,Kuribayashi,R.,Yokoyama, OFC 2002, WV5, pp. 342−343.)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のパルス光源技術では、安定で高い周波数まで精度良く繰り返し周波数を変えることができるパルス光源を実現することが難しかった。
【0013】
本発明の目的は、従来の技術では実現することが難しかった、100GHzから数THzの繰り返し周波数を精度良く制御できるようにした可変周波数のパルス光源を提供することである。
【0014】
【発明を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、第1の反射鏡と第2の反射鏡とからなる第1の共振器と、前記第2の反射鏡の前記第1の反射鏡と反対側に配置された第3の反射鏡と前記第1の反射鏡とからなる第2の共振器と、前記第1の共振器と前記第2の共振器の内部に共有される光増幅媒質と、前記第1の共振器あるいは前記第2の共振器の少なくとも一方の内部に配置された光透過率変調媒質と、前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を連動して変化させる共振長変化手段とを具備し、前記第1の共振器、第2の共振器及び前記光増幅媒質は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器内を伝搬する光が少なくとも前記光増幅媒質内の一部で偏波面と光軸が一致するようにが配置されていることを特徴とするパルス光源とした。
【0015】
請求項2にかかる発明、請求項1に記載のパルス光源において、前記共振長変化手段は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を、その比を一定に保持して変化させることを特徴とするパルス光源とした。
【0016】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のパルス光源において、前記光透過率変調媒質は、前記第1の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号と、前記第2の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号とが重畳されて印加されるようにしたことを特徴とするパルス光源とした。
【0017】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載のパルス光源において、前記光透過率変調媒質を前記光増幅媒質で兼ねさせ、前記光増幅媒質に注入する電流により変調を行うようにしたことを特徴とするパルス光源とした。
【0018】
【発明の実施の形態】
[第1の実施例]
図1に、本発明にかかるパルス光源の第1の実施例を説明する概略図を示す。同図において、反射鏡1と反射鏡2とで形成される共振器1−1(第1の共振器)と反射鏡1と反射鏡3とで形成される共振器1−2(第2の共振器)とが、複合共振器1−3を構成している。また、複合共振器1−3内には、半導体光増幅媒質4(光増幅媒質)と電界吸収型光変調器5(光透過率変調媒質)とが配置されている。反射鏡1及び反射鏡3は、それぞれリニアステージ24及び25(共振長変化手段)により位置を移動できるようになっており、これにより、共振器1−1及び共振器1−2の共振器長を変化させることができる。共振器1−1、共振器1−2、及び半導体光増幅媒質4は、共振器1−1及び共振器1−2内を伝搬する光が少なくとも半導体光増幅媒質4内の一部で偏波面と光軸が一致するように配置されている。なお、電界吸収型光変調器5は共振器1−1あるいは共振器1−2の少なくとも一方の内部に配置されていればよい。
【0019】
半導体光増幅媒質4は、InGaAsP多重量子井戸から成る活性層6と、その上下のクラッド層7及び8と、それらを挟む上下の電極9及び10で構成されている。同様に、電界吸収型光変調器5は、InGaAsP多重量子井戸からなる変調層11と、その上下のクラッド層12及び13と、それらを挟む電極14及び15で構成されている。半導体光増幅媒質4の光導波方向の長さは300μm、電界吸収型光変調器5の光導波方向の長さは100μmとなっている。
【0020】
反射鏡1は、硝子基板16と反射膜17と反射防止膜18とで構成される。反射膜17の反射率は、反射膜の材料及び厚みなどの設計パラメータにより、自由に設定可能であり、ここでは、30%としたが、10〜90%の範囲内の反射率でも利用可能である。反射鏡2は、半導体光増幅媒質4の光出射端面19上の誘電体多層膜20で構成される。誘電体多層膜20の反射率は、ここでは10%としたが、5%から90%の範囲の反射率でも利用可能である。反射鏡3は、硝子基板21と反射膜22により構成される。本実施例では、反射膜22はほぼ100%の反射率としたが、30%以上あれば利用可能である。
【0021】
リニアステージ24及び25は、例えばステッピングモータにより反射鏡1及び反射鏡3の位置が移動できる機能を持つものである。
【0022】
次に、上記の構成により連続可変周波数の高繰り返しパルス列が発生する理由について、図1、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
【0023】
共振器1−1においては、半導体光増幅媒質4の電極9から電流注入を行うと、ある閾値電流以上で共振器長に相当するモード間隔でレーザ発振が起こる。このとき、電界吸収型光変調器5の電極14に、逆バイアス電圧と共に共振器1−1の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号を重畳すると、電界吸収型光変調器5を通過するレーザ光が強度変調される。この強度変調された光が共振器1−1内で往復することで、高周波電気信号に同期した光パルス列が生成される。
【0024】
共振器1−2においても同様に、電界吸収型光変調器5の電極14に、逆バイアス電圧と共に共振器1−2の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号を重畳すると、共振器1−2の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号に同期した光パルス列が生成される。
【0025】
ここで、共振器1−1の共振器長を8mm、電界吸収型光変調器5の電極14に印加する高周波電気信号を18.4GHz、共振器1−2の共振器長を13mm、電界吸収型光変調器5の電極14に印加する別の高周波電気信号を11.4GHzとした場合を例に挙げて、複合共振器1−3から発生する光パルス列の繰り返し周波数について説明を行う。
【0026】
図2には、各共振器で発生する縦モードの光周波数特性を示しており、横軸には光周波数、縦軸には光強度を取っている。共振器1−1では、縦モード間隔が18.4GHz、共振器1−2では、11.4GHz間隔と、各共振器長に対応した間隔で縦モードが発生する。そして、複合共振器1−3の効果によって、これらの縦モードをもつ光波が干渉する結果、縦モード位置が一致する1.0488THz間隔の光のみが強調され、複合共振器1−3からは、繰り返し周期1.0488THzの光パルス列が出力される。つまり、各共振器の共振周波数が低くても、複合共振器構成とすることで、高繰り返しの光パルスが生成できる。
【0027】
ここで、リニアステージ24,25により、共振器1−1及び1−2の共振器長を、その共振器1−1の共振器長と共振器1−2の共振器長の比を一定に保ったまま変化させるとともに、変化する共振器長の共振周波数に応じて重畳する高周波電気信号の周波数を変化させると、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を連続的に変化させることが可能となる。例えば、各共振器長を2倍とした場合、共振器1−1の共振器長は16mm、共振器1−2の共振器長は26mmとなる。この場合、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、9.2GHzと5.7GHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は、524.4GHzとなる。
【0028】
つぎに、各共振器長を20倍と非常に長くした場合、共振器1−1の共振器長は160mm、共振器1−2の共振器長は260mmとなる。この場合、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、それぞれ920MHzと570MHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は、52.44GHzとなる。この程度の寸法の共振器であれば、市販のステージを用いて容易に作製でき、さらに長い共振器でも、装置は大がかりとなるが実現可能である。
【0029】
逆に、各共振器長を0.5倍と短くした場合、共振器1−1の共振器長は4mm、共振器1−2の共振器長は6.5mmとなる。これらの共振器長は、半導体光増幅媒質4の光出射端面19及び電界吸収型光変調器5の光出射端面23から出射される光をコリメートするためのレンズの幅2mm、そのレンズのワーキングディスタンス0.3mm、半導体光増幅媒質4と電界吸収型光変調器5の光導波路長の和0.4mm等の、各共振器内に配置される部品の寸法を考えた場合、十分に実現可能な共振器長である。そして、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、36.8GHzと22.8GHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は2.0976THzとなる。
【0030】
図3は、横軸に複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を、縦軸に共振器長を、対数−対数プロットしたものである。繰り返し周波数と共振器長との関係が、対数−対数グラフで直線となっているのは、各共振器長をn倍とすると、繰り返し周波数は、1/nとなるからである。これにより、繰り返し周波数は連続的に変化できることがわかる。
【0031】
以上述べたような構成において、共振器1−1及び共振器1−2の長さの比を保ったまま、各共振器長を変化させることで、光パルス列の繰り返し周波数は50GHzから2THz程度まで連続的に変化させることができる。
【0032】
なお、本実施例では、反射鏡1〜3として誘電体多層膜20や硝子基板上に形成した反射膜17及び22を用いたが、半導体のブラッグ反射鏡でも、ファイバグレーティングでも構成できる。
【0033】
また、半導体光増幅媒質4として、InGaAsP多重量子井戸から成る活性層6を用いたが、GaAs/AlGaAsの量子井戸や、GaN/AlGaNの量子井戸の活性層でもよい。
【0034】
また、光透過率変調媒質として、電界吸収型光変調器5を用いたが、可飽和吸収体を逆バイアスで用いても良いし、リチウム酸ニオブ強度変調器で構成しても良いし、半導体光増幅媒質4の注入電流を変調して用いてもよい。後者の場合は半導体光増幅媒質4のみでレーザ発生と光強度変調を兼ねさせ、電界吸収方光変調器5を削除することができる。
【0035】
なお、第1の実施例を示す図1では、図面を省略するため、半導体光増幅媒質4の光出射端面19及び電界吸収型光変調器5の光出射端面23から出射される光をコリメートするためのレンズは省いている。
【0036】
[第2の実施例]
図4に、本発明にかかるパルス光源の第2の実施例を説明する概略図を示す。第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成とほぼ同じであるが、半導体光増幅媒質4の代わりに、YAG結晶4−2(光増幅媒質)を用い、電界吸収型光変調器5の代わりに、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2(光透過率変調媒質)を用いている。また、反射鏡2として、誘電体多層膜20の代わりに、硝子基板26と反射膜27と反射防止膜28とで構成される反射鏡2を用いている。さらに、この反射鏡2を動かすリニアステージ29が追加されている。ただし、半導体光増幅媒質4の代わりに用いているYAG結晶4−2は、電流注入による光増幅ができないので、外部の半導体レーザ30からの入力によって光励起する必要がある。
【0037】
ここで、共振器1−1の共振器長を55mm、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2に印加する高周波電気信号を1.07GHz、共振器1−2の共振器長を65mm、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2に印加する別の高周波電気信号を0.94GHzとした場合、複合共振器の効果により、複合共振器1−3からは、繰り返し周期100.58GHzの光パルス列が出力される。第1の実施例で述べたように、各共振器長を、比を一定に保ったまま変化させるとともに、変化する共振器長の共振周波数に応じて、重畳する高周波電気信号の周波数を変化させると、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を連続的に変化させることが可能となる。
【0038】
なお、第2の実施例を示す図4では、図面を省略するため、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2から出射される光をコリメートするためのレンズなどの光学部品は省いている。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパルス光源によれば、安定で高繰り返しの連続光パルスを発生でき、しかも繰り返し周波数を精度良く自由に変えることができ、実用的に非常に有用なパルス光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパルス光源の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】複合共振器の効果を説明する説明図である。
【図3】繰り返し周波数と共振器長との関係を示す特性図である。
【図4】本発明によるパルス光源の第2の実施例の構成を示す図である。
【図5】従来の周波数可変な光パルス光源の構成を示す図である。
【符号の説明】1−1:共振器、1−2:共振器、1−3:複合共振器、1:反射鏡、2:反射鏡、3:反射鏡、4:半導体光増幅媒質、5:電界吸収型光変調器、6:活性層、7:クラッド層、8:クラッド層、9:電極、10:電極、11:変調層、12:クラッド層、13:クラッド層、14:電極、15:電極、16:硝子基板、17:反射膜、18:反射防止膜、19:光出射端面、20:誘電体多層膜、21:硝子基板、22:反射膜、23:光出射端面、24:リニアステージ、25:リニアステージ、4−2:YAG結晶、5−2:リチウム酸ニオブ強度変調器、26:硝子基板:27:反射膜、28:反射防止膜、29:リニアステージ、30:半導体レーザ、41:レーザ、42:レーザ、43a,43b:光路、44a,44b:光路、45:偏波コントローラ、46:偏波コントローラ、47:光カプラ、48:光路、49:ビート光
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し周波数を変化させることができるパルス光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パルス光源は、光計測や光通信等、光の広帯域性を利用した様々な技術分野において非常に重要な役割を果たしている。特に近年、100GHzを超えるような高い繰り返し周波数の連続パルス列を発生するパルス光源は、超高速の光通信に用いる光源や光電変換素子と組み合わせたミリ波信号ソース等として利用されている。
【0003】
パルス光源の典型的なものとして、非常に短い光パルスを発生できるモード同期レーザがあるが、なかでも半導体モード同期レーザは、固体レーザや気体レーザを用いたモード同期レーザに比べ、高い繰り返しパルスが発生でき、小型でかつ安定性に優れるという利点をもっている。現在、数GHzから100GHz程度までの繰り返し周波数を持つ半導体モード同期レーザが報告されているが、通常、劈開等により半導体材料の一部を加工して反射鏡を形成するため、共振器長が固定され、繰り返し周波数を連続的に変えることができないという問題があった。例えば、非特許文献1,2がその例である。
【0004】
また、さらに高い繰り返し周波数を得るため、半導体レーザの共振器の内部に溝等を作ることによって第3の反射鏡を設け、複合共振器効果を利用するという試みもなされている(非特許文献3)。この複合共振器効果とは、複数の共振器で発生する縦モードどうしの干渉によって、縦モード間隔の広い光を生成するものである。このような構成を採用することにより高繰り返し周波数を実現することが可能であるが、この場合もやはり、半導体材料の一部を加工して反射鏡を形成しているため、繰り返し周波数を変えることができないという問題があった。
【0005】
従来、繰り返し周波数を自由に変化させることができるパルス光源として図5に示すようなビート光源がある。これは、2つの発振波長の違うレーザ41とレーザ42の出力光を、カプラ47で合波させ、光路48からビート光49を発生させるものである。この際、レーザ41、光路43a、偏波コントローラ45、光路43bを通して出射する光の偏波面と、レーザ42、光路44a、偏波コントローラ46、光路44bを通して出射する光の偏波面とが一致するように偏波コントローラ45,46で偏波面を調整してやる必要がある。
【0006】
この方法では、各レーザ41,42の発振波長を制御することによって、ビート光49の周波数を変化させているが、波長を可変にしながらその絶対値を正確に制御することが難しいため、周波数のチューナビリティーを保ちながら繰り返し周波数を正確に制御することが困難である。また、ビート光49の一部を光電変換して電気領域で参照信号と比較し、フィードバックすることによって繰り返し周波数を制御することができるが、この方法では繰り返し周波数の最大値が電気部品の帯域で制限されてしまうという問題がある。また、光源装置自体が大掛かりとなってしまうという問題もある。
【0007】
さらに、非特許文献4に見られるような、半導体モード同期レーザの反射鏡の1つを外部反射鏡に置き換えた構成をもつ光源を用いる方法もある。この構成の光源では、外部反射鏡を動かして共振器長を変えることで、繰り返し周波数可変の光パルス列を生成できる。しかし、共振器長に対応した基本共振周波数の光パルス列を生成する場合、使用する光学部品等の寸法によって共振器長が制限されるため、繰り返し周波数は40GHz程度が上限であった。また、基本共振周波数の整数倍の電気信号で同期することにより、80GHz程度までの繰り返しのパルス列を生成できるが、エレクトロニクスの制限により、100GHzを超える高繰り返しの光パルス列を生成するのは困難であった。
【0008】
【非特許文献1】ハンセンPB、レイボンG、コレンU、ミラーBI、ヤングMG、シエンM、バルスCA、アルファネスRC著、「アクティブモードロッキング用の集積ブラッグ反射鏡を含む5.5mm長InGaAsモノリシック拡張キャビティレーザ」、IEEE、光技術、第4巻8、1992年3月、215−217頁(”5.5nm Long InGaAsP Monolithic Extended−Cavity Laser with an Integrated Bragg−Reflector for Active Mode−Locking”, Hansen,P.B.,Raybon,G.,Koren,U.,Miler,B.I.,Young,M.G.,Chien,M.,Burrus,C.A.,Alferness,R.C.,IEEE Photon. Technol.)。
【0009】
【非特許文献2】サトウK、コタカI、ヒラノA、アソベM、ミヤモトY、シミズN、ハギモトK著、「電界吸収変調器が集積されたモードロックドレーザを使用した102GHzにおける高繰り返し周波数パルス発生」、エレクトロニクス レター、第34巻8、1998年4月16日、790−792頁(”High−repetition frequency pulse generation at 102GHz using modelocked lasers integrated with electroabsorption modulators”,Sato,K.,Kotaka,I.,Hirano,A.,Asobe,M.,Miyamoto,Y.,Shimizu,N.,Hagimoto,K.,Electron. Lett.,vol.34,8,16 April 1998, pp. 790−792.)。
【0010】
【非特許文献3】ヤンソンDA、ストリートMW、マクドガルSD、タニーIG、マーシュJH、アブラチンEA著、「フォトニックバンドギャップ反射鏡を用いたモノリシック複合キャビティレーザダイオードの超高速ハーモニックモードロック」、IEEE J、クァンタム エレクトロニクス レター、第38巻1、2002年1月1日、1−11頁(”Ultrafast Harmonic Mode−Locking of Monolithic Compound−Cavity Laser Diodes Incorporating Photonic−Bandgap Reflectors”, Yanson,D.A.,Street,M.W.,McDougall,S.D.,Thayne,I.G.,Marsh,J.H.,Avrutin,E.A.,IEEE J. Quantumn Electron.Lett.,vo1.38,1,1 Jan. 2002, pp.1−11.)。
【0011】
【非特許文献4】ハシモトY、ヤマダH、クリバヤシR、ヨコヤマ著、「高安定外部キャビティモードロック半導体レーザモジュールによる40GHzチューナブル光パルス発生」、OFC、2002年、WV5、342−343頁(”40−GHz Tunable Optical Pulse Generation from a Highly−Stable External−Cavity Mode−Locked Semiconductor Laser Module” ,Hashimoto,Y.,Yamada,H.,Kuribayashi,R.,Yokoyama, OFC 2002, WV5, pp. 342−343.)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のパルス光源技術では、安定で高い周波数まで精度良く繰り返し周波数を変えることができるパルス光源を実現することが難しかった。
【0013】
本発明の目的は、従来の技術では実現することが難しかった、100GHzから数THzの繰り返し周波数を精度良く制御できるようにした可変周波数のパルス光源を提供することである。
【0014】
【発明を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、第1の反射鏡と第2の反射鏡とからなる第1の共振器と、前記第2の反射鏡の前記第1の反射鏡と反対側に配置された第3の反射鏡と前記第1の反射鏡とからなる第2の共振器と、前記第1の共振器と前記第2の共振器の内部に共有される光増幅媒質と、前記第1の共振器あるいは前記第2の共振器の少なくとも一方の内部に配置された光透過率変調媒質と、前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を連動して変化させる共振長変化手段とを具備し、前記第1の共振器、第2の共振器及び前記光増幅媒質は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器内を伝搬する光が少なくとも前記光増幅媒質内の一部で偏波面と光軸が一致するようにが配置されていることを特徴とするパルス光源とした。
【0015】
請求項2にかかる発明、請求項1に記載のパルス光源において、前記共振長変化手段は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を、その比を一定に保持して変化させることを特徴とするパルス光源とした。
【0016】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のパルス光源において、前記光透過率変調媒質は、前記第1の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号と、前記第2の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号とが重畳されて印加されるようにしたことを特徴とするパルス光源とした。
【0017】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載のパルス光源において、前記光透過率変調媒質を前記光増幅媒質で兼ねさせ、前記光増幅媒質に注入する電流により変調を行うようにしたことを特徴とするパルス光源とした。
【0018】
【発明の実施の形態】
[第1の実施例]
図1に、本発明にかかるパルス光源の第1の実施例を説明する概略図を示す。同図において、反射鏡1と反射鏡2とで形成される共振器1−1(第1の共振器)と反射鏡1と反射鏡3とで形成される共振器1−2(第2の共振器)とが、複合共振器1−3を構成している。また、複合共振器1−3内には、半導体光増幅媒質4(光増幅媒質)と電界吸収型光変調器5(光透過率変調媒質)とが配置されている。反射鏡1及び反射鏡3は、それぞれリニアステージ24及び25(共振長変化手段)により位置を移動できるようになっており、これにより、共振器1−1及び共振器1−2の共振器長を変化させることができる。共振器1−1、共振器1−2、及び半導体光増幅媒質4は、共振器1−1及び共振器1−2内を伝搬する光が少なくとも半導体光増幅媒質4内の一部で偏波面と光軸が一致するように配置されている。なお、電界吸収型光変調器5は共振器1−1あるいは共振器1−2の少なくとも一方の内部に配置されていればよい。
【0019】
半導体光増幅媒質4は、InGaAsP多重量子井戸から成る活性層6と、その上下のクラッド層7及び8と、それらを挟む上下の電極9及び10で構成されている。同様に、電界吸収型光変調器5は、InGaAsP多重量子井戸からなる変調層11と、その上下のクラッド層12及び13と、それらを挟む電極14及び15で構成されている。半導体光増幅媒質4の光導波方向の長さは300μm、電界吸収型光変調器5の光導波方向の長さは100μmとなっている。
【0020】
反射鏡1は、硝子基板16と反射膜17と反射防止膜18とで構成される。反射膜17の反射率は、反射膜の材料及び厚みなどの設計パラメータにより、自由に設定可能であり、ここでは、30%としたが、10〜90%の範囲内の反射率でも利用可能である。反射鏡2は、半導体光増幅媒質4の光出射端面19上の誘電体多層膜20で構成される。誘電体多層膜20の反射率は、ここでは10%としたが、5%から90%の範囲の反射率でも利用可能である。反射鏡3は、硝子基板21と反射膜22により構成される。本実施例では、反射膜22はほぼ100%の反射率としたが、30%以上あれば利用可能である。
【0021】
リニアステージ24及び25は、例えばステッピングモータにより反射鏡1及び反射鏡3の位置が移動できる機能を持つものである。
【0022】
次に、上記の構成により連続可変周波数の高繰り返しパルス列が発生する理由について、図1、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
【0023】
共振器1−1においては、半導体光増幅媒質4の電極9から電流注入を行うと、ある閾値電流以上で共振器長に相当するモード間隔でレーザ発振が起こる。このとき、電界吸収型光変調器5の電極14に、逆バイアス電圧と共に共振器1−1の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号を重畳すると、電界吸収型光変調器5を通過するレーザ光が強度変調される。この強度変調された光が共振器1−1内で往復することで、高周波電気信号に同期した光パルス列が生成される。
【0024】
共振器1−2においても同様に、電界吸収型光変調器5の電極14に、逆バイアス電圧と共に共振器1−2の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号を重畳すると、共振器1−2の共振器長に相当する共振周波数の高周波電気信号に同期した光パルス列が生成される。
【0025】
ここで、共振器1−1の共振器長を8mm、電界吸収型光変調器5の電極14に印加する高周波電気信号を18.4GHz、共振器1−2の共振器長を13mm、電界吸収型光変調器5の電極14に印加する別の高周波電気信号を11.4GHzとした場合を例に挙げて、複合共振器1−3から発生する光パルス列の繰り返し周波数について説明を行う。
【0026】
図2には、各共振器で発生する縦モードの光周波数特性を示しており、横軸には光周波数、縦軸には光強度を取っている。共振器1−1では、縦モード間隔が18.4GHz、共振器1−2では、11.4GHz間隔と、各共振器長に対応した間隔で縦モードが発生する。そして、複合共振器1−3の効果によって、これらの縦モードをもつ光波が干渉する結果、縦モード位置が一致する1.0488THz間隔の光のみが強調され、複合共振器1−3からは、繰り返し周期1.0488THzの光パルス列が出力される。つまり、各共振器の共振周波数が低くても、複合共振器構成とすることで、高繰り返しの光パルスが生成できる。
【0027】
ここで、リニアステージ24,25により、共振器1−1及び1−2の共振器長を、その共振器1−1の共振器長と共振器1−2の共振器長の比を一定に保ったまま変化させるとともに、変化する共振器長の共振周波数に応じて重畳する高周波電気信号の周波数を変化させると、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を連続的に変化させることが可能となる。例えば、各共振器長を2倍とした場合、共振器1−1の共振器長は16mm、共振器1−2の共振器長は26mmとなる。この場合、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、9.2GHzと5.7GHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は、524.4GHzとなる。
【0028】
つぎに、各共振器長を20倍と非常に長くした場合、共振器1−1の共振器長は160mm、共振器1−2の共振器長は260mmとなる。この場合、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、それぞれ920MHzと570MHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は、52.44GHzとなる。この程度の寸法の共振器であれば、市販のステージを用いて容易に作製でき、さらに長い共振器でも、装置は大がかりとなるが実現可能である。
【0029】
逆に、各共振器長を0.5倍と短くした場合、共振器1−1の共振器長は4mm、共振器1−2の共振器長は6.5mmとなる。これらの共振器長は、半導体光増幅媒質4の光出射端面19及び電界吸収型光変調器5の光出射端面23から出射される光をコリメートするためのレンズの幅2mm、そのレンズのワーキングディスタンス0.3mm、半導体光増幅媒質4と電界吸収型光変調器5の光導波路長の和0.4mm等の、各共振器内に配置される部品の寸法を考えた場合、十分に実現可能な共振器長である。そして、共振器1−1及び共振器1−2の縦モード間隔は、36.8GHzと22.8GHzとなって、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数は2.0976THzとなる。
【0030】
図3は、横軸に複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を、縦軸に共振器長を、対数−対数プロットしたものである。繰り返し周波数と共振器長との関係が、対数−対数グラフで直線となっているのは、各共振器長をn倍とすると、繰り返し周波数は、1/nとなるからである。これにより、繰り返し周波数は連続的に変化できることがわかる。
【0031】
以上述べたような構成において、共振器1−1及び共振器1−2の長さの比を保ったまま、各共振器長を変化させることで、光パルス列の繰り返し周波数は50GHzから2THz程度まで連続的に変化させることができる。
【0032】
なお、本実施例では、反射鏡1〜3として誘電体多層膜20や硝子基板上に形成した反射膜17及び22を用いたが、半導体のブラッグ反射鏡でも、ファイバグレーティングでも構成できる。
【0033】
また、半導体光増幅媒質4として、InGaAsP多重量子井戸から成る活性層6を用いたが、GaAs/AlGaAsの量子井戸や、GaN/AlGaNの量子井戸の活性層でもよい。
【0034】
また、光透過率変調媒質として、電界吸収型光変調器5を用いたが、可飽和吸収体を逆バイアスで用いても良いし、リチウム酸ニオブ強度変調器で構成しても良いし、半導体光増幅媒質4の注入電流を変調して用いてもよい。後者の場合は半導体光増幅媒質4のみでレーザ発生と光強度変調を兼ねさせ、電界吸収方光変調器5を削除することができる。
【0035】
なお、第1の実施例を示す図1では、図面を省略するため、半導体光増幅媒質4の光出射端面19及び電界吸収型光変調器5の光出射端面23から出射される光をコリメートするためのレンズは省いている。
【0036】
[第2の実施例]
図4に、本発明にかかるパルス光源の第2の実施例を説明する概略図を示す。第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成とほぼ同じであるが、半導体光増幅媒質4の代わりに、YAG結晶4−2(光増幅媒質)を用い、電界吸収型光変調器5の代わりに、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2(光透過率変調媒質)を用いている。また、反射鏡2として、誘電体多層膜20の代わりに、硝子基板26と反射膜27と反射防止膜28とで構成される反射鏡2を用いている。さらに、この反射鏡2を動かすリニアステージ29が追加されている。ただし、半導体光増幅媒質4の代わりに用いているYAG結晶4−2は、電流注入による光増幅ができないので、外部の半導体レーザ30からの入力によって光励起する必要がある。
【0037】
ここで、共振器1−1の共振器長を55mm、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2に印加する高周波電気信号を1.07GHz、共振器1−2の共振器長を65mm、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2に印加する別の高周波電気信号を0.94GHzとした場合、複合共振器の効果により、複合共振器1−3からは、繰り返し周期100.58GHzの光パルス列が出力される。第1の実施例で述べたように、各共振器長を、比を一定に保ったまま変化させるとともに、変化する共振器長の共振周波数に応じて、重畳する高周波電気信号の周波数を変化させると、複合共振器1−3で生成される光パルス列の繰り返し周波数を連続的に変化させることが可能となる。
【0038】
なお、第2の実施例を示す図4では、図面を省略するため、リチウム酸ニオブ強度変調器5−2から出射される光をコリメートするためのレンズなどの光学部品は省いている。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパルス光源によれば、安定で高繰り返しの連続光パルスを発生でき、しかも繰り返し周波数を精度良く自由に変えることができ、実用的に非常に有用なパルス光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパルス光源の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】複合共振器の効果を説明する説明図である。
【図3】繰り返し周波数と共振器長との関係を示す特性図である。
【図4】本発明によるパルス光源の第2の実施例の構成を示す図である。
【図5】従来の周波数可変な光パルス光源の構成を示す図である。
【符号の説明】1−1:共振器、1−2:共振器、1−3:複合共振器、1:反射鏡、2:反射鏡、3:反射鏡、4:半導体光増幅媒質、5:電界吸収型光変調器、6:活性層、7:クラッド層、8:クラッド層、9:電極、10:電極、11:変調層、12:クラッド層、13:クラッド層、14:電極、15:電極、16:硝子基板、17:反射膜、18:反射防止膜、19:光出射端面、20:誘電体多層膜、21:硝子基板、22:反射膜、23:光出射端面、24:リニアステージ、25:リニアステージ、4−2:YAG結晶、5−2:リチウム酸ニオブ強度変調器、26:硝子基板:27:反射膜、28:反射防止膜、29:リニアステージ、30:半導体レーザ、41:レーザ、42:レーザ、43a,43b:光路、44a,44b:光路、45:偏波コントローラ、46:偏波コントローラ、47:光カプラ、48:光路、49:ビート光
Claims (4)
- 第1の反射鏡と第2の反射鏡とからなる第1の共振器と、
前記第2の反射鏡の前記第1の反射鏡と反対側に配置された第3の反射鏡と前記第1の反射鏡とからなる第2の共振器と、
前記第1の共振器と前記第2の共振器の内部に共有される光増幅媒質と、
前記第1の共振器あるいは前記第2の共振器の少なくとも一方の内部に配置された光透過率変調媒質と、
前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を連動して変化させる共振長変化手段と、を具備し、
前記第1の共振器、第2の共振器及び前記光増幅媒質は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器内を伝搬する光が少なくとも前記光増幅媒質内の一部で偏波面と光軸が一致するようにが配置されている、
ことを特徴とするパルス光源。 - 請求項1に記載のパルス光源において、
前記共振長変化手段は、前記第1の共振器及び前記第2の共振器の共振長を、その比を一定に保持して変化させることを特徴とするパルス光源。 - 請求項1又は2に記載のパルス光源において、
前記光透過率変調媒質は、前記第1の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号と、前記第2の共振器の共振器長に相当する共振周波数の電気信号とが重畳されて印加されるようにしたことを特徴とするパルス光源。 - 請求項1、2又は3に記載のパルス光源において、
前記光透過率変調媒質を前記光増幅媒質で兼ねさせ、前記光増幅媒質に注入する電流により変調を行うようにしたことを特徴とするパルス光源。
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2003
- 2003-06-06 JP JP2003161575A patent/JP2004363419A/ja not_active Withdrawn
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