JP2004363245A - 紫外線レーザ装置 - Google Patents

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Takanobu Ishihara
孝信 石原
Akira Sumiya
明 住谷
Osamu Wakabayashi
理 若林
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Abstract

【課題】キセノンガス等の添加ガス濃度の変化を少なくして、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の出力エネルギーを高エネルギーに維持し、且つ安定させる。
【解決手段】レーザガス及び添加ガスを封入するケース手段(レーザチャンバ11、フィルタケース30)の内壁及びケース手段11、30内の部品のうちレーザガスと接触する表面にフッ化不動態処理を施しフッ化不動態膜を形成する。フッ化不動態膜の形成領域の割合は、レーザ発振が開始されてから所定期間、添加ガス濃度の低下を防止できる程度である。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザチャンバ等のケース内に所定濃度の添加ガスが添加されたレーザガスを封入し、レーザガスを励起してレーザ発振する紫外線レーザ装置に関し、特に添加ガス濃度の低下を防止して高出力エネルギーを実現し、また出力を安定化させるものに関する。
【0002】
【従来技術】
紫外線レーザ、例えばArFエキシマレーザやFレーザは半導体の露光用光源として使用される。半導体の露光においては、露光量の正確な制御が求められており、紫外線レーザから出力されるレーザ光の出力エネルギーが低下することは望ましくない。また、スループットの向上のために出力エネルギーの増加が望まれている。
【0003】
紫外線レーザの出力エネルギーは、レーザチャンバ内に発生する不純物、例えばSiF、CF、HF等のフッ化物、又は大気リークを原因としてレーザチャンバ内に混入するN、O等により大きく低下する。上記不純物や混入ガスによる影響は、ArFエキシマレーザではKrFエキシマレーザの5倍以上ある。また、Fレーザの場合も同等の影響がある。よって、大気リークを最小限にとどめるとともに、上記フッ化物の発生を抑制することが、出力エネルギーの低下を防止するために必要である。
【0004】
上記フッ化物のうちSiFは、絶縁材に用いられるアルミナセラミックスから発生する。そこで、下記特許文献1及び2には、Si化合物含有量の少ない99.5%以上の高純度アルミナセラミックスを使用することでSiFを低減させる技術が開示されている。また、下記特許文献3及び4のように、アルミナセラミックスに高純度の絶縁材をコーティングすることでSiFの発生を抑制する方法も開示されている。
【0005】
また、フッ化物はレーザチャンバ内の各種部品の表面がレーザチャンバ内のフッ素ガスと反応して発生する。下記特許文献5には、このようなフッ化物を抑制するために、レーザチャンバの内壁面とレーザチャンバ内部の部品、例えば貫流ファン、熱交換器等の表面にアルミナ膜又はフッ化不働態膜を形成する技術が開示されている。
【0006】
このように、紫外線レーザにおいて出力エネルギーの低下を防止する試みがなされると共に、出力エネルギーを増加させる試みもなされている。
【0007】
下記特許文献6には、レーザガスに所定濃度の添加ガスを添加することによって出力エネルギーを増加させる技術が開示されている。この技術によれば、例えば、ArFエキシマレーザにおいて、レーザ媒質ガスとネオンガス又はヘリウムガス等のバッファガスとからなるレーザガスを封入したレーザチャンバ内に、10ppm程度のキセノンガスを添加すると、出力エネルギーが増加するとされ、さらに、レーザチャンバ内のキセノンガス濃度を数ppmから数十ppmの間の値に保つことが好ましいとされている。その理由として、キセノンガス濃度が数ppm以下では出力エネルギーの増加率が顕著でなく、100ppmを超えると出力エネルギーの増加率が次第に低下していき、200ppmを超えるとキセノンガスを全く添加しない場合よりも出力エネルギーが低下するためである。さらに、キセノンガスの微量添加は、出力エネルギーの安定性向上(ばらつき抑制)にもすぐれた効果がある。
【0008】
なお、添加ガスをキセノンガスにするのではなく、キセノン化合物ガス、酸素ガス、又は酸素化合物ガス等にすることによっても同様の効果が見られる。添加ガスを酸素ガスにすることによって出力エネルギーを増加させる技術は下記特許文献7で開示されている。また、Fレーザにおいても上記添加ガスによって出力エネルギーが増加する。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−169119号公報
【特許文献2】
特開平5−075182号公報
【特許文献3】
特開平4−287986号公報
【特許文献4】
特開2000−40846号公報
【特許文献5】
特開平9−298329号公報
【特許文献6】
特開2000−294856号公報
【特許文献7】
米国特許第5307364号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
紫外線レーザを半導体露光用として使用するためには、出力エネルギーを正確に制御する必要がある。出力エネルギーはレーザチャンバ内に封入される各種ガスの濃度に影響されるため、ガス濃度の制御は重要である。しかし、例えば上記特許文献6のようにレーザチャンバ内にキセノンガスを微量添加した場合、キセノンガスは希ガスであり化学的に安定であるにもかかわらず、レーザチャンバ内のキセノンガス濃度が安定しないことを本発明者は発見した。以下でその現象を本発明者が行った実験の結果を用いて説明する。
【0011】
図5は時間経過に伴うキセノンガス濃度の変化を示す図である。
図5は、レーザ発振条件を指令電圧21kV、繰り返し周波数500Hz程度とした場合の結果である。なお、本発明者はキセノンガス濃度の計測をガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて行っている。
【0012】
図5に示す結果によれば、当初8ppm程度あったキセノンガス濃度が、放電開始の数分後には2ppm以下に減少していることが分かる。図示はしないが、さらにレーザ発振が継続されるとキセノンガス濃度は減少から増加に転じ、やがてある一定濃度に落ち着く現象も発見された。
【0013】
所定時間放電後にレーザチャンバ内のガスを一旦排気し、新規にレーザガスを封入し、キセノンガスを添加するという一連のレーザガス交換操作を繰り返し行ったところ、繰り返しの初期段階においては、放電開始後に図5と同様のキセノンガス濃度の減少が見られた。しかし、その減少の割合は徐々に少なくなり、やがて減少がほとんど見られなくなった。
【0014】
このようなことから、レーザチャンバ内のキセノンガス濃度の減少について、本発明者は、レーザチャンバ内に含有されるキセノンガスが放電中に活性化され、このキセノンガスとレーザチャンバの内壁面及びレーザチャンバ内に収容される各種部品の表面(以下、チャンバ内壁面等という)とが反応するため、キセノンガスがチャンバ内壁面等に蓄積されたものと推定している。また、レーザチャンバ内のキセノンガス濃度の増加について、本発明者は、チャンバ内壁面等に蓄積されたキセノンが脱離したためと推定している。
【0015】
キセノンガス濃度は時間経過の他に、発振デューティの変化に応じても変化する。半導体露光装置では、露光とステージ移動を交互に繰り返して半導体ウェハの露光が行われる。このため、紫外線レーザでは、レーザ光を所定回数連続してパルス発振させる連続パルス発振とパルス発振を休止する発振休止とを繰り返す所謂バーストモード運転が行われる。発振デューティとはこの連続パルス発振時間と発振休止時間との比である。
【0016】
図6は発振デューティとキセノンガス濃度及び出力エネルギーとの相関を示す図である。
図6は、一連のレーザガス交換操作を繰り返し、キセノンガス濃度が一定濃度に落ち着いた状態から発振デューティを変化させることによって得られた結果である。
【0017】
図6に示す結果によれば、発振デューティを上げるとレーザチャンバ内のキセノンガス濃度が増加し、出力エネルギーが減少していることが分かる。本発明者はこの現象から、発振デューティを下げるとキセノンガスがチャンバ内壁面等に蓄積されるためキセノンガス濃度が減少し、発振デューティを上げるとチャンバ内壁面等に蓄積されたキセノンが脱離するためキセノンガス濃度が増加すると推定している。また、キセノンガス濃度が変化するため出力エネルギーも変化すると考えられる。
【0018】
半導体露光用の紫外線レーザでは、半導体露光中に発振デューティが変更されて出力エネルギーのレベルが調整制御されるため、図6に示すように、発振デューティの変化によって出力エネルギーが変化するとなると、露光量の正確な制御を妨げるおそれがある。
【0019】
以上で述べたように、レーザチャンバ内のレーザガスに数ppmから数十ppm程度のキセノンガスを添加することによって出力エネルギーが増加するが、レーザチャンバ内のキセノンガス濃度を数ppmから数十ppmという範囲内に維持すること自体が困難であり、結果として露光量の正確な制御が困難であった
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、キセノンガス等の添加ガス濃度の変化を少なくして、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の出力エネルギーを高エネルギーに維持し、且つ安定させることを解決課題とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記課題を解決するため、本発明の第1発明は、
レーザ出力エネルギーを上昇させ且つ安定させる程度の濃度のキセノンガス又はキセノン化合物ガス又は酸素ガス又は酸素化合物ガスのうち少なくとも一つが添加ガスとして添加されたレーザガスを封入し且つ複数の部品を収容するケース手段11、30を備え、前記レーザガスを励起してレーザ発振する紫外線レーザ装置において、
前記ケース手段11、30の内壁及び前記部品のうち前記レーザガスと接触する表面にフッ化不動態処理を施してフッ化不動態膜を形成し、
また前記表面のうちフッ化不動態膜の形成領域の割合を、レーザ発振が開始されてから所定期間、前記レーザガス中の添加ガス濃度を略一定に維持できる程度にすること
を特徴とする。
【0021】
図2〜図4を用いて第1発明を説明する。
【0022】
図2で示すように、ケース手段(レーザチャンバ11、フィルタケース30)には、種々の部品が収容されると共に、レーザガスが封入される。レーザチャンバ11内に対向して設けられた主放電電極25a、25b間で放電を発生させるとレーザガスが励起され、レーザ光が出力される。さらに、ケース手段11、30内のレーザガスに、所定濃度のキセノンガス又はキセノン化合物ガス又は酸素ガス又は酸素化合物ガスのうち少なくとも一つが添加ガスとして適量、例えば0ppm〜100ppm程度で望ましくは10ppm前後、添加されると、レーザ光の出力エネルギーが増加し且つ安定する。しかし、通常はレーザ発振を開始すると、レーザガス中の添加ガス濃度が減少し、出力エネルギーが減少し且つ不安定になる。
【0023】
そこで、ケース手段11、30の内壁及びケース手段11、30内の部品のうちレーザガスと接触する表面にフッ化不動態処理を施しフッ化不動態膜を形成する。フッ化不動態膜によって添加ガスが各表面に蓄積されることを防止できる。
【0024】
図3で示すように、レーザガスと接触する表面のうちフッ化不動態膜の形成領域の割合が少ないと、添加ガス濃度の減少を防止することができない。したがって、フッ化不動態膜の形成領域の割合を、レーザ発振が開始されてから所定期間、添加ガス濃度の低下を防止できる程度にする。なお、図3にはその割合を約99%にした結果が示されているが、これに限るものではない。
【0025】
さらに、図4で示すように、フッ化不動態膜を形成することによって、発振デューティが変化しても添加ガス濃度はほとんど変化せず、ほぼ一定の値を保つ。
【0026】
第1発明によれば、フッ化不動態膜によって添加ガス濃度の減少を防止できる。したがって、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の出力エネルギーを高エネルギーに維持することができ、且つ安定させることができる。
【0027】
また、第2発明は、第1発明において、
前記レーザガスは、少なくともアルゴンガスとネオンガスとフッ素ガスとを含むこと
を特徴とする。
【0028】
第2発明は、第1発明をArFエキシマレーザに適用するものである。
【0029】
また、第3発明は、第1発明において、
レーザであって、前記レーザガスは、少なくともフッ素ガスとヘリウムガスの混合ガス、フッ素ガスとネオンガスの混合ガス、フッ素ガスとヘリウムガスとネオンガスの混合ガスのうちの一つであること
を特徴とする。
【0030】
第3発明は、第1発明をFレーザに適用するものである。
【0031】
ArFエキシマレーザやFレーザは添加ガスの効果が顕著であるため、ケース手段11、30の内壁やケース手段11、30内の部品の表面にフッ化不動態膜を形成することによる効果が大きい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0033】
図1は本実施形態に係る紫外線レーザ装置の構成図である。
紫外線レーザ装置10は、対向する一対の主放電電極25a、25bを有すると共にレーザガスと添加ガス等を封入するレーザチャンバ11と、レーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化するための狭帯域ボックス12と、出力エネルギー及びその波長等を測定するモニタモジュール13と、レーザチャンバ11内の電極に電圧を印加する高圧電源14と、レーザチャンバ11内のレーザガスを排気し、新規レーザガスを供給するレーザチャンバ吸排気モジュール15と、全体の制御を行うコントローラ16等と、で構成されている。
【0034】
また、レーザチャンバ11の前後部には、主放電電極25a、25bの長手方向延長上にウィンドウホルダ17a、17bが取り付けられており、ウィンドウホルダ17a、17bの端部には、フロント及びリアのウィンドウがそれぞれ取り付けられている。ウィンドウホルダ17aの前方にはフロントミラー18が配置されており、さらにその前方にはモニタモジュール13が配置されている。ウィンドウホルダ17bの後方には狭帯域ボックス12が配置されている。
【0035】
図2はレーザチャンバの断面図である。図2は主放電電極の長手方向に垂直な断面の模式図を示す。
レーザチャンバ11は、レーザチャンバ上ケース20及びレーザチャンバ下ケース21とが組み合わされて構成される。レーザチャンバ上ケース20の側面であって主放電電極25a、25bの長手方向の略中央には内壁側から外壁側に貫通するフィルタ吸込口が設けられており、レーザチャンバ上ケース20の側面であって主放電電極25a、25bの長手方向の略両端には内壁側から外壁側に貫通するフィルタ吐出口が設けられている。レーザチャンバ上ケース20の外壁側面にはフィルタケース30が取り付けられる。フィルタケース30には開口が設けられており、この開口とレーザチャンバ上ケース20のフィルタ吸込口及びフィルタ吐出口が接続される。よって、レーザチャンバ11内部とフィルタケース30内部とは連通しており、レーザチャンバ11及びフィルタケース30によってレーザガスは封入される。
【0036】
主放電電極25aは例えばアルミナセラミックス等の絶縁体23に固定されており、主放電電極25bは電極ホルダ24に固定されている。絶縁体23はレーザチャンバ上ケース20に取り付けられている。レーザチャンバ上ケース20の内壁にはリターンプレート26が取り付けられており、主放電電極25a、25bが対向するように、電極ホルダ24がリターンプレート26に取り付けられている。
【0037】
また、レーザチャンバ11の内部には、レーザガスをレーザチャンバ11内で循環させて主放電電極25a、25b間に送り込む貫流ファン27と、レーザチャンバ11内を貫流するレーザガスを主放電電極25a、25b間に案内するガス流路ガイド28aと、主放電電極25a、25b間を通過したレーザガスを熱交換器29に案内するガス流路ガイド28bと、主放電電極25a、25b間で熱せられたレーザガスを冷却する熱交換器29とが、それぞれ設けられている。
【0038】
フィルタケース30の内部にはフィルタエレメント31が内蔵されている。レーザチャンバ11内のレーザガスには、主放電電極25a、25bの消耗によって発生した微小なダストが含まれる。レーザガスは、フィルタ吸込口からフィルタケース30に吸い込まれ、フィルタエレメント31でダストを捕捉され、フィルタ吐出口から再びレーザチャンバ11内に吐き出される。
【0039】
本発明者は、上記構成の紫外線レーザ装置10において、レーザチャンバ11及びフィルタケース30の内壁面とレーザチャンバ11及びフィルタケース30内に収容される各部品のうち、レーザガスと接触する表面にフッ化不動態処理を施しフッ化不動態膜を形成した。なお、レーザガスと接触する各部品の全表面のうち、フッ化不動態膜を形成する表面の割合を約99%とした。
【0040】
なお、本実施形態でいうフッ化不動態膜とは、フッ化不動態処理を施して形成したものをいう。また、フッ化不動態処理とは、部品をフッ素雰囲気中で熱処理して、その表面にある程度の膜厚を有するフッ化不動態膜を形成する処理のことをいう。通常、レーザガスにフッ素ガスが含有されていると、レーザチャンバ内の各部品表面にはフッ化膜が形成される。また、レーザ発振と共に同様のフッ化膜が形成される。しかし、このようにして形成されるフッ化膜は膜厚が薄く(10nm程度)且つポーラス状である。ポーラス状のフッ化膜ではキセノン濃度の低下を防止できない。こうしたフッ化膜と本実施形態で形成するフッ化不動態膜とは異なるものである。
【0041】
レーザチャンバ内で使用される部品の材質は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、アルミナセラミックスである。これらの材質の違いに応じて異なる方法でフッ化不動態処理を施した。アルミニウム部品には耐食性と表面硬度アップのためニッケル無電解めっきを施し、その後フッ化不動態処理を施した。ニッケル及びステンレス部品には直にフッ化不動態処理を施した。アルミナセラミックス部品には純度99.5%以上の高純度の部材を使用し、直にフッ化不動態処理を施した。
【0042】
フッ化処理反応温度は250℃から700℃の間とした。フッ化不動態膜厚は処理時間を適宜変えて調節できるが、今回形成したフッ化不動態処理膜の膜厚は数百nm程度とした。低融点金属のアルミナセラミックスは低温側でフッ化不動態処理を行い、その他については高温側でフッ化不動態処理を行い、その他については中間温度でフッ化不動態処理を行った。
【0043】
そして、レーザチャンバ11を組み立てた後、リークチェックを行い、リークが許容範囲内であることを確認してから、窒素パージ、真空引き、ヘリウムガスまたはフッ素とヘリウムの混合ガスをレーザチャンバ11内に封入して放電を数回行い、レーザチャンバ11のパシベーションを行った。
【0044】
その後、レーザチャンバ11内にアルゴンガス、フッ素ガス、ネオンガスからなるレーザガスを充填し、さらにレーザチャンバ11内にキセノンガスを添加した。この際、全圧を3000hPaとし、それらのガス分圧比をAr:F:Xe:Ne=3.5%:0.1%:9ppm:残部、とした。そして、指令電圧21kV、繰り返し周波数500Hz程度としてレーザ発振を行いつつ計測を行った。図3、図4でその結果を示す。
【0045】
図3は時間経過に伴うキセノン濃度の変化を示す図である。
図3には、上述したようにレーザガスと接触する各部品の全表面のうち、フッ化不動態膜の形成領域を約99%とした場合の計測結果(曲線A)が示されると共に、比較対象として、フッ化不動態膜の形成領域を約40%とした場合の計測結果(曲線B)と、フッ化不動態膜の形成領域を0%とした場合の計測結果(曲線C)が示されている。
【0046】
図3の曲線Aで示すように、フッ化不動態膜の形成領域が約99%の場合、キセノンガス濃度は放電を開始した後もほとんど減少していない。一方、図3の曲線Bで示すように、フッ化不動態膜の形成領域が約40%である場合、また図3の曲線Cで示すように、フッ化不動態膜の形成領域が0%である場合、キセノンガス濃度は放電を開始すると共に減少している。曲線BとCは同じ傾向で減少していることから、レーザガスと接触する各部品の全表面のうち、約40%にフッ化不動態膜を形成することには優位性がないと思われる。
【0047】
この結果から、次のように考えられる。レーザガスに添加されるキセノンガスは数ppm〜数十ppmである。このように微量なキセノンガスは、フッ化不動態膜が形成されない領域が多いと、フッ化不動態膜がない領域に蓄積され易い。このことから、放電に悪影響が及ばないことを条件として、できる限り多くの部品にフッ化不動態処理を施すことによって、確実にキセノンガス濃度の低下を防止できるといえる。一方で、曲線Aのように、フッ化不動態膜が形成されない領域が存在していてもキセノンガス濃度はほぼ一定に保たれる。このことから、全ての部品にフッ化不動態処理を施す必要はないともいえる。要は放電開始によってキセノンガス濃度が低下しなければよいのであって、そのような効果が望める程度にフッ化不動態膜を形成すればよいと考えられる。
【0048】
図4は発振デューティとキセノンガス濃度及び出力エネルギーとの相関を示す図である。
図4に示すように、本実施形態によれば、発振デューティが変化してもキセノンガス濃度はほとんど変化せず、ほぼ一定の値(約10ppm)を保っている。また、出力エネルギーもほぼ一定の値(約6mJ)を保ち安定している。
【0049】
ところで、本実施形態では、アルミニウム部品にはニッケルめっき処理後にフッ化不動態処理を施してフッ化不動態膜を形成するようにしたが、フッ化不動態処理の代わりにアルミナ処理を施してアルミナの不動態膜を形成するようにしてもよい。フッ化不動態膜は化学的に極めて安定(不活性)であるが、アルミナも同様に化学的に極めて安定な物質として知られている。アルミナの不動態膜は、フッ化不動態膜には及ばないものの、キセノンガスの蓄積を防止しキセノンガス濃度の低下を防止することができる。
【0050】
また、CaF(蛍石)やMgFのフッ化物を各部品の表面に形成してもよい。
【0051】
なお、本実施形態では、紫外線レーザ装置10をArFエキシマレーザとして使用した場合の結果を例にあげて説明したが、紫外線レーザ装置10をFレーザとして使用しても同様の効果が得られる。Fレーザの場合はレーザガスとして、フッ素ガスとヘリウムガスの混合ガス、フッ素ガスとネオンガスの混合ガス、フッ素ガスとヘリウムガスとネオンガスの混合ガスのうちの何れかがレーザチャンバ11内に封入される。また、添加ガスとして、キセノンガスだけでなく、キセノン化合物ガス、酸素ガス、または酸素化合物ガスを添加してもキセノンガスと同様に出力エネルギーが増加すると共に安定する。
【0052】
本発明によれば、フッ化不動態膜によって添加ガス濃度の減少を防止できる。したがって、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の出力エネルギーを高エネルギーに維持することができ、且つ安定させることができる。特に、ArFエキシマレーザやFレーザは添加ガスの効果が顕著であるため、その効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本実施形態に係る紫外線レーザ装置の構成図である。
【図2】図2はレーザチャンバの断面図である。
【図3】図3は時間経過に伴うキセノン濃度の変化を示す図である。
【図4】図4は発振デューティとキセノンガス濃度及び出力エネルギーとの相関を示す図である。
【図5】図5は時間経過に伴うキセノン濃度の変化を示す図である。
【図6】図6は発振デューティとキセノンガス濃度及び出力エネルギーとの相関を示す図である。
【符号の説明】
10 紫外線レーザ装置
11 レーザチャンバ
20 レーザチャンバ上ケース
21 レーザチャンバ下ケース
23 絶縁体
24 電極ホルダ
25a、25b 主放電電極
26 リターンプレート
27 貫流ファン
28a、28b ガス流路ガイド
29 熱交換器
30 フィルタケース
31 フィルタエレメント

Claims (3)

  1. レーザ出力エネルギーを上昇させ且つ安定させる程度の濃度のキセノンガス、キセノン化合物ガス、酸素ガス、酸素化合物ガスのうち少なくとも一つが添加ガスとして添加されたレーザガスを封入し且つ複数の部品を収容するケース手段(11、30)を備え、前記レーザガスを励起してレーザ発振する紫外線レーザ装置において、
    前記ケース手段(11、30)の内壁及び前記部品のうち前記レーザガスと接触する表面にフッ化不動態処理を施してフッ化不動態膜を形成し、
    また前記表面のうちフッ化不動態膜の形成領域の割合を、レーザ発振が開始されてから所定期間、前記レーザガス中の添加ガス濃度を略一定に維持できる程度にすること
    を特徴とする紫外線レーザ装置。
  2. 前記レーザガスは、少なくともアルゴンガスとネオンガスとフッ素ガスとを含むこと
    を特徴とする請求項1記載の紫外線レーザ装置。
  3. レーザであって、前記レーザガスは、少なくともフッ素ガスとヘリウムガスの混合ガス、フッ素ガスとネオンガスの混合ガス、フッ素ガスとヘリウムガスとネオンガスの混合ガスのうちの一つであること
    を特徴とする請求項1記載の紫外線レーザ装置。
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