JP2004363227A - 化学機械研磨用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】化学機械研磨用水系組成物に関し、特にDRAMや高速ロジックLSIに搭載されるAl、Cu、Wなどの金属を主成分とするダマシン配線を形成するためのCMP用組成物に関する。
【解決手段】被研磨面を構成する5族遷移金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成することができるヘテロ原子を有する化合物と、酸化剤、及び水を含有してなる化学機械研磨用組成物。
【解決手段】被研磨面を構成する5族遷移金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成することができるヘテロ原子を有する化合物と、酸化剤、及び水を含有してなる化学機械研磨用組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学機械研磨用水系組成物に関し、特にDRAMや高速ロジックLSIに搭載されるAl、Cu、Wなどの金属を主成分とするダマシン配線を形成するためのCMP用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度の向上、多層配線化などにともない、被加工膜などの研磨に化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう。)の技術が導入されている。特開昭62−102543号公報、特開昭64−55845号公報、特開平5−275366号公報、特表平8−510437号公報、特開平8−17831号公報、特開平8‐197414号公報および特開平10−44047号公報等に開示されているように、プロセスウェハ上の絶縁膜に形成された孔や溝などに、タングステン、アルミニウム、銅等の配線材料を埋め込んだ後、CMPにより余剰の配線材料を除去することによって配線を形成する手法が採用されている。
【0003】
このようなCMPにおいては、化学的エッチングと機械的な研磨とを効果的に組み合わせることが必要であり、これらの化学的作用と機械的作用とのバランスが精度の高い良好な研磨面を得る上で重要である。このCMPのための組成物として、多くの水系分散体が提案されており、近年特に、化学的エッチング作用の向上に主眼をおいた検討がなされている。たとえば、特公平6−103681号公報には、研磨剤粒子、遷移キレート塩およびこの塩を溶解する溶媒からなる研磨組成物が記載されている。特開平6−313164号公報には、水性コロイダルシリカゾルまたはゲルからなる研磨剤と過硫酸塩の研磨促進剤により構成される研磨組成物が開示されている。また、特開平11−135467号公報には4価セリウム塩の水溶液を含む研磨組成物が記載されている。さらに、特開平10−265766号公報には、過酸化水素と触媒量の鉄イオンを組合わせた研磨組成物が記載されている。しかし、これらいずれの研磨液においても、化学的エッチング能力が高くなっており、機械的研磨能力とのバランスは未達のため、アルミニウム、銅またはタングステン等の配線材料が過度にエッチングされ、被研磨面にキーホールなどの腐食痕や欠陥が発生し、良好な仕上げ面を得ることができない。
【0004】
金属の過度なエッチングを抑制するため、過酸化水素や硝酸鉄以外の酸化剤が開発されている。特開2000−34470には、タングステン酸及びタングステン酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種と、研磨材と、水とを含有してなる研磨液組成物が開示されている。特開2000−34470で用いられているタングステン酸は、オルトタングステン酸、パラタングステン酸及びメタタングステン酸の総称であると記述されており、これらは異種金属(「ヘテロ原子」とも言う)を含まないタングステン酸であり、一般にイソポリ酸と呼ばれるタングステンのオキソ錯体である。
【0005】
また、特開2000−212776には、半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体に含有される酸化剤としてヘテロポリ酸が挙げられている。特開平5−311469には、水性のフェリシアンイオン溶液、可溶性モリブデン酸塩またはタングステン酸塩、及び必須化合物(該必須化合物は該可溶性モリブデン酸塩またはタングステン酸塩との合体によりヘテロポリ化合物が生成され、ここで該必須化合物は該ヘテロポリ化合物における少なくとも一つのヘテロ原子として貢献するものとする)を含む、モリブデン及びタングステンを効果的にエッチングするための中性または中性に近いpHのエッチング溶液が開示されている。特開平5−311469の鍵となる事項は、モリブデン及びタングステンのエッチングプロセスの一部として、それぞれヘテロポリモリブデン酸塩およびヘテロポリタングステン酸塩を生成させることであると記述されている。特開平5−311469のエッチング溶液はモリブデン及びタングステンを効果的にエッチングできるエッチング溶液に関すると記述されており、タンタル系金属等の他の金属に対しても研磨できるという記述はない。
【0006】
半導体素子の配線材料としては、タングステン、アルミニウム、銅等の金属に加え、配線材料と絶縁層とを接着する目的および金属層の金属が絶縁層に拡散することを抑制する目的等から、金属層と絶縁層の間にバリヤメタル層が設けられている。このバリヤメタル層には、金属タンタル(Ta)や窒化タンタル(TaN)が用いられており、タンタルおよび窒化タンタルの研磨に適した研磨用組成物およびそれを用いた研磨方法の確立が重要な課題となっている。
【0007】
金属タンタルや窒化タンタルは、デバイスの信頼性の観点から最も優れており、今後最も採用される可能性が高いが、研磨がしにくく、商業的に入手可能な研磨用組成物を使用しても十分な研磨速度が得られない。タンタル(Ta)材料の研磨方法としては、鏡面に仕上げることを目的に、新モース硬度5〜20、平均粒径0.005〜0.5μmのコロイダルシリカからなるアルカリ性研磨用組成物を用いるタンタルの研磨法(特公平7−112670号公報)が知られている。しかしながら、特公平7−112670号公報記載のコロイダルシリカからなる研磨用組成物を用いる場合には、十分な研磨速度が得られない。半導体装置の製造における金属タンタル及び窒化タンタルのCMP工程では、研磨用スラリー中の酸化剤により被研磨金属面を酸化し、金属よりもやや脆弱な酸化物薄膜(Ta2O5)を形成させたのちに研磨を行っている。バリヤメタルはCu配線と絶縁膜の間に位置し、Ta(TaN)−CMP工程では、TaあるいはTaN層の研磨速度がCu層に対して高いことが要求されるが、タンタル酸化物は硬度が高いため、軟らかいCu層あるいは周辺絶縁膜の過剰研磨が生じ、Cu層表面にリセス、エロージョンおよびディッシング等の欠陥を生じやすいことが問題となっている。リセスとは、Cu等の配線がCMPスラリーによるエッチングにより配線部分が沈み込む現象のことであり、エロージョンは配線のビアやパターンが少ない部分に比べて、配線が密な部分の絶縁膜が窪む現象のことである。エロージョンは、過剰研磨やスラリーの絶縁膜に対する金属研磨選択性が低い場合に起こりやすい。またディッシングとは、CMPスラリーによって配線の中央部分がエッチングされて窪む現象である。
【0008】
このため、Cu層に対するTa層あるいはTaN層の研磨選択比を向上させることを目的とした様々な金属研磨用組成物が開発されている。特開2001−144044には含フッ素化合物及び水を含有する金属用研磨液、特開2001−139937には金属の酸化剤、芳香環含有−塩基酸及び水を含有し、pH3以下であり、かつ金属の酸化剤濃度が0.01〜3重量%である金属用研磨液、特開2001−144045には導体の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤および水を含有する研磨液であり、金属とそのバリヤ層の研磨速度比(バリヤ層/金属)が1以上であり、バリヤ層と絶縁膜層(バリヤ層/絶縁膜層)の研磨速度比が10以上である金属用研磨液が開示されている。
【0009】
また、特開2002−313758には下記(a)〜(f)を含んでなることを特徴とする研磨用組成物が開示されている。すなわち(a)二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から撰ばれる、少なくとも1種類の研磨剤、(b)遊離基捕獲剤、(c)塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類のタンタル含有化合物研磨促進剤、(d)ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、イミダゾールおよびトリルトリアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種類の防食剤、(e)アンモニア、エチレンジアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ピペラジン、ピペリジン及びエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の塩基性化合物、ならびに(f)水である。これらの研磨用組成物はpH3あるいは4以下が好ましいと記述されているが、このような酸性領域ではCu層のエッチング速度が速いため、ベンゾトリアゾール等のCu層保護剤を研磨液に添加する場合が多い。また、特開2001−187876には絶縁膜と該絶縁膜上に形成されたタンタル系金属膜とを有する基板を研磨するための化学的機械的研磨用スラリーであって、シリカ研磨材と、該化学的機械的研磨用スラリー全体に対して0.01質量%以上10質量%以下の無機塩とを含有することを特徴とする化学機械的研磨用スラリーが開示されている。特開2001−187876の実施例では硫酸カリウム等の無機塩を添加することにより、銅膜の研磨速度を低下させることなく、タンタル膜の研磨速度を著しく向上でき、硫酸カリウムの添加量(含有量)を増大することによりタンタルの研磨速度を増大させることができたと記述しているが、硫酸に含まれる硫黄原子は銅との間で硫化銅化合物を形成し、配線構造中に積層剥がれを生じやすいことが指摘されている(2001年秋季第62回応用物理学会学術講演会、13p−X−14)。
【0010】
【発明が解明しようとする課題】
本発明は、5族遷移金属であるタンタル系金属の研磨速度を向上させ、Cu金属あるいはCu合金に対して高い研磨選択性を有し、表面粗さを低減させ得る研磨液組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討し本発明を完成した。
本発明は、研磨対象である5族遷移金属の少なくとも一部を化学反応によって、研磨表面上に有限な大きさの錯体化合物を形成させ、低い研磨加重でも十分な研磨速度の得られる脆弱な被研磨面を得ることを特徴とする。すなわち、本発明は被研磨面を構成する金属と化学反応して結合し、ナノメータサイズのヘテロポリ化合物を金属表面に形成することができる化合物と酸化剤および水を含むことを特徴とする金属CMP用研磨液組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、被研磨面の5族遷移金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成することができるヘテロ原子を有する化合物と、酸化剤、及び水を含有してなる化学機械研磨用組成物であって、被研磨面の5族遷移金属は、ヘテロ原子との結合によりヘテロポリ化合物を形成できるものであれば限定無く使用できるが、バナジウム、タンタル、ニオブが例示でき、特にタンタルが好ましい。またこれら金属の窒化物、ホウ化物、炭化物にも使用することができる。
【0013】
また、金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成するヘテロ原子としては、P、B、Si、Sb、Al、Ge、Fe、Zn、Ga、As、V、Mo、W、Cr、Co、Cu、Se、Bi、Ti、Zr、Ni、EuまたはReが例示でき、特にP、B、Si、Mn、Ni、Euが好ましい。ヘテロ原子を含有してなる化合物としては、各種の無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩が使用できるが、具体的にはリン酸、ホウ酸、ケイ酸、タングステン酸、モリブデン酸およびこれらの塩、または上記記載のヘテロ原子を含む硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、燐酸塩、酒石酸塩、水酸化物、塩化物または臭化物が挙げられ、特にタングステン酸、モリブデン酸またはこれらの塩が好ましい。
【0014】
本発明において、金属表面に形成されるヘテロポリ化合物としては、ヘテロポリ酸が挙げられる。ヘテロポリ酸とは、酸素と2種類以上の元素を含む縮合した多核のオキソ錯体のことである。V、Mo、Wなどの5〜6族の遷移金属は、酸性水溶液中で数Å〜数10nmの有限な大きさの分子構造をもつヘテロポリ酸あるいはイソポリ酸(ヘテロ原子を含まないポリ酸)が形成しやすい。特に、水溶液中にP、Si、B、Alなどのヘテロイオン(X)が存在する場合、これらV、Mo、Wなどの金属あるいは金属酸化物は、安定な構造のヘテロポリ酸を形成することが一般に知られている。ヘテロポリ酸の分子構造は、ヘテロイオン種、溶液の酸性度、共存する対カチオン種などの反応条件によって変化するが、特にタングステンおよびモリブデンの場合、ケギン型あるいはドーソン型と呼ばれる組成が[XM12O40]n−あるいは[X2M18062]m−のヘテロポリ酸イオンを形成しやすい(組成式中、Xはヘテロ原子、Mはタングステンまたはモリブデンを表す)。
【0015】
本発明のうち、研磨対象がタンタル、ニオブあるいはこれらの窒化物、ホウ化物、炭化物の場合には、ヘテロ化合物としてタングステン酸、モリブデン酸またはこれらの塩、あるいは+2〜+4価の遷移金属を含む塩を含有する研磨用組成物を使用することが特に好ましい。前述のタングステン酸、モリブデン酸含有研磨用組成物を水酸化カリウム等によりアルカリ性とすると、上記ケギン型構造の一部が欠損し、[XM11O39]m−等の欠損ケギン型構造と呼ばれるヘテロポリ酸が形成される。これらの欠損型ヘテロポリ酸は、マイナス電荷が高く不安定であり、欠損した部位へ他金属原子を捕獲しやすい(配位しやすい)性質を持っている。本発明において研磨対象であるタンタルは、この欠損部位が捕獲しやすいイオン半径を持つことから、ヘテロポリ酸との複合錯体を形成しやすい。また、本発明の研磨用組成物に含有される酸化剤により形成したNbおよびTaの酸化物(Nb2O5、Ta2O5)は、炭酸カリウム等のアルカリによって融解・溶解し、ヘテロ原子を含有しないポリ酸(イソポリ酸)を形成する。これらのニオブ酸およびタンタル酸を含有する溶液に、ヘテロ原子としてMn4+などの+2〜+4価の遷移金属イオンを添加すると、[Mn(Nb6O19)2]12−等のヘテロポリ酸が形成する。一方銅イオンは適当なイオン半径およびプラス電荷を持たないため、本発明の研磨液組成物に含有される化合物とは錯体を形成しにくい。すなわち、本発明の研磨用組成液は、銅系金属層および配線の存在下で、選択的にタンタルおよび窒化タンタル表面に、タンタルとヘテロ化合物とのヘテロ化合物を形成することによって、Ta2O5よりも脆弱な面を形成し、研磨速度を向上させることができる。
【0016】
本発明の方法は、被研磨面を構成するタンタルあるいはタンタル含有化合物上に有限な大きさをもつ錯体化合物を形成するので、Ta2O5等の酸化物よりも脆弱な被研磨面を形成し、研磨速度を向上させることができる。
【0017】
被研磨面と本発明の研磨液組成物の反応により形成されるヘテロポリ酸の中には、それ自体が高い酸化力をもつ化合物も存在し、研磨対象である金属の酸化剤としても機能するので、研磨液組成物自体に含有される酸化剤の濃度を低下させることができる。
ヘテロポリ酸を形成するために添加するヘテロ原子を有する化合物の濃度は、研磨組成物の総量に対して0.05〜20重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。0.05重量%以下では、表面でのヘテロポリ酸の形成が不十分であり、20重量%を超えて混合する場合はヘテロポリ酸形成が過剰となり、研磨速度の制御が困難となる場合がある。
【0018】
本発明で使用する酸化剤としては、被研磨面である金属膜の電気化学的性質などにより、選択して使用できる。例えば過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸化合物、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン酸化合物などが挙げられ、過酸化水素が好ましく使用できる。酸化剤の含有量は、研磨用組成物総量に対して0.1〜20重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%以下である。酸化剤の濃度が0.1重量%以下では、金属の酸化が不十分であり、20重量%を超える場合は研磨速度を制御することが困難な場合がある。本発明の研磨用組成物の固形分濃度は、0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。20重量%を超える場合は、研磨用組成物に含有する固形分の混合が不十分であり安定に存在できない。また0.1重量%以下では、十分な研磨速度を得ることができない。また、本発明の研磨用組成物のpHはpH1〜11、好ましくはpH7〜10である。溶液の酸性度は、研磨対象である金属元素がタンタルの場合にはpH7〜10が適当である。pH1以下あるいはpH11以上ではヘテロポリ酸の形成が困難な場合がある。
【0019】
本発明の研磨液組成物は、砥粒としてシリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア等の無機粒子、スチレン系共重合体、アクリル系共重合体等の有機粒子、上記の無機粒子と有機の複合粒子のうち少なくとも一種以上を含有することができる。上記無機粒子としては、高純度の無機粒子が好ましい。具体的には、気相中で塩化ケイ素、塩化アルミニウム、塩化チタン等を、酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたシリカ、アルミナ、チタニア等、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。
【0020】
上記有機粒子としては、(1)ポリスチレンおよびスチレン重合体、(2)ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、アクリル系共重合体、(3)ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびポリオレフィン共重合体からなる粒子を使用することができる。さらにフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる有機粒子を用いることもできる。
【0021】
砥粒の含有量は、研磨用組成物総量に対して20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。砥粒の含有量が20重量%を超えて含有させた場合はコスト高になるとともに、研磨組成物の安定性が低下するため好ましくない場合がある。
【0022】
本発明の研磨用組成物には、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系および非イオン系のいずれも使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン炎、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレンエーテルなどのエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル等が挙げられる。界面活性剤の含有量は、研磨組成物の総量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。5重量%以上の場合は、研磨性能の低下が起こる場合があるので好ましくない場合がある。
【0023】
本発明の研磨用組成物を用いて研磨される被研磨面としては、超LSIなどの半導体装置の製造過程において半導体基板上に成膜される銅めっき膜、タンタル膜、窒化タンタルなどを有する層が挙げられる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
(1)化学機械研磨用組成物の調製
実施例1〜6および比較例1〜2のCMP用水系分散体を調製し、タンタルと窒化タンタルの研磨評価を行った。イオン交換水に、砥粒、酸化剤、および必須化合物を表1の組成で混合し、水系組成物を調製した。砥粒は平均粒径0.4μmのα−アルミナを用いた。研磨用組成物のpHは水酸化カリウムにより調整した。
(2)研磨速度評価
化学機械研磨装置(ラップマスターSTF社製、形式「LGP−15MCK」)に2cm角のCu膜付ウェハ、Ta膜付ウェハ及びTaN膜付ウェハ(KSTワールド社製、膜厚:10000Å)を取りつけ、(1)で調製した研磨用組成物を200mL/分の速度で供給しながら、加重300g/cm2になるようにして研磨した。テーブルとヘッドの回転数は、それぞれ100rpmに調整した。研磨パッドは、ロデール社製商品名IC1000を用いた。タングステン膜の膜厚は、エレクトロ−メータ(ケースレイ社製)をもちいて直流4針法による抵抗値を測定し、その抵抗値とタングステンの低効率とを用いて、下式(1)による算出した。
【0025】
被研磨金属膜の膜厚={金属の抵抗率(Ω/cm)}/{抵抗値(Ω/cm2)}…(1)
表2から、被研磨するタンタルと結合してヘテロポリ化合物を形成するヘテロ化合物種を研磨液に添加することにより、タンタル膜及び窒化タンタル膜の研磨速度を向上するが分かる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、タンタル系金属の研磨速度を向上させ、銅系金属に対して高い研磨選択比をもち、かつ金属表面上への欠陥発生を抑制でき、表面粗さを低減できる研磨液組成物を得ることができる。
【0027】
【表1】
【0028】
【0029】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学機械研磨用水系組成物に関し、特にDRAMや高速ロジックLSIに搭載されるAl、Cu、Wなどの金属を主成分とするダマシン配線を形成するためのCMP用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度の向上、多層配線化などにともない、被加工膜などの研磨に化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう。)の技術が導入されている。特開昭62−102543号公報、特開昭64−55845号公報、特開平5−275366号公報、特表平8−510437号公報、特開平8−17831号公報、特開平8‐197414号公報および特開平10−44047号公報等に開示されているように、プロセスウェハ上の絶縁膜に形成された孔や溝などに、タングステン、アルミニウム、銅等の配線材料を埋め込んだ後、CMPにより余剰の配線材料を除去することによって配線を形成する手法が採用されている。
【0003】
このようなCMPにおいては、化学的エッチングと機械的な研磨とを効果的に組み合わせることが必要であり、これらの化学的作用と機械的作用とのバランスが精度の高い良好な研磨面を得る上で重要である。このCMPのための組成物として、多くの水系分散体が提案されており、近年特に、化学的エッチング作用の向上に主眼をおいた検討がなされている。たとえば、特公平6−103681号公報には、研磨剤粒子、遷移キレート塩およびこの塩を溶解する溶媒からなる研磨組成物が記載されている。特開平6−313164号公報には、水性コロイダルシリカゾルまたはゲルからなる研磨剤と過硫酸塩の研磨促進剤により構成される研磨組成物が開示されている。また、特開平11−135467号公報には4価セリウム塩の水溶液を含む研磨組成物が記載されている。さらに、特開平10−265766号公報には、過酸化水素と触媒量の鉄イオンを組合わせた研磨組成物が記載されている。しかし、これらいずれの研磨液においても、化学的エッチング能力が高くなっており、機械的研磨能力とのバランスは未達のため、アルミニウム、銅またはタングステン等の配線材料が過度にエッチングされ、被研磨面にキーホールなどの腐食痕や欠陥が発生し、良好な仕上げ面を得ることができない。
【0004】
金属の過度なエッチングを抑制するため、過酸化水素や硝酸鉄以外の酸化剤が開発されている。特開2000−34470には、タングステン酸及びタングステン酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種と、研磨材と、水とを含有してなる研磨液組成物が開示されている。特開2000−34470で用いられているタングステン酸は、オルトタングステン酸、パラタングステン酸及びメタタングステン酸の総称であると記述されており、これらは異種金属(「ヘテロ原子」とも言う)を含まないタングステン酸であり、一般にイソポリ酸と呼ばれるタングステンのオキソ錯体である。
【0005】
また、特開2000−212776には、半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体に含有される酸化剤としてヘテロポリ酸が挙げられている。特開平5−311469には、水性のフェリシアンイオン溶液、可溶性モリブデン酸塩またはタングステン酸塩、及び必須化合物(該必須化合物は該可溶性モリブデン酸塩またはタングステン酸塩との合体によりヘテロポリ化合物が生成され、ここで該必須化合物は該ヘテロポリ化合物における少なくとも一つのヘテロ原子として貢献するものとする)を含む、モリブデン及びタングステンを効果的にエッチングするための中性または中性に近いpHのエッチング溶液が開示されている。特開平5−311469の鍵となる事項は、モリブデン及びタングステンのエッチングプロセスの一部として、それぞれヘテロポリモリブデン酸塩およびヘテロポリタングステン酸塩を生成させることであると記述されている。特開平5−311469のエッチング溶液はモリブデン及びタングステンを効果的にエッチングできるエッチング溶液に関すると記述されており、タンタル系金属等の他の金属に対しても研磨できるという記述はない。
【0006】
半導体素子の配線材料としては、タングステン、アルミニウム、銅等の金属に加え、配線材料と絶縁層とを接着する目的および金属層の金属が絶縁層に拡散することを抑制する目的等から、金属層と絶縁層の間にバリヤメタル層が設けられている。このバリヤメタル層には、金属タンタル(Ta)や窒化タンタル(TaN)が用いられており、タンタルおよび窒化タンタルの研磨に適した研磨用組成物およびそれを用いた研磨方法の確立が重要な課題となっている。
【0007】
金属タンタルや窒化タンタルは、デバイスの信頼性の観点から最も優れており、今後最も採用される可能性が高いが、研磨がしにくく、商業的に入手可能な研磨用組成物を使用しても十分な研磨速度が得られない。タンタル(Ta)材料の研磨方法としては、鏡面に仕上げることを目的に、新モース硬度5〜20、平均粒径0.005〜0.5μmのコロイダルシリカからなるアルカリ性研磨用組成物を用いるタンタルの研磨法(特公平7−112670号公報)が知られている。しかしながら、特公平7−112670号公報記載のコロイダルシリカからなる研磨用組成物を用いる場合には、十分な研磨速度が得られない。半導体装置の製造における金属タンタル及び窒化タンタルのCMP工程では、研磨用スラリー中の酸化剤により被研磨金属面を酸化し、金属よりもやや脆弱な酸化物薄膜(Ta2O5)を形成させたのちに研磨を行っている。バリヤメタルはCu配線と絶縁膜の間に位置し、Ta(TaN)−CMP工程では、TaあるいはTaN層の研磨速度がCu層に対して高いことが要求されるが、タンタル酸化物は硬度が高いため、軟らかいCu層あるいは周辺絶縁膜の過剰研磨が生じ、Cu層表面にリセス、エロージョンおよびディッシング等の欠陥を生じやすいことが問題となっている。リセスとは、Cu等の配線がCMPスラリーによるエッチングにより配線部分が沈み込む現象のことであり、エロージョンは配線のビアやパターンが少ない部分に比べて、配線が密な部分の絶縁膜が窪む現象のことである。エロージョンは、過剰研磨やスラリーの絶縁膜に対する金属研磨選択性が低い場合に起こりやすい。またディッシングとは、CMPスラリーによって配線の中央部分がエッチングされて窪む現象である。
【0008】
このため、Cu層に対するTa層あるいはTaN層の研磨選択比を向上させることを目的とした様々な金属研磨用組成物が開発されている。特開2001−144044には含フッ素化合物及び水を含有する金属用研磨液、特開2001−139937には金属の酸化剤、芳香環含有−塩基酸及び水を含有し、pH3以下であり、かつ金属の酸化剤濃度が0.01〜3重量%である金属用研磨液、特開2001−144045には導体の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤および水を含有する研磨液であり、金属とそのバリヤ層の研磨速度比(バリヤ層/金属)が1以上であり、バリヤ層と絶縁膜層(バリヤ層/絶縁膜層)の研磨速度比が10以上である金属用研磨液が開示されている。
【0009】
また、特開2002−313758には下記(a)〜(f)を含んでなることを特徴とする研磨用組成物が開示されている。すなわち(a)二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から撰ばれる、少なくとも1種類の研磨剤、(b)遊離基捕獲剤、(c)塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類のタンタル含有化合物研磨促進剤、(d)ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、イミダゾールおよびトリルトリアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種類の防食剤、(e)アンモニア、エチレンジアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ピペラジン、ピペリジン及びエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の塩基性化合物、ならびに(f)水である。これらの研磨用組成物はpH3あるいは4以下が好ましいと記述されているが、このような酸性領域ではCu層のエッチング速度が速いため、ベンゾトリアゾール等のCu層保護剤を研磨液に添加する場合が多い。また、特開2001−187876には絶縁膜と該絶縁膜上に形成されたタンタル系金属膜とを有する基板を研磨するための化学的機械的研磨用スラリーであって、シリカ研磨材と、該化学的機械的研磨用スラリー全体に対して0.01質量%以上10質量%以下の無機塩とを含有することを特徴とする化学機械的研磨用スラリーが開示されている。特開2001−187876の実施例では硫酸カリウム等の無機塩を添加することにより、銅膜の研磨速度を低下させることなく、タンタル膜の研磨速度を著しく向上でき、硫酸カリウムの添加量(含有量)を増大することによりタンタルの研磨速度を増大させることができたと記述しているが、硫酸に含まれる硫黄原子は銅との間で硫化銅化合物を形成し、配線構造中に積層剥がれを生じやすいことが指摘されている(2001年秋季第62回応用物理学会学術講演会、13p−X−14)。
【0010】
【発明が解明しようとする課題】
本発明は、5族遷移金属であるタンタル系金属の研磨速度を向上させ、Cu金属あるいはCu合金に対して高い研磨選択性を有し、表面粗さを低減させ得る研磨液組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討し本発明を完成した。
本発明は、研磨対象である5族遷移金属の少なくとも一部を化学反応によって、研磨表面上に有限な大きさの錯体化合物を形成させ、低い研磨加重でも十分な研磨速度の得られる脆弱な被研磨面を得ることを特徴とする。すなわち、本発明は被研磨面を構成する金属と化学反応して結合し、ナノメータサイズのヘテロポリ化合物を金属表面に形成することができる化合物と酸化剤および水を含むことを特徴とする金属CMP用研磨液組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、被研磨面の5族遷移金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成することができるヘテロ原子を有する化合物と、酸化剤、及び水を含有してなる化学機械研磨用組成物であって、被研磨面の5族遷移金属は、ヘテロ原子との結合によりヘテロポリ化合物を形成できるものであれば限定無く使用できるが、バナジウム、タンタル、ニオブが例示でき、特にタンタルが好ましい。またこれら金属の窒化物、ホウ化物、炭化物にも使用することができる。
【0013】
また、金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成するヘテロ原子としては、P、B、Si、Sb、Al、Ge、Fe、Zn、Ga、As、V、Mo、W、Cr、Co、Cu、Se、Bi、Ti、Zr、Ni、EuまたはReが例示でき、特にP、B、Si、Mn、Ni、Euが好ましい。ヘテロ原子を含有してなる化合物としては、各種の無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩が使用できるが、具体的にはリン酸、ホウ酸、ケイ酸、タングステン酸、モリブデン酸およびこれらの塩、または上記記載のヘテロ原子を含む硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、燐酸塩、酒石酸塩、水酸化物、塩化物または臭化物が挙げられ、特にタングステン酸、モリブデン酸またはこれらの塩が好ましい。
【0014】
本発明において、金属表面に形成されるヘテロポリ化合物としては、ヘテロポリ酸が挙げられる。ヘテロポリ酸とは、酸素と2種類以上の元素を含む縮合した多核のオキソ錯体のことである。V、Mo、Wなどの5〜6族の遷移金属は、酸性水溶液中で数Å〜数10nmの有限な大きさの分子構造をもつヘテロポリ酸あるいはイソポリ酸(ヘテロ原子を含まないポリ酸)が形成しやすい。特に、水溶液中にP、Si、B、Alなどのヘテロイオン(X)が存在する場合、これらV、Mo、Wなどの金属あるいは金属酸化物は、安定な構造のヘテロポリ酸を形成することが一般に知られている。ヘテロポリ酸の分子構造は、ヘテロイオン種、溶液の酸性度、共存する対カチオン種などの反応条件によって変化するが、特にタングステンおよびモリブデンの場合、ケギン型あるいはドーソン型と呼ばれる組成が[XM12O40]n−あるいは[X2M18062]m−のヘテロポリ酸イオンを形成しやすい(組成式中、Xはヘテロ原子、Mはタングステンまたはモリブデンを表す)。
【0015】
本発明のうち、研磨対象がタンタル、ニオブあるいはこれらの窒化物、ホウ化物、炭化物の場合には、ヘテロ化合物としてタングステン酸、モリブデン酸またはこれらの塩、あるいは+2〜+4価の遷移金属を含む塩を含有する研磨用組成物を使用することが特に好ましい。前述のタングステン酸、モリブデン酸含有研磨用組成物を水酸化カリウム等によりアルカリ性とすると、上記ケギン型構造の一部が欠損し、[XM11O39]m−等の欠損ケギン型構造と呼ばれるヘテロポリ酸が形成される。これらの欠損型ヘテロポリ酸は、マイナス電荷が高く不安定であり、欠損した部位へ他金属原子を捕獲しやすい(配位しやすい)性質を持っている。本発明において研磨対象であるタンタルは、この欠損部位が捕獲しやすいイオン半径を持つことから、ヘテロポリ酸との複合錯体を形成しやすい。また、本発明の研磨用組成物に含有される酸化剤により形成したNbおよびTaの酸化物(Nb2O5、Ta2O5)は、炭酸カリウム等のアルカリによって融解・溶解し、ヘテロ原子を含有しないポリ酸(イソポリ酸)を形成する。これらのニオブ酸およびタンタル酸を含有する溶液に、ヘテロ原子としてMn4+などの+2〜+4価の遷移金属イオンを添加すると、[Mn(Nb6O19)2]12−等のヘテロポリ酸が形成する。一方銅イオンは適当なイオン半径およびプラス電荷を持たないため、本発明の研磨液組成物に含有される化合物とは錯体を形成しにくい。すなわち、本発明の研磨用組成液は、銅系金属層および配線の存在下で、選択的にタンタルおよび窒化タンタル表面に、タンタルとヘテロ化合物とのヘテロ化合物を形成することによって、Ta2O5よりも脆弱な面を形成し、研磨速度を向上させることができる。
【0016】
本発明の方法は、被研磨面を構成するタンタルあるいはタンタル含有化合物上に有限な大きさをもつ錯体化合物を形成するので、Ta2O5等の酸化物よりも脆弱な被研磨面を形成し、研磨速度を向上させることができる。
【0017】
被研磨面と本発明の研磨液組成物の反応により形成されるヘテロポリ酸の中には、それ自体が高い酸化力をもつ化合物も存在し、研磨対象である金属の酸化剤としても機能するので、研磨液組成物自体に含有される酸化剤の濃度を低下させることができる。
ヘテロポリ酸を形成するために添加するヘテロ原子を有する化合物の濃度は、研磨組成物の総量に対して0.05〜20重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。0.05重量%以下では、表面でのヘテロポリ酸の形成が不十分であり、20重量%を超えて混合する場合はヘテロポリ酸形成が過剰となり、研磨速度の制御が困難となる場合がある。
【0018】
本発明で使用する酸化剤としては、被研磨面である金属膜の電気化学的性質などにより、選択して使用できる。例えば過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸化合物、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン酸化合物などが挙げられ、過酸化水素が好ましく使用できる。酸化剤の含有量は、研磨用組成物総量に対して0.1〜20重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%以下である。酸化剤の濃度が0.1重量%以下では、金属の酸化が不十分であり、20重量%を超える場合は研磨速度を制御することが困難な場合がある。本発明の研磨用組成物の固形分濃度は、0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。20重量%を超える場合は、研磨用組成物に含有する固形分の混合が不十分であり安定に存在できない。また0.1重量%以下では、十分な研磨速度を得ることができない。また、本発明の研磨用組成物のpHはpH1〜11、好ましくはpH7〜10である。溶液の酸性度は、研磨対象である金属元素がタンタルの場合にはpH7〜10が適当である。pH1以下あるいはpH11以上ではヘテロポリ酸の形成が困難な場合がある。
【0019】
本発明の研磨液組成物は、砥粒としてシリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア等の無機粒子、スチレン系共重合体、アクリル系共重合体等の有機粒子、上記の無機粒子と有機の複合粒子のうち少なくとも一種以上を含有することができる。上記無機粒子としては、高純度の無機粒子が好ましい。具体的には、気相中で塩化ケイ素、塩化アルミニウム、塩化チタン等を、酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたシリカ、アルミナ、チタニア等、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。
【0020】
上記有機粒子としては、(1)ポリスチレンおよびスチレン重合体、(2)ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、アクリル系共重合体、(3)ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびポリオレフィン共重合体からなる粒子を使用することができる。さらにフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる有機粒子を用いることもできる。
【0021】
砥粒の含有量は、研磨用組成物総量に対して20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。砥粒の含有量が20重量%を超えて含有させた場合はコスト高になるとともに、研磨組成物の安定性が低下するため好ましくない場合がある。
【0022】
本発明の研磨用組成物には、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系および非イオン系のいずれも使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン炎、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレンエーテルなどのエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル等が挙げられる。界面活性剤の含有量は、研磨組成物の総量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。5重量%以上の場合は、研磨性能の低下が起こる場合があるので好ましくない場合がある。
【0023】
本発明の研磨用組成物を用いて研磨される被研磨面としては、超LSIなどの半導体装置の製造過程において半導体基板上に成膜される銅めっき膜、タンタル膜、窒化タンタルなどを有する層が挙げられる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
(1)化学機械研磨用組成物の調製
実施例1〜6および比較例1〜2のCMP用水系分散体を調製し、タンタルと窒化タンタルの研磨評価を行った。イオン交換水に、砥粒、酸化剤、および必須化合物を表1の組成で混合し、水系組成物を調製した。砥粒は平均粒径0.4μmのα−アルミナを用いた。研磨用組成物のpHは水酸化カリウムにより調整した。
(2)研磨速度評価
化学機械研磨装置(ラップマスターSTF社製、形式「LGP−15MCK」)に2cm角のCu膜付ウェハ、Ta膜付ウェハ及びTaN膜付ウェハ(KSTワールド社製、膜厚:10000Å)を取りつけ、(1)で調製した研磨用組成物を200mL/分の速度で供給しながら、加重300g/cm2になるようにして研磨した。テーブルとヘッドの回転数は、それぞれ100rpmに調整した。研磨パッドは、ロデール社製商品名IC1000を用いた。タングステン膜の膜厚は、エレクトロ−メータ(ケースレイ社製)をもちいて直流4針法による抵抗値を測定し、その抵抗値とタングステンの低効率とを用いて、下式(1)による算出した。
【0025】
被研磨金属膜の膜厚={金属の抵抗率(Ω/cm)}/{抵抗値(Ω/cm2)}…(1)
表2から、被研磨するタンタルと結合してヘテロポリ化合物を形成するヘテロ化合物種を研磨液に添加することにより、タンタル膜及び窒化タンタル膜の研磨速度を向上するが分かる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、タンタル系金属の研磨速度を向上させ、銅系金属に対して高い研磨選択比をもち、かつ金属表面上への欠陥発生を抑制でき、表面粗さを低減できる研磨液組成物を得ることができる。
【0027】
【表1】
【0028】
【0029】
【表2】
Claims (6)
- 被研磨面を構成する5族遷移金属と結合し、ヘテロポリ化合物を形成することができるヘテロ原子を有する化合物と、酸化剤、及び水を含有してなる化学機械研磨用組成物。
- 前記へテロ原子がP、B、Si、Sb、Al、Ge、Fe、Zn、Ga、As、V、Mo、W、Mn、Cr、Co、Cu、Se、Bi、Ti、Zr、Ni、EuまたはReのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨用組成物。
- 前記へテロ原子を有する化合物が、請求項2記載のヘテロ原子を含む無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、水酸化物、塩化物または臭化物であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨用組成物。
- 前記へテロ原子を有する化合物がタングステン酸、モリブデン酸またはこれらの塩から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨用組成物。
- さらに砥粒を含有していることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の化学機械研磨用組成物。
- タンタルまたはタンタルの窒化物、ホウ化物、あるいは炭化物を有している被研磨面であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の化学機械研磨用組成物。
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