JP2004362962A - ビームボケの計測方法、ビームボケ計測装置及び荷電粒子線露光装置 - Google Patents
ビームボケの計測方法、ビームボケ計測装置及び荷電粒子線露光装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体集積回路のリソグラフィ等に用いられる荷電粒子線露光装置において、ビームボケの定量化を精度よく行うことのできるビームボケの計測方法等を提供する。
【解決手段】まず、ビームボケ計測装置を用いてビームの信号波形を取得する(S1)。次に、ビームの空間像の中央部(端部以外)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似する(S2)。一方、ビームの空間像の端部(立ち上がり部)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似する(S3)。そして、ビームのボケ(Blur値)を式Blur12〜88%={(ln2)/π}1/2×(V/S)から求める(S4)。
【選択図】 図1
【解決手段】まず、ビームボケ計測装置を用いてビームの信号波形を取得する(S1)。次に、ビームの空間像の中央部(端部以外)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似する(S2)。一方、ビームの空間像の端部(立ち上がり部)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似する(S3)。そして、ビームのボケ(Blur値)を式Blur12〜88%={(ln2)/π}1/2×(V/S)から求める(S4)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路のリソグラフィ等に用いられる荷電粒子線露光装置におけるビームボケの計測方法等に関する。特には、ビームボケの定量化を精度よく行うことのできるビームボケの計測方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線描画装置には、スループット(処理速度)の向上に限界があることが知られている。この電子線描画装置の高スループット化を目的として、大面積のパターンを一括して転写露光するタイプの電子線投影露光装置(EBステッパー等)の開発が進められている。このような一括転写型の露光装置においては、1つのサブフィールドが非常に大きい(一例で250μm角)ため、サブフィールド内におけるビームボケ分布が不均一になることがシミュレーションにより分かっている。また、スループットの向上のために露光に寄与する荷電粒子線の電流を大きくすると、空間電荷効果に起因するサブフィールド内のビームボケの分布が不均一になることもシミュレーションにより分かってきている。そのため、このような投影露光装置においては、サブフィールド内の各部分における電子ビームのボケ(Blur)を計測し、その結果に基づいてビームの調整(焦点、非点、倍率、回転等のキャリブレーション)を行う必要がある。
【0003】
EBステッパーのような転写光学系を用いた荷電粒子線露光装置におけるビームボケの実験的定量化は、空間像センサー(特許文献1参照。)を用いて実現されている。空間像センサーは、数本のスリットが形成されたウェハと、ウェハステージと、制限開口と、その下側に設置された検出器から構成されている。この空間像センサーは、ウェハ上でのピッチが空間像センサーのスリットと一致するように配置されたスリット状のレチクルからのビームをウェハ上を1次元スキャンさせて得られた検出器からの信号をスキャン方向で微分することにより、ビームボケ(Blur値)を定量化している。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−077813号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、検出器で得られた信号にノイズが多い場合には、信号の波形がギザギザになり、微分値が発散してしまう(図5参照)。このため、ビームボケ(Blur値)の定量化が困難になるという問題がある。この問題に対して、検出された信号の波形に移動平均化処理をすることによって、微分値を滑らかにすることも試みられている。ところが、この方法によると、例えば、複数の信号の波形の平均を取ることで検出波形がなまるため、Blur値の精度が下がるという問題が生じる。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、半導体集積回路のリソグラフィ等に用いられる荷電粒子線露光装置において、ビームボケの定量化を精度よく行うことのできるビームボケの計測方法等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明のビームボケの計測方法は、エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
本発明においては、空間像センサーに検出された信号に多少ノイズがのっていても、微分値が発散することなく、精度の良い、安定したビームボケの定量化を行うことができる。
【0008】
上記のビームボケの計測方法においては、ビームの微分波形の強度が12%の点と88%の点との間の距離を式
Blur12〜88%={(ln2)/π}1/2×(V/S)
により求めることができる。
【0009】
本発明の第2のビームボケの計測方法は、エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の最小値(ベースライン)近傍と最大値(信号のピーク)近傍を除く領域における前記空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似し、あらかじめ予測しておいたビームボケ(Blur値)の予測値を用いて、前記近似により求めた一次関数とベースラインの交点の近傍に、二次関数で近似する領域(二次近似領域)を定め、前記二次近似領域では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似し、該ビームのボケ(Blur値)を前記SとVから計算し、計算により求められたBlur値を用いて、Blur値が収束するまで前記近似及び計算を繰り返して、Blur値を求めることを特徴とする。
本発明の第2のビームボケ計測方法によれば、Blur値が収束するまで前記近似と計算を繰り返すので、二次近似領域の範囲設定不良等の誤差発生要因をなくすことができ、精度の良いビームボケ計測を行うことができる。
【0010】
本発明のビームボケ計測装置は、感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置におけるビームボケ計測装置であって、前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数のナイフエッジ開口からなる計測用のマークと、該マークの下方に配置された、該マークを通過した荷電粒子線を検出するセンサーと、前記マークの非開口部(ナイフエッジ板)と前記センサーとの間に配置された、該ナイフエッジ板を透過する荷電粒子線の少なくとも相当の部分を遮るビーム制限開口と、前記センサーの検出結果に基づきビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、を備え、得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
【0011】
本発明の荷電粒子線露光装置は、感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置であって、前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数の計測用のマークと、該マークを通過又は反射した荷電粒子線を検出するセンサーと、前記センサーの検出結果に基づき、ビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、を備え、得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図8は、電子線露光装置の光学系主要部の構成及びウェハステージ周りの構成を示す斜視図である。
以下には、電子線露光装置におけるビームボケの計測方法について説明する。
図8に示す電子線露光装置の光学系主要部の上部には、照明ビーム12及びレチクル11が示されている。照明ビーム12は、図示せぬ電子銃から発せられ、図示せぬ照明光学系で成形され、レチクル11に達する。レチクル11は、計測用のレチクル(マスク)であり、矩形開口(計測用パターン)13が形成されている。図には、矩形開口13が1つだけ示されているが、実際には、レチクル11には9個の矩形開口13が形成されている(図9参照)。
【0013】
照明ビーム12は、レチクル11の矩形開口13を通過し、直線状のエッジをもつ矩形ビームEBとなる。なお、通常の露光転写時には、転写したいデバイスパターンが形成されているレチクルを用いる。
【0014】
レチクル11の下方には、上から順に2段の投影レンズ14、15が配置されている。これらの投影レンズ14、15の間には、コントラスト開口17が配置されている。レチクル11の矩形開口13で成形された計測用矩形ビームEBは、上段の投影レンズ14によって集束され、コントラスト開口17にクロスオーバーC.O.を形成する。コントラスト開口17は、レチクル11を散乱を受けつつ透過した電子線をカットする。
【0015】
下段の投影レンズ15の下方には、ウェハ(感応基板)ステージ16が配置されている。このウェハステージ16上には、厚さ約2μmのSi薄膜で形成されるナイフエッジ板2が配置されている。ナイフエッジ板2には、9つのナイフエッジ状基準マーク(図10参照)が配置されている。なお、ウェハステージ16には、通常の転写露光時にウェハを載置するチャック(図示されず)も配置されている。ウェハステージ16の下方には、電子検出器(センサー等)を含むビームボケ計測系18(図11参照)が設けられている。
【0016】
図9は、ビームボケ計測に用いるレチクルのサブフィールドのパターンを示す平面図である。
図9には、X方向のビームボケ計測用のパターンを有するサブフィールド(一括転写露光領域、例えば1mm角)が示されている。図に示すように、サブフィールド11aには、3行3列に均等に配置された矩形開口13a〜13iが形成されている。1行1列目が13a、1行2列目が13b、1行3列目が13c、2行1列目が13d、・・・、3行3列目が13iである。各矩形開口13a〜13iは、Y方向に伸びた長方形をしている。
【0017】
なお、上述のレチクル11上には、このX方向のビームボケ計測用の計測用パターン(矩形開口13a〜13i)とともに、Y方向のビームボケ計測用パターン(X方向の辺の方が長い長方形)を配置することもできる。
【0018】
図10は、ビームボケの計測に用いるナイフエッジ板の開口配置と、同ナイフエッジ板上のビームを示す平面図である。
図には、X方向のビームボケ計測に用いるナイフエッジ板2が示されている。このナイフエッジ板2は、レチクル11の矩形開口13を通過した矩形ビームEBの像面位置に配置されている(図1参照)。また、その大きさは、レチクル11のサブフィールド11aの転写像と等しい大きさ(例えば、250μm角)である。ナイフエッジ板2上には、レチクル11上の9つの矩形開口13i〜13a(図9参照)のそれぞれを通過した矩形ビームEBa〜EBiが示されている。矩形ビームEBa〜EBiは、XY方向に均等な距離を隔てた行列上の位置をとる。
【0019】
ナイフエッジ板2には、3行3列に配置されたナイフエッジ状基準マーク1a〜1iが形成されている。各マーク1a〜1iは、矩形ビームEBよりもわずかにY方向に長く伸びた長方形をしている。図には、マーク1aとビームEBaとがラップし始めている瞬間が示されている。図に示すように、各マーク1a〜1iは、Y方向には均等な距離を隔てて配置されているが、X方向には、(EBa−1a間の距離)<(EBb−1b間の距離)<・・・<(EBh−1h間の距離)<(EBi−1i間の距離)となるように配置されている。
【0020】
なお、ナイフエッジ板2には、X方向に伸びた長方形をしたY方向のビームボケ計測用のマークも配置されている。
【0021】
図11は、電子線露光装置のビームボケ計測系を模式的に示す側面断面図及びブロック図である。
図の上部には、計測ビームEBa〜EBc及びナイフエッジ板2の断面が示されている。ここでは、ナイフエッジ板2のマーク1a〜1c(図10参照)のみが示されている。ナイフエッジ板2上には、レチクルの矩形開口13a〜13c(図9参照)を通過した矩形ビームEBa〜EBc(図10参照)が照射されている。ここでは、矩形ビームEBaの一部が、マーク1aの開口部を通過して下方に進んでいる。
【0022】
ナイフエッジ板2の直下には、マーク1aから1iに対応する位置に9個の開口4a〜4iを有する第1のビーム制限用開口プレート4が配置されている。第1のビーム制限用開口プレート4の平面形状は、ナイフエッジ板2と同様であり、図には、開口4a〜4cのみが示されている。第1のビーム制限用開口プレート4は、十分に厚い(一例で1mm)導電性の金属板であり、このプレート4に当たった電子線は吸収される。
【0023】
開口4a〜4iの寸法は、10μm程度であることが望ましい。ナイフエッジ板2と第1のビーム制限用開口プレート4のギャップは、ナイフエッジ状基準マーク1a〜1iからビーム制限用開口4a〜4iを見込む角θがビームの集束角αよりもわずかに大きくなるような距離にする。例えば、ビームの集束角αを5mradとすると、ナイフエッジ板2と第1のビーム制限用開口プレート4のギャップは1mm程度である。
【0024】
ナイフエッジ状基準マーク1a〜1i上でレチクル11で成形された矩形のビームEBa〜EBiをスキャンすると、ナイフエッジ状基準マーク1a〜1iを通過した電子e1はすべてビーム制限開口4a〜4iを通過する。一方、ナイフエッジ板2の膜部で前方散乱された電子e2及び空間電荷効果調整用ダミービームのほとんどすべては第1のビーム制限用開口プレート4で遮られるため、コントラストはほぼ100%となる。
【0025】
第1のビーム制限用開口プレート4の下方10mm〜20mm程度の位置には、第2のビーム制限用開口プレート5が配置されている。第2のビーム制限用開口プレート5は、十分に厚い(一例で1mm)導電性の金属板であり、このプレート5に当たった電子線は吸収される。
【0026】
第2のビーム制限用開口プレート5の中央部には、φ200μm〜500μm程度の開口5aが設けられている。この第2のビーム制限用開口プレート5を設置することにより、多重散乱されて電子検出器6に向かう電子を遮蔽することができる。これにより、ほぼ100%のコントラストを持って信号を検出することが可能である。
【0027】
第2のビーム制限用開口プレート5の下方には、電子検出器(センサー)6が設置されている。この電子検出器6は、ファラデーカップ、半導体検出器又はシンチレータとフォトマルチプライヤーとを組み合わせたもの等から構成されている。電子検出器6には、プリアンプ7が接続されている。プリアンプ7には微分回路8が接続されており、微分回路8にはオシロスコープ9が接続されている。
【0028】
次に、ビームボケの計測方法の一式について説明する。
図12は、電子線露光装置の結像性能の評価方法を説明するための図である。図12(A)は、ナイフエッジ板に形成された1つのマークを示す平面図であり、図12(B)は、電子検出器で検出されるビーム電流波形を示す図であり、図12(C)は、検出信号の微分波形を示す図であり、図12(D)は、ビームボケの求め方を示す図である。
【0029】
図12(A)に示すように、矩形ビームEBをナイフエッジ状基準マーク1上で矢印方向(右方向)にスキャンすると、時間とともに、マーク1を通過する矩形ビームEBの幅(電子の量)が広くなり、電子検出器6(図11参照)で検出するビーム電流が増加する。そして、マーク1の中央部分からさらにスキャンを続けると、通過ビームの幅が徐々に狭くなって電子検出器6(図11参照)で検出するビーム電流は減少する。このため、検出電流波形は、図12(B)に示すように山形となる。マーク1を通過したビーム電流は、図11に示すプリアンプ7で増幅された後、微分回路8で時間(スキャン距離)に対する変化率に換算される。
【0030】
微分回路8から出力された微分波形の例を図12(C)に示す。計測用矩形ビームEBがビームボケのない理想的なビームの場合、微分波形は矩形波W1となる。しかし、実際はビームボケがあるために、なまった波形W2が出力される。
図12(D)に波形W2の立ち上がり部を拡大して示す。微分波形の強度が12〜88%の範囲において、立ち上がり部の横軸方向の距離tを求める。この距離tを、12〜88%ビームボケ(Blur12〜88%)と定義する。
【0031】
図10に示すように、上述の電子線露光装置においては、ナイフエッジ板2に9つのマーク1a〜1iが、X方向に徐々にずらして設けられている。そのため、計測ビーム群EBa〜EBiを走査すると、マーク1a〜1iを次々と矩形ビームEBa〜EBiが照射し、適当に分割されながらも連続した9つのビーム電流波形を得ることができる。そして、得られた9個の波形を微分処理して、それぞれの立ち上がりを計測することにより、9点でのビームボケをほぼ同時に計測することが可能である。
【0032】
図13は、9個のマークスキャンにより得られる波形を示す図である。図13(A)は、電子検出器で検出されるビーム波形を示す図であり、図13(B)は、検出信号の微分波形を示す図である。
図13(A)には、マーク1a〜1iに矩形ビームEBa〜EBiを照射し、スキャンした際に得られるビーム電流波形が示されている。図には、各マーク1a〜1iに対応した9つの山形の波形が示されている。このビーム電流を図11のプリアンプ7で増幅して微分回路8で時間(スキャン距離)に対する変化率を換算することにより、図13(B)に示す微分波形を得ることができる。この微分回路8の出力波形は、図11のオシロスコープ9で表示される。
【0033】
オシロスコープ9で表示された波形に基づき、サブフィールド内の9つの位置(図9参照)におけるビームボケを計測する。そして、その計測情報を基にビームボケの最大値を最小とするように、又は、サブフィールド内のビームボケの分布が最小となるように、ビーム調整(焦点、非点、倍率、回転等の各種補正値のキャリブレーション)や結像性能の評価を行う。
【0034】
以下、本発明の一実施形態におけるビームボケの導出方法について説明する。なお、以下の説明において、ビームの形状とは、ビームボケを含む形状を意味する。また、強度分布は、ビームの照明一様性の意味を含んでいる。
まず、ビームの形状をガウシアン分布と仮定する。
図2は、ガウシアン分布で近似されたビーム形状を模式的に表す図である。
図の横軸は、スキャン方向を表し、縦軸は、ビーム強度の分布を表している。レチクル上のパターン領域のスリットの幅を図のx=0〜x=bとする。ここで、bは、レチクル11a上のパターン領域のスリット(矩形開口13a〜13i)のX方向の辺の長さであり(図9参照)、図2のx=0及びx=bがビーム波形のエッジ部分となる。ビームの形状をガウシアン分布と仮定すると、x方向のビーム強度分布I(x)は、次の(1)式で表される。ここで、αは、ビーム強度分布の標準偏差であり、Cは定数である。
【数1】
空間像センサーから得られる信号S(x)は、次の(2)式で表される。
【数2】
【0035】
一方、(1)式より、x方向のビーム強度分布I(x)は、(3)式のように書くことができる。ここで、erf(x)は、誤差関数を表す。
【数3】
(3)式をx=0近傍でテーラー展開し、xの1次の項まで残し、また、{(b−x)/α}≫1とすると、次の(4)式が得られる。
【数4】
【0036】
また、(5)式の関係があることから、
【数5】
(x/α)≫1では、
I(x)=(2C/α) (6)
となる。
【0037】
(4)式を(2)式に代入すると、空間像センサーから得られるビームの信号の端部(立ち上がり部)を2次関数で近似した式(7)が得られる。ここで、Const.は積分定数である。
【数6】
(6)式を(2)式に代入すると、信号の中央部(端部以外)を1次関数で近似した式(8)が得られる。ここで、Const.は積分定数である。
S(x)=(2C/α)・x+Const. (8)
【0038】
一方、12〜88%ビームボケ(Blur12〜88%)と、ビーム強度分布の標準偏差αとの間には、次の(9)式の関係がある。
【数7】
したがって、(7)式のx2の係数をS、(8)式のxの係数をVとすると、(7)式〜(9)式より、次の(10)式が得られる。
【数8】
【0039】
ここで、S及びVは、空間像センサーで測定された信号に多少ノイズがのっていても、最小自乗法等でフィッティングをすることにより精度の良い値を得ることが可能である。
【0040】
次に、本発明の一実施形態に係るビームボケの計測方法について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るビームボケの計測方法を示すフローチャートである。
まず、上述のビームボケ計測装置(図8〜図11参照)を用いてビームの信号波形を取得する(S1)。
次に、ビームの空間像の中央部(端部以外)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似する(S2)。一方、ビームの空間像の端部(立ち上がり部)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似する(S3)。
そして、ビームのボケ(Blur値)を上述の(10)式から求める(S4)。
【0041】
図5は、空間像センサーを用いて検出された信号を示すグラフである。
図6は、検出された信号の一次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフであり、図7は、検出された信号の二次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
図5には、空間像センサーで検出された信号の波形が実線で示されている。
図6及び図7においては、検出された信号は◆で示されている。図6に示されている実線(直線)は、検出信号をフィッティングして得られた一次関数であり、図7に示されている実線(曲線)は、検出信号をフィッティングして得られた二次関数である。
【0042】
図5〜図7に示されている検出信号には、ノイズがのっているため、信号波形はギザギザになっている。このため、信号波形を微分すると、微分値が発散してしまうことがある。
本実施形態によれば、最小自乗法で近似した関数を用いてビームボケ(Blur値)を計算するので、ビームの測定結果に多少ノイズがのっていても、精度良く、確実にビームボケの定量化を行うことができる。
【0043】
なお、三次以上のより高次の関数を用いて、フィッティングをすることも考えられるが、計算量が増えるわりには精度が上がらないため、上述の実施形態においては、二次関数を用いることとした。
【0044】
図3は、本発明の別の実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
まず、上述のビームボケ計測装置(図8〜図11参照)を用いてビームの信号波形を取得する(S21)。
次に、一次関数で近似する領域を決定し(S22)、最小自乗法を用いて一次関数で近似を行う(S23)。
【0045】
図4は、フィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。図4(A)は、一次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
S21で取得したビームの信号波形100の最大値をSmax、最小値をSminとし、P=(Smax−Smin)とする。そして、信号強度が0.2Pから0.6Pの間の領域A1を一次関数で近似する領域とする。
【0046】
そして、二次関数で近似する領域を決定し(S24)、最小自乗法を用いて二次関数で近似を行う(S25)。
以下に、Blur値から二次関数で近似する領域を決定する方法について説明する。
図4(B)は、二次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
図4(B)は、信号波形の端部(図4(A)のA2′)を示す拡大図である。
まず、図4(B)に示すように、S23で求めた一次関数(直線100−1)とベースライン(信号の最小値のライン)との交点Qを求める。
次に、あらかじめBlur値を予測しておき、予測値B0を交点Qの両側(W1、W2)にふりわけて、二次関数でフィッティングする領域(二次近似領域)A2を決定する。例えば、W1=W2=B0として、点Qの両側2B0の領域を二次近似領域A2とする。
そして、二次近似領域A2を、最小自乗法を用いて二次関数でフィッティングすると、図4(B)に示す二次曲線100−2が得られる。
【0047】
その次に、ビームのボケ(Blur値)B1を前掲の(10)式から求める(S26)。
そして、計算により求めたビームのボケ(Blur値)から二次関数で近似する領域を決定する(S27)。
その次に、最小自乗法を用いて二次関数で近似を行い(S28)、ビームのボケ(Blur値)B2を前掲の(10)式から求める(S29)。
【0048】
そして、S26で求めたBlur値B1とS29で求めたBlur値B2とを比較する(S30)。
両Blur値が収束していない場合、S27に戻って、S27〜S29の工程を繰り返し、S29でBlur値B3を求めて、新たに求めたBlur値B3と直前の工程で求めたBlur値B2とを比較する。以降、Blur値が収束するまでこの工程を繰り返す。ここで、Blur値の収束の条件は、例えば、最新のBlur値Bnと直前の工程で求めたBlur値Bn−1の比が99%以内((|Bn−Bn−1|/Bn−1)<1%、nは2以上の整数)である。
【0049】
本実施形態によれば、Blur値が収束するまで二次近似領域を設定しなおして、二次関数によるフィッティングとBlur値の計算を繰り返すので、二次近似領域の範囲設定不良等の誤差発生要因をなくすことができ、精度のよいビームボケ計測を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によると、空間像センサーから得られるビームの信号の端部(立ち上がり部)を2次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似し、信号の中央部(端部以外)を1次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似することにより、精度の良い、滑らかなビームの空間像が得られる。これにより、ビームの測定結果に多少ノイズがのっていても、微分値が発散することがないので、確実にビームボケ(Blur値)の定量化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
【図2】ガウシアン分布で近似されたビーム形状を模式的に表す図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
【図4】フィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
(A) 一次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
(B) 二次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
【図5】空間像センサーを用いて検出された信号を示すグラフである。
【図6】検出された信号の一次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
【図7】検出された信号の二次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
【図8】電子線露光装置の光学系主要部の構成及びウェハステージ周りの構成を示す斜視図である。
【図9】ビームボケ計測に用いるレチクルのサブフィールドのパターンを示す平面図である。
【図10】ビームボケの計測に用いるナイフエッジ板の開口配置と、同ナイフエッジ板上のビームを示す平面図である。
【図11】電子線露光装置のビームボケ計測系を模式的に示す側面断面図及びブロック図である。
【図12】電子線露光装置の結像性能の評価方法を説明するための図である。
(A) ナイフエッジ板に形成された1つのマークを示す平面図である。
(B) 電子検出器で検出されるビーム電流波形を示す図である。
(C) 検出信号の微分波形を示す図である。
(D) ビームボケの求め方を示す図である。
【図13】9個のマークスキャンにより得られる波形を示す図である。
(A) 電子検出器で検出されるビーム波形を示す図である。
(B) 検出信号の微分波形を示す図である。
【符号の説明】
100 信号波形
100−1 最小自乗近似により得られた一次関数
100−2 最小自乗近似により得られた二次関数
A1 一次関数で近似する領域
A2 二次関数で近似する領域
11 レチクル
12 照明ビーム
13 矩形開口
14、15 投影レンズ
16 ステージ
17 コントラスト開口
18 ビームボケ計測系
2 ナイフエッジ板
C.O. クロスオーバー
EB 計測用矩形ビーム
11a サブフィールド
13a、13b、・・・、13i 矩形開口
EBa、EBb、・・・、EBi 矩形ビーム
1a、1b、・・・、1i ナイフエッジ状基準マーク
4 第1のビーム制限用開口プレート
4a、4b、・・・、4i 開口
5 第2のビーム制限用開口プレート
5a 開口
6 電子検出器
7 プリアンプ
8 微分回路
9 オシロスコープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路のリソグラフィ等に用いられる荷電粒子線露光装置におけるビームボケの計測方法等に関する。特には、ビームボケの定量化を精度よく行うことのできるビームボケの計測方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線描画装置には、スループット(処理速度)の向上に限界があることが知られている。この電子線描画装置の高スループット化を目的として、大面積のパターンを一括して転写露光するタイプの電子線投影露光装置(EBステッパー等)の開発が進められている。このような一括転写型の露光装置においては、1つのサブフィールドが非常に大きい(一例で250μm角)ため、サブフィールド内におけるビームボケ分布が不均一になることがシミュレーションにより分かっている。また、スループットの向上のために露光に寄与する荷電粒子線の電流を大きくすると、空間電荷効果に起因するサブフィールド内のビームボケの分布が不均一になることもシミュレーションにより分かってきている。そのため、このような投影露光装置においては、サブフィールド内の各部分における電子ビームのボケ(Blur)を計測し、その結果に基づいてビームの調整(焦点、非点、倍率、回転等のキャリブレーション)を行う必要がある。
【0003】
EBステッパーのような転写光学系を用いた荷電粒子線露光装置におけるビームボケの実験的定量化は、空間像センサー(特許文献1参照。)を用いて実現されている。空間像センサーは、数本のスリットが形成されたウェハと、ウェハステージと、制限開口と、その下側に設置された検出器から構成されている。この空間像センサーは、ウェハ上でのピッチが空間像センサーのスリットと一致するように配置されたスリット状のレチクルからのビームをウェハ上を1次元スキャンさせて得られた検出器からの信号をスキャン方向で微分することにより、ビームボケ(Blur値)を定量化している。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−077813号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、検出器で得られた信号にノイズが多い場合には、信号の波形がギザギザになり、微分値が発散してしまう(図5参照)。このため、ビームボケ(Blur値)の定量化が困難になるという問題がある。この問題に対して、検出された信号の波形に移動平均化処理をすることによって、微分値を滑らかにすることも試みられている。ところが、この方法によると、例えば、複数の信号の波形の平均を取ることで検出波形がなまるため、Blur値の精度が下がるという問題が生じる。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、半導体集積回路のリソグラフィ等に用いられる荷電粒子線露光装置において、ビームボケの定量化を精度よく行うことのできるビームボケの計測方法等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明のビームボケの計測方法は、エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
本発明においては、空間像センサーに検出された信号に多少ノイズがのっていても、微分値が発散することなく、精度の良い、安定したビームボケの定量化を行うことができる。
【0008】
上記のビームボケの計測方法においては、ビームの微分波形の強度が12%の点と88%の点との間の距離を式
Blur12〜88%={(ln2)/π}1/2×(V/S)
により求めることができる。
【0009】
本発明の第2のビームボケの計測方法は、エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の最小値(ベースライン)近傍と最大値(信号のピーク)近傍を除く領域における前記空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似し、あらかじめ予測しておいたビームボケ(Blur値)の予測値を用いて、前記近似により求めた一次関数とベースラインの交点の近傍に、二次関数で近似する領域(二次近似領域)を定め、前記二次近似領域では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似し、該ビームのボケ(Blur値)を前記SとVから計算し、計算により求められたBlur値を用いて、Blur値が収束するまで前記近似及び計算を繰り返して、Blur値を求めることを特徴とする。
本発明の第2のビームボケ計測方法によれば、Blur値が収束するまで前記近似と計算を繰り返すので、二次近似領域の範囲設定不良等の誤差発生要因をなくすことができ、精度の良いビームボケ計測を行うことができる。
【0010】
本発明のビームボケ計測装置は、感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置におけるビームボケ計測装置であって、前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数のナイフエッジ開口からなる計測用のマークと、該マークの下方に配置された、該マークを通過した荷電粒子線を検出するセンサーと、前記マークの非開口部(ナイフエッジ板)と前記センサーとの間に配置された、該ナイフエッジ板を透過する荷電粒子線の少なくとも相当の部分を遮るビーム制限開口と、前記センサーの検出結果に基づきビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、を備え、得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
【0011】
本発明の荷電粒子線露光装置は、感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置であって、前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数の計測用のマークと、該マークを通過又は反射した荷電粒子線を検出するセンサーと、前記センサーの検出結果に基づき、ビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、を備え、得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図8は、電子線露光装置の光学系主要部の構成及びウェハステージ周りの構成を示す斜視図である。
以下には、電子線露光装置におけるビームボケの計測方法について説明する。
図8に示す電子線露光装置の光学系主要部の上部には、照明ビーム12及びレチクル11が示されている。照明ビーム12は、図示せぬ電子銃から発せられ、図示せぬ照明光学系で成形され、レチクル11に達する。レチクル11は、計測用のレチクル(マスク)であり、矩形開口(計測用パターン)13が形成されている。図には、矩形開口13が1つだけ示されているが、実際には、レチクル11には9個の矩形開口13が形成されている(図9参照)。
【0013】
照明ビーム12は、レチクル11の矩形開口13を通過し、直線状のエッジをもつ矩形ビームEBとなる。なお、通常の露光転写時には、転写したいデバイスパターンが形成されているレチクルを用いる。
【0014】
レチクル11の下方には、上から順に2段の投影レンズ14、15が配置されている。これらの投影レンズ14、15の間には、コントラスト開口17が配置されている。レチクル11の矩形開口13で成形された計測用矩形ビームEBは、上段の投影レンズ14によって集束され、コントラスト開口17にクロスオーバーC.O.を形成する。コントラスト開口17は、レチクル11を散乱を受けつつ透過した電子線をカットする。
【0015】
下段の投影レンズ15の下方には、ウェハ(感応基板)ステージ16が配置されている。このウェハステージ16上には、厚さ約2μmのSi薄膜で形成されるナイフエッジ板2が配置されている。ナイフエッジ板2には、9つのナイフエッジ状基準マーク(図10参照)が配置されている。なお、ウェハステージ16には、通常の転写露光時にウェハを載置するチャック(図示されず)も配置されている。ウェハステージ16の下方には、電子検出器(センサー等)を含むビームボケ計測系18(図11参照)が設けられている。
【0016】
図9は、ビームボケ計測に用いるレチクルのサブフィールドのパターンを示す平面図である。
図9には、X方向のビームボケ計測用のパターンを有するサブフィールド(一括転写露光領域、例えば1mm角)が示されている。図に示すように、サブフィールド11aには、3行3列に均等に配置された矩形開口13a〜13iが形成されている。1行1列目が13a、1行2列目が13b、1行3列目が13c、2行1列目が13d、・・・、3行3列目が13iである。各矩形開口13a〜13iは、Y方向に伸びた長方形をしている。
【0017】
なお、上述のレチクル11上には、このX方向のビームボケ計測用の計測用パターン(矩形開口13a〜13i)とともに、Y方向のビームボケ計測用パターン(X方向の辺の方が長い長方形)を配置することもできる。
【0018】
図10は、ビームボケの計測に用いるナイフエッジ板の開口配置と、同ナイフエッジ板上のビームを示す平面図である。
図には、X方向のビームボケ計測に用いるナイフエッジ板2が示されている。このナイフエッジ板2は、レチクル11の矩形開口13を通過した矩形ビームEBの像面位置に配置されている(図1参照)。また、その大きさは、レチクル11のサブフィールド11aの転写像と等しい大きさ(例えば、250μm角)である。ナイフエッジ板2上には、レチクル11上の9つの矩形開口13i〜13a(図9参照)のそれぞれを通過した矩形ビームEBa〜EBiが示されている。矩形ビームEBa〜EBiは、XY方向に均等な距離を隔てた行列上の位置をとる。
【0019】
ナイフエッジ板2には、3行3列に配置されたナイフエッジ状基準マーク1a〜1iが形成されている。各マーク1a〜1iは、矩形ビームEBよりもわずかにY方向に長く伸びた長方形をしている。図には、マーク1aとビームEBaとがラップし始めている瞬間が示されている。図に示すように、各マーク1a〜1iは、Y方向には均等な距離を隔てて配置されているが、X方向には、(EBa−1a間の距離)<(EBb−1b間の距離)<・・・<(EBh−1h間の距離)<(EBi−1i間の距離)となるように配置されている。
【0020】
なお、ナイフエッジ板2には、X方向に伸びた長方形をしたY方向のビームボケ計測用のマークも配置されている。
【0021】
図11は、電子線露光装置のビームボケ計測系を模式的に示す側面断面図及びブロック図である。
図の上部には、計測ビームEBa〜EBc及びナイフエッジ板2の断面が示されている。ここでは、ナイフエッジ板2のマーク1a〜1c(図10参照)のみが示されている。ナイフエッジ板2上には、レチクルの矩形開口13a〜13c(図9参照)を通過した矩形ビームEBa〜EBc(図10参照)が照射されている。ここでは、矩形ビームEBaの一部が、マーク1aの開口部を通過して下方に進んでいる。
【0022】
ナイフエッジ板2の直下には、マーク1aから1iに対応する位置に9個の開口4a〜4iを有する第1のビーム制限用開口プレート4が配置されている。第1のビーム制限用開口プレート4の平面形状は、ナイフエッジ板2と同様であり、図には、開口4a〜4cのみが示されている。第1のビーム制限用開口プレート4は、十分に厚い(一例で1mm)導電性の金属板であり、このプレート4に当たった電子線は吸収される。
【0023】
開口4a〜4iの寸法は、10μm程度であることが望ましい。ナイフエッジ板2と第1のビーム制限用開口プレート4のギャップは、ナイフエッジ状基準マーク1a〜1iからビーム制限用開口4a〜4iを見込む角θがビームの集束角αよりもわずかに大きくなるような距離にする。例えば、ビームの集束角αを5mradとすると、ナイフエッジ板2と第1のビーム制限用開口プレート4のギャップは1mm程度である。
【0024】
ナイフエッジ状基準マーク1a〜1i上でレチクル11で成形された矩形のビームEBa〜EBiをスキャンすると、ナイフエッジ状基準マーク1a〜1iを通過した電子e1はすべてビーム制限開口4a〜4iを通過する。一方、ナイフエッジ板2の膜部で前方散乱された電子e2及び空間電荷効果調整用ダミービームのほとんどすべては第1のビーム制限用開口プレート4で遮られるため、コントラストはほぼ100%となる。
【0025】
第1のビーム制限用開口プレート4の下方10mm〜20mm程度の位置には、第2のビーム制限用開口プレート5が配置されている。第2のビーム制限用開口プレート5は、十分に厚い(一例で1mm)導電性の金属板であり、このプレート5に当たった電子線は吸収される。
【0026】
第2のビーム制限用開口プレート5の中央部には、φ200μm〜500μm程度の開口5aが設けられている。この第2のビーム制限用開口プレート5を設置することにより、多重散乱されて電子検出器6に向かう電子を遮蔽することができる。これにより、ほぼ100%のコントラストを持って信号を検出することが可能である。
【0027】
第2のビーム制限用開口プレート5の下方には、電子検出器(センサー)6が設置されている。この電子検出器6は、ファラデーカップ、半導体検出器又はシンチレータとフォトマルチプライヤーとを組み合わせたもの等から構成されている。電子検出器6には、プリアンプ7が接続されている。プリアンプ7には微分回路8が接続されており、微分回路8にはオシロスコープ9が接続されている。
【0028】
次に、ビームボケの計測方法の一式について説明する。
図12は、電子線露光装置の結像性能の評価方法を説明するための図である。図12(A)は、ナイフエッジ板に形成された1つのマークを示す平面図であり、図12(B)は、電子検出器で検出されるビーム電流波形を示す図であり、図12(C)は、検出信号の微分波形を示す図であり、図12(D)は、ビームボケの求め方を示す図である。
【0029】
図12(A)に示すように、矩形ビームEBをナイフエッジ状基準マーク1上で矢印方向(右方向)にスキャンすると、時間とともに、マーク1を通過する矩形ビームEBの幅(電子の量)が広くなり、電子検出器6(図11参照)で検出するビーム電流が増加する。そして、マーク1の中央部分からさらにスキャンを続けると、通過ビームの幅が徐々に狭くなって電子検出器6(図11参照)で検出するビーム電流は減少する。このため、検出電流波形は、図12(B)に示すように山形となる。マーク1を通過したビーム電流は、図11に示すプリアンプ7で増幅された後、微分回路8で時間(スキャン距離)に対する変化率に換算される。
【0030】
微分回路8から出力された微分波形の例を図12(C)に示す。計測用矩形ビームEBがビームボケのない理想的なビームの場合、微分波形は矩形波W1となる。しかし、実際はビームボケがあるために、なまった波形W2が出力される。
図12(D)に波形W2の立ち上がり部を拡大して示す。微分波形の強度が12〜88%の範囲において、立ち上がり部の横軸方向の距離tを求める。この距離tを、12〜88%ビームボケ(Blur12〜88%)と定義する。
【0031】
図10に示すように、上述の電子線露光装置においては、ナイフエッジ板2に9つのマーク1a〜1iが、X方向に徐々にずらして設けられている。そのため、計測ビーム群EBa〜EBiを走査すると、マーク1a〜1iを次々と矩形ビームEBa〜EBiが照射し、適当に分割されながらも連続した9つのビーム電流波形を得ることができる。そして、得られた9個の波形を微分処理して、それぞれの立ち上がりを計測することにより、9点でのビームボケをほぼ同時に計測することが可能である。
【0032】
図13は、9個のマークスキャンにより得られる波形を示す図である。図13(A)は、電子検出器で検出されるビーム波形を示す図であり、図13(B)は、検出信号の微分波形を示す図である。
図13(A)には、マーク1a〜1iに矩形ビームEBa〜EBiを照射し、スキャンした際に得られるビーム電流波形が示されている。図には、各マーク1a〜1iに対応した9つの山形の波形が示されている。このビーム電流を図11のプリアンプ7で増幅して微分回路8で時間(スキャン距離)に対する変化率を換算することにより、図13(B)に示す微分波形を得ることができる。この微分回路8の出力波形は、図11のオシロスコープ9で表示される。
【0033】
オシロスコープ9で表示された波形に基づき、サブフィールド内の9つの位置(図9参照)におけるビームボケを計測する。そして、その計測情報を基にビームボケの最大値を最小とするように、又は、サブフィールド内のビームボケの分布が最小となるように、ビーム調整(焦点、非点、倍率、回転等の各種補正値のキャリブレーション)や結像性能の評価を行う。
【0034】
以下、本発明の一実施形態におけるビームボケの導出方法について説明する。なお、以下の説明において、ビームの形状とは、ビームボケを含む形状を意味する。また、強度分布は、ビームの照明一様性の意味を含んでいる。
まず、ビームの形状をガウシアン分布と仮定する。
図2は、ガウシアン分布で近似されたビーム形状を模式的に表す図である。
図の横軸は、スキャン方向を表し、縦軸は、ビーム強度の分布を表している。レチクル上のパターン領域のスリットの幅を図のx=0〜x=bとする。ここで、bは、レチクル11a上のパターン領域のスリット(矩形開口13a〜13i)のX方向の辺の長さであり(図9参照)、図2のx=0及びx=bがビーム波形のエッジ部分となる。ビームの形状をガウシアン分布と仮定すると、x方向のビーム強度分布I(x)は、次の(1)式で表される。ここで、αは、ビーム強度分布の標準偏差であり、Cは定数である。
【数1】
空間像センサーから得られる信号S(x)は、次の(2)式で表される。
【数2】
【0035】
一方、(1)式より、x方向のビーム強度分布I(x)は、(3)式のように書くことができる。ここで、erf(x)は、誤差関数を表す。
【数3】
(3)式をx=0近傍でテーラー展開し、xの1次の項まで残し、また、{(b−x)/α}≫1とすると、次の(4)式が得られる。
【数4】
【0036】
また、(5)式の関係があることから、
【数5】
(x/α)≫1では、
I(x)=(2C/α) (6)
となる。
【0037】
(4)式を(2)式に代入すると、空間像センサーから得られるビームの信号の端部(立ち上がり部)を2次関数で近似した式(7)が得られる。ここで、Const.は積分定数である。
【数6】
(6)式を(2)式に代入すると、信号の中央部(端部以外)を1次関数で近似した式(8)が得られる。ここで、Const.は積分定数である。
S(x)=(2C/α)・x+Const. (8)
【0038】
一方、12〜88%ビームボケ(Blur12〜88%)と、ビーム強度分布の標準偏差αとの間には、次の(9)式の関係がある。
【数7】
したがって、(7)式のx2の係数をS、(8)式のxの係数をVとすると、(7)式〜(9)式より、次の(10)式が得られる。
【数8】
【0039】
ここで、S及びVは、空間像センサーで測定された信号に多少ノイズがのっていても、最小自乗法等でフィッティングをすることにより精度の良い値を得ることが可能である。
【0040】
次に、本発明の一実施形態に係るビームボケの計測方法について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るビームボケの計測方法を示すフローチャートである。
まず、上述のビームボケ計測装置(図8〜図11参照)を用いてビームの信号波形を取得する(S1)。
次に、ビームの空間像の中央部(端部以外)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似する(S2)。一方、ビームの空間像の端部(立ち上がり部)では、最小自乗法を用いて、空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似する(S3)。
そして、ビームのボケ(Blur値)を上述の(10)式から求める(S4)。
【0041】
図5は、空間像センサーを用いて検出された信号を示すグラフである。
図6は、検出された信号の一次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフであり、図7は、検出された信号の二次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
図5には、空間像センサーで検出された信号の波形が実線で示されている。
図6及び図7においては、検出された信号は◆で示されている。図6に示されている実線(直線)は、検出信号をフィッティングして得られた一次関数であり、図7に示されている実線(曲線)は、検出信号をフィッティングして得られた二次関数である。
【0042】
図5〜図7に示されている検出信号には、ノイズがのっているため、信号波形はギザギザになっている。このため、信号波形を微分すると、微分値が発散してしまうことがある。
本実施形態によれば、最小自乗法で近似した関数を用いてビームボケ(Blur値)を計算するので、ビームの測定結果に多少ノイズがのっていても、精度良く、確実にビームボケの定量化を行うことができる。
【0043】
なお、三次以上のより高次の関数を用いて、フィッティングをすることも考えられるが、計算量が増えるわりには精度が上がらないため、上述の実施形態においては、二次関数を用いることとした。
【0044】
図3は、本発明の別の実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
まず、上述のビームボケ計測装置(図8〜図11参照)を用いてビームの信号波形を取得する(S21)。
次に、一次関数で近似する領域を決定し(S22)、最小自乗法を用いて一次関数で近似を行う(S23)。
【0045】
図4は、フィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。図4(A)は、一次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
S21で取得したビームの信号波形100の最大値をSmax、最小値をSminとし、P=(Smax−Smin)とする。そして、信号強度が0.2Pから0.6Pの間の領域A1を一次関数で近似する領域とする。
【0046】
そして、二次関数で近似する領域を決定し(S24)、最小自乗法を用いて二次関数で近似を行う(S25)。
以下に、Blur値から二次関数で近似する領域を決定する方法について説明する。
図4(B)は、二次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
図4(B)は、信号波形の端部(図4(A)のA2′)を示す拡大図である。
まず、図4(B)に示すように、S23で求めた一次関数(直線100−1)とベースライン(信号の最小値のライン)との交点Qを求める。
次に、あらかじめBlur値を予測しておき、予測値B0を交点Qの両側(W1、W2)にふりわけて、二次関数でフィッティングする領域(二次近似領域)A2を決定する。例えば、W1=W2=B0として、点Qの両側2B0の領域を二次近似領域A2とする。
そして、二次近似領域A2を、最小自乗法を用いて二次関数でフィッティングすると、図4(B)に示す二次曲線100−2が得られる。
【0047】
その次に、ビームのボケ(Blur値)B1を前掲の(10)式から求める(S26)。
そして、計算により求めたビームのボケ(Blur値)から二次関数で近似する領域を決定する(S27)。
その次に、最小自乗法を用いて二次関数で近似を行い(S28)、ビームのボケ(Blur値)B2を前掲の(10)式から求める(S29)。
【0048】
そして、S26で求めたBlur値B1とS29で求めたBlur値B2とを比較する(S30)。
両Blur値が収束していない場合、S27に戻って、S27〜S29の工程を繰り返し、S29でBlur値B3を求めて、新たに求めたBlur値B3と直前の工程で求めたBlur値B2とを比較する。以降、Blur値が収束するまでこの工程を繰り返す。ここで、Blur値の収束の条件は、例えば、最新のBlur値Bnと直前の工程で求めたBlur値Bn−1の比が99%以内((|Bn−Bn−1|/Bn−1)<1%、nは2以上の整数)である。
【0049】
本実施形態によれば、Blur値が収束するまで二次近似領域を設定しなおして、二次関数によるフィッティングとBlur値の計算を繰り返すので、二次近似領域の範囲設定不良等の誤差発生要因をなくすことができ、精度のよいビームボケ計測を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によると、空間像センサーから得られるビームの信号の端部(立ち上がり部)を2次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似し、信号の中央部(端部以外)を1次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似することにより、精度の良い、滑らかなビームの空間像が得られる。これにより、ビームの測定結果に多少ノイズがのっていても、微分値が発散することがないので、確実にビームボケ(Blur値)の定量化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
【図2】ガウシアン分布で近似されたビーム形状を模式的に表す図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係るビームボケ計測方法を示すフローチャートである。
【図4】フィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
(A) 一次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
(B) 二次関数でフィッティングする領域を決定する方法を説明するための図である。
【図5】空間像センサーを用いて検出された信号を示すグラフである。
【図6】検出された信号の一次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
【図7】検出された信号の二次関数を用いてフィッティングした部分を示すグラフである。
【図8】電子線露光装置の光学系主要部の構成及びウェハステージ周りの構成を示す斜視図である。
【図9】ビームボケ計測に用いるレチクルのサブフィールドのパターンを示す平面図である。
【図10】ビームボケの計測に用いるナイフエッジ板の開口配置と、同ナイフエッジ板上のビームを示す平面図である。
【図11】電子線露光装置のビームボケ計測系を模式的に示す側面断面図及びブロック図である。
【図12】電子線露光装置の結像性能の評価方法を説明するための図である。
(A) ナイフエッジ板に形成された1つのマークを示す平面図である。
(B) 電子検出器で検出されるビーム電流波形を示す図である。
(C) 検出信号の微分波形を示す図である。
(D) ビームボケの求め方を示す図である。
【図13】9個のマークスキャンにより得られる波形を示す図である。
(A) 電子検出器で検出されるビーム波形を示す図である。
(B) 検出信号の微分波形を示す図である。
【符号の説明】
100 信号波形
100−1 最小自乗近似により得られた一次関数
100−2 最小自乗近似により得られた二次関数
A1 一次関数で近似する領域
A2 二次関数で近似する領域
11 レチクル
12 照明ビーム
13 矩形開口
14、15 投影レンズ
16 ステージ
17 コントラスト開口
18 ビームボケ計測系
2 ナイフエッジ板
C.O. クロスオーバー
EB 計測用矩形ビーム
11a サブフィールド
13a、13b、・・・、13i 矩形開口
EBa、EBb、・・・、EBi 矩形ビーム
1a、1b、・・・、1i ナイフエッジ状基準マーク
4 第1のビーム制限用開口プレート
4a、4b、・・・、4i 開口
5 第2のビーム制限用開口プレート
5a 開口
6 電子検出器
7 プリアンプ
8 微分回路
9 オシロスコープ
Claims (5)
- エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、
空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、
該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、
該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、
該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、
該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とするビームボケの計測方法。 - ビームの微分波形の強度が12%の点と88%の点との間の距離を式
Blur12〜88%={(ln2)/π}1/2×(V/S)
により求めることを特徴とする請求項1記載のビームボケの計測方法。 - エネルギー線束(ビーム)のボケを計測する方法であって、
空間像センサーで該ビームの形状の空間積分値を得、
該ビームの形状をガウシアン分布と仮定し、
該ビームの空間像の最小値(ベースライン)近傍と最大値(信号のピーク)近傍を除く領域における前記空間積分値を一次関数Vx+W(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、V及びWは定数)で近似し、
あらかじめ予測しておいたビームボケ(Blur値)の予測値を用いて、前記近似により求めた一次関数とベースラインの交点の近傍に、二次関数で近似する領域(二次近似領域)を定め、
前記二次近似領域では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(S、T及びUは定数)で近似し、
該ビームのボケ(Blur値)を前記SとVから計算し、
計算により求められたBlur値を用いて、Blur値が収束するまで前記近似及び計算を繰り返して、Blur値を求めることを特徴とするビームボケの計測方法。 - 感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置におけるビームボケ計測装置であって、
前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数のナイフエッジ開口からなる計測用のマークと、
該マークの下方に配置された、該マークを通過した荷電粒子線を検出するセンサーと、
前記マークの非開口部(ナイフエッジ板)と前記センサーとの間に配置された、該ナイフエッジ板を透過する荷電粒子線の少なくとも相当の部分を遮るビーム制限開口と、
前記センサーの検出結果に基づきビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、
を備え、
得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、
該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、
該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、
該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とするビームボケ計測装置。 - 感応基板上に転写すべき原版パターンを有するレチクルを荷電粒子線照明し、該レチクルを通過した荷電粒子線を前記感応基板上に投影結像させて転写パターンを形成する荷電粒子線露光装置であって、
前記感応基板上の転写パターンの位置(像面位置)に配置された、複数の計測用のマークと、
該マークを通過又は反射した荷電粒子線を検出するセンサーと、
前記センサーの検出結果に基づき、ビームのボケを計測するビームボケ計測手段と、
を備え、
得られたビームの形状をガウシアン分布と仮定し、
該ビームの空間像の立ち上がり部では、前記空間積分値を二次関数Sx2+Tx+U(xはセンサーのスキャン方向の移動距離、S、T及びUは定数)で近似し、
該ビームの空間像の中央部では、前記空間積分値を一次関数Vx+W(V及びWは定数)で近似し、
該ビームのボケを前記SとVから求めることを特徴とする荷電粒子線露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160611A JP2004362962A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | ビームボケの計測方法、ビームボケ計測装置及び荷電粒子線露光装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007188671A (ja) * | 2006-01-11 | 2007-07-26 | Nuflare Technology Inc | 荷電粒子ビームのビーム強度分布測定方法及び荷電粒子ビームのビーム分解能測定方法 |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160611A patent/JP2004362962A/ja active Pending
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