JP2004361494A - カラーフィルタ基板及びその製造方法、電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できるようにすること、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えること及びオーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができるカラーフィルタ基板を提供する。
【解決手段】基材2と、基材2の表面に形成された複数のフィルタ要素9と、複数のフィルタ要素9を囲むように形成される枠状のバンク5と、バンク5によって囲まれる領域に液滴吐出によって形成されたオーバーコート層11とを有するカラーフィルタ基板1である。R,G,Bのフィルタ要素9は、格子状パターンに形成されたバンク4によって形成されるドットマトリクス状に並んだ領域6の内部領域に液滴吐出によって形成するのが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】基材2と、基材2の表面に形成された複数のフィルタ要素9と、複数のフィルタ要素9を囲むように形成される枠状のバンク5と、バンク5によって囲まれる領域に液滴吐出によって形成されたオーバーコート層11とを有するカラーフィルタ基板1である。R,G,Bのフィルタ要素9は、格子状パターンに形成されたバンク4によって形成されるドットマトリクス状に並んだ領域6の内部領域に液滴吐出によって形成するのが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー表示を行う際に用いられるカラーフィルタ基板及びその製造方法に関する。また本発明は、液晶装置やエレクトロルミネッセンス装置等といった電気光学装置及びその製造方法に関する。また本発明は、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA(Personal Digital Assistant)等といった電子機器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA等といった電子機器に、液晶装置やエレクトロルミネッセンス装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示するために電気光学装置が用いられている。
【0003】
電気光学装置として液晶装置を考えた場合、その液晶装置によってカラー表示を行うときには、その液晶装置の内部にカラーフィルタ基板が設けられる。カラーフィルタ基板は、例えば、透光性のガラス等によって形成された基材上にカラーフィルタを形成することによって作製される。カラーフィルタとは、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のフィルタ要素や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色のフィルタ要素を平面内に所定の配列で並べることによって形成された光学要素である。
【0004】
基材上に形成されたカラーフィルタの上には、さらに、オーバーコート層が形成されることがある。このオーバーコート層は、保護層又は保護膜等と呼ばれることもある。従来、このオーバーコート層を液滴吐出技術、例えばインクジェット技術を用いて行う方法が知られている。また、カラーフィルタを構成する複数のフィルタ要素の最外縁に沿って複数の隔壁を設け、オーバーコート層が基材上で必要以上に広がることをそれらの隔壁によって防止するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−196124(第6〜8頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオーバーコート層の形成技術においては、上記複数の隔壁がくし歯状に形成されていたので、基材上に塗布されたオーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御することができないおそれがあった。また、オーバーコート層の広がりを抑制することが必ずしも十分でなかった。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができないおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できるようにすること、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えること及びオーバーコート層の表面を正確に平坦にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1のカラーフィルタ基板は、基材と、該基材の表面に形成された複数のフィルタ要素と、該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の区分け要素と、該区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成において、「基材」は、例えば、透光性のガラスや透光性のプラスチック等によって形成される。また、「区分け要素」は、例えば、基材上に突出するバンクや、基材上に形成される撥インク層によって構成される。この撥インク層は、基材の表面からほとんど突出することなく形成することができる。バンクは、基材上に突出することにより基材表面における液状のフィルタ要素の材料の流れを阻止する。また、撥インク層は、基材表面にける液状のフィルタ要素の材料の流れを撥インク性によって阻止する。
【0010】
「複数のフィルタ要素」の各々は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色の色を透過する材料によって形成される。通常、それら各色のフィルタ要素は基材上で所定の配列、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等に並べられる。一般に、1つのフィルタ要素は表示の最小単位である表示用ドット領域に対応する。そして、R,G,Bの3色の領域の集まりやC,M,Yの3色の領域の集まりによって1つの画素が形成される。これらのフィルタ要素の形成方法は特別のものに限定されないが、例えば、インクジェット技術を用いて基材上に液滴として吐出したり、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング技術によって形成したりすることができる。
【0011】
また、「フィルタ要素の材料」、すなわちフィルタ材料は、R、G、Bや、C、M、Yの色を有する材料によって構成される。この材料の材質は、特別のものに限定されないが、例えば、レジン等の透明材を含有する各色着色材料と、エチレングリコール等といったグリコール系の溶媒とから成る液状物とすることができる。また、顔料、界面活性剤及び溶媒によって構成される固形分を適宜の溶媒に溶かすことによって構成された液状物とすることもできる。これらの液状物は、インクジェット技術を用いる場合に好適である。
【0012】
本発明では、「オーバーコート層」は液滴吐出技術を用いて基材上に塗布される。ここで、「液滴吐出技術」は、特定の構造に限定されるものではないが、例えば、インクジェット技術として知られている液滴吐出構造を用いることが好ましい。この場合には、インクジェット用のノズルから液滴が吐出されることになる。
【0013】
上記のインクジェット技術は、例えば、インク貯留室に圧電素子及びノズルを付設し、圧電素子の振動によるインク貯留室の体積変化に応じてノズルからインク、すなわち液状物を液滴として吐出する技術であることが好ましい。また、インクジェット技術は、例えば、インク貯留室内に貯留されたインクを加熱によって膨張させることによりノズルからインクを液滴として吐出する技術とすることもできる。
【0014】
上記構成より成る本発明のカラーフィルタ基板によれば、基材上におけるオーバーコート層の広がりが区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0015】
また、本発明のカラーフィルタ基板において、前記区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0016】
次に、本発明に係る第2のカラーフィルタ基板は、基材と、該基材の表面に形成されて該基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素と、前記複数の領域内に設けられてなる複数のフィルタ要素と、該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の第2区分け要素と、該第2区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層とを有することを特徴とする。この第2のカラーフィルタ基板において先の第1のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0017】
この第2のカラーフィルタ基板が上記の第1のカラーフィルタ基板と異なる点は、第1のカラーフィルタ基板では1種類の区分け要素だけが用いられるのに対し、第2のカラーフィルタ基板では、第1区分け要素と第2区分け要素の2種類の区分け要素が用いられることである。
【0018】
この第2のカラーフィルタ基板において、第1区分け要素はフィルタ要素を形成するための複数の領域を区分けするためのものである。一方、第2区分け要素はオーバーコート層の形成領域を画定するためのものである。つまり、本発明における第2区分け要素が先の第1のカラーフィルタ基板における区分け要素に相当し、本発明ではこの区分け要素の他に第1区分け要素が用いられる。
【0019】
第1区分け要素によって区分けされる領域の個々には、R,G,Bの3色から選択される1色の材料や、C,M,Yの3色から選択される1色の材料が供給される。そして、R,G,Bの3つの領域の集まり又はC,M,Yの3つの領域の集まりによって1つの画素が形成される。このように、第1区分け要素はフィルタ要素を形成するための複数の領域を形成するためのものであるので、この第1区分け要素を用いた本発明は、フィルタ要素を液滴吐出技術を用いて形成する場合に好適である。
【0020】
上記構成より成る第2のカラーフィルタ基板によれば、基材上におけるオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0021】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0022】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同じ材料によって形成されることが好ましい。この構成は、第1区分け要素と第2区分け要素とを同一の工程で形成することによって実現できる。このように第1区分け要素と第2区分け要素とを同一の工程で形成するようにすれば、製造工程を簡略化できる。
【0023】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記複数のフィルタ要素は任意の方法、例えば、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング方法や、液滴吐出技術を用いた方法等によって形成できる。しかしながら、第1区分け要素を用いて複数のフィルタ要素の形成領域を区画するようにした第2のカラーフィルタ基板に関しては、液滴吐出技術を適用することが好ましい。
【0024】
次に、本発明に係る第1のカラーフィルタ基板の製造方法は、基材上に複数のフィルタ要素を形成する工程と、該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の区分け要素を形成する工程と、該区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程とを有することを特徴とする。この第1のカラーフィルタ基板の製造方法において上記の第1カラーフィルタ基板又は第2のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0025】
この第1のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、上記の第1のカラーフィルタ基板を製造できる。こうして製造される第1のカラーフィルタ基板においては、基材上におけるオーバーコート層の広がりが区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0026】
また、上記第1のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0027】
次に、本発明に係る第2のカラーフィルタ基板の製造方法は、基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素を形成する工程と、前記複数の領域内に複数のフィルタ要素を形成する工程と、該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の第2区分け要素を形成する工程と、該第2区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程とを有することを特徴とする。この第2のカラーフィルタ基板の製造方法において上記の第1カラーフィルタ基板又は第2のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0028】
この第2のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、上記の第2のカラーフィルタ基板を製造できる。こうして製造される第2のカラーフィルタ基板においては、基材上におけるオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0029】
上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0030】
また、上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同一工程で形成されることが好ましい。こうすれば、カラーフィルタ基板の製造工程を簡略化できる。
【0031】
また、上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記複数のフィルタ要素は任意の方法、例えば、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング方法や、液滴吐出技術を用いた方法等によって形成できる。しかしながら、第1区分け要素を用いて複数のフィルタ要素の形成領域を区画するようにした第2のカラーフィルタ基板の製造方法に関しては、前記複数のフィルタ要素は液滴吐出によって形成されることが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る電気光学装置は、上記構成のカラーフィルタ基板と、該カラーフィルタ基板上に形成された電気光学物質層とを有することを特徴とする。ここで、「電気光学物質層」は、電気光学物質によって形成される層のことである。また、電気光学物質とは、電界の印加に応じて光学的な特性が変化する物質のことであり、例えば、液晶、エレクトロルミネッセンスの発光要素等が考えられる。このような電気光学装置としては、例えば、液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置等が考えられる。
【0033】
この構成の電気光学装置によれば、その電気光学装置を構成するカラーフィルタ基板に関して、そのカラーフィルタ基板を構成する基材上においてオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0034】
次に、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、上記構成のカラーフィルタ基板の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする。この電気光学装置の製造方法によれば、上記の電気光学装置を製造できる。
【0035】
次に、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置と、該電気光学装置の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする。このような電子機器としては、例えば、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA、デジタルカメラ等が考えられる。
【0036】
本発明の電子機器によれば、その電子機器内に含まれる電気光学装置を構成するカラーフィルタ基板に関して、そのカラーフィルタ基板を構成する基材上においてオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0037】
次に、本発明に係る電子機器の製造方法は、以上に記載した電気光学装置の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする。この電子機器の製造方法によれば、上記の電子機器を製造できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(カラーフィルタ基板の実施形態)
以下、本発明に係るカラーフィルタ基板及びその製造方法を一実施形態を挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
【0039】
図1はカラーフィルタ基板の一実施形態の平面構造を示している。また、図4(l)は図1のA−A線に従ったカラーフィルタ基板の断面構造を示している。これらの図に示すように、カラーフィルタ基板1は、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された基材2と、その基材2の上に形成された遮光層3と、その遮光層3の上に形成された第1区分け要素としての色インク用バンク4と、基材2の上に形成された第2区分け要素としてのオーバーコート用バンク5とを有する。
【0040】
遮光層3は、例えば、遮光性の金属又は樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成される。また、色インク用バンク4は、例えば撥インク性の感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成される。また、オーバーコート用バンク5は、例えば、色インク用バンク4と同じ材料によって同一工程で形成される。
【0041】
図1に示すように、遮光層3及び色インク用バンク4は、ドットマトリクス状に並ぶ複数の表示用ドット領域6を形成するために格子状に形成されている。そして、特定波長の光を透過するフィルタ要素9がその表示用ドット領域6の中に設けられている。
【0042】
複数の表示用ドット領域6には、G色に対応する領域6g、R色に対応する領域6r、そしてB色に対応する領域6bの3種類が含まれるが、それらは全て同じ形状、例えば長方形状、正方形状に形成される。また、G色領域6gの中にはG色フィルタ要素9gが形成され、R色領域6rの中にはR色フィルタ要素9rが形成され、そして、B色領域6bの中にはB色フィルタ要素9bが形成されている。
【0043】
複数のフィルタ要素6の並べ方としては、図5(a)に示すようなストライプ配列や、図5(b)に示すようなモザイク配列や、図5(c)に示すようなデルタ配列や、その他の種々の並べ方を採用できるが、本実施形態では図5(a)に示すストライプ配列を採用するものとする。なお、ストライプ配列とは、R,G,Bのそれぞれの色が縦方向に1列に並び、横方向に順番に1つずつ繰り返して変化する配列である。また、モザイク配列とは、R,G,Bが縦列と横列の両方で順番に繰り返して並べられる配列である。また、デルタ配列とは、R,G,Bが三角形の頂点に相当する位置に配列されると共に横列方向でR,G,Bが順番に繰り返して並べられる配列である。
【0044】
オーバーコート用バンク5は、図1に示すように、複数のフィルタ要素9を囲むように正方形状又は長方形状の枠状に形成されている。そして、そのオーバーコート用バンク5によって囲まれる領域の中に、図4(l)に示すように、全てのフィルタ要素9を覆うようにオーバーコート層11が設けられる。
【0045】
このオーバーコート層11は、例えば次のように機能する。第1に、保護膜の形成によってカラーフィルタ基板の表面を平坦化することにより、そのカラーフィルタ基板の表面に電極が形成される際、その電極が切れることを防止する。第2に、保護膜上の電極の低抵抗化によって画素間のコントラスト比を向上させる。第3に、保護膜形成後に続いて行われる工程においてカラーフィルタ基板内の画素が傷付くことを防止する。第4に、カラーフィルタ基板が液晶装置に用いられる場合にセルギャップ内へ液晶が封入された後、カラーフィルタ基板から液晶へ不純物が拡散することを防止する。
【0046】
フィルタ要素9の形成方法は任意に選定できるが、例えば、R、G、Bの各色の顔料を含んだ材料をフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によってパターニングする方法や、液滴吐出技術すなわちインクジェット技術を用いた方法等によってフィルタ要素9を形成できる。また、オーバーコート層11は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂等といった樹脂のいずれか1つをインクジェット技術によって液滴として吐出することにより、オーバーコート層用バンク5で囲まれる領域内に供給して形成する。
【0047】
以上のようにして形成されたカラーフィルタ基板1においては、R、G、Bの3色のカラーフィルタ要素9を1つのユニットとして1つの画素が構成され。この画素が平面内で多数個、マトリクス状に配列される。そして、これらの画素に光、例えば白色光を供給したときに、各カラーフィルタ要素9によって特定の色成分を選択的に透過させる。透過した各色の光の平面内での組み合わせにより、文字、数字、図形等といった像をカラー表示できる。
【0048】
本実施形態のカラーフィルタ基板1では、複数のカラーフィルタ要素9の最外周縁の周りをオーバーコート層用バンク5で取り囲んだので、オーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0049】
(変形例)
上記実施形態では、色インク用バンク4とオーバーコート用バンク5とを同じ材料によって同一工程で形成したが、これらを異なる材料を用いて異なる工程で形成することもできる。
【0050】
(カラーフィルタ基板の製造方法の実施形態)
以下、本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態を、図1及び図4(l)に示したカラーフィルタ基板を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
【0051】
カラーフィルタ基板の製造方法の説明に先立って、まず、その製造方法を実現できる製造装置について説明する。図6は、そのようなカラーフィルタ基板の製造装置の一例を示している。この製造装置201は、フィルタ形成部202と、材料供給部203とを有する。フィルタ形成部202は、ベース206と、このベース206上に設置されたX方向駆動系207xと、同じくベース206上に設置されたY方向駆動系207yとを有する。
【0052】
X方向駆動系207xは、駆動モータ211と、その駆動モータ211によって駆動されて自身の中心軸線を中心として回転するネジ軸212とを有する。ネジ軸212には、記録ヘッド213がネジ嵌合している。駆動モータ211が作動してネジ軸212が正時計回転又は反時計回転すると、それにネジ嵌合する記録ヘッド213が矢印X方向で往復移動する。
【0053】
Y方向駆動系207yは、ベース206上に固定されたネジ軸216と、そのネジ軸216に嵌合する嵌合部材を回転駆動する駆動モータ217と、この駆動モータ217に固定されたステージ218とを有する。ステージ218は、フィルタ形成処理を受けるカラーフィルタ基板の基材2を支持するための基材支持手段として機能する。この基材2はステージ218上に載せられた上、容易には位置ズレしないように、例えば、空気吸引によって吸着固定されたり、適宜の機械的なクランプ機構によって固定されたりする。Y方向モータ217が作動して上記の嵌合部材が正時計回転又は反時計回転すると、ステージ218がネジ軸216にガイドされて矢印Y方向で往復移動する。Y方向は上記のX方向に直角の方向である。
【0054】
Y方向駆動系207yを構成するネジ軸216上にはクリーニング装置208が配設され、このクリーニング装置208と一体なモータ209の出力軸がネジ軸216にネジ嵌合している。モータ209を作動させてクリーニング装置208を記録ヘッド213の所まで搬送すれば、このクリーニング装置208によって記録ヘッド213をクリーニングすることができる。
【0055】
材料供給部203にはフィルタ要素の材料やオーバーコート層の材料等を貯留した容器222が配置される。そして、容器222と記録ヘッド213とはパイプ223によってつながっている。このパイプ223を通して、容器222内の液状材料が記録ヘッド213内へ供給される。
【0056】
なお、本実施形態においてR,G,Bの3色によってカラーフィルタを形成する場合には、製造装置201がR色用、G色用、B色用の3種類用意されて、それらが別々の場所に設置され、個々の製造装置201の容器222の中にはR,G,Bのそれぞれの色のフィルタ材料が1色ずつ収容される。また、本実施形態ではオーバーコート層11をインクジェット技術を用いて形成するので、オーバーコート層11を形成する工程にも図6に示す製造装置201が設置され、この製造装置201の容器222内にはオーバーコート層11のための液状材料が収容される。
【0057】
図6のフィルタ形成部202を構成する記録ヘッド213の底面には、例えば図8に示すようなインクジェットヘッド22が1つ又は複数設けられている。このインクジェットヘッド22は、ほぼ長方形状のケーシング20を有し、そのケーシング20の底面には複数のノズル27が設けられている。これらのノズル27は、直径約0.02〜0.1mm程度の微小な開口を有する。
【0058】
本実施形態では、複数のノズル27は2列にわたって設けられ、これにより、2本のノズル列28,28が形成されている。個々のノズル列28において、ノズル27は一定の間隔で直線上に設けられている。これらのノズル列28には、矢印Bで示す方向から液状材料が供給される。供給された液状材料は圧電素子の振動に従って各ノズル27から微小な液滴として吐出される。なお、ノズル列28の個数は、1本又は3本以上であっても良い。
【0059】
インクジェットヘッド22は、図9に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート29と、それに対向して配置された振動板31と、その両者を互いに接合する複数の仕切り部材32とを有する。また、ノズルプレート29と振動板31との間には、液状材料を貯留するための複数の貯留室33と、液状材料が一時的に溜る個所である液溜り34とが、各仕切り部材32によって形成されている。さらに、複数の貯留室33と液溜り34とが通路38を介して互いに連通している。また、振動板31の適所に液状材料の供給孔36が形成されており、この供給孔36に図6のパイプ223を介して容器222が接続されている。容器222から供給された液状材料M0は、液溜り34に充填され、さらに、通路38を通って貯留室33に充填される。
【0060】
インクジェットヘッド22の一部を構成するノズルプレート29には、液状材料を貯留室33からジェット状に噴射するためのノズル27が設けられている。このノズル27が複数個並べられてノズル列28を構成することは図8に関連して既述した通りである。また、振動板31において貯留室33に対応する面には液状材料を加圧するための加圧体39が取り付けられている。この加圧体39は、図10に示すように、圧電素子41及びこれを挟持する一対の電極42a及び42bを有している。
【0061】
圧電素子41は、電極42a及び42bへの通電によって矢印Cで示す外側へ突出するように撓み変形し、これにより貯留室33の容積を増大させる機能を有する。そして、貯留室33の容積が増大すると、その増大した容積分に相当する液状材料M0が液溜り34から通路38を通って貯留室33内へ流入する。
【0062】
一方、圧電素子41への通電を解除すると、圧電素子41と振動板31とが共に元の形状に戻り、貯留室33も元の容積に戻る。そのため、貯留室33の内部にある液状材料の圧力が上昇し、ノズル27から液状材料が液滴8となって吐出される。なお、液滴8は、液状材料に含まれる溶剤等の種類にかかわらず、微小な液滴としてノズル27から安定して吐出される。
【0063】
カラーフィルタ基板の製造装置201は、図7に示す制御装置90を有する。この制御装置90は、図6のフィルタ形成部202内のX方向モータ211、Y方向モータ217及び記録ヘッド213の各要素の動作を制御する。なお、製造装置201は、図6のクリーニング用モータ209の動作を制御する制御部も有するが、その制御部についての詳しい説明は省略する。
【0064】
制御装置90は、コンピュータによって構成された駆動信号制御部91と、コンピュータによって構成されたヘッド位置制御部92とを有する。これらの制御部は信号線97を通して互いに情報を共有できるようになっている。駆動信号制御部91は、記録ヘッド213を駆動するための波形S0をアナログアンプ93へ出力する。また、駆動信号制御部91は、液状材料をいずれの位置に吐出するかを示すビットマップデータS1をタイミング制御部94へ出力する。
【0065】
アナログアンプ93は、上記の波形S0を増幅して中継回路95へ伝送する。タイミング制御部94は、クロックパルス回路を内蔵し、上記のビットマップデータS1に従って吐出タイミング信号S2を中継回路95へ出力する。中継回路95は、タイミング制御部94から送られた吐出タイミング信号S2に従って、アナログアンプ93から送られた波形S0を記録ヘッド213の入力ポートへ出力する。
【0066】
ヘッド位置制御部92は、X−Y制御回路96へ記録ヘッド213の位置に関する情報S3を出力する。X−Y制御回路96は、送られてきた記録ヘッド213の位置情報S3に基づいて、X方向における記録ヘッド213の位置を制御する信号をX方向モータ211に対して出力し、さらに、Y方向におけるステージ218の位置を制御する信号をY方向モータ217に対して出力する。
【0067】
駆動信号制御部91及びヘッド位置制御部92に関する以上の構成により、記録ヘッド213は、ステージ218に載置された基材2の希望の座標位置が到来したときに液状材料を液滴として吐出し、これにより、基材2上の希望位置に液状材料の液滴が着弾して塗布される。
【0068】
次に、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて行われる、カラーフィルタ基板の製造方法について説明する。図2〜図4はその製造方法を構成する各工程を工程順に示している。また、図4(l)が目標とするカラーフィルタ基板1を示している。
【0069】
まず、図2(a)において、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された基材2の上に、遮光層3を形成する材料として、クロム、ニッケル、アルミニウム等を材料として、例えばドライメッキ法を用いて金属薄膜3aを形成する。この場合、金属薄膜3aの厚さは、0.1〜0.5μm程度であることが望ましい。
【0070】
次に、図2(b)において、感光性樹脂であるレジスト7aを一様な厚さで塗布し、そのレジスト7aをマスクを介して露光し、さらに現像して、レジスト7aを所定のパターンに形成する。次に、このレジストパターンをマスクとして金属薄膜3aをエッチングして、図2(c)に示すように、所定形状、本実施形態では矢印A方向から見て格子形状の遮光層3を形成する。
【0071】
次に、図2(d)において、遮光層3の上に、感光性樹脂4aを一様な厚さで形成し、これにフォトリソグラフィ処理を施して図3(e)に示すように所定パターンの色インク用バンク4を遮光層3と同じ形状、すなわち格子形状に形成する。また同時に、オーバーコート用バンク5を図1に示す長方形又は正方形の枠状に形成する。なお、ここでいう枠状とは、完全に閉じた形状の枠状であっても良いし、場合によっては、液状材料が外へ漏れ出ることがない程度に微細な開口が形成されるような枠状、すなわち完全には閉じていない状態の枠状であっても良い。また、色インク用バンク4の高さは1.0μm程度に形成するのが望ましい。バンク4及び5は、基材2の表面を、液滴を吐出するための領域に区分けする区分け要素として作用する。
【0072】
色インク用バンク4を形成することにより、基材2上にそのバンク4によって区分けされた複数の表示用ドット領域6が形成される。バンク4が格子形状であることにより、これら複数の表示用ドット領域6は、矢印A方向から見てマトリクス状に並ぶことになる。バンク4としては、特に黒色のものを用いる必要はなく、例えば、ウレタン系又はアクリル系の硬化型の感光性樹脂組成物を用いることができる。また、オーバーコート用バンク5を形成することにより、そのバンク5によって囲まれる領域がオーバーコート層を形成するための領域として画定される。
【0073】
なお、バンク4及び5はそれらの内側領域内に液状材料を収容することが主な役割であり、これらのバンク4及び5の表面に液状材料が付着することは好ましくない。従って、バンク4及び5の材質としては、液状材料をはじく性質を有するもの、すなわち撥液性を有するものであることが望ましい。この意味からバンク4及び5は、フッ素樹脂、シリコン樹脂等によって形成されることが好ましい。
【0074】
以上のように基材2上に色インク用バンク4及びオーバーコート用バンク5が形成された後、その基材2を図6においてステージ218上の所定位置に載置する。そして、X方向駆動系207x及びY方向駆動系207yを作動させると共に、図9の加圧体39を作動させることにより、以下のようなカラーフィルタ形成処理を行う。なお、本実施形態では、図5(a)で示すようにG色フィルタ要素9g、R色フィルタ要素9r及びB色フィルタ要素9bをストライプ配列に形成するものとする。
【0075】
カラーフィルタの形成処理工程に入ると、まず、図3(f)において、G色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6g内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、G色フィルタ材料を液滴8として吐出する。この液滴吐出は1つの表示用ドット領域に対して複数回行われ、合計の吐出量Agは、予め、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6gの容積よりも多くなるように設定されている。従って、供給されたG色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってG色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図3(g)に示すように、G色フィルタ材料の表面を平坦化させてG色フィルタ要素9gを形成する。
【0076】
次に、図3(h)において、R色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6r内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、R色フィルタ材料を液滴8として吐出する。このときの合計の吐出量Arも、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6rの容積より多くなるように設定され、供給されたR色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってR色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図4(i)に示すように、R色フィルタ材料の表面を平坦化させてR色フィルタ要素9rを形成する。
【0077】
次に、図4(j)において、B色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6b内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、B色フィルタ材料を液滴8として吐出する。このときの合計の吐出量Abも、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6bの容積より多くなるように設定され、供給されたR色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってB色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図4(k)に示すように、B色フィルタ材料の表面を平坦化させてB色フィルタ要素9bを形成する。
【0078】
その後、例えば、230℃、30分程度の加熱によってアフターベークを行って、フィルタ要素を硬化させることにより、R,G,Bの各色フィルタ要素9g,9r,9bを所定の配列、例えば図5(a)のストライプ配列に並べて成るカラーフィルタが形成される。
【0079】
次に、図6において基材2をカラーフィルタ形成用の製造装置201からオーバーコート層形成用の製造装置201に移し替える。そして、図4(k)においてオーバーコート用バンク5で囲まれる領域内へオーバーコート層の材料を液滴として複数回、適宜の位置に吐出する。これにより、図4(l)に示すように、バンク5によって囲まれる領域内に、全てのフィルタ要素9を覆うようにオーバーコート層11が形成される。以上により、目標とするカラーフィルタ基板1が製造される。このカラーフィルタ基板1に対しては、必要に応じて、図4(l)の紙面垂直方向へ延びる複数の線状電極64bが形成される。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、複数のカラーフィルタ要素9の周りにオーバーコート層用バンク5を形成した上で、液滴吐出技術によってオーバーコート層の材料を吐出するようにしたので、バンク5によってオーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0081】
(変形例)
上記実施形態では、基材2から突出する部材であるバンク4及び5によって区分け要素を構成した。これに代えて、撥インク材料によって区分け要素を構成することもできる。この撥インク材料は、それ自体がインクをはじく性質、すなわち液状材料をはじく性質、より具体的にはフィルタ材料やオーバーコート材料をはじく性質を有するので、バンク4のように高く突出させなくても良い。
【0082】
上記の実施形態では、カラーフィルタを構成するフィルタ要素としてR,G,Bの3色を考えた。しかしながら、フィルタ要素としては、R,G,B以外にC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)とすることもできる。
【0083】
また、上記の実施形態では、フィルタ要素9g,9r,9bの配列を図5(a)に示すストライプ配列とした。しかしながら、これに代えて、図5(b)に示すモザイク配列や、図5(c)に示すデルタ配列を採用することもできる。
【0084】
(電気光学装置及びその製造方法の実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置及びその製造方法の一実施形態を電気光学装置の一例である液晶装置を例に挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。図11は、液晶装置の一実施形態であって、スイッチング素子を用いない単純マトリクス方式であり、且つ、反射型表示と透過型表示を選択的に行うことができる半透過反射型の液晶装置を示している。
【0085】
ここに示す液晶装置51は、液晶パネル52に照明装置56及び配線基板54を付設することによって形成されている。液晶パネル52は、矢印A方向から見て長方形状又は正方形状の第1基板57aと、矢印A方向から見て同じく長方形状又は正方形状の第2基板57bとを、矢印A方向から見て環状のシール材58によって貼り合わせることによって形成されている。
【0086】
第1基板57aと第2基板57bとの間には間隙、いわゆるセルギャップが形成され、そのセルギャップ内に液晶が注入されて液晶層55を形成している。符号69はセルギャップを維持するためのスペーサを示している。なお、観察者は矢印A方向から液晶装置51を観察する。
【0087】
第1基板57aは、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された第1基材61aを有する。この第1基材61aの液晶側の表面には、反射膜62が形成され、その上に絶縁膜63が形成され、その上に第1電極64aが形成され、その上に配向膜66aが形成されている。また、第1基材61aの照明装置56側の表面には第1偏光板67aが、例えば貼着によって装着されている。
【0088】
第1基板57aに対向する第2基板57bは、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された第2基材61bを有する。この第2基材61bの液晶側の表面には、カラーフィルタ68が形成され、その上にオーバーコート層11が形成され、その上に第2電極64bが形成され、その上に配向膜66bが形成されている。また、第2基材61bの外側の表面には第2偏光板67bが、例えば貼着によって装着されている。
【0089】
第1基板57a側の第1電極64aは図11の左右方向へ延びる線状電極である。また、第1電極64aは複数本形成されていて、それらは紙面垂直方向へ互いに平行に並べられている。つまり、複数の第1電極64aは、矢印A方向から見てストライプ状に形成されている。
【0090】
また、第2基板57b側の第2電極64bは、図11の紙面垂直方向に延びる線状電極である。また、第2電極64bは複数本形成されていて、それらは図11の左右方向へ互いに平行に並べられている。つまり、複数の第2電極64bは、第1電極64aに直交する方向へ延びるストライプ状に形成されている。
【0091】
第1電極64aと第2電極64bとは矢印A方向から見て多数のマトリクス状に並ぶ点で交差しており、これらの交差点が表示のためのドット領域を構成している。R,G,Bの3色や、C,M,Yの3色のフィルタ要素から成るカラーフィルタ68を用いてカラー表示を行う場合には、上記のドット領域の1つずつにそれら3色のうちの1つずつが対応して配置され、3色の集まりが1つのユニットになって1画素を構成する。そして、その画素の多数が矢印A方向から見てマトリクス状に並ぶことにより、有効表示領域Vが形成され、この有効表示領域Vの領域内に文字、数字、図形等といった像が表示される。
【0092】
表示の最小単位である表示用ドット領域に対応して、反射膜62に開口71が形成されている。これらの開口71は、照明装置56から供給される面状の光を透過させて、透過型の表示を実現する。なお、透過型の表示を行うにあたっては、反射膜62に開口71を設けることだけに限られず、例えば、反射膜62の膜厚を薄くすることによっても透過型の表示を実現できる。
【0093】
第1基材61aは第2基材61bを越えて外側へ張り出す張出し部70を有している。第1基板57a側の第1電極64aはシール材58を横切ってその張出し部70上に延び出て配線65となっている。また、張出し部70の辺縁には外部接続端子49が形成されている。配線基板54は、その外部接続端子49に導電接続されている。第2基板57b側の第2電極64bは、シール材58の内部に分散された導通材59を介して第1基板57a側の配線65に接続されている。なお、導通材59は、図11ではシール材58の幅寸法とほとんど同じ寸法で描いてあるが、実際は、導通材59はシール材58の幅よりも小さくなっており、そのため、シール材58の幅方向には複数の導通材59が存在するのが普通である。
【0094】
張出し部70の表面において、配線65と外部接続端子49との間には駆動用IC53がACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)48によって接着されている。そして、このACF48により、駆動用IC53のバンプが配線65及び外部接続端子49に導電接続している。この実装構造により、配線基板54から駆動用IC53へ信号及び電圧が供給される。一方、駆動用IC53からの走査信号及びデータ信号が第1電極64aや第2電極64bへ伝送される。
【0095】
図11において、照明装置56は、観察側から見て液晶パネル52の背面に緩衝材78を挟んで配設され、バックライトとして機能する。この照明装置56は、基板77に支持された光源としてのLED(Light Emitting Diode)76と、導光体72とを有する。導光体72の観察側の表面には拡散シート73が設けられ、その反対側の面には反射シート74が設けられる。LED76を点状光源とする光は、導光体72の受光面72aから導光体72の内部に取り込まれ、その内部を伝播する間に光出射面72bから面状光となって出射する。
【0096】
上記構成より成る液晶装置51において反射型の表示が行われる場合には、太陽光、室内光等といった外部光が第2基板57bを通して液晶層55の内部に取り込まれ、反射膜62で反射した後、再び液晶層55へ供給される。一方、透過型の表示が行われる場合には、照明装置56のLED76が発光し、導光体72の光出射面72bから面状の光が出射し、反射膜62に設けた複数の開口71を通過した光が液晶層55へ供給される。
【0097】
液晶層55に光が供給されたとき、第1電極64a及び第2電極64bの一方に走査信号が与えられ、それらの他方にデータ信号が与えられると、当該データ信号が与えられた部分の表示用ドットに所定電圧が印加されて液晶が駆動され、当該表示用ドットに供給された光が変調される。このような変調が、有効表示領域V内の表示用ドットごと、換言すれば画素ごとに行われ、文字、数字、図形等といった希望する像がその有効表示領域V内に形成され、観察者によって矢印A方向から観察される。
【0098】
本実施形態の液晶装置51では、カラーフィルタ68及びオーバーコート層11が、図1及び図4(l)に示すように構成される。つまり、複数の各色のカラーフィルタ要素9の周りをオーバーコート層用バンク5で取り囲んだ上で、その内部領域内に液滴吐出技術を用いてオーバーコート層11を形成する。このように、バンク5によってオーバーコート層11の形成範囲を規制するので、オーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。
【0099】
また、バンク5によってオーバーコート層11の形成範囲を規制するので、オーバーコート層11の基材2、すなわち図11の第2基材61b、上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができるので、その上に電極64bを形成したとき、その電極64bの断線を防止でき、さらに電極64b及びそれにつながるな配線の電気抵抗値が徒に高くなることを防止できる。
【0100】
本実施形態の液晶装置51の製造方法を考えると、それに含まれるカラーフィルタ68及びオーバーコート層11が図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されることに特徴がある。図6に示した製造装置201を用いて行われるカラーフィルタ基板の製造工程においては、オーバーコート層11を形成する際に図4(l)に示すように、複数の各色のカラーフィルタ要素9の周りにオーバーコート層用バンク5を形成した上で、液滴吐出技術によってオーバーコート層の材料を吐出するようにしたので、バンク5によってオーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0101】
(変形例)
図11の実施形態では、半透過反射型で単純マトリクス方式の液晶装置に本発明を適用した。しかしながら、本発明は、これ以外に、反射型表示機能を持たない半透過型の単純マトリクス方式の液晶装置や、透過型表示機能を持たない反射型の単純マトリクス方式の液晶装置や、TFD(Thin Film Diode)等といった2端子型のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置や、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置等といった各種の液晶装置に適用できる。
【0102】
(電子機器及びその製造方法の実施形態)
以下、電子機器及びその製造方法の実施形態を一例を挙げて説明する。図12は電子機器の一例を示している。ここに示す電子機器は、表示情報出力源141、表示情報処理回路142、電源回路143、タイミングジェネレータ144及び液晶装置145によって構成される。液晶装置145は液晶パネル147及び駆動回路146を有する。
【0103】
表示情報出力源141は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ144により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路142に供給する。
【0104】
次に、表示情報処理回路142は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路146へ供給する。ここで、駆動回路146は、走査線駆動回路(図示せず)やデータ線駆動回路(図示せず)と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路143は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
【0105】
本実施形態の電子機器において、液晶装置145は、図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されたカラーフィルタ基板を有するところの、図11に示す液晶装置51によって構成できる。
【0106】
図13は、本発明に係る電子機器のさらに他の例であるデジタルカメラであって、液晶装置をファインダとして用いるものを示している。このデジタルカメラ150におけるケース151の背面には液晶表示ユニット152が設けられる。この液晶表示ユニット152は、被写体を表示するファインダとして機能する。この液晶表示ユニット152は、図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されたところの、図11に示す液晶装置51によって構成できる。
【0107】
ケース151の前面側(図においては裏面側)には、光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニット153が設けられている。撮影者が液晶表示ユニット152に表示された被写体像を確認して、シャッタボタン154を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板155のメモリに転送されてそこに格納される。回路基板155上には制御回路が形成される。
【0108】
ケース151の側面には、ビデオ信号出力端子156と、データ通信用の入出力端子157とが設けられている。ビデオ信号出力端子156にはテレビモニタ158が必要に応じて接続され、また、データ通信用の入出力端子157にはパーソナルコンピュータ159が必要に応じて接続される。回路基板155のメモリに格納された撮像信号は、所定の操作によって、テレビモニタ158や、パーソナルコンピュータ159に出力される。
【0109】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカラーフィルタ基板の一実施形態の平面図である。
【図2】本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態の主要工程を示す工程図である。
【図3】図2に続く工程図である。
【図4】図3に続く工程図であり、特に(l)は目標とするカラーフィルタ基板の一実施形態を示している。
【図5】複数のフィルタ要素の配列例を示す図であり、(a)はストライプ配列、(b)はモザイク配列、(c)はデルタ配列を示している。
【図6】本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法を実施する装置の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す製造装置の制御系を示す回路ブロック図である。
【図8】図6に示す製造装置の材料吐出部を示す斜視図である。
【図9】図8に示す材料吐出部の主要部の内部構造を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図9のD−D線に従った断面図である。
【図11】本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図12】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図13】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:カラーフィルタ基板、 2:基材、 3:遮光層、 3a:金属膜、 4:色インク用バンク(第1区分け要素)、 4a:感光性樹脂、 5:オーバーコート用バンク(第2区分け要素)、 6,6g,6r,6b:表示用ドット領域、 7a:レジスト、 8:液滴、 9,9g,9r,9b:フィルタ要素、11:オーバーコート層、 20:ケーシング、 22:インクジェットヘッド、27:ノズル(液滴吐出部)、 39:加圧体、 41:圧電素子、 42a,42b:電極、 51:液晶装置(電気光学装置)、 52:液晶パネル、 55:液晶層、 57a,57b:基板、 61a.61b:基材、 68:カラーフィルタ、 150:デジタルカメラ(電子機器)、201:カラーフィルタ基板の製造装置、 202:フィルタ形成部、203:材料供給部、 213:記録ヘッド、 M0:液状材料、 S0:波形、 S1:ビットマップデータ、 S2:吐出タイミング信号、 S3:位置情報、 V:有効表示領域、
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー表示を行う際に用いられるカラーフィルタ基板及びその製造方法に関する。また本発明は、液晶装置やエレクトロルミネッセンス装置等といった電気光学装置及びその製造方法に関する。また本発明は、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA(Personal Digital Assistant)等といった電子機器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA等といった電子機器に、液晶装置やエレクトロルミネッセンス装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示するために電気光学装置が用いられている。
【0003】
電気光学装置として液晶装置を考えた場合、その液晶装置によってカラー表示を行うときには、その液晶装置の内部にカラーフィルタ基板が設けられる。カラーフィルタ基板は、例えば、透光性のガラス等によって形成された基材上にカラーフィルタを形成することによって作製される。カラーフィルタとは、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のフィルタ要素や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色のフィルタ要素を平面内に所定の配列で並べることによって形成された光学要素である。
【0004】
基材上に形成されたカラーフィルタの上には、さらに、オーバーコート層が形成されることがある。このオーバーコート層は、保護層又は保護膜等と呼ばれることもある。従来、このオーバーコート層を液滴吐出技術、例えばインクジェット技術を用いて行う方法が知られている。また、カラーフィルタを構成する複数のフィルタ要素の最外縁に沿って複数の隔壁を設け、オーバーコート層が基材上で必要以上に広がることをそれらの隔壁によって防止するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−196124(第6〜8頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオーバーコート層の形成技術においては、上記複数の隔壁がくし歯状に形成されていたので、基材上に塗布されたオーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御することができないおそれがあった。また、オーバーコート層の広がりを抑制することが必ずしも十分でなかった。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができないおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できるようにすること、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えること及びオーバーコート層の表面を正確に平坦にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1のカラーフィルタ基板は、基材と、該基材の表面に形成された複数のフィルタ要素と、該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の区分け要素と、該区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成において、「基材」は、例えば、透光性のガラスや透光性のプラスチック等によって形成される。また、「区分け要素」は、例えば、基材上に突出するバンクや、基材上に形成される撥インク層によって構成される。この撥インク層は、基材の表面からほとんど突出することなく形成することができる。バンクは、基材上に突出することにより基材表面における液状のフィルタ要素の材料の流れを阻止する。また、撥インク層は、基材表面にける液状のフィルタ要素の材料の流れを撥インク性によって阻止する。
【0010】
「複数のフィルタ要素」の各々は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色の色を透過する材料によって形成される。通常、それら各色のフィルタ要素は基材上で所定の配列、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等に並べられる。一般に、1つのフィルタ要素は表示の最小単位である表示用ドット領域に対応する。そして、R,G,Bの3色の領域の集まりやC,M,Yの3色の領域の集まりによって1つの画素が形成される。これらのフィルタ要素の形成方法は特別のものに限定されないが、例えば、インクジェット技術を用いて基材上に液滴として吐出したり、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング技術によって形成したりすることができる。
【0011】
また、「フィルタ要素の材料」、すなわちフィルタ材料は、R、G、Bや、C、M、Yの色を有する材料によって構成される。この材料の材質は、特別のものに限定されないが、例えば、レジン等の透明材を含有する各色着色材料と、エチレングリコール等といったグリコール系の溶媒とから成る液状物とすることができる。また、顔料、界面活性剤及び溶媒によって構成される固形分を適宜の溶媒に溶かすことによって構成された液状物とすることもできる。これらの液状物は、インクジェット技術を用いる場合に好適である。
【0012】
本発明では、「オーバーコート層」は液滴吐出技術を用いて基材上に塗布される。ここで、「液滴吐出技術」は、特定の構造に限定されるものではないが、例えば、インクジェット技術として知られている液滴吐出構造を用いることが好ましい。この場合には、インクジェット用のノズルから液滴が吐出されることになる。
【0013】
上記のインクジェット技術は、例えば、インク貯留室に圧電素子及びノズルを付設し、圧電素子の振動によるインク貯留室の体積変化に応じてノズルからインク、すなわち液状物を液滴として吐出する技術であることが好ましい。また、インクジェット技術は、例えば、インク貯留室内に貯留されたインクを加熱によって膨張させることによりノズルからインクを液滴として吐出する技術とすることもできる。
【0014】
上記構成より成る本発明のカラーフィルタ基板によれば、基材上におけるオーバーコート層の広がりが区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0015】
また、本発明のカラーフィルタ基板において、前記区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0016】
次に、本発明に係る第2のカラーフィルタ基板は、基材と、該基材の表面に形成されて該基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素と、前記複数の領域内に設けられてなる複数のフィルタ要素と、該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の第2区分け要素と、該第2区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層とを有することを特徴とする。この第2のカラーフィルタ基板において先の第1のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0017】
この第2のカラーフィルタ基板が上記の第1のカラーフィルタ基板と異なる点は、第1のカラーフィルタ基板では1種類の区分け要素だけが用いられるのに対し、第2のカラーフィルタ基板では、第1区分け要素と第2区分け要素の2種類の区分け要素が用いられることである。
【0018】
この第2のカラーフィルタ基板において、第1区分け要素はフィルタ要素を形成するための複数の領域を区分けするためのものである。一方、第2区分け要素はオーバーコート層の形成領域を画定するためのものである。つまり、本発明における第2区分け要素が先の第1のカラーフィルタ基板における区分け要素に相当し、本発明ではこの区分け要素の他に第1区分け要素が用いられる。
【0019】
第1区分け要素によって区分けされる領域の個々には、R,G,Bの3色から選択される1色の材料や、C,M,Yの3色から選択される1色の材料が供給される。そして、R,G,Bの3つの領域の集まり又はC,M,Yの3つの領域の集まりによって1つの画素が形成される。このように、第1区分け要素はフィルタ要素を形成するための複数の領域を形成するためのものであるので、この第1区分け要素を用いた本発明は、フィルタ要素を液滴吐出技術を用いて形成する場合に好適である。
【0020】
上記構成より成る第2のカラーフィルタ基板によれば、基材上におけるオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0021】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0022】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同じ材料によって形成されることが好ましい。この構成は、第1区分け要素と第2区分け要素とを同一の工程で形成することによって実現できる。このように第1区分け要素と第2区分け要素とを同一の工程で形成するようにすれば、製造工程を簡略化できる。
【0023】
また、上記第2のカラーフィルタ基板において、前記複数のフィルタ要素は任意の方法、例えば、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング方法や、液滴吐出技術を用いた方法等によって形成できる。しかしながら、第1区分け要素を用いて複数のフィルタ要素の形成領域を区画するようにした第2のカラーフィルタ基板に関しては、液滴吐出技術を適用することが好ましい。
【0024】
次に、本発明に係る第1のカラーフィルタ基板の製造方法は、基材上に複数のフィルタ要素を形成する工程と、該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の区分け要素を形成する工程と、該区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程とを有することを特徴とする。この第1のカラーフィルタ基板の製造方法において上記の第1カラーフィルタ基板又は第2のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0025】
この第1のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、上記の第1のカラーフィルタ基板を製造できる。こうして製造される第1のカラーフィルタ基板においては、基材上におけるオーバーコート層の広がりが区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0026】
また、上記第1のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0027】
次に、本発明に係る第2のカラーフィルタ基板の製造方法は、基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素を形成する工程と、前記複数の領域内に複数のフィルタ要素を形成する工程と、該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の第2区分け要素を形成する工程と、該第2区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程とを有することを特徴とする。この第2のカラーフィルタ基板の製造方法において上記の第1カラーフィルタ基板又は第2のカラーフィルタ基板における構成要素と同じ呼称の構成要素は同じものであるので、その説明は省略する。
【0028】
この第2のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、上記の第2のカラーフィルタ基板を製造できる。こうして製造される第2のカラーフィルタ基板においては、基材上におけるオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0029】
上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素はバンクや撥インク層によって形成できるが、好ましくはバンクによって構成する。こうすれば、オーバーコート層の基材上における流れを確実に抑制できる。
【0030】
また、上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同一工程で形成されることが好ましい。こうすれば、カラーフィルタ基板の製造工程を簡略化できる。
【0031】
また、上記第2のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記複数のフィルタ要素は任意の方法、例えば、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いたパターニング方法や、液滴吐出技術を用いた方法等によって形成できる。しかしながら、第1区分け要素を用いて複数のフィルタ要素の形成領域を区画するようにした第2のカラーフィルタ基板の製造方法に関しては、前記複数のフィルタ要素は液滴吐出によって形成されることが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る電気光学装置は、上記構成のカラーフィルタ基板と、該カラーフィルタ基板上に形成された電気光学物質層とを有することを特徴とする。ここで、「電気光学物質層」は、電気光学物質によって形成される層のことである。また、電気光学物質とは、電界の印加に応じて光学的な特性が変化する物質のことであり、例えば、液晶、エレクトロルミネッセンスの発光要素等が考えられる。このような電気光学装置としては、例えば、液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置等が考えられる。
【0033】
この構成の電気光学装置によれば、その電気光学装置を構成するカラーフィルタ基板に関して、そのカラーフィルタ基板を構成する基材上においてオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0034】
次に、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、上記構成のカラーフィルタ基板の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする。この電気光学装置の製造方法によれば、上記の電気光学装置を製造できる。
【0035】
次に、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置と、該電気光学装置の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする。このような電子機器としては、例えば、携帯電話機、携帯情報端末機、PDA、デジタルカメラ等が考えられる。
【0036】
本発明の電子機器によれば、その電子機器内に含まれる電気光学装置を構成するカラーフィルタ基板に関して、そのカラーフィルタ基板を構成する基材上においてオーバーコート層の広がりが第2区分け要素によって阻止されるので、オーバーコート層の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層の基材上での広がりを確実に抑えることができる。また、オーバーコート層の表面を正確に平坦にすることができる。
【0037】
次に、本発明に係る電子機器の製造方法は、以上に記載した電気光学装置の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする。この電子機器の製造方法によれば、上記の電子機器を製造できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(カラーフィルタ基板の実施形態)
以下、本発明に係るカラーフィルタ基板及びその製造方法を一実施形態を挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
【0039】
図1はカラーフィルタ基板の一実施形態の平面構造を示している。また、図4(l)は図1のA−A線に従ったカラーフィルタ基板の断面構造を示している。これらの図に示すように、カラーフィルタ基板1は、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された基材2と、その基材2の上に形成された遮光層3と、その遮光層3の上に形成された第1区分け要素としての色インク用バンク4と、基材2の上に形成された第2区分け要素としてのオーバーコート用バンク5とを有する。
【0040】
遮光層3は、例えば、遮光性の金属又は樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成される。また、色インク用バンク4は、例えば撥インク性の感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成される。また、オーバーコート用バンク5は、例えば、色インク用バンク4と同じ材料によって同一工程で形成される。
【0041】
図1に示すように、遮光層3及び色インク用バンク4は、ドットマトリクス状に並ぶ複数の表示用ドット領域6を形成するために格子状に形成されている。そして、特定波長の光を透過するフィルタ要素9がその表示用ドット領域6の中に設けられている。
【0042】
複数の表示用ドット領域6には、G色に対応する領域6g、R色に対応する領域6r、そしてB色に対応する領域6bの3種類が含まれるが、それらは全て同じ形状、例えば長方形状、正方形状に形成される。また、G色領域6gの中にはG色フィルタ要素9gが形成され、R色領域6rの中にはR色フィルタ要素9rが形成され、そして、B色領域6bの中にはB色フィルタ要素9bが形成されている。
【0043】
複数のフィルタ要素6の並べ方としては、図5(a)に示すようなストライプ配列や、図5(b)に示すようなモザイク配列や、図5(c)に示すようなデルタ配列や、その他の種々の並べ方を採用できるが、本実施形態では図5(a)に示すストライプ配列を採用するものとする。なお、ストライプ配列とは、R,G,Bのそれぞれの色が縦方向に1列に並び、横方向に順番に1つずつ繰り返して変化する配列である。また、モザイク配列とは、R,G,Bが縦列と横列の両方で順番に繰り返して並べられる配列である。また、デルタ配列とは、R,G,Bが三角形の頂点に相当する位置に配列されると共に横列方向でR,G,Bが順番に繰り返して並べられる配列である。
【0044】
オーバーコート用バンク5は、図1に示すように、複数のフィルタ要素9を囲むように正方形状又は長方形状の枠状に形成されている。そして、そのオーバーコート用バンク5によって囲まれる領域の中に、図4(l)に示すように、全てのフィルタ要素9を覆うようにオーバーコート層11が設けられる。
【0045】
このオーバーコート層11は、例えば次のように機能する。第1に、保護膜の形成によってカラーフィルタ基板の表面を平坦化することにより、そのカラーフィルタ基板の表面に電極が形成される際、その電極が切れることを防止する。第2に、保護膜上の電極の低抵抗化によって画素間のコントラスト比を向上させる。第3に、保護膜形成後に続いて行われる工程においてカラーフィルタ基板内の画素が傷付くことを防止する。第4に、カラーフィルタ基板が液晶装置に用いられる場合にセルギャップ内へ液晶が封入された後、カラーフィルタ基板から液晶へ不純物が拡散することを防止する。
【0046】
フィルタ要素9の形成方法は任意に選定できるが、例えば、R、G、Bの各色の顔料を含んだ材料をフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によってパターニングする方法や、液滴吐出技術すなわちインクジェット技術を用いた方法等によってフィルタ要素9を形成できる。また、オーバーコート層11は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂等といった樹脂のいずれか1つをインクジェット技術によって液滴として吐出することにより、オーバーコート層用バンク5で囲まれる領域内に供給して形成する。
【0047】
以上のようにして形成されたカラーフィルタ基板1においては、R、G、Bの3色のカラーフィルタ要素9を1つのユニットとして1つの画素が構成され。この画素が平面内で多数個、マトリクス状に配列される。そして、これらの画素に光、例えば白色光を供給したときに、各カラーフィルタ要素9によって特定の色成分を選択的に透過させる。透過した各色の光の平面内での組み合わせにより、文字、数字、図形等といった像をカラー表示できる。
【0048】
本実施形態のカラーフィルタ基板1では、複数のカラーフィルタ要素9の最外周縁の周りをオーバーコート層用バンク5で取り囲んだので、オーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0049】
(変形例)
上記実施形態では、色インク用バンク4とオーバーコート用バンク5とを同じ材料によって同一工程で形成したが、これらを異なる材料を用いて異なる工程で形成することもできる。
【0050】
(カラーフィルタ基板の製造方法の実施形態)
以下、本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態を、図1及び図4(l)に示したカラーフィルタ基板を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
【0051】
カラーフィルタ基板の製造方法の説明に先立って、まず、その製造方法を実現できる製造装置について説明する。図6は、そのようなカラーフィルタ基板の製造装置の一例を示している。この製造装置201は、フィルタ形成部202と、材料供給部203とを有する。フィルタ形成部202は、ベース206と、このベース206上に設置されたX方向駆動系207xと、同じくベース206上に設置されたY方向駆動系207yとを有する。
【0052】
X方向駆動系207xは、駆動モータ211と、その駆動モータ211によって駆動されて自身の中心軸線を中心として回転するネジ軸212とを有する。ネジ軸212には、記録ヘッド213がネジ嵌合している。駆動モータ211が作動してネジ軸212が正時計回転又は反時計回転すると、それにネジ嵌合する記録ヘッド213が矢印X方向で往復移動する。
【0053】
Y方向駆動系207yは、ベース206上に固定されたネジ軸216と、そのネジ軸216に嵌合する嵌合部材を回転駆動する駆動モータ217と、この駆動モータ217に固定されたステージ218とを有する。ステージ218は、フィルタ形成処理を受けるカラーフィルタ基板の基材2を支持するための基材支持手段として機能する。この基材2はステージ218上に載せられた上、容易には位置ズレしないように、例えば、空気吸引によって吸着固定されたり、適宜の機械的なクランプ機構によって固定されたりする。Y方向モータ217が作動して上記の嵌合部材が正時計回転又は反時計回転すると、ステージ218がネジ軸216にガイドされて矢印Y方向で往復移動する。Y方向は上記のX方向に直角の方向である。
【0054】
Y方向駆動系207yを構成するネジ軸216上にはクリーニング装置208が配設され、このクリーニング装置208と一体なモータ209の出力軸がネジ軸216にネジ嵌合している。モータ209を作動させてクリーニング装置208を記録ヘッド213の所まで搬送すれば、このクリーニング装置208によって記録ヘッド213をクリーニングすることができる。
【0055】
材料供給部203にはフィルタ要素の材料やオーバーコート層の材料等を貯留した容器222が配置される。そして、容器222と記録ヘッド213とはパイプ223によってつながっている。このパイプ223を通して、容器222内の液状材料が記録ヘッド213内へ供給される。
【0056】
なお、本実施形態においてR,G,Bの3色によってカラーフィルタを形成する場合には、製造装置201がR色用、G色用、B色用の3種類用意されて、それらが別々の場所に設置され、個々の製造装置201の容器222の中にはR,G,Bのそれぞれの色のフィルタ材料が1色ずつ収容される。また、本実施形態ではオーバーコート層11をインクジェット技術を用いて形成するので、オーバーコート層11を形成する工程にも図6に示す製造装置201が設置され、この製造装置201の容器222内にはオーバーコート層11のための液状材料が収容される。
【0057】
図6のフィルタ形成部202を構成する記録ヘッド213の底面には、例えば図8に示すようなインクジェットヘッド22が1つ又は複数設けられている。このインクジェットヘッド22は、ほぼ長方形状のケーシング20を有し、そのケーシング20の底面には複数のノズル27が設けられている。これらのノズル27は、直径約0.02〜0.1mm程度の微小な開口を有する。
【0058】
本実施形態では、複数のノズル27は2列にわたって設けられ、これにより、2本のノズル列28,28が形成されている。個々のノズル列28において、ノズル27は一定の間隔で直線上に設けられている。これらのノズル列28には、矢印Bで示す方向から液状材料が供給される。供給された液状材料は圧電素子の振動に従って各ノズル27から微小な液滴として吐出される。なお、ノズル列28の個数は、1本又は3本以上であっても良い。
【0059】
インクジェットヘッド22は、図9に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート29と、それに対向して配置された振動板31と、その両者を互いに接合する複数の仕切り部材32とを有する。また、ノズルプレート29と振動板31との間には、液状材料を貯留するための複数の貯留室33と、液状材料が一時的に溜る個所である液溜り34とが、各仕切り部材32によって形成されている。さらに、複数の貯留室33と液溜り34とが通路38を介して互いに連通している。また、振動板31の適所に液状材料の供給孔36が形成されており、この供給孔36に図6のパイプ223を介して容器222が接続されている。容器222から供給された液状材料M0は、液溜り34に充填され、さらに、通路38を通って貯留室33に充填される。
【0060】
インクジェットヘッド22の一部を構成するノズルプレート29には、液状材料を貯留室33からジェット状に噴射するためのノズル27が設けられている。このノズル27が複数個並べられてノズル列28を構成することは図8に関連して既述した通りである。また、振動板31において貯留室33に対応する面には液状材料を加圧するための加圧体39が取り付けられている。この加圧体39は、図10に示すように、圧電素子41及びこれを挟持する一対の電極42a及び42bを有している。
【0061】
圧電素子41は、電極42a及び42bへの通電によって矢印Cで示す外側へ突出するように撓み変形し、これにより貯留室33の容積を増大させる機能を有する。そして、貯留室33の容積が増大すると、その増大した容積分に相当する液状材料M0が液溜り34から通路38を通って貯留室33内へ流入する。
【0062】
一方、圧電素子41への通電を解除すると、圧電素子41と振動板31とが共に元の形状に戻り、貯留室33も元の容積に戻る。そのため、貯留室33の内部にある液状材料の圧力が上昇し、ノズル27から液状材料が液滴8となって吐出される。なお、液滴8は、液状材料に含まれる溶剤等の種類にかかわらず、微小な液滴としてノズル27から安定して吐出される。
【0063】
カラーフィルタ基板の製造装置201は、図7に示す制御装置90を有する。この制御装置90は、図6のフィルタ形成部202内のX方向モータ211、Y方向モータ217及び記録ヘッド213の各要素の動作を制御する。なお、製造装置201は、図6のクリーニング用モータ209の動作を制御する制御部も有するが、その制御部についての詳しい説明は省略する。
【0064】
制御装置90は、コンピュータによって構成された駆動信号制御部91と、コンピュータによって構成されたヘッド位置制御部92とを有する。これらの制御部は信号線97を通して互いに情報を共有できるようになっている。駆動信号制御部91は、記録ヘッド213を駆動するための波形S0をアナログアンプ93へ出力する。また、駆動信号制御部91は、液状材料をいずれの位置に吐出するかを示すビットマップデータS1をタイミング制御部94へ出力する。
【0065】
アナログアンプ93は、上記の波形S0を増幅して中継回路95へ伝送する。タイミング制御部94は、クロックパルス回路を内蔵し、上記のビットマップデータS1に従って吐出タイミング信号S2を中継回路95へ出力する。中継回路95は、タイミング制御部94から送られた吐出タイミング信号S2に従って、アナログアンプ93から送られた波形S0を記録ヘッド213の入力ポートへ出力する。
【0066】
ヘッド位置制御部92は、X−Y制御回路96へ記録ヘッド213の位置に関する情報S3を出力する。X−Y制御回路96は、送られてきた記録ヘッド213の位置情報S3に基づいて、X方向における記録ヘッド213の位置を制御する信号をX方向モータ211に対して出力し、さらに、Y方向におけるステージ218の位置を制御する信号をY方向モータ217に対して出力する。
【0067】
駆動信号制御部91及びヘッド位置制御部92に関する以上の構成により、記録ヘッド213は、ステージ218に載置された基材2の希望の座標位置が到来したときに液状材料を液滴として吐出し、これにより、基材2上の希望位置に液状材料の液滴が着弾して塗布される。
【0068】
次に、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて行われる、カラーフィルタ基板の製造方法について説明する。図2〜図4はその製造方法を構成する各工程を工程順に示している。また、図4(l)が目標とするカラーフィルタ基板1を示している。
【0069】
まず、図2(a)において、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された基材2の上に、遮光層3を形成する材料として、クロム、ニッケル、アルミニウム等を材料として、例えばドライメッキ法を用いて金属薄膜3aを形成する。この場合、金属薄膜3aの厚さは、0.1〜0.5μm程度であることが望ましい。
【0070】
次に、図2(b)において、感光性樹脂であるレジスト7aを一様な厚さで塗布し、そのレジスト7aをマスクを介して露光し、さらに現像して、レジスト7aを所定のパターンに形成する。次に、このレジストパターンをマスクとして金属薄膜3aをエッチングして、図2(c)に示すように、所定形状、本実施形態では矢印A方向から見て格子形状の遮光層3を形成する。
【0071】
次に、図2(d)において、遮光層3の上に、感光性樹脂4aを一様な厚さで形成し、これにフォトリソグラフィ処理を施して図3(e)に示すように所定パターンの色インク用バンク4を遮光層3と同じ形状、すなわち格子形状に形成する。また同時に、オーバーコート用バンク5を図1に示す長方形又は正方形の枠状に形成する。なお、ここでいう枠状とは、完全に閉じた形状の枠状であっても良いし、場合によっては、液状材料が外へ漏れ出ることがない程度に微細な開口が形成されるような枠状、すなわち完全には閉じていない状態の枠状であっても良い。また、色インク用バンク4の高さは1.0μm程度に形成するのが望ましい。バンク4及び5は、基材2の表面を、液滴を吐出するための領域に区分けする区分け要素として作用する。
【0072】
色インク用バンク4を形成することにより、基材2上にそのバンク4によって区分けされた複数の表示用ドット領域6が形成される。バンク4が格子形状であることにより、これら複数の表示用ドット領域6は、矢印A方向から見てマトリクス状に並ぶことになる。バンク4としては、特に黒色のものを用いる必要はなく、例えば、ウレタン系又はアクリル系の硬化型の感光性樹脂組成物を用いることができる。また、オーバーコート用バンク5を形成することにより、そのバンク5によって囲まれる領域がオーバーコート層を形成するための領域として画定される。
【0073】
なお、バンク4及び5はそれらの内側領域内に液状材料を収容することが主な役割であり、これらのバンク4及び5の表面に液状材料が付着することは好ましくない。従って、バンク4及び5の材質としては、液状材料をはじく性質を有するもの、すなわち撥液性を有するものであることが望ましい。この意味からバンク4及び5は、フッ素樹脂、シリコン樹脂等によって形成されることが好ましい。
【0074】
以上のように基材2上に色インク用バンク4及びオーバーコート用バンク5が形成された後、その基材2を図6においてステージ218上の所定位置に載置する。そして、X方向駆動系207x及びY方向駆動系207yを作動させると共に、図9の加圧体39を作動させることにより、以下のようなカラーフィルタ形成処理を行う。なお、本実施形態では、図5(a)で示すようにG色フィルタ要素9g、R色フィルタ要素9r及びB色フィルタ要素9bをストライプ配列に形成するものとする。
【0075】
カラーフィルタの形成処理工程に入ると、まず、図3(f)において、G色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6g内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、G色フィルタ材料を液滴8として吐出する。この液滴吐出は1つの表示用ドット領域に対して複数回行われ、合計の吐出量Agは、予め、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6gの容積よりも多くなるように設定されている。従って、供給されたG色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってG色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図3(g)に示すように、G色フィルタ材料の表面を平坦化させてG色フィルタ要素9gを形成する。
【0076】
次に、図3(h)において、R色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6r内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、R色フィルタ材料を液滴8として吐出する。このときの合計の吐出量Arも、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6rの容積より多くなるように設定され、供給されたR色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってR色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図4(i)に示すように、R色フィルタ材料の表面を平坦化させてR色フィルタ要素9rを形成する。
【0077】
次に、図4(j)において、B色のフィルタ要素を形成すべき表示用ドット領域6b内へ、図8に示したインクジェットヘッド22を用いて、B色フィルタ材料を液滴8として吐出する。このときの合計の吐出量Abも、バンク4の高さによって規定される表示用ドット領域6bの容積より多くなるように設定され、供給されたR色フィルタ材料はバンク4よりも上方へ突出する。次に、50℃、10分程度の加熱処理によってプレベークを行ってB色フィルタ材料内の溶剤を蒸発させて、図4(k)に示すように、B色フィルタ材料の表面を平坦化させてB色フィルタ要素9bを形成する。
【0078】
その後、例えば、230℃、30分程度の加熱によってアフターベークを行って、フィルタ要素を硬化させることにより、R,G,Bの各色フィルタ要素9g,9r,9bを所定の配列、例えば図5(a)のストライプ配列に並べて成るカラーフィルタが形成される。
【0079】
次に、図6において基材2をカラーフィルタ形成用の製造装置201からオーバーコート層形成用の製造装置201に移し替える。そして、図4(k)においてオーバーコート用バンク5で囲まれる領域内へオーバーコート層の材料を液滴として複数回、適宜の位置に吐出する。これにより、図4(l)に示すように、バンク5によって囲まれる領域内に、全てのフィルタ要素9を覆うようにオーバーコート層11が形成される。以上により、目標とするカラーフィルタ基板1が製造される。このカラーフィルタ基板1に対しては、必要に応じて、図4(l)の紙面垂直方向へ延びる複数の線状電極64bが形成される。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、複数のカラーフィルタ要素9の周りにオーバーコート層用バンク5を形成した上で、液滴吐出技術によってオーバーコート層の材料を吐出するようにしたので、バンク5によってオーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0081】
(変形例)
上記実施形態では、基材2から突出する部材であるバンク4及び5によって区分け要素を構成した。これに代えて、撥インク材料によって区分け要素を構成することもできる。この撥インク材料は、それ自体がインクをはじく性質、すなわち液状材料をはじく性質、より具体的にはフィルタ材料やオーバーコート材料をはじく性質を有するので、バンク4のように高く突出させなくても良い。
【0082】
上記の実施形態では、カラーフィルタを構成するフィルタ要素としてR,G,Bの3色を考えた。しかしながら、フィルタ要素としては、R,G,B以外にC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)とすることもできる。
【0083】
また、上記の実施形態では、フィルタ要素9g,9r,9bの配列を図5(a)に示すストライプ配列とした。しかしながら、これに代えて、図5(b)に示すモザイク配列や、図5(c)に示すデルタ配列を採用することもできる。
【0084】
(電気光学装置及びその製造方法の実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置及びその製造方法の一実施形態を電気光学装置の一例である液晶装置を例に挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。図11は、液晶装置の一実施形態であって、スイッチング素子を用いない単純マトリクス方式であり、且つ、反射型表示と透過型表示を選択的に行うことができる半透過反射型の液晶装置を示している。
【0085】
ここに示す液晶装置51は、液晶パネル52に照明装置56及び配線基板54を付設することによって形成されている。液晶パネル52は、矢印A方向から見て長方形状又は正方形状の第1基板57aと、矢印A方向から見て同じく長方形状又は正方形状の第2基板57bとを、矢印A方向から見て環状のシール材58によって貼り合わせることによって形成されている。
【0086】
第1基板57aと第2基板57bとの間には間隙、いわゆるセルギャップが形成され、そのセルギャップ内に液晶が注入されて液晶層55を形成している。符号69はセルギャップを維持するためのスペーサを示している。なお、観察者は矢印A方向から液晶装置51を観察する。
【0087】
第1基板57aは、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された第1基材61aを有する。この第1基材61aの液晶側の表面には、反射膜62が形成され、その上に絶縁膜63が形成され、その上に第1電極64aが形成され、その上に配向膜66aが形成されている。また、第1基材61aの照明装置56側の表面には第1偏光板67aが、例えば貼着によって装着されている。
【0088】
第1基板57aに対向する第2基板57bは、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成された第2基材61bを有する。この第2基材61bの液晶側の表面には、カラーフィルタ68が形成され、その上にオーバーコート層11が形成され、その上に第2電極64bが形成され、その上に配向膜66bが形成されている。また、第2基材61bの外側の表面には第2偏光板67bが、例えば貼着によって装着されている。
【0089】
第1基板57a側の第1電極64aは図11の左右方向へ延びる線状電極である。また、第1電極64aは複数本形成されていて、それらは紙面垂直方向へ互いに平行に並べられている。つまり、複数の第1電極64aは、矢印A方向から見てストライプ状に形成されている。
【0090】
また、第2基板57b側の第2電極64bは、図11の紙面垂直方向に延びる線状電極である。また、第2電極64bは複数本形成されていて、それらは図11の左右方向へ互いに平行に並べられている。つまり、複数の第2電極64bは、第1電極64aに直交する方向へ延びるストライプ状に形成されている。
【0091】
第1電極64aと第2電極64bとは矢印A方向から見て多数のマトリクス状に並ぶ点で交差しており、これらの交差点が表示のためのドット領域を構成している。R,G,Bの3色や、C,M,Yの3色のフィルタ要素から成るカラーフィルタ68を用いてカラー表示を行う場合には、上記のドット領域の1つずつにそれら3色のうちの1つずつが対応して配置され、3色の集まりが1つのユニットになって1画素を構成する。そして、その画素の多数が矢印A方向から見てマトリクス状に並ぶことにより、有効表示領域Vが形成され、この有効表示領域Vの領域内に文字、数字、図形等といった像が表示される。
【0092】
表示の最小単位である表示用ドット領域に対応して、反射膜62に開口71が形成されている。これらの開口71は、照明装置56から供給される面状の光を透過させて、透過型の表示を実現する。なお、透過型の表示を行うにあたっては、反射膜62に開口71を設けることだけに限られず、例えば、反射膜62の膜厚を薄くすることによっても透過型の表示を実現できる。
【0093】
第1基材61aは第2基材61bを越えて外側へ張り出す張出し部70を有している。第1基板57a側の第1電極64aはシール材58を横切ってその張出し部70上に延び出て配線65となっている。また、張出し部70の辺縁には外部接続端子49が形成されている。配線基板54は、その外部接続端子49に導電接続されている。第2基板57b側の第2電極64bは、シール材58の内部に分散された導通材59を介して第1基板57a側の配線65に接続されている。なお、導通材59は、図11ではシール材58の幅寸法とほとんど同じ寸法で描いてあるが、実際は、導通材59はシール材58の幅よりも小さくなっており、そのため、シール材58の幅方向には複数の導通材59が存在するのが普通である。
【0094】
張出し部70の表面において、配線65と外部接続端子49との間には駆動用IC53がACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)48によって接着されている。そして、このACF48により、駆動用IC53のバンプが配線65及び外部接続端子49に導電接続している。この実装構造により、配線基板54から駆動用IC53へ信号及び電圧が供給される。一方、駆動用IC53からの走査信号及びデータ信号が第1電極64aや第2電極64bへ伝送される。
【0095】
図11において、照明装置56は、観察側から見て液晶パネル52の背面に緩衝材78を挟んで配設され、バックライトとして機能する。この照明装置56は、基板77に支持された光源としてのLED(Light Emitting Diode)76と、導光体72とを有する。導光体72の観察側の表面には拡散シート73が設けられ、その反対側の面には反射シート74が設けられる。LED76を点状光源とする光は、導光体72の受光面72aから導光体72の内部に取り込まれ、その内部を伝播する間に光出射面72bから面状光となって出射する。
【0096】
上記構成より成る液晶装置51において反射型の表示が行われる場合には、太陽光、室内光等といった外部光が第2基板57bを通して液晶層55の内部に取り込まれ、反射膜62で反射した後、再び液晶層55へ供給される。一方、透過型の表示が行われる場合には、照明装置56のLED76が発光し、導光体72の光出射面72bから面状の光が出射し、反射膜62に設けた複数の開口71を通過した光が液晶層55へ供給される。
【0097】
液晶層55に光が供給されたとき、第1電極64a及び第2電極64bの一方に走査信号が与えられ、それらの他方にデータ信号が与えられると、当該データ信号が与えられた部分の表示用ドットに所定電圧が印加されて液晶が駆動され、当該表示用ドットに供給された光が変調される。このような変調が、有効表示領域V内の表示用ドットごと、換言すれば画素ごとに行われ、文字、数字、図形等といった希望する像がその有効表示領域V内に形成され、観察者によって矢印A方向から観察される。
【0098】
本実施形態の液晶装置51では、カラーフィルタ68及びオーバーコート層11が、図1及び図4(l)に示すように構成される。つまり、複数の各色のカラーフィルタ要素9の周りをオーバーコート層用バンク5で取り囲んだ上で、その内部領域内に液滴吐出技術を用いてオーバーコート層11を形成する。このように、バンク5によってオーバーコート層11の形成範囲を規制するので、オーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。
【0099】
また、バンク5によってオーバーコート層11の形成範囲を規制するので、オーバーコート層11の基材2、すなわち図11の第2基材61b、上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができるので、その上に電極64bを形成したとき、その電極64bの断線を防止でき、さらに電極64b及びそれにつながるな配線の電気抵抗値が徒に高くなることを防止できる。
【0100】
本実施形態の液晶装置51の製造方法を考えると、それに含まれるカラーフィルタ68及びオーバーコート層11が図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されることに特徴がある。図6に示した製造装置201を用いて行われるカラーフィルタ基板の製造工程においては、オーバーコート層11を形成する際に図4(l)に示すように、複数の各色のカラーフィルタ要素9の周りにオーバーコート層用バンク5を形成した上で、液滴吐出技術によってオーバーコート層の材料を吐出するようにしたので、バンク5によってオーバーコート層11の外周縁の形状を希望通りに制御できる。また、オーバーコート層11の基材2上での広がりを確実に抑えることができる。さらに、オーバーコート層11の表面を正確に平坦にすることができる。
【0101】
(変形例)
図11の実施形態では、半透過反射型で単純マトリクス方式の液晶装置に本発明を適用した。しかしながら、本発明は、これ以外に、反射型表示機能を持たない半透過型の単純マトリクス方式の液晶装置や、透過型表示機能を持たない反射型の単純マトリクス方式の液晶装置や、TFD(Thin Film Diode)等といった2端子型のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置や、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置等といった各種の液晶装置に適用できる。
【0102】
(電子機器及びその製造方法の実施形態)
以下、電子機器及びその製造方法の実施形態を一例を挙げて説明する。図12は電子機器の一例を示している。ここに示す電子機器は、表示情報出力源141、表示情報処理回路142、電源回路143、タイミングジェネレータ144及び液晶装置145によって構成される。液晶装置145は液晶パネル147及び駆動回路146を有する。
【0103】
表示情報出力源141は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ144により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路142に供給する。
【0104】
次に、表示情報処理回路142は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路146へ供給する。ここで、駆動回路146は、走査線駆動回路(図示せず)やデータ線駆動回路(図示せず)と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路143は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
【0105】
本実施形態の電子機器において、液晶装置145は、図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されたカラーフィルタ基板を有するところの、図11に示す液晶装置51によって構成できる。
【0106】
図13は、本発明に係る電子機器のさらに他の例であるデジタルカメラであって、液晶装置をファインダとして用いるものを示している。このデジタルカメラ150におけるケース151の背面には液晶表示ユニット152が設けられる。この液晶表示ユニット152は、被写体を表示するファインダとして機能する。この液晶表示ユニット152は、図6〜図10に示したカラーフィルタ基板の製造装置を用いて、図2〜図5に示した製造方法によって製造されたところの、図11に示す液晶装置51によって構成できる。
【0107】
ケース151の前面側(図においては裏面側)には、光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニット153が設けられている。撮影者が液晶表示ユニット152に表示された被写体像を確認して、シャッタボタン154を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板155のメモリに転送されてそこに格納される。回路基板155上には制御回路が形成される。
【0108】
ケース151の側面には、ビデオ信号出力端子156と、データ通信用の入出力端子157とが設けられている。ビデオ信号出力端子156にはテレビモニタ158が必要に応じて接続され、また、データ通信用の入出力端子157にはパーソナルコンピュータ159が必要に応じて接続される。回路基板155のメモリに格納された撮像信号は、所定の操作によって、テレビモニタ158や、パーソナルコンピュータ159に出力される。
【0109】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカラーフィルタ基板の一実施形態の平面図である。
【図2】本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態の主要工程を示す工程図である。
【図3】図2に続く工程図である。
【図4】図3に続く工程図であり、特に(l)は目標とするカラーフィルタ基板の一実施形態を示している。
【図5】複数のフィルタ要素の配列例を示す図であり、(a)はストライプ配列、(b)はモザイク配列、(c)はデルタ配列を示している。
【図6】本発明に係るカラーフィルタ基板の製造方法を実施する装置の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す製造装置の制御系を示す回路ブロック図である。
【図8】図6に示す製造装置の材料吐出部を示す斜視図である。
【図9】図8に示す材料吐出部の主要部の内部構造を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図9のD−D線に従った断面図である。
【図11】本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図12】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図13】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:カラーフィルタ基板、 2:基材、 3:遮光層、 3a:金属膜、 4:色インク用バンク(第1区分け要素)、 4a:感光性樹脂、 5:オーバーコート用バンク(第2区分け要素)、 6,6g,6r,6b:表示用ドット領域、 7a:レジスト、 8:液滴、 9,9g,9r,9b:フィルタ要素、11:オーバーコート層、 20:ケーシング、 22:インクジェットヘッド、27:ノズル(液滴吐出部)、 39:加圧体、 41:圧電素子、 42a,42b:電極、 51:液晶装置(電気光学装置)、 52:液晶パネル、 55:液晶層、 57a,57b:基板、 61a.61b:基材、 68:カラーフィルタ、 150:デジタルカメラ(電子機器)、201:カラーフィルタ基板の製造装置、 202:フィルタ形成部、203:材料供給部、 213:記録ヘッド、 M0:液状材料、 S0:波形、 S1:ビットマップデータ、 S2:吐出タイミング信号、 S3:位置情報、 V:有効表示領域、
Claims (15)
- 基材と、
該基材の表面に形成された複数のフィルタ要素と、
該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の区分け要素と、
該区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層と
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板。 - 請求項1において、前記区分け要素は突出するバンクであることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 基材と、
該基材の表面に形成されて該基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素と、
前記複数の領域内に設けられてなる複数のフィルタ要素と、
該複数のフィルタ要素を囲むように設けられてなる枠状の第2区分け要素と、
該第2区分け要素によって囲まれる領域に、前記フィルタ要素を覆うように設けられてなるオーバーコート層と
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板。 - 請求項3において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素は突出するバンクであることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 請求項3又は請求項4において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同じ材料によって形成されることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 基材上に複数のフィルタ要素を形成する工程と、
該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の区分け要素を形成する工程と、
該区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程と
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。 - 請求項6において、前記区分け要素は突出するバンクであることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
- 基材の表面を複数の領域に区分けする第1区分け要素を形成する工程と、
前記複数の領域内に複数のフィルタ要素を形成する工程と、
該複数のフィルタ要素を囲むように枠状の第2区分け要素を形成する工程と、
該第2区分け要素によって囲まれる領域に液滴吐出によってオーバーコート層を、前記フィルタ要素を覆うように形成する工程と
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。 - 請求項8において、前記第1区分け要素及び前記第2区分け要素は突出するバンクであることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
- 請求項8又は請求項9において、前記第1区分け要素と前記第2区分け要素は同一工程で形成されることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
- 請求項8から請求項10の少なくともいずれか1つにおいて、前記複数のフィルタ要素は液滴吐出によって形成されることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
- 請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタ基板と、該カラーフィルタ基板上に形成された電気光学物質層とを有することを特徴とする電気光学装置。
- 請求項6又は請求項7記載のカラーフィルタ基板の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項12記載の電気光学装置と、該電気光学装置の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。
- 請求項13記載の電気光学装置の製造方法を実施する工程を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
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