JP2004360637A - 気体の浄化装置及び気体の浄化材並びに気体の浄化材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハニカム構造体7は、排ガスの流れ方向に沿って多数の細い流路9が隣接して並列に配置されたものであり、各流路9間は隔壁11により分離され、前記各流路9の一方側又は他方側は目封じ部13により目封じされている。このハニカム構造体7は、そのベースとなるハニカム状の基体15の一方の側(排ガスの下流側)に、その全面にわたって、活性酸素を排出する金属酸化物からなる浄化材層17が形成されたものである。ハニカム構造体7の基体15は、コージエライトからなるポーラスな材料により構成されている。一方、浄化材層17は、主として固溶体である12Ca・7Al2O3からなり、その平均厚みが100μm以下の排ガスの通過が可能なポーラスな薄膜である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性酸素を用いて、排ガスの浄化や臭気ガスの浄化を行う気体の浄化装置及び気体の浄化材並びに気体の浄化材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、快適な生活空間に対する欲求が高まりつつあり、特に居住空間内のにおいに対し、効果的な脱臭方法の開発が急がれている。
ところが、発生したにおいの除去は、発生源の多様性、発生工程、原因となる物質の複雑さ、においの感覚的問題などを含め、その経済的な除去には、場所の問題を含めて困難が伴う場合が多い。
【0003】
また、大気汚染の問題も、快適な生活を阻害する要因となっており、自動車から排出される排気ガス中に含まれるハイドロカーボンや浮遊性微粒子(SPM)等の有害物質の規制値も厳しくなってきている。
このうち、居住空間内や車室内のにおいの除去法においては、下記▲1▼〜▲4▼に示す様に、吸着法、マスキング法、生物的方法、分解法などが考えられている。
【0004】
▲1▼例えば、吸着方法として、活性炭を吸着材として用いた例(特許文献1参照)があり、車室内の悪臭・VOC等やカーエアコンの外気導入時に混入するハイドロカーボン等を除去する方法として利用できる。
▲2▼また、芳香剤等により悪臭をマスキングする方法もある。
【0005】
▲3▼更に、生物的方法として、曝気槽などの活性汚泥中に生息する悪臭成分を分解する菌体を利用して、悪臭ガス中の臭気成分を分解することにより生物学的に脱臭する例(引用文献2参照)や、悪臭ガスを脱臭塔に供給して悪臭成分を微生物固定化担体表面の水分に溶解させた後、これを微生物に吸収させて分解させる例(引用文献3参照)がある。
【0006】
▲4▼その上、分解法として、オゾンを発生させることにより脱臭を行う例(引用文献4、5参照)がある。
一方、排気ガス中の有害物質の除去法においては、下記▲5▼に示す様に、貴金属を担持した担体に排気ガスを通すことにより、浄化する方法が一般的となっている。
【0007】
▲5▼例えば、担体として、白金、パラジウム、ロジウム及びイリジウムからなる群より選択された少なくとも一種の貴金属を担持したゼオライトと、アルミナとを含む技術が提案されている(引用文献6参照)。また、担持する触媒として、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選ばれた少なくとも一種とロジウムと白金を用いる技術が提案されている(特許文献7参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−124469号公報 (第2頁)
【特許文献2】
特開平6−7633号公報 (第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平7−124437号公報 (第2頁、図1)
【特許文献4】
特開平9−75436号公報 (第2頁、図1)
【特許文献5】
特開平11−314048号公報 (第2頁、図1)
【特許文献6】
特開平11−57484号公報 (第2頁)
【特許文献7】
特開2001−221034号公報 (第2頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術は、下記の問題があり、必ずしも十分ではない。
▲1▼前記特許文献1の技術では、吸着剤は、臭気成分を吸着するに従い、吸着剤性能が低下し、脱臭効率が低下するが、その使用期間が短いので、こまめに交換しなければならず、メンテナンスに手間と労力がかかるという問題がある。また,使用後の吸着剤は、臭気成分の脱離が不十分で、再利用することは困難であり、そのため、取り替え時には、新しい吸着剤を使わなければならず、コストがかかるという問題がある。
【0010】
▲2▼前記特許文献2の技術では、芳香剤は個人により好みが異なるという問題がある。また、芳香剤の発生を制御することが難しく、不必要なときにおいても芳香剤が洩れる等の不具合が起こることや、芳香剤の量が減少してきた場合、新規に取りかえる必要がある等、メンテナンスに手間と労力がかかるという問題がある。
【0011】
▲3▼前記引用文献3の技術では、微生物を用いて脱臭するので、時間がかかることや、微生物の脱臭特性を保つための条件を整える等のメンテナンスが必要であり、手間と労力がかかるという問題がある。
▲4▼前記引用文献4、5の技術では、オゾンは身体にとって有害な物質であり、その発生量を制御する必要があるため、オゾン発生量を検出するセンサーや一度発生させたオゾンを分解させる装置等を設置する必要があり、高コスト化となる可能性があるという問題がある。
【0012】
▲5▼前記引用文献6、7の技術では、いずれも触媒に白金等の貴金属を使用しており、高コストであるという問題がある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、メンテナンスが容易で、コストが低い等の優れた効果を有する気体の浄化装置及び気体の浄化材並びに気体の浄化材の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明者等は、上記課題を達成するために、鋭意努力した結果、活性酸素を発生する金属酸化物を用いることにより、メンテナンスが不用で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンから排出するガス(排ガス)や、臭気物質を含む臭気ガスを、分解もしくは酸化して浄化することができる構成を見い出し、本発明に至ったものである。
【0014】
以下、請求項毎に説明する。尚、以下では、浄化対象の排ガス及び臭気ガスである気体の概念として、浮遊性微粒子等が含まれる気体も含むものとする。
(1)請求項1の発明は、内燃機関(例えばガソリンエンジン又はディーゼルエンジン)の排ガスを浄化する気体の浄化装置において、前記排ガスの流路に、活性酸素を排出する金属酸化物を含む浄化材を配置し、前記活性酸素により前記排ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0015】
本発明では、排ガスの流路に浄化材を配置し、この浄化材から発生する活性酸素により、排ガス中の有害成分(例えばトルエン等のハイドロカーボンや、カーボン粒子等の浮遊性微粒子など)を分解もしくは酸化することにより浄化することができる。
【0016】
また、オゾンと異なり、活性酸素は、発生後すぐに排ガスを分解し活性を失うため、人体に影響を与えることはなく、オゾンセンサー等の余分な装置を設置する必要がないという利点がある。
従って、本発明は、メンテナンスが容易で、コストが低いという顕著な効果を奏する。
【0017】
尚、ここで、排ガスの浄化とは、主に炭化物等の有機物を(好ましくは完全に)燃焼させて除去する処理をいう。
また、活性酸素とは、O−、O2 −のことであり、例えば下記式(1)に示す様に、金属酸化物の結晶中から発生したり、金属酸化物から発生したO2−が気体中のO2と反応することにより発生する。
【0018】
・金属酸化物(例えば固溶体である12Ca・7Al2O3)からの02−と気体(例 えば空気)中の02が反応して発生する場合
02−+02→O−+O2 − ・・・・(1)
更に、排ガス中の有害成分を浄化する際の化学式(2)を下記に例示する。
【0019】
・有害成分が例えばトルエンの場合
H6C5(CH3)+9O2−→7CO2+4H2O ・・・・(2)
(2)請求項2の発明は、前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、前記排ガスの流路を遮るように、前記排ガスの通過が可能な浄化材を配置し、前記活性酸素により、前記浄化材を通過する排ガスの浄化を行うことを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0020】
本発明では、排ガスの流路を遮る位置に、(いわゆるポーラスな構成を有する)浄化材を配置するので、その浄化材を通過した排ガスを、浄化材から排出される活性酸素により、効率良く浄化することができる。
(3)請求項3の発明は、前記請求項1又は2に記載の気体の浄化装置において、前記排ガスの流路を遮る位置に、前記排ガスの通過が可能な多数の細孔を有する壁部(流路の周囲を構成する部分)を設けるとともに、前記壁部に前記浄化材を配置することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0021】
本発明では、排ガスの流路を遮る位置に、排気の通過が可能な(いわゆる多孔質(ポーラス)な材料からなる壁部)を配置するので、壁部の細孔を通過した排ガスを、浄化材から排出される活性酸素により、効率良く浄化することができる。
【0022】
尚、浄化材もポーラスであると、排ガスは浄化材中を通過できるので、活性酸素と接触する割合が増加し、一層効率良く排ガスを浄化できる。
(4)請求項4の発明は、前記請求項2又は3に記載の気体の浄化装置において、前記排ガスの流路を、多数の細い流路が隣接して並列に配置されたハニカム形状のハニカム構造体により形成するとともに、前記隣り合う流路間における前記排ガスの通過を可能とし、更に、前記各流路の一方側又は他方側を、前記排ガスの通過を抑制又は禁止する部材により目封じすることを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0023】
本発明は、排ガスの流路を構成する構造物を例示したものである。本発明では、排ガスの浄化のために、いわゆるハニカム型フィルタ(例えば壁部の下流側の壁面に前記金属酸化物をコーティングして形成した様な浄化材を備えたハニカム構造体)を用いることにより、排ガスと接触する浄化材の面積が広くなり、一層効率良く浄化を行うことができる。
【0024】
尚、目封じする部分(目封じ部)としては、例えば隔壁と同様な材料を使用できる。
(5)請求項5の発明は、前記請求項4に記載の気体の浄化装置において、前記ハニカム構造体自体を、前記排ガスの通過が可能な浄化材から構成したことを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0025】
本発明は、ハニカム構造体の全体が浄化材から構成されている。この浄化材は排ガスの通過が可能であるので、排ガスが浄化材からなる壁部を通過する際に、浄化材から排出された活性酸素によって、効率良く浄化される。また、本発明では、ハニカム構造体の構成がシンプルであり、コスト低減に寄与するという利点もある。
【0026】
(6)請求項6の発明は、前記請求項4に記載の気体の浄化装置において、前記ハニカム構造体のうち、前記排ガスの流路を分離する隔壁に、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を用いることを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0027】
本発明では、排ガスの流路を分離する隔壁、即ち並列に配置された流路を分離する隔壁に、浄化材と酸素透過層とが積層された積層体が配置されている(例えば隔壁の一部自体が積層体で構成されている)。従って、浄化材は、酸素透過層側から、酸素透過層を通過した酸素イオンの供給を受けて、多くの活性酸素を排出することができるので、排ガスの浄化能力が高いという特長がある。
【0028】
尚、目封じ部も同様な構成としてもよい。
(7)請求項7の発明は、前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、前記排ガスの流路に、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を配置し、前記活性酸素により前記排ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0029】
本発明では、排ガスの流路に、浄化材と酸素透過層とが積層された積層体が配置されている。従って、浄化材は、上述した様に、酸素透過層を通過した酸素イオンの供給を受けて、多くの活性酸素を排出することができるので、排ガスの浄化能力が高いという特長がある。
【0030】
(8)請求項8の発明は、前記請求項6又は7に記載の気体の浄化装置において、前記酸素透過層は、酸化ジルコニウムを主成分とすることを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
本発明は、酸素透過層の材料を例示したものであり、酸素ジルコニウムは、酸素イオンを選択して透過させる能力が高いという利点がある。
【0031】
尚、この材料としては、酸化ジルコニウム自体又は酸化ジルコニウムに添加物(例えばイットリウム)を混合した組成を有するものが好ましい。
(9)請求項9の発明は、前記請求項6〜8のいずれかに記載の気体の浄化装置において、前記積層体の両側に、それぞれ電極を配置し、前記浄化材側を陽極として前記両電極に電圧を印加することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0032】
浄化材から排出される活性酸素は、マイナスに帯電しているので、浄化材側を陽極として両電極に電圧を印加することにより、より多くの活性酸素を排出することができるので、排ガスの浄化能力が一層高いという特長がある。
尚、目封じ部も同様な構成としてもよい。
【0033】
(10)請求項10の発明は、前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、前記排ガスの流路に隣接して大気又は酸素の流路を設け、前記両流路の隔壁として、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を、前記浄化材側を前記排ガス側にして配置し、更に、前記積層体の両側にそれぞれ電極を配置し、前記浄化材側を陽極として前記両電極に電圧を印加することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0034】
本発明では、排ガスの流路と大気又は酸素の流路との間に前記積層体を配置して、上述した様に電圧を印加するので、多くの活性酸素を排出することができ、排ガスの浄化能力が高いという利点がある。
尚、酸素の流路とは、酸素を含むガスの流路である。
【0035】
(11)請求項11の発明は、前記請求項2〜10のいずれかに記載の気体の浄化装置において、浄化対象のガスとして、前記内燃機関の排ガスに代えて、臭気物質を含む臭気ガスを採用し、前記排ガスの浄化に代えて、前記活性酸素により前記臭気物質の分解又は酸化を起こって臭気ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0036】
前記請求項2〜10の発明は、排気ガスを浄化する浄化装置に関する発明であるが、本発明では、浄化対象のガスとして、排気ガスに代えて、悪臭等の原因となる臭気物質を含む臭気ガスを選択する。
従って、本発明では、臭気ガスの好ましくない臭気の元となる臭気物質を活性酸素により分解又は酸化することにより、臭気ガスの浄化を行うことができる。
【0037】
ここで、臭気物質としては、例えばホルムアルデヒド(HCHO)等の炭化物などの有機物が挙げられる。
また、臭気物質を浄化する際の化学式を下記式(3)、(4)に例示する(臭気物質がHCHOの場合)。
【0038】
HCHO+2O−→CO2+H2O ・・・・(3)
HCHO+O2 −→CO2+H2O ・・・・(4)
尚、本発明は、臭気ガスから臭気を除去するものであるが、臭気は無いが有害物質(例えばメタン(CH4)、プロパン(C3H8)等の炭化物などの有機物)を含む有害ガスにも本発明は適用可能である。この場合は、本明細書において、臭気ガスを有害ガスに、臭気物質を有害成分と置き換えればよい。
【0039】
(12)請求項12の発明は、前記請求項11に記載の気体の浄化装置において、車両用空調装置の空調ダクト内の内壁及び/又は車室内に向かう空調風を発生させるファン(例えば遠心ファン)の表面に、前記活性酸素を放出する浄化材を配置し、前記車室内の臭気物質を分解又は酸化することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0040】
本発明は、気体の浄化装置を例示したものである。例えば、空調ダクト内の内壁や車室内に向かう空調風を発生させる遠心式ファンの表面に、活性酸素を放出する金属酸化物を含むコーティング材料を付着させることにより、効率良く、車室内の臭気物質を分解もしくは酸化することができる。
【0041】
尚、エンジン等から発生する熱を利用することにより、活性酸素の発生効率を上げることも可能である。
(13)請求項13の発明は、前記請求項1〜12のいずれかに記載の気体の浄化装置において、前記浄化材が、板状又は薄膜状の形状を有することを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0042】
本発明は、浄化材の形状を例示したものである。特に、金属酸化物を含むコーティング材料を、浄化材の形成対象に塗布することにより、形成対象の形状にとらわれず、容易に浄化材を密着して形成できるという利点がある。
(14)請求項14の発明は、前記請求項13に記載の気体の浄化装置において、前記浄化材が、ヒータに接触又は隣接して配置されていることを特徴とする気体の浄化装置を要旨とする。
【0043】
本発明では、ヒータの近くに浄化材を配置するので、活性酸素の発生効率を向上させることができる。
また、この方法以外に、エンジン等から発生する熱を用いることも考えられるが、システムの構造上及び配置上の制約から、前記の熱を利用できない場合や局所的に熱が必要となる場合には、この方法が好適である。
【0044】
尚、ヒータの材質としては、浄化材が形成できれば、金属でもセラミックス等でもよい。
(15)請求項15の発明は、前記請求項1〜14のいずれかに記載の気体の浄化装置に用いる気体の浄化材において、前記浄化材を構成する金属酸化物に含まれる元素が、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Mnの少なくとも1つを含むことを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
【0045】
これらの金属酸化物を含む浄化材を用いることにより、効率良く活性酸素を排出できる。
また、前記金属元素は、活性酸素の発生効率等の点から、遷移金属が最も望ましく、次いで、アルカリ金属・アルカリ土類金属を含むことが望ましい。
【0046】
(16)請求項16の発明は、前記請求項15に記載の気体の浄化材において、前記金属酸化物の組成は、Al、Caをともに含むことを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
本発明は、好ましい組成を例示したものである。
【0047】
(17)請求項17の発明は、前記請求項16に記載の気体の浄化材において、前記金属酸化物の構造が、Al203、CaOの固溶体であることを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
本発明は、好ましい構成を例示したものである。つまり、Al203、CaOの固溶体からなる金属酸化物は、その結晶構造の特徴として、籠状もしくは層状構造をとることがあり、活性酸素は前記結晶構造中に内包され易く、その結果、活性酸素の発生効率を向上させることができる。
【0048】
(18)請求項18の発明は、前記請求項17に記載の気体の浄化材において、前記金属酸化物の組成は、下記の組成式にて表され、M1はAlと価数が等しくAlよりもイオン半径が大きい金属元素であり、M2はCaと価数が等しくCaよりもイオン半径が大きい金属元素であることを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
【0049】
12[(CaO)1−x、(M1O)x]・7[(Al203)1−y・(M2203)y]、
但し、0≦x≦1、0≦y≦1
前記固溶体の組成において、代表的な組成として、12CaO・7Al203があるが、さらに活性酸素の発生を容易ならしめるためには、前記M1及びM2を含んだ上述した組成式であることが望ましい。
【0050】
つまり、本発明では、M1はAlと価数が等しくAlよりもイオン半径が大きい金属元素であり、M2はCaと価数が等しくCaよりもイオン半径が大きい金属元素である。これにより、本発明では、12CaO・7Al203よりも結晶格子をわずかに大きくすることができ、その結果、金属酸化物の結晶内部に包含されている活性酸素を放出しやすくなる。
【0051】
(19)請求項19の発明は、前記請求項18に記載の気体の浄化材において、前記M1及びM2は、下記の中から選択されることを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
M1、M2=Mg、Si、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、In、Sn、Ba、Ta、Pb、Ce
本発明は、活性酸素の発生のための好ましい金属元素を例示したものである。
【0052】
これらの金属元素のうち、活性酸素の発生効率等の点から、遷移金属が最も望ましく、次いで、アルカリ金属・アルカリ土類金属を含むことが望ましい。
さらに、前記金属元素の酸化物の結晶構造が、CaOもしくはAl203の結晶構造と同一または類似の構造であることがより好ましい。
【0053】
(20)請求項20の発明は、前記請求項18又は19に記載の気体の浄化材において、前記金属酸化物の組成は、前記組成式にて、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5であることを特徴とする気体の浄化材を要旨とする。
本発明は、より好ましい組成を例示したものである。これは、Ca、Alのイオン半径よりも大きなイオン半径を有するM1及びM2の添加量が、0.5<x、0.5<yとなった場合、結晶構造がCaOもしくはAl203の結晶構造から変化し、所望の(活性酸素の発生効率の高い)金属酸化物が得られない可能性があるためである。
【0054】
(21)請求項21の発明は、前記請求項15〜20のいずれかに記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、前記浄化材を構成する金属酸化物の原料を、バインダー及び焼結助剤とともに湿式混合することによりスラリー状とし、スリットの間隙から引き出すことにより、板状又は薄膜状に形成することを特徴とする気体の浄化材の製造方法を要旨とする。
【0055】
本発明の製造方法(いわゆるドクターブレード法)によれば、板状もしくは薄膜状に形成した金属酸化物(従って浄化材)を連続的に生産でき、コストダウンにつながる。また、バインダーの量(従って粘度)や引出し速度等を変更することにより、板状及び薄膜状の形成物の厚さを調節できる。
【0056】
(22)請求項22の発明は、前記請求項21に記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、焼成後にガス又は酸素イオンの透過が可能となる材料のスラリーからなる層の上に、前記浄化材を構成する金属酸化物の原料のスラリーを積層することを特徴とする気体の浄化材の製造方法を要旨とする。
【0057】
この方法により、例えば浄化材層とポーラスな層(又は酸素透過層)とを積層した積層体を容易に製造することができる。
(22)請求項22の発明は、前記請求項15〜20のいずれかに記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、前記浄化材を構成する金属酸化物を、スパッタ法、CVD法、ディッピング法、噴霧法、又は印刷法にて、板状又は薄膜状に形成することを特徴とする気体の浄化材の製造方法を要旨とする。
【0058】
つまり、薄膜の成形方法としては、例えば、前記金属酸化物の粉体を、水やアルコール等に混合することによりスラリー状にした後、形成対象である基板等の上に、ディッピング法、印刷法等により塗布して形成する方法が挙げられる。
また、例えば、前記金属酸化物に含まれる金属の水酸化物、硝酸化物、塩化物、アルコキサイド等の有機物などの金属塩を水やアルコール等に溶解した溶液を作製し、その溶液を、形成対象である基板等の上に、CVD(化学蒸着)法、噴霧法等により塗布することにより形成する方法を採用できる。或いは、金属酸化物によるスパッタ法も採用できる。
【0059】
尚、前記金属酸化物のスラリーを塗布したものについて、その熱処理の一例としては、塗布後に700℃にて一定時間熱処理する方法が挙げられ、一方、溶液を塗布したものについては、1350〜1400℃にて一定時間熱処理する方法が挙げられる。尚、熱処理温度及び処理時間は、材料の組成及び形状等により、変更が可能である。
【0060】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の気体の浄化装置及び気体の浄化材並びに該気体の浄化材の製造方法の実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例の排ガスの浄化装置について説明する。
【0061】
本実施例は、活性酸素を排出する金属酸化物からなる焼結体(浄化材)を、自動車の排ガスの浄化装置に用いた具体例を示したものである。
図1に示す様に、通常、自動車の排ガスの浄化装置1は、自動車の前後、すなわちエンジンの近接部分とマフラーの近接部分の両部分あるいはどちらか一方に設置されている。
【0062】
この排ガスの浄化装置1の主要な構成部品として、図2(a)に示す様に、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)3があり、このDPF3は、筒状の容器5内にセラミックス製のハニカム構造体7が収容されたものである。
前記ハニカム構造体7は、図2(b)に示す様に、排ガスの流れ方向に沿って多数の細い流路9が隣接して並列に配置されたものであり、各流路9間は隔壁11により分離され、前記各流路9の一方側又は他方側は目封じ部13により目封じされている。
【0063】
このハニカム構造体7は、そのベースとなるハニカム状の基体15の一方の側(例えば排ガスの下流側:同図右側)に、その全面にわたって、活性酸素を排出する金属酸化物からなる浄化材層17が形成されたものである。
前記ハニカム構造体7の基体15は、コージエライト(又はβ−アルミナ)からなるポーラスな材料により構成されているので、排ガスは、各流路9を区分する隔壁11や壁部13を介して、上流側の流路9から隣接する下流側の流路9に通過が可能である。
【0064】
一方、浄化材層17は、主として固溶体である12Ca・7Al2O3からなり、その平均厚みが100μm以下(例えば50μm)の排ガスの通過が可能なポーラスな薄膜であり、前記基体15の下流側の表面に強固に密着している。
詳しくは、浄化材層17は、下記式に示す様に、Alの一部が、M1(Alと価数が等しくAlよりもイオン半径が大きい金属元素)に置き換わり、Caの一部が、M2(Caと価数が等しくCaよりもイオン半径が大きい金属元素)に置き換わったものである。
【0065】
12[(CaO)1−x、(M1O)x]・7[(Al2O3)1−y・(M22O3)y]
但し、0≦x≦1、0≦y≦1
b)次に、本実施例の排ガスの浄化装置1の製造方法(特に浄化材層17の製造方法)について説明する。
【0066】
まず、ハニカム構造体7のポーラスな基体15を製造するために、コージエライトからなる原料粉末を、水系又は有機溶媒系のバインダーを用いて分散させる。この原料粉末としては、例えば粒径が均一で1μm以下のものが好ましい。
そして、原料粉末の分散後、押し出し成形によりハニカム形状に成形し、定法により、乾燥・焼成する。
【0067】
一方、浄化材層17を形成するために、まず、上述した金属酸化物の原料粉末を、水系又は有機溶媒系のバインダーを用いてスラリー状とする。
次に、ディッピング法により、焼成後のハニカム状の基体15を、前記スラリー中に浸漬し、基体15の片面のみに金属酸化物のスラリーを塗布する。
【0068】
その後、乾燥・焼成することにより、活性酸素を発生する金属酸化物の焼結体である薄膜(浄化材層17)を、基体表面に均一に形成する。
c)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例では、ポーラスなハニカム構造体7の一方の側に、活性酸素を排出する金属酸化物からなる(ポーラスな)浄化材層17が形成されているので、流路9に沿って流れてきた排ガスは、基体15の隔壁11や壁部13を通過するとともに浄化材層17を通過する。
【0069】
この浄化材層17を構成する金属酸化物は、活性酸化物を排出するので、浄化材層17を通過した排ガスは、活性酸化物により分解される。即ち、排ガス中の炭化物などの有害成分が分解されて、排ガスが浄化される。
この様に、本実施例の排ガスの浄化装置1では、金属酸化物から発生する活性酸素により、未燃焼の燃料またはハニカム表面に付着した炭化物等の有機物をより完全に燃焼させることができるので、従来と比べて、メンテナンスが容易又は不要で、コストが低いという顕著な効果を奏する。
【0070】
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の排ガスの浄化装置は、そのDPFに、前記実施例1と同様に、ハニカム構造体を用いるが、その構造が異なる。
【0071】
具体的には、図3(a)に示す様に、本実施例では、ハニカム構造体21自体が、排ガスの通過が可能なポーラスな浄化材の焼結体、即ち、実施例1と同様な組成の活性酸素を排出する金属酸化物の固溶体から構成されている。
そして、本実施例のハニカム構造体21を製造する場合には、前記実施例1より粘度が大きな材料を用いて押し出し成形してハニカム形状に成形し、定法により、乾燥・焼成する。
【0072】
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、ハニカム構造体21は基体と浄化材層の二層構造とする必要がないので、製造方法を簡易化できるという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
【0073】
本実施例の排ガスの浄化装置は、そのDPFに、前記実施例1と同様に、ハニカム構造体を用いるが、その構造が異なる。
具体的には、図3(b)に示す様に、本実施例では、ハニカム構造体31の上流側の半分が前記実施例1の基体と同様に、排ガスの通過が可能なポーラスな材料、即ち、コージエライトやβ−アルミナ等の多孔質材である焼結体から構成されている。
【0074】
一方、ハニカム構造体31の下流側の半分が、酸素透過層33と前記活性酸素を排出する金属酸化物の固溶体からなる浄化材層35との積層体37から構成されている。
このうち、酸素透過層33は、酸素イオンの透過が可能な酸化ジルコニウムからなる緻密な層であり、積層体37は、浄化材層35側が排ガスの下流側となるように配置されている。
【0075】
そして、本実施例のハニカム構造体31を製造する場合には、コージエライト等の材料を用いて、ハニカム構造体31の上流側の部材を押し出し成形するとともに、酸化ジルコニウムを用いて、ハニカム構造体31の下流側の部材を押し出し成形し、それらを接合したものを、定法により、乾燥・焼成する。
【0076】
その後、前記実施例1と同様に、ディッピング法により、ハニカム構造体31の下流側を前記金属酸化物のスラリー中に浸漬し、酸素透過層33の表面のみに金属酸化物のスラリーを塗布し、その後、乾燥・焼成する。
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、酸素透過層33からは、酸素のみを供給できるので、活性酸素を効率良く排出でき、浄化能力が高いという利点がある。
【0077】
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の排ガスの浄化装置は、そのDPFに、前記実施例1と同様に、ハニカム構造体を用いるが、その構造が異なる。
【0078】
具体的には、図3(c)に示す様に、本実施例では、ハニカム構造体41の多くの部分が前記実施例1の基体と同様に、排ガスの通過が可能なポーラスな材料、即ち、コージエライトやβ−アルミナ等の多孔質材である焼結体から構成されている。
【0079】
特に本実施例では、ハニカム構造体41の隔壁43の一部が、前記酸化ジルコニウムからなる酸素透過層45と前記金属酸化物の固溶体からなる浄化材層47との積層体49から構成されるとともに、浄化材層47が排ガスの下流側となるように配置されている。
【0080】
更に、前記積層体49の両側には、積層体49と直接に接触しないようにして、一対の電極51、53が配置されている。このうち、陽極51は浄化材層45側、陰極53は酸素透過層47側に配置されており、両電極51、53間には直流電圧が印加される。
【0081】
そして、本実施例のハニカム構造体41を製造する場合には、コージエライト等の材料を用いて、ハニカム構造体41の主要な部分を押し出し成形し、乾燥・焼成するとともに、その一部に前記(電極51、53を配置した)積層体49の焼結体を接合する。
【0082】
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、浄化材層45側を陽極51側として両電極51、53に電圧を印加するので、マイナスイオンである活性酸素が一層効率良く排出でき、一層浄化能力が高いという利点がある。
【0083】
尚、浄化材層45側を陽極51側として両電極51、53に電圧を印加する構成は、前記実施例1〜3にも適用できる。
(実施例5)
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
【0084】
本実施例は、臭気ガスの浄化装置を自動車のエアコンに用いたものである。
前記図1に示す様に、自動車のエアコン61、自動車の前後あるいはどちらか一方に設置されている。
前記エアコン61は、図4(a)に示す様に、エア導入口63、ダンパ65、66、導入されたエアを送るブロア67、エアフィルタ69、エバポレータ71、ヒータコア73等から構成されており、エアコン61の最後部に、臭気ガスの浄化装置75が設置されている。
【0085】
前記臭気ガスの浄化装置75内には、図4(b)に示す様に、導入エアが流れる複数の流路77が設けられており、各流路77には、臭気ガスの浄化を行うための浄化ユニット79がそれぞれ配置されている。
この浄化ユニット79とは、前記実施例4の様に、酸素透過層81と浄化材層83とを積層した焼結体である積層体85の各表面に、(直接に接触しないようにして)それぞれ電極87、89を設けたものであり、両電極87、89間には、浄化材層83側を陽極87として、直流電圧が印加される。
【0086】
本実施例により、導入されたエア中の臭気物質が、活性酸素により効率良く分解・酸化されるので、臭気ガスの浄化を好適に行うことができる。
尚、前記積層体85は、浄化材層83となるスラリーからなる薄膜と酸素透過層81となるスラリーからなる薄膜とを積層したものを、乾燥・焼成することにより得られるが、その焼成温度としては、例えば1200〜1450℃を採用できる。また積層体85の厚さは1cm以下であることが望ましく、1mm以下であることがさらに望ましい。
【0087】
(実施例6)
次に、実施例6について説明するが、前記実施例5と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、臭気ガスの浄化装置(排ガスの浄化装置にも適用可能)に関するものであり、その内部構造が、前記実施例5とは一部異なる。
【0088】
図5に示す様に、本実施例では、臭気ガスの浄化装置91内には、浄化対象の気体(例えば導入エア)が流れる流路93が設けられており、その流路93と隔壁(境界板)95を介して隣接して、大気又は酸素が供給される流路93が設けられている。
【0089】
そして、前記隔壁95には、前記実施例5と同様な浄化ユニット97が配置され、浄化ユニット97は、浄化材層99を導入エア側とし、酸素透過層101を大気又は酸素供給側として配置されている。
つまり、本実施例では、酸素透過層101には酸素が多く供給され、それは、活性酸素と反応することが無いので、導入エア中の臭気成分を極めて効率良く浄化することができる。
【0090】
(実施例7)
次に、実施例7について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、排ガスの浄化装置や臭気ガスの浄化装置に用いられる浄化材の製造方法に関するものである。
【0091】
図6に示す様に、(前記実施例1と同様な)浄化材層の原料となる粉体を、バインダー及び焼結助剤とともに湿式混合することによりスラリー状とする。
そして、スラリーを入れたタンク111の底にスリット状の口(スリット口)113を設け、スリットロ113を両端に回転子115を備えた回転ベルト117上に設置し、回転子115を回転させることにより回転ベルト117を移動させる構成とする。
【0092】
これにより、回転ベルト117が移動すると同時に、スリットロ113からスラリーが引き出され、回転ベルト117上に(浄化材層となる)スラリーの薄膜119が連続的に形成される。
そして、この薄膜119自体(又は薄膜119を未焼成のセラミックス成形体に貼り付けたもの)を、乾燥・焼成して板状の焼結体とし、それを排ガスや臭気ガスの流路に配置して気体の浄化を行うことができる。
【0093】
尚、必要に応じて、回転ベルト117とスラリーの間に、剥離を容易とするためのシートや剥離材を用いてもよい。また、スラリーの薄膜の厚さを調節するために、回転子115の回転数を調整すること、スリット口113の幅を調節すること、或いはスラリーにおける原料の割合を調整することなどができる。更に、薄膜を焼成した後の結晶方位を配向させるために、バインダー及び焼結助剤として、カーボン製等のウィスカを用いてもよい。
【0094】
(実施例8)
次に、実施例8について説明するが、前記実施例7と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、排ガスの浄化装置や臭気ガスの浄化装置に用いられる浄化材の製造方法に関するものである。
【0095】
図7に示す様に、(前記実施例3等と同様な)酸素透過層の原料となる粉体を、バインダー及び焼結助剤とともに湿式混合することによりスラリー状とする。
そして、回転ベルト121が移動すると同時に、スリットロ123からスラリーが引き出され、回転ベルト121上に(酸素透過層となる)スラリーの薄膜125が連続的に形成される。
【0096】
次に、(前記実施例7と同様に)浄化材層の原料となる粉体を、バインダー及び焼結助剤とともに湿式混合することによりスラリー状とする。
そして、回転ベルト121が移動すると同時に、スリットロ123からスラリーが引き出され、(酸素透過層となる)スラリーの薄膜125上に(浄化材層となる)スラリーの薄膜127が連続的に形成される。
【0097】
そして、この薄膜125、127の積層体129を、乾燥・焼成して板状の焼結体とし、それを排ガスや臭気ガスの流路に配置して気体の浄化を行うことができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0098】
(1)例えば、排気ガスの浄化装置の構成を臭気ガスの浄化装置に適用でき、その逆も可能である。
(2)また、必要に応じて、ヒータを用いて浄化材層(焼結体)を600℃付近まで加熱してもよい。これにより、一層浄化能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両内における排ガスの浄化装置等の配置を示す説明図である。
【図2】(a)は実施例1の排ガスの浄化装置に用いられるフィルタ構造を示す説明図、(b)はハニカム構造体の断面を示す説明図である。
【図3】(a)は実施例2のハニカム構造体の断面を示す説明図、(b)は実施例3のハニカム構造体の断面を示す説明図、(c)は実施例4のハニカム構造体の断面を示す説明図である。
【図4】(a)は実施例5におけるエアコンの構造体の断面を示す説明図、(b)は実施例5の臭気ガスの浄化装置の断面を示す説明図である。
【図5】実施例6の臭気ガスの浄化装置の断面を示す説明図である。
【図6】実施例7の浄化材の製造方法を示す説明図である。
【図7】実施例8の浄化材の製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…排ガスの浄化装置
7、21、31、41…ハニカム構造体
11、95…隔壁
13…目封じ部
15…基体
17、35、47、83、99…浄化材層
33、45、81、101…酸素透過層
37、49、85…積層体
51、53、87、89…電極
61…エアコン
75、91…臭気ガスの浄化装置
77、93…流路
79、97…浄化ユニット
Claims (23)
- 内燃機関の排ガスを浄化する気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路に、活性酸素を排出する金属酸化物を含む浄化材を配置し、前記活性酸素により、前記排ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路を遮るように、前記排ガスの通過が可能な浄化材を配置し、前記活性酸素により、前記浄化材を通過する排ガスの浄化を行うことを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1又は2に記載の気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路を遮る位置に、前記排ガスの通過が可能な多数の細孔を有する壁部を設けるとともに、前記壁部に前記浄化材を配置することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項2又は3に記載の気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路を、多数の細い流路が隣接して並列に配置されたハニカム形状のハニカム構造体により形成するとともに、前記隣り合う流路間における前記排ガスの通過を可能とし、更に、前記各流路の一方側又は他方側を、前記排ガスの通過を抑制又は禁止する部材により目封じすることを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項4に記載の気体の浄化装置において、
前記ハニカム構造体自体を、前記排ガスの通過が可能な浄化材から構成したことを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項4に記載の気体の浄化装置において、
前記ハニカム構造体のうち、前記排ガスの流路を分離する隔壁に、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を用いることを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路に、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を配置し、前記活性酸素により前記排ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項6又は7に記載の気体の浄化装置において、
前記酸素透過層は、酸化ジルコニウムを主成分とすることを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項6〜8のいずれかに記載の気体の浄化装置において、
前記積層体の両側に、それぞれ電極を配置し、前記浄化材側を陽極として前記両電極に電圧を印加することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1に記載の気体の浄化装置において、
前記排ガスの流路に隣接して大気又は酸素の流路を設け、前記両流路の隔壁として、前記浄化材と酸素イオンの透過が可能な酸素透過層とが積層された積層体を、前記浄化材側を前記排ガス側にして配置し、更に、前記積層体の両側にそれぞれ電極を配置し、前記浄化材側を陽極として前記両電極に電圧を印加することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1〜10のいずれかに記載の気体の浄化装置において、
浄化対象のガスとして、前記内燃機関の排ガスに代えて、臭気物質を含む臭気ガスを採用し、前記活性酸素により前記臭気物質の分解又は酸化を起こって臭気ガスを浄化することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項11に記載の気体の浄化装置において、
車両用空調装置の空調ダクト内の内壁及び/又は車室内に向かう空調風を発生させるファンの表面に、前記活性酸素を放出する浄化材を配置し、前記車室内の臭気物質を分解又は酸化することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項1〜12のいずれかに記載の気体の浄化装置において、
前記浄化材が、板状又は薄膜状の形状を有することを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項13に記載の気体の浄化装置において、
前記浄化材が、ヒータに接触又は隣接して配置されていることを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記請求項2〜14のいずれかに記載の気体の浄化装置に用いる気体の浄化材において、
前記浄化材を構成する金属酸化物に含まれる元素が、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Mnの少なくとも1つを含むことを特徴とする気体の浄化材。 - 前記請求項15に記載の気体の浄化材において、
前記金属酸化物の組成は、Al、Caをともに含むことを特徴とする気体の浄化材。 - 前記請求項16に記載の気体の浄化材において、
前記金属酸化物の構造が、Al203、CaOの固溶体であることを特徴とする気体の浄化材。 - 前記請求項17に記載の気体の浄化材において、
前記金属酸化物の組成は、下記の組成式にて表され、M1はAlと価数が等しくAlよりもイオン半径が大きい金属元素であり、M2はCaと価数が等しくCaよりもイオン半径が大きい金属元素であることを特徴とする金属酸化物。
12[(CaO)1−x、(M1O)x]・7[(Al2O3)1−y・(M22O3)y]、
但し、0≦x≦1、0≦y≦1 - 前記請求項18に記載の気体の浄化材において、
前記M1及びM2は、下記の中から選択されることを特徴とする金属酸化物。
M1、M2=Mg、Si、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、In、Sn、Ba、Ta、Pb、Ce - 前記請求項18又は19に記載の気体の浄化材において、
前記金属酸化物の組成は、前記組成式にて、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5であることを特徴とする気体の浄化材。 - 前記請求項15〜20のいずれかに記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、
前記浄化材を構成する金属酸化物の原料を、バインダー及び焼結助剤とともに湿式混合することによりスラリー状とし、スリットの間隙から引き出すことにより、板状又は薄膜状に形成することを特徴とする気体の浄化材の製造方法。 - 前記請求項21に記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、
焼成後にガス又は酸素イオンの透過が可能となる材料のスラリーからなる層の上に、前記浄化材を構成する金属酸化物の原料のスラリーを積層することを特徴とする気体の浄化材の製造方法。 - 前記請求項15〜20のいずれかに記載の気体の浄化材を製造する気体の浄化材の製造方法において、
前記浄化材を構成する金属酸化物を、スパッタ法、CVD法、ディッピング法、噴霧法、又は印刷法にて、板状又は薄膜状に形成することを特徴とする気体の浄化材の製造方法。
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