以下、図面に基いて本発明を詳述すると、図1は目的の場所打ちコンクリート杭と対応する全体長さ(L)(例えば約26〜36m)と太さ(例えば約1〜3mの直径)の円筒状鉄筋篭(C)を例示しており、これは複数の単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)から後述するように、施工現場において継ぎ足し連結される。その各単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)の長さ(L1)は、例えば約8.5〜12mである。
各単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)を抽出して示した図2、3において、(1)はその筒芯方向に沿って平行に配列された複数の主筋(縦筋)であり、例えば約25〜32mmの太さ(直径)を備えた異形棒鋼から成る。
(2)はその主筋(1)へ比較的細かい間隔ピッチを保つ交叉状態に外接された複数のフープ筋であり、例えば約13mmや約16mmの直径として、その主筋(1)よりも細い異形棒鋼から成る。(3)はそのフープ筋(2)の間隔ピッチよりも荒い間隔ピッチとして、上記主筋(1)へやはり交叉状態に内接された複数の補強リングであり、例えば約65〜75mmの帯幅(B)と約6〜9mmの厚み(T)を有するフラットバー(鋼板)から成る。
又、図4〜11は各単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)の組み立て配筋作業に供する主筋受けスタンド(4)と主筋受けアーチ枠(5)を示している。(6)はその主筋受けスタンド(4)の円弧凹曲面であり、ここからは主筋受け止め爪(7)の複数が一定の間隔ピッチを保って内向きに突設されている。
(8)は上記主筋受けアーチ枠(5)の円弧凸曲面であって、ここからは主筋受け止め爪(9)の複数がやはり一定の間隔ピッチを保って外向きに突設されており、このような主筋受けアーチ枠(5)の円弧凸曲面(8)と上記主筋受けスタンド(4)の円弧凹曲面(6)との上下一対へ、主筋(1)の複数を載置すれば、その単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)を形作る主筋(1)の複数が、自づと一定な間隔ピッチでの平行状態を保つようになっている。
そこで、各単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)の組み立てに当っては、上記主筋受けスタンド(4)の複数を図4、5のように施工現場へ並列設置して、先ずその円弧凹曲面(6)の主筋受け止め爪(7)へ上方から図6、7のように主筋(1)を係止させて、その複数の平行状態に配列する。その場合、作業者が目視しやすい少なくとも上段位置において向かい合う一対の主筋(1)には、追って交叉させるべきフープ筋(2)や補助リング(フラットバー)(3)の一定な間隔ピッチとなる指標(図示省略)を付与しておく。
次いで、予じめ真円形に捲き曲げ成形された補助リング(フラットバー)(3)の複数を、上記平行な主筋(1)へ図8、9のように載置する。そうすれば、その補助リング(3)は主筋(1)との交叉状態に内接されることとなる。
その後、上記主筋受けスタンド(4)へ主筋受けアーチ枠(5)を、図10のように上方からの施蓋状態に組み付け固定した上、その主筋受けアーチ枠(5)における円弧凸曲面(8)の主筋受け止め爪(9)へ、やはり上方から主筋(1)を係止させて、その複数の平行状態に配列する。
そして、その平行状態にある複数の主筋(1)へ、最後にフープ筋(2)の複数を交叉状態に外接するのであるが、そのフープ筋(2)としては図11、12のような切り離し両端部が一対の係止フック(10a)(10b)として内向きに曲げ起された円弧形態品を使用し、これを主筋(1)への外接状態に捲き曲げオーバーラップさせて、その口径の収縮変形に伴なう復元拡開力により、両係止フック(10a)(10b)を上記主筋(1)へ離脱不能に係止する。(Z)はその捲き曲げオーバーラップされたフープ筋(2)同志の平行な重合部を示している。
その場合、フープ筋(2)同志の平行な重合部(Z)を図3、12から示唆されるように、主筋(1)への捲き曲げ上円周方向へ交互に位置ズレさせて、その重合部(Z)がフープ筋(2)の隣り合う相互間において位相変化する状態に保つことが好ましい。但し、上記切り離し両端部の係止フック(10a)(10b)を同じ1本の主筋(1)へ重複的に係止させて、そのフープ筋(2)同志の殆んど重合しない状態に捲き付けてもさしつかえない。
このような単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)の組み立てに供する配筋用具や、その施工現場での組み立て作業順序は図4〜12に基き上記したそれに限らないが、何れにしても本発明では無溶接の組立方法として、主筋(1)やフープ筋(2)並びに補助リング(3)に対する溶接を一切行なわず、予じめ用意された主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部用第1結束金具(F1)、同じく主筋(1)と補助リング(3)との交叉部用第2結束金具(F2)、フープ筋(2)同志又は/及び主筋(11)同志の平行な重合部用第3結束金具(F3)を使って、各々施工現場での手先作業により結束固定するのである。
以下、第1〜3結束金具(F1)(F2)(F3)の具体的な構成を順次説明すると、先ず主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)を結束するための第1結束金具(F1)は、1本のピアノ線やその他のバネ性を発揮する金属線材から、図13〜17のように屈曲形成されている。
即ち、その主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部用第1結束金具(F1)を示した図13〜17において、(11)はバネ性金属線材の切り離し一端部をなすフープ筋(2)への第1捲き掛けアームであり、主筋(1)との重合状態に交叉しているフープ筋(2)の円弧面へフィットし得るフック型として、そのフープ筋(2)と主筋(1)との重合代(W1)よりも若干長い作用長さ(L2)の円弧状に屈曲されており、図15〜17から明白なように、上記フープ筋(2)へ外側から捲き掛けられることとなる。
(12)は上記第1捲き掛けアーム(11)の屈曲根元部から連続して、主筋(1)の内側を横断する方向(上記フープ筋(2)とほぼ平行な方向)へ、一旦約90度(α)だけ折り曲げられた主筋(1)への捲き掛けアーチであり、その主筋(1)の円弧面へフィットし得る平・底面視のほぼU字型に屈曲している。
そして、この捲き掛けアーチ(12)はやはり図15〜17から明白なように、主筋(1)へ内側から捲き掛けられ、その主筋(1)を抱持する状態となる。(L3)は上記捲き掛けアーチ(12)の曲げ径を示しており、主筋(1)の太さとほぼ対応する寸法である。
又、(13)は捲き掛けアーチ(12)の折り曲げ先端部から連続して、上記切り離し一端部の第1捲き掛けアーム(11)と向かい合い並列する同じ方向へ、更に一旦約90度(β)だけ曲げ起されたフープ筋(2)への第2捲き掛けアームであり、これは上記第1捲き掛けアーム(11)よりもかなり長く延長されている。(L4)はその第2捲き掛けアーム(13)の一定な作用長さを示しており、好ましくは上記第1捲き掛けアーム(11)における作用長さ(L2)の約2.5〜3.5倍として、その第1捲き掛けアーム(11)と対応する円弧状の根元部(13a)がやはりフープ筋(2)の円弧面へ外側から捲き掛けられる。
つまり、主筋(1)の太さとほぼ対応する捲き掛けアーチ(12)を介して、互いに向かい合い並列する短かい第1捲き掛けアーム(11)と長い第2捲き掛けアーム(13)との左右一対が、主筋(1)を挟んだ拘束状態のもとで、これと交叉しているフープ筋(2)へ外側から重畳的に捲き掛けられるようになっており、これによって主筋(1)とフープ筋(2)とを強固な振れ止め状態に施錠維持する。
その場合、図17のような横方向から見て、上記円弧状をなす第1捲き掛けアーム(11)と、同じく第2捲き掛けアーム(13)の根元部(13a)とが主筋(1)に対する上記捲き掛けアーチ(12)の掛止位置を支点(P1)として回動作用し得る半径(R1)は、主筋(1)とフープ筋(2)との重合代(W1)よりも若干長く寸法化されており、その主筋(1)と交叉しているフープ筋(2)へ外側から支障なく捲き掛けることができるようになっている。
この点、図示の実施形態では上記第2捲き掛けアーム(13)における第1捲き掛けアーム(11)の先端部と対応位置する中途部(13b)を、一旦側面視の滑らかな鈍角(γ)として段付き形態に屈曲させているが、その中途部(13b)の不明な直線形態に移行連続させてもさしつかえない。
(14)は第2捲き掛けアーム(13)の延長先端部から更に連続して、上記捲き掛けアーチ(12)とほぼ同じく、主筋(1)の内側を横断する方向へ約90度(δ)だけ折り曲げられた主筋(1)への捲き掛けフックであり、その主筋(1)の円弧面へフィットし得る平・底面視のほぼU字型、V字型又はL字型に屈曲している。この主筋(1)への捲き掛けフック(14)はバネ性金属線材の切り離し他端部をなし、これと上記第2捲き掛けアーム(13)の一定な作用長さ(L3)を保って離隔する捲き掛けアーチ(12)との上下一対により、主筋(1)の円弧面をその内側から重畳的に抱き持つこととなる。
このような第1結束金具(F1)を使用して、主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)を結束作業するに当っては、先ず図18、19に示す如く、そのバネ性金属線材の切り離し一端部をなす第1捲き掛けアーム(11)と、これと向かい合う第2捲き掛けアーム(13)との左右一対を、フープ筋(2)へ外側から仮り止め状態に捲き掛けると共に、その左右相互間に介在する捲き掛けアーチ(12)を、主筋(1)の内側へ抱き付ける如く横断させる。
このような主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)に対する第1結束金具(F1)の仮り止め状態では、上記長い第2捲き掛けアーム(13)が主筋(1)とのほぼ平行に延長しつつも、そのバネ性金属線材の切り離し他端部をなす捲き掛けフック(14)は、未だ主筋(1)から外側へ浮いたフリー状態にある。
そこで、次に上記第2捲き掛けアーム(13)を操作レバーとして把持しつつ、図20、21から示唆される如く、主筋(1)の内側に向かって強制的に押し倒し乍ら、その延長先端部の捲き掛けフック(14)を一旦主筋(1)から逃げる横方向へ押し開き操作することにより、その捲き掛けフック(14)を図21の鎖線に示すように主筋(1)の内側へ横断させた上、その操作手を離すのである。
そうすれば、図15〜17のように上記第1、2捲き掛けアーム(11)(13)の左右一対がフープ筋(2)の円弧面(節目)へ外側から、又上記捲き掛けアーチ(12)が主筋(1)の円弧面(節目)へ内側から何れも完全に喰い付いて、その主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)を強固な結束状態に施錠する一方、上記第2捲き掛けアーム(13)の延長先端部に位置する捲き掛けフック(14)が、主筋(1)の円弧面(節目)へ内側から弾圧的な抱持状態に喰い付く結果となる。
上記結束作業過程では、長い第2捲き掛けアーム(13)がフープ筋(2)に対する根元部(13a)の掛止位置を挺子運動支点(P2)として撓み変形すると共に、その延長先端部の捲き掛けフック(14)が金属線材のバネ力に抗して、主筋(1)の円弧面(節目)へ内側から弾圧的に喰い付くことになるため、その主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)を安定・強固な縛り付け状態に結束することができ、振動や衝撃などの外力を受けるも、その第1結束金具(F1)の脱落するおそれがないことは勿論、主筋(1)とフープ筋(2)との相対的な振れ動きによる上記鉄筋篭(C)の歪みや捻れ、その他の不正変形を生じるおそれもない。
次に、主筋(1)と補助リング(フラットバー)(3)との交叉部(X2)を結束するための第2結束金具(F2)は、これも1本のピアノ線やその他のバネ性を有する金属線材から、図22〜31のように屈曲形成されている。
即ち、その主筋(1)と補助リング(3)との交叉部用第2結束金具(F2)を示した図22〜31において、(15)はバネ性金属線材の切り離し一端部をなす補助リング(3)への第1掛け止めアームであり、主筋(1)とのほぼ平行な上下方向へ延在するが、その作用長さ(L5)は補助リング(3)の帯幅(B)よりも短かく、しかもその一定な作用長さ(L5)の中途部からは補助リング(3)の板面(3a)へ内側から点接触し得る押え爪(16)が山型に突き起されている。
(17)は上記第1掛け止めアーム(15)の根元部(図示の下端部)から引き続いて、主筋(1)の外側を横断する方向へ、一旦約90度(ε)だけ折り曲げられた主筋(1)への捲き掛けアーチであり、その主筋(1)の円弧面へフイットし得る平・底面視のほぼU字型に屈曲している。
そして、この捲き掛けアーチ(17)は補助リング(3)の下側木口面(3b)を受け止めると共に、主筋(1)の円弧面を外側から抱き持つ状態に捲き掛けられることとなる。(L6)はその主筋(1)の太さとほぼ対応する捲き掛けアーチ(17)の曲げ径、(L7)は同じく捲き掛けアーチ(17)の折り曲げ作用長さであり、主筋(1)と補助リング(3)との重合代(W2)よりも若干長い。
又、(18)は捲き掛けアーチ(17)におけるほぼU字型の折り曲げ先端部から引き続き、上記第1掛け止めアーム(15)と向かい合い並列する同じ方向(図示の上方)へ、更に一旦約90度(ζ)だけ折り曲げられた補助リング(3)への第2掛け止めアームであり、これは補助リング(3)の帯幅(B)よりもかなり長く延長されている。(L8)はその第2掛け止めアーム(18)の一定な作用長さを示しており、好ましくは補助リング(3)における帯幅(B)の約2.5〜3.5倍に寸法化されている。
しかも、その第2掛け止めアーム(18)における補助リング(3)の板面(3a)へ臨む根元部(図示の下端部)付近からは、上記第1掛け止めアーム(15)の押え爪(16)と並列する押え爪(19)が、やはり補助リング(3)の板面(3a)へ内側から点接触し得る山型として突き起されている。
つまり、主筋(1)の太さとほぼ対応する曲げ径(L6)の捲き掛けアーチ(17)を介して、互いに向かい合い並列する短かい第1掛け止めアーム(15)と長い第2掛け止めアーム(18)との左右一対が、主筋(1)を挟んだ拘束状態のもとで、補助リング(3)の板面(3a)へ内側から重畳的に掛け止められるようになっており、殊更その第1、2掛け止めアーム(15)(18)における山型押え爪(16)(19)の押え付け力とも相俟って、主筋(1)と補助リング(3)とを確固な振れ止め状態に施錠維持する。
(20)は第2掛け止めアーム(18)の延長先端部(図示の上端部)から更に連続して、上記捲き掛けアーチ(17)とほぼ同じく、主筋(1)の外側を横断する方向へ約90度(η)だけ折り曲げられた主筋(1)への捲き掛けフックであり、その主筋(1)の円弧面へフイットし得る平・底面視のほぼU字型、V字型又はL字型に屈曲している。
この主筋(1)への捲き掛けフック(20)はバネ性金属線材の切り離し他端部をなし、これと上記第2掛け止めアーム(18)の一定な作用長さ(L8)を保って離隔する捲き掛けアーチ(17)との上下一対により、主筋(1)の円弧面をその外側から重畳的に抱き持つこととなる。
このような第2結束金具(F2)を使って、主筋(1)と補助リング(3)との交叉部(X2)を結束作業するに当っては、先ずそのバネ性金属線材の切り離し一端部をなす短かい第1掛け止めアーム(15)と、これと向かい合い並列する長い第2掛け止めアーム(18)との左右一対を、図32のように補助リング(3)へ内側から仮りに掛け止める共に、その左右相互間に介在する捲き掛けアーチ(17)を、主筋(1)の円弧面へ外側から捲き掛け状態に横断させて、その捲き掛けアーチ(17)により補助リング(3)の下側木口面(3b)を受け止める。
このような主筋(1)と補助リング(3)との交叉部(X2)に対する第2結束金具(F2)の仮り止め状態では、上記長い第2掛け止めアーム(18)が主筋(1)とほぼ平行に図示の上方へ延長しつつも、そのバネ性金属線材の切り離し他端部をなす捲き掛けフック(20)は、未だ主筋(1)から内側へ浮いたフリー状態にある。
そこで、次に上記第2掛け止めアーム(18)を操作レバーとして把持しつつ、図32の鎖線や図33から示唆されるように、主筋(1)の外側に向かって強制的に押し倒し乍ら、その延長先端部の捲き掛けフック(20)を一旦主筋(1)から逃げる横方向へ押し開き操作することにより、その捲き掛けフック(20)を主筋(1)の外側へ横断させた上、その操作手を離すのである。
そうすれば、図27〜31のように上記第1、2掛け止めアーム(15)(18)の左右一対が補助リング(3)の板面(3a)へ内側から、併せて上記捲き掛けアーチ(17)が主筋(1)の円弧面(節目)へ外側から各々喰い付いて、その主筋(1)と補助リング(3)との交叉部(X2)を強固な結束状態に施錠することとなる一方、上記第2掛け止めアーム(18)の延長先端部に位置する捲き掛けフック(20)が、主筋(1)の円弧面(節目)へ外側から弾圧的な抱持状態に喰い付く結果となる。
上記結束作業過程では、主筋(1)の外側へ強制的に押し倒される長い第2掛け止めアーム(18)の中途部が、補助リング(3)における板面(3a)と上側木口面(3c)との角隅部へ内側から自づと掛止され、その掛止位置を挺子運動支点(P2)として撓み変形すると共に、そのバネ性金属線材のバネ力に抗して、上記第2掛け止めアーム(18)の延長先端部をなす捲き掛けフック(20)が、主筋(1)の円弧面(節目)へ逆な外側から掛止されることになる。
そして、補助リング(3)は上記第2掛け止めアーム(18)の挺子運動支点(P2)と、その第2掛け止めアーム(18)の押え爪(19)と接触する固定点(P3)並びに第1掛け止めアーム(15)の押え爪(16)と接触する固定点(P4)との合計3点において、その第1、2掛け止めアーム(15)(18)により押え付け固定される結果となる。
そのため、補助リング(3)の下側木口面(3b)が上記捲き掛けアーチ(17)により受け止められていることとも相俟って、その補助リング(3)と主筋(1)との交叉部(X2)を安定・強固な縛り付け状態に結束することができ、振動や衝撃などの外力を受けるも、その第2結束金具(F2)の脱落するおそれがないことは勿論、主筋(1)と補助リング(3)との相対的な振れ動きによる上記鉄筋篭(C)の歪みや捻れ、その他の不正変形を生じるおそれもない。
殊更、補助リング(3)は上記の合計3点(P2)(P3)(P4)において、第1、2掛け止めアーム(15)(18)により押え付けられるようになっているため、その帯幅(B)の広狭変化する各種補助リング(3)に対しても、第2結束金具(F2)を支障なく汎用的に使うことができ、又補助リング(3)の厚み(T)や主筋(1)の太さに応じて、上記捲き掛けアーチ(17)の曲げ径(L6)も容易に変え得るのである。
更に、上記フープ筋(2)同志の平行な重合部(Z)又は/及び主筋(1)同志の平行な重合部(Y)を結束するための第3結束金具(F3)は、これも1本のピアノ線やその他のバネ性を発揮する金属線材から、図34〜40のように屈曲形成されている。
即ち、その主筋(1)とフープ筋(2)とを共通の鉄筋と総称して、図34〜40に基き第3結束金具(F3)の構成を説明すると、(21)はバネ性金属線材の切り離し一端部をなす第1捲き掛けフックとして、重合状態にある一方の鉄筋(1f)(2f)の円弧面へフィットし得るアーチ型に屈曲されている。
(22)は上記第1捲き掛けフック(21)の屈曲根元部から連続して、重合状態にある両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の内側を斜めに横断する方向へ直線的に延長された内側規制バーであり、その延長先端部からは更に上記第1捲き掛けフック(21)と同じ外側に向かって、他方の鉄筋(1r)(2r)の円弧面に掛止する直線的な掛止バー(23)が、一旦約90度(θ)だけ折り曲げられている。(L9)は内側規制バー(22)の一定な作用長さを示しており、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)における重合部(Z)(Y)の重合代(W3)(W4)よりも若干長く寸法化されている。
つまり、上記第1捲き掛けフック(21)と内側規制バー(22)並びに掛止バー(23)は、その全体として図36の符号(S1)で示す同一の第1抱持平面上にある。しかも、その第1抱持平面(S1)は図37のように正面から見た場合、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線と非直角(ι)に交叉した傾斜姿勢状態となる。
そして、このような傾斜姿勢状態での使用中、上記第1捲き掛けフック(21)と掛止バー(23)とにより、重合状態にある両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)を図38のように挟み付け密着させると同時に、その両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の内側を上記内側規制バー(22)により拘束した抱持状態に保つようになっている。
更に、(24)は上記のように一旦外側へ折り曲げられた掛止バー(23)の先端部から連続して、上記内側規制バー(22)と約90度(κ)だけ交叉する方向(図示の斜め上方)へ折り曲げ延長されることにより、重合状態にある両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の外側を斜めに横断する直線的な外側規制バーであり、上記内側規制バー(22)と相俟って図37〜40のように両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)を挟み付ける。
その場合、外側規制バー(24)の一定な作用長さ(L10)は上記内側規制バー(22)の作用長さ(L9)よりも長く、好ましくはその内側規制バー(22)における作用長さ(L9)の約1.5〜2.0倍に寸法化されている。
(25)は上記外側規制バー(24)の延長先端部から第1捲き掛けフック(21)との逆向きとして、一方の鉄筋(1f)(2f)の内側へ約90度(λ)だけ連続的に折り曲げられた第2捲き掛けフックであり、その一方の鉄筋(1f)(1r)の円弧面へフィットし得るアーチ型、V字型又はL字型に屈曲している。
つまり、上記第2捲き掛けフック(25)と外側規制バー(24)並びに掛止バー(23)は、その全体として図36の別な符号(S2)で示す同一の第2抱持平面上にあり、しかもその第2抱持平面(S2)は上記内側規制バー(22)と外側規制バー(24)との交叉する約90度(κ)から明白なように、正面から見て上記第1抱持平面(S1)とほぼ直交している。従って、その第2抱持平面(S2)も図37から明白なように、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線と非直角(μ)に交叉した傾斜姿勢状態となる。
そして、このような傾斜姿勢状態での使用中、上記第2捲き掛けフック(25)と掛止バー(23)とにより、重合状態にある両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)をやはり図38のように挟み付け密着させると同時に、その両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の外側を上記外側規制バー(24)により拘束した抱持状態に保つようになっているのである。尚、上記一方の鉄筋(1f)(2f)に対する第2捲き掛けフック(25)が、バネ性金属線材の切り離し他端部をなすことは言うまでもない。
上記のように、第3結束金具(F3)は1本のバネ性金属線材から成り、その構成上第1、2抱持平面(S1)(S2)が互いに約90度(κ)として直交している。しかも、第1抱持平面(S1)が両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線と非直角(ι)に交叉して、その第1抱持平面(S1)上の内側規制バー(22)が両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の内側を斜めに横断する一方、第2抱持平面(S2)も両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線と非直角(μ)に交叉しており、その第2抱持平面(S2)上の外側規制バー(24)が両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の外側をやはり斜めに横断するようになっている。
更に言えば、短かい一定作用長さ(L9)の内側規制バー(22)と長い一定作用長さ(L10)の外側規制バー(24)とは、図37のように正面から見た場合、他方の鉄筋(1r)(2r)に対する掛止バー(23)の掛止位置(支点)(P5)において約90度(κ)だけ交叉する言わば直角三角形の2辺(ほぼL字状)をなし、その内側規制バー(22)の先端部(金属線材の切り離し一端部)に位置する第1捲き掛けフック(21)と、外側規制バー(24)の先端部(同じく金属線材の切り離し他端部)に位置する第2捲き掛けフック(25)とが、何れも一方の鉄筋(1f)(2f)へ相反する内外方向から喰い付くようになっている。
つまり、第1抱持平面(S1)上の内側規制バー(22)は両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)における重合部(Z)(Y)の重合代(W3)(W4)よりも若干長い一定の作用長さ(L9)を備え、その内側規制バー(22)とこれよりも長い第2抱持平面(S2)上の外側規制バー(24)とが、上記直角三角形の2辺に相当するL字状を呈している。
そして、その内側規制バー(22)の先端部に位置する第1捲き掛けフック(21)が、他方の鉄筋(1r)(2r)に対する掛止バー(23)の掛止位置を支点(P5)とし、上記内側規制バー(22)の一定な作用長さ(L9)を言わば半径(R2)として回動し得る関係状態にある。
そのため、このような第3結束金具(F3)を使用して、上記フープ筋(2)同志の平行な重合部(Z)又は/及び主筋(1)同志の平行な重合部(Y)を結束作業するに当り、先ず上記第1抱持平面(S1)上の内側規制バー(22)を図41、42のように、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線とほぼ直交する姿勢状態に横断させれば、その内側規制バー(22)の作用長さ(L9)は両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)における重合部(Z)(Y)の重合代(W3)(W4)よりも自づと若干長くなり、余裕間隙(O)が生成されることになる結果、内側規制バー(22)の根元部に屈曲する第1捲き掛けフック(21)を一方の鉄筋(1f)(2f)へ、同じく上記掛止バー(23)を他方の鉄筋(1r)(2r)へ各々無理なく掛止させることができ、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)へ内側から仮りの抱き付け状態に保てるのである。
このような両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)へ第3結束金具(F3)を仮りに掛止させた状態では、図41のように正面から見た場合、上記内側規制バー(22)と約90度(κ)だけ交叉している外側規制バー(24)と、その延長先端部の第2捲き掛けフック(25)とが、未だ両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)から外側へ浮いたフリー状態にある。
そこで、次に上記第2抱持平面(S2)上の外側規制バー(24)を図41、42の実線状態から、引き続き図41、42の鎖線に示す如く、これが両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の外側を悉く拘束する斜め横方向へ強制的に押し倒し操作する。
そうすれば、互いに約90度(κ)として直交状態にある第1、2抱持平面(S1)(S2)が、他方の鉄筋(1r)(2r)に対する上記掛止バー(23)の掛止位置を支点(P5)として自づと回動作用し、その第1、2抱持平面(S1)(S2)は両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の長手中心線と各々非直角(ι)(μ)に交叉する傾斜姿勢状態となり、その第1抱持平面(S1)上の第1捲き掛けフック(21)が先行して、図37の矢印方向(A1)から一方の鉄筋(1f)(2f)の円周面(節目)へ弾圧的に喰い付くこととなる。
そのため、第2抱持平面(S2)上の外側規制バー(24)を強制的に押し倒し続行して、上記支点(P5)の廻りに撓み変形する延長先端部の第2捲き掛けフック(25)を、図41、42の鎖線状態から図37のように、一方の鉄筋(1f)(2f)へ掛止させた上、操作手を離すのであり、そうすれば第2捲き掛けフック(25)が図37の矢印方向(A2)から、やはり一方の鉄筋(1f)(2f)の円周面(節目)へ弾圧的に喰い付く結果となる。
その場合、第1抱持平面(S1)上の内側規制バー(22)が内側から、又これと約90度(κ)だけ交叉している第2抱持平面(S2)上の外側規制バー(24)が外側から、何れも両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)を挟み付ける如く抱持することになるため、1本のバネ性金属線材の弾圧力とも相俟って、その両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の重合部(Z)(Y)を安定・強固な縛り付け状態に結束することができるのであり、振動や衝撃などの外力を受けるも、その第3結束金具(F3)の脱落するおそれがないことは勿論、両鉄筋(1f)(1r)(2f)(2r)の相対的な振れ動きや上下移動による鉄筋篭(C)の不正変形を生じるおそれもない。
図43〜45は上記第2結束金具(F2)と置換して、主筋(1)と補助リング(フラットバー)(3)との交叉部(X2)を結束するために使用可能な第4結束金具(F4)を示しており、これは一定の帯幅(E1)を有する1枚の鋼板やその他の剛性な金属板材から図43、44のような平・底面視のU字形に折り曲げられている。
即ち、その図43〜45において、(26)は主筋(1)へ外側から抱き付けられる挟持バンドであり、平・底面視のU字型を呈している。(27)はその挟持バンド(26)の円弧面(26a)に開口形成されたボルト受け入れ孔、(28)はこれと合致連通する関係状態として、同じく挟持バンド(26)の円弧面(26a)へ外側から溶接一体化された固定ナット、(29)はその固定ナット(28)へ進退操作自在に螺合締結される主筋用押えボルトである。
又、(30)は上記挟持バンド(26)の向かい合うフラット面(26b)に下向き開放状態として切り欠かれた左右一対の係止凹溝であり、主筋(1)と内接する補助リング(3)へ落し込み状態に係止されるようになっている。その場合、係止凹溝(30)の切り欠き深さ(D)としては、浅くとも補助リング(3)の帯幅(B)と等しく設定することが好ましく、又上記ボルト受け入れ孔(27)としても補助リング(3)の帯幅(B)をほぼ2等分する高さ位置に開口させることが望ましい。
このような第4結束金具(F4)を使用して、主筋(1)と補助リング(3)との交叉部(X2)を結束作業するに当っては、上記挟持バンド(26)を主筋(1)へ外側から抱き付けるように差し込むと共に、その向かい合う左右一対のフラット面(26b)に切り欠かれている係止凹溝(30)を、補助リング(3)へ上側から落し込み係止させる。
そして、上記押えボルト(29)を固定ナット(28)へ螺進操作して、その先端部を主筋(1)の円周面(節目)へ押え付け固定するのであり、そうすれば主筋(1)に対して補助リング(3)の板面(3a)が引き寄せ状態に密着一体化されることとなる。そのため、振動や衝撃などの外力を受けるも、その第4結束金具(F4)の脱落するおそれはない。
上記第1結束金具(F1)の使用により主筋(1)とフープ筋(2)との交叉部(X1)を結束する作業や、第2結束金具(F2)又は第4結束金具(F4)の使用により主筋(1)と補助リング(フラットバー)(3)との交叉部(X2)を結束する作業、第3結束金具(F3)の使用によりフープ筋(2)同志の平行な重合部(Z)又は/及び主筋(1)同志の平行な重合部(Y)を結束する作業は、施工現場へ言わば寝かせた姿勢状態の単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)に対して行なわれる。
上記結束作業により一定の長さ(L1)と太さ(直径)に組立一体化された単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)は、その後クレーンやその他の適当な建設機械(図示省略)により宙吊りされ、垂直に立て起された姿勢状態として、地盤(G)に掘削した杭穴(31)へ建て込み挿入されることになる。
そして、その杭穴(31)への建て込み挿入過程において、先行する単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)が未だ杭穴(31)から露出した状態にある主筋(1)の末端部を重ね継ぎ手として、その後行する単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)における主筋(1)の先端部と連結され、このような主筋(1)同志の継ぎ足しを繰り返すことにより、複数の単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)から目的の場所打ちコンクリート杭と対応する全体長さ(L)の鉄筋篭(C)に仕上げられるのである。
その隣り合う単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)の上下相互間における主筋(1)同志の継ぎ足し部(H)も、本発明では上記第3結束金具(F3)の使用によって、図46、47に示す如く結束する。その施工現場での結束作業法については、単位鉄筋篭(C1)(C2)(C3)が垂直に立てられた姿勢状態のもとで行なわれることを除き、先の図34〜42に基き説明したそれと同じである。
更に、上記鉄筋篭(C)を杭穴(31)へ建て込み挿入する場合、その杭穴(31)に予じめ埋設したライナー管(32)と、鉄筋篭(C)との相互間におけるコンクリートかぶり代(N)を一定に確保する必要がある。そのコンクリートかぶり代(N)は、例えば約80〜150mmに設定される。
上記コンクリートかぶり代(N)を一定に保つための鉄筋用スペーサー(S)は図48〜57のように、一定の帯幅(E2)を有する1枚の鋼板やその他の剛性な金属板材から横向きの台形、就中好ましくはほぼ等脚台形に折り曲げられたスペーサー本体(33)を備えており、鉄筋篭(C)の主筋(1)へ取り付け使用されることになる。
しかも、そのスペーサー本体(33)の台形を形作る上下一対の傾斜脚面(33a)(33b)が、図56、57のような上記鉄筋篭(C)の主筋(1)に対するスペーサー(S)の取付状態において、その主筋(1)の縦軸線と各々鋭角な一定の交叉角度(ν)(ξ)を保ち、同じく台形の上底面(33c)が上記主筋(1)の縦軸線とほぼ平行に垂立して、上記杭穴(31)のライナー管(32)へ接地作用し得るようになっている。つまり、上記スペーサー本体(33)が鉄筋篭(C)の主筋(1)を下底面とするほぼ台形に屈曲形成されているわけである。
上記スペーサー本体(33)を形作る両傾斜脚面(33a)(33b)のうち、その何れか一方の傾斜脚面(33a)の切り離し端部は上記接地用上底面(33c)とほぼ平行なボルト支持フランジ(34)として、その傾斜脚面(33a)からの外向き連続的に曲げ出されており、従ってこれも主筋(1)の縦軸線とほぼ平行する状態にある。
(35)は上記ボルト支持フランジ(34)のほぼ中央部に開口形成されたボルト受け入れ孔、(36)はこれと合致連通する固定ナットであり、上記接地用上底面(33c)が存在する外側からボルト支持フランジ(34)に溶接一体化されている。
(37)は同じく接地用上底面(33c)の存在する外側から上記固定ナット(36)へ、進退操作自在に螺入締結される主筋用押えボルトであり、その先端部が上記主筋(1)の円周面へ押え付けられることになる。その押えボルト(37)の頭部は、ここへ回動操作工具(図示省略)を係止できるならば、図示の径大な六角型のみに限らない。
同じくスペーサー本体(33)を形作る両傾斜脚面(33a)(33b)のうち、残る他方の傾斜脚面(33b)の切り離し端部は上記主筋(1)への係止爪(38)として加工されている。その傾斜脚面(33b)の端部が好ましくは平・底面視の先広がりなU字型、V字型又は円弧型に切り欠かれることにより、主筋(1)の円周面へ喰い付く係止爪(38)として造形されているのである。
これによれば、主筋(1)の太さが変化しても、その円周面へスペーサー本体(33)の係止爪(38)を常に安定良くフィットさせることができ、振れ動くおそれのない確固な喰い付き係止状態に保てる効果がある。
更に、(39)は上記スペーサー本体(33)と別個な鋼板やその他の剛性な金属板材から成る係止フックであって、平・底面視のほぼL字型又はJ字型に造形されており、その基端部が上記ボルト支持フランジ(34)の曲げ出されている一方の傾斜脚面(33a)へ、その内側から面接触する添え付け状態に溶接一体化されている。
しかも、その係止フック(39)は一方の上記傾斜脚面(33a)から、主筋(1)と交叉する関係状態として一定の作用長さ(L11)だけ延長しており、その鉤状先端部が主筋(1)の円周面へ抱き付き係止するようになっている。
茲に、係止フック(39)は一方の傾斜脚面(33a)から一体的に張り出し延長されている関係上、これと主筋(1)との交叉する角度が、その傾斜脚面(33a)と主筋(1)との上記した交叉角度(ν)と同じであることは言うまでもない。
要するに、上記スペーサー(S)ではそのスペーサー本体(33)を形作る一方の傾斜脚面(33a)から、上記主筋(1)と交叉する延長状態として一体的に張り出された係止フック(39)が、その主筋(1)の円周面(節目)へ内側から抱き付き係止すると同時に、同じくスペーサー本体(33)を形作る残る他方の傾斜脚面(33b)が、その切り離し端部の係止爪(38)により主筋(1)の円周面(節目)へ逆な外側から喰い付き係止するようになっている。
そして、その上下位置関係に離隔した係止フック(39)と係止爪(38)を主筋(1)へ、相反する内外方向から挟み付けた状態のもとで、上記ボルト支持フランジ(34)に植立している1本の押えボルト(37)を螺進操作することにより、その先端部を主筋(1)の円周面(節目)へ外側から押え付け固定するようになっているのである。
その結果、図56、57に示すような鉄筋篭(C)の主筋(1)に対するスペーサー(S)の取付状態では、その後鉄筋篭(C)が地盤(G)の杭穴(31)へ建て込み挿入される過程において、万一スペーサー本体(33)が杭穴(31)のライナー管(32)へ摺れ合い衝当したり、或いは引き続き杭穴(31)へ打設されるコンクリートの圧縮力を受けたりするも、そのスペーサー本体(33)の主筋(1)に沿う位置ズレや脱落を生ずるおそれがなく、まして主筋(1)の縦軸線廻りにスペーサー本体(33)自身の振れ動くおそれはない。これによって、上記鉄筋篭(C)の主筋(1)と杭穴(31)のライナー管(32)との相互間におけるコンクリートかぶり代(N)が、常時一定に安定良く確保され、場所打ちコンクリート杭用鉄筋篭(C)とその杭穴(31)との芯合わせ状態を得られることになる。
この点、図56、57では上記押えボルト(37)と係止フック(39)が上側となり、上記係止爪(38)が下側となる主筋(1)への取付状態を示しているが、その上下逆向きの状態として主筋(1)へ、スペーサー(S)を取り付け使用することも勿論可能であり、その何れにあっても上記効果を達成することができる。
特に、図56、57から明白な通り、主筋(1)の円周面へ外側から喰い付き係止することとなる押えボルト(37)と係止爪(38)との上下相互間に、その主筋(1)の円周面へ逆な内側から抱き付き係止する係止フック(39)が介在しており、しかもその係止フック(39)の鉤状先端部と押えボルト(37)の先端部とが、互いに極めて接近した位置での向かい合う関係に配設されているため、その押えボルト(37)を主筋(1)の縦軸線に向かって容易に正しく螺進操作することができ、その主筋(1)に対するスペーサー(S)の取付状態をますます安定良く確固に保てるのである。
その押えボルト(37)を螺退操作すれば、上記スペーサー(S)を主筋(1)から取りはずせることは勿論であり、その鉄筋篭(C)の主筋(1)に対するスペーサー(S)の取付位置も自由自在に変更・調整することができ、又主筋(1)の太さ変化にも支障なく対処し得ることとなる。