JP2004360130A - 医療、衛生材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性を有し、柔軟な風合いと良好な品位を有する不織布を提供すること。特に該特性から、医療、衛生材料に適した不織布を安定的に提供すること。また、該特性を有する医療、衛生材料を提供すること。
【解決手段】繊維径が2μm〜15μmであり、かつ目付が10〜25g/mである生分解性不織布からなる医療、衛生材料であって、該生分解性不織布の剛軟度(Ymm)と厚み(Xmm)とが次の関係にあることを特徴とする医療、衛生材料。
Y≦−258X+128
但し、0.15mm≦X≦0.30mm
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、機械強度と柔軟性及び良好な品位と風合いを有する使い捨ておむつ、生理用ナプキン、手術着など、医療、衛生材料用不織布またはそれを用いてなる医療、衛生材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から医療、衛生材料用不織布には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの樹脂が使用されており、これら樹脂から得られた不織布は自己分解性がなく自然環境化では極めて安定である。このため使用済みの医療、衛生材料は、焼却炉で焼却、あるいは埋め立て処理がなされているが、焼却処理には費用が高くつくばかりか焼却時に発生するガスなどの環境上の問題も発生する恐れがある。また、埋め立て処理についても、自然環境破壊の点から大きな社会問題になりつつあり、自然にやさしい医療、衛生材料の早期開発が望まれている。
【0003】
これらの要請に対応するには乾式あるいは溶液浸漬法などにより得られるビスコースレーヨン短繊維不織布、湿式スパンポンド法により得られるレーヨン長繊維不織布や、キチンやアテロコラーゲンなどの天然繊維や天然由来の化学繊維からなる不織布、コットンからなるスパンレース不織布などの種々の生分解不織布が知られている。
【0004】
しかしながら、これら従来の生分解性不織布は、不織布を構成する繊維の機械的強度が低く、また親水性があるため吸水、湿潤時の強度低下が著しく、湿潤、乾燥時の収縮が大きく素材の寸法安定性に欠ける問題があり、更に素材自体が非熱可塑性樹脂であるため熱接着性を有していないなどの問題もあり、製布加工時にヒートシール性を利用することが不可能であり、実用上採用できないという問題がある。
【0005】
これら課題を改善するため、熱可塑性を有し、微生物によって分解可能な脂肪族ポリエステル樹脂を溶融紡糸した多数の長繊維からなり、脂肪族ポリエステル樹脂がグリコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体成分を構成単位として含む、繊度が1〜10デニールの生分解性不織布およびその製造方法が開示されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、この不織布は、実用上、紡糸性と生分解性をともに満足できるまでに到達するに至っていない。すなわち、溶融紡糸に適し長繊維不織布に使用できる脂肪族ポリエステルとしては1,4−ブタジオールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合物の場合、溶融紡糸性良好で、強度と風合いの優れた生分解性長繊維不織布が得られるが、生分解速度が遅いなど難点があった。
【0007】
また、かかる状況を改善、優れた生分解性を有しながら、衛生材料用不織布として必要な特性である透液性を柔軟性や風合いをバランスよく不織布に付与する手段が提案されている(特許文献2)。すなわち、1,4−ブタジオールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により高分子量化した後、得られる熱可塑性を有する脂肪族ポリエステルからなる樹脂組成物を異形断面用口金と円形断面口金を備えた押出し紡糸機で別々に加熱溶融して、多数の口金から押出し紡糸し、紡出された連続長繊維フィラメント群をエジェクターからの高速エアーで延伸し、衝突板に当てて開繊し、次いで支持体上に捕集、堆積して、それぞれ特定の範囲の繊度と目付からなるウェブをそれぞれ形成させ、これらのウェブを積層して、このウェブの表面から高圧水ジェット流を噴射、乾燥し、交絡一体化したウェブとし、更にこのウェブを熱エンボス処理により部分的に、しかも、規則的に熱融着区域を設けてなるスパンボンド不織布は、不織布の厚さ方向において円形断面と異形断面の長繊維フィラメントが混在しており、それによって不織布は生分解性を有し優れた柔軟性、風合い、強度、透液性などバランスよく備えることができることを提案している。
【0008】
しかし、この不織布は、医療、衛生材料、特に使い捨ておむつ用途の場合、従来のポリプロピレン、ポリエチレンなどのスパンポンド熱接着品では目付が15g/m〜25g/mであるのに比べ、目付が30g/m〜50g/mでと高いため、また、長繊維不織布では円形断面フィラメントと異形断面フィラメントを積層しウェブ表面から高圧水ジェット流を噴射、乾燥しても風合い的に満足できるものでなかった。
【0009】
特に、高圧水ジェット流を噴射、乾燥し、交絡一体化した後、更にこのウェブを熱エンボス処理により部分的に熱融着させるため熱接着により不織布の密度がアップ剛性が高くなるなど柔軟性、風合いの点で満足できるものでなかった。
【0010】
また、ポリ乳酸系長繊維の単糸繊度が1.5〜3.5デシテックスで不織布の目付を 15g/m〜30g/mで調整することで、通気度を400〜1400cm/cm/秒にすることで透水性と柔軟性を兼ね備えた衛生材用不織布を得ることができることが提案されている(特許文献3)。
【0011】
しかしながら、単に単糸繊度を1.5〜3.5デシテックス、目付を15〜30g/mとし通気度を400〜1400cm/cm/秒にするだけでは衛生材用不織布として満足できるものでない。すなわち、衛生材料用不織布としては、目付斑が少なく均質であって、かつ柔軟性が高く適度な物性をもつ不織布への要求が強く、また通気度が400〜1400cm/cm/秒では通気度が高く、耐水圧も低すぎるため尿洩れがしやすく、実用上使用できないものである。
【0012】
【特許文献1】特開平8−060513号公報
【0013】
【特許文献2】特開平10−219556号公報
【0014】
【特許文献3】特開2002−242068号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を達成し、生分解性を有し柔軟な風合いと適度な機械強度を有し目付斑が少なく、高品位、高品質である医療、衛生材料を安定的に提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達したものである。
【0017】
すなわち、本発明の医療、衛生材料は、繊維径が2μm〜15μmであり、かつ目付が10〜25g/mである生分解性不織布であって、不織布の剛軟度(Ymm)と厚み(Xmm)との関係が次の関係にあることを特徴とする医療、衛生材料である。
【0018】
Y≦−258X+128
但し、0.15mm≦X≦0.30mm
また、生分解性不織布の目付斑が、好ましくは6〜8%、あるいは、好ましくは3〜6%であることを特徴とする医療、衛生材料である。
【0019】
また、生分解性不織布を構成する繊維の部分的熱圧着面積が5〜30%である医療、衛生材料である。
【0020】
また、生分解性不織布が、長繊維不織布であり、また生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂で構成されているものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる生分解性樹脂としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂などがあげられる。中でもポリ乳酸樹脂は天然の植物を原料としたものであり、最も自然にやさしい生分解性樹脂である。
【0022】
ポリ乳酸とは主としてL−乳酸を主たる原料とするポリエステルであり、構成成分の60%以上がL乳酸であり40%を超えない範囲でD乳酸を含有するポリエステルであってもよい。
【0023】
ポリ乳酸の製法としては、乳酸を原料としていったん環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後、開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。
【0024】
本発明に用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものでもよい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑紡糸性不調などの原因となるため、溶融紡糸以前にポリマー中に含有する環状2量体の含有量を極力減少させておくことが好ましく、0.1wt%以下にすることが望ましい。
【0025】
また、直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からより好ましいと言える。ポリ乳酸は、生分解性あるいは、加水分解性が高いため、自然環境中で容易に分解される利点を有している。ポリ乳酸の重量平均分子量は高いほど好ましく、通常、少なくとも5万、より好ましくは10万〜30万が好ましい。重量平均分子量が5万以下である場合、繊維の強力が低くなり好ましくない。
【0026】
また、重量平均分子量が30万以上である場合、粘度が高いため口金から吐出されたフィラメントの曳糸性が乏しい場合があり、エアーサッカーなどによる高速牽引が不可能であるため、操業性の点では良好であるもののフィラメントの物性面で満足すべきものが得られず、不織布としてのシート物性としても十分なものが得られない場合がある。
【0027】
生分解性不織布を構成するフィラメントの繊維径は2μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは4μm〜13μmであることがよい。繊維径が15μmよりも大きいものである場合、製糸性の点では有利であるが、繊維径のアップにともない不織布を構成する繊維本数の減少や、目付斑が増加、通気性、透水性は向上するものの、使い捨ておむつのように不織布の目付が低い医療、衛生材料用不織布については目付斑が増加することによる部分的な通気性、透水性の斑、柔軟性の斑、引張強力の斑が発生するなどにより満足できるものが得られない。
【0028】
不織布を構成する繊維は、15μm以下であればよく、例えば15μmのスパンポンド生分解不織布と繊維径が2μm〜10μmであるメルトブロー生分解性不織布とを積層したものでもよい。積層方法は、少なくとも2層以上に配列したスパンボンド不織布製造設備と、メルトブロー不織布製造設備とを連結したインライン製布方式でもよく、あるいはスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を別々に製布したものを、別ラインで積層接着したものでもよい。
【0029】
メルトブローの繊維径が10μm以上である場合、フィラメントの冷却が不十分となるため捕集距離を大きくとる必要があり、捕集性が悪くなるなど捕集ネット上でのウェブ乱れのためメルトブロー不織布の特徴とされる均一な不織布が得られない問題がある。
【0030】
また、繊維径が2μm以下である場合、製糸性が悪化し、ショットと呼ばれるポリマー状物などが多発するなど、品質的に満足できるものが得られない問題がある。スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを積層した後の不織布の目付は10〜25g/mがよく、より好ましくは15〜20g/m、最も好ましくは16g/m〜18g/mである。不織布の目付が25g/m以上となると、強力的には満足するものが得られるが、剛性が高く、柔軟性に欠け医療、衛生材料として製品に仕上げた場合、肌触りが悪く、ごわごわするなどの実用に適さないものとなるなど問題がある。また、目付が10g/m以下である場合、部分的な目付斑による強力不足からくる破れが発生するなど実用に供さないものである。スパンボンド不織布とメルトブロー不織布の積層品のメルトブロー重量比率は5%〜20%がよい。比率が5%以下である場合、目付斑改善効果が低く、また、比率が20%以上である場合、不織布としての強力が低くなるためである。また、医療、衛生材料用不織布において不織布の柔軟性は極めて重要な因子であり、不織布の剛軟度(Ymm)と厚み(Xmm)との関係が次の関係にあることが重要である。
【0031】
Y≦−258X+128
但し、0.15mm≦X≦0.30mm
すなわち、通常の熱接着不織布を製造した後、熱接着部分が剥がれない程度のしわ加工(もみ加工)、あるいは高圧水ジェット流加工などの柔軟化処理を行うことで上記関係を満足し、医療、衛生材料として良好な特性を有することを見い出したものである。不織布の厚みが0.3mmよりも大きいものである場合、不織布としての剛軟度が低くなり風合いとしてはソフトなものとなるが、毛羽が発生しやすく満足できるものを得ることは難しい。また、不織布としての厚みが0.15mm未満である場合、非圧着部の崇高性に欠けるため剛軟度も高く医療、衛生材料として満足できるものでない。
【0032】
また、医療、衛生材料用不織布にとって不織布の目付斑は極めて重要な特性であり、不織布の引張り強力、透湿、透液性、剛性などを大きく左右するものである。不織布の目付が25g/m未満である場合、目付斑は8%以下であることが好ましい。目付斑が8%を超えるものである場合、例えば、平均目付が25g/mのとき目付の低い部分は20g/m以下となり、同部分の風合いはソフトであるものの引張り強力も低く、接着力も低いため毛羽が発生するなど、また目付の高い部分は30g/m以上となり剛性がアップし、衛生材料として不十分な場合も多くなるものである。
【0033】
該生分解性不織布の目付斑が、6〜8%である場合には、低目付部分の毛羽発生、高目付部分の剛性など実使用において好ましいものである。また、3〜6%である場合には目付斑が極めて均一であるため風合い、剛性など部分的なバラツキがほとんどなく、使用上極めて好ましいのみならず、低目付品の対応もしやすくコスト的にも好ましいものである。
【0034】
また、目付が10g/m未満である場合、低目付部分の引張強力があまりにも低く、使用に耐えうるものでない。
【0035】
本発明の生分解性衛生材料用不織布としては、生分解性樹脂の単成分からなるフィラメントであってもよく、低融点樹脂が鞘成分、高融点樹脂が芯成分である生分解性繊維Aと芯成分樹脂と同様の生分解性繊維Bとの混繊フィラメント、あるいは芯鞘型複合繊維Aの単独使いの不織布であってもよい。
【0036】
また、生分解性スパンボンドと生分解性メルトブローとの積層不織布である場合、スパンボンド不織布を構成するフィラメントの表層部樹脂とメルトブロー不織布を構成する樹脂と同種の生分解性樹脂を用いることが熱圧着後の不織布の層間剥離がなくなるなど接着安定性の点で有効である。更には、スパンボンド不織布を構成するフィラメント表層部樹脂とメルトブロー不織布を構成する樹脂とが同種、かつ同一融点であることがより好ましい不織布を製造することができる。
【0037】
不織布を構成するフィラメントの熱圧着方法は、従来から行なわれている熱エアースルー方式、超音波方式、エンボス方式など、どんな方式であっても特に問題なく接着可能である。エンボス方式による熱圧着温度は、フィラメント表面を形成する樹脂の融点より10℃〜50℃低い温度がよく、より好ましくは15℃〜40℃低い温度が好ましい。エンボス温度がフィラメント表面を形成する樹脂の融点より10℃未満低い温度である場合、樹脂の溶融が激しく、エンボスロールへのシート取られ、ロール汚れが発生し、シートが硬くなるばかりかロール巻付きも頻発するなど安定生産も不可能となる。
【0038】
また、フィラメント表面樹脂の融点より50℃以上低い温度である場合、樹脂の溶着が不十分であり風合い的にはソフトなものとなるが、物性的に弱いものとなるなど問題点も多い。エンボスロールの圧着面積は5%〜30%のものが良く、ロールの彫刻はどんなパターンでも良いが、接着温度範囲を広くとる意味からも上ロール下ロールともに彫刻したものがより好ましい。
【0039】
エンボスロールの圧着面積比率が30%以上である場合、シートの剛軟度が高く、高圧水ジェット流による処理を行っても風合いが硬いものとなる。また、圧着面積比率が5%以下である場合、風合いは良いが毛羽が発生しやすく、実使用上の問題がある。部分的な熱圧着点をはがすことなく、剛性が低く風合い良好なシートを製造するためには、熱圧着したシートに高圧水ジェット流処理を施すか、押込み式しわ加工機(MICREX社製MICROCREPER)による柔軟化処理を施すことで可能となる。高圧水ジェット流を用いる場合、例えば、孔径が0.13mm、孔ピッチのノズルを2列配列した設備では、水圧が8〜20MPa/cmであることが重要である。水圧が20MPa/cm以上である場合水圧が高すぎるため熱圧着部分がはがれ毛羽が発生する問題がある。
【0040】
また、水圧が8MPa/cm以下である場合には、水圧が低いことにより柔軟化効果が不十分なものとなる。
【0041】
また、押込式しわ加工機を使用した場合、押込み比率[押込み比率=(シート排出速度)÷(シート供給速度)]を0.95〜0.7にする必要がある。押込み比率が0.95より高い場合、もみ効果が小さく十分な柔軟化効果が発揮できず、また、押込み比率が0.7より低い場合もみ効果が高くシートのしわが強すぎるため、これもまた実用上使用できなくなる。
【0042】
また、押込み式しわ加工機による柔軟化処理に際しては、不織布を構成する生分解性繊維と加工機との摩擦特性が加工性および品質に与える影響もあるため、支障のない範囲内で適当な油剤を付与してもよい。
【0043】
また、本発明において製糸性、物性など効果が損なわれない範囲で酸化チタン、2酸化ケイ素、炭酸カルシウムなど無機系粒子を添加することがエンボスロールと接着シートの離型性が向上し、より安定した接着性が得られ、また、不織布の隠ぺい性や柔軟性が向上するので好ましく、その添加率はポリマー中に0.1重量%〜1.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2重量%〜0.7重量%であることである。
【0044】
添加率が0.1重量%未満である場合、エンボスロールと熱接着シートの剥離効果が少なく、また1.0重量%以上である場合、単糸切れなど悪影響を与えること場合が生じてくるので注意すべきである。
【0045】
前記無機系微粒子の添加は、口金構成が芯鞘型である場合、芯成分には無機系微粒子がなく鞘成分のみに添加することで十分効果を発揮することができる。
【0046】
本発明に用いられる生分解性不織布は従来から用いられているスパンボンド方式、あるいはスパンボンド方式とメルトブロー方式の少なくとも1対以上がインラインで組み合わされた方式などいずれの方法でも効率的に製造することができる。ただし、特に、繊維径が2μm〜15μmであり、かつ目付が10〜25g/mであって、その剛軟度(Ymm)と厚み(Xmm)とが上述した式の関係にある生分解性不織布を得るためには、以下のことに留意して製造をする必要がある。
【0047】
すなわち、本発明にかかるスパンボンド不織布を得るためには、生分解性樹脂をエクストルーダーにて加熱溶融して吐出孔径が0.20〜0.35mmである口金から吐出させ、冷却した後、エジェクターにて4000m/分〜5500m/分、より好ましくは4300m/分〜5000m/分で高速牽引することが好ましい。口金孔径が0.20mm以下である場合、吐出開始初期直後の孔詰まりによる欠点が発生しやすく、また、0.35mm以上である場合、紡糸ドラフトが高すぎることによる単糸流れが発生するなど問題がある。紡糸速度が4000m/分以下である場合、物性レベルが低下するばかりかフィラメントの開繊性が悪化し、シートとしての目付斑も悪化する。また、紡糸速度が5500m/分以上である場合、紡出されたフィラメントの曳糸性が不十分となり、単糸切れが増加する場合がある。
【0048】
また、良好な紡糸性を維持しながら高速紡糸に対応するためには、口金より吐出されたフィラメントの冷却条件が重要であり、口金面からエジェクター入口までの長さ(冷却長)を50cm〜100cm、より好ましくは60cm〜80cmとするのがよい。冷却長が100cm以上である場合、チムニー風量と随伴流とのバランスが取りにくく糸切れが発生し、紡糸性悪化や糸切れによる目付斑も悪化する問題がある。
【0049】
また、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とをインラインで積層する際のメルトブロー不織布の条件としては、噴射する熱風温度は220℃〜250℃が好ましく、熱風圧力は0.05MPa〜0.3MPaがよい。熱風温度が220℃以下である場合、溶融ポリマーの粘度が高くなり曳糸性に欠けるため均一な延伸がされないためであり、熱風温度が250℃以上である場合、口金温度が高くなりポリマーの熱分解が激しく欠点が発生するためである。
【0050】
熱風圧力が0.3Mpa以上である場合、噴射する熱風が多すぎることにより、捕集ネット上に捕集され搬送されているスパンボンドのウェブ乱れが発生するため不織布として品位的に満足できるものが得られない。また、熱風圧力が0.05MPa以下である場合、十分な牽引力が得られず、繊維径も太いものとなるため不織布が硬く、品質的に良くないものとなる。
【0051】
また、スパンボンドおよびメルトブロー方式における噴射距離は、フィラメントの捕集性および目付斑など品位、品質安定性の点からスパンボンドである場合、牽引用エジェクター出口から移動する捕集ネットの距離が30cm〜60cm、メルトブローである場合、フィラメント噴射口金面から捕集ネットの距離が10cm〜30cmであることが好ましい。
【0052】
特に、生分解性不織布の目付斑を6〜8%とするには、孔数が2000〜4500孔/mの口金を用い、口金面からエジェクターまでの距離が50〜100cm、紡糸速度が4000〜5500m/分であって、繊維径が2〜15μmとすることで達成でき、また、生分解性不織布の目付斑を3〜6%とするには、例えば、上記と同様の条件を用いて、かつ孔当たりの吐出量を変更し繊維径を2〜13μmとすることなどによって達成できる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明につき具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。なお、下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)融点(℃):
パーキンエルマ社製の示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温温度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)繊維径(μm):
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で100〜5000倍の写真を撮影し、各サンプルからn=10本として、計100本の繊維直径を測定し、平均値を繊維径とした。
(3)繊度(dtex):
上記繊維径よりポリマーの密度の補正をし、繊度を算出した。
(4)目付(g/m):
標準状態にサンプルを24時間放置後、縦方向50cm×横方向50cmの試料4点を採取し、各試料の重量を測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、不織布の目付(g/m)とした。
(5)厚さ(mm):
不織布よりランダムに10cm×10cmの小片サンプルを4点採取し、JIS−L1096の6.5(厚さ)に準じデジタル圧縮弾性機を用い、次の条件にて測定した。
【0054】
加圧子(プレッサーフート)の面積:2cm
荷重 :2KPa
(6)引張り強力(kg/5cm幅):
JIS−L1096記載のストリップ法に準じて測定した。すなわち、不織布の試料長が30cm試料幅が5cmの試料片を不織布の縦方向(MD)および横方向(CD)にそれぞれ5点を作成した。
【0055】
各試料片毎に定速伸長形引張り試験機を用い、つかみ間隔20cm、引張り速度10cm/分で伸長し、得られた最高強力(N/5cm)を読み取り、縦方向と横方向の平均値を算出し、それぞれの引張り強力とした。
(7)剛軟度(mm):
L1096 6.19.1 A法(45゜カンチレバー法)によって測定した。
【0056】
すなわち、試料から2×15cm(縦方向)に5枚を採取し、一端が45℃の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の端辺をスケールの基線に合わせて置き、試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接した時、他端の位置をスケールで読み、5枚の表裏を測り、平均値を剛軟度ととした。
(8)目付斑(CV%):
100cm×100cmの試料採取を5cm×5cmの大きさに裁断し、それぞれの重量を測定し、100cm×100cmの試料目付を50g/mとなるよう目付換算(例えば、試料目付が20g/mである場合、個々の測定重量g×400×50/20)したものを次式により算出した。
【0057】
【数1】
Figure 2004360130
【0058】
なお、実施例において(%)は、重量%を示す。
(9)風合い:
不織布より幅20cm、長さ20cmのサンプルを採取し、5人のモニターにより評価した。サンプルを手で揉み、不織布の柔軟性を評価し、次の基準で判定し、その合計点で柔軟性のランク分けし、合計点数が高いものほど柔軟であると判定した。
【0059】
3点:不織布の手触りが良く柔軟である。
【0060】
2点:不織布の手触り感が普通である。
【0061】
1点:不織布の手触り感が硬いものである。
(10)毛羽:
摩擦に対する染色堅牢度試験法(摩擦試験機II型)JIS−L0849に準じ、不織布の縦方向、横方向にそれぞれ幅30mm×長さ220mmのサンプル6枚を採取し、摩擦用白綿布を貼り付けた荷重200gの摩擦子を不織布縦方向の測定は100回、横方向の測定は50回往復させ、摩擦面の表面状態を観察し、次の通りに判定した。
【0062】
○:表面にも毛羽発生がほとんどなく、使用上問題ないと認められるもの。
【0063】
△:表面に毛羽があるが使用上問題ないと見られるもの。
【0064】
×:表面に毛羽が多く使用上問題あるもの。
(11)生分解性:
大きさ20cm×20cmの不織布3枚を採取し、土壌約10cmに埋め込み、6ヶ月放置後の形態変化を目視で評価した。評価は以下の2段階としたものである。
【0065】
不織布に生分解性が認められたもの:○
不織布に生分解性が認められないもの:×
実施例1〜7
重量平均分子量が15.6万でQ値(Mw/Mn)が1.78、融点が168℃であるポリ乳酸樹脂を真空乾燥機で100℃×24時間乾燥した。引き続き、エクストルーダーで溶融し、孔径が0.3mmであって1m幅当たりの穴数が3500孔である矩形口金を有する紡糸装置を用い、エクストルーダーの温度を230℃、紡糸温度を235℃とし吐出量を変更し紡出した後、冷却温度が20℃のチムニーで冷却した後、矩形エジェクターにより紡糸速度4700m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを片面がフラットで片面に凹凸を有し、凸部の面積が15%であるエンボスロールで、エンボス温度が135℃、エンボス圧力が50kg/cmで熱圧着し不織布を製造した。
【0066】
引き続き、孔径が0.13mmで、1mm間隔で配列されたノズルを2列に配した高圧水ジェット流を噴射する装置を用い、15MPa/cmの高圧ジェット流を噴射後乾燥した。
【0067】
得られた不織布の品位および風合いは良好であり、また、厚みと剛軟度との関係も本発明を満足するものであり、エンボスロールによる圧着が十分なされているため、高圧水ジェット流による処理を施しても、接着ポイントが剥がれることなく毛羽の発生しない良好な不織であり、医療、衛生材料として十分なものであった。また、いずれの水準とも十分な生分解性を有するものであった。
【0068】
【表1】
Figure 2004360130
【0069】
比較例1〜3
実施例1と同様の原料を用い、温度が230℃であるエクストルーダーで溶融し、孔径が0.3mmであって1m幅当たりの孔数が3500孔である矩形口金を有する紡糸装置により、紡糸温度を235℃とし吐出量および目付を変更紡糸し、冷却温度が15℃のチムニーで冷却した後、矩形エジェクターにより紡糸速度4800m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集して得られたウェブを片面がフラットで片面に凹凸を有し、凸部の面積が15%であるエンボスロールで、エンボス温度が110℃、エンボス圧力55kg/cmで熱圧着し不織布を得た。
【0070】
引き続き、孔径が0.13mmで、1mm間隔に配列されたノズルを2列に配した高圧水ジェット流を噴射する装置を用いて、高圧水ジェット流を噴射後乾燥した。
【0071】
得られた不織布は、全体的に剛軟度が高く風合いが不良であり、また水準2(比較例2)および3(比較例3)は目付斑が高く品位も悪く、低目付部分の熱接着が不良のため、同部分の毛羽発生があり、医療、衛生材料用不織布として満足できるものでなかった。
【0072】
【表2】
Figure 2004360130
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、品位が良好でかつ良好な風合いを有する医療、衛生材料を提供することができるものである。

Claims (8)

  1. 繊維径が2μm〜15μmであり、かつ目付が10〜25g/mである生分解性不織布からなる医療、衛生材料であって、該生分解性不織布の剛軟度(Ymm)と厚み(Xmm)とが次の関係にあることを特徴とする医療、衛生材料。
    Y≦−258X+128
    但し、0.15mm≦X≦0.30mm
  2. 前記生分解性不織布の目付斑が、6〜8%であることを特徴とする請求項1項記載の医療、衛生材料。
  3. 前記生分解性不織布の目付斑が、3〜6%であることを特徴とする請求項1項記載の医療、衛生材料。
  4. 前記生分解性不織布が、構成する繊維どうしが部分的熱圧着されているものであり、該部分的熱圧着部の面積が、該不織布面積の5〜30%であることを特徴とする請求項1、2もしくは3項記載の医療、衛生材料。
  5. 前記生分解性不織布が、面積比率で5〜30%で部分的に構成繊維どうしが熱圧着されているものであり、該熱圧着がされた後、8MPa/cmから20MPa/cmの高圧水ジェット流が噴射されて後、乾燥されて得られたものであることを特徴とする請求項1から4項のいずれかに記載の医療、衛生材料。
  6. 前記生分解性不織布が、面積比率で5〜30%で部分的に構成繊維どうしが熱圧着されているものであり、該熱圧着がされた後、しわ加工機により柔軟化処理されたものであることを特徴とする請求項1から4項のいずれかに記載の医療、衛生材料。
  7. 前記生分解性不織布が、長繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項1から5項のいずれかに記載の医療、衛生材料。
  8. 前記生分解性不織布が、ポリ乳酸樹脂で構成されてなることを特徴とする特許請求範囲1項から6項のいずれかに記載の医療、衛生材料。
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