JP2004359597A - 神経変性疾患治療薬 - Google Patents

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Yoshiro Kitahara
吉朗 北原
Iku Ono
郁 小野
Hideaki Kihara
秀晃 木原
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Abstract

【課題】神経変性疾患の治療に有用な、さらに詳しくは、末梢性神経または中枢性神経の神経変性疾患の治療に有効である薬剤を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるピペリジン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする神経変性疾患治療薬。
【化1】
Figure 2004359597

(式中、nは2または3の整数を示し、Yは水素原子またはハロゲン原子を示し、Xはホルミル基、アセチル基または水素原子を示す。)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピペリジン誘導体の神経変性疾患治療薬に関するものである。更に詳しくは末梢性神経または中枢性神経の神経変性疾患疾患の治療薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
神経の変性または神経細胞死を伴う神経疾患は中枢性または末梢神経に関与する疾患であり、中枢神経に関与する疾患としてはアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、虚血性神経疾患、脊髄小脳変性症等が挙げられる。これらの疾患は原因が明確になっておらず、有効な治療法もほとんどない一方でその多くは進行性であり、患者はもとよりその家族も含めてQOLの著しい低下をもたらす。また、末梢神経に関与する疾患としては神経切断、手根管症候群が挙げられる。外傷などによる神経切断後に四肢の機能を回復させるためには長期間のリハビリテーション期間を要し、患者の精神的、肉体的な負担が非常に大きな疾患である。現在、神経変性疾患の多くはその原因が明らかになっていないために完治を目指した根本的な治療法はなく、対症療法がおこなわれている場合がほとんどである。アルツハイマー病においてはコリン作動性神経の変性が特徴的であることから、アセチルコリンの分解酵素を阻害して脳内のアセチルコリン量を増加させることが知られている塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)などが用いられているが、神経変性の原因は一つではなく、十分な治療効果は得られていない。また、パーキンソン病では黒質のドーパミン作動性神経の変性が特徴的であることから、脳内のドーパミン量を増加させるため、ドーパミンの前駈体であるL―ドーパ(商品名:ドパゾールなど)が治療に用いられている。いずれの場合においても根本治療として変性した神経を再生・増殖させる方法が望まれており、移植や遺伝子治療なども試みられているが確立した方法は現在のところない。
【0003】
神経細胞はその生存や機能を維持するためには神経栄養因子と呼ばれるタンパク質が必須である。神経栄養因子はこれまでに数多く見出されてきているがその代表的なものとして神経成長因子(NGF)が知られており、神経細胞あるいはその周辺に存在するグリア細胞やシュワン細胞で産生されて神経細胞の生存や機能を維持している。また神経が損傷を受けたときにはその産生を上昇させて修復をおこなうことも知られている。神経変性疾患ではこれらの神経栄養因子の低下も神経変性の原因の一つと考えられており、根本治療として神経栄養因子を用いる試みもおこなわれるようになってきた(例えば、非特許文献1〜4参照)。しかし、様々な副作用のために十分な治療効果が得られていないのが現状であり、そのような意味から内因性の神経栄養因子産生・分泌を促進する薬剤の開発が望まれている。
【0004】
一般式(1)で示されるピペリジン誘導体は、セロトニン拮抗作用及び抗血小板作用を持つことが知られており(特許文献1参照)、血栓溶解薬(特許文献2参照)、間歇性跛行治療薬(特許文献3参照)、糖尿病性神経障害治療薬(特許文献4参照)として有用であることが、これまでの鋭意検討結果、公知となっている。このうち、神経疾患に関しては糖尿病性神経障害治療薬としての有効性が公知であるものの神経内血流量を改善させることにより糖尿病性神経障害に対し治療効果を発揮することが明らかにされているものであり、一般式(1)で示されるピペリジン誘導体が、神経変性疾患、特に、神経成長因子の産生を促進させることに基づく神経変性疾患を治療することについてはこれまでのところ報告はない。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−3135号公報
【特許文献2】
WO98/37888号公報
【特許文献3】
WO00/51604号公報
【特許文献4】
US6262076号特許公報
【非特許文献1】
Neurology 60, pp69−73, 2003
【非特許文献2】
J. Mol. Neurosci. 19, pp207, 2002
【非特許文献3】
J. Neurosci. 22, pp4478−86, 2002
【非特許文献4】
Apoptosis 7, pp329−334, 2002
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
神経変性疾患の治療に有用な、さらに詳しくは、末梢性神経または中枢性神経の神経変性疾患の治療に有用な薬剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特開平8−3135号公報に記載のセロトニン拮抗薬または抗血小板薬として知られる特定のピペリジン誘導体が神経成長因子の産生を促進することに基づき神経変性疾患に対する治療効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、一般式(1)で表されるピペリジン誘導体またはその塩を有効成分として含有する神経変性疾患治療薬である。
【0009】
【化2】
Figure 2004359597
【0010】
(式中、nは2または3の整数を示し、Yは水素原子またはハロゲン原子を示し、Xはホルミル基、アセチル基または水素原子を示す。)
なお、本願発明の一般式(1)における化合物のうち、nが2の整数であり、Yが水素原子であり、Xがホルミル基である化合物が特に有効である。
また、本願発明の化合物は、神経変性疾患、さらに詳しくは、末梢性神経または中枢性神経の神経変性疾患の治療に有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】
本願発明の一般式(1)で表されるピペリジン誘導体は、公知の化合物であり、例えば特開平8−3135号公報記載の方法等によって製造することができる。一例を示せば、一般式(1)に包含される、本願発明化合物において特に有用な下記式(2)で示される1−ホルミル−N−(2−(4−(5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イリデン)−1−ピペリジニル))エチルイソニペコチン酸アミドは、ジ−t−ブチルジカーボネートと2−アミノエチルブロマイド臭化水素酸塩とを炭酸水素ナトリウムの存在下に反応させ、N−t−ブトキシカルボニル−2−ブロモエチルアミンを得る。次にこの化合物と4−(5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イリデン)ピペリジンをトリエチルアミン等の塩基存在下に縮合し、4−(5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イリデン)−1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)ピペリジンを得る。さらに得られた化合物を、4M塩酸/ジオキサンなどによるt−ブトキシカルボニル基を除去した化合物と1−ホルミルイソニペコチン酸を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド等の縮合剤を用いて縮合することにより目的の化合物を得ることができる。
【0013】
【化3】
Figure 2004359597
【0014】
このような製造方法により得られた化合物は、フリー体またはその塩として単離生成される。単離生成は、抽出、濃縮、留去、特開平9−176119号公報に記載されているような結晶化、各種クロマトグラフィー等によって行うことができる。
【0015】
また、本願発明のピペリジン誘導体の薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、マンデル酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、タンニン酸、リンゴ酸、トシル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との酸付加塩を挙げることができる。
【0016】
本発明における神経変性疾患は、神経の変性または神経細胞死を伴う神経疾患であり、中枢性神経疾患および末梢神経疾患を含む。中枢性神経疾患としては、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、虚血性神経疾患、脊髄小脳変性症等が挙げられる。末梢性神経疾患としては、例えば、神経切断、手根管症候群等が挙げられる。
【0017】
本願発明のピペリジン誘導体またはその薬学的に許容される塩を神経変性疾患の治療薬として用いる場合、その剤形としては錠剤、散剤、丸剤、顆粒剤、糖衣剤、乳化剤、カプセル剤、溶液剤、注射剤、坐剤等があげられる。これらの製剤は、通常の製剤化で用いられる坦体や賦形剤、その他の製剤助剤を用いて常法に従って製造することができる。
【0018】
使用する場合の投与経路は、経口、非経口のいずれであってもよく、投与量は患者の年齢、体重、状態および投与法によって異なるが、成人への一日当りの投与量としては、通常、経口投与の場合で0.01〜500mg、好ましくは0.1〜50mgであり、非経口投与の場合で1μg〜100mg、好ましくは0.01〜10mgである。なお、本願発明の化合物を神経変性疾患の治療剤として用いる場合、特に経口投与を行うことにより、本剤を有効に用いることができる。
【0019】
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。これらは本発明の好ましい実施態様でありこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ラット糖尿病モデルでの神経成長因子(NGF)等の発現量の評価
雄性SDラット(230−260 g)を用いて、糖尿病モデルを作成した。一晩絶食したラットにstreptozotocin(STZ)を腹腔内に投与した。STZの投与1週間後に血糖値を測定することによって糖尿病の発症が確認されたラットを以後の実験に用いた。糖尿病を発症したラットを無作為に群わけし、1日1回、式(2)で表される化合物の塩酸塩を3 mg/kgを毎日、18週間にわたって経口的に投与した。また比較例(陽性対照薬)として持続型インスリンポンプを皮下に埋め込み、18週間飼育した。式(2)で表される化合物の塩酸塩は蒸留水に、埋め込み式のインスリンポンプはLinshin CANADA社のLimplantを用いた。対照群には、蒸留水を式(2)で表される化合物の塩酸塩と同様なスケジュールで経口投与した。投与開始18週後に剖検を行い、坐骨神経を摘出した。摘出した坐骨神経よりRNA抽出試薬(商品名:アイソジェン)を用いてmRNAの調製をおこない、逆転写酵素(商品名:スーパースクリプト)にてcDNAを合成し、定量的PCRにて神経成長因子(NGF)およびシュワン細胞の増殖マーカーであるサイクリンD1の発現量を定量した。
(結果)
各坐骨神経におけるβ―アクチンの発現量を内部標準とし、NGFおよびサイクリンD1の発現量についてはβ―アクチンに対する相対的な発現量として算出した。さらに正常対照群の平均値に対する相対値として各個体の発現量を算出した。
【0020】
【表1】
Figure 2004359597
【0021】
【表2】
Figure 2004359597
【0022】
表1に示した通り、本願発明の薬剤である式(2)で表されるピペリジン誘導体の塩酸塩を3 mg/kg投与した群では病態対照群に比べて有意なNGF発現の上昇を示した。これは陽性対照薬であるインスリン群では認められなかった。一方、表2で示されるとおり神経細胞の機能維持に関わるシュワン細胞の機能指標としてのサイクリンD1の発現は式(2)で表されるピペリジン誘導体の塩酸塩、インスリンともに正常レベルまで回復していた。これらの実験結果から、本発明に係るピペリジン誘導体の塩酸塩を有効成分とする薬剤は、インスリンのような血糖を低下させることによる影響を伴わずに神経組織あるいは神経組織周辺の細胞の機能を回復させて神経組織におけるNGFの産生量を有意に上昇させ、神経機能の正常化を示すことから、臨床においても神経疾患に対し、より効果が期待できることが明らかになった。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係るピペリジン誘導体の塩酸塩を有効成分とする薬剤は、神経変性疾患に関し、更に詳しくは、糖尿病モデルにおいて神経組織内でのNGF産生を上昇させて神経機能の低下を改善するため末梢性神経または中枢性神経の神経変性疾患に対して優れた治療効果が期待される薬剤であり、例えば、神経切断、手根管症候群等の末梢性神経の神経変性疾患、または、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、虚血性神経疾患、脊髄小脳変性症等の中枢性神経の神経変性疾患を治療することが可能である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるピペリジン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする神経変性疾患治療薬。
    Figure 2004359597
    (式中、nは2または3の整数を示し、Yは水素原子またはハロゲン原子を示し、Xはホルミル基、アセチル基または水素原子を示す。)
  2. 一般式(1)において、nが2であり、Yが水素原子であり、Xがホルミル基である、請求項1記載の神経変性疾患治療薬。
  3. 神経変性疾患が末梢性神経疾患である、請求項1〜2記載の治療薬。
  4. 神経変性疾患が中枢性神経疾患である、請求項1〜2記載の治療薬。
  5. 神経変性疾患が神経成長因子の産生を促進することに基づく、請求項1〜2記載の治療薬。
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