JP2004359539A - ニオブ酸カリウム焼結体の製造方法 - Google Patents

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齊 大里
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Abstract


【課題】 常圧大気中での高密度の焼結体の合成を実現できるニオブ酸カリウム焼結体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 酸化ニオブと、炭酸カリウムと、希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種とを湿式混合する(混合工程)。得られた混合粉末を、酸化カリウム蒸気の存在下で600℃以上820℃以下で仮焼成し(第1の仮焼成工程)、次に、仮焼成粉末を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で650℃以上870℃以下で仮焼成する(第2の仮焼成工程)。次いで、得られた仮焼成物を粉砕し、得られた粉砕物を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で1020℃以上1280℃以下で焼成する(本焼成工程)。このような工程を経ることにより、優れた圧電特性を備えた高密度のニオブ酸カリウム焼結体を常圧焼結によって提供できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ニオブ酸カリウム焼結体の製造方法に関する。
圧電材料として期待されている材料の一つとして、ニオブ酸カリウムがある。このニオブ酸カリウムの単結晶については、大きな電気機械結合定数を持つことが報告されており(非特許文献1、2および特許文献1参照)、高性能圧電デバイスへの応用が期待されている。また、本発明者らも高温融液から液相エピキタシー法によって非常に平滑な高品質の単結晶薄膜を合成することに成功している(非特許文献3参照)。ニオブ酸カリウム単結晶は鉛フリーの圧電材料であることから、バルク結晶、薄膜を問わず、材料開発研究がますます活発に行われるものと期待されている。
特開2003−17981公報 K.Yamanouchi, H.Odagawa, T.Kojima, and T.Matsumura, Electron. Lett., 33 (1997), 193 K.Nakamura and Y.Kawamura, IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control., 47 (2000), 450 K.Kakimoto, S.Ito, I.Masuda, and H.Osato, Jpn. J. Appl. Phys., 41 (2002), 6908
一方、生産性および汎用性の観点から、焼結体の合成は重要であるにもかかわらず、これまでニオブ酸カリウムの常圧焼結は難しいとされてきた。その主な理由としては、(1)セラミックスの焼結温度は一般に1200〜1300℃程度とすることが必要であるにも関わらず、ニオブ酸カリウムの融点が1040℃付近であるために燒結温度をあまり高く設定できないこと、(2)KOが低温から揮散し易いために焼結体の組成制御が困難であること、(3)カリウム成分が潮解性を示すために高密度の焼結体が得られないこと、等が挙げられる。このため、常圧大気中での高密度の燒結体の合成は未だ実現しておらず、ホットプレス法による低温高圧下での合成が行われているのみであった。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、常圧大気中での高密度の焼結体の合成を実現できるニオブ酸カリウム焼結体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、常圧大気中での高密度の焼結体の合成を実現できるニオブ酸カリウム焼結体の製造方法を開発すべく鋭意研究を重ねたところ、原料に少量の希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種とを添加するとともに、仮焼成を二段階で行うことによって、焼結性を改善できることを見出した。また、KOリッチな雰囲気下で焼成プロセスを実施することでKOの揮散を抑制し、焼結体の組成制御を容易に行えることを見出した。本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、酸化ニオブと、炭酸カリウムと、希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種とを湿式混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を酸化カリウム蒸気の存在下で600℃以上820℃以下で仮焼成する第1の仮焼成工程と、前記第1の仮焼成工程で得られた仮焼成物を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で650℃以上870℃以下で仮焼成する第2の仮焼成工程と、前記第2の仮焼成工程で得られた仮焼成物を粉砕し、得られた粉砕物を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で1020℃以上1280℃以下で焼成する本焼成工程とを実行することを特徴とするニオブ酸カリウム燒結体の製造方法である。
本発明によれば、原料に少量の希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種とを添加するとともに、仮焼成を二段階で行うことによって、焼結性を改善できる。また、KOリッチな雰囲気下で焼成プロセスを実施することでKOの揮散を抑制し、焼結体の組成制御を容易に行える。これにより、優れた圧電特性を備えた高密度の焼結体を常圧焼結により提供できる。
本発明の製造方法により合成されるニオブ酸カリウム焼結体は、一般式(K1−xMa)(Nb1−xMb)O(但し、Maは希土類金属、Mbは遷移金属またはアルミニウム)で表される固溶体である。
本発明において、希土類金属酸化物としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウムの酸化物であることが好ましい。希土類金属のイオンがニオブ酸カリウムにおけるカリウムイオンと置換可能な大きさであることを要するためである。また、遷移金属酸化物としては、鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケルの酸化物であることが好ましい。遷移金属のイオンがニオブイオンと置換可能な大きさであることを要するためである。また、遷移金属またはアルミニウムと希土類金属とは、合計で6価であることを要する。
特に、希土類金属酸化物として酸化ランタン、遷移金属酸化物として酸化鉄を使用することが好ましい。合成される固溶体(K1−xLa)(Nb1−xFe)Oの融点が、置換されないニオブ酸カリウムと比較して高くなるため、本焼成工程における焼成温度を高く設定して焼結性を高めることができるからである。
希土類金属酸化物、および遷移金属酸化物または酸化アルミニウムの混合比は、合成される固溶体(K1−Ma)(Nb1−xMb)Oの式中xが0.1以下となるような混合比であることが好ましい。xが0.1を越えると、固溶体の結晶構造が立方晶をとり、誘電特性が低下するためである。
このような固溶体を合成するためには、目的とする固溶体中の原子数の比に基づいて原料を秤量すればよい。すなわち、(希土類金属の原子数)/(カリウムの原子数+希土類金属の原子数)が0.1以下、(遷移金属またはアルミニウムの原子数)/(ニオブの原子数+遷移金属またはアルミニウムの原子数)が0.1以下となるように各酸化物を秤量すれば良い。
但し、希土類金属酸化物、遷移金属酸化物または酸化アルミニウムの量が少なすぎると、混合工程において原料の均一な混合を行うことが困難となるため、xの値は0.002以上とされることが好ましい。
湿式混合は水が存在しない条件下で行うことが好ましく、例えば無水アセトン中で行うことが好ましい。原料中の炭酸カリウムが潮解性を有するためである。
第1の仮焼成工程では、混合工程で得られた混合物を、加圧成形せず粉末状のままで仮焼成する。この工程では、粉末状のままで仮焼成を行うことにより、カリウムのサイトへの希土類金属の置換、ニオブのサイトへの遷移金属又はアルミニウムの置換、および炭酸カリウムからのCOの脱離が円滑に行われるものと考えられる。焼成温度は600℃〜820℃、焼成時間は4時間程度が好ましい。また、このとき、酸化カリウム蒸気の存在下で焼成を行うことで、原料からのKOの揮散を抑制する。酸化カリウム蒸気を雰囲気中に存在させるためには、例えば雰囲気中に原料とは別に炭酸カリウムを存在させ、焼成時の熱によりこの炭酸カリウムが分解して生じる酸化カリウムを雰囲気中に揮散させればよい。
第2の仮焼成工程では、第1の仮焼成工程で得られた仮焼成物を加圧成形した後、再度仮焼成を行う。加圧成形は例えば一軸プレス成形により行うことができる。焼成は第1の仮焼成工程と同様に酸化カリウム蒸気の存在下で行う。焼成温度は650℃〜870℃、焼成時間は4時間程度が好ましい。この工程では、加圧成形によって粒子同士がより密着した状態で焼成を行うので、4種の原料の拡散、均質化が進むものと考えられる。
本焼成工程では、第2の仮焼成工程で得られた仮焼成物を粉砕し、得られた粉砕物を加圧成形した後、本焼成を行う。加圧成形においては例えば粉砕物を一軸プレス成形によりペレット状に成形したものを、さらに冷間等方圧プレス(CIP)により再成形することが好ましい。これにより、組織の緻密化を図ることができる。焼成は上記仮焼成工程と同様に酸化カリウム蒸気の存在下で行う。焼成温度は、得られる固溶体の融点を越えない範囲でできるだけ高いことが望ましい。固溶体の融点はその組成により変動するため、焼成温度を一律に制限することはできないが、組成に応じて1020℃〜1280℃の範囲で適宜に調整すれば良い。焼成時間は4時間程度が好ましい。
本発明では、酸化ニオブと、炭酸カリウムと、希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種という4種の原料の他に、誘電特性を向上させることを目的として酸化マンガン(IV)を添加しても良い。この場合には、第2の仮焼成工程において酸化マンガンを仮焼成物に添加する。
また、全ての工程において、試料の一時保存等の際には減圧下で注意深く取り扱うことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[遷移金属酸化物の添加量を変化させて焼結性を調べた実施例群]
一般式(K1−xLa)(Nb1−xFe)Oで表される固溶体において、xの値を変化させたものを合成し、その特性を評価した。
1.試験方法
<実施例1(x=0.002)>
1)焼結体の合成
(1)混合工程
原料としては高純度試薬KCO,Nb,La,Feの粉末を用いた。これらの粉末を、目的とする焼結体(K0.998La0.002)(Nb0.998Fe0.002)Oの組成に基づいて秤量した後、無水アセトン中で24時間湿式混合した。
(2)第1の仮焼成工程
上記(1)で得られた混合粉末を予備乾燥した後、白金皿に取り、別に用意したKCO粉末ともに外側るつぼ内に入れた。そして、外側るつぼ内に、この外側るつぼよりも一回り小さな内側るつぼを、混合粉末およびKCO粉末を覆うように伏せて入れた。内側るつぼと外側るつぼとの間の空間にKCO粉末を詰め、外側るつぼに蓋をした。
この外側るつぼを電気炉の中に入れ、820℃で4時間仮焼成を行った。このとき、KCO粉末が熱により分解して発生したKOの蒸気がるつぼ内に充満し、KO蒸気の存在下で仮焼成が進行した。
(3)第2の仮焼成工程
上記(2)で得られた仮焼成粉末をペレット状に成形した。この成形物を上記(2)と同様に二重のるつぼ内に入れ、KO蒸気の存在下で、850℃で4時間仮焼成を行った。
(4)本焼成工程
上記(3)で得られた仮焼成物を粉砕し、再度一軸プレス装置によりペレット状に成形した後、200MPaの冷間等方圧プレス(CIP)で再成形した。この成形物を上記(2)と同様に二重のるつぼ内に入れ、KO蒸気の存在下で、1060℃で4時間焼成を行った。
なお、全ての工程において、試料の一時保存等の際には減圧下で注意深く取り扱った。
2)試験
得られた焼結体について、粉末X線解析(XRD)による結晶相の同定、走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察、X線マイクロアナライザー(EPMA)による組成分析、および密度測定を行った。
また、得られた焼結体を所定のサイズに切断し、厚さ0.5mmまで平行研磨した後、両面にAg電極を焼き付けた。この試料について、LCRメータにより誘電特性を測定した。また、強誘電体評価システム(aixACCT GmbH社製 TF2000FE-HV)により室温でのP−Eヒステリシス、および圧電変位を測定した。
<実施例2(x=0.02)>
原料粉末を、目的とする焼結体(K0.98La0.02)(Nb0.98Fe0.02)Oの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1050℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<実施例3(x=0.1)>
原料粉末を、目的とする焼結体(K0.9La0.1)(Nb0.9Fe0.1)Oの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1150℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<実施例4(x=0.2)>
原料粉末を、目的とする焼結体(K0.8La0.2)(Nb0.8Fe0.2)Oの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1200℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<実施例5(x=0.3)>
原料粉末を、目的とする焼結体(K0.7La0.3)(Nb0.7Fe0.3)Oの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1250℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<実施例6(x=0.4)>
原料粉末を、目的とする焼結体(K0.6La0.4)(Nb0.6Fe0.4)Oの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1280℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<実施例7(MnO添加)>
第2の仮焼成工程において、第1の仮焼成工程で得られた仮焼成粉末に0.5重量%のMnOを添加し、これを一軸プレス装置によりペレット状に成形した。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
<比較例(x=0)>
原料としてKCO,およびNbの粉末を用い、これらを目的とする焼結体KNbOの組成に基づいて秤量した。また本焼成工程での焼成温度を1020℃とした。その他は、実施例1と同様にして焼結体を作成し、試験を行った。
2.結果と考察
La,Feを加えなかった比較例においては、相対密度97.4%のKNbO単相焼結体が得られた。これに対して、La,Feを加えた実施例においては、(1−x)KNbO−xLaFeO焼結体が合成された。特に、x=0.002の場合(実施例1)に焼結性が最も高まり、相対密度98.8%という極めて高密度の焼結体が得られた。
実施例および比較例で得た焼結体の粉末X線解析のチャートを図1に示す。La3+およびFe3+のイオン半径はそれぞれKおよびNb5+のイオン半径よりも15%程度小さく、また置換型固溶体では置換率に対応して回折角が移動し、移動量は回折角が高いほど大きくなることが知られているところ、図1より、LaFeO成分の増加に従って回折ピークが連続的に高角度側にシフトしていることから、得られた焼結体は一般式(K1−xLa)(Nb1−xFe)Oで表される固溶体となっているものと考えられる。
また、焼結体の結晶系はLaFeO成分の増加(xの値の増大)に従って斜方晶から正方晶に変化し、x=0.2以上では立方晶に変化していた。ここで、強誘電性を示すのは結晶構造が斜方晶、正方晶をとるものであり、立方晶のものでは誘電特性が劣ることから、xの値を0.1以下とすることが好ましいことが分かった。
図2には、実施例1(x=0.002)、実施例7(x=0.002、MnO添加)、および比較例(x=0)で得られた焼結体の誘電率の温度特性を示すグラフを示した。
図2より、x=0.002の場合(実施例2)には、x=0(比較例)の場合と比べてキュリー温度Tが約20℃低温側にシフトするものの、高い誘電率を示した。これは、焼結性が改善されて焼結体の密度が高くなったためであると考えられる。また、MnOを添加した場合(実施例7)には、さらに大きな誘電率(Tで3650)を示し、ホットプレス法で合成したニオブ酸カリウム焼結体とほぼ同等の誘電特性となった。
実施例1(x=0.002)、および比較例(x=0)で得られた焼結体の未分極処理の状態でのヒステリシス特性を示すグラフを図3に、圧電変位特性を示すグラフを図4に示す。図3より、x=0.002の場合には、残留分極P=22μC/cm、抗電界Ec=21kV/cmであり、x=0の場合と比較して良好な特性が得られていた。また、図4より、x=0.002の場合には、最大圧電変位が約700nm(0.12%)であり、x=0の場合と比較して大きな変位を生じていた。
以上のように本実施例によれば、原料中にLa,Feを混合するとともに、焼成プロセスを最適化することによって、ニオブ酸カリウムの焼結性を改善し、高密度の焼結体を常圧焼結によって提供できることが分かった。またLa,Feは極めて微量の混合で焼結性の改善効果を発揮するため、ニオブ酸カリウムの持つ特性を損なうことがなく、優れた圧電特性を持つニオブ酸カリウム焼結体を提供できることが分かった。
[遷移金属の種類を変化させて圧電特性を調べた実施例群]
一般式(K1−xLa)(Nb1−xMb)Oで表される固溶体において、Mbの種類を変化させたものを合成し、その特性を評価した。
1.試験方法
<実施例8(Mb=Cr)>
Feの代わりにCrを用いた他は、実施例1と同様にして焼結体(K0.998La0.002)(Nb0.998Cr0.002)Oを作成した。
得られた焼結体を100℃に熱したシリコンオイル中で5kV/mmの直流電界を印加し、60分間保持後に冷却し、共振−反共振法およびd33メータを使用して、電気機械結合定数および圧電定数を測定した。
<実施例9(Mb=Mn)>
Feの代わりにMnを用いた他は、実施例1と同様にして焼結体(K0.998La0.002)(Nb0.998Mn0.002)Oを作成した。得られた焼結体について、電気機械結合定数および圧電定数を測定した。
<実施例10(Mb=Co)>
Feの代わりにCoを用いた他は、実施例1と同様にして焼結体(K0.998La0.002)(Nb0.998Co0.002)Oを作成した。得られた焼結体について、電気機械結合定数および圧電定数を測定した。
<実施例11(Mb=Ni)>
Feの代わりにNiを用いた他は、実施例1と同様にして焼結体(K0.998La0.002)(Nb0.998Ni0.002)Oを作成した。得られた焼結体について、電気機械結合定数および圧電定数を測定した。
2.結果と考察
実施例8〜実施例11について、径方向の電気機械結合定数k、厚み方向の電気機械結合定数k、および厚み方向の圧電定数d33を表1に示した。なお、実施例1の焼結体(Mb=Fe)についても同様に測定を行い、その結果をあわせて示した。
Figure 2004359539
遷移金属酸化物としてクロム、マンガン、コバルト、ニッケルの酸化物を用いた場合でも、酸化鉄(Fe)を用いた場合と同様にニオブ酸カリウムの焼結性を改善し、高密度の焼結体を常圧焼結によって得ることができた。またいずれの焼結体も、電気機械結合定数および圧電定数を測定したところ良好な値が得られており、ニオブ酸カリウムの持つ特性を損なうことがなく、優れた圧電特性を持つニオブ酸カリウム焼結体を提供できることが分かる。厚み方向の電気機械結合定数kは、遷移金属の種類にかかわりなくほぼ一定の値が得られている。特に、遷移金属がマンガンであるものは、圧電定数d33も大きく向上しており、無鉛圧電材料の候補として有望であると考えられる。
実施例および比較例における焼結体の粉末X線解析のチャート 実施例1、実施例7および比較例における焼結体の誘電率と温度との関係を示すグラフ 実施例1および比較例における焼結体のP−Eヒステリシス曲線を示すグラフ 実施例1および比較例における焼結体の圧電変位曲線を示すグラフ

Claims (3)

  1. 酸化ニオブと、炭酸カリウムと、希土類金属酸化物と、遷移金属酸化物および酸化アルミニウムから選ばれる一種とを湿式混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合物を酸化カリウム蒸気の存在下で600℃以上820℃以下で仮焼成する第1の仮焼成工程と、
    前記第1の仮焼成工程で得られた仮焼成物を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で650℃以上870℃以下で仮焼成する第2の仮焼成工程と、
    前記第2の仮焼成工程で得られた仮焼成物を粉砕し、得られた粉砕物を加圧成形した後、酸化カリウム蒸気の存在下で1020℃以上1280℃以下で焼成する本焼成工程とを実行することを特徴とするニオブ酸カリウム燒結体の製造方法。
  2. 前記希土類金属酸化物が、前記炭酸カリウム中のカリウムの原子数と前記希土類金属酸化物中の希土類金属の原子数との合計に対する前記希土類金属の原子数の比が0.1以下となるように混合され、
    かつ、前記遷移金属酸化物または酸化アルミニウムが、前記酸化ニオブ中のニオブの原子数と前記遷移金属酸化物中の遷移金属または前記酸化アルミニウム中のアルミニウムの原子数との合計に対する前記遷移金属または前記アルミニウムの原子数の比が0.1以下となるように混合されることを特徴とする請求項1に記載のニオブ酸カリウム焼結体の製造方法。
  3. 前記希土類金属酸化物が酸化ランタンであり、かつ、前記遷移金属酸化物が酸化鉄であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニオブ酸カリウム焼結体の製造方法。
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