JP2004359030A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤ1は、カーカス2と、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなるベルト補強層4と、第1ベルト層5aとこれに隣接する第2ベルト層5bとで交差ベルト層6を形成してなるベルト7と、少なくとも両ショルダー域Sにそれぞれタイヤ赤道面に沿って延びる周方向溝8を配設してなるトレッド部9とを具える。交差ベルト層6を構成するコードが、タイヤ赤道面Eに対してそれぞれ10〜35°傾斜して延び、タイヤ幅方向断面にて、ベルト補強層4を、その幅W1がベルトの幅W2よりも狭く、かつ、ショルダー域Sに配設した前記周方向溝8の直下位置を含む領域に少なくとも配設する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなるベルト補強層と、該ベルト補強層のタイヤ径方向外側に位置し、コードをゴム被覆してなる少なくとも2枚のベルト層からなり、かつ、これらベルト層のうち、タイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層とこれに隣接するベルト層とで、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層を形成してなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側に位置し、両ショルダー域にタイヤ周方向に沿って延びる周方向溝を配設してなるトレッド部とを具える空気入りタイヤ、特には偏平率が65以上の重荷重用ラジアルタイヤに関し、かかるタイヤの周方向溝の溝底の亀裂や溝開口部の偏摩耗の発生を抑制する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのトレッド部の表面には、通常、ウエット路面での排水性を向上させるため、タイヤの周線に沿って連続的に延びる周方向溝を配設するのが一般的である。しかしながら、かかる溝の配設によりトレッド部には剛性段差が生じるため、内圧負荷時にこの溝位置での径成長が他の位置よりも大きくなりやすく、この溝位置での径成長によって溝底に亀裂を発生しやすい。特に、高内圧及び高荷重が作用する重荷重用タイヤではこの傾向が顕著である。
【0003】
重荷重用空気入りタイヤでは、高内圧及び重荷重に耐え得る構造にするため、ベルトを複数層のベルト層で構成するなどして、ベルトに高い剛性を付与することが必要とされる。かかる重荷重用タイヤとしては、例えば特許文献1には、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜配列される複数層のベルト層からなるベルトを有し、これらベルト層のうち、タイヤ径方向内側から数えて2番目及び3番目のベルト層で、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層を形成させ、交差ベルト層による補強効果を高めることにより、ベルト剛性を向上させたタイヤが記載されている。しかし、交差ベルト層は、その端部に向かうほど剛性が低下する傾向があるため、上述したような構造のタイヤでは、ベルト剛性を向上させることは可能でも、タイヤの径成長、特にショルダー域での径成長を抑制する効果は低く、ショルダー域に位置する周方向溝底での亀裂やショルダー域に位置する陸部での偏摩耗の発生を有効に抑制することはできなかった。
【0004】
また、特許文献2及び3には、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層と、波状又はジグザグ状に屈曲したコードを埋設したベルト強化層とを具えることにより、かかる径成長を抑制したタイヤが記載されている。しかし、これらのタイヤでは、ショルダー域に位置する周方向溝の配設位置との関係でベルト強化層の適正化が図られておらず、前記周方向溝の溝底での亀裂やショルダー域での偏摩耗を抑制する効果が十分に得られない場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭58−43803号公報
【特許文献2】特開2000−203215号公報
【特許文献3】特開2000−62411号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、この発明の目的は、ショルダー域に位置する周方向溝との関係でベルト強化層の適正化を図ることにより、前記周方向溝位置での径成長を抑制して、前記周方向溝の溝底での亀裂やショルダー域に位置する陸部での偏摩耗の発生を有効に抑制した空気入りタイヤ、特にトラックやバス等の大型車両に装着される重荷重用タイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、トロイド状に延びるカーカスと、該カーカスのクラウン部外周側に位置し、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる少なくとも1枚のベルト補強層と、該ベルト補強層のタイヤ径方向外側に位置し、コードをゴム被覆してなる少なくとも2枚のベルト層からなり、かつ、これらベルト層のうち、タイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である第1ベルト層とこれに隣接する第2ベルト層とで、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層を形成してなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側に位置し、少なくとも両ショルダー域にそれぞれタイヤ赤道面に沿って延びる周方向溝を配設してなるトレッド部とを具える空気入りタイヤにおいて、交差ベルト層を構成するコードは、タイヤ赤道面に対してそれぞれ10〜35°傾斜して延び、タイヤ幅方向断面にて、ベルト補強層は、その幅がベルトの幅よりも狭く、かつ、ショルダー域に配設した前記周方向溝の直下位置を含む領域に少なくとも配設することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0008】
なお、ここでいう「ショルダー域」とは、タイヤ赤道面を中心にトレッド部の幅の50%の幅の領域を「中央域」とするとき、この中央域の両側の領域をいうものとし、この「トレッド部の幅」とは、両バットレス部付近に偏摩耗犠牲溝又はワンダリング抑制細溝が配設されている場合には、これらの溝の内端間の距離をタイヤ幅方向に沿って測定した値を意味し、これらの溝が配設されていない場合には、両バットレス部間の距離をタイヤ幅方向に沿って測定した値を意味する。
【0009】
また、「ベルト補強層の幅」とは、広幅補強層の場合には、その両端間距離をタイヤ幅方向に沿って測定した値のことを意味し、1対の狭幅補強層の場合には、一方の狭幅補強層の外端から他方の狭幅補強層の外端までの距離をタイヤ幅方向に沿って測定した値のことを意味する。
【0010】
また、ベルト補強層は、両ショルダー域に配設した両周方向溝の直下位置を含む広い領域にわたって配設した1枚の広幅補強層を有することが好ましい。なお、ここでいう「周方向溝の直下位置」とは、周方向溝の溝底の中心からタイヤ径方向に沿ってタイヤ径方向内側に向かって引いた直線上の位置のことをいうものとする。そして、「広い領域」とは、両方の直下位置にわたって延びる領域のことをいうものとし、具体的にはタイヤ赤道面を中心にトレッド部の幅の61%の幅の領域をいうものとする。
【0011】
さらに、ベルト補強層は、両ショルダー域に配設した両周方向溝の直下位置を含む狭い領域に分離して配設した1対の狭幅補強層を有することが好ましい。なお、ここでいう「狭い領域」とは、前記両周方向溝の一方の直下位置のみを含む領域のことをいうものとし、具体的には一方の周方向溝の直下位置のみを含みトレッド部の幅の55〜70%の幅の領域のことをいうものとする。
【0012】
さらにまた、ベルト補強層は、ショルダー域に配設した周方向溝の直下位置での周方向剛性が局所的に高いことが好ましい。
【0013】
加えて、ベルト補強層は1枚の広幅補強層と1対の狭幅補強層とを有することが好ましい。
【0014】
また、両ショルダー域に配設した両周方向溝のタイヤ幅方向間隔はトレッド部の幅の45〜67%の範囲にあり、ベルト補強層の幅は両周方向溝のタイヤ幅方向間隔よりも広く、かつトレッド部の幅の60〜70%の範囲にあることが好ましい。
【0015】
さらに、両ショルダー域に配設した両周方向溝のタイヤ幅方向間隔は第1ベルト層の幅の45〜83%の範囲にあり、ベルト補強層の幅は両周方向溝のタイヤ幅方向間隔よりも広く、かつ第1ベルト層の幅の65〜80%の範囲にあることが好ましい。なお、ここでいう「両周方向溝のタイヤ幅方向間隔」とは、両周方向溝の溝底の中心間距離をタイヤ幅方向に沿って測定した値のことを意味する。
【0016】
さらにまた、ベルト補強層と第1ベルト層との間に、厚さが、好適には0.5〜2.5mmの範囲で実質的に一定の緩衝ゴム層を具えることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下、「タイヤ」という。)の要部断面図であり、図2は図1に示すタイヤを構成するベルトの一部破断平面図である。
【0018】
図1に示すタイヤ1は、トロイド状に延びるカーカス2と、カーカス2のクラウン部3外周側に位置し、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる少なくとも1枚のベルト補強層、図1では1枚のベルト補強層4と、ベルト補強層4のタイヤ径方向外側に位置し、コードをゴム被覆してなる少なくとも2枚のベルト層、図1では3枚のベルト層5a、5b、5cからなり、かつ、これらベルト層5a、5b、5cのうち、タイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である第1ベルト層5aとこれに隣接する第2ベルト層5bとで、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層6を形成してなるベルト7と、ベルト7のタイヤ径方向外側に位置し、少なくとも両ショルダー域Sにそれぞれタイヤ赤道面に沿って延びる周方向溝8を配設してなるトレッド部9とを具える。
【0019】
そして、この発明の構成上の主な特徴は、図2に示すように、交差ベルト層6を構成するコードが、タイヤ赤道面Eに対してそれぞれ10〜35°傾斜して延び、図1に示すように、タイヤ幅方向断面にて、ベルト補強層4を、その幅W1がベルトの幅W2よりも狭く、かつ、ショルダー域Sに配設した前記周方向溝8の直下位置を含む領域に少なくとも配設することにある。
【0020】
以下、この発明が上記構成を採用するに至った経緯を作用とともに説明する。ベルトに高い剛性が要求されるタイヤ、特に高内圧及び重荷重が作用する重荷重用タイヤにおいては、ベルト剛性を高めるため、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層を含む複数層のベルト層を配設することが一般的である。また、タイヤのトレッド部の表面には、通常、ウエット路面での排水性を向上させるため、タイヤの周線に沿って連続的に延びる周方向溝を配設するのも一般的である。しかし、これらを組み合わせたタイヤでは、周方向溝の溝底位置でのトレッド部の陸部剛性が低いこと、及び交差ベルト層の剛性が端部に向かうにつれて低くなる傾向があることから、特にショルダー域に配設した周方向溝の溝底で亀裂が発生したり、ショルダー域に位置する陸部で偏摩耗が生じやすいという問題があった。
【0021】
そこで発明者は、これらの問題の原因について鋭意研究を重ねた結果、交差ベルト層を構成するコードを、タイヤ赤道面に対して10〜35°と小さな角度で傾斜して配設することを前提として、ショルダー域の周方向溝の直下位置に、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードを有するベルト補強層を配設すれば、タイヤの径成長、特にショルダー域での径成長が有効に抑制されるとともに、ショルダー域に位置する周方向溝での剛性段差も緩和されるため、周方向溝の溝底での亀裂やショルダー域に位置する陸部での偏摩耗を防止できることを見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
【0022】
ここで交差ベルト層6を構成するコードをタイヤ赤道面Eに対して10〜35°傾斜させるのは、10°未満の場合にはタイヤ径成長を抑制する点では有利なものの、交差ベルト層を構成するベルト層間での、いわゆるパンタグラフ運動が不十分となり、特にタイヤ幅方向の力に対するベルト剛性の補強効果が低下するとともに、加硫成型が難しくなる等の製造上の問題があるからであり、35°を超える場合にはタイヤの径成長を抑制する効果が不十分となり、前記した周方向溝の溝底での亀裂やショルダー域に位置する陸部での偏摩耗の発生を抑制することができないからである。また、ベルト補強層4の幅W1をベルト7の幅W2より狭くするのは、ベルト補強層4の幅W1がベルト7の幅W2より広いとベルト7とベルト補強層4の歪が増加するため、ベルト補強層4の端部にセパレーションが生じるからである。
【0023】
また、ベルト補強層4は、図1に示すように、両ショルダー域Sに配設した両周方向溝8の直下位置を含む広い領域にわたって配設した1枚の広幅補強層11を有することが好ましい。このような広幅補強層11を配設すれば、トレッド部9全体の径成長が抑制でき、前記した亀裂や偏摩耗を一層有効に抑制することができるからである。
【0024】
さらに、ベルト補強層4は、図3に示すように、両ショルダー域Sに配設した両周方向溝8の直下位置を含む狭い領域に分離して配設した1対の狭幅補強層12a、12bを有することが好ましい。このような狭幅補強層12a、12bをショルダー域8に位置する周方向溝8の直下位置を含む狭い領域に配設すれば、周方向溝8での剛性を補強することができる結果、ショルダー域Sでの径成長が効果的に抑制でき、前記した溝底での亀裂やショルダー域に位置する陸部での偏摩耗を一層有効に抑制することができるからである。
【0025】
さらにまた、ベルト補強層4は、ショルダー域Sに配設した周方向溝8の直下位置での周方向剛性が局所的に高いことが好ましい。このように周方向溝8の直下位置でのベルト補強層4の周方向剛性が高ければ、この位置における剛性段差が緩和されて、前記した亀裂や偏摩耗を一層有効に抑制することができるからである。
【0026】
ショルダー域Sに配設した周方向溝8の直下位置でのベルト補強層4の周方向剛性を局所的に高くする手段としては、ベルト補強層が1枚の広幅補強層と1対の狭幅補強層とを有することが好ましい。この場合には、広幅補強層と狭幅補強層の配設関係は、図4に示すように広幅補強層11のタイヤ径方向内側に狭幅補強層12a、12bがあってもよく、図5に示すように広幅補強層11のタイヤ径方向外側に狭幅補強層12a、12bがあってもよい。
【0027】
ショルダー域Sに配設した周方向溝8の直下位置でのベルト補強層4の周方向剛性を局所的に高くする他の手段としては、周方向溝8の直下位置でのベルト補強層4のコードの打込み本数を増やすこと等が挙げられる。
【0028】
また、両ショルダー域Sに配設した両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3はトレッド部9の幅W4の45〜67%の範囲にあり、ベルト補強層4の幅W1は両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3よりも広く、かつトレッド部9の幅W4の60〜70%の範囲にあることが好ましい。両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3をトレッド部9の幅W4の45〜67%の範囲とするのは、45%未満の場合にはショルダー域Sにおけるトレッド部9の排水性が低下するからであり、67%を超える場合には交差ベルト層6の補強効果が低くなるとともに、ショルダー域Sに位置する陸部が小さく区画されて剛性が低くなりすぎる結果、前記の溝底の亀裂やショルダー域Sに位置する陸部の偏摩耗を十分に抑制することができないからである。また、ベルト補強層4の幅W1をトレッド部9の幅W4の60〜70%の範囲とするのは、60%未満の場合にはベルト補強層4の幅が狭くなりすぎ、十分な径成長抑制効果が得られないからであり、70%を超える場合にはベルト補強層4と交差ベルト層6との間にセパレーションが発生しやすいからである。
【0029】
さらに、両ショルダー域Sに配設した両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3は第1ベルト層5aの幅、図1ではベルト7の幅と同じW2の45〜83%の範囲にあり、ベルト補強層4の幅W1は両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3よりも広く、かつ第1ベルト層5aの幅W2の65〜80%の範囲にあることが好ましい。両ショルダー域Sに配設した両周方向溝8のタイヤ幅方向間隔W3を第1ベルト層5aの幅W2の45〜83%の範囲とするのは、45%未満の場合にはショルダー域Sにおけるトレッド部9の排水性が低下するからであり、83%を超える場合には交差ベルト層6の補強効果が低くなりすぎる結果、前記の亀裂や偏摩耗を十分に抑制することができないからである。また、ベルト補強層4の幅W1を第1ベルト層5aの幅W2の65〜80%の範囲とするのは、65%未満の場合にはベルト補強層4の幅が狭くなりすぎ、十分な径成長抑制効果が得られないからであり、80%を超える場合にはベルト補強層4の端部と交差ベルト層6との間でセパレーションが発生するからである。
【0030】
さらにまた、図6に示すように、ベルト補強層4と第1ベルト層5aとの間に、厚さが実質的に一定の緩衝ゴム層13を具えることが好ましい。かかる緩衝ゴム層13の配設により、ベルト補強層4の端部でのセパレーションを有効に抑制することができるからである。また、セパレーション防止と重量増加抑制を両立させる観点から、緩衝ゴム層13の厚さは0.5〜2.5mmであることが特に好ましい。
【0031】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、図1及び図3〜6では、ベルト層5aとベルト層5bとの間でのセパレーションを防止するため、ベルト層5a及び5bの端部において、両ベルト層をタイヤ径方向に離間して配設した態様を示したが、ベルト層5a及び5bは端部に至るまで隣接していてもよい。
【0032】
【実施例】
次に、この発明に従う空気入りラジアルタイヤを試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
【0033】
実施例1〜5のタイヤは、タイヤサイズが245/70R19.5のトラック・バス用ラジアルタイヤであり、トレッド部の幅が204mmであり、ショルダー域に配設した周方向溝のタイヤ幅方向間隔が125mmであり、ベルトが3層のベルト層からなり、第1ベルト層を構成するコードがタイヤ赤道面に対して68°傾斜して延び、第1ベルト層の幅が185mmであり、第2ベルト層を構成するコードがタイヤ赤道面に対して68°傾斜して延び、第2ベルト層の幅が165mmであり、最外ベルト層を構成するコードがタイヤ赤道面に対して68°傾斜して延び、最外ベルト層の幅が85mmであり、波状に屈曲したコードをゴム被覆してなるベルト補強層を有し、図1に示す構造(実施例1)、図3に示す構造(実施例2)、又は図4に示す構造(実施例3)を有し、それぞれ表1に示す諸元を有する。
【0034】
比較のため、タイヤサイズ、トレッド部の幅、ショルダー域に配設した周方向溝のタイヤ幅方向間隔、及びベルト幅が実施例1〜5と同じであり、波状に屈曲したコードをゴム被覆してなるベルト補強層を有し、図1に示す構造及び表1に示す諸元を有するものの、ベルトが、コードがタイヤ赤道面に対してそれぞれ50°傾斜して延びる交差ベルト層を含む3枚のベルト層からなり、この発明の範囲外となるタイヤ(比較例1)、タイヤサイズ、トレッド部の幅、ショルダー域に配設した周方向溝のタイヤ幅方向間隔、及びベルトが実施例1〜5と同じであり、波状に屈曲したコードをゴム被覆してなるベルト補強層を有し、表1に示す諸元を有するものの、図7に示すように、ベルト補強層が、周方向溝の直下位置を含む領域に配設されていないタイヤ(比較例2)、並びにタイヤサイズ、トレッド部の幅、ショルダー域に配設した周方向溝のタイヤ幅方向間隔、及びベルトが実施例1〜5と同じであり、波状に屈曲したコードをゴム被覆してなるベルト補強層を有し、表1に示す諸元を有するものの、図8に示すように、ベルト補強層の幅がベルトの幅よりも広いタイヤ(比較例3)についても併せて試作した。
【0035】
(試験方法)
前記各供試タイヤをJATMAで定める標準リム(7.50)に取り付けてタイヤ車輪とし、このタイヤ車輪に空気圧850kPa(相対圧)を適用し、速度60km/h、タイヤ負荷荷重24.2kNの条件下でドラム試験機上を5000km走行させた後、中央域及びショルダー域における径成長、周方向溝の溝底に発生した亀裂の長さ、並びにショルダー域に位置する陸部に発生した偏摩耗を測定して評価した。この評価結果を表1に示す。
【0036】
なお、表1中の評価結果はいずれも、比較例1の評価結果を100としたときの指数比で示してあり、数値が小さいほど優れている。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示す結果から、実施例1〜3のタイヤはいずれも、比較例1〜3のタイヤと比較して、ショルダー域での径成長、亀裂及び偏摩耗の抑制効果に優れていることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
この発明により、周方向溝及び交差ベルトに対するベルト強化層の適正化を図ることにより、周方向溝位置での径成長を抑制して、周方向溝の溝底の亀裂や溝開口部の偏摩耗の発生を抑制した空気入りタイヤを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う代表的な空気入りタイヤの要部断面図である。
【図2】図1に示すタイヤを構成するベルトの一部破断平面図である。
【図3】この発明に従う他のタイヤの要部断面図である。
【図4】この発明に従う他のタイヤの要部断面図である。
【図5】この発明に従う他のタイヤの要部断面図である。
【図6】この発明に従う他のタイヤの要部断面図である。
【図7】比較例2のタイヤの要部断面図である。
【図8】比較例3のタイヤの要部断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 カーカス
3 クラウン部
4 ベルト補強層
5a、5b、5c ベルト層
6 交差ベルト層
7 ベルト
8 周方向溝
9 トレッド部
10 コード
11 広幅補強層
12a、12b 狭幅補強層
13 緩衝ゴム層
Claims (8)
- トロイド状に延びるカーカスと、該カーカスのクラウン部外周側に位置し、波状又はジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる少なくとも1枚のベルト補強層と、該ベルト補強層のタイヤ径方向外側に位置し、コードをゴム被覆してなる少なくとも2枚のベルト層からなり、かつ、これらベルト層のうち、タイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である第1ベルト層とこれに隣接する第2ベルト層とで、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト層を形成してなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側に位置し、少なくとも両ショルダー域にそれぞれタイヤ赤道面に沿って延びる周方向溝を配設してなるトレッド部とを具える空気入りタイヤにおいて、
交差ベルト層を構成するコードは、タイヤ赤道面に対してそれぞれ10〜35°傾斜して延び、
タイヤ幅方向断面にて、ベルト補強層は、その幅がベルトの幅よりも狭く、かつ、ショルダー域に配設した前記周方向溝の直下位置を含む領域に少なくとも配設することを特徴とする空気入りタイヤ。 - ベルト補強層は、両ショルダー域に配設した両周方向溝の直下位置を含む広い領域にわたって配設した1枚の広幅補強層を有する請求項1記載の空気入りタイヤ。
- ベルト補強層は、両ショルダー域に配設した両周方向溝の直下位置を含む狭い領域に分離して配設した1対の狭幅補強層を有する請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
- ベルト補強層は、ショルダー域に配設した周方向溝の直下位置での周方向剛性が局所的に高い請求項1〜3のいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- ベルト補強層は1枚の広幅補強層と1対の狭幅補強層とを有する請求項4記載の空気入りタイヤ。
- 両ショルダー域に配設した両周方向溝のタイヤ幅方向間隔はトレッド部の幅の45〜67%の範囲にあり、ベルト補強層の幅は両周方向溝のタイヤ幅方向間隔よりも広く、かつトレッド部の幅の60〜70%の範囲にある請求項1〜5のいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 両ショルダー域に配設した両周方向溝のタイヤ幅方向間隔は第1ベルト層の幅の45〜83%の範囲にあり、ベルト補強層の幅は両周方向溝のタイヤ幅方向間隔よりも広く、かつ第1ベルト層の幅の65〜80%の範囲にある請求項1〜5のいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- ベルト補強層と第1ベルト層との間に、厚さが実質的に一定の緩衝ゴム層を具える請求項1〜7のいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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