JP2004358790A - ウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ - Google Patents

ウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ Download PDF

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Rikuo Yamada
陸生 山田
Hidetoshi Futaki
英俊 二木
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Abstract

【課題】紙送りされる記録紙と、紙送りを行うための駆動機構が干渉しない配置によって小型のプリンタを提供する。
【解決手段】本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタは、回転をして記録紙4aの紙送りを行う紙送りローラ8と、駆動モータ9とウォームギア9aを用いた減速機構とを備えて紙送りローラ8を回転させる駆動機構6と、記録紙4aに印刷を行う印刷ヘッド7と、を備え、紙送りローラ8の回転軸と駆動モータ9の回転軸が互いに垂直に配置され、駆動機構6が、紙送りされる記録紙4a又はその紙幅の延長線よりも外側に設置されたプリンタである。
このプリンタによれば、紙送りされる記録紙と、駆動機構が干渉する恐れがないので、記録紙の紙送り経路を短くでき、プリンタの小型化が実現できる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォームギアを用いた駆動機構によって記録紙の紙送りを行いながら印刷を行うプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
記録紙を紙送りしながら、印刷ヘッドで記録紙に印刷を行うプリンタにおいては、一般に、駆動モータで紙送りローラを回転させて、記録紙の紙送りを行う。この場合、駆動モータの回転数を、紙送りローラが紙送りを行うのに適した回転数まで減速させる必要があるが、複数の平歯車が噛み合った輪列を用いて減速する方法が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照。)
図5に、この平歯車の輪列を用いて減速を行うプリンタの実施例を示す。このプリンタは、サーマル方式の印刷ヘッドを備えたサーマルプリンタである。図5(a)はプリンタ101を記録紙104aの印刷面と直角の方向から見た断面図であり、図5(b)は図5(a)の矢印Cから見た断面図である。今後、図5に示すプリンタの矢印Xの方向を長さ方向、矢印Yの方向を幅方向、矢印Zの方向を高さ方向と定義する。
【0003】
プリンタ101は、プリンタ本体102と開閉蓋103で外面を覆われており、開閉蓋103は、回転軸受103aを回転中心として開閉可能になっている。
【0004】
また、プリンタ本体102に設けられた収納部105には、記録紙ロール104が収納されている。図5は記録紙がセットされて印刷可能な状態を示し、記録紙ロール104から引き出された記録紙104aが、収納部105の出側と印刷ヘッド107の間をつなぐ搬送114を通って、印刷ヘッド107へ達し、更に先端部が、上方の排出口113からプリンタ101の外部へ出た状態になっている。また、記録紙104aは、この印刷ヘッド107と紙送りローラ108の間に挟まれた状態になっており、印刷ヘッド107は、ヘッド押えバネ107aによって、紙送りローラ108側へ付勢されている。
【0005】
紙送りローラ108は、駆動モータ109の駆動力で回転して、記録紙104aを上方へ紙送りする。紙送りされる記録紙104aは、印刷ヘッド107で印刷される。
【0006】
駆動モータ109の回転軸109bにはモータ歯車109aが装着されており、駆動力はモータ歯車109aから、平歯車110a、平歯車110b、ローラ歯車108aの順に伝達される。平歯車110a、平歯車110bはスタンド111に回転軸受を介して取り付けられている。ローラ歯車108aは、紙送りローラ108の回転軸108bに装着されており、駆動モータ109の回転軸109bが回転すると、図5(b)に示すように3段階の減速によって所定の回転数に落とされて紙送りローラ108が回転する。
【0007】
ここで、紙送りローラ108は、開閉蓋103側に取り付けられており、開閉蓋103が開いた状態では、紙送りローラ108は印刷ヘッド107から離れ、ローラ歯車108aも平歯車110bから離れた状態になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−321014
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
プリンタはその用途から、小形化が要求されることが多いが、図5に示される平歯車の輪列を備えたプリンタを小型化する場合は、下記のような問題が生じる。
【0010】
動力伝達に平歯車の輪列を用いると、必然的に、紙送りローラ108の回転軸108bと、駆動モータ109の回転軸109bが平行な配置となる。もし、駆動モータ109を、平歯車の輪列の外側へ配置しようとすると、横向き(回転軸が水平な向き)に置かれた駆動モータ109が、輪列の横に大きく突出る形となり、プリンタの幅方向(矢印Yの方向)の寸法が非常に大きくなる。従って、図4(b)に示すように、駆動モータ109を平歯車の輪列の内側へ設置するのが一般的であり、この場合、駆動モータ109が、記録紙104aの紙幅の延長線から内側へ入り込んだ配置になる。
【0011】
従って、記録紙ロール104や紙送りされる記録紙104aが、駆動モータ109と干渉しないようにするためには、プリンタの長さ方向(矢印Xの方向)で調整が必要となる。つまり、図5(a)に示されるように、記録紙ロール104を駆動モータ109から十分離れた位置に配置して、搬送路114を用いて、記録紙4aが紙送り中に駆動モータ109と接触しないようにする必要がある。
【0012】
従って、プリンタ101の長さ方向の寸法を短くすることが困難であり、プリンタの小形化の障害となる。また、平歯車の輪列で大きな減速比を得るためには、多くの平歯車を要するため、減速機構が大形化して、プリンタの小形化の阻害要因となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、小型の駆動機構を備え、その駆動機構と紙送りされる記録紙が干渉する恐れのない配置を採用して、小型化されたプリンタを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの第1の態様は、回転をして記録紙の紙送りを行う紙送りローラと、駆動モータとウォームギアを用いた減速機構とを備えて、紙送りローラを回転させる駆動機構と、記録紙に印刷を行う印刷ヘッドと、を備え、紙送りローラの回転軸と駆動モータの回転軸が互いに垂直に配置され、駆動機構が、紙送りされる記録紙又はその紙幅の延長線よりも外側に設置されたプリンタである。
【0015】
本実施態様によれば、紙送りされる記録紙と、駆動機構が干渉するおそれがないので、記録紙の紙送り経路を短くでき、プリンタの小型化が実現できる。
【0016】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、駆動機構と印刷ヘッドがプリンタ本体側に設置され、紙送りローラがプリンタ本体に対して開閉可能な開閉蓋側に設置され、開閉蓋が閉じられた状態では、紙送りローラと駆動機構が連結されて、紙送りローラは記録紙を挟んで印刷ヘッドと当接し、開閉蓋が開かれた状態では、紙送りローラと駆動機構の連結は解除されて、紙送りローラは印刷ヘッドと離れた状態となるプリンタである。
【0017】
本実施態様では、開閉蓋を開くことによって、紙送りローラと印刷ヘッドを離すことができるので、記録紙の交換が容易に行える。
【0018】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、弾性力によって紙送りローラ側へ付勢された印刷ヘッドに突起部材が備えられ、開閉蓋の開閉時に、突起部材が、開閉蓋の先端部又は開閉蓋に設置された紙送りローラの支持部材と当接することによって、紙送りローラが印刷ヘッドと接触することを防ぐローラ接触防止機構を備えたウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタである。
【0019】
本実施態様の突起部材によって、開閉蓋の開閉時に、紙送りローラが印刷ヘッドと接触して回転することを防げるので、ウォームギアを駆動機構に用いても、問題なく開閉蓋の開閉が行える。
【0020】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、減速機構が、駆動モータの回転軸に装着されたウォームギアとこのウォームギアに噛み合った1又は2以上の平歯車を備え、紙送りローラが、開閉蓋が閉じられた状態で平歯車と噛み合うローラ歯車を備えたプリンタである。
【0021】
本実施態様では、ウォームギアを用いた減速機構の具体的な態様と、紙送りローラと駆動機構の具体的な連結の態様が示される。
【0022】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、平歯車又は前記紙送りローラの回転量を検出する位置検出器がプリンタ制御を行う回路基板上に取り付けられ、この回路基板が駆動モータ上に設置されたプリンタである。
【0023】
本実施態様では、通常、プリンタ内の複数の箇所に設置されていた、位置検出器、電子機器、回路基板等を、1つの回路基板上にまとめ、その回路基板を紙送りモータに設置することによって、省スペースを図ってプリンタを小型化することができる。
【0024】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、印刷ヘッドがサーマルヘッド方式であるプリンタである。
【0025】
本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの他の態様は、駆動モータがDCモータであるプリンタである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの実施形態を、図面を用いながら説明する。図1と図2は、本発明本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの実施形態の外形を示す斜視図であり、図1は、開閉蓋を閉じた状態を示し、図2は、開閉蓋が開いた状態を示す。図3は、図1、図2に示すプリンタの内部構造を示す断面図である。図3(a)は、記録紙4aの印刷面から直角の方向から見た断面図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印Aの方向から見た断面図である。
(プリンタ全体)
図1、図2に示されるように、プリンタ1は、プリンタ本体2と開閉蓋3で覆われており、開閉蓋3は回転軸受3aを介してプリンタ本体2に接続され、開閉可能になっている。
【0027】
プリンタ1はサーマルプリンタであり、プリンタ本体2の内部には、感熱紙をロール状に巻いた記録紙ロールを収納する収納部5と、この記録紙ロールから引き出された記録紙の紙送りをする紙送りローラ8を回転させるための駆動機構6と、紙送りされる記録紙に印刷を行うサーマル方式の印刷ヘッド7が設置されている。
【0028】
開閉蓋3には紙送りローラ8が備えられており、開閉蓋3を閉じられた状態では、紙送りローラ8が駆動機構6に連結され、紙送りローラ8と印刷ヘッド7の間で記録紙を挟みこむようになっている。
【0029】
紙送り機構6は、図3(b)に示されるように、駆動モータ9、及び、駆動モータ9の回転軸9bに装着されたウォームギア9aと、このウォームギア9aに連結された平歯車10を有する減速機構を備えている。平歯車10は、平歯車10aと平歯車10bが一体となった構造であり、平歯車10aがウォームギア9aと噛み合っている。平歯車10bは、紙送りローラ8に備えられた平歯車8bと噛み合うようになっている。この平歯車10は、プリンタ本体2に設置されたスタンド11に、回転軸受11aを介して取り付けられている。
【0030】
一方、紙送りローラ8は、紙送りローラ8の回転軸8bの一端にローラ歯車8aが装着されている。この紙送りローラ8は、開閉蓋3の先端部に設置されたローラ支持部材3bに回転軸受8cを介して取り付けられている。そして、開閉蓋3が閉じられた状態では、ローラ歯車8aと平歯車10bが噛み合って、駆動機構6と紙送りローラ8が連結された状態になる。従って、駆動モータ8が回転すると、紙送りに適した回転数まで減速されて、紙送ローラ8が回転をして紙送りが行われる。
【0031】
次に図3を用いて、プリンタ1の内部の構造を、更に詳細に説明する。図5と同様に、矢印Xの方向をプリンタの長さ方向、矢印Yの方向をプリンタの幅方向、矢印Zの方向をプリンタの高さ方向と定義する。図3では、開閉蓋3が閉じられた状態であって、記録紙4aがプリンタ1にセットされて印刷が可能な状態を示している。
【0032】
プリンタ本体2に設けられた収納部5に、記録紙ロール4が収納されている。記録紙ロール4から引き出された記録紙4aは、収納部5の出側から印刷ヘッド7の間に設けられた搬送路14に沿って印刷ヘッド7へ達し、更に上方へ伸びて、先端部は、印刷ヘッド7の上方の排出口13からプリンタ1の外部へ出ている。記録紙4aは、印刷ヘッド7と紙送りローラ8に挟まれた状態になっており、印刷ヘッド7は、ヘッド押えバネ7aによって、紙送りローラ8側へ付勢されている。
【0033】
プリンタ本体2には、紙送りローラ8を回転させるための駆動機構6が、紙送りされる記録紙4aの外側(図3(b)では右側)に設置されている。駆動機構6では、駆動モータ9の回転軸9bに装着されたウォームギア9aと平歯車10aが噛み合っており、開閉蓋3が閉じられた状態では、平歯車10aと一体となった平歯車10bに、ローラ歯車8aが噛み合うようになっている。駆動モータ9の回転軸9bが回転すると、ウォームギア9aと平歯車10aの間で減速されて、紙送りローラ8が回転する。
【0034】
印刷ヘッド7と紙送りローラ8の間で記録紙4aを挟み込んでいるので、駆動モータ9の駆動力で紙送りローラ8が回転させると、記録紙4aを上方へ紙送りすることができるようになっている。
【0035】
サーマル方式の印刷ヘッド7の印刷面には、発熱素子が記録紙4aの幅方向にライン状に形成されており、記録紙4aを紙送りすることによって、記録紙4aと印刷ヘッド7とを相対的に移動させながら、印刷ヘッド7の発熱素子で感熱紙である記録紙4aを過熱することによって発色させて印刷を行う。紙送りローラ8は、紙送りを行なうだけでなく、印刷時には、記録紙4aを背後から支えるプラテンの役割も果している。
【0036】
以上のように、紙送りローラ4aの回転によって、収納部5に収納された記録紙ロール4aから引き出された記録紙4aが紙送りされ、印刷ヘッド7と紙送りローラ8の間を通過するときに印刷が行なわれ、更に上方へ紙送りされ、排出口13からプリンタ1の外部へ排出される。排出口13には、切断装置(図示されていない)が設置されており、記録紙4aを切断することができる。
【0037】
また、プリンタ制御を行う回路基板12が、駆動モータ9に設置されている。また、この回路基板12には、平歯車10の回転量を検出する位置検出器16も設置されている。この位置検出器16の検出データに基づいて、記録紙4aの紙送り量が演算されてプリンタ制御が行われる。
【0038】
次に、開閉蓋3が開閉される場合について説明を行う。
【0039】
開閉蓋3が閉じられた状態では、開閉蓋3側のローラ歯車8aは、プリンタ本体2側の平歯車10bと噛み合い、紙送りローラ8と印刷ヘッド7との間で記録紙4aを挟み込む状態になっている。
【0040】
開閉蓋3を開けた場合には、収納部5は開放されて、紙送りローラ8が印刷ヘッド7や駆動機構6から離れた状態になり、搬送路14も開放される。従って、記録紙ロール4の取り出し、装填、交換が容易に行え、引き出された記録紙4aのセットも容易に行うことができる。
【0041】
記録紙4aをセットする場合には、開閉蓋3を開いた状態で、記録紙ロール4から引き出され記録紙4aを搬送路14、印刷ヘッドの上を通過させて、先端部を排出口13からプリンタ1の外側へ出しておく。その状態で、上から開閉蓋3を閉じることによって、自動的に記録紙4aを印刷ヘッド7と紙送りローラ8の間に挟みこみ、搬送路14中にセットすることができる。
【0042】
ただし、開閉する開閉蓋3の先端部の軌跡と印刷ヘッド7の位置関係によっては、開閉蓋3の開閉時に、紙送りローラ8と印刷ヘッド7の印刷面が接触して、紙送りローラ8が回転する可能性があるが、これを防ぐ回転防止機構に関しては、後述する。
(駆動機構の配置)
本発明に係るウォームギアを用いた駆動機構置の配置について、従来の平歯車の輪列を用いた駆動機構の場合と比較しながら説明する。本発明の実施形態としては図3に示されたプリンタを用いて説明し、従来の平歯車の輪列を用いたプリンタの例として、図5に示されたプリンタを用いて説明する。
【0043】
駆動モータの回転数から、紙送りローラの紙送りに適した回転数まで減速する必要があるが、平歯車の輪列で減速する場合には、一般に複数段階の減速が必要であり(図5(b)では3段減速)、その減速の段数に応じた多くの平歯車が必要となる。
【0044】
一方、本発明の実施形態では、図3(b)に示すように、駆動モータ9に装着されたウォームギア9aを用いて減速するため、ウォームギア9aと平歯車10aの間の減速で、上記の平歯車による減速比と同様の減速比を得ることができる。従って、平歯車の輪列を用いて減速する場合に比べて、歯車の数を減らすことが可能であるので、減速機構を小型化でき、プリンタの小型化や製造コストの低減に貢献できる。
【0045】
また、平歯車の輪列を用いて減速する場合には、図5(b)に示されるように、駆動モータ109の回転軸109bと紙送りローラ108の回転軸108bが、互いに平行に配置されることになり、駆動モータ109が、記録紙104aの紙幅の延長線よりも内側へ入る配置となる。この場合、図5(a)に示されるように、記録紙ロール104や引き出された記録紙104aが、駆動モータ109と干渉するのを防ぐため、プリンタ101の長さ方向において、印刷ヘッド107から離れた位置に配置せざるを得ない。
【0046】
一方、図3に示す本発明の実施形態では、ウォームギア9aを用いて減速するので、駆動モータ9の回転軸9bと紙送りローラ8の回転軸8bが、互いに垂直の方向に配置されることになる。この場合、駆動モータ9は縦向き(回転軸9bが垂直の向き)に置かれ、平歯車10も駆動モータ9の回転軸9b上に配置されるので、駆動機構6の幅方向(矢印Yの方向)の長さが短くてすむ。よって、この駆動モータ9を含む駆動機構6を、記録紙4a又はその紙幅の延長線の外側に設置することが可能である。(図3(b)参照)
従って、図3(a)に示されるように、記録紙ロール4や引き出された記録紙4aは、駆動機構6との干渉がないので、長さ方向(矢印Xの方向)において、記録紙ロール4を印刷ヘッド7の近傍へ配置することが可能である。よって、図5(a)で示される平歯車の輪列を用いた場合に比べて、プリンタ1の長さ方向の寸法を短くすることが可能であり、プリンタ1自体を小型化することができる。
【0047】
プリンタの幅方向の寸法について、記録紙の外側に設置された機器の寸法を比較すると、図3(b)に示される駆動機構6の幅方向の寸法と、図5(b)に示される輪列の幅方向の寸法との間では大きな差異はない。また、実際には、プリンタの幅方向の寸法は、プリンタと組み合わされるキーボードや表示パネルの大きさによって定まる場合が多いので、駆動機構6が記録紙4aの紙幅の外側に設置されていることによる問題は生じない。
【0048】
高さ方向(矢印Zの方向)に関しては、記録紙ロール4の大きさで定まるため、駆動機構の寸法が問題になることはない。従って、本発明によれば、プリンタの小型化に最も重要なプリンタの長さ方向の寸法を短くすることが可能であり、プリンタの小形化が実現できる。
【0049】
更に、図3に示す実施形態では、通常、プリンタ本体2内の複数の箇所に設置されていた電子機器や回路基板等が、1つの回路基板12にまとめられて、駆動モータ9に取り付けられている。また、この回路基板12には、平歯車10の回転量を検出する位置検出器16も設置されており、プリンタ制御のための機器を一箇所に集約してスペースの有効利用を図り、プリンタの小型化が可能となる。
(ローラ接触防止機構)
次に、開閉蓋の開閉時に、紙送りローラが印刷ヘッドと接触して、紙送りローラが回転することを防ぐローラ接触防止機構について、図4を用いながら説明する。
【0050】
図4(a)と(b)は、本発明に係るローラ接触防止機構の実施形態を示す斜視図であり、開閉蓋3とその先端部に取り付けられた紙送りローラ8、及び、プリンタ本体側に設置された印刷ヘッド7と駆動装置6の位置関係を示している。図4(a)が開閉蓋3を開いている状態を示し、図4(b)が、開閉蓋3を閉じた状態を示す。
【0051】
紙送りローラ8の回転軸8bが、開閉蓋3の先端部に備えられたローラ支持部材3bに回転軸受8cを介して取り付けられている。この回転軸8bの一端にはローラ歯車8aが装着されており、開閉蓋3が閉じられた状態では、プリンタ本体側に設置された駆動機構6の平歯車10と噛み合う。この平歯車10は、紙送りモータ9の回転軸9bに装着されたウォームギア9aとも噛み合っている。
【0052】
一方、印刷ヘッド7は、回転中心7bを中心に所定の角度だけ回転可能になっており、バネ力によって紙送りローラ8側に付勢されている。従って、例えば、紙送りローラ8と印刷ヘッド7の印刷面7cが接触して、印刷ヘッド7が紙送りロール8に押された場合には、付勢力によって紙送りローラ8との接触を保ったまま、押された分だけ後方へ待避できるようになっている。また、印刷ヘッド7の両端には、突起部材15が備えられている。
【0053】
次に、図4(c)と図4(d)を用いて、開いた開閉蓋3が閉じられていく場合の動きを説明する。図4(c)は、突起部材の付いていない従来のプリンタの開閉蓋の動きを示した側面図であり、図4(d)は、印刷ヘッド7の両端に突起部材15が設置された本発明に係るローラ接触防止機構を備えた場合の、開閉蓋の動きを示した側面図である。
【0054】
図4(c)に示される突起部材のないプリンタでは、開閉蓋3が開いた状態C1から開閉蓋3を閉じていくと、ローラ本体8aが印刷ヘッド7の印刷面7dと接触する状態C2となる。引き続いて、開閉蓋3を閉じていくと、印刷ヘッド7はバネ力によって紙送りローラ8側に付勢されていて、ローラ本体8aが印刷面7bに接触したまま閉じられていくので、紙送りローラ8は矢印Bの方向(状態C3参照)に力を受けて回転する。更に、開閉蓋3が閉じられると、紙送りローラ8に備えられたローラ歯車8aと、プリンタ本体側の平歯車10とが噛み合い、その後、開閉蓋3が閉じられた状態C4となる。
【0055】
ローラ歯車8aと平歯車10が噛み合った後では、紙送りローラ8が回転するのに従って、平歯車10も回転する。もし、紙送りローラ8への駆動力伝達を平歯車の輪列で行う場合には、この平歯車10の回転に応じて、平歯車10に連結された各平歯車が回転して、最終的に駆動モータの回転軸が回転する。しかし、平歯車や駆動モータに無理な力が加わることはないので、特別な問題は生じない。
【0056】
しかし、もし、紙送りローラ8の減速を図4(a),(b)に示されるような平歯車10とウォームギア9aで行う場合には、紙送りローラ8aの回転によって、平歯車10が回転しようとすると、歯車のバックラッシュを越えた量を回転した時点で、平歯車10とウォームギア9aが互いに噛み込んだロック状態になる。従って、その後、駆動モータ9を駆動させようとしても回転しなかったり、歯車が破損する恐れがある。
【0057】
これを解決するため、本発明に係るローラ接触防止機構では、図4(d)に示されような突起部材15を印刷ヘッド7に備えている。開閉蓋3を閉じていくと、ローラ本体8aが印刷ヘッド7の印刷面7cに接触する前に、開閉蓋3の先端部にあるローラ支持部材3bと、印刷ヘッド7に設けられた突起部材15とが接触する。(状態D1参照)更に、ローラ支持部材3bと突起部材15が接触した状態を保ったまま、開閉蓋3が閉じられていく。(状態D2,D3参照)この間、紙送りロール8は、印刷ヘッド7と接触しない。更に、開閉蓋3が閉じられていくと、紙送りローラ8の回転軸8bに装着されたローラ歯車8aと、プリンタ本体側の平歯車10と噛み合い、その後、開閉蓋3は完全に閉じられる。(状態D4参照)
開閉蓋3が閉じられている間は、紙送りローラ8と印刷面7cとが接触しないので紙送りローラ8が回転することはなく、ウォームギア9aと噛み合った平歯車10と係合しても問題は生じない。
【0058】
厳密には、開閉蓋3が閉まる直前に、ローラ本体8aが印刷面7dと接触するので、紙送りローラ8はごくわずかだけ回転する可能性がある。それに従って、平歯車10もわずかに回転する可能性があるが、この回転量は、歯車のバックラッシュの範囲内であり、平歯車10とウォームギア9aがロックするような問題は生じない。
【0059】
従って、図4(d)に示されるローラ接触防止機構によれば、紙送りローラ8の駆動機構6にウォームギア9aを用いた場合でも、問題なく開閉蓋3の開閉を行うことができる。
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、本発明をサーマルプリンタに適用した実施形態を説明したが、本発明は、サーマルプリンタに限らずインクジェットプリンタ、インパクトプリンタ等あらゆるタイプのプリンタに適用することができる。また、上記の実施形態では、印刷ヘッドを紙送りローラ側に付勢する手段としてバネを用いているが、付勢手段としてはバネだけに限らず、あらゆる弾性体を適用することができる。更に、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、更に様々な実施形態が考えられる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタによれば、紙送りローラの回転軸と駆動モータの回転軸を互いに垂直に配置して、紙送りローラの駆動機構を、紙送りされる記録紙又はその紙幅の延長線よりも外側に設置することができる。従って、駆動機構と、記録紙ロールや紙送りされる記録紙の間で干渉する恐れがないので、記録紙ロールを印刷ヘッドの近傍に設置可能であり、プリンタの小型化を実現できる。
【0061】
また、本発明では、プリンタ本体内の複数の箇所に設置されていた電子機器や回路基板等が1つの回路基板にまとめられて、駆動モータ9に取り付けられている。更に、この回路基板には、紙送りローラ等の回転量を検出する位置検出器も設置されており、プリンタ制御のための機器を一箇所に集約してスペースの有効利用を図り、プリンタの小型化が可能となる。
【0062】
更に、本発明に係る突起部材を備えたローラ接触防止機構を用いれば、開閉蓋の開閉時に、紙送りローラが印刷ヘッドと接触して回転する恐れがないので、ウォームギアを用いた駆動機構を採用しても、問題なく開閉蓋の開閉が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの実施形態の外形を示す斜視図(開閉蓋を閉じた状態)。
【図2】本発明のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの実施形態の外形を示す斜視図(開閉蓋を開いた状態)。
【図3】図1、図2に示されるウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタの内部構造を示す断面図。
【図4】本発明に係る開閉蓋の開閉機構の実施形態を示す斜視図と側面図。
【図5】従来の平歯車の輪列を備えたプリンタの実施例の内部構造を示す断面図。
【符号の説明】
1 プリンタ 2 プリンタ本体
3 開閉蓋 3a 回転軸受
3b ローラ支付勢持部材 4 記録紙ロール
4a 記録紙 5 収納部
6 駆動機構 7 印刷ヘッド
7a ヘッド押えバネ 7b 回転中心
7c 印刷面 8 紙送りローラ
8a ローラ歯車 8b 回転軸
8c 回転軸受 9 駆動モータ
9a ウォームギア 9b 回転軸
10 平歯車 10a 平歯車
10b 平歯車 11 スタンド
11a 回転軸受 12 回路基板
13 排出口 14 搬送路
15 突起部材 16 位置検出器
101 プリンタ 102 プリンタ本体
103 開閉蓋 103a 回転軸受
104 記録紙ロール 104a 記録紙
105 収納部 106 駆動機構
107 印刷ヘッド 108 紙送りローラ
108a ローラ歯車 108b 回転軸
109 紙送りローラ 109a モータ歯車
109b 回転軸 110 輪列
110a 平歯車 110b 平歯車
111 スタンド 113 排出口
114 搬送路

Claims (7)

  1. 回転をして記録紙の紙送りを行う紙送りローラと、
    駆動モータとウォームギアを用いた減速機構とを備えて、前記紙送りローラを回転させる駆動機構と、
    前記記録紙に印刷を行う印刷ヘッドと、
    を備え、
    前記紙送りローラの回転軸と前記駆動モータの回転軸が互いに垂直に配置され、
    前記駆動機構が、紙送りされる前記記録紙又はその紙幅の延長線よりも外側に設置されたウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  2. 前記駆動機構と前記印刷ヘッドがプリンタ本体側に設置され、
    前記紙送りローラが前記プリンタ本体に対して開閉可能な開閉蓋側に設置され、
    前記開閉蓋が閉じられた状態では、前記紙送りローラと前記駆動機構は連結されて、前記紙送りローラは前記記録紙を挟んで前記印刷ヘッドと当接し、
    前記開閉蓋が開かれた状態では、前記紙送りローラと前記駆動機構の連結は解除されて、前記紙送りローラは前記印刷ヘッドと離れた状態となる請求項1に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  3. 弾性力によって前記紙送りローラ側へ付勢された前記印刷ヘッドに突起部材が備えられ、
    前記開閉蓋の開閉時に、前記突起部材が、前記開閉蓋の先端部又は前記開閉蓋に設置された前記紙送りローラの支持部材と当接することによって、前記紙送りローラが前記印刷ヘッドと接触することを防ぐローラ接触防止機構を備えた請求項2に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  4. 前記減速機構が、前記駆動モータの回転軸に装着されたウォームギアと該ウォームギアに噛み合った1又は2以上の平歯車を備え、
    前記紙送りローラが、前記開閉蓋が閉じられた状態で前記平歯車と噛み合うローラ歯車を備えた請求項2又は3に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  5. 前記平歯車又は前記紙送りローラの回転量を検出する位置検出器がプリンタ制御を行う回路基板上に取り付けられ、該回路基板が前記駆動モータ上に設置された請求項4に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  6. 前記印刷ヘッドがサーマルヘッド方式である請求項1から5の何れか1項に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
  7. 前記駆動モータがDCモータである請求項1から6の何れか1項に記載のウォームギアを用いた駆動機構を備えたプリンタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010064310A (ja) * 2008-09-09 2010-03-25 Toshiba Tec Corp 印刷装置
CN113561669A (zh) * 2021-07-15 2021-10-29 厦门汉印电子技术有限公司 一种打印设备及其打印测试系统

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