JP2004358381A - 円形及び環状塗布膜の形成方法 - Google Patents

円形及び環状塗布膜の形成方法 Download PDF

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眞樹 須永
Yasuhito Kodera
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Abstract

【目的】回転する基板とノズルからの液吐出により円形及び環状の塗布膜を形成するに当たり、塗布膜の膜厚制御性と膜厚均一性を失うことなく、塗布時間を短縮することができる円形及び環状塗布膜の形成方法を提供すること。
【構成】基板を固定し回転させるテーブルと、先端から吐出される塗布液の吐出速度を制御可能なノズルを用いて、前記基板を回転させ且つ前記ノズルが前記基板の回転中心を通る直線上を移動しながら塗布液を吐出し、基板上に塗布膜を形成する塗布膜の形成方法において、前記ノズルの先端と前記基板との距離を、基板の回転による遠心力によって盛り上がった液膜端部の高さ以上とし、且つ、前記ノズル先端と前記液膜端部が乖離する距離未満とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に円形及び環状の塗布膜を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造工程において略円形のウエハ基板に対し感光性材料、保護膜材料等を略円形に塗布する工程や、光磁気ディスクの製造工程において磁気記録層の保護膜材料を環状に塗布する工程では、塗布膜の形成方法としてスピンコート法が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、スピンコート法は、基板を高速で回転させることによって液膜材料を遠心力で基板表面に引き伸ばしていく方法であるため、材料の大部分は基板外に飛散し、実際に基板上に塗膜となって残る量は通常5%以下である。
【0004】
更に、光磁気ディスクのように環状の塗布膜形状が要求される場合においては、スピンコート法では膜厚の均一性が失われ、ディスク内周が薄く、外周で厚くなってしまい、種々の弊害を生じることとなる。
【0005】
このような状況の中、新たな塗布膜形成技術の1つとして、基板を回転させ、その回転中心を通る直線上を、吐出速度制御可能なノズルから液を吐出させながら走行させることにより、基板上に塗布膜を形成していく方法が特許文献1に開示されている。この方法によれば、基板外に液を飛散させることなく塗布できるため、ノズル先端から吐出された液をほぼ100%塗膜として基板上に残すことが可能である。
【0006】
又、ノズルの位置が基板中心から外周方向に、或は外周から中心方向に移動するに連れてノズル吐出口下の基板の周速が変化するため、この変化に応じて塗布液の吐出速度を徐々に増加、或は徐々に減少させることにより、光磁気ディスクの保護膜のように環状の塗布膜形状が求められる場合でも、吐出速度を制御することにより膜厚分布を調整することが可能である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−310355号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記手法は、基板上をノズルが走行していく塗布手法であるため、スピンコート法等と比べて塗布に要する時間が長いという問題を有している。例えば、6インチウェハ全面(半径R=約75mm)に塗布膜を形成する場合、ノズル移動速度が0.2mm/sとすると塗布のみで375秒掛かる計算となる。
【0008】
塗布時間を短縮するためには、ノズル移動速度を速めれば良いことになるが、その場合には基板の回転速度も速める必要がある。
【0009】
例えば、ノズルの先端の内径を1mmとしたとき、この内径分ノズルが進行するのに要する時間は、ノズル移動速度が0.2mm/sならば5秒、2mm/sならば0.5秒である。
【0010】
一方、この時間内に基板は少なくとも1回転している必要がある。従って、このときの基板回転速度は、ノズル移動速度が0.2mm/sならばば12rpm、2mm/sならば120rpmとなり、ノズル移動速度が速くなればなるほど基板回転速度も速くしなければならないことが分かる。
【0011】
ところで、塗布時間短縮のために、基板回転速度を速めていくと基板上に塗布された液はより強い遠心力を受けることとなり、液膜端部において図4のような盛り上がりを生じる。
【0012】
図4から明らかなように、盛り上がり部の膜厚は所望の平均膜厚より厚い。通常、このような盛り上がりを生じない場合、ノズル先端と基板の距離は所望の液膜厚と等しくすることが望ましい。これは液膜厚よりノズル先端が低いとノズルが液膜自体を削り取ってしまう恐れがあることと、大きくし過ぎた場合にはノズル先端と液膜が乖離してしまうことに由来する。
【0013】
しかし、大きな遠心力により液端部で盛り上がりを生じているときに、ノズルの高さを所望の液膜厚とほぼ同じ高さに設定してしまうと、ノズルはその先端部を液膜中に突っ込んだ形で塗布が行われることになる。このような状態での塗布は、前述の通りノズルが液膜を削ってしまう可能性があるばかりでなく、特に基板の回転速度が高速である場合には、図5に示すようにノズル先端部と液膜のせん断により、ノズル側面に液が這い上がる現象を生じる。このような状態では基板上の液膜はノズル側に引き寄せられてしまうため、ノズルからの吐出量と基板上の液膜厚の関係の制御性を失ってしまうことになる。
【0014】
更に、基板上の位置によって液膜が受ける遠心力は変化し、その結果、盛り上がりの高さは基板外周方向ほど高くなる傾向を持っている。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、回転する基板とノズルからの液吐出により円形及び環状の塗布膜を形成するに当たり、塗布膜の膜厚制御性と膜厚均一性を失うことなく、塗布時間を短縮することができる円形及び環状塗布膜の形成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板を固定し回転させるテーブルと、先端から吐出される塗布液の吐出速度を制御可能なノズルを用いて、前記基板を回転させ且つ前記ノズルが前記基板の回転中心を通る直線上を移動しながら塗布液を吐出し、基板上に塗布膜を形成する塗布膜の形成方法において、前記ノズルの先端と前記基板との距離を、基板の回転による遠心力によって盛り上がった液膜端部の高さ以上とし、且つ、前記ノズル先端と前記液膜端部が乖離する距離未満とすることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ノズルと前記基板との距離を前記ノズルの基板上での位置に応じて連続的に変化させ、基板回転中心において小さく、基板周縁において大きくすることを特徴とする。
【0018】
基板を固定し回転させるテーブルと、先端から吐出される塗布液の吐出速度を制御可能なノズルを用いて、基板を回転させ且つノズルが基板の回転中心を通る直線上を移動しながら塗布液を吐出し、基板上に塗布膜を形成する塗布膜の形成方法において、ノズルを低速で移動させ、即ち、基板の回転速度が遅い場合は、ノズルと基板との距離を所望の膜厚と等しく設定すれば良い。
【0019】
しかし、塗布時間を短縮するためにノズルの移動速度を速め、即ち、基板の回転速度が速い場合は、遠心力によって液膜端部において盛り上がりが生じる。このとき、図1に示すように、液膜端部が乖離する距離未満の範囲で、ノズルと基板との距離をこの盛り上がり高さ以上とすることにより、ノズル側面への液上がりを生じさせることなく塗布することが可能になるため、膜厚制御性を失うことなく塗布膜を形成することが可能となる。
【0020】
更に、基板上の位置によって液膜が受ける遠心力は変化し、その結果盛り上がりの高さは基板外周方向ほど高くなる傾向を持っている。従って、図2に示すように、ノズルと基板との距離を常に盛り上がり部の高さに合わせて連続的に変化させることが望ましい。即ち、基板回転中心において小さく、基板周縁において大きくすることにより、ノズル側面への液上がりを生じさせることなく塗布することが可能になるため、所望塗布領域全域において膜厚制御性を失うことなく塗布膜を形成することが可能となる。
【0021】
尚、塗布する塗布液の粘度及び基板の回転速度によって盛り上がりの高さは異なるため、ノズル先端と基板間の距離は状況により最適化する必要があることは言うまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図3は本発明を実施するための塗布装置の正面概略図である。
【0024】
図3において、1はウエハ、円形ディスク等の基板、2は基板1を真空吸着固定した状態で回転するステージ、5はステージ2に回転駆動力を与える回転機構である。回転機構5は、制御部8によりその回転速度が制御可能となっている。
【0025】
基板1上部には、塗布液を吐出するノズル3と基板表面までの距離を測定する変位計4が取り付け板6に一体的に固定されてノズルユニットを形成している。ノズルユニットは、モーター71とボールネジ91を介して接続されており、モーター71を制御部8によって制御することにより昇降自在となっており、任意の高さにノズルユニットを設置することが可能である。又、ノズルユニットは、ガイドレール10に取り付けられており、図示しない移動機構により基板1上方を左右両方向に移動可能となっている。又、この移動機構も制御部8により制御され、ノズルユニットの移動速度と位置を制御することが可能である。
【0026】
ノズル3へは塗布液供給配管11を通じて定量ポンプ12からの塗布液が供給されるようになっている。定量ポンプのピストン部は、モーター72とボールネジ92を介して接合された、上下動部材13によって上下動させられる。モーター72は、制御部8によってその回転速度を制御可能であり、この機構により定量ポンプ12からの吐出速度は任意に制御することができるよう構成されている。
【0027】
本装置を用い、先ず、変位計4とノズル3の先端部のゼロ点を合わせておく。この状態で、基板1の所定の塗布範囲を走査し、基板1の表面までの距離を測定する。塗布を行う際には、各ポイントにおける測定距離に所望の距離を足した値がノズル3と基板1の表面間距離となる。
【0028】
(実施例1)
被塗布基板1として6インチのシリコンウエハをステージ2上に真空吸着して固定した。塗布液は、光硬化性のアクリル系樹脂、粘度約500mPa・sを使用した。ノズル3は先端内径がφ1mmのステンレス製ノズルを用いた。塗布エリアは基板中心から半径70mmの範囲とし、塗布後のウェット膜厚で125μmを目標値とした。基板回転数は240rpm固定、ノズル移動速度は2mm/sでノズルが1mm移動する間に基板が2回転する設定とし、基板1の中心で吐出速度9.2×10−3ml/minの吐出速度で0.5秒間吐出した後、ノズル3の移動を開始した。
【0029】
塗布中の吐出速度の設定を図6に示す。この設定は遠心力による基板上での塗布液の流れを補正し、均一な膜厚が得られるよう、吐出速度を制御したものである。
【0030】
塗布中のノズル3と基板1の表面との距離は、基板中心において目標膜厚と等しい125μmとし、塗布領域端である基板中心から70mmの位置で150μmとなるよう変化させた。基板中心から70mmの位置までのノズル3と基板1表面間距離の変化過程を図7に示す。塗布の過程においてノズル3への液の這い上がりは確認されなかった。又、塗布中の液の状態としてスピンコート法とは異なり、液が基板外に飛散することは勿論なかった。
【0031】
塗布後、レーザーフォーカス変位計(キーエンス社製 LT−8100)を用い、非接触でウェット状態の基板上の塗布膜厚を測定した結果を図8に示す。この図8から分かるように、ウエハの半径方向で膜端部5mmを除く範囲で膜厚分布が±3%と均一なものとなった。
【0032】
<比較例>
実施例1と全く同じ装置、ウエハ、塗布液、目標膜厚、手順、吐出速度分布で、ノズル3と基板1の表面との距離のみ目標膜厚と同じ125μmに固定して塗布を行った。
【0033】
塗布の過程において、ノズルが移動を開始した後、液がノズル3の先端部から3mm程度這い上がっている様子が目視で確認された。塗布後レーザーフォーカス変位計を用いて非接触でウェット状態の基板上の塗布膜厚を測定した結果を図9に示す。この結果を見ると、基板中心部こそ目標膜厚の125μmとなっているが、外側にいくに連れてノズル3側面に塗布液が這い上がり始め、膜厚は減少傾向を取るものと推察される。或る程度ノズル3に液が這い上がると、あたかも巨大な液溜りを形成したかのようになり、膜厚は増加傾向を示すものと推測する。このような現象が吐出速度の制御とは全く無関係に起こるため、膜厚分布を均一化することは非常に困難である。
【0034】
(実施例2)
被塗布基板1として3.5インチのポリカーボネート製で中心に約φ15mmの穴の開いたドーナツ状のディスク基板をステージ2上に真空吸着して固定した。塗布液は、光硬化性のアクリル系樹脂、粘度約500mPa・sを使用した。ノズル3は先端内径がφ1mmのステンレス製ノズルを用いた。塗布エリアは基板中心からの距離で19mm〜42mmの範囲とし、塗布後のウェット膜厚で65μmを目標値とした。基板回転数は240rpm固定、ノズル移動速度は2mm/sでノズルが1mm移動する間に基板が2回転する設定とし、基板3の回転を開始させた後に、塗布開始部である半径19mmの位置で吐出速度0.95ml/minの吐出速度で0.5秒間吐出させてからノズル3の移動を開始した。
【0035】
塗布中の吐出速度の設定を図10に示す。この設定は遠心力による基板上での塗布液の流れを補正し、均一な膜厚が得られるよう、吐出速度を制御したものである。
【0036】
塗布中のノズル3と基板1の表面との距離は、半径19mmの位置において73μmとし、塗布領域端である基板中心から42mmの位置で83μmとなるよう変化させた。塗布領域内におけるノズル3と基板1の表面間距離の変化過程を図11に示す。塗布の過程においてノズル3への液の這い上がりは確認されなかった。又、塗布中の液の状態としてスピンコート法とは異なり、液が基板外に飛散することは勿論なかった。
【0037】
塗布後、レーザーフォーカス変位計(キーエンス社製 LT−8100)を用いて非接触でウェット状態の基板上の塗布膜厚を測定した結果を図12に示す。この図12から分かるように、ディスク基板の半径方向で膜端部2mmを除く範囲で膜厚分布が±2%と均一なものとなった。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、円形及び環状に塗布膜を形成するに当たり、ノズルと基板間の距離を、遠心力の影響を受けて盛り上がった液膜端部の高さに合わせて設定することにより、塗布膜の膜厚制御性と膜厚均一性を失うことなく、塗布時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明した図である。
【図2】本発明の実施形態を説明した図である。
【図3】本発明に用いる塗布膜形成装置の概略図である。
【図4】従来技術の問題点を説明した図である。
【図5】従来技術の問題点を説明した図である。
【図6】本発明の実施例1を説明する図である。
【図7】本発明の実施例1を説明する図である。
【図8】本発明の実施例1の結果を説明する図である
【図9】本発明の比較例の結果を説明する図である
【図10】本発明の実施例2を説明する図である
【図11】本発明の実施例1を説明する図である
【図12】本発明の実施例1の結果を説明する図である
【符号の説明】
1 基板
2 ステージ
3 ノズル
4 変位計
5 回転機構
6 取り付け板
71 モーター
72 モーター
8 制御部
91 ボールネジ
92 ボールネジ
10 ガイドレール
11 塗布液供給配管
12 定量ポンプ
13 上下動部材

Claims (2)

  1. 基板を固定し回転させるテーブルと、先端から吐出される塗布液の吐出速度を制御可能なノズルを用いて、前記基板を回転させ且つ前記ノズルが前記基板の回転中心を通る直線上を移動しながら塗布液を吐出し、基板上に塗布膜を形成する塗布膜の形成方法において、
    前記ノズルの先端と前記基板との距離を、基板の回転による遠心力によって盛り上がった液膜端部の高さ以上とし、且つ、前記ノズル先端と前記液膜端部が乖離する距離未満とすることを特徴とする円形及び環状塗布膜の形成方法。
  2. 前記ノズルと前記基板との距離を前記ノズルの基板上での位置に応じて連続的に変化させ、基板回転中心において小さく、基板周縁において大きくすることを特徴とする請求項1記載の円形及び環状塗布膜の形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010113761A (ja) * 2008-11-06 2010-05-20 Fuji Electric Device Technology Co Ltd スピンコート方法、および、スピンコート装置の制御装置
JP2015213863A (ja) * 2014-05-09 2015-12-03 日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社 硬化膜製造方法
CN113731673A (zh) * 2020-05-29 2021-12-03 株式会社斯库林集团 周缘部涂布装置及周缘部涂布方法

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