JP2004358349A - 洗浄用電解水、洗浄用電解水の生成方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有隔膜電解の陽極室から得られる陽極水を中性に保って、陽極水を全量原水導入部側に循環させて原水と混合させ、これを2次原水として再度有隔膜電解槽にて電気分解させることができるようにする。
【解決手段】原水導入管2を通して送られて来る原水NWを一旦貯水槽1に入れた後、途中で炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加しながら加圧ポンプ6で有隔膜電解槽11に送り込んで電気分解する。電気分解によって陽極室11Bで生成された陽極水を、循環パイプ17で貯水槽1に送り戻して原水NWと混合し、2次原水として利用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械・金属・エレクトロニクスをはじめとする洗浄分野全般、特に工業部品洗浄及び食品加工工業に用いる洗浄水と、この洗浄水を製造する方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械・金属・エレクトロニクス分野では、それぞれの生産過程で様々な洗浄工程があるが、例えば、フロンやエタンなどの有機塩素化合物(揮発性有機化合物)は法規制により使用が禁止あるいは制限されており、短時間に高い清浄度が得られ、しかも生物や環境に安全である代替洗浄剤の開発が求められてきた。
【0003】
上記の有機塩素化合物に代って登場した炭化水素洗浄剤も代替洗浄剤のひとつだが、引火性や作業環境の面で問題をかかえている。また、近年、界面活性剤を用いた水系洗浄も注目を集め、用途に合せた工業用洗剤が市販され実用化が進んでいる。しかし、水系洗浄は洗浄効果を上げる為に界面活性剤等の薬品を使用するため、この界面活性剤を洗い流すリンス工程が必要となり、大量のリンス水が必要となる。界面活性剤は有機物であるため排水基準であるBOD.CODに該当し、排水基準を満たす為には排水処理設備を必要とする問題がある。
【0004】
更に、近年では工業用に限らず食品加工分野等においても環境保全に対する気運が高まっており環境に優しい洗浄剤の要求が高まっているのが現状である。
【0005】
一方、洗浄目的に電解水(特に陰極水)を使用することは、例えば本出願人によって提案された特許文献1に見られるように、近年広く知られており、電解質を添加してアルカリ性を有するいわゆるアルカリ性電解水を得る為には、有隔膜電解方式が一般的であると考えられている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−361253号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
問題点:1
一般に汚れ成分と考えられている油脂や粒子汚れは、その特性からアルカリ性域の水溶液中で洗浄することが良いとされている。水溶液をアルカリ性にする為には、有隔膜電気分解による方法が一般的である。有隔膜電解とは一対の電極に直流を印加し、電極の間を隔膜で仕切ることで、陰極室中の水溶液がアルカリ性を示し、陽極室中の水溶液が酸性水を示す方式である。
【0008】
図3は、上記有隔膜電気分解方式を取り入れた従来の電解装置の一例を示した構成図で、図中、Aは原水導入パイプ、Bはナトリウム化合物やカリウム化合物等の電解質添加剤を収容したタンク、CとDは原水に対して電解質添加剤を添加するためのパイプとポンプ、Eは電解槽、E′は隔膜、FAとGAは隔膜E′によって仕切られた陰極室と陽極室、FとGは陰極と陽極の各電極、HとKは電解陰極水(アルカリ性水)と電解陽極水(酸性水)の各出水パイプを示す。
【0009】
以上の如く構成した電解装置によって生成される生成水のうち、各種の洗浄には前述の通りアルカリ性水を使用するが、陽極室GAに生成される酸性水は廃棄することが通常である。陽極室GAに生成される酸性水は、陰極室FAに生成されるアルカリ性水と等量であることが構造上多く見られ、その結果、廃棄する電解水の処理が問題となることが多い。
【0010】
問題点:2
前述した陽極室GAから酸性水を排出しない方法として、苛性ソーダの製法に見られる陽イオン交換膜による電解法が産業界においては良く知られている。この手法では陽極室GA側は閉鎖系路となるため、電解質の補給のみで済み、酸性廃液が出ないことが利点となる。
【0011】
図4は上記苛性ソーダの製造に用いる陽イオン交換膜を用いた電解装置の一例を示した構成図で、図中、Sは前述した酸性水の出水パイプKに設けた電解質添加室、S′は電解室添加剤を収めたタンク、PとVはその供給ポンプとパイプで、出水パイプKから出水される低濃度電解質を含んだ酸性水は、上記添加室Sで電解質が補充供給された状態、即ち、高濃度電解質を含んだ状態に成って、還元パイプKAを通って電解槽Eに循環される。
尚、図4において図3に示したものと同じ部材は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0012】
しかし、この手法を一般工業用に用いる際には、幾つかの問題がある。1つとしては原水の硬度成分に由来する問題が発生することである。一般に水道水を電気分解する場合には、原水の硬度成分が陰極室特に陰極電極に積層することを防ぐため“洗浄”と呼ばれる行為を行うことが常である。洗浄に有効な方策としては、通常陰極室として使用している電解室を陽極室として使用することにより、逆電圧が印加されるという手法がある。この方法を作用するためには陰極室FAと陽極室GAを対称形状にすることが必須である。上記陽イオン交換膜を使用する方式では、陽極室GAと陰極室FAの水経路を含めた構造が全く異なる構成となるため、逆電解による洗浄が構造上困難であり、原水を純水に規定する方法や対極水の混入を覚悟で逆電解を行うこと位しか手法がない。この様な理由から業務用を含めた一般目的においては陽イオン交換膜による電解法は普及していないのが現状である。
【0013】
また、2つ目の問題として陽極室GAの性状が安定しないという問題がある。陽極室GA側は閉鎖経路となるため、電気分解を継続的に進めていくと、陽極室GAの性状も変化は当然進んでいく。このような状態になると、陽極室GAに封鎖された電解原液を交換するか、適正な値にするために原水及び電解質を適量追加する必要がある。しかしこの適量を判断するためには、電気伝導度やpH、必要に応じて濃度計測が必須となり、制御は大変難しく高価な装置になることが予想される。
【0014】
考察を進めていくと、有隔膜電解の陽極室GAから得られる酸性水を全量原水導入管Aに戻し、再度有隔膜電解槽Eにて電解させることが可能であれば、問題解決に繋がるという推論が成り立つ。
しかし、従来からの技術を継承し安定した電気分解を行うためには、原水の水質を一定且つ水道水に近い性状に保持することが重要である。水道水の水質に類似させるにはpHを中性に保つことが必要であり、そのためには陽極水を中性に保つ技術が重要である。
【0015】
一般的に用いられる電解質に塩化ナトリウムがある。これを用いて電気分解した場合、陰極側には苛性ソーダ(強アルカリ性物質)が生成され、陽極側には塩酸(強酸性物質)が生成することが良く知られている。硫酸ナトリウム等の電気分解においては陽極側に硫酸(強酸性物質)が生成され、他に電解質として選定可能である硝酸等も酸性物質であるために陽極側は酸性となる。
一方、珪酸ナトリウム等の強アルカリ物質を有隔膜電気分解することで、陽極質の酸性化は防ぐことができる。しかしこの際は陽極室が強いアルカリ性を示し中性に保つことは不可能である。
【0016】
従って本発明の技術的課題は、有隔膜電解の陽極室から得られる陽極水を中性に保って、陽極水を全量原水導入部側に循環させて原水と混合させ、これを2次原水として再度有隔膜電解槽にて電気分解させることができるようにすることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明に係る洗浄用電解水は、前記請求項1に記載の如く、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加して、電気伝導度が10〜120mS/mになるように調整した原水を、陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解することにより、陰極側に生成される洗浄水用アルカリ性電解水であって、このアルカリ性電解水のpHが10〜12で、溶存水素濃度が0.3〜1.1mg/lであることを特徴としている。
【0018】
(2) また、本発明に係る洗浄用電解水の生成方法は、前記請求項2に記載の如く、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加して、電気伝導度が10〜120mS/mになるように調整した原水を、陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解すると共に、陽極側に生成される陽極水を原水と混合させて2次原水と成し、この2次原水を上記電解槽に入れて再び電気分解することを特徴としている。
【0019】
(3) 更に本発明に係る洗浄用電解水の生成方法では、前記請求項3に記載の如く、陽極水と原水とを混合させた2次原水のpHが、6〜8であることを特徴としている。
【0020】
(4) また、本発明に係る洗浄用電解水の生成装置では、前記請求項4に記載の如く、貯水槽から供給されて来る原水に対して炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加し、この原水を陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解し、陰極側に洗浄用アルカリ性電解水を生成する洗浄用電解水の生成装置であって、貯水槽に送り込まれた原水を電解槽に送る送水手段と、陽極側で生成された陽極水を貯水槽に送り戻す循環手段と、貯水槽の貯水量を検知する水位検知手段と、水位検知手段の検知に基づいて貯水槽の貯水量を所定量に維持する原水補充手段とを備えて成ることを特徴としている。
【0021】
(5) 更に本発明に係る洗浄用電解水の生成装置では、前記請求項5に記載の如く、原水を貯水槽に導入する導入管に、前記水位検知手段が検知した貯水槽の貯水量に基づいて、前記電解槽の陽極側から送り戻されて来る陽極水と同じ量の原水を上記貯水槽に補充する原水補充バルブを設けたことを特徴としている。
【0022】
鋭意研究を重ねた結果、前記(1)〜(4)に見られるように、電解質に炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを用いて有隔膜電気分解した場合、陰極側には苛性ソーダ又は苛性カリが生成されるため、前記(1)で述べたように強アルカリ性を示し、洗浄力を有する生成水が得られる。その結果、陽極側には塩化ナトリウム電解の時のような強酸性物質は生成せず、水の電気分解で発生した酸と炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが中和し、結果的に中和されないで残った炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの濃度でpHが決まり、そのpHは中性付近となり、水道水に類似した性状を持つことが判明した。以下の表1に示したデータ1は各電解質による陰極室と陽極室におけるpHを示したものである。
【表1】
Figure 2004358349
【0023】
炭酸は、pHに対する緩衝作用が大きいことが一般に知られている。アルカリ性である炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを電解質として用い、適正な条件にて有隔膜電気分解を行うことにより、陽極側で生成する酸と、陽極側に残存する炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ性物質がバランスを保ち、水溶液を中性付近に調整することが可能である。
【0024】
炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを電気分解した場合、陽極側及び陰極側で生じる反応は以下の式で表される。(M=Na又はK)
<電解前の水溶液>
M2CO3←→2M(+)+CO3(2−)・・・(1)
H2O→2H(+)+OH(−)・・・(2)
M2CO3水溶液は、アルカリ性を示す。
<電解後の陰極側>
M(+)+OH(−)→MOH・・・(3)
(3)式より、陰極側には強アルカリ性のMOHが生成するため、pHは電解前水溶液よりも強いアルカリ性を示すことが判る。
<電解後の陽極側>
CO3(2−)+2H(+)→H2CO3(−)・・・(4)
【0025】
(4)式より、陽極側では、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムと水の電気分解で発生した酸が中和する。よって、陽極側のpHはM2CO3の濃度が低下することによりpHは電解前水溶液よりも低くなり、中性付近となる。
【0026】
上記の手段により、アルカリ物質であるM2CO3と水の電気分解で発生する酸が中和されることで陽極水が中性を保つことが判った。水の電気分解で発生する酸により強酸性に傾くことは無いが、M2CO3の場合は元がアルカリ性物質であるため、過剰投入は陽極水の中性化を阻害する要因となる。
【0027】
更に研究を重ねた結果、前記の手段(1),(2)に見られるように電気伝導度を10〜120mS/m以下とすることで、陽極水のpHを中性化することが可能となった。以下の表2に示したデータ2は、電気伝導度と陽極水pHの関係を示したもので、図2はその関係をグラフに示したものである。
【表2】
Figure 2004358349
【0028】
また、前述の手段により、電解質には炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを用いて所定の電気分解条件にて電気分解することで、陽極室のpHを6〜8に調整し水道水に近い性状が得られることが判った。有隔膜電気分解においては、陰極水と陽極水の比率を通常1:1若しくは必要極性水の水量を適時増加させて使用することが良く行われる。いずれの比率にも関わらず、有隔膜電解の場合は原水を2室に分岐させ運用する構造から、陽極水量+陰極水量=原水量であることには変り無い。陽極水の水量に関わらず原水量の流入を適正に保つ手法を鋭意研究した結果、後述の方法が適当であるとの結論に至った。
【0029】
即ち、前記(4),(5)で述べたように、原水導入部に貯水槽を設け、貯水された水を加圧ポンプ等から成る加圧送水手段によって圧送する構造を前提とする。この貯水槽の水位は常に一定である必要があり、原水流入口に設けられる止水弁とリンクしたフロート弁による機械的な制御方法や、水位を電気信号に置き換えることで原水流入部に設けた電磁バルブを開閉させる電気的な制御方法等から成る水位検知手段と、原水補充手段によって水位を一定に維持する。
【0030】
その結果、有隔膜電解槽から流出する陰陽極水の比率が不変であるとした場合、この貯水槽に陽極水を全量混合させることで、貯水槽から加圧ポンプを通って電解水生成装置に行く全電解流量の増減に関わらず、貯水槽内の原水と陽極水の混合量を一定し制御することができる。
【0031】
上記の貯水槽には、電解質に炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを用いて電気分解した場合に、陽極側に生成する中性付近の水溶液と1次原水である水道水を容積比で等量混合させたものを2次原水として使用する。つまり、2次原水は陽極側生成水を水道水で2倍希釈する。陽極側生成水はpH6〜8の中性付近であり、また水道水で希釈した場合でもpHはほとんど変化しない。
【0032】
一方、陽極側生成水と水道水を容積比で等量混合させた2次原水は、陽極側生成水とほぼ同じであり、pHは中性付近(pH6〜8)となる。これはpHがpH=−log[H(+)]で規定されることからも判る通り、等量混合において互いに中性付近となるpHの混合中性原理を応用したものである。尚、貯水槽内の電解質濃度については、前述の等量混合で記述した通り、陰極水と陽極水の比率が不変である限りにおいて濃度は一定となる。
【0033】
また、副次的な要素として、上記の様に原水導入部に貯水槽と加圧ポンプ等から成る加圧送水手段を設けることは、原水流量の安定供給に寄与することとなる。原水水道水とした場合、電解水生成装置にとって常に問題となるのは水道圧力の変化である。水道圧力は水道法により規定されているが可変幅が大きく、例えば複数の蛇口を互いに開閉した際に、使用水量が隣接した蛇口の開閉と相関することが良く知られている。この様な水道状況において、電解水生成装置に流入する原水量を一定化することは甚だ難しく、調圧弁等の付帯設備によって多少の緩和を得ているのが実状である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、上述した本発明の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明に係る洗浄水用電解生成装置の一例を示した構成図であって、図中、1は原水導入管2より導入されてくる原水(水道水等)を貯溜する貯水槽、3は原水導入管2に取付けた電磁バルブの如き原水補充バルブ、4は貯水槽1内の水量(水位)を検出するフロートスイッチの如き水位検知器で、水位検知器4が検知した水位を電気信号に置き換える電気的な制御方法を用いることで、上記原水補充バルブ3を開閉制御して、貯水槽1に貯水された1次原水又は2次原水NWの水位を常に一定に維持する仕組に成っている。
【0035】
尚、上記水位の保持は、原水流入口に設けられた止水弁とリンクしたフロート弁による機械的な制御方法によっても可能であって、これ等制御方法の選択は任意とする。
【0036】
6は汲み上げパイプ5を通して汲み上げた貯水槽1内の原水NWを、給水パイプ10を通して電解槽11に加圧送水する加圧ポンプ、7は炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムから成る電解質添加剤を収容したタンク、9はタンク7内の電解質添加剤を、添加パイプ8を通して上記給水パイプ10内を流れる原水NWに添加することにより、原水NWの電気伝導度が10〜120mS/mになるように調整する電解質添加ポンプを示す。
【0037】
更に図中、14は電解槽11の内部を陰極室11Aと陽極室11Bに仕切る隔膜、12と13は陰極と陽極の各電極、15,16は電気分解によって陰極室11Aで生成されたアルカリ性電解水(陰極水)と、陽極室11Bで生成された酸性水(陽極水)を取り出す送水パイプ、15Aと16Aはこれ等各パイプ15,16に取付けた切換バルブ、17は陽極水の送水パイプ16に連結した循環パイプで、陽極室11Bで生成された陽極水は、この循環パイプ17を通って上述した貯水槽1に送り戻されて、原水と混合される。上記の電気分解に必要な電気量は0.2〜1.2クローンであり、電気分解に比な電流密度は0.2〜8A/dm2であり、電解槽11内の流速は20〜250cm/minとする。
【0038】
尚、上記陰極室11Aで生成されるアルカリ性電解水のpHは10〜12であり、溶存水素濃度は0.3〜1.1mg/lに調整されている。また、上記陽極室11Bで生成される陽極水のpHは、中性付近の6〜8に調整されていて、そのまま貯水槽1に送り戻して原水と混合することによって、2次原水として使用可能であることは前述した通りである。
【0039】
また、上記各送水パイプ15,16に取付けた切換バルブ15A,16Aは、陰極室11Aと陽極室11Bで生成された各生成水を、反対側の送水パイプ15,16に送り込んでスケール(原水の硬度成分)を洗浄する場合や、通常陰極室として使用している電解室を陽極室として使用して逆電圧を印加し、各電解室11A,11Bで生成された生成水で上記スケールを洗浄する場合に、各送水パイプ15,16の通路を交互に切換えることを可能にしている。
【0040】
<アルカリ濃度について>
アルカリ性電解水の洗浄力は、その中に含まれるアルカリ成分(NaOHおよびKOH)の濃度で規定し、アルカリ成分の濃度をアルカリ濃度と呼ぶ。又、アルカリ濃度は酸を用いて算出することができる。又、アルカリ濃度は机上計算によりpHから算出できることが可能である。アルカリ濃度はpHとある程度の相関性のあることが前記特許文献1により判っている。
【0041】
電解質に炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを用いて電気分解した場合に、陰極側に生成する水溶液(陰極側生成水)は、生成したアルカリ成分と電気分解されずに残った電解質が存在する。陰極側生成水のアルカリ濃度を用いて算出しようと試みると、アルカリ成分由来の[OH(−)]以外に、炭酸由来の[OH(−)]を算出するため、本来のアルカリ濃度を求めることができない。
MOH→M(+)+OH(−)
CO3(2−)+H2O←→HCO3(2−)+OH(−)
アルカリ濃度を直接算出するには、上記の理由により水溶液中に溶解した炭酸ガスを除去する必要がある。しかし、炭酸を除去することは困難であり、簡易的な方法による実アルカリ濃度の算出は大変困難である。そこで別の角度から濃度が適切であるかを検証することとした。
【0042】
<pH希釈による確認>
炭酸は高濃度であることによりpHに影響を及ぼすことが判っている。そこで、本発明の手法によって得られた陰極水Aと通常の電解方法で生成した陰極水Bを夫々10倍希釈し、pHの比較を行った。A/Bそれぞれに指示pHに見合った濃度のアルカリ性物質が混入しているとした場合、希釈することでA/B夫々の濃度に見合ったpHとなることが予想される。しかし結果はpHが約9.9とほぼ同じになった。このことは希釈により炭酸の濃度が下がったため、pHが本来の値を示したことの裏付けとなる。以下の表3に示されているデータ3は、上記希釈による確認の結果を表にしたものである。
【表3】
Figure 2004358349
【0043】
<洗浄力>
上述した希釈による確認によって、アルカリ濃度が通常電解と遜色無いという確認が取れたが、更なる確証を得るため、実洗浄試験を行うことにより同一の能力を有することを確認した。
実洗浄試験はSUS製の試験片に75%鉱物油を一定量塗布し、同一条件の超音波洗浄装置にて洗浄し、残った残量をHORIBA油分測定器(OCMA−300)にて確認した。
本発明の手法で得られた陰極水Aと通常の電解方法で生成した陰極水Bを比較した場合、明らかな有意差は見られず、同一の洗浄力であることが判った。尚、薬品でBと同じpHに調整したKOH水溶液の洗浄力を同時比較したが明らかに劣る結果となったため、更なる確証を得るに至った。
以下の表4に示されているデータ4は、上記鉱物油における洗浄比較の結果を表にしたものである。
【表4】
Figure 2004358349
【0044】
原水に炭酸を多く含む水溶液を電気分解した場合に生成する陰極水のpHは、炭酸を含まない水溶液を原水として、同一条件で電気分解した場合よりもpHは低くなる。(同一条件とは、原水の性状(炭酸ガスの有無)以外の電解質の種類や電気的条件を指す。)これは[H(+)]の影響によるものであり、アルカリ成分の濃度には関係しないものである。これは、同一条件で電気分解した場合は、原水の炭酸の濃度に関係なく、生成物の量は一定となるためであり、前記特許文献1との記述とも合致する。
【0045】
<溶存水素量>
有隔膜電気分解によって陰極側から水素が発生することは一般的に良く知られており、本出願人による特願2002−155006では、アルカリ性電解水中の適正な溶存水素について記述している。電解質に炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを用いて、有隔膜電気分解した場合の溶存水素濃度は前述出願のデータと照らし合わせても適正な数値である。又、陽極側を原水に戻した実施例でのデータにおいても殆ど差異が無いことから、これらの方法によって得られた陰極水は適正な洗浄力を有しているという判断ができる。
以下の表5に示されてるデータ5は、炭酸カリウムにおける溶存水素量を表にしたものである。
【表5】
Figure 2004358349
【0046】
<陽イオン交換樹脂の有無と配列>
陽イオン交換樹脂を電解の前段又は後段に設けることが、洗浄に有利であることは、本出願人による特願2001−298996において実証されている。陽イオン交換樹脂は原水(水道水)中の硬度成分を取り除き、生成するアルカリ性電解水に高い洗浄力を持たせることができる。陽イオン交換樹脂は原水(水道水)の硬度成分を取り除くことに主眼をおくので、電解装置の前に配置することが通常である。本発明の場合、陽イオン交換樹脂を通過した原水を貯水槽1に導入させ、貯水槽1内で陽極側生成水と混合することを通常としている。また、陽極側生成水と原水を貯水槽1で混合後、陽イオン交換樹脂を通過してから有隔膜電解槽に導入した場合においても、性状については前後の差は無い。
【0047】
<電解条件>
前記特許文献1によれば、洗浄力を有するアルカリ性電解水は、アルカリ濃度を0.003mol/l〜0.02mol/lにアルカリ比を0.3〜0.05の範囲内であるとしている。また、本出願人による特願2002−155006によれば、洗浄力を有するアルカリ性電解水はpHが10〜12.5で、溶存水素濃度が0.3〜1.85mg/lであるとしている。これらの条件は、今回の手法を用いた場合でも同様であるため、電解条件については同一を基本とする。但し電気伝導度については、下限10mS/mは洗浄水としての性能を有する値として有効であるが、上限については前記方法輸送2に示したデータ2に基づき120mS/mとする。
【0048】
【発明の効果】
以上述べた次第で、本発明に係る洗浄用電解水、洗浄用電解水の生成方法及びその装置によれば、陰極側からは洗浄に適したアルカリ性電解水(陰極水)が生成され、陽極側からはほぼ中性に近い陽極水が生成されるため、陽極水を棄てることなくそのまま再利用することができ、また、生成された陽極水を再び原水に戻して再利用することで、洗浄用に供したアルカリ性電解水の量だけ原水を補充するだけで済むため、全体として水の節約に役立つと共に、面倒な陽極水の廃棄処理の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る洗浄用電解水生成装置の全体を説明した構成図。
【図2】電気伝導度とpHの関係をグラフにして説明した説明図。
【図3】従来の電解水生成装置の構成を説明した構成図。
【図4】従来の苛性ソーダ用電解生成装置の構成を説明した構成図。
【符号の説明】
NW 原水
1 貯水槽
2 原水導入管
3 原水補充バルブ
4 水位検知器
6 加圧ポンプ
7 電解質添加剤タンク
9 添加ポンプ
11 電解槽
11A 陰極室
11B 陽極室
12,13 送水パイプ
14 隔膜
17 循環パイプ

Claims (5)

  1. 炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加して、電気伝導度が10〜120mS/mになるように調整した原水を、陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解することにより、陰極側に生成される洗浄水用アルカリ性電解水であって、
    このアルカリ性電解水のpHが10〜12で、溶存水素濃度が0.3〜1.1mg/lであることを特徴とする洗浄用電解水。
  2. 炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加して、電気伝導度が10〜120mS/mになるように調整した原水を、陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解すると共に、陽極側に生成される陽極水を原水と混合させて2次原水と成し、この2次原水を上記電解槽に入れて再び電気分解することを特徴とする洗浄用電解水の生成方法。
  3. 陽極水と原水とを混合させた2次原水のpHが、6〜8であることを特徴とする請求項2に記載の洗浄用電解水の生成方法。
  4. 貯水槽から供給されて来る原水に対して炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを添加し、この原水を陽陰両極間に隔膜が存在する有隔膜電解槽に入れて電気分解し、陰極側に洗浄用アルカリ性電解水を生成する洗浄用電解水の生成装置であって、
    貯水槽に送り込まれた原水を電解槽に送る送水手段と、陽極側で生成された陽極水を貯水槽に送り戻す循環手段と、貯水槽の貯水量を検知する水位検知手段と、水位検知手段の検知に基づいて貯水槽の貯水量を所定量に維持する原水補充手段とを備えて成ることを特徴とする洗浄用電解水の生成装置。
  5. 原水を貯水槽に導入する導入管に、前記水位検知手段が検知した貯水槽の貯水量に基づいて、前記電解槽の陽極側から送り戻されて来る陽極水と同じ量の原水を上記貯水槽に補充する原水補充バルブを設けたことを特徴とする請求項4に記載の洗浄用電解水の生成装置。
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