JP2004356470A - 半導体多波長光源および多波長変調光発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の波長光を同時に発生できるコンパクトな半導体多波長光源を実現する。
【解決手段】DBRレーザは、活性領域201の両側に曲がり導波路領域102,106を配置して構成されている。DBRレーザの出力は、多モード干渉結合器104及び光出力用導波路107を介して出力される。曲がり導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一で、各導波路の1周期の光路長は所定光周波数ずれるように設計されている。また、曲がり導波路領域102,106には円弧状に回折格子2が形成されており、回折格子2のピッチは曲がり導波路の半径に比例して増加するようになっている。これにより、発振波長(光周波数)間隔が一定となっている複数波長の光を発生することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】DBRレーザは、活性領域201の両側に曲がり導波路領域102,106を配置して構成されている。DBRレーザの出力は、多モード干渉結合器104及び光出力用導波路107を介して出力される。曲がり導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一で、各導波路の1周期の光路長は所定光周波数ずれるように設計されている。また、曲がり導波路領域102,106には円弧状に回折格子2が形成されており、回折格子2のピッチは曲がり導波路の半径に比例して増加するようになっている。これにより、発振波長(光周波数)間隔が一定となっている複数波長の光を発生することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体レーザにおいて、光出力スペクトル上に等光周波数間隔に並んだ複数の基線スペクトル(発振モード)を有する半導体多波長光源および多波長変調光発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野では波長多重光通信システムが実用化されているが、そのチャンネル間光周波数間隔は25GHzを最小グリッド間隔としたチャンネル配置が用いられている。現在実用的な最低光周波数間隔として100GHz間隔のグリッドが用いられている。実用システムでは光周波数間隔が100GHzとなる単一モード半導体レーザを必要なチャンネル数搭載した装置が用いられており、システムが煩雑なものとなっている。システム、装置の簡素化のためにも複数の波長光を同時に発生できるコンパクトな多波長光源の実現が切望されていた。
【0003】
光出力スペクトル上に等光周波数間隔に並んだ複数の基線スペクトル(発振モード)を発生するコンパクトな半導体多波長光源としては、共振器の光往復時間に起因した光周波数間隔で複数のモードを発振する半導体モードロックレーザがある。半導体モードロックレーザを用いれば1台の光源から一定の光周波数間隔の複数チャンネルの信号光を発生することが可能である。
【0004】
共振器長を所望の光周波数間隔の複数モードが発生するよう設計したファブリペロレーザの共振器内に過飽和吸収領域をもうけた受動モードロックレーザ、あるいは共振器内に高速変調器を集積した能動モードロックレーザ(例えば、佐藤他 IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol. 5, No. 3, pp. 590−595, 1999)により、図1に模式的に表したように広い波長領域で一定の光周波数間隔の複数チャンネルの信号光を発生することが可能である。但し本光源からの出力光は時間軸上では当該周波数を繰り返し周波数としたパルス形状をしている。
【0005】
複数の等光周波数間隔のDC光として使用するためには各モード間の相関を除去する必要があり、個々のモードを、例えばアレイ導波路回折格子フィルタのような光フィルタにより切り出すことが必要である(例えば、八坂他 “Multiwavelength light source with precise frequency spacing using mode−locked semiconductor laser and arrayed waveguide grating filter. ”,OFC ’96, Technical Digest, FB3, 1996)。
【0006】
また、現状のシステムでは膨大な数のDC光を発生する光源があっても、それらにデジタル信号を重畳する手段を具備する必要性から、必要とされるチャンネル数としては8〜16チャンネル程度が現実的であり、冗長なチャンネルは不必要であった。
【0007】
さらに、複数の波長光を発生する光源として複数のDFBレーザを同一半導体基板へ作製し、光結合器により単一の光導波路から光出力を取り出せる構成の波長選択型可変波長光源も実現されている(例えば、H. Oohashi, Y. Shibata, H. Ishii, Y. Kawaguchi, Y. Kondo, Y. Yoshikuni, and Y. Tohmori, “46.9−nm Wavelength−Selectable Arrayed DFB Lasers with Integrated MMI Coupler and SOA, ”IPRM ’01, Nara, Japan, FB1, pp. 575−578, May 2001.)。
【0008】
【非特許文献1】
佐藤他 IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol. 5, No. 3, pp. 590−595, 1999
【非特許文献2】
八坂他 “Multiwavelength light source with precise frequency spacing using mode−locked semiconductor laser and arrayed waveguide grating filter. ”,OFC ’96, Technical Digest, FB3, 1996
【非特許文献3】
H. Oohashi, Y. Shibata, H. Ishii, Y. Kawaguchi, Y. Kondo, Y. Yoshikuni, and Y. Tohmori, “46.9−nm Wavelength−Selectable Arrayed DFB Lasers with Integrated MMI Coupler and SOA, ”IPRM ’01, Nara, Japan, FB1, pp. 575−578, May 2001.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各モードを切り出す場合に単一波長のみを選択的に透過する光フィルタを用いようとするとモードの数だけフィルタが必要となりシステムが煩雑になってしまい実用的ではない。本目的には、1台で複数の波長を切り出すことの可能なアレイ導波路回折格子フィルタが有益である。この構成を図2に模式的に表す。各モードの波長(光周波数)に従って異なるポートから各モードを取り出すことが可能である。
【0010】
しかし、アレイ導波路回折格子フィルタで半導体モードロックレーザの個々のモードを切り出そうとした場合、以下のような問題点があった。
(1)半導体モードロックレーザからの光出力には、数十のモードが含まれており、広い光周波数(波長)範囲にスペクトルが広がっている。
(2)アレイ導波路回折格子には透過特性の周期性があり、例えば図3に示したように、光出力ポートが16チャンネルのフィルタの場合、17チャンネル目以降の光周波数信号はまたポート1から16までの出力端から出力されてしまう。例えばチャンネル1,17,33のモードは同じポート1から出力されてしまう。これを防ぐにはアレイ導波路回折格子フィルタの出力ポート数を増やす必要があるが、コストの増加につながってしまう。
(3)このことにより半導体モードロックレーザからの光出力スペクトル中のモード数を実用的な見地から8〜16個、多くても32個程度に制限する必要がある。
【0011】
また、半導体モードロックレーザにおいては、数多くのモードを発生することは可能なものの、1つ1つのモードの光強度は−10dBm程度であり、素子単体で光源として用いるには光強度が不足するという問題点があった。
【0012】
さらに、波長選択型可変波長光源においては発振波長の精度は製造されたDFBレーザの回折格子の光学的なピッチで決まり、製造上のばらつきにより、個々のDFBレーザの回折格子の光学的なピッチは素子内でばらつき、等光周波数間隔での複数信号光発生は困難であった。
【0013】
また、各DFBレーザに異なったピッチの回折格子を形成する必要があり、レーザ共振器は十分離して(数十μm程度以上)作製する必要があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、内部に発振波長を決定するための回折格子をもうけた複数のリング共振器型半導体レーザを同一基板上に作製し、その出力を混合するための手段をもうけ、複数のレーザからの出力が相互に干渉しあうことのできる構成を取るレーザを実現した。本レーザの曲り導波路部分には回折格子が形成されているが、その曲りを円弧とし、その中心を同一のものとし、回折格子をその半径方向に作製することで、各リング型レーザの発振波長(光周波数)差を一定にすることが簡単にできた。また各レーザの発振光を混合し再度レーザへ戻すことにより、各レーザの発振波長(光周波数)差を一定にすることが可能となった。
また、発生するチャンネル(波長)数は、リングの本数で決定されるため、必要なチャンネル数のリング共振器型レーザを集積することでチャンネル数の設定ができた。
以上記載したように、本構成の半導体レーザで、発振波長(光周波数)間隔一定な複数の波長を発生できる半導体多波長光源が実現できた。
【0015】
また上記課題を解決するために、本発明では、内部に発振波長を決定するための回折格子をもうけた複数の半導体レーザを近接して同一基板上に作製し、複数のレーザからの出力が相互に干渉しあうことのできる構成を有するレーザを実現した。本レーザの活性領域導波路には回折格子が形成されているが、その活性領域導波路を円弧とし、その中心を同一のものとし、回折格子をその半径方向に作製することで、各円弧状活性導波路を有するレーザの発振波長(光周波数)差をほぼ一定にすることが簡単にできた。また各レーザが近接して作製されていることより個々のレーザの出力光は共振器を進むうちに隣接レーザへ結合し、活性領域内で非線形相互作用(四光波混合)を誘起することにより光周波数間隔が一定となるように自己調整され、各レーザの発振波長(光周波数)差を一定とすることが可能となった。
また、発生するチャンネル(波長)数は、レーザ共振器の本数で決定されるため、必要なチャンネル数のレーザ共振器を集積することでチャンネル数の設定ができた。
以上記載したように、本構成の半導体レーザで、発振波長(光周波数)間隔一定な複数の波長を発生できる半導体多波長光源が実現できた。
【0016】
更に上記課題を解決するために、本発明は、上記半導体多波長光源を含む多波長変調光発生装置において、複数のレーザ共振器と、複数の前記レーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器と、多重化された光出力を波長毎に分波する機能をもつ第1のアレイ導波路回折格子と、波長毎に分波された光を変調する個別光変調器群もしくは光変調器アレイと、波長毎に分波された光出力を再び多重化して単一の光出力用導波路に出力する機能をもつ第2のアレイ導波路回折格子とで、構成されることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
[第1の実施例]
図4に本発明の第1の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をするが、チャンネル数を変更しても本原理による光源は実現可能である。このことは以下の実施例でも同様である。
【0019】
本実施例による光源は、活性領域201、回折格子を有する曲り導波路領域(回折格子領域)102と106、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲り導波路領域102、106を結合する直線導波路領域103、105、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して活性領域201へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0020】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0021】
本実施例による光源は、活性領域201の両側に回折格子領域102及び106を形成した分布反射鏡型半導体レーザ(DBRレーザ)となっている。活性領域201と回折格子領域102及び106は素子分離溝310により電気的に分離され、活性領域201への注入電流は回折格子領域102及び106へは注入されない構造となっている。
【0022】
活性領域201のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0023】
曲り導波路領域のA−A′での断面図を図5に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.3μm−InGaAsP光導波路層112が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。
【0024】
また、D−D′の断面図を図8に示すが、各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層112はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0025】
曲り導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域102,106に形成する回折格子2は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子2のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0026】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線導波路領域103(105)の各導波路からの光出力が直線導波路領域105(103)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0027】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0028】
なお、InGaAsPの前に示したバンド端波長(例えば“1.55μm−InGaAsP”の表現の“1.55μm”の部分)は、In1−xGaxAsyP1−yで表した場合の、InとGaの組成比(1−x:x)、及びAsとPの組成比(y:1−y)で決まり、InPに格子整合したIn1−xGaxAsyP1−yの場合にはバンド短波長λは組成比を調整することによって以下のように制御できる。このことは、以下の実施例でも同様である。
【0029】
λ≒Eg/hc
Eg=1.35−0.72y+0.12y2
x≒0.467y
【0030】
また、本実施例では曲り導波路領域102及び106の全体にわたって回折格子2を設けた構造について説明したが、曲り導波路領域102,106の一部に回折格子2を具備するだけでも本原理による光源は実現できる。このことは以下の実施例でも同様である。
【0031】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長の絶対値を正確に設定できる。また光結合器が多モード干渉結合器104であるため、全チャンネルの光出力を一定にできる。
【0032】
[第2の実施例]
図9に本発明の第2の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0033】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲り導波路領域(回折格子領域)102と106、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲り導波路領域102、106を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して活性領域201へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0034】
光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0035】
本実施例による光源は、活性領域201の両側に回折格子領域102及び106を形成した分布反射鏡型半導体レーザ(DBRレーザ)となっている。活性領域201と回折格子領域102及び106は素子分離溝310により電気的に分離され、活性領域201への注入電流は回折格子領域102及び106へは注入されない構造となっている。
【0036】
活性領域のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0037】
曲り導波路領域102,106のA−A′での断面図を図5に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.3μm−InGaAsP光導波路層112が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。
【0038】
また、D−D′の断面図を図8に示すが、各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層112はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0039】
曲り導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域102,106に形成する回折格子2は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子2のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0040】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路層112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0041】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0042】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長の絶対値を正確に設定できる。また光結合器が方向性結合器(方向性結合器型光干渉領域204)であるため、簡単に作製できる。
【0043】
[第3の実施例]
図11に本発明の第3の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0044】
本実施例による光源は直線導波路領域101、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲線活性領域202、206を結合する直線導波路領域103、105、及び光出力用導波路107より構成されている。曲線活性領域202及び206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して曲線活性領域202及び206へ電流を注入することにより当該領域202,206での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0045】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0046】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206を直線導波路領域101で結合した分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202及び206と直線導波路領域101、103及び105は素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202及び206への注入電流は、直線導波路領域101、103及び105へは注入されない構造となっている。
【0047】
直線導波路領域101のF−F′での断面構造図を図12に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.3μm−InGaAsP光導波路層112、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は光閉じ込め層116により分離されている。この構造により当該領域101の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0048】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、n−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0049】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。また当該領域202の導波路は、発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0050】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0051】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線導波路領域103(105)の各導波路からの光出力が直線導波路領域105(103)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光を加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0052】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0053】
なお、本実施例では曲線活性領域202及び206の全体にわたって回折格子2を設けた構造について説明したが、領域202,206の一部に回折格子2を具備するだけでも本原理による光源は実現できる。このことは以下の実施例でも同様である。
【0054】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長間隔を正確に設定できる。また光結合器が多モード干渉結合器104であるため、全チャンネルの光出力を一定にできる。
【0055】
[第4の実施例]
図15に本発明の第4の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0056】
本実施例による光源は直線導波路領域101、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲線活性領域202,206を結合する曲り導波路領域203,205、及び光出力用導波路107より構成されている。曲線活性領域202及び206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して曲線活性領域202及び206へ電流を注入することにより当該領域202,206での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0057】
光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0058】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206を直線導波路領域101で結合した分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202,206と直線導波路領域101と曲がり導波路領域203,205は、素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202及び206への注入電流は、直線導波路領域101及び曲がり導波路領域203,205へは注入されない構造となっている。
【0059】
直線導波路領域101のF−F′での断面構造図を図12に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.3μm−InGaAsP光導波路112、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は光閉じ込め層116により分離されている。この構成により当該領域101の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0060】
曲線活性領域202,206のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202,206へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0061】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202,206の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0062】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0063】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路層を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0064】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0065】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長間隔を正確に設定できる。また光結合器が方向性結合器(方向性結合器型光干渉領域204)であるため、簡単に作製できる。
【0066】
[第5の実施例]
図16に本発明の第5の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0067】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲線活性領域202,206を結合する直線活性導波路領域303,305、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201、曲線活性領域202,206及び直線活性導波路領域303,305は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して当該領域へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0068】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には、発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。また多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には電流注入用電極1を介して電流を注入することにより1550nm帯の光に対して利得を有する活性領域となっている。
【0069】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206と活性領域201より構成される分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。直線活性導波路領域303及び305と多モード干渉結合器104とは素子分離溝310により電気的に分離され、全活性領域への注入電流は多モード干渉結合器104へは注入されない構造となっている。
【0070】
活性領域201のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0071】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0072】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0073】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0074】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線活性導波路領域303(305)の各導波路からの光出力が直線活性導波路領域305(303)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0075】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0076】
[第6の実施例]
図17に本発明の第6の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0077】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲り導波路領域102、106を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201、曲線活性領域202,206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して当該領域へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0078】
光出力用導波路107以外の領域には、発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。また光干渉領域204、光干渉領域204と曲線活性領域202,206を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107以外の領域には、電流注入用電極1を介して電流を注入することにより1550nm帯の光に対して利得を有する活性領域となっている。
【0079】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206と活性領域201より構成される分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202及び206と曲り導波路領域203及び205は素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202、206及び直線活性領域201への注入電流は、曲り導波路領域203及び205へは注入されない構造となっている。
【0080】
活性領域のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0081】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、n−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0082】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0083】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0084】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路層112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路層を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0085】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0086】
[第7の実施例]
図18に本発明の第7の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をするが、チャンネル数を変更しても本原理による光源は実現可能である。
【0087】
本実施例による光源は、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102、各チャンネルからの光出力を1本の光出力用導波路へ集光するための光出力結合用多モード干渉領域1103及び光取り出し導波路領域1104より構成されている。曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101は電流注入用電極1001を具備しており、電流注入用電極1001を介して曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0088】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101及び導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102には発生させるチャンネル数と等しい16本の光導波路が形成されている。
【0089】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101と導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102は素子分離溝1007により電気的に分離され、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101への注入電流は、その他の領域へは注入されない構造となっている。
【0090】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101のa−a′での断面構造図を図19に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板1110上のn−InPアンダークラッド層1111、1.55μm−InGaAsP活性層1112、p−InPオーバークラッド層1114により構成され、各導波路は電流狭窄層1115により分離されている。この構成により電流注入用電極1001へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層1112へ注入される構成となっている。またこの活性領域の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0091】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の1本の活性導波路の共振器方向の断面図を図22に示す。n−InP基板1110上のn−InPアンダークラッド層1111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層1112が形成されており、p−InPオーバークラッド層1114でカバーされている。
【0092】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の曲線活性導波路1003は全て同一中心の円弧となっており、円弧の半径は最外円曲線活性導波路で1mmに設定した。光導波路中心の間隔はそれぞれ0.5μmとなるように配列した。また、回折格子1002は曲線活性導波路1003の円弧の中心から延びる半径上に形成した。当該領域の透過屈折率が3.4であることより最外円曲線活性導波路でのピッチを228.3nmとすることで最外円曲線活性導波路分布帰還レーザよりの光出力の波長を1552.3nmとすることができた。また他の曲線活性導波路に形成された回折格子のピッチはその半径に比例して変化しており、本構成により各曲線活性導波路分布帰還レーザの出力光波長(光周波数)が0.8nm(100GHz)ずつ変化するよう回折格子を形成することができた。さらに、当該領域の曲線活性導波路の間隔を狭くしたことで、各導波路からの光出力が隣接導波路へ容易に結合することが可能な構造となった。この効果により、共振器内部で非線形相互作用(四光波混合)が誘起され全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整されることとなった。
【0093】
また、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の各レーザの光出力は導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の曲線光導波路1004によりその光伝搬導波路間隔を拡大して多モード干渉器1005へ結合される。図18中のb−b′での断面図を図20に示すが、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層1113はn−InPアンダークラッド層1111及びi−InPオーバークラッド層1118で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層1116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定な伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0094】
各チャンネルの光出力は多モード干渉器1005により光出力用導波路1006に集光され、光出力として取り出される。図18中のc−c′での断面構造図を図21に示す。多モード干渉器1005は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路層1117をn−InPアンダークラッド層1111及びi−InPオーバークラッド層1118によりはさんだ構造となっており、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の全曲線光導波路1004の光出力を光取り出し導波路1006へ結合するよう設計された。
【0095】
この構成により、光出力用導波路1006から、波長間隔が一定(0.8nm)である16チャンネルの光出力を得ることができた。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0096】
なお、InGaAsPの前に示したバンド端波長(例えば“1.55μm−InGaAsP”の表現の“1.55μm”の部分)は、In1−xGaxAsyP1−yで表した場合の、InとGaの組成比(1−x:x)、及びAsとPの組成比(y:1−y)で決まり、InPに格子整合したIn1−xGaxAsyP1−yの場合にはバンド短波長λは組成比を調整することによって以下のように制御できる。
【0097】
λ≒Eg/hc
Eg=1.35−0.72y+0.12y2
x≒0.467y
【0098】
また、本実施例では曲線活性導波路1003の全体にわたって均一な回折格子を具備した構造について説明したが、曲線活性導波路1003内で周期、位相を変化させた回折格子を具備することによっても本原理による光源は実現できる。
【0099】
[第8の実施例]
以上の実施例で述べた半導体多波長光源に、アレイ導波路回折格子(AWG)と光変調器を接続することにより多波長変調光発生装置を構成できる。すなわち、図23に示すように、複数のレーザ共振器とその複数のレーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器とで構成される多波長光源301の出力側に、順に、多重化された光出力を波長毎に分波する機能をもつアレイ導波路回折格子(AWG)302と、波長毎に分波された光を変調する個別光変調器群もしくは光変調器アレイ303と、波長毎に分波された光出力を再び多重化して単一の光出力用導波路に出力する機能をもつアレイ導波路回折格子(AWG)304とを接続すれば、例えば16チャンネルの波長多重光の各チャンネルが独立に例えば10〜40Gbit/sの信号レートで変調された多波長変調光発生装置を実現できる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によりコンパクトでかつ所望のチャンネル数の等光周波数間隔モードを発生可能な多波長半導体光源および多波長変調光発生装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】モードロックレーザより出力される多モードスペクトルの例を示す特性図である。
【図2】モードロックレーザからの出力スペクトル切り出しによる多チャンネルDC光発生の原理図である。
【図3】アレイ導波路回折格子フィルタの周期性を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図5】図4及び図9で示されたA−A′部分の断面図である。
【図6】図4、図9、図16及び図17で示されたB−B′部分の断面図である。
【図7】図4、図11及び図16で示されたC−C′部分の断面図である。
【図8】図4及び図9で示されたD−D′部分の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図10】図9、図15及び図17で示されたE−E′部分の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図12】図11及び図15で示されたF−F′部分の断面図である。
【図13】図11、図15、図16及び図17で示されたG−G′部分の断面図である。
【図14】図11、図15、図16及び図17で示されたH−H′部分の断面図である。
【図15】本発明の第4の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図16】本発明の第5の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図17】本発明の第6の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図18】本発明の第7の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図19】図18で示されたa−a′部分の断面図である。
【図20】図18で示されたb−b′部分の断面図である。
【図21】図18で示されたc−c′部分の断面図である。
【図22】第7の実施例中の曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域101の共振器方向の断面図である。
【図23】本発明の第8の実施例である多波長変調光発生装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 電流注入用電極
2 回折格子
101 直線導波路領域
102 曲り導波路領域
103 直線導波路領域
104 多モード干渉光結合器
105 直線導波路領域
106 曲り導波路領域
107 光出力用導波路
110 n−InP基板
111 n−InPアンダークラッド層
112 1.3μm−InGaAsP光導波路層
113 p−InPオーバークラッド層
114 1.55μm−InGaAsP活性層
115 電流狭窄層
116 光閉じ込め層
117 1.3μm−InGaAsPスラブ光導波路層
201 直線活性領域
202 曲線活性領域
203 曲り導波路領域
204 方向性結合器型光干渉領域
205 曲り導波路領域
206 曲線活性領域
303 直線活性導波路領域
305 直線活性導波路領域
310 素子分離溝
1001 電流注入用電極
1002 回折格子
1003 曲線活性導波路
1004 曲線光導波路
1005 多モード干渉器
1006 光出力用光波路
1007 素子分離溝
1101 曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域
1102 導波路間隔拡大用曲線光導波路領域
1103 光出力結合用多モード干渉領域
1104 光出力導波路領域
1110 n−InP基板
1111 n−InPアンダークラッド層
1112 1.55μm−InGaAsP活性層
1113 1.3μm−InGaAsP光導波路層
1114 p−InPオーバークラッド層
1115 電流狭窄層
1116 光閉じ込め層
1117 1.3μm−InGaAsPスラブ光導波路層
1118 i−InPオーバークラッド層
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体レーザにおいて、光出力スペクトル上に等光周波数間隔に並んだ複数の基線スペクトル(発振モード)を有する半導体多波長光源および多波長変調光発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野では波長多重光通信システムが実用化されているが、そのチャンネル間光周波数間隔は25GHzを最小グリッド間隔としたチャンネル配置が用いられている。現在実用的な最低光周波数間隔として100GHz間隔のグリッドが用いられている。実用システムでは光周波数間隔が100GHzとなる単一モード半導体レーザを必要なチャンネル数搭載した装置が用いられており、システムが煩雑なものとなっている。システム、装置の簡素化のためにも複数の波長光を同時に発生できるコンパクトな多波長光源の実現が切望されていた。
【0003】
光出力スペクトル上に等光周波数間隔に並んだ複数の基線スペクトル(発振モード)を発生するコンパクトな半導体多波長光源としては、共振器の光往復時間に起因した光周波数間隔で複数のモードを発振する半導体モードロックレーザがある。半導体モードロックレーザを用いれば1台の光源から一定の光周波数間隔の複数チャンネルの信号光を発生することが可能である。
【0004】
共振器長を所望の光周波数間隔の複数モードが発生するよう設計したファブリペロレーザの共振器内に過飽和吸収領域をもうけた受動モードロックレーザ、あるいは共振器内に高速変調器を集積した能動モードロックレーザ(例えば、佐藤他 IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol. 5, No. 3, pp. 590−595, 1999)により、図1に模式的に表したように広い波長領域で一定の光周波数間隔の複数チャンネルの信号光を発生することが可能である。但し本光源からの出力光は時間軸上では当該周波数を繰り返し周波数としたパルス形状をしている。
【0005】
複数の等光周波数間隔のDC光として使用するためには各モード間の相関を除去する必要があり、個々のモードを、例えばアレイ導波路回折格子フィルタのような光フィルタにより切り出すことが必要である(例えば、八坂他 “Multiwavelength light source with precise frequency spacing using mode−locked semiconductor laser and arrayed waveguide grating filter. ”,OFC ’96, Technical Digest, FB3, 1996)。
【0006】
また、現状のシステムでは膨大な数のDC光を発生する光源があっても、それらにデジタル信号を重畳する手段を具備する必要性から、必要とされるチャンネル数としては8〜16チャンネル程度が現実的であり、冗長なチャンネルは不必要であった。
【0007】
さらに、複数の波長光を発生する光源として複数のDFBレーザを同一半導体基板へ作製し、光結合器により単一の光導波路から光出力を取り出せる構成の波長選択型可変波長光源も実現されている(例えば、H. Oohashi, Y. Shibata, H. Ishii, Y. Kawaguchi, Y. Kondo, Y. Yoshikuni, and Y. Tohmori, “46.9−nm Wavelength−Selectable Arrayed DFB Lasers with Integrated MMI Coupler and SOA, ”IPRM ’01, Nara, Japan, FB1, pp. 575−578, May 2001.)。
【0008】
【非特許文献1】
佐藤他 IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol. 5, No. 3, pp. 590−595, 1999
【非特許文献2】
八坂他 “Multiwavelength light source with precise frequency spacing using mode−locked semiconductor laser and arrayed waveguide grating filter. ”,OFC ’96, Technical Digest, FB3, 1996
【非特許文献3】
H. Oohashi, Y. Shibata, H. Ishii, Y. Kawaguchi, Y. Kondo, Y. Yoshikuni, and Y. Tohmori, “46.9−nm Wavelength−Selectable Arrayed DFB Lasers with Integrated MMI Coupler and SOA, ”IPRM ’01, Nara, Japan, FB1, pp. 575−578, May 2001.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各モードを切り出す場合に単一波長のみを選択的に透過する光フィルタを用いようとするとモードの数だけフィルタが必要となりシステムが煩雑になってしまい実用的ではない。本目的には、1台で複数の波長を切り出すことの可能なアレイ導波路回折格子フィルタが有益である。この構成を図2に模式的に表す。各モードの波長(光周波数)に従って異なるポートから各モードを取り出すことが可能である。
【0010】
しかし、アレイ導波路回折格子フィルタで半導体モードロックレーザの個々のモードを切り出そうとした場合、以下のような問題点があった。
(1)半導体モードロックレーザからの光出力には、数十のモードが含まれており、広い光周波数(波長)範囲にスペクトルが広がっている。
(2)アレイ導波路回折格子には透過特性の周期性があり、例えば図3に示したように、光出力ポートが16チャンネルのフィルタの場合、17チャンネル目以降の光周波数信号はまたポート1から16までの出力端から出力されてしまう。例えばチャンネル1,17,33のモードは同じポート1から出力されてしまう。これを防ぐにはアレイ導波路回折格子フィルタの出力ポート数を増やす必要があるが、コストの増加につながってしまう。
(3)このことにより半導体モードロックレーザからの光出力スペクトル中のモード数を実用的な見地から8〜16個、多くても32個程度に制限する必要がある。
【0011】
また、半導体モードロックレーザにおいては、数多くのモードを発生することは可能なものの、1つ1つのモードの光強度は−10dBm程度であり、素子単体で光源として用いるには光強度が不足するという問題点があった。
【0012】
さらに、波長選択型可変波長光源においては発振波長の精度は製造されたDFBレーザの回折格子の光学的なピッチで決まり、製造上のばらつきにより、個々のDFBレーザの回折格子の光学的なピッチは素子内でばらつき、等光周波数間隔での複数信号光発生は困難であった。
【0013】
また、各DFBレーザに異なったピッチの回折格子を形成する必要があり、レーザ共振器は十分離して(数十μm程度以上)作製する必要があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、内部に発振波長を決定するための回折格子をもうけた複数のリング共振器型半導体レーザを同一基板上に作製し、その出力を混合するための手段をもうけ、複数のレーザからの出力が相互に干渉しあうことのできる構成を取るレーザを実現した。本レーザの曲り導波路部分には回折格子が形成されているが、その曲りを円弧とし、その中心を同一のものとし、回折格子をその半径方向に作製することで、各リング型レーザの発振波長(光周波数)差を一定にすることが簡単にできた。また各レーザの発振光を混合し再度レーザへ戻すことにより、各レーザの発振波長(光周波数)差を一定にすることが可能となった。
また、発生するチャンネル(波長)数は、リングの本数で決定されるため、必要なチャンネル数のリング共振器型レーザを集積することでチャンネル数の設定ができた。
以上記載したように、本構成の半導体レーザで、発振波長(光周波数)間隔一定な複数の波長を発生できる半導体多波長光源が実現できた。
【0015】
また上記課題を解決するために、本発明では、内部に発振波長を決定するための回折格子をもうけた複数の半導体レーザを近接して同一基板上に作製し、複数のレーザからの出力が相互に干渉しあうことのできる構成を有するレーザを実現した。本レーザの活性領域導波路には回折格子が形成されているが、その活性領域導波路を円弧とし、その中心を同一のものとし、回折格子をその半径方向に作製することで、各円弧状活性導波路を有するレーザの発振波長(光周波数)差をほぼ一定にすることが簡単にできた。また各レーザが近接して作製されていることより個々のレーザの出力光は共振器を進むうちに隣接レーザへ結合し、活性領域内で非線形相互作用(四光波混合)を誘起することにより光周波数間隔が一定となるように自己調整され、各レーザの発振波長(光周波数)差を一定とすることが可能となった。
また、発生するチャンネル(波長)数は、レーザ共振器の本数で決定されるため、必要なチャンネル数のレーザ共振器を集積することでチャンネル数の設定ができた。
以上記載したように、本構成の半導体レーザで、発振波長(光周波数)間隔一定な複数の波長を発生できる半導体多波長光源が実現できた。
【0016】
更に上記課題を解決するために、本発明は、上記半導体多波長光源を含む多波長変調光発生装置において、複数のレーザ共振器と、複数の前記レーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器と、多重化された光出力を波長毎に分波する機能をもつ第1のアレイ導波路回折格子と、波長毎に分波された光を変調する個別光変調器群もしくは光変調器アレイと、波長毎に分波された光出力を再び多重化して単一の光出力用導波路に出力する機能をもつ第2のアレイ導波路回折格子とで、構成されることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
[第1の実施例]
図4に本発明の第1の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をするが、チャンネル数を変更しても本原理による光源は実現可能である。このことは以下の実施例でも同様である。
【0019】
本実施例による光源は、活性領域201、回折格子を有する曲り導波路領域(回折格子領域)102と106、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲り導波路領域102、106を結合する直線導波路領域103、105、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して活性領域201へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0020】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0021】
本実施例による光源は、活性領域201の両側に回折格子領域102及び106を形成した分布反射鏡型半導体レーザ(DBRレーザ)となっている。活性領域201と回折格子領域102及び106は素子分離溝310により電気的に分離され、活性領域201への注入電流は回折格子領域102及び106へは注入されない構造となっている。
【0022】
活性領域201のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0023】
曲り導波路領域のA−A′での断面図を図5に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.3μm−InGaAsP光導波路層112が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。
【0024】
また、D−D′の断面図を図8に示すが、各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層112はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0025】
曲り導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域102,106に形成する回折格子2は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子2のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0026】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線導波路領域103(105)の各導波路からの光出力が直線導波路領域105(103)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0027】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0028】
なお、InGaAsPの前に示したバンド端波長(例えば“1.55μm−InGaAsP”の表現の“1.55μm”の部分)は、In1−xGaxAsyP1−yで表した場合の、InとGaの組成比(1−x:x)、及びAsとPの組成比(y:1−y)で決まり、InPに格子整合したIn1−xGaxAsyP1−yの場合にはバンド短波長λは組成比を調整することによって以下のように制御できる。このことは、以下の実施例でも同様である。
【0029】
λ≒Eg/hc
Eg=1.35−0.72y+0.12y2
x≒0.467y
【0030】
また、本実施例では曲り導波路領域102及び106の全体にわたって回折格子2を設けた構造について説明したが、曲り導波路領域102,106の一部に回折格子2を具備するだけでも本原理による光源は実現できる。このことは以下の実施例でも同様である。
【0031】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長の絶対値を正確に設定できる。また光結合器が多モード干渉結合器104であるため、全チャンネルの光出力を一定にできる。
【0032】
[第2の実施例]
図9に本発明の第2の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0033】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲り導波路領域(回折格子領域)102と106、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲り導波路領域102、106を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して活性領域201へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0034】
光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0035】
本実施例による光源は、活性領域201の両側に回折格子領域102及び106を形成した分布反射鏡型半導体レーザ(DBRレーザ)となっている。活性領域201と回折格子領域102及び106は素子分離溝310により電気的に分離され、活性領域201への注入電流は回折格子領域102及び106へは注入されない構造となっている。
【0036】
活性領域のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0037】
曲り導波路領域102,106のA−A′での断面図を図5に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.3μm−InGaAsP光導波路層112が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。
【0038】
また、D−D′の断面図を図8に示すが、各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層112はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0039】
曲り導波路領域102,106の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域102,106に形成する回折格子2は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子2のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0040】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路層112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0041】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0042】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長の絶対値を正確に設定できる。また光結合器が方向性結合器(方向性結合器型光干渉領域204)であるため、簡単に作製できる。
【0043】
[第3の実施例]
図11に本発明の第3の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0044】
本実施例による光源は直線導波路領域101、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲線活性領域202、206を結合する直線導波路領域103、105、及び光出力用導波路107より構成されている。曲線活性領域202及び206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して曲線活性領域202及び206へ電流を注入することにより当該領域202,206での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0045】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0046】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206を直線導波路領域101で結合した分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202及び206と直線導波路領域101、103及び105は素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202及び206への注入電流は、直線導波路領域101、103及び105へは注入されない構造となっている。
【0047】
直線導波路領域101のF−F′での断面構造図を図12に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.3μm−InGaAsP光導波路層112、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は光閉じ込め層116により分離されている。この構造により当該領域101の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0048】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、n−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0049】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。また当該領域202の導波路は、発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0050】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0051】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線導波路領域103(105)の各導波路からの光出力が直線導波路領域105(103)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光を加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0052】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0053】
なお、本実施例では曲線活性領域202及び206の全体にわたって回折格子2を設けた構造について説明したが、領域202,206の一部に回折格子2を具備するだけでも本原理による光源は実現できる。このことは以下の実施例でも同様である。
【0054】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長間隔を正確に設定できる。また光結合器が多モード干渉結合器104であるため、全チャンネルの光出力を一定にできる。
【0055】
[第4の実施例]
図15に本発明の第4の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0056】
本実施例による光源は直線導波路領域101、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲線活性領域202,206を結合する曲り導波路領域203,205、及び光出力用導波路107より構成されている。曲線活性領域202及び206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して曲線活性領域202及び206へ電流を注入することにより当該領域202,206での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0057】
光出力用導波路107以外の領域には発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。
【0058】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206を直線導波路領域101で結合した分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202,206と直線導波路領域101と曲がり導波路領域203,205は、素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202及び206への注入電流は、直線導波路領域101及び曲がり導波路領域203,205へは注入されない構造となっている。
【0059】
直線導波路領域101のF−F′での断面構造図を図12に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.3μm−InGaAsP光導波路112、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は光閉じ込め層116により分離されている。この構成により当該領域101の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0060】
曲線活性領域202,206のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202,206へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0061】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202,206の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0062】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0063】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路層を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0064】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0065】
本実施例では、レーザ共振器が分布反射型半導体レーザ(DBRレーザ)であるため、発振波長間隔を正確に設定できる。また光結合器が方向性結合器(方向性結合器型光干渉領域204)であるため、簡単に作製できる。
【0066】
[第5の実施例]
図16に本発明の第5の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0067】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための多モード干渉結合器104、多モード干渉結合器104と曲線活性領域202,206を結合する直線活性導波路領域303,305、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201、曲線活性領域202,206及び直線活性導波路領域303,305は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して当該領域へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0068】
多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には、発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。また多モード干渉結合器104、及び光出力用導波路107以外の領域には電流注入用電極1を介して電流を注入することにより1550nm帯の光に対して利得を有する活性領域となっている。
【0069】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206と活性領域201より構成される分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。直線活性導波路領域303及び305と多モード干渉結合器104とは素子分離溝310により電気的に分離され、全活性領域への注入電流は多モード干渉結合器104へは注入されない構造となっている。
【0070】
活性領域201のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0071】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、p−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0072】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0073】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域202,206に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域202,206のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0074】
各チャンネルの光出力は多モード干渉結合器104により分配され、全てのチャンネルに結合する。C−C′での断面構造図を図7に示す。多モード干渉結合器104は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路117をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、直線活性導波路領域303(305)の各導波路からの光出力が直線活性導波路領域305(303)及び光出力用導波路107の全ての導波路へ結合するよう設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0075】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0076】
[第6の実施例]
図17に本発明の第6の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をする。
【0077】
本実施例による光源は活性領域201、回折格子を有する曲線活性領域202と206、各チャンネルを混合するための方向性結合器型光干渉領域204、光干渉領域204と曲り導波路領域102、106を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107より構成されている。活性領域201、曲線活性領域202,206は電流注入用電極1を具備しており、電流注入用電極1を介して当該領域へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0078】
光出力用導波路107以外の領域には、発生させるチャンネル数と等しい数の導波路が形成されている。また光干渉領域204、光干渉領域204と曲線活性領域202,206を結合する曲り導波路領域203、205、及び光出力用導波路107以外の領域には、電流注入用電極1を介して電流を注入することにより1550nm帯の光に対して利得を有する活性領域となっている。
【0079】
本実施例による光源は、曲線活性領域202及び206と活性領域201より構成される分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)となっている。曲線活性領域202及び206と曲り導波路領域203及び205は素子分離溝310により電気的に分離され、曲線活性領域202、206及び直線活性領域201への注入電流は、曲り導波路領域203及び205へは注入されない構造となっている。
【0080】
活性領域のB−B′での断面構造図を図6に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111、1.55μm−InGaAsP活性層114、p−InPオーバークラッド層113により構成され、各導波路は電流狭窄層115により分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域201の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0081】
曲線活性領域202のG−G′での断面図を図13に示す。n−InP基板110上のn−InPアンダークラッド層111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層114が形成されており、n−InPオーバークラッド層113でカバーされている。当該領域202へは電流注入用電極1を介して電流が注入できる構造となっている。
【0082】
また、H−H′の断面図を図14に示すが、各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114はn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113で挟まれた形状となっており、また電流狭窄層115により隣接導波路とは分離されている。この構成により電流注入用電極1へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層114へ注入される構成となっている。またこの活性領域202の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0083】
曲線活性領域202,206の各導波路は円弧となっており、その中心は同一となっている。各導波路の1周期の光路長はそれぞれ光周波数にして100GHzずれるように設計されている。また、当該領域に形成する回折格子は円弧の中心から円弧の半径方向に形成されており、導波路毎の回折格子のピッチは曲り導波路の円弧の半径に比例して増加するようになっている。つまり、最も外に位置した曲り導波路と2番目の曲り導波路の円弧の半径を0.05%程度変化させることで、当該領域のブラッグ波長(最も反射率の高い波長)を0.05%程度変化させることができる。波長1.55ミクロンの波長に対しては半径の差を0.0516%とすることで両回折格子内蔵導波路のブラッグ波長を0.8nm(光周波数差100GHz)だけ変化することができる。このように外側導波路から内側導波路へ向けて、半径を0.0516%づつ低減していくことで波長差が0.8nm(光周波数差100GHz)の16チャンネルの光を発生させることができる。
【0084】
各チャンネルの光出力は光干渉領域204で干渉することで全てのチャンネルに結合する。E−E′での断面構造図を図10に示す。光干渉領域204は1.3μm−InGaAsP光導波路層112をn−InPアンダークラッド層111及びp−InPオーバークラッド層113によりはさんだ構造となっており、また各チャンネルの1.3μm−InGaAsP光導波路層112を分離する光閉じ込め層116は1ミクロン以下の十分薄い構造となっており、各導波路層を伝搬する光は隣接のチャンネルへ結合することができ、各導波路からの光出力が全ての導波路へ結合するように設計されている。このため各チャンネル中には、自身の発振光に加えて0.8nmの整数倍だけ波長の違う光が15個混入することとなり、共振器内部での非線形相互作用(四光波混合)のために全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整される。
【0085】
このため、光出力用導波路107からの光出力は波長間隔が一定(0.8nm)な16チャンネルの光出力となった。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0086】
[第7の実施例]
図18に本発明の第7の実施例を示す。
本実施例では発生波長数(チャンネル数)が16のものに関して説明をするが、チャンネル数を変更しても本原理による光源は実現可能である。
【0087】
本実施例による光源は、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102、各チャンネルからの光出力を1本の光出力用導波路へ集光するための光出力結合用多モード干渉領域1103及び光取り出し導波路領域1104より構成されている。曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101は電流注入用電極1001を具備しており、電流注入用電極1001を介して曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101へ電流を注入することにより当該領域での光の発生・増幅が可能な構成となっている。
【0088】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101及び導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102には発生させるチャンネル数と等しい16本の光導波路が形成されている。
【0089】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101と導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102は素子分離溝1007により電気的に分離され、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101への注入電流は、その他の領域へは注入されない構造となっている。
【0090】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101のa−a′での断面構造図を図19に示した。各チャンネル導波路はn−InP基板1110上のn−InPアンダークラッド層1111、1.55μm−InGaAsP活性層1112、p−InPオーバークラッド層1114により構成され、各導波路は電流狭窄層1115により分離されている。この構成により電流注入用電極1001へ注入された電流は効率よく各導波路の1.55μm−InGaAsP活性層1112へ注入される構成となっている。またこの活性領域の導波路は発生する1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定に増幅・伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0091】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の1本の活性導波路の共振器方向の断面図を図22に示す。n−InP基板1110上のn−InPアンダークラッド層1111上に回折格子2を刻んだ1.55μm−InGaAsP活性層1112が形成されており、p−InPオーバークラッド層1114でカバーされている。
【0092】
曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の曲線活性導波路1003は全て同一中心の円弧となっており、円弧の半径は最外円曲線活性導波路で1mmに設定した。光導波路中心の間隔はそれぞれ0.5μmとなるように配列した。また、回折格子1002は曲線活性導波路1003の円弧の中心から延びる半径上に形成した。当該領域の透過屈折率が3.4であることより最外円曲線活性導波路でのピッチを228.3nmとすることで最外円曲線活性導波路分布帰還レーザよりの光出力の波長を1552.3nmとすることができた。また他の曲線活性導波路に形成された回折格子のピッチはその半径に比例して変化しており、本構成により各曲線活性導波路分布帰還レーザの出力光波長(光周波数)が0.8nm(100GHz)ずつ変化するよう回折格子を形成することができた。さらに、当該領域の曲線活性導波路の間隔を狭くしたことで、各導波路からの光出力が隣接導波路へ容易に結合することが可能な構造となった。この効果により、共振器内部で非線形相互作用(四光波混合)が誘起され全チャンネルの光周波数間隔が強制的に100GHzへと自己調整されることとなった。
【0093】
また、曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域1101の各レーザの光出力は導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の曲線光導波路1004によりその光伝搬導波路間隔を拡大して多モード干渉器1005へ結合される。図18中のb−b′での断面図を図20に示すが、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の各導波路の1.3μm−InGaAsP光導波路層1113はn−InPアンダークラッド層1111及びi−InPオーバークラッド層1118で挟まれた形状となっており、また光閉じ込め層1116により隣接導波路とは分離されている。この構造により当該領域の光導波路は、1550nm付近の波長の光に対して最低次モードのみを安定な伝搬可能な単一モード導波路となっている。
【0094】
各チャンネルの光出力は多モード干渉器1005により光出力用導波路1006に集光され、光出力として取り出される。図18中のc−c′での断面構造図を図21に示す。多モード干渉器1005は1.3μm−InGaAsPスラブ導波路層1117をn−InPアンダークラッド層1111及びi−InPオーバークラッド層1118によりはさんだ構造となっており、導波路間隔拡大用曲線光導波路領域1102の全曲線光導波路1004の光出力を光取り出し導波路1006へ結合するよう設計された。
【0095】
この構成により、光出力用導波路1006から、波長間隔が一定(0.8nm)である16チャンネルの光出力を得ることができた。また、各チャンネルの強度は10dBm以上となっており、実用上十分なレベルとなっていた。
【0096】
なお、InGaAsPの前に示したバンド端波長(例えば“1.55μm−InGaAsP”の表現の“1.55μm”の部分)は、In1−xGaxAsyP1−yで表した場合の、InとGaの組成比(1−x:x)、及びAsとPの組成比(y:1−y)で決まり、InPに格子整合したIn1−xGaxAsyP1−yの場合にはバンド短波長λは組成比を調整することによって以下のように制御できる。
【0097】
λ≒Eg/hc
Eg=1.35−0.72y+0.12y2
x≒0.467y
【0098】
また、本実施例では曲線活性導波路1003の全体にわたって均一な回折格子を具備した構造について説明したが、曲線活性導波路1003内で周期、位相を変化させた回折格子を具備することによっても本原理による光源は実現できる。
【0099】
[第8の実施例]
以上の実施例で述べた半導体多波長光源に、アレイ導波路回折格子(AWG)と光変調器を接続することにより多波長変調光発生装置を構成できる。すなわち、図23に示すように、複数のレーザ共振器とその複数のレーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器とで構成される多波長光源301の出力側に、順に、多重化された光出力を波長毎に分波する機能をもつアレイ導波路回折格子(AWG)302と、波長毎に分波された光を変調する個別光変調器群もしくは光変調器アレイ303と、波長毎に分波された光出力を再び多重化して単一の光出力用導波路に出力する機能をもつアレイ導波路回折格子(AWG)304とを接続すれば、例えば16チャンネルの波長多重光の各チャンネルが独立に例えば10〜40Gbit/sの信号レートで変調された多波長変調光発生装置を実現できる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によりコンパクトでかつ所望のチャンネル数の等光周波数間隔モードを発生可能な多波長半導体光源および多波長変調光発生装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】モードロックレーザより出力される多モードスペクトルの例を示す特性図である。
【図2】モードロックレーザからの出力スペクトル切り出しによる多チャンネルDC光発生の原理図である。
【図3】アレイ導波路回折格子フィルタの周期性を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図5】図4及び図9で示されたA−A′部分の断面図である。
【図6】図4、図9、図16及び図17で示されたB−B′部分の断面図である。
【図7】図4、図11及び図16で示されたC−C′部分の断面図である。
【図8】図4及び図9で示されたD−D′部分の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図10】図9、図15及び図17で示されたE−E′部分の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図12】図11及び図15で示されたF−F′部分の断面図である。
【図13】図11、図15、図16及び図17で示されたG−G′部分の断面図である。
【図14】図11、図15、図16及び図17で示されたH−H′部分の断面図である。
【図15】本発明の第4の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図16】本発明の第5の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図17】本発明の第6の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図18】本発明の第7の実施例である半導体多波長光源を示す構成図である。
【図19】図18で示されたa−a′部分の断面図である。
【図20】図18で示されたb−b′部分の断面図である。
【図21】図18で示されたc−c′部分の断面図である。
【図22】第7の実施例中の曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域101の共振器方向の断面図である。
【図23】本発明の第8の実施例である多波長変調光発生装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 電流注入用電極
2 回折格子
101 直線導波路領域
102 曲り導波路領域
103 直線導波路領域
104 多モード干渉光結合器
105 直線導波路領域
106 曲り導波路領域
107 光出力用導波路
110 n−InP基板
111 n−InPアンダークラッド層
112 1.3μm−InGaAsP光導波路層
113 p−InPオーバークラッド層
114 1.55μm−InGaAsP活性層
115 電流狭窄層
116 光閉じ込め層
117 1.3μm−InGaAsPスラブ光導波路層
201 直線活性領域
202 曲線活性領域
203 曲り導波路領域
204 方向性結合器型光干渉領域
205 曲り導波路領域
206 曲線活性領域
303 直線活性導波路領域
305 直線活性導波路領域
310 素子分離溝
1001 電流注入用電極
1002 回折格子
1003 曲線活性導波路
1004 曲線光導波路
1005 多モード干渉器
1006 光出力用光波路
1007 素子分離溝
1101 曲線活性導波路分布帰還レーザアレイ領域
1102 導波路間隔拡大用曲線光導波路領域
1103 光出力結合用多モード干渉領域
1104 光出力導波路領域
1110 n−InP基板
1111 n−InPアンダークラッド層
1112 1.55μm−InGaAsP活性層
1113 1.3μm−InGaAsP光導波路層
1114 p−InPオーバークラッド層
1115 電流狭窄層
1116 光閉じ込め層
1117 1.3μm−InGaAsPスラブ光導波路層
1118 i−InPオーバークラッド層
Claims (15)
- 複数のレーザ共振器と、この複数のレーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器とで構成される半導体多波長光源において、
前記レーザ共振器内部での非線形相互作用により、全チャンネルの出力光の光周波数間隔が強制的に一定間隔に自己調整される機能を持つことを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項1において、
複数の前記レーザ共振器はリング状共振器であることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項1または請求項2において、
前記光結合器として多モード干渉結合器を用いることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項1または請求項2において、
前記光結合器として方向性結合器型光干渉器を用いることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項2ないし請求項4のいずれか1項において、
複数の前記リング状共振器の曲り導波路部分を円弧とし、その中心を同一とすることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
複数の前記リング状共振器の一部に回折格子を形成したことを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項6において、
前記回折格子を複数の前記リング状共振器の曲り部分に形成し、各リング状共振器の回折格子の凹凸の周期がリング状共振器の曲り部分の円弧の半径に比例して変化していることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項6または請求項7において、
複数の前記リング状共振器の一部に形成した前記回折格子の回折格子領域以外の部分に、光増幅機能を具備したことを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項6または請求項7において、
複数の前記リング状共振器の一部に形成した前記回折格子の回折格子領域に光増幅機能を具備したことを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項1において、
複数の前記レーザ共振器は、回折格子を具備した活性領域を有する曲線導波路型共振器であることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項10において、
前記光結合器として多モード干渉器を用いることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項10または請求項11において、
複数の前記レーザ共振器に具備された回折格子のピッチを、隣接のレーザ共振器で一定の値変化させ、各レーザ共振器より発生する光の波長を一定の値変化させることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項10ないし請求項12のいずれか1項において、
回折格子を具備した活性領域を有する複数のレーザ共振器の導波路部分を円弧とし、その中心を同一とすることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項13において、
複数のレーザ共振器の回折格子の凹凸の周期がレーザ共振器の導波路部分の円弧の半径に比例して変化していることを特徴とする半導体多波長光源。 - 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の半導体多波長光源を含む多波長変調光発生装置において、
複数のレーザ共振器と、
複数の前記レーザ共振器からの光出力を単一の光出力用導波路に結合する光結合器と、
多重化された光出力を波長毎に分波する機能をもつ第1のアレイ導波路回折格子と、
波長毎に分波された光を変調する個別光変調器群もしくは光変調器アレイと、
波長毎に分波された光出力を再び多重化して単一の光出力用導波路に出力する機能をもつ第2のアレイ導波路回折格子とで、
構成されることを特徴とする多波長変調光発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003153887A JP2004356470A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 半導体多波長光源および多波長変調光発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003153887A JP2004356470A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 半導体多波長光源および多波長変調光発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=34048693
Family Applications (1)
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JP2003153887A Pending JP2004356470A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 半導体多波長光源および多波長変調光発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004356470A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015002335A (ja) * | 2013-06-18 | 2015-01-05 | 日本電信電話株式会社 | 集積型半導体光源 |
CN106329315A (zh) * | 2016-11-21 | 2017-01-11 | 长春理工大学 | 一种面发射分布反馈激光器 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003153887A patent/JP2004356470A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106329315A (zh) * | 2016-11-21 | 2017-01-11 | 长春理工大学 | 一种面发射分布反馈激光器 |
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